JP6171121B1 - 卵加工品及び卵の風味強化組成物、並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品及び卵の風味強化組成物、並びにその製造方法を提供すること。【解決手段】卵原料にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加し、次いで得られた混合液をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物を100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより、或いは、卵原料をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加した後、100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより得られる卵加工品、及びその製造方法の提供。【選択図】なし

Description

本発明は、より自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品及び卵の風味強化組成物並びにその製造方法に関する。
近年、卵を主原料にする卵加工品、卵の風味強化組成物或いは卵フレーバーは、従来から加工食品において、コストダウンの為に卵原料を多く使用出来ない場面や、加工工程で失われる風味を補う用途で広くニーズがある。しかしながら、従来のカステラ様のフレーバーやバニラ様の甘いフレーバーでは満足する風味が得られない。よりフレッシュ感をイメージできる硫黄臭が感じられる自然な卵特有の香りや呈味に濃厚感やコクが感じられる卵加工品や卵の風味強化組成物が求められている。
従来、卵を主原料にする卵加工品、卵の風味強化組成物或いは卵フレーバーにおいて、卵風味を高める試みとしては、以下のものが挙げられる。
特許文献1には、卵のプロテアーゼ及びホスホリパーゼによる酵素分解物に、糖を添加し加熱処理して得られる反応生成物を有効成分として含有する卵フレーバーが記載されている。
特許文献2には、卵黄を酵素処理した後、加熱処理して卵加工品を製造するにあたり、卵黄に酸性ホスホリパーゼA1を添加して酵素処理した後、60〜75℃の温度で7〜40分間加熱処理をすることにより得られる卵加工品が記載されている。
特許文献3には、全卵液や卵黄液からグルコースを除去した後、トレハロースを添加して噴霧乾燥された粉末卵と、卵風味を有する調味油、酵素分解卵の中から選択される1種以上を含有する卵風味増強用組成物が記載されている。
特開2001−321113 特開2002−325559 特開2005−65501
しかしながら、特許文献1〜3に記載の卵を主原料にする卵加工品又は卵フレーバーは、いずれも卵特有の風味が弱く、マヨネーズ、ドレッシングや中華麺、フラワーペーストやプリンといった飲食品に対して、自然な卵特有の香りや呈味を強く風味付けできない問題があった。
本発明は、より自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品及び卵の風味強化組成物、並びにその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、卵原料にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加し、次いで得られた混合液をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物を100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより、或いは、卵原料をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加した後、100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより、自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)卵原料にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加し、次いで得られた混合液をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物を100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することを特徴とする、卵加工品の製造方法。
(2)卵原料をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加した後、100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することを特徴とする、卵加工品の製造方法。
(3)(1)又は(2)に記載の製造方法により得られる卵加工品。
(4)(3)に記載の卵加工品、及び食品として許容可能な希釈剤又は担体を含む、卵の風味強化組成物。
(5)(3)に記載の卵加工品又は(4)に記載の卵の風味強化組成物を含有する飲食品。
本発明は、より自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品や卵の風味強化組成物、及びその製造方法を提供できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の卵加工品は、卵原料にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加し、次いで得られた混合液をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物を100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより、或いは、卵原料をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物にアミノ酸及び/又はビタミン類を添加した後、100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理することにより得られる。
上記得られた卵加工品は、飲食品に自然な卵特有の香りや呈味を強く付与することができる。
さらに、上記得られた卵加工品に食品として許容可能な希釈剤又は担体を組み合わせることで、卵の風味強化組成物として使用することができる。
本発明で用いる卵原料には、「全卵」、「卵白」、「卵黄」、「乾燥卵黄」、割卵して卵殻を取り除いた「液卵」、液卵を凍結させた「凍結卵」、液卵から水分を除去した「乾燥卵」、液卵に含まれる水分を逆浸透圧法や限界濾過法、加圧減圧法により減少させた「濃縮卵」、殻つきのまま茹でて卵殻を取り除いた「茹卵」、卵黄より抽出分離された「卵黄レシチン」、予めプロテアーゼなど酵素を作用させて呈味成分を増加させ耐熱性を向上させた「酵素処理卵」などが含まれる。またその形態は、液状でも粉末状でもいずれでも採用することができる。
また、本発明における卵液には、全卵、液卵等の液状の卵原料を攪拌したものや、粉末状の卵原料をイオン交換水を用いてペースト状にしたものが含まれる。
プロテアーゼは卵黄中の蛋白質を加水分解する酵素であって、本発明において利用することのできるプロテアーゼの起源としては、特に制限されるものではなく、微生物、植物及び生体起源のものを任意に使用できるが、例えば、商品名:プロテアーゼA,N,P,S,M,B、プロレザ−FG−F(天野エンザイム(株)製)、フレーバーザイム、アルカラーゼ(ノボノルディクス(株))、パンチダーゼNP−2、パンチダーゼHP、アロアーゼAP−10(ヤクルト薬品工業(株))、デナプシン10P、デナチームAP、ビオプラーゼSP−15FG、食用精製パパイン(ナガセ生化学工業(株))、パパインW−40(天野エンザイム(株)製)やプロチンP、プロチンA、サモアーゼ(大和化成(株))、プロチンSD−AY10(天野エンザイム(株)製、80000u/g以上)、プロテアーゼP−3G(天野エンザイム(株)製)等を挙げることがきる。これらのプロテアーゼは単独又は数種組み合わせて利用することができる。
プロテアーゼによる酵素分解条件は、特に制限されるものではなく、使用するプロテアーゼの種類、使用する原料の種類、所望する卵加工品又は卵の風味強化組成物の香味などにより適宜設定することができるが、例えば、約20〜70℃程度の温度範囲で、約30分〜48時間を例示することができる。
また、プロテアーゼの添加量は、卵原料又は卵液の質量を基準として、好ましくは0.01〜1.0質量%、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。この酵素添加量は、添加する酵素の力価に応じて適宜調整することができる。
プロテアーゼの添加量は、次のような基準で添加しても良い。すなわち、卵原料又は卵液1kgに対して、好ましくは8,000〜800,000プロテアーゼユニット、更に好ましくは80,000〜800,000プロテアーゼユニットの酵素量に相当する量を添加するのが適当である。ここで、プロテアーゼ1ユニットとは、pH8.0、37℃で、カゼインに作用させたときに、1分間にチロジン1μgに相当するフォリン試薬呈色物質の増加をもたらす酵素量である。プロテアーゼの添加量が、8,000プロテアーゼユニット以上とすることで、卵加工品に十分な卵の呈味を付与でき、一方、プロテアーゼの添加量が800,000プロテアーゼユニット以下とすることで、処理効果が向上し、経済的にも好ましい。
ホスホリパーゼは卵黄中のリン脂質を分解する酵素であり、本発明において利用することのできるホスホリパーゼとは、ホスホリパーゼA1若しくはA2又はこれらの活性を有する酵素であり、好ましくはホスホリパーゼA1である。また本発明において利用することのできるホスホリパーゼの起源は、特に制限されるものではなく、例えば、Actinomadura属などの微生物から採取されるホスホリパーゼ、豚の膵臓から得られるホスホリパーゼなどを適宜利用することができる。このようなホスホリパーゼとしては、ホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ(株)製、10,000−13,000u/g)、ホスホリパーゼA2(天野エンザイム(株)製)が挙げられる。これらのホスホリパーゼは単独又は数種組み合わせて利用することができる。
ホスホリパーゼによる酵素分解条件は、特に制限されるものではなく、使用するホスホリパーゼの種類、使用する原料の種類、所望するフレーバーの香味などにより適宜設定することができるが、例えば、約20〜70℃程度の温度範囲で、約30分〜48時間を例示することができる。
また、ホスホリパーゼの添加量は、卵原料又は卵液の質量を基準として、好ましくは0.01〜1.0質量%、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。この酵素添加量は、添加する酵素の力価に応じて適宜調整することができる。
ホスホリパーゼの添加量は、次のような基準で添加しても良い。すなわち、卵原料又は卵液1kgに対して、好ましくは1,000〜130,000ホスホリパーゼユニット、更に好ましくは10,000〜130,000ホスホリパーゼユニットの酵素量に相当する量を添加するのが適当である。ここで、1ホスホリパーゼユニットとは、pH8.0、40℃で卵黄にホスホリパーゼAを作用させたときに、卵黄中にリン脂質から1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する酵素量である。ホスホリパーゼの添加量が、1,000ホスホリパーゼユニット以上とすることで、卵加工品に十分な卵の呈味を付与でき、一方、プロテアーゼの添加量が130,000ホスホリパーゼユニット以下とすることで、処理効果が向上し、経済的にも好ましい。
プロテアーゼとホスホリパーゼとを併用して用いる場合は、卵原料若しくは卵液、又はこれらにアミノ酸及び/又はビタミン類を添加して得られた混合液をプロテアーゼで分解した後ホスホリパーゼで分解する方法、卵原料若しくは卵液、又はこれらにアミノ酸及び/又はビタミン類を添加して得られた混合液をホスホリパーゼで分解した後プロテアーゼで分解する方法、或いは、卵原料若しくは卵液、又はこれらにアミノ酸及び/又はビタミン類を添加して得られた混合液にプロテアーゼとホスホリパーゼとを添加して同時に酵素分解させる方法などいずれも採用することができる。
本発明において利用することのできるビタミン類は、ビタミンB1塩酸塩である。ビタミン類の添加量としては、特に制限されないが、卵原料又は卵液の質量を基準として0.001〜3.0質量%、特に好ましくは約0.1〜1.0質量%の範囲を例示する事ができる。
本発明において利用することのできるアミノ酸としては、特に制限されるものではなく、例えば、含硫アミノ酸をあげるこができ、好ましくはシステイン、シスチンである。アミノ酸の添加量としては、特に制限されないが、卵原料又は卵液の質量を基準として0.001〜10.0質量%、特に好ましくは約0.1〜3.0質量%の範囲を例示する事ができる。
加熱反応条件として、反応温度は約100〜130℃の温度範囲である必要がある。好ましくは、約105〜125℃の温度範囲である。反応温度を130℃未満とすることで、カステラ様の香りの発生を抑制することができる。また、反応温度を100℃以上とすることで、「煮る、蒸す」といった100℃以下の加熱反応では起こらない各種の化学的な変化が起こる結果、卵原料や卵液に含まれるタンパク質、添加したアミノ酸及び/又はビタミン類の反応性が高まり効果的に卵特有の香気が生成する。
また加熱反応条件として、反応時間は好ましくは約1分〜2時間、より好ましくは約5分〜1時間程度であり、pHは好ましくは7〜10程度である。これらの範囲は使用する原料の種類及び所望する香りや呈味などを考慮して適宜に設定する事ができる。
本発明においては、上述の高温加熱処理生成物を卵加工品としてそのまま飲食品に添加して使用することもできるが、高温加熱処理生成物を蒸留等により濃縮して濃縮物として用いることもできる。
更に、高温加熱処理生成物を遠心分離等の適宜な分離手段を用いて、油脂部を分離して用いることもできる。
上記濃縮物や油脂部を分離して得られた生成物も本発明に係る卵加工品に含まれる。また、上記卵加工品は粉末状、顆粒状、液状、乳液状、ペースト状、その他適宜の剤形に調整することが出来る。
また更に、高温加熱処理生成物を食品として許容可能な希釈剤若しくは担体と組み合わせて、卵の風味強化組成物として用いてもよい。このような希釈剤若しくは担体としては、例えば、アラビアガム、デキストリン、シクロデキストリン、グルコース、シュークロースなどの固体希釈剤若しくは担体、又は水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、界面活性剤などの液体希釈剤若しくは担体を例示することができ、上記の高温加熱処理生成物はこれらの希釈剤若しくは担体を用いて任意の剤形、例えば、粉末状、顆粒状、液状、乳液状、ペースト状、その他適宜の剤形に調製することができるが、例えば、アラビアガム、デキストリン、シクロデキストリンなどを添加して粉末状、顆粒状とすることが安定性の点で好ましい。
本発明の卵風味の増強された卵加工品又は卵の風味強化組成物の使用用途としては、特に限定されるものではないが、カスタードクリーム、アングレーズソース、カルボナーラソース、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング等の卵を原材料に使用したクリーム、ドレッシングやソース類、プリン、アイスクリーム、クレープ、ケーキ、ビスケット、クッキー、カステラ、パイ、ガレットなど卵を原材料に使用したデザートや菓子類、ミルクセーキ、卵風味のリキュールであるアドヴォカートなどの飲料類、中華麺、卵麺等の麺類、ダシ巻き卵、スクランブルエッグ、茶碗蒸し、たまごスープなど卵を原材料に使用した惣菜類などがあげられる。また、和風スープやパスタソースなど卵を隠し味に利用している飲食品も含まれる。さらには、プリン等のプレミックスやサラダドレッシング等、卵を原材料としていない飲食品も本発明に係る卵加工品又は卵の風味強化組成物の使用用途に含まれる。
本発明の卵加工品又は卵の風味強化組成物の各種飲食品に対する添加量としては、例えば、飲食品の質量に基づいて、約0.001〜約5.0質量%、好ましくは、約0.01〜約2.0質量%、更に好ましくは約0.05〜約1.0質量%の添加量を例示することができる。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
(実施例1)(アミノ酸及びビタミン類を混合した卵黄酵素処理物の高温加熱反応)
イオン交換水630質量部と乾燥卵黄NO.1((株)キューピー製)70質量部及び卵黄レシチンPL−30((株)キューピー製)100質量部、アミノ酸としてL−シスチン((株)バイオコン製)15質量部、ビタミン類としてビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)((株)オリエンタル酵母工業製)1質量部を混合し、全容2L培養装置(上部撹拌)(エイブル(株)製)を用いて均一撹拌した後、ホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ(株)製)3質量部を添加して50℃にて1時間酵素分解を行った。その後30%水酸化ナトリウム溶液でPHを10.0に調整し、125℃5分間加熱し、その後50%の乳酸でPHを4.0に調整し、ペースト状の酵素処理物を得た(本発明品1)。
(実施例2)(アミノ酸のみを混合した卵黄酵素処理物の高温加熱反応)
実施例1にビタミン類としてビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)((株)オリエンタル酵母工業製)1質量部を混合しなかった以外は同様の方法を実施し、ペースト状の酵素処理物を得た(本発明品2)。
(実施例3)(ビタミン類のみを混合した卵黄酵素処理物の高温加熱反応)
実施例1にアミノ酸としてシスチン((株)バイオコン製)15質量部を混合しなかった以外は同様の方法を実施し、ペースト状の酵素処理物を得た(本発明品3)。
(実施例4)(アミノ酸及びビタミン類を酵素処理後に混合した全卵酵素処理物の加熱反応)
割卵して均一撹拌した全卵1000質量部を全容2L培養装置(上部撹拌)(エイブル(株)製)を用いて撹拌し、パパインW−40(天野エンザイム(株)製)3質量部を添加して50℃にて2時間酵素分解を行った後、90℃10分間加熱して酵素を失活させ、30%水酸化ナトリウムでPH8.0に調整しホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ(株)製)3質量部を添加して50℃にて1時間酵素分解を行った。その後L−システイン(プロテインケミカル(株)製)20質量部、ビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)((株)オリエンタル酵母工業製)10質量部を混合し、加熱時間を105℃60分間加熱し、ペースト状の酵素処理物を得た(本発明品4)。
(比較例1)(アミノ酸及びビタミン類を混合しない卵黄酵素処理物の高温加熱反応)
実施例1のアミノ酸としてシスチン((株)バイオコン製)15質量部、ビタミン類としてビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)((株)オリエンタル酵母工業製)1質量部を混合しない以外は実施例1と同様の方法で実施し、ペースト状の酵素処理物を得た(比較品1)。
(比較例2)(アミノ酸及びビタミン類を混合した卵黄酵素処理物の100℃未満の加熱反応)
実施例1の125℃5分間加熱を80℃30分間加熱にした以外は実施例1と同様の方法で実施し、ペースト状の酵素処理物を得た(比較品2)。
(比較例3)(アミノ酸及びビタミン類の代わりに糖を使用した全卵酵素処理物の低温加熱反応)
実施例4のアミノ酸としてシステイン((株)バイオコン製)20質量部、ビタミン類としてビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)((株)オリエンタル酵母工業製)10質量部の代わりに、グルコース5質量部を添加し、加熱時間を80℃3時間とした以外は実施例4と同様の方法で実施し、ペースト状の酵素処理物を得た(比較品3)。
(官能評価)
年齢や性別の異なるよく訓練された10名のパネラーが、ブラインドで本発明の卵加工品を添加した飲食品を試食して評価を行い、下記に示す6段階で点数を付けた。
卵風味に関する官能評価の項目は、匂った時に感じる卵特有の香りの強さ(香り立ち)、口に含んだ時に感じる卵の呈味の強さ(卵のコク)の2項目の観点から判断してもらい、これらの各項目について、本発明の卵加工品を添加しない場合に比べ、
卵風味を非常に強く感じる場合:5点
卵風味を強く感じる場合:4点
卵風味をやや強く感じる場合:3点
卵風味を感じる程度の場合:2点
無添加と卵風味にほぼ変化がないほど感じる程度が弱い場合:1点
無添加と卵風味に全く変化がないもの:0点
として、上記10名のパネラーに点数を付けてもらい、10名の点数の平均値を採用した。
また、試験例1〜3の各々において、上記10名のパネラーに試食した飲食品のうち最も美味しいと感じた飲食品を1つだけつ選んでもらい、その人数をカウントした。
さらに評価時に各飲食品の印象を上記10名のパネラーに自由にコメントしてもらい、そのうち多かった意見を表に抽出した。
(試験例1)
実施例1、実施例2、実施例3、及び比較例1で得た卵加工品を各々、市販のサラダクリーミードレッシング「キューピー(株)社製キューピーハーフ(登録商標)」に0.1%添加して官能評価を行った。その結果を表1に示す。

Figure 0006171121


表1より明らかなように本発明の卵加工品は、少量の添加でサラダクリーミードレッシングの卵風味(卵特有の香りの強さ(香り立ち)、口に含んだ時に感じる卵の呈味の強さ(卵のコク))を増強することが認められた。本発明品を添加したサラダクリーミードレッシングに関しては、卵の独特の香りである硫黄臭を感じたとのコメントが多く、また卵のコクに加え旨味や厚みといった味の広がりや酸味のまろやかさを感じるとのコメントが多くみられた。それに対し、比較例1の卵加工品を添加したサラダクリーミードレッシングに関しては、香り立ち、卵のコクいずれにおいても無添加とあまり変わらないというコメントが多かった。また、本発明の卵加工品を添加したサラダクリーミードレッシングを美味しいと感じたパネラーの人数は10名であったのに対し、比較例1の卵加工品を添加したサラダクリーミードレッシングを美味しいと評価したパネラーは一人もいなかった。
(試験例2)
実施例1及び比較例2で得た卵加工品を各々、下記の配合にて調製したプリンに0.1%添加して試験例1と同様の方法で官能評価を行った。その結果を表2に示す
Figure 0006171121


Figure 0006171121

表2より明らかなように本発明の卵加工品は、少量の添加でプリンの卵風味(卵特有の香りの強さ(香り立ち)、口に含んだ時に感じる卵の呈味の強さ(卵のコク))を増強することが認められた。本発明品を添加したプリンに関しては、卵のコクや味の厚み、卵独特の香りである硫黄臭が増強しているといったコメントが多くみられた。それに対し、比較例2に関しては、香り立ち、卵のコクいずれにおいても無添加とあまり変わらないというコメントが多かった。また、本発明の卵加工品を添加したプリンを美味しいと感じたパネラーの人数は10名であったのに対し、比較例2の卵加工品を添加したプリンを美味しいと評価したパネラーは一人もいなかった。
(試験例3)
実施例4及び比較例3で得た卵加工品を各々、下記の配合にて調製した中華麺に1.0%添加して試験1と同様の方法で官能評価を行った。その結果を表3に示す

Figure 0006171121


Figure 0006171121


表3より明らかなように本発明の卵加工品は、少量の添加で中華麺の卵風味(卵特有の香りの強さ(香り立ち)、口に含んだ時に感じる卵の呈味の強さ(卵のコク))を増強することが認められた。本発明品を添加した中華麺に関しては、フレッシュな卵の香りと、卵のコクや旨味を感じるといったコメントが多くみられた。それに対し、比較例3に関しては、香り立ち、卵のコクいずれにおいても無添加とあまり変わらないというコメントが多かっただけでなく、焼いた卵のような違和感のある呈味を感じるといったコメントが若干名寄せられた。また、本発明の卵加工品を添加した中華麺を美味しいと感じたパネラーの人数は9名であったのに対し、比較例3の卵加工品を添加した中華麺を美味しいと評価したパネラーはわずかに1名であった。
本発明により自然な卵特有の香りや呈味を強く表現できる卵加工品や卵の風味強化組成物が提供される。よって、本発明により得られた卵加工品又は卵の風味強化組成物は、食品工業分野において有用である。

Claims (5)

  1. 全卵、卵黄、乾燥卵、及び乾燥卵黄からなる群から選択される卵原料に、シスチン又はシステインから選択されるアミノ酸及び/又はチアミン塩酸塩を添加し、次いで得られた混合液をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物を100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理する(但し、高温加熱処理前の糖類の添加を含まない)ことを特徴とする、飲食品に自然な卵特有の香りや呈味を強く付与するための卵加工品の製造方法。
  2. 全卵、卵黄、乾燥卵、及び乾燥卵黄からなる群から選択される卵原料をプロテアーゼ及び/又はホスホリパーゼにより酵素分解し、得られた酵素分解物にシスチン又はシステインから選択されるアミノ酸及び/又はチアミン塩酸塩を添加した後、100〜130℃の温度範囲で高温加熱処理する(但し、高温加熱処理前の糖類の添加を含まない)ことを特徴とする、飲食品に自然な卵特有の香りや呈味を強く付与するための卵加工品の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法により得られる卵加工品。
  4. 請求項3に記載の卵加工品、及び食品として許容可能な希釈剤又は担体を含む、卵の風味強化組成物。
  5. 請求項3に記載の卵加工品又は請求項4に記載の卵の風味強化組成物を含有する飲食品。
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