JP2006176676A - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子又は全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと、(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体を溶融混練してなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、成分(A)が連続相であり、連続相中に分散したドメインの中に平均粒子径が5nm〜50nmのポリマー微粒子が存在し、かつ、該ポリマー微粒子の体積が、ドメイン体積の2%以上である樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
例えば、ポリフェニレンエーテルと、オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体などとからなる組成物を、プレス成形し耐衝撃性に優れた組成物を得ることが知られているが、耐衝撃性は十分なものではなく、耐熱性、引っ張り強度については記載がない(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリアリーレンエーテルにエポキシ基含有共重合体からなる組成物のプレス成形体が、耐衝撃性、引っ張り特性に優れていることが示されているが、耐熱性の記載はなく、耐衝撃性、引っ張り特性も不十分なものであった(例えば、特許文献2参照)。
さらに、特定のポリフェニレンエーテルとエポキシ基含有エチレン共重合体からなる組成物が優れた耐熱性、機械的性質を示すこと(例えば、特許文献3参照)、また、ポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とからなる樹脂組成物を用いてなるフィルム類に関して(例えば、特許文献4参照)などが記載されている。
すなわち本発明は、
(1) (A)下記一般式(1)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと、(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体であり、しかも成分(A)が連続相であり、連続相中にドメインが分散し、しかも該ドメイン中に平均粒子径が50nm以下、5nm以上のポリマー微粒子が存在し、かつ、該ポリマー微粒子の体積が、ドメイン体積の2%以上であることを特徴とする樹脂組成物、
(2)前記ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)における官能基が、エポキシ基である(1)に記載の樹脂組成物、
(3)前記共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
(4)前記エポキシ基を有する共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする(2)に記載の樹脂組成物、
(5)前記共重合体(B)が、(a)エチレン単位を60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位を0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、圧縮成形法のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする成形体、および、
(7)上記(6)に記載の成形体の形状が、自動車部品、電気・電子部品、電送部品、モバイル機器部品、ハウジング材、自動車外板部材、ボトルまたは容器、チューブ、フィルムまたはパイプのいずれかである成形体、
を提供するものである。
本発明の樹脂組成物中の(A)成分であるポリフェニレンエーテルは、前記一般式(1)の構造単位を有する重合体であり、該重合体は一般式(1)の構造単位を2種以上有するものでもよい。
なかでも、R1、R2は、水素、メチル基などであることが好ましく、とりわけ水素であることが好ましい。
かかる共重合体においては、一般式(1)の構造単位を80モル%以上含むことが好ましく、90モル%以上含むことがより好ましい。
で示されるフェノール化合物の少なくとも1種から誘導し得る。
かかる官能基を有する単量体としては、とりわけグリシジル基を含有する単量体が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体としては、例えば下記一般式
不飽和グリシジルエーテルとしては、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
具体的には、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
さらに共重合体(B)としては、本発明の樹脂組成物により製造される成形品の熱安定性や柔軟性を良好にするために、その結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることが好ましく、また、共重合(B)のムーニー粘度が3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃でラージローターを用いて測定した値をいう。
上述の官能基をゴム中に導入する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えばゴムの合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、ゴムに該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られるエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
ここでいうアクリルゴムとして好ましくは、一般式(3)〜(5)
CH2=CH−C(O)−OR1 (3)
CH2=CH−C(O)−OR2OR3 (4)
CH2=CR4H−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6 (5)
(式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基またはシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4は水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体を成分とするものである。
また、上記一般式(4)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレートなどを挙げることができる。
これらの1種あるいは2種以上を該アクリルゴムの成分として用いることができる。
このような不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、成形加工性が良好であり好ましい。
ここで芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
ここでエチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があり好ましくない。
かかる形態の樹脂組成物の組成は、(A)成分と(B)成分との比が、(A)成分99〜40質量%、好ましくは、99〜55質量%、(B)成分1〜60質量%、好ましくは1〜45質量%のものである。(A)成分が多すぎると、樹脂組成物の成形加工性が低下の傾向にある。また成分(A)が少なすぎると、該樹脂組成物の耐熱性などが著しく低下する傾向にある。
本発明における樹脂組成物の形態(微細構造)を確認する方法は、特に限定するものではなく、周知の方法によって、樹脂組成物の形態(微細構造)を知ることができる。
その方法は、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、プローブ顕微鏡などを使用して樹脂組成物の形態(微細構造)を知ることができるが、透過型電子顕微鏡を使用するのが好ましい。
かかる透過型電子顕微鏡法により観察すると、本発明における樹脂組成物の形態は、染色程度の非常に弱いポリフェニレンエーテル(PPE)から成る連続相、連続相よりは強く染色されている例えば径が0.01〜10μm程度の主に(B)成分からなるドメイン、連続相とドメインとの境界に染色された界面層などを認めることができ、さらに該ドメイン中にポリマー微粒子の存在を観察することができる。
本発明においては、ドメイン体積に対するドメイン中に存在するポリマー微粒子の体積割合が2%以上であることが好ましく、4%以上であることがさらに好ましい。その体積割合は、多くても90%程度である。
ここで、ドメイン体積に対するポリマー微粒子の体積の割合は、形態(微細構造)観察における、
(ドメイン断面におけるポリマー微粒子の全断面積)/(界面層を除く、ドメインの全断面積)として求めたものをいう。
なお、体積比を面積比で求めるのは、面積比で求めても樹脂組成物の物性との間に格別の矛盾が無く、また、面積比は体積比より簡易に測定できるので、体積比を前記のようにした。そして、これらの面積又は面積比は、前述のように透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、プローブ顕微鏡等を使用して容易に求めることができる。
ドメイン中に存在するポリマー微粒子の体積割合がドメイン体積の上記割合に満たない量しか認められない場合には、樹脂組成物の耐衝撃性、引っ張り物性、耐熱性などが不十分である。
本発明において、ドメイン中のポリマー微粒子の生成機構は、必ずしも明らかではないが、押出し機中で、溶融し、混練している成分(A)と成分(B)との間で生じる反応あるいは相互作用に起因するものと考えられる。
従来知られていた、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、引っ張り強度、伸び率などの一部、あるいは全部が不十分な値であったのは、組成物中でかかるポリマー微粒子の量が組成物のドメイン体積の上記の量に達していなかったためと考えられる。
溶融混練により本発明における組成物を得るには、一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができるが、二軸の押出機が好ましい。溶融混練に際しては、混練装置のL/D(スクリューの長さと径の比)は30以上が好ましく、40以上がさらに好ましい。この時樹脂に負荷される圧力は、0.6MPa以上が好ましく、0.8MPa以上がさらに好ましい。
溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は、200〜340℃の範囲が好ましく、220〜320℃の範囲がさらに好ましく、250〜310℃の範囲が特に好ましい。
溶融混練に際しては、混練する各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
本発明における、樹脂組成物を用いた成形体の形状としては、フィルム類(フィルム、シート等)、板、フィラメント、不織布、織布、管、チューブ、パイプ、容器、ボトル、異形品、家電製品部品、電気・電子部品、モバイル機器部品、電送部品、自動車部品(バンパー、インスツルメント等)、自動車外板部材、ハウジング材等があげられる。
フィルム類の製造に用いるダイとしては、Tダイ、円筒スリットのダイが好ましく用いられる。また、キャスト法や熱プレス法なども、フィルム類の製造に適用することができる(例えば、特開2002−319316号公報参照)。
また、上記の樹脂組成物を成形して管、チューブを得るには、例えば、押し出し成形法を採用でき、具体的には、チューブ成形機を使用して、上記樹脂組成物を、押出し機からチューブダイへ溶融押し出しする方法を使用できる。
また、上記の樹脂組成物を成形してフィラメントを得るには、前記樹脂組成物を、押出し機によってストランドダイへ溶融押し出ししたのち、高速で巻き取る方法を使用できる。
さらに、上記の樹脂組成物を射出成形して、成形体を得るには、射出成形機を使用して、溶融した上記樹脂組成物を押出し機から金型中へ高圧で注入する方法を使用できる。
熱処理の温度は、(Tg−40)[℃]以上(Tg+50)[℃]以下であり、(Tg−30)[℃]以上(Tg+30)[℃]以下であることがさらに好ましい。熱処理温度が高すぎると、一次成形体の熱による変形が著しくなり、また、熱処理温度が低すぎると、本発明の効果が少ない
尚、本発明に使用する樹脂組成物のTgは通常、熱機械分析(thermomechanical analysis)により求めることができる。
熱処理は例えば、乾燥炉、ヒーターを備えた乾燥器などの中で行うことができる。なかでも、熱風循環型の乾燥器内で熱処理することが好ましい。また熱処理は、回分式で行ってもよいし連続式で行ってもよい。
熱処理の時間は特に規定するものではないが、該成形体の用途、熱処理温度に応じて適宜決めることができるが、通常は1〜48時間程度であり、1〜24時間が好ましい。
X=(Ma−Mb)×100/Ma
( Ma: 成形体から切り出した試験片の質量、 Mb:試験片を25±2℃で
四塩化炭素中に120時間浸漬して取り出して乾燥した後の試験片の質量)
以下の各実施例および比較例に用いた樹脂組成物を構成する各樹脂成分は、以下のとおりである。
[樹脂組成物]
成分(A)
成分(A)として、三菱ガス化学(株)製、ポリフェニレンエーテル、PX−10 0F([η]=0.4)を使用した。
成分(B)
成分(B)として、住友化学工業(株)製、ボンドファースト7L(エチレン/グ リシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=67/3/30 質量比、MFR( 190℃)=9g/10min)を使用した。
[物性測定]
(i) アイゾット衝撃強度
樹脂試験片を短冊状に切り出し、ノッチを入れた後、JIS K−7110に準
拠してアイゾット衝撃強度の測定を行なった。
(ii) 引っ張り強度、伸び率
島津製作所(株)製オートグラフA−10TD型を使用して、JIS K−71 61に準拠して、室温で、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行い、 試料破断時の引っ張り強度、および伸び率を求めた。
(iii) 荷重たわみ温度(HDT)
樹脂試験片を、短冊状に切り出し、JIS K−7191に準拠して、18.5
Kg荷重で、試験片が一定たわみに達する温度を測定した。
上記した成分(A)を、120℃で8時間乾燥し、成分(B)を60℃で4時間真空乾燥した後、成分(A)/成分(B)=95/5(質量比)の割合で良く混合したのち、ベルストルフ二軸押出し機、ZE40A(スクリュー径 40mm,スクリュー長 1340mm, L/D=33.5)を使用し、シリンダー設定温度290℃、スクリュー回転数150rpmで、ベントで脱気しながら溶融混練を行なった。
樹脂の供給量は10kg/h、樹脂圧力は1.8〜1.9MPaであった。
このような溶融混練により、外観薄茶色で、平滑で艶のあるストランドが得られた。
得られた組成物のペレットを、次に、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度295℃、金型温度90℃、射出圧力1630Kg/cm2、押出し機のスクリュー回転数 50rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により得られた試験片を上記した物性測定法により測定した結果は表1に示す通りである。
また、このダンベル形状の樹脂組成物の射出成形体を、酸化ルテニウムで染色処理した後、ミクロトームを使用し厚さ約0.1μmの超薄切片を作製した。この射出成形体断面の透過型電子顕微鏡写真は、図1に示すとおりである。図中のスケールは100nmである。この写真からポリフェニレンエーテルの連続相中に、輪郭が黒く染色された界面層と、灰色に染色されたドメインが見られ、該ドメイン中に平均粒子径約10nmのポリマー微粒子が認められ、その量は、透過型電子顕微鏡写真における面積比から測定すると、ドメインの5%を越えるものであった。
上記成分(A)を、120℃で4時間乾燥し、成分(B)を60℃で4時間真空乾燥した後、成分(A)/成分(B)=95/5(質量比)の割合で良く混合したのち、(株)東洋精機製作所製一軸押出し機、D2010型(スクリュー径 20mm,L/D=10)を使用し、シリンダー設定温度295℃、スクリュー回転数80rpmで、溶融混練を行なった。樹脂の供給量は3kg/h、樹脂圧力は0.2〜0.3MPaであった。
得られた組成物のペレットを、新潟鉄工所(株)製射出成形機 NIIGATA NN75を使用し、シリンダー設定温度295℃、金型温度90℃、射出圧力1630Kg/cm2、押出し機のスクリュー回転数 50rpmで射出成形を行なった。なお、金型には175mm長、3.2mm厚、くびれ部12.5mm幅のダンベル形状金型を用いた。かかる射出成形により得られた試験片の物性測定結果は表1に示す通りである。
また、実施例1と同様にして得られたその試験片の断面の透過型電子顕微鏡写真は、図2に示すとおりである。図中のスケールバーは100nmである。この写真からポリフェニレンエーテルの連続相中に、輪郭が黒く染色された界面層と、灰色に染色されたドメインが見られ、該ドメイン内にポリマー微粒子が認められるが、平均粒径は5nm未満であり、その量は実施例1と同様に測定して、ドメインの1%未満であった。
実施例1と同様の樹脂成分を同じようにして、成分(A)/成分(B)=95/5(質量比)の割合で良く混合したのち、ベルストルフ二軸押出し機、ZE40A(スクリュー径 40mm,スクリュー長 1340mm,L/D=33.5)を使用し、シリンダー設定温度290℃、スクリュー回転数150rpmで、溶融混練を行ない、スクリュー根元から約550mmの距離にあるベント口から溶融樹脂を抜き出した。樹脂の供給量は、4kg/h、樹脂圧力は0.3〜0.5MPaであった。
抜き出した樹脂を実施例1と同様にして射出成形を行った。
樹脂組成物のドメイン中の微粒子量とかかる射出成形により得られた試験片の物性測定の結果は表1に示す通りである。
Claims (7)
- (A)下記一般式(1)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと、(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体を溶融混練してなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、成分(A)が連続相であり、連続相中に分散したドメインの中に平均粒子径が50nm以下、5nm以上のポリマー微粒子が存在し、かつ、該ポリマー微粒子の体積が、ドメイン体積の2%以上であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)における官能基が、エポキシ基である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記エポキシ基を有する共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記共重合体(B)が、(a)エチレン単位を60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位を0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂樹脂組成物から射出成形法、ブロー成形法、押出し成形法、圧縮成形法のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする成形体。
- 請求項6に記載の成形体の形状が、自動車部品、電気・電子部品、電送部品、モバイル機器部品、ハウジング材、自動車外板部材、ボトルまたは容器、チューブ、フィルムまたはパイプのいずれかである成形体。
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