JP5176344B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法およびポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法およびポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、安価なフラッシュ法を適用して、溶融紡糸して得た繊維の糸強度に優れ、かつ紡糸時の口金汚れや糸切れ原因となるオリゴマー及び揮発性不純物の発生量が少なく、溶融紡糸時の生産性にも優れたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体とポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを製造する方法に関するものである。
ポリフェニリレンスルフィド樹脂を始めとするポリアリーレンスルフィド樹脂(以下PAS樹脂と略記することもある)は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、などに使用されている。また、近年、その耐熱性、耐薬品性を活かして、溶融紡糸により繊維とし、バグフィルター、抄紙用途、結束糸用途等などへの使用が増加している。
PAS樹脂の製造プロセスは、一般に図1に示すような工程に分かれている。
すなわち、図1に示したように、PAS樹脂ペレットは、(1)重合工程−(2)ポリマー回収工程−(3)洗浄工程−(4)乾燥工程−(5)熱酸化(キュアリング)工程/熱処理工程−(6)ペレタイズ工程を経て製造される。なお、図中の(7)は溶媒精製工程である。
ここで、(1)の重合工程では、有機溶媒が使用されるため、元来オリゴマーや揮発性不純物の複製が多い。
また、(2)に示すポリマー回収工程では、フラッシュ法、すなわち高温高圧の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気へ重合反応物をフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒状に回収する方法が従来より知られている。この方法はポリマーと溶媒の固液分離と回収が一度に実施できるため効率が良く、比較的安価にPAS樹脂が得られる方法として広範に利用されているが、後工程にて溶媒洗浄を行わない場合は、オリゴマーや揮発性不純物がポリマー中に残存し易いという欠点を有している。
PAS樹脂は、融点が高いため溶融加工温度が高く、オリゴマーや揮発性不純物がガスとなって発生し易く、特に溶融紡糸によって繊維を得る場合などにおいては、これらオリゴマーや揮発性不純物が口金汚れを引き起こし、糸切れの原因となる問題があり、その低減が強く望まれている。
オリゴマーによる不具合を解消する手段としては、(3)の洗浄工程において、主因となる低分子量物に着目し、有機溶媒で反応生成ポリマーを洗浄してオリゴマーを除去する方法(例えば、特許文献1参照)が知られているが、この場合には(7)の溶媒精製工程が複雑かつ大規模になり、製造コストが高くなるため経済的でないという欠点があった。
そこで、(5)の熱酸化工程(キュアリング工程)において熱酸化処理することにより、ガスを低減する方法が数多く提案されており、例えばポリマー粘度が5000〜16000ポイズ(500〜1600Pa・s)(310℃、剪断速度200/秒)の範囲内、非ニュートニアン係数nが1.5〜2.1の範囲内になるようにPAS樹脂にキュアリングを施し、これを溶融押し出しして得られる押出成形物(例えば、特許文献2参照)、低酸素雰囲気下でPASを硬化させる方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。しかし、これら熱酸化処理は酸化架橋反応を伴うため、一部は高架橋物となってゲル化し、溶融紡糸時にゲル化物がパックに詰まりやすく、パック圧の急激な上昇や糸切れを招きやすいという欠点があった。また、酸化架橋が強い場合には、溶融粘度が高くなり、紡糸時の圧力が高くなりすぎ、溶融紡糸には不向きであった。
また、ゲル化物発生を抑制するために、比較的高粘度のPASを比較的軽度に熱酸化処理する方法、すなわち平均粒径が200μm以上であり、かつメルトフローレート(ASTM D−1238−70に準じ、温度315.5℃、荷重5000gにて測定)が100g/10分を越え500g/10分以下であり、更に色調を示すL値が85〜70でとなるように熱処理を施したPPS樹脂粉粒体(例えば、特許文献4参照)が知られているが、この場合の実際の製造においては、(5)の熱酸化工程内に蓄積している炭化物やゲル化物の混入があるために大きい効果が得られず、これを抑止しようとすると熱酸化工程の頻繁な洗浄、或いは専用の熱酸化工程が必要となって経済的でないという欠点があった。そればかりか、この場合には(2)のポリマー回収工程がフラッシュ法に限定されていないため、その他の回収法を使用する場合には高コストになるという欠点もあった。
一方、安価なフラッシュ法に着目して、オリゴマー性ガスを低減する方法が提案されており、フラッシュ法で回収した後、金属イオンが500ppm以下の洗浄水で洗浄し、灰分を0.5重量%以下のPPS樹脂とした後、不活性気体の雰囲気下で熱処理するPPS樹脂の製造方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。しかし、この方法の場合も上記と同様に(5)の熱処理工程で実施するため蓄積している炭化物やゲル化物の混入があって大きい効果が得られず、これを抑止しようとすると熱処理工程での頻繁な洗浄、或いは専用の熱処理工程が必要となって経済的でないという欠点があった。
特開昭59−6221号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−207827号公報(特許請求の範囲) 特開平1−121327号公報(特許請求の範囲) 国際公開第2006/59509号パンフレット(請求の範囲) 特開平7−233526号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消するために検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、安価なフラッシュ法を適用して、溶融紡糸して得た繊維の糸強度に優れ、かつ紡糸時の口金汚れや糸切れ原因となるオリゴマー及び揮発性不純物の発生量が少なく、溶融紡糸時の生産性にも優れたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体とポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際、ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性溶媒中で反応させフラッシュ法で回収する際、水蒸気を供給して溶媒を揮発させ、更に溶媒揮発後も固形物の温度が一定以上となるまで、充分に水蒸気を供給して加熱することにより、紡糸時や製膜時の口金汚れや成形時の金型汚れとなるオリゴマー及び揮発性不純物成分が水蒸気に同伴して揮散し、ポリマー中から除去されることを見出した。またこの方法であれば、溶媒揮散と同時にポリマー中のこれら不純物が除去できるため、後工程での加熱酸化処理やその際の異物混入の懸念も無く、エネルギー的にも高効率で、低コストの実現が可能であることも同時に見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記目的を達成するために本発明によれば、ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性溶媒中で反応させた後、固形物をフラッシュ法で回収する際に、重合反応物をフラッシュする気流中へ水蒸気を供給し、溶媒揮発後も固形物の温度が250℃を越え270℃以下となるまで水蒸気の供給および加熱を継続することによりオリゴマー量を低減させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法が提供される。
また、メルトフローレート(ASTM D−1238−70に準ず。温度315.5℃、荷重5000gにて測定。)が100g/10分を越え300g/10分以下である上記の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体も提供され、さらに上記の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体を、1カ所以上のベントを有する押出し機に供給してガット状に溶融押出し、次いでガットを切断することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法も提供される。
本発明によれば、安価なフラッシュ法を適用して、溶融紡糸して得た繊維の糸強度に優れ、かつ紡糸時の口金汚れや糸切れ原因となるオリゴマー及び揮発性不純物の発生量が少なく、溶融紡糸時の生産性にも優れたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体とポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂とは、式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては、下記式(A)から式(K)などで表される単位などが例示されるが、なかでも(A)が特に好ましい。
Figure 0005176344
(ただし、式中のR1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して、0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
Figure 0005176344
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂は、上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であっても良い。
これらポリアリーレンスルフィド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリマーの主要構成単位として、下記式で表されるp−フェニレン単位を、好ましくは90モルパーセント以上、より好ましくは98モルパーセント以上含有するポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられ、これらの中でも、ポリパラフェニレンスルフィドが特に好ましい。
Figure 0005176344
本発明により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の溶融粘度は、より優れた紡糸特性及び糸強度を得る観点から、ASTM D−1238−70に準じ、温度315.5℃、荷重5000gにて測定したメルトフローレートが100g/10分を越え300g/10分以下、特に150〜250g/10分の範囲であることが好ましい。
次に、本発明のポリアリーレンスルフィド粉粒体の製造方法について説明する。
まず、本発明の製造方法において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン,4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼン,4,4’−ジクロロジフェニルスルホン,4,4’−ジクロロジフェニルケトンが、より好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
かかるポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のポリアリーレンスルフィド樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり、好ましくは0.9から2.0モル、より好ましくは0.95から1.5モル、特に好ましくは1.005から1.2モルの範囲がよい。
[スルフィド化剤]
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
本発明において、スルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量を適切に選択することが重要である。本発明における有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.8モルから5.5モルの範囲が選択され、好ましくは2.9から5.5モルの範囲が選択される。有機極性溶媒の量が多い程低分子量不純物の副成が抑制される効果があり、使用量がスルフィド化剤1モル当たり2.8モル未満ではの低分子量物の副成が多く適切ではない。また有機極性溶媒を、スルフィド化剤1モル当たり5.5モルを越える量使用して重合しても、低分子量物の生成抑制効果は飽和傾向であり、また重合度が上がり難い、結晶化速度が速くなりすぎて、特に充分な糸強度が得られないなどの問題点を引き起こし得るため、適切ではない。
[重合助剤]
本発明においては、高重合度のポリアリーレンスルフィド樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも有用である。ここで重合助剤とは得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
上記有機カルボン酸塩の中でも、有機カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく用いられる。かかる有機カルボン酸のアルカリ金属塩とは、一般式R(COOM)n (式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機極性溶媒中で、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性に劣ると推定しており、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
かかるアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、アルカリ金属硫化物1モルに対し、0.3〜0.6モルの範囲が好ましく、0.35〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また、重合助剤として水を用いる場合の添加量は、アルカリ金属硫化物1モルに対し、0.2〜10モルの範囲が選択され、0.2〜5モルの範囲がより好ましく、0.2〜1モルの範囲が更に好ましい。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよい。
次に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法について、前工程、重合工程、回収工程、洗浄工程、乾燥工程及びペレタイズ工程と、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
[重合工程]
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを通常200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。重合反応には通常耐圧容器を用い、加圧条件下で行われる。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
[フラッシュ法回収工程]
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物からフラッシュ法にて固形物を回収する。固形物はポリマ−と副生成物(NaCl等)の混合物を主とする組成である。
フラッシュ法とは、重合反応物を小径ノズルから急激に、大量に短時間の間に噴出させ、同時に溶媒を気化させ、固形物のみを粉末状に得る方法である。重合反応物は高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm圧力以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状及び/または粉粒状にして回収する。
本発明におけるフラッシュ法では、水蒸気を供給する気流中へフラッシュすることが重要である。フラッシュの速度は0.5Kg/Hr〜5000Kg/Hrが好ましい。温度は、まず180〜250℃の状態で溶媒を揮発させ、引き続き水蒸気を供給して、固形物温度が250℃を越え270℃以下となるまで水蒸気を供給しオリゴマーや揮発性不純物を水蒸気に同伴して揮散させる。この温度が250℃以下であると、充分に不純物が揮散できず、270℃以上に高すぎると、内部に塊状物が発生し吐出不能となり易く適さない。253℃〜263℃の範囲がより好ましく例示できる。
本発明のフラッシュ法で供給する水蒸気は、高温まで温度を上げる必要性から、5kg/cm〜20Kg/cmの高圧水蒸気が好ましく用いられる。また、5〜10Kg/cm水蒸気を熱交換器により更に加熱した過熱蒸気を用いてもよい。水蒸気の供給量は、特に制限は無いが、フラッシュ時の圧力上昇とエネルギーコストを考慮して決定する。好ましくは、50Kg/Hr〜5000Kg/Hrが使用される。
また、本発明のフラッシュ時には、上記とは別にフラッシュさせる容器を加熱する。温度は、溶媒の沸点以上275℃以下が好ましい。溶媒の沸点以下では溶媒が揮発しにくく、275℃以上では壁面で塊状物が発生し吐出不能となり易く適さない。より好ましくは、260℃以上270℃以下の範囲で加熱する。
[洗浄工程]
その後、副生する塩類を除去するために一般に水を用いて重合反応物を洗浄する。洗浄はバッチ式でも連続式でもさしつかえないが、使用する水の種類としてはイオン交換水、蒸留水が好ましく用いられる。また洗浄の温度としては20℃以上220℃以下が好ましく、50℃以上200℃以下が特に好ましい。20℃未満の温度では副生する塩類の除去が困難であり、220℃を越えると高圧になり安全上好ましくない。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂洗浄においては酸処理を行ってもよい。酸処理を行う場合に用いる酸は、PAS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPAS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
さらにまた、本発明においてはポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄することもできるが、溶媒精製工程が大規模化しコスト高となる。洗浄する場合の有機溶媒としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、などが挙げられる。
[乾燥工程]
かくして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体は、常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が選択され、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気の何れでも良いが、減圧下で行うことが好ましく、特に常圧下で乾燥を行って水分等を除去した後、減圧下で再度乾燥することが好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が選択され、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
[ペレタイズ工程]
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体から繊維を得る場合、上記PAS樹脂粉粒体を原料として溶融紡糸するが、溶融紡糸に適用する前に、本発明のPAS樹脂粉粒体を一旦押出し機に供給して溶融押出ししペレットとした後、溶融紡糸に適用することが望ましい。また、本発明のPAS樹脂粉粒体を繊維以外の用途で用いる場合も、一旦ペレタイズして用いることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法においては、1カ所以上のベントを有する押出し機に供給して溶融押出しすることが重要である。押出し機は、単軸、2軸の押出機が用いられるが、不純物を脱気により除去することを目的として、1カ所以上のベントを有するものが好ましく用いられる。より好ましくは、2カ所以上5カ所以下のベントを有する押出し機が用いられる。ベントが1カ所以下では、脱気効率が低く、5カ所以上では押し出し機が滞留時間が長く成り過ぎてかえって分解ガスが多くなる。
押し出し時の樹脂温度は、PAS樹脂の融解ピーク温度+5〜60℃の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。
このように、ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体を1カ所以上のベントを有する押出し機に供給してガット状に溶融押出し、次いでガットを切断することにより、目的とするポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを得ることができる。
かくして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体およびペレットは、オリゴマーや揮発性不純物が少なく、溶融押出時の口金汚れが問題となり易い繊維やフィルム用途に適している。
本発明で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体およびペレットを使用する繊維の製造方法としては、公知の溶融紡糸方法が適用することができ、例えば、原料であるポリアリーレンスルフィド樹脂チップを単軸または2軸の押出機に供給しながら混練し、ついで押出機の先端部に設置したポリマー流線入替器、濾過層などを経て紡糸口金より押出し、冷却、延伸、熱セットを行う方法などを採用することができるが、特にこれに限定されるものではない。
このようにして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂のモノフィランメントあるいは短繊維は、抄紙ドライヤーキャンバス、ネットコンベヤー、バグフィルターなどの各種用途に好適に使用することができる。
本発明で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体およびペレットを使用するフィルムの製造方法としては、公知の溶融製膜方法が採用することができ、例えば、単軸または2軸の押出機中でポリアリーレンスルフィド樹脂を溶融後、フィルムダイより押出し冷却ドラム上で冷却してフィルムを作成する方法、あるいは、このようにして作成したフィルムをローラー式の縦延伸装置とテンターと呼ばれる横延伸装置にて縦横に延伸する二軸延伸法などにより製造することができるが、特にこれに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により行った。
[MFR]
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
[口金汚れ成分の分析]
以下の方法により、ポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体及びペレット中の口金汚れ成分の分析をガスクロマトグラフにより行った。
(1)上部がガラス管となったアンプル管に試料2gを秤量し、真空下で封印する。
(2)下部は320℃に調整した電気管状炉にセットし、上部ガラス管部分は電気炉外に出した状態でセットし2時間加熱する。
(3)加熱が終了したらアンプル管を取り出し室温まで放冷する。
(4)上部ガラス管部分を切断し、凝縮し捕集したオリゴマー、揮発性不純物を5gのクロロホルムで洗浄抽出する。
(5)洗浄液はサンプル瓶に捕集し、内部標準液を2μl加える。
(6)サンプルを下記条件に設定した、ガスクロマトグラフに1μl注入し分析する。
(ア)使用カラム
カラム名:HP−5MS(ヒューレットパッカート社製)、Max温度300℃
カラム極性:微極性
固定相組成:5%diphcnyl 95%dimethyl polysiloxane
カラム内径:0.32mm
液相膜厚:0.25μm
カラム長:30m
(イ)GC設定
気化室
・温度:300℃
・キャリアガス:He
・圧力:100kPa
・全流量:50ml/min
・カラム流量:2.93ml/min
・線速度:46.7cm/sec
・パージ流量:3ml/min
・スプリット比:15
カラムオーブン
・温度:80℃
・レート:6.0℃/min、温度:80→300℃、ホールド:24min
検出器
・温度:320℃
・FID検出器
(7)リテンションタイム13分〜40分に検出される10ピーク成分の面積合計を内部標準液面積でわり、面積比として計算した。
[糸強度および伸度]
JIS L−1015−8−7−1に従い行った。
[実施例1]
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.8%水硫化ナトリウム11728g(100モル)、48.85%水酸化ナトリウム8262g(100.9モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)20035g(202モル)、酢酸ナトリウム3200g(39.0モル)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水10348gおよびNMP200gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)14709g(100.0モル)、NMP7068g(71.39モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から250℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、250℃で70分保持した。次いで、250℃から278℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、278℃で78分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、6kg/cmの蒸気を加熱し、270℃とした過熱蒸気を供給しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、容器を250℃に加熱し、撹拌して大半のNMPを除去した。更に加熱蒸気を供給して固形物温度が255℃になった際蒸気供給及び加熱を停止した。
得られた固形物およびイオン交換水108リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した108リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水128リットルを、撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水108リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PAS−1を得た。
得られたPAS−1は、MFRが200g/10分であった。更に、口金汚れ成分の面積比は1.2であった。結果を表1に示した。
次に、PAS−1を日本製鋼所社製TEX30型2軸、1カ所ベント付き押出機で、シリンダー設定温度を290℃に設定し、160rpmのスクリュー回転にて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。ペレタイズ速度は20kg/時間であった。得られたペレットの口金汚れ成分の面積比は1.1であった。
次いで、165℃で5時間真空乾燥を行った後、該ポリマーを用いて、ステープル繊維を作製した。溶融紡糸設備を用いて溶融し、軽量ポンプを介して、口金パックから、紡糸温度320℃、吐出量350g/分にて吐出し、引取速度1000m/分にて引き取り、紡糸テストに供した。紡糸時の糸切れ頻度は1回/8時間であった。初期樹指圧に対する7時間紡糸後の口金パック樹脂内圧上昇率は2.5%であった。
次に、得られた糸条を13万dtexに集束し、延伸倍率3.0倍、延伸温度98℃の浴中にて延伸し、スタッフィングボックス型クリンパーにて捲縮を付与し、温度140℃にて弛緩熱処理し、ECカッターにて51mmにカットして、繊度2.7dtexのステープル繊維を得た。ステープル繊維の糸強度4.0cN/dtex、糸伸度47%であった。結果を表1に示した。
[実施例2]
PPS−1を日本製鋼所社製TEX30型2軸、2カ所ベント付き押出機を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレタイズ、乾燥、紡糸、延伸、捲縮、熱処理、カットを実施し、ステープル繊維の評価を行った。ペレットの口金汚れ成分の面積比は0.9であった。紡糸時糸切れ頻度は1回/9時間、口金パック樹脂内圧上昇率は2%、糸強度4.0cN/dtex、糸伸度47%であった。結果を表1に示した。
[実施例3]
48.85%水酸化ナトリウムの仕込量を8116g(99.1モル)、酢酸ナトリ
ウムの仕込量を2109.4g(25.7モル)、p−DCBの仕込量を14930g(101.6モル)とした以外は、実施例1と同様にして行った。 得られたPAS−2は、MFRが580g/10分であった。更に、口金汚れ成分の面積比は1.4であった。結果を表1に示した。
[比較例1]
各原料、重合、容器を250℃に加熱してフラッシュし、大半のNMPを除去するまでは全て実施例1と同様にして行った。次に、更なる加熱蒸気の供給は行わず、実施例1と同様の方法でイオン交換水にて洗浄し、乾燥し、PAS−3を得た。得られたPAS−3は、MFRが210g/10分であった。更に、口金汚れ成分の面積比は、2.2であった。結果を表1に示した。
次に、 PPS−3を用い、実施例1と同様にペレタイズ、乾燥、紡糸、延伸、捲縮、熱処理、カットを実施し、ステープル繊維の評価を行った。ペレットの口金汚れ成分の面積比は1.8であった。紡糸時糸切れ頻度は1回/3時間、口金パック樹脂内圧上昇率は4%、糸強度4.0cN/dtex、糸伸度44%であり、糸切れが頻繁に起こり、紡糸性に劣る結果であった。結果を表1に示した。
Figure 0005176344
本発明で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体およびペレットは、オリゴマーや揮発性不純物が少ないため、溶融押出時の口金汚れが問題となり易い繊維やフィルム用途に極めて適している。
一般的なポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体製造工程を示すブロックフロー図である。
符号の説明
(1) 重合工程
(2) ポリマー回収工程
(3) 洗浄工程
(4) 乾燥工程
(5) 熱酸化(キュアリング)工程/熱処理工程
(6) ペレタイズ工程
(7) 溶媒精製工程

Claims (2)

  1. ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性溶媒中で反応させた後、固形物をフラッシュ法で回収する際に、重合反応物をフラッシュする気流中へ水蒸気を供給し、溶媒揮発後も固形物の温度が250℃を越え270℃以下となるまで水蒸気の供給および加熱を継続することによりオリゴマー量を低減させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法。
  2. 請求項1の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体を、1カ所以上のベントを有する押出し機に供給してガット状に溶融押出し、次いでガットを切断することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造方法。
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