JP2012204539A - 磁気抵抗素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気抵抗素子の出力を低下させずに耐環境性の向上を図る。
【解決手段】GaAs単結晶基板(11)上に、SnドープInSb薄膜(12a)をエピタキシャル成長させ(図2(a))、InSb薄膜(12a)をメサエッチングして感磁部12を形成し、さらに、感磁部12の上に、保護膜16として窒化シリコン薄膜を形成する(図2(b))。短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成する部分の窒化シリコン薄膜(12a)を除去し(図2(c))、真空蒸着法により、各電極13〜15を蒸着し、リフトオフ法で短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成した。これら電極は、Ti/Pt/Auの積層構造とし、Ti/Pt/Au=100nm/20nm/450nmとした。そして、感磁部(12)および短絡電極13を含む全面に軟樹脂層17としてゴム系樹脂を形成した(図2(d))。
【選択図】 図2

Description

本発明は、外部磁場強度を検知する磁気抵抗素子に関する。
一般に、磁気抵抗素子は、素子の入力端子間にバイアスをかけ、周囲の磁界の変化に応じて素子内を流れるキャリアの行路が変化することで、出力端子に起電力が生じたり、素子の抵抗値が変化したりすることでの磁界強度の測定を行う素子である。
この磁気抵抗素子の用途としては、紙幣などに代表されるような磁気印刷物の磁気パターンを検出する素子、強磁性体からなる歯車の回転を検出する素子などがある。
磁気抵抗素子の磁気抵抗効果は、次式(1)、(2)で表すことができる。
(ΔR/R0)∝(μ×B)2:低印加磁界時 ……(1)
(ΔR/R0)∝(μ×B) :高印加磁界時 ……(2)
なお、(1)、(2)式中のΔR=RB−R0であり、RBは磁界中での抵抗値、R0は無磁界での抵抗値である。また、μは電子移動度、Bは印加磁界である。ΔR/R0は磁気抵抗素子の感度に相当し、低磁場中では電子移動度μの2乗に比例し、高磁場中では電子移動度μに比例する。よって、磁気抵抗素子では、より高い感度(ΔR/R0)を得るために、電子移動度μの高いInSbのバルクや、真空蒸着法により形成した薄膜などが用いられている。
磁気抵抗素子では一般に、基板上に化合物半導体薄膜がミアンダ状に形成され、その上に短絡電極が複数形成されている。また、外部との電気的接続を行うための取り出し電極を備え、この取り出し電極に外部端子を接続することによって、外部との電気的接続が行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2005−327859号公報 特開平9−8379号公報 特開平10−209520号公報
近年、産業ロボットの小型化に伴い、回転媒体、さらにはセンサーである磁気抵抗素子が、各デバイスの発熱環境にさらされるなど、過酷な環境条件下で使用されうる状況となってきた。また、室温での動作のみならず、高温環境下、例えば125℃での安定動作も合わせて要求されている。
しかしながら、従来の磁気抵抗素子は、このような非常に厳しい環境下では、短絡電極が半導体層に拡散し、素子特性の劣化などが生じ、その結果、要求される環境下での信頼性要求に対して十分応えることが困難であるという問題がある。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造が容易で、磁気抵抗素子の出力を低下させずに耐環境性の向上を図ることの可能な磁気抵抗素子を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる磁気抵抗素子は、基板上に形成された薄膜状半導体層からなる感磁部と、前記感磁部の少なくとも2つの端部に形成された入出力電極と、前記感磁部上に形成された複数の短絡電極と、を備えた磁気抵抗素子において、前記短絡電極は、金属層と、当該金属層および前記感磁部間に設けられ前記金属層を形成する材料の前記感磁部への拡散を防止するためのPt層との積層構造からなることを特徴としている。
請求項2にかかる磁気抵抗素子は、前記薄膜状半導体層は、InAsySb(1-y)(0≦y≦1)からなる薄膜であることを特徴としている。
請求項3にかかる磁気抵抗素子は、前記短絡電極は、前記感磁部側からTi、Pt、AuまたはTi、Pt、Alの順に積層された積層構造であることを特徴としている。
請求項4にかかる磁気抵抗素子は、前記Pt層の厚みは、5〜100nmであることを特徴としている。
請求項5にかかる磁気抵抗素子は、前記基板は、Si基板またはGaAs基板であることを特徴としている。
本発明の磁気抵抗素子によれば、短絡電極を、金属層と、当該金属層と前記感磁部との間に設けられるPt層との積層構造で形成したため、金属層を形成する材料が前記感磁部を形成する薄膜状半導体層に拡散することを防止することができる。
したがって、周囲環境の変化に伴う、金属層を形成する材料の、薄膜状半導体層への拡散を抑制することができ、すなわち、この拡散によって化合物半導体膜に欠陥が生じ、その結果、磁気抵抗素子の抵抗が増加することを回避することができる。そのため、磁気抵抗素子の環境変化に対する特性変化を抑制することができ、すなわち、耐環境性の向上を図ることができ、結果的に磁気抵抗素子の信頼性の向上を図ることができる。
本発明の磁気抵抗素子の一例を示す構成図である。 本発明の磁気抵抗素子の製造工程の一例を示す工程図である。 高温放置試験の試験後における磁気抵抗素子の断面図である。 PCT試験の結果の一例であって(a)はPt=20nmのとき、(b)はPtを含まないときの結果である。 170℃の高温放置試験の結果の一例であって、(a)はPt=20nmのとき、(b)はPtを含まないときの結果である。 190℃の高温放置試験の結果の一例であって、(a)はPt=20nmのとき、(b)はPtを含まないときの結果である。 Pt=10nmのときの試験結果の一例であって、(a)はPCT試験の結果の一例、(b)は170℃の高温放置試験の結果の一例である。 Pt=5nmのときの試験結果の一例であって、(a)はPCT試験の結果の一例、(b)は170℃の高温放置試験の結果の一例である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、複数の図面において同一の符号は同一物を表し、その繰り返しの説明は省略する。
図1の(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗素子1を示したものである。
この磁気抵抗素子1は、図1(a)に示すように、絶縁基板11上でミアンダ状に形成された、抵抗値が磁界によって変化する化合物半導体膜12aから成る3列の感磁部12と、感磁部12上に形成された複数の短絡電極13とを備える。また、外部との電気的接続を行うための2つの取り出し電極14を備え、この取り出し電極14に外部端子を接続することによって、外部との電気的接続が行われる。なお、図1中の15は接続電極、16は感磁部12を形成する化合物半導体膜12aを保護するための保護膜であって電極部分を除く領域に形成されている。
磁気抵抗素子1の感磁部12を構成する化合物半導体膜12aは、InSbやInAsのバルク、あるいは、InSb、InAs、またはInAsySb(1-y)(0≦y≦1)、InaAlbGa(1-a-b)AsxSb(1-x)(0≦a+b≦1、0≦x≦1)からなる薄膜であることが好ましいが、本発明においては、化合物半導体であれば良く、その構成元素を限定するものではない。
化合物半導体膜12aの膜厚は通常、0.1〜10μmである。また、Siや、Sn、S、Se、Te、Ge、またはCなどの不純物をドープしたものであっても良い。
化合物半導体膜12aが薄膜である場合、薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法や分子線エピタキシー(MBE)法などが好ましいが、必ずしもこれらの形成方法でなくても良い。
取り出し電極14および接続電極15は、蒸着法、スパッタ法、またはめっき法などを用いて形成され、Cu、Al、Au単層、または、Ti/Au、Ni/Au、Cr/Cu、Cu/Ni/Au、Ti/Au/Ni、Cr/Au/Ni、Cr/Ni/Au/Ni、NiCr/Auの積層などとしても良い。また、後述の短絡電極13と同様に、Ti/Pt/Au、またはTi/Pt/Alなどの、バリア層としてPtを含んだ積層構造で形成してもよい。
なお、例えば「Ti/Au」との記載は、Tiが下層でありAuが上層であることを表し、すなわち左側にある金属ほど下層の金属であることを表す。また、取り出し電極14と接続電極15とは、必ずしも同じ電極構造でなくても良い。
一方、短絡電極13は、蒸着法、スパッタ法、またはめっき法などを用いて形成され、Ti/Pt/Au、またはTi/Pt/Alなどの、バリア層としてPtを含んだ積層構造で形成される。
化合物半導体膜12aを保護するための保護膜16は、一般的には絶縁性無機質材料であることが好ましい。保護膜16には、例えば、窒化シリコンや酸化ケイ素等の薄膜を、プラズマCVD法等により150〜500nm程度形成したものが用いられるが、本発明においては、保護膜16の有無、種類、および膜厚を規定するものではない。
そして、このようにして形成した磁気抵抗素子1において、図1(b)に示すように、素子外部に形成されるモールド樹脂による、化合物半導体膜12aからなる感磁部12や各短絡電極13への圧力や面内応力を緩和する目的で、感磁部12および短絡電極13上を覆うように軟樹脂層17が形成されることが多い。この軟樹脂層17には、一般的に、1〜300μmのシリコン系樹脂や、1〜10μm厚のゴム系樹脂が用いられるが、本発明においては、軟樹脂層17の有無、種類、および膜厚を規定するものではない。
次に、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗素子1の製造方法について説明する。
図2(a)〜(e)は、2端子の磁気抵抗素子1の製造プロセスフローを示す図であって、図1(a)のA−A′断面図である。製造プロセスには、通常のフォトグラフィーの技術を用いることができる。
まず、図2(a)に示されるように、まず絶縁基板11上に化合物半導体膜12aを成膜する。前記絶縁基板11としては、例えば厚さ625μmのGaAs基板を適用することができる。また、絶縁基板11として、Si基板を適用することもできる。
前記化合物半導体膜12aとして例えばInSb膜を成膜する。
次に、図2(b)に示されるように、化合物半導体膜12a上に、感磁部12形成用のマスクパターンを露光・現像し、その後、化合物半導体膜12aを、塩酸・過酸化水素系のエッチング液で所望の形状にメサエッチングして、絶縁基板11上に感磁部12を形成する。感磁部12の形成方法は、ドライ方式でも良く、塩酸・過酸化水素系以外のエッチング液を用いてもよい。
そして、保護膜16としての窒化シリコン膜を、プラズマCVD法により感磁部12の上に例えば、150nm程度形成する。
次いで、図2(c)に示されるように、感磁部12上の、短絡電極13を形成する部分の保護膜16としての窒化シリコン膜を、短絡電極13を形成する部分よりも狭い範囲で反応性イオンエッチング装置を用いて除去すると共に、取り出し電極14および接続電極15を形成する部分の窒化シリコン膜(保護膜16)を除去する。
次いで、フォトリソグラフィー、リフトオフ法を用いて、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成する。
前記取り出し電極14および接続電極15は、前述のように、蒸着法、スパッタ法、またはめっき法などを用いて形成し、例えば、Cu、Al、Au単層或いは、前述のようにこれらを含む積層に形成される。
前記短絡電極13は、前述のように、Ti/Pt/Au、またはTi/Pt/Alなどの、バリア層としてPtを含んだ積層構造で形成される。
最後に、図2(d)に示されるように、感磁部12および短絡電極13全面を覆うように、軟樹脂層17をフォトリソグラフィーにより形成する。
これにより、2つの入出力用の取り出し電極(端子電極)14を有し、各取り出し電極14間に複数の短絡電極13を有する2端子構成の磁気抵抗素子1を、フォトリソグラフィーを応用して作成することができる。
図3は、短絡電極13をTi/Pt/Auからなる積層構造で形成した場合(図3(a))と、Ti/Auからなる積層構造で形成した場合(図3(b))とについて、それぞれ190℃の温度環境下に750時間放置した場合の、短絡電極13部分の素子の断面図である。
図3(b)に示すように、短絡電極13をTi/Auからなる積層構造で形成した場合には、Au層がInSbからなる化合物半導体膜12aに拡散し、化合物半導体膜12aに空洞a1が生じるなどの欠陥が生じ、その結果、磁気抵抗素子1の抵抗が増加して磁気抵抗素子1の特性が劣化することになる。
これに対し、図3(a)に示すように、短絡電極13をTi/Pt/Auからなる積層構造で形成した場合には、InSbからなる化合物半導体膜12aに劣化は生じていないことが確認できた。
つまり、短絡電極13を構成する積層構造中にPt層を設けることによって、Ti層だけでなくPt層もバリア層として機能するため、短絡電極13を構成するAu層が化合物半導体膜12aに拡散することを防止することができることになる。
したがって、化合物半導体膜12aに欠陥などが生じることを回避することができるため、結果的に、磁気抵抗素子の特性劣化を防止することができる。
ここで、別途Pt層を設けるのではなく、Ti層を厚くしTi層のバリア層としての機能を十分発揮させることで、化合物半導体膜12aへのAu層の拡散を防止することも考えられる。しかしながら、Ti層を厚くすると、化合物半導体膜12aへの拡散を防止することができる反面、抵抗値が大きくなり、磁気抵抗素子1としての感度が低下してしまう。
これに対し、Pt層を設けた場合には抵抗値の増加を抑制しつつ、且つ化合物半導体膜12aへの拡散を防止することができる。そのため、短絡電極13を、Pt層を含む積層構造からなる電極で構成することによって、耐環境性が高い磁気抵抗素子1を提供することができ、磁気抵抗素子1の信頼性向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、2端子の磁気抵抗素子を用いて説明を行ったが、本発明においては、端子数を規定するものではなく、例えば3端子或いは4端子であっても良い。また、化合物半導体膜12aを形成する化合物半導体は閃亜鉛鉱構造の化合物半導体であればよく、バルクであっても良い。また、各電極13〜15を形成した後に保護膜16を形成しても良く、保護膜16の種類は窒化シリコンでなくても良い。
保護膜16を除去する方法は、反応性イオンエッチングではなく、他のドライエッチングやウエットエッチング方式であっても良い。
また、取り出し電極14および接続電極15と短絡電極13とは2度に分けて形成しても良い。また、取り出し電極14および接続電極15と短絡電極13とは異なる電極材料で形成してもよく、また、取り出し電極14と接続電極15とも異なる電極材料で形成してもよい。
ここで、化合物半導体膜12aが薄膜状半導体層に対応し、取り出し電極14が入出力電極に対応し、短絡電極13を形成するAu層が金属層に対応している。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15として、Ti/Pt/Auの積層構造からなる電極を形成したものである。
すなわち、まず、厚さ0.63mmの半絶縁性GaAs単結晶基板(11)上に、分子線エピタキシー法を用いてSnドープInSb薄膜(12a)をエピタキシャル成長させた(図2(a))。
次に、GaAs基板(11)上に成膜したInSb薄膜(12a)の表面にフォトレジストを均一に塗布し、露光・現像した後に、塩酸・過酸化水素系のエッチング液でメサエッチングし、InSb薄膜(12a)からなる感磁部12を形成した(図2(a))。
感磁部としてのInSb薄膜(12a)の上に、保護膜16として窒化シリコン薄膜をプラズマCVD法で150nm形成した(図2(b))。
その後、再度フォトレジストを塗布した後に、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成する部分の窒化シリコン薄膜(12a)を、CF4ガスにより反応性イオンエッチング装置を用いて除去した(図2(c))。
続いてフォトレジストを塗布して、露光・現像を行って、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成するための電極形成用のフォトマスクを形成した。
次に、真空蒸着法により、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を蒸着し、リフトオフ法で短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15を形成した。これら電極は、Ti/Pt/Auの積層構造とし、1層目のTiを形成後、真空中で引き続き2層目のPtを形成し、真空中で引き続き3層目のAuを形成した。各電極13〜15の厚さは、Ti/Pt/Au=100nm/20nm/450nmとした。
次に、モールド樹脂による圧力や面内応力を緩和するために、感磁部(12)および短絡電極13を含む全面に軟樹脂層17としてゴム系樹脂を形成した(図2(d)
)。
このようにして、前記図2と同様の手順で、化合物半導体膜12aを感磁部12とし、半導体感磁部(12)の列が1素子あたり8列であり、取り出し電極14間に複数の短絡電極13を有する4端子の磁気抵抗素子1を複数製作した。
次にこのようにして製作した磁気抵抗素子1に対し、これらを評価するための試験を行った。この試験は次の手順で行った。
すなわち、裏面研削によって、GaAs基板(11)を所定の厚さに研磨し、リードフレーム上に接着剤で接着した後に、プラスチックパッケージでモールドした。
特性変化を評価するため、加速試験としてPCT(Pressure Cooker Test)試験を行った。このPCT試験は、雰囲気温度121℃、湿度100%、2atmの条件下で行い、印加電圧Vc=5Vとして中点電位を測定した。なお、ここでいう中点電位とは、直列に接続された2つの磁気抵抗素子の接続点の電位をいう。また、無磁界時における実際の中点電位と、無磁界時における印加電圧Vcより理論上決定される中点電位Vc/2との差をVoffといい、その変動量をΔVoffという。
その結果、図4(a)に示すように、試験時間が500時間に達した場合であっても、中点電位の変動量(Voff変動量)は約±2.5mV以内となり、標準偏差σは1.2mVであって、Voff変動量は比較的小さく良好な結果を得られることが確認できた。なお、図4の(a)および(b)において、横軸は試験時間、縦軸はVoff変動量(ΔVoff)である。なお、図4(b)は比較例であって後述する。
また、特性変化を評価するための別の試験として、170℃の温度環境下で1200時間の高温放置試験を行い、抵抗R0を測定した。なお、ここでいう、抵抗R0とは無磁界時における抵抗であり、抵抗R0の変動率をΔR0という。
その結果、図5(a)に示すように、抵抗の変動率(ΔR0)は略零近傍を維持し、1000時間経過した時点での抵抗の変動率(ΔR0)は、平均“0.0%”、標準偏差σは“0.4%”であって、変動量は小さく良好な結果を得られることが確認できた。同様に、190℃の温度環境下で1200時間での高温放置試験を行った。その結果、図6(a)に示すように、磁気抵抗素子の抵抗の変動率(ΔR0)は多少負値に変化してはいるものの、1000時間経過した時点での抵抗の変動率(ΔR0)は、平均“−1.8%”、σは“0.2%”となり、変動量は十分小さいことが確認できた。
なお、図5および図6において、横軸は試験時間、縦軸は、抵抗の変動率(ΔR0)である。なお、図5(b)、図6(b)は比較例であって後述する。
(比較例1)
短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15をTi/Pt/Auの積層構造で形成した場合の比較例として、各電極13〜15を、Ti/Auの積層構造で形成した磁気抵抗素子を製作した。
この比較例における磁気抵抗素子は、各電極13〜15を、Ti/Auの積層構造とし、各層厚を、Ti/Au=100nm/450nmとしたことを除き、前記実施例1の磁気抵抗素子を製作した場合と同様の手順でTi/Auの積層構造からなる電極13〜15を有する比較用の磁気抵抗素子を複数製作した。
製作した22個の比較用の磁気抵抗素子について、実施例1と同様の手順で、特性変化を評価するための試験を行った。すなわち、雰囲気温度121℃、湿度100%、2atmの条件下でPCT試験を行い、印加電圧Vc=5Vとして中点電位を測定した。その結果、図4(b)に示すように、試験時間が長くなるにつれてVoff変動量は増加し、500時間が経過した時点での、印加電圧Vc=5Vとしたときの、中点電位のVoff変動量の標準偏差σは8.0mVとなった。
また、実施例1と同様の手順で、170℃の温度環境下および190°の温度環境下でそれぞれ1200時間の高温放置試験を行い、抵抗の変動率ΔR0を測定した。
その結果、図5(b)および図6(b)に示すように、試験時間が700時間程度の場合には、抵抗の変動率(ΔR0)は、170℃の場合および190℃の場合共に略零を維持するが、試験時間が800時間に近づくと試験時間の増加に伴って、抵抗の変動率(ΔR0)が増加し、実施例1の磁気抵抗素子(Ti/Pt/Au=100nm/20nm/450nm)の場合に比較して変動量が大きくなることが確認された。
また、170℃の高温放置試験での抵抗の変動率は1000時間で平均7%、標準偏差σは13.4%であり、190℃の高温放置試験での抵抗の変動率は1000時間で平均1.5%、標準偏差σは7.0%であって、実施例1に比較して変動量が大きいことがわかる。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様に、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15としてTi/Pt/Auの積層構造からなる電極を形成したものであるがPtの厚さを異ならせたものである。
この実施例2では、各電極13〜15を、Ti/Pt/Au=100nm/10nm/450nmの積層構造で形成した。
そして、このようにして形成した磁気抵抗素子について、上記実施例1と同様の手順で同一の条件下でPCT試験および高温放置試験を行った。
すなわち、PCT試験は、雰囲気温度121℃、湿度100%、2atmの条件下で22個の磁気抵抗素子について検査を行い、印加電圧Vc=5Vとして中点電位を測定した。その結果、図7(a)に示すように、試験時間が500時間に達した場合であっても、中点電位の変動量(Voff変動量)は“±5mV”以内となり、標準偏差σは1.0mVであって、Voff変動量は比較的小さく良好な結果を得られることが確認できた。なお、図7(a)の横軸は試験時間、縦軸はVoff変動量(ΔVoff)である。
また、高温放置試験は、170℃の温度環境下で1200時間の高温放置試験を行い、抵抗の変動率ΔR0を測定した。その結果、図7(b)に示すように、抵抗の変動率(ΔR0)は略零近傍を維持し、1000時間経過した時点での抵抗の変動率(ΔR0)は、平均“0.5%”、標準偏差σは“0.15%”であって、変動量は小さく良好な結果を得られることが確認できた。
なお、図7(b)において、横軸は試験時間、縦軸は、抵抗の変動率(ΔR0)である。
したがって、電極を構成するPtの電極厚が10nmであり、実施例1におけるPtの層厚(20nm)よりも薄くした場合であっても、PCT試験および高温放置試験において良好な結果を得ることが確認できた。
(実施例3)
実施例3は、実施例1と同様に、短絡電極13、取り出し電極14および接続電極15としてTi/Pt/Auの積層構造からなる電極を形成したものであるがPtの厚さを異ならせたものである。
この実施例3では、各電極13〜15を、Ti/Pt/Au=100nm/5nm/450nmの積層構造で形成した。
そして、このようにして形成した磁気抵抗素子について、上記実施例1と同様の手順で同一の条件下でPCT試験および高温放置試験を行った。
すなわち、PCT試験は、雰囲気温度121℃、湿度100%、2atmの条件下で22個の磁気抵抗素子について検査を行い、印加電圧Vc=5Vとして中点電位を測定した。その結果、図8(a)に示すように、試験時間が500時間に達した場合であっても、中点電位の変動量(Voff変動量)は“±5mV”以内となり、標準偏差σは1.2mVであって、Voff変動量は比較的小さく良好な結果を得られることが確認できた。なお、図8(a)の横軸は試験時間、縦軸はVoff変動量(ΔVoff)である。
また、高温放置試験は、170℃の温度環境下で1200時間の高温放置試験を行い、抵抗の変動率ΔR0を測定した。その結果、図8(b)に示すように、抵抗の変動率(ΔR0)は略零近傍を維持し、1000時間経過した時点での抵抗の変動率(ΔR0)は、平均“−0.1%”、標準偏差σは“0.17%”であって、変動量は小さく良好な結果を得られることが確認できた。
なお、図8(b)において、横軸は試験時間、縦軸は、抵抗の変動率(ΔR0)である。
したがって、電極を構成するPtの層厚が5nmであり、実施例1におけるPtの電極厚(20nm)、実施例2におけるPtの電極厚(10nm)よりも薄くした場合であっても、PCT試験および高温放置試験において良好な結果を得ることが確認できた。
1 磁気抵抗素子
11 絶縁基板
12 感磁部
12a 化合物半導体膜
13 短絡電極
14 取り出し電極
15 接続電極
16 保護膜
17 軟樹脂層

Claims (5)

  1. 基板上に形成された薄膜状半導体層からなる感磁部と、
    前記感磁部の少なくとも2つの端部に形成された入出力電極と、
    前記感磁部上に形成された複数の短絡電極と、を備えた磁気抵抗素子において、
    前記短絡電極は、金属層と、当該金属層および前記感磁部間に設けられ前記金属層を形成する材料の前記感磁部への拡散を防止するためのPt層との積層構造からなることを特徴とする磁気抵抗素子。
  2. 前記薄膜状半導体層は、InAsySb(1-y)(0≦y≦1)からなる薄膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗素子。
  3. 前記短絡電極は、前記感磁部側からTi、Pt、AuまたはTi、Pt、Alの順に積層された積層構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気抵抗素子。
  4. 前記Pt層の厚みは、5〜100nmであることを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗素子。
  5. 前記基板は、Si基板またはGaAs基板であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の磁気抵抗素子。
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