JP2016044114A - 高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー及びそれを含有する樹脂複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゾルゲル法で作製されるアスペクト比(長径/短径)が70〜5,000の範囲内にあるアルミナナノファイバーが、リン酸化合物、スルホン酸化合物、有機酸のいずれか一つの化合物によって表面が被覆されることで、親油性アルミナナノファイバーが均一に分散したアルミナゾルを提供することが可能になり、さらにこのアルミナゾルを用いることで、高アスペクト比と繊維長を維持したまま親油性アルミナナノファイバーが分散した樹脂複合体を提供することが出来る。
【選択図】なし
Description
このように、フィラー材の添加効果を最大限発揮させるためには、フィラー材粒子のサイズ、形状の選択および粒子の表面処理方法が重要である。
(1)アスペクト比(長径/短径)が70〜5,000の範囲内にある、短径が、1〜10nmの長さで、長径が、700〜10,000nmのベーマイト又は擬ベーマイトからなるアルミナナノファイバーの表面をリン酸化合物、スルホン酸化合物、有機酸からいずれか一つの化合物で表面処理することにより得られる有機溶媒中に均一に分散する高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
(2)前記リン酸化合物が、一般式ROnPO(OH)3−n(式中、n=1または2であり、n=2である場合、Rは同じかまたは異なり、炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表される酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
(3)前記スルホン酸化合物が、一般式RSO3H(式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表されるスルホン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー
(4)前記有機酸が、一般式RCO2H(式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表されるカルボン酸類およびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
(5)請求項1〜4に記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバーが、有機溶媒に均一に分散したアルミナゾル。
(6)請求項1〜4のいずれかに記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー乃び又は、請求項5記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバーを含有するアルミナゾルを樹脂に分散した樹脂複合体。
(7)前記樹脂が(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の樹脂複合体。
(1)本発明により、短径が1〜10nm、長径が700〜10,000nmで、アスペクト比(長径/短径)が70〜5,000である高アスペクト比を有するアルミナナノファイバーが、リン酸化合物、スルホン酸化合物、有機酸のいずれか一つの化合物によって表面が被覆されることで親油性となり、有機溶媒中に均一に分散したアルミナゾルを提供することが可能となる。
(2)高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバーが有機溶媒中に均一に分散したアルミナゾルと、樹脂を有機溶媒に溶解した溶液を混合撹拌し、混合物から溶媒のみを除去することにより、アルミナナノファイバーが樹脂に均一に分散した樹脂複合体を提供することが可能になる。
本発明は、ゾルゲル法で作製されるアスペクト比(長径/短径)が70〜5,000の範囲内にあるアルミナナノファイバーが、リン酸化合物、スルホン酸化合物、有機酸のいずれか一つの化合物によって表面が被覆されることで、有機溶媒中に均一に分散したアルミナゾルを用いることを特徴とする樹脂複合体である。
・透過型電子顕微鏡(FEI TECNAI−G20)
・熱機械分析装置(リガク TMA−8310)
1.水系アルミナゾル作製(平均短径:4nm、平均長径:3,000nm、平均アスペクト比:750)
500mlの四つ口フラスコに、イオン交換水130g、酢酸8.8g(0.146mol)を取り、撹拌しながら、液温を30℃に上昇させた。これに、アルミニウムイソプロポキシド27.0g(0.132mol)を、0.5時間かけて滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出させながら、液温を、95℃まで上昇させた。反応液を、電磁撹拌式のオートクレーブに移し、撹拌しながら、150℃で、6時間反応を行った。 反応液を、40℃以下に冷却し、反応を終了した。反応液中の固形分濃度は、4.9質量%のアルミナナノファイバーゾルAを得た。得られたアルミナゾルのアルミナ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、平均短径が4nm、平均長径が3,000nm、平均アスペクト比が750のアルミナナノファイバーであった。
2.水系アルミナゾル作製(平均短径:4nm、平均長径:1,500nm、平均アスペクト比:375)
500mlの四つ口フラスコに、イオン交換水130g、酢酸8.8g(0.146mol)を取り、撹拌しながら、液温を30℃に上昇させた。これに、アルミニウムイソプロポキシド27.0g(0.132mol)を、0.5時間かけて滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出させながら、液温を、95℃まで上昇させた。反応液を、電磁撹拌式のオートクレーブに移し、撹拌しながら、120℃で、3時間反応を行った。 反応液を、40℃以下に冷却し、反応を終了した。反応液中の固形分濃度は、4.9質量%のアルミナナノファイバーゾルBを得た。得られたアルミナゾルのアルミナ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、平均短径が4nm、平均長径が1,500nm、平均アスペクト比が375のアルミナナノファイバーであった。
3.水系アルミナゾル作製(平均短径:5nm、平均長径:200nm、平均アスペクト比:40)
500mlの四つ口フラスコに、イオン交換水130g、酢酸6.0g(0.100mol)を取り、撹拌しながら、液温を30℃に上昇させた。これに、アルミニウムイソプロポキシド27.0g(0.132mol)を、0.5時間かけて滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出させながら、液温を、95℃まで上昇させた。反応液を、電磁撹拌式のオートクレーブに移し、撹拌しながら、160℃で、6時間反応を行った。反応液を、40℃以下に冷却し、反応を終了した。反応液中の固形分濃度は、4.9質量%のアルミナナノファイバーゾルCを得た。得られたアルミナゾルのアルミナ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、平均短径が5nm、平均長径が200nm、平均アスペクト比が40のアルミナ粒子であった。
4.短径:15nm、長径:80nm、アスペクト比:4の酢酸解膠ゾルのアルミナゾルD(アルミゾル-A2:川研ファインケミカル社製)を使用した。
<実施例1>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、メルイソブチルケトン50g、およびドデシルベンゼンスルホン酸0.4gと混合し、ディーンスターク装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルEを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<実施例2>
アルミナナノファイバーゾルB使用した以外実施例1と同様な操作を行い、アルミナナノファイバーがメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルFを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<実施例3>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、メチルイソブチルケトン50g、および安息香酸0.4gと混合し、蒸留装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルGを得た。反応液中の固形分濃度は、4.9質量%であった。
<実施例4>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、メチルイソブチルケトン50g、およびラウリン酸0.4gと混合し、蒸留装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<実施例5>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、シクロヘキサノン50g、およびドデシルベンゼンスルホン酸0.4gと混合し、ディーンスターク装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがシクロヘキサノンに分散したオルガノゾルを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<実施例6>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、シクロヘキサノン50g、および城北化学工業社製JP−506H0.4gと混合し、ディーンスターク装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがシクロヘキサノンに分散したオルガノゾルを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<実施例7>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、エチレングリコールモノブチルエーテル50g、および城北化学工業社製JP−506H0.4gと混合し、ディーンスターク装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがエチレングリコールモノブチルエーテルに分散したオルガノゾルを得た。反応液中の固形分濃度は、5.1質量%であった。
<実施例8>
アルミナナノファイバーゾルAを50g、クロロベンゼン50g、およびドデシルベンゼンスルホン酸0.4gと混合し、蒸留装置を使用して脱水処理を行い、アルミナナノファイバーがクロロベンゼンに分散したオルガノゾルを得た。反応液中の固形分濃度は、4.9質量%であった。
<比較例1>
アルミナナノファイバーゾルCを使用した以外実施例1と同様な操作を行い、アルミナナノファイバーがメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルHを得た。反応液中の固形分濃度は、5.0質量%であった。
<比較例2>
アルミナゾルDを使用した以外実施例1と同様な操作を行い、アルミナナノ粒子がメチルイソブチルケトンに分散したオルガノゾルIを得た。反応液中の固形分濃度は、5.1質量%であった。
<実施例9>
オルガノゾルEと、和光純薬工業製メタクリル酸メチルポリマーの10wt%テトラヒドロフラン溶液とを、得ようとする樹脂複合体中の繊維状アルミナ粒子が10wt%になるように混合した後、混合物8gを、テフロン(登録商標)コートした容器(80mm×80mm×2mm)に流し込んで膜を形成し、これを、送風式オーブン内で、40℃、3時間乾燥し、形成された膜を剥離させることにより、80mm×80mm×厚さ80μmの透明な樹脂複合体を得た。この樹脂複合体の線膨張係数は57ppmであった。
<実施例10>
オルガノゾルFに変更した以外は実施例9と同様の手順で透明なPMMA-アルミナ複合膜を作製した。この複合体の線熱膨張係数を測定した結果、40ppmであった。
<実施例11>
オルガノゾルEと、帝人製ポリカーボネート(パンライトL−1225WP)の10wt%塩化メチレン溶液とを、得ようとする樹脂複合体中の繊維状アルミナ粒子が10wt%になるように混合した後、混合物8gを、テフロン(登録商標)コートした容器(80mm×80mm×2mm)に流し込んで膜を形成し、これを、送風式オーブン内で、40℃、3時間乾燥し、形成された膜を剥離させることにより、80mm×80mm×厚さ80μmの白色を帯びた樹脂複合体を得た。
<実施例12>
オルガノゾルGに変更した以外は、実施例11と同様の手順でPC-アルミナ複合膜を作製した。
<比較例3>
オルガノゾルを添加せずに実施例9と同様の手順でPMMA膜を作製し、線熱膨張係数を測定した結果、104ppmであった。
<比較例4>
オルガノゾルHを50g使用した以外実施例9と同様な手順でPMMA-アルミナ複合膜を作製した。複合膜の線熱膨張係数を測定した結果、75ppmであった。
<比較例5>
アルミナゾルIを50g使用した以外実施例9と同様な手順でPMMA-アルミナ複合膜を作製した。複合膜の線熱膨張係数を測定した結果、80ppmであった。
アルミナナノファイバーを添加しなかった比較例3に対して、アスペクト比の小さなアルミナを添加した比較例4及び5では、線熱膨張係数が24〜29ppmしか減少しなかったのに対して、高アスペクト比のアルミナナノファイバーを添加した実施例9、10では、線熱膨張係数が47〜64ppm減少し、これまでにない大きな効果が見られた。
Claims (7)
- アスペクト比(長径/短径)が70〜5,000の範囲内にある、短径が、1〜10nmの長さで、長径が、700〜10,000nmのベーマイト又は擬ベーマイトからなるアルミナナノファイバーの表面をリン酸化合物、スルホン酸化合物、有機酸からいずれか一つの化合物で表面処理することにより得られる有機溶媒中に均一に分散する高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
- 前記リン酸化合物が、一般式ROnPO(OH)3−n(式中、n=1または2であり、n=2である場合、Rは同じかまたは異なり、炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表される酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
- 前記スルホン酸化合物が、一般式RSO3H(式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表されるスルホン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー
- 前記有機酸が、一般式RCO2H(式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分鎖状アルキル基又はアリール基からなる有機基)で表されるカルボン酸類およびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー。
- 請求項1〜4に記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバーが、有機溶媒に均一に分散したアルミナゾル。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバー乃び又は、請求項5記載の高アスペクト比を有する親油性アルミナナノファイバーを含有するアルミナゾルを樹脂に分散した樹脂複合体。
- 前記樹脂が(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の樹脂複合体。
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