JP2000036721A - インピ―ダンス・マッチング方法とインピ―ダンス・マッチング回路 - Google Patents

インピ―ダンス・マッチング方法とインピ―ダンス・マッチング回路

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JP2000036721A
JP2000036721A JP11130834A JP13083499A JP2000036721A JP 2000036721 A JP2000036721 A JP 2000036721A JP 11130834 A JP11130834 A JP 11130834A JP 13083499 A JP13083499 A JP 13083499A JP 2000036721 A JP2000036721 A JP 2000036721A
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reactance
impedance
impedance matching
terminal
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Kazuo Ogoro
和夫 尾頃
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異なる周波数帯においてインピーダンスを最
適値にマッチング可能にする。 【構成】 リアクタンスX1を有する第1リアクタンス
回路10aと、リアクタンスX2を有する第2リアクタ
ンス回路20aを設ける。第1リアクタンス回路10a
は、コイル12とコンデンサ13からなる並列共振回路
と、それに直列接続されたコイル11から構成する。第
2リアクタンス回路20aは、コイル22とコンデンサ
23からなる並列共振回路と、それに直列接続されたコ
イル21から構成する。各リアクタンス回路10a、2
0aは、二つ以上の異なる周波数でそれぞれ所定のリア
クタンス値を与える周波数特性を持つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インピーダンス・
マッチング方法とインピーダンス・マッチング回路に関
し、さらに言えば、複数の異なる周波数においてインピ
ーダンス・マッチングが可能であり、高周波を用いる無
線通信機器に好適に使用されるインピーダンス・マッチ
ング方法とインピーダンス・マッチング回路に関する。
【0002】
【従来の技術】インピーダンス・マッチング回路は、従
来より、無線通信機の高周波部の各回路に使用されてい
る素子の特性を最大限に引き出すために用いられてい
る。従来のこの種インピーダンス・マッチング回路の構
成例を図40に示す。
【0003】図40では、高周波回路140の入力端子
132と出力端子133にそれぞれ、第1インピーダン
ス・マッチング回路110と第2インピーダンス・マッ
チング回路120が接続されている。第1インピーダン
ス・マッチング回路110は、高周波回路140の前段
の高周波回路(図示せず)の出力インピーダンスと、高
周波回路140の入力インピーダンスとをマッチングさ
せる役目を果たす。第2インピーダンス・マッチング回
路120は、高周波回路140の後段の高周波回路(図
示せず)の入力インピーダンスと、高周波回路140の
出力インピーダンスとをマッチングさせる役目を果た
す。
【0004】簡単化のため、図40では、高周波回路1
40は、npn型バイポーラ・トランジスタTrのみか
らなる高周波増幅回路とし、交流的な等価回路として図
示してある。トランジスタTrのエミッタは接地され、
ベースは入力端子132に接続され、コレクタは出力端
子133に接続されている。また、第1インピーダンス
・マッチング回路110は、両端が出力端子131と入
力端子132にそれぞれ接続されたコイル111と、一
方の端子が出力端子131に接続され他方の端子が接地
されたコイル112とから構成されており、いわゆる
「L−Lマッチング」の構成を持つ。第2インピーダン
ス・マッチング回路120は、両端が出力端子133と
入力端子134にそれぞれ接続されたコンデンサ121
と、一方の端子が入力端子134に接続され他方の端子
が接地されたコンデンサ122とから構成されており、
いわゆる「C−Cマッチング」の構成を持つ。
【0005】高周波回路140の前段の高周波回路の出
力インピーダンスと高周波回路140の入力インピーダ
ンスとをマッチングさせる第1インピーダンス・マッチ
ング回路110では、それら両インピーダンスのマッチ
ングは単一の周波数でしか実現されない、という問題が
ある。このため、図40に示す第1インピーダンス・マ
ッチング回路110を用いて、隣接する二つの高周波回
路のインピーダンスを二つの異なる周波数においてマッ
チングさせるには、何らかの工夫が必要である。これ
は、高周波回路140の後段の第2インピーダンス・マ
ッチング回路120においても同様である。
【0006】そこで、以下においてその工夫について説
明する。図37は、日本国内で採用されているPDC
(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話に使用
されているシングル・スーパー・ヘテロダイン方式の受
信機の回路図を示す。
【0007】図37の回路において、アンテナ101
は、受信周波数帯である820MHz帯の高周波信号を
受信する。高周波増幅器102は、アンテナ101で受
信された820MHz帯の高周波信号を増幅して周波数
ミキサ103に送る。周波数ミキサ103は、送られて
きた高周波信号を、局部(ローカル)発振器104から
送られる950MHzの局部周波数を持つ局部信号と混
合し、周波数が両周波数の差130MHzに等しい中間
周波数(Intermediate Frequency, IF)信号に変換す
る。IF増幅器105は、このIF信号を増幅して復調
器106に送る。復調器106は、送られてきたIF信
号を所定の方式に従って復調し、高周波受信信号に含ま
れている情報を取り出す。
【0008】図37の回路において、高周波受信信号を
扱う高周波回路(すなわち、高周波増幅器102、周波
数ミキサ103、局部発振器104、IF増幅器10
5)のうち、隣接する二つの回路同士を図40に示すイ
ンピーダンス・マッチング回路110または120を介
して接続する場合、通常は、受信周波数帯または使用周
波数バンド(すなわち820MHz帯)に含まれる特定
の単一周波数において接続すべき二つの回路のインピー
ダンスがマッチング(整合)するように、インピーダン
ス・マッチング回路110または120の構成が決定さ
れる。その場合の高周波増幅器102の電圧定在波比
(Voltage Standing-Wave Ratio、VSWR)の周波
数fに対する特性(VSWR−f特性)は、図34に示
すようになる。すなわち、使用する周波数バンドは82
0MHz帯のみであるため、図34に示すように、その
周波数バンド内の適当な一つの周波数(例えば820M
Hz)で、接続すべき二つの回路のうちの一方の入力イ
ンピーダンスが他方の出力インピーダンスに一致するよ
うに、インピーダンス・マッチング回路110または1
20の構成を決定する。
【0009】しかしながら、近年、無線通信機や無線通
信システムが急速に発展しており、その結果、二つの離
れた周波数バンドの信号を処理できる受信機が求められ
ている。このような受信機の一例としては、PDC方式
の携帯電話で使用される820MHz帯の高周波信号
と、簡易型携帯電話(Personal Handy-phone Syste
m、PHS)で使用される1.9GHz(1900MH
z)帯の高周波信号の双方を受信できるようにした電話
機がある。この要求を実現するため、従来より、図38
と図39に示すような回路構成の受信機が開発されてい
る。
【0010】図38の回路構成では、高周波増幅器10
2a、局部発振器104a、周波数ミキサ103a、I
F増幅器105aからなる820MHz帯の受信信号を
処理する回路(820MHz帯用回路)と、高周波増幅
器102b、局部発振器104b、周波数ミキサ103
b、IF増幅器105bからなる1900MHz帯の受
信信号を処理する回路(1900MHz帯用回路)とが
設けてあり、受信信号の周波数バンドに応じてスイッチ
107と108によって820MHz帯用と1900M
Hz帯用の回路を切り換えて使用するようになってい
る。局部発振器104aと104bの生成する局部周波
数はそれぞれ、950MHz、1770MHzである。
【0011】この回路構成の場合、高周波増幅器102
a、102bのVSWR−f特性は図35(a)に示す
ようになる。すなわち、820MHz帯用回路に対して
は、820MHz帯に含まれる特定の単一周波数(例え
ば820MHz)において接続すべき二つの回路のイン
ピーダンスをマッチングさせる。他方、1900MHz
帯用回路に対しては、1900MHz帯に含まれる特定
の単一周波数(例えば1900MHz)において接続す
べき二つの回路のインピーダンスをマッチングさせる。
【0012】820MHz帯用と1900MHz帯用の
二つの回路は、受信信号の周波数帯に応じて切り換えて
使用されるので、図38の回路構成における高周波増幅
器102a、102bのVSWR−f特性特性は、図3
5(a)の二つの特性曲線を周波数バンドに応じて合成
して得た図35(b)に示す特性曲線で表される。
【0013】図39の回路構成は、図38の回路構成の
変形例である。すなわち、820MHz帯用と1900
MHz帯用として専用の周波数ミキサ103a、103
bとIF増幅器105a、105bを設けている図38
の回路構成と異なり、図39の回路構成では、820M
Hz帯と1900MHz帯の双方の受信信号で共用する
周波数ミキサ103とIF増幅器105が設けてある。
その他の構成は図38の場合と同じである。高周波増幅
器102aと102bの入力を切り換えるスイッチ10
7は、図38の場合と同じであるが、上記構成の差異に
応じて、高周波増幅器102aと102bの出力を切り
換えるスイッチ109と、局部発振器104aと104
bの出力を切り換えるスイッチ110とが設けてある。
図39の回路構成における高周波増幅器102a、10
2bのVSWR−f特性は、図38の回路構成の場合と
同様に、図35(b)に示すようになる。
【0014】しかし、図38と図39の回路構成では、
スイッチング手段すなわちスイッチ107、108、1
09、110が必須であるから、図37に示す単一周波
数帯域用の回路構成に比べると、そのスイッチング手段
に起因して電力の損失(ロス)が増加するという問題が
ある。また、820MHz帯と1900MHz帯の両周
波数バンドに専用の回路が必要なため、図37の単一周
波数バンド用の回路構成に比べて回路構成が複雑になる
という問題もある。
【0015】そこで、これらの問題を解決するため、図
37の単一周波数帯域用の回路構成においてインピーダ
ンス・マッチング回路のQを低下させ、もって820M
Hz帯と1900MHz帯の両周波数帯においてインピ
ーダンスを近似的にマッチングさせる方法が採られる場
合もある。この場合には、高周波増幅器102a、10
2bのVSWR−f特性は、図36に示すように、使用
周波数範囲の全体においてほぼ平坦になる。そこで、図
36の特性では、インピーダンスの完全なマッチング
(最適なインピーダンス値へのマッチング)はできない
が、820MHz帯と1900MHz帯の双方において
近似的なマッチングが可能となる。
【0016】しかし、図36のVSWR−f特性を使用
する場合には、以下に述べるような問題が生じる。
【0017】第1の問題点は、820MHz帯と190
0MHz帯のいずれにおいても最適なインピーダンス値
に設定することができないことである。これは、一般的
に、インピーダンス・マッチング回路を、820MHz
と1900MHzの中間の周波数である1360MHz
においてインピーダンスが最適値にマッチングするよう
に構成し、もってそれら二つの周波数帯におけるインピ
ーダンスのマッチングの程度を均等にすることに起因す
る。
【0018】第2の問題点は、図34の単一周波数帯用
のVSWR−f特性を使用した場合に比べて受信特性を
最大限に引き出すことができず、その結果、受信回路に
おける電力損失が増加することである。これは、インピ
ーダンス・マッチング回路のQを意図的に下げて使用す
るからであり、またその低下せしめられたQによってイ
ンピーダンス・マッチング回路110または120にお
ける電力損失が増加するためでもある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、図4
0に示したような従来のインピーダンス・マッチング回
路110または120を使用した場合には、互いに離れ
た二つの周波数において二つの回路のインピーダンスを
最適値にマッチングさせることはできない。また、イン
ピーダンス・マッチングによって電力損失が増加する。
【0020】そこで、本発明の目的は、互いに離れた二
つあるいはそれ以上の周波数のそれぞれにおいて、二つ
の回路のインピーダンスを最適値にマッチングさせるこ
とができるインピーダンス・マッチング方法とインピー
ダンス・マッチング回路を提供することにある。
【0021】本発明の他の目的は、互いに離れた二つあ
るいはそれ以上の周波数帯の信号を処理できるシステム
の回路構成を簡略化できるインピーダンス・マッチング
方法とインピーダンス・マッチング回路を提供すること
にある。
【0022】本発明のさらに他の目的は、電力損失を増
加させることなく、二つあるいはそれ以上の周波数のそ
れぞれにおいて最適値へのインピーダンス・マッチング
を実現できるインピーダンス・マッチング方法とインピ
ーダンス・マッチング回路を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明のインピ
ーダンス・マッチング方法は、複数のリアクタンス素子
を含むインピーダンス・マッチング回路を用いて、第1
回路と第2回路の間で二つ以上の異なる周波数における
インピーダンス・マッチングを行うインピーダンス・マ
ッチング方法において、前記インピーダンス・マッチン
グ回路内の複数のリアクタンス素子の各々と等価であ
り、しかも前記二つ以上の異なる周波数においてそれぞ
れ所望のリアクタンス値を与える周波数特性を持つリア
クタンス回路を構成する第1ステップと、前記第1ステ
ップで構成された前記リアクタンス回路の各々を形成す
るリアクタンス素子のリアクタンス値を算出する第2ス
テップと、前記第2ステップで算出されたリアクタンス
値を有する前記リアクタンス回路を用いて、前記二つ以
上の異なる周波数において前記インピーダンス・マッチ
ング回路のインピーダンス値を決定し、もってそれら異
なる周波数において前記第1回路のインピーダンス値と
前記第2回路のインピーダンス値をそれらの最適値にマ
ッチングさせる第3ステップとを備えたことを特徴とす
る。
【0024】(2) 本発明のインピーダンス・マッチ
ング方法では、第1ステップにおいて、前記インピーダ
ンス・マッチング回路内の複数のリアクタンス素子の各
々と等価であり、しかも前記二つ以上の異なる周波数に
おいてそれぞれ所望のリアクタンス値を与える周波数特
性を持つリアクタンス回路を構成する。次に、第2ステ
ップにおいて、前記第1ステップで構成された前記リア
クタンス回路の各々を形成するリアクタンス素子のリア
クタンス値を算出する。そして、最後に、第3ステップ
において、前記第2ステップで算出されたリアクタンス
値を有する前記リアクタンス回路を用いて、前記二つ以
上の異なる周波数において前記インピーダンス・マッチ
ング回路のインピーダンス値を決定する。このため、互
いに離れた二つあるいはそれ以上の周波数のそれぞれに
おいて、前記第1回路と第2回路のインピーダンスをそ
れらの最適値にマッチングさせることができる。
【0025】また、これにより、互いに離れた二つある
いはそれ以上の周波数帯の信号を処理できるシステムの
回路構成を簡略化することが可能となる。
【0026】さらに、二つあるいはそれ以上の周波数の
それぞれにおいて、前記第1、第2の回路のインピーダ
ンスを最適値にマッチングさせることができるので、イ
ンピーダンス・マッチングに起因する電力損失の増加を
生じることもない。
【0027】(3) 本発明のインピーダンス・マッチ
ング方法の好ましい例では、前記第1ステップで構成さ
れた前記リアクタンス回路の各々が共振回路を含んでお
り、しかもその共振回路の共振周波数は、前記二つ以上
の異なる周波数のうちの隣接する二つの周波数の間に位
置する。
【0028】本発明のインピーダンス・マッチング方法
の他の好ましい例では、前記共振回路が、複数のリアク
タンス素子の並列共振回路とされる。この場合、前記共
振回路が、互いに並列に接続された誘導性リアクタンス
素子と容量性リアクタンス素子を含む並列共振回路であ
るのが好ましい。
【0029】本発明のインピーダンス・マッチング方法
のさらに他の好ましい例では、前記共振回路が複数のリ
アクタンス素子の直列共振回路とされる。この場合、前
記共振回路が、互いに直列に接続された誘導性リアクタ
ンス素子と容量性リアクタンス素子を含む直列共振回路
であるのが好ましい。
【0030】本発明のインピーダンス・マッチング方法
のさらに他の好ましい例では、前記第2ステップにおけ
るリアクタンス値の算出が、前記二つ以上の異なる周波
数のうちの一つの周波数における前記第2回路のインピ
ーダンス値に対応する点を中心点に配置したスミス・チ
ャートまたはアドミッタンス・チャートを使用して行わ
れ、しかも、その際に、前記二つ以上の異なる周波数に
おける前記第1回路のインピーダンス値にそれぞれ対応
する点を前記スミス・チャートまたはアドミッタンス・
チャート上に配置するステップと、前記スミス・チャー
トまたはアドミッタンス・チャート上に配置された前記
第1回路のインピーダンス値にそれぞれ対応する点を、
前記スミス・チャートまたはアドミッタンス・チャート
の中心点を通る共通の円周上にそれぞれ移動させるステ
ップと、前記共通の円周上に移動せしめられた前記第1
回路のインピーダンス値にそれぞれ対応する点を前記中
心点に重なるように移動させるステップとが実行され
る。
【0031】(4) 本発明のインピーダンス・マッチ
ング回路は、第1回路と第2回路の間で二つ以上の異な
る周波数におけるインピーダンス・マッチングを行うた
めに使用されるインピーダンス・マッチング回路におい
て、前記第1回路が接続される第1端子対と、前記第2
回路が接続される第2端子対と、前記第1端子対と前記
第2端子対の間に設けられた複数のインピーダンス回路
とを備え、前記複数のインピーダンス回路の各々は、前
記二つ以上の異なる周波数においてそれぞれ所定のリア
クタンス値を与える周波数特性を持つリアクタンス回路
を有していて、そのリアクタンス回路によってそれら異
なる周波数においてそれぞれ所定のインピーダンス値が
設定されており、しかも、それら異なる周波数における
前記複数のインピーダンス回路の合成インピーダンス値
は、前記第1回路のインピーダンス値と前記第2回路の
インピーダンス値とをそれらの最適値にマッチングさせ
るように設定されることを特徴とする。
【0032】(5) 本発明のインピーダンス・マッチ
ング回路では、本発明のインピーダンス・マッチング方
法で述べたのと実質的に同じ理由により、互いに離れた
二つあるいはそれ以上の周波数のそれぞれにおいて、前
記第1回路と第2回路のインピーダンスをそれらの最適
値にマッチングさせることができる。また、これによ
り、互いに離れた二つあるいはそれ以上の周波数帯の信
号を処理できるシステムの回路構成を簡略化することが
可能となる。さらに、当該インピーダンス・マッチング
回路における電力損失の増加を生じることもない (6) 本発明のインピーダンス・マッチング回路の好
ましい例では、前記複数のリアクタンス回路の各々が共
振回路を含んでおり、しかもその共振回路の共振周波数
は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接する二つ
の周波数の間に位置する。
【0033】本発明のインピーダンス・マッチング回路
の他の好ましい例では、前記共振回路が、複数のリアク
タンス素子の並列共振回路とされる。この場合、好まし
くは、前記共振回路は、互いに並列に接続された誘導性
リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を含む並列
共振回路とされる。あるいは、その並列共振回路に対し
て、誘導性リアクタンス素子および容量性リアクタンス
素子の少なくとも一方を直列に接続してもよい。
【0034】本発明のインピーダンス・マッチング回路
のさらに他の好ましい例では、前記複数のリアクタンス
回路の各々が、互いに直列に接続された複数の共振回路
を含んでおり、しかもそれら複数の共振回路の共振周波
数の各々は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接
する二つの周波数の間に位置する。この場合、好ましく
は、前記共振回路の各々が、互いに並列に接続された誘
導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を含む
並列共振回路とされる。あるいは、その並列共振回路に
対して、誘導性リアクタンス素子および容量性リアクタ
ンス素子の少なくとも一方を直列に接続してもよい。
【0035】本発明のインピーダンス・マッチング回路
のさらに他の好ましい例では、前記共振回路が、複数の
リアクタンス素子の直列共振回路とされる。この場合、
好ましくは、前記共振回路が、互いに直列に接続された
誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を含
む直列共振回路とされる。あるいは、その直列共振回路
に対して、誘導性リアクタンス素子および容量性リアク
タンス素子の少なくとも一方を並列に接続してもよい。
【0036】本発明のインピーダンス・マッチング回路
のさらに他の好ましい例では、前記複数のリアクタンス
回路の各々が、互いに並列に接続された複数の共振回路
を含んでおり、しかもそれら複数の共振回路の共振周波
数の各々は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接
する二つの周波数の間に位置する。この場合、好ましく
は、前記共振回路の各々が、互いに直列に接続された誘
導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を含む
直列共振回路とされる。あるいは、その直共振回路に対
して、誘導性リアクタンス素子および容量性リアクタン
ス素子の少なくとも一方を並列に接続してもよい。
【0037】(7) 本発明のインピーダンス・マッチ
ング回路では、前記複数のインピーダンス回路の好まし
い接続形態は次の通りである。
【0038】(a)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダ
ンス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対間または
前記第2端子対間に接続される。
【0039】(b)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダ
ンス回路のうちの他の二つが、前記第1端子対間および
前記第2端子対間にそれぞれ接続される。
【0040】(c)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダ
ンス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対の他方の
端子と前記第2端子対の他方の端子とに接続され、しか
も、前記複数のインピーダンス回路のうちのさらに他の
一つが、前記第1端子対間または前記第2端子対間に接
続される。
【0041】(d)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダ
ンス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対の他方の
端子と前記第2端子対の他方の端子とに接続され、しか
も、前記複数のインピーダンス回路のうちのさらに他の
二つが、前記第1端子対間および前記第2端子対間にそ
れぞれ接続される。
【0042】(e)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの二つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子との間で直列に接続され、前記複数の
インピーダンス回路のうちのさらに他の一つが、直列に
接続された前記二つのインピーダンス回路の接続点と、
前記第1端子対の他方の端子および前記第2端子対の他
方の端子とに接続される。
【0043】(f)前記複数のインピーダンス回路のう
ちの二つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端
子対の一方の端子との間で直列に接続され、前記複数の
インピーダンス回路のうちの他の二つが、前記第1端子
対の他方の端子と前記第2端子対の他方の端子との間で
直列に接続され、しかも、前記複数のインピーダンス回
路のうちのさらに他の一つが、直列に接続された前記二
つのインピーダンス回路の接続点と、直列に接続された
前記他の二つのインピーダンス回路の接続点とに接続さ
れる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について添付図面を参照しながら説明する。
【0045】(第1実施形態)図1(a)は本発明の第
1実施形態のインピーダンス・マッチング回路1の構成
を示す。このインピーダンス・マッチング回路1は、イ
ンピーダンスZ1を有する第1インピーダンス回路10
と、インピーダンスZ2を有する第2インピーダンス回
路20とから構成される。第1インピーダンス回路10
の二つの端子は、当該インピーダンス・マッチング回路
1の入力端子対の一方の端子2と出力端子対の一方の端
子3にそれぞれ接続されている。第2インピーダンス回
路20の一方の端子は、当該インピーダンス・マッチン
グ回路1の入力端子対の一方の端子2に接続され、他方
の端子は当該回路1の入力端子対の他方の端子2’と出
力端子対の他方の端子3’に共通接続されている。
【0046】このインピーダンス・マッチング回路1
は、その入力端子対2、2’側に接続された高周波回路
(図示せず)の出力インピーダンスと、その出力端子対
3、3’側に接続された高周波回路(図示せず)の入力
インピーダンスとをマッチングさせる機能を持つ。その
インピーダンス・マッチング機能は、複数の異なる周波
数において実現可能である。
【0047】図1(b)のインピーダンス・マッチング
回路1aは、図1(a)に示すインピーダンス・マッチ
ング回路1の第1および第2のインピーダンス回路10
と20を、リアクタンスX1を有する第1リアクタンス
回路10aと、リアクタンスX2を有する第2リアクタ
ンス回路20aとでそれぞれ置換すると共に、共通接続
された入力端子2’と出力端子3’を接地したものに相
当する。換言すれば、図1(b)のインピーダンス・マ
ッチング回路1aは、図1(a)に示すインピーダンス
・マッチング回路1において、第1および第2のインピ
ーダンス回路10と20がいずれも、抵抗(インピーダ
ンスの実数成分)を含まずリアクタンス(インピーダン
スの虚数成分)のみからなる場合に対応する。
【0048】そこで、説明を簡略化するため、以下の説
明では、図1(a)のインピーダンス・マッチング回路
1ではなく、簡略化された図1(b)のインピーダンス
・マッチング回路1aについて述べることにする。イン
ピーダンス・マッチング回路1aの構成および動作が明
らかになれば、それを一般的なインピーダンス・マッチ
ング回路1に応用するのは極めて容易であるからであ
る。
【0049】図1(b)のインピーダンス・マッチング
回路1aでは、リアクタンスX1を有する第1リアクタ
ンス回路10aは、その二つの端子が当該回路1aの一
方の入力端子2と一方の出力端子3にそれぞれ接続され
ている。リアクタンスX2を有する第2リアクタンス回
路20aは、その一方の端子が当該回路1aの一方の入
力端子2に接続され、他方の端子が接地されている。イ
ンピーダンス・マッチング回路1aの前段の高周波回路
(図示せず)は、入力端子対2と接地との間に接続さ
れ、インピーダンス・マッチング回路1aの後段の高周
波回路(図示せず)は、出力端子対3と接地との間に接
続される。
【0050】次に、本発明の第1実施形態のインピーダ
ンス・マッチング回路1aの具体的回路構成を、図2を
参照しながら説明する。
【0051】図2に示すように、第1リアクタンス回路
10aは三つのリアクタンス素子11、12、13から
構成される。リアクタンス素子11は、誘導性リアクタ
ンス素子すなわち、インダクタンスL11を有するコイル
である。リアクタンス素子12は、インダクタンスL12
を有するコイルである。リアクタンス素子13は、容量
性リアクタンス素子、すなわちキャパシタンスC1を有
するコンデンサである。
【0052】コイル12とコンデンサ13は互いに並列
に接続されている。コイル12の一方の端子とコンデン
サ13の一方の端子は、出力端子3に共通接続されてい
る。コイル12の他方の端子とコンデンサ13の他方の
端子は、コイル11の一方の端子に共通接続されてい
る。コイル11の他方の端子は入力端子2に接続されて
いる。
【0053】互いに並列に接続されたコイル12とコン
デンサ13は、図3(a)に示すように、共振周波数f
01を有する並列共振回路14を構成する。よって、第1
リアクタンス回路10aは、入力端子2と出力端子3と
の間で、コイル11と並列共振回路14が互いに直列に
接続された構成を持つ。
【0054】第2リアクタンス回路20aは、図2に示
すように、第1リアクタンス回路10aと同じ構成であ
り、三つのリアクタンス素子21、22、23から構成
される。リアクタンス素子21は、インダクタンスL21
を有するコイルである。リアクタンス素子22は、イン
ダクタンスL22を有するコイルである。リアクタンス素
子23は、キャパシタンスC2を有するコンデンサであ
る。
【0055】コイル22とコンデンサ23は互いに並列
に接続されている。コイル22の一方の端子とコンデン
サ23の一方の端子は、コイル21の一方の端子に共通
接続されている。コイル22の他方の端子とコンデンサ
23の他方の端子は、共通に接地されている。コイル2
1の他方の端子は入力端子2に接続されている。
【0056】互いに並列に接続されたコイル22とコン
デンサ23は、図3(b)に示すように、共振周波数f
02を有する並列共振回路24を構成する。この共振周波
数f 02は通常、並列共振回路14の共振周波数f01とは
異なる。よって、第2リアクタンス回路20aは、入力
端子2と接地との間で、コイル21と並列共振回路24
が互いに直列に接続された構成を持つ。
【0057】次に、以上の構成を持つ第1および第2の
リアクタンス回路10aと20aの動作について説明す
る。
【0058】図2に示すように、使用時には、インピー
ダンス・マッチング回路1aの入力端子2と接地の間に
高周波回路5が接続され、その出力端子3と接地との間
に高周波回路4が接続される。インピーダンス・マッチ
ング回路1aは、異なる二つの周波数f1とf2の双方に
おいて、入力端子2側の高周波回路5の出力インピーダ
ンスと、出力端子3側の高周波回路4の入力インピーダ
ンスとをそれらの最適値にマッチングさせる機能を持
つ。その動作は次の通りである。
【0059】ただし、マッチング周波数f1とf2は、並
列共振回路14、24の共振周波数f01、f02との間
に、f1<f01<f2、f1<f02<f2の関係を持つ。周
波数f 1とf2は、例えば820MHzと1900MHz
である。
【0060】まず、信号周波数すなわち、前段の高周波
回路5から送られてくる電気信号の周波数をfとする
と、第1リアクタンス回路10aのリアクタンス素子す
なわちコイル11のリアクタンスX11は、次の数式
(1)で与えられる。
【0061】
【数1】
【0062】そこで、数式(1)で与えられるコイル1
1のリアクタンスX11を図示すると、図4(b)のよう
になる。すなわち、リアクタンスX11の周波数特性は原
点を通る直線で与えられ、信号周波数fが0(直流)か
ら上昇するにつれて単調に増加する。
【0063】他方、コイル12とコンデンサ13からな
る並列共振回路14のリアクタンスXLC1は、次の数式
(2)で与えられる。
【0064】
【数2】
【0065】数式(2)で与えられる並列共振回路14
のリアクタンスXLC1を図示すると図4(c)のように
なる。すなわち、リアクタンスXLC1の周波数特性は、
f=f01に引いた鉛直線Bを漸近線とする曲線で与えら
れる。ただし、並列共振回路14の共振周波数f01は次
の数式(3)で与えられる。
【0066】
【数3】
【0067】従って、並列共振回路14のリアクタンス
LC1は、信号周波数fが共振周波数f01より低い範囲
では、fの上昇に伴って0から徐々に増加し、f01に近
づくにつれて+無限大まで増加する。信号周波数fがf
01より高い範囲では、fの減少と共にリアクタンスX
LC1は徐々に減少し、f01に近づくにつれて−無限大に
達する。他方、fの増加と共に0に収束する。
【0068】図3(a)の回路構成から明らかなよう
に、第1リアクタンス回路10aのリアクタンスX
1は、コイル11のリアクタンスX11と並列共振回路1
4のリアクタンスXLC1の和である。よって、第1リア
クタンス回路10aのリアクタンスX1の周波数特性
は、図4(b)と図4(c)の周波数特性を合成するこ
とにより与えられる。それを図4(a)に示す。
【0069】図4(a)から明らかなように、第1リア
クタンス回路10aのリアクタンスX1の周波数特性
は、並列共振回路14のリアクタンスXLC1の周波数特
性と同じ傾向を持つ。すなわち、リアクタンスX1は、
信号周波数fがf01より低い範囲では、fの上昇に伴っ
て0から徐々に増加し、f01に近づくにつれて+無限大
まで増加する。信号周波数fがf01より高い範囲では、
fの減少と共にリアクタンスX1は徐々に減少し、f01
に近づくにつれて−無限大に達する。他方、fの増加と
共に+無限大まで増加する。
【0070】また、図4(a)の周波数特性から明らか
なように、信号周波数fが並列共振回路14の共振周波
数f01より大きい値を持つ場合には、リアクタンスX1
は−無限大から+無限大までの値を取りうる。信号周波
数fが共振周波数f01より小さい値を持つ場合には、リ
アクタンスX1は任意の正の値のみを取りうる。他方、
並列共振回路14の共振周波数f01の値は、所望の二つ
のマッチング周波数f 1とf2の間に設定する必要がある
が、その範囲でf01の値を変えると、鉛直方向に延在す
る漸近線Bが(それと共に特性曲線も)横軸(すなわち
f軸)に沿って変位する。よって、f01の値を適当に設
定することにより、離れた周波数f1とf2におけるリア
クタンスX1を所望の値にそれぞれ独立して設定するこ
とが可能である。換言すれば、十分離れた二つの周波数
1とf2におけるリアクタンスX 1の値を任意に調整可
能である。
【0071】図4(a)〜(c)において、X
11(f1)とX11(f2)は、f=f1およびf=f2にお
けるリアクタンス素子すなわちコイル11のリアクタン
スX11の値をそれぞれ示し、XLC1(f1)とX
LC1(f2)は、f=f1およびf=f2における並列共振
回路14のリアクタンスXLC1の値をそれぞれ示し、X1
(f1)とX1(f2)は、f=f1およびf=f2におけ
る第1リアクタンス回路10aのリアクタンスX1の値
をそれぞれ示している。
【0072】第1リアクタンス回路10aを構成するコ
イル11、12のインダクタンスL 11、L12と、コンデ
ンサ13のキャパシタンスC1の値を、所望のマッチン
グ周波数f1、f2と第1リアクタンス回路10aのリア
クタンスX1の値から直接、解析的に求めることは困難
であるが、電子計算機を使用して漸近的に収束値を求め
ていくことにより、所望の解を求めることができる。
【0073】なお、図4(a)の周波数特性から明らか
なように、第1実施形態では、高い方の周波数f2にお
ける第1リアクタンス回路10aのリアクタンスX1
値X1(f2)は、正負いずれの値も取り得るが、低い方
の周波数f1におけるリアクタンスX1の値X1(f1)は
正の値しか取れないという制限がある。従って、第1実
施形態のインピーダンス・マッチング回路1aは、周波
数f1において第1リアクタンス回路10aのリアクタ
ンスX1(f1)を負の値に設定する必要がある場合には
適用できない。しかし、例えば、後述の第2〜第4の実
施形態のいずれかを適用することにより、この制限は除
去できる。
【0074】次に、第2リアクタンス回路20aについ
て説明する。図2から明らかなように、第2リアクタン
ス回路20aは第1リアクタンス回路10aと同じ構成
であるので、第1リアクタンス回路10aに関する上記
説明がそのまま適用できる。すなわち、第2リアクタン
ス回路20aのリアクタンス素子すなわちコイル21の
リアクタンスX21は、次の数式(4)で与えられる。
【0075】
【数4】
【0076】数式(4)で与えられるコイル21のリア
クタンスX21の周波数特性は、図4(b)と同様であ
る。すなわち、リアクタンスX21の周波数特性は原点を
通る直線で与えられ、信号周波数fが0から上昇するに
つれて単調に増加する。
【0077】他方、コイル22とコンデンサ23からな
る並列共振回路24のリアクタンスXLC2は、次の数式
(5)で与えられる。
【0078】
【数5】
【0079】並列共振回路24のリアクタンスXLC2
周波数特性は、図4(c)と同様である。すなわち、リ
アクタンスXLC2の周波数特性は、f=f02に引いた鉛
直線を漸近線とする曲線で与えられる。ただし、並列共
振回路24の共振周波数f02は次の数式(6)で与えら
れる。
【0080】
【数6】
【0081】従って、並列共振回路24のリアクタンス
LC2は、信号周波数fが共振周波数f02より低い範囲
では、fの上昇に伴って0から徐々に増加し、f02に近
づくにつれて+無限大まで増加する。信号周波数fがf
02より高い範囲では、fの減少と共にリアクタンスX
LC2は徐々に減少し、f02に近づくにつれて−無限大に
達する。他方、fの増加と共に0に収束する。
【0082】図3(b)の回路構成から明らかなよう
に、第2リアクタンス回路20aのリアクタンスX
2は、コイル21のリアクタンスX21と並列共振回路2
4のリアクタンスXLC2の和である。よって、第2リア
クタンス回路20aのリアクタンスX2の周波数特性
は、図4(b)と図4(c)の周波数特性を合成して得
た図4(a)と同様の曲線で与えられる。
【0083】図4(a)から明らかなように、第2リア
クタンス回路20aのリアクタンスX2の周波数特性
は、並列共振回路24のリアクタンスXLC2の周波数特
性と同じ傾向を持つ。すなわち、リアクタンスX2は、
信号周波数fが共振周波数f02より低い範囲では、fの
上昇に伴って0から徐々に増加し、f02に近づくにつれ
て+無限大まで増加する。信号周波数fがf02より高い
範囲では、fの減少と共にリアクタンスXLC2は徐々に
減少し、f02に近づくにつれて−無限大に達する。他
方、fの増加と共に+無限大まで増加する。
【0084】また、図4(a)から明らかなように、信
号周波数fが共振周波数f02より大きい値を持つ場合に
は、リアクタンスX2は−無限大から+無限大までの値
を取りうる。信号周波数fが共振周波数f02より小さい
値を持つ場合には、リアクタンスX1は任意の正の値を
取りうる。他方、並列共振回路24の共振周波数f02
値も、所望の二つのマッチング周波数f1とf2の間に設
定する必要があるが、その範囲でf02の値を変えると、
特性曲線が漸近線Bと共にf軸に沿って変位する。よっ
て、f02の値を適当に設定することにより、離れた周波
数f1とf2におけるリアクタンスX2を所望の値に設定
することが可能である。換言すれば、十分離れた二つの
周波数f1とf2におけるリアクタンスX2の値を独立し
て任意に調整可能である。
【0085】第2リアクタンス回路20aにおけるコイ
ル21、22のインダクタンスL21、L22と、コンデン
サ23のキャパシタンスC2の値を、所望のマッチング
周波数f1、f2と第2リアクタンス回路20aのリアク
タンスX2の値から直接、解析的に求めることは困難で
あるが、電子計算機を使用して漸近的に収束値を求めて
いくことにより、所望の解を求めることが可能である。
【0086】なお、図4(a)から明らかなように、f
=f2におけるリアクタンスX2の値は、正負いずれの値
も取り得るが、f=f1におけるリアクタンスX2の値は
正の値しか取れないという制限がある。従って、第1実
施形態のインピーダンス・マッチング回路1aは、周波
数f1において第2リアクタンス回路20aのリアクタ
ンスX2を負の値に設定する必要がある場合には適用で
きない。しかし、この制限は、例えば、第1、第2のリ
アクタンス回路10a、20aのいずれかに、後述の第
2〜第4の実施形態のいずれかの構成を適用することに
より除去できる。
【0087】以上述べたように、本発明の第1実施形態
のインピーダンス・マッチング回路1aによれば、周波
数f1とf2における第1、第2リアクタンス回路10
a、20aのリアクタンスX1、X2の値をそれぞれ適当
に設定することにより、入力端子2側に接続された高周
波回路5の出力インピーダンスと出力端子3側に接続さ
れた高周波回路4の入力インピーダンスとを、十分離れ
た二つの周波数f1とf2においてそれぞれ最適値にマッ
チングさせることが可能となる。また、これにより、離
れた周波数f1とf2(例えば、820MHzと1900
MHz)をそれぞれ含む二つの周波数帯の信号を処理す
るシステムの回路構成を簡略化できる。
【0088】さらに、二つの周波数f1とf2においてそ
れぞれ最適値にインピーダンス・マッチングできるた
め、先に述べた従来例(図36参照)のようなインピー
ダンス・マッチング回路のQの低下に起因する電力損失
を防止できる。すなわち、インピーダンス・マッチング
回路1aで生じる電力損失が抑制される。
【0089】次に、以上の構成を持つ第1実施形態のイ
ンピーダンス・マッチング回路1aにより二つの周波数
1とf2においてインピーダンス・マッチングが行える
原理を、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明
の第1実施形態のインピーダンス・マッチング回路1a
の動作原理を説明するためのスミス・チャート(Smith
Chart)である。
【0090】一般に、スミス・チャートは、伝送線路の
反射係数を極座標上に図示したものであるが、その反射
係数に対応するインピーダンスを直ちに読み取ることが
できて便宜であるため、日常的に使用されているもので
ある。通常のスミス・チャートには、インピーダンスを
示す曲線のみが描かれるが、図7のスミス・チャートで
は、理解を容易にするために、アドミッタンスを示す曲
線も併せて描いてある。
【0091】ここでは、一例として、インピーダンス・
マッチング回路1aを用いて、出力端子3に接続された
高周波回路4の入力インピーダンスを、入力端子2に接
続された高周波回路5の出力インピーダンス(=50
Ω)にマッチングさせる場合について説明する。
【0092】図7のスミス・チャートにおいて、中心点
Oは目標とするインピーダンス50Ωに対応し、二つの
端点FとGを結ぶ線分Eは抵抗軸である。中心点Oは線
分Eの中点に位置する。円Aは抵抗値が50Ωに等しい
点の軌跡であり、円A’はアドミッタンス値が(1/5
0Ω)に等しい点の軌跡であり、円弧Hはリアクタンス
値が+50Ωに等しい点の軌跡であり、円弧H’はリア
クタンス値が−50Ωに等しい点の軌跡である。また、
点D1とD2は、出力端子3に接続された高周波回路4の
信号周波数f1とf2における出力インピーダンス値にそ
れぞれ対応する。点D1とD2では、リアクタンス値はい
ずれも負である。
【0093】まず、信号周波数f1とf2における第1リ
アクタンス回路10aのリアクタンスX1をそれぞれ適
当な値に設定することにより、点D1とD2の双方をアド
ミッタンス値が(1/50Ω)に等しい円A’上の点C
1とC2にそれぞれ移動させる。換言すれば、第1リアク
タンス回路10aのリアクタンスX1を、そのアドミッ
タンス値が(1/50Ω)に等しくなるように設定す
る。
【0094】次に、信号周波数f1とf2における第2リ
アクタンス回路20aのリアクタンスX2の値を適当に
設定することにより、円A’上にある点C1とC2の双方
を円A’の円周に沿って移動させて中心点Oにそれぞれ
重ね合わせる。換言すれば、第2リアクタンス回路20
aのリアクタンスX2を調整することにより、負荷に接
続されたインピーダンス・マッチング回路1aのアドミ
ッタンス値を(1/50Ω)に保ちながら、インピーダ
ンス・マッチング回路1aのリアクタンス成分が0にな
るようにする。こうして、出力端子3側の高周波回路4
の入力インピーダンスの値は、所望の信号周波数f1
2の双方において入力端子2側の高周波回路5の出力
インピーダンス50Ωにマッチングされる。
【0095】これに対して、図40に示した従来のイン
ピーダンス・マッチング回路110では、このような移
動は不可能である。その理由を図5と図6を用いて説明
する。図5は、図40に示した従来のインピーダンス・
マッチング回路110と、その回路110の出力側に接
続された高周波回路140を示し、図6はそのインピー
ダンス・マッチング回路110の動作を説明するための
スミス・チャートを示す。図5では、高周波回路140
のトランジスタTrに直流的なバイアスを与える回路
等、マッチング動作とは関係のない回路は省いてある。
【0096】図5に示す従来のインピーダンス・マッチ
ング回路110で、信号周波数f1とf2の双方において
インピーダンスをマッチングさせることができないの
は、この回路110が、二つの端子131と132に接
続されたコイル111(インダクタンスL111)と、端
子131と接地との間に接続されたコイル112(イン
ダクタンスL112)とから構成されているからである。
すなわち、コイル111と112のリアクタンスX111
とX112の周波数特性は、いずれも、図4(b)に示す
ように原点Oを通る直線で表され、周波数fに比例して
単調に増加する。それらの直線の傾きは、リアクタンス
111とX112にそれぞれ等しい。従って、信号周波数f
が決まればリアクタンスX111とX112の値は自ずと決ま
ってしまい、異なる信号周波数f1とf2ではX111は互
いに異なる値を持ち、X112も同様である。
【0097】よって、図6のスミス・チャートにおい
て、コイル111のリアクタンスX11 1により、周波数
1における高周波回路140の入力インピーダンスを
示す点D 1が、円A’の円周上にある点C1まで移動せし
められたとすると、周波数f2における高周波回路14
0の入力インピーダンスを示す点D2は、端点Fを通る
円Bの円周上にある点C3まで移動してしまう。円B上
の点C3では、アドミッタンス値が(1/50Ω)に等
しくない。このため、コイル112のリアクタンスX
112の調整により、点C1は中心点Oまで移動することが
できるが、その際には点C3は円B上の点C4に移動す
る。つまり、点C3を中心点Oに重ねることはできな
い。
【0098】本発明の第1実施形態のインピーダンス・
マッチング回路1aは、従来のインピーダンス・マッチ
ング回路110とは異なり、第1、第2のリアクタンス
回路10aと20aが図2に示すような構成を持つ。こ
のため、上述したように、信号周波数f1とf2における
第1リアクタンス回路10aのリアクタンスX1をそれ
ぞれ適当な値に設定することにより、点D1とD2の双方
を円A’上の点C1とC2にまでそれぞれ移動させ、その
後、信号周波数f1とf2における第2リアクタンス回路
20aのリアクタンスX2の値を適当に設定することに
より、点C1とC2の双方を原点Oまで移動させることが
できる。その結果、異なる周波数f1とf2の双方におい
て、高周波回路5と4の間でインピーダンスのマッチン
グを取ることが可能となる。
【0099】(第2実施形態)図8〜図12は、本発明
の第2実施形態のインピーダンス・マッチング回路1b
を示す。
【0100】先に述べた第1実施形態のインピーダンス
・マッチング回路1aでは、図2に示すように、誘導性
リアクタンスを持つコイル11、12、21、22を使
用しており、図7のスミス・チャートにおいて点D1
2は正方向にシフトされる。これは、コイル111と
112を使用した従来のインピーダンス・マッチング回
路110(L−Lマッチング、図40参照)に対応する
ものである。すなわち、第1実施形態のインピーダンス
・マッチング回路1aは、インピーダンス・マッチング
回路110のコイル111と112を、第1および第2
のリアクタンス回路10aと20aにそれぞれ置換した
ものに相当する。換言すれば、第1および第2のリアク
タンス回路10aと20aは、それぞれコイル111と
112と等価である。
【0101】これに対して、図12に示す回路構成を持
つ第2実施形態のインピーダンス・マッチング回路1b
は、図8に示すような、キャパシタンスC113とC114
持つコンデンサ113と114を使用した従来のインピ
ーダンス・マッチング回路110’(C−Cマッチン
グ)に、対応するものである。すなわち、第2実施形態
のインピーダンス・マッチング回路1bは、インピーダ
ンス・マッチング回路110’のコンデンサ113と1
14を、第1および第2のリアクタンス回路30と40
にそれぞれ置換したものに相当する。つまり、第1およ
び第2のリアクタンス回路30と40は、それぞれコン
デンサ113と114と等価である。
【0102】第2実施形態のインピーダンス・マッチン
グ回路1bでは、後述するように、第1実施形態のイン
ピーダンス・マッチング回路1aとは逆に、スミス・チ
ャートにおいて点D1とD2は負方向にシフトされる。こ
のインピーダンス・マッチング回路1bは、図12に示
すように、出力側に接続された高周波回路4’が誘導性
のインピーダンスを持つ場合(例えばフィルタFを含む
場合)に好適に適用されるものである。
【0103】図8では、従来のインピーダンス・マッチ
ング回路110’は、フィルタFから構成される高周波
回路140’の入力端子132に接続されている。イン
ピーダンス・マッチング回路110’は、両端が出力端
子131と入力端子132に接続されたコンデンサ11
3と、一方の端子が出力端子131に接続され、他方の
端子が接地されたコンデンサ114とから構成されてい
る。
【0104】第2実施形態のインピーダンス・マッチン
グ回路1bでは、図12に示すように、リアクタンスX
3を持つ第1リアクタンス回路30は三つのリアクタン
ス素子31、32、33から構成される。リアクタンス
素子31は、キャパシタンスC11を有するコンデンサで
ある。リアクタンス素子32は、キャパシタンスC12
有するコンデンサである。リアクタンス素子33は、イ
ンダクタンスL1を有するコイルである。コンデンサ3
2の一方の端子とコイル33の一方の端子は、出力端子
3に共通接続されている。コンデンサ32の他方の端子
とコイル33の他方の端子は、コンデンサ31の一方の
端子に共通接続されている。従って、コンデンサ32と
コイル33は互いに並列に接続されている。コンデンサ
31の他方の端子は入力端子2に接続されている。
【0105】互いに並列に接続されたコンデンサ32と
コイル33は、図9(a)に示すように、共振周波数f
03を有する並列共振回路34を構成する。よって、第1
リアクタンス回路30は、入力端子2と出力端子3との
間で、コンデンサ31と並列共振回路34が互いに直列
に接続された構成を持つ。
【0106】リアクタンスX4を持つ第2リアクタンス
回路40は、第1リアクタンス回路30と同じ構成であ
り、三つのリアクタンス素子41、42、43から構成
される。リアクタンス素子41は、キャパシタンスC21
を有するコンデンサである。リアクタンス素子42は、
キャパシタンスC22を有するコンデンサである。リアク
タンス素子43は、インダクタンスL2を有するコイル
である。コンデンサ42の一方の端子とコイル43の一
方の端子は、コンデンサ41の一方の端子に共通接続さ
れている。コンデンサ42の他方の端子とコイル43の
他方の端子は、共通に接地されている。従って、コンデ
ンサ42とコイル43は互いに並列に接続されている。
コンデンサ41の他方の端子は入力端子2に接続されて
いる。
【0107】互いに並列に接続されたコンデンサ42と
コイル43は、図9(b)に示すように、共振周波数f
04を有する並列共振回路44を構成する。よって、第2
リアクタンス回路40は、入力端子2と接地との間で、
コンデンサ41と並列共振回路44が互いに直列に接続
された構成を持つ。
【0108】ここでは、二つのリアクタンス回路30と
40はいずれも、リアクタンス(インピーダンスの虚数
成分)のみから構成されており、抵抗(インピーダンス
の実数成分)を含んでいない。しかし、リアクタンスに
加えて抵抗を含む場合は、二つのリアクタンス回路30
と40をインピーダンス回路にそれぞれ置換すればよ
く、その場合は図1(a)と同じ回路構成となる。
【0109】次に、以上の構成を持つ第2実施形態のイ
ンピーダンス・マッチング回路1bが、二つの周波数f
1とf2でインピーダンス・マッチングが行える理由につ
いて説明する。
【0110】まず、信号周波数fにおける第1リアクタ
ンス回路30のリアクタンス素子すなわちコンデンサ3
1のリアクタンスX31は、次の数式(7)で与えられ
る。
【0111】
【数7】
【0112】数式(7)で与えられるコンデンサ31の
リアクタンスX31を図示すると図10(b)のようにな
る。すなわち、リアクタンスX31の周波数特性はf軸と
31軸を漸近線とする曲線で与えられ、常に負の値を持
つと共に、信号周波数fが0から上昇するにつれて−無
限大から単調に増加し、0に収束する。
【0113】他方、コンデンサ32とコイル33からな
る並列共振回路34のリアクタンスXLC3は、次の数式
(8)で与えられる。
【0114】
【数8】
【0115】数式(8)で与えられる並列共振回路34
のリアクタンスXLC3を図示すると、図4(c)に示す
第1実施形態の並列共振回路14の場合と同じとなる。
すなわち、リアクタンスXLC3の周波数特性は、並列共
振回路14の共振周波数f03に引いた鉛直線を漸近線と
する曲線で与えられる。ただし、共振周波数f03は次の
数式(9)で与えられる。
【0116】
【数9】
【0117】従って、リアクタンスXLC3は、信号周波
数fがf03より低い範囲では、fの上昇に伴って0から
徐々に増加し、f03に近づくにつれて+無限大まで増加
する。信号周波数fがf03より高い範囲では、fの減少
と共にリアクタンスXLC3は徐々に減少し、f03に近づ
くにつれて−無限大に達する。他方、fの増加と共に増
加して0に収束する。
【0118】第1リアクタンス回路30のリアクタンス
3は、コイル31のリアクタンスX31と並列共振回路
34のリアクタンスXLC3の和であるから、リアクタン
スX3 1の周波数特性は、図10(b)と図4(c)の周
波数特性を合成することにより得られる。それを図10
(a)に示す。
【0119】図10(a)から明らかなように、第1リ
アクタンス回路30のリアクタンスX3の周波数特性
は、並列共振回路34のリアクタンスXLC3の周波数特
性(図4(c)参照)と同じ傾向を持つ。すなわち、リ
アクタンスX3は、共振周波数f0 3に引いた鉛直線B’
を一つの漸近線とする曲線で与えられ、信号周波数fが
0 3より低い時は、信号周波数fが共振周波数f03の近
傍から低下するにつれて+無限大から徐々に減少し、f
=0の時に−無限大になる。信号周波数fがf03より高
い時は、f03の近傍から上昇するにつれて、リアクタン
スX3は−無限大から徐々に増加し、0に収束する。
【0120】図10(a)から明らかなように、信号周
波数fが共振周波数f03より小さい値を持つ場合には、
リアクタンスX3は−無限大から+無限大までの値を取
りうる。信号周波数fが共振周波数f03より大きい値を
持つ場合には、リアクタンスX3は任意の負の値を取り
うる。他方、並列共振回路34の共振周波数f03の値
は、所望の二つの周波数f1とf2の間に設定する必要が
あるが、その範囲でf03の値を変えると、鉛直方向に延
在する漸近線B’が(それに伴って特性曲線も)f軸に
沿って変位する。よって、f03の値を適当に設定するこ
とにより、所望のマッチング周波数f1とf2におけるリ
アクタンスX3を所望の値にそれぞれ独立して設定する
ことが可能である。換言すれば、十分離れた二つの周波
数f1とf2におけるリアクタンスX3の値を独立して任
意に調整可能である。
【0121】図10(a)〜(b)において、X31(f
1)とX31(f2)は、f=f1およびf=f2におけるコ
ンデンサ31のリアクタンスX31の値をそれぞれ示し、
3(f1)とX3(f2)は、f=f1およびf=f2にお
ける第1リアクタンス回路30のリアクタンスX3の値
をそれぞれ示している。
【0122】第1リアクタンス回路30におけるコンデ
ンサ31、32のキャパシタンスC 11、C12とコイル3
3のインダクタンスL1の値を、所望のマッチング周波
数f1、f2と第1リアクタンス回路30のリアクタンス
3の値から直接、解析的に求めることは困難である
が、電子計算機を使用して漸近的に収束値を求めていく
ことにより、所望の解を求めることができる。
【0123】なお、図10(a)から明らかなように、
第2実施形態では、低い方の周波数f1における第1リ
アクタンス回路30のリアクタンスX3の値X3(f1
は、正負いずれの値も取り得るが、高い方の周波数f2
におけるリアクタンスX3の値X 3(f2)は負の値しか
取れないという制限がある。従って、第2実施形態のイ
ンピーダンス・マッチング回路1bは、周波数f2にお
いて第1リアクタンス回路30のリアクタンスX
3(f2)を正の値に設定する必要がある場合には適用で
きない。しかし、例えば、先に述べた第1実施形態また
は後述の第3〜第4実施形態のいずれかを適用すること
により、この制限は除去できる。
【0124】次に、第2リアクタンス回路40について
説明する。図9と図12から明らかなように、第2リア
クタンス回路40は第1リアクタンス回路30と同じ構
成であるので、第1リアクタンス回路30に関する上記
説明がそのまま適用できる。すなわち、第2リアクタン
ス回路40のリアクタンス素子すなわちコイル41のリ
アクタンスX41は、次の数式(10)で与えられる。
【0125】
【数10】
【0126】数式(10)で与えられるコンデンサ41
のリアクタンスX41の周波数特性は、図10(b)と同
様である。すなわち、リアクタンスX41の周波数特性は
f軸と縦軸を漸近線とする曲線で与えられ、常に負の値
を持つと共に、信号周波数fが0から上昇するにつれて
−無限大から単調に増加し、0に収束する。
【0127】他方、コンデンサ42コイル43からなる
並列共振回路44のリアクタンスX LC4は、次の数式
(11)で与えられる。
【0128】
【数11】
【0129】並列共振回路44のリアクタンスXLC4
周波数特性は、図4(c)と同様に、その共振周波数f
04に引いた鉛直線を漸近線とする曲線で与えられる。た
だし、並列共振回路44の共振周波数f04は次の数式
(12)で与えられる。
【0130】
【数12】
【0131】従って、並列共振回路44のリアクタンス
LC4は、信号周波数fが共振周波数f04より低い範囲
では、fの上昇に伴って0から徐々に増加し、f04に近
づくにつれて+無限大まで増加する。信号周波数fがf
04より高い範囲では、fの減少と共にリアクタンスX
LC4は徐々に減少し、f04に近づくにつれて−無限大に
達する。他方、fの増加と共に0に収束する。
【0132】図9(b)の回路構成から明らかなよう
に、第2リアクタンス回路40のリアクタンスX4は、
コンデンサ41のリアクタンスX41と並列共振回路44
のリアクタンスXLC4の和である。よって、第2リアク
タンス回路40のリアクタンスX4の周波数特性は、図
10(b)と図4(c)の周波数特性を合成して得られ
る。これは図10(a)と同様である。
【0133】図10(a)から明らかなように、第2リ
アクタンス回路40のリアクタンスX4の周波数特性
は、並列共振回路44のリアクタンスXLC4の周波数特
性(図4(c)参照)と同じ傾向を持つ。すなわち、リ
アクタンスX4は、信号周波数fがf04より低い時は、
信号周波数fが共振周波数f04の近傍から低下するにつ
れて+無限大から徐々に減少し、f=0の時に−無限大
になる。信号周波数fがf 04より高い時は、f04の近傍
から上昇するにつれて、リアクタンスX4は−無限大か
ら徐々に増加し、0に収束する。
【0134】図10(a)から明らかなように、信号周
波数fが共振周波数f04より小さい値を持つ場合には、
リアクタンスX4は−無限大から+無限大までの値を取
りうる。信号周波数fが共振周波数f04より大きい値を
持つ場合には、リアクタンスX4は任意の負の値を取り
うる。他方、並列共振回路44の共振周波数f04の値を
所望の二つの周波数f1とf2の間で変えると、鉛直方向
に延在する漸近線B’(と特性曲線)がf軸に沿って変
位する。よって、f04の値を適当に設定することによ
り、所望のマッチング周波数f1とf2におけるリアクタ
ンスX4を所望の値にそれぞれ独立して設定することが
可能である。換言すれば、十分離れた二つの周波数f1
とf2におけるリアクタンスX4の値を独立して任意に調
整可能である。
【0135】第2リアクタンス回路40におけるコイル
コンデンサ41、42のキャパシタンスC21、C22と、
コイル43のインダクタンスL2の値を、所望のマッチ
ング周波数f1、f2と第2リアクタンス回路40のリア
クタンスX4の値から直接、解析的に求めることは困難
であるが、電子計算機を使用して漸近的に収束値を求め
ていくことにより、所望の解を求めることが可能であ
る。
【0136】なお、図10(a)から明らかなように、
f=f1におけるリアクタンスX4の値は、正負いずれの
値も取り得るが、f=f2におけるリアクタンスX4の値
は負の値しか取れないという制限がある。従って、第2
実施形態のインピーダンス・マッチング回路1bは、周
波数f2において第2リアクタンス回路40のリアクタ
ンスX2を正の値に設定する必要がある場合には適用で
きない。しかし、例えば、先に述べた第1実施形態また
は後述の第3〜第4の実施形態のいずれかを適用するこ
とにより、この制限は除去できる。
【0137】以上述べたように、本発明の第2実施形態
のインピーダンス・マッチング回路1bによれば、周波
数f1とf2における第1、第2リアクタンス回路30、
40のリアクタンスX3、X4の値をそれぞれ適当に設定
することにより、入力端子2側に接続された高周波回路
5の出力インピーダンスと出力端子3側に接続された高
周波回路4’の入力インピーダンスとを、十分離れた二
つの周波数f1とf2においてそれぞれ最適値にマッチン
グさせることが可能となる。また、これにより、離れた
周波数f1とf2(例えば、820MHzと1900MH
z)をそれぞれ含む二つの周波数帯の信号を処理するシ
ステムの回路構成を簡略化できる。
【0138】さらに、二つの周波数f1とf2においてそ
れぞれ最適値にインピーダンス・マッチングできるた
め、先に述べた従来例(図34参照)のようなインピー
ダンス・マッチング回路のQの低下に起因する電力損失
を防止できる。すなわち、インピーダンス・マッチング
回路1aで生じる電力損失が抑制される。
【0139】次に、以上の構成を持つ第2実施形態のイ
ンピーダンス・マッチング回路1bにより二つの周波数
1とf2においてインピーダンス・マッチングが行える
原理を、図11を参照しながら説明する。図11は、本
発明の第2実施形態のインピーダンス・マッチング回路
1bの動作原理を説明するためのスミス・チャートであ
る。第1実施形態の場合と同様に、インピーダンス・マ
ッチング回路1bを用いて、出力端子3に接続された高
周波回路4’の入力インピーダンスを入力端子2に接続
された高周波回路5の出力インピーダンス(=50Ω)
にマッチングさせるものとする。
【0140】図11のスミス・チャートにおいて、点D
1’とD2’は、出力端子3に接続された高周波回路4’
の信号周波数f1とf2における入力インピーダンスの値
にそれぞれ対応する。点D1’とD2’では、リアクタン
ス値はいずれも正である。図11におけるその他の参照
符号は、図7のそれと同じである。
【0141】まず、信号周波数f1とf2における第1リ
アクタンス回路30のリアクタンスX3をそれぞれ適当
な値に設定し、点D1’とD2’の双方をアドミッタンス
値が(1/50Ω)に等しい円A’上の点C1’とC2
にそれぞれ移動させる。
【0142】次に、信号周波数f1とf2における第2リ
アクタンス回路40のリアクタンスX4の値を適当に設
定し、円A’上にある点C1’とC2’の双方を円A’の
円周に沿って移動させて中心点Oにそれぞれ重ね合わせ
る。こうして、出力端子3側の高周波回路4’の入力イ
ンピーダンスの値は、所望の信号周波数f1とf2の双方
において入力端子2側の高周波回路5の出力インピーダ
ンス50Ωにマッチングされる。
【0143】これに対して、図8に示したような従来の
インピーダンス・マッチング回路110’では、このよ
うな移動は不可能である。これは、この従来例では、点
1’をアドミッタンス値が(1/50Ω)に等しい円
A’上の点C1’に移動させると、点D2’が円B上の点
3’まで移動してしまうからである。
【0144】以上説明したように、本発明の第2実施形
態のインピーダンス・マッチング回路1bでは、第1、
第2のリアクタンス回路30と40が図12に示すよう
な構成を持つため、信号周波数f1とf2における第1リ
アクタンス回路30のリアクタンスX3をそれぞれ適当
な値に設定することにより、点D1’とD2’の双方を円
A上の点C1’とC2’にそれぞれ移動させ、その後、信
号周波数f1とf2における第2リアクタンス回路40の
リアクタンスX4の値を適当に設定することにより、点
1’とC2’の双方を原点Oまで移動させることができ
る。その結果、異なる周波数f1とf2の双方において、
高周波回路5と4’の間でインピーダンスのマッチング
を取ることが可能となる。
【0145】(第3実施形態)図13は、本発明の第3
実施形態のインピーダンス・マッチング回路に使用する
第1リアクタンス回路50を示す回路図である。
【0146】先に述べた第1実施形態のインピーダンス
・マッチング回路1a(図2参照)では、周波数がf1
の時にリアクタンスX1またはX2が負の値を持つ必要が
ある時にはインピーダンス・マッチングを実現できな
い。また、第2実施形態のインピーダンス・マッチング
回路1b(図12参照)では、周波数がf2の時にリア
クタンスX3またはX4が正の値を持つ必要がある時には
インピーダンス・マッチングを実現できない。しかし、
第3実施形態のインピーダンス・マッチング回路では、
このような問題が解決され、いずれのリアクタンスも正
負、双方の値を取りうる。
【0147】図13において、第1リアクタンス回路5
0は四つのリアクタンス素子51、52、53、54か
ら構成される。リアクタンス素子51と54は、インダ
クタンスL11とL12をそれぞれ有するコイルである。リ
アクタンス素子52と53は、キャパシタンスC11とC
12をそれぞれ有するコンデンサである。コイル54の一
方の端子とコンデンサ53の一方の端子は、出力端子3
に共通接続されている。コイル54の他方の端子とコン
デンサ53の他方の端子は、コンデンサ52の一方の端
子に共通接続されている。従って、コイル54とコンデ
ンサ53は互いに並列に接続されている。コンデンサ5
2の他方の端子はコイル51の一方の端子に接続されて
いる。コイル51の他方の端子は、入力端子2に接続さ
れている。
【0148】互いに並列に接続されたコイル54とコン
デンサ53は、共振周波数f05を有する並列共振回路5
5を構成する。よって、第1リアクタンス回路50は、
入力端子2と出力端子3との間で、コイル51とコンデ
ンサ52と並列共振回路55とが互いに直列に接続され
た構成を持つ。
【0149】第1リアクタンス回路50のリアクタンス
5の周波数特性は、コイル51(図4(b)参照)と
コンデンサ52(図10(b)参照)と並列共振回路5
5(図4(c)参照)の周波数特性を合成して得られ
る。換言すれば、リアクタンスX5の周波数特性は、図
4(a)と図10(b)の周波数特性の和に等しい。そ
れを図14に示す。図14から明らかなように、周波数
1とf2の双方において、リアクタンスX5は正負いず
れの値も取り得る。よって、上述の第1および第2実施
例の持つ利点に加えて、それら第1および第2実施例で
述べた制限が除去されるという利点がある。
【0150】図示しない第2リアクタンス回路は、通
常、第1リアクタンス回路50と同じ構成とされるが、
これに限定されない。第2リアクタンス回路の回路構成
を第1実施形態または第2実施形態のそれと同じにする
こともできる。
【0151】(第4実施形態)図15は、本発明の第4
実施形態のインピーダンス・マッチング回路に使用する
第1リアクタンス回路50Aを示す回路図である。これ
は第3実施形態の変形例に相当する。
【0152】図15において、リアクタンスX5’を持
つ第1リアクタンス回路50Aは、四つのリアクタンス
素子51、52、53、54から構成される第3実施形
態の第1リアクタンス回路50(図13参照)に対し
て、二つのリアクタンス素子56と57を追加した構成
を持つ。追加されたリアクタンス素子56はキャパシタ
ンスC13を有するコンデンサ、追加されたリアクタンス
素子57はインダクタンスL13を有するコイルである。
【0153】コンデンサ56の一方の端子とコイル57
の一方の端子は、出力端子3に共通接続されている。コ
ンデンサ56の他方の端子とコイル57の他方の端子
は、共通接続されたコンデンサ53とコイル54の端子
に共通接続されている。こうして互いに並列に接続され
たコンデンサ56とコイル57は、共振周波数f06を有
する並列共振回路58を構成する。よって、第1リアク
タンス回路50Aは、入力端子2と出力端子3との間
で、コイル51とコンデンサ52と並列共振回路55と
並列共振回路58が互いに直列に接続された構成を持
つ。
【0154】図16は、以上の構成を持つ第4実施形態
のインピーダンス・マッチング回路のリアクタンス
5’の周波数特性図である。これは、第3実施形態の
第1リアクタンス回路50の周波数特性(図14参照)
と並列共振回路58の周波数特性(図4(c)参照)を
合成したものに等しい。
【0155】図16から明らかなように、三つの信号周
波数f1、f2、f3のそれぞれにおいて、リアクタンス
5’は正負いずれの値も取り得る。よって、上述の第
1および第2実施例の持つ利点に加えて、三つの周波数
1、f2、f3のそれぞれおいて最適なインピーダンス
・マッチングが可能となるという利点があり、さらに、
第1および第2実施例で述べた制限が除去されるという
利点もある。
【0156】図示しない第2リアクタンス回路は、通
常、第1リアクタンス回路50Aと同じ構成とされる
が、これに限定されない。必要に応じて、第2リアクタ
ンス回路の回路構成を第1〜第3実施形態のいずれかの
構成を採用することもできる。
【0157】なお、上記第4実施形態のインピーダンス
・マッチング回路では、三つの周波数f1、f2、f3
おいてそれぞれインピーダンスをマッチングさせている
が、これと同様に並列共振回路をさらに追加していくこ
とにより、四つ以上の周波数のそれぞれにおいてインピ
ーダンスをマッチングさせることができることは言うま
でもない。
【0158】(第5実施形態)上述した第1〜第4の実
施形態では、第1、第2のリアクタンス回路の各々が
「並列共振回路」を含んでいる。しかし、本発明はこれ
に限定されず、以下に説明するように、各リアクタンス
回路が「直列共振回路」を含むように構成することもで
きる。
【0159】図17(a)は、キャパシタンスC01を持
つコンデンサ61のみからなるリアクタンス回路71を
示す。このリアクタンス回路71のアドミッタンスYC
は、次の数式(13)で与えられる。
【0160】
【数13】
【0161】数式(13)で与えられるアドミッタンス
Cの周波数特性は、図17(b)に示すようになる。
この特性は、図4(b)のリアクタンスX11の周波数特
性と同じ傾向を持つ。
【0162】図18(a)は、インダクタスL01を持つ
コイル62のみからなるリアクタンス回路72を示す。
このリアクタンス回路72のアドミッタンスYLは、次
の数式(14)で与えられる。
【0163】
【数14】
【0164】数式(14)で与えられるアドミッタンス
Lの周波数特性は、図18(b)に示すようになる。
この特性は、図10(b)のリアクタンスX31の周波数
特性と同じ傾向を持つ。
【0165】図19(a)は、キャパシタンスC01を持
つコンデンサ61とインダクタスL 01を持つコイル62
を直列に接続してなるリアクタンス回路73を示す。コ
ンデンサ61とコイル62からなる回路は、共振周波数
0を持つ直列共振回路81を構成する。このリアクタ
ンス回路73(すなわち直列共振回路81)のアドミッ
タンスYLCは、次の数式(15)で与えられる。
【0166】
【数15】
【0167】数式(15)で与えられるアドミッタンス
LCの周波数特性は、図19(b)に示すようになる。
この特性は、図4(c)の並列共振回路14のリアクタ
ンスXLC1の周波数特性と同じ傾向を持つ。すなわち、
リアクタンスXLC1の周波数特性は、f=f0に引いた鉛
直線を一つの漸近線とする曲線で与えられる。ただし、
0は直列共振回路81の共振周波数で、次の数式(1
6)で与えられる。
【0168】
【数16】
【0169】図20(a)は、図19(a)の直列共振
回路81に、キャパシタンスC02を持つコンデンサ63
を並列接続してなるリアクタンス回路74を示す。この
リアクタンス回路74のアドミッタンスY1の周波数特
性は、図20(b)に示すようになる。この特性は、図
4(a)の第1リアクタンス回路10aのリアクタンス
1の周波数特性と同じ傾向を持つ。
【0170】本発明の第5実施形態のインピーダンス・
マッチング回路では、第1および第2のリアクタンス回
路として、図20(a)のリアクタンス回路74を使用
する。その他の構成は、第1実施形態のそれと同じであ
る。
【0171】アドミッタンスはインピーダンスの逆数に
等しいから、アドミッタンスを任意の値に設定できれ
ば、インピーダンスでも任意の値を取ることが可能であ
る。よって、図7に示したスミス・チャートを使用すれ
ば、図20(a)のリアクタンス回路74を用いた場合
でも、第1実施形態において説明したのと同様の方法に
より、信号周波数f1とf2における第1および第2のリ
アクタンス回路のリアクタンス(またはアドミッタン
ス)をそれぞれ適当な値に設定することによって、信号
周波数f1とf2における高周波回路4の入力インピーダ
ンスに対応する二つの点の双方を中心点Oまで移動させ
ることができる。その結果、異なる周波数f 1とf2の双
方において、二つの高周波回路の間で最適値にインピー
ダンスのマッチングを取ることが可能である。
【0172】(第6実施形態)図21(a)は、図19
(a)の直列共振回路81に、インダクタンスL02を有
するコイル64を並列接続してなるリアクタンス回路7
5を示す。このリアクタンス回路75のアドミッタンス
2の周波数特性は、図19(b)と図18(b)の周
波数特性の和であるから、図21(b)に示すようにな
る。この特性は、図10(a)のリアクタンス回路20
のリアクタンスX3の周波数特性と同じ傾向を持つ。
【0173】本発明の第6実施形態のインピーダンス・
マッチング回路では、第1および第2のリアクタンス回
路として、図21(a)のリアクタンス回路75を使用
する。その他の構成は、第2実施形態のそれと同じであ
る。
【0174】(第7実施形態)図22(a)は、図19
(a)の直列共振回路81に、キャパシタンスC02を有
するコンデンサ63とインダクタンスL02を有するコイ
ル64とを並列接続してなるリアクタンス回路76を示
す。このリアクタンス回路76のアドミッタンスY3
周波数特性は、図21(b)と図17(b)の周波数特
性の和であるから、図22(b)に示すようになる。こ
の特性は、図13のリアクタンス回路50のリアクタン
スX5の周波数特性(図14参照)と同じ傾向を持つ。
【0175】本発明の第7実施形態のインピーダンス・
マッチング回路では、第1および第2のリアクタンス回
路として、図22(a)のリアクタンス回路76を使用
する。その他の構成は、第3実施形態のそれと同じであ
る。
【0176】(第8実施形態)図23(a)は、図19
(a)の直列共振回路81と、それと同じ構成を持つ直
列共振回路82と、キャパシタンスC02を有するコンデ
ンサ63と、インダクタンスL02を有するコイル64と
を並列接続してなるリアクタンス回路77を示す。直列
共振回路82は、キャパシタンスC01’を持つコンデン
サ61’とインダクタスL01’を持つコイル62’を直
列に接続して構成される。
【0177】このリアクタンス回路76のアドミッタン
スY4の周波数特性は、図22(b)と図20(b)の
周波数特性の和であるから、図23(b)に示すように
なる。この特性は、図15のリアクタンス回路50Aの
リアクタンスX5’の周波数特性(図16参照)と同じ
傾向を持つ。図20(b)において、f02’は、直列共
振回路82の共振周波数である。
【0178】本発明の第8実施形態のインピーダンス・
マッチング回路では、第1および第2のリアクタンス回
路として、図23(a)のリアクタンス回路77を使用
する。その他の構成は、第4実施形態のそれと同じであ
る。
【0179】(使用状態)図24は、本発明のインピー
ダンス・マッチング回路の使用状態を示す回路図であ
り、本発明のインピーダンス・マッチング回路を無線通
信機の受信機に適用した場合を示す。
【0180】アンテナ側に設けられたフィルタF1と高
周波回路4のトランジスタTrとの間に、インピーダン
ス・マッチング回路1a’が設けられ、高周波回路4の
トランジスタTrと周波数ミキサ側に設けられたフィル
タF2との間に、インピーダンス・マッチング回路1
a’’が設けられている。インピーダンス・マッチング
回路1a’と1a’’は、それぞれ、第1実施形態の第
2リアクタンス回路20a(図2参照)と第2実施形態
の第1リアクタンス回路30(図12参照)から構成さ
れる。なお、R1、R2は抵抗器、CPはコンデンサであ
る。
【0181】図25は、本発明のインピーダンス・マッ
チング回路を図38または図39に示す回路構成の受信
機に適用した場合の回路構成を示すブロック図である。
図25では、820MHz帯と1900MHz帯の両周
波数バンドにおいて共用すべく、それら両周波数バンド
の受信信号の双方を増幅できる高周波増幅器102cを
用いている。それ以外の構成は図39のそれと同じであ
る。この回路構成とすることにより、高周波増幅器10
2cは図35(b)に示す好適なVSWR−f特性を持
つ。
【0182】(変形例)図26〜図27は、本発明のイ
ンピーダンス・マッチング回路の変形例を示す回路図で
ある。
【0183】先に述べたように、本発明の第1実施形態
(図2参照)は「L−Lマッチング」の構成を持ち、第
2実施形態(図12参照)は「C−Cマッチング」の構
成を持つ。しかし、本発明はこれらの構成に限定されな
い。
【0184】すなわち、図26(a)は、従来の「L−
Cマッチング」の構成のインピーダンス・マッチング回
路を示す。この回路は、入力端子2と2’の間に接続さ
れたコイル132と、入力端子2と出力端子3の間に接
続されたコンデンサ131から構成される。
【0185】この構成に対応する本発明のインピーダン
ス・マッチング回路は、例えば図26(b)に示すよう
な構成になる。図26(b)中の参照符号は、第1およ
び第2実施形態で使用したものと同じである。
【0186】図27(a)は、従来の「C−Lマッチン
グ」の構成のインピーダンス・マッチング回路を示す。
この回路は、入力端子2と2’の間に接続されたコンデ
ンサ134と、入力端子2と出力端子3の間に接続され
たコイル133から構成される。
【0187】この構成に対応する本発明のインピーダン
ス・マッチング回路は、例えば図27(b)に示すよう
な構成になる。図27(b)中の参照符号も、第1およ
び第2実施形態で使用したものと同じである。
【0188】図28〜図33も、本発明のインピーダン
ス・マッチング回路の変形例を示す回路図であるが、図
26〜図27とは異なり、入力端子2、2’と出力端子
3、3’の間における各インピーダンス回路の接続の変
形例を示す。
【0189】図28の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、図1(a)と同様に、それぞれインピ
ーダンスZ1とZ2を持つ第1、第2のインピーダンス回
路10と20から構成されているが、その接続方法が異
なっている。すなわち、第1インピーダンス回路10の
二つの端子は、入力端子2と出力端子3にそれぞれ接続
されている。また、第2インピーダンス回路20の一方
の端子は出力端子3に接続され、他方の端子は入力端子
2’と出力端子3’に共通接続されている。
【0190】図29の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、図1(a)とは異なり、それぞれイン
ピーダンスZ1とZ2とZ3を持つ第1、第2、第3のイ
ンピーダンス回路10と20と30’から構成されてい
る。第1、第2のインピーダンス回路10と20は、入
力端子2と出力端子3の間で互いに直列に接続されてい
る。第3インピーダンス回路30’の一方の端子は、第
1、第2のインピーダンス回路10と20の接続点に接
続され、他方の端子は入力端子2’と出力端子3’に共
通接続されている。
【0191】図30の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、図29と同様に、それぞれインピーダ
ンスZ1とZ2とZ3を持つ第1、第2、第3のインピー
ダンス回路10と20と30’から構成されている。第
1インピーダンス回路10は、入力端子2と2’の間に
接続されている。第3インピーダンス回路30’は、出
力端子3と3’の間に接続されている。第2インピーダ
ンス回路20の二つの端子は、入力端子2と出力端子3
にそれぞれ接続されている。
【0192】図31の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、図1(a)とは異なり、それぞれイン
ピーダンスZ1、Z2、Z3、Z4、Z5を持つ第1、第
2、第3、第4、第5のインピーダンス回路10と20
と30’と40’と50’から構成されている。第1、
第2、第3のインピーダンス回路10と20と30’の
接続は、図29の場合と同じである。第4、第5のイン
ピーダンス回路40’と50’は、入力端子2’と出力
端子3’の間で互いに直列に接続されている。第3イン
ピーダンス回路30’の一方の端子は、第1、第2のイ
ンピーダンス回路10と20の接続点に接続され、他方
の端子は第4、第5のインピーダンス回路40’と5
0’の接続点に接続されている。
【0193】図32の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、それぞれインピーダンスZ1、Z2、Z
3、Z4を持つ第1、第2、第3、第4のインピーダンス
回路10と20と30’と40’から構成されている。
第1インピーダンス回路10は、入力端子2’と2’の
間に接続されている。第2インピーダンス回路20は、
入力端子2と出力端子3の間に接続されている。第3イ
ンピーダンス回路30’は、出力端子3’と3’の間に
接続されている。第4インピーダンス回路40’は、入
力端子2’と出力端子3’の間に接続されている。
【0194】図33の接続では、インピーダンス・マッ
チング回路1が、それぞれインピーダンスZ1、Z2、Z
3を持つ第1、第2、第3のインピーダンス回路10と
20と30’から構成されている。第1インピーダンス
回路10は、入力端子2と出力端子3の間に接続されて
いる。第2インピーダンス回路20は、入力端子2’と
出力端子3’の間に接続されている。第3インピーダン
ス回路30’は、出力端子3’と3’の間に接続されて
いる。
【0195】図28〜図33の各インピーダンス回路と
して、本発明のインピーダンス・マッチング回路の構成
を使用できる。
【0196】図28〜図33に示したもの以外にも種々
の接続態様が考えられるが、本発明はいずれの接続態様
に対しても適用可能である。
【0197】上述した第1〜4の実施形態では、二つの
高周波回路のインピーダンスを50Ωにマッチングする
例について述べたが、本発明はこれに限定されないこと
はもちろんである。また、上述した第1〜8の実施形態
では、携帯電話に内蔵されている受信回路に適用した例
を説明したが、本発明の適用対象はこの場合に限定され
ないことは言うまでもない。例えば、本発明のインピー
ダンス・マッチング回路は、携帯電話に内蔵されている
送信回路にも適用可能であり、さらに、インピーダンス
・マッチングが必要な他の任意の電子回路にも適用可能
である。
【0198】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインピー
ダンス・マッチング方法とインピーダンス・マッチング
回路によれば、互いに離れた二つあるいはそれ以上の周
波数のそれぞれにおいて、前記第1回路と第2回路のイ
ンピーダンスをそれらの最適値にマッチングさせること
ができる。また、互いに離れた二つあるいはそれ以上の
周波数帯の信号を処理できるシステムの回路構成を簡略
化することが可能となる。さらに、インピーダンス・マ
ッチングに起因する電力損失の増加を生じることもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のインピーダンス・マッチング
回路の構成例を示す回路図、(b)は本発明の第1実施
形態のインピーダンス・マッチング回路の基本構成を示
す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態のインピーダンス・マッ
チング回路の具体的構成を示す回路図である。
【図3】(a)は図2に示す第1実施形態のインピーダ
ンス・マッチング回路の第1リアクタンス回路の回路
図、(b)はその第2リアクタンス回路の回路図であ
る。
【図4】(a)は図2に示すインピーダンス・マッチン
グ回路における第1リアクタンス回路のリアクタンスの
周波数特性図、(b)はその第1リアクタンス回路に使
用されたコイルのリアクタンスの周波数特性図、(c)
はその第1リアクタンス回路に使用された並列共振回路
のリアクタンスの周波数特性図である。
【図5】図40に示す従来のインピーダンス・マッチン
グ回路の回路図である。
【図6】図5に示す従来のインピーダンス・マッチング
回路の動作を示すスミス・チャートである。
【図7】図2に示す第1実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路の第1リアクタンス回路の動作を示すスミ
ス・チャートである。
【図8】図40に示す従来の第1インピーダンス・マッ
チング回路において、各コイルをコンデンサに代えた従
来のインピーダンス・マッチング回路の回路図である。
【図9】(a)は図12に示す本発明の第2実施形態の
インピーダンス・マッチング回路の第1リアクタンス回
路の回路図、(b)はその第2リアクタンス回路の回路
図である。
【図10】(a)は第2実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路の第1リアクタンス回路のリアクタンスの
周波数特性図、(b)はその第1リアクタンス回路に使
用されたコンデンサのリアクタンスの周波数特性図であ
る。
【図11】第2実施形態のインピーダンス・マッチング
回路の第1リアクタンス回路の動作を示すスミス・チャ
ートである。
【図12】本発明の第2実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路の回路構成を示す回路図である。
【図13】本発明の第3実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路に使用する第1リアクタンス回路の回路図
である。
【図14】図13に示す本発明の第3実施形態のインピ
ーダンス・マッチング回路に使用する第1リアクタンス
回路のリアクタンスの周波数特性図である。
【図15】本発明の第4実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路に使用する第1リアクタンス回路の回路図
である。
【図16】図15に示す本発明の第4実施形態のインピ
ーダンス・マッチング回路に使用するの第1リアクタン
ス回路のリアクタンスの周波数特性図である。
【図17】コンデンサのみからなるリアクタンス回路の
回路図と、そのアドミッタンスの周波数特性図である。
【図18】コイルのみからなるリアクタンス回路の回路
図と、そのアドミッタンスの周波数特性図である。
【図19】直列接続されたコンデンサとコイルからなる
リアクタンス回路の回路図と、そのアドミッタンスの周
波数特性図である。
【図20】本発明の第5実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路のリアクタンス回路に使用される、コンデ
ンサとコイルからなる直列共振回路と、それに並列に接
続されたコンデンサからなるリアクタンス回路の回路図
と、そのアドミッタンスの周波数特性図である。
【図21】本発明の第6実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路のリアクタンス回路に使用される、コンデ
ンサとコイルからなる直列共振回路と、それに並列に接
続されたコイルからなるリアクタンス回路の回路図と、
そのアドミッタンスの周波数特性図である。
【図22】本発明の第7実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路のリアクタンス回路に使用される、コンデ
ンサとコイルからなる直列共振回路と、それに並列に接
続されたコンデンサおよびコイルからなるリアクタンス
回路の回路図と、そのアドミッタンスの周波数特性図で
ある。
【図23】本発明の第8実施形態のインピーダンス・マ
ッチング回路のリアクタンス回路に使用される、それぞ
れがコンデンサとコイルからなる二つの直列共振回路
と、コンデンサと、コイルとを並列に接続してなるリア
クタンス回路の回路図と、そのアドミッタンスの周波数
特性図である。
【図24】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
無線通信機の受信機に適用した場合の具体的構成を示す
回路図である。
【図25】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
図38または図39に示す回路構成の受信機に適用した
場合の回路構成を示すブロック図である。
【図26】「L−Cマッチング」の構成を持つ従来のイ
ンピーダンス・マッチング回路と、本発明のインピーダ
ンス・マッチング回路の変形例を示す回路図である。
【図27】「C−Lマッチング」の構成を持つ従来のイ
ンピーダンス・マッチング回路と、本発明のインピーダ
ンス・マッチング回路の変形例を示す回路図である。
【図28】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続の変形例を示す回路図である。
【図29】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続の他の変形例を示す回路図であ
る。
【図30】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続のさらに他の変形例を示す回路図
である。
【図31】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続のさらに他の変形例を示す回路図
である。
【図32】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続のさらに他の変形例を示す回路図
である。
【図33】本発明のインピーダンス・マッチング回路を
適用可能な、入力端子対と出力端子対の間におけるイン
ピーダンス回路の接続のさらに他の変形例を示す回路図
である。
【図34】携帯電話機に使用される従来の単一バンド受
信回路(図37参照)のVSWRの周波数特性図であ
る。
【図35】携帯電話機に使用される従来の二バンド受信
回路(図38と図39参照)のVSWRの周波数特性図
である。
【図36】携帯電話機に使用される従来の二バンド受信
回路のVSWRの周波数特性図である。
【図37】携帯電話機に使用される従来の単一バンド受
信回路の構成例を示す回路図である。
【図38】携帯電話機に使用される従来の二バンド受信
回路の構成例を示す回路図である。
【図39】携帯電話機に使用される従来の二バンド受信
回路の他の構成例を示す回路図である。
【図40】従来のインピーダンス・マッチング回路の構
成例を示す回路図である。
【符号の説明】 1、1a インピーダンス・マッチング回路 2、2’ 入力端子 3、3’ 出力端子 4、4’、5 高周波回路 10 第1インピーダンス回路 10a 第1リアクタンス回路 11、12 コイル 13 コンデンサ 14 並列共振回路 20 第2インピーダンス回路 20a 第2リアクタンス回路 21、22 コイル 23 コンデンサ 24 並列共振回路 30 第1リアクタンス回路 30’ 第3インピーダンス回路 31、32 コンデンサ 33 コイル 34 並列共振回路 40 第2リアクタンス回路 40’ 第4インピーダンス回路 41、42 コンデンサ 43 コイル 44 並列共振回路 50、50A 第1リアクタンス回路 50’ 第5インピーダンス回路 51、54、57 コイル 52、53、56 コンデンサ 55、58 並列共振回路 61、61’、63 コンデンサ 62、62’、64 コイル 81、82 直列共振回路 101 アンテナ 102c 高周波増幅器 103 周波数ミキサ 104a、104b 局部発振器 105 中間周波増幅器 106 復調器 110 スイッチ

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のリアクタンス素子を含むインピー
    ダンス・マッチング回路を用いて、第1回路と第2回路
    の間で二つ以上の異なる周波数におけるインピーダンス
    ・マッチングを行うインピーダンス・マッチング方法に
    おいて、 前記インピーダンス・マッチング回路内の複数のリアク
    タンス素子の各々と等価であり、しかも前記二つ以上の
    異なる周波数においてそれぞれ所望のリアクタンス値を
    与える周波数特性を持つリアクタンス回路を構成する第
    1ステップと、 前記第1ステップで構成された前記リアクタンス回路の
    各々を形成するリアクタンス素子のリアクタンス値を算
    出する第2ステップと、 前記第2ステップで算出されたリアクタンス値を有する
    前記リアクタンス回路を用いて、前記二つ以上の異なる
    周波数において前記インピーダンス・マッチング回路の
    インピーダンス値を決定し、もってそれら異なる周波数
    において前記第1回路のインピーダンス値と前記第2回
    路のインピーダンス値をそれらの最適値にマッチングさ
    せる第3ステップとを備えたことを特徴とするインピー
    ダンス・マッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記第1ステップで構成された前記リア
    クタンス回路の各々が共振回路を含んでおり、しかもそ
    の共振回路の共振周波数は、前記二つ以上の異なる周波
    数のうちの隣接する二つの周波数の間に位置している請
    求項1に記載のインピーダンス・マッチング方法。
  3. 【請求項3】 前記共振回路が、複数のリアクタンス素
    子の並列共振回路である請求項2に記載のインピーダン
    ス・マッチング方法。
  4. 【請求項4】 前記共振回路が、互いに並列に接続され
    た誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を
    含む並列共振回路である請求項2に記載のインピーダン
    ス・マッチング方法。
  5. 【請求項5】 前記共振回路が、複数のリアクタンス素
    子の直列共振回路である請求項2に記載のインピーダン
    ス・マッチング方法。
  6. 【請求項6】 前記共振回路が、互いに直列に接続され
    た誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子を
    含む直列共振回路である請求項2に記載のインピーダン
    ス・マッチング方法。
  7. 【請求項7】 前記第2ステップにおけるリアクタンス
    値の算出が、前記二つ以上の異なる周波数のうちの一つ
    の周波数における前記第2回路のインピーダンス値に対
    応する点を中心点に配置したスミス・チャートまたはア
    ドミッタンス・チャートを使用して行われ、 しかも、その際に、 前記二つ以上の異なる周波数における前記第1回路のイ
    ンピーダンス値にそれぞれ対応する点を前記スミス・チ
    ャートまたはアドミッタンス・チャート上に配置するス
    テップと、 前記スミス・チャートまたはアドミッタンス・チャート
    上に配置された前記第1回路のインピーダンス値にそれ
    ぞれ対応する点を、前記スミス・チャートまたはアドミ
    ッタンス・チャートの中心点を通る共通の円周上にそれ
    ぞれ移動させるステップと、 前記共通の円周上に移動せしめられた前記第1回路のイ
    ンピーダンス値にそれぞれ対応する点を前記中心点に重
    なるように移動させるステップとが実行される請求項1
    〜6のいずれかに記載のインピーダンス・マッチング方
    法。
  8. 【請求項8】 第1回路と第2回路の間で二つ以上の異
    なる周波数におけるインピーダンス・マッチングを行う
    ために使用されるインピーダンス・マッチング回路にお
    いて、 前記第1回路が接続される第1端子対と、 前記第2回路が接続される第2端子対と、 前記第1端子対と前記第2端子対の間に設けられた複数
    のインピーダンス回路とを備え、 前記複数のインピーダンス回路の各々は、前記二つ以上
    の異なる周波数においてそれぞれ所定のリアクタンス値
    を与える周波数特性を持つリアクタンス回路を有してい
    て、そのリアクタンス回路によってそれら異なる周波数
    においてそれぞれ所定のインピーダンス値が設定されて
    おり、 しかも、それら異なる周波数における前記複数のインピ
    ーダンス回路の合成インピーダンス値は、前記第1回路
    のインピーダンス値と前記第2回路のインピーダンス値
    とをそれらの最適値にマッチングさせるように設定され
    ることを特徴とするインピーダンス・マッチング回路。
  9. 【請求項9】 前記複数のリアクタンス回路の各々が共
    振回路を含んでおり、しかもその共振回路の共振周波数
    は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接する二つ
    の周波数の間に位置している請求項8に記載のインピー
    ダンス・マッチング回路。
  10. 【請求項10】 前記共振回路が、複数のリアクタンス
    素子の並列共振回路である請求項9に記載のインピーダ
    ンス・マッチング回路。
  11. 【請求項11】 前記共振回路が、互いに並列に接続さ
    れた誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子
    を含む並列共振回路である請求項9に記載のインピーダ
    ンス・マッチング回路。
  12. 【請求項12】 前記共振回路が、互いに並列に接続さ
    れた誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子
    を含む並列共振回路であり、しかも、誘導性リアクタン
    ス素子および容量性リアクタンス素子の少なくとも一方
    が前記並列共振回路に直列に接続されている請求項9に
    記載のインピーダンス・マッチング回路。
  13. 【請求項13】 前記複数のリアクタンス回路の各々
    が、互いに直列に接続された複数の共振回路を含んでお
    り、しかもそれら複数の共振回路の共振周波数の各々
    は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接する二つ
    の周波数の間に位置している請求項8に記載のインピー
    ダンス・マッチング回路。
  14. 【請求項14】 前記共振回路の各々が、互いに並列に
    接続された誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタン
    ス素子を含む並列共振回路である請求項13に記載のイ
    ンピーダンス・マッチング回路。
  15. 【請求項15】 前記共振回路の各々が、互いに並列に
    接続された誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタン
    ス素子を含む並列共振回路であり、しかも、誘導性リア
    クタンス素子および容量性リアクタンス素子の少なくと
    も一方が前記並列共振回路に直列に接続されている請求
    項13に記載のインピーダンス・マッチング回路。
  16. 【請求項16】 前記共振回路が、複数のリアクタンス
    素子の直列共振回路である請求項9に記載のインピーダ
    ンス・マッチング回路。
  17. 【請求項17】 前記共振回路が、互いに直列に接続さ
    れた誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子
    を含む直列共振回路である請求項9に記載のインピーダ
    ンス・マッチング回路。
  18. 【請求項18】 前記共振回路が、互いに直列に接続さ
    れた誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタンス素子
    とを含む直列共振回路であり、しかも、誘導性リアクタ
    ンス素子および容量性リアクタンス素子の少なくとも一
    方が前記直列共振回路に並列に接続されている請求項9
    に記載のインピーダンス・マッチング回路。
  19. 【請求項19】 前記複数のリアクタンス回路の各々
    が、互いに並列に接続された複数の共振回路を含んでお
    り、しかもそれら複数の共振回路の共振周波数の各々
    は、前記二つ以上の異なる周波数のうちの隣接する二つ
    の周波数の間に位置している請求項8に記載のインピー
    ダンス・マッチング回路。
  20. 【請求項20】 前記共振回路の各々が、互いに直列に
    接続された誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタン
    ス素子を含む直列共振回路である請求項19に記載のイ
    ンピーダンス・マッチング回路。
  21. 【請求項21】 前記共振回路の各々が、互いに直列に
    接続された誘導性リアクタンス素子と容量性リアクタン
    ス素子を含む直列共振回路であり、しかも、誘導性リア
    クタンス素子および容量性リアクタンス素子の少なくと
    も一方が前記直列共振回路に並列に接続されている請求
    項19に記載のインピーダンス・マッチング回路。
  22. 【請求項22】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダン
    ス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対間または前
    記第2端子対間に接続されている請求項8〜21のいず
    れかに記載のインピーダンス・マッチング回路。
  23. 【請求項23】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダン
    ス回路のうちの他の二つが、前記第1端子対間および前
    記第2端子対間にそれぞれ接続されている請求項8〜2
    1のいずれかに記載のインピーダンス・マッチング回
    路。
  24. 【請求項24】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダン
    ス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対の他方の端
    子と前記第2端子対の他方の端子とに接続され、しか
    も、前記複数のインピーダンス回路のうちのさらに他の
    一つが、前記第1端子対間または前記第2端子対間に接
    続されている請求項8〜21のいずれかに記載のインピ
    ーダンス・マッチング回路。
  25. 【請求項25】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の一つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子とに接続され、前記複数のインピーダン
    ス回路のうちの他の一つが、前記第1端子対の他方の端
    子と前記第2端子対の他方の端子とに接続され、しか
    も、前記複数のインピーダンス回路のうちのさらに他の
    二つが、前記第1端子対間および前記第2端子対間にそ
    れぞれ接続されている請求項8〜21のいずれかに記載
    のインピーダンス・マッチング回路。
  26. 【請求項26】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の二つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子との間で直列に接続され、前記複数のイ
    ンピーダンス回路のうちのさらに他の一つが、直列に接
    続された前記二つのインピーダンス回路の接続点と、前
    記第1端子対の他方の端子および前記第2端子対の他方
    の端子とに接続されている請求項8〜21のいずれかに
    記載のインピーダンス・マッチング回路。
  27. 【請求項27】 前記複数のインピーダンス回路のうち
    の二つが、前記第1端子対の一方の端子と前記第2端子
    対の一方の端子との間で直列に接続され、前記複数のイ
    ンピーダンス回路のうちの他の二つが、前記第1端子対
    の他方の端子と前記第2端子対の他方の端子との間で直
    列に接続され、しかも、前記複数のインピーダンス回路
    のうちのさらに他の一つが、直列に接続された前記二つ
    のインピーダンス回路の接続点と、直列に接続された前
    記他の二つのインピーダンス回路の接続点とに接続され
    ている請求項8〜21のいずれかに記載のインピーダン
    ス・マッチング回路。
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