JP3235033B2 - 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造方法Info
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Description
ンスルフィドの製造方法に関する。さらに詳しく言う
と、シート、フィルム、繊維等の成形に適し、また射出
成形においてバリ発生が少なくて、ゲル形成性を有する
のに充分な程度に高分子量であるポリアリーレンスルフ
ィドを製造する方法に関する。
ェニレンスルフィド等のポリアリーレンスルフィドは、
一部熱硬化性を有する熱可塑性樹脂であり、優れた耐薬
品性、広い温度範囲における良好な機械的性質、耐熱剛
性などの、エンジニアリングプラスチックとしての優れ
た性質を有している。
リーレンスルフィドの製造方法について、近年、加熱処
理によって高粘度化を達成するのではなく、重合処理だ
けで十分に高分子量にすることができて、しかも着色の
ないポリアリーレンスルフィドを製造することのできる
方法が要求されている。
されている。例えば特開昭63−46228号明細書に
は、極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロゲン芳香
族化合物とを反応させて、ポリアリーレンスルフィドを
得る方法において、溶融粘度の低いプレポリマーを生成
させる前段重合工程と、このプレポリマーをさらに高分
子化させる後段重合工程とからなり、前段重合工程を反
応系中の有機溶媒1kg当たりのアリーレン基0.5〜
3.5モルおよび水0.5〜5モルが共存する状態で、
この仕込みジハロゲン芳香族化合物の転化率が50〜9
8モル%でかつ生成プレポリマーの溶融粘度が5〜30
0ポイズになるまで反応させることによって行ない、次
いで該生成プレポリマーを反応系から分離することな
く、該反応系中に水を追加して反応系中の該有機溶媒1
kg当たり水5.5〜15モルが共存する状態で、後段
重合工程を行ない、その後段重合工程においては、反応
系を257〜290℃の範囲の温度に少なくとも10分
間撹拌しながら保持し、次いで、反応系の温度を降下さ
せて、反応系を約220〜250℃の範囲の温度に少な
くとも2時間撹拌しながら保持する重合処理方法が開示
されている。そして、このような重合方法により、ハン
ドリング性にすぐれた高分子量のポリアリーレンスルフ
ィドを製造することができるとされている。
細書には、溶融粘度が10〜5×104 ポイズの未架橋
ポリアリーレンチオエ−テルと溶融粘度が5×105 〜
1×109 ポイズの架橋ポリアリーレンチオエ−テルと
繊維状および/もしくは無機質充填材とを配合した、バ
リ特性の改良されたポリアリーレンスルフィドが開示さ
れている。
8号の方法は、プレポリマーの製造を含めると重合工程
が少なくとも3段階であり、かつ長時間を要する。また
得られるポリアリーレンスルフィドは比較的高分子量で
あるがゲル形成性を有するほど高分子量化したものは得
られていない。
で得られるポリアリーレンスルフィドは、20%程度顆
粒が含まれる例があるが、大部分は塊状であって取扱い
上望ましい状態とはいえない。
1−299826号公報に記載の方法が提案されてい
る。この方法は、180〜235℃未満で特定量の水分
の存在下に分枝剤を用いて、ハロゲン化芳香族化合物の
転化率を50〜98%とする工程と、特定量の水分の存
在下に生成するポリマ−の溶融粘度が特定範囲になるよ
うに、特定条件で昇温する工程および245〜290℃
で反応を継続する工程との三工程からなる顆粒状のポリ
アリーレンスルフィド架橋重合体の製造方法である。
ら複雑なうえに第1工程の反応温度が低いこともあって
重合時間が非常に長いという問題点がある。
特にポリフェニレンスルフィドの製造には、従来、N−
メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性有機溶媒中で
p−ジクロロベンゼン等のジハロゲン芳香族化合物と水
硫化ナトリウム等のナトリウム塩とを反応させるという
方法もある。しかし、この場合、副生する塩化ナトリウ
ムがN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に不溶である
から樹脂中に取り込まれてしまい、それを洗浄によって
取り除くことは容易でなかった。
を用いて重合を行い、塩化リチウムを副生させると、塩
化リチウムはN−メチル−2−ピロリドン等の多くの非
プロトン性有機溶媒(重合用溶媒)に可溶であるので、
樹脂中のリチウム濃度を比較的容易に低減することが可
能である。
ずっと高価であるので、ポリマーの製造コストの低減の
ためには、副生したリチウム化合物を回収再利用するこ
とが必要となる。
ェニレンスルフィド等をその一種とするポリアリーレン
スルフィドの製造方法として、水酸化リチウムとN−メ
チル−2−ピロリドンとの反応によって生じたN−メチ
ルアミノ酪酸リチウムとp−ジクロロベンゼン等のジハ
ロゲン芳香族化合物と硫化水素とからそれらの樹脂を製
造する方法が米国特許明細書第4,451,643号に
開示されている。
ウム塩に代えてリチウム塩であるN−メチルアミノ酪酸
リチウムを重合原料成分としてポリフェニレンスルフィ
ド等のポリマーを合成し、N−メチル−2−ピロリドン
溶媒に可溶な塩化リチウムを副生させているので、ポリ
マー中に取り込まれるアルカリ金属成分の量が、該溶媒
に不溶な塩化ナトリウムを副生させる方法に比べてずっ
と少ないという利点を有している。
原料成分として用いるN−メチルアミノ酪酸リチウムは
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)とN−メチル−2
−ピロリドンとの反応によって得られた反応混合物とし
て用いている。
−ピロリドンに難溶であるので、これらを混合するとス
ラリー状態になるので、移送や攪拌等の操作が溶液状の
場合に比べて容易ではないという問題もある。
は、水酸化リチウムを出発原料として用いているので、
ポリマー合成の際に副生した塩化リチウムを回収再利用
しようとすると、副生した塩化リチウムを何らかの方法
によって水酸化リチウムに戻す必要がある。この塩化リ
チウムを回収して水酸化リチウムに変える方法として、
前記明細書には、ポリマー合成後の反応混合物やポリマ
ーの水洗によって回収した塩化リチウム(水溶液)を炭
酸水素ナトリウムとの反応や電気分解により水酸化リチ
ウムにするという方法が記載されている。
塩化リチウムを水酸化リチウムに戻してポリマー合成に
再利用するという方法は、製造コスト上望ましい方法と
は言いがたい。
ている水酸化リチウムとN−メチル−2−ピロリドンと
からN−メチルアミノ酪酸リチウムを生成させるという
方法は、ポリフェニレンスルフィド等をその一種とする
ポリアリーレンスルフィドの製造方法として、回収塩化
リチウムを水酸化リチウムにまで戻してからリサイクル
するのでプロセス上極めて不利であるし、用いるN−メ
チルアミノ酪酸リチウムの純度が低い(たとえば、9
1.5%程度)ので、ポリマーからのリチウム成分の洗
浄除去操作も煩雑となるなど各種の問題点を有してい
る。しかもこの米国特許明細書に記載されているPAS
の製造方法では、得られるPASの分子量が、溶液粘度
で0.17程度であって、シート、フィルム、繊維等の
成形に好適な高分子量たとえば溶液粘度が0.20以上
のPASを製造することができないと言う問題点があ
る。
のであり、その目的とするところは、シート、フィル
ム、繊維等の成形に好適な高分子量のポリアリーレンス
ルフィドの簡便な製造方法を提供することにある。
ための請求項1に記載の発明は、非プロトン性有機極性
溶媒中で、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩と硫化水素
とジハロゲン芳香族化合物とを、ジハロゲン芳香族化合
物の反応率が80〜99モル%に達するまで予備重合
し、次いで本重合を行うことを特徴とする溶液粘度0.
2以上のポリアリーレンスルフィドの製造方法であり、
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の予備重
合の前および/または後に脱水することを特徴とする溶
液粘度0.2以上のポリアリーレンスルフィドの製造方
法であり、請求項3に記載の発明は、前記予備重合が1
80〜245℃の温度条件下で行われる前記請求項1ま
たは2に記載の溶液粘度0.2以上のポリアリーレンス
ルフィドの製造方法であり、請求項4に記載の発明は、
前記本重合が240〜280℃の温度条件下に行われる
前記請求項1〜3のいずれかに記載の溶液粘度0.2以
上のポリアリーレンスルフィドの製造方法であり、請求
項5に記載の発明は、前記N−メチルアミノ酪酸リチウ
ム塩が、非プロトン性有機溶媒中で、N−メチル−2−
ピロリドンと、リチウムを除くアルカリ金属の水酸化物
とを反応させて得られる反応混合物から水分を除去した
後に、塩化リチウムを反応させて副生するアルカリ金属
塩化物を除去して得られてなる前記請求項1〜4のいず
れかに記載の溶液粘度0.2以上のポリアリーレンスル
フィドの製造方法である。
水素については特に制限がない。
は、ポリアリーレンスルフィドの製造に用いられる公知
の化合物を好適例として挙げることができる。
ハロゲンベンゼン等のジハロゲンベンゼン類;2,3−
ジハロゲントルエン、2,5−ジハロゲントルエン、
2,6−ジハロゲントルエン、3,4−ジハロゲントル
エン、2,5−ジハロゲンキシレン、1−エチル−2,
5−ジハロゲンベンゼン、1,2,4,5−テトラメチ
ル−3,6−ジハロゲンベンゼン、1−ノルマルヘキシ
ル−2,5−ジハロゲンベンゼン、1−シクロヘキシル
−2,5−ジハロゲンベンゼンなどのアルキル置換ジハ
ロゲンベンゼン類またはシクロアルキル置換ジハロゲン
ベンゼン類;1−フェニル−2,5−ジハロゲンベンゼ
ン、1−ベンジル−2,5−ジハロゲンベンゼン、1−
p−トルイル−2,5−ジハロゲンベンゼン等のアリー
ル置換ジハロゲンベンゼン類;4,4’−ジハロビフェ
ニル等のジハロビフェニル類;1,4−ジハロナフタレ
ン、1,6−ジハロナフタレン、2,6−ジハロナフタ
レン等のジハロナフタレン類などが挙げられる。
2個のハロゲン元素は、それぞれフッ素、塩素、臭素ま
たはヨウ素であり、それらは同一であってもよいし、互
いに異なっていてもよい。
ベンゼン類であり、特に好ましいのはp−ジクロロベン
ゼンを80モル%以上含むものである。
は、たとえばアミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合
物、環式有機リン化合物等の非プロトン性有機溶媒を挙
げることができる。
とえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジメチル安
息香酸アミドなどを挙げることができる。
カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−エチ
ルカプロラクタム、N−イソプロピルカプロラクタム、
N−イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプロピル
カプロラクタム、N−ノルマルブチルカプロラクタム、
N−シクロヘキシルカプロラクタム、N−メチル−2−
ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプ
ロピル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリ
ドン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノ
ルマルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−
2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリ
ドン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−
メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N
−メチル−2−ピペリドン、N−イソプロピル−2−ピ
ペリドン、N−エチル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
ラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,
N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げることができ
る。
ば、1−メチル−1−オキソスルホラン、1−エチル−
1−オキソスルホラン、1−フェニル−1−オキソスル
ホラン、1−メチル−1−オキソホスホラン、1−ノル
マルプロピル−1−オキソホスホラン、1−フェニル−
1−オキソホスホランなどを挙げることができる。
よいし、二種以上を混合して用いてもよい。
−アルキルラクタムおよびN−アルキルピロリドンであ
り、特に好ましいのはN−メチル−2−ピロリドンであ
る。
ウム塩としては、特に制限がなく、高純度である限り市
販の製品を使用することができるのであるが、この出願
人が特願平4−183717号特許出願にて提案する製
造方法により製造されたN−メチルアミノ酪酸リチウム
塩が好ましい。
製造法 前記特許出願により提案されたN−メチルアミノ酪酸リ
チウム塩の製造方法をここに簡単に再録すると以下の通
りである。
で、N−メチル−2−ピロリドンと、リチウムを除くア
ルカリ金属の水酸化物とを反応させてN−メチルアミノ
酪酸の該アルカリ金属塩(すなわち、N−メチルアミノ
酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩)を合成する。
としては、必ずしも高純度であることを要せず、工業用
のものや溶媒用のものでもよく、市販品、独自の合成
品、回収品等の種々の純度あるいはグレードのものを使
用することができる。また、該N−メチル−2−ピロリ
ドンは、前記非プロトン性有機溶媒若しくはその溶媒成
分としても好適に使用される。
したのと同様の溶媒を使用することができる。
ム以外のアルカリ金属塩を合成する反応は、通常、後述
のように非リチウム系のアルカリ金属水酸化物を水溶液
として供給して行うのが好ましいので、その場合、該反
応は前記非プロトン性有機溶媒と水との混合溶媒系中で
実施される。
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビ
ジウム、水酸化セシウム、あるいはこれらの一種又は二
種以上の混合物を挙げることができる。これらの中で
も、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、
特に、水酸化ナトリウムが好ましい。なお、これら水酸
化ナトリウム等の非リチウム系のアルカリ金属水酸化物
は、純粋なものに限らず、通常の工業用のものでも好適
に使用することができる。
属水酸化物は、通常、水溶液として前記反応系に供給す
ることが好ましい。
ム以外のアルカリ金属塩を合成する際に好適に採用され
る条件について説明するが、該N−メチルアミノ酪酸の
リチウム以外のアルカリ金属塩の合成として、特に、N
−メチルアミノ酪酸ナトリウムの合成が好適に採用され
るので、このN−メチルアミノ酪酸ナトリウムの合成を
例に挙げてより具体的に説明する。なお、一般の非リチ
ウム系のアルカリ金属水酸化物を用いるN−メチルアミ
ノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩合成の場合に
は、使用原料をモル換算することによって同様に好適に
実施することができる。
ムの合成は、次の条件によって好適に実施することがで
きる。
反応は、反応原料として水酸化ナトリウム及びN−メチ
ル−2−ピロリドンを使用する。この反応は、前記した
ように、前記各種の非プロトン性有機溶媒中で行うこと
ができるが、通常、該非プロトン性有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドンを用いることが好ましい。そこ
で、非プロトン性有機溶媒としてN−メチル−2−ピロ
リドンを使用する場合、該N−メチルアミノ酪酸ナトリ
ウムの合成反応に供する水酸化ナトリウムと反応原料及
び非プロトン性有機溶媒として用いるN−メチル−2−
ピロリドンの割合は、該水酸化ナトリウム1モル当た
り、該N−メチル−2−ピロリドンを、通常、1.05
〜30モル、好ましくは、1.20〜5.0モルの範囲
に選定するのが好適である。非プロトン性有機溶媒とし
てN−メチル−2−ピロリドン以外の溶媒(N−メチル
−2−ピロリドンとの混合溶媒でもよい)を用いる場合
には、反応原料としてのN−メチル−2−ピロリドン
を、使用する水酸化ナトリウム1モル当たり、通常、少
なくとも、1.05モル以上用いることが好ましく、こ
の場合、反応原料(N−メチル−2−ピロリドン)と非
プロトン性有機溶媒の合計量が、使用水酸化ナトリウム
1モル当たり、通常、1.05〜30モル、好ましく
は、1.20〜5.0モルの範囲になるように選定する
のが好ましい。
溶液の状態で該反応に供することが好ましく、該水溶液
の水酸化ナトリウムの濃度としては、通常、5〜90重
量%、好ましくは、40〜50重量%の範囲に選定する
のが好適である。このような濃度の水酸化ナトリウム水
溶液を用いることによって、反応系をより均一に保持す
ることができ、所望の反応を効率よく行うことができ
る。
応温度で好適に行うことができる。また、この反応を好
適に行うための反応時間は、反応温度等の他の条件によ
って異なるが、通常、0.1〜10時間程度である。
ナトリウムの合成を好適に行うことができるが、この合
成工程において、水酸化ナトリウムをできるだけ完全に
N−メチルアミノ酪酸ナトリウムに転化することが望ま
しい。
ム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ
金属塩の合成で得られたN−メチルアミノ酪酸ナトリウ
ム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ
金属塩を含有する反応混合物から水分濃度を低減すべく
水分を除去する。この水分除去工程は、蒸留等の常法に
従って行うことができる。なお、その際、有機溶媒の一
部が除去されても構わない。合成したN−メチルアミノ
酪酸ナトリウム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以
外のアルカリ金属塩を一旦単離して、次の工程の原料と
して使用することもできるが、通常は、この水分を除去
した後の反応混合物をそのまま、あるいは必要に応じ
て、溶媒量を適宜に調節する程度で、次の反応工程に供
する方がプロセス上有利になる。
物における水分濃度が、通常、500wtppm以下に
なるように行うことが好ましい。ここで、該反応混合物
を、500wtppmを超えるような水分濃度が高い状
態で、次のN−メチルアミノ酪酸リチウム塩の合成工程
に供給すると、該N−メチルアミノ酪酸リチウム塩の合
成工程で副生する塩化ナトリウム等の副生アルカリ金属
塩化物を除去する際に、Na+ 等のイオンとなって水分
と共にN−メチルアミノ酪酸リチウム塩溶液中に流出し
やすくなるので、該副生アルカリ金属塩化物の十分な除
去が困難になる。
濃度を低減したN−メチルアミノ酪酸ナトリウム等のN
−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩の
溶液を塩化リチウムと接触させることにより、該N−メ
チルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩と塩化
リチウムとを反応させ、所望のN−メチルアミノ酪酸リ
チウムを合成する。その際、用いたN−メチルアミノ酪
酸ナトリウム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以外
のアルカリ金属塩のアルカリ金属成分(すなわち、リチ
ウム以外のアルカリ金属成分)の塩化物が副生するが、
これらの副生アルカリ金属塩化物を除去し、リチウム以
外のアルカリ金属成分が完全にあるいは十分に除去され
た所望のN−メチルアミノ酪酸リチウム塩の溶液を得
る。
成工程においては、反応原料として塩化リチウムを使用
する。この塩化リチウムとしては、もちろん市販品など
新たに入手したものを用いることができるが、N−メチ
ルアミノ酪酸リチウム塩、特に前記特許出願明細書に記
載された方法によって合成したN−メチルアミノ酪酸リ
チウム塩を原料として用いるポリフェニレンスルフィド
等のポリアリーレンスルフィドの製造工程から回収し塩
化リチウムをリサイクルして使用するのが好ましい。
反応系に供給することもできるが、通常は、前記非プロ
トン性極性有機溶媒、特に、N−メチル−2−ピロリド
ンに溶解した溶液として反応に供することが好ましい。
N−メチル−2−ピロリドンは、塩化リチウムに高い溶
解性を示すし、また、前工程のN−メチルアミノ酪酸ナ
トリウム(N−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアル
カリ金属塩)の合成の際の溶媒としても特に好適に使用
されるし、更には、ポリフェニレンスルフィド等のポリ
アリーレンスルフィドの重合用溶媒等としても特に好適
に用いられので、これらの工程を通してN−メチル−2
−ピロリドンを溶媒として用いるのが特に好ましいので
ある。
塩合成工程におけるN−メチルアミノ酪酸リチウム塩の
合成反応を行うに際して好適に採用される条件について
説明するが、特に前記N−メチルアミノ酪酸ナトリウム
の合成工程及び水分除去の工程によって得られたN−メ
チルアミノ酪酸ナトリウム含有溶液をこのN−メチルア
ミノ酪酸リチウム塩の合成工程に供給するというプロセ
スが特に好適に採用されるので、このN−メチルアミノ
酪酸ナトリウムを原料としてN−メチルアミノ酪酸リチ
ウム塩を合成する工程を例に挙げてより具体的に説明す
る。なお、一般に、N−メチルアミノ酪酸のリチウム以
外のアルカリ金属塩の合成工程を用い、N−メチルアミ
ノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩含有液を用いる
場合には、使用原料をモル換算することによって同様し
て好適に実施することができる。
塩の合成は、前記水分の除去を行ったN−メチルアミノ
酪酸ナトリウム含有液及び前記塩化リチウム溶液(N−
メチル−2−ピロリドン溶液、前記ポリフェニレンスル
フィド等のポリアリーレンスルフィドの製造工程の回収
溶液でもよい)を用いて、次の条件によって好適に実施
することができる。
トリウム含有液は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒
とする溶液が好ましく、また、そのN−メチルアミノ酪
酸ナトリウムの濃度としては、通常、5〜95重量%の
範囲にあるものが好適に使用される。該溶液の水分濃度
は、前記したとおり、500wtppmのものが好まし
い。
ウムと塩化リチウムの割合は、前者1モル当たり後者
を、通常、1〜5モル、好ましくは、1〜1.50モル
の範囲に選定するのが好適である。
成反応は、通常、100〜200℃の反応温度で好適に
行うことができる。また、この反応を好適に行うための
反応時間は、反応温度等の他の条件によって異なるが、
通常、0.1〜10時間程度である。
ナトリウムから所望のN−メチルアミノ酪酸リチウム塩
の合成を好適に行うことができる。
酪酸リチウム塩の合成工程で得られたN−メチルアミノ
酪酸リチウム塩及び副生アルカリ金属塩化物を含有する
反応混合物から該副生アルカリ金属塩化物を分離除去す
るのが好ましい。なお。前記N−メチルアミノ酪酸ナト
リウムを用いるN−メチルアミノ酪酸リチウム塩の合成
工程の場合には、該副生アルカリ金属塩化物として塩化
ナトリウムが副生するので、これを分離除去する。
塩化物の分離除去は、通常、該塩化物の結晶を析出さ
せ、これを、たとえば、ろ過等の通常の固液分離法によ
って好適に行うことができる。塩化ナトリウム等の塩化
物の析出は、通常、80〜200℃の範囲の温度で行う
ことが好ましい。この析出の際の温度が、80℃未満で
あると、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩の溶解度が小
さくなり、効率よく分離することができないなどの支障
を生じることがあり、一方、200℃より高い温度で
は、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩の分解などの問題
が生じやすい。
リ金属塩化物の析出に先駆けて、適宜に溶媒量をへらし
て濃縮を行ってもよい。
物等のリチウム以外のアルカリ金属成分が著しく低減さ
れた高純度のN−メチルアミノ酪酸リチウムを含有する
溶液(通常、N−メチル−2−ピロリドン溶液)を容易
に得ることができる。実際、こうして得られたN−メチ
ルアミノ酪酸リチウム塩溶液中におけるナトリウムイオ
ン(一般には、リチウム以外のアルカリ金属イオン)の
濃度を、たとえば、1000ppm程度若しくはそれ以
下にすることができる。
チウム塩溶液から、適宜に、溶媒を除去し、また、必要
に応じて、残留する塩化リチウムを除去することによっ
て高純度のN−メチルアミノ酪酸リチウムを結晶等とし
て取得することができるが、このN−メチルアミノ酪酸
リチウム溶液は、そのまま、あるいは溶液濃度を若干調
節するだけで、前記ポリフェニレンスルフィド等のポリ
アリーレンスルフィドの重合用原料液として好適に使用
することができる。
香族化合物、1分子中に3個以上のハロゲン原子を有す
るポリハロゲン芳香族化合物、およびハロゲン芳香族ニ
トロ化合物などの分岐剤を適当に選択して反応系に添加
し、これを使用することもできる。
しては、たとえばアミノ基、チオール基、ヒドロキシル
基などの活性水素をもつ官能基を有するハロゲン芳香族
化合物を挙げることができ、さらに具体的には、2,6
−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、2,
4−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン等の
ジハロアニリン類;2,3,4−トリクロロアニリン、
2,3,5−トリクロロアニリン、2,4,6−トリク
ロロアニリン、3,4,5−トリクロロアニリン等のト
リハロアニリン類;2,2’−ジアミノ−4,4’−ジ
クロロジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノ−
2’,4−ジクロロジフェニルエーテル等のジハロアミ
ノジフェニルエーテル類およびこれらの混合物において
アミノ基がチオール基やヒドロキシル基に置き換えられ
た化合物などが挙げられる。
族化合物中の芳香族環を形成する炭素原子に結合した水
素原子が他の不活性基たとえばアルキル基などの炭化水
素基に置換している活性水素含有ハロゲン芳香族化合物
も使用することができる。
化合物の中でも、好ましいのは活性水素含有ジハロゲン
芳香族化合物であり、特に好ましいのはジクロロアニリ
ンである。
を有するポリハロゲン芳香族化合物としては、たとえば
1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリク
ロロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等が
挙げられる。
は、たとえば2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,5
−ジクロロニトロベンゼン等のモノまたはジハロニトロ
ベンゼン類;2−ニトロ−4,4’−ジクロロジフェニ
ルエーテル等のジハロニトロジフェニルエーテル類;
3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルス
ルホン等のジハロニトロジフェニルスルホン類;2,5
−ジクロロ−3−ニトロピリジン、2−クロロ−3,5
−ジニトロピリジン等のモノまたはジハロニトロピリジ
ン類、あるいは各種ジハロニトロナフタレン類などが挙
げられる。
物、ポリハロゲン芳香族化合物、ハロゲン芳香族ニトロ
化合物などを使用することによって、生成する重合体の
分岐度を増加させたり、分子量をさらに増加させたり、
溶融流動性の低下したゲル形成性重合体を生成したりし
て、この発明の方法により生成する重合体の諸特性をさ
らに改善することができる。
は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
用割合(モル比:N−メチルアミノ酪酸リチウム塩/硫
化水素)は、通常1.90〜4.00、特に1.95〜
3.00である。硫化水素に対するN−メチルアミノ酪
酸リチウム塩の使用割合が前記範囲内にあると、重合反
応が一層円滑に進行する。
の使用割合(モル比:硫化水素/ジハロゲン芳香族化合
物)は、通常0.90〜1.30、特に0.95〜1.
25である。ジハロゲン芳香族化合物に対する硫化水素
の使用割合が前記範囲にあると、重合反応が一層円滑に
進行する。
素の使用割合(モル比:硫化水素/非プロトン性極性有
機溶媒)は、通常0.05〜0.30、特に0.05〜
0.25である。なお、この非プロトン性極性有機溶媒
の量は、仕込んだ非プロトン性極性有機溶媒の量とN−
メチアルアミノ酪酸リチウム塩と硫化水素との反応によ
り生成した非プロトン性極性有機溶媒の量との合計量で
ある。非プロトン性極性有機溶媒に対する硫化水素の使
用割合が前記範囲内にあると、重合反応が円滑に進行
し、また、連続重合に適したものとなる。
割合は、前記硫化水素1モルに対し、通常、0.000
5〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.02モ
ルである。
で、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩と硫化水素とジハ
ロゲン芳香族化合物とを、好ましくは分岐剤も存在させ
て、重縮合することにより、ポリアリーレンスルフィド
を製造する。工業的な工程という観点から述べると、こ
の発明の方法では、仕込み工程、錯体合成工程、予備重
合工程および重合工程によって、ポリアリーレンスルフ
ィドを製造する。また、より一層高分子量のポリアリー
レンスルドを製造しようとするときには、前記予備重合
工程の前および/または後に脱水工程を挿入するのが良
い。以下、工程順に説明する。
ム塩、ジハロゲン芳香族化合物および非プロトン性極性
有機溶媒を、たとえば重合反応器内に仕込む。前記各成
分の仕込み量は、前述した使用割合の範囲内にある。
序に特に制限があるわけではないが、以下の3方法を仕
込み処方の好適例として挙げることができる。
とジハロゲン芳香族化合物との非プロトン性極性有機溶
媒溶液を調製し、この非プロトン性極性有機溶媒溶液に
硫化水素を溶解させる。
ロトン性極性有機溶媒溶液を、N−メチルアミノ酪酸リ
チウム塩とジハロゲン芳香族化合物とに混合する。
プロトン性極性有機溶媒溶液に硫化水素を溶解し、次い
でジハロゲン芳香族化合物を添加する。
通常常温であるが、場合により加温しても良い。また、
これらの仕込み処方における圧力についても、通常常圧
であるが、場合により加圧あるいは減圧にしても良い。
水素とから錯体を合成する。
であり、130〜150℃が好ましい。この温度範囲
で、反応系を10分〜5時間、好ましくは1時間〜2時
間かけて静置もしくは撹拌する。このような合成条件の
下では特に上記錯体が好適に形成される。
溶媒中で、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩と硫化水素
とジハロゲン芳香族化合物との予備重合を、このジハロ
ゲン芳香族化合物の反応率が80〜99%、好ましくは
80〜95%になるように、予備重合を行うことであ
る。
合になるように予備重合を行ってから後述する重合を行
うことにより、この発明の目的であるところの、溶液粘
度が0.20以上のポリアリーレンスルフィドを効率良
く製造することができる。もし、ジハロゲン芳香族化合
物の反応率が80%未満であるような予備重合を行うと
高分子量のポリアリーレンスルフィドを製造することが
できない。
香族化合物の反応率は、予備重合工程後の脱水工程中に
留出したジハロゲン芳香族化合物の量を仕込んだジハロ
ゲン芳香族化合物の量から引いた値から求めることがで
きるし、また、脱水を行わない場合には、予備重合後の
反応液中のジハロゲン芳香族化合物の量を仕込んだジハ
ロゲン芳香族化合物の量から引いた値より求めることが
できる。ジハロゲン芳香族化合物の定量分析は、脱水を
行った場合の留出液および脱水を行わない場合の反応液
中のジハロゲン芳香族化合物のガスクロマトグラフィー
分析により行うことができる。
レンスルフィドを製造しようとするときには、更に脱水
工程を採用するのが良い。脱水工程は、前記錯体合成工
程と予備重合工程との間にあっても良く、予備重合工程
と重合工程との間にあっても良く、また、錯体合成工程
と予備重合工程との間および予備重合工程と重合工程と
の間の両方にあっても良い。
180℃、好ましくは130〜160℃、圧力としては
減圧であっても加圧であっても良く、通常は1mmHg
〜10kg/cm2 の範囲の中から適宜に選択される。
脱水雰囲気は、通常不活性ガス雰囲気たとえば窒素ガス
雰囲気が採用される。
た場合に生成する水分量に対する水分量として70%以
上、好ましくは1〜2時間をかけて80%以上の水分が
留出するまで脱水を行うのが良い。このように70%以
上の水分が留出するまで脱水を行うと高分子量のポリア
リーレンスルフィドをより確実に製造することができ
る。
ロマトグラフィー分析により定量することにより行うこ
とができる。
了後に必要に応じて実施される脱水工程の後に、重合工
程が実施される。
〜280℃、好ましくは250〜270℃であり、重合
時間としては通常、10分〜24時間であり、好ましく
は1〜5時間である。
ィドは、たとえば、濾過または遠心分離等による標準的
な方法により、直接に反応容器から分別したり、あるい
は、たとえば水および/または稀釈した酸等の凝集液を
添加したのちに反応溶液から分別して、単離することが
できる。
るいは副反応物などを除去するために、通常、水、NM
P、メタノール、アセトン、ベンゼン、トルエンなどの
洗浄溶剤を用いて洗浄することが望ましい。
留去して回収し、残渣を前述のように洗浄することによ
って重合体を得ることもできる。なお、回収した溶媒は
再使用に供することもできる。
して、溶液粘度(ηinh )が0.20以上でありメルト
インデックス(MI)が0〜1,000g/10分であ
るところの、十分に高分子量であって、ある場合には、
ゲル形成性であると共に、粒径が0.5〜5mmである
ところの、粒径の制御された粒状のポリアリーレンスル
フィドを、簡略化された工程で容易にかつ安定に得るこ
とができる。なお、この発明による粒状とは、通常顆粒
状であるがビ−ズ状であってもよい。また、前記溶液粘
度は、粉状のポリアリーレンスルフィドをα−クロルナ
フタレンに0.4g/dlの濃度になるように溶解し、
206℃の温度でウベローデ粘度計を使用して測定され
た値である。
ルフィドは、必要に応じて種々の脱塩処理を行なって、
重合体中の塩化リチウムなどの塩含有量をさらに低減し
ても良い。
レンスルフィドから各種の製品を成形する場合には、ポ
リアリーレンスルフィドに必要に応じて他の重合体、顔
料、グラファイト、金属粉、ガラス粉、石英粉、タル
ク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィ
スカーなどの充填剤、安定剤、離型剤などを適宜配合す
ることができる。
レンスルフィドは、各種成形品の材料、たとえばフィル
ム、繊維、機械部品、電気部品、電子部品などの材料と
して好適に利用することができる。
明はこれに限定されない。
ム塩は以下のようにして合成した。
ーブに、N−メチル−2−ピロリドン4,460g(4
5.0モル)及び水酸化ナトリウム400g(10.0
モル)、水417gからなる水溶液を投入した。160
℃、300rpmで1時間反応させた後に、水を含むN
−メチル−2−ピロリドンを500ml系外へ取り出し
た。冷却後に塩化リチウム445g(10.5モル)及
びN−メチル−2−ピロリドンを加えて,150℃及び
300rpmで1時間反応させた。100℃に保温され
たガラス製フィルターに内容物をあけ、減圧濾過をし
た。濾液を常温まで冷却したところ白色の結晶が析出し
た。この白色の結晶をアセトンで2回洗浄し、乾燥し
た。この白色の結晶をリチウムイオンの分析、FT−I
RおよびNMRで分析することによりN−メチルアミノ
酪酸リチウムと同定した。収量は90%であり、イオン
クロマトグラフを用いて純度を測定した結果転化率は9
9.8%であった。
ラジクロロベンゼンの反応率が86%になるまで予備重
合反応を行った。なお、脱水は行わなかった。
トクレーブに、パラジクロロベンゼン86.13g
(0.5859mol)、N−メチルアミノ酪酸リチウ
ム塩138.05g(1.1952mol)、N−メチ
ル−2−ピロリドン300mlに硫化水素19.97g
(0.5859mol)を溶解させた溶液を入れ、密閉
系で140〜150℃に加熱しながら1時間かけて撹拌
を行った(錯体合成工程)。次いで、200℃に加熱し
ながら5時間かけて予備重合を行った(予備重合工
程)。この予備重合工程における5時間経過時に反応液
のガスクロマトグラフ分析を行った結果、パラジクロロ
ベンゼンの反応率は86%であった。予備重合の後に2
60℃に反応系を加熱しながら3時間かけて重合を行っ
た(重合工程)。
られた固形分を水およびアセトンで順次に洗浄し、乾燥
を行うことによりポリアリーレンスルフィドを得た。こ
のポリアリーレンスルフィドをα−クロルナフタレンに
0.4g/dlの濃度になるように溶解し、206℃の
温度でウベローデ粘度計を使用して粘度測定を行った。
その結果、このポリアリーレンスルフィドの溶液粘度η
inh は、0.25であった。
パラジクロロベンゼンの反応率が75%になるまで予備
重合を行った。なお、脱水は行わなかった。
かけて予備重合を行った外は前記実施例1と同様に操作
した。
ィドの溶液粘度ηinh は0.19であった。
わなかった。また、脱水も行わなかった。
記実施例1と同様に操作した。
ィドの溶液粘度ηinh は0.18であった。
程でパラジクロロベンゼンの反応率が87%に達するま
で予備重合反応を行い、予備重合後に脱水を行った。
トクレーブに、パラジクロロベンゼン86.34g
(0.5873mol)、N−メチルアミノ酪酸リチウ
ム塩138.39g(1.1982mol)、N−メチ
ル−2−ピロリドン300mlに硫化水素20.02g
(0.5873mol)を溶解させた溶液を入れ、密閉
系で140〜150℃に加熱しながら1時間かけて撹拌
を行った(錯体合成工程)。次いで、240℃に加熱し
ながら0.5時間かけて予備重合を行った(予備重合工
程)。この予備重合工程の終了後に、窒素気流下に13
0〜150℃に加熱することにより水、N−メチル−2
−ピロリドンおよびパラジクロロベンゼンを系外に留出
させた(脱水工程)。留出量は86mlであった。この
留出液中のパラジクロロベンゼンおよび水分のガスクロ
マトグラフ分析を行った結果、パラジクロロベンゼンの
反応率は87%であり、水分量(反応が100%進行し
た場合に生成する水分量に対する水分量)は85%であ
った。脱水工程の後にさらに260℃に反応系を加熱し
ながら3時間かけて重合を行った(重合工程)。
られた固形分を水およびアセトンで順次に洗浄し、乾燥
を行うことによりポリアリーレンスルフィドを得た。こ
のポリアリーレンスルフィドをα−クロルナフタレンに
0.4g/dlの濃度になるように溶解し、206℃の
温度でウベローデ粘度計を使用して粘度測定を行った。
その結果、このポリアリーレンスルフィドの溶液粘度η
inh は、0.30であった。
前後に脱水を行い、予備重合でパラジクロロベンゼンの
反応率が95%になるまで反応を行った。
トクレーブに、N−メチルアミノ酪酸リチウム塩14
7.12g(1.2738mol)、N−メチル−2−
ピロリドン300mlに硫化水素21.28g(0.6
244mol)を溶解させた溶液を入れ、密閉系で14
0〜150℃に加熱しながら1時間かけて撹拌を行った
(錯体合成工程)。次いで、窒素気流下に130〜15
0℃に加熱することにより水、およびN−メチル−2−
ピロリドンを系外に留出させた(脱水工程)。その留出
量は32mlであった。この脱水の終了後に、パラジク
ロロベンゼン77.91g(0.5300mol)を反
応系に添加し、200℃に加熱しながら5時間かけて予
備重合を行った(予備重合工程)。この予備重合工程の
終了後に、窒素気流下に130〜150℃に加熱するこ
とにより水、N−メチル−2−ピロリドンおよびパラジ
クロロベンゼンを系外に留出させた(脱水工程)。留出
量は35mlであった。この留出液中のパラジクロロベ
ンゼンおよび水分のガスクロマトグラフ分析を行った結
果、パラジクロロベンゼンの反応率は95%であり、水
分量は90%(予備重合前の脱水工程時の水分量を含
む。)であった。脱水工程の後にさらに260℃に反応
系を加熱しながら3時間かけて重合を行った(重合工
程)。
られた固形分を水およびアセトンで順次に洗浄し、乾燥
を行うことによりポリアリーレンスルフィドを得た。こ
のポリアリーレンスルフィドをα−クロルナフタレンに
0.4g/dlの濃度になるように溶解し、206℃の
温度でウベローデ粘度計を使用して粘度測定を行った。
その結果、このポリアリーレンスルフィドの溶液粘度η
inh は、0.34であった。
1に示した。
合物の反応率が特定の範囲になるように予備重合を行う
ので、溶液粘度が0.20以上の高分子量のポリアリー
レンスルフィドを製造することができ、また、予備重合
の前後のいずれかまたは両方で脱水工程を採用すること
により溶液粘度が0.30以上の高分子量のポリアリー
レンスルフィドを製造することができ、N−メチルアミ
ノ酪酸リチウム塩と硫化水素とを使用するので重合系が
均一になり、これによって工業的に有利な連続重合が可
能になると共にポリアリーレンスルフィドの洗浄が容易
になる。
ンスルフィドの洗浄が容易であるから、容易に高純度の
ポリアリーレンスルフィドを得ることができる。したが
ってこの発明の方法で得られるポリアリーレンスルフィ
ドは、シート、フィルム、繊維等に成形加工が容易であ
り、射出成形においてバリが少ない、等種々の利点を有
する。
Claims (5)
- 【請求項1】非プロトン性有機極性溶媒中で、N−メチ
ルアミノ酪酸リチウム塩と硫化水素とジハロゲン芳香族
化合物とを、ジハロゲン芳香族化合物の反応率が80〜
99モル%に達するまで予備重合し、次いで本重合を行
うことを特徴とする溶液粘度0.2以上のポリアリーレ
ンスルフィドの製造方法。 - 【請求項2】前記請求項1に記載の予備重合の前および
/または後に脱水することを特徴とする溶液粘度0.2
以上のポリアリーレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項3】前記予備重合が180〜245℃の温度条
件下で行われる前記請求項1または2に記載の溶液粘度
0.2以上のポリアリーレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項4】前記本重合が240〜280℃の温度条件
下に行われる前記請求項1〜3のいずれかに記載の溶液
粘度0.2以上のポリアリーレンスルフィドの製造方
法。 - 【請求項5】前記N−メチルアミノ酪酸リチウム塩が、
非プロトン性有機溶媒中で、N−メチル−2−ピロリド
ンと、リチウムを除くアルカリ金属の水酸化物とを反応
させて得られる反応混合物から水分を除去した後に、塩
化リチウムを反応させて副生するアルカリ金属塩化物を
除去して得られてなる前記請求項1〜4のいずれかに記
載の溶液粘度0.2以上のポリアリーレンスルフィドの
製造方法。
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1993
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