JP2003105087A - フィルムまたは繊維用ポリアリーレンスルフィド樹脂、その製造方法及びフィルムまたは繊維 - Google Patents

フィルムまたは繊維用ポリアリーレンスルフィド樹脂、その製造方法及びフィルムまたは繊維

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、押出の際、口金部分に付着する低分
子量物が更に少なく、口金汚れの少ない製膜性、紡糸性
の良好なフィルムまたは繊維用ポリアリーレンスルフィ
ド樹脂、その製造方法及びそれより得られるフィルムま
たは繊維を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のフィルムまたは繊維用ポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法は、ポリハロゲン芳香族
化合物とスルフィド化剤とを極性有機溶媒中で反応させ
てポリアリーレンスルフィド樹脂を重合する際に、該ス
ルフィド化剤1モル当たり、該極性有機溶媒を3.2〜
5.5モル使用して重合を行うことを特徴とするもので
ある。また、本発明のフィルムまたは繊維用ポリアリー
レンスルフィド樹脂は、かかる製造方法により製造され
たことを特徴とするものであり、本発明のフィルムまた
は繊維は、かかるフィルムまたは繊維用ポリアリーレン
スルフィド樹脂を用いて製造されたことを特徴とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低分子量物が減少
した、製膜時、紡糸時の口金汚れの少ないフィルムまた
は繊維用ポリアリーレンスルフィド樹脂、その製造方法
およびそれにより得られたフィルムまたは繊維に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PSと略す場合もある)に代表されるポリアリーレンス
ルフィド樹脂(以下PASと略す場合もある)のフィル
ムは、優れた機械的性質、熱的性質、電気的性質を有
し、コンデンサーの誘電体、電気絶縁材料、電子部品、
音響振動板、離型材などに使用されている。また、かか
るPASの繊維は、上記優れた特徴を活かして、バグフ
ィルター、抄紙用カンバスなどに使用されている。
【0003】しかしながら、通常工業的に行われている
方法で、ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造すると、
低分子量物の混入が避けられず、かかる低分子量物は、
押出成形の際、口金部分に付着し、例えば、2軸延伸フ
ィルムを製造する場合、製膜性を著しく低下させるとい
う問題があった。すなわち、口金部分に付着した低分子
量物が、押出シートに付着し、2軸延伸の際、破れの原
因となったり、また、付着物を除去するために、たびた
び製膜機を停止させて、口金部分の清掃を行う必要があ
った。また、かかる口金付着物が、フィルムの欠陥を形
成する原因となる場合もあった。類似の問題は、紡糸の
際にも認められ、口金部分に付着した成分により糸切れ
を生じさせるなどの問題があった。
【0004】このようなポリアリーレンスルフィド樹脂
中の低分子量物を除去する方法として、ポリマーを有機
溶媒で洗浄する方法(例えば特開昭59−6221号公
報)や、減圧下で重合溶媒や低分子量物を除去する方法
(例えば特開昭59−89327号公報、特開平5−1
25186号公報)が提案されている。しかしながら、
近年ポリアリーレンスルフィド樹脂フィルム、繊維の需
要がますます増え、またフィルム中の欠陥数の削減要求
がより高度になってきており、これら要求に必ずしも十
分に応えられないのが現状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、押出の際、口金部分に付着する低分
子量物が更に少なく、口金汚れの少ない、特に製膜性、
紡糸性の良好なフィルムまたは繊維用ポリアリーレンス
ルフィド樹脂、その製造方法及びそれより得られるフィ
ルムまたは繊維を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のフィルムまたは繊維用ポリアリ
ーレンスルフィド樹脂の製造方法は、ポリハロゲン芳香
族化合物とスルフィド化剤とを極性有機溶媒中で反応さ
せてポリアリーレンスルフィド樹脂を重合する際に、ス
ルフィド化剤1モル当たり、極性有機溶媒を3.2〜
5.5モル使用して重合を行うことを特徴とするもので
ある。また、本発明のフィルムまたは繊維用ポリアリー
レンスルフィド樹脂は、かかる製造方法により製造され
たことを特徴とするものであり、本発明のフィルムまた
は繊維は、かかるフィルムまたは繊維用ポリアリーレン
スルフィド樹脂を用いて製造されたことを特徴とするも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり押出
の際、口金部分に付着する低分子量物が更に少なく、口
金汚れの少ない、特に製膜性、紡糸性の良好なフィルム
または繊維用ポリアリーレンスルフィド樹脂について、
鋭意検討し、重合の際に、特定量の極性有機溶媒を用い
てみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明
したものである。
【0008】本発明におけるポリアリーレンスルフィド
樹脂とは、式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構
成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。A
rとしては、下記式(A)から式(K)などで表される
単位などが例示されるが、なかでも(A)が特に好まし
い。
【0009】
【化1】
【0010】(ただし、式中のR1,R2は、水素、ア
ルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた
置換基であり、R1とR2は同一であっても異なってい
てもよい)この繰り返し単位を主要構成単位とする限
り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分
岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐
単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単
位に対して、0〜5モル%の範囲であることが好まし
く、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
【0011】
【化2】
【0012】また、本発明におけるポリアリーレンスル
フィド樹脂は、上記繰り返し単位を含むランダム共重合
体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であっても
良い。
【0013】これらポリアリーレンスルフィド樹脂の代
表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニ
レンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケ
トン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体お
よびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポ
リアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリマーの主要
構成単位として、下記式で表されるp−フェニレン単位
を、好ましくは90モルパーセント以上、より好ましく
は98モルパーセント以上含有するポリフェニレンスル
フィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリ
フェニレンスルフィドケトンが挙げられ、これらの中で
も、ポリパラフェニレンスルフィドが特に好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】本発明におけるポリアリーレンスルフィド
樹脂の溶融粘度には、特に制限は無いが、より優れた製
膜性を得る観点から、メルトフローレイト(5000g
荷重、315.5℃)が1〜200g/10分の範囲が
好ましく、5〜180g/10分の範囲が更に好まし
く、40〜150g/10分の範囲が特に好ましい。
【0016】次に、本発明のポリアリーレンスルフィド
の製造方法について説明する。まず、本発明の製造方法
において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィ
ド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、分岐・架橋剤、重合
助剤および重合安定剤の内容について説明する。 [ポリハロゲン化芳香族化合物]本発明で用いられるポ
リハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原
子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジク
ロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,
2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラ
クロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジク
ロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,
4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、
1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタ
レン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン,4,
4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香
酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’
−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジ
フェニルケトンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙
げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼン,4,4’−
ジクロロジフェニルスルホン,4,4’−ジクロロジフ
ェニルケトンが、より好ましくはp−ジクロロベンゼン
が用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化
芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能
であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分と
することが好ましい。
【0017】かかるポリハロゲン化芳香族化合物の使用
量は、加工に適した粘度のポリアリーレンスルフィド樹
脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり、好まし
くは0.9から2.0モル、より好ましくは0.95か
ら1.5モル、特に好ましくは1.005から1.2モ
ルの範囲がよい。 [スルフィド化剤]本発明で用いられるスルフィド化剤
としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化
物、および硫化水素が挙げられる。
【0018】アルカリ金属硫化物の具体例としては、例
えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混
合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好
ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水
和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用
いることができる。
【0019】アルカリ金属水硫化物の具体例としては、
例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリ
ウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシ
ウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることがで
き、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。
これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混
合物として、あるいは無水物の形で用いることができ
る。
【0020】また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金
属水酸化物から、反応系においてin situで調製
されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。ま
た、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から
アルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用
いることができる。
【0021】あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系
においてin situで調製されるアルカリ金属硫化
物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸
化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素か
らアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して
用いることができる。
【0022】本発明において、スルフィド化剤の量は、
脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の
一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損
失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
【0023】なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金
属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を
併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具
体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウ
ムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして
挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例
としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチ
ウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化
ナトリウムが好ましく用いられる。
【0024】スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫
化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に
使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ
金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、
好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは
1.005から1.100モルの範囲が例示できる。 [重合溶媒]本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を
用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリド
ン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピ
ロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカ
プロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメ
チルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表
されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物な
どが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いた
めに好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−
メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記すること
もある)が好ましく用いられる。
【0025】本発明において有機極性溶媒の使用量を適
切に選択することが重要である。本発明における有機極
性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり3.2
モルから5.5モルの範囲が選択され、好ましくは3.
5から5.5モルの範囲が選択され、更に好ましくは
3.8〜4.8モルの範囲が選択され、よりいっそう好
ましくは4.0〜4.6の範囲が選択される。有機極性
溶媒の使用量がスルフィド化剤1モル当たり3.2モル
未満では、低分子量物の生成抑制効果が小さく適切では
ない。また有機極性溶媒を、スルフィド化剤1モル当た
り5.5モルを越える量使用して重合しても、低分子量
物の生成抑制効果は飽和傾向であり、また重合度が上が
り難い、結晶化速度が速くなりすぎて、特に厚手のフィ
ルムの製膜に支障を来す場合があるなどの問題点を引き
起こし得るため、適切ではない。 [分子量調節剤、分岐・架橋剤]本発明においては、生
成するポリアリーレンスルフィド樹脂の末端を形成させ
るか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのため
に、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなく
ともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用
することができる。また、分岐または架橋重合体を形成
させるために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合
物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素
含有ハロゲン化芳香族化合物およびハロゲン化芳香族ニ
トロ化合物などを併用することも可能である。 [重合助剤]本発明においては、高重合度のポリアリー
レンスルフィド樹脂をより短時間で得るために重合助剤
を用いることも有用である。ここで重合助剤とは得られ
るポリアリーレンスルフィド樹脂の粘度を増大させる作
用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体
例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金
属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびア
ルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単
独であっても、また2種以上を同時に用いることもでき
る。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水
が好ましく用いられる。
【0026】上記有機カルボン酸塩の中でも、有機カル
ボン酸のアルカリ金属塩が好ましく用いられる。かかる
有機カルボン酸のアルカリ金属塩とは、一般式R(CO
OM)n (式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリー
ル基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウム
から選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数で
ある。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボ
ン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いる
ことができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例とし
ては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安
息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トル
イル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げるこ
とができる。
【0027】アルカリ金属カルボン酸塩は、有機極性溶
媒中で、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ
金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ば
れる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加し
て反応させることにより形成させてもよい。上記アルカ
リ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶
解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、
ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性に劣る
と推定しており、安価で、重合系への適度な溶解性を有
する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
【0028】かかるアルカリ金属カルボン酸塩を重合助
剤として用いる場合の使用量は、アルカリ金属硫化物1
モルに対し、0.3〜0.6モルの範囲が好ましく、
0.35〜0.5モルの範囲がより好ましい。
【0029】また、重合助剤として水を用いる場合の添
加量は、アルカリ金属硫化物1モルに対し、0.2〜1
0モルの範囲が選択され、0.2〜5モルの範囲がより
好ましく、0.2〜1モルの範囲が更に好ましい。
【0030】これら重合助剤の添加時期には特に指定は
なく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいず
れの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加し
てもよい。 [重合安定剤]本発明においては、重合反応系を安定化
し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いること
もできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与
し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目
安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安
定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることが
できる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水
酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化
物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げ
られる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化
物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合
安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定
剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ
金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物
を同時に使用することが特に好ましいことを前述した
が、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ
金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
【0031】これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重
合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し
て、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜
0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの
割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安
定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利
益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
【0032】重合安定剤の添加時期には特に指定はな
く、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれ
の時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加して
もよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加
することが添加が容易である点からより好ましい。
【0033】次に、本発明のポリアリーレンスルフィド
樹脂の製造方法について、前工程、重合反応工程、極性
有機溶媒に可溶な非晶性熱可塑性樹脂の添加、回収工
程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明す
る。 [前工程]本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の製
造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使
用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前
に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温
し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。な
お、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分
の水を添加して補充することが好ましい。
【0034】また、上述したように、スルフィド化剤と
して、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物か
ら、反応系においてin situで、あるいは重合槽
とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いるこ
とができる。この方法には特に制限はないが、望ましく
は不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常
温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ
金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧また
は減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180
〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げら
れる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分
の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を
行ってもよい。 [重合反応工程]本発明においては、有機極性溶媒中で
スルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを通常
200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させるこ
とによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。重
合反応には通常耐圧容器を用い、加圧条件下で行われ
る。
【0035】重合反応工程を開始するに際しては、望ま
しくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましく
は100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスル
フィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。こ
の段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込
み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさし
つかえない。
【0036】かかる混合物を通常200℃〜290℃の
範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常
0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/
分の範囲がより好ましい。
【0037】一般に、最終的には250〜290℃の温
度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好
ましくは0.5〜20時間反応させる。
【0038】最終温度に到達させる前の段階で、例えば
200℃〜245℃で一定時間反応させた後、250〜
290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で
有効である。このとき、200℃〜245℃での反応時
間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選
択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択さ
れる。
【0039】なお、複数段階で重合を行う際は、245
℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率
が、40モル%以上、好ましくは60モル%以上に達し
た時点であることが、より高重合度のポリマーを得る上
で有効である。
【0040】なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここ
ではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値
である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法
によって求めることができる。
【0041】(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアル
カリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合 転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モ
ル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モ
ル)〕 (b)上記(a)以外の場合 転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モ
ル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕 [回収工程]本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の
製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒など
を含む重合反応物から固形物を回収する。
【0042】本発明においては、上記の回収を徐冷によ
り行うことが好ましい。ここで徐冷とは、重合250℃
から200℃に冷却する間の平均冷却速度が0.01〜
1℃/分であることを意味する。
【0043】本発明において、このようにして回収した
樹脂混合物を有機溶媒で洗浄し、低分子量物を更に除去
することが好ましい。
【0044】ポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒
で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例
示することができる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒
としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作
用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えば
N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホ
ン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエ
ーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなど
のエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリ
クロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テ
トラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶
媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリ
コールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶
媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のなかでも、特
にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムア
ミドおよびクロロホルムなどの使用が好ましい。また、
これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で
使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機
溶媒中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめる
などの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱する
ことも可能である。有機溶媒でポリアリーレンスルフィ
ド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はな
く、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗
浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向がある
が、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得
られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレン
スルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するた
め、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0045】本発明における有機溶媒洗浄は、バッチ式
であっても、また連続式であってもさしつかえない。ま
た洗浄浴比は、重量比で乾燥樹脂1に対し、有機溶媒2
〜100の範囲が好ましく選択され、3〜50の範囲が
より好ましく、3〜15の範囲が更に好ましい。
【0046】洗浄方法としては、樹脂を浸漬し、撹拌す
る方法などにより行うことができる。 [その他の後処理]かくして得られたポリアリーレンス
ルフィド樹脂は常圧下および/または減圧下に乾燥す
る。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲
が選択され、140〜250℃の範囲がより好ましい。
乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰
囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気の何れでも良
いが、減圧下で行うことが好ましく、特に常圧下で乾燥
を行って水分等を除去した後、減圧下で再度乾燥するこ
とが好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が選択さ
れ、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好
ましい。
【0047】かくして得られたポリアリーレンスルフィ
ド樹脂は、低分子量物が少なく押出時の口金汚れが問題
となり易いフィルムや繊維用途に適している。更には、
低分子量物がフィルム中の欠陥形成の原因となり易いた
め、フィルム用途に特に適している。かかる欠陥は厚手
のフィルムで問題となり易い厚みことから、本発明のポ
リアリーレンスルフィド樹脂は3μm以上の比較的厚手
のフィルムに特に適しており、4〜200μmのフィル
ムにより適している。
【0048】また、優れた製膜性を得る観点から、ポリ
アリーレンスルフィド樹脂の降温結晶化温度は210℃
以下に制御されていることが好ましく、140℃〜21
0℃の範囲がより好ましい。かかる降温結晶化温度に
は、重合時の極性有機溶媒の使用量も影響を与え、スル
フィド化剤1モル当たりの極性有機溶媒の使用量が多す
ぎると、降温結晶化温度は210℃を越える温度になり
易く、その意味でも極性有機溶媒の使用量はスルフィド
化剤1モル当たり5.5モル以下であることが好まし
い。
【0049】本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の
フィルムまたは繊維は、上述したフィルムまたは繊維用
ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いて製造されるもの
である。
【0050】すなわち、本発明のポリアリーレンスルフ
ィド樹脂フィルムの製造方法としては、公知の溶融製膜
方法が採用することができ、例えば、単軸または2軸の
押出機中でポリアリーレンスルフィド樹脂を溶融後、フ
ィルムダイより押出し冷却ドラム上で冷却してフィルム
を作成する方法、あるいは、このようにして作成したフ
ィルムをローラー式の縦延伸装置とテンターと呼ばれる
横延伸装置にて縦横に延伸する二軸延伸法などにより製
造することができるが、特にこれに限定されるものでは
ない。
【0051】このようにして得られたポリアリーレンス
ルフィド樹脂フィルムは、優れた機械特性、電気特性、
耐熱性を有しており、フィルムコンデンサーやチップコ
ンデンサーの誘電体フィルム用途、回路基板、絶縁基板
用途、モーター絶縁フィルム用途、トランス絶縁フィル
ム用途、離型用フィルム用途など各種用途に好適に使用
することができる。
【0052】本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂繊
維の製造方法としては、公知の溶融紡糸方法が適用する
ことができ、例えば、原料であるポリアリーレンスルフ
ィド樹脂チップを単軸または2軸の押出機に供給しなが
ら混練し、ついで押出機の先端部に設置したポリマー流
線入替器、濾過層などを経て紡糸口金より押出し、冷
却、延伸、熱セットを行う方法などを採用することがで
きるが、特にこれに限定されるものではない。
【0053】このようにして得られたポリアリーレンス
ルフィド樹脂のモノフィランメントあるいは短繊維は、
抄紙ドライヤーキャンバス、ネットコンベヤー、バグフ
ィルターなどの各種用途に好適に使用することができ
る。
【0054】
【実施例】以下に、本発明の方法を実施例および比較例
によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施
例のみに限定されるものではない。 [メルトフローレイトの測定条件]測定にはメルトイン
デクサー(東洋精機社製)を用い、穴径2.096m
m、長さ8.00mmのオリフィスを用いて、温度31
5.5℃、荷重5000gの条件で測定を行った。サン
プル約7gを装置に投入し、1分経過後、ピストンを挿
入し、更に4分経過の後、ピストンに荷重を載せ、測定
を行った。
【0055】[降温結晶化温度の測定条件]サンプル樹
脂を不融性のポリイミドフィルムに挟み込み、スペーサ
ーをセットしたホットプレス機に挿入し、340℃で4
分間プレスを行った後、水中に急冷し、約100μm厚
みの非晶のプレスフィルムサンプルを得た。パーキンエ
ルマー社製DSC−7を用い、プレスフィルム約10m
gをサンプルとして、昇温速度20℃/分で昇温し、3
40℃で1分間ホールドした後、20℃/分で降温し
た。その降温の際に生じる結晶化ピーク温度を測定し、
降温結晶化温度とした。この温度が低いほど結晶化速度
は遅いことを示す。
【0056】[製膜時口金汚れの評価]製膜時の口金付
近の低分子量物の付着量及びそれに起因するフィルム破
れの発生状況から判定した。
【0057】[フィルム中の欠陥の観察]フィルムを2
枚の偏光板の間に挟み込み、バックライトの元、スター
状の欠陥を発生状況を観察した。
【0058】[実施例1]オートクレーブに、47%水
硫化ナトリウム9.44kg(80モル)、96%水酸
化ナトリウム3.43kg(82.4モル)、N−メチ
ル−2−ピロリドン(NMP)13.0kg(131モ
ル)、酢酸ナトリウム2.86kg(34.9モル)、
及びイオン交換水12kgを仕込み、常圧で窒素を通じ
ながら235℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水1
7.0kgおよびNMP0.3kg(3.23モル)を
留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。硫化水
素の飛散量は2モルであった。
【0059】次に、p−ジクロロベンゼン(p−DC
B)11.5kg(78.4モル)、1,2,4−トリ
クロロベンゼン 0.007kg(0.04モル)、N
MP22.2kg(223モル)を追添加し、反応容器
を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、
200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し
た。
【0060】270℃で30分経過後、水1.11kg
(61.6モル)を10分かけて系内に注入し、270
℃で更に反応を100分間継続した。その後、水1.6
0kg(88.8モル)を系内に再度注入し、240℃
まで冷却した後、210℃まで 0.4℃/分の速度で
冷却し、その後室温近傍まで急冷した。NMPの使用量
は、スルフィド化剤1モルに対し、4.5モルであっ
た。
【0061】内容物を取り出し、32リットルのNMP
で希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾
別した。得られた粒子を再度NMP38リットルで85
℃で洗浄した。その後67リットルの温水で5回洗浄、
濾別し、PPSポリマー粒子を得た。これを、60℃で
熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。
【0062】得られたPPSのメルトフローレートは7
1g/10分、降温結晶化温度は189℃であった。
【0063】次いで、得られた粒状PPSに平均粒径
1.2μmの炭酸カルシウムを0.7重量%配合し、2
軸混練機で320℃にて溶融混練し、ペレット化した。
【0064】得られたペレットをエクストルーダーに供
給し、続いて設けられたTダイ型口金より吐出させ、冷
却回転ドラムで急冷し、実質的に非晶の厚さ55μmの
PPSシートを得た。
【0065】次いで、該シートを表面温度95℃の複数
の加熱ロールの接触走行させ、加熱ロール群の次に設け
られた周速の異なる30℃の冷却ロールとの間で長手方
向に3.7倍延伸した。この1軸延伸シートをテンター
を用いて長手と直行方向に100℃で3.7倍延伸し、
続いて260℃10秒間熱処理し、厚み4μmの2軸延
伸フィルムを得た。本製膜において、20時間の間に1
度のフィルム破れも起こらず、また20時間後での口金
部分の付着物はほとんどなく、汚れは極めて少なかっ
た。また、フィルム中の欠陥もほとんど認められなかっ
た。
【0066】[比較例1]NMPの追添加量を8.4k
g(84.8モル)としたこと以外は、実施例1と同様
に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使用量
は、スルフィド化剤1モルに対し、2.75モルであっ
た)。重合で得られたPPSのメルトフローレートは6
0g/10分、降温結晶化温度は170℃であった。
【0067】この場合、10時間の製膜の間に5度のフ
ィルム破れが起こった。また10時間後での口金部分に
明らかに付着物が認められた。また、フィルム中の欠陥
も明らかに認められた。
【0068】[比較例2]NMPの追添加量を33.0
kg(334モル)としたこと以外は、実施例1と同様
に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使用量
は、スルフィド化剤1モルに対し、6モルであった)。
重合で得られたPPSのメルトフローレートは160g
/10分、降温結晶化温度は225℃であった。
【0069】この場合、20時間後での口金部分の付着
物はほとんどなく、汚れは極めて少なかった。また、フ
ィルム中のスター状欠陥もほとんど認められなかった。
しかし、20時間の製膜の間に5度のフィルム破れが起
こった。
【0070】[実施例2]NMPの追添加量を17.5
kg(176.4モル)としたこと以外は、実施例1と
同様に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使
用量は、スルフィド化剤1モルに対し、3.9モルであ
った)。重合で得られたPPSのメルトフローレートは
71g/10分、降温結晶化温度は175℃であった。
【0071】この場合、20時間の製膜の間に2度のフ
ィルム破れが起こった。また10時間後での口金部分に
明らかな付着物は認められなかったが、フィルム中の欠
陥は一部認められた。
【0072】[実施例3]NMPの追添加量を25.2
kg(254.4モル)としたこと以外は、実施例1と
同様に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使
用量は、スルフィド化剤1モルに対し、4.9モルであ
った)。重合で得られたPPSのメルトフローレートは
110g/10分、降温結晶化温度は200℃であっ
た。
【0073】この場合、20時間後での口金部分の付着
物はほとんどなく、汚れは極めて少なかった。また、フ
ィルム中のスター状欠陥もほとんど認められなかった。
但し、20時間の製膜の間に2度のフィルム破れが起こ
った。
【0074】[実施例4]NMPの追添加量を14.8
kg(149.2モル)としたこと以外は、実施例1と
同様に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使
用量は、スルフィド化剤1モルに対し、3.6モルであ
った)。重合で得られたPPSのメルトフローレートは
60g/10分、降温結晶化温度は196℃であった。
【0075】この場合、20時間後での口金部分に明ら
かな付着物は認められなかったがフィルム中の欠陥は一
部認められた。また、20時間の製膜の間に1度フィル
ム破れが起こった。
【0076】[実施例5]NMPの追添加量を12.5
kg(125.8モル)としたこと以外は、実施例1と
同様に、重合、ペレタイズ、製膜を行った(NMPの使
用量は、スルフィド化剤1モルに対し、3.3モルであ
った)。重合で得られたPPSのメルトフローレートは
57g/10分、降温結晶化温度は194℃であった。
【0077】この場合、20時間後での口金部分に明ら
かな付着物は認められなかったがフィルム中の欠陥は一
部認められた。また、20時間の製膜の間に2度のフィ
ルム破れが起こった。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、フィルムまたは繊維用
として好適なポリアリーレンスルフィド樹脂を提供する
ことができ、物理特性に優れたフィルムおよび繊維を安
定して提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA62 AG33 AH12 BA01 BB06 BC01 4J030 BA03 BA48 BB21 BB22 BB29 BB31 BC08 BC11 BD22 BG09 4L035 BB31 DD14 DD19 FF01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリハロゲン芳香族化合物とスルフィド
    化剤とを極性有機溶媒中で反応させてポリアリーレンス
    ルフィド樹脂を重合する際に、該スルフィド化剤1モル
    当たり、該極性有機溶媒を3.2〜5.5モル使用して
    重合を行うことを特徴とするフィルムまたは繊維用ポリ
    アリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 該重合の際に、該スルフィド化剤1モル
    当たり、該極性溶媒を3.5〜5.5モル使用して重合
    を行うことを特徴とする請求項1に記載のフィルムまた
    は繊維用ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 【請求項3】 該重合途中で、該スルフィド化剤1モル
    当たり、水を0.2〜10モル添加することを特徴とす
    る請求項1または2に記載のフィルムまたは繊維用ポリ
    アリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 該重合を、有機カルボン酸のアルカリ金
    属塩の存在下で行い、かつ、該有機カルボン酸のアルカ
    リ金属塩の量を、該スルフィド化剤1モル当たり、0.
    3〜0.6モルに制御することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のフィルムまたは繊維用ポリアリー
    レンスルフィド樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 該重合後、得られたポリアリーレンスル
    フィド樹脂を有機溶媒で洗浄することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載のフィルムまたは繊維用ポリ
    アリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    より製造されたことを特徴とするフィルムまたは繊維用
    ポリアリーレンスルフィド樹脂。
  7. 【請求項7】 該ポリアリーレンスルフィド樹脂が、2
    10℃以下の降温結晶化温度を有するものである請求項
    6に記載のフィルム用ポリアリーレンスルフィド樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載のフィルムまた
    は繊維用ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いて製造さ
    れたことを特徴とするフィルムまたは繊維。
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