JP7206859B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸素雰囲気下で加熱して架橋させる工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法において、オゾン濃度が0ppmより大きく、1000ppm以下の雰囲気でポリアリーレンスルフィド樹脂を架橋反応させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
(2)前記架橋反応工程における樹脂温度が150℃以上270℃未満の温度範囲にある1項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
本発明におけるPASとは、式、-(Ar-S)-の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては、下記の式(A)~式(K)で表される構造であるが、中でも式(A)で表される構造であることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロ-p-キシレン、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp-ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p-ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンなどのN-アルキルピロリドン類、N-メチル-ε-カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
本発明においては、生成PAS樹脂の末端に特定の構造を導入するため、あるいは重合反応や分子量を調節するためなどに、モノハロゲン化合物などの分子量調節剤(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。また、PAS樹脂に分岐または架橋重合体を形成させるために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの分岐・架橋剤を併用することも可能である。ポリハロゲン化合物としては通常に用いられる化合物を用いることができるが、中でもポリハロゲン化芳香族化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,4,6-トリクロロナフタレン等を挙げることができ、中でも1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼンが好ましい。前記、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物としては、例えばアミノ機、メルカプト基及びヒドロキシル基などの官能基を有するハロゲン化芳香族化合物を挙げることができる。具体例としては2,5-ジクロロアニリン、2,4-ジクロロアニリン、2,3-ジクロロアニリン、2,4,6-トリクロロアニリン、2,2’-ジアミノ-4,4’-ジクロロジフェニルエーテル、2,4’-ジアミノ-2’、4-ジクロロジフェニルエーテルなどを挙げることができる。前記、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物としては、例えば2,4-ジニトロクロロベンゼン、2,5-ジクロロニトロベンゼン、2-ニトロ-4,4’-ジクロロジフェニルエーテル、3,3’-ジニトロ-4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、2,5-ジクロロ-2-ニトロピリジン、2-クロロ-3,5-ジニトロピリジンなどを挙げることができる。
本発明においては、比較的高重合度のPAS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPAS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることができる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述の有機カルボン酸金属塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
PAS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPAS樹脂を製造する。
本発明でのPAS樹脂の製造においては、重合終了後に、重合工程で得られたPAS成分および溶媒などを含む重合反応物からPASを回収する。回収方法としては、例えばフラッシュ法、すなわち重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、0.8MPa以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ溶媒回収と同時に重合体を粉粒状にして回収する方法や、クエンチ法、すなわち重合反応物を高温高圧の状態から徐々に冷却して反応系内のPAS成分を析出させ、かつ70℃以上、好ましくは100℃以上の状態で濾別することでPAS成分を含む固体を回収する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記回収工程から得られたPAS樹脂を、揮発性成分を除去するために、あるいは架橋高分子量化して好ましい溶融粘度に調整するために、酸素含有雰囲気下、150℃以上270℃未満の温度で架橋反応を行う必要がある。
測定にはメルトインデックサ(東洋精機社製)を用い、穴径2.096mm、長さ8.00mmのオリフィスを用いて、温度315.6℃、荷重5000gの条件で測定を行った。サンプル約7gを装置に投入し、1分経過後、ピストンを挿入し、更に4分経過の後、ピストンに荷重を載せ、測定を行った。
パーキンエルマー社製示差走査熱量測定装置(DSC)8000を用い、サンプル量約5mg、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、
(1)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(2)50℃まで降温
した際、(1)にあらわれる融解ピーク温度(融点(Tm))を測定した。
架橋反応工程を実施する反応系の出口にオゾン濃度計を設置し、重量分率にて測定を行った。
架橋反応工程を実施する反応系の出口に酸素濃度計を設置し、体積分率にて測定を行った。
[前工程]
撹拌機のついた1リットルオートクレーブに、48%水硫化ナトリウム116.8g(1.00モル)、48%水酸化ナトリウム85.5g(1.02モル)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)211.1g(2.13モル)、およびイオン交換水100gを仕込み、240rpmで撹拌しながら常圧で窒素を通じながら225℃まで約2時間かけて徐々に加熱し、水205gおよびNMP2gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。硫化水素の飛散量はアルカリ金属硫化物1モル当たり0.01モルであった。
次に、p-ジクロロベンゼン(p-DCB)148.1g(1.01モル)、NMP74.3g(0.75モル)を加えた。続いて反応容器を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、200℃から276℃まで平均昇温速度0.7℃/分の速度で昇温した。次いで、276℃で63分保持した。反応を終了し、室温近傍まで急冷して内容物を取り出した。重合反応に要した時間は178分であった。
得られた固形物を約1Lのイオン交換水で希釈しスラリーとして、70℃で30分撹拌、洗浄後、ガラスフィルター(ISO4793呼称P16、ポアサイズ10-16μ m)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を前記同様に、約1Lのイオン交換水で洗浄、濾別する操作を3回繰り返した。
[架橋反応工程]
参考例で得たPAS粉末50gを表1に示す条件で架橋反応を行った。酸素1L/分、窒素3.8L/分の混合気体を撹拌機付き加熱装置に導入し、酸素濃度20.9体積%とした。オゾン発生器(ED-OG-R6)に酸素を供給し、反応系のオゾン濃度が400ppmとなるように出力調整した。得られたPASのメルトフローレイトは473g/10分、Tmは278℃であった。
架橋反応工程におけるオゾン濃度を800ppmとした以外は実施例1と同様に架橋反応を行った。得られたPASのメルトフローレイトは380g/10分、Tmは278℃であった。
架橋反応工程におけるオゾン濃度0ppmとした以外は実施例1と同様に架橋反応を行った。得られたPASのメルトフローレイトは1192g/10分、Tmは280℃であった。
架橋反応工程におけるオゾン濃度1400ppmとした以外は実施例1と同様に架橋反応を行った。得られたPASのメルトフローレイトは11g/10分、Tmは272℃であった。
架橋反応工程におけるオゾン濃度3200ppmとした以外は実施例1と同様に架橋反応を行った。得られたPASのメルトフローレイトは1g/10分、Tmは260℃であった。
Claims (2)
- ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸素雰囲気下で加熱して架橋させる工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法において、オゾン濃度が0ppmより大きく、1000ppm以下の雰囲気下でポリアリーレンスルフィド樹脂を架橋反応させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 前記架橋反応工程における樹脂温度が150℃以上270℃未満の温度範囲にある請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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