JP2021050453A - 不織布 - Google Patents

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Peng Peng
鵬 彭
小山 久美
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中原 誠
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誠 中原
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Abstract

【課題】本発明によれば、スキンケア用品として用いた際の密着性、保水性、更には柔軟性に優れた不織布を提供することを課題とする。【解決手段】本発明の不織布はバンドル状態繊維を含有し、前記バンドル状態繊維のバンドル幅は、400μm以下であり、前記バンドル状態繊維は、第1の単糸繊維を含有し、前記第1の単糸繊維の単糸繊維直径は、100〜800nmである、不織布である。【選択図】なし

Description

本発明は、不織布に関する。
近年、不織布は、保液性や風合いを活かしたスキンケア用品の用途として、その需要を拡大し続けている。不織布を使用したスキンケア用品の一例としてフェイスマスクが知られている。フェイスマスクは、シート状のスキンケア用品である化粧用シートの一種であり、皮膚の表面で薬液を一定の時間保持できることから、皮膚へ薬液を直接塗布する場合と比べて、薬液の皮膚への浸透効率が高く、美白、水分保持、アンチエイジングなどの効果に優れるため、市場を拡大し続けている。近年、ナノファイバーを含むフェイスマスク用不織布は密着性や柔軟性が優れるため、フェイスマスク用ナノファイバー不織布の開発が徐々に増えている。
特許文献1には、手指で取り扱う際に、化粧用シートが手指に密着したり、破断するのを防止するため、ナノファイバーよりなる繊維構造体の片面に多孔質支持体層と嵩高短繊維不織布層を配したものが提案されている。
また、特許文献2には、皮膚への密着性と、リフトアップ性を向上するために、ナノファイバーからなる不織布を基材不織布に積層した積層体からなるフェイスマスクが提案されている。
特開2013−119676号公報 国際公開2017/122625号公報
特許文献1に開示された化粧用シートは、ナノファイバー層の片面に比較的太い繊度の繊維からなる不織布を配したものであるため、スキンケア用品としての取扱性や保水性には優れるが、バンドル状態繊維を含み、前記のバンドル状態繊維の幅が大きい場合には、不織布が硬くなり、皮膚との密着性や、柔軟性が十分でないとの課題がある。
また、特許文献2に開示されたフェイスマスクは、ナノファイバーからなる不織布を比較的太い繊維径の不織布に積層しているため、リフトアップ性や保水性には優れるが、前記のナノファイバーは海島型の複合繊維に脱海処理を施すことで得られて、脱海処理と、この処理に続く乾燥処理によって、不織布に含まれるナノファイバーと隣接する繊維が互いに拘束し合い、バンドル状態繊維を含み、前記のバンドル状態繊維の幅が大きい場合には、皮膚との保水性や、柔軟性に劣るとの課題がある。
そこで、本発明は、スキンケア用品、特にフェイスマスクの特性として重要視されている、皮膚への密着性、保水性、柔軟性に優れた不織布を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)バンドル状態繊維を含有し、前記バンドル状態繊維のバンドル幅は、400μm以下であり、前記バンドル状態繊維は、第1の単糸繊維を含有し、前記第1の単糸繊維の単糸繊維直径は、100〜800nmである、不織布、
(2)不織布層Aと不織布層Bとの積層構造を有し、前記不織布層Aは、前記第1の単糸繊維を前記不織布層A全体に対し50質量%以上含有し、前記不織布層Bは、第2の単糸繊維を前記不織布層Bの全質量に対し60質量%以上含有し、前記第2の単糸繊維の単糸繊維直径が、10〜20μmである、(1)の不織布、
(3)前記不織布層Aが、ナイロン6繊維のみから構成され、前記不織布層Bが、ナイロン6繊維のみから構成される、(2)の不織布、
(4)前記不織布層Aの目付が、5〜15g/mである、(2)または(3)の不織布、
(5)前記第1の単糸繊維が、ナイロン6繊維またはポリエチレンテレフタレート繊維である、(1)の不織布、
(6)前記不織布の10%伸長時の応力が、0.1〜1.0N/cmである、(1)〜(5)のいずれかの不織布、
また、(7)(1)〜(6)のいずれかの不織布の製造方法であって、海島構造の複合繊維を含有するウェブを形成する工程と、前記ウェブに開繊処理および交絡処理をこの順に施し不織布前駆体を得る工程と、前記不織布前駆体に脱海処理を施し湿潤状態不織布を得る工程と、前記湿潤状態不織布に乾燥処理を施し不織布を得る工程とを、この順に有し、前記乾燥処理における乾燥温度が100〜150℃である、不織布の製造方法、
また、(8)(1)〜(6)のいずれかの不織布を用いた、スキンケア用品である。
本発明によれば、フェイスマスクに用いられた場合に、このフェイスマスクの肌への密着性、保水性および柔軟性を優れたものとすることができる不織布を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の不織布は、バンドル状態繊維を含有している。そして、このバンドル状態繊維のバンドル幅は、400μm以下である。また、このバンドル状態繊維は、第1の単糸繊維を含有している。そして、この第1の単糸繊維の単糸繊維直径は、100〜800nmである。ここで、上記の単糸繊維直径が100〜800nmの第1の単糸繊維をナノファイバーと称することがある。
詳細は後述するが、本発明の不織布のようにナノファイバーを含有する不織布の製造方法は、海島構造の複合繊維を含有する不織布前駆体に脱海処理を施す工程を有している場合がある。そして、この場合には、上記の製造方法で得られる不織布にはナノファイバーを含むバンドル状態繊維が含まれる。ここで、本発明者の知見によると、従来のナノファイバーを含有する不織布では、このバンドル状態繊維のバンドル幅が大きく、結果として、この不織布の柔軟性は劣ったものとなり、この不織布を用いたフェイスマスクの皮膚との密着性や柔軟性が劣ったものとなる。
ここで、本発明の不織布は、バンドル状態繊維を含む。そして、このバンドル状態繊維のバンドルの幅は400μm以下である。バンドル状態繊維のバンドルの幅が400μm以下であることで、上記の不織布の柔軟性は優れたものとなり、この不織布を用いたフェイスマスクの皮膚との密着性や柔軟性も優れたものとなる。ここで、このような効果が得られるメカニズムを以下のとおりと推測する。すなわち、バンドル状態繊維のバンドルの幅が400μm以下であることで、バンドル状態繊維を構成する繊維同士による相互の拘束の力が弱くなる。結果として、上記のバンドル状態繊維の柔軟性が優れたものとなり、更に、このバンドル状態繊維を含む不織布の柔軟性も優れたものとなると推測する。そして、フェイスマスクに用いられる不織布が柔軟なものとなることで、このフェイスマスクの柔軟性も優れたものとなる、また、フェイスマスクが柔軟なものとなることで、フェイスマスクは皮膚の凹凸に追従しやすくなり、フェイスマスクと皮膚との接触面積が増大することで、フェイスマスクの皮膚との密着性も優れたものとなると推測する。なお、バンドル幅が400μm以下のバンドル状態繊維を含有する不織布を得るための方法の詳細は後述するが、例えば、本発明の不織布が不織布層Aおよび不織布層Bの積層構造を有する構成である場合には、不織布層Aの目付を特定の範囲内とし、更に、この不織布の製造方法における乾燥処理の乾燥温度を特定の範囲内とすることなどで、所望のバンドル幅のバンドル状態繊維を有する不織布を得ることができる。
上記の観点から、本発明の不織布に含有されるバンドル状態繊維のバンドルの幅は300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましい。一方で、上記のバンドル状態繊維のバンドル幅の下限は特に限定はされないが、本発明の不織布を用いたフェイスマスクからの繊維の脱落を抑制し、脱落した繊維が皮膚に残留することを抑制することができるとの観点から、バンドル状態繊維のバンドル幅は8μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。
なお、バンドル状態繊維とは、ナノファイバーなどの単糸繊維が集合してなる繊維集合体であり、この繊維集合体の繊維長さ方向の長さが100μm以上であるものをいう。また、バンドル状態繊維のバンドル幅とは、実施例の測定方法の「(3)バンドル状態繊維のバンドル幅」の項に記載の方法で測定されるものをいう。
また、本発明の不織布は、バンドル状態繊維を含有し、このバンドル状態繊維はナノファイバーを含有する。すなわち、本発明の不織布は、ナノファイバーを含有する。不織布がナノファイバーを含有することにより、ナノファイバーが皮膚の表面に存在する細かなシワの内部まで入り込み、不織布と皮膚との接触面積が増大する。そして、このことにより、本発明の不織布を用いたフェイスマスクでは、フェイスマスクと皮膚との密着性が優れたものとなる。
また、本発明の不織布に含まれるナノファイバーの単糸繊維直径が100nm以上であることで、ナノファイバーの強度が優れたものとなり、本発明の不織布を用いたフェイスマスクからのナノファイバーの脱落が抑制され、更に、脱落したナノファイバーの皮膚への残留が抑制できる。上記の点で、ナノファイバーの単糸繊維直径の下限は、150nm以上であることが好ましい。
一方で、本発明の不織布に含まれるナノファイバーの単糸繊維直径を800nm以下とすることで、上記のナノファイバーのモジュラスが増加することを抑制することができると共に、上記のとおりナノファイバーは皮膚の細かなシワや毛穴の内部まで入り込むことができるため、本発明の不織布を用いたフェイスマスクの柔軟性、および皮膚との密着性に優れたものとなる。更に、ナノファイバーの単糸繊維直径が800nm以下であることにより、ナノファイバーの毛細管効果により、本発明の不織布を用いたフェイスマスクでは保水性も優れたものとなる。上記の観点から、ナノファイバーの単糸繊維直径の上限は、700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。
ここで、ナノファイバーとしては、具体的に、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド繊維、およびポリオレフィン繊維等の合成繊維を採用することができる。これらの中でも、ナノファイバーは、ナイロン6繊維またはポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。また、不織布の保水性や柔軟性が更に良好となるとの観点で、ナノファイバーはナイロン6繊維であることが好ましい。
本発明の不織布は、以下の構成であることが好ましい。すなわち、好適な不織布は、不織布層Aと不織布層Bとの積層構造を有する。そして、上記の不織布層Aは、上記の第1の単糸繊維を上記の不織布層A全体に対し50質量%以上含有する。また、上記の不織布層Bは、第2の単糸繊維を含有し、更に、第2の単糸繊維の含有量は上記の不織布層Bの全質量に対し60質量%以上である。更に、上記の第2の単糸繊維の単糸繊維直径は、10〜20μmである。上記のような不織布の構成とすることで、特に、不織布を用いたフェイスマスクにおいて、フェイスマスクと皮膚との密着性がより優れたものとなり、このことに加えて、フェイスマスクの取扱性もより優れたものとなる。
ここで、不織布層Bに含まれる第2の単糸繊維としては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる繊維、コットンなどの天然繊維、およびレーヨンなどの再生繊維を採用することができる。これらの中でも、上記の第2の単糸繊維は、繊維としての柔軟性や保水性に優れたポリアミド樹脂からなる繊維であることが好ましく、その中でもナイロン6繊維であることが好ましく、上記の不織布層Bは、ナイロン6繊維のみから構成されることが更に好ましい。
上記のとおり、本発明の不織布は、上記の不織布層Aを有することが好ましく、更に、上記の不織布層Aは上記のナノファイバーを不織布層A全体に対し50質量%以上有することが好ましい。このような不織布の構成とすることで、この不織布を用いたフェイスマスクについて、不織布層Aが皮膚に接する側に配されるように、このフェイスマスクが使用されることで、不織布層Aに含有されるナノファイバーが皮膚の細かなシワや毛穴の内部まで入り込む。そして、結果として、フェイスマスクと皮膚との接触面積が増加し、フェイスマスクの皮膚との密着性が向上する。
また、上記のナノファイバーを、不織布層Aの全質量に対して50質量%以上の範囲内で含むことにより、上記の好適な不織布では保水性が向上するため好ましい。上記の観点から、不織布層Aは、ナノファイバーを不織布層Aの全質量に対して、80質量%以上の範囲内で含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、不織布層Aはナノファイバーのみで構成されたものであることが更に好ましい。
上記のとおり、本発明の不織布は、上記の不織布層Bを有することが好ましく、更に、上記の不織布層Bは第2の単糸繊維を不織布層B全体に対し60質量%以上有することが好ましい。不織布層Bの構成としては、第2の単糸繊維と、第2の単糸繊維以外の繊維の混綿でも良いし、第2の単糸繊維のみからなるものでも良い。本発明の不織布を、第2の単糸繊維を60質量%以上、含有する不織布層Bを中間層とし、不織布層Aなどを上下層とした場合には、この不織布の製造工程において、不織布の破断の発生が抑制でき、更に不織布の取扱性が向上する。更に、上記の不織布を用いたフェイスマスクでは、フェイスマスクの強度が向上し、フェイスマスクの破断の発生が抑制され、フェイスマスクの取扱性も向上するとの効果が得られる。
また、上記の第2の単糸繊維の単糸繊維直径は、10〜20μmであることが好ましい。第2の単糸繊維の単糸繊維直径が10μm以上であることで、本発明の不織布を用いたフェイスマスクの強度の低下が抑制され、更に、フェイスマスクの取扱性も向上する。一方で、第2の単糸繊維の単糸繊維直径が20μm以下であることで、第2の単糸繊維自体の剛性が低下し、本発明の不織布のしなやかさが向上する。上記の観点から、第2の単糸繊維の単糸繊維直径の下限は12μm以上であることが好ましい。一方でこの上限は18μm以下であることが好ましい。
次に、本発明における好適な不織布が備える不織布層Aについて説明する。上記の不織布層Aとしては、単糸繊維直径が100〜800nmの第1の単糸繊維(すなわち、ナノファイバー)と、単糸繊維直径が800nmを超えるナイロン6繊維の混綿で構成されるものであってもよいし、単糸繊維直径が100〜800nmの第1の単糸繊維であって、かつ、ナイロン6繊維であるナノファイバーのみから構成されるものであってもよい。ここで、上記の不織布層Aにおけるナノファイバーの含有量が多いほど、本発明の不織布を用いたフェイスマスクの皮膚との密着性は優れたものとなり、また、このフェイスマスクの保水性も優れたものとなる。上記の観点からは、上記の不織布層Aは、単糸繊維直径が100〜800nmの第1の単糸繊維であって、かつ、ナイロン6繊維であるナノファイバーのみから構成されるものであることが特に好ましい。
本発明の不織布は10%伸長時の応力が、0.1〜1.0N/cmであることが好ましい。フェイスマスクには、上記のとおり一定の強度および一定の柔軟性が必要である。そして、10%伸長時の応力が0.1〜1.0N/cmの不織布を用いたフェイスマスクでは、優れた強度および優れた柔軟性の両立が可能となる。なお、フェイスマスクの優れた強度は、フェイスマスクの取扱性を向上させ、フェイスマスクの変形や破断を抑制する。また、フェイスマスクの優れた柔軟性は、フェイスマスクの皮膚との密着性を優れたものとする。
上記の観点から、不織布の10%伸長時の応力の下限は、0.15N/cm以上であることが好ましい。一方で、この上限は0.8N/cm以下であることが好ましく、0.6N/cm以下であることがより好ましく、0.4N/cm以下であることが更に好ましい。
なお、本発明の不織布の10%伸長時の応力は、JIS L 1913に基づき、定速伸長形引張試験機により、湿潤状態の不織布を初期の長さの10%伸長させた際の応力を読み取ることにより測定できる。ここで、不織布のタテ方向とヨコ方向の応力をそれぞれ測定し、タテ方向とヨコ方向のうち、より小さい方の数値を不織布の10%伸長時の応力とした。
不織布の10%伸長時の応力は、不織布が含有するバンドル状態繊維のバンドル幅を400μm以下の範囲内において適宜調整することや、本発明の不織布が上記の好適な構成を採用するものである場合には、不織布層Bに含まれる第2の単糸繊維の単糸繊維直径を10〜20μmの範囲内において適宜調整すること、更に詳細は後述するが湿潤状態不織布の乾燥処理工程における乾燥温度を100〜150℃の範囲内において適宜調整することにより、不織布の10%伸長時の応力を0.1〜1.0N/cmの範囲内において所望のものとすることができる。
また、本発明の不織布が上記の好適な構成を採用するものである場合において、不織布層Aの目付は、5〜15g/mであることが好ましい。不織布層Aの目付を5g/m以上とすることで、この不織布を用いたフェイスマスクと皮膚との密着性が向上し、更に、このフェイスマスクの保水性も向上する。一方で、不織布層Aの目付を15g/m以下とすることで、不織布層Aに含まれる繊維であって、隣接する繊維同士が互いに拘束し合う現象の発生が抑制され、不織布に含まれるバンドル状態繊維のバンドル幅が小さくなる。結果として、この不織布を用いたフェイスマスクの柔軟性が優れたものとなり、更に、このフェイスマスクと皮膚との密着性も優れたものとなる。上記の観点から、不織布層Aの目付の下限は6g/m以上であることが好ましい。一方で、不織布層Aの目付の上限は12g/m以下であることが好ましく、10g/m以下であることがより好ましい。
なお、本発明の不織布の目付は、30〜80g/mであることが好ましく、この下限は、35g/m以上であることがより好ましく、40g/m以上であることが更に好ましい。一方で、この上限は、70g/m以下であることがより好ましく、60g/m以下であることが更に好ましい。不織布の目付を30g/m以上とすることで、この不織布を用いたフェイスマスクでは、使用時におけるフェイスマスクの変形が抑制され、フェイスマスクの取扱性が向上する。一方、目付を80g/m以下とすることで、不織布に含まれるバンドル状態繊維のバンドル幅が小さくなり、この不織布を用いたフェイスマスクの柔軟性が優れたものとなる。
また、本発明の不織布が上記の好適な構成を採用するものである場合において、不織布層Bの目付は、20〜60g/mであることが好ましい。不織布層Bの目付の下限は、30g/m以上であることがより好ましく、35g/m以上であることが更に好ましい。一方で、この上限は、50g/m以下であることがより好ましく、45g/m以下であることが更に好ましい。目付を20g/m以上とすることで、この不織布を用いたフェイスマスクの変形が抑制され、フェイスマスクの取扱性が向上する。一方、不織布層Bの目付を60g/m以下とすることで、この不織布を用いたフェイスマスクの柔軟性が優れたものとなる。
次に、本発明の不織布を製造するための好適な製造方法について説明する。
本発明の不織布の好適な製造方法は以下のとおりである。すなわち、海島構造の複合繊維を含有するウェブを形成する工程と、上記のウェブに開繊処理および交絡処理をこの順に施し不織布前駆体を得る工程と、上記の不織布前駆体に脱海処理を施し湿潤状態不織布を得る工程と、上記の湿潤状態不織布に乾燥処理を施し不織布を得る工程とを、この順に有し、上記の乾燥処理における乾燥温度が100〜150℃である不織布の製造方法である。
以下、製造方法における各工程を工程順に詳細に説明する。
(ウェブを形成する工程)
海島構造の複合繊維を含有するウェブを形成する工程については、第1の単糸繊維の前駆体となる海島構造の複合繊維や、必要に応じて第2の単糸繊維となる短繊維をカーディング法などのカード工程を用いて開繊し、海島構造の複合繊維を含有するウェブなどを得ることができる。ここで、海島構造の複合繊維を開繊した後に、後述の脱海工程により複合繊維から海成分を除去し第1の単糸繊維を得る方法を採用することで、開繊時の糸切れなどを抑制し、効率よく、上記のウェブを形成することができる。
(不織布前駆体を得る工程)
本発明の不織布の好適な製造方法における不織布前駆体は、上記のウェブに交絡処理を行うことで製造できる。交絡方法についてはニードルパンチ法やスパンレース法を採用できるが、スパンレース法は高圧水流によりウェブの構成繊維を絡合させる方法であり、柔軟性に優れる不織布が得られるため好ましい。
なお、不織布を積層構造とする場合は、不織布層Aのもととなるウェブと不織布層Bのもととなるウェブを、それぞれ単独で水流により絡合させた後に、不織布層Aのもととなる不織布前駆体と不織布層Bのもととなる不織布前駆体とを積層し、再度、高圧水流により一体化させ積層不織布の前駆体を得てもよい。また、カード工程を行った後の不織布層Aのもととなるウェブと、不織布層Bのもととなるウェブとを積層し、得られたウェブの積層体を高圧水流により、構成繊維を絡合させ、ウェブを一体化させて、積層不織布の前駆体を得てもよい。
(脱海処理により湿潤状態不織布を得る工程)
脱海処理は、不織布前駆体に含まれる海島構造の複合繊維の海成分を除去し、第1の単糸繊維を含む湿潤状態不織布を得る工程である。この脱海処理は、80℃〜100℃のアルカリ水溶液で一定時間処理する方法が採用できる。
(乾燥処理により不織布を得る工程)
上記の湿潤状態不織布の乾燥処理工程において、乾燥温度は100〜150℃であることが好ましい。乾燥温度を100℃以上とすることで、湿潤状態不織布を効率よく乾燥することができ、かつ、乾燥後の不織布の寸法安定性が優れたものとなる。一方で、乾燥温度を150℃以下とすることで、発明者らは、ナノファイバーの熱収縮によってナノファイバー同士またはナノファイバーとナノファイバー以外の繊維が互いに拘束し合い、不織布に含まれるバンドル状態繊維のバンドル幅が大きくなることを抑制することができる。上記の観点から、乾燥処理工程において、乾燥温度は105℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。乾燥温度の上限は、145℃以下であることが好ましく、温度140℃以下であることが更に好ましい。
本発明の不織布を用いたフェイスマスクでは、ナノファイバーが皮膚の細かなシワや毛穴の内部まで入り込み、皮膚とフェイスマスクの繊維表面の接触面積が増大し、フェイスマスクと皮膚との摩擦係数が向上することで、フェイスマスクが皮膚の表面で滑ることが抑制され、結果的に、フェイスマスクと皮膚との密着性が向上する。上記の摩擦係数を評価する手法としては、JIS P8147:1994 3.2傾斜方法に準じて、化粧水を含浸させた際の静摩擦係数により評価することができる。フェイスマスクと皮膚との密着性がより優れたものとなるとの観点から、フェイスマスクと皮膚との間の静摩擦係数は、0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.9以上、更に好ましくは1.0以上であることが好ましい。一方で、フェイスマスクと皮膚との静摩擦係数の上限は、3.0以下であることが好ましい。
また、本発明の不織布はナノファイバーを有するため、ナノファイバーによる毛細管効果で、フェイスマスクとして使用する際に、垂直方向に装着している間に、垂直方向の保水量差が改善できる。つまり、フェイスマスクを装着する20分程度の間に薬液がフェイスマスクの下部に集中することを抑制できるため、フェイスマスクの薬液を均一分散することができ、結果的に化粧水の皮膚への浸透が均一になり、フェイスマスクの上部および下部での皮膚との密着性が維持できる。上記の垂直方向の保水量差を評価する手法としては、不織布を蒸留水に含浸させ、人工皮膚に垂直に貼付け、20分間を経過後に、上部および下部の保水率の差である、上下保水率差により評価することができる。フェイスマスクの皮膚との密着性と薬液の均一分散性の観点から、不織布の上下保水率差は200%以下であることが好ましく、より好ましくは150%以下上、更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
なお、本発明の不織布に、化粧水や美容液、あるいはクレンジング剤等の薬液を浸漬することで、例えば、フェイスマスクやスキンケアシート、目元用マスク、クレンジングシート、ポイントメイク用クレンジングシートなどのスキンケア用品として使用することができる。中でも、本発明の不織布は、柔軟性と密着性に優れることから、フェイスマスクとして特に好適に使用できる。
本実施例で用いた測定方法を後述する。
(1)第1の単糸繊維の単糸繊維直径
不織布のサンプルをエポキシ樹脂で包埋し包埋体を得た。次に、この包埋体から薄切片を切り出し、この薄切片に含まれる不織布を透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所社製H−7100FA型)で観察し、倍率10,000倍の断面写真を撮影した。次に、この断面写真について画像処理ソフト(ソフト名:WinROOF、三谷商事株式会社製)を用いて、同一写真内でお互いに隣接する30本ずつの第1の単糸繊維の群を無作為に10箇所抽出し、計300本の第1の単糸繊維の単糸繊維直径を測定し、その平均値を求め、第1の単糸繊維の単糸繊維直径とした。
(2)第2の単糸繊維の単糸繊維直径
JIS L 1015:1999に基づいて繊度を測定し、「繊維ハンドブック(日本化学繊維協会編)」などに掲載されている素材の比重から当該繊維の数平均による単糸繊維直径を求めた。繊維が異形断面繊維の場合は、当該異形断面繊維の断面積を同じ面積の円形の直径に換算して求めた。
(3)バンドル状態繊維のバンドル幅
デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社VHX−6000型)にて、175倍の倍率の下で、不織布の表面を観察し、この表面上から無作為に20個の観察エリアを選定する。次いで、これらの20個の観察エリアの各々において写真を撮影する。得られた20枚の写真の各々を画像処理ソフト(ソフト名:WinROOF、三谷商事株式会社製)を用いてモノクロ画像化した後、20枚の写真の各々を2値化処理した。ここで、各20枚の写真において、上記の画像処理ソフトの自動2値化(しきい値の決定方法:判別分析法、抽出領域の明暗:明るい領域、対象濃度の範囲:0〜255)により抽出された領域(以下、抽出領域)であって、長手方向の長さが100μm以上であるものをバンドル状態繊維とした。そして、各1枚の写真において、バンドル状態繊維を無作為に10本ずつ選定し、前記の10本のバンドル状態繊維について以下の測定を実施した。バンドル状態繊維の繊維長さの方向(すなわち、抽出領域の長手方向)に直交する方向の連続するバンドル状態繊維の長さのうち最大となるものを測定した。ここで、バンドル状態繊維の繊維長さの方向とは、抽出領域の長手方向である。また、バンドル状態繊維の繊維長さの方向に直交する方向の連続するバンドル状態繊維の長さとは、抽出領域の長手方向に直交する方向の連続する抽出領域の長さである。上記の測定で得られた10個の測定値の内、最大値を記録した。この測定を20枚の写真について行い、上記の測定で得られた20個の測定値(各写真における最大値)の平均値をバンドル状態繊維のバンドル幅とした。なお、上記の2値化処理においては、画像処理ソフトの自動2値化(しきい値の決定方法:判別分析法、抽出領域の明暗:明るい領域、対象濃度範囲:0〜255)を用いた。但し、上記の自動2値化に拠っては、しきい値の決定が困難である場合は、平動設定により行うことができる。
(4)不織布の目付
JIS L 1913:1998 に基づいて測定した。
不織布から50mm×50mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
ms=m/S
ここに、ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:試験片の平均重量(g)
S:試験片の面積(m)。
(5)不織布層Aの目付
不織布から50mm×50mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。次いで試験片から、不織布層Aをピンセットを用いて剥離させ上記の不織布層Aの標準状態における試験片の質量を測定し、単位面積あたりの質量を上記の(4)に記載の方法で算出した。
(6)不織布の静摩擦係数
JIS P8147:1994傾斜方法に準じて測定した。幅30mm、長さ130mmの試験片を、不織布のタテ方向、およびヨコ方向からそれぞれ5枚ずつ切り出し、この試験片を10枚用意した。なお不織布のタテ方向とは、不織布の製造装置の進行方向であり、ヨコ方向とは、上記の進行方向に垂直な方向を言う。
静摩擦係数の評価については、試験片を20℃の化粧水(無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」)中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかに滑り傾斜角測定装置の重りに取り付けた。一方、シリコン疑似皮膚(ビューラックス製)を滑り傾斜角測定装置に取り付け、試験片を取り付けた重りを試験片の測定面がシリコン疑似皮膚に接触するように、かつ、試験片の長さ方向と滑り傾斜角測定装置の滑り方向とが一致するように疑似皮膚上に上載し、傾け角度3°/秒未満の条件で、重りが落下したときの傾斜角を読み取り、上記の傾斜角の正接(tanθ)を静摩擦係数とした。この操作を10枚の試験片について行い、その平均値を不織布の静摩擦係数とした。
(7)不織布の上下保水率差
不織布を標準状態で24hr調湿した後、幅40mm、長さ150mmの試験片を不織布のタテ方向、およびヨコ方向からそれぞれ3枚ずつ採取した。この試験片の長さ方向を3等分する位置(すなわち長さ方向の端部から50mmの位置)に、試験片の長さ方向に垂直な標線を2箇所引き試験片の重量(W)を測定した。次いで、試験片を蒸留水に10分間以上浸漬し、取り出してから、速やかにシリコン疑似皮膚(ビューラックス製)に貼り付け、試験片の長さ方向が鉛直線の方向と平行となるように静置し、20分放置した。20分経過後、試験片をはさみで標線に沿って、3等分に裁断し、鉛直方向上側に位置した試験片の重量を測定し、W1とした。同様に鉛直方向下側に位置した試験片の重量を測定し、W3とした。
次いで下式により、上下保水率差を求めた。
上下保水率差(%)=((W3−W/3)/(W/3)−(W1―W/3)/(W/3))×100
この操作を6枚の試験片について行い、その平均値を不織布の上下保水率差とした。なお、この上下保水率差がより小さい不織布を用いたフェイスマスクの保水性はより優れたものとなる。
(8)不織布の10%伸長時の応力
JIS L 1913:1998に準じて測定した。幅25mm、長さ150mmの試験片を不織布のタテ方向、およびヨコ方向からそれぞれ5枚ずつ採取した。そして、試験片を蒸留水中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかに定速伸長形引張試験機で測定を行った。つかみ間隔を100mmとし、200mm/minの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加え、試験片が10mm伸長した際の応力を、応力ひずみ曲線から読み取った。得られた試験片のタテ、ヨコ方向各5枚のそれぞれの応力の平均値を計算し、その中で、より小さい方の数値を不織布の10%伸長時の応力とした。
(9)モニター評価
各実施例および比較例で得られた不織布をマスク形に打ち抜き、化粧水(無印良品「化粧水・敏感皮膚用しっとりタイプ」)を、上記の不織布の質量に対しての7倍の質量となるように含浸させてフェイスマスクとし、密着感、柔軟性について女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて、評価した。
A:9〜10点
B:7〜8点
C:5〜6点
D:3〜4点
E:0〜2点。
(10)繊維材質と含有量の測定方法
不織布から50mm×50mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて採取した。次いで試験片から、不織布層Aと不織布層Bをピンセットを用いて剥離させ、上記の不織布層Aと不織布層BはそれぞれJISL1030−1:2006(繊維製品の混用率試験方法-第1部:繊維鑑別)及びJISL1030−2:2005(繊維製品の混用率試験方法-第2部:繊維混用率)記載の試験方法に即して、各不織布層の構成繊維の材質と含有量を測定した。
(実施例1)
(海島構造の複合繊維)
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40質量%)と、重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃で光学純度99.5%以上のポリL乳酸(60質量%)とを別々に計量し、別々に下記詳細の2軸押し出し混練機に供給し、220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
スクリュー形状:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー :直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた
途中3箇所のバックフロー部有り
ベント :2箇所。
得られたポリマーアロイチップを、ステープル用紡糸機の一軸押し出し型溶融装置に供給し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度220℃)、紡糸速度1200m/minとして溶融紡糸を行い、複合繊維を得た。これを合糸した後、スチーム延伸を行い単糸繊度3.0dtexの複合繊維からなるトウを得た。得られた複合繊維の強度は、3.5cN/dtex、伸度45%、U%=1.0%の優れた特性を示した。上記の複合繊維からなるトウに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットし、海島構造の複合繊維を得た。
(ウェブを形成する工程)
上記の海島構造の複合繊維をオプーナ―、カード、ラップ工程を経て、海島構造の複合繊維からなるウェブを形成した。
一方で、単糸繊維の平均直径が15μm、繊維長51mmのナイロン6繊維をオプーナ―、カード、ラップ工程を経て、ナイロン6繊維からなるウェブを形成した。
(不織布前駆体を得る工程)
海島構造の複合繊維からなるウェブを、高圧水流により絡合させ、目付38g/mの不織布層Aの前駆体を得た。
一方で、ナイロン6繊維からなるウェブを、高圧水流により絡合させ、目付40g/mの不織布層Bの前駆体を得た。
得られた不織布層Aの前駆体と不織布層Bの前駆体とを、不織布層Aの前駆体/不織布層Bの前駆体/不織布層Aの前駆体の順で積層し、高圧水流により絡合させ、目付116g/mの不織布前駆体を得た。
(脱海処理により湿潤状態不織布を得る工程)
上記の不織布前駆体に対して、1%の水酸化ナトリウム水溶液で温度95℃、浴比1:40、処理時間40分にて処理することにより、不織布層Aの複合繊維の海成分であるポリL乳酸を脱海し、単糸繊維直径200nmであり、かつナイロン6繊維である第1の単糸繊維を含有する湿潤状態不織布を得た。
(乾燥処理により不織布を得る工程)
上記の湿潤状態不織布の乾燥処理工程において、乾燥温度130℃で乾燥処理し、表面層である不織布層Aに第1の単糸繊維である、単糸繊維直径が200nmのナイロン6繊維からなる目付15g/mの不織布層A、中間層に第2の単糸繊維である、単糸繊維直径が15μmのナイロン6繊維からなる目付40g/mの不織布層Bを有する目付70g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表1にまとめた。この不織布は、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布中のバンドル状態繊維の幅が大きいため、不織布の10%伸長時の応力がやや高かった。モニター評価を行ったところ、密着感が良好であるが、柔軟性にやや劣る結果であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例2)
実施例1の不織布層Aの目付を7g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表1にまとめた。この不織布は、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さいため、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差も良好であった。
(実施例3)
実施例2の不織布層Aが有する第1の単糸繊維に替えて単糸繊維直径が800nmの第1の単糸繊維を用いたこと以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表1にまとめた。この不織布は、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が高かった、不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さいため、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が比較的良好であった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例4)
実施例2の乾燥温度を150℃に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布お用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表1にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高いが、乾燥温度が高いため、バンドル状態繊維の幅が大きくなり、不織布の10%伸長時の応力がやや高かった。モニター評価を行ったところ、密着感は比較的良好であるが、柔軟性がやや劣る結果あった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例5)
実施例2の不織布(不織布層A(表面層)/不織布層B(中間層)/不織布層B(裏面層)の3層積層不織布)を、不織布層Aを表面層とし、不織布層Bを裏面層とする2層積層不織布に変更した以外は実施例2と同様にして、目付47g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表1にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった、不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さいため、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例6)
実施例2の不織布の不織布層Bのナイロン6繊維(第2の単糸繊維)の単糸繊維直径を20μmに変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表2にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さく、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感が良好であり、柔軟性が比較的良好であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例7)
実施例2の不織布の不織布層Bのナイロン6の平均単糸繊維直径を10μmに変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表2にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さく、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例8)
実施例7の乾燥温度を100℃に変更した以外は実施例7と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布は、乾燥温度が低かったため、寸法安定性にやや劣り、不織布に変形が見られた。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表2にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布中のバンドル状態繊維の幅が小さく、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例9)
実施例2の不織布の不織布層Aの構成を50質量%のナノファイバーと50質量%の単糸繊維直径15μmのナイロン6繊維の混綿構成に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表2にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aは混繊であるため、静摩擦係数がやや低かった。不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、柔軟性は良好であるが、密着感にやや劣る結果であったであった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例10)
実施例2の不織布の不織布層Bの構成を60質量%の第2の単糸繊維(単糸繊維直径が15μmのナイロン6繊維)と、その他の繊維として40質量%の単糸繊維直径が9μmのナイロン6繊維との混綿に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表2にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が良好である。
(実施例11)
実施例10の不織布の不織布層Bの構成を80質量%の第2の単糸繊維(単糸繊維直径が15μmのナイロン6繊維)と、その他の繊維として20質量%の単糸繊維直径が9μmのナイロン6繊維との混綿に変更した。その以外は実施例10と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表3にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高かった。不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感と柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(実施例12)
実施例2の不織布の不織布層Aの構成を80質量%のナノファイバーと20質量%の単糸繊維直径15μmのナイロン6繊維との混綿に変更した。その以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表3にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が高かった。不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感が比較的良好であり、柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例13)
実施例2の不織布が有するナノファイバーの素材をポリエチレンテレフタレート(PET)に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表3にまとめた。このフェイスマスクは、静摩擦係数が高く、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感が良好であり、柔軟性が比較的良好であった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例14)
実施例2の不織布の不織布層Aの目付を5g/mに変更した以外は実施例2と同様にして、目付50g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表3にまとめた。このフェイスマスクは、静摩擦係数が高く、不織布の10%伸長時の応力が低かった。モニター評価を行ったところ、密着感が比較的良好であり、柔軟性が良好であった。この他、不織布の上下保水率差が比較的良好であった。
(実施例15)
実施例2の不織布の不織布層Aの目付を20g/mに変更した以外は実施例2と同様にして、目付80g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表3にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が非常に高いが、バンドル状態繊維の幅が大きくなり、不織布の10%伸長時の応力が高かった。モニター評価を行ったところ、密着感が比較的良好であるが、柔軟性に劣る結果であった。この他、不織布の上下保水率差が良好であった。
(比較例1)
実施例2の乾燥温度を160℃に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例の不織布の物性と、この不織布を用いたフェイスマスクのモニター評価結果を表4にまとめた。このフェイスマスクは、表面層Aのナノファイバーにより、静摩擦係数が高いが、乾燥処理温度が高いため、バンドル状態繊維の幅が大きくなり、不織布の10%伸長時の応力が高かった。モニター評価を行ったところ、柔軟性に劣り、密着感にやや劣る結果であった。
(比較例2)
平均単糸繊維直径15μmのレーヨン繊維をオプーナ―、カード、ラップ工程を経て、レーヨンからなるウェブを形成した。
一方で、単糸繊維の平均直径が15μm、繊維長51mmのナイロン6繊維をオプーナ―、カード、ラップ工程を経て、ナイロン6繊維からなるウェブを形成した。
レーヨン繊維からなるウェブを、高圧水流により絡合させ、目付7g/mの不織布層Aを得た。
一方で、ナイロン6繊維からなるウェブを、高圧水流により絡合させ、目付40g/mの不織布層Bを得た。
前記で得られた不織布層Aと不織布層Bとを、不織布層A/不織布層B/不織布層Aの順で積層し、高圧水流により絡合させ、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例のフェイスマスクのモニター評価結果を表4にまとめた。このフェイスマスクは、不織布の10%伸長時の応力とモニター評価の柔軟性が比較的良好であるが、静摩擦係数が低く、モニター評価の密着感に劣る結果であった。その他、上下保水率差にも劣るものであった。
(比較例3)
実施例2の不織布の不織布層Aに含まれる単糸繊維直径が200nmの第1の単糸繊維を単糸繊維直径が1000nmのナイロン6繊維に変更した以外は実施例2と同様にして、目付54g/mの不織布を得た。
この不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例の不織布の物性とフェイスマスクのモニター評価結果を表4にまとめた。このフェイスマスクは、上下保水率差が比較的良好であるが、静摩擦係数が低く、モニター評価の柔軟性がやや劣り、密着感に劣る結果であった。
Figure 2021050453
Figure 2021050453
Figure 2021050453
Figure 2021050453
本発明の不織布は、柔軟性と密着性に優れることから、フェイスマスクとして特に好適に使用できる。

Claims (8)

  1. バンドル状態繊維を含有し、
    前記バンドル状態繊維のバンドル幅は、400μm以下であり、
    前記バンドル状態繊維は、第1の単糸繊維を含有し、
    前記第1の単糸繊維の単糸繊維直径は、100〜800nmである、不織布。
  2. 不織布層Aと不織布層Bとの積層構造を有し、
    前記不織布層Aは、前記第1の単糸繊維を前記不織布層A全体に対し50質量%以上含有し、前記不織布層Bは、第2の単糸繊維を前記不織布層Bの全質量に対し60質量%以上含有し、前記第2の単糸繊維の単糸繊維直径が、10〜20μmである、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記不織布層Aが、ナイロン6繊維のみから構成され、
    前記不織布層Bが、ナイロン6繊維のみから構成される、請求項2に記載の不織布。
  4. 前記不織布層Aの目付が、5〜15g/mである、請求項2または3に記載の不織布。
  5. 前記第1の単糸繊維が、ナイロン6繊維またはポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項1に記載の不織布。
  6. 前記不織布の10%伸長時の応力 が、0.1〜1.0N/cmである、請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の不織布の製造方法であって、
    海島構造の複合繊維を含有するウェブを形成する工程と、
    前記ウェブに開繊処理および交絡処理をこの順に施し不織布前駆体を得る工程と、
    前記不織布前駆体に脱海処理を施し湿潤状態不織布を得る工程と、
    前記湿潤状態不織布に乾燥処理を施し不織布を得る工程とを、この順に有し、
    前記乾燥処理における乾燥温度が100〜150℃である、不織布の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の不織布を用いた、スキンケア用品。
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