JP3143928B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP3143928B2
JP3143928B2 JP03023447A JP2344791A JP3143928B2 JP 3143928 B2 JP3143928 B2 JP 3143928B2 JP 03023447 A JP03023447 A JP 03023447A JP 2344791 A JP2344791 A JP 2344791A JP 3143928 B2 JP3143928 B2 JP 3143928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械的強度が優れ、成形
性のすぐれるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関
するものである。さらに詳しくは、成形時のバリおよび
ガスの発生が少なく、成形品の機械的強度が優れるポリ
アリーレンスルフィドを経済的に製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】ポリフェニレンスルフィドに代表されるポ
リアリーレンスルフィド樹脂は、そのすぐれた耐熱性・
耐薬品性により射出成形用・押出成形用等に幅広く利用
されている。しかし、加熱溶融時のガス発生量が多く、
金型が腐食したり、成形品が金型に付着してとれない等
の問題がある。また、得られた成形品にはバリが発生
し、ウエルド部の機械的強度が低いという問題があっ
た。
【0003】ガス発生量を抑えるために、特開昭59−
6221号公報に代表されるように、熱分解し易く、ガ
ス発生の主因となる低分子量物に着目して、溶媒で反応
生成ポリマーを洗浄してオリゴマーを除去する方法が公
知であるが、溶媒回収等で製造コストが高くなり経済的
でないという欠点がある。
【0004】また、成形時に発生するバリを減少させる
ために、特開平1−146955号公報に代表されるよ
うに添加剤を添加する方法が提案されている。しかし、
この方法によればバリは減少するものの十分でなく、樹
脂組成物の粘度が上昇(メルトフローレイトが低下)し
流動性が劣るという欠点がある。
【0005】即ち、同一のメルトフローレイトの重合体
を用意した際、同公報記載のような添加剤処方の配合物
はそうでない配合物に比べメルトフローレイトが相対的
に低くなる。但し、絶対値として数値で表わすことは困
難である。
【0006】成形品の機械的強度が優れるポリアリーレ
ンスルフィドの製造方法として、特開昭57−1081
36号公報に代表されるように灰分率の低いポリアリー
レンスルフィドが提案されているが、この方法で得られ
たポリアリーレンスルフィド樹脂はガス発生量が多いと
いう欠点がある。
【0007】また、特開昭62−197422号公報に
代表されるように、酸化架橋する方法が提案されている
が、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の機
械的強度が十分でない。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】従来提案されている
方法では、流動性および機械的強度が優れ、かつ成形時
のバリおよびガス発生が少ないポリアリーレンスルフィ
ドを効率よく製造することは困難であり、安価でかつ効
率的なポリアリーレンスルフィドの製造方法が望まれて
いた。
【0009】本発明は、上記目的を達成するものであ
る。すなわち本発明は、流動性および機械的強度が優
れ、成形時のバリおよびガス発生の少ないポリアリーレ
ンスルフィドを安価に効率よく製造する方法を提供する
ものである。
【0010】
【問題を解決するための手段】上記目的は、ポリハロゲ
ン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とをアルカリ金属
カルボン酸塩の存在下に極性有機溶媒中で反応して得ら
れるポリアリーレンルフィドを、フラッシュ法により
回収し、酸性水溶液にて洗浄した、メルトフローレイト
が200以上4000以下であり、灰分率が0.5重量
%以下であるポリアリーレンスルフィドを、メルトフロ
ーレイトが120〜600の範囲になるようキュアリン
グすることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製
造方法によって達成される。
【0011】
【発明の具体的開示】本発明のポリアリーレンスルフィ
ドを製造する際使用するポリハロゲン芳香族化合物とは
ハロゲン原子が2以上でかつ分子量が1000未満の芳
香族化合物をいう。具体例としては、p−ジクロルベン
ゼン、m−ジクロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、
1,3,5−トリクロルベンゼン、1,2,4−トリク
ロルベンゼン、1,2,4,5−テトラクロルベンゼ
ン、ヘキサクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエ
ン、2,5−ジクロル−p−キシレン、1,4−ジブロ
ムベンゼン、1,4−ジクロルナフタレン、1,5−ジ
クロルナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロルベ
ンゼン、4,4′−ジクロルビフェニル、3,5−ジク
ロル安息香酸、4,4′−ジクロルジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジクロルジフェニルスルホン、4,4′
−ジクロルジフェニルケトンなどがあり、なかでもp−
ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロルジフェニルスル
ホン、4,4′−ジクロルジフェニルケトンが好ましく
用いられる。
【0012】本発明のポリアリーレンスルフィドを製造
する際使用するアルカリ金属硫化物とは、周期律表IA
族の金属の硫化物であり具体的には硫化リチウム、硫化
ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシ
ウム、硫化フランシウムであり、中でも硫化ナトリウム
が好ましく用いられる。
【0013】また、アルカリ金属硫化物の合成法に特に
制限はなく、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸
化物より、あるいはアルカリ金属水酸化物と硫化水素よ
り合成されたものを用いてもさしつかえない。また、ア
ルカリ金属硫化物は無水のものでも結晶水を含んでいて
も良く、水溶液でもさしつかえない。
【0014】本発明で使用するアルカリ金属カルボン酸
塩としては、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウ
ム、2−メチルプロピオン酸リチウム、酪酢ルビジウ
ム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナ
トリウム、その他同種類の塩およびそれらの混合物が上
げられ、中でも特に酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、安
息香酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0015】本発明のポリアリーレンスルフィドを製造
する際使用する極性有機溶媒としては、N−メチルピロ
リドン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサ
メチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメ
チレンスルホキシドなどがあげられ、中でもN−メチル
ピロリドンが好ましく用いられる。
【0016】本発明で使用するアルカリ金属硫化物、ア
ルカリ金属カルボン酸塩等に水が含有される場合は、ポ
リハロゲン芳香族化合物と反応させる前に、脱水工程が
必要となる。その後公知の方法によってポリハロゲン芳
香族化合物と反応せしめる。
【0017】重合反応物は高温高圧(通常250℃以
上、8kg/cm2圧力以上)の状態から常圧もしくは
減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重
合体を粉末状にして回収する。フラッシュ法とは、重合
反応物を小径ノズルから急激に、大量に短時間の間に噴
出させ、同時に溶媒を気化させ、固形物のみを粉末状に
得る方法である。
【0018】本発明において、ここでは固形物はポリマ
と副生成物(NaCl等)の混合物を主とする組成であ
る。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧
中の窒素または水蒸気中へフラッシュし、温度は180
〜250℃の状態である。噴出速度については後に詳述
する。
【0019】本発明のフラッシュ法以外には、重合反応
物を徐冷してポリアリーレンスルフィドを粒子状として
回収するクエンチ法と呼ばれる回収方法がある。しか
し、この方法では、低分子量のポリアリーレンスルフィ
ドが粒子状とならず、極性有機溶媒中に乳濁して収率を
低下させるため経済的ではない。本発明のようにフラッ
シュ法によりポリアリーレンスルフィドを回収すること
が重要である。
【0020】そして得られたポリアリーレンスルフィド
の比表面積が0.5m2/g以上15m2/g以下である
ことが大切であり、1m2/g以上13m2/g以下が特
に好ましい。ポリアリーレンスルフィドの比表面積が
0.5m2/g未満では、洗浄の効率が低下し、灰分率
の高いポリアリーレンスルフィドしか得られず好ましく
ない。また、15m2/gを越えると、キュアリングの
際、著しくメルトフローレイトの低下が速く、キュア後
のポリアリーレンスルフィドのメルトフローレイトをコ
ントロールすることが困難となり好ましくない。
【0021】本発明において、比表面積とは、窒素ガス
を用いてB.E.T.法により測定したものをいう。ま
た、本発明において、メルトフローレイトとは、AST
M D−1238に準じて、温度315.6℃荷重5kg
にて測定したものをいう。単位はg/10分である。
【0022】そして、上記のように比表面積0.5m2
/g以上15m2/g以下とする条件であるが、比表面
積とポリマの回収方法および重合条件とは相関があり、
フラッシュ法により得られる重合体はこのような範囲に
ある。しかし、重合時の溶媒濃度やフラッシュ時の条件
(温度、フラッシュ速度)により変わり得る物性であ
る。本発明の実施例におけるフラッシュ操作条件、重合
条件では、さらに1〜13m2/gの範囲になる。具体
的には、重合時の溶媒濃度としてS源当り2〜7モル、
フラッシュの速度として0.5kg/hr−5000kg
/hrの範囲である。
【0023】その後、副生する塩類を除去するために一
般に水を用いて重合反応物を洗浄する。洗浄はバッチ式
でも連続式でもさしつかえないが、使用する水に含有す
る金属イオン量が500ppm以下であることが好まし
い。金属イオン含有量が500ppmを越える水を使用
すると、酸性水溶液にて洗浄する効果が小さく、灰分率
が0.4重量%以下のポリアリーレンスルフィドを得る
ことが困難になる。
【0024】使用する水の種類としてはイオン交換水、
蒸留水が好ましく用いられる。また洗浄の温度としては
20℃以上220℃以下が好ましく、50℃以上200
℃以下が特に好ましい。20℃未満の温度では副生する
塩類の除去が困難であり、220℃を越えると高圧にな
り安全上好ましくない。
【0025】本発明の酸性水溶液とは上記記載の水に、
有機酸、無機酸等を添加して酸性にしたものである。使
用する有機酸、無機酸としては酢酸、プロピオン酸、塩
酸、硝酸、硫酸、リン酸などがあげられ中でも酢酸、塩
酸が特に好ましく用いられる。酸性水溶液のpHは6以
下であることが必要である。pHが6を越えると得られ
るポリアリーレンスルフィドの灰分率が高くなり好まし
くない。
【0026】本発明でいう灰分率とは、ポリアリーレン
スルフィド中のイオン性不純物が酸化された無機化合物
のことであり、具体的には白金るつぼでポリアリーレン
スルフィドを560℃×6時間焼成した後の残査量を言
う。本発明において灰分率は0.5重量%以下であり
ましくは0.4重量%以下である。灰分率が0.5重
量%を越えると得られたポリアリーレンスルフィドの機
械的強度が低くなる
【0027】ここでいう灰分とは、原料中の不純物に起
因する灰分ではなく、重合後に含有される金属あるいは
塩類によって生成する無機分がその主成分である。
【0028】そして、灰分率0.5重量%以下とする条
件であるが、灰分を構成する成分としては、重合時の副
生成物のNaClおよび重合体に付着している金属成分
(例えば、Na,Ca,Mg,Fe,Ni等)であり、
これらは水洗により除去することができる。前記のよう
に酸性の条件下に水洗する方法が便利である。
【0029】ところで、灰分率を低下させるのに酸洗浄
を行なうこと自体は、公知の技術である。フラッシュ法
を使用したものではなく、重合後に系をそのまま冷却
し、得られた重合体を酸で洗浄する方法についての例は
ある(例えば特公昭45−3368,例9)。しかし、
フラッシュ回収された重合体を酸で洗浄する具体例は知
られていない。
【0030】そして、本発明の特徴は、重合後フラッシ
ュ法によるポリマの回収−酸洗浄による灰分率の低下−
キュアによる分枝または架橋構造の導入の3要素の組み
合わせによりその効果を発現させるものである。
【0031】本発明のポリアリーレンスルフィドとは、
【化1】 の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまた
はコポリマーである。この繰り返し単位を主要構成単位
とする限り、
【化2】 等で表わされる少量の分岐結合または架橋結合を含むこ
ともできる。
【0032】Arとしては、
【化3】
【化4】 (R1 ,R2 は水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロ
ゲン基から選ばれる基である)などがある。
【0033】特に好ましく用いられるポリアリーレンス
ルフィドとしては、ポリマーの主構成単位としてp−フ
ェニレンスルフィド単位
【化5】 を90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド、
ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレ
ンスルフィドケトンがあげられる。
【0034】これらのポリアリーレンスルフィドをキュ
アリング(熱架橋)する際、キュア前のメルトフローレ
イトが200以上4000以下であることが必要であ
る、メルトフローレイトが小さすぎると得られるポリア
リーレンスルフィドの流動性が劣り好ましくない。また
4000を越えるとポリアリーレンスルフィドの機械的
強度が十分でなく好ましくない。キュアリング前のポリ
アリーレンスルフィドのメルトフローレイトの特に好ま
しい範囲として200以上3500以下があげられる。
【0035】キュア前のメルトフローレイトは、重合条
件の調整で広い範囲に変化させることができる。低いメ
ルトフローレイト(例えば1000以下)の重合体を得
るにはアルカリ金属カルボン酸塩のような助剤を使用す
る方法が便利であり、また高いメルトフローレイト(1
000以上のような)を得るには特に助剤を使用しなく
ても得ることができる。
【0036】キュア後のメルトフローレイトが一定の場
合には、キュア前のメルトフローレイトが高い程キュア
による分枝または架橋の密度が高くなり、得られる重合
体の流動性、機械特性等に影響を及ぼす。これらのバラ
ンスを考えるとキュア前のメルトフローレート200
−4000(特に好ましくは200−3500)にする
ことが必要である。
【0037】具体的なキュアリングとしては、加熱装置
をそなえた攪拌機付混合槽を用いて、空気もしくは窒素
との混合気体等の気体雰囲気下で150℃以上融点未満
の温度で熱処理を行なうのが一般的であるが、本発明は
特にこれらに限定されるものではない。
【0038】キュアリング後のポリアリーレンスルフィ
ドのメルトフローレイトは120以上600以下である
ことが必要である。キュアリング後のメルトフローレイ
トが高すぎるとガス発生量が多くなり好ましくない。
【0039】上記のように重合後のメルトフローレイト
を制御するための条件は一般的には上記段落番号003
8に記載のとおりであるが、更に具体的には、粉末ある
いは顆粒状のポリアリーレンスルフィドを150−27
0℃の範囲で酸素を含む雰囲気中で攪拌または流動状態
で1〜100時間の範囲に加熱し、ポリマ中に分岐また
は架橋構造を導入することにより、メルトフローレイト
を120以上600以下の範囲となるようキュアする。
【0040】例えば重合直後のメルトフローレイトが5
00のものにあっては、キュアにより500未満、例え
ば、100にすることを意味するが、本発明に於てはそ
の効果を充分発揮させるためキュア前のメルトフローレ
イトが200以上3500以下、キュア後120以上6
00以下にする方法が特に好ましい。
【0041】本発明でいうガス発生量とは、ポリアリー
レンスルフィドを加熱溶融した時に発生する気体および
低沸点有機化合物のことであり、具体的には、予め15
0℃で1時間以上乾燥されたポリアリーレンスルフィド
を370℃で1時間加熱溶融させた時の重量減量であ
り、重量%で表わされる。ガス成分としては、多いもの
から、CO2,H2O,CO,H2S,SO2,COS,チ
オフェノール、等である。
【0042】本発明で得られたポリアリーレンスルフィ
ドに、ガラス繊維、炭素繊維、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム等の無機充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、着色剤等を添加することもできる。また、ポリア
ミド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカ
ーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミド
エラストマー等の樹脂を、配合することができる。
【0043】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例によってのみ限定されるもの
ではない。
【0044】実施例1〜2 実施例1〜2においては、重合手順は同一であり、キュ
アリングの時間を変更させることにより、キュアリング
後の生成物のメルトフローレ−トを各々200および1
20にまで調整した。なおキュアリングは空気気流下に
横型攪拌機付のキュアリング槽を使用し、内温225℃
で各々15時間、19時間加熱し、メルトフローレイト
を200および120とした。メルトフローレイトはキ
ュアリング中、15時間後に一部重合体を槽から抜き出
して測定した。
【0045】以下に手順を述べる。攪拌機付の1m3
ートクレーブに硫化ナトリウム・9水塩240.2k
g、酢酸ナトリウム24.6kgおよびN−メチル−2
ピロリドン198kgを仕込み窒素を通じながら205
℃まで約3時間かけて加熱し、水144リットルを留出
した。そこで、反応容器を180℃に冷却し、p−ジク
ロルベンゼン147kgおよびN−メチル−2ピロリド
ン149kgを加え、窒素ガス下に密閉し、270℃ま
で昇温し、270℃で1時間反応を行なった。
【0046】その後、反応液を冷却コンデンサーの付い
た250℃に加熱保温された攪拌槽にフラッシュさせ、
ポリフェニレンスルフィドと塩類の混合粉末を得た。そ
の混合粉末を70℃のイオン交換水500リットルでス
ラリー化し、ポリエステル製フィルター付遠心分離器で
ろ過した。
【0047】得られたケーク、イオン交換水500リッ
トルおよび氷酢酸500mlを攪拌機付1m3オートク
レーブに入れ窒素ガス下に密閉し、190℃に加熱昇温
し、190℃到達後70℃まで冷却した。得られたスラ
リーを遠心分離器でろ過し、得られたケークを窒素流通
下で乾燥を行ないポリフェニレンスルフィド(PPS−
1)103kgを得た。
【0048】得られたポリフェニレンスルフィド(PP
S−1)のメルトフローレイトは800g/10分であ
り、灰分率は0.20重量%、比表面積は8m2/g、
加熱減量は1.1重量%であった。このポリフェニレン
スルフィド(PPS−1)を用いて表−1のようなメル
トフローレイトまでキュアリングを行ない、加熱減量を
測定し、表−1に示した。
【0049】キュアリング後のポリフェニレンスルフィ
ド60重量部およびガラス繊維(直径13μm、長さ3
mm)40重量部を配合し、2軸押出機を用いて溶融混
練しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0050】この樹脂組成物のメルトフローレイトを測
定し表−1に示した。得られたポリフェニレンスルフィ
ド樹脂組成物を射出成形法によって成形し、成形品の引
張強度(ASTM D−638)を測定し表−1に示し
た。また、上記引張試験片成形時バリの長さを測定し、
合わせて表−1に示した。
【0051】実施例3〜4、比較例1,6 実施例1〜2において酢酸ナトリウム24.6kgのか
わりに3.3kgにした以外は同様に行ない、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS−2)101kgを得た。得
られたポリフェニレンスルフィド(PPS−2)のメル
トフローレイトは2000であり、灰分率は0.30重
量%、比表面積は7.5m2/g、加熱減量は1.3重
量%であった。
【0052】このポリフェニレンスルフィド(PPS−
2)を用いて表−1のようなメルトフローレイトまでキ
ュアリングを行ない、加熱減量を測定し表−1に示し
た。以下実施例1〜2と同様にガラス繊維と溶融混練
し、樹脂組成物のメルトフローレイト、成形品の引張強
度およびバリの長さを測定し、合わせて表−1に示し
た。
【0053】実施例5 1リットルのオートクレーブに、45%水硫化ナトリウ
ム1.00モル(124.4g)および固形水酸化カリ
ウム0.98モルを加え、3モルのN−メチルピロリド
ンと混合した後常圧、窒素気流下に、内容物を220℃
まで加熱することにより脱水操作を行なった。この操作
中65gの留出物とともに0.025モルの硫化水素が
系外へ出された。
【0054】内温を150℃まで冷却した後、0.99
モルのp−ジブロムベンゼンを固体状で添加し、かつ
0.2モルのN−メチルピロリドンを加えオートクレー
ブを密封し、270℃まで0.25℃/分の速度で昇温
した。270℃到達直後に実施例1と同様の方法でフラ
ッシュさせ粉末状固体を得た。この固体を実施例1と同
じ比率で、イオン交換水および氷酢酸を使用して洗浄
後、乾燥させ淡黄色粉末状ポリマ(PPS−3)を得
た。
【0055】得られたポリマは、メルトフローレイト2
600、灰分率0.25%、比表面積4.5m2/gで
あった。このポリマを230℃に設定された乾燥器中で
9時間加熱し、メルトフローレイト550までキュアを
行なった。さらに小型の成形機を用い、ガラス繊維(直
径13μm、長さ3mm)30%、微粉炭酸カルシウム
30%を混合した配合物から引張り試験片を成形し、1
620kg/cm2の強度を得るとともにバリの長さと
して68μmを確認した。なおキュア前後の加熱減量は
各々1.5%、0.55%であった。
【0056】比較例2 実施例1〜2において酢酸ナトリウムを用いなかった以
外は同様に行ないポリフェニレンスルフィド(PPS−
4)100kgを得た。得られたポリフェニレンスルフ
ィド(PPS−4)のメルトフローレイトは4500g
/10分であり灰分率は0.4重量%、比表面積は5m
2/g、加熱減量は1.6重量%であった。
【0057】このポリフェニレンスルフィド(PPS−
4)を用いて表−1のようなメルトフローレイトまでキ
ュアリングを行ない、得られたポリフェニレンスルフィ
ドの加熱減量を測定し表−1に示した。以下実施例1〜
2と同様にガラス繊維と溶融混練し、樹脂組成物のメル
トフローレイト、成形品の引張強度およびバリの長さを
測定し、合わせて表−1に示した。
【0058】比較例3 実施例1〜2において1,2,4−トリクロルベンゼン
0.5kgをp−ジクロルベンゼンと同時に添加した以
外は同様に行ない、ポリフェニレンスルフィド(PPS
−5)104kgを得た。
【0059】得られたポリフェニレンスルフィド(PP
S−5)のメルトフローレイトは100g/10分であ
り、灰分率は0.25重量%、比表面積は5m2/g、
加熱減量は1.1重量%であった。このポリフェニレン
スルフィド(PPS−5)を用いてキュアリングを行な
い実施例1〜2と同様の測定を行ない表−1に示した。
【0060】比較例4 実施例1〜2において氷酢酸を添加しなかった以外は同
様に行ない、ポリフェニレンスルフィド(PPS−6)
103kgを得た。得られたポリフェニレンスルフィド
(PPS−6)のメルトフローレイトは400g/10
分であり、灰分率は0.60重量%、比表面積は8m2
/g、加熱減量は0.9重量%であった。このポリフェ
ニレンスルフィド(PPS−5)を用いて、実施例1〜
2と同様の測定を行ない表−1に示した。
【0061】比較例5 実施例1〜2において、p−ジクロルベンゼンとともに
仕込むN−メチル2−ピロリドンの量が50kgである
こと以外は同様に行ない、ポリフェニレンスルフィド
(PPS−7)104kgを得た。
【0062】得られたポリフェニレンスルフィド(PP
S−7)のメルトフローレイトは500g/10分であ
り、灰分率は0.60重量%、比表面積は0.4m2
g、加熱減量は1.0重量%であった。このポリフェニ
レンスルフィド(PPS−7)を用いて、実施例1〜2
と同様の測定を行ない表−1に示した。
【表1】
【0063】表1から明らかなように、本発明の実施例
1〜4の場合、キュアリング後のポリアリーレンスルフ
ィドの加熱減量が少なく、樹脂組成物の流動性が優れ、
バリの発生が少なく、引張強度の高い成形品が得られる
ことがわかる。また、実施例5から、本発明の重合体
は、無機充てん剤が多い成形品に対しても、優れた流動
特性、機械特性を示すことが判明した。
【0064】それに対して、比較例1〜6のように、キ
ュアリング後のポリアリーレンスルフィドのメルトフロ
ーレイトが本発明の範囲を外される場合(比較例1,
6)、キュアリング前のポリアリーレンスルフィドのメ
ルトフローレイトが本発明の範囲を外れる場合(比較例
2〜3)、灰分率が本発明の範囲を越える場合(比較例
4)、比表面積が本発明の範囲を外れる場合(比較例
5)は、樹脂組成物の流動性が劣っていたり、引張強度
が低かったり、バリが発生しやすかったりして好ましく
ない。
【0065】
【発明の効果】本発明のポリアリーレンスルフィドの製
造方法によれば、流動性および機械的強度が優れ、成形
時のバリおよびガス発生の少ないポリアリーレンスルフ
ィドを安価に効率よく製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−298515(JP,A) 特開 平2−107666(JP,A) 特開 平2−255767(JP,A) 特開 昭64−9266(JP,A) 特開 平1−240529(JP,A) 特開 昭62−253626(JP,A) 特開 昭57−108136(JP,A) 特開 昭62−197422(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00 - 75/32 C08L 81/00 - 81/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金
    属硫化物とをアルカリ金属カルボン酸塩の存在下に極性
    有機溶媒中で反応して得られるポリアリーレンルフィ
    ドを、フラッシュ法により回収し、酸性水溶液にて洗浄
    した、メルトフローレイトが200以上4000以下で
    あり、灰分率が0.5重量%以下であるポリアリーレン
    スルフィドを、メルトフローレイトが120〜600の
    範囲になるようキュアリングすることを特徴とするポリ
    アリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 【請求項2】キュア前のポリアリーレンスルフィドの比
    表面積が0.5m2/g以上15m2/g以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィ
    ドの製造方法。
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