JP4619106B2 - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率、難燃性などに優れ、しかも安価に提供できる樹脂組成物およびその成形体に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂の耐衝撃性などを向上させるためには、該樹脂にゴムを配合するのが常であった。しかしながら、ゴムを樹脂に配合すると、耐衝撃性は向上する一方、該樹脂の耐熱性、曲げ弾性率などは著しく低下するのが常であった。
一方、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率、耐熱性などを向上させるためには、サイズがミクロンメートルオーダーのガラス繊維などの無機充填剤を樹脂に配合するのが一般的であったが、この場合には、該樹脂の曲げ弾性率は向上しても、耐衝撃性などは必ず、大幅に低下した。
これ等について従来技術を見ると、繊維状無機フィラーを配合してなる難燃性に優れた樹脂組成物に関して、例えば特許文献1があるが、これには耐衝撃性、曲げ弾性率などに関する記載はない。
また、炭素繊維などの導電性無機フィラーを配合してなる導電性に優れた樹脂成形体に関して、例えば特許文献2があるが、耐衝撃性、難燃性などについては記載がない。
さらに、特定の針状無機フィラーを含有する樹脂組成物は環境応力破壊性に優れるなどと記載されているが(例えば、特許文献3参照)、耐衝撃性、曲げ弾性率などに関する記載はない。
特許文献4には、官能化ポリフェニレンエーテルに無機フィラーを配合してなる樹脂組成物に関して記載されているが、繊維状の無機フィラーでも1〜20μmφの径が大きなフィラーを配合したものであり、得られた樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性なども不十分なものであった。特許文献5には、針状ベーマイトを樹脂材料に配合してなる難燃性に優れた組成物に関して記載されているが、針状ベーマイトは1〜10μmとサイズが大きなものであり、耐衝撃性などに関しても触れられていない。
さらに、ポリプロピレン系樹脂に無機フィラーを配合してなる樹脂組成物は耐衝撃性、曲げ弾性率などに優れると、特許文献6に記載されているが、耐衝撃性や曲げ弾性率の改良効果はごく小さいものであった。
また、例えば特許文献7および8にポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とからなる、耐熱性、耐衝撃性などに優れた樹脂組成物が記載されている。しかしながら、かかるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を使用しても、用途によっては、それを用いた成形体の耐衝撃性、曲げ弾性率、耐熱性、難燃性などの特性の一部、あるいはすべてに不十分な場合があった。
特開平7−242810号公報 特再公表WO00/40642公報 特開2001−123078号公報 特開2001−302904号公報 特開2003−54941号公報 特開2004−91701号公報 特開平7−102169号公報 特開2002−319316号公報
すなわち、熱可塑性樹脂本来の耐熱性を保持したままで、その耐衝撃性、曲げ弾性率、難燃性などを向上させることは矛盾することであり、不可能であると考えられていた。
本発明は、この考えを覆す、優れた耐熱性を有し、しかも耐衝撃性、曲げ弾性率、引っ張り強度などの機械特性や難燃性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、その樹脂組成物の自動車部品、電気・電子部品、ハウジング材等の成形体を提供することを目的とする。
本発明者等は、長年、鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂に、その粒子の最小単位である一次粒子の平均長さが10〜2000nmであることを特徴とする針状無機物(C)を配合することで、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率などが改良された難燃性を有する樹脂組成物が得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性樹脂に、一次粒子の平均長さが10〜2000nmで、アスペクト比5〜500である針状無機物を含んでなることを特徴とする樹脂組成物、
(2)前記熱可塑性樹脂が耐衝撃性樹脂であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、 [ここで、耐衝撃性樹脂とは、ノッチ加工した該樹脂試験片を、JIS K−7110に準拠して、アイゾット衝撃試験を行った際のアイゾット衝撃強度が5以上の樹脂をいう]
(3)前記熱可塑性樹脂が、ブロックポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(4)前記熱可塑性樹脂が、(A)下記一般式(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと、(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体からなる、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(5)前記ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)が、エポキシ基を有する共重合体である(4)に記載の樹脂組成物、
(6)前記エポキシ基を有する共重合体が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である(5)に記載の樹脂組成物、
(7)前記エポキシ基を有する共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする(5)に記載の樹脂組成物、
(8)前記針状無機物が、水酸化アルミニウム、アスベスト、ウォラストライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、カピオライト、フォスフェートファイバー、石膏繊維、マグネシウムオキシサルフェート、アラミド繊維および炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(9)前記針状無機物のアスペクト比が5〜500であることを特徴とする(1)または(8)に記載の樹脂組成物、および、
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造された自動車部品、電気・電子部品、電送部品、モバイル機器部品、ハウジング材、自動車外板部材、ボトルまたは容器、チューブ、フィルムまたはパイプである成形体、
を提供するものである。
本発明の樹脂組成物は、低コストで得られ、各種成形方法で容易に成形でき、耐熱性が優れる上に曲げ弾性、耐衝撃性、引っ張り強度などの機械特性に優れ、難燃性を有するものである。そして、本発明の樹脂組成物は、自動車部品、電気電子部品、電送部品、モバイル機器部品、ハウジング材、自動車外板部材等に適用できる。
本発明の樹脂組成物の好ましい実施態様について、詳細に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂、アクリロ−スチレン共重合体樹脂のような汎用樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチエンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルの如き汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミドなどのスーパーエンジニアリングプラスチック、あるいはこれら熱可塑性樹脂を含む組成物、ポリマーアロイなどを挙げることができる。
これら熱可塑性樹脂のなかでも、耐衝撃性樹脂が好ましく用いられる。
ここでいう耐衝撃性樹脂としては、ノッチ加工した該樹脂試験片を、JIS K−7110に準拠して、アイゾット衝撃試験を行った際のアイゾット衝撃強度が5以上の樹脂をいう。
かかる耐衝撃性樹脂としては、ブロックポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物などを具体的に挙げることができる。なかでも、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物がさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物のなかでも、特開平7−102169号公報や特開2002−319316号公報などに記載の、ポリフェニレンエーテル(A)と、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)とからなる樹脂組成物が特に好ましい。
ここでいうポリフェニレンエーテル(A)は、下記の一般式(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい全炭素数1〜20の炭化水素を表す。)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルである。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の(A)成分であるポリフェニレンエーテルは、前記一般式(1)の構造単位を有する重合体であり、一般式(1)の構造単位を2種以上有していてもよい。
上記の全炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の全炭素数1〜20のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の全炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等の全炭素数7〜20のアラルキル基;等が挙げられる。該炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、t−ブチルオキシ基等のアルコキシ基、3−ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基等が挙げられる。置換基を有する炭化水素基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジフェニルアミノプロピル基等が挙げられる。なお全炭素数には、置換基の炭素数は含まない。
なかでも、R、Rは、水素、メチル基などであることが好ましく、とりわけ水素であることが好ましい。
成分(A)のポリフェニレンエーテルは前記一般式(1)の構造単位を有する単独重合体であっても、前記一般式(1)以外に、一般式(1)に対応するフェノール化合物以外のフェノール化合物である単量体から誘導される構造単位を有する共重合体であってもよい。このようなフェノール化合物としては、例えば、多価ヒドロキシ芳香族化合物(例えばビスフェノール−A,テトラブロモビスフェノール−A,レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂)が挙げられる。かかる共重合体においては、一般式(1)の構造単位を80モル%以上含むことが好ましく、90モル%以上含むことがより好ましい。
また本発明における成分(A)の固有粘度[η] (25℃、クロロホルム溶液)は、0.30〜0.65の範囲が好ましく、0.35〜0.50がさらに好ましい。[η]が0.30未満では、樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向にあり、また、[η]が0.65を超えると樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向にある。
成分(A)のポリフェニレンエーテルは、例えば、下記一般式(2)
(式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるフェノール化合物を酸化重合させて製造することができる。
上記一般式(2)のフェノール化合物のみを原料として用いると、上記単独重合体を製造することができ、さらに、前記一般式(2)以外に、(2)以外のフェノール化合物を用いることにより、上記共重合体を製造することができる。
この酸化重合は、上記のようなフェノール化合物を酸化カップリング触媒を用い、酸化剤として例えば、酸素または酸素含有ガスを用いて行うことができる。酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有するいかなる触媒でも使用しうる。例えば、その代表的なものとしては、塩化第一銅を含む触媒や二価のマンガン塩類を含む触媒が挙げられる(例えば、特開昭60−229923号公報参照)。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、上記のような成分(A)のポリフェニレンエーテルの他に成分(B)の該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体を成分とする。該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基としては、成分(A)と反応性を有しておればよく、例えば、オキサゾリル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくはエポキシ基である。
成分(B)として用いられる該共重合体としては、該官能基を有する構造単位と、該官能基を有しない構造単位とを有するものがあげられる。
官能基を有する構造単位として、官能基がエポキシ基であるものとして、グリシジル基を含有する構造単位が好ましい。該構造単位としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位があげられる。ここに不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位、不飽和グリシジルエーテル単位とは不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルである単量体から誘導される構造単位のことをいう。
ここに、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルとしては、例えば下記一般式(3)
で示されるものが挙げられる。
不飽和カルボン酸グリシジルエステルの具体例としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができ、不飽和グリシジルエーテルの具体例としては、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が挙げられる。
成分(B)の共重合体における官能基を有しない構造単位としては、エチレン系不飽和結合を有する化合物であるモノマーから誘導される構造単位が挙げられ、該化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、等のアクリル酸エステル類、エチレン、ビニル芳香族炭化水素化合物、エチレン系不飽和エステル化合物、共役ジエン化合物、エチレン系不飽和エステル化合物等があげられる。
成分(B)の共重合体は、該共重合体が有する全構造単位を100質量%としたとき、かかる不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有することが好ましく、0.1〜20質量%含有することがより好ましい。
成分(B)である共重合体はのなかで、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を含むものは、例えば、上記一般式(2)で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルとエチレン系不飽和結合を有する化合物とを共重合させることにより製造しうる。
また、成分(B)である共重合体は、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することにより製造することも可能である。
共重合体(B)は、ゴムであっても熱可塑性樹脂であってもよいし、ゴムと熱可塑性樹脂の混合物であってもよい。
まず、本発明で用いられる成分(B)がゴムである場合について説明する。
本発明の成分(B)としてのゴムとしては、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つアクリルゴムや、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができる。
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つアクリルゴムとして好ましくは、一般式(4)〜(6)
CH2=CR7−C(O)−OR1 (4)
CH2=CR8−C(O)−OROR3 (5)
CH2=CR4H−C(O)−O(R(C(O)O)6 (6)
(式中、R1は炭素原子数1〜18(好ましくは1〜8)のアルキル基または炭素原子数1〜18のシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体とポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を有する単量体を成分とするものである。
上記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができ、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
また、上記一般式(5)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、メトキシエチルメタアクリレート、エトキシエチルメタアクリレート、ブトキシエチルメタアクリレート、エトキシプロピルメタアクリレート等があげられる。これらの1種あるいは2種以上を該アクリルゴムの成分として用いることができる。
かかるアクリルゴムの構成成分として、必要に応じて上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体を用いることができる。
このような不飽和単量体の例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが好ましい。この場合好ましい構成成分比は、上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体40.0〜99.9質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル0.1〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0〜30質量%である。該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性、成形加工性などが良好であり好ましい。
上記アクリルゴムの製法は特に限定するものではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特開昭62−64809号公報、特開平3−160008号公報、あるいはWO95/04764などに記載されているような周知の重合法を用いることができ、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
共重合体(B)の中では、エポキシ基を有するゴムが好ましく、中でも、エポキシ基を有する(アクリル)ゴムである、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴム等がより好ましい。
また、共重合(B)のムーニー粘度が3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。ムーニー粘度が大きすぎると樹脂組成物の溶融混練が困難になる場合があり、また、小さすぎると樹脂組成物の耐衝撃性などが不十分になる場合がある。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃でラージローターを用いて測定した値をいう。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる成形体の熱安定性や機械的性質を向上させるためには共重合体としての(B)成分が有する構造単位全体に対して、(メタ)アクリル酸エステル単位が40質量%をこえ96質量%未満、さらに好ましくは45〜70質量%、エチレン単位が3質量%以上50質量%未満、さらに好ましくは10〜49質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。この共重合体の代表的な重合方法については、特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法、例えばフリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
本発明において、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムにおけるビニル芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
本発明におけるポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムは、上記の方法などで得られたビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体にエポキシ基など、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する単量体を導入することで得ることができる。かかる単量体をビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体に導入する方法は特に限定するものではないが、グラフト共重合などで導入することが好ましい。
本発明に用いる共重合体(B)としてのゴムは、必要に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができる。
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
また、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)は、上述のようなゴムの他に、樹脂であることもでき、その具体例としてのエポキシ基を有する熱可塑性樹脂としては、(a)エチレン単位が60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体を挙げることができる。
この(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位の定義、具体例は前記したと同様である。
また、エチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
該エポキシ基含有エチレン共重合体としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
該エポキシ基含有エチレン共重合体のメルトインデックス(以下、MFRということがある。JIS K6760、190℃、2.16kg荷重で測定)は、好ましくは0.5〜100g/10分、更に好ましくは2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で好ましくなく、0.5g/10分未満では(A)成分との相溶性が劣り好ましくない。
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲のものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものがさらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の機械的性質が不十分となる場合がある。
また、共重合体(B)としては、本発明の成形体の熱安定性や柔軟性を良好にするために、その結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることが好ましい。
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造し得る。
本発明の熱可塑性樹脂として用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の組成は、成分(A)と成分(B)との比が、成分(A)が通常99〜1重量%、好ましくは99〜40重量%、成分(B)が通常1〜99重量%、好ましくは1〜60重量%である。成分(A)が99重量%を越えると該樹脂組成物の成形加工性が悪くなり、また、成分(A)が1重量%未満であると、該樹脂組成物の耐熱性が著しく低下する傾向にある。
本発明においては、成分(A)が連続相、成分(B)が分散相である形状の組成物が好ましい。
本発明における樹脂組成物を構成する針状の無機物[以下、成分(C)という場合がある]は、その粒子の最小単位である一次粒子の平均長さが10〜2000nm、好ましくは、10〜900nmである。平均長さが上記10〜2000nmの範囲外であると、樹脂組成物のアイゾット衝撃強度などの物性が低下する。
かかる針状の無機物の好ましい具体例としては、水酸化アルミニウム、アスベスト、ウォラストライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、カピオライト、フォスフェートファイバー、石膏繊維、マグネシウムオキシサルフェート,アラミド繊維、炭素繊維などが挙げられる。なかでも水酸化アルミニウムがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、これらの針状無機物を2種類以上含有していても良い。
この針状の無機物は、その一次粒子のアスペクト比、すなわち、平均長さ/平均太さの値は、5〜500が好ましく、10〜200がさらに好ましい。この値が上記の範囲外であると、樹脂組成物の物性が低下する場合がある。
本発明における成分(C)の針状無機物は公知の方法で製造することができる。たとえば、水酸化アルミニウムの場合、中間アルミナを、カルボン酸マグネシウムおよび、カルボン酸マンガンから選ばれるカルボン酸塩を含む水の存在下で、150℃以上の条件で水熱合成し、洗浄することで得られる製造方法が好ましい。
上で示した本発明における水酸化アルミニウムは、通常、複数の一次粒子が凝集して二次粒子を形成する場合があり、かかる二次粒子の平均サイズを測定した場合、0.1μm以上、10μm以下の値を示すものが好ましく、5μm以下のものがさらに好ましい。
本発明における成分(C)の針状無機物は表面処理した無機物であることが、より好ましい。成分(C)の針状無機物が表面処理されていると、樹脂と針状無機物との溶融混練の際に、針状無機物同士の凝集を防止する効果があるので好ましい。使用する表面処理剤としては公知の有機系処理剤や無機系分散剤が挙げられる。例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤などの各種カップリング剤、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪酸、脂肪酸エステル、リン酸エステル、アルキルリン酸エステル、脂肪酸金属塩、あるいは、メチルシリケート、エチルシリケートなどのシリケート類、アルコール類などを挙げることができる。なかでも、シランカップリング剤、脂肪酸などが好ましく用いられる。
表面処理の手法としては、周知の方法を適用することができる。例えば、レーザー、電子ビーム、イオン、熱、などを利用した高エネルギー利用による表面処理、金属酸化物、金属炭酸塩、磁性微粒子などのカップリング剤を用いた表面処理、化学蒸着、物理蒸着などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の組成は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、針状の無機物である成分(C)の配合比は、0.01〜80質量部である。好ましくは1〜40質量部であり、さらに好ましくは、1〜20質量部である。成分(C)の配合比が前記上限を越えると樹脂組成物の成形が困難になる傾向があり、また、成分(C)の配合比が前記下限未満であると樹脂組成物の物性改良効果が小さくなる傾向がある。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、さらに難燃剤、有機充填剤、無機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては周知の方法を用いることができるが、好ましいのは、熱可塑性樹脂が溶融状態で、各成分を混練(溶融混練)する方法である。溶融混練により本発明における組成物を得るには、一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができ、なかでも二軸の押出機が好ましい。
溶融混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いる
ことができる。
上記の樹脂組成物を、押出し成形、射出成形、回転成形、吹込成形、ブロー成形、トランスファー成形、プレス成形等の各種成形方法によって所望の形状に成形することにより成形体を得ることができる。これらの成形体を、その成形方法により、順に、押出し成形体、射出成形体、回転成形体、吹込成形体、ブロー成形体、トランスファー成形体、プレス成形体と呼ぶ。
これらの成形体の形状としては、チューブ、パイプ、容器、ボトル、フィルム、シート等があげられる。特に、射出成形体としては、ハウジング材、電気・電子・電送部品、自動車外板部材、自動車部品、モバイル機器部品などを具体例として挙げることができる。
上記の組成物を成形して容器、ボトルなどの中空成形体を得るには、例えば、ブロー成形機を使用して、上記樹脂組成物に、空気、水などの流体圧力を吹き込んで、金型内へ密着させる方法(ブロー成形)を使用できる。特に、自動車外板部材はブロー成形法によっても得ることができる。また、上記の樹脂組成物を成形して管、チューブを得るには、チューブ成形機を使用して、上記樹脂組成物を、押出し機からチューブダイへ溶融押出しする方法を使用できる。
さらに、上記の樹脂組成物を射出成形して、電気・電子・電送部品、モバイル機器部品などを得るには、射出成形機を使用して、溶融した上記樹脂組成物を押出し機から金型中へ高圧で注入する方法を使用できる。
本発明における樹脂組成物を使用して、射出成形あるいはブロー成形により、バンパー、インスツルメント等の自動車部品などを得ることもできる。
本発明においては、各種成型体の表面には、必要に応じて表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、赤外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。これらの処理は、成形加工の過程で行なっても良いし、成形加工後の成型体に対して行なっても良い。
本発明の組成物は、さらに熱処理することにより、耐熱性などが向上する。かかる熱処理条件は特に限定するものではないが、熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとした場合、[Tg−40]℃以上、[Tg+50]℃未満で行うことが好ましい。
次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[参考例1(針状無機物の調製)]
本発明の実施例に使用する針状無機物である針状水酸化アルミニウムの合成例を示す。
水酸化アルミニウム(商品名「C−31」、主結晶相:ギブサイト、住友化学工業(株)製)を振動ミルを使用して粉砕したものを700℃気流中に投入して仮焼した。得られた中間アルミナは、主結晶相がρであり、二次粒子径は3μmであった。
この中間アルミナ56gと水744gを混合し、この混合物に酢酸マグネシウム4水和物(特級試薬、和光純薬工業(株)製)161.6gを添加して溶解させて、中間アルミナを含む酢酸マグネシウム水溶液を得た。このときの酢酸マグネシウムの濃度は、水に対して0.94mol/Lであった。
得られた水溶液を、内容積1Lのオートクレーブに入れ、撹拌下、200℃で約40時間、水熱処理を行った。その後、内容物の固体を水5Lと混合し、この混合物を遠心分離機により固液分離して固体を回収した。この洗浄処理は合計3回行った。
得られた水酸化アルミニウムは、主結晶相がベーマイトであり、マグネシウム含有量が8.1重量%であり、平均長さ150nm、平均太さ10nmの針状体であった。
得られた水酸化アルミニウムに水を加え、計750gのスラリーとしたものを、容量1Lの遠心分離用ポリタンクに入れ、遠心分離機で、4000rpmで20分間処理した。
遠心分離操作後、上澄み液を取り除き、次いで上澄み液と同量のエタノールを添加して水酸化アルミニウムを分散させた。このスラリーを上述と同一の条件で遠心分離機にかけ、その後同様の操作を2回行った。その後、遠心分離作業後の沈降物に固形分濃度が7%になるようエタノールを加えて分散させた。
得られた水酸化アルミニウム―エタノールスラリーに、該スラリー中の水酸化アルミニウム乾燥重量に対し20phfのオレイン酸を添加して均一に混合した。この懸濁液を、コンデンサを備えたセパラブルフラスコに入れ、85℃の湯浴中で6時間還流した。還流処理後、該スラリーをエバポレーターにて、真空下、50℃〜70℃で脱溶媒し、表面処理水酸化アルミニウムを得た。
得られた水酸化アルミニウムをX線回折測定したところ、主結晶相はベーマイトであった。また、透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、平均長さが150nm、平均太さが10nmの針状体であった。したがって、アスペクト比は15である。
この水酸化アルミニウムの透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。このようにして得られた成分(C)であるこの水酸化アルミニウムを以後、CA−1と略称することがある。
[参考例2]
粒状水酸化アルミニウム(商品名「Nals」、住友化学工業(株)製)を比較例に使用した。
この水酸化アルミニウムは不定形、粒状で、その一次粒子径は5〜50nmの範囲にあり、アスペクト比は5に満たないもので、表面処理は施していない。以後、成分(C)であるこの水酸化アルミニウムをCB−1と略称することがある。
[参考例3]
参考例2の水酸化アルミニウム(商品名「Nals」、住友化学工業(株)製)を、固形分濃度が7%になるようエタノールを加えて分散させた。得られた水酸化アルミニウム―エタノールスラリーに、該スラリー中の水酸化アルミニウム乾燥重量に対し20phfのオレイン酸を添加して均一に混合した。この懸濁液を、コンデンサを備えたセパラブルフラスコに入れ、85℃の湯浴中で6時間還流した。還流処理後、該スラリーをエバポレーターにて、真空下、50℃〜70℃で脱溶媒し、表面処理水酸化アルミニウムを得た。以下、成分(C)であるこの水酸化アルミニウムをCB−2と略称することがある。
後記する各実施例および比較例に用いた樹脂組成物を構成する各樹脂成分は以下のとおりである。
樹脂成分
樹脂成分(A)として、 [η]=0.4のポリフェニレンエーテルを使用した。
樹脂成分(B)として、住友化学工業(株)製、ボンドファースト7L(エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=67/3/30 重量比、MFR(190℃)=9g/10min)を使用した。
樹脂成分(D)として、次の2種類を使用した。
D−1:耐衝撃性ポリスチレン(商品名「AG−102」、エー・アンド・エムスチレン(株)製)
D−2:ブロックポリプロピレン(商品名「AZ564」、住友化学工業(株)製)
各実施例および比較例で得られた試験片の物性の測定は次のとおりである。
物性測定
(i)アイゾット衝撃強度
樹脂試験片を、ノッチ加工したのち、JIS K−7110に準拠して、23℃でアイゾット衝撃試験を行った。
(ii)曲げ弾性率
樹脂試験片を短冊状に切り出し、島津製作所製オートグラフAG500B型を使用して、JIS K−7171に準拠して、室温で曲げ速度1.5mm/minで曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
(iii)荷重たわみ温度(HDT、耐熱性)
樹脂試験片を短冊状に切り出し、JIS K−7191に準拠して、18.5kg荷重で、試験片が一定たわみに達する温度(荷重たわみ温度)を測定した。
(iv)引っ張り強度、伸び率
島津製作所(株)製オートグラフA−10TD型を使用して、JIS K−7161に準拠して、室温で、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行い、試料破断時の引っ張り強度、および伸び率を測定した。
[実施例1および比較例1〜3]
上記樹脂成分(A)および無機物である成分(C)を、120℃で8時間温風乾燥機を使用して乾燥し、上記樹脂成分(B)を、60℃で2時間真空乾燥した後、表1に示す割合(質量部)で各成分を良く混合したのち、テクノベル(株)製二軸押出し機、TZW−15−30MG(スクリュー径 15mm,L/D=30)を使用し、シリンダー設定温度は290℃、スクリュー回転数はいずれも200rpmで、ベントで脱気しながら溶融混練を行ない、組成物のペレットを得ることができた。
次に、得られた組成物のペレットを、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度は実施例1および比較例2,3は300℃、比較例1は300℃とし、金型温度はいずれも90℃、射出圧力は実施例1は1720Kg/cm、比較例1は1500Kg/cm、比較例2〜3は1550Kg/cmとし、押出し機のスクリュー回転数はいずれも50rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により、ダンベル形状の試験片を得ることができた。
得られた試験片について、物性を測定した結果を表1に示す。
表1の結果より、針状無機物を含んでなる実施例1のものは、耐熱性を保持したままアイゾット衝撃強度などの機械的特性が比較例に比べ優れたものである。
[実施例2,3および比較例4〜6]
上記樹脂成分(D)を60℃で2時間真空乾燥し、針状無機物又は粒状無機物であるCA−1またはCB−1を、120℃で8時間温風乾燥機を使用して乾燥した。組成物に関しては、表2に示す割合で各成分を良く混合したのち、テクノベル(株)製二軸押出し機、TZW−15−30MG(スクリュー径 15mm,L/D=30)を使用し、シリンダー設定温度は220℃、スクリュー回転数は200rpmで、ベントで脱気しながら溶融混練を行ない、組成物のペレットを得た。
組成物ペレットの射出成形は、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度は実施例2,3、比較例4は200℃、比較例5,6は185℃とし、金型温度はいずれも80℃、射出圧力はいずれの場合も400Kg/cm、押出し機のスクリュー回転数はいずれも83rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により、ダンベル形状の試験片を得ることができた。
得られた試験片について、物性を測定した結果を表2に示す。
表2の結果より、針状無機物を含んでなる実施例2および3は、それぞれ対応する樹脂成分を用いた比較例4,5および比較例6と比較すると、アイゾット衝撃強度などの機械的特性のすべてに優れている。
参考例で調製した針状無機物の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂、及び一次粒子の平均長さが10〜2000nm、アスペクト比が5〜500である水酸化アルミニウムを含んでなり、
    該熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテル、及び(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを含んでなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
    該水酸化アルミニウムの配合比が、該熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜40質量部である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
    (式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
  2. 前記熱可塑性樹脂が耐衝撃性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記共重合体ゴムが、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造されたチューブ
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、プレス成形法のいずれかにより製造されたフィルム。
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