JP2975093B2 - 高熱安定性ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法および組成物 - Google Patents

高熱安定性ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法および組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高熱安定性ポリアリーレンスルフィド樹脂
の製造法および高熱安定性ポリアリーレンスルフィド樹
脂組成物に関する。更に詳しくは、溶融加工時の安定性
に著しく優れた実質的に直鎖状あるいは一部分岐を有す
る熱架橋の行なわれていないポリアリーレンスルフィド
樹脂(以下、ポリアリーレンスルフィド樹脂を「PAS樹
脂」という)の製造法およびそのようなポリアリーレン
スルフィド樹脂の組成物に関する。
〔従来の技術〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS樹脂」
という)に代表されるPAS樹脂は耐熱性、耐薬品性、寸
法安定性などに優れた性質を有するエンジニアリングプ
ラスチックであり、主として自動車部品や電気、電子部
品に使用されている。
従来のPAS樹脂の代表的製造方法は特公昭45−3368号
に開示されている。すなわち、N−メチルピロリドン
(MMP)に代表される有機アミド溶媒中で硫化ナトリウ
ム(Na2S)に代表されるアルカリ金属硫化物とパラジク
ロルベンゼン(p−DCB)に代表されるジハロ芳香族化
合物を反応させてPAS樹脂を製造している。しかしなが
ら、この方法により製造したPAS樹脂は分子量が低く、
そのままでは射出成型等の用途として使用できない。
そのためこの低分子化合物を空気中で加熱処理を行い
架橋し高分子量化せしめた架橋型PAS樹脂が主として成
型加工用途に使用されてきた。この架橋型PAS樹脂は、
固く、脆く、強靭性に欠ける面があり、耐衝撃性やウェ
ルド強度等に欠け、成型品の「カケ」や「ワレ」が生じ
やすい傾向にあった。また、PAS樹脂を繊維、フィルム
の素材として応用する試みもなされているが、従来から
の架橋型PAS樹脂は繊維、フィルムへの成形性に乏し
く、かつ十分な強度を有するものにはならなかった。
上記のような架橋型PAS樹脂の欠点を改良したリニア
ー型PAS樹脂、すなわち、直鎖状または一部分岐を有す
るが全体として実質的に線状である熱架橋のおこなわれ
ていないPAS樹脂も開発されている。このリニアー型PAS
樹脂の製造方法として、各種重合助剤を用いる方法が提
案されている。例えば、NMPに代表される有機アミド溶
媒中でNa2Sに代表されるアルカリ金属硫化物とp−DCB
に代表されるジハロ芳香族化合物を反応する際、アルカ
リ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる方法(特公
昭52−12240号)、アルカリ金属芳香族スルフォン酸塩
を重合助剤として用いる方法(特開昭55−431392号)、
アルカリ土類金属芳香族カルボン酸塩を重合助剤として
用いる方法(特開昭59−219332号)等がある。別法とし
て、アルカリ金属硫化物とポリハロ芳香族化合物を、ま
ず180〜235℃で重合率50〜98%まで反応させた後、水を
添加して更に高温下、再度重合する方法も知られてい
る。このようにして得られるリニアー型PAS樹脂は、優
れた靭性を有し、射出成型材料として応用した場合、耐
衝撃性やウエルド強度に優れた成型品を提供することが
可能であり、さらにフィルム、繊維の素材として応用し
た場合、成形性に優れ、かつ良好な強度のものを得るこ
とが可能である。
上記のように優れた物性を有し、かつ今後の用途展開
が期待されるリニアー型PAS樹脂であるが次のような欠
点を有するため使用が制限されていた。
第一に熱履歴による分子量低下の問題がある。すなわ
ち、リニアー型PAS樹脂を溶融加工し所望の成型品を得
る場合、PAS樹脂のポリマー鎖の切断が起こり分子量が
低下する。そのためリニアー型PAS樹脂本来の分子量に
基づく優れた特性、特に直鎖高分子量による優れた靭性
が損なわれる。
第二に金属腐蝕の問題がある。すなわち、リニアー型
PAS樹脂を押出機、射出成型機、金型などを用いて加工
あるいは成型する場合、ハロゲンや硫黄を含有する腐蝕
性ガスを発生し、これら装置を腐蝕する。
第三に金型汚染の問題がある。すなわち、リニアー型
PAS樹脂を金型を用いて加工する場合、PAS樹脂からポリ
マーの分解生成物等、低分子量の有機化合物が揮散し
て、金型へ付着し成型品の仕上がりを悪化させる。その
ため汚染箇所の洗浄をせざるを得なくなり、生産性が低
下する。
上記問題解決のため、種々の提案がなされている。
すなわち、第一の熱安定性の改良に関して、特開昭59
−45323号では、有機アミド溶媒中アルカリ金属硫化物
とジハロ芳香族化合物を反応する際、アルカリ金属硫化
物に対しジハロ芳香族化合物を適当量過剰で反応させて
ポリマー中の結合性塩素含量を高め、PAS樹脂を安定化
する方法が示されている。しかしながら、この方法では
高分子量PAS樹脂を得るために必要なアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物の両モノマーの比(高分子量PA
S樹脂を得るための両モノマーの比は、1.0モル比付近で
あることが好ましい)を1.0より大きくするため重合度
を犠牲にする恐れがある。また、重合度を犠牲にしない
方法として、重合終了直前または直後の重合系内にポリ
ハロ芳香族化合物を添加する方法も示されているが、一
般的に重合終了直前または直後の反応系内は、高温、高
圧であり、その系内にポリハロ芳香族化合物を添加する
場合、特別な装置を必要とし、その作業も煩雑になるこ
とは免れない。
また、特開昭62−18773号では、有機アミド溶媒中ア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応する際、
アルカリ金属硫化物に対しジハロ芳香族化合物を適当量
過剰に仕込み、反応の少なくとも後期に特定の撹拌条件
下に反応することによりポリマー中の結合性ハロゲン
(塩素)含量を高める方法が示されている。しかしなが
ら、この方法は特別な撹拌能力を有する装置が必要であ
り、設備費の増大が問題となる。そして、これらポリマ
ー中の結合性ハロゲン(塩素)含量を高める方法は、ハ
ロゲンを含有する腐蝕性ガスを多量に発生する恐れがあ
り金属腐蝕の面から好ましくない。
さらに、特開昭57−205425号には、PPS樹脂中のアセ
トン可溶分が2%以下で、かつアセトン可溶分中の窒素
含有量が1.5%以下の安定化PPS樹脂が示されている。し
かしながら、このようなPAS樹脂を得るためには、PAS樹
脂の重合工程および回収工程の改良が必要であったり、
また、本発明者らの知るところによれば、このようなPA
S樹脂を安定的に得るためには、生成したPAS樹脂を溶媒
により抽出洗浄する必要があり、その抽出溶媒の回収や
処理に多大の費用がかかり、工程的にも煩雑である。
上記第二の金属腐蝕性ガスの抑制に関して、特開昭60
−186561号には、Mg4.5Al2(OH)13CO3・5H2Oで示され
るマグネシウムアルミニウムヒドロキシカルボネート系
ハイドロタルサイトを添加し腐蝕性ガスを抑制する方法
が示され、また、特開昭59−209644号には、MgO−Al2O3
系固溶体をPAS樹脂と供に処理しPAS樹脂の腐蝕性を低減
する方法が示されている。しかしながら、これらの方法
は、腐蝕性ガスの抑制が不十分でありかつ、熱履歴によ
る分子量低下の抑制には、ほとんど効果がなかった。
上記第三の金型汚染防止については、従来格別の提案
はなされていなかった。
要するにリニアー型PAS樹脂に係る欠点、すなわち、
熱履歴による分子量低下、金属腐蝕性ガスの抑制および
金型汚染の問題を容易かつ安価な方法で一挙に解決する
手段は知られていなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、熱履歴による分子量の低下が抑制さ
れ、かつ腐蝕性ガスの発生および金型汚染が抑制された
高熱安定性PAS樹脂の製造法および組成物を提供するに
ある。
さらに詳しくは、溶融加工等熱履歴を受けた場合に起
こるPAS樹脂の分子量低下を抑制し、かつ金属の腐蝕を
引き起こすハロゲンや硫黄を含む腐蝕性ガスの発生およ
び、金型汚染の原因となる低分子量の有機化合物の発生
の抑制された、加熱時の安定性に著しく優れた実質的に
直鎖状あるいは一部分岐を有する熱架橋の行なわれてい
ないPAS樹脂の製造法および組成物を提供するにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト
類を接触せしめたPAS樹脂は、腐蝕性ガスおよび金型汚
染物質の発生量が著しく抑制されるのみならず、驚くべ
きことに熱履歴による分子量の低下が著しく抑制される
ことを見い出した。さらに、この過塩素酸イオン型ハイ
ドロタルサイト類を少量含有せしめたPAS樹脂組成物
は、溶融加工時の分子量低下が抑制され、PAS樹脂の持
つ本来の特性が損なわれることがなく、さらに、金属の
腐蝕や金型汚染を著しく抑制することを見い出したので
ある。
本発明の高熱安定性PAS樹脂の製造方法は、PAS樹脂に
過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを接触せしめるこ
とを特徴とする。
また、本発明の高熱安定性PAS樹脂組成物は、PAS樹脂
を主成分とし、PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイトとの合計重量に基づき0.01〜20重量%の過塩素
酸イオン型ハイドロタルサイト類を含有してなることを
特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される過塩素酸イオン型ハイドロタルサ
イトとは、次式(1)で示されるハイドロタルサイトで
ある。
MI (1−x)MII x(OH)(CH31−y/2(ClO4・mH2O (1) 式中、MIはMg,Ca,Sr,Baより成る群から選ばれた少な
くとも1種を示し、MはAl,Zn,Cd,Pb,Snより成る群から
選ばれた少なくとも1種を示し、x,yおよびmはそれぞ
れ下記式で示される数を示す。
0<x≦0.33、0.5≦y≦2.0、0≦m 換言すれば次式(2)で示されるハイドロタルサイト
のアニオンCO3(炭酸イオン)がClO4(過素酸イオン)
に置換された化合物である。
MI (1−x)MII x(OH)(CO3・mH2O (2) 式中のMI,MII,xおよびmは上記と同じである。一般式
(1)で表されるハイドロタルサイトの中でも下記式
(3) Mg4Al2(OH)12(CO31−y/2(ClO4)y・mH2O
(3) で表されるマグネシウムアルミニウムヒドロキシ過塩素
酸ハイドロタルサイト(例えば、協和科学工業(株)製
「アルカマイザー5」)およマグネシウムジンクヒドロ
キシ過塩素酸ハイドロタルサイトが好ましい。
本発明の方法に従って、過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイトを接触せしめるPAS樹脂自体は常法によって重
合したものを用いることができる。すなわち、NMPに代
表される有機アミド溶媒中Na2Sに代表されるアルカリ金
属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる方法(特
公昭45−3368号等)あるいは、PAS樹脂を重合する際、
重合助剤を使用し高分子量PAS樹脂を得る方法(特公昭5
2−12240号、特開昭55−431392号、特開昭59−219332号
等)によって重合したものを用いることができる。
本発明で用いるPAS樹脂としては、ASTM−D1238−70の
方法に準じて荷重5kg、温度315.6℃で測定されたMI(メ
ルトインデックス)値が1000(g/10分)以下、好ましく
は、700以下の実質的に直鎖状あるいは一部分岐を有す
る熱架橋の行なわれていないPAS樹脂が好ましい。しか
しながら、このようなものに限定されるものでなく、架
橋型PAS樹脂を用いることも可能である。本発明で用い
るPAS樹脂は、実質的に繰り返し単位−R−S−(R:ア
リール基)から成るポリマーである。好ましくは、パラ
フェニレン基を繰り返し単位とする式 で表される実質的に直鎖状のポリマーならびに、少量の
分岐を有するポリマーである。また、主成分としてパラ
フェニレン基を含み、少量成分としてその他のアリール
基、例えばm−フェニレン基 o−フェニレン基 アルキリ置換フェニレン基 (R1:アルキル基)、アミノ置換フェニレン基 (R2:アミノ基)、カルボキシル置換フェニレン基 (R3:−COOH)、ジフェニレンスルフォン基 ビフェニレン基 ナフタレン基 ジフェニレンカルボニル基 ジフェニレンエーテル基 などを有するランダム共重合体、ブロック共重合体およ
びグラフト共重合体が挙げられる。
PAS樹脂に過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを接
触せしめる方法としては、重合時に生成する、PAS樹脂
と副生塩等を含有する重合スラリーから、反応に使用し
た溶媒を除去した後、水洗により脱塩処理し得られる含
水湿潤PAS樹脂(以下、「PASウェットケーキ」という)
と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを水または/お
よび有機溶媒中で混合する方法、ならびにPASウェット
ケーキを乾燥せしめたPAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイ
ドロタルサイトを溶融混合する方法が挙げられる。過塩
素酸イオン型ハイドロタルサイトを水または/および有
機溶媒中で混合する方法および溶融混合する方法につい
て、以下に詳しく説明する。
水または/および有機溶媒中で混合するに際し用いる
水としては、市水、工水等を使用することもできるが、
イオン交換樹脂や蒸留などにより純化したものが好まし
い。また、有機溶媒としては、アルコール(メタノー
ル、エタノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチル
ケトン等)、エーテル(ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、トリク
ロロエタン等)、アミド(NMP、ジメチルホルムアミド
等)、スルホオキシド(ジメチルスルホオキシド等)等
が挙げられる。これらは、単独または2種類以上の混合
物として使用できる。これらの中で水は、安全性、無公
害性、経済性の見地から特に好ましい。
水または/および有機溶媒中での混合に際し、接触温
度及び圧力は、PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイトの均一な接触を妨げなければ特に制限はない
が、好ましくは0〜250℃の温度で圧力1〜50kg/cm2
範囲、より好ましくは、20〜200℃の温度で圧力1〜30k
g/cm2の範囲で行う。接触時間は、PAS樹脂と過塩素酸イ
オン型ハイドロタルサイトとの仕込み比、スラリー濃度
等により種々変化するが5分〜10時間、好ましくは10分
〜3時間である。
PASウェットケーキと過塩素酸イオン型ハイドロタル
サイトとを接触する方法としては、これら混合成分を撹
拌機付き受槽に仕込み接触媒体中、撹拌下混合接触する
バッチ式接触方法および混合成分を接触媒体中に連続的
に供給し混合接触する連続式接触方法を挙げることがで
きる。撹拌条件は、PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイド
ロタルサイト類との十分な接触が可能であれば特に制限
はない。
溶融混合によるPAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロ
タルサイト類とを接触せしめる方法としては、特に制限
はなく当業界の公知の方法(例えば、粉体工学便覧p.64
0〜p.648〔日刊工業新聞社発行〕記載の方法等)を利用
できるが、容易かつ安価な方法として、押出機中で溶融
混合し接触せしめる方法が挙げられる。具体的には、ヒ
ーターにより加熱されたスクリュー押出機に予めヘンシ
ェルミキサーやタンブラー等でドライブレンドされたPA
S樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト類との混
合品を供給し溶融混合する方法、および、PAS樹脂と過
塩素酸イオン型ハイドロタルサイト類とをホッパーやス
クリューフィーダ等を利用して個々に押出機中へ供給す
る方法が挙げられる。また、溶融混合時の溶融温度とし
ては、PAS樹脂の溶融温度以上、分解温度以下が用いら
れ、具体的には、約290〜450℃が採られる。
PAS樹脂に対する過塩素酸イオン型ハイドロタルサイ
トの仕込み割合は、PAS樹脂重量に基づき過塩素酸イオ
ン型ハイドロタルサイト0.01〜20重量%が好ましく、特
に0.1〜10重量%が特に好ましい。0.01重量%未満であ
るとPAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトと
の接触が不十分になる恐れがあり、また、20重量%を越
えるとPAS樹脂へ残留する過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイト類が多くなりPAS樹脂本来の特性が損なわれる
ので好ましくない。
また、含水湿潤PASウェットケーキと過塩素酸イオン
型ハイドロタルサイト類とを水または/および有機溶媒
中で混合する場合、全仕込み量中の固形分の重量比すな
わちスラリー濃度は、5〜50重量%が好ましい。50%を
越えると均一な接触ができない恐れがあり、また5%未
満であると経済性に劣る。
PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトとの
混合によって両者を接触せしめた後、両者の粒径の差を
利用して分離することができる。本発明に従って接触処
理したPAS樹脂の用途に応じて過塩素酸イオン型ハイド
ロタルサイトの残留量を適宜選定することができる。過
塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを残留せしめない場
合または残留量を少なくする場合には上述のように水ま
たは/および有機溶媒中で混合したのち、粒径の差を利
用して分離する方法が採られ、また、多量の過塩素酸イ
オン型ハイドロタルサイトを残留せしめる場合には溶融
混合する方法が採られる。
過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを残留させる場
合、その量は、PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイトとの合計重量に基づき0.01〜20重量%とする。
PASウェットケーキと過塩素酸イオン型ハイドロタル
サイトとを水または/および有機溶媒中で混合し、その
後分離して得られるPAS樹脂の代表的用途は繊維および
フィルムである。
特に、PAS樹脂を繊維に成形加工する場合、異物が存
在するとその部分で糸切れが起こりやすく紡糸性や延伸
性に問題があり、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト
がPAS樹脂中に多量に残留した場合も同様な危惧があ
る。そのため、PAS樹脂に混合せしめた過塩素酸イオン
型ハイドロタルサイトが樹脂中に全量残留するような方
法を適用した場合には、過塩素酸イオン型ハイドロタル
サイト類の混合比を少なくして接触させる必要がある。
しかしながら、混合比を少なくした場合均一な接触を得
難い。一方、水または/および有機溶媒中で混合させる
方法で接触させる場合には、均一な接触が十分可能とな
る混合比でPAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサ
イトを混合接触せしめた後、PAS樹脂と過塩素酸イオン
型ハイドロタルサイトとの粒径の差を利用して分離し、
PAS樹脂中の過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトの含
有量を紡糸性や延伸性に影響のない量に容易に抑制する
ことができる。
繊維用途に使用されるPAS樹脂は、高分子量でなけれ
ばならず、一般に高分子量のPAS樹脂は一般的に粒径の
大きな顆粒として得られる。一方、過塩素酸イオン型ハ
イドロタルサイトは、非常に微細な粒径をもつ微粉であ
るため高分子量PAS樹脂の粒径との差は歴然である。こ
の粒径差を利用して、例えば、接触媒体中でPAS樹脂と
過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトとを混合接触せし
めた後、接触媒体を除去する工程で過塩素酸イオン型ハ
イドロタルサイトのみを通過させるような目開きのスク
リーンにより濾別するなど粒径差を利用した分離手段に
よってPAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト
との十分な接触を満足し、かつ繊維に加工する場合に問
題とならない微小残留量にすることが容易に可能であ
る。このようにして得たPAS樹脂を繊維に利用した場
合、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトの含有により
紡糸性や延伸性に影響をあたえることなく、溶融紡糸時
のPAS樹脂の分子量低下を抑制することが可能である。
PAS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトとを
溶融混合し、得られるPAS樹脂組成物の用途は、射出成
型品である。すなわち、PAS樹脂を射出成型に用いる場
合、その前駆体としてPAS樹脂を溶融、ペレット化す
る。また一般的にPAS樹脂は、ガラス繊維や添加剤ある
いは他のポリマーなどを加えて複合材料としてペレット
化し製造される場合が多い。このような射出成型用前駆
体を製造する工程において過塩素酸イオン型ハイドロタ
ルサイトを溶融混合し接触せしめることができ、耐衝撃
性やウェルド強度に優れた成型品の素材として提供でき
る。
PAS樹脂と化塩素酸イオン型ハイドロタルサイトから
なる本発明の組成物には、必要に応じてガラス繊維、炭
素繊維、金属繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、チタ
ン酸カリウムウィスカー等の補強用充填材や炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タル
ク、シリカ、カオリン、クレー、パイロフェライト、ベ
ントナイト、セリサイト、ゼオライト、ウオラストナイ
ト、フェライト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化マグ
ネシウム、酸化チタン、酸化鉄、チタン酸バリウム、二
硫化モリブデン、カーボンブラック、石膏、ガラスビー
ズ、ガラスバルーン、ガラスパウダー等の無機充填材や
有機および無機顔料を配合することもできる。また、ア
ミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン等のシラン
系やチタネート系のカップリング剤、芳香族ヒドロキシ
誘導体などの可塑剤や離型剤、滑剤、耐候性安定剤、結
晶核剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に
応じて添加してもよい。
さらに、必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレ
ン、ポリスチレン、ポリブテン、ポリα−メチルスチレ
ン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニ
トリルやナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン11、ナイロン46等のポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロ
ヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリアリレート等
のポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリ
カーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホ、ポリエ
ーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、シリコン樹脂、フェノキシ樹
脂、弗素樹脂などの単独重合体、ランダム重合体、ブロ
ック共重合体、グラフト共重合体の一種以上を混合して
使用することもできる。
〔作 用〕
本発明の過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを接触
せしめたPAS樹脂は、腐蝕性ガスおよび金型汚染物質の
発生量が著しく抑制されるのみならず、熱履歴による分
子量の低下が著しく抑制される。さらに、PAS樹脂と過
塩素酸イオン型ハイドロタルサイトからなる組成物は、
溶融加工時の分子量低下が抑制され、PAS樹脂の持つ本
来の特性を損なうことがなく、金属の腐蝕や金型汚染が
著しく抑制される。
このような過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトの効
果は、どのような機構によるものか明確ではないが、PA
S樹脂の高温下、特に溶融状態での挙動について鋭意調
査したところ、溶融状態のPAS樹脂はラジカルを発生
し、そのラジカル量(ラジカル量の測定は、電子スピン
共鳴法(ESR法)で行うことができる。)の多いPAS樹脂
ほど分子量の低下率が大きい傾向にあることや金属腐蝕
性ガスを発生しやすいこと、また金型汚染物質にはフェ
ノール類、アミン類、特に第一〜第三級アミン化合物等
の極性基を持つ化合物が多量に含まれていること(ガス
クロマトグラフ/質量分析法やガスクロマトグラフ/フ
ーリエ変換赤外分光分析法などの分離・同定、定量手段
によって分析できる。)などの知見を得た。このような
現象を引き起こす原因は、ポリマー中に不安定な活性点
が存在し、この活性点が加熱溶融時PAS樹脂の分子の切
断を引き起こし、さらにこの分子の切断の過程で金属の
腐蝕を引き起こすハロゲンや硫黄を含む腐蝕性ガスの発
生および金型汚染の原因となる低分子量の有機化合物の
発生を加速するものと推定され、過塩素酸イオン型ハイ
ドロタルサイト類は、このようなポリマー中の活性点を
不活性化するとともに金属腐蝕性ガスやフェノール類、
アミン類特に第一〜第三級アミン化合物等の極性基を持
つ化合物を吸着および安定化し、PAS樹脂の分子の切断
を抑制し、更に腐蝕性ガスの発生および金型汚染の原因
となる低分子量の有機化合物の発生をも抑制するものと
考えられる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例について具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例中でのPAS樹脂の特性分析法を以
下に示す。
PAS樹脂の重量平均分子量(Mw)およびその 低下率:重量平均分子量は、超高温ゲル濾過クロマト
グラム装置(VHT−GPC)を用い、熱履歴を受ける前の分
子量(Mw0)、300℃で6分間熱履歴を受けた後の分子量
(Mw6)、300℃で30分間熱履歴を受けた後の分子量(Mw
30)を測定した。
分子量低下率は下記式により算出した。
Mw6低下率(%)={(Mw6−Mw0)/Mw0}×100 Mw30低下率(%)={(Mw30−Mw0)/Mw0}×100 腐蝕性ガスの発生量(SO2,Cl):試験管中に試料を入
れ試料部分を330℃で一時間加熱し、加熱中一定流量の
空気を送り込み、試料から発生したSO2,Cl等の腐蝕性ガ
スをアルカリ性過酸化水素水中に捕集した。腐蝕性ガス
発生量は、捕集液中のSO2 2-イオン濃度およびCl-イオン
濃度をイオンクロマトグラムにより分析し、試料の重量
当たりのSO2およびClガス発生量として算出した。
金型汚染物質の発生量:試料加熱炉付きキャピラリー
ガスクロマトグラフ装置により試料を温度350℃で20分
加熱し、発生した成分をFID検出器により分析した。発
生量は、積分型記録計(インテグレーター)に記録した
各ピークの面積の算出値により比較対照した。
結果は、下記3段階にて表示した。
○…微量の発生しか認められなかった。
△…発生が認められた。
×…かなり多くの発生が認められた。
重合例 (重合例1) 1容量のチタン製オートクレーブ中にNa2S(純度6
0.64%)131.84g(1モル)および、NMP300gを仕込み、
窒素気流下に204℃まで昇温し、水30.1gを含む留分48.5
gを除去した。系を170℃まで冷却後、p−DCB146.27g
(0.995モル)をNMP100gとともに仕込み、系を窒素で1k
g/cm2に加圧後、210℃まで徐々に昇温し、7時間重合し
た。次いで、245℃に昇温し、更に4時間重合した。重
合後、系を室温まで冷却し、ポリマーを濾別したのち80
℃の温水で5回洗浄し、含水量44%のPPSウェットケー
キP1を得た。
(重合例2) 1容量のチタン製オートクレーブ中にNa2S(純度6
0.64%)131.84g(1モル)、NMP300g、および無水酢酸
リチウム66g(1モル)を仕込み、窒素気流下206℃まで
昇温し、水32.7gを含む留分51.2gを除去した。系を170
℃まで冷却後、p−DCB145.53g(0.990モル)をNMP100g
とともに仕込み、系を窒素で1kg/cm2に加圧後210℃まで
徐々に昇温し、7時間重合した。次いで、250℃に昇温
し、さらに4時間重合した。重合後、系を室温まで冷却
しポリマーを濾別したのち80℃の温水で5回洗浄し含水
量42%のPPSウェットケーキP2を得た。
(重合例3) 無水酢酸リチウムに代えてスルファニル酸ナトリウム
二水塩の添加量を69.3g(0.3モル)とした点を除いて重
合例2と同様な操作を行って含水量45%のPPSウェット
ケッキP3を得た。
(重合例4) 特開昭59−45323号に記載される、ポリマー中の塩素
含量が0.3重量%以上のPAS樹脂を得る製法によってPPS
を製造した。
1容量のチタン製オートクレーブ中にNa2S(純度6
0.64%)131.84g(1モル)、NMP300g、および無水酢酸
ナトリウム82g(1モル)を仕込み、窒素気流下206℃ま
で昇温し、水31.3gを含む留分49.8を除去した。系を170
℃まで冷却後、p−DCB145.53g(0.990モル)をNMP100g
とともに仕込み、系を窒素で1kg/cm2に加圧後210℃まで
徐々に昇温し、7時間重合した。次いで、245℃に昇温
し、さらに4時間重合した。重合終了1時間前にp−DC
B14.7g(0.1モル)をNMP30gと共に加圧注入した。重合
後、系を室温まで冷却し、ポリマーを濾別したのちアセ
トンで2回洗浄し、80℃の温水で5回洗浄して、含水量
42重量%のPPSウェットケーキP4を得た。
(重合例5) 100容量のチタン製オートクレーブ中にNa2S(純度6
0.7%)12.85kg(100モル)、NMP30kgおよびスルファニ
ル酸ナトリウム二水塩6.93kg(30モル)を仕込み、窒素
気流下206℃まで昇温し、水3.98kgを含む留分10.66kgを
除去した。系を170℃まで冷却後、p−DCB14.51kg(98.
7モル)をNMP10kgとともに仕込み、系を窒素で1kg/cm2
に加圧後210℃まで徐々に昇温し、7時間重合した。次
いで、250℃に昇温し、さらに4時間重合した。重合
後、系を室温まで冷却しポリマーを濾別したのちアセト
ンで2回洗浄し、80℃の温水で5回洗浄し、含水量40重
量%のPPSウェットケーキP5を得た。
高熱安定性PAS樹脂の製造実施例及び比較例 (実施例1) PPSウェットケーキP1を80℃で12時間減圧乾燥し、粉
末状PPS樹脂を得た。このPPS樹脂20gと一般式(3)て
表されるマグネシウムアルミニウムヒドロキシ過塩素酸
ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)社製アルカマ
イザー5)0.3gとを小型ミキサーに仕込み、5分間撹拌
下ドライブレンドした。試料を分取し熱履歴を受ける前
の分子量(Mw0)の測定及び溶融加熱時の腐蝕性ガス発
生量、金型汚染物質の発生量を測定した。さらに試料を
300℃にて、6分間および30分間溶融したときの分子量
(Mw6,Mw30)を測定した。得られた製品の分析値を表−
1に示す。
(比較例1) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを添加しなかっ
た点を除いて実施例1と同様な操作を行って試料を得
た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(比較例2,3) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトに代えて特開昭
62−186561号記載のマグネシウムアルミニウムヒドロキ
シカルボネート系ハイドロタルサイトであるDHT−4A
(協和化学工業(株)社製)及び特開昭59−209644号に
記載のMgO−Al2O3系固溶体であるKW2200(協和化学工業
(株)社製)をそれぞれ0.3gとした点を除いて実施例1
と同様な操作を行って試料を得た。得られた製品の分析
値を表−1に示す。
(実施例2) PPSウェットケーキP247.5g、イオン交換水100gおよび
過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト(アルカマイザー
5)0.4gとを1容量のSUS316L製オートクレーブに仕
込み、撹拌下120℃で1時間接触させた。冷却後内容物
を濾別して水を除去し、80℃で12時間減圧乾燥して顆粒
状のPPS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを
含有する試料を得た。試料を分取し、熱履歴を受ける前
の分子量(Mw0)の測定及び溶融加熱時の腐蝕性ガス発
生量、金型汚染物質の発生量を測定した。さらに試料を
300℃にて、6分間及び30分間溶融したときの分子量(M
w6,Mw30)を測定した。得られた製品の分析値を表−1
に示す。
(比較例4) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを添加しなかっ
た点を除いて実施例2と同様な操作を行って試料を得
た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(比較例5) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトに代えて特開昭
62−186561号記載のマグネシウムアルミニウムヒドロキ
シカルボネート系ハイドロタルサイトであるDHT−4Aを
0.4g用いた点を除いて実施例2と同様な操作を行って試
料を得た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(実施例3) PPSウェットケーキP344.5g、イオン交換水100gおよび
代塩素酸イオン型ハイドロタルサイト(アルカマイザー
5)0.3gとを1容量のSUS316L製オートクレーブに仕
込み、撹拌下180℃で2時間接触させた。冷却後内容物
を濾別して水を除去し、80℃で12時間減圧乾燥して顆粒
状のPPS樹脂と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを
含有する試料を得た。試料を分取し熱履歴を受ける前の
分子量(Mw0)の測定及び溶融加熱時の腐蝕性ガス発生
量、金型汚染物質の発生量を測定した。さらに試料を30
0℃にて、6分間及び30分間溶融したときの分子量(Mw
6,Mw30)を測定した。得られた製品の分析値を表−1に
示す (比較例6) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを添加しなかっ
た点を除いて実施例3と同様な操作を行って試料を得
た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(比較例7) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトに代えて過塩素
酸マグネシウムを1gとした点を除いて実施例3と同様な
操作を行って試料を得た。得られた製品の分析値を表−
1に示す。
(実施例4) PPSウェットケーキP4を80℃で12時間減圧乾燥し顆粒
状PPS樹脂を得た。このPPS樹脂の塩素含量を分析した結
果、0.32重量%であった。このPPS樹脂20gと過塩素酸イ
オン型ハイドロタルサイト(協和化学工業社製アルカマ
イザー5)を0.4g小型ミキサーに仕込み、5分間撹拌下
接触させ試料を得た。得られた製品の分析値の表−1に
示す。
(比較例8) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを添加しなかっ
た点を除いて実施例4と同様な操作を行って試料を得
た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(比較例9) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト類に代えて特開
昭62−186561号記載のマグネシウムアルミニウムヒドロ
キシカルボネート系ハイドロタルサイトであるDHT−4A
を0.3を用いた点を除いて実施例4と同様な操作を行っ
て試料を得た。得られた製品の分析値を表−1に示す。
(実施例5) PPSウェットケーキP58kg、イオン交換水15kgおよび過
塩素酸イオン型ハイドロタルサイト(アルカマイザー
5)100gとを100容量のチタン製オートクレーブに仕
込み、撹拌下180℃で2時間接触させた。冷却後内容物
を目開き50μmのスクリーンにより濾別して過塩素酸イ
オン型ハイドロタルサイトを除去し、120℃で24時間減
圧乾燥して顆粒状のPPS樹脂を含有する試料を得た。試
料を分取し熱履歴を受ける前の分子量(Mw0)を測定し
た。さらに試料を二軸押出機で330℃にて押出しペレッ
トに加工し、このペレットの一部を試料とし腐蝕性ガス
の発生量を測定した。また、ペレットを溶融紡糸装置を
用いて5時間連続紡糸し糸切れの状態の観察および得ら
れた繊維の分子量を測定した。さらに、この紡糸時に発
生しノズル付近に付着した汚染物質をガーゼで拭き取り
汚れの状態を観察した。得られた結果を表−2に示す。
なお、紡糸条件は、下記の通りである。
ノズル:0.5mm径、4個 ノズル温度:320℃ 押出し量:4.8g/min (比較例10) 過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを添加しなかっ
た点を除いて実施例5と同様な操作を行って試料を得
た。得られた結果を表−2に示す。
〔発明の効果〕 本発明に従って、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイ
トを接触せしめたPAS樹脂は、熱履歴による分子量の低
下が著しく抑制されかつ、金属の腐蝕ガスおよび金型汚
染物質の発生量が著しく抑制される。さらに、PAS樹脂
と過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトからなる組成物
は、溶融加工時の分子量の低下が抑制され、PAS樹脂の
持つ本来の特性が損なわれることがなく、金属の腐蝕や
金型汚染が著しく抑制される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 75/00 - 75/32 C08L 81/00 - 81/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する
    方法においてポリアリーレンスルフィド樹脂に少なくと
    も1種の過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを接触せ
    しめることを特徴とする高熱安定性ポリアリーレンスル
    フィド樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトがマ
    グネシウムアルミニウムヒドロキシ過塩素酸ハイドロタ
    ルサイトまたはマグネシウムジンクヒドロキシ過塩素酸
    ハイドロタルサイトである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】ポリアリーレンスルフィド樹脂が実質的に
    直鎖状あるいは一部分岐を有する熱架橋の行なわれてい
    ないポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項1記載
    の製造法。
  4. 【請求項4】ポリアリーレンスルフィド樹脂がポリフェ
    ニレンスルフィド樹脂である請求項1〜3のいずれかに
    記載の製造法。
  5. 【請求項5】含水湿潤ポリアリーレンスルフィド樹脂と
    過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトとを水または/お
    よび有機溶媒中で混合することによって接触せしめ、次
    いで濾別する請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. 【請求項6】ポリアリーレンスルフィド樹脂と過塩素酸
    イオン型ハイドロタルサイトを溶融混合することによっ
    て接触せしめる請求項1〜4のいずれかに記載の製造
    法。
  7. 【請求項7】ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分と
    し、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを、ポリアリ
    ーレンスルフィド樹脂と該ハイドロタルサイトとの合計
    重量に基づき0.01〜20重量%含有して成ることを特徴と
    する高熱安定性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトがマ
    グネシウムアルミニウムヒドロキシ過塩素酸ハイドロタ
    ルサイトまたはマグネシウムジンクヒドロキシ過塩素酸
    ハイドロタルサイトである請求項5記載の組成物。
  9. 【請求項9】ポリアリーレンスルフィド樹脂が実質的に
    直鎖状あるいは一部分岐を有する熱架橋の行なわれてい
    ないポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項5記載
    の組成物。
  10. 【請求項10】ポリアリーレンスルフィド樹脂がポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂である請求項5〜7のいずれか
    に記載の組成物。
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