JP3074746B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP3074746B2
JP3074746B2 JP03023448A JP2344891A JP3074746B2 JP 3074746 B2 JP3074746 B2 JP 3074746B2 JP 03023448 A JP03023448 A JP 03023448A JP 2344891 A JP2344891 A JP 2344891A JP 3074746 B2 JP3074746 B2 JP 3074746B2
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオリゴマー量が少なく、
かつ無機充填剤あるいは他の樹脂との樹脂組成物の機械
的強度がすぐれるポリアリーレンスルフィドの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来技術】ポリフェニレンスルフィドに代表されるポ
リアリーレンスルフィド樹脂は、そのすぐれた耐熱性・
耐薬品性により射出成形用・押出成形用等に幅広く使用
されている。その使用方法は、ポリアリーレンスルフィ
ド樹脂そのもののみならず、無機充填剤、他の樹脂等と
ブレンドして使用される用途が多い。また、金型腐食お
よび成形品のウエルド部の機械的強度の点からオリゴマ
ー量の少ないポリアリーレンスルフィド樹脂が望まれて
いる。
【0003】従来、無機充填剤あるいは他の樹脂との親
和性を向上させる手段として特開昭57−108136
号公報に代表されるように灰分率の低いポリアリーレン
スルフィド樹脂が好ましかった。しかし、この方法で得
られたポリアリーレンスルフィド樹脂はオリゴマー量が
多く、これを用いて得られた成形品のウエルド部の強度
が十分でないという欠点があった。
【0004】オリゴマーの定量法としては、クロロホル
ム、塩化メチレン、アセトン等の溶媒による抽出量ある
いは重合体の加熱減量(370℃/1時間)が簡便な方
法であり、例えばクロロホルム抽出量(ソックスレー抽
出法)で見ると上記公報の方法では約3.5%、加熱減
量は0.9%程度である。
【0005】そこで特開昭59−6221号公報に代表
されるように溶媒で反応生成ポリマーを洗浄してオリゴ
マーを除くという方法が公知である。しかし、この方法
によればオリゴマー量は減少するものの、溶媒回収等で
製造コストが高くなるという欠点がある。
【0006】また、米国特許3,717,620に代表
されるように、空気中で熱架橋する方法が提案されてい
るが、この方法だと十分にオリゴマーが除去されないう
ちに所望のメルトフローレイトに達するという欠点があ
った。
【0007】そこで特開平1−121327号公報で、
酸素濃度が20%未満で熱架橋する方法が提案されてい
るが、オリゴマーの除去が十分でなく溶融時の粘度安定
性が改善されたにとどまり、無機充填剤あるいは他の樹
脂との樹脂組成物も十分な機械的強度を有していない。
【0008】
【発明が解決しようとする問題】本発明は、オリゴマー
量が少なく、かつ無機充填剤あるいは他の樹脂との樹脂
組成物として機械的強度がすぐれた組成物を与えるポリ
アリーレンスルフィドを経済性良く製造する方法を提供
するものである。
【0009】
【問題を解決するための手段】上記の目的は、ポリハロ
ゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性有機溶
媒中で反応させフラッシュ法で回収し、金属イオンが5
00ppm以下の洗浄水で洗浄して得られる灰分率が
0.5重量%未満のポリアリーレンスルフィドの粉末
を、不活性気体の雰囲気下、180℃を越え融点未満の
温度において、熱処理前後のメルトフローレイトが下式
を満たすように熱処理してポリアリーレンスルフィド中
のオリゴマー量を低減させることを特徴とするオリゴマ
ー量の低減されたポリアリーレンスルフィドの製造方法
によって達成される。 0.5≦MFo/MFh≦2.5 但し、 MFo:熱処理前のメルトフローレイト MFh:熱処理後のメルトフローレイト である。
【0010】なお、本発明において、メルトフローレイ
トとは、ASTM D−1238に準じて温度315.
6℃荷重5kgにて測定したものである。単位はg/1
0分である。
【0011】
【作用及び効果】ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ
金属硫化物とを極性有機溶媒中で反応させフラッシュ法
で回収し、金属イオンが500ppm以下の洗浄水で洗
浄して得られる灰分率が0.5重量%未満のポリアリー
レンスルフィドの粉末を、特定の気体の雰囲気下、特定
の温度範囲で特定のメルトフローレイト範囲内に熱処理
することにより効率的にオリゴマー量を低減させ、かつ
無機充填剤あるいは他の樹脂との樹脂組成物の機械的強
度がすぐれるポリアリーレンスルフィドを得ることがで
きる。
【0012】このような作用の機構は明らかでないが、
無機充填剤あるいは他の樹脂との反応基を残したまま、
もしくは強制的に増加させると同時にオリゴマー量を低
下することができるため、無機充填剤あるいは他の樹脂
との親和性が高いと思われる。
【0013】
【発明の具体的開示】本発明のポリアリーレンスルフィ
ドを製造する際使用するポリハロゲン芳香族化合物とは
ハロゲン原子が2以上でかつ分子量が1000未満の芳
香族化合物をいう。具体例としては、p−ジクロルベン
ゼン、m−ジクロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、
1,3,5−トリクロルベンゼン、1,2,4−トリク
ロルベンゼン、1,2,4,5−テトラクロルベンゼ
ン、ヘキサクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエ
ン、2,5−ジクロル−p−キシレン、1,4−ジブロ
ムベンゼン、1,4−ジクロルナフタリン、1,5−ジ
クロルナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロルベ
ンゼン、4,4′−ジクロルビフェニル、3,5−ジク
ロル安息香酸、4,4′−ジクロルジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジクロルジフェニルスルホン、4,4′
−ジクロルジフェニルケトンなどがあり、なかでも、p
−ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロルジフェニルス
ルホン、4,4′−ジクロルジフェニルケトンが好まし
く用いられる。
【0014】本発明のポリアリーレンスルフィドを製造
する際使用するアルカリ金属硫化物とは、周期律表IA
族の金属の硫化物であり具体的には硫化リチウム、硫化
ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシ
ウム、硫化フランシウムであり、中でも硫化ナトリウム
が好ましく用いられる。
【0015】また、アルカリ金属硫化物の合成法に特に
制限はなく、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸
化物より、あるいはアルカリ金属水酸化物と硫化水素よ
り合成されたものを用いてもさしつかえない。また、ア
ルカリ金属硫化物は無水のものでも結晶水を含んでいて
も良く、水溶液でもさしつかえない。
【0016】本発明のポリアリーレンスルフィドを製造
する際使用する極性有機溶媒としては、N−メチルピロ
リドン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサ
メチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメ
チレンスルホキシドなどがあげられ、中でもN−メチル
ピロリドンが好ましく用いられる。
【0017】アルカリ金属硫化物等に水が含有される場
合は、ポリハロゲン芳香族化物と反応させる前に脱水工
程が必要とされる。その後、温度150〜300℃で反
応せしめる。
【0018】この際、有機カルボン酸塩、有機スルホン
酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、
アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、等
の助剤を添加することもできるし、水、有機酸、無機
酸、末端封止剤等を本発明の効果がそこなわれない限り
添加することができる。
【0019】本発明のポリアリーレンスルフィドとは、
【化1】 の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまた
はコポリマーである。この繰り返し単位を主要構成単位
とする限り、
【化2】 等で表わされる少量の分岐結合または架橋結合を含むこ
ともできる。
【0020】Arとしては、
【化3】
【化4】 (R1 ,R2 は水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロ
ゲン基から選ばれる基である)などがある。
【0021】特に好ましく用いられるポリアリーレンス
ルフィドとしては、ポリマーの主構成単位としてp−フ
ェニレンスルフィド単位
【化5】 を90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド、
ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレ
ンスルフィドケトンがあげられる。
【0022】本発明においてはポリハロゲン芳香族化合
物とアルカリ金属硫化物とを極性有機溶媒中で反応させ
フラッシュ法でポリアリーレンスルフィドを粉末として
回収する。
【0023】重合反応物は高温高圧(通常250℃以
上、8kg/cm2 圧力以上)の状態から常圧もしくは
減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重
合体を粉末状にして回収する。フラッシュ法とは、重合
反応物を小径ノズルから急激に、大量に短時間の間に噴
出させ、同時に溶媒を気化させ、固形物のみを粉末状に
得る方法である。
【0024】本発明においてここでは固形物はポリマと
副生成物(NaCl等)の混合物を主とする組成であ
る。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧
中の窒素または水蒸気中へフラッシュし、温度は180
〜250℃の状態である。噴出速度については後に詳述
する。
【0025】回収後、副生する塩類を除去するために水
を用いて重合反応物を洗浄する。洗浄はバッチ式でも連
続式でもさしつかえないが、使用する水の金属イオン
500ppm以下である。
【0026】金属イオンが500ppmを越える水を使
用すると、本発明の灰分率0.5重量%未満のポリアリ
ーレンスルフィドを得ることは困難であり特に注意する
必要がある。使用する水の種類としてはイオン交換水、
蒸留水が好ましく用いられる。また洗浄の温度としては
20℃以上220℃以下が好ましく、50℃以上200
℃以下が特に好ましい。20℃未満の温度では塩類の除
去が困難であり、220℃を越えるとポリアリーレンス
ルフィドと無機充填剤あるいは他の樹脂との樹脂組成物
の機械的強度が低下するため好ましくない。
【0027】本発明の灰分率0.5重量%未満のポリア
リーレンスルフィドを得るために、洗浄水に有機酸、無
機酸を添加することが好ましい。中でも酢酸、硫酸、塩
酸、硝酸が特に好ましく用いられる。
【0028】本発明でいう灰分率とは、ポリアリーレン
スルフィド中のイオン性不純物が酸化された無機化合物
のことであり、具体的には白金るつぼでポリアリーレン
スルフィドを560℃×6時間焼成した後の残査量を言
う。
【0029】灰分率の範囲は、0.5重量%未満であ
り、特に好ましい範囲0.4重量%以下である。灰分
率が0.5重量%を越えると、得られたポリアリーレン
スルフィドと無機充填剤あるいは他の樹脂との樹脂組成
物の機械的強度が低く好ましくない。
【0030】本発明中の不活性気体とは酸素、オゾン等
の活性酸素を含有しない気体のことであり、窒素、アル
ゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水蒸気およびビニル系単
量体などがあげられ、中でも窒素およびビニル系化合物
が特に好ましく用いられる。
【0031】ここでビニル系化合物とは炭素二重結合を
有している化合物であり、ブタジエン、スチレン、アク
リロニトリル、グリシジルメタクリレート、メチルメタ
クリレート、アクリル酸等のビニル系単量体、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N
−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリア
セトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤
などがあげられるが、無機充填剤あるいは他の樹脂との
親和性が高い構造を有しかつ炭素二重結合を有している
化合物であれば何ら制限はない。この中でもグリシジル
メタクリレートおよびγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランが特に好ましく用いられる。
【0032】本発明中の不活性気体は、実質的に活性酸
素を含有しないことが必須であり酸素濃度としては1.
0容量%未満が好ましく、特に1000ppm未満が好
ましい。酸素濃度が1.0容量%を越えると熱処理して
得られたポリアリーレンスルフィドと無機充填剤あるい
は他の樹脂との樹脂組成物の機械的強度が低くなり好ま
しくない。
【0033】本発明中の熱処理は、180℃を越え融点
未満の温度で行なうことが必要である。180℃以下の
温度ではオリゴマーの除去が十分でなく得られたポリア
リーレンスルフィドの樹脂組成物の機械的強度が低く好
ましくない。また融点以上の温度では、ポリアリーレン
スルフィドが溶融し操作性が劣るため好ましくない。中
でも200℃を越え融点より5℃低い温度未満で行なう
のが特に好ましい。
【0034】本発明でいうオリゴマーとはポリアリーレ
ンスルフィド中の低分子量物即ち、分子量として100
0以下の重合体あるいは副生成物のことである。そのオ
リゴマー量は具体的には溶融時の加熱減量であらわされ
る。予め150℃で1時間以上乾燥させたポリアリーレ
ンスルフィドを370℃で1時間加熱溶融させた時の重
量減量であり、重量%で表わされる。
【0035】ポリアリーレンスルフィドを不活性気体の
雰囲気下、熱処理する際、下式を満たすよう熱処理する
ことが必要である。 0.5≦MFo /MFh ≦2.5 MFo :熱処理前のメルトフローレイト MFh :熱処理後のメルトフローレイト
【0036】MFo /MFh が0.5未満になると得ら
れるポリアリーレンスルフィドの溶融粘度が著しく低く
なり、樹脂組成物の機械的強度が著しく低下するため好
ましくない。また2.5を越えると得られるポリアリー
レンスルフィドの溶融粘度が著しく高くなり、樹脂組成
物の流動性が劣り好ましくない。中でもMFo /MF h
は0.7以上2.0以下が特に好ましく用いられる。
【0037】式、0.5≦MFo /MFh ≦2.5につ
いて更に詳しく説明すると、熱処理前後のMFが大きく
変わらない事を意味しているが、MFo /MFh の値は
熱処理時の温度と雰囲気により左右される。雰囲気中の
酸素濃度が低い程、高温かつ長時間の加熱によってもM
F変化は小さくなる。さらにこの加熱条件は得られるポ
リマ中のオリゴマ量(あるいは加熱減量)とも密接な関
係があり、加熱条件が厳しい程オリゴマ量の低下が可能
となる。
【0038】例えば、MF500のポリマを230℃、
酸素濃度0.1%の窒素雰囲気下で10時間加熱し、M
F450とした際にはMFo /MFh =1.11であっ
て、本発明の範囲であるが、空気中(酸素濃度21%)
で同一条件下で加熱し、MF70になれば、MFo /M
h =7.14となり本発明外である。
【0039】本発明中の熱処理は、これ単独でも十分効
果を発揮するが不活性気体の種類によっては、本発明の
効果がそこなわれない限り本発明の熱処理の前あるいは
後で米国特許3,717,620に記載されたような熱
架橋を行なってもさしつかえない。
【0040】本発明で得られたポリアリーレンスルフィ
ドに、ガラス繊維、炭素繊維、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム等の無機充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、着色剤等を添加することもできる。また、ポリア
ミド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカ
ーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミド
エラストマー等の樹脂を、配合することができる。
【0041】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例によってのみ限定されるもの
ではない。実施例1〜3比較例1〜4
【0042】以下に手順を述べる。攪拌機付の1m3
ートクレーブに硫化ナトリウム・9水塩240.2k
g、酢酸ナトリウム24.6kgおよびN−メチル−2
ピロリドン198kgを仕込み窒素を通じながら205
℃まで約3時間かけて加熱し、水144リットルを留出
した。そこで、反応容器を180℃に冷却し、p−ジク
ロルベンゼン147kgおよびN−メチル−2ピロリド
ン149kgを加え、窒素ガス下に密閉し、270℃ま
で昇温し、270℃で3時間反応を行なった。
【0043】その後、反応液を冷却コンデンサーの付い
た250℃に加熱保温された攪拌槽にフラッシュさせ、
ポリフェニレンスルフィドと塩類の混合粉末を得た。そ
の混合粉末を70℃のイオン交換水500リットルでス
ラリー化し、ポリエステル製フィルター付遠心分離器で
ろ過した。
【0044】得られたケーク、イオン交換水500リッ
トルおよび氷酢酸500mlを攪拌機付1m3 オートク
レーブに入れ窒素ガス下に密閉し、190℃に加熱昇温
し、190℃到達後70℃まで冷却した。得られたスラ
リーを遠心分離器でろ過し、得られたケークを窒素流通
下で乾燥を行ないポリフェニレンスルフィド(PPS−
1)103kgを得た。
【0045】得られたポリフェニレンスルフィド(PP
S−1)のメルトフローレイトは800g/10分であ
り、灰分率は0.20重量%であった。このポリフェニ
レンスルフィド(PPS−1)を用いて、表−1に記載
した熱処理条件で攪拌機付加熱槽を用いて熱処理を行な
い、メルトフローレイトおよび加熱減量を測定し表−1
に示した。
【0046】熱処理後のポリフェニレンスルフィド60
重量部およびガラス繊維(直径13μm長さ3mm)4
0重量部を配合し、二軸押出機を用いて溶融混練しポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。この樹脂組成
物のメルトフローレイトを測定し、表−1に示した。
【0047】得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物を射出成形法によって成形し、成形品の引張強度
(ASTM D−638)、ウエルド部の引張強度を測
定し表−1に示した。
【0048】実施例4〜6 実施例1〜3において、酢酸ナトリウムを用いないで重
合を行った以外、同様の操作でポリフェニレンスルフィ
ド(PPS−2)102kgを得た。得られたポリフェ
ニレンスルフィドのメルトフローレイトは3000g/
10分であり、灰分率は0.30重量%であった。
【0049】このポリフェニレンスルフィド(PPS−
2)を用いて表−1に記載した熱処理条件で熱処理を行
ない、熱処理後のメルトフローレイトと加熱減量は表−
1のようであった。実施例1〜3と同様の操作でポリフ
ェニレン樹脂組成物を得、そのメルトフローレイトおよ
び成形品の機械的強度は表−1のようであった。
【0050】実施例7 1リットルのオートクレーブに、45%水硫化ナトリウ
ム1.00モル(124.4g)および固形水酸化カリ
ウム0.98モルを加え、1モルのN−メチルピロリド
ンおよび1モルのN,N′−ジメチルイミダゾリジノン
とを混合した後、常圧、窒素気流下に内容物を220℃
まで加熱することにより脱水操作を行なった。この操作
中62gの留出物とともに0.023モルの硫化水素が
系外へ出された。
【0051】内温を150℃まで冷却した後、0.99
モルのp−ジブロムベンゼンを固体状で添加し、かつ
0.2モルのN,N′−ジメチルイミダゾリジンを加え
オートクレーブを密封し、270℃まで0.25℃/分
の速度で昇温した。270℃到達直後に、オートクレー
ブ下に設置してある抜出しバルブを開放し、5リットル
の窒素で満たされ、かつ200℃に保たれた常圧容器中
へ内容物を30分間で抜き出した。この時オートクレー
ブの内圧は12.0kg/cm2 であった。
【0052】得られた固形物は一部塊状であったため、
ミキサーにて粉砕し、70℃の水700mlで一回、さ
らに10mlの氷酢酸を加えた水で170℃にて洗浄
(同一のオートクレーブを使用して加熱した)し、乾燥
して粉末状のポリマ(PPS−3)を得た。
【0053】得られたポリマのメルトフローレイトは2
700であった。この重合体をさらに窒素気流中230
℃、2.0時間加熱し、メルトフローレイトが1950
のポリマを得た。ガラス繊維(直径13μm、長さ3m
m)40%を配合し、小型成形機を使用して成形し機械
特性を測定し、表−1に記載した。
【0054】比較例5 米国フッリップス石油(株)のポリフェニレンスルフィ
ド(商標ライトン)V−1を用いて実施例1〜3と同様
に、表−1に記載した熱処理条件で熱処理を行ない、得
られたポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレン
スルフィド樹脂組成物の測定値を表−1に示した。
【表1】
【0055】表−1から明らかなように、本発明の実施
例1〜7の場合、熱処理後のポリアリーレンスルフィド
の加熱減量が少なく、樹脂組成物の機械的強度が高く流
動性も優れていることがわかる。
【0056】それに対して、比較例1〜4のように、空
気中で熱処理を行なう場合(比較例1)、酸素濃度が
1.0容量%を越える雰囲気下で熱処理を行なう場合
(比較例2)、熱処理温度が本発明の範囲を外れる場合
(比較例3)、熱処理前後のメルトフローレイトの比が
本発明の範囲を外れる場合(比較例4)は、熱処理後の
ポリアリーレンスルフィドの加熱減量が大きく樹脂組成
物の機械的強度が十分でなかったり、流動性が劣る。ま
た、比較例5のように灰分率の高いポリアリーレンスル
フィドを用いると、樹脂組成物の機械的強度が著しく低
い。
【0057】
【発明の効果】本発明のポリアリーレンスルフィドの製
造方法によれば、オリゴマー量が少なく、かつ、無機充
填剤あるいは他の樹脂との樹脂組成物として、機械的強
度がすぐれた組成物を与えるポリアリーレンスルフィド
を経済性良く製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−14221(JP,A) 特開 昭57−70157(JP,A) 特開 平4−20566(JP,A) 特開 平4−20567(JP,A) 特開 平4−59870(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00 - 75/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金
    属硫化物とを極性有機溶媒中で反応させフラッシュ法で
    回収し、金属イオンが500ppm以下の洗浄水で洗浄
    して得られる灰分率が0.5重量%未満のポリアリーレ
    ンスルフィドの粉末を、不活性気体の雰囲気下、180
    ℃を越え融点未満の温度において、熱処理前後のメルト
    フローレイトが下式を満たすように熱処理してポリアリ
    ーレンスルフィド中のオリゴマー量を低減させることを
    特徴とするオリゴマー量の低減されたポリアリーレンス
    ルフィドの製造方法。 0.5≦MFo/MFh≦2.5 但し、 MFo:熱処理前のメルトフローレイト MFh:熱処理後のメルトフローレイト である。
  2. 【請求項2】 不活性気体が窒素、二酸化炭素、水蒸気
    およびビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の気
    体であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリー
    レンスルフィドの製造方法。
  3. 【請求項3】 不活性気体中の酸素濃度が1.0容量%
    未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリ
    ーレンスルフィドの製造方法。
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