JP3968839B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性をあわせ有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性、成形性等に優れた特性を示す樹脂であり、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車機器部材及びOA機器部材等に幅広く使用されている。
【0003】
ポリフェニレンスルフィドは、ガラス繊維等の繊維状無機充填材、炭酸カルシウム、タルク等の粒状無機充填材を配合することにより、機械的強度、耐熱性、剛性等を大きく向上させることができる。しかしながら、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール等の各種エンジニアリングプラスチックに比較して、靭性が乏しく、脆弱であるといった重大な欠点を有している。このため、多くの用途への適用が制限されている。
【0004】
従来、ポリフェニレンスルフィドの耐衝撃性を改良するための技術として、エチレン系共重合体をブレンドすることが知られている。例えば、特開昭62−151460号公報(ポリアリーレンスルフィド及びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、無水マレイン酸からなるエチレン系共重合体からなる樹脂組成物)等が報告されている。
【0005】
しかしながら、特開昭62−151460号公報に開示された樹脂組成物では、耐衝撃性の改良効果はみられるが、各種機器部材での使用において重要な材料特性となる引張り伸び、ウエルド強度の改良効果はみられず、また、成形加工時のバリ発生が著しいため、ポリフェニレンスルフィドの優れた成形加工性を低下させる。
【0006】
また、さらにポリフェニレンスルフィドの耐衝撃性を改良するための技術として、例えば、特開平2−255862号公報(ポリフェニレンスルフィドと非ブロック型多官能イソシアネート化合物とを溶融混練してなるポリフェニレンスルフィドにα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、無水マレイン酸からなるエチレン系共重合体を含有せしめることからなる樹脂組成物)等が報告されている。
【0007】
しかしながら、特開平2−255862号公報に開示された樹脂組成物では、耐衝撃性の改良効果はみられるが、各種機器部材での使用において重要な材料特性となる引張り伸び、ウエルド強度及び成形加工性の改良効果はみられない。また、特開平2−255862号公報では、高温で再生されるブロック型イソシアネート化合物の使用は、耐衝撃性に対してほとんど改良効果がみられないことを明記している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性をあわせ有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(a)重合後の溶融粘度が200ポイズ以上であり、加熱硬化後の溶融粘度が500〜30000ポイズであり、かつフェニレンスルフィド単位あたりアミノ基を0.05〜5モル%含有するポリフェニレンスルフィド67〜98.8重量%、(b)多官能性ブロック型イソシアネート0.1〜3重量%及び(c)曲げ剛性率[測定方法はASTM D747(1995年)準拠]が800kg/cm 以下かつ引張り破断伸び[測定方法はJIS K6730(1995年)準拠]が600%以上である無水マレイン酸変性エチレン系共重合体1〜30重量%からなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、さらにガラス繊維5〜100重量部を添加してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関する。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドのアミノ基含有量は、フェニレンスルフィド単位あたり0.05〜5モル%である。好ましくは0.1〜3モル%である。ポリフェニレンスルフィドのアミノ基含有量が0.05モル%未満ではポリフェニレンスルフィドにアミノ基を含有させた効果が少なく、また5モル%を越えると機械的強度の低下が見られ、好ましくない。0.1〜3モル%では特に靭性及び機械的強度に優れるため好ましい。
【0013】
本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの重合後の溶融粘度は、測定温度315℃,荷重10kgの条件下、直径0.5mm,長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が200ポイズ以上、好ましくは400ポイズ以上である。重合後の溶融粘度が200ポイズ未満では靭性及びウエルド強度の改良効果が乏しく、好ましくない。重合後の溶融粘度が400ポイズ以上では靭性及びウエルド強度が特に優れるため好ましい。
【0014】
また、本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの加熱硬化後の溶融粘度は、測定温度315℃,荷重10kgの条件下、直径1mm,長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が500〜30000ポイズ、好ましくは1000〜20000ポイズである。加熱硬化後の溶融粘度が500ポイズ未満では靭性及びウエルド強度の改良効果が乏しく、好ましくない。また30000ポイズを越えると成形加工し難く、好ましくない。1000〜20000ポイズでは特に優れた改良効果を示し、成形加工性に優れるため好ましい。
【0015】
さらに、本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドは、その構成単位として
【0016】
【化1】
Figure 0003968839
【0017】
を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましい。
【0018】
また、構成単位が30モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、下記に示されるm−フェニレンスルフィド単位
【0019】
【化2】
Figure 0003968839
【0020】
o−フェニレンスルフィド単位
【0021】
【化3】
Figure 0003968839
【0022】
フェニレンスルフィドスルホン単位
【0023】
【化4】
Figure 0003968839
【0024】
フェニレンスルフィドケトン単位
【0025】
【化5】
Figure 0003968839
【0026】
フェニレンスルフィドエーテル単位
【0027】
【化6】
Figure 0003968839
【0028】
ジフェニレンスルフィド単位
【0029】
【化7】
Figure 0003968839
【0030】
等の共重合単位を含有していても差し支えない。
【0031】
本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの製造方法は、特に限定されるものではないが、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロベンゼンとを反応させる際に、アミノ基含有芳香族ハロゲン化物を共存させて重合する方法が挙げられる。
【0032】
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びそれらの混合物が挙げられ、これらは水和物の形で使用しても差し支えない。これらアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基とを反応させることによって得られるが、ジハロベンゼンの重合系内への添加に先立ってその場で調整されても、また系外で調整されたものを用いても差し支えない。
【0033】
アミノ基含有芳香族ハロゲン化物は、一般式
【0034】
【化8】
Figure 0003968839
【0035】
(Xはハロゲン、Yは水素、−NH2基又はハロゲン、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、nは0〜4の整数である)
で示される化合物である。
【0036】
その若干の例としては、m−フルオロアニリン、m−クロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジアミノクロロベンゼン、2−アミノ−4−クロロトルエン、2−アミノ−6−クロロトルエン、4−アミノ−2−クロロトルエン、3−クロロ−m−フェニレンジアミン、m−ブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン,m−ヨードアニリン及びそれらの混合物が挙げられる。特に3,5−ジアミノクロロベンゼンと3,5−ジクロロアニリンが好ましい。
【0037】
ジハロベンゼンとしては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン等が挙げられる。
【0038】
また、アルカリ金属硫化物及び(ジハロベンゼン+アミノ基含有芳香族ハロゲン化物)の仕込量は、モル比で(アルカリ金属硫化物):(ジハロベンゼン+アミノ基含有芳香族ハロゲン化物)=1.00:0.90〜1.10の範囲とすることが好ましい。
【0039】
重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、特に非プロトン性で、高温でアルカリに対して安定な有機アミドが好ましい溶媒である。有機アミドの若干の例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素等及びそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
また、溶媒として使用される有機アミドの量は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3500重量%、好ましくは250〜1500重量%となる範囲で使用することができる。重合は200〜300℃、好ましくは220〜280℃にて0.5〜30時間、好ましくは1〜15時間攪拌下にて行われる。
【0041】
さらに、本発明に使用されるポリフェニレンスルフィドは、直鎖状のものであっても、酸素雰囲気下での加熱処理又は過酸化物等を添加しての加熱処理により硬化させ、重合度を上げたものであっても、また、非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、上記のポリフェニレンスルフィドは、脱イオン処理 (酸洗浄や熱水処理等)を行うことによってイオンを低減させたものであってもよい。
【0042】
本発明に使用されるアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの配合量は67〜98.8重量%、好ましくは75〜95重量%である。配合量が67重量%未満あるいは98.8重量%を越えると本発明の改良効果が少ないため好ましくない。75〜95重量%では本発明の改良効果が著しいため好ましい。
【0043】
本発明に使用される多官能性イソシアネートは、市販のブロック型のものが使用できる。
【0044】
本発明に使用される多官能性ブロック型イソシアネートは、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、そのイソシアネート基を揮発性の活性水素化合物と反応させて、常温では不活性としたものである。多官能性ブロック型イソシアネートの種類は特に規定しないが、一般的には、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等のブロック剤によりイソシアネート基がマスクされた構造を有する。これらのブロック型イソシアネートは、一般的に常温では反応しないため保存安定性に優れるが、通常140〜200℃の加熱によりイソシアネート基が再生され、優れた反応性を示すものである。
【0046】
特に、効果、毒性及び保存安定性等の取扱い面から多官能性ブロック型イソシアネートが好ましい。
【0047】
本発明に使用される多官能性イソシアネートの配合量は0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。配合量が0.1重量%未満では本発明の改良効果が少なく、また、3重量%を越えると成形時の分解ガスの発生及び金型汚染が著しいため好ましくない。配合量が0.2〜2重量%では改良効果が著しく、かつガスの発生及び金型汚染が抑えられるため好ましい。
【0048】
本発明に使用される無水マレイン酸変性エチレン系共重合体は、市販のものが使用できる。本発明に使用される無水マレイン酸変性エチレン系共重合体の種類は特に規定しないが、曲げ剛性率[測定方法はASTM D747(1995年)準拠]が800kg/cm以下かつ引張り破壊伸び[測定方法はJIS K6730(1995年)準拠]が600%以上のものである
【0049】
本発明に使用される無水マレイン酸変性エチレン系共重合体の配合量は1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。配合量が1重量%未満では本発明の改良効果が少なく、30重量%を越えると成形時の分解ガスの発生が著しいため好ましくない。配合量が3〜20重量%では改良効果が著しく、ガスの発生が抑えられるため好ましい。
【0050】
本発明では、ガラス繊維を配合することにより、機械的強度が向上するため好ましく使用される。本発明に使用されるガラス繊維は、平均繊維径3〜20μmを有するロービング、チョップドストランド、ミルドファイバー等が使用される。また、ガラス繊維には、通常、樹脂との密着性を向上させるために、バインダーで処理が施される。バインダーとしてはウレタン系,エポキシ系又はウレタン−エポキシ併用系等が挙げられるが、特にエポキシ系及びウレタン−エポキシ併用系は樹脂との密着性、耐熱性に優れるため好ましい。
【0051】
また、本発明に使用されるガラス繊維の配合量は、(a)重合後の溶融粘度が200ポイズ以上であり、加熱硬化後の溶融粘度が500〜30000ポイズであり、かつフェニレンスルフィド単位あたりアミノ基を0.05〜5モル%含有するポリフェニレンスルフィド67〜98.8重量%、(b)多官能性イソシアネート0.1〜3重量%及び(c)無水マレイン酸変性エチレン系共重合体1〜30重量%からなる合計100重量部に対して5〜100重量部であり、好ましくは10〜70重量部である。この範囲であれば本発明の改良効果を損なわないため好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン等の1種以上を混合して使用することができる。
【0053】
また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダー等の粉末状充填材の1種以上を混合して使用することができる。
【0054】
さらに、本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来公知の離型剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、染料,顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても良い。
【0055】
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば、単軸又は二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではないが、通常280〜400℃の中から任意に選ぶことができる。さらに、得られた組成物は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
参考例1(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
15lオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドンを5l仕込み、120℃に昇温した後、Na2S・2.8H2O 1866gを仕込み、約2時間かけて攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、水を407g留出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン 2080g及び3,5−ジクロロアニリン 22.9g(p−ジクロロベンゼンに対して約1モル%)を添加し、225℃に昇温し、3時間重合した後、250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合した。
【0058】
重合終了後、室温まで冷却したスラリーを一部サンプリングし、濾液を採取して、濾液中に残存する未反応の3,5−ジクロロアニリンをガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−12A)で測定したところ、3,5−ジクロロアニリンの転化率は70%であった。残りのスラリーは、大量の水中に投入して重合体を析出させ、濾別、純水による洗浄を行った後、一晩加熱真空乾燥を行うことにより重合体を単離した。得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの溶融粘度は220ポイズであった。
【0059】
この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度1500ポイズとした。この様にして得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドをPPS−Iとする。
【0060】
参考例2(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
3,5−ジクロロアニリン 3.4g(p−ジクロロベンゼンに対して約0.15モル%)を添加し、他は参考例1と同様の操作で重合を行った。得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの溶融粘度は540ポイズであった。また、3,5−ジクロロアニリンの転化率は68%であった。この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度6000ポイズとした。この様にして得られたポリフェニレンスルフィドをPPS−IIとする。
【0061】
参考例3(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
3,5−ジクロロアニリン 6.9g(p−ジクロロベンゼンに対して約0.3モル%)を添加し、他は参考例1と同様の操作で重合を行った。得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの溶融粘度は480ポイズであった。また、3,5−ジクロロアニリンの転化率は69%であった。この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度1500ポイズとした。この様にして得られたポリフェニレンスルフィドをPPS−IIIとする。
【0062】
参考例4(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
p−ジクロロベンゼン 2080gを使用し、225℃で5時間重合させた後、3,5−ジアミノクロロベンゼン 20.2g(p−ジクロロベンゼンに対して約1モル%)をN−メチル−2−ピロリドン 50mlに溶かした溶液を系内に添加し、さらに250℃にて3時間重合した。他は参考例1と同様の操作で重合を行った。得られた重合体の溶融粘度は700ポイズであった。また、3,5−ジクロロアニリンの転化率は37%であった。この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度1500ポイズとした。この様にして得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドをPPS−IVとする。
【0063】
参考例5(ポリフェニレンスルフィドの合成)
p−ジクロロベンゼン 2080g(アミノ基含有芳香族ハロゲン化物を添加しない)を添加し、他は参考例1と同様の操作で重合を行った。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融粘度は500ポイズであった。この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度1500ポイズとした。この様にして得られたポリフェニレンスルフィドをPPS−Vとする。
【0064】
参考例6(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
p−ジクロロベンゼン 1789g、3,5−ジアミノクロロベンゼン 310g(p−ジクロロベンゼンと3,5−ジアミノクロロベンゼンの総量に対して約15モル%)を添加し、250℃まで約2時間かけて昇温し、250℃にて3時間重合したことを除いては、参考例1と同様の操作にてアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドを製造した。得られた重合体の溶融粘度は低すぎるため測定できなかった。また、3,5−ジクロロアニリンの転化率は38%であった。この様にして得られた重合体をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融粘度7000ポイズとした。この様にして得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドをPPS−VIとする。
【0065】
参考例7(アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドの合成)
参考例3と同様にして合成した加熱硬化処理を施していないアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドを空気雰囲気下255℃で加熱硬化処理し、溶融粘度50000ポイズとした。この様にして得られたアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドをPPS−VIIとする。
【0066】
実施例1
参考例1で得られたPPS−I、多官能性ブロック型イソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネート PW−2400)、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体(エルフ・アトケム社製、ボンダイン AX−8390[曲げ剛性率<100kg/cm2、引張り破壊伸び900%])及びガラス繊維(平均繊維径9μm,カット長3mmのチョップドストランド)を表1に示す割合で配合した後、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練し、ペレット化した。
【0067】
【表1】
Figure 0003968839
【0068】
ついで、成形品の引張り伸び、Izod衝撃強度、ウエルド強度を評価するため、射出成形機によって試験片を作成し、測定を行った。引張り伸び、ウエルド強度の測定はASTM D638(1995年)、Izod衝撃強度の測定はASTM D256(1995年)に準拠した。また、実施例中のバリ長さは以下の測定法によって得られた値である。図1の如き、A;10μmのクリアランスを持つバーフロー(10×0.5mmt)金型を使用し、樹脂組成物を射出成形機を用いて、射出圧力500kg/cm2にて成形したときに、Aのクリアランス部分に発生したバリの長さを万能投影機を用いて測定し、バリ長さとした。
【0069】
それらの結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0070】
【表2】
Figure 0003968839
【0071】
実施例2
参考例2で得られたPPS−IIを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0072】
実施例3〜5
参考例3で得られたPPS−IIIを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0073】
実施例6
参考例4で得られたPPS−IVを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0074】
実施例7
参考例4で得られたPPS−IV及び無水マレイン酸変性エチレン系共重合体(エルフ・アトケム社製、ボンダイン TX−4110[曲げ剛性率750kg/cm2、引張り破壊伸び700%])を使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0075】
実施例8
参考例4で得られたPPS−IVを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0076】
実施例9
参考例2で得られたPPS−IIを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0077】
実施例10
多官能性イソシアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用する以外は実施例1と同様の操作及び評価を行った。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れたものであった。
【0078】
比較例1
参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、成形加工性に優れるものであったが、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度はいずれも劣るものであった。
【0079】
比較例2
参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性がいずれも劣るものであった。
【0080】
比較例3
参考例5で得られたPPS−Vを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性がいずれも劣るものであった。
【0081】
比較例4
参考例6で得られたPPS−VIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性が著しく低いものであった。
【0082】
比較例5
参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性がいずれも劣るものであった。
【0083】
比較例6
参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性及びウエルド強度に優れたものであったが、ペレット乾燥時及び成形時の発生ガスが非常に多く、実用に耐えうるものではなかった。
【0084】
比較例7
参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、ウエルド強度は優れていたが、靭性、耐衝撃性に劣るものであった。
【0085】
比較例8
参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、発生ガスが多量のため、成形することができなかった。
【0086】
比較例9
参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性が著しく低いものであった。
【0087】
比較例10
参考例7で得られたPPS−VIIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、溶融粘度が高いため、二軸押出機による混練押出ができなかった。
【0088】
比較例11
参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作及び評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性に優れるが、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に劣るものであった。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、特定のアミノ基含有ポリフェニレンスルフィドに、配合量を特定した多官能性イソシアネート、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体やガラス繊維を配合することにより、優れた靭性、耐衝撃性、ウエルド強度及び成形加工性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られ、電気・電子機器部材、自動車機器部材及びOA機器部材等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の組成物のバリ長さを測定するために用いたバーフロー金型である。

Claims (2)

  1. (a)重合後の溶融粘度が200ポイズ以上であり、加熱硬化後の溶融粘度が500〜30000ポイズであり、かつフェニレンスルフィド単位あたりアミノ基を0.05〜5モル%含有するポリフェニレンスルフィド67〜98.8重量%、(b)多官能性ブロック型イソシアネート0.1〜3重量%及び(c)曲げ剛性率[測定方法はASTM D747(1995年)準拠]が800kg/cm 以下かつ引張り破断伸び[測定方法はJIS K6730(1995年)準拠]が600%以上である無水マレイン酸変性エチレン系共重合体1〜30重量%からなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物100重量部に対し、ガラス繊維5〜100重量部を添加してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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