JP4619106B2 - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
樹脂組成物およびその成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4619106B2 JP4619106B2 JP2004366853A JP2004366853A JP4619106B2 JP 4619106 B2 JP4619106 B2 JP 4619106B2 JP 2004366853 A JP2004366853 A JP 2004366853A JP 2004366853 A JP2004366853 A JP 2004366853A JP 4619106 B2 JP4619106 B2 JP 4619106B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- resin
- molding method
- copolymer
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
一方、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率、耐熱性などを向上させるためには、サイズがミクロンメートルオーダーのガラス繊維などの無機充填剤を樹脂に配合するのが一般的であったが、この場合には、該樹脂の曲げ弾性率は向上しても、耐衝撃性などは必ず、大幅に低下した。
また、炭素繊維などの導電性無機フィラーを配合してなる導電性に優れた樹脂成形体に関して、例えば特許文献2があるが、耐衝撃性、難燃性などについては記載がない。
さらに、特定の針状無機フィラーを含有する樹脂組成物は環境応力破壊性に優れるなどと記載されているが(例えば、特許文献3参照)、耐衝撃性、曲げ弾性率などに関する記載はない。
特許文献4には、官能化ポリフェニレンエーテルに無機フィラーを配合してなる樹脂組成物に関して記載されているが、繊維状の無機フィラーでも1〜20μmφの径が大きなフィラーを配合したものであり、得られた樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性なども不十分なものであった。特許文献5には、針状ベーマイトを樹脂材料に配合してなる難燃性に優れた組成物に関して記載されているが、針状ベーマイトは1〜10μmとサイズが大きなものであり、耐衝撃性などに関しても触れられていない。
さらに、ポリプロピレン系樹脂に無機フィラーを配合してなる樹脂組成物は耐衝撃性、曲げ弾性率などに優れると、特許文献6に記載されているが、耐衝撃性や曲げ弾性率の改良効果はごく小さいものであった。
また、例えば特許文献7および8にポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とからなる、耐熱性、耐衝撃性などに優れた樹脂組成物が記載されている。しかしながら、かかるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を使用しても、用途によっては、それを用いた成形体の耐衝撃性、曲げ弾性率、耐熱性、難燃性などの特性の一部、あるいはすべてに不十分な場合があった。
本発明は、この考えを覆す、優れた耐熱性を有し、しかも耐衝撃性、曲げ弾性率、引っ張り強度などの機械特性や難燃性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、その樹脂組成物の自動車部品、電気・電子部品、ハウジング材等の成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性樹脂に、一次粒子の平均長さが10〜2000nmで、アスペクト比5〜500である針状無機物を含んでなることを特徴とする樹脂組成物、
(2)前記熱可塑性樹脂が耐衝撃性樹脂であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、 [ここで、耐衝撃性樹脂とは、ノッチ加工した該樹脂試験片を、JIS K−7110に準拠して、アイゾット衝撃試験を行った際のアイゾット衝撃強度が5以上の樹脂をいう]
(3)前記熱可塑性樹脂が、ブロックポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(4)前記熱可塑性樹脂が、(A)下記一般式(1)
(5)前記ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)が、エポキシ基を有する共重合体である(4)に記載の樹脂組成物、
(6)前記エポキシ基を有する共重合体が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である(5)に記載の樹脂組成物、
(7)前記エポキシ基を有する共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする(5)に記載の樹脂組成物、
(8)前記針状無機物が、水酸化アルミニウム、アスベスト、ウォラストライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、カピオライト、フォスフェートファイバー、石膏繊維、マグネシウムオキシサルフェート、アラミド繊維および炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(9)前記針状無機物のアスペクト比が5〜500であることを特徴とする(1)または(8)に記載の樹脂組成物、および、
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造された自動車部品、電気・電子部品、電送部品、モバイル機器部品、ハウジング材、自動車外板部材、ボトルまたは容器、チューブ、フィルムまたはパイプである成形体、
を提供するものである。
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂、アクリロ−スチレン共重合体樹脂のような汎用樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチエンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルの如き汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミドなどのスーパーエンジニアリングプラスチック、あるいはこれら熱可塑性樹脂を含む組成物、ポリマーアロイなどを挙げることができる。
ここでいう耐衝撃性樹脂としては、ノッチ加工した該樹脂試験片を、JIS K−7110に準拠して、アイゾット衝撃試験を行った際のアイゾット衝撃強度が5以上の樹脂をいう。
かかる耐衝撃性樹脂としては、ブロックポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物などを具体的に挙げることができる。なかでも、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物がさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物のなかでも、特開平7−102169号公報や特開2002−319316号公報などに記載の、ポリフェニレンエーテル(A)と、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)とからなる樹脂組成物が特に好ましい。
ここでいうポリフェニレンエーテル(A)は、下記の一般式(1)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルである。
上記の全炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の全炭素数1〜20のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の全炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等の全炭素数7〜20のアラルキル基;等が挙げられる。該炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、t−ブチルオキシ基等のアルコキシ基、3−ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基等が挙げられる。置換基を有する炭化水素基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジフェニルアミノプロピル基等が挙げられる。なお全炭素数には、置換基の炭素数は含まない。
なかでも、R1、R2は、水素、メチル基などであることが好ましく、とりわけ水素であることが好ましい。
で示されるフェノール化合物を酸化重合させて製造することができる。
この酸化重合は、上記のようなフェノール化合物を酸化カップリング触媒を用い、酸化剤として例えば、酸素または酸素含有ガスを用いて行うことができる。酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有するいかなる触媒でも使用しうる。例えば、その代表的なものとしては、塩化第一銅を含む触媒や二価のマンガン塩類を含む触媒が挙げられる(例えば、特開昭60−229923号公報参照)。
官能基を有する構造単位として、官能基がエポキシ基であるものとして、グリシジル基を含有する構造単位が好ましい。該構造単位としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位があげられる。ここに不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位、不飽和グリシジルエーテル単位とは不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルである単量体から誘導される構造単位のことをいう。
ここに、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルとしては、例えば下記一般式(3)
成分(B)である共重合体はのなかで、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を含むものは、例えば、上記一般式(2)で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルとエチレン系不飽和結合を有する化合物とを共重合させることにより製造しうる。
また、成分(B)である共重合体は、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することにより製造することも可能である。
本発明の成分(B)としてのゴムとしては、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つアクリルゴムや、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができる。
CH2=CR7−C(O)−OR1 (4)
CH2=CR8−C(O)−OR2OR3 (5)
CH2=CR4H−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6 (6)
(式中、R1は炭素原子数1〜18(好ましくは1〜8)のアルキル基または炭素原子数1〜18のシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体とポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を有する単量体を成分とするものである。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
このような不飽和単量体の例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃でラージローターを用いて測定した値をいう。
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
本発明におけるポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムは、上記の方法などで得られたビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体にエポキシ基など、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する単量体を導入することで得ることができる。かかる単量体をビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体に導入する方法は特に限定するものではないが、グラフト共重合などで導入することが好ましい。
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
また、エチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
本発明においては、成分(A)が連続相、成分(B)が分散相である形状の組成物が好ましい。
かかる針状の無機物の好ましい具体例としては、水酸化アルミニウム、アスベスト、ウォラストライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、カピオライト、フォスフェートファイバー、石膏繊維、マグネシウムオキシサルフェート,アラミド繊維、炭素繊維などが挙げられる。なかでも水酸化アルミニウムがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、これらの針状無機物を2種類以上含有していても良い。
この針状の無機物は、その一次粒子のアスペクト比、すなわち、平均長さ/平均太さの値は、5〜500が好ましく、10〜200がさらに好ましい。この値が上記の範囲外であると、樹脂組成物の物性が低下する場合がある。
上で示した本発明における水酸化アルミニウムは、通常、複数の一次粒子が凝集して二次粒子を形成する場合があり、かかる二次粒子の平均サイズを測定した場合、0.1μm以上、10μm以下の値を示すものが好ましく、5μm以下のものがさらに好ましい。
溶融混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いる
ことができる。
これらの成形体の形状としては、チューブ、パイプ、容器、ボトル、フィルム、シート等があげられる。特に、射出成形体としては、ハウジング材、電気・電子・電送部品、自動車外板部材、自動車部品、モバイル機器部品などを具体例として挙げることができる。
さらに、上記の樹脂組成物を射出成形して、電気・電子・電送部品、モバイル機器部品などを得るには、射出成形機を使用して、溶融した上記樹脂組成物を押出し機から金型中へ高圧で注入する方法を使用できる。
本発明における樹脂組成物を使用して、射出成形あるいはブロー成形により、バンパー、インスツルメント等の自動車部品などを得ることもできる。
本発明の組成物は、さらに熱処理することにより、耐熱性などが向上する。かかる熱処理条件は特に限定するものではないが、熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとした場合、[Tg−40]℃以上、[Tg+50]℃未満で行うことが好ましい。
本発明の実施例に使用する針状無機物である針状水酸化アルミニウムの合成例を示す。
水酸化アルミニウム(商品名「C−31」、主結晶相:ギブサイト、住友化学工業(株)製)を振動ミルを使用して粉砕したものを700℃気流中に投入して仮焼した。得られた中間アルミナは、主結晶相がρであり、二次粒子径は3μmであった。
この中間アルミナ56gと水744gを混合し、この混合物に酢酸マグネシウム4水和物(特級試薬、和光純薬工業(株)製)161.6gを添加して溶解させて、中間アルミナを含む酢酸マグネシウム水溶液を得た。このときの酢酸マグネシウムの濃度は、水に対して0.94mol/Lであった。
得られた水溶液を、内容積1Lのオートクレーブに入れ、撹拌下、200℃で約40時間、水熱処理を行った。その後、内容物の固体を水5Lと混合し、この混合物を遠心分離機により固液分離して固体を回収した。この洗浄処理は合計3回行った。
得られた水酸化アルミニウムに水を加え、計750gのスラリーとしたものを、容量1Lの遠心分離用ポリタンクに入れ、遠心分離機で、4000rpmで20分間処理した。
遠心分離操作後、上澄み液を取り除き、次いで上澄み液と同量のエタノールを添加して水酸化アルミニウムを分散させた。このスラリーを上述と同一の条件で遠心分離機にかけ、その後同様の操作を2回行った。その後、遠心分離作業後の沈降物に固形分濃度が7%になるようエタノールを加えて分散させた。
得られた水酸化アルミニウム―エタノールスラリーに、該スラリー中の水酸化アルミニウム乾燥重量に対し20phfのオレイン酸を添加して均一に混合した。この懸濁液を、コンデンサを備えたセパラブルフラスコに入れ、85℃の湯浴中で6時間還流した。還流処理後、該スラリーをエバポレーターにて、真空下、50℃〜70℃で脱溶媒し、表面処理水酸化アルミニウムを得た。
得られた水酸化アルミニウムをX線回折測定したところ、主結晶相はベーマイトであった。また、透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、平均長さが150nm、平均太さが10nmの針状体であった。したがって、アスペクト比は15である。
この水酸化アルミニウムの透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。このようにして得られた成分(C)であるこの水酸化アルミニウムを以後、CA−1と略称することがある。
粒状水酸化アルミニウム(商品名「Nals」、住友化学工業(株)製)を比較例に使用した。
この水酸化アルミニウムは不定形、粒状で、その一次粒子径は5〜50nmの範囲にあり、アスペクト比は5に満たないもので、表面処理は施していない。以後、成分(C)であるこの水酸化アルミニウムをCB−1と略称することがある。
参考例2の水酸化アルミニウム(商品名「Nals」、住友化学工業(株)製)を、固形分濃度が7%になるようエタノールを加えて分散させた。得られた水酸化アルミニウム―エタノールスラリーに、該スラリー中の水酸化アルミニウム乾燥重量に対し20phfのオレイン酸を添加して均一に混合した。この懸濁液を、コンデンサを備えたセパラブルフラスコに入れ、85℃の湯浴中で6時間還流した。還流処理後、該スラリーをエバポレーターにて、真空下、50℃〜70℃で脱溶媒し、表面処理水酸化アルミニウムを得た。以下、成分(C)であるこの水酸化アルミニウムをCB−2と略称することがある。
樹脂成分
樹脂成分(A)として、 [η]=0.4のポリフェニレンエーテルを使用した。
樹脂成分(B)として、住友化学工業(株)製、ボンドファースト7L(エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=67/3/30 重量比、MFR(190℃)=9g/10min)を使用した。
樹脂成分(D)として、次の2種類を使用した。
D−1:耐衝撃性ポリスチレン(商品名「AG−102」、エー・アンド・エムスチレン(株)製)
D−2:ブロックポリプロピレン(商品名「AZ564」、住友化学工業(株)製)
物性測定
(i)アイゾット衝撃強度
樹脂試験片を、ノッチ加工したのち、JIS K−7110に準拠して、23℃でアイゾット衝撃試験を行った。
(ii)曲げ弾性率
樹脂試験片を短冊状に切り出し、島津製作所製オートグラフAG500B型を使用して、JIS K−7171に準拠して、室温で曲げ速度1.5mm/minで曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
(iii)荷重たわみ温度(HDT、耐熱性)
樹脂試験片を短冊状に切り出し、JIS K−7191に準拠して、18.5kg荷重で、試験片が一定たわみに達する温度(荷重たわみ温度)を測定した。
(iv)引っ張り強度、伸び率
島津製作所(株)製オートグラフA−10TD型を使用して、JIS K−7161に準拠して、室温で、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行い、試料破断時の引っ張り強度、および伸び率を測定した。
上記樹脂成分(A)および無機物である成分(C)を、120℃で8時間温風乾燥機を使用して乾燥し、上記樹脂成分(B)を、60℃で2時間真空乾燥した後、表1に示す割合(質量部)で各成分を良く混合したのち、テクノベル(株)製二軸押出し機、TZW−15−30MG(スクリュー径 15mm,L/D=30)を使用し、シリンダー設定温度は290℃、スクリュー回転数はいずれも200rpmで、ベントで脱気しながら溶融混練を行ない、組成物のペレットを得ることができた。
次に、得られた組成物のペレットを、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度は実施例1および比較例2,3は300℃、比較例1は300℃とし、金型温度はいずれも90℃、射出圧力は実施例1は1720Kg/cm2、比較例1は1500Kg/cm2、比較例2〜3は1550Kg/cm2とし、押出し機のスクリュー回転数はいずれも50rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により、ダンベル形状の試験片を得ることができた。
得られた試験片について、物性を測定した結果を表1に示す。
表1の結果より、針状無機物を含んでなる実施例1のものは、耐熱性を保持したままアイゾット衝撃強度などの機械的特性が比較例に比べ優れたものである。
上記樹脂成分(D)を60℃で2時間真空乾燥し、針状無機物又は粒状無機物であるCA−1またはCB−1を、120℃で8時間温風乾燥機を使用して乾燥した。組成物に関しては、表2に示す割合で各成分を良く混合したのち、テクノベル(株)製二軸押出し機、TZW−15−30MG(スクリュー径 15mm,L/D=30)を使用し、シリンダー設定温度は220℃、スクリュー回転数は200rpmで、ベントで脱気しながら溶融混練を行ない、組成物のペレットを得た。
組成物ペレットの射出成形は、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度は実施例2,3、比較例4は200℃、比較例5,6は185℃とし、金型温度はいずれも80℃、射出圧力はいずれの場合も400Kg/cm2、押出し機のスクリュー回転数はいずれも83rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により、ダンベル形状の試験片を得ることができた。
得られた試験片について、物性を測定した結果を表2に示す。
表2の結果より、針状無機物を含んでなる実施例2および3は、それぞれ対応する樹脂成分を用いた比較例4,5および比較例6と比較すると、アイゾット衝撃強度などの機械的特性のすべてに優れている。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂、及び一次粒子の平均長さが10〜2000nm、アスペクト比が5〜500である水酸化アルミニウムを含んでなり、
該熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテル、及び(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを含んでなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
該水酸化アルミニウムの配合比が、該熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜40質量部である
ことを特徴とする樹脂組成物。
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。) - 前記熱可塑性樹脂が耐衝撃性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記共重合体ゴムが、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造されたチューブ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造されたフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004366853A JP4619106B2 (ja) | 2004-12-17 | 2004-12-17 | 樹脂組成物およびその成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004366853A JP4619106B2 (ja) | 2004-12-17 | 2004-12-17 | 樹脂組成物およびその成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006169447A JP2006169447A (ja) | 2006-06-29 |
JP4619106B2 true JP4619106B2 (ja) | 2011-01-26 |
Family
ID=36670538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004366853A Expired - Fee Related JP4619106B2 (ja) | 2004-12-17 | 2004-12-17 | 樹脂組成物およびその成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4619106B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4812535B2 (ja) | 2006-06-19 | 2011-11-09 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 移動通信システムにおけるユーザ装置、基地局及び方法 |
JP2008266613A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-11-06 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ベーマイト充填ポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる成形体 |
JP2008266614A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-11-06 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ベーマイト充填ポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる成形体 |
JP4925123B2 (ja) * | 2007-08-31 | 2012-04-25 | 日新製鋼株式会社 | 異形断面材の製造方法及びその装置 |
JP5642756B2 (ja) * | 2012-10-11 | 2014-12-17 | 株式会社リケン | シール部材 |
JP2016044114A (ja) * | 2014-08-27 | 2016-04-04 | 川研ファインケミカル株式会社 | 高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー及びそれを含有する樹脂複合体 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05179133A (ja) * | 1991-12-27 | 1993-07-20 | Nippon G Ii Plast Kk | 樹脂組成物 |
JPH0711049A (ja) * | 1993-06-24 | 1995-01-13 | Sekisui Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
JPH07102169A (ja) * | 1993-10-07 | 1995-04-18 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
JPH09165509A (ja) * | 1995-06-07 | 1997-06-24 | General Electric Co <Ge> | ポリ(フェニレンエーテル)樹脂とエポキシ官能性ポリオレフィンの組成物 |
JP2003054941A (ja) * | 2001-08-08 | 2003-02-26 | Gifu Prefecture | 針状ベーマイト及び針状アルミナ並びにそれらを含有する樹脂組成物 |
JP2004043556A (ja) * | 2002-07-09 | 2004-02-12 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 滞留安定性に優れた芳香族ポリカーボネート系難燃樹脂組成物 |
WO2004015013A1 (ja) * | 2002-08-07 | 2004-02-19 | Teijin Limited | 熱可塑性樹脂組成物と成形体 |
-
2004
- 2004-12-17 JP JP2004366853A patent/JP4619106B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05179133A (ja) * | 1991-12-27 | 1993-07-20 | Nippon G Ii Plast Kk | 樹脂組成物 |
JPH0711049A (ja) * | 1993-06-24 | 1995-01-13 | Sekisui Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
JPH07102169A (ja) * | 1993-10-07 | 1995-04-18 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
JPH09165509A (ja) * | 1995-06-07 | 1997-06-24 | General Electric Co <Ge> | ポリ(フェニレンエーテル)樹脂とエポキシ官能性ポリオレフィンの組成物 |
JP2003054941A (ja) * | 2001-08-08 | 2003-02-26 | Gifu Prefecture | 針状ベーマイト及び針状アルミナ並びにそれらを含有する樹脂組成物 |
JP2004043556A (ja) * | 2002-07-09 | 2004-02-12 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 滞留安定性に優れた芳香族ポリカーボネート系難燃樹脂組成物 |
WO2004015013A1 (ja) * | 2002-08-07 | 2004-02-19 | Teijin Limited | 熱可塑性樹脂組成物と成形体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006169447A (ja) | 2006-06-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2005030819A1 (ja) | エンジニアリングプラスチック用流動性向上剤およびこれを含有する熱可塑性樹脂組成物ならびにその成形品 | |
JP2008514787A (ja) | 優れた耐プレートアウト性を有する樹脂組成物及び方法 | |
KR101023650B1 (ko) | 재생 폴리에스테르 수지를 이용한 친환경 열가소성 수지 조성물 | |
JP4619106B2 (ja) | 樹脂組成物およびその成形体 | |
JP5239664B2 (ja) | 自動車内装部品用熱可塑性樹脂組成物および成形品 | |
JP3493983B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなるシートもしくはフィルム、および該シートもしくはフィルムの製造方法 | |
JP2009256551A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形体 | |
CA2491746C (en) | Polyamide resin composition and process for producing the same | |
KR100616723B1 (ko) | 재생 폴리아미드 나노복합체 조성물 | |
JP4524861B2 (ja) | 多孔質フィルムの製造方法 | |
JP5397977B2 (ja) | 共連続構造を有する樹脂組成物 | |
JP4696458B2 (ja) | 絶縁電線被覆材 | |
JP2008133328A (ja) | ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法 | |
JP2006233132A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2008138294A (ja) | 繊維、繊維の構造体およびそれら製造方法 | |
JP2006169460A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JPS62209157A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2006176676A (ja) | 樹脂組成物およびその成形体 | |
JP4094755B2 (ja) | ブロー成形用スチレン系樹脂組成物およびそのブロー成形品 | |
JP3988775B2 (ja) | 液晶ポリマー | |
JP2001348473A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4622369B2 (ja) | ポリフェニレンオキサイド系樹脂組成物成形体の製造方法 | |
JP2005220265A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 | |
JP2004244537A (ja) | ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 | |
JP2006117787A (ja) | 樹脂組成物およびその成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071011 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100514 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100525 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100928 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101026 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |