JP2000138403A - 薄膜磁気センサ― - Google Patents

薄膜磁気センサ―

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JP2000138403A
JP2000138403A JP11243975A JP24397599A JP2000138403A JP 2000138403 A JP2000138403 A JP 2000138403A JP 11243975 A JP11243975 A JP 11243975A JP 24397599 A JP24397599 A JP 24397599A JP 2000138403 A JP2000138403 A JP 2000138403A
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magnetic sensor
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thin
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English (en)
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Ichiro Shibazaki
一郎 柴崎
Atsushi Okamoto
岡本  敦
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保護層による特性劣化の少ない高感度な磁気
センサーを得ること。 【解決手段】 InxGa1-xAsySb1-y(0<x≦
1,0≦y≦1)薄膜と無機質絶縁層である保護膜との
間に半導体中間層が形成されている磁気センサーであ
る。この中間層は、バンドギャップが大きく、かつ、I
xGa1-xAsy1-y薄膜より電子移動度が小さい、A
xIn1-xSb(0<x≦1)またはGaAsxSb1-x
(0≦x≦1)の組成のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体薄膜の磁気
センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】InSbのような高電子移動度の化合物
半導体薄膜を用いる磁気抵抗素子、ホール素子等の磁気
センサーは、静磁界を検出できる機能を持ち、回転速度
が速くても遅くても、歯車の回転角度や速度を検出でき
る機能を有する。このため、小型のDCモーターの磁気
センサーとして多く使われている。
【0003】InSb薄膜またはInxGa1-xAsy
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜等を感磁部とす
る磁気センサーには、高い信頼性を確保するため保護
膜、いわゆるパッシベーション膜を形成する必要があ
る。ところが、保護膜としてSi34またはSiO2
の薄膜をInSb薄膜の表面に形成すると、Si34
SiO2等の保護膜の結晶格子の格子定数とInSb薄
膜またはInxGa1-xAsySb1-y薄膜等の結晶格子の
格子定数との差が大きいので、結晶境界で相互作用が生
じ20〜30%の電子移動度の低下が起きることがあ
り、磁気センサーの感度低下を招いていた。
【0004】しかし、InSbは、電子移動度が高くて
優れた磁気センサー材料であるので、たとえ結晶格子の
大きな不整合があったにしても、InSbを用いて磁気
センサーを作製せざるを得ないのが現状である。特に信
頼性の点からは、パッシベーション膜の形成は必須のた
め、このような素子特性の低下は避けられない問題であ
り、特に感磁部の薄膜を薄くして磁気センサーの消費電
力などを少なくし、高感度化しようとする場合には特性
劣化も大きくなった。これは、InSbまたはInx
1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)に格子
整合する適切な絶縁性の保護膜が存在しないことに起因
する。このため、InSbまたはInxGa1-xAsy
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)の薄膜の特性を十分
に引き出し、高感度な磁気センサーを製作することが大
きな課題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決すべくなされたものであり、その課題は、Inx
Ga1-xAsy1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜と
保護膜との界面での相互作用による電子移動度の低下を
きたさないInxGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0
≦y≦1)を感磁部薄膜とする高感度の薄膜磁気センサ
ーを提供し、その製造方法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Inx
1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)を動作
層とする磁気センサーの表面に保護層を形成しても、I
xGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)の
電子移動度が低下しない磁気センサーを検討した。
【0007】その結果、半導体の絶縁層からなる中間層
を、InxGa1-xAsy1-y(0<x≦1,0≦y≦
1)と無機質層の保護層との間に、両者が直接接しない
ための分離層として、挿入し、このInxGa1-xAsy
Sb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を感磁部とす
る新規な構造の薄膜磁気センサー及びその製造法を見い
だした。
【0008】以下、本明細書では、記述の簡略化のため
に必要に応じて、InxGa1-xAsySb1-y(0<x≦
1,0≦y≦1)を、InGaAsSbと略記する。そ
の内容は、上記x,yで定まるすべての組成を含む。
【0009】本発明の薄膜磁気センサーは、基板と、I
xGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄
膜を含む動作層と、該動作層上に接するように形成され
ている絶縁性もしくは高抵抗の中間層と、絶縁性無機質
からなる保護層とを前記の順に有することを特徴とす
る。
【0010】ここで、前記中間層は、前記動作層の格子
定数と近似した格子定数を有することが望ましい。
【0011】また、前記中間層は、前記InxGa1-x
ySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を構成する
元素の少なくとも1種類以上の元素を含む組成であるこ
とができる。
【0012】例えば、高抵抗のGaAsxSb1-x (0
≦x≦1)、AlxIn1-xSb(0<x≦1)やAlx
Ga1-xSb(0<x≦1)、GaxIn1-xSb(0<
x≦1)等は、好ましい例である。
【0013】また、前記動作層においては、該動作層を
構成する前記InxGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,
0≦y≦1)薄膜の上にバリヤー層を形成することがで
きる。
【0014】また、前記中間層は、前記バリヤー層を構
成する元素の少なくとも1種類以上の元素を含む組成で
あることができる。
【0015】また、前記中間層は、InxGa1-xAsy
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜のバンドギャッ
プより大きく、かつ前記薄膜の電子移動度より小さい電
子移動度を有することができる。
【0016】また、前記中間層は、前記InxGa1-x
ySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の格子定数
と近似した格子定数を有する半導体絶縁層または高抵抗
層であることができる。
【0017】また、前記中間層は、前記バリヤー層の格
子定数と近似した格子定数を有する半導体絶縁層または
高抵抗層であることができる。
【0018】また、前記InxGa1-xAsySb1-y(0
<x≦1,0≦y≦1)薄膜の膜厚は、5ミクロン以下
であることができる。
【0019】さらに、前記InxGa1-xAsySb
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の膜厚は、1ミク
ロン以下であることができる。
【0020】また、上記磁気センサーはホール素子であ
ることができる。
【0021】また、上記磁気センサーは磁気抵抗素子で
あることができる。
【0022】また、前記InxGa1-xAsySb1-y(0
<x≦1,0≦y≦1)薄膜は、Si、Te、S、S
n、GeおよびSeなどからなる群の少なくとも1種類
のドナーアトムを含むことができる。
【0023】また、前記中間層がSi、Te、S、S
n、GeおよびSeからなる群から選ばれる少なくとも
1種類のドナーアトムを前記動作層との界面に近接して
含むことができる。
【0024】また、前記InxGa1-xAsySb1-y(0
<x≦1,0≦y≦1)薄膜は、該薄膜の−50℃にお
ける抵抗値が150℃における抵抗値の15倍以内であ
ることができる。
【0025】また、上記磁気センサーと一緒に、磁気セ
ンサー出力を増幅する回路と磁気センサーを駆動するた
めの電源回路とを有する制御回路がパッケージされてい
ることができる。
【0026】本発明の薄膜磁気センサーの製造方法は、
表面が平滑な基板上にInxGa1-xAsySb1-y(0<
x≦1,0≦y≦1)薄膜を形成する工程と、該薄膜上
に中間層を形成する工程と、該薄膜および該中間層を所
望のパターンに形成する工程と、形成されたパターンの
上に所望の形状の薄い金属薄膜を形成する工程と、該パ
ターンおよび該金属薄膜の上に絶縁性無機質からなる保
護層を形成する工程と、外部と接続するための電極を複
数個形成する工程と、該電極を前記InxGa1-xAsy
Sb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の端部に接続
する工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】本発明の別の態様の薄膜磁気センサーの製
造方法は、表面が平滑な基板上にInxGa1-xAsy
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を形成する工程
と、該薄膜上にバリヤー層を形成する工程と、該バリヤ
ー層上に該バリヤー層と物性値が近似する中間層を形成
する工程と、該薄膜、バリヤー層および該中間層を所望
のパターンに形成する工程と、形成されたパターンの上
に所望の形状の薄い金属薄膜を形成する工程と、該パタ
ーンおよび該金属薄膜の上に絶縁性無機質からなる保護
層を形成する工程と、外部と接続するための電極を複数
個形成する工程と、該電極を前記InxGa1-xAsy
1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の端部に接続す
る工程と、を含むことを特徴とする。
【0028】ここで、上記製造方法には、さらに磁気セ
ンサー出力を増幅する回路と磁気センサーを駆動するた
めの電源回路とを有する制御回路を一緒にパッケージす
る工程を含むことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の磁気センサーは、基板上
に、InxGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦
1)薄膜を含む動作層、中間層および保護膜を、前記の
順に有する。
【0030】本発明において、保護膜は、パッケージン
グ工程および使用環境から半導体素子を機械的および化
学的に保護するために、かつ、磁気センサーの信頼性の
点から必須である。保護膜は、一般的には絶縁性の無機
質材料層であり、SiO2、Si34、等の薄膜が挙げら
れる。これらは、例えば、CVD法またはプラズマCV
D法により形成され、特にSi窒化膜は、プラズマ状態
のガス中で形成されるので、プラズマ窒化膜とも呼ばれ
る。本発明において、保護膜の厚さは、2ミクロン以
下、さらには1ミクロン以下であることが好ましく、特
に0.5〜0.2ミクロンであることが好ましい。
【0031】本発明においては、保護膜とInxGa1-x
AsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を含む動
作層とが直接接触しないように、保護膜と前記薄膜との
間に中間層を有する。この中間層は、磁気センサーの感
磁部を構成する動作層上に直接接するように形成する。
本発明において、中間層とは、絶縁性または高抵抗で、
動作層と物性値(例えば、格子定数)が近似した層であ
り、動作層のうち中間層と接する部分の組成の元素と共
通の元素を含むことが好ましい。したがって、InGa
AsSb薄膜と接して中間層が形成される場合には、中
間層の物性値はInGaAsSb薄膜の物性値と近似し
ている必要があり、該薄膜の組成の元素を含むことが好
ましい。また、InGaAsSb薄膜上にバリヤー層を
形成した場合には、中間層は、バリヤー層の物性値と近
似している必要があり、該バリヤー層の組成の元素を含
むことが好ましい。
【0032】また、中間層は、格子定数がInGaAs
Sb薄膜の格子定数と近似しており、かつ、該薄膜より
バンドギャップが大きく、該薄膜より電子移動度の小さ
い、絶縁性もしくは半絶縁性のAlxIn1-xSb(0<
x≦1)またはGayIn1-ySb(0<y≦1)の薄膜
高抵抗層であることが好ましい。InGaAsSbとの
格子定数の違いは、8%以内であることが好ましく、さ
らには5%以内であり、特に好ましくは2%以内であ
る。かかる中間層は、該薄膜の上側に形成される。動作
層に電子を閉じこめる働きをするバリヤー層またはバッ
ファー層(本発明においては、InGaAsSb動作層
薄膜の中に電子を閉じこめる働きをする動作層よりバン
ドギャップの大きい化合物半導体の高抵抗層または絶縁
層を、便宜上「バリヤー層」または「バッファー層」と
いうが、この層はInGaAsSb動作層と格子定数が
極めて近いことが好ましい層である。)が、薄膜の上面
に接して形成されている場合には、中間層はバリヤー層
の上に接して形成される。
【0033】このような化合物半導体の中間層を、In
GaAsSb薄膜またはバリヤー層の上側に形成すれ
ば、パッシベーションとして形成される保護膜と感磁部
の動作層とが直接接しないことになるので、保護膜が存
在するにもかかわらずInGaAsSb薄膜の特性、特
に電子移動度が変動しなくなる。かかる効果は、薄膜の
厚さが1ミクロン以下、さらには0.5ミクロン以下、
特に0.2ミクロン以下の場合に、顕著である。なお、
薄膜の格子定数との差が2%以内であるような中間層の
場合には、かかる中間層がバリヤー層としての役割も果
たすことができる。
【0034】本発明において、中間層の厚さには、特に
制限はないが、通常は2ミクロン以下、さらには1ミク
ロン以下、さらには0.5ミクロン以下、さらには0.
2ミクロン以下であることが好ましく、さらに好ましく
は0.1ミクロン以下である。動作層の薄膜と接して中
間層が形成されている場合は、中間層にSi,Se,T
e等のドナーアトムをドーピングしてもよい。ただし、
ドナーアトムは、中間層が薄い場合は、中間層全体に一
様にドーピングされていてもよいが、中間層の一部分
に、例えば薄膜と接する面側に偏ってドーピングされて
いることが好ましい。
【0035】中間層は、電子移動度がInGaAsSb
薄膜と比べてきわめて小さく、高抵抗すなわち導電率も
小さいので、半導体ではあるが、電気伝導には寄与しな
い性質を有する。したがって、中間層は、絶縁層として
振る舞う。さらに、中間層は、InGaAsSb薄膜と
パッシベーション層との間に配置されているので、In
GaAsSb薄膜が直接パッシベーション層と接するこ
とにより生じる相互作用を防止し、InGaAsSbの
特性の劣化を防止する。したがって、絶縁性の無機質層
(保護層)をパッシベーション層として有する磁気セン
サーでは、動作層であるInGaAsSb薄膜、該薄膜
よりバンドギャップが大きく、かつ、動作層であるIn
GaAsSbより電子移動度の小さい半導体の中間層、
パッシベーション層として絶縁性の無機質層(保護層)
をこの順に有することが好ましい。
【0036】本発明において、動作層とは、InxGa
1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜から
なる層であり、nタイプの導電性を示す。本発明におい
ては、表面が平滑な基板上にInGaAsSb薄膜をエ
ピタキシャル成長させて形成する。
【0037】InGaAsSb薄膜の電子濃度と抵抗の
温度依存性には、大きな相関関係がある。例えば、感磁
部薄膜に通常のInSbを使った磁気センサーは、抵抗
の温度依存性が大きく、室温付近では高感度で極めてよ
い特性を示すが、感磁部の抵抗値が温度に大きく依存す
るので、低温や高温では信頼性が低下し、かつ、駆動性
も極めて悪くなる。すなわち、InSbは、抵抗の温度
変化率が−2%/℃であり、大きな温度依存性を有す
る。なお、抵抗の温度変化率βRは、下記式により求め
る。
【0038】抵抗の温度変化率βR(%/℃)=(1/
R)dR/dT×100 本発明の磁気センサーは、通常は室温周辺で駆動される
が、特に、近年、磁気センサーの駆動に要求される温度
範囲は拡大しつつあり、これまでは室温近傍の温度域で
使えれば十分であったが、自動車用無接触磁気センサー
または産業用無接触磁気センサーでは、−50℃〜15
0℃の温度範囲での使用が実際に要求される。
【0039】InSbは、電子移動度は極めて高いが、
大きな温度依存性を有するので、例えば、温度変化率が
負の場合には、低温では高抵抗、高温では低抵抗とな
り、−50℃から+150℃まで温度が変化すると、−
50℃における抵抗値が150℃の抵抗値の28〜30
倍(抵抗の温度変化率が−2%の場合には54倍)にな
る。このため抵抗値の変動がそのまま磁気センサーの入
力抵抗の変動となり、高温では過電流による破壊等が発
生し、また大きな駆動用の入力電流が必要となり、小型
の集積化した駆動回路では、素子の安定した駆動が困難
になる。低温度では素子抵抗が非常に大きくなり、浮遊
電磁ノイズの影響を強く受けたり、ノイズによる誤動作
原因となったりする。
【0040】より広い範囲で駆動する本発明の磁気セン
サーでは、温度依存性を少なくすることも好ましく行わ
れる。その方法の1つは、InGaAsSb動作層の電
子濃度を増やすことである。他の方法の一つは、InG
aAsSb動作層を極めて薄くし、該動作層よりバンド
ギャップの大きいバリヤー層によって動作層の片側もし
くは両側から動作層中に電子を閉じこめる構造にするこ
とである。すなわち、動作層を量子井戸構造にすること
である。
【0041】本発明においては、特に動作層中の電子濃
度に制限は設けないが、広い温度域で駆動させる場合
は、前記温度依存性の少なくなる方法を採ることも好ま
しく行われる。例えば、薄膜の電子濃度が2×1016
cm3以上になると、抵抗の温度変化が小さくなり、か
つ、磁気センサーのオフセット電圧の温度ドリフトが小
さくなり、ノイズも少なくなる。薄膜の電子濃度は5×
1016/cm3以上であることが好ましく、6×1016
/cm3以上であることがさらに好ましく、特に6×1
16〜5×1018/cm3であることが好ましい。
【0042】InGaAsSb薄膜の電子濃度を大きく
する方法の1つには、InGaAsSb層に微量のS
i、Te、S、Sn、Ge、Se等のドナーアトムを含
ませる方法がある。このようにドナーアトムをドーピン
グすることにより、動作層中の電子濃度を増加させ、高
温度におけるInGaAsSb層の抵抗値の低下を少な
くすることができるので、磁気センサーに高温度で大き
な電流が流れることを防ぐことができる。このときは、
少なくとも一部のドナーアトムは陽イオン化した状態に
あり、かつ、動作層を作る結晶格子点に存在し、動作層
中に伝導電子を供給していることが必要である。
【0043】また、InxGa1-xAsySb1-y薄膜(0
<x≦1、0≦y≦1)の電子濃度を大きくする別の方
法としては、薄膜の組成を適宜設定することにより、す
なわち、x,yの値を0<x≦1、0≦y≦1の範囲内
で適宜選択することにより、電子濃度を大きくすること
ができる。具体的には、例えば、感磁部をInSbか
ら、Gaをより多く含むInxGa1-xAsySb1-y薄膜
(0<x≦1、0≦y≦1)に変更することにより、抵
抗値の温度変化を少なくすることができる。Gaの組成
比の割合を多くし、Asの組成比の割合を多くすれば、
バンドギャップが大きくなり、抵抗値の温度変化が少な
くなる。
【0044】電子濃度を特定のレベルにすることができ
れば、抵抗の温度変化を小さく抑えることができ、磁気
センサーの出力を増幅する回路、磁気センサーを駆動す
る電源回路等を含む磁気センサーの制御回路の負荷を少
なくすることができる。また、回路そのものも複雑化せ
ず、高温での駆動電力および電流も少なくなり、広い温
度範囲で素子を駆動できる制御回路の製作が可能にな
る。その結果、素子駆動回路も簡単になり、かつ小型化
できる。このため、本発明の磁気センサーと小型のSi
集積回路である制御回路とを一体化して一つのパッケー
ジに納めて、高感度で信頼性の高い小型の薄膜磁気セン
サーを実現できる。
【0045】ドーピングした磁気センサーは、高温域に
おいて磁気センサーの抵抗値が急激に低下することを避
けることができるので、100℃以上の高温域でも安定
に動作する。そして、−20℃以下の低温域においても
磁気センサーの抵抗値(入力抵抗値)の急激な上昇を少
なくすることができるので、−20℃以下の低温域にお
いても安定に動作する。センサー出力を増幅する回路の
複雑化が避けられ、低コストの広い温度範囲にわたって
安定に動作する磁気センサーの製作が可能になる。かか
るドーピングの効果は、本発明の実施例に共通する効果
であるが、本発明に列挙された実施例に限定されるもの
ではない。
【0046】ドーピングするドナーアトムは、ドナーに
なりうる元素であれば特に限定されるものではないが、
Si、Te、S、Sn、Se、Ge等が代表的なドナー
アトムとして挙げられる。ドーピングするドナーアトム
の量を調節することにより、InGaAsSb薄膜中の
電子濃度を適切な値に設定することができる。
【0047】温度変化に対する抵抗値の挙動は、グラフ
にした場合、平坦であることが好ましく、−50℃の抵
抗値が150℃の抵抗値より高い場合には、−50℃の
抵抗値が150℃の抵抗値の15倍以内であることが好
ましく、さらには8倍以内であることが好ましい。
【0048】InxGa1-xAsySb1-y薄膜(0<x≦
1,0≦y≦1)の厚さは、6ミクロン以下が好まし
く、さらには5ミクロン以下が、さらには2ミクロン以
下がより好ましく、場合によっては1ミクロン以下が特
に好ましい。薄膜の厚さが6ミクロン以下であれば、小
型で良好な特性の磁気センサーが製作できる。
【0049】高抵抗の入力抵抗値を必要とする磁気セン
サーの場合には、感磁部としての薄膜は、さらに薄いこ
とが好ましく、0.5ミクロン以下、または0.1ミク
ロン以下で製作されることもある。このように感磁部薄
膜の厚さが1ミクロン以下の場合には、InGaAsS
bの格子定数と近似する格子定数を有する半導体絶縁層
または高抵抗層であるバッファー層(バリヤー層ともい
う。例えば、格子定数の差が2%以内のバッファー層)
を、薄膜と基板との間に、または薄膜の表面に形成する
ことが好ましい。本発明において、動作層という場合に
は、薄膜にバッファー層が形成されているものも含まれ
るものとする。
【0050】本発明においては、動作層であるInGa
AsSb薄膜と接するようにバッファー層が形成されて
いる場合には、動作層との界面付近に動作層の電子濃度
を適切な値にするために、動作層へドーピングする代わ
りにバッファー層へドナーアトムをドーピングしてもよ
い。なお、バッファー層は、動作層(InGaAsSb
薄膜)に電子を閉じこめる層としての役割を有してい
る。動作層が500Å以下のような極めて薄い膜のとき
に、動作層の上下にバッファー層が形成されることがあ
るが、かかる場合には、バッファー層は動作層に電子を
閉じこめる役割を有するので、動作層は量子井戸とな
る。
【0051】本発明の基板としては、通常、GaAs,
InP等の絶縁性または半絶縁性の化合物半導体が用い
られる。本発明においては、基板の表面に、さらに絶縁
性もしくは半絶縁性の表面、またはシート抵抗値の高い
表面層を有していてもよい。この場合は、上述の絶縁性
基板材料の他に、Si単結晶基板、フェライト基板、セ
ラミックス基板なども好ましく用いることができる。結
晶の面方位は、(100),(111)など何でもよく
制限はない。また、これらの、面方位から0〜10度程
度傾いた面でもよい。他にも表面が平滑なアルミナ基板
やサファイア基板、表面に薄い絶縁層を有する単結晶フ
ェライト基板なども用いることができる。高温で等方性
の静熱圧プレス、いわゆるHIPをかけて作製した、結
晶性のより緻密なフェライト基板は、多結晶であっても
表面に耐熱性の絶縁層を形成すれば、好ましい絶縁性基
板として本発明で用いることができる。
【0052】本発明においては、InGaAsSb薄膜
と基板との間に、基板の格子定数と近似している半導体
絶縁層(または高抵抗層)AlxGayInzAssSbt
Bi(x+y+z=1、s+t+u=1、0≦x,
y,z,s,t,u≦1)を形成することが好ましい。
半導体絶縁層の格子定数は、InGaAsSbの格子定
数との差が7%以内であることが好ましい。該層のバン
ドギャップは、動作層のそれより大きく取ることが必要
である。このような構造とすることにより、薄くて抵抗
の大きいInSbまたはInGaAsSbの薄膜が容易
に得られ、消費電力の少ない磁気センサーが得られ、実
用上有用である。また、素子製作工程におけるInGa
AsSbの特性低下も少ない。
【0053】半導体絶縁層は、InGaAsSb薄膜の
上下に形成されることもよく行われる。特に、InGa
AsSb薄膜の厚さが1ミクロン以下の場合には、しば
しば上下に半導体絶縁層が形成される。
【0054】このような、半導体絶縁層の例として、A
Ga1-xAsySb1-y(0≦x≦1,0≦y≦1,た
だし、xおよびyは同時に0になることはない)からな
る3元または4元の化合物半導体絶縁層は、特に好まし
い例である。
【0055】図1(a)には、このような半導体薄膜2
が絶縁性基板1の上に形成された状態の断面構造を示
す。図1(b)には、絶縁性基板1と半導体薄膜2との
間に格子定数の差を少なくする半導体絶縁層3を形成し
た状態の断面を示す。図1(c)は、半導体薄膜2の表
面に格子定数の差を少なくする半導体絶縁層3を形成し
た場合の断面図であり、Si34などのパッシベーショ
ン時に薄膜絶縁層の特性低下を少なくする効果もある半
導体絶縁層を形成した状態である。図1(d)に、半導
体絶縁層が部分的にドーピングされた場合を示す。図1
(d)においては、半導体絶縁層3のうち、半導体薄膜
2と接する領域にドナーアトム12がドーピングされて
いる。
【0056】また、図2(a)には、半導体薄膜2の上
に中間層13が形成された状態の断面構造を示し、図2
(b)には半導体薄膜2と中間層13との間に半導体絶
縁層3が形成された状態の断面構造を示す。
【0057】半導体絶縁層3または中間層13には、I
nGaAsSb薄膜中に電子を供給するために、Si等
のドナーアトムがドーピングされていてもよい。ただ
し、ドーピングは半導体絶縁層(または中間層)の一部
分に行われていてもよく、この場合には、ドナーアトム
の電子はエネルギーが低い動作層のInGaAsSb層
に供給される。図2(c)には、図1(d)の構造に中
間層が形成された場合で、半導体絶縁層が部分的にドー
ピングされた場合を示す。すなわち、半導体絶縁層3の
うち、半導体薄膜2と接する領域にドナーアトム12が
ドーピングされている。
【0058】このような半導体絶縁層の厚さについて
は、特に制限はないが、通常2ミクロン以下、好ましく
は1ミクロン以下、さらに好ましくは0.5ミクロン以
下である。半導体絶縁層を表面に形成する場合には、オ
ーミック電極をInSb表面に形成する必要があり、半
導体絶縁層の厚さは0.5ミクロン以下であることが好
ましく、さらには0.2ミクロン以下、特に0.1ミク
ロン以下であることが好ましい。
【0059】上記構造のものを、本発明の磁気センサー
の感磁部に用いることができる。例えば、図1(a)の
構造の場合には、絶縁性基板上に直接半導体薄膜が形成
され、この半導体薄膜の上に直接金属のショートバー電
極が形成される。図1(b)の構造の場合には、絶縁性
基板と半導体薄膜との間に半導体絶縁層が形成されてい
て、半導体薄膜の上にショートバー電極が形成される。
図1(c)の構造の場合には、表面に半導体絶縁層が形
成され、オーミック接触のため該層を一部除去してショ
ートバー電極が形成される。なお、本発明においては高
導電率を有するように、半導体絶縁層の一部をドーピン
グして、ショートバー効果を出すように形成してもよ
い。
【0060】本発明の磁気センサーは、InGaAsS
b薄膜を感磁部として使用する高感度磁気センサーであ
り、具体的には、ホール素子、磁気抵抗素子、さらには
ホール効果と磁気抵抗効果とを組み合わせた素子、ある
いはこれらの効果によって磁気を検出する薄膜磁気セン
サーである。
【0061】なお、磁気センサー出力を増幅する回路お
よび上記の磁気センサーを駆動するための電源回路を少
なくとも有する制御回路と一緒にパッケージされた磁気
センサーも、本発明の磁気センサーである。
【0062】以下に、図3〜図9を用いて本発明をさら
に詳しく説明する。ただし、特にことわらない限り、各
図において同一符号は同一機能を有するものであるとす
る。
【0063】また、本発明において示される回路は等価
回路である。
【0064】図3(a)は、本発明のInGaAsSb
薄膜を動作層として有する磁気センサーの一態様である
ホール素子の平面図を示し、図3(b)は、図3(a)
における線A−A′で切断したときの断面図を示す。図
3(c)は、磁気センサーの製造工程の一部の違いによ
って生ずる他の断面例を示した。図3(a)、(b)お
よび(c)において、InGaAsSb薄膜2は絶縁性
の基板1上に形成されている。かかる薄膜2の電子濃度
は2×1016/cm3以上であり、磁気センサーの−5
0℃における入力抵抗値は150℃における入力抵抗値
の15倍以内である。図中、4は配線部であり、外部と
接続するための電極5(単一の金属で形成されることも
あるが多層で形成されることも好ましく行われる)と、
感磁部6の動作層とを接続する。感磁部6は磁気センサ
ーとして磁界を検出する。
【0065】本発明においては、InGaAsSb薄膜
2にSi等の不純物(ドナーアトム)をドーピングして
もよい。
【0066】図4(a)および図4(b)は本発明のホ
ール素子の断面図を示す。図4(a)はInGaAsS
b薄膜2と基板1との間に半導体絶縁層3を有する構造
であり、図4(b)は動作層がバッファー層を含む構造
のものであり、薄膜2上にバッファー層30が形成され
ていて、その上に中間層13が形成されている。また、
図4(c)は、工程の違いによる4図(a)と違った他
の例を示した。
【0067】図5は、本発明のホール素子20が樹脂パ
ッケージされた状態の磁気センサーを示す。図5におい
て、7はホール素子の電極5(51,52,53)とリ
ード8とをつなぐボンディング(金線)であり、9はパ
ッケージの樹脂を示す。本発明の磁気センサは、通常は
このようなパッケージにして使われる。
【0068】図6(a)は、2個の外部接続用電極を有
する本発明の2端子の磁気抵抗素子の平面図を示し、図
6(b)は、図6(a)の磁気抵抗素子をB−B′線に
沿って切断したときの断面図を示す。基板1上にInA
sSb薄膜2、磁気抵抗効果素子部21、および外部接
続のための電極5が形成されている。6は磁気センサー
として磁界を検出するための感磁部を示す。10は、I
nGaAsSb薄膜の磁気抵抗効果を大きくするため、
感磁部のInGaAsSbにオーミック接触して形成し
た高導電性の部分で、ショートバー電極である。ショー
トバー電極は、通常、動作層とオーミック接触できる金
属薄膜で作られ、多層でも単層でもよい。本発明におい
ては、InAsSb薄膜2にSi等のドナーアトム12
をドーピングしてもよい。また、本発明においては、動
作層上に形成される電極および配線部の最上面は、金で
なくてもよい。
【0069】図7は、3個の外部接続用電極を有する本
発明の3端子の磁気抵抗素子の平面図を示す。基板1上
にInGaAsSb薄膜2、外部接続のための電極5が
形成されている。6は磁気センサーとして磁界を検出す
るための感磁部を示す。10は、InGaAsSb薄膜
の磁気抵抗効果を大きくするため、感磁部のInGaA
sSbにオーミック接触して形成した高導電性の部分
で、ショートバー電極である。
【0070】電極5(51および53)に一定電圧を加
え、磁界を加えると電極5(52)の出力端子の電位が
磁界の大きさに応じて変動し、磁界を検出することがで
きる。
【0071】図8は、本発明の磁気センサーの別の態様
の磁気抵抗素子を示す。図8(a)は磁気抵抗素子の平
面図であり、図8(b)は(a)のα−α′の線で切っ
たときの断面図である。本態様の磁気抵抗素子は、4個
の磁気抵抗素子部を一平面上にブリッジ状に配置して接
続してある。図8(a),図8(b)において、基板1
上にInGaAsSb薄膜2が形成されており、この薄
膜2の上に金属のショートバー電極10が形成されてい
る。外部と接続するための電極5と磁気抵抗素子部とは
配線部4で接続されており、パッシベーション層として
必要に応じてしばしば形成される無機質薄膜は、磁気抵
抗素子を保護する保護膜11である。感磁部6である4
個の磁気抵抗素子部61,62,63,64は、図6に
示すように、ブリッジ状に配置されているので、隔辺の
位置関係にある2個の磁気抵抗素子部(61と63,6
2と64)は、同一強度の磁界を同時に垂直方向に受け
ることができるようになっている。なお、本発明におい
て、「ブリッジ状に接続されている」とは、磁気抵抗素
子部がブリッジ状に接続されている場合だけでなく、基
板の外で接続されて磁気抵抗素子部が回路上ブリッジ状
に配置されたことになる場合も、含まれる。磁気抵抗効
果素子部21およびショートバー電極10は、磁気抵抗
素子部6(61,62,63,64)を構成する。磁気
抵抗効果は、ショートバー電極間の磁気抵抗素子部6
(61,62,63,64)の形状に依存し、その磁気
抵抗効果素子部の電流進行方向の縦(L)と横幅(W)
の長さの比(L/W)が小さいほど抵抗変化率が大きく
なる。
【0072】磁気抵抗素子部(感磁部)6を接続する配
線部4は、交差せず、単層のみからなる構成でもよい
が、電極5(51,52,53,54)の配置される位
置によっては、配線部の長さを短くするために、少なく
とも1ヶ所で配線部を交差させる立体的な多層構成とし
てもよい。
【0073】また、隣り合う磁気抵抗素子部の接続点か
ら外部接続電極までの配線部の抵抗値は、それぞれ等し
くなるように形成することが、オフセット電圧を少なく
する上で好ましい。なお、配線部の抵抗値は、磁気抵抗
素子部の室温の抵抗値と比較して1%以下、さらには、
0.5%以下であることが好ましい。
【0074】磁気抵抗素子部のInGaAsSb薄膜
は、膜厚が薄いほど望ましい。それは、膜厚が薄いほ
ど、素子抵抗を大きくすることができ、また、同じ素子
抵抗でもチップサイズを小さくすることができ、さら
に、製作時間も短縮できるため、コスト上で有利になる
からである。膜厚は7ミクロン以下が望ましく、さらに
5ミクロン以下が望ましく、さらに3ミクロン以下が望
ましく、さらに2ミクロン以下が特に望ましく、さらに
1ミクロン以下は、最も高いシート抵抗が得られ、チッ
プサイズも最小にでき、最も望ましい。本発明では、特
に中間層を設けることによる効果により、0.5ミクロ
ン以下でも物性変動の少ない良好な特性の素子を製作す
ることができる。
【0075】さらには、磁気抵抗素子部のInSb薄膜
は、シート抵抗値のばらつきが、標準偏差で5%以内と
することが好ましい。
【0076】本発明においては、強磁性体片または強磁
性材料からなる歯車の歯などを高感度検出するために、
磁気を検出する磁気抵抗素子部に一様なバイアス磁界を
加えることとし、そのために、永久磁石片が素子基板に
近接または接しておかれた構造をとることも、好ましく
行われる。
【0077】図9は、本発明の磁気抵抗素子18を、ア
ナログ増幅部15、シュミットトリガ16および出力部
17を備えたシリコン集積回路チップの制御回路部14
と一緒にパッケージした状態を示す。これも本発明の磁
気センサーに含まれる。ここで、制御回路部14とは、
差動増幅の回路と磁気センサーを駆動するための電源回
路とを少なくとも有する制御回路を意味し、小型である
ことが好ましく、特に、シリコン集積回路チップとして
製作されることが好ましい。本発明の磁気抵抗素子18
と一緒にパッケージされることもしばしば行われ、これ
も本発明の磁気センサーである。
【0078】
【実施例】(実施例1)以下のようにしてホール素子を
製造した。
【0079】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Sn等の材料の蒸気圧を個別に制
御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)を複数
個備える。この薄膜製作装置は、前記各材量の蒸気圧の
時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装置による基
板の加熱プログラムに従って基板上に均一に所望の材料
の単結晶成長を行うことが出来る。上記の機能に加え
て、さらに、必要に応じてSiやSn等のドナー不純物
を蒸気圧制御を時系列的に行い、成長中の薄膜の所望の
部分のみに、定められた濃度で、かつ、結晶成長中にド
ーピングできるドープ手段を備えている。かかる構成の
薄膜製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部に使用
する材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な分子線
エピタキシー装置:以下、単にMBE装置と略記するこ
ともある)を用いる。本装置により、本発明の磁気セン
サの感磁部を構成する化合物半導体の薄膜は、下記のよ
うな条件で製作される。
【0080】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、基板加熱ヒーターの指示温度550℃
(基板温度420℃)で、60分間かけて厚さ1.0ミ
クロンのInSb薄膜を形成した。基板加熱ヒーターの
指示温度500℃に低下させ、さらに、Alのクヌード
センセルのシャッターを開けて、アルミニウムを蒸発さ
せ、引き続いて12分間結晶成長をさせることにより、
その上に中間層として、0.2ミクロンのAl0.2In
0.8Sbの化合物半導体層を形成した。この様にして、
0.2ミクロンのAl0.2In0.8Sbの化合物半導体層
の下部に形成されたInSb薄膜の電子移動度は、5
7,000cm2/Vsecであり、電子濃度は2×1016
/cm3であった。
【0081】次いで、下記の工程で磁気センサーを製作
した。中間層およびInSb薄膜を所望のパターンに形
成するため、フォトリソグラフィー工程によりレジスト
膜を形成し、イオンミリングによるドライエッチングし
た後、塩化第二鉄を含む溶液により中間層およびInS
b薄膜をエッチングした。次に、レジストを剥離した
後、外部と接続するためのボンディング電極を形成する
ため、電極部を残してそれ以外の部分にレジストパター
ンをフォトリソグラフィー工程により形成した。つい
で、イオンミリングにより電極部の中間層をエッチング
除去し、InSbを露出した。次に、再度、レジストを
剥離した後、InSbが露出した電極部を残してそれ以
外の部分にレジストパターンをフォトリソグラフィー工
程により形成した。その後、基板の全面にCuとNi、
次いでAuを順次蒸着した。次に、レジストと、その上
の金属層を除去するリフトオフ工程により、レジストパ
ターンとその上に蒸着した金属層とを除去して、複数個
の外部接続のためのボンデング電極部を製作した。次
に、プラズマCVD法により基板全面に窒化シリコンの
保護膜0.3ミクロンを形成した。次に、外部と接続す
るためのボンディング電極部の窒化シリコンを除去する
ため、電極を形成する部位の窒化シリコンのみを、反応
性イオンエッチングで除去して窓開けを行い、電極部の
金層を露出した。
【0082】この様にして、ボンディング電極部分の表
面に金層が形成されてなる、図3(a),(b)に示す
ような、本発明のホール素子を一枚の基板上に多数個製
造した。
【0083】得られたホール素子の特性を測定したとこ
ろ、室温下における素子抵抗値は110オームであっ
た。1Vの電圧を入力電極に加えた時の出力側のオフセ
ット電圧の値は、0.1±2.2mVで極めて小さいこ
とが分かった。ここで、オフセット電圧とは、磁界を印
加しない場合において、入力端子間に1V印加したとき
の出力端子間の電圧を意味する。素子の抵抗の温度変化
率は、−2%/℃であった。また、1Vの入力電圧で
0.1テスラの磁束密度の磁界で得られたホール電圧
は、260mVであった。
【0084】本発明の薄膜磁気センサーは、上記のよう
なフォトリソグラフィーを応用した、ウェハープロセス
で容易に製作でき、量産性があり、歩留まりも高い。さ
らに、薄膜の感磁部の膜厚が小さいため、抵抗値が室温
で100オーム以上あり、消費電力も小さい。
【0085】さらに、外部リードとの接続は、電極がC
u/Ni/Auの三層から構成されており、量産性のあ
る標準的な金ワイヤーによるワイヤーボンディングが可
能である。得られたホール素子は、ボンディング後のパ
ッケージが樹脂モールドまたは細い金属パイプなどに埋
め込まれてセンサーとして仕上げられることもよく行わ
れる。さらに、本素子の差動出力信号を増幅する(デジ
タル増幅する)制御回路と一緒にパッケージされること
も行われる。その際、SiのICで制御回路を製作する
ことも好ましく行われる。
【0086】(比較例1)実施例1において、中間層を
形成しなかった以外は実施例1と同様にして、中間層を
持たない比較用のホール素子を製造した。得られたホー
ル素子について、実施例1と同様に特性の測定を行った
ところ、電子移動度の低下に伴う感度低下があり、ホー
ル電圧は205mVであり、中間層を有するホール素子
より約20%低い値であった。
【0087】(実施例2)以下のようにしてホール素子
を製造した。
【0088】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Sn等の材料の蒸気圧を個別に制
御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)を複数
個備えている。この薄膜製作装置は、前記各材量の蒸気
圧の時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装置によ
る基板の加熱プログラムに従って基板上に均一に所望の
材料の単結晶成長を行うことが出来る。そして、この装
置は、上記の機能に加えて、さらに、必要に応じてSi
やSn等のドナー不純物を蒸気圧制御を時系列的に行
い、成長中の薄膜の所望の部分のみに、定められた濃度
で、かつ、結晶成長中にドーピングできるドープ手段を
備えた薄膜製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部
に使用する材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な
分子線エピタキシー装置:以下、単にMBE装置と略記
することもある)である。本装置により、本発明の磁気
センサの感磁部を構成する化合物半導体の薄膜は、下記
のような条件で製作される。
【0089】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、基板加熱ヒーターの指示温度550℃
(基板温度420℃)で60分間かけて厚さ1.0ミク
ロンのInSb薄膜を形成した。基板加熱ヒーターの指
示温度500℃に低下させ、さらに、Alのクヌードセ
ンセルのシャッターを開けて、アルミニウムを蒸発さ
せ、引き続いて12分間結晶成長をさせることにより、
その上に中間層として、0.2ミクロンのAl0.2In
0.8Sbの化合物半導体層を形成した。この様にして、
0.2ミクロンのAl0.2In0.8Sbの化合物半導体層
の下部に形成されたInSb薄膜の電子移動度は、5
7,000cm2/Vsecであり、電子濃度は2×1016
/cm3であった。
【0090】次いで、下記の工程で磁気センサーを製作
した。中間層およびInSb薄膜を所望のパターンに形
成するため、フォトリソグラフィー工程によりレジスト
膜を形成し、イオンミリングによるドライエッチングし
た後、塩化第二鉄を含む溶液により中間層およびInS
b薄膜をエッチングした。次に、プラズマCVD法によ
り基板全面に窒化シリコンの保護膜0.3ミクロンを形
成した。次に、外部と接続するためのボンディング電極
部を形成するため、電極を形成する部位の窒化シリコン
のみを、反応性イオンエッチングで除去して窓開けを行
い、次いで、窓開け部の中間層をドライエッチングによ
り除去した。さらに、窓開け時のレジストを剥離した
後、外部と接続するためのボンディング電極を形成する
ため、窓開け部を残してそれ以外の部分にレジストパタ
ーンをフォトリソグラフィー工程により形成した。その
後、基板の全面にCuとNi、次いでAuを順次蒸着し
た。次に、レジストと、その上の金属層を除去するリフ
トオフ工程によりレジストパターンとその上に蒸着した
金属層とを除去して複数個の外部接続のためのボンデン
グ電極部を製作した。
【0091】この様にして、ボンディング電極部分の表
面に金層が形成されてなる、図3(a),(c)に示す
ような本発明のホール素子を一枚の基板上に多数個製造
した。
【0092】得られたホール素子の特性を測定したとこ
ろ、室温下における素子抵抗値は110オームであっ
た。1Vの電圧を入力電極に加えたときの、出力側のオ
フセット電圧の値は0.1±2.0mVで極めて小さい
ことが分かった。ここで、オフセット電圧とは、磁界を
印加しない場合において、入力端子間に1V印加したと
きの出力端子間の電圧を意味する。素子の抵抗の温度変
化率は−2%/℃であった。また、1Vの入力電圧で
0.1テスラの磁束密度の磁界で得られたホール電圧は
260mVであった。
【0093】本発明の薄膜磁気センサーは、上記のよう
なフォトリソグラフィーを応用した、ウェハープロセス
で容易に製作でき、量産性があり、歩留まりも高い。さ
らに、薄膜の感磁部の膜厚が小さいため、抵抗値が室温
で100オーム以上あり、消費電力も小さい。
【0094】さらに、外部リードとの接続は電極がCu
/Ni/Auの三層から構成されており、量産性のある
標準的な金ワイヤーによるワイヤーボンディングが可能
である。得られたホール素子は、ボンディング後のパッ
ケージが樹脂モールドまたは細い金属パイプなどに埋め
込まれてセンサーとして仕上げられることもよく行われ
る。さらに、本素子の差動出力信号を増幅する(デジタ
ル増幅する)制御回路と一緒にパッケージされることも
行われる。その際、SiのICで制御回路を製作するこ
とも好ましく行われる。
【0095】(比較例2)実施例1において、中間層を
形成しなかった以外は実施例1と同様にして、中間層を
持たない比較用のホール素子を製造した。得られたホー
ル素子について実施例1と同様に特性の測定を行ったと
ころ、電子移動度の低下に伴う感度低下があり、ホール
電圧は201mVであり、中間層を有するホール素子よ
り約20%低い値であった。
【0096】(実施例3)以下のようにしてホール素子
を製造した。
【0097】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Si、Sn等の材料の蒸気圧を個
別に制御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)
を複数個備えている。この薄膜製作装置は、前記各材量
の蒸気圧の時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装
置による基板の加熱プログラムに従って基板上に均一に
所望の材料の単結晶成長を行うことが出来る。この装置
は、上記の機能に加えて、さらに、必要に応じてSiや
Sn等のドナー不純物を蒸気圧制御を時系列的に行い、
成長中の薄膜の所望の部分のみに、定められた濃度で、
かつ、結晶成長中にドーピングできるドープ手段を備え
た薄膜製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部に使
用する材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な分子
線エピタキシー装置:以下、単にMBE装置と略記する
こともある)である。本装置により、本発明の磁気セン
サの感磁部を構成する化合物半導体の薄膜は、下記のよ
うな条件で製作された。
【0098】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、同時に、微量のSiをドーパントとし
てクヌードセンセルから蒸発させ、基板加熱ヒーターの
指示温度550℃(基板温度420℃)において60分
間かけて、厚さ1.0ミクロン、結晶成長中にSiをド
ープしたInSb薄膜を形成した。引き続いて、基板加
熱ヒーターの指示温度を500℃に低下させ、さらに、
Siのクヌードセンセルのシャッターは閉め、Gaの
クヌードセンセルのシャッターを開けて、Gaを蒸発さ
せ、10分間結晶成長をさせることにより、その上に中
間層としてGa0.9In0.1Sb層を厚さ0.15ミクロ
ンとなるように形成した。このようにして0.15ミク
ロンのGa0.9In0.1Sb層の下部に形成された、In
Sb薄膜の電子移動度は35,000cm2/Vsecであ
り、電子濃度は7×1016/cm3であった。
【0099】この薄膜を動作層に使ったホール素子を製
作するため、実施例2と同様にして中間層およびInS
b薄膜を所望のパターンに形成するため、実施例2と同
様の工程を実施した。こうして、動作層のSiをドープ
したInSb薄膜上にGa0.9In0.1Sb層の中間層を
有し、その上に窒化シリコンのパシべーション層を有す
る本発明のホール素子を一枚の基板上に多数個製造し
た。
【0100】得られたホール素子の特性を測定したとこ
ろ、室温下における素子の抵抗値は平均40オームであ
った。1Vの電圧を入力電極(例えば、図3(a)の電
極51、53)に加えた時の、出力側(図3(a)の電
極52、54)に電位差として現れるオフセット電圧の
値は、0.1±1.2mVで極めて小さいことが分かっ
た。また、半導体薄膜の電子移動度が高いので磁界での
感度も大きく、1Vの入力電圧で0.1テスラの磁束密度
の磁界で得られたホール電圧は130mVであった。入
力抵抗の温度変化率は−0.4%/℃であり、不純物を
ドーピングしない実施例1のInSb薄膜を用いた場合
の抵抗の温度変化率−2.0%/℃と比較して、大幅に
温度依存性を低減している。
【0101】(比較例3)実施例3において、中間層を
形成しなかった以外は実施例2と同様にして、中間層を
持たない比較用のホール素子を製造した。得られたホー
ル素子について実施例2と同様に特性の測定を行ったと
ころ、電子移動度の低下に伴う感度低下があり、ホール
電圧は90mVであり、中間層を有するホール素子より
約25%低い値であった。この結果から、中間層の存在
がホール素子の磁界での感度に大きく影響することが分
かった。
【0102】(実施例4)以下のようにしてホール素子
を製造した。
【0103】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Si、Sn等の材料の蒸気圧を個
別に制御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)
を複数個備えている。この薄膜製作装置は、前記各材量
の蒸気圧の時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装
置による基板の加熱プログラムに従って基板上に均一に
所望の材料の単結晶成長を行うことが出来る。この装置
は、上記の機能に加えて、さらに、必要に応じてSiや
Sn等のドナー不純物を蒸気圧制御を時系列的に行い、
成長中の薄膜の所望の部分のみに、定められた濃度で、
かつ、結晶成長中にドーピングできるドープ手段を備え
た薄膜製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部に使
用する材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な分子
線エピタキシー装置:以下、単にMBE装置と略記する
こともある)である。本装置により、本発明の磁気セン
サの感磁部を構成する化合物半導体の薄膜は、下記のよ
うな条件で製作された。
【0104】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、同時に、微量のSnをドーパントとし
てクヌードセンセルから蒸発させ、基板加熱ヒーターの
指示温度550℃(基板温度420℃)において60分
間かけて厚さ1.0ミクロン、結晶成長中にSiをドー
プしたInSb薄膜を形成した。引き続いて、基板加熱
ヒーターの指示温度を500℃に低下させ、さらに、
Siのクヌードセンセルのシャッターは閉め、Gaのク
ヌードセンセルのシャッターを開けて、Gaを蒸発さ
せ、10分間結晶成長をさせることにより、その上に中
間層としてGa0.9In0.1Sb層を厚さ0.15ミクロ
ンとなるように形成した。このようにして、0.15ミ
クロンのGa0.9In0.1Sb層の下部に形成されたIn
Sb薄膜の電子移動度は、37,000cm2/Vsecで
あり、電子濃度は7×1016/cm3であった。
【0105】この薄膜を動作層に使ったホール素子を製
作するため、実施例2と同様にして中間層およびInS
b薄膜を所望のパターンに形成するため、実施例2と同
様の工程を実施した。こうして、動作層のSiをドープ
したInSb薄膜上にGa0.9In0.1Sb層の中間層を
有し、その上に窒化シリコンのパシべーション層を有す
る本発明のホール素子を一枚の基板上に多数個製造し
た。
【0106】得られたホール素子の特性を測定したとこ
ろ、室温下における素子の抵抗値は平均40オームであ
った。1Vの電圧を入力電極(例えば、図3(a)の電
極51、53)に加えたときの、出力側(図3(a)の
電極52、54)に電位差として現れるオフセット電圧
の値は、0.1±1.2mVで極めて小さいことが分か
った。また、半導体薄膜の電子移動度が高いので、磁界
での感度も大きく、1Vの入力電圧で0.1テスラの磁束
密度の磁界で得られたホール電圧は、140mVであっ
た。入力抵抗の温度変化率は−0.4%/℃であり、不
純物をドーピングしない実施例1のInSb薄膜を用い
た場合の抵抗の温度変化率−2.0%/℃と比較して、
大幅に温度依存性を低減している。
【0107】(比較例4)実施例4において、中間層を
形成しなかった以外は実施例2と同様にして、中間層を
持たない比較用のホール素子を製造した。得られたホー
ル素子について実施例2と同様に特性の測定を行ったと
ころ、電子移動度の低下に伴う感度低下があり、ホール
電圧は89mVであり、中間層を有するホール素子より
約25%低い値であった。この結果から、中間層の存在
がホール素子の磁界での感度に大きく影響することが分
かった。
【0108】(実施例5)以下のようにして3端子の磁
気抵抗素子を製作した。
【0109】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Sn等の材料の蒸気圧を個別に制
御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)を複数
個備えている。この薄膜製作装置は、前記各材量の蒸気
圧の時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装置によ
る基板の加熱プログラムに従って基板上に均一に所望の
材料の単結晶成長を行うことが出来る。この装置は、上
記の機能に加えて、さらに、必要に応じてSiやSn等
のドナー不純物を蒸気圧制御を時系列的に行い、成長中
の薄膜の所望の部分のみに、定められた濃度で、かつ、
結晶成長中にドーピングできるドープ手段を備えた薄膜
製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部に使用する
材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な分子線エピ
タキシー装置:以下、単にMBE装置と略記することも
ある)である。本装置により、本発明の磁気センサの感
磁部を構成する化合物半導体の薄膜は、下記のような条
件で製作された。
【0110】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、基板加熱ヒーターの指示温度550℃
(基板温度420℃)で60分間かけて、厚さ1.0ミ
クロンのInSb薄膜を形成した。基板加熱ヒーターの
指示温度500℃に低下させ、さらに、Alのクヌード
センセルのシャッターを開けて、アルミニウムを蒸発さ
せ、引き続いて12分間結晶成長をさせることにより、
その上に中間層として、0.2ミクロンのAl0.2In
0.8Sbの化合物半導体層を形成した。この様にして
0.2ミクロンのAl0.2In0.8Sbの化合物半導体層
の下部に形成されたInSb薄膜の電子移動度は、5
7,000cm2/Vsecであり、電子濃度は2×1016
/cm3であった。
【0111】次いで、下記の工程で磁気抵抗素子を製作
した。中間層およびInSb薄膜を所望のパターンに形
成するため、フォトリソグラフィー工程によりレジスト
膜を形成し、イオンミリングによるドライエッチングし
た後、塩化第二鉄を含む溶液により中間層およびInS
b薄膜をエッチングした。次に、プラズマCVD法によ
り基板全面に窒化シリコンの保護膜0.3ミクロンを形
成した。次に、感磁部に形成する簾状のショートバー電
極および外部と接続するためのボンディング電極部を形
成するため、当該ショートバー部と外部接続のための電
極を形成する部位を除いて、フォトリソグラフィーによ
りフォトレシストのマスクを形成し、レジストのない部
分の窒化シリコンのみを、反応性イオンエッチングで除
去して、窒化シリコンの保護膜に窓開けを行い、次い
で、窓開け部の中間層をドライエッチングにより除去
し、InSbの薄膜を露出した。次に、窓開け時のレジ
ストを剥離した後、再度、窓開け部を残して、それ以外
の部分に、厚さ0.7ミクロン、単部が逆テーパー状に
なったフォトレジストパターンをフォトリソグラフィー
工程により形成した。その後、基板の全面にCu0.2
ミクロン、Ni0.1ミクロン、次いでAu0.2ミク
ロンを順次蒸着した。次に、レジストと、その上の金属
層を除去するリフトオフ工程によりレジストパターンと
その上に蒸着した金属層とを除去した。この様にして、
Au/Ni/Cuの3層の構造を有するショートバー電
極、および、外部接続のためのボンディング電極部(表
面に金層が形成されている)を有する、図7に示すよう
な本発明の3端子の磁気抵抗効果素子(3個の外部接続
のための電極を有する磁気抵抗効果素子)を、一枚の基
板上に多数個製造した。ただし、かかる磁気抵抗素子の
ショートバー電極間の長さLと横幅Wとの比L/W値
は、0.25で製造した。
【0112】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、室温下における素子の抵抗値は810オームであ
った。0.1テスラの磁束密度の磁界における抵抗変化
率は16%であり、磁界における抵抗変化率が大きく感
度が良好であることが分かった。1Vの電圧を入力電極
に加えたときの、出力側のオフセット電圧(中点電位か
らのずれ)の値は0.1±2.1mVであり、極めて小
さいことが分かった。また、単結晶薄膜を使用し、電子
移動度が高いので磁界の抵抗変化率も大きく、また素子
の抵抗の温度変化率は−2.0%/℃であった。
【0113】本素子は、フォトリソグラフィーを応用し
たウェハープロセスで容易に製作でき、量産性があり、
歩留まりも高いことが分かった。また、薄膜の感磁部す
なわち磁気抵抗素子部の膜厚が小さいので、抵抗値が室
温で800オーム以上あり、消費電力も小さかった。
【0114】さらに、外部リードとの接続は量産性のあ
る標準的な金ワイヤーによるワイヤーボンディングが可
能である。得られた磁気抵抗素子は、ボンディング後の
パッケージが樹脂モールドまたは細い金属パイプなどに
埋め込まれてセンサーとして仕上げられることもよく行
われる。さらに、本素子の差動出力信号を増幅する(デ
ジタル増幅する)制御回路と一緒にパッケージされるこ
とも行われる。その際、SiのICで制御回路を製作す
ることも好ましく行われる。これは、回転する歯車の検
出能が高く、回転速度等を検出する磁気センサーとな
る。
【0115】(比較例5)実施例5において、中間層を
形成しなかった以外は実施例5と同様にして中間層を持
たない比較用の3端子の磁気抵抗素子を製造した。得ら
れた磁気抵抗素子について実施例4と同様に特性の測定
を行ったところ、電子移動度の低下による感度の低下が
見られた。すなわち、素子の抵抗値の磁界における変化
率が30%低下した。したがって中間層を有することに
よる効果が素子特性に大きく反映されることが分かっ
た。
【0116】(実施例6)以下のようにして4端子の磁
気抵抗素子を製作した。
【0117】化合物半導体の薄膜製作のために製作され
た超高真空の薄膜製作装置を用いた。この装置の基本構
成は、超高真空の室内に、基板をセットするホルダーと
該基板を一定の温度に加熱できる加熱制御装置を備え、
さらに、In、Sb、Sn等の材料の蒸気圧を個別に制
御できる当該材料の蒸発源(クヌードセンセル)を複数
個備えている。この薄膜製作装置は、前記各材量の蒸気
圧の時系列的な蒸発制御と、さらに、基板加熱装置によ
る基板の加熱プログラムに従って基板上に均一に所望の
材料の単結晶成長を行うことが出来る。この装置は、上
記の機能に加えて、さらに、必要に応じてSiやSn等
のドナー不純物を蒸気圧制御を時系列的に行い、成長中
の薄膜の所望の部分のみに、定められた濃度で、かつ、
結晶成長中にドーピングできるドープ手段を備えた薄膜
製作装置(以下、当該発明で磁気センサー部に使用する
材料の単結晶、混晶薄膜の結晶成長が可能な分子線エピ
タキシー装置:以下、単にMBE装置と略記することも
ある)である。本装置により、本発明の磁気センサの感
磁部を構成する化合物半導体の薄膜は下記のような条件
で製作された。
【0118】すなわち、表面が平滑な半絶縁性のGaA
s基板上を上記MBE装置の基板ホルダーにセットし、
所定の結晶成長室に搬送した。次に、結晶成長室を超高
真空中(2×10-8mbar)に排気した後、InとS
bを結晶成長室内にセットされたクヌードセンセルから
蒸発させ、かつ、基板加熱ヒーターの指示温度550℃
(基板温度420℃)で60分間かけて厚さ1.0ミク
ロンのInSb薄膜を形成した。基板加熱ヒーターの指
示温度500℃に低下させ、さらに、Alのクヌードセ
ンセルのシャッターを開けて、アルミニウムを蒸発さ
せ、引き続いて12分間結晶成長をさせることにより、
その上に中間層として、0.2ミクロンのAl0.2In
0.8Sbの化合物半導体層を形成した。この様にして
0.2ミクロンのAl0.2In0.8Sbの化合物半導体層
の下部に形成された、InSb薄膜の電子移動度は5
7,000cm2/Vsecであり、電子濃度は2×1016
/cm3であった。
【0119】次いで、下記の工程で磁気抵抗素子を製作
した。中間層およびInSb薄膜を所望のパターンに形
成するため、フォトリソグラフィー工程によりレジスト
膜を形成し、イオンミリングによるドライエッチングし
た後、塩化第二鉄を含む溶液により中間層およびInS
b薄膜をエッチングした。次に、プラズマCVD法によ
り基板全面に窒化シリコンの保護膜0.3ミクロンを形
成した。次に、感磁部に形成する簾状のショートバー電
極及び外部と接続するためのボンディング電極部を形成
するため、当該ショートバー部と外部接続のための電極
を形成する部位を除いて、フォトリソグラフィーにより
フォトレシストのマスクを形成し、レジストのない部分
の窒化シリコンのみを、反応性イオンエッチングで除去
して、窒化シリコンの保護膜に窓開けを行い、次いで、
窓開け部の中間層をドライエッチングにより除去し、I
nSbの薄膜を露出した。次に、窓開け時のレジストを
剥離した後、再度、窓開け部を残してそれ以外の部分
に、厚さ0.7ミクロン、単部が逆テーパー状になった
フォトレジストパターンをフォトリソグラフィー工程に
より形成した。その後、基板の全面にCu0.2ミクロ
ン、Ni0.1ミクロン、次いでAu0.2ミクロンを
順次蒸着した。次に、レジストと、その上の金属層を除
去するリフトオフ工程によりレジストパターンとその上
に蒸着した金属層とを除去した。この様にして、Au/
Ni/Cuの3層の構造を有するショートバー電極、お
よび、外部接続のためのボンディング電極部(表面に金
層が形成されている)を有し、4個の磁気抵抗効果を生
ずる素子が、図8に示すようにブリッジ状に接続され、
互いに隔辺の位置関係にある2個の抵抗素子部(互いに
隣り合わない2個の抵抗素子部)が同時に同一の強度の
磁界を垂直に受ける状態で平面上に配置されている構造
の本発明の差動型磁気抵抗素子を一枚の基板上に多数個
製造した。ただし、かかる磁気抵抗素子のショートバー
電極間の長さLと横幅Wとの比L/W値は、0.25で
製造した。
【0120】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、室温下における素子の抵抗値は500オームであ
った。0.1テスラの磁束密度の磁界における抵抗変化
率は16%であり、磁界における抵抗変化率が大きく感
度が良好であることが分かった。1Vの電圧を入力電極
に加えたときの、出力側のオフセット電圧の値は0.1
±1.2mVで極めて小さいことが分かった。また、単
結晶薄膜を使用し、電子移動度が高いので磁界の抵抗変
化率も大きく、また素子の抵抗の温度変化率は−2.0
%/℃であった。
【0121】このような高感度の本発明の磁気抵抗素子
の差動出力をデジタル増幅出来るSiのICの差動デジ
タル増幅器を接続し、一つのパッケージに形成したデジ
タル出力の磁気センサーは、歯車の歯の検出能が非常に
優れていることが分かった。
【0122】(実施例7)以下のようにして3端子の磁
気抵抗素子を製造した。
【0123】表面が平滑な半絶縁性のGaAs基板上
に、Ga0.7Al0.3As0.1Sb0.9の半導体絶縁層を超
高真空中(2×10-8mbar)で、実施例1の記載の
MBE装置により、MBE法で0.3ミクロンとなるよ
うに形成した。ついで、その上に、厚さ0.3ミクロン
のInSb薄膜をMBE法により形成した。ただし、M
BEによる結晶成長と同時にSiをドーピングして薄膜
を形成した。次いで、Al0.9In0.1Sb層を厚さ0.
15ミクロンとなるように形成した。形成されたInS
b薄膜の電子移動度は33,000cm2/Vsec,電子
濃度は7×10 16/cm3であった。実施例5に述べた
工程により、3端子の磁気抵抗素子を一枚の基板上に多
数個製造した。ただし、かかる磁気抵抗素子のショート
バー電極間の長さLと横幅Wとの比L/W値は0.20
で製造した。
【0124】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、室温下における素子の抵抗値は平均320オーム
であった。1Vの電圧を入力電極に加えたときの、出力
側のオフセット電圧の値は0.1±1.2mVで極めて
小さいことが分かった。また、入力電圧1V、0.1テ
スラの磁束密度の磁界での抵抗変化は10%であった。
また、入力抵抗の温度変化率は−0.4%/℃であり、
不純物をドーピングしないInSb薄膜の場合の抵抗の
温度変化率−2.0%/℃と比較して大幅に温度依存性
を低減することができた。また、この場合は、感磁部薄
膜が薄くでき磁気抵抗素子の入力抵抗が高く消費電力が
少ない。
【0125】(比較例6)実施例7において、中間層を
形成しなかった以外は実施例5と同様にして、中間層を
持たない比較用の3端子の磁気抵抗素子を製造した。得
られた磁気抵抗素子について、実施例5と同様に特性の
測定を行ったところ、電子移動度の低下に伴う感度低下
が約40%あった。また、0.1テスラの磁束密度の磁
界での抵抗変化は6%であった。
【0126】(実施例8)以下のようにして3端子の磁
気抵抗素子を製造した。
【0127】実施例7と同様にして、GaAs基板上に
Ga0.7Al0.3As0.1Sb0.9半導体絶縁層を0.3ミ
クロンとなるように形成した。次いで、InSbとの格
子定数の差を少なくするバッファー層としてAl0.9
0.1Sbを0.10ミクロンとなるように形成した。
その上に、厚さ0.1ミクロンのSiをドーピングした
InSb薄膜および中間層として0.15ミクロンのA
0.9In0.1Sb膜を実施例7と同様にして形成した。
形成されたInSb薄膜の電子移動度は41,000c
2/Vsec,電子濃度は9×1016/cm3であった。
次いで、実施例5に述べた工程により、3端子の磁気抵
抗素子を一枚の基板上に多数個製造した。
【0128】得られた素子の特性を測定したところ、1
Vの電圧を入力電極に加えたときの出力側のオフセット
電圧の値は0.1±1.4mVであり、極めて小さいこ
とが分かった。入力電圧1V、0.1テスラの磁束密度
の磁界での抵抗変化率は14%であった。また、入力抵
抗の温度変化率は−0.5%/℃であり、本発明外の薄
膜の場合の抵抗の温度変化率−2.0%/℃と比較して
大幅に温度依存性を低減することができた。また、この
場合は感磁部薄膜が薄くでき磁気抵抗素子の入力抵抗が
高く消費電力が少ない。
【0129】(比較例7)実施例8において、中間層を
形成しなかった以外は実施例6と同様にして中間層を持
たない比較用の3端子の磁気抵抗素子を製造した。得ら
れた磁気抵抗素子について、実施例6と同様に特性の測
定を行ったところ、電子移動度の低下に伴う感度低下が
約35%あり、0.1テスラの磁束密度の磁界での抵抗
変化は9%以下であった。
【0130】(実施例9)以下のようにして3端子の磁
気抵抗素子を製造した。
【0131】実施例8と同様にして、GaAs基板上
に、厚さ0.3ミクロンのGa0.7Al0.3As0.1Sb
0.9の半導体絶縁層、InSbとの格子定数の差を少な
くする層として0.10ミクロンのAl0.9In0.1Sb
のバッファー層を形成した。ただし、中間層の特定部
分、すなわちInSb薄膜と接する部分で境界面からの
深さが0.003ミクロンまでの部分に結晶成長と同時
にSiをドーピングした。形成された薄膜の電子移動度
は38,000cm2/Vsec,電子濃度は9×1016
cm3であった。次に、中間層およびInSb薄膜等を
所望のパターンに形成するために、実施例5に述べた工
程により、3端子の磁気抵抗素子を一枚の基板上に多数
個製造した。
【0132】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、1Vの電圧を入力電極に加えたときの、出力側の
オフセット電圧の値は0.1±1.4mVであり、極め
て小さいことが分かった。また、入力電圧1V、0.1
テスラの磁束密度の磁界での抵抗変化は12%であっ
た。磁気抵抗素子の入力抵抗の温度変化率は−0.5%
/℃であり、不純物をドーピングしないInSb薄膜の
場合の抵抗の温度変化率−2.0%/℃と比較して大幅
に温度依存性を低減することができた。また、この場合
は、感磁部薄膜が薄くでき、磁気抵抗素子の入力抵抗が
高く、消費電力が少ない。
【0133】(実施例10)実施例5において、ドナー
アトムをSiからSに変更した以外は実施例9と同様に
して、薄膜がSでドーピングされた3端子の磁気抵抗素
子を製造した。
【0134】このとき得られた薄膜の特性は、実施例5
とほぼ同一であった。また、実施例5と同様にして磁気
抵抗素子の特性を測定したところ、室温下における素子
の抵抗値は平均300オームであった。1Vの電圧を入
力電極に加えたときの、出力側のオフセット電圧の値は
0.1±0.2mVであり、極めて小さいことが分かっ
た。磁界での抵抗変化は9%であった。磁気抵抗素子の
入力抵抗の温度変化率は−0.4%/℃であり、−50
℃の入力抵抗値は150℃の抵抗値の5倍以内であっ
た。不純物をドーピングしないInSb薄膜の場合の抵
抗の温度変化率−2.0%/℃と比較して抵抗値の温度
変化を1/5に減少でき、大幅に温度依存性が低減し
た。
【0135】この磁気抵抗素子は、SiのICの制御回
路と一緒にパッケージして増幅回路付きの磁気センサ
ー、デジタル出力の磁気センサーを製造した。得られた
抵抗素子は−50℃から150℃の温度範囲で安定にデ
ジタル高感度磁気センサーとして駆動できた。
【0136】(実施例11)以下のようにして2端子の
磁気抵抗素子を製造した。
【0137】実施例1と同一の、GaAs基板上に電子
移動度55,000cm2/Vsec厚さ1.0ミクロンの
InSb薄膜および厚さ0.2ミクロンのAl0.2In
0.8Sbの中間層を形成した。次いで、中間層およびI
nSb薄膜を所望の図6に示したようなパターンに形成
し磁気抵抗素子を製作するため、実施例5に述べた工程
で、図6に示すような2端子の磁気抵抗素子を一枚の基
板上に多数個製造した。ただし、かかる磁気抵抗素子の
ショートバー電極間の長さLと幅Wとの比L/W値は、
0.20で製造した。
【0138】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、室温下における素子抵抗値は500オームであっ
た。また、単結晶薄膜を使用し、電子移動度が高いので
磁界の抵抗変化率も大きく、0.1テスラの磁束密度下
において、16%の抵抗変化率が得られた。したがっ
て、歯車の歯の検出能が極めて大きいことが分かった。
【0139】本素子は、フォトリソグラフィーを応用し
たウェハープロセスで容易に製作でき、量産性があり、
歩留まりも高いことが分かった。
【0140】さらに、外部リードとの接続は量産性のあ
る標準的な金ワイヤーによるワイヤーボンディングが可
能である。得られた磁気抵抗素子は、ボンディング後の
パッケージが樹脂モールドまたは細い金属パイプなどに
埋め込まれてセンサーとして仕上げられることもよく行
われる。さらに、本素子とSiのIC上に形成した固定
抵抗素子を接続して構成された回路で得られる差動出力
信号を増幅する、デジタル増幅する制御回路と一緒にパ
ッケージされることも行われる。その際、制御回路は、
固定抵抗素子と同じSiのICチップ上に製作すること
も好ましく行われる。
【0141】(比較例8)実施例11において、中間層
を形成しなかった以外は実施例11と同様にして中間層
を持たない比較用の2端子の磁気抵抗素子を製造した。
得られた磁気抵抗素子について実施例9と同様に特性の
測定を行ったところ、素子の磁界における抵抗の変化率
は10%であり、これは実施例11の値の30%減であ
った。
【0142】(実施例12)以下のようにして3端子の
磁気抵抗素子を作製した。
【0143】表面が平滑なNi−Zn系単結晶フェライ
ト基板上にアルミナの薄膜をスパッター法で0.25ミ
クロン形成し、フェライト基板表面を絶縁性の表面とし
た。
【0144】このフェライト基板の絶縁性表面上に、G
0.8Al0.2As0.2Sb0.8の半導体絶縁層を超高真空
中(2×10-8mbar)で、実施例1に記載のMBE
法により0.3ミクロンの厚さとなるように形成した。
次に、その上に、超真空中でInSb薄膜を厚さ0.3
ミクロンとなるようにMBE法で形成した。ただし、M
BE法による結晶成長と同時にSnをドーピングして薄
膜を形成した。形成されたInSb薄膜の電子移動度は
33,000cm2/Vsec,電子濃度は8×1016/c
3あった。次いで、中間層として0.15ミクロンの
Al0.9In0.1Sbを形成した。その後、実施例5に述
べた工程に準じて、3端子の磁気抵抗素子を一枚の基板
上に多数個製造した。
【0145】得られた磁気抵抗素子の特性を測定したと
ころ、室温下における素子の抵抗値は平均320オーム
であった。1Vの電圧を入力電極に加えたときの、出力
側のオフセット電圧の値は0.1±1.2mVで極めて
小さいことが分かった。磁界での感度を調べるために磁
気抵抗効果を調べた。0.1テスラの磁束密度の磁界で
の抵抗変化は9%であった。また、入力抵抗の温度変化
は−0.4%/℃であり、−50℃の入力抵抗値は15
0℃の抵抗値の5倍以内であった。不純物をドーピング
しないInSb薄膜の場合の抵抗の温度変化率−2.0
%/℃と比較して大幅に温度依存性を低減することがで
きた。また、この場合は、感磁部薄膜が薄くでき磁気抵
抗素子の入力抵抗が高く消費電力が少ない。
【0146】この磁気抵抗素子は、SiのICの制御回
路と一緒にパッケージして増幅回路付きの磁気センサ
ー、すなわち、デジタル出力の磁気センサーを製作し
た。得られた磁気抵抗素子は、−50℃〜+150℃の
温度範囲内で安定にデジタル高感度磁気センサーとして
駆動できた。
【0147】(比較例9)実施例12において、中間層
を形成しなかった以外は実施例12と同様にして、中間
層を持たない比較用の3端子の磁気抵抗素子を製造し
た。得られた磁気抵抗素子について実施例12と同様に
特性の測定を行ったところ、磁気抵抗素子は、電子移動
度の低下に伴う感度低下が約30%あり、磁気抵抗効果
による抵抗変化は6%であった。
【0148】以上説明したように、本発明では、中間層
を設けることにより、保護膜の形成による電子移動度の
低下を極めて少なくすることができ、高感度の磁気セン
サーを製造することができた。
【0149】
【発明の効果】本発明により、保護膜を形成しても特性
が低下しない高感度な磁気センサーを実現することがで
きた。これにより、微少磁界の測定が可能で、ギヤ等の
回転角度または高速回転速度等も高感度で検出すること
ができる。
【0150】また、本発明の磁気センサーは、低温度か
ら高温度まで素子の抵抗値の温度変化が少なく、オフセ
ット電圧の変動が少ない。この結果、簡単な駆動回路
で、広い温度範囲を駆動できる磁気センサーが得られ
た。また、高感度で、温度依存性の少ない磁気センサー
を製造することができた。
【0151】本発明においては、感磁部の薄膜がフォト
リソグラフィー工程により作製されるのでパターン精度
がよく、オフセット電圧が小さくなる。また、抵抗の温
度変化を小さくすることができるので、電力供給の増幅
制御を含む駆動回路の負荷電流を少なくして駆動回路の
小型化を図ることができる。その結果、磁気センサーチ
ップと一体化したパッケージとすることが可能であり、
デジタル出力またはリニアー出力が得られる小型の磁気
センサー、いわゆる磁気センサーICとして使用するこ
ともできる。特に、SiのLSIの駆動増幅回路素子と
本発明の磁気センサーとを一体化してパッケージにした
磁気センサーはきわめて汎用性が高く、小型の無接触セ
ンサーとして用途が広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)から(d)は本発明の磁気センサーの感
磁部における薄膜の積層構造を示した断面図である。
【図2】(a)から(c)は本発明の磁気センサーの感
磁部における薄膜の積層構造を示した断面図である。
【図3】(a)は本発明のホール素子の平面図であり、
(b)はホール素子の断面図であり、(c)は磁気セン
サーの製造工程の一部の違いによって生ずる他の例の断
面図である。
【図4】(a)は本発明のホール素子の断面図であり、
(b)はホール素子の断面図であり、(c)は工程の違
いによる他のホール素子の例を示す断面図である。
【図5】本発明のホール素子がリードと接続され、樹脂
パッケージされた状態を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の2端子の磁気抵抗素子の一態様を模式
的に示した図であり、(a)は平面図,(b)は(a)
のB−B’線に沿う断面図である。
【図7】本発明の3端子の磁気抵抗素子の一態様を模式
的に示した図である。
【図8】(a)は本発明の磁気抵抗素子の一態様を示す
平面図であり、(b)は磁気抵抗素子の断面図である。
【図9】シリコン集積回路チップと一緒にパッケージさ
れた状態の磁気センサーの回路図である。
【符号の説明】
1 基板 2 InGaAsSb薄膜(半導体薄膜) 3 半導体絶縁層 4 配線部 5(51,52,53,54) 外部接続のための電極 6 感磁部 7 ボンディングの金線 8 リード 9 パッケージの樹脂 10 ショートバー電極 11 保護膜 12 ドーピングされたドナーアトム 13 中間層 14 制御回路部(通常SiICチップで製作する) 15 アナログ増幅部 16 デジタル増幅部(シュミットトリガ) 17 出力トランジスタ(出力部) 18 磁気抵抗素子 20 ホール素子 21 磁気抵抗効果素子部 30 バリヤー層(バッファー層) 61,62,63,64 磁気抵抗素子部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01B 7/00 G01R 33/06 R

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、InxGa1-xAsySb1-y(0
    <x≦1,0≦y≦1)薄膜を含む動作層と、該動作層
    上に接するように形成されている絶縁性もしくは高抵抗
    の半導体の中間層と、絶縁性無機質からなる保護層とを
    前記の順に有することを特徴とする薄膜磁気センサー。
  2. 【請求項2】 前記中間層が前記動作層の格子定数と近
    似した格子定数を有することを特徴とする請求項1に記
    載の薄膜磁気センサー。
  3. 【請求項3】 前記中間層が前記InxGa1-xAsy
    1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を構成する元素
    の少なくとも1種類以上の元素を含む組成であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の薄膜磁気センサ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記動作層において該動作層を構成する
    前記InxGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦
    1)薄膜の上にバリヤー層が形成されていることを特徴
    とする請求項1または2に記載の薄膜磁気センサー。
  5. 【請求項5】 前記中間層が前記バリヤー層を構成する
    元素の少なくとも1種類以上の元素を含む組成であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の薄膜磁気センサー。
  6. 【請求項6】 前記中間層は前記InxGa1-xAsy
    1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜のバンドギャッ
    プより大きいバンドギャップを有し、かつ前記Inx
    1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の
    電子移動度より小さい電子移動度を有することを特徴と
    する請求項1から5のいずれかに記載の薄膜磁気センサ
    ー。
  7. 【請求項7】 前記中間層が前記バリヤー層の格子定数
    と近似した格子定数を有する半導体絶縁層または高抵抗
    層であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに
    記載の薄膜磁気センサー。
  8. 【請求項8】 前記InxGa1-xAsySb1-y(0<x
    ≦1,0≦y≦1)薄膜の膜厚が5ミクロン以下である
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の薄
    膜磁気センサー。
  9. 【請求項9】 前記InxGa1-xAsySb1-y(0<x
    ≦1,0≦y≦1)薄膜の膜厚が1ミクロン以下である
    ことを特徴とする請求項8に記載の薄膜磁気センサー。
  10. 【請求項10】 ホール素子であることを特徴とする請
    求項1から9のいずれかに記載の薄膜磁気センサー。
  11. 【請求項11】 磁気抵抗素子であることを特徴とする
    請求項1から9のいずれかに記載の薄膜磁気センサー。
  12. 【請求項12】 前記InxGa1-xAsySb1-y(0<
    x≦1,0≦y≦1)薄膜がSi、Te、S、Sn、G
    eおよびSeからなる群の少なくとも1種類のドナーア
    トムを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれ
    かに記載の薄膜磁気センサー。
  13. 【請求項13】 前記中間層がSi、Te、S、Sn、
    GeおよびSeからなる群から選ばれる少なくとも1種
    類のドナーアトムを前記動作層との界面に近接して含む
    ことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の
    薄膜磁気センサー。
  14. 【請求項14】 前記InxGa1-xAsySb1-y(0<
    x≦1,0≦y≦1)薄膜は、該薄膜の−50℃におけ
    る抵抗値が150℃における抵抗値の15倍以内である
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の
    薄膜磁気センサー。
  15. 【請求項15】 磁気センサー出力を増幅する回路と磁
    気センサーを駆動するための電源回路とを有する制御回
    路が一緒にパッケージされていることを特徴とする請求
    項1から14のいずれかに記載の薄膜磁気センサー。
  16. 【請求項16】 表面が平滑な基板上にInxGa1-x
    ySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を形成する
    工程と、該薄膜上に中間層を形成する工程と、該薄膜お
    よび該中間層を所望のパターンに形成する工程と、形成
    されたパターンの上に所望の形状の薄い金属薄膜を形成
    する工程と、該パターンおよび該金属薄膜の上に絶縁性
    無機質からなる保護層を形成する工程と、外部と接続す
    るための電極を複数個形成する工程と、該電極を前記I
    xGa1-xAsySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄
    膜の端部に接続する工程と、を含むことを特徴とする薄
    膜磁気センサーの製造方法。
  17. 【請求項17】 表面が平滑な基板上にInxGa1-x
    ySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜を形成する
    工程と、該薄膜上にバリヤー層を形成する工程と、該バ
    リヤー層上に該バリヤー層と物性値が近似する中間層を
    形成する工程と、該薄膜、バリヤー層および該中間層を
    所望のパターンに形成する工程と、形成されたパターン
    の上に所望の形状の薄い金属薄膜を形成する工程と、該
    パターンおよび該金属薄膜の上に絶縁性無機質からなる
    保護層を形成する工程と、外部と接続するための電極を
    複数個形成する工程と、該電極を前記InxGa1-xAs
    ySb1-y(0<x≦1,0≦y≦1)薄膜の端部に接続
    する工程と、を含むことを特徴とする薄膜磁気センサー
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 磁気センサー出力を増幅する回路と磁
    気センサーを駆動するための電源回路とを有する制御回
    路を一緒にパッケージする工程を含むことを特徴とする
    請求項16または17に記載の薄膜磁気センサーの製造
    方法。
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