JP2013163871A - 不織繊維シートおよびそれからなるワイパー - Google Patents

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Abstract

【課題】
拭き取り性に優れ、且つ拭取り対象物を傷つけにくいシートであり、拭取り対象が生体の皮膚の場合、特に口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧を行った肌の化粧を落とす場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧物の拭き取り性に優れ、且つワイパーで肌を擦ることによる肌への負担が少ないシート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
不織繊維集合体で構成され、かつ該不織繊維集合体表面が数平均繊維径0.5μm〜10.0μmの丸断面形状を有する極細繊維からなり、さらに該不織繊維集合体表面において、極細繊維の一部がループ形状を有していることを特徴とする不織繊維シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、不織繊維シートおよび該不織繊維シートからなるワイパーに関するものであり、特に対人ワイパーをはじめとする生体の皮膚等の繊細な清拭に使用するワイパーに関するものであり、更にはメイク落しに用いるワイパーに関するものであり、更に詳細には不織布からなり拭き取り性に優れ、且つ拭取り対象物を傷つけにくく、拭取り対象が生体の皮膚の場合、刺激が少ないワイパーに関する。
従来より化粧品には“崩れにくい”ことが求められ、化粧後の日常生活の様々な場面で化粧が“落ちにくい”ことが消費者の商品選定の重要な要素になっている。そのような消費者のニーズから、化粧品メーカー各社は競って、化粧品をより長時間“崩れにくい”、“落ちにくい” ものへと改良し、新商品を発売している。しかしながら、これらの化粧品は一旦肌に塗ると、落としたい時には落としにくく、クレンジング液等を染み込ませた布帛やティッシュペーパーで強くこすり落とす必要があった。更には化粧落しをより簡便に効率良く落とす為に様々な工夫がなされており、例えば、特許文献1では構成する繊維の一部に断面がエッジを有する繊維からなるメイク落し用ワイパーが提案されている。
ところが布帛やティッシュペーパーで肌を強く繰り返し擦ることや、構成する繊維の断面がエッジを有する繊維からなるメイク落し用ワイパーで肌を擦ることは肌への負担が大きく、肌の敏感な消費者に、肌荒れや、シミをもたらす原因の1つとなっていた。このようにメイク落し用ワイパーには、落ちにくい化粧品を簡便に効率よく落とすことと、メイク落し用ワイパーで肌を擦ることによる肌への負担が少ない商品が求められているが根本的な良い方法は提案されていなかった。
特開2003−095868号公報
本発明の目的は、拭き取り性に優れ、且つ拭取り対象物を傷つけにくいシートであり、拭取り対象が生体の皮膚の場合、特に口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧を行った肌の化粧を落とす場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧物の拭き取り性に優れ、且つワイパーで肌を擦ることによる肌への負担が少ないシート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、不織布(不織繊維集合体)で構成され、表面が数平均繊維径0.5μm〜10.0μmの極細繊維からなり、かつ繊維径が一定の分布を有しており、かつ繊維の断面形状が丸断面を有し、表面でこの繊維の一部が曲率半径80μm以下のループ形状を有した構造のシートとすることにより、拭き取り性に優れ、且つ拭取り対象物を傷つけにくく、拭取り対象が生体の皮膚の場合、特に口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧を行った肌の化粧を落とす場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧物の拭き取り性に優れ、且つワイパーで肌を擦ることによる肌への負担が少なといった本発明を完成した。
すなわち、本発明は、不織繊維集合体で構成され、かつ該不織繊維集合体表面が数平均繊維径0.5μm〜10.0μmの丸断面形状を有する極細繊維からなり、さらに該不織繊維集合体表面において、極細繊維の一部がループ形状を有していることを特徴とする不織繊維シートであり、好ましくは不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、数平均繊維径の標準偏差1.0〜5.0で分布していることを特徴とする、上記の不織繊維シートであり、より好ましくは不織繊維集合体表面を構成する極細繊維の一部が曲率半径80μm以下のループ形状を有し、かつこのループが1000個/cm以上存在する上記の不織繊維シートである。
さらに本発明は、不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、好ましくは親水性と親油性とを兼備する樹脂からなる上記の不織繊維シートであり、より好ましくは不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、エチレンービニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂のいずれかからなる上記の不織繊維シートである。
また本発明は、不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が好ましくはメルトブローン不織布によって構成されている上記の不織繊維シートであり、より好ましくは不織繊維集合体表面に有するループ形状がスパンレース法によって形成された上記の不織繊維シートである。
そして本発明の不織繊維シートは、ワイパー、特に対人ワイパー、メイク落としワイパーに好適に適用される。
本発明の不織繊維構造体で構成される不織繊維シートは、対人ワイパーとして使用した場合、シート表面の繊維径が一定の分布(標準偏差)を有しているので、人の皮膚がもつ様々な皮溝の幅、深さに選択的に繊維が入り込むことができるので、効率的な拭き取りを行うことができる。
さらに本発明の不織繊維集合体からなるシートの表面を構成する繊維は、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂といった親水性と親油性とを兼備する樹脂または、親水性と親油性を付与した樹脂からなることから、メイク落しワイパーとして用いた場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧品や皮脂、汗とよく馴染み、好適に拭き取ることができる。
本発明の不織繊維シートにおいて、不織繊維集合体とは繊維が不織布状に集合したシート状の構造体をいう。不織繊維集合体の表面とは、最終形態のシートにおいて、拭取りに使用する側の表面のことをいい、表層部から深さ100μmの範囲をいう。
本発明の不織繊維集合体の表面を構成する繊維の数平均繊維径は0.5μm〜10.0μmの極細繊維であることがワイパーとして使用した場合において拭取り性能の観点から必要である。数平均繊維径が0.5μm未満になると、後述する標準偏差1.0〜5.0で繊維径を分布させた場合、繊維径の細い繊維の短繊維強度が低くなり、後述するスパンレース法の処理において繊維が破断することがある。一方、数平均繊維径が10.0μmより大きくなると、拭取り性能が低下すると共に、標準偏差1.0〜5.0で繊維径を分布させた際、対人用ワイパーとして使用した場合に刺激を感じる様になるので好ましくない。1.0μm〜8.0μmであることが好ましく、2.0μm〜7.0μmであることがより好ましい。
本発明の不織繊維シートを構成する不織繊維集合体の表面は、上記したような極細繊維からなり且つ繊維が丸断面の構造を有していて、その繊維の一部が不織繊維集合体の表面でループ構造を有していることから、ワイパー用途として使用した場合、拭取り面に接した際の衝撃が小さく、特に対人用ワイパーとして使用した場合には刺激が少ない。そして、拭取りを行うためにこの拭取り面の上を任意の方向に動かした際、前記丸断面繊維が、拭取り面の凹凸に強く引っ掛かることなく滑るので摩擦による拭取り面そのものへの抵抗が少なく、対人用ワイパーとして使用した場合には肌への刺激が少ない。なお、本発明でいう丸断面とは、長径と短径の比が0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1の範囲のものをいう。
なお、ここでいう拭取り面とは、前記不織繊維集合体の表面によって擦られながら拭取りが行われるこの表面のことを言う。これは例えば用途が対人用ワイパーの場合、人の肌などを意味する。本発明の不織繊維シートをワイパー用途として用いる場合、拭取り対象は、拭取り面に存在し不織繊維構造体の表面によって拭取ろうとしている対象物であり、例えば用途が対人用ワイパーの場合、人の肌の表面に存在する皮脂、汗、角質、汚れなどを意味し、例えば用途がメイク落しワイパーの場合、肌に塗られた口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧品を意味する。
本発明の不織繊維シートにおいて、不織繊維集合体表面を構成する極細繊維の繊維径の分布は、数平均繊維径の標準偏差が1.0〜5.0であることが好ましく、より好ましくは0.8〜4.0であり、更に好ましくは1.0〜3.5である。繊維径の標準偏差が1.0未満になると、特定の幅、深さの溝にしか拭取りの性能が発揮されず拭き取り性が不十分となる場合がある。繊維径の標準偏差が5.0より大きくなると対人用ワイパーとして使用した場合に太い繊維によって肌に刺激を感じる様になるので好ましくない。
本発明の不織繊維シートを構成する不織繊維構造体の表面には極細繊維が高密度で存在し、一度の拭取りで繰り返し拭取り面に存在する拭取り対象と接触するので拭き取り性が高い。且つ繊維径が極細でありながら一定の分布を有していることから、拭取り面に小さな溝が存在する場合、溝の大きさに合わせて選択的に溝に侵入して拭取り対象と接触するので拭き取り性が高い。また、不織繊維構造体の表面を構成する繊維の一部が図1に示すようなループ構造を有し、拭取り面に小さな溝が存在する場合、このループが溝の中に入り、溝内部の拭取り対象をループが抱きこむようにして掻き出す効果を生む。
本発明の不織繊維集合体を構成する極細繊維の一部が形成するループは、曲率半径80μm以下であることが好ましく、より好ましくは5〜70μmであり、更に好ましくは5〜60μmである。曲率半径が5μm未満になると、ループが小さく、拭取り対象を抱き込むようにして拭取る効果に寄与しにくくなる。曲率半径が80μmより大きくなると、ループ形状が拭取りの際に倒れて拭取り表面に存在する溝に入りにくくなるので好ましくない。
本発明の不織繊維集合体を構成する極細繊維の一部が形成するループの数は、多い程よく、拭取り性能の観点から1000個/cm以上あることが好ましい。
本発明の不織繊維シートにおいて、不織繊維集合体を構成する表面の繊維は、親水性と親油性を有する樹脂からなることが好ましく、より好ましくは、不織繊維シートの不織繊維集合体を構成する表面の繊維がエチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれかで、親水性と親油性を有する樹脂または、親水性と親油性を付与した樹脂からなることが好ましい。ポリエステル系樹脂の様に親油性のみを有し、親水性を有さない樹脂であっても不織布とした後にコロナ処理等の後加工で親水化を付与しても良い。また同様に元々親水性と親油性を有しない樹脂であっても、練り込み、前処理、後加工等によって親水性と親油性とを付与してもよい。不織繊維シートの不織繊維集合体を構成する表面を上記したような樹脂からなる繊維とすることで、メイク落しワイパーとして用いた場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧品や皮脂、汗とよく馴染み、好適に拭き取ることができる。
本発明の不織繊維シートにおいて、シート表面の不織繊維集合体を構成する繊維はメルトブローン不織布によって構成されていることが好ましい。メルトブローン法は、溶融ポリマーと熱風の衝突によってポリマーが細繊化されるが、本発明者らは、鋭意検討した結果、数平均繊維径が0.5μm〜10.0μmであり、且つ繊維径が一定の分布を有しており、具体的には数平均繊維径の標準偏差が1.0〜5.0で分布した本発明のシートの不織繊維集合体を構成する極細繊維を得た。すなわち、表面の繊維がメルトブローン法で形成され、かつ前述したように数平均繊維径0.5μm〜10.0μmの極細繊維からなることで、ワイパー用途として使用した場合、拭取り面に多数の繊維が接触するので拭取り対象を好適に拭き取ることができる。一方で繊維の断面形状を丸断面とすることにより過度に拭取り面を擦ることはなく、適度な拭き取り性を付与することができる。
また、本発明の不織繊維シートにおいて、不織繊維集合体の少なくとも表面の繊維は、メルトブローン法で形成し、不織繊維構造体全体がメルトブローン法で形成した繊維であってもよい。
不織繊維シートにおいて、前述した不織繊維集合体表面のループ構造はスパンレース法によって形成されることが好ましい。ループの数や大きさはスパンレースの処理条件によって制御することができる。このループがクッションとなりワイピングにかかる力を適度に吸収し、ソフトに拭取り面に接触する。また、拭取り面に小さな溝が存在する場合、このループが溝の中に入り、溝内部の拭取り対象をループが抱きこむようにして掻き出す効果を生む。人の皮膚を拭取り面とした場合、人の肌の表面には無数の様々な大きさの皮溝が存在する。更にこの皮溝は体の部位、年齢、性別、人種によって様々で、個人差も大きい。該シートを対人ワイパーとして使用した場合、表面の繊維径が一定の分布を有しており、具体的には数平均繊維径の標準偏差が1.0〜5.0で分布しており、人の皮膚がもつ様々な皮溝の幅、深さに選択的に繊維が入り込むことで、効率的な拭き取りを行うことができる。
本発明の不織繊維集合体の目付は、15〜300g/mであることが好ましく、より好ましくは20〜200g/mであり、更に好ましくは25〜150g/mである。不織繊維集合体の目付が300g/mより高くなると繊維量が多く、スパンレース法によるループ形成が困難になるばかりか、シートが硬くなりワイパーとしての取り扱い性が悪くなる。不織繊維集合体の目付が15g/m未満になると繊維量が少なくシート自体の形体を保持しにくく、ワイパーとしての取り扱い性も悪くなる。
本発明の不織繊維集合体の厚さは特に規定されないが、ワイパーとしての取り扱い性の面から0.3〜2.0mm程度であることが好ましい。
本発明の不織繊維集合体に用いる繊維は、一般的なメルトブローン製造設備を使用して製造することが可能である。製造条件については、樹脂の種類によって異なるが、紡糸温度、エア温度、エア圧力、単孔吐出量、支持体の吸引圧、ノズル形状等、本発明の不織繊維集合体の形成に必な平均繊維径や、繊維径の分布の要件を満たすよう適宜調整すればよい。
本発明の不織繊維集合体の前述した表面のループ構造はスパンレース法によって形成される。ループの数や大きさはスパンレースの処理条件によって制御する。ループ形成に使用するスパンレースのノズル孔の口径は0.08〜0.20mmが好ましく、0.08mm未満になると繊維をループ化する水流の力が得られにくい。また、ノズルの口径が0.20mmより大きくなると繊維が大きく動かされ、小さなループ構造を形成することが難しくなる。ノズル孔のピッチは特に限定されないが0.5〜1.2mm程度が好ましい。0.5mm未満になると水流がお互いに干渉し合い安定的な交絡の条件が得られにくい。 一方、1.2mmより大きくなるとループを数多く形成する観点から効率が悪い。スパンレースの支持体は多孔ドラムまたは平織、朱子織、綾織のネットが好適に用いられるが、どちらか一方または両方を用いても良い。支持体の開孔率は10〜40%が好ましく、10未満になると脱水の効率が悪く好ましくない。また、開孔率が40%より高くなるとルーフプ構造の形成性が悪くなるのであまり好ましくない。本発明のループ構造はノズル孔から柱状に噴射された水流によって、不織繊維集合体の表面または内部の繊維の一部が、反対面に動かされ露出することで形成される。よってこのループ構造は不織繊維集合体の両面を交互に少なくとも1回以上スパンレース処理することによって形成され、好ましくは、片面をノズル2段で処理し、もう一方の面をノズル2段で処理する。更に好ましくはこの処理を交互に複数回繰り返す。そのノズル孔から柱状に噴射する水流の水圧は段階的に上昇させ、繊維を少しずつ動かすことで不織繊維集合体の表面に曲率半径の小さいループを多数形成させることができる。
本発明の不織繊維シートを構成する不織繊維集合体はメルトブローン不織布を2種以上積層して製造してもよい。
また本発明の不織繊維シートは不織繊維集合体とした後に他素材と複合して、表面材として用いてもよい。
さらに本発明の不織繊維シートは不織繊維集合体とした後にツール(スポンジパフ等)にセットして、表面材として用いてもよい。
本発明のシートはワイパーであってもよく、好適には対人用のワイパーであってもよく、さらに好適には本発明のシートは液体成分を含浸させたメイク落としワイパーであってもよい。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。なお、以下の実施例および比較例における各物性値は、下記の方法により測定または評価した。
[繊維構造体の目付(g/m2)]
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準拠して、不織繊維シートを幅25cm×長さ25cmのサイズに切断し測定し、この値から目付を算出した。
目付=測定重量/測定面積 (g/m2
[繊維構造体の厚さ(mm)、見掛け密度(g/cm3)]
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」を準拠して、不織繊維シートを押え圧;12g/cm、押え板;1インチφの測定器で厚さを測定し、この値と目付の値とから見掛け密度を算出した。
見掛け密度=目付/厚み (g/cm3
[平均繊維径(μm)]
不織繊維シートから試験片(縦×横=5cm×5cm)を採取し、試験片の表面における中央部(対角線の交点を中心とする部分)を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して1000倍の倍率で写真撮影した。得られた写真の中央部(対角線の交点)を中心として写真上に半径30cmの円を描き、その円内から無作為に100本の繊維を選定し、長さ方向の中央部又はそれに近い箇所での繊維径をノギスにより測定し、その平均値を採って平均繊維径(数平均繊維径)とした。なお、測定に当たっては、写真に撮影されている繊維が繊維シートの最表面に位置する繊維であるか、又は内側に位置する繊維であるかを区別せずに、SEM写真に写っている繊維のすべてを対象として平均繊維径を求めた。
[繊維径分布]
走査型電子顕微鏡を用いて不織繊維構造を観察した。電子顕微鏡写真より無作為に選択した100本の繊維径を測定し、数平均繊維径及び標準偏差を求めた。さらに、変動率を下記式に従って算出した。
変動率(%)=標準偏差/数平均繊維径×100
[ループ数、曲率半径、平均曲率半径]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布表面を150倍に拡大した写真を撮影した。撮影した不織布表面写真に写っている繊維の中で、一定面積中に存在する半円状の(ループ)を形成している繊維についてカウントしループ数とした。更にそのループに沿って円を描いたときの円の半径を求め、これを曲率半径とした。また、この曲率半径の平均を平均曲率半径とした。
[刺激(官能)評価]
年齢が20代、30代、40代、50代、60代の女性を各2人ずつ、合計10人を被験者とした。実施例、比較例に記載する方法で得た不織繊維シートを5cm角に切り出し、イオン交換水を含浸させ、頬、瞼、唇、腕、手の甲の皮膚を擦って肌への刺激を評価した。
<判定基準>
〇: 肌に不快な刺激を感じない。
△: 肌に僅かに不快な刺激を感じる。
×: 肌に強く不快な刺激を感じる。
[拭取り性能]
図2に示す平面拭取り試験機のステージ上に人の皮膚をイメージしたバイオスキンプレート《白色》(195×130×5mm(株式会社ビューラックス製))をセットし拭取り表面とした。
そのプレート(拭取り表面)に口紅(メーカー名:ディシラ 商品名:ルージュ ラディアンス 品番〔色〕:RD3)を一定圧力で3往復塗りつけ拭取り対象とした。
拭取り性能を測定するシートを5cm×5cm角に切り出し、イオン交換水を170%含水させ試験片とした。
試験片をバイオスキンプレート(拭取り表面)に静置し、指を模したφ12mm、長さ5cmのアルミ管を3本載せ、更に荷重(200g)の分銅を載せて固定し、600mm/secのスピードでCD方向にシートを替えながら3回繰り返し拭き取りを行った。
その前後の色差L値(ホワイト)について色差計(コニカミノルタセンシング株式会社製 CR−410)で測定した。
拭取り前の色差L値をaとし、拭取り後の色差L値をaとし、このL値の差(a−a)を拭取り効果Aとし、判定に用いた。
拭取り効果 A =(a1−a0
<判定基準>
拭き取り性が良い 〇: 15<A
拭き取り性がやや悪い △: 15≧A≧10
拭き取り性がかなり悪い ×: 10>A
[実施例1]
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(MFR(190℃、2.16kg)=12g/10分)100質量部に、公知のメルトブローン製造設備を使用し、直径が0.3mmで0.8mmのピッチで長さ1mあたり1300個の孔を有するノズルを用い、紡糸温度250℃、エア温度260℃、エア圧力0.4MPa、単孔吐出量0.2g/孔・分の条件でメルトブローン紡糸を行い、回転するネットコンベアを支持体として捕集し、約100g/mのメルトブローン不織布シートを製造した。
(2)このメルトブローン不織布シートを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度20m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらにもう片面を細かい網目を有する全体に平坦な支持体(72メッシュ 開口率20% 平織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を5.0MPaとして行った。さらに80℃の熱風で乾燥して、目付けが98.3g/mの不織繊維シートを得た。
(3)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て丸断面(長径/短径=1.05/1)の形状を有し、平均繊維径は6.0μmであり、繊維径の標準偏差は、1.6であり、変動率は27%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が21.2μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は2890個/cmであった。
得られた不織繊維シートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人の全員が肌を刺激する感触がなく良好と評価した。この結果から肌への刺激は少なく、ワイパーに適すと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは17.5で、拭き取り性は○と判定した。
[実施例2]
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(MFR(235℃、2.16kg)=90g/10分)100質量部を用いて、公知のメルトブローン製造設備を使用し、直径が0.3mmで0.8mmのピッチで長さ1mあたり1,300個の孔を有するノズルを用い、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力0.4MPa、単孔吐出量0.3g/孔・分の条件でメルトブローン紡糸を行い、回転するネットコンベアを支持体として捕集し、約45g/mのメルトブローン不織布シートを製造した。
(2)このメルトブローン不織布シートを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度20m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらにもう片面を同様に、開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらに親水剤を公知のスプレー法にて塗布し、130℃の熱風で乾燥して目付けが45.8g/mの不織繊維シートを得た。
(3)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て丸断面(長径/短径=1.03/1)の形状を有し、平均繊維径は3.0μmであり、繊維径の標準偏差は、2.3であり、変動率は76%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が25.7μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は4895個/cmであった。
得られた不織繊維シートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人の全員が肌を刺激する感触がなく良好と評価した。この結果から肌への刺激は少なく、ワイパーに適すと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは19.3で、拭き取り性は○と判定した。
[実施例3]
(1)ポリアミド樹脂(JIS K 6920 に準拠し、96%硫酸に1.0g/100ml溶解させた際の相対粘度が2.0であるナイロン6)100質量部を用いて、公知のメルトブローン製造設備を使用し、直径が0.3mmで0.8mmのピッチで長さ1mあたり1,300個の孔を有するノズルを用い、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力0.4MPa、単孔吐出量0.3g/孔・分の条件でメルトブローン紡糸を行い、回転するネットコンベアを支持体として捕集し、約25g/mのメルトブローン不織布シートを製造した。
(2)このメルトブローン不織布シートを細かい網目を有する全体に平坦な支持体(86メッシュ 開口率14% 綾織りポリエステルネット)に載置して速度20m/分で連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.08mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を2.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPaとして行った。さらにもう片面も同様に細かい網目を有する全体に平坦な支持体(86メッシュ 開口率14% 綾織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.08mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらに80℃の熱風で乾燥して、目付けが25.4g/mの不織繊維シートを得た。
(3)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て丸断面(長径/短径=1.06/1)の形状を有し、平均繊維径は3.3μmであり、繊維径の標準偏差は、1.8であり、変動率は53%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が28.9μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は2395個/cmであった。
得られた不織繊維シートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人の全員が肌を刺激する感触がなく良好と評価した。この結果から肌への刺激は少なく、ワイパーに適すと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは18.8で、拭き取り性は○と判定した。
[実施例4]
(1)ポリアミド樹脂(JIS K 6920 に準拠し、96%硫酸に1.0g/100ml溶解させた際の相対粘度が2.0であるナイロン6)100質量部を用いて、公知のメルトブローン製造設備を使用し、直径が0.3mmで0.8mmのピッチで長さ1mあたり1,300個の孔を有するノズルを用い、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力0.4MPa、単孔吐出量0.3g/孔・分の条件でメルトブローン紡糸を行い、回転するネットコンベアを支持体として捕集し、約250g/mのメルトブローン不織布シートを製造した。
(2)このメルトブローン不織布シートを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度10m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を5.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を6.0MPaとして行った。さらにもう片面を同様に、開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を7.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を10.0MPaとして行った。さらにもう一度シート面を反転させて、同様に、開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を7.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を10.0MPaとして行った。その後80℃の熱風で乾燥して、目付けが251.5g/mの不織繊維シートを得た。
(3)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て丸断面(長径/短径=1.01/1)の形状を有し、平均繊維径は3.2μmであり、繊維径の標準偏差は、2.0であり、変動率は63%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が27.2μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は2532個/cmであった。
得られた不織繊維シートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人の全員が肌を刺激する感触がなく良好と評価した。この結果から肌への刺激は少なく、ワイパーに適すと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは18.1で、拭き取り性は○と判定した。
[比較例1]
(1)ポリプロピレン樹脂(MFR(230℃、2.16kg)=1100g/10分)100質量部を用いて、公知のメルトブローン製造設備を使用し、直径が0.3mmで0.8mmのピッチで長さ1mあたり1,300個の孔を有するノズルを用い、紡糸温度260℃、エア温度270℃、エア圧力0.4MPa、単孔吐出量0.2g/孔・分の条件でメルトブローン紡糸を行い、回転するネットコンベアを支持体として捕集し、約45g/mのメルトブローン不織布シートを製造した。
(2)このメルトブローン不織布シートを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度20m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらにもう片面を細かい網目を有する全体に平坦な支持体(72メッシュ 開口率20% 平織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を5.0MPaとして行った。さらに90℃の熱風で乾燥して、目付けが45.5g/mの不織繊維シートを得た。
(3)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て丸断面(長径/短径=1.03/1)の形状を有し、平均繊維径は2.3μmであり、繊維径の標準偏差は、1.0であり、変動率は42%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が19.7μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は4400個/cmであった。刺激評価を行うために得られた不織繊維シートに水を含浸させようとしたが、疎水性であることから十分な含浸ができなかった。被験者10人の全員が肌を刺激する感触がないと評価した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは9.1で、拭き取り性は×と判定した。
[比較例2]
(1)コットン繊維(丸三産業(株)製 平均繊維径14μm)を100質量部解繊した後、公知のカード法によりセミランダムカードウェブを作製し、このカードウェブを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度20m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらにもう片面を細かい網目を有する全体に平坦な支持体(72メッシュ 開口率20% 平織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.10mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を5.0MPaとして行った。さらに130℃の熱風で乾燥して、目付けが55.4g/mの不織繊維シートを得た。
(2)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て扁平(長径/短径=2.33/1)な断面形状を有し、平均繊維径は14.2μmであり、繊維径の標準偏差は、3.1であり、変動率は22%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が56.1μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は381個/cmであった。
このシートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人のうち2人が○と評価し、6人が△と評価し、2人が×と評価した。この結果から肌に不快な刺激を感じることがあり、ワイパーに最適ではないと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは4.8で、拭き取り性は×と判定した。
[比較例3]
(1)レーヨン繊維(オーミケンシ(株)製「ホープ」、平均繊維径12μm、繊維長40mm)を100質量部解繊した後、公知のカード法によりセミランダムカードウェブを作製し、このカードウェブを細かい網目を有する全体に平坦な支持体(86メッシュ 開口率14% 綾織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.08mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を2.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPaとして行った。さらにもう片面も同様に細かい網目を有する全体に平坦な支持体(86メッシュ 開口率14% 綾織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.08mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらに130℃の熱風で乾燥して、目付けが50.1g/mの不織繊維シートを得た。
(2)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は全て菊花断面の形状を有し、平均繊維径は12.4μmであり、繊維径の標準偏差は、0.8であり、変動率は6%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が71.4μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は488個/cmであった。
このシートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人のうち3人が○と評価し、6人が△と評価し、1人が×と評価した。この結果から肌に不快な刺激を感じることがあり、ワイパーに最適ではないと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果Aは9.2で、拭き取り性は×と判定した。
[比較例4]
(1)分割繊維(ポリアミドとポリエステルからなる層状積層断面分割繊維、(株)クラレ製「WRAMP」平均繊維径17μm、繊維長51mm)を100質量部解繊した後、公知のカード法によりセミランダムカードウェブを作製し、このカードウェブを開口率25%、穴径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度10m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して片面の交絡処理を行った。この交絡処理に当たっては、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離20cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を5.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を6.0MPaとして行った。さらにもう片面を細かい網目を有する全体に平坦な支持体(72メッシュ 開口率20% 平織りポリエステルネット)に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行なった。この交絡処理は、穴径0.15mmのオリフィスをウェブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を7.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を10.0MPaとして行った。さらに120℃の熱風で乾燥して、目付けが132.2g/mの不織繊維シートを得た。
(2)得られた不織繊維シートの最終水流処理面を不織繊維シートの観察面とし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維シートの表面及び断面を観察したところ、表面の繊維は、丸断面の形状をしているものと、分割して扁平な断面形状をしているものとが混在し、平均繊維径は丸断面の形状をしているものが17.2μmであり、分割して扁平な断面形状をしているものの長辺の平均は7.2μmであり、短辺の平均は1.3μmであった。繊維径の標準偏差は、丸断面の形状をしているものが0.92であり、分割して扁平な断面形状をしているものの長辺が0.84で、短辺が0.34であった。変動率は丸断面の形状をしているものが5%であり、分割して扁平な断面形状をしているものの長辺が12%で、短辺が26%であった。表面に形成されたループは、平均曲率半径が51.4μmで、曲率半径が80μm以下のループ数は5107個/cmであった。
得られた不織繊維シートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、このシートに水を含浸させ、刺激評価をした結果、被験者10人のうち2人が△と評価し、8人が×と評価した。この結果から肌に不快な刺激を感じる可能性が高く、ワイパーに最適ではないと判定した。
拭取り性能評価による拭取り効果 A は16.9で、拭き取り性は○と判定した。
実施例、比較例の結果を表1に示す。
Figure 2013163871
本発明の不織繊維構造体で構成される不織繊維シートは、対人ワイパーとして使用した場合、シート表面の繊維径が一定の分布(標準偏差)を有しているので、人の皮膚がもつ様々な皮溝の幅、深さに選択的に繊維が入り込むことができるので、効率的な拭き取りを行うことができる。
さらに本発明の不織繊維集合体からなるシートの表面を構成する繊維は、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂といった親水性と親油性とを兼備する樹脂または、親水性と親油性を付与した樹脂からなることから、メイク落しワイパーとして用いた場合、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧品や皮脂、汗とよく馴染み、好適に拭き取ることができる。
本発明の不織繊維シートの表面構造の一例を示す顕微鏡写真。 本発明の不織繊維シートの拭取り性能の評価に用いる試験機の概略図。

Claims (10)

  1. 不織繊維集合体で構成され、かつ該不織繊維集合体表面が数平均繊維径0.5μm〜10.0μmの丸断面形状を有する極細繊維からなり、さらに該不織繊維集合体表面において、極細繊維の一部がループ形状を有していることを特徴とする不織繊維シート。
  2. 不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、数平均繊維径の標準偏差1.0〜5.0で分布していることを特徴とする、請求項1記載の不織繊維シート。
  3. 不織繊維集合体表面を構成する極細繊維の一部が曲率半径80μm以下のループ形状を有し、かつこのループが1000個/cm以上存在する請求項1または2に記載の不織繊維シート。
  4. 不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、親水性と親油性とを兼備する樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の不織繊維シート。
  5. 不織繊維集合体表面を構成する極細繊維が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂のいずれかからなる請求項4記載の不織繊維シート。
  6. 不織繊維集合体表面を構成する極細繊維がメルトブローン不織布によって構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の不織繊維シート。
  7. 不織繊維集合体表面に有するループ形状がスパンレース法によって形成された請求項1〜6のいずれかに記載の不織繊維シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の不織繊維シートからなるワイパー。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の不織繊維シートからなる対人ワイパー。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の不織繊維シートからなるメイク落しワイパー。
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