JP3407125B2 - 酵母素材とその製法 - Google Patents

酵母素材とその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母菌体から自己
消化法により酵母エキスを製造する際に副生成物として
生じる酵母自己消化不溶物の無味無臭化法および無味無
臭化した白色の酵母自己消化不溶物に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭63−22177公報では、ビー
ル酵母を水蒸気蒸留及び有機溶媒によるビール酵母の風
味改善法が開示されている。また特開平6−70751
公報では、酵母または酵母処理物を酸及び加熱処理する
ことで酵母特有の異味異臭が低減されることが開示され
ているが、味、特に苦味についての検討はなされていな
い。なおこれらの公報には、酵母自己消化不溶物に関す
る記載はない。
【0003】特開平4−248968公報は、酵母エキ
ス抽出残渣すなわち酵母自己消化不溶物の脱色、脱臭法
に関するものである。これは、酵母エキス抽出残渣をア
ルカリ及び酸で処理した後、高濃度のオゾン処理を行
い、エタノール処理することを特徴としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】酵母菌体から自己消化
法により酵母エキスを製造する際に生じる酵母エキス残
渣すなわち酵母自己消化不溶物は、生酵母や乾燥酵母に
比べて、自己消化による特有の臭いも加わっていること
から、前述の特開昭63−22177公報や特開平06
−70751公報の方法では、無味無臭化することは難
しい。また前述した特開平4−248968公報の方法
は、脱味については検討されておらず、またオゾンガス
を使用することにより、操作が煩雑となり、コストと時
間がかかるという問題点がある。
【0005】更に公知の方法として、酵母自己消化不溶
物をエタノールを溶媒として10回以上洗浄すること
で、無味無臭化することが知られているが、多量のエタ
ノールを使用することによりかなりのコストがかかり、
また得られた粉末は、茶〜薄茶色である。一方、酵母自
己消化不溶物の主成分は酵母細胞壁であり、酵母細胞壁
には多糖類のグルカン、マンナンといった食物繊維を豊
富に含んでいることから、食品や医薬品の素材として利
用することができる。そこで、食品や医薬品の素材とし
て利用する際、食しやすいように特有の異味異臭を除去
する必要があり、また利用しやすいように白色の粉末と
するのが好ましい。
【0006】従って本発明の目的は、酵母菌体から自己
消化法により酵母エキスを製造する際に副生成物として
生じる酵母自己消化不溶物を、食しやすいように容易な
操作及び低コストで無味無臭化する方法及び無味無臭化
した白色の酵母自己消化不溶物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上記
課題を解決するために検討を行った結果、ビール酵母を
自己消化させて酵母エキスを製造した際の副生成物であ
る苦味のある酵母自己消化不溶物をエタノールで懸濁さ
せてアルカリ下で攪拌処理することで、異味異臭の原因
物質が溶出し、これを遠心分離して除去することで、酵
母自己消化不溶物の特有の異味異臭が除去され、更にそ
の粉末が白色であることを確認して本発明を見出した。
【0008】すなわち本発明の第1は、ビール酵母を自
己消化させて酵母エキスを製造した際の副生成物である
苦味のある酵母自己消化不溶物をエタノールで懸濁させ
てアルカリ下で攪拌処理した後、pHを中性とすること
を特徴とする酵母自己消化不溶物の無味無臭化法に関す
る。本発明の第2は、前記の製造法で得られた無味無臭
化した白色の酵母自己消化不溶物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で、無味無臭化することを
目的とする酵母自己消化不溶物は、酵母菌体から、通常
実施されている自己消化法によって酵母エキスを製造す
る際に副生成物として生じるものであれば特に限定しな
いが、酵母エキスを製造する際に用いられる酵母菌体と
しては、サッカロマイセス(Saccharomyce
s)属たとえばサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)である
ビール酵母やパン酵母、ピキア(Pichia)属、ハ
ンセヌラ(Hansenula)属などが挙げられる。
【0010】酵母エキス製造時に副生成物として生じる
酵母自己消化不溶物は、通常、水の懸濁液として産出さ
れるが、これを遠心分離して酵母自己消化不溶物沈渣を
得る。その際、前処理として水またはエタノールで沈渣
を洗浄するとより効果的である。得られた沈渣に5〜2
0倍量の20〜100%エタノール、好ましくは10倍
量の50%エタノール液を加えて、アルカリ溶液でpH
9〜12、好ましくはpH11に調して、室温で30
分〜2時間攪拌する。この際、水相部に異味異臭の一因
である変性した核酸やアミノ酸等が溶出される。なお、
アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム等、pHを調でき
るものであれば何でも用いることができる。その後、塩
酸などでpHを中性にして、遠心分離して沈渣を得る。
沈渣は、水やエタノールで洗浄するとより効果的であ
る。
【0011】最後にスプレードライや凍結乾燥など通常
の方法で乾燥させて、目的物である酵母自己消化不溶物
を得る。得られた酵母自己消化不溶物は無味無臭であ
り、また色調は白色であることから、食品や医薬品等に
提供することができる。
【0012】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。 実施例1 ビール酵母を自己消化させて酵母エキスを製造した際の
副生成物である酵母自己消化不溶物14w/v%を含む
懸濁液2.5リットルにエタノールを1リットル、添加
し、4℃で30分間攪拌した。攪拌後、3000rpm
で10分間、遠心分離し酵母自己消化不溶物沈渣を得
た。沈渣を水1.8リットルで懸濁して、更にエタノー
ル1.8リットルを添加し、よく懸濁しつつ2規定濃度
の水酸化ナトリウム溶液により、pH11に調した。
次に先と同じ条件で攪拌と遠心分離を行い、得られた沈
渣を再び1.6リットルの水に懸濁し同量のエタノール
を添加し攪拌、遠心した。再度沈渣を1.5リットルの
水に懸濁し同量のエタノールを添加し攪拌しながら、2
規定濃度の塩酸でpH6.5に調し、遠心後、20%
エタノールで懸濁、遠心を行い、更に水による懸濁と遠
心を2回繰り返した。得られた沈渣を凍結乾燥して、白
色粉体205g(本発明品)を得た。
【0013】比較例1 ビール酵母を自己消化させて酵母エキスを製造した際の
副生成物である酵母自己消化不溶物の乾燥粉体600g
をエタノール1リットルに懸濁し、室温25℃で30分
間撹拌後、3000rpmで10分間、遠心分離して上
清を除き、アルコール洗浄した酵母自己消化不溶物沈渣
を得た。沈渣をさらにエタノール1リットルに懸濁し、
同様の操作を6回繰り返した。次に沈渣を水2リットル
に懸濁し、先と同じ条件で撹拌、遠心による洗浄を2回
行った。得られた沈渣をエタノール2リットルに懸濁
し、撹拌と遠心を行い、沈渣をエタノール1リットルと
水0.5リットルの混合液に懸濁し、撹拌と遠心を行っ
た。さらに、水0.75リットルによる洗浄と2回のエ
タノール0.75リットルによる洗浄を行った。得られ
た沈渣を2回水で洗浄して凍結乾燥し、エタノール11
回洗浄品(比較品A)として薄茶色の粉末270gを得
た。なお、エタノール未洗浄(比較品B)、エタノール
3回洗浄(比較品C)、8回洗浄(比較品D)したもの
についても凍結乾燥品として得た。
【0014】次に10名のパネリストにより比較品A〜
Dについて、異味異臭を感じるかどうかについて官能検
査を行った。
【表1】 以上の結果から、エタノール洗浄11回した比較品Aに
ついて、酵母特有の異臭を10名中2名が感じたもの
の、非常に弱いというコメントであり、他の8名に関し
ては無味無臭化されているというコメントであった。
【0015】実施例2 実施例1で得られた本発明品と比較例1で得られた比較
品Aについて、14名のパネリストを対象に味、臭いに
ついて官能検査を行った。ブラインドでどちらのサンプ
ルが無味無臭化されているか、得られた結果を下記に示
す。
【表2】
【0016】本発明品の方を8名が、比較品の方を6名
がより無味無臭化されていると回答し、14名中8名が
その差は小さいと回答している。このことからも、本発
明品と比較品Aは区別がつかず、同じように無味無臭化
されていることが確認された。なお、比較品Aは薄茶色
の粉末であるのに対して、本発明品は白色粉末であっ
た。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、酵母菌体から自己消化
法により酵母エキスを製造する際に副生成物として生じ
る酵母自己消化不溶物を、エタノールで懸濁しアルカリ
条件下で撹拌処理などすることにより、容易な操作及び
低コスト化を可能としながら、食品及び医薬品の素材と
して適した食しやすく無味無臭化された白色の酵母自己
消化不溶物及びその製法を提供することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビール酵母を自己消化させて酵母エキスを
    製造した際の副生成物である苦味のある酵母自己消化不
    溶物をエタノールで懸濁させてアルカリ下で攪拌処理
    た後、pHを中性とすることを特徴とする酵母自己消化
    不溶物の無味無臭化法
  2. 【請求項2】 請求項1の製造法で得られた無味無臭化
    した白色の酵母自己消化不溶物
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