JP2018033424A - 呈味改質組成物 - Google Patents

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雅文 太田
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章敬 上原
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Abstract

【課題】簡便で安価に実施することができ、かつ、結果として得られる組成物が高付加価値である、酵母エキス菌体残渣を処理する方法を提供すること。【解決手段】酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解する工程を含む、呈味改質組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、酵母エキスを抽出後の酵母菌体の残渣を加水分解して得られる、呈味改質組成物及びその製造方法等に関する。
現在、酵母を利用した有用物質の生産は、食品業界において広く一般に行われている。一例としては、酵母の有用物質を抽出することにより製造される、酵母エキスの生産が挙げられる。酵母エキスは、アミノ酸、核酸、ビタミン及びミネラルなどを豊富に含んでおり、調味料や栄養サプリメント等を始めとして、食品用途に幅広く用いられている。
一方、酵母エキスを抽出した後の酵母菌体の残渣(以下、本明細書において、「酵母エキス菌体残渣」とも称す)にも、タンパク質、核酸、及び、食物繊維多糖類(例えば、βグルカン及びαマンナン)等の、有用物質が多数含まれることが知られている。
酵母エキス菌体残渣の有効利用を試みる一例として、特許文献1では、グルカナーゼ等の細胞壁溶解酵素を添加することで酵母の細胞壁を分解する工程、及び、その後に、プロテアーゼを添加することで酵母に含まれるタンパク質等を分解する工程を含む、酵母由来のうま味素材の調製方法を開示している。しかし、かかる方法は、(1)細胞壁溶解酵素を用いた酵母細胞壁の加水分解工程と、プロテアーゼを用いた酵母中のタンパク質の加水分解工程とを別々に行う必要がある点において作業工程が煩雑であること、(2)結果として得られる素材が酵母臭を有しており、食品への添加に適さないこと、及び、(3)必要なプロテアーゼのコストが高額であり、安価に実施できないこと、等の問題を伴うため、実用化には至っていない。このように、酵母の細胞壁が頑強であること等に起因して、酵母エキス菌体残渣に含まれる有用物質を簡便かつ安価に分離する方法は見出されていない。その結果、多数の有用物質を含んでいるにもかかわらず、酵母エキス菌体残渣は大量に廃棄されている。
国際公開公報第2013/065732号
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、簡便で安価に実施することができ、かつ、結果として得られる組成物が高付加価値である、酵母エキス菌体残渣を処理する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌を用いて酵母エキス菌体残渣を加水分解することによって得られる組成物が、食品等の呈味改質作用に優れていること、及び、この方法が簡便かつ安価に実施できること等を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解し、加水分解物含有液を得る工程を含む、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物の製造方法。
[2]前記加水分解物含有液から、不溶物を除去する工程をさらに含む、[1]の方法。
[3]加水分解を、40℃〜70℃で行うことを特徴とする、[1]又は[2]の方法。
[4]細胞壁溶解酵素による加水分解とアスペルギルス属真菌による加水分解を、同時に進行させることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]前記加水分解物含有液の乾燥工程をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6]細胞壁溶解酵素が、キチナーゼ、グルカナーゼ、及び、マンナナーゼからなる群から選択される1以上の酵素である、[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7]アスペルギルス属真菌が、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、及び、アスペルギルス・ニガーからなる群から選択される1以上である、[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8][1]〜[7]のいずれかの方法により製造された、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物。
[9]以下に示される遊離アミノ酸組成比を有することを特徴とする、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物:
グルタミン酸:アスパラギン酸が、モル比において2:1〜1:2、及び
グルタミン酸:リジンが、モル比において1:0.1〜4。
[10][8]又は[9]の組成物を含む、食品。
[11]前記食品が、調味料、味噌を含む食品、醤油を含む食品、及び、インスタント食品からなる群から選択される、[10]の食品。
[12][8]又は[9]の組成物を添加することを含む、食品の呈味改質方法。
本発明の方法によれば、これまでは廃棄していた酵母エキス菌体残渣から、簡便かつ安価に、呈味改質組成物を製造することができる。また、本発明の方法により製造された呈味改質組成物を食品に添加することにより、該食品の呈味を改質することができる。
図1は、原料とした酵母エキス菌体残渣の乾燥物(黒)、比較例1の条件下で調製された酵母エキス菌体残渣の加水分解物の乾燥物(白)、実施例1の条件下で調製された酵母エキス菌体残渣の加水分解物の乾燥物(本発明品1、右下がりの斜線)、実施例2の条件下で調製された酵母エキス菌体残渣の加水分解物の乾燥物(本発明品2、右上がりの斜線)の、100gあたりの遊離アミノ酸量(mmol)を示す図である。 図2は、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌液を、酵母エキス菌体残渣に各温度(37℃〜55℃)で作用させた場合の、得られた加水分解物中の遊離グルタミン酸(遊離Glu)量を示す図である。 図3は、酵母エキス菌体残渣へ細胞壁溶解酵素を添加した24時間後に、アスペルギルス属真菌液を添加した場合(41℃又は45℃)、又は、細胞壁溶解酵素とアスペルギルス属真菌液とを同時に添加した場合(41℃又は45℃)における、反応後の加水分解物中の遊離Glu量を示す図である。
本発明は、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解し、加水分解物含有液を得る工程を含む、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)を提供する。
本発明における「酵母エキス菌体残渣」とは、酵母エキスが抽出された後の酵母菌体の残渣を指す。より具体的には、自己消化処理、熱水処理、酸処理、アルカリ処理、又は、機械的破砕処理等の公知の酵母エキス抽出処理を酵母に対して行った結果、残渣として生じる、酵母エキスが抽出された酵母菌体を意味する。酵母エキス菌体残渣には、タンパク質(約45〜55%)、αマンナン(約5〜15%)、βグルカン(酵素法により測定した場合は約2〜8%、単離して測定した場合は約5〜10%)、及び核酸等が含まれる。本発明の製造方法の好ましい一態様において、酵母エキス菌体残渣は、グルタチオン酵母エキス菌体残渣(常法によりグルタチオンを酵母エキスとして抽出した後の酵母菌体の残渣)である。
本発明に用いられる酵母としては、食品の製造に用いられる酵母であって、かつ、タンパク質を含有するものであれば特に限定されないが、例えば、ビール製造用酵母、パン製造用酵母、又は清酒製造用酵母等が挙げられる。また、酵母の種類としては、サッカロミセス、ロドトルラ、キャンディダ、又はトルロプシス等が挙げられる。本発明の好ましい一態様において、酵母の種類は、サッカロミセス・セレビシエ、又はキャンディダ・ユーティリスである。
本発明において用いられる細胞壁溶解酵素としては、当技術分野において通常用いられる酵母の細胞壁溶解酵素を用いることができる。例えば、キチン層を加水分解するキチナーゼ、βグルカンを加水分解するグルカナーゼ、マンナンを加水分解するマンナナーゼ等を用いることができる。これらのうち、グルカナーゼが最も強力に細胞壁を分解する。また、細胞壁をより効率よく分解するために、2種類以上の酵素(グルカナーゼ及びキチナーゼなど)を併用してもよい。細胞壁溶解酵素の添加量は、適宜最適化され得るが、通常、酵母エキス菌体残渣(乾燥重量)に対して、0.1重量%〜10重量%であり、好ましくは0.2重量%〜2重量%である。
本発明において用いられるアスペルギルス属真菌としては、食品に用いることができるものである限り特に限定されないが、醤油製造等に用いられるアスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、又は、アスペルギルス・ニガーなどが好適に用いられる。また、市販されている塩麹を使用してもよい。これらの菌は、プロテアーゼ活性、ペプチダーゼ活性、グルタミナーゼ活性、及び、アスパラギナーゼ活性等を有している。かかる菌を用いることにより、酵母エキス菌体残渣由来のタンパク質を効率よく分解することができるため、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、グルタミナーゼ、又はアスパラギナーゼ等の複数の異なる酵素を段階的に添加するといった、煩雑な作業工程を省略することができる。本発明の製造方法におけるアスペルギルス属真菌の添加量は、酵母エキス菌体残渣由来のタンパク質等が充分に加水分解される限り特に限定されないが、例えば、酵母エキス菌体残渣(乾燥重量)に対して、通常、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%である。
本発明において、酵母エキス菌体残渣を細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解するための条件は、酵母エキス菌体残渣の細胞壁及び当該残渣由来のタンパク質等が充分に加水分解される限り特に限定されないが、例えば、反応時のpHは、3〜8の範囲内であり、好ましくは5〜7の範囲内である。また、反応時の温度は、40℃〜70℃の範囲内であり、好ましくは、40℃〜60℃の範囲内、より好ましくは、41℃〜55℃の範囲内である。反応時間は、通常、1時間〜100時間であり、好ましくは20時間〜80時間である。
本発明における「加水分解物含有液」とは、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解する際に生じた加水分解物及び未反応物を溶質として含有する溶液を意味する。加水分解物含有液の溶媒は、加水分解反応前に酵母エキス菌体残渣を懸濁させる溶媒である。本発明において用いられ得る溶媒としては、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌による加水分解反応が阻害されない限り特に限定されないが、例えば、水が挙げられる。本発明の好ましい一態様において、溶媒は水である。
また、一態様において、本発明の製造方法は、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解する工程に加えて、当該加水分解する工程により得られた加水分解物含有液から、不溶物を除去する工程をさらに含んでもよい。
本発明において、加水分解物含有液から不溶物を除去する手段としては、溶液から不溶物を取り除くことができる限り特に制限されないが、例えば、ろ過、遠心分離、篩分、又は、デカンテーションなどを用いることができる。経済的理由から、圧搾ろ過が好ましい。加水分解物含有液から不溶物を除去することにより、酵母由来の異風味を取り除くことができる。
また、一態様において、本発明の製造方法は、細胞壁溶解酵素による加水分解とアスペルギルス属真菌による加水分解を、同時に進行させることもできる。
本発明における「細胞壁溶解酵素による加水分解とアスペルギルス属真菌による加水分解を、同時に進行させる」とは、細胞壁溶解酵素とアスペルギルス属真菌を同時(実質的に同時)に、酵母エキス菌体残渣を含む反応液に添加することを意味するだけではなく、該酵素による酵母細胞壁の加水分解反応と該真菌による酵母エキス菌体残渣由来のタンパク質等の加水分解反応を、反応期間の一部又は全期間において、並行して進行させることも意味する。従って、本態様においては、該酵素による加水分解工程と該真菌による加水分解工程を別々に行う必要がなく、本発明の製造方法を簡便に実施することができる。なお、酵母エキス菌体残渣に細胞壁溶解酵素とアスペルギルス属真菌を同時に作用させると、これらを段階的に作用させた場合と比較して、結果として得られる加水分解物中の遊離グルタミン酸量が増加するため、より好ましい。
また、本発明の一態様において、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解して得られた加水分解物含有液は、必要に応じて、高温処理により殺菌することができる。高温処理による殺菌は、当該加水分解物含有液が殺菌される限り特に限定されないが、例えば、加水分解物含有液を80℃〜120℃で2分間〜30分間、加熱することにより行うことができる。加水分解物含有液は、好ましくは、100℃、10分間加熱することにより、殺菌される。
また、本発明の一態様において、本発明の製造方法は、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解して得られた加水分解物含有液を乾燥する工程をさらに含んでもよい。また、本発明の一態様において、本発明の製造方法は、不溶物を除去する工程後の加水分解物含有液を乾燥する工程をさらに含んでもよい。
本発明において用いられる乾燥手段は、加水分解物含有液を乾燥できる限り特に限定されないが、例えば、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥(スプレードライ)、ドラム乾燥、熱風乾燥、又は、低温乾燥等を用いることができる。乾燥時間及び経済性の観点から、噴霧乾燥が好ましい。加水分解物含有液の乾燥処理により、加水分解物含有液中の水分が除去されるため、呈味改質組成物中の遊離アミノ酸等の有効成分量を相対的に高めることができる。その結果、呈味改質組成物の食品への添加量を低減することができる。
また、本発明は、本発明の製造方法により製造された、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物を提供する。
また、本発明は、以下に示される遊離アミノ酸組成比を有することを特徴とする、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物を提供する:
グルタミン酸:アスパラギン酸が、モル比において2:1〜1:2、及び
グルタミン酸:リジンが、モル比において1:0.1〜4。
本発明の製造方法により製造された呈味改質組成物は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及び、リジンなどの親水性アミノ酸を多く含んでいることを特徴とする。また、理論に拘束されることを望むものではないが、一般的に、グルタミン酸及びアスパラギン酸を、モル比において、2:1〜1:2の比率で含有する組成物を食品へ添加すると、食品に対してうま味及び口腔内への味の広がりが付与され、結果として当該食品の味に厚みを与えられることが知られている(国際公開2006/062181号、特開2006−75101号)。さらに、グルタミン酸及びリジンを、モル比において、1:0.1〜4の比率で含有する組成物を食品へ添加すると、食品全体の呈味力を向上させることができることも知られている(特開2006−75101号)。この点において、本発明の方法により製造された酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物も、上記されるアミノ酸の組成比率の範囲内において、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びリジンを含有している。この結果として、本発明の方法により製造された酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物は、口腔内の味の広がりの付与効果、及び、食品への味の厚みの付与効果を有していると考えられる。そしてさらに、かかる遊離アミノ酸の好ましい組成比と、酵母エキス菌体残渣由来の種々の夾雑物(例えば、アデニル酸又はグアニル酸などの呈味性ヌクレオチド、ビタミン、ミネラル、及び、微量元素等)とのシナジーによって、本発明の組成物の呈味改質効果がもたらされているものと考えられる。本発明の呈味改質組成物に含まれるアミノ酸の含有量は、呈味改質効果の観点から、呈味改質組成物(乾燥重量)の5重量%〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは10重量%〜70重量%、さらに好ましくは15重量%〜60重量%である。
本発明の呈味改質組成物の形態は、食品の呈味を改質できる限り特に限定されないが、例えば、液体状、ペースト状、又は固形状であり得る。液体状の本発明の組成物は、加水分解物含有液の乾燥工程を伴なわない本発明の製造方法により調製され得る。また、固形状の本発明の組成物は、加水分解物含有液の乾燥工程を伴なう本発明の製造方法により調製され得る。ペースト状の本発明の組成物は、本発明の固形状の組成物を、例えば、水及び喫食可能なとろみ剤等と混合することによって製造することができる。当業者であれば、使用される条件に合わせて、本発明の呈味改質組成物の形態を適宜改変し得る。
本発明の呈味改質組成物は、食品に適用することにより、その呈味を改質することができる。本発明の呈味改質組成物は、適用される食品の種類により、種々の呈味改質効果を奏する。呈味改質効果としては、うま味、味の厚み、若しくは口腔内の味の広がりの付与、コク味の増強、味のまとまり感の付与、風味の改善、又は甘味の増強等が挙げられる。特に、本発明の呈味改質組成物は、口腔内の味の広がりを増強する効果、及び/又は、味の厚みを付与する効果に優れる。
また、本発明は、本発明の呈味改質組成物を含む食品を提供する。
本発明の呈味改質組成物を含む食品は、本発明の呈味改質組成物を食品へ添加することにより製造することができる。本発明の呈味改質組成物の食品への添加量としては、呈味改質効果が奏される量である限り特に限定されないが、例えば、食品(乾燥重量)に対して、0.01重量%〜50重量%であり、好ましくは0.1重量%〜30重量%である。
本発明の呈味改質組成物を含む食品の形態は、液体状(例えば、飲料若しくはラーメンスープ等)、ペースト状(例えば、ヨーグルト、若しくはカレー等)、又は固形状(例えば、チーズ、若しくはスナック菓子等)であり得、これらに限定されない。また、本発明の呈味改質組成物の食品への添加条件や添加時期は、特に限定されず、例えば、調理前、調理中、又は喫食時に食品に添加することができる。
本発明の一態様において、本発明の呈味改質組成物を含む食品には、ソース、酢、醤油、味噌、ケチャップ、うま味調味料、ラーメンスープ、カレールウ及び唐辛子等の調味料;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ及びマーガリン等の乳化食品;魚肉、すり身及び魚卵等の水産加工食品;ピーナツ等のナッツ類;納豆等の醗酵商品;肉類及び食肉加工品;漬物類;めん類;粉末スープを含むスープ類;ヨーグルト、チーズ、牛乳等の乳製品類;パン・ケーキ類;スナック菓子;キャンディー類;アイスクリーム類;煙草;健康食品等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい態様において、本発明の呈味改質組成物を含む食品は、調味料、味噌を含む食品、醤油を含む食品、凍結乾燥スープ、又はレトルトカレー等のインスタント食品からなる群から選択される食品である。これらの食品に対して、本発明の組成物は著しい呈味改質効果を与えることができる。また、本発明の組成物を、食品に用いられるフレーバーへ添加することにより、フレーバーとこく味、複雑味のバランス調節をすることもできる。
また、本発明は、本発明の呈味改質組成物を添加することを含む、食品の呈味改質方法を提供する。
本発明の呈味改質方法は、本発明の呈味改質組成物を用いること以外に特に制限はない。本発明の呈味改質方法は、例えば、本発明の呈味改質組成物を、食品を製造するときに原材料に添加する方法、本発明の呈味改質組成物を、食品の調理時に添加する方法、又は、本発明の呈味改質組成物を、食品の喫食時に添加する方法が挙げられるが、これらに限定されない。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1](グルカナーゼ及びキチナーゼ、並びにアスペルギルス属真菌を用いた酵母エキス菌体残渣由来の加水分解物の調製)
酵母エキス菌体残渣は、次のように調製した。パン酵母(Saccharomyces cerevisiae、寄託番号AJ14860)を、液体培地中で、30℃、80時間培養した。次に、培養した酵母を水洗、遠心分離により洗浄し、水中懸濁液を得た。該懸濁液を熱水処理に供することにより、酵母エキスの抽出処理を行った。抽出処理後の懸濁液を冷却し、遠心分離(5500G)することにより、懸濁液を、酵母エキスが含まれる上清部分と酵母エキス菌体残渣部分を多く含む懸濁液とに分離させ、残渣部分を回収した。
酵母エキス菌体残渣懸濁液10g(乾燥重量18%)を、0.4 mol/LのNaOH水溶液でpH7.5に調整した。次いで、グルカナーゼ(デナチームGEL、長瀬産業株式会社)15μL、キチナーゼ(デナチームCBB、長瀬産業株式会社)30mg、アスペルギルス属真菌液5mL(乾燥重量0.04g、Aspergillus oryzae、寄託番号AJ117310)を酵母エキス菌体残渣懸濁液へ順次添加し、50℃にて72時間振とうした。反応後の懸濁液を遠心分離し(5000G、10分、室温)、上層を回収した。回収した上層は、桐山ロート(ろ紙No.3 (有)桐山製作所)を用いてろ過した。ろ液を100℃で10分間加熱した後、室温まで冷却した。冷却したろ液を凍結乾燥することにより、1.44gの薄褐色粉末(本発明品1)を得た。
[実施例2](グルカナーゼ及びアスペルギルス属真菌を用いた酵母エキス菌体残渣由来の加水分解物の調製)
実施例1に記載された方法を用いて酵母エキス菌体残渣懸濁液を調製した。酵母エキス菌体残渣懸濁液100g(乾燥重量18%)に2 mol/LのNaOHを加えpH6.9に調整した。これにグルカナーゼ(デナチームGEL、長瀬産業株式会社)60μL、アスペルギルス属菌体液50mL(乾燥重量0.4g)を順次添加し、pH6.6に下がったので再び2 mol/LのNaOH水溶液でpH6.8に調整し、45℃にて72時間振とうした。反応溶液は酸性になっていたので2 mol/LのNaOH水溶液でpH6.0に調整し、100℃で10分間加熱した後、室温まで冷却した。次いで遠心分離し(5000G、10分、室温)、上層を桐山ロート(ろ紙No.3 (有)桐山製作所)でろ過し、凍結乾燥し、15.14gの薄褐色粉末(本発明品2)を得た。
[比較例1](市販の酵素を用いた酵母エキス菌体残渣由来の加水分解物の調製)
アスペルギルス属真菌の代わりに、市販されている3種類の酵素(プロテアーゼ、ペプチダーゼ、及びグルタミナーゼ)を組み合わせて用いて酵母エキス菌体残渣から加水分解物を調製し、本発明品に対する比較対象とした。かかる比較対象を調製するに際し、先ず、実施例1で使用されたアスペルギルス属真菌液の酵素活性と、市販の各酵素の酵素活性とが同等となるよう、アスペルギルス属真菌液の酵素活性と市販の酵素活性とを比較した。次いで、アスペルギルス属真菌液の代わりにこれら市販の酵素を用いること以外は、実施例1と同一の反応条件で、酵母エキス菌体残渣由来の加水分解物を調製した。
1.プロテアーゼ活性
プロテアーゼ活性は、フェノール試薬(Folin試薬、和光純薬株式会社)を用いて測定した。基質は0.6%(w/v)カゼイン水溶液(リン酸バッファーpH 7.5)を用いた。アスペルギルス属真菌液は、実施例1で用いたものから改変を加えることなく使用した。市販のプロテアーゼとしては、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム株式会社)を選択し、これを0.6%(w/v)溶液となるように調製した後に、活性の測定に供した。基質溶液5 mLを50℃に保ち、酵素溶液1 mLを加え、50℃で正確に10分間反応させた。1 mol/Lトリクロロ酢酸5 mLを加えて反応を停止させ、8000 rpm、10分間遠心分離した。上清を2 mLとり、0.55 mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を5 mL、Folin試薬(和光純薬株式会社、3倍希釈)を1mL加え、30分間、室温で放置した。次いで、660 nmの吸光度を分光光度計Ultrospec 6300pro(Amersham Biosciences)を用いて測定した。反応ブランク溶液の吸光度も測定し、反応液の吸光度から差し引いた。チロシン標準液を調製し、同様にFolin試薬を加えて反応させ、吸光度を測定した。1分間に1μgのチロシンを生成する酵素活性を1uと定義した。その結果、プロテアーゼ活性(50℃、pH 7.5)は、アスペルギルス属真菌液が106 u/mL、プロテアーゼM「アマノ」SDが24384 u/gであり、実施例1で使用されたアスペルギルス属真菌液1 mLのプロテアーゼ活性は、プロテアーゼM「アマノ」SD 4.3 mgの活性と等しいことが分かった。
2.ペプチダーゼ活性
ペプチダーゼ活性は、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)測定法で決定した。基質は1.025 mmol/Lのロイシン−p−ニトロアニリド塩酸塩水溶液(リン酸バッファー pH 7)を用いた。アスペルギルス属真菌液は、実施例1で用いたものから改変を加えることなく使用した。市販のペプチダーゼは、ペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社)を選択し、これを0.5%(w/v)溶液となるように調製した後に、活性測定に供した。基質溶液4 mLを50℃に保ち、酵素溶液1 mLを加えて50℃で正確に5分間反応させた後、405 nmの吸光度を測定した。基質ブランク溶液、及び、酵素ブランク溶液の吸光度も測定し、反応液の吸光度から差し引いた。p−ニトロアニリン標準液を調製し、吸光度を測定した。1分間に1 μmolのp−ニトロアニリンを生成する活性を1uと定義した。その結果、ペプチダーゼ活性(50℃、pH 7)は、実施例1で使用されたアスペルギルス属真菌液が0.43 u/mL、ペプチダーゼRが199 u/gであり、アスペルギルス属真菌液1 mLのペプチダーゼ活性は、ペプチダーゼR 2.2 mgの活性と等しいことが分かった。
3.グルタミナーゼ活性
グルタミナーゼ活性は、グルタミンのγアミド基の加水分解活性を測定した。基質は2 %(w/v)のL−グルタミン水溶液(0.01 mol/L酢酸ナトリウムバッファー pH 7.5)を用いた。アスペルギルス属真菌液は、実施例1で用いたものから改変を加えることなく使用した。市販グルタミナーゼはグルタミナーゼSD−C100S(天野エンザイム株式会社)を選択し、これを0.5%(w/v)水溶液となるように調製した後、活性の測定に供した。酵素溶液1 mLを50℃に保ち、基質溶液1 mLを加えて50℃で正確に10分間反応させた。その後、0.75 mol/L過塩素酸水溶液1 mLを加えて反応を停止させ、氷冷した。その後、0.75 mol/L水酸化ナトリウム水溶液1 mLを加えた。当該反応液、及び、反応ブランク液を適度に希釈して、ヤマサL−グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油株式会社)に供し、グルタミン酸量を測定した。1分間に1 μmolのグルタミン酸を生成する活性を1uと定義した。その結果、グルタミナーゼ活性(50℃、pH 7.5)は、実施例1で使用したアスペルギルス属真菌液が1.33 u/mL、グルタミナーゼSD−C100Sが172 u/gであり、アスペルギルス属真菌液1 mLのグルタミナーゼ活性は、グルタミナーゼSD−C100S 7.7 mgの活性と等しいことが分かった。
4.市販の酵素を用いた加水分解物の調製法
実施例1に記載された方法を用いて酵母エキス菌体残渣懸濁液を調製した。調製された酵母エキス菌体残渣懸濁液10 g(乾燥重量18%)を0.4 mol/LのNaOH水溶液でpH 7.5に調整した。次いで、グルカナーゼ(デナチームGEL、長瀬産業株式会社)15 μL、キチナーゼ(デナチームCBB、長瀬産業株式会社)30 mg、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム株式会社)22 mg、ペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社)11 mg、グルタミナーゼSD−C100S(天野エンザイム株式会社)39 mgを、当該酵母エキス菌体残渣懸濁液に添加して、50℃、72時間振とうした。反応後の懸濁液を遠心分離し(5000 G、10分、室温)、上層を回収した。回収した上層を、桐山ロート(ろ紙No.3 (有)桐山製作所)を用いてろ過した。ろ液を100℃で10分間加熱した後、室温まで冷却した。冷却したろ液を凍結乾燥し、1.52 gの薄褐色粉末を得た。
原料とした酵母エキス菌体残渣、アスペルギルス属真菌液を用いて得られた酵母エキス菌体残渣の加水分解物の乾燥粉末(本発明品1、本発明品2)、及び、市販の酵素を用いて得られた酵母エキス菌体残渣の加水分解物の乾燥粉末(比較例1)の、遊離アミノ酸含有量の分析結果を図1、表1に示す。
図1及び表1に示されるとおり、実施例1で調製された加水分解物(本発明品1)は、遊離アスパラギン酸の含有量が高く、遊離グルタミン酸に対する遊離アスパラギン酸の含有量比は、83%に達した。また、実施例2で調製された加水分解物(本発明品2)も、同様に遊離アスパラギン酸の含有量が高く、遊離グルタミン酸に対する遊離アスパラギン酸の含有量比は、81%であった。一方、比較例1で調製された加水分解物では、遊離グルタミン酸に対する遊離アスパラギン酸の含有量比は46%にとどまった。また、本発明品1及び本発明品2における遊離グルタミン酸に対する遊離リジンの含有量比は、いずれもモル比において、0.6であった。グルタミン酸:リジンが1:0.1〜4の範囲で含む組成物は、食品に添加された場合に、食品全体の呈味力を向上させることが知られているため、実施例1及び2の方法により製造された酵母エキス菌体残渣由来の加水分解物(本発明品1及び2)は、食品の呈味力を向上させる効果を有する組成物であることが裏付けられた。
[実施例3](加水分解反応における好ましい温度の検討)
実施例1で調製した酵母エキス菌体残渣の乾燥品2.5 gに水12.5 mLを添加した。次いで、グルカナーゼ(デナチームGEL、長瀬産業株式会社)12.5 μL、キチナーゼ(デナチームCBB、長瀬産業株式会社)25 mg、アスペルギルス属真菌液6.25 mLを添加し、37℃〜55℃で、72時間振とうした。反応後の懸濁液を、遠心分離(5000G、10分、室温)後、上層を、桐山ロート(ろ紙No.3 (有)桐山製作所)を用いてろ過し、ろ液を100℃で10分間加熱した。その後、ろ液を室温まで冷却した。冷却したろ液を凍結乾燥することによって、薄褐色粉末を得た。これを適度に希釈した後に、ヤマサL−グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油株式会社)に供し、遊離グルタミン酸量を測定した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、41℃〜55℃で酵母エキス菌体残渣の加水分解を行なった場合に、結果として得られる加水分解物中の遊離Glu量が増加した。特に、45℃〜50℃で加水分解を行なった場合に、より多量の遊離Gluが加水分解物中に含まれていた。
[実施例4](アスペルギルス属真菌液の好ましい添加時期の検討)
さらに、本発明者らは、アスペルギルス属真菌液の好ましい添加時期について検討を行った。具体的には、(1)細胞壁溶解酵素とアスペルギルス属真菌液を酵母エキス菌体残渣へ同時に添加する場合と、(2)先ず、酵母エキス菌体残渣へ細胞壁溶解酵素のみを添加して反応させ、その後に、アスペルギルス属真菌液を添加した場合のいずれの添加時期が、アスペルギルス属真菌液の添加時期として好ましいかを検証した。
実施例3と同様に、酵母エキス菌体残渣の乾燥品2.5 gに水12.5 mLを添加し、酵母エキス菌体残渣懸濁液を調製した。次いで、グルカナーゼ(デナチームGEL、長瀬産業株式会社)12.5 μL、及び、キチナーゼ(デナチームCBB、長瀬産業株式会社)25 mgを該懸濁液に添加し、41℃又は45℃で24時間振とうした。その後、反応後の懸濁液に、アスペルギルス属真菌液6.25 mLを添加し、温度を変えず、さらに48時間振とうした。反応後の懸濁液を遠心分離(5000G、10分、室温)後、上層を、桐山ロート(ろ紙No.3 (有)桐山製作所)を用いてろ過し、ろ液を100℃で10分間加熱した後、室温まで冷却した。冷却したろ液を凍結乾燥することにより、薄褐色粉末を得た。これを適度に希釈して、ヤマサL−グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油株式会社)に供し、グルタミン酸量を測定した。結果を図3に示す。
反応温度が41℃、45℃のいずれの場合であっても、酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素とアスペルギルス属真菌液により同時に加水分解した方が、得られた加水分解物中の遊離Glu量が多くなることが分かった。
[実施例5]
インスタントラーメン(さっぽろ一番みそラーメン;サンヨー食品株式会社)の粉末スープ10 gに、お湯300 gを添加した。これに実施例1で製造した呈味改質組成物の乾燥粉末を0.5%(w/w)添加した(本発明品3)。対照品として、呈味改質組成物を含まないインスタントラーメンを調製した。また、比較例1において調製された加水分解物の乾燥粉末を添加したインスタントラーメン(比較例2)を比較対象として調製した。これらの調製物を用いて、味の厚み強度に関する評価試験を行った。結果を表2に示す。
(味の厚み強度)味の厚み強度の評価は、被験者2名で行ない、以下の5段階による基準で評価した。結果は、平均値で示した。
5:対照品に対し、強い味の厚み増強を感じる。
4:対照品に対し、味の厚み増強を感じる。
3:対照品に対し、わずかに味の厚み増強を感じる。
2:対照品に対し、味の厚み増強を知覚できる程度に感じる。
1:対照品と同等。
(総合評価)
◎:対照品に対し、とてもおいしい
○:対照品に対し、おいしい
△:対照品に対し、ややおいしい
×:対照品に対し、おいしくない
表2に示されるとおり、呈味改質組成物を添加したインスタントラーメン(本発明品3)は、対照品と比較して、味の厚み増強を示した。さらに、当該ラーメンは、味のまとまり、うま味の強化、及び、無酵母臭を示し、総合評価においても対照品と比較して良好な評価を得た。一方、比較例2は、本発明品3が示した呈味改質効果をほとんど示さなかった。
[実施例6]
ペースト状のインスタント味噌汁(マルコメ・料亭の味、あさり生みそタイプ)19 gに、お湯160 gを加えた。これに、実施例1で製造した呈味改質組成物の乾燥粉末を0.5%(w/w)添加した(本発明品4)。対照として、呈味改質組成物を含まない味噌汁(対照品)、及び、比較例1で調製した加水分解物の乾燥粉末を添加した味噌汁(比較例3)を用いた。被験者2名で実施例5と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
表3に示されるとおり、呈味改質組成物を添加したみそ汁(本発明品4)は、対照品と比較して、味の厚み増強を示した。また、当該みそ汁は、味全体が濃くなり、総合評価においても対照品と比較して良好な評価を得た。一方、比較例3は、本発明品4が示した呈味改質効果をほとんど示さなかった。
[実施例7]
カップスープ(「クノール(登録商標)カップスープ オニオンコンソメ」 味の素株式会社)の粉末スープ11.5 gに、お湯150 gを加えた。これに、実施例1で製造した呈味改質組成物の乾燥粉末を1%(w/w)添加した(本発明品5)。対照として、呈味改質組成物を含まないカップスープを調製した。被験者8名で実施例5と同様に評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示されるとおり、呈味改質組成物を添加したカップスープ(本発明品5)は、対照品と比較して、味の厚み増強を示した。また、当該カップスープは、味全体が濃くなり、総合評価においても対照品と比較して良好な評価を得た。
[実施例8]
レトルトカレー(セブンプレミアムレトルトビーフカレー中辛;株式会社セブン‐イレブン・ジャパン)180 gに、実施例1で製造した呈味改質組成物の乾燥粉末を1%(w/w)添加した(本発明品6)。対照として、呈味改質組成物を含まないレトルトカレーを調製した。被験者2名で、実施例5と同様に評価を行った。結果を表5に示す。
表5に示されるとおり、呈味改質組成物を添加したレトルトカレー(本発明品6)は、対照品と比較して、味の厚み増強を示した。また、当該レトルトカレーは、総合評価においても対照品と比較して良好な評価を得た。
本発明の製造方法を用いることにより、従前は廃棄されていた酵母エキス抽出後の酵母菌体残渣を原料として、簡便かつ安価に、呈味改質組成物を製造することが可能となる。また、本発明の呈味改質組成物を用いることにより、多数の食品の呈味を改質することが可能となる。

Claims (12)

  1. 酵母エキス菌体残渣を、細胞壁溶解酵素及びアスペルギルス属真菌により加水分解し、加水分解物含有液を得る工程を含む、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物の製造方法。
  2. 前記加水分解物含有液から、不溶物を除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 加水分解を、40℃〜70℃で行うことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
  4. 細胞壁溶解酵素による加水分解とアスペルギルス属真菌による加水分解を、同時に進行させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記加水分解物含有液の乾燥工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 細胞壁溶解酵素が、キチナーゼ、グルカナーゼ、及び、マンナナーゼからなる群から選択される1以上の酵素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. アスペルギルス属真菌が、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、及び、アスペルギルス・ニガーからなる群から選択される1以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により製造された、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物。
  9. 以下に示される遊離アミノ酸組成比を有することを特徴とする、酵母エキス菌体残渣由来の呈味改質組成物:
    グルタミン酸:アスパラギン酸が、モル比において2:1〜1:2、及び
    グルタミン酸:リジンが、モル比において1:0.1〜4。
  10. 請求項8又は9の組成物を含む、食品。
  11. 前記食品が、調味料、味噌を含む食品、醤油を含む食品、及び、インスタント食品からなる群から選択される、請求項10記載の食品。
  12. 請求項8又は9記載の組成物を添加することを含む、食品の呈味改質方法。
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