JP5176344B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法およびポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して、0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン,4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼン,4,4’−ジクロロジフェニルスルホン,4,4’−ジクロロジフェニルケトンが、より好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
本発明においては、高重合度のポリアリーレンスルフィド樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも有用である。ここで重合助剤とは得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを通常200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。重合反応には通常耐圧容器を用い、加圧条件下で行われる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物からフラッシュ法にて固形物を回収する。固形物はポリマ−と副生成物(NaCl等)の混合物を主とする組成である。
その後、副生する塩類を除去するために一般に水を用いて重合反応物を洗浄する。洗浄はバッチ式でも連続式でもさしつかえないが、使用する水の種類としてはイオン交換水、蒸留水が好ましく用いられる。また洗浄の温度としては20℃以上220℃以下が好ましく、50℃以上200℃以下が特に好ましい。20℃未満の温度では副生する塩類の除去が困難であり、220℃を越えると高圧になり安全上好ましくない。
かくして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体は、常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が選択され、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気の何れでも良いが、減圧下で行うことが好ましく、特に常圧下で乾燥を行って水分等を除去した後、減圧下で再度乾燥することが好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が選択され、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体から繊維を得る場合、上記PAS樹脂粉粒体を原料として溶融紡糸するが、溶融紡糸に適用する前に、本発明のPAS樹脂粉粒体を一旦押出し機に供給して溶融押出ししペレットとした後、溶融紡糸に適用することが望ましい。また、本発明のPAS樹脂粉粒体を繊維以外の用途で用いる場合も、一旦ペレタイズして用いることが好ましい。
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
以下の方法により、ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体及びペレット中の口金汚れ成分の分析をガスクロマトグラフにより行った。
(1)上部がガラス管となったアンプル管に試料2gを秤量し、真空下で封印する。
(2)下部は320℃に調整した電気管状炉にセットし、上部ガラス管部分は電気炉外に出した状態でセットし2時間加熱する。
(3)加熱が終了したらアンプル管を取り出し室温まで放冷する。
(4)上部ガラス管部分を切断し、凝縮し捕集したオリゴマー、揮発性不純物を5gのクロロホルムで洗浄抽出する。
(5)洗浄液はサンプル瓶に捕集し、内部標準液を2μl加える。
(6)サンプルを下記条件に設定した、ガスクロマトグラフに1μl注入し分析する。
(ア)使用カラム
カラム名:HP−5MS(ヒューレットパッカート社製)、Max温度300℃
カラム極性:微極性
固定相組成:5%diphcnyl 95%dimethyl polysiloxane
カラム内径:0.32mm
液相膜厚:0.25μm
カラム長:30m
(イ)GC設定
気化室
・温度:300℃
・キャリアガス:He
・圧力:100kPa
・全流量:50ml/min
・カラム流量:2.93ml/min
・線速度:46.7cm/sec
・パージ流量:3ml/min
・スプリット比:15
カラムオーブン
・温度:80℃
・レート:6.0℃/min、温度:80→300℃、ホールド:24min
検出器
・温度:320℃
・FID検出器
(7)リテンションタイム13分〜40分に検出される10ピーク成分の面積合計を内部標準液面積でわり、面積比として計算した。
JIS L−1015−8−7−1に従い行った。
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.8%水硫化ナトリウム11728g(100モル)、48.85%水酸化ナトリウム8262g(100.9モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)20035g(202モル)、酢酸ナトリウム3200g(39.0モル)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水10348gおよびNMP200gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モルであった。
PPS−1を日本製鋼所社製TEX30型2軸、2カ所ベント付き押出機を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレタイズ、乾燥、紡糸、延伸、捲縮、熱処理、カットを実施し、ステープル繊維の評価を行った。ペレットの口金汚れ成分の面積比は0.9であった。紡糸時糸切れ頻度は1回/9時間、口金パック樹脂内圧上昇率は2%、糸強度4.0cN/dtex、糸伸度47%であった。結果を表1に示した。
48.85%水酸化ナトリウムの仕込量を8116g(99.1モル)、酢酸ナトリ
ウムの仕込量を2109.4g(25.7モル)、p−DCBの仕込量を14930g(101.6モル)とした以外は、実施例1と同様にして行った。 得られたPAS−2は、MFRが580g/10分であった。更に、口金汚れ成分の面積比は1.4であった。結果を表1に示した。
各原料、重合、容器を250℃に加熱してフラッシュし、大半のNMPを除去するまでは全て実施例1と同様にして行った。次に、更なる加熱蒸気の供給は行わず、実施例1と同様の方法でイオン交換水にて洗浄し、乾燥し、PAS−3を得た。得られたPAS−3は、MFRが210g/10分であった。更に、口金汚れ成分の面積比は、2.2であった。結果を表1に示した。
(2) ポリマー回収工程
(3) 洗浄工程
(4) 乾燥工程
(5) 熱酸化(キュアリング)工程/熱処理工程
(6) ペレタイズ工程
(7) 溶媒精製工程
Claims (2)
- ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性溶媒中で反応させた後、固形物をフラッシュ法で回収する際に、重合反応物をフラッシュする気流中へ水蒸気を供給し、溶媒揮発後も固形物の温度が250℃を越え270℃以下となるまで水蒸気の供給および加熱を継続することによりオリゴマー量を低減させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法。
- 請求項1の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体を、1カ所以上のベントを有する押出し機に供給してガット状に溶融押出し、次いでガットを切断することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法。
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