WO2018163611A1 - 版胴交換装置 - Google Patents

Abstract

版胴交換装置１である。第１支軸３は、回転軸心Ｃ１を中心にベース体２に軸支される。第１回動アーム４は、上下に回動可能に第１支軸３に軸支される。第２支軸６は、平行リンクを構成する。第２回動アーム７は、回動軸心Ｃ２を中心に第２支軸６に軸支される。版胴１１を載置可能な回転テーブル８は、回転軸心Ｃ３を中心に第２回動アーム７に軸支される。助力機構１３は、第１回動アーム４に加わる下方への力に釣り合う上方への力を加える。

Description

版胴交換装置

　開示する技術は、版胴を交換する際に使用するグラビア印刷機用の版胴交換装置に関する。

　従来、一般的なグラビア印刷機は、並設された複数の印刷ユニットを備える。各印刷ユニットには、版胴が水平方向に延びる姿勢で取り付けられている。版胴は、連続して搬送されるウェブに対し、その外周面に付着させたインキを、回転動作によって転写する。上記印刷ユニットは、版胴の軸心方向における両端部に係合し、そして当該版胴を回転可能に支持する一対の支持軸を備える。これら支持軸を、版胴の軸心方向に離間させ、版胴との係合を解除することにより、版胴の交換を行えるようになっている。

　ところで、各印刷ユニットの版胴を交換する際、作業者の負荷を減らすことを目的として版胴交換装置が用いられている。

　例えば、特許文献１に開示されている版胴交換装置には、４つのキャスターが下面に取り付けられている。これらキャスターによって装置全体を移動させることが可能になっている。装置の上部には、回転テーブルが設けられている。回転テーブルは、鉛直に延びる回転軸心を中心に回転自在である。該回転テーブルには、回転軸心を挟むように一対の版胴載置部が形成されている。各版胴載置部は、版胴が載置可能である。回転テーブルは、昇降用ハンドルを回転させることにより、ラックアンドピニオン方式によるギア噛合機構で昇降する。

　印刷ユニットの版胴を交換する際には、一方の版胴載置部に版胴を載置し、その状態の回転テーブルを昇降させる。それにより、印刷ユニットにおける版胴とインキパンとの間の高さを調節する。そして、版胴交換装置の全体を印刷ユニットに接近させ、回転テーブルを、印刷ユニットの版胴とインキパンとの間に挿入する。その後、両支持軸を離間させて印刷ユニットから版胴を取り外す。その版胴は、他方の版胴載置部に載置する。

　その後、回転テーブルを回転且つ昇降させ、一方の版胴載置部に載置された版胴を、両支持軸の間に対応させるとともに両支持軸を接近させる。そうして、これら支持軸に、その版胴の両端部を係合させる。そうすることにより、一方の版胴載置部に載置された版胴が、印刷ユニットに取り付けられる。

特開２００６－１７５７０２号公報

　ところで、特許文献１の如き回転テーブルを昇降させるラックアンドピニオン方式によるギア噛合機構は、一般的に、昇降用ハンドルの回転操作が軽くなるようなギア比に設定されている。その結果、回転テーブルを昇降させる作業において、作業者の負荷が軽減される。その一方で、昇降用ハンドルの回転角度と比較して回転テーブルの昇降する距離が短くなるので、回転テーブルの高さを変更するのに時間がかかるようになって版胴を移動させる作業時間が長くなるという問題がある。

　また、特許文献１の如き版胴交換装置の場合、回転テーブルの昇降動作は、昇降用ハンドルで行う。そして、印刷ユニットに対する回転テーブルの接近又は離間の動作は、その装置全体の押し引き動作で行う。このような回転テーブルを昇降させながら印刷ユニットに対して接近又は離間させる動作は困難であり、版胴の運搬作業が煩雑であるという問題もあった。

　開示する技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、版胴を載置する部分を印刷ユニットの所望する位置まで簡単に、且つ、短い時間で移動させて作業者の版胴交換作業を助力する版胴交換装置を提供することにある。

　上記の目的を達成するために、開示する技術は、助力機構を有する多関節アームを利用したことを特徴とする。

　具体的には、グラビア印刷機の印刷ユニットに取り付けられた版胴を交換する際、使用前の版胴を上記印刷ユニット内まで運び入れ、そして、使用後の版胴を上記印刷ユニットから運び出すことを行う版胴交換装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。

　すなわち、開示する版胴交換装置は、第１の要点として、フロアに固定されたベース体と、鉛直に延びる第１軸心を中心に回転自在に上記ベース体に軸支された第１支軸と、上下方向に回動可能となるように一端が上記第１支軸に軸支された第１回動アームと、該第１回動アームに上下に並設され、上下方向に回動可能となるように一端が上記第１支軸に軸支された補助アームと、鉛直に延びるとともに、上記第１支軸、第１回動アーム及び補助アームとで平行リンクを構成するように上記第１回動アーム及び補助アームの他端がそれぞれ軸支された第２支軸と、水平方向に延びる棒状をなし、鉛直に延びる第２軸心を中心に回動自在となるように一端が上記第２支軸に軸支された第２回動アームと、鉛直に延びる第３軸心を中心に回転自在に上記第２回動アームの他端に軸支され、上記第３軸心が間に位置するように２つの版胴を載置可能な回転テーブルと、上記第１回動アームに加わる下方への力に釣り合う上方への力を加える助力機構と、を備えていることを特徴とする。

　第２の要点として、上記助力機構は、伸縮するロッド部によって上記第１回動アームに上方への力を加えることが可能なエアシリンダと、該エアシリンダに圧縮エアを供給可能なエア供給手段と、上記第１回動アームに加わる下方への力を測定可能なロードセルと、上記エア供給手段及び上記ロードセルに接続され、上記エア供給手段に作動信号を出力して上記ロードセルによる測定値に応じた圧縮エアを上記エアシリンダに供給させる制御手段と、上記ロッド部の収縮動作を規制するブレーキ手段とを備え、上記第２回動アームには、上記ブレーキ手段の規制解除を行う解除部を有する操作ハンドルが設けられている、としてもよい。

　第３の要点として、上記操作ハンドルは、各端部が上記第２回動アームに固定され、且つ、中途部に水平方向に延びる棒状の把持部を有する把手と、該把手の下方に設けられ、且つ、当該把手に対応する形状をなし、該把手に対して上下方向に揺動可能な揺動レバーとを備え、上記解除部は、上記揺動レバーを上動させた際、上記ブレーキ手段の規制解除を行うよう構成されている、としてもよい。

　第４の要点として、複数の版胴を格納する版胴格納部と上記ベース体の側方に設けられた版胴受渡領域との間を走行可能に構成され、上記版胴をアーム先端部分で持ち上げ可能な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットは、上記版胴を複数載置可能な台座部を有し、上記第１支軸の回転動作及び上記第２回動アームの回動動作の少なくとも一方を行うことにより、上記回転テーブルを上記版胴受渡領域まで移動可能に構成されている、としてもよい。

　第１の要点に関し、印刷ユニットの版胴を交換する際、回転テーブルを所望する高さまで昇降させるために作業者が第２回動アームを動かすと、第１回動アームの回動動作によって作業者に加わる負荷の一部を助力機構が負担するようになる。したがって、回転テーブルが所望する高さに移動するまでの回転テーブルの移動速度を速くすることができ、特許文献１の如き構造に比べて版胴の移動作業にかかる時間を短縮することができる。

　また、第１支軸の回転動作及び第１、第２回動アームの回動動作により、回転テーブルを所望する高さまで昇降させながら印刷ユニットに対して接近又は離間させることができるので、作業者は、回転テーブルを印刷ユニットの所望する位置にまで簡単に移動させることができる。

　第２の要点に関しては、作業者が操作ハンドルを把持して第２回動アームを動かすことができるので、作業者による回転テーブルの移動操作が行い易くなる。また、作業者が第１回動アームを上下動させる際、解除部によるブレーキ手段の規制解除操作を行うまで第１回動アームの下方への動作ができなくなる。したがって、不意に第１回動アームが下方に下がって作業者の身体の一部が第１回動アームや回転テーブルとフロアとの間に挟まれるといったことを回避することができ、作業者は安全に版胴の移動作業を行うことができる。

　第３の要点に関しては、印刷ユニットの版胴とインキパンとの間の高さに回転テーブルを対応させる際、作業者が揺動レバーを上動させた状態で操作ハンドルの把持部を把持すると、解除部によるブレーキ手段の規制解除が行われて第１回動アームの上下動操作が可能になる。一方、印刷ユニットの版胴とインキパンとの間に回転テーブルを挿入する際、作業者が操作ハンドルの把持部のみを把持して第２回動アームの操作を行うと、揺動レバーが下方に揺動した状態に維持されて解除部によるブレーキ手段の規制解除が行われず、第１回動アームが下方に動作しない状態で第２回動アームを水平方向に回動させることができる。このように、安全な状態で回転テーブルを版胴又はインキパンに接触させることなく簡単に所望する位置まで移動させることができる。

　第４の要点に関しては、産業用ロボットが台座部を利用して版胴格納部から版胴受渡領域まで自動で版胴を運搬して回転テーブルの版胴載置部に載置する一方、印刷ユニットから取り外して回転テーブルの版胴載置部に載置した版胴を、台座部を利用して版胴受渡領域から版胴格納部まで自動で運搬するようになる。したがって、版胴格納部と回転テーブルの版胴載置部との間の版胴の運搬を効率良く行うことができる。

本発明の実施形態に係る版胴交換装置を備えたグラビア印刷機の平面図である。 図１のII矢視図である。 図２のIII矢視図である。 図３のIV矢視図である。 図４のV矢視図である。 図４のVI－VI線における断面図である。 印刷ユニット及び版胴交換装置の平面図であり、版胴を交換する作業を行う直前の状態を示す図である。 図７の状態の後、使用前の版胴を印刷ユニットまで運搬している途中の状態を示す図である。 図８の状態の後、印刷ユニットの版胴とインキパンとの間に回転テーブルを挿入する直前の状態を示す図である。 図９の状態の後、印刷ユニットの版胴を取り外して回転テーブルに載置した直後の状態を示す図である。 図１０の状態の後、回転テーブルを回転させている途中の状態を示す図である。 図１１の状態の後、使用前の版胴を印刷ユニットに取り付けた直後の状態を示す図である。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。

　図１に、開示する技術の実施形態に係る版胴交換装置１を備えたグラビア印刷機１０を示す。グラビア印刷機１０は、連続して搬送されるプラスチックフィルム等のウェブ（図示せず）に対して、版胴１１の外周面に付着するインキを、版胴１１を回転させながら転写させるものであり、並設された複数の印刷ユニット１０ａを備えている。

　各印刷ユニット１０ａには、図２に示すように、一対の角柱状のサイドフレーム１２が、水平方向に離間して設置されている。各サイドフレーム１２は、垂直に延びている。各サイドフレーム１２の中間部分の互いに対向する側面には、一対の支持軸１２ａが設けられている。

　両支持軸１２ａは、互いに接近及び離間が可能に設けられている。両支持軸１２ａが互いに接近することにより、版胴１１の軸心方向における両端部に、両支持軸１２ａが、係合し、版胴１１を水平方向に延びる姿勢で回転可能に支持する。一方、両支持軸１２ａが互いに離間することにより、版胴１１との係合を解除して、印刷ユニット１０ａから版胴１１を取り外せるようになっている。尚、版胴１１に対する両支持軸１２ａの係合又は係合の解除は、一方の支持軸１２ａだけが、他方の支持軸１２ａに接近又は離間することにより行われる構成であってもよい。

　また、両サイドフレーム１２の間に位置する版胴１１の下方には、版胴１１の外周面から滴下するインキを受け止めるために、略長方形板状のインキパン１２ｂが着脱可能で、且つ、上下動可能に取り付けられている。

　版胴交換装置１は、印刷ユニット１０ａに取り付けられた版胴１１を交換する際、使用前の版胴１１を印刷ユニット１０ａまで運び入れる。それとともに、使用後の版胴１１を印刷ユニット１０ａから運び出す。版胴交換装置１は、ブロック形状のベース体２を備えている。ベース体２は、一方のサイドフレーム１２の周辺のフロアに固定されている。

　ベース体２の上面中央には、長方形板状をなす第１支軸３が、鉛直に延びる回転軸心Ｃ１（第１軸心）を中心に回転自在に軸支されている。第１支軸３の中間部から下部に亘る部分には、図６に示すように、側方に開口する切欠部３ｃが形成されている。

　また、第１支軸３の上方には、水平方向に延びる第１回動アーム４が配設されている。第１回動アーム４は、上下方向に回動可能となるように、その一端が、第１支軸３の上部に位置する第１回動軸３ａにより軸支されている。

　第１回動アーム４の他端の側における内部には、エアシリンダ４１が配設されている。エアシリンダ４１は、その長手方向に沿って延びるシリンダ本体４２を備えている。

　シリンダ本体４２の内部には、シリンダ室４２ａが形成されている。シリンダ本体４２における第１支軸３の側の端部の中央部位には、シリンダ室４２ａに連通する連通孔４２ｂが形成されている。

　シリンダ室４２ａには、側面視で略Ｔ字状をなすピストン４３が収容されている。

　ピストン４３は、シリンダ室４２ａを、第１支軸３の側とその反対側とに区画する円板部４３ａと、円板部４３ａの中央部分から第１支軸３の側に突設されたロッド部４３ｂと、を備えている。ロッド部４３ｂは、連通孔４２ｂにスライド可能に嵌挿されている。

　ロッド部４３ｂと第１支軸３との間には、棒状をなす連結部材４４が配設されている。

　第１回動軸３ａと同方向に延びる第２回動軸３ｂが、第１支軸３の切欠部３ｃに位置している。連結部材４４の一端は、第２回動軸３ｂを介して第１支軸３に軸支されている。

　一方、連結部材４４の他端は、第１回動軸３ａと同方向に延びる第３回動軸４４ａを介して、ロッド部４３ｂの先端部分に軸支されている。

　シリンダ室４２ａには、エア供給装置４６（エア供給手段）が接続されている。エア供給装置４６により、シリンダ室４２ａへは、圧縮エアが供給可能である。

　そして、エアシリンダ４１は、エア供給装置４６による圧縮エアの供給動作により、連結部材４４を介して第１回動アーム４に上方への力を加えることが可能になっている。

　第１回動アーム４の内部におけるロッド部４３ｂに対応する位置には、ロッド部４３ｂの収縮動作が規制可能なブレーキ機構４５（ブレーキ手段）が固定されている。ブレーキ機構４５は、通常時において、ロッド部４３ｂの収縮動作を規制した状態になっている。

　ブレーキ機構４５は、エアを供給することにより、ロッド部４３ｂの収縮動作の規制を解除する。具体的な商品としては、トークシステム株式会社製の「クイッククランパー」が挙げられる。

　第１回動アーム４の下方には、図３及び図６に示すように、水平方向に延びる補助アーム５が並設されている。補助アーム５における第１回動アーム４の側の部分は、第１回動アーム４の内部に位置している。

　補助アーム５は、上下方向に回動可能となるように、その一端が第２回動軸３ｂに軸支されている。

　第１回動アーム４及び補助アーム５の双方における第１支軸３の反対側には、鉛直に延びる角柱状の第２支軸６が配設されている。

　第２支軸６は、第１支軸３、第１回動アーム４、及び補助アーム５で平行リンクを構成するように、第１回動アーム４の他端及び補助アーム５の他端が、それぞれ第３回動軸６ａ及び第４回動軸６ｂにより軸支されている。

　第１回動アーム４の上方には、図３及び図４に示すように、水平方向に延びる棒状をなす第２回動アーム７が配設されている。

　第２回動アーム７は、図３～図５に示すように、角筒状をなしている。第２回動アーム７は、鉛直に延びる回動軸心Ｃ２（第２軸心）を中心に回動自在となるように、その一端が第２支軸６の上部に軸支されている。

　第２回動アーム７の一方の側面における一端側と中間部分とには、第１操作ハンドル７Ａと第２操作ハンドル７Ｂとが、それぞれ設けられている。第１操作ハンドル７Ａ及び第２操作ハンドル７Ｂの各々は、第２回動アーム７を操作する際に作業者Ｈ１（図７等参照）が把持可能である。

　第１操作ハンドル７Ａは、図２及び図４に示すように、平面視で略Ｌ字状をなすようにパイプを折り曲げて形成されている。第１操作ハンドル７Ａは、把手７１ａを備える。把手７１ａの各端部は、第２回動アーム７に固定されている。把手７１ａの中間部には、水平方向に延びる棒状の把持部７１ｂが設けられている。

　把手７１ａの下方には、図５に示すように、把手７１ａに対応する形状をなす揺動レバー７２ａが設けられている。

　揺動レバー７２ａは、把手７１ａに対して上下方向に揺動可能となるように、その各端部が把手７１ａの各端部の近傍に軸支されている。揺動レバー７２ａは、通常時には、自重で下方に揺動した状態になっている。

　また、第２回動アーム７における揺動レバー７２ａの一方の端部の下方に対応する箇所には、突起７ａが突設されている。

　突起７ａには、エアスイッチ７３ａが取り付けられている。揺動レバー７２ａを上方に揺動させると、揺動レバー７２ａの一方の端部が、エアスイッチ７３ａを押す。

　尚、第２操作ハンドル７Ｂは、平面視の形状が略Ｕ字状をなす。この点以外は、第２操作ハンドル７Ｂは、第１操作ハンドル７Ａと同一の構造をしている。従って、第２操作ハンドル７Ｂに第１操作ハンドル７Ａと同一の符号を付すことで、第２操作ハンドル７Ｂの詳細な説明は省略する。

　第１回動アーム４、第２支軸６、及び第２回動アーム７の各々の内部には、可撓性を有するエア配管７４（解除部）が配索されている。

　エア配管７４の一端の側は、図示しないエア供給源に接続される。一方、エア配管７４の他端は、ブレーキ機構４５に接続されている。各揺動レバー７２ａを上方に揺動させると、エアスイッチ７３ａが押される。そうすることで、エア配管７４にエアが供給され、ブレーキ機構４５の規制解除が行われる。

　第２回動アーム７における他端の側の上面には、平面視で長方形状をなす回転テーブル８が軸支されている。それにより、回転テーブル８は、鉛直に延びる回転軸心Ｃ３（第３軸心）を中心に回転自在となっている。

　回転テーブル８の上面には、版胴載置部８ａが一対設けられている。両版胴載置部８ａは、回転軸心Ｃ３を挟むように配置されている。各版胴載置部８ａは、版胴１１を、その軸心が回転テーブル８の短辺に沿う姿勢で載置可能となっている。

　各版胴載置部８ａは、回転テーブル８の短辺に沿って延びる直角三角柱状の４つの支持ブロック８ｂを備える。各支持ブロック８ｂは、平面視で長方形の四隅に位置している。

　４つの支持ブロック８ｂのうち、回転テーブル８の長辺に沿った、それぞれ２つの支持ブロック８ｂが対になっている。これら２つの支持ブロック８ｂの、上方に面する各対向面は、版胴１１の外周面に接触する支持面８ｃである。両支持面８ｃは、図３に示すように、互いに接近するにつれて次第に下る傾斜面となっている。

　第２回動アーム７の内部における回転テーブル８の中央に対応する部分には、図５に示すように、各版胴載置部８ａに載置された版胴１１の重量が測定できる、ロードセル７５が配設されている。

　すなわち、ロードセル７５により、第１回動アーム４に加わる下方への力が測定できる。

　エア供給装置４６及びロードセル７５には、図５及び図６に示すように、制御盤９（制御手段）が接続されている。

　制御盤９は、エア供給装置４６に作動信号を出力し、ロードセル７５による測定値に応じた圧縮エアを、エアシリンダ４１のシリンダ室４２ａに供給する。

　そして、エアシリンダ４１、エア供給装置４６、ロードセル７５、制御盤９、及びブレーキ機構４５が、助力機構１３を構成している。助力機構１３は、第１及び第２操作ハンドル７Ａ，７Ｂの操作によりブレーキ機構４５の規制が解除された状態において、第１回動アーム４に加わる下方への力に釣り合う上方への力を加える。

　各印刷ユニット１０ａにおける一方のサイドフレーム１２の側方のフロアには、図１に示すように、走行レール１４が固定されている。走行レール１４は、各印刷ユニット１０ａが並設されている方向に直線状に延びている。

　走行レール１４の一方の端部の側方には、複数の版胴１１が格納できる、版胴格納部１５が設置されている。各印刷ユニット１０ａと走行レール１４との間には、版胴受渡領域Ｒ１が、それぞれ設定されている。第１支軸３の回転動作及び第２回動アーム７の回動動作の少なくとも一方を行い、各回転テーブル８を各印刷ユニット１０ａから遠ざけると、各回転テーブル８が、各版胴受渡領域Ｒ１に位置するようになっている。

　走行レール１４には、産業用ロボット１６が設置されている。産業用ロボット１６は、走行レール１４に沿って走行可能であり、また、版胴１１をアームの先端部分で持ち上げることが可能である。

　産業用ロボット１６は、複数の版胴１１が載置可能な、矩形板状の台座部１６ａを備える。産業用ロボット１６は、版胴格納部１５に格納された各版胴１１を台座部１６ａに載置し、各版胴１１を各版胴受渡領域Ｒ１まで運搬できる。産業用ロボット１６はまた、各版胴受渡領域Ｒ１に位置する回転テーブル８の版胴載置部８ａに各版胴１１を載置できる。

産業用ロボット１６は更に、回転テーブル８の版胴載置部８ａに載置された状態の版胴１１を、各版胴受渡領域Ｒ１において台座部１６ａに載置し、版胴格納部１５まで運搬して版胴格納部１５に格納することもできる。

　次に、印刷ユニット１０ａに取り付けられた版胴１１の交換作業について詳述する。

　まず、作業者Ｈ１は、第１及び第２操作ハンドル７Ａ，７Ｂの各把持部７１ｂを把持して第１支軸３を回転させる。それとともに、第２回動アーム７を回動させて回転テーブル８を版胴受渡領域Ｒ１まで移動させる。その後、産業用ロボット１６の作業が終了するまで安全な位置で待機する。

　次に、産業用ロボット１６が、版胴格納部１５から使用前の複数の版胴１１を持ち上げて台座部１６ａに載置する。その後、産業用ロボット１６は、走行レール１４を走行する。版胴１１の交換作業を行う印刷ユニット１０ａまで、産業用ロボット１６が到達すると、図７に示すように、産業用ロボット１６は、版胴受渡領域Ｒ１に位置する回転テーブル８の一方の版胴載置部８ａに、版胴１１を載置する。

　次いで、作業者Ｈ１は、図７～図９に示すように、左手で第２操作ハンドル７Ｂの把持部７１ｂを把持し、且つ、右手で版胴載置部８ａに載置された版胴１１を支えながら、第１支軸３を回転させる。それとともに、作業者Ｈ１は、第２回動アーム７を回動させて回転テーブル８を印刷ユニット１０ａに向かって移動させる。

　このとき、他方の版胴載置部８ａが印刷ユニット１０ａの側に向くように、回転テーブル８も、回転軸心Ｃ３を中心に回転させる。また、作業者Ｈ１は、回転テーブル８を印刷ユニット１０ａに向けて移動させる際、左手で、揺動レバー７２ａが上方に揺動した状態を維持しつつ、第１回動アーム４及び補助アーム５を上下動させ、回転テーブル８を、印刷ユニット１０ａの版胴１１とインキパン１２ｂとの間の高さに対応させる。

　しかる後、作業者Ｈ１は、揺動レバー７２ａから左手を離し、図１０に示すように、第１支軸３、第２回動アーム７を回動させる。作業者Ｈ１はさらに、回転テーブル８を回転させながら、回転テーブル８を、印刷ユニット１０ａの版胴１１とインキパン１２ｂとの間に挿入し、他方の版胴載置部８ａを印刷ユニット１０ａの版胴１１の下方に対応させる。そして、印刷ユニット１０ａの両支持軸１２ａを互いに離間させ、印刷ユニット１０ａから版胴１１を取り外す。その版胴１１は、回転テーブル８の他方の版胴載置部８ａに載置する。

　その後、図１１に示すように、作業者Ｈ１は、使用前の版胴１１が載置されている一方の版胴載置部８ａが、印刷ユニット１０ａのサイドフレーム１２の間に位置するように回転テーブル８を回転させる。

　次に、図１２に示すように、作業者Ｈ１は、左手で揺動レバー７２ａが上方に揺動した状態を維持しつつ、第１回動アーム４及び補助アーム５を上方に移動させ、回転テーブル８を、両支持軸１２ａの高さに対応させる。その後、作業者Ｈ１は、揺動レバー７２ａから左手を離し、第１支軸３を回転させつつ第２回動アーム７を回動させる。作業者Ｈ１はさらに、回転テーブル８を回転させながら、回転テーブル８を、印刷ユニット１０ａの両支持軸１２ａの間に移動させる。

　そして、両支持軸１２ａを互いに接近させることにより、一方の版胴載置部８ａに載置された版胴１１の両端部に係合させる。その後、作業者Ｈ１は、左手で、揺動レバー７２ａが上方に揺動した状態を維持しつつ、回転テーブル８を下降させる。その後、作業者Ｈ１は、揺動レバー７２ａから左手を離し、回転テーブル８が版胴受渡領域Ｒ１まで移動するように、把持部７１ｂを把持して、第１支軸３を回転させながら第２回動アーム７を回動させる。

　回転テーブル８が版胴受渡領域Ｒ１まで移動すると、産業用ロボット１６が、他方の版胴載置部８ａに載置した版胴１１を持ち上げ、台座部１６ａに載置する。その後、産業用ロボット１６は、走行レール１４を走行し、版胴１１の交換作業を行う次の印刷ユニット１０ａまで移動する。そして、次の印刷ユニット１０ａにおいても、上述したのと同様に、版胴交換装置１を用いて版胴１１の交換作業を行う。

　全ての印刷ユニット１０ａの版胴交換作業が終わると、産業用ロボット１６は、走行レール１４を走行し、使用後の各版胴１１を、台座部１６ａから版胴格納部１５に格納して各版胴１１の交換作業が終了する。

　以上より、開示した実施形態によると、印刷ユニット１０ａの版胴１１を交換する際、回転テーブル８を所望する高さまで昇降させるために作業者Ｈ１が第２回動アーム７を動かすと、第１回動アーム４の回動動作によって作業者Ｈ１に加わる負荷の一部を助力機構１３が負担するようになる。

　したがって、回転テーブル８が所望する高さに移動するまでの回転テーブル８の移動速度を速くすることができ、特許文献１の如き構造に比べて版胴１１の移動作業にかかる時間を短縮することができる。また、第１支軸３の回転動作及び第１、第２回動アーム４，７の回動動作により、回転テーブル８を、所望する高さまで昇降させながら印刷ユニット１０ａに対して接近又は離間させることができるので、作業者Ｈ１は、回転テーブル８を、印刷ユニット１０ａの所望する位置まで簡単に移動させることができる。

　また、作業者Ｈ１が把持部７１ｂを把持して第２回動アーム７を動かすことができるので、作業者Ｈ１による回転テーブル８の移動操作が行い易くなる。また、作業者Ｈ１が第１回動アーム４を上下動させる際、エア配管７４を介したエア供給によるブレーキ機構４５の規制解除操作を行うまで、第１回動アーム４の下方への動作ができなくなる。

　したがって、第１回動アーム４が不意に下がり、作業者Ｈ１の身体の一部が第１回動アーム４や回転テーブル８とフロアとの間に挟まれる、といったことを回避することができ、作業者Ｈ１は、安全に版胴１１の移動作業を行うことができる。

　さらに、印刷ユニット１０ａの版胴１１とインキパン１２ｂとの間の高さに、回転テーブル８を対応させる際、作業者Ｈ１が揺動レバー７２ａを上方に揺動させた状態で把持部７１ｂを把持すると、エア配管７４を介したエア供給によるブレーキ機構４５の規制解除が行われて第１回動アーム４の上下動操作が可能になる。

　一方、印刷ユニット１０ａの版胴１１とインキパン１２ｂとの間に回転テーブル８を挿入する際、作業者Ｈ１が把持部７１ｂのみを把持して第２回動アーム７の操作を行うと、揺動レバー７２ａが下方に揺動した状態に維持されるため、エア配管７４を介したエア供給によるブレーキ機構４５の規制解除が行われない。従って、第１回動アーム４が下方に動作しない状態で第２回動アーム７を水平方向に回動させることができる。このように、回転テーブル８を、安全な状態で、版胴１１又はインキパン１２ｂに接触させることなく、簡単に、所望する位置まで移動させることができる。

　それに加えて、産業用ロボット１６が、台座部１６ａを利用して版胴格納部１５から版胴受渡領域Ｒ１まで自動で版胴１１を運搬し、回転テーブル８の版胴載置部８ａに載置する。また、産業用ロボット１６が、印刷ユニット１０ａから取り外して回転テーブル８の版胴載置部８ａに載置した版胴１１を、台座部１６ａを利用して版胴受渡領域Ｒ１から版胴格納部１５まで自動で運搬する。したがって、版胴格納部１５と版胴載置部８ａとの間の版胴１１の運搬を効率良く行うことができる。

　尚、上述した実施形態では、作業者Ｈ１が第２操作ハンドル７Ｂの把持部７１ｂを把持して版胴１１の交換作業を行っているが、作業者Ｈ１は、第１操作ハンドル７Ａの把持部７１ｂを把持して版胴１１の交換作業を行ってもよい。

　また、実施形態では、第２回動アーム７に第１及び第２操作ハンドル７Ａ，７Ｂが設けられているが、第２回動アーム７に、いずれか一方の操作ハンドルだけ設けられた構成であってもよい。

　また、実施形態では、ブレーキ機構４５の規制解除を、エア配管７４を介したエアの供給により行っているが、例えば、ワイヤ部材の移動動作でブレーキ機構４５の規制が解除されるような構造であってもよい。

　１　　　　版胴交換装置
　２　　　　ベース体
　３　　　　第１支軸
　４　　　　第１回動アーム
　５　　　　補助アーム
　６　　　　第２支軸
　７　　　　第２回動アーム
　７Ａ　　　　第１操作ハンドル
　７Ｂ　　　　第２操作ハンドル
　８　　　　回転テーブル
　９　　　　制御盤（制御手段）
　１０　　　　グラビア印刷機
　１０ａ　　　　印刷ユニット
　１１　　　　版胴
　１３　　　　助力機構
　１５　　　　版胴格納部
　１６　　　　産業用ロボット
　４１　　　　エアシリンダ
　４５　　　　ブレーキ機構（ブレーキ手段）
　４６　　　　エア供給装置（エア供給手段）
　７１ａ　　　　把手
　７１ｂ　　　　把持部
　７２ａ　　　　揺動レバー
　７４　　　　エア配管（解除部）
　７５　　　　ロードセル
　Ｃ１　　　　回転軸心（第１軸心）
　Ｃ２　　　　回動軸心（第２軸心）
　Ｃ３　　　　回転軸心（第３軸心）
　Ｒ１　　　　版胴受渡領域

Claims (4)

1. 　グラビア印刷機の印刷ユニットに取り付けられた版胴を交換する際、使用前の版胴を上記印刷ユニットまで運び入れるとともに使用後の版胴を上記印刷ユニットから運び出す版胴交換装置であって、
   　フロアに固定されたベース体と、
   　鉛直に延びる第１軸心を中心に回転自在に上記ベース体に軸支された第１支軸と、
   　上下方向に回動可能となるように一端が上記第１支軸に軸支された第１回動アームと、
   　該第１回動アームに上下に並設され、上下方向に回動可能となるように一端が上記第１支軸に軸支された補助アームと、
   　鉛直に延びるとともに、上記第１支軸、第１回動アーム及び補助アームとで平行リンクを構成するように上記第１回動アーム及び補助アームの他端がそれぞれ軸支された第２支軸と、
   　水平方向に延びる棒状をなし、鉛直に延びる第２軸心を中心に回動自在となるように一端が上記第２支軸に軸支された第２回動アームと、
   　鉛直に延びる第３軸心を中心に回転自在に上記第２回動アームの他端に軸支され、上記第３軸心が間に位置するように２つの版胴を載置可能な回転テーブルと、
   　上記第１回動アームに加わる下方への力に釣り合う上方への力を加える助力機構と、
   を備えていることを特徴とする版胴交換装置。
2. 　請求項１に記載の版胴交換装置において、
   　上記助力機構は、伸縮するロッド部によって上記第１回動アームに上方への力を加えることが可能なエアシリンダと、該エアシリンダに圧縮エアを供給可能なエア供給手段と、上記第１回動アームに加わる下方への力を測定可能なロードセルと、上記エア供給手段及び上記ロードセルに接続され、上記エア供給手段に作動信号を出力して上記ロードセルによる測定値に応じた圧縮エアを上記エアシリンダに供給させる制御手段と、上記ロッド部の収縮動作を規制するブレーキ手段と、を備え、
   　上記第２回動アームには、上記ブレーキ手段の規制解除を行う解除部を有する操作ハンドルが設けられていることを特徴とする版胴交換装置。
3. 　請求項２に記載の版胴交換装置において、
   　上記操作ハンドルは、各端部が上記第２回動アームに固定され、且つ、中途部に水平方向に延びる棒状の把持部を有する把手と、該把手の下方に設けられ、且つ、当該把手に対応する形状をなし、該把手に対して上下方向に揺動可能な揺動レバーとを備え、
   　上記解除部は、上記揺動レバーを上動させた際、上記ブレーキ手段の規制解除を行うよう構成されていることを特徴とする版胴交換装置。
4. 　請求項１から３のいずれか１つに記載の版胴交換装置において、
   　複数の版胴を格納する版胴格納部と上記ベース体の側方に設けられた版胴受渡領域との間を走行可能に構成され、上記版胴をアーム先端部分で持ち上げ可能な産業用ロボットを備え、
   　該産業用ロボットは、上記版胴を複数載置可能な台座部を有し、
   　上記第１支軸の回転動作及び上記第２回動アームの回動動作の少なくとも一方を行うことにより、上記回転テーブルを上記版胴受渡領域まで移動可能に構成されていることを特徴とする版胴交換装置。

Images