JP2014028917A - 高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えた高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の提供。
【解決手段】クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるポリアリーレンスルフィド樹脂を、非酸化性雰囲気下において、融点を超える温度範囲で、15分以上5時間未満減圧加熱処理することにより、簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
【選択図】なし
【解決手段】クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるポリアリーレンスルフィド樹脂を、非酸化性雰囲気下において、融点を超える温度範囲で、15分以上5時間未満減圧加熱処理することにより、簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質なポリアリーレンスルフィドを製造する方法に関するものである。
ポリアリーレンスルフィド(以下PASと略す)樹脂は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。
PAS樹脂はその融点が高い故に、溶融加工温度が高く、そのため溶融加工時に揮発性成分が発生し易い。特に、電気電子部品のように電気絶縁性が求められるPAS樹脂は金属含有量を低下させるために酸処理が行われる。しかし、このような酸処理を行ったPAS樹脂の場合、オリゴマー成分も幾分増加する傾向があるほか、揮発性成分の存在量が増して溶融押出時にガスの発生量が多くなり易い。これにより、金型汚れや金型ベント詰まりによる成形不具合が生じ生産性の低下を引き起こす場合があり、オリゴマーや揮発成分の低減が強く望まれている。
さらに電気電子部品分野では、環境に対する取り組みとして低ハロゲン化への動きが活発化しており、ハロゲン系難燃剤なしでも十分な難燃性が得られるPASが注目されている。しかしながら、一般的なPAS製造方法であるジハロゲン化芳香族化合物を原料とする場合には、ジハロゲン化芳香族化合物に由来するハロゲンが任意の割合で分子末端に存在するため、高いハロゲン含有量を有しており、ジハロゲン化芳香族化合物にパラジクロロベンゼンを用いる場合は塩素含有量が高くなる。特に、溶融流動性の高いPAS樹脂は概して分子量が低いため、分子量の高いPAS樹脂に比べて分子鎖末端が多く存在し、塩素含有量が自ずと増加する傾向にある。
これらの問題を解決するPAS、つまり、成形加工時に発生する揮発性成分は大きく減少し、なおかつ、金属含有量および塩素含有量も低減したPASが、環境負荷低減と高い生産性を満足できる画期的なPASとして特に強く望まれており、本発明はその製造方法を見出したものである。
PAS樹脂を高品質化する手法としては、PASのオリゴマー成分と親和性の高い溶剤で洗浄する方法が一般におこなわれている。本手法では確かに塩素含有量、オリゴマー量、揮発性成分量などが低減され、高品質のPAS樹脂が得られるものの、溶剤を使用することで操作が煩雑となり、生産性が低下する課題があった。そのため、比較的品質が低いものの高い生産性を有するPAS樹脂を高品質化する手法が提案されている。
例えば、特許文献1ではポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)樹脂を酸処理工程で酸処理することで金属含有量を大幅に低減させ、次いで酸化性雰囲気下で熱酸化処理を施すことで揮発性成分を大幅に低減させており、成形安定性、耐湿熱性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂を得ている。該手法で得られる効果として塩素含有量やオリゴマー量は何ら記載されていないものの、熱処理温度が融点以下であり、なおかつ常圧下での処理であるため、例え塩素含有量やオリゴマー量の低減効果があったとしてもその効果は限定的であると察する。
特許文献2には、PAS樹脂を酸処理工程で酸処理し、次いで減圧下、100℃以上の温度で加熱処理を行うことにより、射出成形時の金型付着物が少ないPAS樹脂を効率的に製造する方法が開示されているものの、実施している加熱温度が140℃から240℃の温度範囲とPAS樹脂の融点以下であるため、オリゴマー量や塩素含有量の低減効果は低いとみられる。
特許文献3には、PAS樹脂を溶融押し出しする際に、該押出機にガス体を供給しながら溶融押し出しを行い、同時に該樹脂中の水分およびオリゴマー成分をベント口より除去することで揮発性成分の発生を抑えたPAS樹脂の製造方法が開示されているものの、押出時にガス体を供給するという煩雑な操作を行う必要がある。また、押出時の滞留時間が0.4〜2分とごく短時間であることから、低塩素化の効果は低いとみられる。
特許文献4には、PPS樹脂を真空乾燥機中、酸素濃度0.02体積%まで減圧した条件で、融点付近以上の温度域にて20分から375分加熱処理をおこなう方法が開示されている。しかしながら、減圧加熱処理前のPPS樹脂は塩素含有量やオリゴマー量が少ないものであり、減圧加熱処理による大幅な塩素含有量の低減、オリゴマー量の低減は望めないと予想できる。また、特許文献4は高融点化による耐熱性向上を目的とした減圧加熱処理であり、塩素含有量やオリゴマー量の大幅な低減に必要な熱処理前のPAS樹脂の特性や減圧加熱処理条件については何ら記載されておらず、想到することもできない。
本発明は簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることを課題として検討した結果、達成されたものである。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、酸処理を施した比較的低粘度のPAS樹脂を、減圧条件にて、融点を超えてPAS樹脂が分解しない温度範囲で加熱処理することにより、溶融時の揮発性成分の発生量が著しく減少してかつ、PAS樹脂が含有する、塩素量、オリゴマー量、灰分量のいずれもが低減されたPAS樹脂の製造方法を見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
1.クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるポリアリーレンスルフィド樹脂を、非酸化性雰囲気下において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を超える温度範囲で、15分以上5時間未満加熱処理することを特徴とする、高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
2.ポリアリーレンスルフィド樹脂が、120℃以上200℃未満でpH2〜8の水溶液に浸漬する処理をしたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
3.酸素濃度2体積%以上の雰囲気下において160〜270℃での熱処理を経ることなく、非酸化性雰囲気下での加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1または2記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
4.加熱処理工程を減圧条件下において行うことを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
5.ポリアリーレンスルフィド樹脂がフラッシュ法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
より構成されるものである。
1.クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるポリアリーレンスルフィド樹脂を、非酸化性雰囲気下において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を超える温度範囲で、15分以上5時間未満加熱処理することを特徴とする、高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
2.ポリアリーレンスルフィド樹脂が、120℃以上200℃未満でpH2〜8の水溶液に浸漬する処理をしたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
3.酸素濃度2体積%以上の雰囲気下において160〜270℃での熱処理を経ることなく、非酸化性雰囲気下での加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1または2記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
4.加熱処理工程を減圧条件下において行うことを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
5.ポリアリーレンスルフィド樹脂がフラッシュ法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
より構成されるものである。
本発明によれば、簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明におけるPASとは、式―(Ar−S)―の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arの構造としては下記の式(A)〜式(J)などが挙げられるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
(R1、R2は水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(K)〜式(M)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は式―(Ar−S)―の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
また、本発明におけるPASは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドエーテル、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいPASとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドエーテルが挙げられ、ポリフェニレンスルフィドが特に好ましい。
本発明の製造方法により得られる高品質PAS樹脂は、(1)クロロホルムを用いて抽出されるオリゴマーの総量がPAS樹脂の3.0重量%未満が好ましく、より好ましくは2.0重量%未満、さらに好ましくは1.3重量%未満であることが望ましい。減圧加熱後に含まれる総オリゴマー量が3.0重量%以上では、金型や金型ベント部に付着する成分が増加し転写不良の原因になることや、結晶化温度の低下による生産性への影響が生じることなどのため好ましくない。下限は特に限定されないが、通常0.1重量%以上である。ここでのクロロホルム抽出量は実施例に記載した測定方法で得られる値である。
本発明の製造方法により得られる高品質PAS樹脂は、(2)真空下、320℃で2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下であることが望ましい。熱酸化処理後のガス発生量が0.3重量%を上回ると、金型や金型ベント部に付着する揮発性成分の発生量が増加し、転写不良やガスやけが起こりやすくなるため好ましくない。下限は特に限定されないが、通常0.01重量%以上である。
なお、上記揮発性成分の発生量とは、PAS樹脂を真空下で加熱溶融した際に揮発するガスが、冷却されて液化または固化した付着性成分の量を意味しており、PAS樹脂を真空封入したガラスアンプルを、管状炉で加熱することにより測定されるものである。ガラスアンプルの形状としては、腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmである。具体的な測定方法としては、PAS樹脂を真空封入したガラスアンプルの胴部のみを320℃の管状炉に挿入して2時間加熱することにより、管状炉によって加熱されていないアンプルの首部で揮発性ガスが冷却されて付着する。この首部を切り出して秤量した後、付着したガスをクロロホルムに溶解して除去する。次いで、この首部を乾燥してから再び秤量する。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差よりガス発生量を求める。
本発明の製造方法により得られる高品質PAS樹脂は、(3)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。灰分率が0.3重量%を上回ることは、PAS樹脂の金属含有量が多いことを意味する。金属含有量が多いと、塩素を含む不揮発性の有機金属化合物が増大するため、加熱処理時に揮散除去されず、塩素低減効果が小さい傾向にある。下限は特に限定されないが、通常0.005重量%以上である。
本発明の製造方法により得られる高品質PAS樹脂は、(4)塩素含有量が2200ppm以下が好ましく、より好ましくは1800ppm以下、さらに好ましくは1500ppm以下である。電気・電子部品業界において環境保護の観点からハロゲン規制の動きが急速に拡大し、PAS樹脂のコンパウンドに対しても塩素含有量が900ppm以下のPAS樹脂組成物中が求められる流れにある。PAS樹脂の塩素含有量が1500ppm以下であれば、PAS樹脂60重量%と無機フィラー40重量%のPAS樹脂組成物において900ppm以下の低い塩素量を満足することができる。下限は特に限定されないが、通常500ppm以上である。
本発明は、PAS樹脂を好ましくは酸処理し、次いで非酸化性雰囲気下において、加熱溶融させる工程を経ることにより、特定の性質を有するPAS樹脂を得る方法であるが、この本発明において必須の加熱処理を施す前のPAS樹脂は、クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満のものであればいかなる方法で得られたものでも良く、したがって、市販されているPPS樹脂を用いることもできるし、以下に述べるようにモノマーを重合して製造することもできる。
以下に、本発明で必須の溶融加熱処理を施す前のPAS樹脂を製造する方法を述べる。まず、使用するポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度や低い塩素量のPAS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.90から1.10モル、好ましくは0.95から1.05モル、更に好ましくは1.005から1.02モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.10モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
生成するPAS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
生成するPAS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度のPAS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPAS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩および/または水が好ましく用いられる。
比較的高重合度のPAS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPAS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩および/または水が好ましく用いられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これら重合助剤を用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜0.7モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いることは、流動性と高靭性が高度にバランスした樹脂組成物を得る上で有効な手段の一つである。その場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.5モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。
次に、前工程、重合反応工程、回収工程について順を追って具体的に説明する。
[前工程]
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.5〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPAS樹脂粉粒体を製造することが好ましい。
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPAS樹脂粉粒体を製造することが好ましい。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
[回収工程]
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
PAS樹脂の最も好ましい回収方法は、急冷条件下に行うことであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒体状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
フラッシュ法は、溶媒回収と同時に固形物を回収することができ、また回収時間も比較的短くできることから、経済性に優れた回収方法である。この回収方法では、固化過程でNaに代表されるイオン性化合物や有機系低重合度物(オリゴマー)がポリマー中に取り込まれやすい傾向がある。
但し、本発明の製造方法に用いられるPAS樹脂の回収法は、フラッシュ法に限定されるものではない。本発明の要件を満たす方法であれば、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法(クエンチ法)を用いることも問題ない。本発明によれば、クロロホルム抽出量が1.0重量%から10重量%であるPAS樹脂を用いることが必要であり、経済性を鑑みた場合、フラッシュ法により回収したPAS樹脂が好ましい。
本発明のPAS樹脂の製造方法は、上記重合反応工程、回収工程を経て得られたPAS樹脂を灰分量の低減が目的で、酸処理工程で酸処理することが好ましく、酸処理する工程の前に熱水処理する工程を含んでなることも好ましい態様である。また、酸処理する工程や熱水処理する工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよい。
本発明における酸処理に用いる酸は、PAS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPAS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸の水溶液を用いるときの水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。酸の水溶液は、pH2〜8が好ましく、pH2〜4がより好ましい。pHが8より大きいとPAS樹脂の金属含有量が増大するため好ましくなく、pHが2より小さいとPAS樹脂の揮発成分が多くなるとともに、金属腐食などの問題が生じやすく好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPAS樹脂を浸漬せしめることが好ましく、必要により適宜撹拌および加熱することも可能である。加熱する際の温度は120〜200℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。120℃未満では酸処理効果が小さく、金属含有量が増大し、250℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。また、酸の水溶液でPAS樹脂を浸漬せしめて処理した際のpHは、酸処理により8未満となることが好ましく、pH2〜8がより好ましい。同様にpHが8より大きくなると得られるPPS樹脂の金属含有量が増大するため好ましくない。
酸処理の時間は、PAS樹脂と酸の反応が十分に平衡となる時間が好ましく、120℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
酸処理におけるPAS樹脂と酸または酸の水溶液との割合は、PAS樹脂が酸または酸の水溶液中に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PAS樹脂500gに対して、酸または酸の水溶液0.5〜500Lが好ましい。
これらの酸処理は所定量の水および酸に所定量のPAS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に酸処理を施す方法などにより行われる。酸処理後の処理溶液から水溶液とPAS樹脂を分離する方法はふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPAS樹脂表面に残留している酸や不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法は濾過装置上のPAS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPAS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPAS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明では酸処理する工程の前に熱水処理を行うことが好ましく、熱水処理温度は120〜200℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。120℃未満では熱水処理効果が小さく、揮発するガス発生量が多くなり、200℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。
熱水処理の時間は、PAS樹脂と熱水による抽出処理が十分である時間が好ましく、120℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
熱水処理におけるPAS樹脂と水との割合は、PAS樹脂が水に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PAS樹脂500gに対して、水0.5〜500Lが好ましい。
これらの熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPAS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。熱水処理後の処理溶液から水溶液とPAS樹脂を分離する方法に特に制限は無いが、ふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPAS樹脂表面に残留している不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法に特に制限は無いが、濾過装置上のPAS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPAS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPAS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
また、これら酸処理や熱水処理時のPAS末端基の分解は好ましくないので、酸処理や熱水処理を不活性雰囲気下とすることが望ましい。不活性雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどがあげられるが、経済性の観点から窒素雰囲気下が好ましい。
本発明では酸処理する工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよく、用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はない。例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノンなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルコール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPAS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPAS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
これら酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄は、これらを適宜組み合わせて行うことも可能である。
[加熱処理前のPAS樹脂]
本発明ではクロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるPAS樹脂を加熱処理することが必要であり、上述の通りフラッシュ法で回収したものが好ましい。クロロホルム抽出率の好ましい範囲は1.0重量%以上6.0重量%未満であり、より好ましくは2.0重量%以上5重量%未満である。特に好ましくは、3重量%以上5重量%未満である。本範囲であれば生産性の高いフラッシュ法で製造でき、なおかつ非酸化性雰囲気下での加熱処理により高品質なPAS樹脂を製造することができるが、クロロホルム抽出率が10重量%以上であると、分子量が低すぎるためフラッシュ性が不良であると共に非酸化性雰囲気下で加熱処理を行っても高品質なPAS樹脂を製造することができない。また、クロロホルム抽出率が1.0重量%未満のPAS樹脂を得るには溶剤での洗浄が必要となるため、高い生産性が望めない。
本発明ではクロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるPAS樹脂を加熱処理することが必要であり、上述の通りフラッシュ法で回収したものが好ましい。クロロホルム抽出率の好ましい範囲は1.0重量%以上6.0重量%未満であり、より好ましくは2.0重量%以上5重量%未満である。特に好ましくは、3重量%以上5重量%未満である。本範囲であれば生産性の高いフラッシュ法で製造でき、なおかつ非酸化性雰囲気下での加熱処理により高品質なPAS樹脂を製造することができるが、クロロホルム抽出率が10重量%以上であると、分子量が低すぎるためフラッシュ性が不良であると共に非酸化性雰囲気下で加熱処理を行っても高品質なPAS樹脂を製造することができない。また、クロロホルム抽出率が1.0重量%未満のPAS樹脂を得るには溶剤での洗浄が必要となるため、高い生産性が望めない。
[非酸化性雰囲気下での加熱処理]
本発明は、クロロホルム抽出率が1.0重量%以上10重量%未満のPAS樹脂を、非酸化性雰囲気下において、PAS樹脂の融点を超える温度範囲で15分以上5時間未満加熱処理することにより、溶融加工時の揮発性成分の発生量を減少させ、低分子量のオリゴマー分と塩素含有量を低減させた高品質のPAS樹脂が得られることを見いだしたものである。ここでいう高品質とは、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す特徴をもつことをいう。
本発明は、クロロホルム抽出率が1.0重量%以上10重量%未満のPAS樹脂を、非酸化性雰囲気下において、PAS樹脂の融点を超える温度範囲で15分以上5時間未満加熱処理することにより、溶融加工時の揮発性成分の発生量を減少させ、低分子量のオリゴマー分と塩素含有量を低減させた高品質のPAS樹脂が得られることを見いだしたものである。ここでいう高品質とは、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す特徴をもつことをいう。
非酸化性雰囲気下として、窒素、アルゴン、ヘリウムといった不活性気体流入下での加熱処理であってもよいが、減圧条件にて加熱処理を行うことがより好ましく、塩素含有量、オリゴマー量、揮発性成分量の大幅な低減の観点からすると、その圧力範囲は絶対圧1〜500hPaが好ましく、3〜50hPaが好ましく、3〜10hPaがいっそう好ましい。酸素などの酸化性雰囲気下、PASの融点以上の温度範囲で加熱処理すると、急激な酸化架橋反応が進行し、PAS樹脂が著しく増粘することで成形が困難となるばかりでなく、酸化架橋と同時にPAS樹脂の分解や炭化が進行し、樹脂としての機能を失う傾向にある。
加熱処理温度は、PAS樹脂の融点を超える温度で行う。上限は、PAS樹脂の融点+100℃の温度範囲であることが好ましい。ここでのPAS樹脂の融点は、パーキンエルマー社製DSC−7を用い、a)室温〜340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、b)340℃で1分保持、c)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)、d)100℃で1分保持、e)100℃から340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、f)340℃で1分保持、g)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)を連続で行い、前記e)で観測される融点ピークの頂点温度を融点とした。通常PAS樹脂のホモポリマーは融点が280℃前後であり、加熱処理温度はより好ましくは300℃〜360℃であり、320℃〜340℃が特に好ましい。融点+100℃を上回る温度で加熱処理を行うと、PAS樹脂の熱分解が進行し、その機械的特性が低下するため好ましくない一方、融点未満ではオリゴマー分や揮発性成分の除去の進行が遅くなるため、より長い加熱処理時間が必要となり好ましくない。
加熱処理時間は15分以上5時間未満が必要であり、30分以上4.5時間未満がより好ましく、1時間以上4時間未満がさらに好ましい。処理時間が15分未満であると、十分な加熱処理が行われず、揮発性成分が多くなるため好ましくない。処理時間が5時間を超えると除去されるオリゴマー分や揮発性成分量が多くなるものの、経済面や生産性の観点から好ましくない。
本発明の融点を超える範囲での加熱処理装置としては、非酸化性雰囲気を保つことができ、かつ加熱可能であれば特に限定されるものではなく、単軸、2軸の押出機などで連続的に溶融混練する方法や、バッチ式の反応槽で溶融撹拌する方法、またはバッチ式の反応槽を複数個連結して連続的に加熱する方法などが挙げられる。本発明では15分以上5時間未満の加熱処理が必要であり、一般的な押出機では加熱時間が数分程度であることを考慮すると、押出機で該加熱時間を確保するには樹脂供給量を非常に少なくするか、長い溶融加熱ゾーンを有する押出機を使用する必要があり、生産性としては好ましくない。よって、バッチ式の反応槽または該反応槽を数個連結して溶融加熱する方法が好ましい。減圧条件にて加熱処理を行う場合は、減圧ラインおよびポリマーから除去された低分子量成分をトラップする装置を減圧ライン上に備える必要があり、減圧ラインは低分子量成分の閉塞防止を目的に、ポリマー加熱処理温度と同温程度に加熱しておくことが好ましい。
本願発明である低塩素含有量、低オリゴマー量、低揮発性成分量を兼ね備えた高品質ポリアリーレンスルフィドが得られれば加熱処理時の混練・撹拌状態は限定されるものではなく、静置下で行っても良い。ただ、より効率的に高品質ポリアリーレンスルフィドを得るには撹拌下にて行うことが好ましく、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、リボン翼、プロペラ翼、門形翼、スクリュー翼などの撹拌翼を具備した撹拌装置にて撹拌しポリマーの表面更新することが好ましい。スタティックミキサーなど、撹拌翼を有さないがポリマーの表面更新可能な装置にて加熱処理することも可能である。また、効率的な撹拌を目的に、ポリマーとの接触面にバッフルを備えた加熱処理装置を用いることも好ましい態様である。撹拌時の速度は20rpm以上が好ましく50rpm以上がより好ましい。撹拌が可能な限り撹拌速度の上限に制限はないが、撹拌機への過剰な負荷を考慮すると1000rpm以下が好ましい。
本発明では加熱処理を行う前に、酸素濃度2%以上の酸化性雰囲気下において160〜270℃での熱処理を経ることなく、非酸化性雰囲気下において加熱処理を行うことが好ましい。酸化性雰囲気の環境下で加熱処理を経ることにより、揮発性成分として除去される低分子がPAS分子鎖に取り込まれ、結果としてこの低分子に含まれる塩素基がPAS分子内に残留するためである。
本発明では、非酸化性雰囲気下において加熱処理を行うことにより、加熱処理前の塩素含有量から加熱処理後の塩素含有量を差し引いた塩素低減量が500ppm以上であることが好ましく、より好ましくは800ppm以上であり、1200ppm以上が特に好ましい。低減される塩素量は多い方がより好ましいが、そのために長時間の加熱処理が必要となる場合は経済的な観点から好ましくない。非酸化性雰囲気下における加熱処理により低減される塩素含有量の上限は通常4000ppmである。
かくして本発明の製造方法により得られたPAS樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形品、フィルム、シート、繊維などの各種成形品に適用することが可能であるが、特に射出成形用途に好適に適用される。
本発明の製造方法により得られるPAS樹脂には本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を添加することも可能である。例えば、柔軟性の高い熱可塑性樹脂を少量添加することにより柔軟性及び耐衝撃性を更に改良することが可能である。但し、この量が組成物全体の50重量%を超えるとPAS樹脂本来の特徴が損なわれるため好ましくなく、特に30重量%以下の添加が好ましく使用される。
また、改質を目的として、結晶核剤、金属石鹸、離型剤、着色防止剤、そのほか、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。
また、本発明の製造方法により得られるPAS樹脂には機械的強度、靱性などの向上を目的に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランを添加してもよい。かかるシラン化合物の好適な添加量は、PAS樹脂100重量部に対し、0.05〜5重量部の範囲が選択される。
本発明の製造方法により得られるPAS樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して使用することも可能である。かかる充填材の具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、カーボンナノチューブ、フラーレン、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、これら充填剤を2種類以上併用することも可能である。
かかる無機フィラーの配合量は通常、PAS樹脂100重量部に対し、0.0001〜500重量部の範囲が好ましく、0.001〜400重量部の範囲がより好ましい。無機フィラーの含有量は、強度と剛性、その他特性のバランスから用途により適宜変えることが可能である。
混練機は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給してPPS樹脂の融解ピーク温度+5〜60℃の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。
このようにして得られる本発明のPAS樹脂(組成物)は特に射出成形用途に適しており、電気電子用途、光学用途、水廻り用途、自動車・航空機用途、その他の各種用途が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により行った。
[クロロホルム抽出量]
クロロホルム抽出量は、ポリマー5gを90℃のクロロホルム120gで3時間ソックスレー抽出し、この抽出液からクロロホルムを留去した際に得られる成分の重量をポリマーに対する割合で表した。
クロロホルム抽出量は、ポリマー5gを90℃のクロロホルム120gで3時間ソックスレー抽出し、この抽出液からクロロホルムを留去した際に得られる成分の重量をポリマーに対する割合で表した。
[塩素量]
三菱化学アナリテック社製自動燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、ポリマー中の塩素含有量の測定を行った。
三菱化学アナリテック社製自動燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、ポリマー中の塩素含有量の測定を行った。
[灰分率]
予め550℃で空焼きしたルツボにサンプル5gを精秤し、550℃の電気炉に24時間入れて灰化させた。ルツボに残った灰分量を精秤し、灰化前のサンプル量との比率を灰分率(重量%)とした。
予め550℃で空焼きしたルツボにサンプル5gを精秤し、550℃の電気炉に24時間入れて灰化させた。ルツボに残った灰分量を精秤し、灰化前のサンプル量との比率を灰分率(重量%)とした。
[揮発性成分量]
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
[融点測定]
融点測定は、パーキンエルマー社製DSC−7を用い、a)室温〜340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、b)340℃で1分保持、c)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)、d)100℃で1分保持、e)100℃から340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、f)340℃で1分保持、g)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)を連続で行い、前記e)で観測される融点ピークの頂点温度を融点とした。測定試料は約10mgであり、窒素雰囲気下で測定を行った。
融点測定は、パーキンエルマー社製DSC−7を用い、a)室温〜340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、b)340℃で1分保持、c)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)、d)100℃で1分保持、e)100℃から340℃に昇温(昇温速度:20℃/分)、f)340℃で1分保持、g)340℃から100℃に冷却(降温速度:20℃/分)を連続で行い、前記e)で観測される融点ピークの頂点温度を融点とした。測定試料は約10mgであり、窒素雰囲気下で測定を行った。
[成形性]
PPS樹脂を100重量部、ガラス繊維(日本電気硝子社製ECS03TN 103/P)67重量部をドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が320℃となるように温度設定し、溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。120℃で一晩乾燥したペレットを、ファナックロボショットα−30i射出成形機(ファナック社製)に供し、射出速度300mm/秒、射出圧力40MPa、シリンダー設定温度300℃、金型温度150℃、射出m時間1秒、冷却時間20秒、スクリュー回転数100rpm、背圧1MPa、サイドバック10mの条件で、棒状成形品(幅12.7mm、厚み0.5mm、サイドゲート0.5mm×5.0mm)の連続成形を行い、成形品の長さを棒流動長として測定した。最初の20ショットを捨てた後、1000ショットの棒流動長の最大と最小の差を求め、1000ショットの平均棒流動長に対して最大と最小の差が5%以下のものを成形安定性が「優れる(A)」、5%〜10%のものを「良好(B)」、10%を超えるものを「劣る(C)」とした。
PPS樹脂を100重量部、ガラス繊維(日本電気硝子社製ECS03TN 103/P)67重量部をドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が320℃となるように温度設定し、溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。120℃で一晩乾燥したペレットを、ファナックロボショットα−30i射出成形機(ファナック社製)に供し、射出速度300mm/秒、射出圧力40MPa、シリンダー設定温度300℃、金型温度150℃、射出m時間1秒、冷却時間20秒、スクリュー回転数100rpm、背圧1MPa、サイドバック10mの条件で、棒状成形品(幅12.7mm、厚み0.5mm、サイドゲート0.5mm×5.0mm)の連続成形を行い、成形品の長さを棒流動長として測定した。最初の20ショットを捨てた後、1000ショットの棒流動長の最大と最小の差を求め、1000ショットの平均棒流動長に対して最大と最小の差が5%以下のものを成形安定性が「優れる(A)」、5%〜10%のものを「良好(B)」、10%を超えるものを「劣る(C)」とした。
また、上記成形後、用いた金型のキャビティー先端(樹脂流動方向の先端)およびベント部に付着した成分を採取し、採取量が0〜10μgのものを「優れる(A)」、10〜20μgのものを「良好(B)」、20μgを超えるものを「劣る(C)」として金型付着量を評価した。
[参考例1]PPS−1の調製
撹拌機および底栓弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8261.5g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14572.0g(147.0モル)、酢酸ナトリウム1895.0g(23.1モル)、およびイオン交換水5420.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて除々に加熱し、水10500gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モルあたり0.023モルであった。
撹拌機および底栓弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8261.5g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14572.0g(147.0モル)、酢酸ナトリウム1895.0g(23.1モル)、およびイオン交換水5420.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて除々に加熱し、水10500gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モルあたり0.023モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10153.9g(69.1モル)、NMP5551.3g(56.1モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で70分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを解放し、窒素で加圧しながら内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水53リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ポアザイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してPPS−1のケーク18000g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。
得られたPPS樹脂のケーク18000gを、イオン交換水40リットル、および酢酸700gを撹拌付きオートクレーブに仕込み、内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温し、30分保持して酸処理を施した。酸処理時のpHは4であった。
オートクレーブ冷却後、内容物をポアザイズ10〜16μmのガラスフィルターでろ過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引ろ過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、酸処理を施したPPS−1の粉末を得た。得られたPPS−1の融点は279℃、加熱処理前のクロロホルム抽出量が3.7重量%で、塩素量は2800ppmであった。
[参考例2]PPS−2の調製
参考例1に対し、重合時に96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10405.2g(70.8モル)用いたこと以外は参考例1と同様にして重合を行い、PPS−2のケーク16800g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。続いて、酸処理時に酢酸を43g用いてpH7の環境下で酸処理を施したこと以外は参考例1と同様にして酸処理と乾燥を行い、PPS−2の粉末を得た。得られたPPS−2の融点は278℃、加熱処理前のクロロホルム抽出量が3.6重量%で、塩素量は2700ppmであった。
参考例1に対し、重合時に96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10405.2g(70.8モル)用いたこと以外は参考例1と同様にして重合を行い、PPS−2のケーク16800g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。続いて、酸処理時に酢酸を43g用いてpH7の環境下で酸処理を施したこと以外は参考例1と同様にして酸処理と乾燥を行い、PPS−2の粉末を得た。得られたPPS−2の融点は278℃、加熱処理前のクロロホルム抽出量が3.6重量%で、塩素量は2700ppmであった。
[参考例3]PPS−3の調製
酸処理時に酢酸を7g用いて酸処理を施したこと以外は参考例2と同様にして重合および酸処理を行い、PPS−3の粉末を得た。得られたPPS−3の融点は277℃、加熱処理前のクロロホルム抽出量が3.5重量%で、塩素量は2600ppmであった。
酸処理時に酢酸を7g用いて酸処理を施したこと以外は参考例2と同様にして重合および酸処理を行い、PPS−3の粉末を得た。得られたPPS−3の融点は277℃、加熱処理前のクロロホルム抽出量が3.5重量%で、塩素量は2600ppmであった。
[参考例4]PPS−4の調製
参考例2によって得られたPPS−2を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、200℃で1時間、酸素濃度21%(空気1.96リットル/分の空気雰囲気下)の条件にて熱酸化処理を行い、PPS−4を得た。得られたPPS−4の融点は278℃、クロロホルム抽出量が3.3重量%で、塩素量は2500ppmであった。
参考例2によって得られたPPS−2を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、200℃で1時間、酸素濃度21%(空気1.96リットル/分の空気雰囲気下)の条件にて熱酸化処理を行い、PPS−4を得た。得られたPPS−4の融点は278℃、クロロホルム抽出量が3.3重量%で、塩素量は2500ppmであった。
[実施例1]
パドル翼を具備した撹拌機および底に弁のついたオートクレーブにPPS−1を仕込み、真空ポンプを用いて徐々に系内を絶対圧6hPaまで減圧して非酸化性雰囲気下とし、撹拌速度100rpmにて340℃に昇温して0.5時間加熱処理を行った。所定時間の処理を終了後、オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を吐出させ、ストランドカッターでペレット化した。120℃で一晩乾燥を行い、凍結粉砕機クライオミル(レッチェ社製)を用いて得られたペレットの凍結粉砕を行った。粉砕して得られたPPSを用いて分析に供した。結果を表1に示す。
パドル翼を具備した撹拌機および底に弁のついたオートクレーブにPPS−1を仕込み、真空ポンプを用いて徐々に系内を絶対圧6hPaまで減圧して非酸化性雰囲気下とし、撹拌速度100rpmにて340℃に昇温して0.5時間加熱処理を行った。所定時間の処理を終了後、オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を吐出させ、ストランドカッターでペレット化した。120℃で一晩乾燥を行い、凍結粉砕機クライオミル(レッチェ社製)を用いて得られたペレットの凍結粉砕を行った。粉砕して得られたPPSを用いて分析に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
減圧加熱処理を1時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
減圧加熱処理を1時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
[実施例3]
減圧加熱処理を2時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
減圧加熱処理を2時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
[実施例4]
減圧加熱処理を320℃で1時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
減圧加熱処理を320℃で1時間行ったこと以外は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
[実施例5]
PPS−2を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
PPS−2を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
[実施例6]
PPS−2を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例3と同様にして加熱処理を行った。
PPS−2を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例3と同様にして加熱処理を行った。
[実施例7]
PPS−3を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
PPS−3を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
[実施例8]
熱酸化処理を行ったPPS−4を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
熱酸化処理を行ったPPS−4を用いて減圧加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
[実施例9]
減圧を行う代わりに窒素を流入させ続け、窒素雰囲気下にて加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
減圧を行う代わりに窒素を流入させ続け、窒素雰囲気下にて加熱処理を行ったこと以外は、実施例2と同様にして加熱処理を行った。
[実施例10]
PPS−2を用いて加熱処理を行ったこと以外は、実施例9と同様にして加熱処理を行った。
PPS−2を用いて加熱処理を行ったこと以外は、実施例9と同様にして加熱処理を行った。
[比較例1〜4]
PPS−1、PPS−2、PPS−3、PPS−4を非酸化性雰囲気下で加熱処理することなく、分析に供した。
PPS−1、PPS−2、PPS−3、PPS−4を非酸化性雰囲気下で加熱処理することなく、分析に供した。
[比較例5]
PPS−2を用い押出機にて減圧下で溶融混練を行った。日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、オリゴマーや揮発成分の揮散を効率よく行うため、ベント口をPPSの溶融部に設け、絶対圧6hPaの減圧下にて脱揮を行った。スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が340℃となるように温度を設定して5分間溶融混練を行い、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを120℃で一晩乾燥させ、分析に供した。
PPS−2を用い押出機にて減圧下で溶融混練を行った。日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、オリゴマーや揮発成分の揮散を効率よく行うため、ベント口をPPSの溶融部に設け、絶対圧6hPaの減圧下にて脱揮を行った。スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が340℃となるように温度を設定して5分間溶融混練を行い、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを120℃で一晩乾燥させ、分析に供した。
[比較例6]
減圧加熱処理をPPS−2の融点以下の250℃において1時間行ったこと以外は、実施例5と同様にして加熱処理を行った。
減圧加熱処理をPPS−2の融点以下の250℃において1時間行ったこと以外は、実施例5と同様にして加熱処理を行った。
[比較例7]
PPS−1を用い、減圧を行わずに空気流入下において340℃で1時間、加熱処理を行った。
PPS−1を用い、減圧を行わずに空気流入下において340℃で1時間、加熱処理を行った。
得られたPPS樹脂のガス発生量、灰分率、塩素量、オリゴマー量の測定結果を表2に示す。
実施例1〜10の結果から分かるように、非酸化性雰囲気下にてPPS樹脂の融点以上の温度下にて15分以上5時間未満加熱処理を施すことにより、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えた高品質なPPS樹脂を得られることが分かる。
また、得られたPPS樹脂の成形性についての評価結果も表1に示す。残留するガス成分、灰分量、オリゴマー量が低減されたPPS樹脂を用いることで初めて良好な成形性が得られることが分かる。
一方、PPS樹脂に特定の条件で熱処理を施さなかった比較例1〜3は、塩素含有量が多く環境負荷が大きいPPS樹脂であるとともに、揮発性成分量やオリゴマー量が多いため、成形安定性が悪く金型付着量も多い。
比較例5は押出機での減圧加熱処理であり加熱処理時間が短いため、塩素含有量が多く、また揮発性成分量やオリゴマーが多いため、成形安定性が悪く金型付着量も多い。
比較例6はPPS樹脂の融点以下での減圧加熱処理であるため塩素含有量が多く、また揮発性成分量やオリゴマーが多いため、成形安定性が悪く金型付着量も多い。
比較例7は、非酸化性雰囲気下でなく、酸化性雰囲気下による加熱処理であるため著しく溶融粘度が増加したPPS樹脂となり、成形できなかった。
比較例1〜7ではこれらの問題点を有しているため、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質なPPS樹脂は得られないことが分かる。
本発明によれば、簡便な方法で、低塩素含有量、低オリゴマー量、低灰分量を兼ね備え、さらに溶融加工時における揮発性成分の発生を抑えて良好な成形性を示す高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
Claims (6)
- クロロホルム抽出量が1.0重量%以上10重量%未満であるポリアリーレンスルフィド樹脂を、非酸化性雰囲気下において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を超える温度範囲で、15分以上5時間未満加熱処理することを特徴とする、高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂が、120℃以上200℃未満でpH2〜8の水溶液に浸漬する処理をしたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 酸素濃度2体積%以上の雰囲気下において160〜270℃での熱処理を経ることなく、非酸化性雰囲気下での加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1または2記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 加熱処理工程を減圧条件下において行うことを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 減圧条件が絶対圧500hPa以下であることを特徴とする請求項4記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂がフラッシュ法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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JP2013061786A JP2014028917A (ja) | 2012-06-27 | 2013-03-25 | 高品質ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
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Cited By (2)
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CN105254889A (zh) * | 2015-11-11 | 2016-01-20 | 成都惠恩精细化工有限责任公司 | 一种高纯度线性聚芳硫醚及其合成方法和应用 |
WO2016133738A1 (en) * | 2015-02-19 | 2016-08-25 | Ticona Llc | Method for forming a low viscosity polyarylene sulfide |
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2013
- 2013-03-25 JP JP2013061786A patent/JP2014028917A/ja active Pending
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CN105254889A (zh) * | 2015-11-11 | 2016-01-20 | 成都惠恩精细化工有限责任公司 | 一种高纯度线性聚芳硫醚及其合成方法和应用 |
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