JP2000178923A - 波形鋼板ウエブ桁橋の施工方法 - Google Patents

波形鋼板ウエブ桁橋の施工方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】波形鋼板をウエブとしたプレストレストコンク
リート波形鋼板ウエブ桁橋を支保工上で施工する桁橋の
施工方法を提供する。 【解決手段】波形鋼板ウエブ34を吊持する仮支持構1
2を支保工10上に橋軸方向に複数基列設し、仮支持構
12より高さ調整具15を吊下してウエブ34を吊持
し、下床版コンクリート型枠21の面より所定のかぶり
を調整保持し、下床版コンクリートを打設して、波形鋼
板ウエブ桁31を構築する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は波形鋼板をウエブ
(腹板)としたプレストレストコンクリート波形鋼板ウ
エブ桁橋を支保工上で施工する施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道や道路の橋梁として、コンクリート
構造や鋼構造の橋梁が広く採用されている。このうち鋼
構造の橋梁は、上床版はコンクリート構造とする場合も
あるが、他の構造材は従来、腹板(ウエブ)、下フラン
ジを含め鋼板製とするのが一般的であった。
【0003】しかし、近年鋼とコンクリートの物性的に
優れている点を併せもつ新しい構造の鋼・コンクリート
複合橋梁が注目されてきた。この新しい構造の橋梁の特
徴は、従来の鋼桁橋と相違し、単に鋼板とコンクリート
を複合しただけではなく、従来の平板の腹板(ウエブ)
に替えて、橋軸方向に交互に凹凸を繰り返す波形に折り
曲げ加工した波形鋼板をウエブとして使用するものであ
る。この構造では、上下の床版をコンクリートで形成し
て箱形断面桁とすると共に、床版コンクリートにプレス
トレスを導入し、プレストレストコンクリート構造とす
る。この波形鋼板はプレストレストコンクリートと親和
性がよく、上下床版のコンクリートの橋軸方向に導入さ
れるプレストレスを、波形のアコーディオン効果によっ
て、ウエブが拘束することなく、効果的に導入すること
ができる。
【0004】一例を図5に示した。図5は張出架設桁橋
104の一部の側面図で、橋脚103から架設作業装置
105を用いて橋軸方向左右にバランスさせながらブロ
ック1個づつプレストレスを導入しながら張出していく
様子を示している。橋脚102については、張出架設が
終了している。張出架設桁橋104の先端と橋台101
との間は支保工10を用いて波形鋼板ウエブ桁31を使
用した場所打ちコンクリートで結合し一連の橋体を完成
する。
【0005】図6は波形鋼板ウエブ桁31の断面図で、
左半分は、図5のC−C矢視図、右半分はD−D矢視図
である。上下床版32、33はコンクリートであり、ウ
エブ(腹板)34は橋軸方向に交互に凹凸を繰り返す波
形鋼板を使用した箱桁の断面を示している。
【0006】この新しいウエブ構造の波形鋼板ウエブ桁
31の特徴は、波形鋼板ウエブ34のアコーディオン効
果によって、上下床版32、33に導入するプレストレ
スをウエブ34が拘束することなく、上下床版32、3
3のコンクリートにプレストレスを効果的に導入するこ
とができることであり、ウエブ34には、上下フランジ
がない。図7に波形鋼板ウエブ桁橋1と従来の鋼桁橋の
断面の比較を示した。図7の右半分は従来の鋼桁橋で、
ウエブ141は上下フランジ142、143を有するI
桁で、横つなぎ材144で左右のウエブ141を結合
し、鉄骨構造となっている。上フランジ142の上面に
設けたジベル145によってコンクリート上床版146
と結合されている。図7の左半分は波形鋼板ウエブ桁橋
の断面であって、波形鋼板ウエブ34の上下端に補剛鋼
材35を取付け、波形鋼板ウエブ34の上下端をコンク
リート上下床版32、33中に埋込んでいる。図7のE
部詳細を図8に示した。ウエブ34の上下端はコンクリ
ートに埋設される部分で波形の山と山、谷と谷間を単に
補剛鋼材35で繋いでいるだけである。
【0007】このことが図5に示す支保工10上で波形
鋼板ウエブ桁31を場所打ちする部分の施工に当って不
具合が生じる。これは図5の例に留まらず、例えば橋台
101と橋脚102間又は橋脚102と橋脚103間の
橋体全部の波形鋼板ウエブ桁31を場所打ち構築する場
合についても同様である。従来の鋼桁橋の場合には、図
7で説明したように、下フランジ143が強固な鋼製で
あるから、下フランジ143の下面を支保工の支柱で受
ければ安定的に支持することが容易である。これに対し
波形鋼板ウエブ34には鋼製下フランジがなく、下床版
33がコンクリートであるから、支保工上の型枠底面か
らの所定のコンクリートかぶり22(図8参照)を確保
しなければならないため、直接波形鋼板ウエブ34の下
端を支保工で受けることができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】波形鋼板ウエブ桁は、
波形鋼板の変形自由性が大きい。従って、波形鋼板ウエ
ブでは上下端に波形の山と山との間、及び谷と谷との間
を桁長手方向にそれぞれ二列の補剛鋼材を溶接して最小
限の横剛性を確保している。張出架設部分の橋体の一施
工単位長さは、橋軸方向に2〜5m程度であるが、支保
工上で施工する場所打ち橋体部分は効率を重視し、鋼板
の曲げ加工が可能で、運搬が可能な最大限の長さの鋼板
ウエブをもつ橋体を形成する。つまり波形鋼板ウエブを
可能な最大限の桁長になるように連結する。そして、橋
体の構築構台となる支保工上の下床版コンクリート型枠
底面からウエブの下端が所定のコンクリートかぶりを確
保できるように、型枠底面から浮揚させた態様で配置す
る必要がある。
【0009】本発明は波形鋼板をウエブとするプレスト
レストコンクリート桁橋を支保工上で構築する最も適切
な施工方法を提供することを目的とする。さらに、桁長
手方向に桁高が変化する変断面桁の場合にも配置高さの
調整が容易な施工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、橋軸方向に交
互に凹凸を繰り返す波形に折り曲げ加工した波形鋼板を
ウエブとするプレストレストコンクリート桁橋を支保工
上で構築するに当り、ウエブを吊持する複数の仮支持構
を橋軸方向に列設し、前記仮支持構より高さ調整具を介
してウエブを吊持し、下床版コンクリート型枠底面より
所定のかぶり寸法を確保するようにウエブ位置を調整
し、その位置に保持しながら下床版コンクリートを打設
することを特徴とする波形鋼板ウエブ桁橋の施工方法で
ある。
【0011】ここで言う支保工は、下床版コンクリート
型枠を支持する仮設構造物の総称で、支持地盤から支柱
や型鋼などで組み上げる構造のものと、支柱を使用せず
に地盤上に直接組み立てるものも含む。
【0012】前記波形鋼板ウエブ桁橋は、張出架設桁橋
の側径間部の場所打ち桁橋を施工する場合に好適に適用
することができる。また、この波形鋼板ウエブ桁橋は、
橋台と橋脚間又は橋脚と橋脚間に場所打ちする桁橋でも
よく、押出工法の製作ヤードで製作する桁橋でもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明を説
明する。
【0014】図5に示す架設作業装置105を使用して
橋脚102から張出し架設された箱桁断面の張出架設桁
橋104の先端部と橋台101との間の側径間部を支保
工10上で場所打ち施工した例について説明する。この
張出架設桁橋104はプレストレストコンクリート構造
の橋梁であるが、PC鋼材の図示は省略してある。
【0015】図1は場所打ち部の側面詳細図を示すもの
である。張出架設桁橋104の先端部と橋台101との
間に支保工10を設け、その上で波形鋼板ウエブ桁31
を施工する状況を示している。支保工基礎コンクリート
11上に構築した橋体の構築構台となる支保工10上に
複数の門型の仮支持構12を橋軸方向に列設してある。
また下床版のコンクリートの型枠21を支保工上に組立
てている。仮支持構12は波形鋼板ウエブ34を所定高
さに吊持する。波形鋼板ウエブ34は継手部36で桁長
手方向に連続的に連結されている。
【0016】図2は、図1のA矢視図で、仮支持構12
は支保工10の両側に立設した2本の脚13と梁14と
からなる門型をしており、梁14から吊下した高さ調整
具15(レバーブロック)で、波形鋼板ウエブ34の上
端を取りはずし可能な係止具16を介して吊持し、所定
の高さ位置に保持して型枠21内に下床版33のコンク
リートを打設する。
【0017】図3は本実施例に使用した波形鋼板ウエブ
34の側面図、図4はそのB−B矢視図である。波形鋼
板ウエブ34は長手方向に凹凸が繰り返す波形に形成さ
れ、その横方向剛性を確保するために、ウエブ上下縁の
山と山との間、谷と谷との間を2本の補剛鋼材35が溶
接接合されている。波形鋼板ウエブ34の左右端の継手
部36には連接波形鋼板ウエブとの継手ボルト孔37が
設けられ、波形鋼板ウエブ34の上下縁近傍には、鉄筋
を貫通させコンクリート中に埋設し桁と一体化し剪断力
等の応力伝達をさせる貫通鉄筋孔38が設けられてい
る。
【0018】図9及び図10は別の実施例で、橋台10
1の後方に製作ヤード41を設け、製作台42上で橋体
43を8〜15m程度のブロックに分割して製作し、橋
体の先端に手延べ機44を結合して、橋台101、橋脚
102上に設置した滑り支承上を押出し架設し、ブロッ
ク製作と押出し架設を交互に繰り返して所定長の橋体を
構築する押出工法である。この場合は図1、図2で示し
た場所打部の支柱による支保工10に替えて、製作ヤー
ドの地盤上に直接製作台42を設けたものであり、製作
台42上に仮支持構45を設けて波形鋼板ウエブ34を
吊下し、製作台42上に型枠21を載置し、場所打ち桁
の場合と同様に下床版コンクリート型枠21の底面から
所定のかぶりを保持して橋体を構築することが可能であ
る。
【0019】以上は、張出架設桁橋の側径間の場所打ち
部、及び押出し工法の橋体製作の例で説明したが、本発
明はこれに限定される訳ではなく、通常の橋台・橋脚
間、橋脚・橋脚間全てが場所打ちで橋体が構築される場
合についても同様に施工可能であることはもちろんであ
る。
【0020】上記実施例では仮支持構として門型構造の
ものを示したが、それに限定されない。他の例として逆
L形の片持ち構造でもよい。また、その資機材として
は、軽量形鋼、Iビーム、H形鋼、四角支柱、枠組足場
材などを適宜組み合わせたものであってもよい。さらに
高さ調整具はレバーブロックを例示したがこれに限ら
ず、チェーンブロック、チルホール、又はターンバック
ル等長さを調整可能なものであればよい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、波形鋼板ウエブ用いた
プレストレストコンクリート桁橋の構築に当って、波形
鋼板ウエブを吊持する仮支持構を橋軸方向に複数基立設
してウエブを吊持して、下床版コンクリート型枠面より
所定のかぶり調整し保持しながら下床版コンクリートを
打設することで、桁高の変化する変断面桁の場合でも調
整し易く、吊持することによって、ウエブの転倒も防止
でき省力化と安全性の確保に寄与する効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】構築構台上に組立てたウエブ吊持用支持構の図
である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】ウエブ桁の側面図である。
【図4】図3のB−B矢視平面図である。
【図5】張出架設桁橋の説明図である。
【図6】図5の横断面図(左半分は図4のC−C矢視
図、右半分はD−D矢視図)である。
【図7】波形鋼板ウエブ橋と従来の鋼桁橋との断面比較
図である。
【図8】図7のE部詳細図である。
【図9】別の実施例の説明図である。
【図10】別の実施例の説明図である。
【符号の説明】
10 支保工 11 支保工基礎コンクリート 12 仮支持構 13 脚 14 梁 15 高さ調整具 16 係止具 21 下床版型枠 22 かぶり 31 波形鋼板ウエブ桁 32 上床版 33 下床版 34 波形鋼板ウエブ 35 補剛鋼材 36 継手部 37 継手ボルト孔 38 貫通鉄筋孔 41 製作ヤード 42 製作台 43 橋体 44 手延べ機 45 仮支持構 101 橋台 102、103 橋脚 104 張出架設桁橋 105 架設作業装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波形鋼板をウエブとするプレストレスト
    コンクリート桁橋を支保工上で構築するに当り、該ウエ
    ブを吊持する複数の仮支持構を橋軸方向に列設し、前記
    仮支持構より高さ調整具を介して該ウエブを吊持し、下
    床版コンクリート型枠底面より所定のかぶり寸法を確保
    するように該ウエブ位置を調整し、その位置に保持しな
    がら下床版コンクリートを打設することを特徴とする波
    形鋼板ウエブ桁橋の施工方法。
  2. 【請求項2】 前記波形鋼板ウエブ桁橋は、張出架設桁
    橋の側径間部の場所打ちする桁橋であることを特徴とす
    る請求項1記載の波形鋼板ウエブ桁橋の施工方法。
  3. 【請求項3】 前記波形鋼板ウエブ桁橋は、橋台と橋脚
    間又は橋脚と橋脚間に場所打ちする桁橋であることを特
    徴とする請求項1記載の波形鋼板ウエブ桁橋の施工方
    法。
  4. 【請求項4】 前記波形鋼板ウエブ桁橋は、押出工法の
    製作ヤードで製作する桁橋であることを特徴とする請求
    項1記載の波形鋼板ウエブ桁橋の施工方法。
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