WO2021066079A1

WO2021066079A1 - ルーフサイドアウタパネル構造

Info

Publication number: WO2021066079A1
Application number: PCT/JP2020/037358
Authority: WO
Inventors: 大樹田原
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2019-10-03
Filing date: 2020-09-30
Publication date: 2021-04-08
Also published as: CN114340981B; CN114340981A; JP7203240B2; JPWO2021066079A1

Abstract

軽量化のため薄肉化しても所望の強度と外観品質を得られるルーフサイドアウタパネル構造を提供する。ルーフパネル（３）の側縁（３ａ）に沿って前後方向に延設されるルーフサイドアウタパネル部（８）を備え、ルーフサイドアウタパネル部（８）は、ルーフパネル（３）側で前後方向に延設された角部からなる上外形デザイン線（１１）と、ルーフパネル（３）と反対側で前後方向に延設された角部からなる下外形デザイン線（１２）と、上外形デザイン線（１１）と下外形デザイン線（１２）との間の意匠面で前後方向に延設され車外側に凸となる角部（１４）からなるキャラクターライン（１３）と、キャラクターライン（１３）に隣接して前後方向に延設され車外側に凹となる曲凹部（１５）と、を有する。

Description

ルーフサイドアウタパネル構造

　本発明は、ルーフサイドアウタパネル構造に関する。

　従来のルーフサイドアウタパネル構造としては、車体の屋根部の両側縁にルーフサイドアウタパネルが装着されているものが知られている。このようなものでは、ルーフサイドアウタパネルがサイドアウタパネルと一体にプレス成形され車体側部の外板を構成することが一般的である。車体側部の外板は意匠面を形成し、ベコツキ防止のため、板厚を増加したり、車両前後方向に延在して、外板の長さ方向に対して間欠的に短冊状を呈する補強用の補助板が接合されている（特許文献１参照）。

特開平１０－１６７１２２号公報

　従来のルーフサイドアウタパネル構造では、板厚を増加したり、補強用の補助板を追加してルーフサイドアウタパネルのベコツキを抑制している。
　しかしながら、外観品質を維持しながら軽量化を図りたいという要請があり、面剛性と薄肉化の両立が求められている。
　本発明は、軽量化のため薄肉化しても所望の面剛性と外観品質を得られるルーフサイドアウタパネル構造を提供することを目的とする。

　本発明は、ルーフパネルの側縁に沿って前後方向に延設されるルーフサイドアウタパネルを備え、ルーフサイドアウタパネルは、ルーフパネル側で前後方向に延設された角部からなる上外形デザイン線と、ルーフパネルと反対側で前後方向に延設された角部からなる下外形デザイン線と、上外形デザイン線と下外形デザイン線との間の意匠面で前後方向に延設され車外側に凸となる角部からなるキャラクターラインと、キャラクターラインに隣接して前後方向に延設され車外側に凹となる曲凹部と、を有する、ルーフサイドアウタパネル構造を特徴とする。

　本発明によれば、車外側に凸となる角部からなるキャラクターラインと、キャラクターラインに隣接して前後方向に延設され車外側に凹となる曲凹部、という複合した凹凸形状とすることでルーフサイドアウタパネルを軽量化のため薄肉化しても所望の面剛性と外観品質を得られるルーフサイドアウタパネル構造が提供される。

本発明の実施形態にかかるルーフサイドアウタパネル構造で、車体の側面を斜め後方から見た斜視図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、ルーフサイドアウタパネルの要部を示す車幅方向の断面図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、ルーフサイドアウタパネルの前部を斜め後方から見た斜視図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、図１のＩＶ－ＩＶ線に沿った位置での端面図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、ルーフサイドアウタパネルの中央部を斜め後方から見た斜視図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、図１のＶＩ－ＶＩ線に沿った位置での端面図である。ルーフサイドアウタパネル構造で、ルーフサイドアウタパネルの後部の構成を示し、図１のＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った位置での端面図である。

　以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。方向を説明する際には、特に示さない限り、基本的に運転者から見た前後，左右あるいは上下に基づいて説明する。また、「車幅方向」は「左右方向」と同義である。

　図１に示すように、本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、車体１の上面部に屋根部２が設けられている。
　屋根部２は、屋根部２の骨格を形成するフレーム枠体と、フレーム枠体の上面を覆う上面視ほぼ方形形状の金属鋼板で形成されたルーフパネル３とを有している。このうち、フレーム枠体には、屋根部２の左，右側縁に沿って、左，右一対のルーフサイドレール９（図３参照）が設けられている。また、左，右のルーフサイドレール９，９間には、複数のルーフクロスメンバ（図示せず）が掛け渡されている。なお、前記ルーフサイドレール９は通常、インナーパネルと前後方向に閉断面を形成するが、インナーパネルの図を省略する。
　ルーフサイドレール９は、ほぼ水平に延設される上面９ａと、ほぼ垂直に延設される下側面９ｂと、上面９ａおよび下側面９ｂをほぼ直交させた状態で接続する外側コーナ部９ｃとを有する（図４参照）。これによりルーフサイドレール９は、車幅方向断面形状がほぼＬ字状になるように形成されている。そして、外側コーナ部９ｃの延設方向を屋根部２の外側縁に沿わせて配設される。
　また、ルーフパネル３の左，右各側縁３ａには、断面Ｌ脚状の接続フランジ部３ｂが形成されている。そして、接続フランジ部３ｂは、ルーフサイドレール９の上面９ａに接合されて、ルーフパネル３を屋根部２の上面に装着している。

　一方、図１に示すように、車体１の側面には、サイドパネル４（サイドアウタパネルとも呼び、車体側部の意匠面を形成する）が設けられている。
　本実施形態のサイドパネル４は、フロントピラー部５と、センタピラー部６と、リヤピラー部７と、ルーフサイドアウタパネル部分を構成するルーフサイドアウタパネル部８と、ルーフサイドアウタパネル部８の上，下側縁に設けられる上支持部２０および下支持部２１とを有している。
　そして、ルーフサイドアウタパネル部８の下縁に車両前後方向へ所定の間隔をおいて、フロントピラー部５、センタピラー部６、リヤピラー部７の各上端が接続されている。これにより、サイドパネル４は、一枚のパネル状部材として一体となるように形成されている。

　さらに、図１に示すように、ルーフサイドアウタパネル部８は、ルーフパネル３の側縁に沿って前後方向に延設される。
　ルーフサイドアウタパネル部８は、ルーフパネル３側で前後方向に延設された角部からなる上外形デザイン線１１と、ルーフパネル３と反対側のドア上縁側で前後方向に延設された角部からなる下外形デザイン線１２とを有している。
　上外形デザイン線１１および、下外形デザイン線１２は、ルーフサイドアウタパネル部８の長手方向全域にわたり形成されている。
　本実施形態の上外形デザイン線１１および、下外形デザイン線１２を形成する角部は、図２に示すようにほぼ直角に屈曲され、好ましくは、９０度よりもさらに小さな角度となるように構成されている。
　そして、上外形デザイン線１１および、下外形デザイン線１２は、車両前後方向に沿ってほぼ平行に設けられている。

　また、ルーフサイドアウタパネル部８のうち、これらの上外形デザイン線１１と下外形デザイン線１２との間には、図２に示すように、意匠部２２が設けられている。
　意匠部２２は、ルーフサイドアウタパネル部８の外側面に意匠面を有している。意匠面は、斜め上方に面外方向を向けて、全体として上側かつ車幅方向外側に凸となるように形成されている。

　図２に示すように、意匠部２２の意匠面には、キャラクターライン１３と曲凹部１５とが形成されている。
　ここでキャラクターラインとは、主に自動車の車体１の意匠面の異なる2面（実施例で
は上湾曲部、下湾曲部）の境界線（角部）であって、異なる2面の反射光の違い、即ち、
明暗差を付与する、側面等に形成された凹凸で基本的形状を構成する線のことを示す。キャラクターラインは、車体１の形状にメリハリをつけ、外観を向上する機能を有する。
　本実施形態のキャラクターライン１３は、前後方向に延設されて、車外側に凸となる角部１４を有している。角部１４は、上外形デザイン線１１と下外形デザイン線１２との間に位置している。そして、角部１４は、意匠面の車幅方向ほぼ中央で、車両前後方向では、ルーフサイドアウタパネル部８のほぼ全域にわたり、外側に突出している（図４，図７参照）。

　また、図２に示すように、曲凹部１５は、意匠面の車幅方向ほぼ中央で、車外側に凹となる窪み状を呈している。
　本実施形態の曲凹部１５は、キャラクターライン１３よりも車幅内側に隣接して前後方向に延設されている（図１参照）。
　そして、曲凹部１５は、車両前後方向中央の凹み量（図６参照）と比して、車両前側の凹み量（図４参照）および車両後側の凹み量が小さく設定されている。
　本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８は、曲凹部１５の中央の凹み量が、車両前，後側に向けて徐々に小さくなるように構成されている。たとえば、車両前，後側の曲凹部１５の凹み量がなくなり、意匠面の表面で前，後部の少なくとも一方が平坦（図３，図４）となっていてもよい。

　さらに、本実施形態のキャラクターライン１３は、曲凹部１５に対してルーフパネル３とは、反対側（車幅方向外側）に配置されている。図３に示すように、曲凹部１５は、ルーフサイドアウタパネル部８の長手形状に沿って湾曲しながら、キャラクターライン１３とほぼ平行に隣接して延設されている。

　また、本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８は、上湾曲部１７と下湾曲部１８とを有している。このうち、上湾曲部１７は、キャラクターライン１３に対し、上側に配置され、車外側に凸となるように形成されている。
　さらに、下湾曲部１８は、キャラクターライン１３に対して下側に配置され、車外側に凸となるように形成されている。

　さらに、図６に示すように、たとえば、下湾曲部１８の外面を上方に延長する仮想外面１８ａを設定する。そして、仮想外面１８ａは、上湾曲部１７の外面１７ａより上方に位置するように設定されている。

　また、本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８は、図２に示すように、キャラクターライン１３を備えて意匠面を構成する意匠部２２と、意匠部２２の上側から車内側に向けて一体に延設される上支持部２０と、意匠部２２の下側から車内側に向けて一体に延設される下支持部２１とを有している。
　そして、主に意匠部２２と、上下一対の上支持部２０および下支持部２１とによって、ルーフサイドアウタパネル部８の車幅方向の断面視形状が車内側に向けて開口するコ字断面を呈している。

　このうち、上支持部２０の内側側縁には、所定の幅方向寸法を有して、車両前後方向に長手方向を沿わせる接合フランジ部８ｄが形成されている。そして、図４に示すように、接合フランジ部８ｄは、ルーフパネル３の接続フランジ部３ｂとともに重合されて、ルーフサイドレール９の上面９ａに接合されている。
　また、下支持部２１の下側側縁には、所定の幅方向寸法を有して、車両前後方向に長手方向を沿わせるドア側フランジ部８ｅが形成されている。そして、ドア側フランジ部８ｅは、ルーフサイドレール９の下側面９ｂに接合されている。

　ルーフサイドアウタパネル部８は、上支持部２０および下支持部２１をルーフサイドレール９に接合して固定される。この際、外側コーナ部９ｃから意匠部２２を離間させて支持する。これにより、ルーフサイドレール９の外側面は、意匠部２２により覆われる。

　また、図６に示すように、これらの上支持部２０と下支持部２１とには、段状の上側段部２３および下側段部２４がそれぞれ形成されている（図２参照）。
　このうち、上側段部２３は、車幅方向内側に向けて凸設される。これにより、上支持部２０には、車両前後方向でほぼ全域に階段形状の断面が形成される。
　また、下側段部２４は、車幅方向外側に向けて凸設されている。このため、下支持部２０には、車両前後方向でほぼ全域に階段形状の断面が形成されている。

　本実施形態のキャラクターライン１３は、ルーフサイドアウタパネル部８の前端８ａから後端８ｂに至るまで形成されている（図１参照）。
　本実施形態では、前方のフロントピラー部５のキャラクターライン１６と屋根部２のルーフサイドアウタパネル部８のキャラクターライン１３とを連続させて一体感を醸し出す形状に加えて、さらにルーフサイドアウタパネル部８の前端８ａから後端８ｂまで延設されたキャラクターライン１３によって意匠部２２に面剛性を付与と外観向上をしている。

　そして、曲凹部１５は、少なくとも前端８ａと後端８ｂから離間した中央部８ｃに形成されている。
　本実施形態では、前端８ａと後端８ｂから離間した中央部８ｃでは、前，後端側の曲凹部１５と比較して凹み寸法が深くなるように形成されている（図６参照）。このため、曲凹部１５の前端８ａ側および、後端８ｂ側は、中央部８ｃの曲凹部１５と比較して凹み寸法が浅く形成されている（図４、図７参照）。

　さらに、図２に示すように、キャラクターライン１３は、上湾曲部１７および下湾曲部１８間の接続（境界）部分に形成されている。ルーフサイドアウタパネル部８の上湾曲部１７および下湾曲部１８は、原材料となる一枚の金属鋼板をプレス成型することにより同時に形成される。そして、キャラクターライン１３および曲凹部１５は、上湾曲部１７および下湾曲部１８を形成するプレス成型の際に同時に形成される。

　また、上湾曲部１７は、ルーフパネル３側の角部に上外形デザイン線１１を形成する。
　本実施形態の上外形デザイン線１１は、上湾曲部１７のルーフパネル３側端と、上支持部２０の上端とがほぼ直角に接合する部分の折れ線により構成されている。
　そして、下湾曲部１８は、サイドパネル４側の角部に下外形デザイン線１２を形成する。下外形デザイン線１２は、下湾曲部１８のサイドパネル４側端と、下支持部２１の上端とがほぼ直角に接合する部分の折れ線により構成されている。

　さらに、図３に示すように、本実施形態の曲凹部１５は、キャラクターライン１３に隣接する上湾曲部１７に形成されている。なお、下湾曲部１８に、曲凹部１５を形成してもよく、上湾曲部１７および下湾曲部１８にそれぞれ曲凹部１５を形成してもよい。

　そして、キャラクターライン１３は、上外形デザイン線１１から車幅方向で所定の距離ｄ１、離間して形成されている（図３参照）。また、キャラクターライン１３は、下外形デザイン線１２に対し、車幅方向で所定の距離ｄ２、離間して形成されている。

　また、図４に示すように、本実施形態では、ルーフサイドアウタパネル部８の上湾曲部１７の曲率半径ｒ１と、下湾曲部１８の曲率半径ｒ２とを同じ寸法（ｒ１＝ｒ２）としている。また、上湾曲部１７の円弧の中心位置ｓ１と、下湾曲部１８の円弧の中心位置ｓ２とを異ならせて、車幅方向および高さ方向に中心位置ｓ１，ｓ２が異なり、重ならないように構成されている。

　そして、本実施形態では、図１に示すように、サイドパネル４は、ルーフサイドアウタパネル部８の後方に向け、下湾曲部１８の湾曲形状を緩やかな円弧として、直線的なリヤピラー部７に円滑に接続できるように構成されている。
　すなわち、図７に示すように、車体１の後部では、下湾曲部１８の円弧の中心位置Ｓ３からの曲率半径ｒ３は、車体１の前後方向中央部における下湾曲部１８の円弧の中心位置ｓ２からの曲率半径ｒ２（図６参照）よりも大きい（ｒ３＞ｒ２）。

　次に、本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造の作用効果について説明する。
　本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、軽量化のため薄肉化しても所望の強度と外観品質を得られる。

　すなわち、図１に示すように、サイドパネル４が車体１の側面に装着されると、ルーフサイドアウタパネル部８は、ルーフパネル３の側縁３ａに沿って車両前後方向にキャラクターライン１３を延設する。外力はキャラクターライン１３の角部１４で上下の意匠面に分散支持されているため、キャラクターライン１３は面剛性を付与できる。
　そして、ルーフサイドアウタパネル部８は、図示しないドア上縁部とルーフパネル３の側縁３ａとの間に位置するルーフサイドレール９を離間した状態で覆う（図６参照）。

　本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８の意匠部２２は、車外側に凸となるキャラクターライン１３に沿って曲凹部１５を形成している。曲凹部１５は、角部１４に隣接させて車外側に凹となる窪み状を呈して、意匠面を凹ませている。
　このため、図２に示すように、角部１４と曲凹部１５とは連続し、複合した凹凸形状となる。したがって、この複合した凹凸形状は、意匠部２２を、面外方向に強度を大幅に向上させて、ルーフサイドアウタパネル部８の面剛性を大いに高めることができる。

　このように、ルーフサイドアウタパネル部８は、意匠部２２の意匠面に、複合した凹凸形状を形成することによって面剛性を大いに向上させることができる。このため、ルーフサイドアウタパネル部８全体を軽量化のため薄肉化しても、所望の面剛性を容易に得られる。
　よって、従来のような補強用の補助板等が不要となり、形状変更だけで軽量化してもベコツキが抑制される。したがって、製造工程においても、プレス成型でほぼ形状に関する製造を完了させて、部品点数や製造工程が増大することを抑制できる。

　具体的には、キャラクターライン１３の角部１４と曲凹部１５とがルーフサイドアウタパネル部８の長手方向に沿って隣接形成されている。
　すなわち、キャラクターライン１３の両側に位置する上湾曲部１７、下湾曲部１８は上向き（外側）に凸であるのに対して、車外側に凸となる角部１４と、車外側に凹となる曲凹部１５とが車幅方向で狭い範囲に集約されて凹凸形成される。
　よって、平坦な面で構成された場合と比較して、断面モーメントを向上させて面剛性を増大させることができる。また、補強部材を追加することなく、車両上下方向への撓み変形に対するルーフサイドアウタパネル部８の面剛性を向上させことができる。

　したがって、たとえば洗車を行う際、作業者の体重によって上方からルーフサイドアウタパネル部８が押圧されても、車両上下方向へのルーフサイドアウタパネル部８のベコツキが防止される。

　さらに、本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、図２に示すように、キャラクターライン１３の角部１４と曲凹部１５の位置は、意匠部２２を構成する上外形デザイン線１１と下外形デザイン線１２との間で車両前後方向に延設されている。
　このため、キャラクターライン１３に沿って曲凹部１５を車幅方向内側に凹設することにより、曲凹部１５をキャラクターライン１３の角部１４で隠して、目立たなくさせることが可能となる。したがって、外観品質の良好なルーフサイドアウタパネル構造を提供することができる。
　また、車幅方向の中央に存在しても、車幅方向で狭い範囲に集約されて形成されている。このため、より曲凹部１５を隣接するキャラクターライン１３の角部１４で隠して、目立たなくさせることが可能となる。

　そして、補強のために追加する部材を必要とせず、ルーフサイドアウタパネル部８の形状を変更するだけでルーフサイドアウタパネル部８の剛性を向上させることができる。このため、部品点数の増大を抑制して、製造工程数を減少させることができる。

　さらに、本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８は、プレス成型等によりサイドパネル４を成型する際、同時に成型される。プレス成型では、キャラクターライン１３の角部１４および角部１４と隣接する曲凹部１５の加工は、サイドパネル４全体の形状と同時に加工可能である。このため、追加の加工作業や造形を行う工程を減少させることができる。
　このように、軽量化のため薄肉化しつつ所望の形態を維持するためのデフォーム要件を満たすことができる。したがって、軽量化のため薄肉化しても所望の強度と外観品質を得られるルーフサイドアウタパネル構造が提供される。

　そして、図２に示すように、本実施形態では、曲凹部１５に対してルーフパネル３と反対側に配置されたキャラクターライン１３によって、車両外側からの視線を遮断することができる。
　特に、車外側に凸となるキャラクターライン１３の角部１４が下湾曲部１７の外側面から上方に突出して、車両外側からの視線を遮断する。したがって、上湾曲部１７に凹状に形成された曲凹部１５は、さらに見えにくく、外観品質を阻害しない。

　また、洗車時等、作業者がよりかかり、ルーフサイドアウタパネル部８に加わる荷重は、下方に向けて最大となる。ルーフサイドアウタパネル部８は、キャラクターライン１３よりも車幅方向内側（ルーフパネル３側）を凹ませた曲凹部１５によって効果的に補強されている。
　このため、意匠部２２の車幅方向中央のベコツキが生じやすい部分の面剛性を、最も効
率的に向上させることができる。たとえば、サイドパネル４を構成するパネル部材を軽量化のため、薄肉化しても有効に面剛性を向上させることができる。
　さらに、キャラクターライン１３を設ける位置および造形の自由度を向上させることができる。したがって、車両の外観品質をさらに向上させることができる。

　また、ルーフサイドアウタパネル部８は、キャラクターライン１３に対し、上側に配置され、車外側に凸となる上湾曲部１７と、下側に配置され、車外側に凸となる下湾曲部１８とを有する。
　そして、上下に位置する外向き凸の上，下湾曲部１７，１８の接続部分に車両前後方向に沿うキャラクターライン１３が凸となる角部１４を有して形成されている。このため、上湾曲部１７および、下湾曲部１８は、キャラクターライン１３とともに、車外側に凸となり、ルーフサイドアウタパネル部８の面剛性をさらに向上させることができる。

　すなわち、本実施形態のキャラクターライン１３の両側に位置する上湾曲部１７、下湾曲部１８は上向き（外側）に凸である。キャラクターライン１３の角部１４は、製造工程のプレス成型でエッジ付けすることが困難でＲ形状に丸まっている稜線を有する。
　このような形状であっても、図２に示すように、断面山型となった角部１４が上湾曲部１７および下湾曲部１８によって両側から支持される。
　このため、ルーフサイドアウタパネル部８は、一部に荷重が集中してベコつくことがない。

　本実施形態では、ルーフサイドアウタパネル部８に上方から荷重が加わると、角部１４の両側の上湾曲部１７および下湾曲部１８を介して、車体１側のルーフサイドレール９に伝達される。そして、これらの荷重は、屋根部２およびサイドパネル４にバランスよく分散される。
　このため、ルーフサイドアウタパネル部８の板厚を増大させなくても所望の面剛性を得られる。また、追加の補強部材等が不要で部材効率を良好なものとすることができる。

　そして、図４に示すように、下湾曲部１８の外面を上方に延長する仮想外面１８ａは、上湾曲部１７の外面１７ａより上方に位置する。
　このため、下湾曲部１８の外面によって車両外側からの視線が遮断される。したがって、曲凹部１５は、下湾曲部１８に隠れて見えず、外観品質を阻害しない。

　さらに、ルーフサイドアウタパネル部８のキャラクターライン１３は、上側に凸となる外側面の意匠部２２に形成されている。意匠部２２は、隣接配置される車体側のルーフパネル３に対して一対の上支持部２０および下支持部２１により結合されている。
　そして、これらの上，下支持部２０，２１は、上側段部２３および下側段部２４を有して内向き開口のコ字断面を呈している。このため、上，下支持部２０，２１の断面モーメントが増大して、さらに意匠部２２の支持剛性を向上させることができる。

　本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、充分な支持剛性でルーフサイドレール９の外側コーナ部９ｃから意匠部２２を離して位置させることができる。このため、ルーフサイドレール９の造形の自由度が向上して、所望の剛性を発揮できる形状とすることができる。

　さらに、図１に示すように、キャラクターライン１３は、ルーフサイドアウタパネル部８の前端８ａから後端８ｂに至るまで形成されている。そして、本実施形態では、キャラクターライン１３を前方のフロントピラー部５のキャラクターライン１６と車両前後方向で連続するように配置している。
　このため、前方のフロントピラー部５と屋根部２のルーフサイドアウタパネル部８とが
連続して一体的に繋がり、さらに外観品質を向上させることができる。

　また、本実施形態の曲凹部１５は、前端８ａと後端８ｂとから離間した中央部８ｃでは、車外側の凹形状が前端８ａ側および後端８ｂ側よりも深くなるように形成されている。
　このため、前端８ａと後端８ｂから離間するにつれて中央部の造形を深くすることにより、外観品質として違和感を生じさせることを減少させることができる。

　そして、本実施形態の曲凹部１５は、車両前後方向で凹み量が中央から前，後側に向けて徐々に小さくなるように構成されている。
　したがって、断面形状の急激な変化により、剛性が急変するようなことがない。よって、さらに車両前後方向で最も荷重が作用する中央部８ｃの面剛性を向上させることができる。

　本実施形態のルーフサイドアウタパネル部８は、ルーフサイドアウタパネル部８の前端８ａから後端８ｂに至るまでキャラクターライン１３（図１参照）が形成されている。
　そして、キャラクターライン１３は、前方のフロントピラー部５と屋根部２のルーフサイドアウタパネル部８とを連続させている。さらに、キャラクターライン１３は、ルーフサイドアウタパネル部８の前端８ａから後端８ｂまで延設されている。これによって、車体１の上部ほぼ全域で意匠が一体的となり、さらに外観品質を向上させることができる。

　また、キャラクターライン１３に設けられた角部１４によってさらに剛性を向上している。このため、作業者の体重によって上方からルーフサイドアウタパネル部８が押圧されても、車両上下方向へのルーフサイドアウタパネル部８のベコツキがルーフサイドアウタパネル部８の全域でさらに効果的に防止される。

　また、図５に示すようにキャラクターライン１３は、上湾曲部１７および下湾曲部１８が接続される部分に沿って車両前後方向へ向けて形成されている。
　このため、面剛性を向上させるキャラクターライン１３をルーフサイドアウタパネル部８の車両前後方向に前端８ａから後端８ｂに至るまで容易に形成できる。
　しかも、本実施形態では、上湾曲部１７および下湾曲部１８を形成するプレス成型の際に同時にキャラクターライン１３および曲凹部１５を成型できる。このため、製造工程を増大させることなく、所望の強度と外観品質を得られるルーフサイドアウタパネル構造が提供される。

　そして、本実施形態では、キャラクターライン１３に隣接して、上湾曲部１７に曲凹部１５が形成されている。
　このため、キャラクターライン１３と逆向きに凸となる曲凹部１５をプレス成型等により容易に複合した凹凸形状として形成できる。このため、さらに容易に面剛性を一層向上させることができる。
　このようにして形成されたキャラクターライン１３および曲凹部１５は、隣接する上湾曲部１７および下湾曲部１８とともに、一層剛性を向上させることができる。

　さらに、図５に示すように、キャラクターライン１３は、上外形デザイン線１１から所定の距離ｄ１または下外形デザイン線１２に対し、所定の距離ｄ２、離れて形成されている。
　このため、高剛性を有する部分がルーフサイドアウタパネル部８の全体にわたって広い範囲に配置されて、さらに面剛性を向上させることができる。

　また、本実施形態では、ルーフサイドアウタパネル部８がサイドパネル４に一体に形成されている。このため、さらに、キャラクターライン１３を所望の位置に形成することが
容易で、上外形デザイン線１１から所定の距離ｄ１または下外形デザイン線１２に対し、所定の距離ｄ２、離した位置に形成して、一層剛性を向上させることができる。

　また、図７に示すように、車体１の後部では、中央部と比較してルーフサイドアウタパネル部８の後方に向け、下湾曲部１８の曲率半径が増大する（図１参照）。
　このため、リヤピラー部７の近傍では、ルーフサイドアウタパネル部８の延設方向がサイドパネル４の延設方向と一致する。よって、ルーフサイドアウタパネル部８の外側面と、サイドパネル４のリヤピラー部７外側面とが面一となり、ルーフサイドアウタパネル部８を違和感なくサイドパネル４に一体化させることができる。

　さらに、図６および図７を比較して示すように、上湾曲部１７の曲率半径ｒ１と、下湾曲部１８の曲率半径ｒ２とを同じ大きさ（ｒ１＝ｒ２）として、上湾曲部１７の円弧の中心位置ｓ１と、下湾曲部１８の円弧の中心位置ｓ２とを異ならせている。
　かかる構成によれば、図２に示すように、角部１４と曲凹部１５とが複合した凹凸形状であっても、上湾曲部１７の曲率半径ｒ１と、下湾曲部１８の曲率半径ｒ２とを同じ大きさ（ｒ１＝ｒ２）とすることにより、容易に成型できる。
　したがって、車幅方向中央に角部１４および曲凹部１５を配置することにより、面外方向に強度を向上させて、ルーフサイドアウタパネル部８の面剛性を高めることができる

　上述してきたように、実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、軽量化のため薄肉化でき、良好な外観品質で製造可能なルーフサイドアウタパネル構造を提供することができる。

　本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。

　本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、キャラクターライン１３に隣接する上湾曲部１７に曲凹部１５が形成されている。しかしながら、特にこれに限らず、下湾曲部１８に曲凹部１５を形成してもよい。また、上湾曲部１７および、下湾曲部１８の両方にそれぞれ曲凹部１５を形成してもよく、少なくとも何れか一方に曲凹部１５が形成されていればよい。

　また、本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、ルーフサイドアウタパネル部８がサイドパネル４に一体となるように形成されているが特にこれに限らない。たとえば、ルーフサイドアウタパネル部８がルーフパネル３に一体となるように形成されていてもよい。
　すなわち、ルーフサイドアウタパネル部８は、サイドパネル４と、ルーフパネル３との間で、ルーフパネル３の側縁３ａに車両前後方向へ延設されるものであれば、ルーフサイドアウタパネル部８がサイドパネル４およびルーフパネル３から独立して設けられていてもよい。

　さらに、本実施形態のルーフサイドアウタパネル構造では、曲凹部１５は、前端８ａ側および、後端８ｂ側では比較的浅く形成され（図４、図７参照）、前端８ａおよび、後端８ｂから離間した少なくとも中央部８ｃでは、前端８ａ側や後端８ｂ側と比較して深く形成されている。
　しかしながら、特にこれに限らず、曲凹部１５は、少なくとも前端８ａと後端８ｂから離間した中央部８ｃに形成されていればよく、たとえば、前端８ａまたは後端８ｂの一方あるいは両方を中央部８ｃと同様の凹み量としてもよい。また、前端８ａまたは後端８ｂの一方に比較的浅い車外側へ凹となる曲凹部１５を形成してもよい。あるいは、前端８ａまたは後端８ｂの両方側とも凹み量をなくして、上湾曲部１７および、下湾曲部１８の外側面と面一としてもよい。
　また、角部１４と曲凹部１５はプレス成形性を考慮した所定の曲率を有する湾曲部である。これらの曲率半径は、角部１４の曲率半径＜曲凹部１５の曲率半径＜上湾曲部１７の曲率半径ｒ１または、下湾曲部１８の曲率半径ｒ２の関係が好適である。

　１　　　車体
　３　　　ルーフパネル
　３ａ　　側縁
　８　　　ルーフサイドアウタパネル部（ルーフサイドアウタパネル）
　１１　　上外形デザイン線
　１２　　下外形デザイン線
　１３　　キャラクターライン
　１４　　角部
　１５　　曲凹部

Claims

　ルーフパネルの側縁に沿って前後方向に延設されるルーフサイドアウタパネルを備え、
　前記ルーフサイドアウタパネルは、
　前記ルーフパネル側で前後方向に延設された角部からなる上外形デザイン線と、
　前記ルーフパネルと反対側で前後方向に延設された角部からなる下外形デザイン線と、
　前記上外形デザイン線と前記下外形デザイン線との間の意匠面で前後方向に延設され車外側に凸となる角部からなるキャラクターラインと、
　前記キャラクターラインに隣接して前後方向に延設され車外側に凹となる曲凹部と、
　を有することを特徴とするルーフサイドアウタパネル構造。
　前記キャラクターラインは、前記曲凹部に対して前記ルーフパネルと反対側に配置されていることを特徴とする請求項１に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記ルーフサイドアウタパネルは、
　前記キャラクターラインに対して上側に配置され、車外側に凸となる上湾曲部と、
　前記キャラクターラインに対して下側に配置され、車外側に凸となる下湾曲部と、
を有することを特徴とする請求項１に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　車幅方向の断面視で、前記下湾曲部の外面を上方に延長した仮想外面は、前記上湾曲部の上方に位置することを特徴とする請求項３に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記ルーフサイドアウタパネルは、
　前記キャラクターラインを備えて意匠面を構成する意匠部と、前記意匠部の上側および下側に設けられ車体に支持される一対の支持部と、を有するとともに、車幅方向の断面視で車内側に向けて開口するコ字断面に構成され、
　前記支持部は、段部を有することを特徴とする請求項１～４の何れか一項記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記キャラクターラインは、ルーフサイドアウタパネルの前端から後端まで形成し、前記曲凹部は、前端と後端から離間した中央部に形成されている、ことを特徴とする請求項１～５のうち何れか一項に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記キャラクターラインは、上湾曲部および下湾曲部により形成される、ことを特徴とする請求項１～６のうち何れか一項に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記キャラクターラインに隣接して、前記上湾曲部または前記下湾曲部のうち少なくとも何れか一方に前記曲凹部を形成する、ことを特徴とする請求項７に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記上外形デザイン線または下外形デザイン線に対し、所定の距離離れてキャラクターラインを形成する、ことを特徴とする請求項１～８のうち何れか一項に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記ルーフサイドアウタパネルの後方に向け、前記下湾曲部の曲率半径を増大する、ことを特徴とする請求項７に記載のルーフサイドアウタパネル構造。
　前記上湾曲部の曲率半径と、前記下湾曲部の曲率半径とを同じとして、前記上湾曲部の円弧の中心位置と、前記下湾曲部の円弧の中心位置とを異ならせる、ことを特徴とする請求項７に記載のルーフサイドアウタパネル構造。