JP2017177655A - フィルム積層不織布ならびに、このフィルム積層不織布を用いたフェイスマスクおよびクレンジングシート - Google Patents

フィルム積層不織布ならびに、このフィルム積層不織布を用いたフェイスマスクおよびクレンジングシート Download PDF

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久美 小山
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Hiroshi Kajiyama
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Abstract

【課題】
本発明は、薬液の空気中への揮発を抑制し、肌への追従性に優れたフィルム積層不織布を提供することを課題とする。
【解決手段】
不織布層(A)とフィルム層(B)とを有するフィルム積層不織布であって、前記フィルム層(B)の水蒸気透過率が50g/m・day以下である、フィルム積層不織布。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム積層不織布ならびに、このフィルム積層不織布を用いたフェイスマスクおよびクレンジングシートに関する。
フェイスマスクに代表されるシート状のスキンケア化粧品は、不織布に化粧水や乳液などの薬液を含浸させたものであることから、一定の時間、肌の表面において薬液を保持できるため、薬液を肌に直接塗布する従来のスキンケア方法に比べ、薬液を充分に肌へ浸透させることができる。このため、美白、保湿、アンチエイジングなどのスキンケア化粧品として様々な商品が提案されている。
最近では、高分子フィルムと不織布または織布とを積層することで、伸縮性、バリア性及び密封性に優れた外用貼付剤が提案されている(特許文献1)。
また、皮膚に二酸化炭素を供給し、その血行促進効果により化粧効果を得る目的で、二酸化炭素難透過性フィルムと不織布とを積層した積層シートが提案されている(特許文献2)。
さらに、肌への密着性と薬液の保液性とに優れたものとするため、皮膚と接触する側の最外層に数平均繊維径1〜8μmの繊維からなる密着層を配し、さらに密着層が配されている側とは反対側の最外層に非多孔性フィルムを配し空気中への薬液の放出を抑制した積層シートが提案されている(特許文献3)。
特開平8−104622号公報 特開2006−28158号公報 国際公開2011/004834号公報
上記の特許文献1に開示された外用貼付剤は、高分子フィルムの水蒸気透過率に関する明確な規定が無く、水蒸気透過率が高いフィルムを用いた場合には薬液が空気中に揮発し薬液の保持性が低下する課題がある。
また特許文献2に開示された積層シートは、皮膚に二酸化炭素を供給させるために、この積層シートに用いられるフィルムの二酸化炭素難透過性を評価しているが、一般的には二酸化炭素透過性の小さな材料は透湿度が高くなるため、薬液の空気中への揮発を抑制するのに不十分となる傾向がある。
さらに特許文献3に開示された積層シートは、非多孔性フィルムを最外層に用いているものの、この非多孔性フィルムの水蒸気透過率に関する明確な規定が無く、水蒸気透過率が高いフィルムを用いた場合には薬液が空気中に揮発し薬液の保持性が低下する課題がある。
そこで、本発明は、フェイスマスクおよびクレンジングシートの特性として重要とされる、薬液の空気中への揮発が十分に抑制されたフィルム積層不織布を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)不織布層(A)とフィルム層(B)とを有するフィルム積層不織布であって、前記フィルム層(B)の水蒸気透過率が50g/m・day以下ある、フィルム積層不織布。
(2)前記不織布層(A)が、単繊維直径100〜800nmのナノファイバーを含み、前記単繊維直径100〜800nmのナノファイバーの含有量が前記不織布層(A)の全質量に対して40質量%以上である、(1)に記載のフィルム積層不織布。
(3)前記不織布層(A)が、前記フィルム積層不織布の少なくとも一方の面側の最外層に配置された、(2)に記載のフィルム積層不織布。
(4)前記不織布層(A)と前記フィルム層(B)との間に不織布層(C)を有し、前記不織布層(C)が単繊維直径4〜100μmの繊維を含み、前記単繊維直径4〜100μmの繊維の含有量が前記不織布層(C)の全質量に対して60質量%以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム積層不織布。 (5)湿潤状態における10%伸長時の応力が80N/50mm以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム積層不織布。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム積層不織布を用いた、フェイスマスク。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム積層不織布を用いた、クレンジングシート。
本発明によれば、薬液の空気中への揮発が十分に抑制されたフェイスマスクやクレンジングシートおよび、これらに好適に用いられるフィルム積層不織布が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明のフィルム積層不織布は、不織布層(A)とフィルム層(B)を有し、前記フィルム層(B)は、水蒸気透過率が50g/m・day以下であることが必要である。前記範囲の水蒸気透過率のフィルム層を有することで、フィルム積層不織布に含まれる薬液が空気中へ揮発することを抑制できるため、装着時のフィルム積層不織布の薬液保持率が向上する。この結果、このフィルム積層不織布をフェイスマスクとして用いた場合には、肌への薬液の移行量が特に向上し、フェイスマスクとしての機能を向上できる。
また、上記フィルム層(B)の水蒸気透過率は、50g/m・day以下であることにより、薬液の空気中への揮発が効果的に抑制される。フェイスマスクなどに用いられる不織布に含浸される薬液は、一般的には80質量%の水や10質量%のアルコール、数質量%のグリセリンとの混合液が使用されている。本発明者らは前記の薬液の揮発を抑制するために鋭意検討した結果、水蒸気透過率が50g/m・day以下のフィルムをフィルム積層不織布に用いることにより、薬液保持の効果が十分に発揮できることを見出した。上記の観点から、フィルムの水蒸気透過率は30g/m・day以下であることが好ましく、20g/m・day以下であることがより好ましい。尚、本発明のフィルムの水蒸気透過率は、JIS K 7126:2006 差圧法に基づき測定できる。また、フィルム層(B)の素材の選定や厚みの調整などにより、フィルム層(B)の水蒸気透過率を上記の範囲内において所望のものとすることができる。
本発明の水蒸気透過率が50g/m・day以下であるフィルムの素材としては、ポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、またはこれらの積層物が使用できる。また、アルミニウム蒸着フィルム等、各種蒸着フィルムや多層フィルムも使用できる。これらの中でも、薬液の空気中への揮発を抑制できる点、および後述の肌への追従性の点で、ポリオレフィン樹脂からなるフィルムが好ましく使用できる。さらに、フィルム層(B)の柔軟性やしなやかさの実効が得られるという観点から、ポリオレフィン樹脂としては、一般的な低密度ポリエチレンや、プロピレンと少量のプロピレン以外のα−オレフィンを共重合したランダムポリプロピレン等が好適に用いられる。また、柔軟性やしなやかさの点で、ポリ塩化ビニリデンも好適に用いられる。
本発明のフィルム層(B)の厚みはフィルム積層不織布のしなやかさを優れたものとするとの観点から、0.1〜70μmが好ましく、その上限は40μm以下であることがより好ましい。上記の厚みのフィルム層(B)をフィルム積層不織布に用いることで、特に、このフィルム積層不織布をフェイスマスクとした際に、このフェイスマスクの追従性が向上する。
本発明のフィルム積層不織布は、その構成要素として不織布層(A)を有し、不織布層(A)を有することにより、薬液を保持することが可能となる。上記のフィルム層(B)と上記の不織布層(A)を積層したフィルム積層不織布とすることにより、薬液を含浸させたフィルム積層不織布を、このフィルム積層不織布の不織布層(A)が人体の肌表面と接するように使用した場合に、この不織布層(A)と肌表面との間で長時間にわたり薬液を保持することができる。不織布層(A)の素材としては、ポリアミド繊維やポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維、パルプや絹、綿、レーヨン等の天然繊維が挙げられる。また、これらの構成としては、上記繊維を単独で用いても良いし、混綿としても良い。さらに、いずれかを組み合わせた分割割繊繊維でも良い。
不織布層(A)は、短繊維直径4〜100μmの繊維を有することが好ましい。上記繊維の単繊維直径を4μm以上とすることで、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、このフェイスマスクやクレンジングシートは必要な強度が得られる。一方、単繊維直径が100μm以下とすることで、繊維が剛直となることを防ぎ、使用時の硬さによる不快感を抑制し、フィルム積層不織布のしなやかさが得られる。上記の観点から、不織布層(A)の単繊維直径の下限は、5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることが更に好ましい。一方で、その上限は30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
また、本発明のフィルム積層不織布は、フェイスマスクとした場合に、後述する密着性の観点から、不織布層(A)にナノファイバーを含むことが好ましい。これにより、ナノファイバーと、上記の単繊維直径が4〜100μmの繊維(例えば、ポリアミド繊維やポリエステル繊維およびポリオレフィン繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維など)の混綿でも良い。これらの中でも単繊維直径が4〜100μmのポリアミド繊維とナノファイバーとの混繊構成が密着性を高める上で好ましい。ポリアミド繊維は吸水性の繊維であることから、前記の繊維を肌側に配することで、肌と不織布層(A)との間に存在する余分な水分を吸収することができ、密着性が向上する。ここで、ナノファイバーとは、単繊維直径が1000nm未満の繊維をいう。
本発明で用いるナノファイバーの素材としては、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができるが、これらの中でも、上記の密着性を高める点で、ポリアミド樹脂からなるナノファイバーであることが好ましい。尚、これらの熱可塑性樹脂には、他の成分が重合されていても良いし、安定剤などの添加物を含有していても良い。
ポリアミド繊維、または、ポリアミドナノファイバーを構成するポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、各種のアラミド樹脂を用いることができるが、これらの中でも吸水性の良好なナイロン6が好ましく用いられる。
また、上記のナノファイバーの単繊維直径は100〜800nmであることが好ましい。ナノファイバー層の単繊維直径を100nm以上とすることで、フィルム積層不織布の使用時にナノファイバーが脱落し皮膚へ残留することを抑制できる。一方、単繊維直径を800nm以下とすることで、皮膚と繊維表面との接触面積が増大し、肌とフィルム積層不織布との摩擦係数が向上するため、フィルム積層不織布が皮膚表面で滑ることが抑制され、装着時の密着性の実効が得られる。また、上記の密着性を高めることで、肌と不織布層(A)との剥がれが抑制でき、結果的に肌への薬液の移行量が向上、特に、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、このフェイスマスクの機能が向上できる。上記の観点から、ナノファイバーの単繊維直径の上限は、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが更に好ましい。
また上記のナノファイバーを、不織布層(A)の全質量に対して40質量%以上の範囲内で含むことにより、上記の密着性の実効が得られるため好ましい。上記の観点から、ナノファイバーを不織布層(A)の全質量に対して、70質量%以上含むことが好ましく、85質量%以上含むことがより好ましく、更に好ましくは、ナノファイバーのみで構成された不織布層(A)を有することである。
また、上記のナノファイバーは、単繊維が個々に分散したもの、単繊維が部分的に結合したもの、複数の単繊維が凝集した集合体などの形態を有するものであって良い。すなわち、その長短や断面形状などに依らず、いわゆる繊維状の形態であれば良い。
本発明の不織布層(A)の目付は、15〜140g/mであることが好ましく、この下限は、20g/m以上であることがより好ましい。一方で、この上限は、110g/m以下であることがより好ましく、70g/m以下であることがさらに好ましい。目付を15g/m以上とすることで、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、このフェイスマスクやクレンジングシートは必要な強度が得られる。一方、目付を140g/m以下とすることで、薬液を吸収した際の特に、フィルム積層不織布全質量の増加による、密着性の低下(剥がれ)を抑制できる。
また、後述の不織布層(C)が不織布層(A)とフィルム層(B)との間に配された形態であることが好ましい。フィルム積層不織布が不織布層(C)を有する場合、不織布層(A)の目付は、3〜40g/mであることが好ましく、この下限は、5g/m以上であることがより好ましい。一方で、この上限は、25g/m以下であることがより好ましく、15g/m以下であることがさらに好ましい。目付を3g/m以上とすることで、密着性の実効が得られやすい。一方、目付を40g/m以下とすることで、後述の製造工程で発生する易溶性ポリマーの製造ロスを削減できる。
上記の不織布層(C)は、単繊維直径4〜100μmの繊維を全質量に対して60質量%以上含むことが好ましい。上記範囲の単繊維直径の繊維を含む不織布層(C)を、不織布層(A)とフィルム層(B)との間に配することで、フィルム積層不織布の形態安定性が向上し、特に本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、装着時のフィルム積層不織布の変形を抑制できる。また、以下の観点により、上記の形態(例えば、不織布層(A)、不織布層(C)およびフィルム層(B)をこの順に有するフィルム積層不織布)は、不織布層(A)がナノファイバーを含む場合には特に好ましい。また、フィルム積層不織布の肌に接する面側の最外層にナノファイバーを含む不織布層(A)を配し、この不織布層(A)の肌に接する面の反対側の面に不織布層(C)を配する構成とすることにより、ナノファイバーによる毛細管効果で、不織布層(C)に含まれる薬液がナノファイバーを含む不織布層(A)に吸い寄せられ、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、肌への薬液の移行量が向上する。また、より空気側に近い不織布層(C)に含まれる薬液がナノファイバーを含む不織布層(A)に移行することで、薬液の揮発を抑制できる。
上記不織布層(C)の単繊維直径を4μm以上とすることで、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、このフェイスマスクやクレンジングシートは必要な強度が得られる。一方、単繊維直径が100μm以下とすることで、繊維が剛直となることを防ぎ、使用時の硬さによる不快感を抑制し、フィルム積層不織布のしなやかさが得られる。上記の観点から、不織布層(C)の単繊維直径の下限は、5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることが更に好ましい。一方で、その上限は30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
また、不織布層(C)の素材は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維、パルプや絹、綿、レーヨン等の天然繊維を使用することができるが、これらの中でも、上記の強度を高める点で、ポリエステル繊維であることが好ましい。ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸等が挙げられる。これらの中でも、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の不織布層(C)の目付は、15〜100g/mであることが好ましく、この下限は、20g/m以上であることがより好ましい。一方で、この上限は、80g/m以下であることがより好ましく、60g/m以下であることがさらに好ましい。目付を15g/m以上とすることで、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、このフェイスマスクやクレンジングシートは必要な強度が得られる。一方、目付を100g/m以下とすることで、不織布層(A)と積層して薬液を吸収させた際の、フィルム積層不織布全質量の増加を抑制し、密着性が低下(剥離)することを抑制できる。
本発明のフィルム積層不織布は、その10%伸長時の応力が、80N/50mm以下であることにより、顔面への追従性が得られる。より好ましくは、60N/50mm以下であり、さらに好ましくは40N/50mm以下であり、特に好ましくは20N/50mm以下である。本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、平面のフェイスマスクを立体の顔面へ装着する過程で、フィルム積層不織布に部分的に伸びが発生する。フィルム積層不織布の10%伸長時の応力を、80N/50mm以下とすることにより、このフェイスマスクは皮膚への追従性に優れたものとなる。尚、上記フィルム積層不織布の伸長応力は、JIS L 1913に基づき、定速伸長形引張試験機により、フィルム積層不織布を初期の長さの10%伸長させた際の応力を読み取ることにより測定できる。
本発明のフィルム積層不織布は、フィルム層(B)を有することで、薬液の空気中への揮発が抑制される。これにより、薬液保持率が向上し、フィルム積層不織布の乾燥が低減できるため、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、このフェイスマスクは、特に一般的なフェイスマスクの使用時間である20分経過後も薬液が不織布の層に保持され、結果的に、このフィルム積層不織布の肌への密着性が優れたものとなる。上記の薬液保持率を評価する手法としては、化粧水を含浸させたフィルム積層不織布を擬似皮膚上に上載し、フィルム積層不織布が保持する初期の化粧水質量と、20分後の化粧水質量とを用いて評価することができる。密着性を長時間維持する観点から、20分後のフィルム積層不織布の薬液保持率は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また、本発明のフィルム積層不織布は、フィルム層(B)を有することで、薬液の空気中への揮発が抑制される。さらに、肌側にナノファイバーを含む不織布層(A)を配し、不織布層(A)とフィルム層(B)との間に不織布層(C)を配する構成とすることにより、ナノファイバーによる毛細管効果で、不織布層(C)に含まれる薬液がナノファイバーを含む不織布層(A)側に吸い寄せられ、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、肌への薬液移行量が向上、結果的に密着性が向上するものである。上記の薬液移行量を評価する手法としては、化粧水を含浸させたフィルム積層不織布を濾紙の上に上載し、10分経過後にフィルム積層不織布から濾紙へ移行した化粧水の質量により評価することができる。密着性の観点から、フィルム積層不織布から皮膚への薬液移行量は、1.0g/10min以上であることが好ましく、より好ましくは1.5g/10min以上、さらに好ましくは2.0g/10min以上である。
本発明のフィルム積層不織布は、不織布層(A)にナノファイバーを含む場合、ナノファイバーが肌表面の細かな凹凸まで入り込むことで、皮膚と繊維表面との接触面積が増大し、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、肌とフィルム積層不織布との摩擦係数が向上、フィルム積層不織布が皮膚表面で滑ることを抑制し、結果的に密着性が向上するものである。上記の摩擦係数を評価する手法としては、JIS P8147:1994 3.2傾斜方法に準じて、蒸留水を含浸させた際の静摩擦係数により評価することができる。密着性の観点から、フィルム積層不織布の不織布層(A)と皮膚との間の静摩擦係数は、0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.0以上である。
また、本発明のフィルム積層不織布は、フィルム層(B)を有することで、薬液の空気中への揮発が抑制される。これにより、上記の薬液保持率が向上し、フィルム積層不織布の乾燥が低減できるため、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、装着して20分経過後の密着感を高めることができる。
さらに、不織布層(A)にナノファイバーを含むことで、その吸盤吸着効果により、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクとした場合に、初期の(装着直後の)密着力を向上させることができる。この密着力を評価する手法としては、蒸留水を含浸させたフィルム積層不織布を人工皮膚の上に上載し、これを吊り上げる際の密着力により評価することができる。上記手法で測定したフィルム積層不織布と皮膚との間の密着力については、装着時の密着感の観点から、0.5N以上が好ましく、特に好ましくは0.7N以上であり、さらに好ましくは、0.9N以上である。
ここで、本発明のフィルム積層不織布が有する不織布層(A)または不織布層(C)はスパンレース不織布であることが好ましい。スパンレース不織布は高圧水流により構成繊維を絡合させる方法により得られるが、この方法は、ニードルパンチにより構成繊維を絡合させる方法に比べ、不織布の風合いが柔らかくなり、本発明のフィルム積層不織布をフェイスマスクやクレンジングシートとした場合に、このフェイスマスクやクレンジングシートは好適に使用できる。
本発明のナノファイバーを得るための方法としては、既知の方法(例えば、特開2007―70347号公報に開示された方法)を採用することができる。
なお、不織布層(A)、および不織布層(C)は、それぞれ単独で高圧水流により絡合させた後に、上記の不織布層(A)と不織布層(C)を積層して、高圧水流により一体化させ積層不織布としても良いし、カーディング工程を経た後の(絡合前の)不織布層(A)のウェブと、不織布層(C)のウェブを積層し、高圧水流により絡合、一体化させ、積層不織布としても良い。
本発明の不織布層(A)または不織布層(C)と、フィルム層(B)を一体化させる方法としては、周知のパウダー加工やスプレー加工、コーティング加工によりフィルム層へ接着剤を塗布した後に、不織布層(A)または、不織布層(C)と貼り合わせ、加熱処理により接着剤を溶融させて接着させる方法や、ホットメルト接着剤をフィルム層に塗布した後に不織布層(A)または、不織布層(C)と貼り合わせ接着させる方法や、押し出しラミネート法によりフィルム層(B)を不織布層(A)または、不織布層(C)の上面に直接押し出して接着させる方法が適用できる。
上記のフィルム積層不織布は、フェイスマスクの形に打ち抜き加工を行い、化粧水や乳液などの化粧料あるいはクレンジング剤を含浸させ、フェイスマスクまたはクレンジングシートとして使用される。
本実施例で用いた測定法を後述する。
(1)ナノファイバー以外の繊維の単繊維直径
フィルム積層不織布を上記フィルム積層不織布の面に垂直に切断し、このフィルム積層不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt−Pd(白金−パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この薄切片に含まれる不織布層(A)または不織布層(C)の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察し、この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影、ナノファイバー以外の繊維(単繊維直径が1000nm以上の繊維)の単繊維直径を測定した。尚、ナノファイバー以外の繊維が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、不織布層(A)または不織布層(C)の繊維の単繊維直径とした。
(2)ナノファイバーの単繊維直径
上記のSEM観察において、不織布層(A)または不織布層(C)にナノファイバー(単繊維直径が1000nm未満の繊維)が含まれる場合は、下記の方法でナノファイバーの単繊維直径を求めた。フィルム積層不織布の試料をエポキシ樹脂で包埋し包埋体を得た。次に、この包埋体から薄切片を切り出し、この薄切片に含まれる不織布層(A)または不織布層(C)の部分を透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所社製H−7100FA型)で観察し、倍率10,000倍の断面写真を撮影した。次に、この断面写真について画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、同一写真内でお互いに隣接する30本ずつのナノファイバーの群を無作為に10箇所抽出し、計300本のナノファイバーの単繊維直径を測定した。尚、ナノファイバーが異形断面形状の場合は、断面写真から断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、ナノファイバーの単繊維直径とした。
(3)目付
JIS L 1913:1998 6.2に基づいて測定した。
試料から300mm×300mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
ms=m/S
ここに、ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:試験片の平均重量(g)
S:試験片の面積(m)。
(4)化粧水の質量保持率
温度20℃×湿度60%RHの雰囲気下で24hr調湿した試料から、幅25mm、長さ25mmの試験片(不織布層(A)およびフィルム層(B)、不織布層(C)を有するフィルム積層不織布)を5枚採取した。次いでこの試験片の質量(g)を測定した。また、シリコン疑似皮膚(ビューラックス製、サイズ:φ50mm)の質量(g)を測定した。試験片をこのシリコン疑似皮膚に上載し、化粧水(無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」)を、試験片の質量に対しての7倍の質量となるように含浸させ、この状態で試験片とシリコン疑似皮膚と化粧水の初期の合計質量(g)を測定し、温度20℃×湿度60%RHの恒温恒湿槽に投入した。20分後に上記のサンプルを取り出し、試験片とシリコン疑似皮膚と化粧水の20分後の合計質量(g)を測定し、下式により薬液保持率(%)を算出した。測定は5枚行い平均値を算出した
初期の化粧水質量(g)=初期の合計質量(g)−シリコン疑似皮膚の質量(g)−試験片の質量(g)
20分後の化粧水質量=20分後の合計質量(g)−シリコン疑似皮膚の質量(g)−試験片の質量(g)
化粧水の質量保持率(%)=20分後の化粧水質量(g)/初期の化粧水質量(g)×100。
(5)薬液移行量
温度20℃×湿度60%RHの雰囲気下で24hr調湿した試料から、幅75mm、長さ75mmの試験片(不織布層(A)およびフィルム層(B)、不織布層(C)を有するフィルム積層不織布)を5枚採取した。次いでこの試験片の質量(g)を測定した。次いで、化粧水(無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」)を、試験片の質量に対しての7倍の質量となるように秤量し、試験片とともにチャック付ポリ袋(株式会社セイニチ製、サイズ:チャック下120mm、袋巾85mm)の中に入れ、試験片に対して概ね均一に化粧水を含浸させた。濾紙(ADVANTEC FILTER PAPER GLADE2、サイズ:φ150mm、温度20℃×湿度60%RHの雰囲気下で24hr調湿したもの)を5枚重ねて質量を測定した(濾紙質量A)。濾紙を肌に見立て、化粧水を含浸させた試験片を濾紙の上に静置し、10分間放置した後、濾紙上から試験片を取り除き、濾紙の質量を求めた(濾紙質量B)。試験片から濾紙へ移行した化粧水の質量から、下式にて薬液移行量を求めた
薬液移行量(g)=濾紙質量B−濾紙質量A
(6)湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力
JIS L 1913:1998 6.3.2に準じて測定した。幅50mm、長さ250mmの試験片(不織布層(A)およびフィルム層(B)、不織布層(C)を有するフィルム積層不織布)を、試験片の長さ方向が、本発明のフィルム積層不織布が有する不織布層(A)の製造装置の進行方向と、それと垂直な方向となるように、フィルム積層不織布から切り出し、試験片をそれぞれの方向に対して5枚用意した。そして、これらの試験片を20℃の蒸留水中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかに定速伸長形引張試験機に試験片を取り付けて測定を行った。つかみ間隔を100mmとし、200mm/minの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加え、試験片が10mm伸長した際の応力を、応力ひずみ曲線から読み取った。得られた試験片各5枚のそれぞれの応力の平均値のうち、低い方の値を湿潤状態のフィルム積層不織布の10%伸長応力とした。
(7)静摩擦係数
JIS P8147:1994 3.2傾斜方法に準じて測定した。幅30mm、長さ130mmの試験片(不織布層(A)およびフィルム層(B)、不織布層(C)を有するフィルム積層不織布)を10枚用意した。次に、これらの10枚の試験片のうち5枚の試験片については、本発明のフィルム積層不織布が有する不織布層(A)の製造装置の進行方向の静摩擦係数の評価に供し、これらの10枚の試験片のうち5枚の試験片については、前記不織布層(A)の製造装置の進行方向と垂直な方向の静摩擦係数の評価に供した。具体的に、前記進行方向の評価については、試験片を20℃の蒸留水中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかに滑り傾斜角測定装置の重りに取り付けた。一方、シリコン疑似皮膚(ビューラックス製)を滑り傾斜角測定装置に取り付け、試験片を取り付けた重りを試験片の測定面がシリコン疑似皮膚に接触するように、かつ、試験片の前記進行方向と滑り傾斜角測定装置の滑り方向とが一致するように疑似皮膚上に上載し、傾け角度3°/秒未満の条件で、重りが落下したときの傾斜角を読み取り、前記傾斜角の正接(tanθ)を静摩擦係数とした。また、前記進行方向と垂直な方向の評価については、試験片を20℃の蒸留水中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかに滑り傾斜角測定装置の重りに取り付けた。一方、シリコン疑似皮膚(ビューラックス製)を滑り傾斜角測定装置に取り付け、試験片を取り付けた重りを試験片の測定面がシリコン疑似皮膚に接触するように、かつ、試験片の前記進行方向と垂直な方向と滑り傾斜角測定装置の滑り方向とが一致するように疑似皮膚上に上載し、傾け角度3°/秒未満の条件で、重りが落下したときの傾斜角を読み取り、前記傾斜角の正接(tanθ)を静摩擦係数とした。得られた10枚の試験片の静摩擦係数の平均を本発明のフィルム積層不織布の静摩擦係数とした。
(8)密着力
幅60mm、長さ60mmの試験片(不織布層(A)およびフィルム層(B)、不織布層(C)を有するフィルム積層不織布)を10枚採取した。この試験片の中心(対角線の交点)に縫い糸を貫通させ、周長が300mmのリング状となるように縫い糸の端部を結んだ。この試験片を20℃の蒸留水中に10分間以上浸漬し、取り出してから速やかにシリコン疑似皮膚(ビューラックス製)の上に、試験片の不織布層(A)の面とシリコン擬似皮膚が接するように上載し、上記の縫い糸が疑似皮膚に対して垂直となるように定速伸長形引張試験機のチャックで縫い糸を掴んだ。この時の疑似皮膚とチャックの間隔は100mmとなるように調整した。次いで、100mm/minの引張速度で、試験片の全面積が疑似皮膚から剥離するまで荷重を加え、この時の最大応力を、応力ひずみ曲線から読み取った。測定は10枚行い平均値を算出した。
(9)モニター評価
各実施例および比較例で得られたフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成し、化粧水(無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」)を、このフェイスマスクの質量に対しての7倍の質量となるように含浸させ、追従感、および、着用してから20分経過した後の密着感について女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。
A:9〜10点
B:7〜8点
C:5〜6点
D:3〜4点
E:0〜2点。
(10)フィルム層(C)の水蒸気透過率
JIS K 7126:2006 差圧法に準じて測定した。
(実施例1)
(不織布層(A))
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる単繊維直径が14μmでカット長51mmの短繊維を、カードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブを、圧力:3MPa、速度1.0m/minの条件で高圧水流により絡合させ、50g/mの不織布層(A)を得た。
(フィルム層(B))
アルミ蒸着フィルムとして、ポリエチレン層(厚み30μm)、アルミ蒸着層、ポリエチレンテレフタレート層(厚み40μm)の3層構造のアルミ蒸着フィルムを用意した。このアルミ蒸着フィルム(総厚み70μm)の水蒸気透過率は0.035g/m・dayであった。
(フィルム積層不織布)
パウダー接着剤(EVA;エチレン酢酸ビニルコポリマー、融点;89℃)をフィルム層(B)に散布した後、不織布層(A)と積層し、表面温度が100℃の金属ロールとペーパーロールとの間で圧延しカレンダー加工して、フィルム積層不織布を得た。
さらに、このフィルム積層用不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率が高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力も高いものであった。モニター評価を行ったところ、追従性および20分後の密着感は、共に良好であった。
(実施例2)
(不織布層(A))
実施例1と同様にして、50g/mの不織布層(A)を得た。
(フィルム層(B))
厚み10μm、水蒸気透過率12g/m・dayのポリ塩化ビニリデン(PVDC)製フィルムを用意した。
(フィルム積層不織布)
実施例1と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であり、20分後の密着感も良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布に用いたフィルム層(B)の種類および厚みの影響によるものであると考察する。
(実施例3)
実施例2の不織布層(A)をナイロン6(N6)からなる単繊維直径が14μmでカット長51mmの短繊維に変更した以外は実施例2と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であり、20分後の密着感も良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布と同様の理由によるものと考えられる。
(実施例4)
(ポリマーアロイ繊維)
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40質量%)と、重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃で光学純度99.5%以上のポリL乳酸(60質量%)とを別々に計量し、別々に下記詳細の2軸押し出し混練機に供給し、220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
スクリュー形状:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー :直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた
途中3箇所のバックフロー部有り
ベント :2箇所。
得られたポリマーアロイチップを、ステープル用紡糸機の一軸押し出し型溶融装置に供給し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度220℃)、紡糸速度1200m/minとして溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ繊維を得た。これを合糸した後、スチーム延伸を行い単糸繊度3.0dtexのポリマーアロイ繊維からなるトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維の強度は、3.5cN/dtex、伸度45%、U%=1.0%の優れた特性を示した。
(捲縮・カット工程)
上記ポリマーアロイ繊維からなるトウに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットした。
(不織布層(A))
ナイロン6(N6)からなる単繊維直径が14μmでカット長51mmの短繊維を用意した。このN6短繊維と上記のポリマーアロイ短繊維とを、脱海後のナノファイバー(NF)含有量が不織布層(A)の30質量%となるようにN6短繊維48質量%、ポリマーアロイ繊維52質量%の比率でカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブを、圧力:3MPa、速度1.0m/minの条件で高圧水流により絡合させ、14.5g/mの不織布を得た。前記不織布に対して、1%水酸化ナトリウム水溶液で温度95℃、浴比1:40、処理時間40分にて処理することにより、ポリ乳酸を脱海し、N6ナノファイバーとN6短繊維からなる目付10g/mの不織布層(A)を得た。不織布層(A)に含まれるナノファイバーの単繊維直径は150nmであった。
(不織布層(C))
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる単繊維直径が14μmでカット長51mmの短繊維を、カードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブを、圧力:3MPa、速度1.0m/minの条件で高圧水流により絡合させ、40g/mの不織布層(C)を得た。
(フィルム層(B))
実施例2と同様にして、フィルム層(B)を得た。
(フィルム積層不織布)
上記で得られた不織布層(A)と不織布層(C)とを積層し、さらに圧力:10MPa、速度1.0m/minの条件で高圧水流により絡合させ、目付50g/mの積層不織布を得た。
次に、パウダー接着剤(EVA;エチレン酢酸ビニルコポリマー、融点;89℃)をフィルム層(B)に散布した後、不織布層(A)と積層し、表面温度が100℃の金属ロールとペーパーロールとの間で圧延しカレンダー加工して、フィルム積層不織布を得た。
さらに、このフィルム積層用不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であり、20分後の密着感も良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布と同様の理由であると考察する。
(実施例5)
実施例4の不織布層(A)のNF含有量を50質量%に変更した以外は実施例4と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であり、20分後の密着感も良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布と同様の理由であると考察する。
(実施例6)
実施例4の不織布層(A)のNF含有量を70質量%に変更した以外は実施例4と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であり、20分後の密着感も良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布と同様の理由であると考察する。
(実施例7)
実施例4の不織布層(A)のNF含有量を100質量%に変更した以外は実施例4と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本実施例のフィルム積層不織布の特徴を表1および2にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率は高く、湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力は低かった。モニター評価を行ったところ、追従感と20分後の密着感がともに極めて良好であった。ここで、追従感が極めて良好な結果となったのは、実施例2のフィルム積層不織布と同様の理由であり、20分後の密着感が極めて良好な結果となったのは、実施例7のフィルム積層不織布に用いたフィルム層(B)の水蒸気透過率、実施例7のフィルム積層不織布に用いた不織布層(A)を構成する繊維の素材の吸水性、および実施例7のフィルム積層不織布に用いた不織布層(A)に含まれるナノファイバーの含有量の影響によるものであると考察する。
(比較例1)
実施例1の不織布層(A)に用いたポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維をカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとし、目付50g/mの単層不織布を得た。
次に、この単層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例の単層不織布の特徴を表3および4にまとめた。この単層不織布は、化粧水の質量保持率と静摩擦係数がともに比較的低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であるが、20分後の密着感が極めて劣るものであった。ここで、追従感が極めて良好で、20分後の密着感が極めて劣る結果となったのは、比較例1の単層不織布がフィルム層(B)を有しないことによるものであると考察する。
(比較例2)
単繊維直径が14μmのコットン繊維をカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとし、目付50g/mの単層不織布を得た。
次に、この単層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例の単層不織布の特徴を表3および4にまとめた。この単層不織布は、化粧水の質量保持率と静摩擦係数がともに低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であるが、20分後の密着感に極めて劣るものであった。ここで、追従感が極めて良好で、20分後の密着感が極めて劣る結果となったのは、比較例2の単層不織布がフィルム層(B)を有しないことによるものであると考察する。
(比較例3)
実施例1のフィルム層(B)をポリエチレン(PE)製透湿フィルム(水蒸気透過率:9600g/m・day、厚み12μm)に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム積層不織布を得た。
次に、このフィルム積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例のフィルム積層不織布の特徴を表3および4にまとめた。このフィルム積層不織布は、化粧水の質量保持率と湿潤状体のフィルム積層不織布の10%伸長応力がともに比較的低かった。モニター評価を行ったところ、追従感は良好であるが、20分後の密着感に極めて劣るものであった。20分後の密着感が極めて劣る結果となったのは、比較例3のフィルム積層不織布に用いたフィルム層(B)の水蒸気透過率、比較例3のフィルム積層不織布に用いた不織布層(A)を構成する繊維の素材の吸水性、および比較例3のフィルム積層不織布に用いた不織布層(A)に含まれるナノファイバーの含有量の影響によるものであると考察する。
(比較例4)
実施例7のフィルム層(B)を用いないこと以外は実施例7と同様にして、積層不織布を得た。
次に、この積層不織布をマスク形に打ち抜きフェイスマスクを作成した。また、本比較例の積層不織布の特徴を表3および4にまとめた。この積層不織布は、化粧水の質量保持率は比較的低いが、静摩擦係数は高かった。モニター評価を行ったところ、追従感は極めて良好であるが、20分後の密着感が劣るものであった。ここで、追従感が極めて良好で、20分後の密着感が劣る結果となったのは、比較例4の積層不織布がフィルム層(B)を有しないことによるものであると考察する。
Figure 2017177655
Figure 2017177655
Figure 2017177655
Figure 2017177655

Claims (7)

  1. 不織布層(A)とフィルム層(B)とを有するフィルム積層不織布であって、
    前記フィルム層(B)の水蒸気透過率が50g/m・day以下である、フィルム積層不織布。
  2. 前記不織布層(A)が、単繊維直径100〜800nmのナノファイバーを含み、
    前記単繊維直径100〜800nmのナノファイバーの含有量が前記不織布層(A)の全質量に対して40質量%以上である、請求項1に記載のフィルム積層不織布。
  3. 前記不織布層(A)が、前記フィルム積層不織布の少なくとも一方の面側の最外層に配置された、請求項2に記載のフィルム積層不織布。
  4. 前記不織布層(A)と前記フィルム層(B)との間に不織布層(C)を有し、
    前記不織布層(C)が単繊維直径4〜100μmの繊維を含み、
    前記単繊維直径4〜100μmの繊維の含有量が前記不織布層(C)の全質量に対して60質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム積層不織布。
  5. 湿潤状態における10%伸長時の応力が80N/50mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム積層不織布。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム積層不織布を用いた、フェイスマスク。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム積層不織布を用いた、クレンジングシート。
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