JP4094755B2 - ブロー成形用スチレン系樹脂組成物およびそのブロー成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンディング性及び表面外観の良好な成形品が得られるブロー成形用スチレン系樹脂組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ボトルなどをうるためのブロー成形(吹込成形)用材料としては、高密度ポリエレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が用いられている。また最近では、エアーダクトおよび照明用器具などの電気・電子部品、エアースポイラーおよびコンソールなどの自動車用部品、机の天板などの家具などをうるためには、熱的性質および機械的性質に優れた、いわゆるエンジニアリングプラスチック(例えば、特開平7−032454号公報に記載のものなど)が用いられる。
従来、該特開平7−032454号公報に記載のブロー成形用樹脂組成物は、ブロー成形における酸化劣化を改良しているものの、得られるブロー成形品は成形品表面に小さいながらも多量の凹(以降「ヘコ」)が発生し、エアースポイラーの様に平滑な塗装表面を要求される用途では、サンディングによる二次加工が必要となるケースが多かった。そこで、ブロー成形用金型の表面をシボ面化したり、特開平7−108534号公報のように、加熱する手段と冷却する手段を備えたブロー成形用金型が提案されている。しかし、このようなブロー成形用金型は高価なばかりでなく、成形サイクルが従来に比べ長くなり生産性を犠牲にし、必ずしも満足できる状況に至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ブロー成形加工性、耐衝撃性のバランスに優れ、成形品表面のサンディング性に優れるブロー成形用スチレン系樹脂組成物及びそのブロー成形品を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため本発明者らは鋭意検討した結果、ゴム強化スチレン系樹脂に、アルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩並びにアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種、タルク粉末、ポリエチレンワックスを配合することにより、ブロー成形加工性、耐衝撃性のバランスに優れるとともに、ブロー成形品の表面をサンディングしやすく、表面外観に優れた成形品を得ることができることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、(A)ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対し、(B)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.01〜10重量部、(C)タルク粉末を0.01〜5重量部、(D)ポリエチレンワックスを0.01〜5重量部添加してなるブロー成形用スチレン系樹脂組成物を、
本発明の第2は、上記スチレン系樹脂組成物をブロー成形してなるスチレン系樹脂ブロー成形品を、それぞれ内容とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)ゴム強化スチレン系樹脂としては、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体からなるABS樹脂、前記ABS樹脂のスチレンの一部又は大部分をα−メチルスチレン又はマレイミド等に置き換えた耐熱ABS樹脂、前記ブタジエンをエチレン−プロピレン系ゴムやポリブチルアクリレート等に置き換えた(耐熱)AES樹脂および(耐熱)AAS樹脂等のABS系樹脂、前記ブタジエンをシリコンゴム、シリコン−アクリル複合ゴムに置き換えた(耐熱)ABS系樹脂等が挙げられる。これらのゴム強化スチレン系樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上の組み合わせで用いられる。更に、前記ゴム強化スチレン系樹脂とポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このゴム強化スチレン系樹脂は、熱変形温度80℃以上(ASTM D−648−56:4.6kg/cm2 荷重)のものが成形品使用時の熱による変形や塗装ラインでの成形品乾燥時の変形が少ないという点から好ましい。
ABS樹脂又はABS系樹脂の製造法としては特に限定されず、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等が適用できるが、乳化重合がゴム粒子の粒子径をコントロールしやすく、成形体の耐衝撃性、光沢の向上の点から特に好ましく用いられる。例えば、ゴムの存在下に、ビニル系単量体をグラフト共重合させ、必要によりビニル系単量体を共重合させたものを、塩析凝固させて製造される。
本発明に用いられる(B)成分であるアルカリ金属の水酸化物あるいは炭酸塩としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが挙げられる。
【0006】
また、(B)成分であるアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩あるいは酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム;炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム;酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムが挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられるが、就中、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムが、効果、安全性及び経済性の点から特に好ましい。
(B)成分の使用量は、(A)スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部未満では効果が不十分であり、一方、10重量部を越えると効果が飽和し却って不経済となり、また衝撃強度の低下の原因となる。また、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物の平均粒径(重量平均粒径)は、4μm以下が好ましく、4μmを越えると衝撃強度が低下する傾向がある。また、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物は、ステアリン酸、シラン系カップリング剤等で表面処理して用いてもよい。
本発明に用いられる(C)成分であるタルクは、含水ケイ酸マグネシウム(4SiO2 ・3MgO・H2 O)で、SiO2 が約60%、MgO2 が約30%の主成分より成る鉱物であり、本発明では、このタルクの粉末を用いる。
(C)成分の使用量は、(A)スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.01重量部未満では効果が不十分であり、一方、5重量部を越えると効果が飽和したり、衝撃強度の低下の原因となるので好ましくない。また、タルク粉末の平均粒径は5μm以下が好ましく、5μmを越えると衝撃強度が低下する傾向がある。前記タルク粉末の平均粒径は重量平均粒径である。なお、タルク粉末は、平均粒径の異なるものを併用してもよい。また、タルク粉末を、シランカップリング剤等で表面処理して用いてもよい。
本発明に用いられる(D)成分であるポリエチレンワックスの使用量は、(A)スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.01重量部未満では効果が不十分であり、一方、5重量部を越えると効果が飽和したり、成形品表面にブリードする原因となるので好ましくない。また、ポリエチレンワックスの平均分子量は3000以下が好ましく、3000を越えるとブロー成形時の加工性が低下する傾向となる。
上記樹脂組成物には、更に、滑剤、(E)酸化防止剤等を配合することにより、ブロー成形した場合の成形品の表面性及び耐衝撃性を向上させることも可能である。
前記滑剤としては、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等)、アルキレンビス脂肪酸アミド(メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等)等のアミド系滑剤、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリルアルコール等の高級アルコール系滑剤、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油、ステアリルステアレート等のエステル系滑剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等から選らばれる1種または2種以上を使用することができる。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選らばる1種又は2種以上を配合することができる。
前記フェノール系酸化防止剤は、融点が150℃以上のものがより好ましい。融点が75℃未満のものは揮発性が高く、ブロー成形時に容易に揮発したりブリードしたりして有効な効果が得られない。このフェノール系酸化防止剤としては、フェノール性OH基の両オルト位が嵩高い第3級ブチル基で置換されたレスヒンダード型フェノール系酸化防止剤が挙げられる。
更に好ましい具体例としては、旭電化株式会社製のアデカスタブAO−20(融点mp=221℃)、アデカスタブAO−30(mp=186℃)、アデカスタブAO−40(mp=210℃)、アデカスタブAO−60(mp=115℃)、アデカスタブAO−80(mp=125℃)、アデカスタブ330(mp=244℃)、チバガイギー社製のイルガノックス245(mp=79℃)、イルガノックス1010(mp=125℃)、ICI社製のトパノールCA(mp>200℃)、住友化学株式会社製のスミライザイーWX−R(mp=160℃)、スミライザイーBBM(mp=209℃)、スミライザーGM(mp=128℃)、スミライザーGS(mp=127℃)が挙げられる。最も好ましい具体例としては、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−80、及びイルガノックス245等のレスヒンダード型のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
前記ホスファイト系酸化防止剤は、融点が100℃以上のものが好ましい。ブロー成形時にはパリソンやシートが高温の状態で樹脂組成物が大気にさらされるため、融点が100℃未満では揮発性が高すぎ、酸化防止剤が揮発したりブリードしたりして、有効な効果が得られなくなる。また、金型汚染を引き起こす場合もある。ホスファイト系酸化防止剤の具体例としては、旭電化株式会社製のアデカスタブPEP−2(mp=110℃)、アデカスタブPEP−24G(mp=165℃)、アデカスタブPEP−36(mp=287℃)、アデカスタブHP−10(mp=148℃)、及びアデカスタブ2112(mp=183℃)が挙げられる。
前記チオエーテル系酸化防止剤は、融点が35℃以上のものが好ましく、より好ましくは40℃以上のものである。ブロー成形時にはパリソンやシートが高温の状態で樹脂組成物が大気にさらされるため、融点が35℃未満では揮発性が高すぎ、酸化防止剤が揮発したりブリードしたりして、有効な効果が得られなくなる。また、金型汚染を引き起こす場合もある。チオエーテル系酸化防止剤の具体例としては、住友化学株式会社製のスミライザーTPL−R(mp=37℃)、スミライザーTPM(mp=48℃)、スミライザーTPS(mp=63℃)、スミライザーTPD(mp=46℃)、及びスミライザーMB(mp=285℃)が挙げられる。
更に、前記のようなフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤を併用すれば、相乗的効果が発揮され、少ない添加量でも効果が得られる。
【0007】
本発明のスチレン系樹脂組成物には、更に必要に応じて、顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを1種または2種以上混合してもよい。
ブロー成形品の製造工程は、上記のようなブロー成形用スチレン系樹脂組成物を得る工程と、この樹脂組成物をブロー成形する工程とを含んでいる。上記ブロー成形用スチレン系樹脂組成物の製造方法の一例としては、例えば、パウダー、フレーク又はペレット状のゴム強化スチレン系樹脂(A)とアルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩並びにアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種(B)とタルク(C)とポリエチレンワックス(D)とをヘンシェルミキサーで混合し、単軸又は多軸の押出機で溶融押出ししてペレット化して製造される。又、(B)成分をより均一に混合させる目的で水溶液や懸濁液で混合することもできる。
【0008】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、特にブロー成形用樹脂組成物として好適に使用することができる。ブロー成形方法としては、通常のブロー成形の他、シートパリソン法、コールドパリソン法、ボトルパック法、インジェクションブロー成形法、延伸ブロー成形法など各種の方法があるが、いずれの方法も採用できる。このブロー成形工程では、ブローアップ性、表面性等の点から、得られた樹脂組成物を200℃以上のパリソンまたはシートでブロー成形することが好ましい。更に、より良い効果を得るためには、パリソンおよびシートを膨らませる際に、空気に代えて、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガスを用いてもよい。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、上記のようなブロー成形に特に好適で優れた成形品を提供することが出来る。
【0009】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
なお、本実施例および比較例における評価方法を以下にまとめて示す。
【0010】
(還元粘度)
えられたペレットをメチルエチルケトンに23℃で12時間溶解させたのち、遠心分離し、可溶分をメタノールで析出させた。析出物を真空乾燥機で乾燥させ、サンプルをえた。えられたサンプルをN,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液とし、ウベ・ローデ粘度計で30℃で測定した。
【0011】
(熱変形温度:HDT)
ASTM D−648に準拠して4.6kg/cm2荷重で測定した。
【0012】
(曲げ強度および曲げ弾性率)
ASTM D−790に準拠して23℃で測定した。
【0013】
(ブロー成形評価)
えられたペレット状の樹脂組成物をプラコー(株)製のDA−50型ブロー成形機でブロー成形し、成形体を得た。
成形条件は、パリソン温度が約240℃、射出速度(指数)が150、スクリュー回転数が60rpm、ブロー圧が6kg/cm2G(エア)、冷却時間が100秒、金型温度が60℃であった。
えられたブロー成形体について、以下の評価を行った。
【0014】
(1)表面外観
ブロー成形機を成形温度で3時間停止(滞留)させた後、成形を再開し、得られた成形品表面を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○:成形再開後10ショットの成形で、焼け及び異物等の不良がほとんど観察 されず、表面が均一である。
×:成形再開後30ショットの成形で、焼け、異物及びブリード等の不良が観察されるか、又は表面が不均一(凹凸や艶むら)である。
(2)サンディング性
60(W)×400(L)×30(H)(mm)、平均肉厚3.5mmの箱型状ブロー成形体の表面を#400サンドペーパーで擦り、摩耗減量を測定した。摩耗は、新東科学(株)製HEIDON−14D表面性測定機を用い、1kg荷重で200回摩擦後、サンディングペーパーを取り替え、2kg荷重で200回摩擦を行った。
【0015】
○:0.02g以上の摩耗減量である。
【0016】
×:0.02g未満量の摩耗減量である。
(3)落錘強度
外径70mm、長さ400mm、平均肉厚3.2mmの円筒状ブロー成形体を用い、−30℃での落錘強度(錘の重量×半数破壊高さ(kg・m))を測定した。
なお、以下に示す「部」はいずれも「重量部」を意味する。
(A)ゴム強化スチレン系樹脂の製造
I)ゴム強化スチレン系樹脂1:
i)共重合体A
撹拌機付き重合機に、水250部及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、窒素置換後70℃に昇温した。更に過硫酸カリウム0.2部を添加し、α−メチルスチレン65部、アクリロニトリル30部、スチレン5部、t−ドデシルメルカプタン0.25部からなる単量体混合物を、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続けて重合を終了させた。重合転化率は98%、還元粘度は0.70dl/gであった。
ii)グラフト重合体B
撹拌機付き重合器に、水280部および重量平均粒子径0.3μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)を仕込み、窒素置換後70℃に昇温した。過硫酸カリウム0.1部を添加し、アクリロニトリル12部、スチレン28部からなる単量体混合物を重合温度70℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌続けた後、重合を終了させた。重合転化率は98%、グラフト率は40%であった。
前記共重合体Aとグラフト重合体Bを2:1(重量比、固形分)でラテックス状に混合した。得られた混合物を塩化カルシウムで塩析し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダーを得た。HDTは119℃であった。
II)ゴム強化スチレン系樹脂2:
前記スチレン系樹脂1の共重合体Aの単量体混合物をフェニルマレイミド20部、アクリロニトリル20部及びスチレン60部に変更した以外はゴム強化スチレン系樹脂1と同様にして、パウダーを得た。共重合体Aの重合転化率は99%、還元粘度は0.68dl/gであった。HDTは127℃であった。
【0017】
III )ゴム強化スチレン系樹脂3:
前記スチレン系樹脂1のグラフト共重合体Bのポリブタジエンラテックスを重量平均粒子径0.5μmのエチレン−プロピレンゴムラテックスに変更した以外は、ゴム強化スチレン系樹脂1と同様にして、パウダーを得た。グラフト共重合体Bの重合転化率は99%、グラフト率は33%であった。HDTは118℃であった。
【0018】
IV)ゴム強化スチレン系樹脂4:
前記スチレン系樹脂1、50部と、粘度平均分子量3000のポリカーボネート樹脂(出光石油株式会社製FN−300)50部とを混合し、ゴム強化スチレン系樹脂4を得た。HDTは129℃であった。
(B)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物
(B)成分として、下記のものを使用した。
a:水酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製キスマ5
(商品名、平均粒径:0.8μm)
b:水酸化カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製スーパーミクロスター
(商品名、平均粒径:1.5μm)
c:酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製ミクロマグ3−30
(商品名、平均粒径:0.6μm)
d:炭酸ナトリウム:和光純薬株式会社製試薬一級
(平均粒径:0.9μm)
e:水酸化カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製工業用消石灰
(平均粒径:72μm)
上記の平均粒径の測定には、島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置:SA−CP2−20型を用いた。
(C)タルク粉末
(C)成分として、下記のものを使用した。
a:日本タルク株式会社製ミクロエースL−1(平均粒径:1.8μm)
b:日本タルク株式会社製ミクロエースK−1(平均粒径:3.2μm)
c:日本タルク株式会社製シムゴン (平均粒径:6.0μm)
(D)ポリエチレンワックス
(D)成分として、下記のものを使用した。
a:安原油脂工業株式会社製ネオワックスACL
(商品名、平均分子量700)
b:三井石油化学工業株式会社製三井ハイワックス200P
(商品名、平均分子量2000)
c:三井石油化学工業株式会社製三井ハイワックス400P
(商品名、平均分子量4000)
(E)滑剤
滑剤としては、エチレンビスステアリン酸アミドを使用した。
(D)酸化防止剤
酸化防止剤としては、下記のものを使用した。
a:旭電化株式会社製アデカスタブAO−30(商品名、mp=186℃)
b:旭電化株式会社製アデカスタブPEP−36(商品名、mp=237℃)
c:住友化学株式会社スミライザーTPS(商品名、mp=63℃)
(F)スチレン系樹脂組成物の製造
上記(A)〜(D)成分を表1に示す割合で、ヘンシェルミキサーを用い混合し、ベント付き単軸押出機を用いて設定温度270℃で押出し、ペレット化し実施例1〜10及び比較例1〜5のスチレン系樹脂組成物を得た。
(G)ブロー成形
上記のようにして得られたペレット状のスチレン系樹脂組成物を用い、パリソン温度が約240℃の条件で、ブロー成形品を得た。なお、ブロー成形機はプラコー(株)製のDA−50型ブロー成形機を用いた。ブロー成形条件は、射出速度(指数)が150、スクリュー回転数が60rpm、ブロー圧力が6kg/cm2 ・ゲージ圧(エアー)、冷却時間が100秒であった。
【0019】
【表1】
表1の結果から明らかなように、所定量のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又はアルカリ土類金属の酸化物、タルク粉末及びポリエチレンワックスを添加した本発明のスチレン系樹脂組成物によれば、サンディング性の良好なブロー成形品を得ることができ、また、ブロー成形を一時中断後、再開した場合にも短時間で良好な成形品を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のブロー成形用スチレン系樹脂組成物によれば、サンディング性の良好なブロー成形品を得られるとともに、成形を一時中断後再開した場合においても短時間で良好な成形品を得ることができる。
Claims (6)
- (A)ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対し、(B)アルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩並びにアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.01〜10重量部、(C)タルク粉末を0.01〜5重量部、(D)ポリエチレンワックスを0.01〜5重量部添加してなるブロー成形用スチレン系樹脂組成物。
- (A)ゴム強化スチレン系樹脂がABS系樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
- (B)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び酸化物の平均粒径が4μm以下である請求項1記載の樹脂組成物。
- (C)タルク粉末の平均粒径が5μm以下である請求項1記載の樹脂組成物。
- 更に、(E)酸化防止剤を0.3〜1.1重量部添加してなる請求項1記載の樹脂組成物。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の樹脂組成物をブロー成形してなるスチレン系樹脂ブロー成形品。
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