JP2000191785A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP2000191785A
JP2000191785A JP10368027A JP36802798A JP2000191785A JP 2000191785 A JP2000191785 A JP 2000191785A JP 10368027 A JP10368027 A JP 10368027A JP 36802798 A JP36802798 A JP 36802798A JP 2000191785 A JP2000191785 A JP 2000191785A
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合反応終了後の有機アミド溶媒の回収・精
製処理に伴うコストの大幅な低減を図り、かつ、機械強
度、溶融安定性、成形性などに優れたポリアリーレンス
ルフィドを製造する方法を提供すること。 【解決手段】 有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
スルフィドを製造する方法において、(A)有機アミド
溶媒、アルカリ金属硫化物、及びジハロ芳香族化合物を
含有する混合物を加熱して反応させるとともに、反応開
始後から反応終了前までの間の所望の時点で、反応系内
に水を添加し、それによって、生成ポリマーの濃厚相と
希薄相とからなる液−液相分離状態を形成させるに足る
量の水を存在させ、次いで、反応終了まで加熱反応を継
続させ、そして、(B)反応終了後、有機アミド溶媒、
生成ポリマー、水、及び副生アルカリ金属ハライドを含
有する反応混合物から、有機アミド溶媒を蒸発または蒸
留させて回収する各工程を含むことを特徴とするポリア
リーレンスルフィドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィドの製造方法に関し、さらに詳しくは、機械強
度、溶融安定性、成形性などに優れたポリアリーレンス
ルフィドを経済的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、PP
Sと略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以
下、PASと略記)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機
械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れたエンジニ
アリングプラスチックである。PASは、押出成形、射
出成形、圧縮成形等の一般的溶融加工法により、各種成
形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるた
め、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野におい
て汎用されている。また、PASは、金属または他材料
への粉体塗装の分野にも使用されている。
【0003】従来、PASの代表的な製造方法として、
N−メチル−2−ピロリドン等の有機アミド溶媒中で、
アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させ
る方法が知られている(特公昭45−3368号な
ど)。この反応は、脱アルカリ金属ハライド(例えば、
脱NaCl)縮合反応の繰り返しによってポリマーが生
成する縮合重合反応である。PASの開発初期には、高
重合度のポリマーを得ることができなかったため、低重
合度のポリマーを重合した後、空気の存在下で加熱し、
部分架橋を行って高分子量化を行っていた。このような
PASは、一般に、架橋タイプと呼ばれている。低重合
度PASを空気の存在下に熱処理して酸化架橋させる
と、その成形品の強度を上げることができる。しかし、
もともと、かなり低重合度のポリマーを高度に架橋して
いるため、靭性などの機械的特性が十分な成形品を得る
ことができなかった。また、低重合度PASは、熱処理
や溶融成形時の加熱により、溶融粘度が著しく上昇する
ため、溶融安定性が悪く、かつ、その溶融粘度を所望の
範囲に制御することが困難であった。そのため、成形加
工性に劣り、また、物性の安定した成形品を得ることが
難しかった。
【0004】その後、有機アミド溶媒中でアルカリ金属
硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる際に、酢酸
リチウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤と
してを用いることにより、重合時に高分子量PASを得
る方法が開発された(特公昭52−12240号公
報)。このようなPASは、一般に直鎖タイプと呼ばれ
ている。
【0005】一方、重合反応終了後に、有機アミド溶
媒、生成PAS、副生アルカリ金属ハライド(通常、食
塩)、未反応モノマー、オリゴマーなどを含有する反応
混合物からPASを回収する方法としては、過去におい
ては、一般に溶媒フラッシュ法(solvent fl
ashing process)が採用されていた。こ
の溶媒フラッシュ法は、加圧下に高温に加熱された反応
混合物を、その圧力よりも低い圧力の室内に噴出させる
と、急激に溶媒の蒸発が起こる現象を利用して、溶媒を
回収する方法である。ところが、溶媒フラッシュ法を採
用すると、反応混合物から粉末状のPASが回収され
る。この粉末状PASは、混在しているオリゴマーや低
分子量不純物などの除去が難しいという問題があった。
【0006】そこで、重合反応終了後、PASが溶融相
をなす温度より高温状態にある反応混合物に相分離剤を
添加して、有機アミド溶媒からPAS濃厚相を相分離さ
せ、次いで、攪拌下に徐冷することにより、PASスラ
リーを形成させて、粒状PASを回収する方法が提案さ
れた(特開昭59−1536号公報)。相分離剤として
は、水、パラフィン系炭化水素、高沸点アルコール、高
沸点エーテルなどが例示されている。この方法によれ
ば、反応混合物から比較的大きくて粗い顆粒状PASを
含有するスラリーを生成させることができる。したがっ
て、このスラリーを濾別することにより、オリゴマーや
低分子量不純物なども濾液とともに除去して顆粒状PA
Sを回収することができる。また、この顆粒状PAS
は、洗浄によってもさらに不純物を容易に除去すること
ができる。
【0007】また、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造
する方法において、反応系の共存水分量を低く調整し
て前段重合反応を行い、次いで、反応系に水を添加し
て共存水分量を上げるとともに、反応温度を上げて、溶
融粘度が十分に上昇するまで反応を継続する方法が提案
されている(特公昭63−33775号公報)。この二
段階重合法によれば、前段重合工程では、共存水分量を
低く調整しているため、水分の存在に起因する好ましく
ない副反応や分解反応を抑制することができる。後段重
合工程では、十分な水分量の存在により、有機アミド溶
媒中で溶融状態にある生成ポリマーがポリマー濃厚相と
ポリマー希薄相とに液−液相分離する。後段重合工程で
は、反応系の攪拌下、この相分離状態での加熱反応が行
われるため、ポリマー濃厚相での重合反応が進行し、直
鎖状で高分子量のPASを得ることができる。この方法
によれば、酢酸リチウムなどの高価な重合助剤を使用す
ることなく、高分子量PASを得ることができる。しか
も、重合反応終了後、反応混合物を冷却すれば、粒径が
十分に大きい顆粒状PASを回収することができる。こ
の顆粒状PASは、濾過及び洗浄により、回収しかつ精
製することができる。
【0008】以上のように、最近では、重合時に、有機
カルボン酸塩や水などを重合助剤または相分離剤として
使用することにより、高分子量PASを合成し、重合反
応終了後には、反応混合物から固−液分離が容易な顆粒
状のPASを濾過により回収し、洗浄して精製する方法
が主流となっている。ところが、このような高分子量の
顆粒状PASの回収方法は、以下に詳述するように、溶
媒の回収にコストが掛かり過ぎるという問題があった。
【0009】すなわち、反応混合物を冷却して顆粒状P
ASを含有するスラリーを形成させた後、濾過すると、
多くの有機アミド溶媒を回収することができるものの、
濾別した顆粒状PAS中には、大量の有機アミド溶媒が
残存している。水洗では、有機アミド溶媒を十分に除去
することが困難であり、また、洗浄後、大量の洗浄水と
有機アミド溶媒とアルカリ金属ハライド(食塩)などを
含む混合液から、有機アミド溶媒を分離・精製処理する
のが困難である。そのため、濾過後に得られた顆粒状P
ASと有機アミド溶媒などを含有するウエットケーキ
は、一般に、アセトンなどの回収用溶媒を用いて洗浄し
て、有機アミド溶媒を除去している。この有機溶媒洗浄
の後、水洗を行って、食塩などの水溶性成分の除去を行
っている。有機溶媒洗浄により、有機アミド溶媒ととも
に、低分子量成分や揮発性成分も除去される。洗浄後、
回収用溶媒、有機アミド溶媒、低分子量成分などを含有
する溶媒混合物は、有機アミド溶媒の分離と精製、回収
用溶剤の分離と精製などの処理を行う必要がある。しか
しながら、このような各溶媒の分離・精製処理には、そ
のための設備とエネルギーを必要とする。また、前述の
顆粒状PASを含有するスラリーから濾過により回収さ
れた有機アミド溶媒は、精製するために、再加熱して蒸
留するなどの精製処理を行う必要がある。これらの処理
が、PASの低価格化を妨げる大きな要因となってい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
アミド溶媒中、水等の相分離剤の存在下に、アルカリ金
属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリ
ーレンスルフィドを製造する方法において、重合反応終
了後の有機アミド溶媒の回収・精製処理に伴うコストの
大幅な低減を図り、かつ、機械強度、溶融安定性、成形
性などに優れたポリアリーレンスルフィドを製造する方
法を提供することにある。本発明者らは、前記従来技術
の問題点を克服するために鋭意研究した結果、水添加に
よる相分離重合を行った後、有機アミド溶媒を蒸発また
は蒸留させて回収することによって、前記目的が達成で
きることを見いだした。
【0011】従来、相分離剤または重合助剤を用いて高
分子量PASを重合する方法では、反応終了後、攪拌下
に反応混合物の温度を下げて、溶融状態の生成ポリマー
を粒状化して、有機アミド溶媒中に粒状化したポリマー
を含むスラリーを形成させ、次いで、このスラリーを濾
過して、顆粒状PASを回収していた。顆粒状PAS
は、有機アミド溶媒からの濾過が容易であり、また、濾
過及び洗浄により、副生物、未反応物、低分子量物など
の不純物を除去することも容易である。しかし、この方
法は、有機アミド溶媒の分離・精製などにコストが嵩
む。
【0012】本発明者らは、水添加による相分離重合を
行った後、反応混合物にフラッシュ等の蒸発または蒸留
手段を適用して有機アミド溶媒の回収を行うことによ
り、(1)重合反応終了後、反応混合物が高温状態にあ
る間に、有機アミド溶媒の蒸発または蒸留を行うことが
できるため、エネルギーコストを低減することができる
こと、(2)比較的純度の高い有機アミド溶媒を回収す
ることができ、また、有機アミド溶媒の回収に先立っ
て、相分離剤として使用した水の蒸発または蒸留を行う
ことにより、回収する有機アミド溶媒の純度を高めるこ
とができること、(3)相分離剤の存在下に重合して得
られたPASは、従来の低重合度PASとは異なり、熱
処理を行っても、溶融粘度の急激な上昇がなく、熱処理
による溶融粘度の制御が容易であり、しかも、熱処理後
に、機械強度、溶融安定性、成形性などに優れたポリマ
ーとして得ることができること、を見いだした。
【0013】本発明では、重合反応終了後、有機アミド
溶媒回収前に、相分離剤として使用した水を蒸発または
蒸留などの方法で先に除去することができる。その場
合、反応混合物中の水が減少することにより、副生した
食塩などのアルカリ金属ハライドの少なくとも一部が析
出して溶媒中に溶け込む割合が減少する。その後、有機
アミド溶媒を除去した場合、ポリマー中のアルカリ金属
ハライドの含有量は少なくなり、しかも水洗によって容
易に洗浄が可能になる。水洗したポリマーを乾燥した
後、ポリマーの溶融粘度が増大する条件下に熱処理を行
うと、残存する低分子量物や揮発性成分を除去すること
ができる。
【0014】このように、本発明の製造方法によれば、
重合反応の途中で反応系内に水を添加し、相分離重合さ
せるPASの重合法(水添加二段階重合法)と、フラッ
シュなどの蒸発または蒸留による有機アミド溶媒の分離
・回収法とを組み合わせることにより、比較的短い重合
時間でPASを生成させ、機械的強度、溶融安定性、成
形性などに優れたPASを提供することができる。特
に、二段階重合法において、昇温重合法を採用すると、
重合時間の短縮が容易になる。同時に、有機アミド溶媒
の回収にかかるコストを大幅に削減することができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、有機ア
ミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する
方法において、(A)有機アミド溶媒、アルカリ金属硫
化物、及びジハロ芳香族化合物を含有する混合物を加熱
して反応させるとともに、反応開始後から反応終了前ま
での間の所望の時点で、反応系内に水を添加し、それに
よって、生成ポリマーの濃厚相と希薄相とからなる液−
液相分離状態を形成させるに足る量の水を存在させ、次
いで、反応終了まで加熱反応を継続させ、そして、
(B)反応終了後、有機アミド溶媒、生成ポリマー、
水、及び副生アルカリ金属ハライドを含有する反応混合
物から、有機アミド溶媒を蒸発または蒸留させて回収す
る各工程を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフ
ィドの製造方法が提供される。
【0016】本発明の製造方法は、溶媒回収工程(B)
の後、(C)反応混合物からの溶媒回収後に残存する生
成ポリマーと副生アルカリ金属ハライドとを含有する混
合物を水洗して、アルカリ金属ハライドを除去し、そし
て、(D)水洗後の湿潤ポリマーを乾燥する各工程をさ
らに含むことが好ましい。また、本発明の製造方法は、
乾燥工程(D)の後、(E)乾燥ポリマーを熱処理し
て、ポリマーの溶融粘度を増大させる工程をさらに含む
ことが好ましい。
【0017】反応工程(A)において、反応開始後、ジ
ハロ芳香族化合物の転化率が50〜98モル%の範囲に
なった時点で、反応系内に水を添加し、それによって、
液−液相分離状態を形成させるとともに、この液−液相
分離状態で反応終了まで加熱反応を継続することが好ま
しい。溶媒回収工程(B)において、有機アミド溶媒の
回収に先立って、反応混合物から、少なくとも一部の水
を蒸発または蒸留させて除去する工程を配置することが
好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (アルカリ金属硫化物)本発明で使用されるアルカリ金
属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫
化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれ
らの2種以上の混合物などを挙げることができる。これ
らのアルカリ金属硫化物は、通常、水和物として市販さ
れ、使用される。水和物としては、例えば、硫化ナトリ
ウム9水塩(Na2 S・9H2 O)、硫化ナトリウム5
水塩(Na2 S・5H2 0)等が挙げられる。アルカリ
金属硫化物は、水性混合物として使用してもよい。ま
た、アルカリ金属硫化物は、硫化水素またはアルカリ金
属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、有機アミド溶
媒中で、in situで調製することができる。アル
カリ金属硫化物は、他の反応缶で調製したものを利用す
ることもできる。アルカリ金属硫化物中に微量存在する
ことがあるアルカリ金属水硫化物やアルカリ金属チオ硫
酸塩と反応させるために、アルカリ金属水酸化物を併用
して、これらの微量成分を除去ないしはアルカリ金属硫
化物への変換を行うことができる。アルカリ金属硫化物
の中でも、硫化ナトリウム及び水硫化ナトリウムが、安
価であることから特に好ましい。本発明の製造方法にお
いて、脱水工程で脱水されるべき水分とは、上記の水和
水、水性混合物の水媒体、及びアルカリ金属水硫化物と
アルカリ金属水酸化物との反応により副生する水などで
ある。
【0019】(ジハロ芳香族化合物)本発明で使用され
るジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個の
ハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物であ
る。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o
−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベ
ンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ
−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香
酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスル
ホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニ
ルケトン等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子は、フ
ッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジ
ハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同
じでも異なってもよい。これらのジハロ芳香族化合物に
おいて、2つのハロゲン原子は、同じでも異なってもよ
い。ジハロ芳香族化合物は、カルボシキル基、水酸基、
ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基等の置換基を1つ以
上有していても構わない。ジハロ芳香族化合物が置換基
を複数固有する場合、置換基の種類は、単独でも、異な
る種類の組み合わせであっても構わない。これらジハロ
芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を
組み合わせて用いることができる。本発明におけるジハ
ロ芳香族化合物の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物
1モルに対し、通常、0.9〜1.2モルである。
【0020】(分子量調整剤、分岐・架橋剤)生成PA
Sの末端を変性させ、あるいは重合反応や分子量を調節
する等のために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合
物でなくてもよい)を併用することができる。分岐また
は架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン
原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物
でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合
物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することも
可能である。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物とし
て、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。
【0021】(有機アミド溶媒)本発明では、重合反応
の溶媒として、有機アミド溶媒(すなわち、非プロトン
性極性有機溶媒)を用いる。有機アミド溶媒の具体例と
しては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−
カプロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン(以下、
NMPと呼ぶ)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン
等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロア
ルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イ
ミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノ
ン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化
合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキ
ルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有
機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種
類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの有機アミ
ド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−
シクロアルキルピロリドン化合物、及びN,N−ジアル
キルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、NM
P、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジ
アルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられ
る。本発明の重合反応に用いられる有機アミド溶媒の使
用量は、アルカリ金属硫化物1モル当たり、通常、0.
1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgの範囲であ
る。
【0022】(相分離剤)本発明では、重合反応を促進
させ、高分子量PASを短時間で得るために、相分離剤
として水を使用する。必要に応じて、水と水以外の相分
離剤を併用してもよいが、水単独または水を主成分とす
ることが好ましい。反応系に相分離剤を存在させると、
有機アミド溶媒中で溶融状態にある生成ポリマー(プレ
ポリマーを含む)が、ポリマー濃厚相とポリマー希薄相
とに液−液相分離する。このような相分離状態で加熱反
応を継続すると、重合度が高まり、高分子量PASを得
ることができる。相分離剤は、このような相分離が生じ
るのに十分な量で反応系に存在させる。
【0023】本発明では、相分離剤として水を使用する
が、補助的に、有機カルボン酸金属塩、有機スルホン酸
金属塩、ハロゲン化リチウム、リン酸アルカリ金属塩な
どを加えることは構わない。しかしながら、これらの金
属塩を使用すると、重合反応により生成するスラリーの
粘度が高くなったり、乾燥したポリマー中に金属などの
不純物が残り、ポリマーの機械的特性及び電気的特性が
低下する。これに対して、相分離剤として、水を単独
で、あるいは水を主成分として使用することにより、重
合反応後に得られる重合反応混合物の粘度を比較的低く
することができ、かつ、ポリマーの機械的特性及び電気
的特性を悪くする要素を除去ないしは抑制することがで
きる。
【0024】相分離剤の使用量は、仕込みアルカリ金属
硫化物1モルに対し、通常0.01〜10モル、好まし
くは2.0モル超過、10モル以下となる範囲である。
相分離剤の一部は、重合の仕込み時から共存していても
構わないが、重合反応の途中で相分離剤を添加して、相
分離を形成するのに十分な量に調整することが望まし
い。有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ
芳香族化合物とを反応させてPASを製造する方法で
は、通常、仕込み段階で、共存水分量を調整することが
多く、その場合、相分離剤の水の一部は、仕込み段階か
ら共存している。しかし、重合初期から多量の水が存在
すると、望ましくない副反応や分解反応を生じやすいの
で、仕込み時には、共存水分量を限定された範囲内に制
御し、重合反応の途中で、反応系に水を添加して、共存
水分量の全体が相分離に必要な量となるように調整する
ことが望ましい。
【0025】(重合反応)本発明では、有機アミド溶媒
中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応
させることにより、PASを製造する。この重合反応で
は、一般に、重合工程に先立ち、有機アミド溶媒とアル
カリ金属硫化物と水分とを含む混合物を加熱脱水して、
重合反応系の水分量を調節する(脱水工程)。脱水工程
の後、当該脱水工程で得られた組成物とジハロ芳香族化
合物とを混合し、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを加熱して重合反応させる
(重合工程)。
【0026】(脱水工程)脱水工程は、望ましくは不活
性ガス雰囲気下、アルカリ金属硫化物を有機アミド溶媒
中で加熱し、蒸留により水を反応系外へ分離することに
より実施する。アルカリ金属硫化物は、通常、水和物ま
たは水性混合物として使用するため、必要量以上の水分
を含有している。また、硫黄源としてアルカリ金属水硫
化物を用いる場合は、等モル程度のアルカリ金属水酸化
物を添加し、有機アミド溶媒中で両者をin situ
で反応させてアルカリ金属硫化物に変換する。この変換
反応では、水が副生する。脱水工程では、これらの水和
水(結晶水)や水媒体、副生水などからなる水分を必要
量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、重合反
応系の共存水分量が、アルカリ金属水硫化物1モルに対
して、通常、0.3〜5モル程度になるまで脱水する。
二段階重合法を採用する場合には、好ましくは0.5〜
2.4モル、より好ましくは0.5〜2.0モル程度に
なるまで脱水する。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎ
た場合は、生成ポリマーの分解などの望ましくない副反
応を生じやすいので、重合工程の前に水を添加して所望
の水分量に調節することが望ましい。
【0027】これらの原料の仕込みは、一般的には、常
温から300℃、好ましくは常温から200℃の温度範
囲内で行われる。原料の仕込み順序は、順不同でよく、
さらには、脱水操作の途中で各原料を追加してもかまわ
ない。脱水工程に使用される溶媒としては、前記有機ア
ミド溶媒を用いる。この有機アミド溶媒は、重合工程に
使用される有機アミド溶媒と同一であることが好まし
く、両者ともNMPであることが特に好ましい。有機ア
ミド溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル
当たり、通常、0.1〜10kgである。
【0028】脱水操作は、仕込み後の組成物を、通常、
300℃以下、好ましくは60℃から280℃の温度範
囲で、通常、15分間から24時間、好ましくは30分
間〜10時間、加熱して行われる。加熱方法は、一定温
度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あ
るいは両方法の組み合わせがある。脱水工程は、バッチ
式、連続式、または両方式の組み合わせ方式などにより
行われる。脱水工程を行う装置は、重合工程に用いられ
る反応缶あるいは反応槽と同じであっても、あるいは異
なるものであってもよい。脱水工程では、通常、有機ア
ミド溶媒の一部が水とともに共沸して排出される。水
は、有機アミド溶媒との共沸混合物としてか、あるいは
蒸留により有機アミド溶媒と水とを分離して、水のみと
して排出される。脱水工程では、水または水と有機アミ
ド溶媒との共沸混合物とともに、多くの場合、硫化水素
が排出される。この排出される硫化水素を、アルカリ水
溶液や有機アミド溶媒による吸収等の適当な方法で回収
し、アルカリ金属硫化物などの硫黄源として再利用する
ことが可能である。
【0029】(重合工程)重合工程は、脱水工程終了後
の組成物とジハロ芳香族化合物とを混合し、その混合物
を加熱することにより行われる。この混合物を調製する
際には、通常、有機アミド溶媒量や共存水分量などの調
整を行う。また、この際に、重合助剤その他の添加物を
混合してもよい。脱水工程終了後に得られた組成物とジ
ハロ芳香族化合物との混合は、通常、100〜350
℃、好ましくは120〜350℃の温度範囲内で行われ
る。混合順序は、特に制限なく、両成分を部分的に少量
ずつ、あるいは一時に添加することにより行われる。
【0030】重合反応は、一般に、100〜350℃、
好ましくは150〜330℃の範囲で行われる。加熱方
法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な
昇温方法、あるいは両方法の組み合わせによる方法が用
いられる。重合反応時間は、一般に、10分間〜72時
間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間であ
る。本発明の方法を採用すれば、多くの場合、1〜10
時間の反応時間で、望ましい物性のPASを回収するこ
とができる。重合工程で使用される有機アミド溶媒の量
は、前記したとおり、アルカリ金属硫化物1モル当た
り、通常、0.1〜10kg程度であるが、この範囲内
であれば、重合反応途中でその量を変化させてもかまわ
ない。
【0031】重合反応開始時の共存水分量は、アルカリ
金属水硫化物1モルに対して、通常0.3〜5モル、好
ましくは0.5〜2.4モル、より好ましくは0.5〜
2.0モル程度である。ただし、低分子量ポリマーやオ
リゴマーを得たい場合、あるいは特別の重合方法を採用
する場合などには、共存水分量をこの範囲外としてもよ
い。例えば、共存水分量を、アルカリ金属硫化物1モル
当たり、0.1〜15モル、好ましくは0.5〜10モ
ルの範囲内に調整することができる。しかしながら、本
発明の方法を適用して高分子量PASを得るには、通
常、重合反応初期の共存水分量を前記範囲内に調整する
ことが望ましく、アルカリ金属硫化物1モルに対して、
共存水分量を0.5〜2.0モルの範囲内に調整するこ
とが特に望ましい。
【0032】本発明の製造方法では、反応開始後から反
応終了前までの間の所望の時点で、反応系内に水を添加
し、それによって、生成ポリマーの濃厚相と希薄相とか
らなる液−液相分離状態を形成させ、その状態で加熱反
応を継続することにより、高分子量または比較的高分子
量のPASを生成せしめる。相分離剤としては、コス
ト、ポリマーからの除去等の理由から、水が望ましい。
共存水分量を増加させて相分離状態を形成させる場合、
水添加の時期は、重合開始から終了までの間であれば任
意の時間に行うことができる。しかし、生成ポリマーの
分解や望ましくない副反応の生起を抑制するために、多
くの場合、重合反応の初期には、共存水分量を少なく
し、モノマー(例えば、ジハロ芳香族化合物)の転化率
が50モル%以上、好ましくは50〜98モル%となっ
た段階で、水を添加して、共存水分量を相分離に必要な
量にまで高める方法が望ましい。一般的には、少なくと
も反応終了時より前に、相分離に必要な量の水を存在さ
せて、液−液相分離状態を形成させるとともに、この液
−液相分離状態で加熱反応をさらに継続して重合反応を
終了させることが望ましい。
【0033】重合反応の途中で共存水分量を増加させる
方法としては、例えば、 (1)前段工程:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当た
り0.5〜2.0モルの水が存在する状態で、180〜
235℃の温度範囲内で反応を行って、ジハロ芳香族化
合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成さ
せ、次いで、 (2)後段工程:反応系内に、仕込みアルカリ金属硫化
物1モル当たり2.0モル超過、10.0モル以下の水
が存在する状態となるように水を添加するとともに、2
45〜290℃の温度範囲内に昇温して、加熱反応を継
続する方法(特公昭63−33775号公報)がある。
【0034】この二段階重合法によれば、相分離剤とし
て水を使用して、高分子量のPASを得ることができ
る。特に、水分量を増大させて加熱反応継続する後段重
合工程では、相分離剤の水が十分な量で存在するため、
有機アミド溶媒中で溶融状態にある生成ポリマーがポリ
マー濃厚相とポリマー希薄相とに液−液相分離する。こ
の相分離状態で加熱反応を継続すると、ポリマー濃厚相
での重合反応が効率よく進行し、直鎖状で高分子量のP
ASを得ることができる。この二段階重合法を本発明の
方法に組み込むと、10時間以内の短時間の重合反応で
も良好な物性を有するPASを得ることができる。
【0035】また、このような二段階重合反応におい
て、前段重合工程を昇温させながら行うことにより、後
段重合工程に短時間で切り替えることができる。この場
合の好ましい昇温重合条件としては、 (1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中
で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを17
0〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、この温
度範囲内の少なくとも220℃から240℃までの間を
平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応
させ、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%で
プレポリマーを生成させ、次いで、 (2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態とな
るように、反応系内に水を235℃以上の温度で添加す
るとともに、245〜290℃の温度範囲内で反応を継
続する方法(特開平8−183858号公報)がある。
【0036】本発明では、その他公知の各種重合方法、
あるいはその変形方法を適用することができ、特に、特
定の重合方法に限定されない。重合反応方式は、バッチ
式、連続式、あるいは両方式の組み合わせでもよい。バ
ッチ式重合では、重合サイクル時間を短縮する目的のた
めに、2つ以上の反応缶を用いる方式を用いてもかまわ
ない。
【0037】(重合反応後の脱水工程)本発明の製造方
法においては、重合反応終了後に、反応混合物から有機
アミド溶媒を回収するが、この溶媒回収工程の前に、反
応混合物の脱水を行うことが望ましい。脱水は、重合反
応終了時の温度を保持しながら、あるいはポリマーが析
出しない温度まで連続的に若しくは段階的に降温して行
う。脱水は、通常180〜290℃、好ましくは200
〜280℃の範囲の脱水温度で行う。脱水温度が290
℃を越えると、溶媒の分解等の好ましくない反応が起こ
り、所定の溶融粘度や分子量のポリマーを得ることが困
難になる。脱水温度が180℃より低くなると、次工程
で有機アミド溶媒を蒸発または蒸留により回収する際
に、有機アミド溶媒の回収効率が低下したり、あるい
は、回収効率を上げるために、多くの熱エネルギーが必
要となるため、経済的に不利である。脱水時間は、通
常、1分間〜12時間、好ましくは5分間〜10時間で
ある。
【0038】脱水は、重合反応混合物中の水分量を、仕
込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、2.0モル以
下、好ましくは1.8モル以下、より好ましくは1.5
モル以下になるまで行う。反応混合物中の水分量が多す
ぎると、次の有機アミド溶媒の回収工程に至るまでの間
や、当該溶媒回収工程中にも、重合反応がさらに進行し
やすく、その結果、生成ポリマーの分子量が顕著に変化
することがある。したがって、所望の分子量を有する均
一性の高いポリマーを安定的に得るには、この脱水工程
で、反応混合物中の水分量をできるだけ減らすことが望
ましい。
【0039】脱水は、反応混合物中の水を蒸発により分
離することにより行う。その際、蒸発分留により水のみ
を分離する方法、水と反応混合物中の有機アミド溶媒の
一部と一緒に蒸発させて分離する方法を用いることがで
きる。また、脱水の際に、例えば、未反応のジハロ芳香
族化合物、分子量調整剤、分岐・架橋剤、未反応のアル
カリ金属硫化物またはその分解により生成した硫黄化合
物などが蒸発または揮散する。蒸発または揮散したこれ
らの化合物は、そのまま分離することが好ましいが、生
成ポリマーと一緒に回収しても、洗浄または熱処理によ
り容易に分離、除去できる場合には、これらの化合物を
脱水中もしくは脱水終了後に、反応混合物中に戻しても
構わない。脱水は、通常、加圧状態で行い、脱水の進行
とともに、系内の圧力は減少するが、加圧または減圧操
作により、一定圧力を保ちながら行ってもよい。脱水
は、常圧で行うこともできる。脱水終了後、必要に応じ
て、次工程に適した圧力になるように、加圧または減圧
を行って、系内の圧力を調整することができる。
【0040】(重合溶媒の回収)本発明の製造方法にお
いては、重合反応終了後に、有機アミド溶媒、生成ポリ
マー、相分離剤、及び副生アルカリ金属ハライドを含有
する反応混合物から、有機アミド溶媒を蒸発または蒸留
させて回収する。反応混合物中には、上記各成分以外
に、通常、未反応モノマー、オリゴマー等の低分子量
物、各種添加剤(添加した場合)などが含まれる。アル
カリ金属ハライドは、通常、食塩である。
【0041】反応混合物から有機アミド溶媒を蒸発(揮
発を含む)または蒸留により回収するには、通常、高温
状態にある反応混合物を蒸発または蒸留させる。この
際、必要があれば、反応混合物を加熱または再加熱し
て、蒸発または蒸留に必要な温度に調整することができ
る。有機アミド溶媒及び生成ポリマーの回収が容易であ
ること、操作性が良好であることから、溶媒フラッシュ
法により、有機アミド溶媒を蒸発させて回収する方法が
好ましい。有機アミド溶媒の回収に先立って、反応混合
物中の水を留去することにより、溶融粘度や分子量の均
一性の高いポリマーを得ることができる。また、脱水に
より、後の洗浄において、生成ポリマーから副生アルカ
リ金属ハライドを分離しやすくなり、最終ポリマー中の
金属成分の含有量が少なくなる。さらに、脱水により、
有機アミド溶媒の回収率及び純度を改良することができ
る。
【0042】溶媒フラッシュ法は、広く一般に既知の方
法によって行うことができる。具体的には、例えば、重
合反応終了後、高温状態にある反応混合物をノズルを通
してフラッシュ用タンクに導入し、気化させる方法が挙
げられる。この際、有機アミド溶媒の回収効率を高める
ために、フラッシュ用タンク内を真空または減圧にする
ことが望ましい。また、フラッシュタンク内で蒸発した
有機アミド溶媒をフラッシュ用タンク外に効率良く排出
して回収するために、気体を流通させることもできる。
この気体としては、不活性気体が望ましい。この不活性
気体としては、窒素ガス、炭酸ガス、水蒸気などを挙げ
ることができる。これらの中でも、コストの点で窒素ガ
スが好ましい。
【0043】重合反応混合物は、バッチ的(回分的)、
または連続的にあるいはこれらを組み合せて、ノズルを
通して、溶媒フラッシュしながらフラッシュ用タンクに
導入する。有機アミド溶媒の回収が不十分な場合には、
フラッシュ系に、別途、熱を供給して、回収率を向上さ
せることも可能である。熱の供給法としては、例えば、
フラッシュ用タンクをバンドヒーター等で加温する方法
を挙げることができる。蒸発した有機アミド溶媒のフラ
ッシュ用タンク外への排出を促進するために気体を流通
させる場合には、この気体を加温して流通させることに
より、熱を供給する方法も採用することができる。ま
た、フラッシュした混合物をフラッシュ用タンクから排
出しながら、あるいは排出してから、熱を供給したり、
真空、減圧にしたり、さらには、これらを組み合せて、
有機アミド溶媒の回収率を高めることもできる。
【0044】フラッシュする際、フラッシュ用タンクに
供給する反応混合物の温度は、沸点やフラッシュ用タン
ク内の圧力などを勘案して、溶媒回収率が高くなる温度
に調整する。例えば、有機アミド溶媒としてNMPを使
用した場合、通常200℃以上、好ましくは220℃以
上、より好ましくは240℃以上とすることが望まし
い。フラッシュした混合物は、バッチ的(回分的)また
は連続的にあるいはこれらを組み合せてフラッシュ用タ
ンクから取り出す。このようにして、溶媒フラッシュ法
などの蒸発または蒸留操作により、反応混合物から有機
アミド溶媒とその他の成分とを分離する。この溶媒回収
工程では、有機アミド溶媒を好ましくは80%以上、よ
り好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の
回収率で回収する。多くの場合、98%以上の回収率で
反応混合物から有機アミド溶媒を回収することができ
る。
【0045】溶媒回収後に残る成分は、生成ポリマーと
副生アルカリ金属ハライドとを含有する混合物であり、
通常、固形である。相分離剤として、有機スルホン酸金
属塩やハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、リ
ン酸アルカリ金属塩などを用いた場合には、これらの金
属塩も固形の混合物(固形分)中に含まれる。また、オ
リゴマーなどの低分子量成分や各種添加剤(添加した場
合)も、固形分中に含まれる。このような固形分中に残
存する有機アミド溶媒の量は、溶媒回収効率の点から見
て、生成ポリマーに対して、好ましくは5重量%以下、
より好ましくは2重量%以下とすることが望ましい。溶
媒回収後に残存する固形分には、生成ポリマーが粉末状
または粒状の形態で含まれている。溶媒回収時の混合物
の温度が、粒状化した生成ポリマーを含有するスラリー
を形成するのに十分な程度に低い場合には、粒状化しや
すく、高温であれば、粉末状になりやすい。
【0046】(水洗)本発明では、溶媒回収後に残存す
る生成ポリマーと副生アルカリ金属ハライドとを含有す
る混合物(固形分)を水洗して、アルカリ金属ハライド
を除去する。固形分中に水に可溶性の金属塩(相分離
剤)が存在している場合には、この水洗工程によって除
去される。水洗は、バッチ式、連続式、及びこれらを組
み合わせて行なうことができる。バッチ式の場合、攪拌
を行ないつつ水洗を行なうことが好ましい。この時の水
対PASの重量比は、水/PAS=2〜15、好ましく
は5〜10である。洗浄1回当たりの時間としては、食
塩の如きアルカリ金属ハライド及びその他の水溶性不純
物を十分に溶解するのに十分な時間があればよく、好ま
しくは1〜60分間、より好ましくは5〜30分間であ
る。
【0047】水洗後、洗浄水を含むPASを固形分とし
て洗浄水より濾別した後に、固形分中に含まれる洗浄水
を水で置換する、いわゆるリンス操作を行なうと、水洗
の効率が向上し、水洗回数の低減を図ることができる。
水による洗浄回数としては、1回以上、より好ましくは
4回以上である。水洗時の水の温度を、高くすると、食
塩等の水溶性不純物の除去効率は高くなる。しかし、高
温での水洗の回数をあまり多くするとコスト的に不利で
あるので、高温での水洗回数は、通常、3回以下、好ま
しくは2回以下である。もちろん、高温水での洗浄を省
略してもよい。高温洗浄の水温は、通常、120〜27
0℃、好ましくは150〜200℃である。
【0048】本発明では、生成ポリマーを含む固形分の
洗浄は、基本的に水だけで行うが、必要があれば、アセ
トンなどの有機溶媒洗浄を行ってもよい。また、次の乾
燥工程を容易にするために、水と親和性のあるアルコー
ルなどの低沸点溶媒での洗浄を行ってもよい。これらの
洗浄液中には、有機アミド溶媒が少量しか含まれていな
いため、洗浄に使用した溶媒の回収が容易である。ま
た、洗浄での使用量も少なくて済む。ただし、コスト高
を避けるには、これらの洗浄用溶媒の使用量を極力抑制
し、さらには、水だけで洗浄することが好ましい。な
お、PASを酸や塩化アンモニウムなどの塩を含有する
水溶液で処理することもできる。
【0049】(乾燥)このようにして水洗を行い、溶媒
回収工程で得られた固形分から、食塩などのアルカリ金
属ハライドを主成分とする水溶性成分を十分に除去し、
然る後、通常の方法により乾燥する。乾燥温度は、特に
限定されないが、乾燥効率の観点からは、100℃以上
の乾熱雰囲気下で行うことが好ましい。乾燥温度の上限
は、乾燥時間にもよるが、PASが実質的に空気酸化に
よる粘度上昇が起きない条件とすることが好ましく、こ
の観点から、150℃未満が好ましい。ただし、200
℃程度までの高温であっても、短時間の乾燥でポリマー
粒子表面の水分を除去することができ、粘度上昇を実質
的に伴わなければ、採用することができる。
【0050】乾燥は、バッチ式、連続式のどちらの方法
も可能である。また、これらの方法を組み合わせて操作
することもできる。なお、連続式で乾燥を行なう場合に
は、乾燥器内の温度分布やポリマー分布を調節すること
により、乾燥後の熱処理まで含めて連続で行なうことも
できる。前記の重合工程、溶媒回収工程、水洗工程、及
び乾燥工程により得られるPASは、粉末状または粒状
である、高温での溶媒フラッシュ法を採用すると、多く
の場合、平均粒径10〜200μmの粉体として得られ
る。また、得られるPASは、高分子量または比較的高
分子量のポリマーであり、その溶融粘度(310℃、剪
断速度1200/秒で測定)は、通常、3Pa・s以
上、好ましくは5Pa・s以上、より好ましくは10P
a・s以上である。
【0051】(熱処理)前記乾燥工程により得られた乾
燥ポリマーは、アルカリ金属ハライドなどの水溶性の副
生物や不純物、添加剤等は除去されているものの、水不
溶の揮発性成分や低分子量成分は除去されていない。こ
れらの成分は、PASの成形加工時に不具合を引き起こ
すので、高温での熱処理により除去または低減すること
が望ましい。すなわち、本発明では、乾燥ポリマーを、
その溶融粘度が増大する条件下で熱処理を行う。この乾
燥ポリマーの特徴は、酸素の存在下(通常、空気中)で
熱処理を行った場合、溶融粘度の上昇率が小さいことに
ある。したがって、この乾燥ポリマーを、その溶融粘度
が上昇する条件下で熱処理をすることにより、揮発性成
分や低分子量物を除去することができるとともに、所望
の粘度に増粘させることができ、それによって、機械的
強度などの諸物性に優れたポリマーとすることができ
る。これに対して、相分離剤を使用しないで製造したポ
リマーを熱処理すると、溶融粘度の上昇率が高く、しか
も、機械的強度に劣るポリマーしか得られない。
【0052】本発明の方法における熱処理は、通常、1
50℃以上、ポリマーの融点以下、好ましくは200℃
以上、ポリマーの融点−10℃の温度範囲で行う。この
熱処理により、乾燥ポリマーの溶融粘度(310℃、剪
断速度1200/秒)を増大させる。溶融粘度の上昇率
は、特に限定されないが、通常、1.3倍以上、好まし
くは1.5倍以上の上昇率で上昇させる。溶融粘度の上
昇率が低すぎると、揮発性成分や低分子量物の除去効率
が低く、また、乾燥ポリマーの溶融粘度が十分高くない
場合には、機械的強度の改善効果が小さくなる。熱処理
による溶融粘度の上昇率の上限は特になく、必要に応じ
て、10倍または15倍程度まで上昇させることも可能
である。これらの溶融粘度の上昇率は、乾燥ポリマーを
空気中で260℃/2時間の熱処理条件で熱処理した場
合を標準とすることが、ポリマーの物性を特定する上で
便利である。
【0053】熱処理は、連続式、バッチ式のどちらの方
法も可能である。熱処理は、通常の乾燥器または熱処理
装置を使って行うことができる。ポリマーは、静置状態
でも構わないが、大量のポリマーを均一に熱処理する場
合には、何らかの方法でポリマー粒子を流動させること
が望ましい。ポリマー粒子を流動させながら熱処理する
方法としては、攪拌羽、パドル、または攪拌スクリュー
を備えた乾燥器または熱処理装置を使用する方法が挙げ
られる。
【0054】熱処理は、通常、空気中で行うが、所望に
より、減圧下、低酸素濃度の雰囲気下、あるいは、窒素
ガス、炭酸ガス、または水蒸気等の不活性な雰囲気下で
行うこともできる。ただし、酸素が存在しない雰囲気下
で熱処理を行うと、溶融粘度の上昇率を低く抑えること
ができ、着色の程度も小さいというメリットがあるもの
の、熱処理コストが高くなる。熱処理は、これらのう
ち、空気中で行うのがコスト的に最も好ましい。空気中
などの酸化性雰囲気下で熱処理を行うと、PASの溶融
粘度の上昇率が比較的高くなるが、一方では、ポリマー
の成形性、成形物の機械物性が改善されることが多い。
すなわち、相分離剤の存在下に重合して得られるPAS
は、一般に直鎖状の高分子量ポリマーであって、かつ、
溶融安定性が良好であるため、溶融粘度を高めても、機
械的物性の低下なく、むしろ改善されることが多い。本
発明における乾燥ポリマーは、溶融安定性が良好である
が、熱処理後に得られたポリマーも溶融安定性が良好で
あり、通常の溶融成形加工時の成形性に優れている。
【0055】(生成ポリマー)本発明の製造方法におい
て、熱処理工程を経たPASの溶融粘度は、任意であ
る。このPASは、単独で、もしくは所望により、各種
無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂、エラストマ
ー、安定剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤などを配合し
て、射出成形、押出成形、圧縮成形などの各種成形法に
より、シート、フィルム、繊維、パイプ、各種成形部品
などを成形することができる。また、PASは、粉体の
ままで、粉体塗料などとしても使用することができる。
【0056】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施
例に限定されるものではない。なお、物性の測定方法
は、次の通りである。 (1)溶融粘度ポリマーの溶融粘度は、温度310℃、
剪断速度1200/秒で測定した。 (2)機械物性(引張強度、曲げ強度)は、引張強度に
ついては、ASTM D638、また、曲げ強度につい
ては、ASTM D790に従って、それぞれ測定し
た。
【0057】[実施例1] (重合)20リットルオートクレーブ(反応缶)に、N
MP6,000gと46.30重量%の硫化ナトリウム
(Na2 S)を含む硫化ナトリウム・5水塩3,800
gとを仕込み、窒素ガスで置換後、3.5時間かけて、
攪拌しながら、徐々に200℃まで昇温して、水1,6
50gとNMP1,100gを溜出させた。この際、
0.50モルのH2 Sが揮散した。したがって、脱水工
程後の缶内の有効Na2 Sは、22.04モルとなっ
た。H2 S揮散分は、仕込みNa2 Sの2.22モル%
に相当した。上記脱水工程の後、22.04モルの有効
Na2 Sを含む反応缶を180℃まで冷却し、p−ジク
ロロベンゼン(pDCB)3435g〔pDCB/Na
2 S=1.06(モル比)〕、NMP2815g、水1
83g〔缶内の合計水量/Na2 S=1.40(モル
比)〕、及び缶内の合計NaOH量が有効Na2 Sに対
して6.00モル%となるように純度97%のNaOH
13.3gを加えた。なお、反応缶内には、H2 Sが揮
散することにより生成したNaOH(1.00モル)が
含まれている。攪拌機を250rpmで攪拌しながら、
220℃で4.5時間反応させた(前段重合工程:ジハ
ロ芳香族化合物の転化率=約90モル%)。その後、攪
拌数を400rpmに上げて攪拌を続けながら、相分離
剤としての水417gを圧入し〔缶内の合計水量/Na
2 S=2.45(モル比)〕、次いで、260℃に昇温
して1.0時間反応させた(後段重合工程:相分離重
合)。なお、この時のトータルの重合時間は、5.5時
間であった。
【0058】(重合反応後の脱水)重合終了後、缶内の
温度を260℃に維持したまま、攪拌を維持しながら反
応缶上部に取り付けたバルブを解放し、蒸留塔を通して
655gの水を溜去した。その際に、少量のpDCBも
溜出した。溜去した水の量は、仕込有効Na2 Sの1モ
ル当たり1.65モルであり、この結果、缶内に残され
た水量は、缶内残存Na2 Sの1モル当たり0.8モル
となった。 (フラッシュ操作)脱水後、溜去用バルブを閉じ、窒素
の圧力で反応缶内の内容物を、ノズルを通して容量80
Lのフラッシュ用タンクに移送した。この時、フラッシ
ュ用タンク内には窒素ガスを流通しておき、揮発するN
MPをフラッシュ用タンク外に排出し、コンデンサーに
より冷却捕集した。捕集されたNMPは、7,632g
であった(NMP回収率=99%)。PPSポリマー、
及び塩化ナトリウムを含有する固形分5,100gを得
た。 (水洗及び乾燥)フラッシュ操作で得られた固形分中に
含まれるPPSに対して、重量で10倍量の水を加え、
室温及び170℃にて15分間洗浄し、吸引濾過による
固形分の濾取を合計4回繰り返し、得られたウェットポ
リマーを105℃にて8時間乾燥した。乾燥後のPPS
の収量は、2,309g(収率=97%)であった。ま
た、PPSの溶融粘度は、16Pa・sであった。ポリ
マー中のナトリウム含量は、1,680ppmであっ
た。 (熱処理)このポリマーの一部を空気循環式オーブン中
で260℃/2時間の熱処理を行なったところ、溶融粘
度は、36Pa・sに上昇した。この時の溶融粘度上昇
率は、2.3倍であった。
【0059】[比較例1]実施例1において、後段重合
工程で水を添加しなかったこと、重合反応後の脱水工程
において、240gの水(仕込有効Na2 Sの1モル当
たり0.6モルの水)を脱水したこと以外は、同様に実
施し、乾燥PPSを得た。この時のトータルの重合時間
は、実施例1と同じく5.5時間であった。得られた乾
燥PPSの溶融粘度は、8Pa・sであった。このポリ
マーの一部を空気循環式オーブンで260℃/2時間の
熱処理を行なったところ、溶融粘度は、53Pa・sに
まで増大し、この時の溶融粘度上昇率は、6.6倍であ
った。
【0060】[比較例2]比較例1において、前段重合
時間を10時間で行なう以外は、全て比較例1と同様に
実施した。この時のトータル重合時間は、11時間であ
った。このPPSの乾燥後の溶融粘度は、20Pa・s
であった。このポリマーの一部を空気循環式オーブンで
260℃/2時間の熱処理を行なったところ、溶融粘度
は、86Pa・sにまで増大し、この時の溶融粘度上昇
率は、4.3倍であった。
【0061】[実施例2]実施例1と同様にして、脱水
工程を行い仕込操作を行った。缶内温度は140℃まで
低下した。攪拌機で250rpmで攪拌しながら、缶内
温度を140℃から180℃まで30分間かけて昇温
し、次いで、缶内温度を180℃から220℃まで60
分間かけ昇温した(この時のジハロ芳香族化合物のハロ
ゲン基の反応率は29%であった)。反応缶内温度22
0℃に達した時点を前段重合工程の開始時間とした。次
いで、220℃から240℃までの間を60分間かけ連
続昇温(平均昇温速度=0.33℃/分)した(ジハロ
芳香族化合物のハロゲンの反応率は78%となった)。
さらに、240℃から260℃まで30分間かけ連続昇
温し(平均昇温速度0.67℃/分)、前段重合を終了
した。前段重合に要した時間は、合計90分(1.5時
間)であった(ジハロ芳香族化合物の転化率=約90モ
ル%)。前段重合終了後、直ちに攪拌機の回転数を40
0rpmにまで上げ、水417gを260℃にて圧入し
た(缶内の合計水量は、仕込有効Na2 Sに対してmo
l比で2.45mol/mol)。この時缶内温度が若
干低下した。再び260℃に復帰した時点を後段重合工
程の開始時刻とした。260℃に保持し1時間反応させ
た。後段重合に要した時間は60分(1時間)であっ
た。前段と後段の重合時間の合計は、2.5時間であっ
た。重合反応終了後の脱水、フラッシュ操作、乾燥、熱
処理等の操作は、全て実施例1と同様に行なった。
【0062】[比較例3]実施例2において、後段重合
において水を添加しなかったこと除いては、全て実施例
2と同様に実施した。以上の結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】本発明の製造方法によれば、重合溶媒をフ
ラッシュ法で高い回収率で回収することができ、その後
の水洗、乾燥、熱処理工程により、実用性に優れたPP
Sを得ることができる。表1の結果から明らかなよう
に、本発明の方法によれば、溶融安定性が良好なPPS
を得ることができ、熱処理により、所望の溶融粘度に増
粘することができる。また、本発明の方法において、後
段重合において、相分離剤としての水を添加することに
より、短時間の重合で、溶融粘度が高く、しかも熱処理
時の粘度上昇率が低く、熱処理で粘度を上昇させる時に
粘度コントロールが容易なポリマーが得られることがわ
かる。また、水添加前の前段重合に昇温重合法を採用す
ることで、前段重合時間を大幅に短縮することができ、
引き続き、水を添加し、後段重合を行なうことで、得ら
れる乾燥ポリマーは、溶融粘度が高く、熱処理時の溶融
粘度上昇率が低いことが明確に示された。したがって、
本発明の方法において、特定の二段階重合法と組み合わ
せることの利点が示されている(実施例1及び2)。こ
れに対して、後段重合において水を添加しない場合に
は、同じ条件で熱処理した場合、熱処理時の粘度上昇率
が大きく、また、長時間の重合時間が必要である。溶融
粘度が高く、熱処理時の溶融粘度上昇率が低いPPSを
短時間で調製するには、重合の後段で相分離剤としての
水を添加するのが効果的である。
【0065】[比較例4]実施例1と同様にして、後段
相分離重合まで行なった。フラッシュ操作で重合溶媒
(NMP)を回収するかわりに、以下に示すとおり、ポ
リマーの濾別、回収溶剤(アセトン)による重合溶媒の
回収、水洗、乾燥を行なった。具体的には、反応終了
後、攪拌を維持しながら、室温付近まで冷却してから、
内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリ
マーを篩分し、重合溶媒と分離した。ポリマー中に残存
するNMPを回収するために、アセトン洗を2回行なっ
た。さらに水洗を4回行い、洗浄ポリマーを得た。得ら
れた粒状ポリマーは、105℃で3時間乾燥した。この
ようにして得られた直鎖状の粒状ポリマーの収率は、8
5%で、溶融粘度は、51Pa・sであった。この方法
では、粒状ポリマーが得られるものの、微粉体などが除
かれるため、収率は85%と低く、また、低粘度物が少
ないため、溶融粘度が高くなっている。
【0066】<機械的物性の測定>実施例1及び比較例
1で得られた各ポリマーを熱処理した各熱処理ポリマ
ー、及び比較例4で得られたポリマーの射出成形物の機
械物性を調べた。これらのポリマーの溶融粘度を揃える
ために、実施例1で得られた乾燥後ポリマーについて
は、空気循環式オーブン中で260℃で5時間熱処理し
て、溶融粘度が56Pa・sのポリマーを得た。比較例
1で得られた乾燥後ポリマーについては、260℃で2
時間熱処理して、溶融粘度が53Pa・sのポリマーを
得た。比較例4で得られたポリマー(粘度=51Pa・
s)については、そのまま使用した。各ポリマー59.
6重量部、ガラス繊維(直径13μm)40重量部、及
びペンタエリスリトールテトラステアレート(PET
S)0.4重量部を配合し、二軸押出機を用いて溶融混
練して、PPS樹脂組成物を作製した。このようにして
得られた各組成物を用いて、試験片を射出成形法によっ
て成形し、引張強度及び曲げ強度を測定した。結果を表
2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】実施例1と比較例1と結果の比較から、熱
処理によって同程度の溶融粘度に調整する場合、熱処理
前の溶融粘度が大きいものを使った方が優れた機械物性
を示すことがわかる。また、実施例1と比較例4との比
較から、熱処理前の溶融粘度が大きいものを使って、熱
処理により粘度上昇を行なえば、同程度の粘度を有する
直鎖状PPS(比較例4)を使った場合と比べ、遜色の
無い機械物性を得ることができる。
【0069】[実施例3]実施例1において、後段重合
終了後に脱水を行った後、缶内の温度を260℃に維持
したまま12時間保持したこと以外は、全て実施例1と
同様に行った。乾燥後のPPSの収量は、2,285g
(収率=96%)で、溶融粘度は、15Pa・sであっ
た。また、ポリマー中のナトリウム含量は、1,710
ppmであった。このポリマーを実施例1と同様に熱処
理したところ、溶融粘度は、37Pa・sに上昇し、こ
の時の溶融粘度上昇率は、2.5倍であった。このよう
に、重合反応終了後に脱水すると、高温で長時間(12
時間)保持しても、得られるポリマーの溶融粘度の変化
が少なく、得られたポリマーを熱処理しても、溶融粘度
上昇率もあまり変化しないことがわかる。また、ポリマ
ー中のナトリウム含量も少ないことがわかる。
【0070】[実施例4]実施例1において、後段重合
終了後に脱水を行うことなく、かつ、缶内の温度を26
0℃に維持したまま12時間保持したこと以外は、全て
実施例1と同様に行った。フラッシュにより捕集された
NMPは、7,564gであり(NMP回収率=98
%)、PPSポリマー及び塩化ナトリウムを含有する固
形分5,150gを得た。洗浄、乾燥を実施例1と同様
に行った後のPPSの収量は、2,273g(収率=9
6%)であり、溶融粘度は、45Pa・sであった。ま
た、ポリマー中のナトリウム含量は、1,890ppm
であった。このポリマーを実施例1と同様に熱処理した
ところ、溶融粘度は89Pa・sに上昇し、この時の溶
融粘度上昇率は2.0倍であった。このように、重合反
応終了後に脱水せずに、高温状態を長時間(12時間)
維持すると、得られるポリマーの溶融粘度は大きく増大
し、ナトリウム含量も多くなることがわかる。すなわ
ち、重合反応終了後に脱水をせずに、そのままフラッシ
ュ法を適用するなど、反応混合物の高温での保持時間が
長くなると、重合反応が進行して溶融粘度や分子量が著
しく変化するため、所望の溶融粘度や分子量を有するポ
リマーを安定的に得ることが難しくなる。また、ポリマ
ー中のナトリウム含有量が大きくなると、電気的特性が
低下する。したがって、重合反応終了後に脱水工程を配
置することが望ましい。
【0071】
【発明の効果】本発明の製造方法によると、溶媒回収を
低コストで行なうことができるため、PASを安価に製
造することができる。また、相分離剤として水を使用す
る重合を行なうので、短時間で比較的高分子量のPAS
が得られる。重合、溶媒回収、水洗、乾燥の工程で比較
的溶融粘度の高いPASを得た後、熱処理すると、所望
の溶融粘度のPASを得るのに、穏やかな熱処理を行な
うだけでよい。本発明の方法により得られたPASは、
熱処理時の溶融粘度上昇率が低いので、溶融粘度のコン
トロールが容易で、所望の溶融粘度のPASを得るのが
容易である。よって、溶融粘度のロット間のバラツキが
少なく、ポリマーの加工を安定に行うことができ、得ら
れる成形品も諸特性のバラツキの少ない物が得られる。
また、重合反応終了後に、反応混合物の脱水を行ってか
ら溶媒回収を行うと、所望の溶融粘度や分子量を有する
PASを安定的に得ることができ、しかも金属成分の含
有量が少ないPASを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 保昌 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦総合研究所内 (72)発明者 神子島 克 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦総合研究所内 Fターム(参考) 4J030 BA03 BA49 BB29 BB31 BC02 BC08 BD21 BE04 BF01 BG30 BG31 BG34

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化
    物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
    スルフィドを製造する方法において、(A)有機アミド
    溶媒、アルカリ金属硫化物、及びジハロ芳香族化合物を
    含有する混合物を加熱して反応させるとともに、反応開
    始後から反応終了前までの間の所望の時点で、反応系内
    に水を添加し、それによって、生成ポリマーの濃厚相と
    希薄相とからなる液−液相分離状態を形成させるに足る
    量の水を存在させ、次いで、反応終了まで加熱反応を継
    続させ、そして、(B)反応終了後、有機アミド溶媒、
    生成ポリマー、水、及び副生アルカリ金属ハライドを含
    有する反応混合物から、有機アミド溶媒を蒸発または蒸
    留させて回収する各工程を含むことを特徴とするポリア
    リーレンスルフィドの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶媒回収工程(B)の後、(C)反応混
    合物からの溶媒回収後に残存する生成ポリマーと副生ア
    ルカリ金属ハライドとを含有する混合物を水洗して、ア
    ルカリ金属ハライドを除去し、そして、(D)水洗後の
    湿潤ポリマーを乾燥する各工程をさらに含む請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 乾燥工程(D)の後、(E)乾燥ポリマ
    ーを熱処理して、ポリマーの溶融粘度を増大させる工程
    をさらに含む請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応工程(A)において、反応開始後、
    ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98モル%の範囲
    になった時点で、反応系内に水を添加し、それによっ
    て、液−液相分離状態を形成させるとともに、この液−
    液相分離状態で反応終了まで加熱反応を継続する請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶媒回収工程(B)において、有機アミ
    ド溶媒の回収に先立って、反応混合物から、少なくとも
    一部の水を蒸発または蒸留させて除去する工程を配置す
    る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶媒回収工程(B)において、有機アミ
    ド溶媒をフラッシュ法により蒸発させる請求項1ないし
    5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理工程(E)において、150℃以
    上、ポリマーの融点未満の熱処理温度で、酸素の存在下
    に熱処理する請求項3記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 熱処理工程(E)において、温度310
    ℃、剪断速度1200/秒で測定したポリマーの溶融粘
    度を、乾燥ポリマーの溶融粘度の1.3倍以上の上昇率
    で増大させる請求項3記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 反応工程(A)において、 (1)前段工程:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当た
    り0.5〜2.0モルの水が存在する状態で、180〜
    235℃の温度範囲内で反応を行って、ジハロ芳香族化
    合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成さ
    せ、次いで、 (2)後段工程:反応系内に、仕込みアルカリ金属硫化
    物1モル当たり2.0モル超過、10.0モル以下の水
    が存在する状態となるように水を添加するとともに、2
    45〜290℃の温度範囲内に昇温して、加熱反応を継
    続する方法によりポリマーを生成させる請求項1ないし
    8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 反応工程(A)において、 (1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
    0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中
    で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを17
    0〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、この温
    度範囲内の少なくとも220℃から240℃までの間を
    平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応
    させ、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%で
    プレポリマーを生成させ、次いで、 (2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
    2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態とな
    るように、反応系内に水を235℃以上の温度で添加す
    るとともに、245〜290℃の温度範囲内で反応を継
    続する方法によりポリマーを生成させる請求項1ないし
    8のいずれか1項に記載の製造方法。
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