JP3017587B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP3017587B2 JP3360384A JP36038491A JP3017587B2 JP 3017587 B2 JP3017587 B2 JP 3017587B2 JP 3360384 A JP3360384 A JP 3360384A JP 36038491 A JP36038491 A JP 36038491A JP 3017587 B2 JP3017587 B2 JP 3017587B2
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博巳 石田
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフェニレンエーテ
ル(以下、PPEということがある)系樹脂およびポリ
フェニレンサルファイド(以下、PPSということがあ
る)系樹脂を含む樹脂組成物に関し、さらに詳しくは自
動車部品の分野、特に自動車ヘッドランプリフレクター
の成形材料として有用な上記樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】PPS系樹脂は、耐溶剤性、耐熱性、電
気的特性および成形性が優れた樹脂として良く知られて
おり、近年注目を集めている樹脂の1つである。PPS
は、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維強化剤、タルク、
クレー、マイカなどの無機充填材を配合することによ
り、本来の特性以上に耐熱性を向上させることができ
る。しかし、PPS自体は靭性が不足していて脆く、ま
た、ガラス繊維等を充填しない状態では、加熱たわみ温
度も105℃程度であり、耐熱性も不足している。
【0003】このためPPSの優れた特性を利用しよう
とする樹脂組成物、あるいはその欠点を改良しようとす
る樹脂組成物が提案されている。
【0004】例えば、特開昭50‐156561号公報にはPP
Eの成形性、難燃性を改良するためにPPSを添加した
ところのPPEとPPSとからなる樹脂組成物が開示さ
れている。
【0005】上記のように、PPSにPPEを配合する
と、PPSとPPEとは本質的に相溶性が悪いために、
単に混合しただけで得られた樹脂は脆く、外観も優れた
ものとは云えない。
【0006】そこで本発明者らは先に、特開平3-20355
号公報で、PPS/PPE/ポリアミド系にクエン酸等
のある種の化合物を添加することにより、各樹脂の分散
状態を特定化し、よってPPS系樹脂組成物の外観、脆
さ、耐熱性を改良できることを開示した。
【0007】一方、本発明者らは特開平3-20356 号公報
において、PPS/PPE系樹脂組成物に、エポキシ基
および/またはオキサゾリニル基を含有する不飽和単量
体および/または重合体を添加することにより、衝撃に
対する脆さを改良できることを開示した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より優
れた特性を有するPPS/PPE系樹脂組成物が望まれ
ている。
【0009】そこで本発明は、表面平滑性に特に優れ、
かつ寸法安定性および耐衝撃性が良好であるところのP
PE/PPS系樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)一般式 (I)−Z−(II) {式中(I)は、次式(化2):
【0011】
【化2】 (式中XはF,Cl,Br ,I,OH,ORまたはO−
C(=O)−Rであり、ただしRはH、アルキル基また
はアリール基を示す)で表わされる基であり、Zは2価
の炭化水素基であり、(II)はカルボン酸基、酸無水物
基、酸アミド基、イミド基、カルボン酸エステル基、ア
ミノ基およびヒドロキシ基の中から選ばれる少なくとも
一つの基である}で示される化合物とポリフェニレンエ
ーテルとの反応生成物である官能化ポリフェニレンエー
テル樹脂10〜70重量部、 (B)アミノ基を含有する繰返し単位を0.1〜10モ
ル%含有するポリフェニレンサルファイド系樹脂20〜
80重量部および (C)平均長軸径が5μm以下、長軸/短軸の軸比が3
以上である針状酸化チタン1〜50重量部を含む樹脂組
成物を提供するものである。
【0012】本発明において使用する(A)官能化ポリ
フェニレンエーテルは、(a) ポリフェニレンエーテ
ル、および(b) 一般式 (I)−Z−(II)で示され
る化合物の反応生成物である。ここでZは、少なくとも
1個、典型的には1〜6個の炭素原子を含む。式(I)
−Z−(II)で示される化合物において、好ましくは基
(I)および(II)は同時に同じ基であることはない。
例えば基(I)がカルボン酸基(COOH)である場
合、基(II)はカルボン酸基を含まない。むしろ、この
場合、基(II)は酸無水物基であることが好ましい。こ
の逆もまた真であり、化合物の基(II)が一つ以上のカ
ルボン酸基を含有するとき、基(I)は−COOHでは
ない。この場合、基(I)はアシルクロライド基または
類似の基であるのが好ましい。
【0013】本発明において上記一般式 (I)−Z−
(II)で示される化合物の好適な例として、クロルエタ
ノイルこはく酸無水物(化3)、
【0014】
【化3】 トリメリット酸無水物クロライド(化4)、
【0015】
【化4】 クロルホルミルこはく酸無水物(化5)、
【0016】
【化5】 1‐アセトキシアセチル‐3,4 ‐ジ安息香酸無水物(化
6)、
【0017】
【化6】 等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】カルボン酸(モノおよびポリカルボン酸を
含む)、酸無水物、酸アミド、イミド、カルボン酸エス
テル、アミノおよびヒドロキシル基の中から選択した基
を含有する非常に多くの分子がアミノ基含有PPSと反
応することができる。従って、本発明の官能化ポリフェ
ニレンエーテルを得るために、そのような分子たとえば
テレフタル酸の酸クロライドを利用できる。
【0019】ポリフェニレンエーテルを官能化するため
使用される式(I)−Z−(II)で示される化合物の量
は、本発明の樹脂組成物において、良好な表面平滑性、
寸法安定性および耐衝撃性を与える量である。ポリフェ
ニレンエーテルと反応させるために使用する式(I)−
Z−(II)で示される化合物の量は、一般にポリフェニ
レンエーテルを基にして、約6重量%以下、好ましくは
約 0.05 〜約4重量%である。一定の組成物に対し最良
の結果を達成するため使用する相溶性化剤の最適量は、
その種類、反応させるべきポリフェニレンエーテル、ア
ミノ基を含有するポリフェニレンサルファイド系樹脂の
重量比および処理条件によって決まる。
【0020】本発明において、ポリフェニレンエーテル
は、それ自体公知であり、たとえば一般式(化7):
【0021】
【化7】 (式中R1 ,R2 ,R3 ,並びにR4 は水素、ハロゲ
ン、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子とフェニ
ル環との間に少くとも2個の炭素原子を有するハロアル
キル基およびハロアルコキシ基で第3級α‐炭素を含ま
ないものから選んだ一価置換基を示し、nは重合度を表
わす整数である)で表わされる重合体の総称であって、
上記一般式(化7)で示される重合体の一種単独であっ
ても、二種以上が組合わされた共重合体であってもよ
い。好ましい具体例ではR1 およびR2 は炭素原子数1
〜4のアルキル基であり、R3 ,R4 は水素もしくは炭
素原子数1〜4のアルキル基である。例えばポリ(2,6‐
ジメチル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル、ポリ(2,6‐ジ
エチル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル、ポリ(2‐メチ
ル‐6‐エチル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル、ポリ
(2‐メチル‐6‐プロピル‐1,4 ‐フェニレン)エー
テル、ポリ(2,6‐ジプロピル‐1,4 ‐フェニレン)エー
テル、ポリ(2‐エチル‐6‐プロピル‐1,4 ‐フェニ
レン)エーテルなどが挙げられる。特に好ましいポリフ
ェニレンエーテル樹脂はポリ(2,6‐ジメチル‐1,4 ‐フ
ェニレン)エーテルである。またポリフェニレンエーテ
ル共重合体としては、上記ポリフェニレンエーテル繰返
し単位中にアルキル三置換フェノールたとえば 2,3,6‐
トリメチルフェノールを一部含有する共重合体を挙げる
ことができる。またこれらのポリフェニレンエーテル
に、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であって
もよい。スチレン系化合物グラフト化ポリフェニレンエ
ーテルとしては上記ポリフェニレンエーテルに、スチレ
ン系化合物として、例えばスチレン、α‐メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどをグラフト重
合して得られる共重合体である。
【0022】本発明のために特に好ましいポリフェニレ
ンエーテルの群には酸素エーテル原子に対し二つのオル
ソ位にC1 〜C4 アルキル置換基を有するものを含む。
この群の例には、ポリ(2,6‐ジメチル‐1,4 ‐フェニレ
ン)エーテル:ポリ(2,6‐ジエチル‐1,4 ‐フェニレ
ン)エーテル:ポリ(2‐メチル‐6‐エチル‐1,4 ‐
フェニレン)エーテル:ポリ(2,6‐ジプロピル‐1,4 ‐
フェニレン)エーテル:ポリ(2‐エチル‐6‐プロピ
ル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル等があり、最も好まし
いのはポリ(2,6‐ジメチル‐1,4 ‐フェニレン)エーテ
ルであって、次式(化8):
【0023】
【化8】 または次式(化9):
【0024】
【化9】 の末端基のうち少くとも1つを有するものである。
【0025】ポリフェニレンエーテルと式(I)−Z−
(II)で示される化合物との反応は次のようである。
【0026】例えば次式(化10):
【0027】
【化10】 の末端基を有する線状ポリフェニレンエーテルは、熱お
よび溶剤の存在下、次式(化11):
【0028】
【化11】 のトリメリット酸無水物酸クロライドの如き、一般式
(I)−Z−(II)で示されるアシル化合物と反応し
て、次式(化12):
【0029】
【化12】 の官能化ポリフェニレンエーテルを得ることができる。
これらはメタノールまたはアセトン中で沈澱させること
による等適切に精製でき、その後所望によって濾過し、
乾燥してもよい。
【0030】この例において、ポリフェニレンエーテル
はトリメリット酸無水物酸クロライドの基(I)部分、
すなわちCl−C(=O)−と反応し、その残基が−C
(=O)−であることが明らかである。
【0031】本発明においては、上記の官能化PPEと
共に未官能化PPEを、成分(A)として含むことがで
きる。未官能化PPEは、成分(A)全体の50重量%
以下の量で含むことができる。
【0032】本発明においてPPSは、一般式:−φ−
S−(ここで、−φ−はフェニレン基を表す)で示され
る繰返し単位を70モル%以上含むものが、すぐれた特性
の組成物をもたらすので好ましい。共重合成分として30
モル%未満であればメタ結合(以下の式(1) )、オルト
結合(以下の式(2) )、エーテル結合(以下の式(3)
)、スルホン結合(以下の式(4) )、ビフェニル結合
(以下の式(5) )、置換フェニルスルフィド結合(以下
の式(6) 、ここでRはアルキル、ニトロ、フェニル、ア
ルコキシ、カルボン酸またはカルボン酸の金属塩基を示
す)、3官能フェニルスルフィド結合(以下の式(7)
)、ジフェニレンケトン結合(以下の式(8) )などを
含有していてもポリマーの結晶性に大きく影響しない範
囲でかまわないが、好ましくは共重合成分は10モル%以
下がよい。特に3官能性以上のフェニル、ビフェニル、
ナフチルスルフィド結合などを共重合に選ぶ場合は3モ
ル%以下、さらに好ましくは1モル%以下がよい。
【0033】
【化13】 本発明において使用する上記範囲のアミノ基含有PPS
の製造方法は公知である(特開平3-121159号公報)。例
えば、有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハ
ロベンゼンとを反応させる際に、アミノ基含有芳香族ハ
ロゲン化合物を共存させて重合させる方法が挙げられ
る。
【0034】アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウムお
よび硫化セシウムならびにそれらの混合物が挙げられ、
これらは水和物の形で使用されても差支えない。これら
のアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカ
リ金属塩基とを反応させることによって得られるが、ジ
ハロベンゼンの重合系内への添加に先立ってその場で調
製されても、また系外で調製されたものを用いても差支
えない。
【0035】アミノ基含有芳香族ハロゲン化合物は、次
式(化14):
【0036】
【化14】 (Xはハロゲン原子、Yは水素原子、NH2 基またはハ
ロゲン原子、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、nは0
〜4の整数である)で示される化合物である。
【0037】具体例としては、m-フルオロアニリン、m-
クロロアニリン、3,5-ジクロロアニリン、2-アミノ-4-
クロロトルエン、2-アミノ-6- クロロトルエン、4-アミ
ノ‐2-クロロトルエン、3-クロロ-m- フェニレンジアミ
ン、m-ブロモアニリン、3,5-ジブロモアニリン、m-ヨー
ドアニリンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】アルカリ金属硫化物およびアミノ基含有芳
香族ハロゲン化合物の仕込量はモル比で(アルカリ金属
硫化物):(アミノ基含有芳香族ハロゲン化合物)=
1.00:0.10〜30.0の範囲が好ましい。
【0039】ジハロベンゼンとしては、p-ジクロロベン
ゼン、p-ジブロモベンゼン、p-ジヨードベンゼン、m-ジ
クロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、m-ジヨードベン
ゼン、1-クロロ-4- ブロモベンゼン等が挙げられる。ま
たアルカリ金属化合物およびジハロベンゼンの仕込量は
モル比で、(アルカリ金属硫化物):(ジハロベンゼ
ン)=1.00:0.90〜1.10の範囲が好まし
い。
【0040】重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、
特に非プロトン性で高温でアルカリに対して安定な有機
アミドが好ましい溶媒である。
【0041】有機アミドの若干の例としては、N,N-ジメ
チルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサ
メチルホスホルアミド、N-メチル- ε- カプロラクタ
ム、N-エチル-2- ピロリドン、N-メチル-2- ピロリド
ン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキ
シド、スルホラン、テトラメチル尿素等およびその混合
物が挙げられる。
【0042】また、溶媒として使用される有機アミドの
量は通常、重合によって生成するポリマーが3〜60重
量%、好ましくは7〜40重量%となる範囲で使用され
る。
【0043】重合は通常200〜300℃、好ましくは
220〜280℃にて通常0.5〜30時間、好ましく
は1〜15時間、撹拌下に行われる。
【0044】本発明で使用するアミノ基含有PPSのア
ミノ基含有繰り返し単位の量は、0.1〜10モル%、
好ましくは0.5〜8モル%である。アミノ基含有量が
0.1モル%未満の場合には耐衝撃性、表面外観が悪
く、一方、10モル%を超えると必要以上に架橋反応が
進み、樹脂組成物の混合、成形が困難になる。
【0045】PPS中のアミノ基の含有量を測定する方
法としては、上記公報中に記載されたイオンクロマト法
が挙げられる。この方法は、PPS粉末を酸素フラスコ
中で燃焼し、アミノ基を酸化してNO3 - イオンにした
後、イオンクロマトで測定するものである。イオンクロ
マトでの操作条件を以下に示す。 カラム:TSKgel IC−Anlon−PW(5cm
4.6mmID) 移動相:1.3mMグルコン酸カリウム−1.3mMホ
ウ砂−30mMホウ酸−10%アセトニトリル−0.5
%グリセリン 流速:1.8ml/分 カラム温度:30℃ 検出器:電気伝導度検出器 GAIN:100 本操作条件によると、リテンションタイムが4.5分
(共存イオンの影響により多少異なる)にNO3 - のピ
ークが出るので、計算により吸光度を求め、検量線によ
りNO3 - 濃度を求めることができる。
【0046】また、本発明で使用するPPS系樹脂の溶
融粘度は、機械的強度および成形性を考慮すると100
0〜100000ポイズが好ましく、特に好ましくは1
000〜30000ポイズである。なお、PPS系樹脂
の溶融粘度の値は、高化式フローテスター(ダイス;径
0.5mm、長さ2mm)により、300℃で、10kg荷重
にて測定した値である。
【0047】本発明においては、上記のアミノ基含有P
PSと共にアミノ基を含有しないPPSを、成分(B)
として含むことができる。アミノ基を含有しないPPS
は、成分(B)全体の50重量%以下の量で含むことが
できる。
【0048】次に、成分(C)の針状酸化チタンとは、
本質的にTiOx の組成を有し、その形状が針状のもの
である。ここで針状とは、繊維状、柱状など類似形状の
ものも包含される。このような形状であって、しかも平
均長軸径が5μm以下、好ましくは3μm以下で、長軸
/短軸の軸比が3以上、好ましくは5以上のものを使用
する。軸比の上限は特にないが、50以下のものが入手
しやすい。平均長軸径が5μmより大きいと繊維同志の
絡まり度合いが増加してしまう。また、最近アスベスト
繊維の発癌性問題に端を発し、繊維状物質の形状による
発癌性が指摘されるようになってきており(スタントン
‐ポット(Stanton‐Pott) の仮説、例えばJ. Natl. Can
cer Int., 58,587-603(1977)、JNCI,67,965-975(1981)
、Proc. WHO/IRAC Conf., 1982,2,286-302(1984);
「アスベスト代替のすべて」日本環境センター監修、21
1-284 頁(1989 年)等)、これら安全衛生上の観点から
も、平均長軸径が5μmより大きい微細繊維を用いるこ
とは好ましくない。なお、本発明で使用する針状酸化チ
タンは、100%がルチル形結晶であるために、高硬度
で折れ難く、耐薬品性および耐熱性にも優れている。
【0049】針状酸化チタンは、例えば特公昭47-44974
号公報に記載されているように、ルチルTiOx と塩化
ナトリウムのようなアルカリ金属塩およびオキシ‐リン
化合物とを混合し、次に、725〜1000℃で焼成し
て得られたり、また特公昭45-18370号公報に記載されて
いるように、TiOx 源、亜鉛化合物、アルカリ金属化
合物およびリン酸化合物を混合し、焼成して得られる。
なお、針状酸化チタンが長いものと短いものとの混合物
として得られる場合は、分級粉砕処理などを施して選別
し、少なくともその70重量%のものが短軸0.02〜
0.5μm、長軸0.5〜5μmであるものを使用する
のが好ましい。また、このようにして得られる針状酸化
チタンは普通、焼成の後水抽出などの手段で、可溶性塩
を除去して用いるのが好ましい。可溶性塩の除去を完全
に行うことは困難であり、本発明の針状酸化チタンは少
量の不純物を含んでしてもよい。
【0050】また、繊維状チタン酸カリウムを酸水溶液
で処理してカリウム成分を抽出した繊維状酸化チタンも
提案されているが、このような方法では、カリウム成分
の十分な除去が困難であり、また得られる繊維状酸化チ
タンは元の繊維形状が保持できなかったり、特に多孔性
であるために繊維自身の強度が著しく劣り、折れ易く、
本発明の樹脂組成物の強化材としては不適当である。
【0051】本発明においては、上記した各成分は次の
割合で配合されるのが好ましい。すなわち、樹脂組成物
全体を100重量部として、成分(A)は10〜70重
量部、成分(B)は20〜80重量部、成分(C)は1
〜50重量部配合する。
【0052】本発明の樹脂組成物には、所望に応じて、
本発明の効果を損なわない範囲で、針状酸化チタン以外
の強化材および充填剤、例えばガラス繊維、炭素繊維、
金属繊維、炭化ケイ素ウィスカー、チタン酸カリウムウ
ィスカー、石こう繊維、マイカ、タルク、ケイ酸カルシ
ウム(ウォラストナイト)、カオリン、クレー、硫酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン
(粒状)などを併用することができる。
【0053】また、その目的に応じて樹脂の混合時、成
形時に、慣用の添加剤、例えば顔料、染料、酸化劣化防
止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、難燃
剤、帯電防止剤等を1種以上添加することができる。
【0054】本発明の樹脂組成物を製造するための方法
に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できる。例
えば所定量の各成分および所望により添加される任意成
分である各種添加剤を混合して、混練機で混練すること
により調製しても良いし、あるいは成分(C)を除く各
成分および任意成分をあらかじめ押出機に定量供給して
混練を行い、樹脂が溶融した部分に成分(C)針状酸化
チタンをサイドフィードして混練することにより調製す
ることもできる。混練機については、熱可塑性樹脂と針
状酸化チタンを混練し得るものであればいずれでもよ
く、特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニー
ダー等を例として挙げることができ、これらを回分的ま
たは連続的に運転する。例えば押出機では、単軸押出
機、多軸押出機などのスクリュー押出機、エラスチック
押出機、ハイドロダイナミック押出機、ラム式連続押出
機、ロール式押出機、ギア式押出機などの非スクリュー
押出機などを挙げることができるが、これらの中でスク
リュー押出機、特に二軸押出機が好ましい。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】なお、実施例においては次の化合物を使用
した。 成分(A) 官能化PPE:以下のようにして、ポリフェニレンエー
テル‐トリメリット酸無水物酸クロライド反応生成物を
作った:500重量部のトルエンに溶解した固有粘度(ク
ロロホルム、25℃)0.48dl/gのポリ(2,6‐ジメチ
ル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル(PPE) 100重量部
をトリメリット酸無水物酸クロライド(TAAC)2.
0重量部と反応させ、酸受容体として5.0重量部のジ
メチル‐n‐ブチルアミン(DMBA)を使用した。反
応は2時間95℃で行なった。
【0057】TAACは、純度99%、分子量 210.57 g
/モル、融点66〜68℃で、アルドリッチ・ケミカルから
得た。
【0058】反応生成物をメタノール中で沈澱させて精
製し、その後60〜80℃で減圧オーブン中で一夜乾燥し
た。
【0059】PPE‐TAACの形成は、2650〜2900nm
での既知のPPEヒドロキシルピークの減少および1730
〜1740cm-1で表わされたカルボニル吸収ピークの出現に
より、赤外線吸収スペクトルで立証された。
【0060】未官能化PPE(比較のために使用し
た):固有粘度(クロロホルム、25℃)0.48 dl
/gのポリ(2,6‐ジメチル‐1,4 ‐フェニレン)エーテル 成分(B) アミノ基含有PPS:以下のようにして製造した:50
0ml容量のオートクレーブに、Na2 S・2.9 H2
0.60モル、N-メチル-2- ピロリドン(NMP)15
0mlを入れ、窒素気流下で撹拌して200℃まで昇温
し、21.0gの主に水からなる留出液を留出させた。
【0061】その後150℃まで冷却し、p-ジクロロベ
ンゼン0.597モル、3,5-ジクロロアニリン0.00
3モルおよびNMP 50mlを添加し、窒素気流下に系
を封入後、昇温して250℃にて、3時間重合させた。
【0062】重合終了後、室温まで冷却したスラリーを
一部サンプリングし、ろ液を採取して未反応ジクロロア
ニリンをガスクロマトグラフィーにて定量した。
【0063】残りのスラリーは、大量の水中に投入して
ポリマーを析出させ、ろ別し、純水による洗浄を行っ
た。その後、一晩加熱真空乾燥を行うことにより、ポリ
マーを単離した。
【0064】アミノ基含有芳香族ハロゲン化物の転化率
は、ガスクロマトグラフィーによる定量で89%、得ら
れたポリマーの溶融粘度(ダイス:径0.5mm、長さ2
mmにより、300℃、10kg荷重、高化式フロースター
で測定した)は3,000ポイズ、またイオンクロマト
法により求めた、PPSに含まれるアミノ基含有量は
0.06モル%であった。 成分(C) 針状酸化チタン:FTL-200(商標、石原産業株式会社
製)、平均長軸径1.7μm、平均短軸径0.16μm タルク(比較のために使用した)実施例1〜2および比較例1〜2 表に示す量(重量部)の各成分を配合した配合物を、減
圧ベント付二軸押出機で、設定温度300℃にて押出し
て、ペレットを作成した。
【0065】次に、このペレットを、シリンダー温度3
00℃、金型温度140℃に設定した射出成形機により
成形して各種試験片を作成し、以下の諸特性の試験に供
した。結果を表1に示す。
【0066】線膨脹係数(CTE):流れ方向について
室温乃至80℃の範囲で測定した。
【0067】アイゾット衝撃強度:ASTM D256
にしたがって、1/8 インチバー、ノッチ無アイゾット衝
撃強度を測定した。
【0068】表面外観:50mm成形角板の表面を目視に
より評価した。○は光沢あり、平滑であり、△は光沢少
なく、平滑性やや悪いであり、×は光沢なく、平滑性悪
いである。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、表面平滑性に特
に優れ、かつ寸法安定性および耐衝撃性が良好である。
よって広範な用途に使用することができ、工業的に極め
て有用である。また、平均長軸径が5μm以下の針状酸
化チタンを使用しているので、安全衛生上の観点からも
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 浩 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘2−2 日本ジー イープラスチックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−121159(JP,A) 特開 平3−199257(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 71/12,81/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式 (I)−Z−(II) {式中(I)は、次式(化1): 【化1】 (式中XはF,Cl,Br ,I,OH,ORまたはO−
    C(=O)−Rであり、ただしRはH、アルキル基また
    はアリール基を示す)で表わされる基であり、Zは2価
    の炭化水素基であり、(II)はカルボン酸基、酸無水物
    基、酸アミド基、イミド基、カルボン酸エステル基、ア
    ミノ基およびヒドロキシ基の中から選ばれる少なくとも
    一つの基である}で示される化合物とポリフェニレンエ
    ーテルとの反応生成物である官能化ポリフェニレンエー
    テル樹脂10〜70重量部、 (B)アミノ基を含有する繰返し単位を0.1〜10モ
    ル%含有するポリフェニレンサルファイド系樹脂20〜
    80重量部および (C)平均長軸径が5μm以下、長軸/短軸の軸比が3
    以上である針状酸化チタン1〜50重量部を含む樹脂組
    成物。
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