JP2000191788A - 有機シリコ―ン微粒子、その製造方法、有機シリコ―ン微粒子から成る高分子材料用改質剤及び化粧品原料 - Google Patents
有機シリコ―ン微粒子、その製造方法、有機シリコ―ン微粒子から成る高分子材料用改質剤及び化粧品原料Info
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Abstract
な、ポリシロキサン架橋構造体から成る新規の有機シリ
コーン微粒子を提供する。 【解決手段】ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シ
リコーン微粒子であって、全体としては球状を呈するも
ののその表面に多数のくぼみを有する、平均粒子径が
0.05〜10μmの有機シリコーン微粒子。
Description
子、その製造方法、球状有機シリコーン微粒子から成る
高分子材料改質剤及び化粧品原料に関する。高分子材料
用改質剤、化粧品原料、コーティング材、診断薬用担
体、塗料原料等として、有機シリコーン微粒子が広く利
用されている。本発明は、上記のように広汎に利用され
る有機シリコーン微粒子であって、全体としては球状を
呈するもののその表面に多数のくぼみを有する有機シリ
コーン微粒子に関する。
のものや天然高分子系のもの等、各種が知られている。
なかでも合成高分子系の有機微粒子である有機シリコー
ン微粒子については、それが潤滑性、非粘着性、吸油
性、分散性、耐熱性、耐溶剤性、撥水性等に優れている
ことから注目され、各種の提案がある(特開昭61−1
59427、特開昭61−159467、特開昭61−
194009、特開昭63−15849、特開昭63−
8461、特開昭63−77940、特開昭63−29
7313、特開昭63−312324、特開平1−14
4423、特開平2−209927、特開平4−337
390、特開平6−279589、特開平6−4920
9、特願平9−306646)。
ーン微粒子には、それらがいずれも密実で、表面が滑ら
かな球状のものであるため、それらを前述したような高
分子材料用改質剤や化粧品原料等として使用する場合に
多くの不都合がある。例えば、従来提案されている有機
シリコーン微粒子を、高分子材料に滑性や剥離性を付与
するための高分子材料用改質剤として使用する場合、そ
れらがいずれも密実で且つ表面が滑らかな球状のもので
あるため、所望の効果を得るためには多量の有機シリコ
ーン微粒子を使用する必要があり、また使用した有機シ
リコーン微粒子が高分子材料から脱落し易いのである。
有機シリコーン微粒子は、もともと他の有機微粒子に比
べ高価であることもあって、これを多量に使用すれば、
それだけ経済的に不利であり、また脱落した有機シリコ
ーン微粒子が高分子材料の製造工程や加工工程における
ガイド類にスカムとなって付着し、これが高分子材料の
円滑な製造や加工を妨げる。また例えば、化粧品分野の
現状は肌上での使用感触の多様化への対応、液状化粧品
成分や紫外線吸収剤等の内包或は吸着による多機能化乃
至高機能化への対応が求められているところ、従来提案
されている有機シリコーン微粒子では、それらがいずれ
も密実で表面が滑らかな球状のものであるため、かかる
求めに応えることができないのである。
する課題は、従来の有機シリコーン微粒子では、それら
がいずれも密実で且つ表面が滑らかな球状のものである
ため、それらを高分子材料用改質剤や化粧品原料として
使用した場合に多くの不都合がある点である。
上記課題を解決するべく研究した結果、有機シリコーン
微粒子として、ポリシロキサン架橋構造体から成り、全
体としては球状を呈するもののその表面に多数のくぼみ
を有する、所定の平均粒子径のものが正しく好適である
ことを見出した。
造体から成る有機シリコーン微粒子であって、全体とし
ては球状を呈するもののその表面に多数のくぼみを有す
る、平均粒子径が0.05〜10μmの有機シリコーン
微粒子に係る。また本発明は上記のような有機シリコー
ン微粒子の製造方法、該有機シリコーン微粒子から成る
高分子材料用改質剤及び化粧品原料に係る。
ロキサン架橋構造体から成るものである。このポリシロ
キサン架橋構造体は、シロキサン単位が3次元の網目構
造を形成した構造体である。本発明はポリシロキサン架
橋構造体を構成するシロキサン単位の種類や割合を特に
制限するものではないが、かかるシロキサン単位として
は下記の式1で示されるシロキサン単位から選ばれる二
つ以上のシロキサン単位であって、且つ下記の式2で示
される平均シロキサン単位を有するものが好ましい。
基 m:0〜3の整数 n:0.78〜0.95
O4/2、R1SiO3/2、R1 2SiO2 /2、R1 3SiO1/2
が含まれる。
ロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラ
ルキル基等の炭化水素基が挙げられるが、なかでもメチ
ル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル
基又はフェニル基が好ましく、メチル基が特に好まし
い。またエポキシ基、グリセロキシ基、ハロゲン、ウレ
イド基、シアノ基、アミノ基等の置換基を有する置換炭
化水素基が挙げられるが、なかでも置換基としてエポキ
シ基を有する、2−グリシドキシエチル基、3−グリシ
ドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基、2−
(グリシジルオキシカルボニル)エチル基、2−(グリ
シジルオキシカルボニル)プロピル基等の2−(グリシ
ジルオキシカルボニル)アルキル基、2−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)プロピル基等の2−(エポキシ
シクロヘキシル)アルキル基が好ましく、2−グリシド
キシエチル基、3−グリシドキシプロピル基が特に好ま
しい。
ある場合、式1で示されるシロキサン単位としては、
1)無水ケイ酸単位、2)メチルシロキサン単位、エチ
ルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシ
ロキサン単位等のR1SiO3/2で示されるシロキサン単
位、3)ジメチルシロキサン単位、ジエチルシロキサン
単位、ジブチルシロキサン単位、メチル・フェニルシロ
キサン単位、ジフェニルシロキサン単位等のR1 2SiO
2/2で示されるシロキサン単位、4)トリメチルシロキ
サン単位、トリエチルシロキサン単位、トリブチルシロ
キサン単位、ジメチル・フェニルシロキサン単位、ジエ
チル・フェニルシロキサン単位等のR1 3SiO1/2で示
されるシロキサン単位が挙げられるが、なかでもメチル
シロキサン単位、ジメチルシロキサン単位、トリメチル
シロキサン単位が好ましい。
水素基である場合、式1で示されるシロキサン単位とし
ては、1)3−グリシドキシプロピルシロキサン単位、
2−グリシドキシエチルシロキサン単位等のR1SiO
3/2で示されるシロキサン単位、2)3−グリシドキシ
プロピル・メチルシロキサン単位、2−グリシドキシエ
チル・メチルシロキサン単位等のR1 2SiO2/2で示さ
れるシロキサン単位、3)3−グリシドキシプロピル・
ジメチルシロキサン単位、2−グリシドキシエチル・ジ
メチルシロキサン単位等のR1 3SiO1/2で示されるシ
ロキサン単位等が好ましいシロキサン単位として挙げら
れる。
なシロキサン単位で構成する場合、構成シロキサン単位
の平均すなわち平均シロキサン単位を式2で示されるも
のとするのが好ましい。この場合、式2中のnは0.7
8〜0.95となるようにするが、0.80〜0.90
となるようにするのが好ましい。かかる平均シロキサン
単位を有するポリシロキサン架橋構造体としては、1)
SiO4/2、R1SiO 3/2、R1 2SiO2/2及びR1 3Si
O1/2のシロキサン単位から構成されるもの、2)Si
O4/2、R1SiO3/2及びR1 2SiO2/2のシロキサン単
位から構成されるもの、3)SiO4/2及びR1SiO
3/2のシロキサン単位から構成されるもの等が挙げられ
るが、なかでもSiO4/2及びR1SiO3/2のシロキサ
ン単位で構成され、且つSiO4/2/R1SiO3/2=5
/95〜22/78(モル比)の割合から成るものが好
ましく、SiO4/2/R1SiO3/2=10/90〜20
/80(モル比)の割合から成るものが特に好ましい。
明したようなポリシロキサン架橋構造体から成るもので
あって、全体として球状を呈し、その平均粒子径が0.
05〜10μmのもの、好ましくは0.1〜7μmのも
のである。本発明において、平均粒子径はレーザー回折
・散乱方式により測定される値である。
その表面に多数のくぼみを有するものである。ポリシロ
キサン架橋構造体を構成するシロキサン単位の種類や割
合等によって、かかるくぼみは、表面から見てほぼ円形
のくぼみ、ほぼ楕円形のくぼみ、しわ状のくぼみ、不定
形のくぼみ、これらの混じったくぼみ等、各種が形成さ
れるが、表面から見て多数のほぼ円形のくぼみを有する
有機シリコーン微粒子は全体としてゴルフボール様を呈
する。
法で製造できるが、下記の第1工程及び第2工程を経て
製造するのが好ましい。 第1工程:下記の式3で示されるシラノール形成性ケイ
素化合物から選ばれる二つ以上のシラノール形成性ケイ
素化合物であって且つ式3中のpの平均値が0.78〜
0.95の範囲になるように選ばれる二つ以上のシラノ
ール形成性ケイ素化合物を、加水分解触媒存在下で、水
と接触させて加水分解し、シラノール化合物を生成させ
る工程。 第2工程:第1工程で生成させたシラノール化合物を、
シラノール縮重合触媒を含有する水溶液と接触させて縮
合反応させ、有機シリコーン微粒子を生成させる工程。
コキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4
のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有する
N,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲ
ン原子又は水素原子 p:0〜3の整数
合物は、結果として式1で示されるシロキサン単位を形
成することとなる化合物である。式3で示されるシラノ
ール形成性ケイ素化合物には、SiX4、R3SiX3、
R3 2SiX2及びR3 3SiXが含まれる。
様である。
基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基、2)メトキシエ
トキシ基やブトキシエトキシ基等の、炭素数1〜4のア
ルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、3)アセト
キシ基やプロピオキシ基等の、炭素数2〜4のアシロキ
シ基、4)ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、
炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキル
アミノ基、5)ヒドロキシル基、6)塩素原子や臭素原
子等のハロゲン原子、又は7)水素原子である。
たような炭化水素基である場合、式3で示されるシラノ
ール形成性ケイ素化合物としては、1)テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、テトラクロルシラン等のSiX4で示されるシラノ
ール形成性ケイ素化合物、2)メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリス
(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリクロルシラン、
フェニルトリクロルシラン、メチルジクロルメトキシシ
ラン、メチルジクロルハイドロジェンシラン、メチルシ
ラントリオール、メチルジクロルシラノール、メチルク
ロルシランジオール等のR3SiX3で示されるシラノー
ル形成性ケイ素化合物、3)ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメト
キシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルビ
ス(ジメチルアミノ)シラン、ジメチルジクロルシラ
ン、ジエチルジクロルシラン、ジフェニルジクロルシラ
ン、ジメチルクロルメトキシシラン、メチルエチルジク
ロルシラン、ジメチルシランジオール、ジエチルシラン
ジオール等のR3 2SiX2で示されるシラノール形成性
ケイ素化合物、4)トリメチルメトキシシラン、トリメ
チルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、
トリメチルアセトキシシラン、トリメチル(ジメチルア
ミノ)シラン、トリメチルクロルシラン、トリフェニル
クロルシラン、トリメチルシラノール等のR3 3SiXで
示されるシラノール形成性ケイ素化合物が挙げられる
が、なかでも式1中のR1について前記したように、結
果としてメチルシロキサン単位、ジメチルシロキサン単
位又はトリメチルシロキサン単位を形成することとなる
シラノール形成性ケイ素化合物が好ましい。
記したような置換炭化水素基である場合、式3で示され
るシラノール形成性ケイ素化合物としては、1)3−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−グ
リシドキシエチルメチルジメトキシシラン、3−グリシ
ドキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−グリシド
キシエチルジメチルメトキシシラン等のエポキシ基含有
シラン化合物、2)3−グリセロキシプロピルトリメト
キシシラン、ジ(3−グリセロキシプロピル)ジメトキ
シシラン等のグリセロキシ基含有シラン化合物、3)3
−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプ
ロピルトリメトキシシラン等のハロアルキル基含有シラ
ン化合物、4)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、3
−ウレイドプロピルジメチルメトキシシラン等のウレイ
ド基含有シラン化合物、5)シアノプロピルトリメトキ
シシラン、シアノプロピルメチルジメトキシシラン、シ
アノプロピルジメチルメトキシシラン等のシアノ基含有
シラン化合物、6)N,N−ジメチルアミノプロピル・
トリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピル
・メチル・ジメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノ
プロピル・ジメチル・メトキシシラン等のN,N−ジア
ルキルアミノ基含有シラン化合物等が挙げられるが、な
かでもエポキシ基含有シラン化合物が好ましい。
示されるシラノール形成性ケイ素化合物から二つ以上の
シラノール形成性ケイ素化合物を、それらの平均組成す
なわち式3中のpが0.78〜0.95の範囲、好まし
くは0.80〜0.90の範囲となるように選んで用い
る。かくして選ばれるシラノール形成性ケイ素化合物に
は、1)SiX4、R3SiX3、R3 2SiX2及びR3 3S
iXから成るもの、2)SiX4、R3SiX3及びR3 2
SiX2から成るもの、3)SiX4及びR3SiX3から
成るもの等が挙げられるが、なかでもSiX4及びR3S
iX3から成るものであり、且つSiX4/R3SiX3=
5/95〜22/78(モル比)の割合から成るものが
好ましく、SiX4/R3SiX3=10/90〜20/
80(モル比)の割合から成るものが特に好ましい。
素化合物を加水分解するための触媒は従来公知のものを
用いることができる。これには例えば、酸性触媒とし
て、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、酢酸、クエン
酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機
酸類が挙げられ、また塩基性触媒として、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム等の無機塩基類や、アンモニア、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムハイ
ドロオキサイド、ドデシルジメチルヒドロキシエチルア
ンモニウムハイドロオキサイド、ナトリウムメトキシド
等の有機塩基類が挙げられる。
ケイ素化合物及び加水分解触媒を加えて撹拌し、水に不
溶のシラノール形成性化合物が反応系から消失して均一
な液層が形成された時点を加水分解の終点とする。シラ
ノール形成性ケイ素化合物の種類により、本来的な加水
分解反応性の外に、水に対する分散性の差に基づく加水
分解反応性が異なるため、反応系に加える加水分解触媒
の種類、その使用量及び反応温度等を適宜選択するが、
シラノール形成性ケイ素化合物と水との接触反応を容易
にするために、反応系に界面活性剤を加えることもでき
る。
み割合は、通常10/90〜70/30(重量比)で行
なう。加水分解触媒の使用量は、その種類及びシラノー
ル形成性ケイ素化合物の種類によっても異なるが、通常
シラノール形成性ケイ素化合物の全量に対して1重量%
以下とするのが好ましい。また反応温度は、通常0〜4
0℃とするが、加水分解反応によって生成させたシラノ
ール化合物の縮重合反応を可及的に避けるために30℃
以下とするのが好ましい。
ール形成性ケイ素化合物を投入してから加水分解しても
よいし、又は遂次投入しつつ加水分解してもよい。用い
るシラノール形成性ケイ素化合物の間で加水分解速度が
著しく異なるような場合には、予め加水分解速度の遅い
シラノール形成性ケイ素化合物の加水分解を行ない、次
いで加水分解速度の速いシラノール形成性ケイ素化合物
を投入して引き続き加水分解を行なうこともできる。
第2工程へ供する。第1工程では、生成させたシラノー
ル化合物を含有する反応液が得られるが、これをそのま
ま、又は残存する加水分解触媒や未反応原料等を適宜の
方法で除去するか若しくは中和等の手段で加水分解触媒
を失活させた後、第2工程へ供することもできる。
ノール化合物を、シラノール縮重合触媒を含有する水溶
液と接触させて縮合反応させ、有機シリコーン微粒子を
生成させる。
しては第1工程において例示したような加水分解触媒を
使用できる。第2工程では、例えばシラノール化合物を
含有する反応液とシラノール縮重合触媒を含有する水溶
液とをそれぞれ全量一度に混合してもよいし、又は両液
を一定量づつ連続的に混合してもよいが、シラノール化
合物を含有する反応液をシラノール縮重合触媒を含有す
る水溶液中に少量づつ加えて混合するのが有利である。
ラノール形成性ケイ素化合物に対し通常1〜40重量%
とするが、好ましくは3〜30重量%とする。シラノー
ル化合物の縮合反応は40℃〜水の沸点の温度で実施で
きるが、60〜95℃が好ましい。第1工程に引き続い
て行なう第2工程のかかる縮合反応によって、有機シリ
コーン微粒子がその水性懸濁液として得られる。
程で得られる水性懸濁液から分離し、乾燥することによ
り得られる。例えば、水性懸濁液を金網を通して抜き取
り、遠心分離法、加圧濾過法等により脱水し、その脱水
物を100〜250℃で加熱乾燥する方法により得ら
れ、また水性懸濁液をスプレードライヤーにより直接1
00〜250℃で加熱乾燥する方法により得られる。こ
れらの乾燥物は、例えばジェットミル粉砕機を用いて解
砕するのが好ましい。
は、全体としては球状を呈するもののその表面に前記し
たような多数のくぼみを有する、平均粒子径が0.05
〜10μmのものである。
材料用改質剤、化粧品原料、コーティング材、診断薬用
担体、塗料原料等として広く利用できるが、特に高分子
材料用改質剤、化粧品原料として有用である。
分子材料用改質剤は、高分子材料に平滑性、密着防止
性、離型性、撥水性、耐汚染性等の表面特性をより高度
に付与する。かかる高分子材料用改質剤を適用する高分
子材料としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピ
レン、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂等の合成高分
子から形成された合成高分子フィルムやシート、更には
同様の合成高分子から形成されたフィラメントヤーンや
ステープルファイバー等の合成繊維が挙げられる。本発
明の有機シリコーン微粒子から成る高分子材料用改質剤
は、なかでも合成高分子フィルムやシート、更には合成
繊維の滑剤として適用する場合に特に有用である。
分子材料用改質剤を合成高分子フィルムやシートの滑剤
として適用する方法には、1)有機シリコーン微粒子を
合成高分子に含有させた後、フィルムやシートに成形す
る方法、2)合成高分子フィルムやシートに有機シリコ
ーン微粒子を塗布する方法がある。前記1)の方法で
は、有機シリコーン微粒子を、フィルムやシートに成形
する合成高分子100重量部当たり、0.01〜5重量
部、好ましくは0.05〜3重量部となるように含有さ
せる。有機シリコーン微粒子を合成高分子に含有させる
方法、有機シリコーン微粒子を含有させた合成高分子を
溶融製膜してフィルムやシートに成形する方法は特に制
限されず、公知の方法を適用できる。また前記2)の方
法では、有機シリコーン微粒子の水性懸濁液を調製し、
これをローラータッチ法、スプレー法等の公知の方法に
よって合成高分子フィルムやシートの表面に塗布する。
塗布する工程は、合成高分子フィルムやシートの製造工
程において、これらの溶融押出し直後における延伸配向
前の工程、一軸延伸配向後における二軸延伸配向前の工
程、二軸延伸配向後の工程のいずれでもよいが、一軸延
伸配向後における二軸延伸配向前の工程が好ましく、い
ずれの工程で塗布する場合でも通常は、有機シリコーン
微粒子を、合成高分子フィルムやシート1m2当たり、
0.01〜0.2gとなるように塗布する。
分子材料用改質剤を合成繊維の滑剤として適用する方法
には、1)有機シリコーン微粒子を合成高分子に含有さ
せた後、合成繊維とする方法、2)合成繊維に紡糸油剤
や紡績油剤等と共に有機シリコーン微粒子を付着させる
方法、3)合成繊維に追油剤として有機シリコーン微粒
子を付着させる方法等があるが、前記1)の方法が好適
である。前記1)の方法では、有機シリコーン微粒子
を、合成繊維とする合成高分子100重量部当たり、
0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部と
なるように含有させる。有機シリコーン微粒子を合成高
分子に含有させる方法、有機シリコーン微粒子を含有さ
せた合成高分子を合成繊維とする方法は特に制限され
ず、公知の方法を適用できる。また前記2)の方法で
は、有機シリコーン微粒子の例えば水性液を調製し、こ
れをローラー給油法、ガイド給油法、浸漬給油法等の公
知の方法によって合成繊維の表面に付着させる。付着さ
せる工程は、紡糸工程、延伸工程、更には延伸後の各工
程等、いずれでもよいが、いずれの工程で付着させる場
合でも通常は、有機シリコーン微粒子を、合成繊維に対
し0.01〜5重量%となるように付着させる。
る化粧品原料について説明する。本発明の有機シリコー
ン微粒子から成る化粧品原料は、粉末原料として、フェ
イシャル化粧品、メークアップ化粧品、ボディー化粧
品、腋臭防止剤等の皮膚外用剤、頭髪化粧品、口腔衛生
品、入浴剤、フレグランス等に適用できるが、特に肌上
での使用感触の多様化への適応性、更には液状化粧品成
分、紫外線吸収剤、無機粉末或は色材等の内包や吸着等
による多機能化乃至高機能化への適応性の点で、皮膚外
用剤に用いる原料として有用である。化粧品原料として
用いる場合、有機シリコーン微粒子の使用量は、適用す
る化粧品の使用形態により適宜選択するが、例えばメー
クアップ化粧品の場合、プレス状メークアップ化粧品に
おいては1.0〜50重量%とするのが好ましく、また
液状メークアップ化粧品においては0.1〜30重量%
とするのが好ましい。
リコーン微粒子と共に用いる他の原料としては、顔料粉
体、結合油剤、水、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料
等が挙げられるが、これらを原料とするメークアップ化
粧品は、本発明の有機シリコーン微粒子と共にかかる他
の原料を均一に分散させる公知の方法で調製できる。
実施形態としては、次の1)〜3)が挙げられる。
を略示する拡大平面図である。図1に略示した有機シリ
コーン微粒子11は、全体として球状を呈するものの、
その表面に平面から見てほぼ円形の小さいくぼみ21を
多数有している。有機シリコーン微粒子11は、式1中
のR1がメチル基であり且つmが0である場合のシロキ
サン単位/式1中のR1がメチル基であり且つmが1で
ある場合のシロキサン単位=14/86(モル比)の割
合で構成されたポリシロキサン架橋構造体であって、構
成シロキサン単位の平均すなわち式2で示される平均シ
ロキサン単位が、式2中のR2がメチル基であって且つ
nが0.86である場合のポリシロキサン架橋構造体か
ら成り、その平均粒子径が2.6μmのものである。
粒子を略示する拡大平面図である。図2に略示した有機
シリコーン微粒子12は、全体として球状を呈するもの
の、その表面に平面から見て細かいしわ状のくぼみ22
を多数有している。有機シリコーン微粒子12は、式1
中のR1がメチル基であり且つmが0である場合のシロ
キサン単位/式1中のR1がメチル基であり且つmが1
である場合のシロキサン単位=11/89(モル比)の
割合で構成されたポリシロキサン架橋構造体であって、
構成シロキサン単位の平均すなわち式2で示される平均
シロキサン単位が、式2中のR2がメチル基であって且
つnが0.89である場合のポリシロキサン架橋構造体
から成り、その平均粒子径が1.1μmのものである。
ン微粒子を略示する拡大平面図である。図3に略示した
有機シリコーン微粒子13は、全体として球状を呈する
ものの、その表面に平面から見て不定形の比較的大きい
くぼみ23を多数有している。有機シリコーン微粒子1
3は、式1中のR1がメチル基であり且つmが0である
場合のシロキサン単位/式1中のR1がメチル基であり
且つmが1である場合のシロキサン単位=19/81
(モル比)の割合で構成されたポリシロキサン架橋構造
体であって、構成シロキサン単位の平均すなわち式2で
示される平均シロキサン単位が、式2中のR2がメチル
基であって且つnが0.81である場合のポリシロキサ
ン架橋構造体から成り、その平均粒子径が3.1μmの
ものである。
の実施形態としては、次の第1工程及び第2工程を経る
方法が挙げられる。 第1工程:式3で示されるシラノール形成性ケイ素化合
物としてメチルトリメトキシシランとテトラエトキシシ
ランとを用い、イオン交換水1080gに酢酸0.2g
を溶解した溶液に、メチルトリメトキシシラン178
8.8g(8.6モル)及びテトラエトキシシラン19
0.4g(1.4モル)を加え(この場合、式3中のR
3はメチル基、Xはアルコキシ基、pは0.86)、3
0℃で30分間加水分解反応を行なって、シラノール化
合物を生成させ、これを含有する反応液を得る工程。 第2工程:イオン交換水475gにドデシルベンゼンス
ルホン酸50gを溶解した溶液を80〜85℃に保ち、
これに第1工程で得た反応液300gを2時間かけて滴
下し、縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を生
成させ、これを含有する水性懸濁液を得る工程。 尚、以上の第1工程及び第2工程を経て得られる有機シ
リコーン微粒子は、前記した1)の有機シリコーン微粒
子である。
しては、前記した1)、2)或は3)の有機シリコーン
微粒子から成る合成高分子フィルム或は合成繊維用の滑
剤が挙げられる。また本発明の化粧品原料としては、前
記した1)、2)或は3)の有機シリコーン微粒子から
成る皮膚外用剤用の原料が挙げられる。
にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実
施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施
例及び比較例において部は重量部を、%は重量%を表わ
す。
2gを添加して均一な溶液とした。これにメチルトリメ
トキシシラン1788.8g(8.6モル)及びテトラ
エトキシシラン190.4g(1.4モル)を添加し、
温度を30℃に保ちながら加水分解反応を行なった。約
30分間でシラノール化合物を含有する透明な反応液を
得た。次に別の反応容器にイオン交換水475gとドデ
シルベンゼンスルホン酸50gをとり、よく溶かした
後、温度を80〜85℃にした。これに第1工程で得た
反応液300gを約2時間かけて滴下し、縮合反応を行
なった。15分間熟成後、徐冷し、室温になるまで1時
間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液でpH
7.0になるように調整し、有機シリコーン微粒子の水
性懸濁液を得た。この水性懸濁液から白色微粒子を濾別
した。得られた白色微粒子を水洗し、150℃で3時
間、熱風乾燥を行なって有機シリコーン微粒子(P−
1)594gを得た。有機シリコーン微粒子(P−1)
について、以下のレーザー回折・散乱方式による平均粒
子径の測定、走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、
ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析を行な
ったところ、この有機シリコーン微粒子(P−1)は、
平均粒子径が2.6μm、全体としては球状を呈するも
のの、その表面に平面から見てほぼ円形の小さいくぼみ
を多数有する微粒子であり、その構成シロキサン単位の
平均すなわち式2で示される平均シロキサン単位は(C
H3)0.86SiO1.57であった。
粒子(P−1)を超音波を用いて水に分散させ、その分
散体について、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(堀場製作所製のLA−700型)により平均粒子径を
測定した。 ・・有機シリコーン微粒子の形状の観察:走査型電子顕
微鏡により30000倍で観察した。 ・・結合有機基量(式2中のn)の分析:有機シリコー
ン微粒子(P−1)5gを精秤し、0.05Nの水酸化
ナトリウム水溶液250ミリリットルに加え、室温で1
0時間撹拌を続けて加水分解処理を行ない、有機シリコ
ーン微粒子(P−1)中の加水分解性基をすべて水溶液
に抽出した。処理液から超遠心分離により有機シリコー
ン微粒子を分離し、分離した有機シリコーン微粒子を水
洗した後、200℃で5時間乾燥したものを、元素分
析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析に
供して、全炭素含有量及びケイ素含有量を測定すると共
に、ケイ素−炭素結合、ケイ素−酸素−ケイ素結合を確
認した。これらの分析値と、原料に用いた式3で示され
るシラノール形成性ケイ素化合物のp個のR3の平均炭
素数より式2中のR2を計算した値とから、式2中のn
を算出した。
ーン微粒子(P−2)〜(P−5)及び(R−1)の合
成} 有機シリコーン微粒子(P−1)と同様に、有機シリコ
ーン微粒子(P−2)〜(P−5)及び(R−1)を合
成し、有機シリコーン微粒子(P−1)と同様に分析し
た。これらの結果を表1にまとめて示した。
2)の合成} 反応容器にイオン交換水3950g及び28%アンモニ
ア水50gを仕込み、室温下で10分間撹拌して均一な
アンモニア水溶液にした。このアンモニア水溶液に、メ
チルトリメトキシシラン600g(4.41モル)をア
ンモニア水溶液中に混ざらないように速やかに加え、上
層にメチルトリメトキシシラン層、下層にアンモニア水
溶液層の2層状態になるようにした。次いで2層状態を
保ちながらゆっくり撹拌し、メチルトリメトキシシラン
とアンモニア水溶液との界面において加水分解及び縮合
反応を進行させた。反応の進行に伴い、反応物が徐々に
沈降して下層は白濁し、上層のメチルトリメトキシシラ
ン層は徐々に層が薄くなり、約3時間で消失した。更に
温度を50〜60℃に保ち、同条件で3時間撹拌を行な
った後、25℃に冷却した。懸濁状に析出した白色微粒
子を濾別した。得られた白色微粒子を水洗し、150℃
で3時間、熱風乾燥を行なって有機シリコーン微粒子
(R−2)266gを得た。有機シリコーン微粒子(P
−1)と同様に分析したところ、この有機シリコーン微
粒子(R−3)は、平均粒子径が3.1μm、表面が滑
らかな球状であり、平均シロキサン単位はCH3SiO
1.5であった。
3)の合成} 反応容器にメタノール11000g及び28%アンモニ
ア水1500gを仕込み、更にアンモニアガスを吹き込
んで260gを吸収させた。この混合液を10℃±0.
5℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン73
g(0.48モル)とメチルトリメトキシシラン156
7g(11.52モル)とをメタノール1580gで希
釈した溶液を1時間かけて滴下し、滴下後に内温を50
℃まで上げ、5時間撹拌を続けて熟成して加水分解を行
ない、シリカ水和物微粒子のメタノール溶液懸濁体を得
た。これを、ジャケット付きニーダーを用い、常圧下、
ジャケット温度120℃で蒸発させて微粒子の乾燥粉体
を得た。得られた乾燥粉体を250℃に設定された電気
炉で5時間焼成した後、ジェット粉砕機にかけて凝集微
粒子の解砕を行ない、有機シリコーン微粒子(R−3)
720gを得た。有機シリコーン微粒子(P−1)と同
様に分析したところ、この有機シリコーン微粒子(R−
3)は、平均粒子径が0.8μm、表面が滑らかな球状
であり、平均シロキサン単位は(CH3)0.96SiO
1.52であった。
1中のmが1である場合のシロキサン単位(モル比) *2:式3中のpが0である場合のシラノール形成性化
合物/式3中のpが1である場合のシラノール形成性化
合物(モル比) *3:全体として球状、表面に平面から見てほぼ円形の
小さいくぼみを多数有する *4:全体として球状、表面に平面から見て細かいしわ
状のくぼみを多数有する *5:全体として球状、表面に平面から見て不定形の比
較的大きいくぼみを多数有する *6:不定形 *7:全体として球状、表面は滑らか S−1:無水ケイ酸単位 S−2:メチルシロキサン単位 S−3:3−グリシドキシプロピルシロキサン単位 S−4:トリフロオロプロピルシロキサン単位 MG:メチル基 GPG:3−グリシドキシプロピル基 FPG:トリフロオロプロピル基 MOG:メトキシ基 EOG:エトキシ基 SM−1:テトラエトキシシラン SM−2:メチルトリメトキシシラン SM−3:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン SM−4:トリフロオロプロピルトリメトキシシラン
としての評価1) ・ポリエチレンテレフタレートフィルム試料の作製と評
価 表2に記載した有機シリコーン微粒子の所定量をポリエ
チレンテレフタレートと共に2軸混練機を用い280℃
で溶融押し出しし、未延伸シートを作製した。次いで8
0℃で一方向に3.5倍延伸し、更に110℃で直角方
向に3.5倍延伸した後、200℃で5秒間熱固定して
厚さ15μmの2軸延伸フィルムを試料として得た。こ
の試料の平滑性と剥離性を下記の条件で測定し、下記の
基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
下で梨地表面のステンレス板に対する動摩擦係数を摩擦
係数測定機(東洋精機社製のTR型、荷重200g、速
度300mm/分)で測定し、下記の基準で評価した。 ◎:動摩擦係数が0.3未満、優れている。 ○:動摩擦係数が0.3以上0.5未満、良好である。 △:動摩擦係数が0.5以上0.7未満、やや劣る。 ×:動摩擦係数が0.7以上、劣る。
し、テンシロンにより試料と粘着テープとの間の180
度剥離力を測定し、下記の基準で評価した。 ◎:剥離力が10g/20mm未満、優れている。 ○:剥離力が10g/20mm以上50g/20mm未満、
良好である。 △:剥離力が50g/20mm以上70g/20mm未満、
やや劣る。 ×:剥離力が70g/20mm以上、劣る。
R−3:試験区分1で合成した有機シリコーン微粒子
(以下同じ) 使用量:ポリエチレンテレフタレート100重量部に対
する有機シリコーン微粒子の重量部
評価 表3に記載した有機シリコーン微粒子の所定量をポリプ
ロピレン(アイソタクチックインデックス97.5%、
[η]2.3)と共に2軸混練機を用い275℃で溶融
押し出しし、45℃の冷却ドラムにキャストして未延伸
シートを作製した。この未延伸シートを予熱ロール群に
導き、138℃に加熱しつつ、5倍長手方向に延伸し、
更にテンター内に導き、165℃雰囲気中で9倍に幅方
向に延伸し、150℃で幅方向に9%のリラックスをさ
せながら熱固定を行ない、単層の2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルム(厚み20μm)を試料として得た。この試
料の動摩擦係数を前記と同様にして測定し、平滑性を評
価した。結果を表3に示した。
コーン微粒子の重量部
としての評価2) 25℃のオルソクロロフェノール中で測定した極限粘度
が0.62の、無機質フィラーをまったく含まないポリ
エチレンテレフタレートを、エクストルーダーで口金か
ら押し出し、これを40℃に冷却したドラム上で静電印
加を行ないながら厚さ152μの押し出しフィルムと
し、続いて93℃に加熱した金属ロール上で長手方向へ
3.6倍に延伸して、一軸延伸フィルムを得た。次にこ
の一軸延伸フィルムがテンターに至る直前の位置で、該
一軸延伸フィルムの片面上に、試験区分1で調製した有
機シリコーン微粒子の水性懸濁液を3本のロールから成
るコーターヘッドから均一塗布した。この際の有機シリ
コーン微粒子の塗布量は上記一軸延伸フィルム1m2当
り約2.3gとした(この塗布量は、下記二軸延伸フィ
ルムでは1m2当り約0.0129gに相当する)。最
後に片面塗布した一軸延伸フィルムをテンター内に導
き、101℃で横方向へ3.5倍に延伸し、更に225
℃で6.3秒間熱固定して、二軸延伸フィルムを得た
(片面塗布後のフィルムが加熱を受けた時間は合計で1
1秒間である)。この二軸延伸フィルムは9.8kgのテ
ンションでしわが発生することなく巻き取ることができ
た。また該二軸延伸フィルムを1/2インチ幅にマイク
ロスリットし、500mg巻きのテープ52本を製造した
が、この間、そのマイクロスリット化は何の問題もなく
良好に行なうことができた。得られた二軸延伸フィルム
の平滑性を前記の条件で測定又は評価した。結果を表4
にまとめて示した。
価) 表5に記載した有機シリコーン微粒子の所定量を固有粘
度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレン
テレフタレートのチップに加え、常法により乾燥した
後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸した。口
金から吐出して冷却固化した後の走行糸状に、分子量7
000でオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=
30/70(モル比)のランダム共重合体であるポリエ
ーテル10部、ウラリルオクタノエート49部、30℃
の粘度が2.1×10-5m2/sの鉱物油16部、ポリ
オキシエチレン(オキシエチレン単位の繰返し数が2
0)ひまし油9部、ポリオキシエチレン(オキシエチレ
ン単位の繰返し数が10)オレイルエーテル7部、オク
タン酸ジエタノールアミド3部、デシルスルホネートナ
トリウム塩3部及びラウリルホスフェートカリウム塩3
部から成る紡糸油剤の10%水性エマルジョンを、計量
ポンプを用いたガイド給油法にて、付着量1.1%とな
るように付着させた後、表面速度4000m/分で表面
温度90℃の第1ゴデットローラーと、表面速度500
0m/分で表面温度130℃の第2ゴデットローラーと
で延伸後、5000m/分の速度で巻き取り、75デニ
ール36フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸
をチーズ染色用のコーンに200g巻き取り、常法によ
り紡糸油剤を洗浄、除去した。この洗浄済み延伸糸全量
を走行速度20m/分、入出角90度で編み針と擦過さ
せて、編み針表面及びその周辺への脱落性を下記の基準
で評価した。また前記擦過試験を繰り返し10回行なっ
た後の糸を用いて、編み針への進入側張力(T1)を1
0gとして出口側張力(T2)の測定から下記の基準で
経時的平滑性を評価した。結果をまとめて表5に示し
た。
である。 △:T2/T1が4.5以上5.5未満、経時的平滑性が
やや劣る。 ×:T2/T1が5.5以上であり、経時的平滑性が劣
る。
量部に対する有機シリコーン微粒子の重量部
価 表6に記載した有機シリコーン微粒子7.0部、酸化チ
タン12.0部、酸化亜鉛9.5部、カオリン35.0
部、タルク20.0部、ベンガラ0.8部、黄酸化鉄
2.5部、黒酸化鉄0.2部、流動パラフィン4.0
部、オクタメチルシクロテトラシロキサン5.0部、2
5℃における粘度が2センチストークスの両末端トリメ
チルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン5.0部、パ
ルミチン酸イソプロピル3.0部及びグリセリン3.0
部を均一混合し、プレス成型して、ファウンデーション
を製造した。これらのファウンデーションを30人のパ
ネラーの官能試験に供し、塗擦感として、滑り、伸び及
び透明感を以下の基準で評価した。結果を表6に示し
た。
としての評価 表7に記載した有機シリコーン微粒子5.0部、カルナ
バロウ5.3部、ミツロウ9.0部、マイクロクリスタ
リンロウ9.7部、白色ワセリン1.0部、流動パラフ
ィン20.0部、デカメチルシクロペンタシロキサン1
8.0部、25℃における粘度が2センチストークスの
両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン
32.0部、有機ベントナイト0.5部、酸化チタン
1.5部及びカーボンブラック3.0部を均一混合し
て、油性アイライナーを製造した。これらの油性アイラ
イナーを30人のパネラーの官能評価に供し、塗擦感と
して、滑り、伸び及び色の深みを前記と同様の基準で評
価した。結果を表7に示した。
明には、高分子材料用改質剤や化粧品原料等として有用
な、ポリシロキサン架橋構造体から成る新規の有機シリ
コーン微粒子を提供することができるという効果があ
る。
平面図。
拡大平面図。
する拡大平面図。
くぼみ
Claims (12)
- 【請求項1】 ポリシロキサン架橋構造体から成る有機
シリコーン微粒子であって、全体としては球状を呈する
もののその表面に多数のくぼみを有する、平均粒子径が
0.05〜10μmの有機シリコーン微粒子。 - 【請求項2】 ポリシロキサン架橋構造体が、下記の式
1で示されるシロキサン単位から選ばれる二つ以上のシ
ロキサン単位で構成されたものであり、且つ下記の式2
で示される平均シロキサン単位を有するものである請求
項1記載の有機シリコーン微粒子。 【式1】 【式2】 (式1及び式2において、 R1,R2:ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機
基 m:0〜3の整数 n:0.78〜0.95) - 【請求項3】 ポリシロキサン架橋構造体が、式1中の
mが0である場合のシロキサン単位と式1中のmが1で
ある場合のシロキサン単位とで構成されたものであり、
且つ式1中のmが0である場合のシロキサン単位/式1
中のmが1である場合のシロキサン単位=5/95〜2
2/78(モル比)の割合から成るものである請求項2
記載の有機シリコーン微粒子。 - 【請求項4】 式1中のR1及び式2中のR2が共にメチ
ル基である場合の請求項2又は3記載の有機シリコーン
微粒子。 - 【請求項5】 請求項1記載の有機シリコーン微粒子の
製造方法であって、下記の第1工程及び第2工程を経る
ことを特徴とする有機シリコーン微粒子の製造方法。 第1工程:下記の式3で示されるシラノール形成性ケイ
素化合物から選ばれる二つ以上のシラノール形成性ケイ
素化合物であって且つ式3中のpの平均値が0.78〜
0.95の範囲になるように選ばれる二つ以上のシラノ
ール形成性ケイ素化合物を、加水分解触媒存在下で、水
と接触させて加水分解し、シラノール化合物を生成させ
る工程。 第2工程:第1工程で生成させたシラノール化合物を、
シラノール縮重合触媒を含有する水溶液と接触させて縮
合反応させ、有機シリコーン微粒子を生成させる工程。 【式3】 (式3において、 R3:ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基 X:炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアル
コキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4
のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有する
N,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲ
ン原子又は水素原子 p:0〜3の整数) - 【請求項6】 シラノール形成性ケイ素化合物が、式3
中のpが0である場合のシラノール形成性ケイ素化合物
と式3中のpが1である場合のシラノール形成性ケイ素
化合物とから成るものであり、且つ式3中のpが0であ
る場合のシラノール形成性ケイ素化合物/式3中のpが
1である場合のシラノール形成性ケイ素化合物=5/9
5〜22/78(モル比)の割合から成るものである請
求項5記載の有機シリコーン微粒子の製造方法。 - 【請求項7】 式3中のR3がメチル基である場合の請
求項5又は6記載の有機シリコーン微粒子の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1、2、3又は4記載の有機シリ
コーン微粒子から成ることを特徴とする高分子材料用改
質剤。 - 【請求項9】 合成高分子フィルム用の滑剤である請求
項8記載の高分子材料用改質剤。 - 【請求項10】 合成繊維用の滑剤である請求項8記載
の高分子材料用改質剤。 - 【請求項11】 請求項1、2、3又は4記載の有機シ
リコーン微粒子から成ることを特徴とする化粧品原料。 - 【請求項12】 皮膚外用剤に用いるものである請求項
11記載の化粧品原料。
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