WO2022138449A1

WO2022138449A1 - スキンケア製品用不織布、フェイスマスクおよびクレンジングシート

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Publication number: WO2022138449A1
Application number: PCT/JP2021/046545
Authority: WO
Inventors: 小山久美; 大森平; 高野朋子
Original assignee: 東レ株式会社
Priority date: 2020-12-23
Filing date: 2021-12-16
Publication date: 2022-06-30
Also published as: KR20230122579A; US20240074947A1; TW202242215A; JPWO2022138449A1; CN116528723A

Abstract

肌への密着性および肌に付着した化粧料の拭取性に優れ、かつ肌あたりの柔らかさに優れたスキンケア製品用不織布を提供するため、本発明のスキンケア用不織布は、合成繊維とセルロース繊維とを含有するスキンケア製品用不織布であって、前記合成繊維の横断面の最大長さをＡ、最大幅をＢとするとき、下記（１）式に示す扁平度が１．０～１．５であり、扁平度＝Ａ／Ｂ　・・・　（１）かつ前記合成繊維は、深さが前記合成繊維の単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部を有し、前記合成繊維の単糸繊度が１μｍ以上２０μｍ以下であり、前記合成繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して３０～７０質量％であり、前記セルロース繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して７０～３０質量％であり、前記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上２０μｍ以下である。

Description

スキンケア製品用不織布、フェイスマスクおよびクレンジングシート

　本発明は、スキンケア製品用不織布、フェイスマスクおよびクレンジングシートに関する。

　近年、不織布は、保液性や風合いを活かしたスキンケア製品の用途として、その需要を拡大し続けている。そして、フェイスマスクやクレンジングシートに代表されるシート状のスキンケア製品は、薬液の皮膚への浸透や、化粧料の除去など様々な目的で使用される。フェイスマスクは、一定時間、皮膚の表面において薬液を保持できるため、皮膚に直接塗布する従来のスキンケアと比べ、薬液を十分に皮膚へ浸透させることができる。また、クレンジングシートは、クレンジング剤による化粧料の除去の効果と、シートの皮膚への接触による化粧料の除去の効果の双方から、高いクレンジング効果が得られる。上記の様な優れた性能から、シート状のスキンケア製品として、様々な商品が提案されている。

　最近では、空孔形状が閉鎖型である断面形状の異型断面繊維とセルロース系繊維を有する不織布を用いた対人向け清拭用、美容用不織布が提案されている（特許文献１）。そして、特許文献１には、上記の対人向け清拭用、美容用不織布が、肌への刺激が少ないと同時に拭取性が良好なものとなることが開示されている。

　また、多葉扁平断面ポリエステル系繊維とセルロース系繊維を有する不織布を用いた対人向け清拭用や美容用の不織布が提案されている（特許文献２）。そして、特許文献２には、肌への刺激が少ないと同時に拭取性が良好なものとなることが開示されている。

　また、繊維断面に少なくとも一つの凹部またはくびれを有する合成繊維と親水性繊維を含む不織布を用いた液体含浸皮膚被覆シート用不織布が提案されている（特許文献３）。そして、特許文献３には、上記の液体含浸皮膚被覆シート用不織布が、良好な密着性を示すことが開示されている。

特開２００９－７９３２０号公報国際公開２０１４／１３２６９０号公報特開２０１９－１７０７５６号公報

　本発明者らの知見によると、上記の特許文献１に開示された不織布（以下、公知不織布１と称することがある）は、空孔形状が閉鎖型である断面形状の異型断面繊維とセルロース系繊維を含む。よって、公知不織布１を用いた対人向け清拭用、美容用不織布は、上記の異型断面繊維の断面形状に由来して、肌への刺激が少ないと同時に拭取性が良好なものとなる。しかし、例えば公知不織布１が含む異型断面繊維の扁平度が大きく、かつ、異型断面繊維の単繊維直径に対して凹部の深さの割合が大きい場合、公知不織布１表面の平滑性が低下する傾向にある。よって、この公知不織布１を対人向け清拭用、美容用不織布に用いる場合においては、肌あたりの柔らかさが不十分であるとの課題がある。

　また、特許文献２に開示された不織布（以下、公知不織布２と称することがある）についても、公知不織布１と同様の課題が存在する。すなわち、公知不織布２が含む多葉扁平断面ポリエステル系繊維の扁平度が大きく、かつ、多葉扁平断面ポリエステル系繊維の単繊維直径に対して凹部の深さが大きい場合、公知不織布２表面の平滑性が低下する傾向にある。よって、この公知不織布２を対人向け清拭用、美容用不織布に用いる場合においては、肌あたりの柔らかさが不十分であるとの課題がある。

　また、特許文献３に開示された不織布（以下、公知不織布３と称することがある）は、繊維断面に少なくとも一つの凹部またはくびれを有する合成繊維と親水性繊維を含む。よって、公知不織布３を用いた液体含浸皮膚被覆シート用不織布は良好な密着性を示す。しかし、例えば公知不織布３が含む合成繊維の扁平度が大きく、かつ、合成繊維の単繊維直径に対して凹部の深さが大きい場合、公知不織布３表面の平滑性が低下する傾向にある。よって、この公知不織布３を液体含浸皮膚被覆シート用不織布に用いる場合においては、肌あたりの柔らかさが不十分であるとの課題がある。

　そこで、本発明者は、上記の事情に鑑み、肌への密着性および肌に付着した化粧料の拭取性に優れ、かつ肌あたりの柔らかさに優れたスキンケア製品用不織布、フェイスマスクおよびクレンジングシートを提供することを課題とする。なお、上記の拭取性とは湿潤状態にあるスキンケア製品の拭取性のことであり、以下、同様である。

　上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
　（１）合成繊維とセルロース繊維とを含有するスキンケア製品用不織布であって、前記合成繊維の横断面の最大長さをＡ、最大幅をＢとするとき、下記（１）式に示す扁平度が１．０～１．５であり、
扁平度＝Ａ／Ｂ　・・・　（１）
かつ前記合成繊維は、深さが前記合成繊維の単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部を有し、前記合成繊維の単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下であり、前記合成繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して３０～７０質量％であり、前記セルロース繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して７０～３０質量％であり、前記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上２０μｍ以下であることを特徴とする、スキンケア製品用不織布、
　（２）前記合成繊維の単繊維直径が１μｍ以上１５μｍ以下であり、前記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上１５μｍ以下であることを特徴とする、（１）に記載のスキンケア製品用不織布、
　（３）前記合成繊維の、ＪＩＳ　Ｌ１０１５　２０１０　８．７．１に準じて測定される引張強度が、２．５～３．２ｃＮ／ｄｔｅｘである、（１）または（２）に記載のスキンケア製品用不織布、
　（４）第１の層および第２の層を含む積層不織布構造を有し、
前記第１の層が、前記スキンケア製品用不織布の一方の面を構成し、前記第１の層が、前記合成繊維を前記第１の層の全体に対して５０質量％以上含有し、前記第１の層における前記合成繊維の単繊維直径のバラツキが１～１０％であり、
前記第２の層を構成する繊維の平均単繊維直径が５～１５μｍであり、かつ、前記第２の層を構成する繊維の単繊維直径のバラツキが１１～３５％であり、
前記第１の層を構成する繊維と前記第２の層を構成する繊維とが、絡合している、
（１）～（３）のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布、
　（５）（１）～（４）のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布を有する、フェイスマスク、
　（６）（１）～（４）のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布を有する、クレンジングシートである。

　本発明によれば、肌への密着性および肌に付着した化粧料の拭取性に優れ、かつ肌あたりの柔らかさに優れたスキンケア製品用不織布、フェイスマスクおよびクレンジングシートを提供することができる。

本発明のスキンケア製品用不織布の一実施形態が含有する合成繊維の断面の形状の概念図である。

　以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。

　本発明のスキンケア製品用不織布は以下の構成を有する。すなわち、合成繊維とセルロース繊維とを含有するスキンケア製品用不織布であって、上記合成繊維の横断面の最大長さをＡ、最大幅をＢとするとき、下記（１）式に示す扁平度が１．０～１．５であり、
扁平度＝Ａ／Ｂ　・・・　（１）
かつ上記合成繊維は、深さが上記合成繊維の単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部を有し、上記合成繊維の単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下であり、上記合成繊維の含有量は、上記スキンケア製品用不織布の全体に対して３０～７０質量％であり、上記セルロース繊維の含有量は、上記スキンケア製品用不織布の全体に対して７０～３０質量％であり、上記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上２０μｍ以下であることを特徴とする、スキンケア製品用不織布である。

　本発明のスキンケア製品用不織布は、合成繊維を含む。まず、この合成繊維について説明する。

　本発明で用いる合成繊維の素材としては、特に限定はされないが、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらの素材の中でも、親水性であり、湿潤状態にある時に合成繊維が膨潤し、スキンケア製品用不織布がより柔軟なものとなるため、結果的に、スキンケア製品用不織布の肌への密着性や拭取性、肌あたりの柔らかさを優れたものとできるとの理由により、アクリル系樹脂が好ましい。尚、これらの素材には、他の成分が共重合されていても良いし、安定剤などの添加物を含有していても良い。

　また、本発明のスキンケア製品用不織布に用いられる合成繊維は、上記合成繊維の横断面の最大長さをＡ、最大幅をＢとするとき、上記（１）式に示す扁平度が１．０～１．５であり、かつ上記合成繊維は、深さが上記合成繊維の単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部を有する。なお、以下、上記合成繊維の単繊維直径に対する、上記合成繊維の有する凹部の深さの割合を、単に上記合成繊維の凹部の深さの割合と称することがある。

　扁平度を１．０～１．５とすることで、合成繊維の製糸性の悪化を抑制できる。また、本スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品において、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維の配向の均一性が高くなる。そして、結果的に、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが優れたものとなる。上記の理由から、扁平度は１．０～１．４がより好ましく、１．０～１．３がより好ましい。また、合成繊維の断面形状は特に限定されないが、上記の理由から、鋭利な端部を有する断面形状ではないことが好ましく、より好ましくは略円形である。鋭利な端部を有する断面形状としては例えば、四角形や六角形などの多角形が挙げられる。ここで、合成繊維の横断面の最大長さＡとは、合成繊維の繊維軸方向に対し垂直の断面において、前記断面形状の外周上のある点から他の点までの線分の長さを測定したとき、測定される最長の線分の長さをいう。また、最大幅Ｂとは、上記の最大長さＡの線分（長軸）に直交する直線が、繊維断面の外周と交差する二つの交点を結ぶ線分のうち、その長さが最大となるものをいう。なお、合成繊維の扁平度は、走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）で画像を撮影することにより測定できる。

　また、合成繊維の凹部の深さの割合を１．０％以上とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品において、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維が肌に存在する細かな凹凸に沿い、スキンケア製品と肌との接触面積が大きくなり、スキンケア製品と肌との間の摩擦係数が高くなる。そして、その結果、スキンケア製品の密着性や拭取性が優れたものとなる。一方で、合成繊維の凹部の深さの割合を１０．０％以下とすることで、合成繊維表面の平滑性が高くなるため、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品を使用する際に、肌へ与える刺激や触感の低下を抑制できるため、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが優れたものとなる。上記の理由から、合成繊維の凹部の深さの割合は、８．０％以下であることがより好ましく、６．０％以下であることがさらに好ましい。

　ここで、合成繊維の凹部の深さについて、図１を用いて詳細に説明する。図１は、本発明のスキンケア製品用不織布の一実施形態が含有する合成繊維の断面の形状の概念図である。図１に示されるとおり、合成繊維の断面１は１個の凹部２を有している。合成繊維の凹部の深さとは、図１に示される凹部２の最深点３から断面１の外接円４に下した垂線（外接円４の接線と垂直に交差する線）のうち、断面１の中心点Ｎとは略反対の方向に下した垂線６と外接円４との接点５と、最深点３との間を結ぶ線分の長さＬである。また、合成繊維の凹部の深さは、走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）でスキンケア製品用不織布の断面写真を撮影し、同一写真内で、合成繊維の凹部の深さＬの長さを測定することで、算出できる。

　なお、本発明で用いる合成繊維の凹部は、合成繊維の側面においても、繊維の長手方向に対して略並行な方向に線状の形態として確認できるものであって、上記の凹部は、連続した線状形態のもの、不連続な線状形態のものであっても良く、すなわち、その長短に依らず、いわゆる線状の形態であれば良い。

　本発明で用いる合成繊維は、用いるポリマーの種類に適した通常の方法で紡糸することにより製造し得るが、その際、吐出孔の形状や紡糸条件を適宜調整し、本発明で規定する断面形状となるよう制御する。なお、例えば、アルカリ減量によりポリエチレンテレフタレート繊維の表面から無機系微粒子を脱落させることで、繊維表面に微細な凹凸が形成されるが、この形態では、上記の無機系微粒子の一部が脱落せずに繊維表面に残留する可能性があり、そして、その結果、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品を使用する際に、肌へ与える刺激や触感の低下となる可能性があるため、好ましい形態ではない。したがって合成繊維における無機系微粒子の含有量は０質量％とすることが好ましいが、含有させるとしても肌への刺激や触感低下をもたらさない程度、例えば０．１質量％以下にとどめることが好ましい。

　本発明で用いる合成繊維の凹部の深さの割合は１．０％以上１０．０％以下であるため、上記合成繊維を含むスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品では、この合成繊維が、肌に存在する細かな凹凸に沿い、スキンケア製品と肌との接触面積が大きくなり、スキンケア製品と肌との間の摩擦係数が向上する。そして、その結果、スキンケア製品の密着性や拭取性が向上するものと推測する。スキンケア製品と肌との間の摩擦係数を評価する手法としては、粗さ／摩擦感テスター（カトーテック社製ＫＥＳ－ＳＥＳＲＵ）を用いて測定した動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）により評価することができる。スキンケア製品の肌の表面への密着性がより優れたものとなり、スキンケア製品の拭取性がより優れたものとなるとの観点から、スキンケア製品用不織布の動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）は、０．０５８以上であることが好ましく、０．０６０以上であることがより好ましく、０．０６２以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは０．０７０以上である。

　また、本発明で用いる合成繊維は、扁平度が１．０～１．５であるため、上記合成繊維を含むスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品では、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維の配向の均一性が向上する。さらに、上記合成繊維の凹部の深さの割合は１．０％以上１０．０％以下であるため、上記合成繊維表面の平滑性が向上し、上記合成繊維を含むスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品を使用する際に、肌へ与える刺激や触感の低下を抑制できる。そして、その結果、上記スキンケア製品が肌へ与える刺激や触感の低下を抑制できるため、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが向上するものと推測する。一方で、上記合成繊維の凹部が肌に存在する細かな凹凸に沿い、スキンケア製品と肌との接触面積が大きくなり、スキンケア製品と肌との間の摩擦係数が高くなる。そして、その結果、スキンケア製品の優れた密着性や拭取性をも備えたものとなると推測する。なお、肌あたりの柔らかさを有する一方で優れた密着性や拭取性をも備える上記スキンケア製品の表面特性を評価する手法としては、粗さ／摩擦感テスター（カトーテック社製ＫＥＳ－ＳＥＳＲＵ）を用いて、動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）、動摩擦係数平均値の変動（ＭＭＤ）、表面粗さ平均値の標準偏差（ＳＭＤ）の値を測定し、次の式（２）により算出した表面特性により評価することができる。スキンケア製品の肌あたりの柔らかさがより優れたものとなるとの観点から、スキンケア製品用不織布の表面特性は、２．３以上であることが好ましく、より好ましくは２．５以上、３．０以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは３．５以上である。
表面特性　＝　ＭＩＵ　／　（ＭＭＤ×ＳＭＤ）　・・・　（２）

　本発明で用いる合成繊維は、単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下である。合成繊維の単繊維直径を１μｍ以上とすることで、スキンケア製品用不織布の生産性を向上することができる。そして、本スキンケア製品の取扱性をより優れたものとすることができる。上記の理由から、合成繊維の単繊維直径の下限は、５μｍ以上であることがより好ましく、８μｍ以上であることがさらに好ましい。一方、単繊維直径を２０μｍ以下とすることで、合成繊維が剛直なものとなることを抑制し、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品において、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維が肌の細かな凹凸により高度に追従するものとなる。そして、結果的に、このスキンケア製品の密着性や拭取性がより一層優れたものとなる。上記の理由から、合成繊維の単繊維直径の上限は、１５μｍ以下であることがより好ましく、１０μｍ以下であることがさらに好ましい。ここで、スキンケア製品が肌へ追従するとは、例えば、フェイスマスクの使用時において、フェイスマスクが使用者の顔面に存在する凹凸（使用者の鼻の頭から頬にかけての部位等）に沿って貼り付く性能のことをいう。ここで、合成繊維の単繊維直径とは、スキンケア製品用不織布の断面写真から合成繊維の断面の面積を測定し、上記の断面の面積と同一の面積の真円の直径とする。

　また、合成繊維の単繊維直径のバラツキは特に限定されないが、２０％以下であることが好ましい。合成繊維の単繊維直径のバラツキが２０％以下であることで、合成繊維の単繊維直径が均一なものとなるため、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の表面に存在する合成繊維の平滑性がより優れたものとなる。上記の理由から、合成繊維の単繊維直径のバラツキの上限は、１５％以下であることがより好ましく、１０％以下であることがさらに好ましい。そして、結果的に、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが優れたものとなる。なお、合成繊維の単繊維直径のバラツキは、走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）で画像を撮影することにより測定できる。

　本発明で用いる合成繊維の引張強度は、２．５～３．２ｃＮ／ｄｔｅｘであることが好ましい。引張強度が２．５～３．２ｃＮ／ｄｔｅｘと適度な柔軟性を有する合成繊維を含むことで、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性がより一層優れたものとなる。なお、上記の合成繊維の引張強度は、ＪＩＳ　Ｌ１０１５　２０１０　８．７．１に準じて測定される引張強度である。

　本発明の合成繊維の含有量は、スキンケア製品用不織布の全体に対して３０～７０質量％である。合成繊維は、上記合成繊維の単繊維直径に対して特定の割合の凹部を有するため、上記合成繊維の含有量を３０質量％以上とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品において、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維が肌に存在する細かな凹凸に沿い、スキンケア製品と肌との接触面積が大きくなり、スキンケア製品と肌との間の摩擦係数が高くなる。そして、その結果、スキンケア製品の密着性や拭取性が優れたものとなる。さらに、上記合成繊維は、特定の割合の凹部を有することで繊維表面の平滑性が高くなるため、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが優れたものとなる。上記の理由から、合成繊維の含有量の下限は、４０質量％以上であることがより好ましく、５０質量％以上であることがさらに好ましい。一方、合成繊維の含有量を７０質量％以下とすることで、セルロース繊維の含有量が大きくなり、スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性、肌あたりの柔らかさと保液性のバランスが優れたものとなる。

　また、本発明のセルロース繊維としては、パルプや綿等の植物系天然繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、アセテートやトリアセテートなどの半合成繊維を使用することができる。これらの中でも、本スキンケア製品の密着性や拭取性をより優れたものとすることができるとの理由により、レーヨンであることが好ましい。

　一方、本発明におけるセルロース繊維の含有量は７０～３０質量％である。セルロース繊維の含有量を７０～３０質量％とすることで、スキンケア製品不織布を用いたスキンケア製品の保液性が優れたものとなる。上記の理由から、セルロース繊維の含有量の下限は、４０質量％以上であることがより好ましく、５０質量％以上であることがさらに好ましい。

　本発明のスキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径（以下、平均単繊維直径と称することがある）は、５μｍ以上２０μｍ以下である。平均単繊維直径を５μｍ以上とすることで、スキンケア製品用不織布の強度を優れたものとすることができる。そして、結果的に、スキンケア製品用不織布の生産性および使用時の取扱性をより優れたものとすることができる。一方、平均単繊維直径を２０μｍ以下とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布の柔軟性が優れたものとなるため、スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品を使用者の肌の細かな凹凸に沿うようにしなやかに曲げることが可能となり、このスキンケア製品の肌への追従性が優れたものとなる。そして、結果的に、このスキンケア製品の密着性や拭取性がより一層優れたものとなる。上記の理由から、合成繊維の単繊維直径の上限は、１５μｍ以下であることがより好ましく、１３μｍ以下であることがさらに好ましい。

　本発明のスキンケア製品用不織布は、全体に均質な不織布構成でもよいが、厚み方向に、構成の異なる複数の層を有する、いわゆる積層不織布構造を有するものであってよい。

　なかでも第１の層および第２の層を備える積層不織布構造を有し、上記第１の層が、上記スキンケア製品用不織布の一方の面を構成し、上記第１の層が、上記合成繊維を上記第１の層の全体に対して５０質量％以上含有し、上記第１の層における上記合成繊維の単繊維直径のバラツキが１～１０％であり、上記第２の層を構成する繊維の平均単繊維直径が５～１５μｍであり、かつ、上記第２の層を構成する繊維の単繊維直径のバラツキが１１～３５％であり、上記第１の層を構成する繊維と上記第２の層を構成する繊維とが、絡合しているスキンケア製品用不織布とすることが好ましい。

　本発明のスキンケア製品用不織布は、上記第１の層に単繊維直径のバラツキが小さい上記合成繊維を、上記第１の層の全体に対して５０質量％以上含有することで、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の表面に存在する合成繊維の平滑性がより優れたものとなる。また、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品において、スキンケア製品の表面に存在する合成繊維が肌に存在する細かな凹凸に沿い、スキンケア製品と肌との接触面積が大きくなり、スキンケア製品と肌との間の摩擦係数が高くなる。そして、その結果、スキンケア製品の密着性や拭取性が優れたものとなる。さらに、上記合成繊維は、特定の割合の凹部を有することで繊維表面の平滑性が高くなるため、スキンケア製品の肌あたりの柔らかさが優れたものとなる。上記の理由から、上記合成繊維の単繊維直径のバラツキの上限は、９％以下であることがより好ましく、８％以下であることがさらに好ましい。また、上記合成繊維の含有量の下限は、７０％以上であることがより好ましく、１００％であることがさらに好ましい。

　上記第１の層、第２の層における合成繊維の含有量、各繊維の平均単繊維直径、および単繊維直径のバラツキ等は後述する方法により求められるものである。

　さらに、本発明のスキンケア製品用不織布は、上記第２の層を構成する繊維の平均単繊維直径と単繊維直径のバラツキが特定の範囲内であることで、上記スキンケア製品用不織布を構成する繊維同士の間に適度な空隙を保持することができるため、スキンケア製品用不織布が柔軟なものとなる。そして、結果として、柔軟なスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性が向上する。上記の理由から、上記第２の層を構成する繊維の平均単繊維直径の上限は、１３μｍ以下であることがより好ましく、１２μｍ以下であることがさらに好ましい。また、上記第２の層を構成する繊維の単繊維直径のバラツキの好ましい範囲は上記のとおりであるが、その上限は、３０％以下であることがより好ましく、２０％以下であることがさらに好ましい。

　そして、第１の層と第２の層は、絡合することにより、一体化していることが好ましい。

　本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性、肌あたりの柔らかさが優れたものとなるとの観点から、上記の積層不織布構造を有するスキンケア製品用不織布の具体的な態様としては、上記第２の層の一方の面に上記第１の層を配した２層積層不織布構造（第１の層／第２の層）や、上記第２の層の両方の面に上記第１の層を配した３層積層不織布構造（第１の層／第２の層／第１の層）等が例示される。

　本発明のスキンケア製品用不織布の目付は、８０ｇ／ｍ^２以下であることが好ましく、６５ｇ／ｍ^２以下であることがより好ましく、５０ｇ／ｍ^２以下であることがさらに好ましい。目付を８０ｇ／ｍ^２以下とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布の柔軟性が向上し、結果として、上記スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性が向上する。なお、本発明の目付は、ＪＩＳ　Ｌ１９１３：２０１０　６．２に基づいて測定できる。

　本発明のスキンケア製品用不織布は、効果を阻害しない範囲において、単繊維直径が２０μｍ以上の合成繊維や、合成繊維やセルロース繊維以外の繊維を含むものであってもよい。合成繊維やセルロース繊維以外の繊維としては例えば、絹や羊毛などの動物系天然繊維が挙げられる。

　また、本発明のスキンケア製品用不織布は、ＪＩＳ　Ｌ１９１３：２０１０．６．３．２に準じて測定される湿潤時の１０％伸長時強力が５．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。ここで、上記の湿潤時の１０％伸長時強力とは、スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布の進行方向（以下、ＭＤ方向と称することがある）の湿潤時の１０％伸長時強力とスキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布の進行方法と略垂直な方向（以下、ＣＤ方向と称することがある）の湿潤時の１０％伸長時強力との平均値である。

　本発明のスキンケア製品用不織布は、上記の湿潤時の１０％伸長時強力が５．０Ｎ／２５ｍｍ以下の範囲内であることで、スキンケア製品用不織布が柔軟なものとなる。そして、結果として、柔軟なスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性が向上する。密着性および拭取性に優れたものとなることは上記のとおりである。スキンケア製品用不織布がより柔軟なものとなり、このスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性および拭取性がより優れたものとなるとの理由から、スキンケア製品用不織布の湿潤時の１０％伸長時強力は４．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、３．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは２．０Ｎ／２５ｍｍ以下である。

　また、本発明のスキンケア製品用不織布は、セルロース繊維を含むため、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品では、このセルロース繊維が繊維内部に薬液を取り込むので、薬液が空気中に揮発することを抑制でき、本スキンケア製品の保液性が向上する。このことにより、結果的に、本スキンケア製品の拭取性の向上に寄与するものと推測する。上記の保液性を評価する手法としては、ＪＩＳ　Ｌ１９０６：２０１０　３．吸水性に基づき、標準状態でのスキンケア製品用不織布の質量の値と、スキンケア製品用不織布に蒸留水を１０分間含浸させた後のスキンケア製品用不織布の質量の値とを用いて算出した吸水倍率で評価することができる。スキンケア製品の拭取性がより優れたものとなるとの観点から、スキンケア製品用不織布の吸水倍率は、７．０以上であることが好ましく、より好ましくは８．０以上、さらに好ましくは９．０以上である。

　次に、本発明のスキンケア製品用不織布は、乾式不織布であることが好ましい。乾式不織布とすることで、湿式不織布に比べて不織布の厚みを大きくすることができ、不織布の柔らかさを向上し、結果として、上記スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性を向上することができる。さらに、本発明のスキンケア製品用不織布は、乾式不織布の中でもスパンレース不織布であることが好ましい。スパンレース不織布は、高圧水流により構成繊維を絡合させる方法により得られるが、この方法は、ニードルパンチにより構成繊維を絡合させる方法に比べ、絡合時の構成繊維の糸切れが少なく、不織布表面の平滑性も優れたものとすることができるため、肌あたりの柔らかさに優れたスキンケア製品用不織布が得られる。さらに、この方法において、高圧水流を本発明のスキンケア製品用不織布の表裏面から複数回噴射することで、上記スキンケア製品用不織布に含まれるセルロース繊維の吸水性が、上記スキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維の吸水性と比べて優れるため、セルロース繊維の絡合性が合成繊維の絡合性と比べて向上し、セルロース繊維がスキンケア製品用不織布の内部へ優先的に配されることになる。そして、結果として、スキンケア製品用不織布の表裏面に合成繊維が優先的に配されることになることで、上記スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性、肌あたりの柔らかさが優れたものとなるため好ましい。上記の高圧水流を噴射する回数は、合計で５回以上とすることが好ましく、水圧は、１～３回目噴射時で１～１０ＭＰａであることが好ましく、４回目以降は１０～１５ＭＰａであることが好ましい。

　また、本発明のスキンケア製品用不織布が上記第１の層および上記第２の層を備える積層不織布構造を有する場合には、上記第１の層および上記第２の層は、それぞれ単独で高圧水流により絡合させた後に、上記第１の層および上記第２の層を積層して、高圧水流により一体化させ積層不織布構造としても良いし、カーディング工程を経た後の（絡合前の）第１の層のウェブと、第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合、一体化させ、積層不織布構造としても良い。さらに、第１の層のウェブと、第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合、一体化させる場合には、高圧水流を積層繊維ウェブの表裏面からそれぞれ１～５回ずつ噴射し、合計で５回以上噴射することにより実施して良い。水圧は、１～３回目噴射時で１～１０ＭＰａであることが好ましく、４回目以降は１０～１５ＭＰａであることが好ましい。

　なお、本発明のスキンケア製品用不織布が積層不織布構造を有する場合には、第１の層を構成する繊維と第２の層を構成する繊維とが互いに絡合しているため、その境界は徐々に変わっていくもので良く、明確なものでなくても良い。

　そして、本発明のスキンケア製品用不織布に、化粧水や美容液、あるいはクレンジング剤等の薬液を浸漬させることで、スキンケア製品を得ることができる。ここで、スキンケア製品としては、例えば、フェイスマスクやスキンケアシート、目元用マスク、クレンジングシート（通常のクレンジングシートの他、ポイントメイク用クレンジングシート等も含む）などを例示することができる。

　本実施例で用いた測定法を後述する。

　（１）繊維の単繊維直径、凹部の深さの割合および扁平度
　スキンケア製品用不織布を上記スキンケア製品用不織布の面に垂直に切断し、このスキンケア製品用不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にＰｔ－Ｐｄ（白金－パラジウム）合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体に含まれる不織布の断面部分を走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）（日立ハイテク社製ＳＵ３８００型）で観察し、この観察範囲から無作為に１０箇所抽出し、倍率１，０００倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、凹部を有する合成繊維を無作為に１０本ずつ抽出し、計１００本の合成繊維について、単繊維直径と凹部の深さの割合、繊維の断面における扁平度を測定し、単繊維直径に対する凹部の深さ、扁平度を求めた。

　単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部の深さを有し、扁平度が１．０～１．４、単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下の繊維を、本発明における合成繊維とした。なお、具体的な測定方法は、下記で詳細に説明するとおりである。

　１）合成繊維の単繊維直径
　上記（１）で抽出した計１００本の合成繊維の個々の単繊維直径を測定し、得られた計１００個の測定値の平均値を合成繊維の単繊維直径とした。なお、合成繊維が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、上記の断面積から真円直径に換算することで、合成繊維の単繊維直径とした。

　２）繊維の扁平度
　上記（１）で抽出した計１００本の合成繊維について、繊維の断面における最大長さＡと最大幅Ｂを測定し、扁平度を次の（１）式によって求め、得られた計１００個の算出値の平均値を合成繊維の扁平度とした。
扁平度＝Ａ／Ｂ・・・（１）

　３）合成繊維の凹部の深さ、および合成繊維の凹部の深さの割合
　上記（１）で抽出した計１００本の合成繊維について、倍率５，０００倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、繊維の断面における、凹部の深さ（図１に例示する線分Ｌの長さに該当する凹部の深さ）を測定し、得られた計１００個の測定値の平均値を合成繊維の断面における凹部の深さとした。なお、凹部の深さとは、図１を用いて上記で詳細に説明したとおりであり、繊維の断面において複数の凹部を有する場合には、長さが最大のものを合成繊維の凹部の深さとした。

　次に、上記で測定した同一繊維における単繊維直径と凹部の深さから、合成繊維の単繊維直径に対する凹部の深さの割合を次の式（３）によって求め、得られた１００個の算出値の平均値を合成繊維の単繊維直径に対する凹部の深さの割合とした。
合成繊維Ｃの単繊維直径に対する凹部の深さの割合＝合成繊維Ｃの凹部の深さ（線分Ｌの長さ）／合成繊維Ｃの単繊維直径×１００（％）・・・（３）

　（２）合成繊維の単繊維直径のバラツキ
　スキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維の単繊維直径のバラツキを以下の通り測定した。具体的には、上記（１）で測定した合成繊維の個々の単繊維直径の値を用い、次の式（４）によって、合成繊維の単繊維直径のバラツキを算出した。
合成繊維の単繊維直径のバラツキ（合成繊維の単繊維直径ＣＶ％）＝（合成繊維の単繊維直径の標準偏差／合成繊維の単繊維直径の平均値）×１００（％）・・・（４）

　（３）スキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維、セルロース繊維、その他の繊維の素材と含有量の特定
　ＪＩＳ　Ｌ１０３０－１：２０１２「繊維製品の混用率試験方法－第１部：繊維鑑別」、およびＪＩＳ　Ｌ１０３０－２：２０１２「繊維製品の混用率試験方法－第２部：繊維混用率」に基づいて、スキンケア製品用不織布に含まれる、上記（１）で特定した合成繊維、およびセルロース繊維、その他の繊維を鑑別し、素材を特定した。また、上記で素材を特定した、スキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維、セルロース繊維、その他の繊維の正量混用率（標準状態における各繊維の質量比）を測定し、これをスキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維、セルロース繊維、その他の繊維の含有量（質量％）とした。

　（４）積層不織布構造であることの特定
　鋼製定規とかみそり刃とを用いて、試料から５０ｍｍ×５０ｍｍの試験片を得た。次に、２本のピンセットを用意し、２本のピンセットのうち一方のピンセットで上記の試験片の一方の面の表面近傍部を掴み、さらに、２本のピンセットのうち他方のピンセットで上記の試験片の他方の面の表面近傍を掴み、２本のピンセットを上記の試験片の両方向に略垂直な方向にひっぱり上記の試験片を２枚のシート状の分離試験片とすることを試みた。２枚の分離試験片が得られた場合、各分離試験片について上記の操作と同様の操作を繰り返し実施した。上記の操作の繰り返しは、上記の操作により分離試験片が得られなくなるまで繰り返し実施した。ここで、分離試験片が得られた試料は積層不織布であると認定した。なお、分離試験片が、積層不織布が有する各層に相当する。

　（５）第１の層および第２の層であることの特定
　上記（４）の操作を行うことで得られた複数の分離試験片の各々について、以下の方法にて、第１の層および第２の層であることを特定した。

　１）第１の層であることの特定
　上記（４）の操作を行うことで得られた複数の分離試験片の各々について、分離試験片のピンセットにて掴まれていない部分において、上記（１）と同様の操作により凹部を有する合成繊維の単繊維直径、単繊維直径に対する凹部の深さの割合、扁平度を求め、合成繊維が単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部の深さを有し、扁平度が１．０～１．４、単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下の範囲内にあることを確認した。次に、上記（２）と同様の操作により合成繊維の単繊維直径のバラツキを求め、上記（３）と同様の操作により合成繊維の含有量を算出し、合成繊維の単繊維直径のバラツキが１～１０％であり、合成繊維の含有量が５０質量％以上である分離試験片を第１の層とした。

　２）第２の層であることの特定
　上記（４）の操作を行うことで得られた複数の分離試験片の各々について、分離試験片のピンセットにて掴まれていない部分において、上記（１）と同様の操作により倍率１，０００倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、繊維を無作為に１０本ずつ抽出し、計１００本の繊維について単繊維直径を測定し、得られた１００個の測定値の平均値を、分離試験片を構成する繊維の平均単繊維直径とした。次に、上記（２）と同様の操作により、分離試験片を構成する繊維の単繊維直径のバラツキを測定し、平均単繊維直径が５～１５μｍであり、繊維の単繊維直径のバラツキが１１～３５％である分離試験片を第２の層とした。

　また、上記（４）で分離試験片が得られなかった試料についても、以下の方法にて、第１の層および第２の層であることを特定した。

　３）分離試験片が得られなかった試料における第１の層および第２の層の特定
　上記（４）で分離試験片が得られなかった試料について、上記（１）と同様の操作により倍率５０倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、各々の層構成の境界が目視で明確に判別可能な場合には、判別した各々の層について、上記（５）－１）および（５）－２）と同様の操作により、第１の層および第２の層を特定した。

　また、上記の断面写真にて、層構成の境界が目視で明確に判別できない場合には、上記（１）と同様の操作により、スキンケア製品用不織布の一方の表層から他方の表層に向かって、スキンケア製品用不織布の面に略垂直な方向に２０箇所抽出した観察範囲について、倍率１，０００倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、上記（１）および（２）と同様の操作により、単繊維直径のバラツキが１～１０％である合成繊維を特定した。次に、上記（３）と同様の操作により、合成繊維およびセルロース繊維、その他の繊維の素材を鑑別し、同一写真内で観察される各々の繊維の本数と比重から、合成繊維の含有量を算出し、合成繊維の含有量が５０質量％以上である断面写真を全て特定した。次に、これらの断面写真の観察範囲を含み、スキンケア製品用不織布の面に略平行な領域を第１の層とした。一方で、合成繊維の含有量が５０質量％未満である領域については、上記（５）－２）と同様の操作を行うことで、第２の層を特定した。

　（６）スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径
　上記（１）で撮影した１０枚の倍率１，０００倍のスキンケア製品用不織布の断面写真内で、繊維を無作為に１０本ずつ抽出し、計１００本の繊維の断面積を測定し、上記の断面積から真円直径に換算することで、繊維の単繊維直径を測定し、計１００本の単繊維直径の平均値を算出し、スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径とした。なお、積層構造を有する試料については、測定対象が厚さ方向に均等に抽出されるように断面写真を撮影するものとする。

　（７）合成繊維の引張強度
　ＪＩＳ　Ｌ１０１５　２０１０　８．７．１に基づいて測定した。具体的には、スキンケア製品用不織布から合成繊維を５０本採取した。次に、表面が滑らかで光沢のある紙片に、区分線を作り（空間距離２０ｍｍ）、５０本の合成繊維の中から一本ずつ区分内に緩く張った状態で両端を接着剤ではり付けて固定し、区分ごとを１試料とした。次に、１試料を定速伸長引張試験機のつかみに取り付け、上部つかみの近くで紙片を切断し、測定した。つかみ間隔は２０ｍｍとし、２０ｍｍ／ｍｉｎの引張速度で、試料が切断するまで荷重を加え、その時の強さを測定し、この測定を５０本の合成繊維について行った。５０回の測定結果の平均値を算出し、合成繊維の引張強度を算出した。尚、繊維が短く、つかみ間隔が２０ｍｍで試験できない場合には、つかみ間隔１０ｍｍとし、１０ｍｍ／ｍｉｎの引張速度で、試料が切断するまで荷重を加え、その時の強さを測定した。

　（８）目付
　ＪＩＳ　Ｌ１９１３：２０１０　６．２に基づいて測定した。具体的には、スキンケア製品用不織布の試料から５０ｍｍ×５０ｍｍの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて３枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
ｍｓ＝ｍ／Ｓ
ここに、ｍｓ：単位面積当たりの質量（ｇ／ｍ^２）
　　　　ｍ：試験片の平均重量（ｇ）
　　　　Ｓ：試験片の面積（ｍ^２）。

　（９）厚さ
　ＪＩＳ　Ｌ１９１３：２０１０　６．１．２　Ａ法に基づいて測定した。

　スキンケア製品用不織布の試料から５０ｍｍ×５０ｍｍの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて５枚採取した。厚さ測定器（ＴＥＣＬＯＣＫ社製定圧厚さ測定器、型式ＰＧ１１Ｊ）を用いて標準状態で試験片に０．３６ｋＰａの圧力を１０秒間かけて厚さを測定した。測定は各試験片（５枚）について行い、平均値を算出した。

　（１０）スキンケア製品用不織布の動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）
　スキンケア製品用不織布の試料から、幅８０ｍｍ、長さ１２０ｍｍの試験片を１０枚（ＭＤ方向測定用、ＣＤ方向測定用：各５枚）用意した。次に、これらの１０枚の試験片のうちの５枚の試験片については、スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布のＭＤ方向についての摩擦係数の測定を行った。これらの１０枚の試験片のうちの残りの５枚の試験片については、スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布のＣＤ方向についての摩擦係数の測定を行った。具体的には、ＭＤ方向の評価については、試験片を粗さ／摩擦感テスター（カトーテック社製ＫＥＳ－ＳＥＳＲＵ）に取り付けて、ＳＥＮＳをＨ（Ｈｉｇｈ）、粗さ静荷重を１０．０ｇｆ（９８ｍＮ）、ＳＰＥＥＤを１．０ｍｍ／ｓｅｃ、測定モードを片道として、ＦＲ－ＧＵ端子が２０ｍｍ移動する間の動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）を測定し、得られた計５つの測定値の平均値をＭＤ方向の摩擦係数とした。また、ＣＤ方向の評価については、試験片を粗さ／摩擦感テスター（カトーテック社製ＫＥＳ－ＳＥＳＲＵ）に取り付けて、ＳＥＮＳをＨ（Ｈｉｇｈ）、粗さ静荷重を１０．０ｇｆ（９８ｍＮ）、ＳＰＥＥＤを１．０ｍｍ／ｓｅｃ、測定モードを片道として、ＦＲ－ＧＵ端子が２０ｍｍ移動する間の動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）を測定し、得られた計５つの測定値の平均値をＣＤ方向の摩擦係数とした。得られた各方向の摩擦係数の平均値を、スキンケア製品用不織布の摩擦係数とした。

　（１１）スキンケア製品用不織布の表面特性
　上記（１０）と同様の条件により、スキンケア製品用不織布の動摩擦係数平均値の変動（ＭＭＤ）、表面粗さ平均値の標準偏差（ＳＭＤ）の値を測定した。

　次に、上記（１０）で測定したスキンケア製品用不織布の動摩擦係数平均値（ＭＩＵ）の値と、上記で測定したスキンケア製品用不織布の動摩擦係数平均値の変動（ＭＭＤ）、表面粗さ平均値の標準偏差（ＳＭＤ）の値から、スキンケア製品用不織布の表面特性を次の式（２）によって求めた。
表面特性＝ＭＩＵ／（ＭＭＤ×ＳＭＤ）・・・（２）

　（１２）スキンケア製品用不織布の湿潤時における１０％伸長時強力
　ＪＩＳ　Ｌ１９１３：２０１０．６．３．２に基づき測定した。
スキンケア製品用不織布の試料から、幅２５ｍｍ、長さ１５０ｍｍの試験片を１０枚（ＭＤ方向測定用、ＣＤ方向測定用：各５枚）用意した。次に、これらの１０枚の試験片のうちの５枚の試験片については、スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布のＭＤ方向についての湿潤時における１０％伸長時強力の測定を行った。これらの１０枚の試験片のうちの残りの５枚の試験片については、スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布のＣＤ方向についての湿潤時における１０％伸長時強力の測定を行った。具体的には、ＭＤ方向の評価については、１００ｍＬの蒸留水（水温：２０℃）中に試験片を１０分間含浸し、試験片を蒸留水から取り出してから速やかに定速伸長形引張試験機（島津製作所「ＡＧ－５０ｋＮＧ」）に試験片を取り付けて引張強度の測定を行った。試験片の長さ方向における、つかみ間隔を１００ｍｍとし、２００ｍｍ／ｍｉｎの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加え、試験片が１０％伸長する際の強力を、応力ひずみ曲線から読み取り、得られた計５つの測定値の平均値をＭＤ方向の湿潤時の１０％伸長時強力とした。また、ＣＤ方向の評価については、１００ｍＬの蒸留水（水温：２０℃）中に試験片を１０分間含浸し、試験片を蒸留水から取り出してから速やかに定速伸長形引張試験機（島津製作所「ＡＧ－５０ｋＮＧ」）に試験片を取り付けて引張強度の測定を行った。試験片の長さ方向における、つかみ間隔を１００ｍｍとし、２００ｍｍ／ｍｉｎの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加え、試験片が１０％伸長する際の強力を、応力ひずみ曲線から読み取り、得られた計５つの測定値の平均値をＣＤ方向の湿潤時の１０％伸長時強力とした。得られた各方向の１０％伸長時強力の平均値を、スキンケア製品用不織布の１０％伸長時強力とした。

　（１３）モニター評価（参考情報）
　１）第１回
　［フェイスマスク］
　実施例１～１６および比較例１～９で得られたスキンケア製品用不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスク用不織布を作成し、フェイスマスク用不織布を化粧水（無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」）に浸漬し、フェイスマスク用不織布の全質量に対し該化粧水を７００質量％含有するフェイスマスクを得た。次いで、このフェイスマスクの、密着性および肌あたりの柔らかさについて女性パネル１０名により各人の絶対評価にて１０点満点で評価し、１０名の平均点（小数点以下は四捨五入）から下記基準にて評価した。
Ａ：９～１０点
Ｂ：６～８点
Ｃ：３～５点
Ｄ：０～２点。

　［クレンジングシート］
　実施例１～１６および比較例１～９で得られたスキンケア製品用不織布を幅７０ｍｍ、長さ５５ｍｍに裁断し、この裁断不織布をクレンジング剤（コーセーコスメポート（株）「ホワイトクレンジングウォーター」）に浸漬し、裁断不織布の全質量に対し該クレンジング剤を７００質量％含有するクレンジングシートを得た。次いで、このクレンジングシートを、アイラインに付着した化粧料（資生堂（株）「ベネフィーク　セオティ　スマートリキッドアイライナー」）の拭取性および肌あたりの柔らかさ、拭取時の取扱性について女性パネル１０名により各人の絶対評価にて１０点満点で評価し、１０名の平均点（小数点以下は四捨五入）から下記基準にて評価した。
Ａ：９～１０点
Ｂ：６～８点
Ｃ：３～５点
Ｄ：０～２点。

　２）第２回
　［フェイスマスク］
　実施例１～３１および比較例１～９で得られたスキンケア製品用不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスク用不織布を作成し、フェイスマスク用不織布を化粧水（無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」）に浸漬し、フェイスマスク用不織布の全質量に対し該化粧水を７００質量％含有するフェイスマスクを得た。次いで、このフェイスマスクの、密着性および肌あたりの柔らかさについて女性パネル１０名により各人の絶対評価にて１０点満点で評価し、１０名の平均点（小数点以下は四捨五入）から下記基準にて評価した。
Ａ：９～１０点
Ｂ：７～８点
Ｃ：５～６点
Ｄ：３～４点
Ｅ：０～２点。

　［クレンジングシート］
　実施例１～３１および比較例１～９で得られたスキンケア製品用不織布を幅７０ｍｍ、長さ５５ｍｍに裁断し、この裁断不織布をクレンジング剤（コーセーコスメポート（株）「ホワイトクレンジングウォーター」）に浸漬し、裁断不織布の全質量に対し該クレンジング剤を７００質量％含有するクレンジングシートを得た。次いで、このクレンジングシートを、アイラインに付着した化粧料（資生堂（株）「ベネフィーク　セオティ　スマートリキッドアイライナー」）の拭取性および肌あたりの柔らかさ、拭取時の取扱性について女性パネル１０名により各人の絶対評価にて１０点満点で評価し、１０名の平均点（小数点以下は四捨五入）から下記基準にて評価した。
Ａ：９～１０点
Ｂ：７～８点
Ｃ：５～６点
Ｄ：３～４点
Ｅ：０～２点。

　（実施例１）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）５０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ）５０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処してウェブとした。次に、このウェブを、高圧水流により絡合させ、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で３回（３ＭＰａ、１０ＭＰａ、４ＭＰａ）噴射して実施した。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　次に、このスキンケア製品用不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを得た。また、該フェイスマスクとは別に、このスキンケア製品用不織布を幅７０ｍｍ、長さ５５ｍｍに裁断しクレンジングシートを得た。

　ここで、本実施例のスキンケア製品用不織布の不織布構成を表１にまとめ、このスキンケア製品用不織布の物性等を表２にまとめた。

　（実施例２）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径を１２μｍに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１２μｍであった。

　（実施例３）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径を２０μｍに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１５μｍであった。

　（実施例４）
　アクリル繊維（単繊維直径：２０μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）５０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１４μｍ）３０質量％と、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維（単繊維直径：２５μｍ）２０質量％とを用いたこと以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１８μｍであった。

　（実施例５）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の扁平度を１．４に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例６）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の扁平度を１．５に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例７）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合を７．２％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例８）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合を９．０％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例９）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量を３０質量％に変更し、レーヨン繊維の含有量を７０質量％に変更た以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１０）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量を７０質量％に変更し、レーヨン繊維の含有量を３０質量％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は９μｍであった。

　（実施例１１）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の引張強度を３．５ｃＮ／ｄｔｅｘに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１２）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維を、ナイロン６（Ｎ６）繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．１、凹部の深さの割合：４．０％、引張強度：４．９ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：９％）に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１３）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維を、ポリエチレンテレフタレート繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．３、凹部の深さの割合：５．１％、引張強度：５．８ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：６％）に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１４）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを１２％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１５）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを１８％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１６）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを２３％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１７）
　実施例１に記載の高圧水流処理を、合計５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例１８）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）１００質量％を、オープナー、カード、ラップ工程に処して第１の層のウェブとした。また、上記のアクリル繊維３０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）７０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で３回（３ＭＰａ、１０ＭＰａ、４ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５８質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４２質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　ここで、本実施例のスキンケア製品用不織布の不織布構成を表５にまとめ、このスキンケア製品用不織布の物性等を表６にまとめた。

　（実施例１９）
　実施例１８に記載の高圧水流処理を、合計５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）に変更した以外は、実施例１８と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５８質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４２質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２０）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）７０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）３０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第１の層のウェブとした。また、上記のアクリル繊維４０質量％と、上記のレーヨン繊維６０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５２質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４８質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２１）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）５０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）５０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第１の層のウェブとした。また、上記のアクリル繊維２０質量％と、上記のレーヨン繊維８０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は３２質量％であり、レーヨン繊維の含有量は６８質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１４％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２２）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）４０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）６０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第１の層のウェブとした。また、上記のアクリル繊維６０質量％と、上記のレーヨン繊維４０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５２質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４８質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１４％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２３）
　実施例１９のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを９％に変更した以外は、実施例１９と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５８質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４２質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２４）
　実施例１９のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを１０％に変更した以外は、実施例１９と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５８質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４２質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２５）
　実施例１９のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径のバラツキを１１％に変更した以外は、実施例１９と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５８質量％であり、レーヨン繊維の含有量は４２質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（実施例２６）
　実施例１９と同様にして、第１の層のウェブを作製した。また、アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）５質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）５５質量％と、ポリエチレンテレフタレート繊維（単繊維直径：２２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１３％）４０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は４３質量％であり、レーヨン繊維の含有量は３３質量％であり、ポリエチレンテレフタレート繊維の含有量は２４質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１３μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは２７％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１２μｍであった。

　（実施例２７）
　実施例１９と同様にして、第１の層のウェブを作製した。また、レーヨン繊維（単繊維直径：１４μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）６０質量％と、ポリエチレンテレフタレート繊維（単繊維直径：２２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１３％）４０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は４０質量％であり、レーヨン繊維の含有量は３６質量％であり、ポリエチレンテレフタレート繊維の含有量は２４質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１５μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１９％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１２μｍであった。

　（実施例２８）
　実施例１９と同様にして、第１の層のウェブを作製した。また、レーヨン繊維（単繊維直径：１５μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）５０質量％と、ポリエチレンテレフタレート繊維（単繊維直径：２２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１３％）５０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第１の層のウェブと第２の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は４０質量％であり、レーヨン繊維の含有量は３０質量％であり、ポリエチレンテレフタレート繊維の含有量は３０質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１７μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１７％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１２μｍであった。

　（実施例２９）
　実施例２７の第２の層に含まれるレーヨン繊維の単繊維直径を１０μｍに変更した以外は、実施例２７と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は４０質量％であり、レーヨン繊維の含有量は３６質量％であり、ポリエチレンテレフタレート繊維の含有量は２４質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは３１％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであった。

　（実施例３０）
　実施例２９の第２の層に含まれるポリエチレンテレフタレート繊維の単繊維直径を２５μｍに変更した以外は、実施例２９と同様にして、２層積層構成（第１の層／第２の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。ここで、第１の層の目付は２０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は３０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は４０質量％であり、レーヨン繊維の含有量は３６質量％であり、ポリエチレンテレフタレート繊維の含有量は２４質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは３６％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであった。

　（実施例３１）
　アクリル繊維（単繊維直径：９μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）７０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：１２μｍ、単繊維直径のバラツキ：１１％）３０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第１の層のウェブとした。また、上記のアクリル繊維２０質量％と、上記のレーヨン繊維８０質量％とを、オープナー、カード、ラップ工程に処して第２の層のウェブとした。次に、上記の第２の層のウェブの表裏面に上記の第１の層のウェブを積層し、高圧水流により絡合させ、３層積層構成（第１の層／第２の層／第１の層）を有する、目付５０ｇ／ｍ^２のスキンケア製品用不織布を得た。高圧水流処理は、このウェブの表裏面から柱状水流を合計で５回（３ＭＰａ、６ＭＰａ、９ＭＰａ、１２ＭＰａ、１３ＭＰａ）噴射して実施した。ここで、第１の層の目付は３０ｇ／ｍ^２、第２の層の目付は２０ｇ／ｍ^２とした。上記のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有量は５０質量％であり、レーヨン繊維の含有量は５０質量％であった。また、第２の層に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであり、上記の第２の層に含まれる全繊維の単繊維直径のバラツキは１４％であり、上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（比較例１）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径を０．８μｍに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を作成しようとした。しかし、カード工程にて糸切れによる落綿や針布への巻き付けが多発しウェブを得ることができず、スキンケア製品用不織布を作成することができなかった。

　（比較例２）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径を２５μｍに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１５μｍであった。

　ここで、本比較例のスキンケア製品用不織布の不織布構成を表３にまとめ、このスキンケア製品用不織布の物性等を表４にまとめた。

　（比較例３）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径を３μｍに変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は４μｍであった。

　（比較例４）
　アクリル繊維（単繊維直径：２０μｍ、扁平度：１．２、凹部の深さの割合：５．６％、引張強度：３．０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単繊維直径のバラツキ：８％）５０質量％と、レーヨン繊維（単繊維直径：２３μｍ）３０質量％と、ポリエチレンテレフタレート繊維（単繊維直径：２５μｍ）２０質量％とを用いたこと以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は２１μｍであった。

　（比較例５）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の扁平度を１．８に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（比較例６）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合を０．５％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（比較例７）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合を１５．０％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１０μｍであった。

　（比較例８）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有率を２０質量％に変更し、レーヨン繊維の含有率を８０質量％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は１１μｍであった。

　（比較例９）
　実施例１のスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有率を８０質量％に変更し、レーヨン繊維の含有率を２０質量％に変更した以外は、実施例１と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。上記のスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径は９μｍであった。

　ここで、比較例１のスキンケア製品用不織布は作成できなかった。これは、比較例１のスキンケア製品用不織布に用いたアクリル繊維の単繊維直径が、実施例１のスキンケア製品用不織布（不織布１）に用いたアクリル繊維の単繊維直径と比べ小さいためであると推測する。

　また、比較例２のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べ劣っていた。これは、比較例２のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の単繊維直径が、不織布１に含まれるアクリル繊維の単繊維直径と比べ大きいためであると推測する。

　また、比較例３のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性と取扱性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性と取扱性に比べ劣っていた。これは、比較例３のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径が、不織布１に含まれる全繊維の平均単繊維直径と比べ小さいためであると推測する。

　また、比較例４のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べ劣っていた。これは、比較例４のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれる全繊維の平均単繊維直径が、不織布１に含まれる全繊維の平均単繊維直径と比べ大きいためであると推測する。

　また、比較例５のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べやや劣っていた。さらに、比較例５のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさは、実施例１のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさに比べ劣っていた。これは、比較例５のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の扁平度が、不織布１に含まれるアクリル繊維の扁平度と比べ大きいためであると推測する。

　また、比較例６のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べ劣っていた。これは、比較例６のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合が、不織布１に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合と比べ小さいためであると推測する。

　また、比較例７のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさは、実施例１のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさに比べ劣っていた。これは、比較例７のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合が、不織布１に含まれるアクリル繊維の凹部の深さの割合と比べ大きいためであると推測する。

　また、比較例８のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べ劣っていた。さらに、比較例８のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさも、実施例１のフェイスマスクおよびクレンジングシートの肌あたりの柔らかさに比べ劣っていた。これは、比較例８のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有率が、不織布１に含まれるアクリル繊維の含有率と比べ小さいためであると推測する。

　また、比較例９のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性は、実施例１のフェイスマスクの密着性およびクレンジングシートの拭取性に比べ劣っていた。これは、比較例９のフェイスマスクおよびクレンジングシートに用いたスキンケア製品用不織布に含まれるアクリル繊維の含有率が、不織布１に含まれるアクリル繊維の含有率と比べ大きいためであると推測する。

　１：　断面
　２：　凹部
　３：　最深点
　４：　外接円
　５：　外接円との接点
　６：　垂線
　Ｎ：　中心点
　Ｌ：　線分

Claims

合成繊維とセルロース繊維とを含有するスキンケア製品用不織布であって、
前記合成繊維の横断面の最大長さをＡ、最大幅をＢとするとき、下記（１）式に示す扁平度が１．０～１．５であり、
扁平度＝Ａ／Ｂ・・・（１）
かつ前記合成繊維は、深さが前記合成繊維の単繊維直径に対して１．０％以上１０．０％以下である凹部を有し、
前記合成繊維の単繊維直径が１μｍ以上２０μｍ以下であり、
前記合成繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して３０～７０質量％であり、
前記セルロース繊維の含有量は、前記スキンケア製品用不織布の全体に対して７０～３０質量％であり、
前記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上２０μｍ以下である、スキンケア製品用不織布。
前記合成繊維の単繊維直径が、１μｍ以上１５μｍ以下であり、
前記スキンケア製品用不織布を構成する全繊維の平均単繊維直径が５μｍ以上１５μｍ以下である、請求項１に記載のスキンケア製品用不織布。
前記合成繊維のＪＩＳ　Ｌ１０１５　２０１０　８．７．１に準じて測定される引張強度が、２．５～３．２ｃＮ／ｄｔｅｘである、請求項１または２に記載のスキンケア製品用不織布。
第１の層および第２の層を備える積層不織布構造を有し、
前記第１の層が、前記スキンケア製品用不織布の一方の面を構成し、前記第１の層が、前記合成繊維を前記第１の層の全体に対して５０質量％以上含有し、前記第１の層における前記合成繊維の単繊維直径のバラツキが１～１０％であり、
前記第２の層を構成する繊維の平均単繊維直径が５～１５μｍであり、かつ、前記第２の層を構成する繊維の単繊維直径のバラツキが１１～３５％であり、
前記第１の層を構成する繊維と前記第２の層を構成する繊維とが、絡合している、請求項１～３のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布。
請求項１～４のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布を有する、フェイスマスク。
請求項１～４のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布を有する、クレンジングシート。