JP6419311B2 - 微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法及び微粉ポリアリーレンスルフィド - Google Patents
微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法及び微粉ポリアリーレンスルフィド Download PDFInfo
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Description
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程後のウエットケーキの含水率が30重量%以上である方法が提供される。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該分離工程後、該加熱工程前に、該分離液に水を添加する水添加工程を更に含む方法が提供される。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程前の微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物に含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A1に対する、該加熱工程後のウエットケーキに含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A2の比表面積保持率A2/A1が20%以上である方法が提供される。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程における加熱温度が平均して85℃以下である方法が提供される。
該微粉ポリアリーレンスルフィドの平均粒子径が1〜200μmであり、
該微粉ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度が1Pa・s以上である
微粉ポリアリーレンスルフィドが提供される。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程後のウエットケーキの含水率が30重量%以上である。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該分離工程後、該加熱工程前に、該分離液に水を添加する水添加工程を更に含む。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程前の微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物に含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A1に対する、該加熱工程後のウエットケーキに含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A2の比表面積保持率A2/A1が20%以上である。
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程における加熱温度が平均して85℃以下である。
1.硫黄源
硫黄源としてアルカリ金属硫化物及びアルカリ金属水硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源を使用する。アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。
ジハロ芳香族化合物(DHA)は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。これらのジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。これらの中でも、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、及びこれら両者の混合物が好ましく、p−ジハロベンゼンがより好ましく、p−ジクロロベンゼン(pDCB)が、特に好ましく用いられる。
生成PASに分岐または架橋構造を導入するために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することができる。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物として、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。また、生成PAS樹脂に特定構造の末端を形成したり、あるいは重合反応や分子量を調節したりするために、モノハロ化合物を併用することができる。モノハロ化合物は、モノハロ芳香族化合物だけではなく、モノハロ脂肪族化合物も使用することができる。
分岐・架橋剤は、仕込み硫黄源1モル当たり0.0001〜0.01モル、好ましくは0.0002〜0.008モル、より好ましくは、0.0003〜0.005モルの範囲で用いられる。
脱水反応及び重合反応の溶媒として、非プロトン性極性有機溶媒である有機アミド溶媒を用いる。有機アミド溶媒は、高温でアルカリに対して安定なものが好ましい。有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応を促進させるために、必要に応じて、各種重合助剤を用いることができる。重合助剤の具体例としては、一般にPASの重合助剤として公知の水、有機カルボン酸金属塩、有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウムなどのアルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸アルカリ金属塩、アルコール類、パラフィン系炭化水素類、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。有機カルボン酸金属塩としては、アルカリ金属カルボン酸塩が好ましい。アルカリ金属カルボン酸塩としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。アルカリ金属カルボン酸塩としては、安価で入手しやすいことから、酢酸ナトリウムが特に好ましい。重合助剤の使用量は、化合物の種類により異なるが、仕込み硫黄源1モルに対し、通常0.01〜10モル、好ましくは0.1〜2モル、より好ましくは0.2〜1.8モル、特に好ましくは0.3〜1.7モルの範囲である。
重合反応を促進させ、高重合度のPASを短時間で得るために、または相分離を生起し粒状PASを得るために、各種相分離剤を用いる。相分離剤とは、それ自身でまたは少量の水の共存下に、有機アミド溶媒に溶解し、PASの有機アミド溶媒に対する溶解性を低下させる作用を有する化合物である。相分離剤自体は、PASの溶媒ではない化合物である。
PASの製造は、有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物及びアルカリ金属水硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させて粒状PASを生成させることで行われる。
この場合の重合工程を詳述する。
重合工程は、以下の仕込み工程を経て実施することができる。
仕込み工程は、所望により配置する脱水工程で系内に残存する混合物とジハロ芳香族化合物とを混合し、必要に応じてアルカリ金属水酸化物及び水を添加して、有機アミド溶媒、硫黄源(仕込み硫黄源)、アルカリ金属水酸化物、水分、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する。脱水工程で有機アミド溶媒の留出量が多すぎる場合は、仕込み工程で有機アミド溶媒を追加させてもよい。また、仕込み硫黄源を調整するために仕込み工程で硫黄源を追加させてもよい。一般に、脱水工程において各成分の含有量及び量比が変動するため、仕込み工程での各成分量の調整は、脱水工程で得られた混合物中の各成分の量を考慮して行う必要がある。
重合工程では、前記の仕込み工程により調整した仕込み混合物を、通常170〜290℃、好ましくは180〜280℃、より好ましくは190〜275℃の温度に加熱して、重合反応を開始させ、重合を進行させる。加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、または両方法の組み合わせが用いられる。重合反応時間は、一般に10分間〜72時間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間である。重合反応は、前段重合工程と後段重合工程の2段階工程で行うことが好ましく、その場合の重合時間は前段重合工程と後段重合工程との合計時間である。
転化率=〔〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕〕×100
によって転化率を算出する。それ以外の場合には、下記式
転化率=〔〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕〕×100
によって転化率を算出する。
本発明の熱処理微粉PASの製造において、重合工程を実施する際の仕込み工程前に、所望により脱水工程を配置してもよい。
また、脱水工程では、加熱により水及び有機アミド溶媒が蒸気となって留出する。したがって、留出物には、水と有機アミド溶媒とが含まれる。留出物の一部は、有機アミド溶媒の系外への排出を抑制するために、系内に環流してもよいが、水分量を調節するために、水を含む留出物の少なくとも一部は系外に排出する。留出物を系外に排出する際に、微量の有機アミド溶媒が水と同伴して系外に排出される。
分離工程では、粒状PASを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状PASと分離液とに分離する。
以下に、製品として回収される好ましい粒状PASの性状について例示する。
また、粒状PASを含有する分散液として、上記重合工程において生成した粒状PASを含有する反応液を用いる場合、室温程度まで冷却することなく、生成物スラリーから高温状態で粒状PASを篩分けすることもできる。
(IV−1)上記分離工程で生ずる、粒状PASと分離された分離液には、多くの場合、原料微粉PAS、副生アルカリ金属塩(NaCl等)、オリゴマー、揮発性物質や高沸点物質等を含有する不純物、有機アミド溶媒、相分離剤(水等)等が含まれている。
固液分離工程、加熱工程、洗浄工程は、以下の工程で行う。
固液分離工程は、分離液を固液分離し、微粉PAS含有固形物を得る工程である。固液分離工程では、固液分離は、濾過、遠心分離、篩分、沈降等で行う。例えば濾過は、微粉用の通常の濾布を用いた濾過装置を用いることが多い。吸引濾過装置が、処理時間等からみて、有利である。固液分離工程は、連続式でもバッチ式のどちらの方法も可能である。連続式としては、水平ベルト型濾過機がある。バッチ式の場合、濾過装置としては、原料微粉PAS濃度が低い場合は、処理量からみて、フィルタープレスで行うことが好ましい。
加熱工程では、微粉PAS含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る。加熱工程において微粉PAS含有固形物中の有機溶媒量を減らすことにより、洗浄工程後の廃液中に含まれる有機溶媒の濃度を効果的に低減することができる。有機溶媒の由来としては、特に限定されず、例えば、固液分離工程の前に行われる有機溶媒洗浄工程(後述)で添加される有機溶媒や、粒状PASを含有する分散液に含まれていた有機溶媒等が挙げられる。
また、常圧、減圧、加圧いずれの状態下でも行うことができる。
分離工程後、該加熱工程前には、水添加工程を行ってもよい。水添加工程は、分離液に水を添加する工程である。水添加工程において、含水有機溶媒の形態で分離液に水を添加するのが好ましい。含水有機溶媒における有機溶媒としては、例えば、水より沸点の低い有機溶媒が挙げられ、好ましくは、水より沸点の低いことに加え、有機アミド溶媒を溶解する有機溶媒が挙げられ、より好ましくはケトン系溶媒が挙げられ、更により好ましくはアセトンが挙げられる。含水有機溶媒における含水率としては、特に限定されず、例えば、20〜70質量%が挙げられ、好ましくは25〜50質量%である。この含水率が上記範囲内であると、有機溶媒の濃度が低くなりすぎず、例えば、有機溶媒による洗浄効果や有機アミド溶媒の除去効果等を確保しやすく、また、加熱工程を経た後でも、微粉PASの濡れ性が低下しにくい。水添加工程は、後述の有機溶媒洗浄工程として行ってもよい。本発明の第二の実施形態においては、分離工程後、該加熱工程前に、水添加工程を行う。
洗浄工程では、水性溶媒により、ウエットケーキを洗浄する。この洗浄工程の目的は、微粉PAS中の副生アルカリ金属塩由来のアルカリ金属濃度(例えば、Na濃度)低減及び微粉PAS中のPASオリゴマー濃度低減が目的である。
洗浄工程後には、乾燥工程を行ってもよい。乾燥工程は、洗浄工程で洗浄されたウエットケーキを乾燥させる工程である。乾燥処理は、連続式、バッチ式のどちらの方法も可能である。乾燥処理は、通常の熱風熱処理機、撹拌翼付の加熱装置、流動層熱処理機、槽回転式熱処理機等の熱処理装置を使って行うことができる。加熱工程の乾燥機と乾燥工程の熱処理装置を同じ装置を用いて行うこともできる。
また、常圧、減圧、加圧いずれの状態下でも行うことができる。減圧度は、70〜101KPaの範囲であれば充分である。
[予備固液分離工程]
予備固液分離工程は、分離液を、濾過等の予備固液分離手段により、原料微粉PASと、濾液とに固液分離する工程である。
有機溶媒洗浄工程は、原料微粉PASに、アセトン等を添加し、原料微粉PASに含まれた有機アミド溶媒等を洗浄し、再度、濾過等の分離手段により、洗浄された原料微粉PASを得る工程である。
副生アルカリ金属塩除去工程は、予備固液分離工程後の、原料微粉PASを水で洗浄して、副生アルカリ金属塩を溶解させ除去する工程である。
第五の実施形態において、本発明の微粉PASは、本発明に係る製造方法により製造された微粉PASである。
第六の実施形態において、本発明の微粉PASは、
該微粉PASの平均粒子径が1〜200μmであり、
該微粉PASの溶融粘度が1Pa・s以上である
微粉PASである。第六の実施形態における本発明の微粉PASは、例えば、本発明に係る製造方法により製造される。
本発明の微粉PASは、アルカリ金属塩、PASオリゴマー等の不純物が低減されている。
(1)粒状PASの回収率(質量%)
粒状PAS回収率は、脱水工程後の反応缶中に存在する仕込み硫黄源中の有効硫黄成分の全てがPASに転換したと仮定したときのPAS質量(理論量)を、PASの全量として算出する。
すなわち、粒状PASの回収率は、回収した粒状PASの質量/PAS質量(理論量)で算出した。
回収した粒状PASの平均粒子径は、使用篩として、メッシュ#7(目開き径2,800μm)、#12(目開き径1,410μm)、#16(目開き径1,000μm)、#24(目開き径710μm)、#32(目開き径500μm)、#60(目開き径250μm)、#100(目開き径150μm)、#145(目開き径105μm)、#200(目開き径75μm)を用いた篩分法により測定した。
微粉PASの平均粒子径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD 株式会社島津製作所製)により、測定した。
PASの重量平均分子量(Mw)は、株式会社センシュー科学製の高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)SSC−7101を用いて、以下の条件で測定した。重量平均分子量、及びピークトップ分子量は、ポリスチレン換算値として算出した。
溶媒: 1−クロロナフタレン、
温度: 210℃、
検出器: UV検出器(360nm)、
サンプル注入量: 200μl(濃度:0.1質量%)、
流速: 0.7ml/分、
標準ポリスチレン: 616,000、113,000、26,000、8,200、及び600の5種類の標準ポリスチレン。
PASの乾燥品約20gを用いて、東洋精機製キャピログラフ1−Cにより溶融粘度を測定した。この際、キャピラリーは、1mmφ×10mmLのフラットダイを使用し、設定温度は、310℃とした。上記のPAS試料を装置に導入し、5分間保持した後、剪断速度1,216sec−1での溶融粘度を測定した。
加熱した濃硫酸中でPASを分解した後、得られた分解物を過酸化水素水で処理して試料溶液を調製し、この試料溶液について、イオンクロマト法によりNaイオンを定量した。
PASの比表面積は、以下の装置及び条件により測定した。なお、PAS中に水分等が残留しているときは、乾燥工程後に、更に真空乾燥機で室温にて24時間、PASを乾燥して、比表面積を測定した。
装置:株式会社島津製作所製フローソープII2300
測定:窒素吸着によるBET法により比表面積を決定
温度:液体窒素温度
ウエットケーキの含水率は、ウエットケーキを減圧状態(90KPa)で60℃、3時間乾燥させて、乾燥前後の質量差から算出した(該質量差/ウエットケーキの質量×100(%))。
(脱水工程)
20リットルのオートクレーブに、NMP6,001gと水硫化ナトリウム水溶液(NaSH:純度62質量%)2,000g、水酸化ナトリウム(NaOH:純度74.0質量%)1,171gを仕込んだ。
上記脱水工程後、オートクレーブの内容物を150℃まで冷却し、pDCB3,360g、NMP2,707g、水酸化ナトリウム19g、及び水167gを加え、撹拌しながら、220℃の温度で5時間反応させて、前段重合を行った。
前段重合のpDCBの転化率は、92%であった。
後段重合終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を目開き径150μm(100メッシュ)のスクリーンで篩分けし、篩上に、粒状PPSのウエットケーキ、篩下に分離液を得た。
製造例1の篩分による分離工程での篩下の分離液に以下の処理を行った。
乾燥工程において、ウエットケーキを、減圧状態(90KPa)で、30℃、12時間乾燥し微粉PPSを得た以外は実施例1と同様に測定を行った。その結果、平均粒径は91μmであり、溶融粘度は23Pa・sであり、Naイオン量は185ppmあった。
乾燥工程において、ウエットケーキを、常圧状態で、120℃、5時間乾燥し微粉PPSを得た以外は実施例1と同様に測定を行った。その結果、平均粒径は84μmであり、溶融粘度は28Pa・sであり、Naイオン量は198ppmあった。
乾燥工程において、ウエットケーキを、常圧の窒素雰囲気状態で、120℃、5時間乾燥し微粉PPSを得た以外は実施例1と同様に測定を行った。その結果、平均粒径は98μmであり、溶融粘度は24Pa・sであり、Naイオン量は170ppmあった。
加熱工程において、原料微粉PPSを、減圧状態(90KPa)で、140℃、12時間加熱した以外は実施例1と同様に測定を行った。その結果、平均粒径は88μmであり、溶融粘度は3Pa・sであり、Naイオン量は4,500ppmあった。
有機溶媒洗浄工程において、無水アセトンを用いた以外は実施例1と同様に測定を行った。その結果、平均粒径は80μmであり、溶融粘度は2Pa・sであり、Naイオン量は4,000ppmあった。また、比表面積は13m2/gであり、比表面積保持率は11%であった。
Claims (6)
- 微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法であって、下記の工程;
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程後のウエットケーキの含水率が30重量%以上である方法。 - 微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法であって、下記の工程;
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該分離工程後、該加熱工程前に、該分離液に水を添加する水添加工程を更に含む方法。 - 前記水添加工程において、含水有機溶媒の形態で前記分離液に水を添加する請求項2に記載の製造方法。
- 微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法であって、下記の工程;
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程前の微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物に含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A1に対する、該加熱工程後のウエットケーキに含まれる微粉ポリアリーレンスルフィドの比表面積A2の比表面積保持率A2/A1が20%以上である方法。 - 微粉ポリアリーレンスルフィドを製造する方法であって、下記の工程;
(a)粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する分散液から、目開き径75〜180μmの範囲の少なくとも1つのスクリーンを用いた固液分離により粒状ポリアリーレンスルフィドと分離液とに分離する分離工程;
(b)該分離液を固液分離し、微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を得る固液分離工程;
(c)該微粉ポリアリーレンスルフィド含有固形物を加熱して有機溶媒量を減らし、ウエットケーキを得る加熱工程;
(d)水性溶媒により、該ウエットケーキを洗浄する洗浄工程;
を含み、
該加熱工程における加熱温度が平均して85℃以下である方法。 - 粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する前記分散液が、有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物及びアルカリ金属水硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させる重合工程において生成した粒状ポリアリーレンスルフィドを含有する反応液である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
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