WO2014038711A1 - ナトリウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた正極と、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質を含む負極材料を負極集電体に担持させた負極と、少なくとも前記正極および負極の間に介在する電解質と、前記電解質を保持するとともに前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備えたナトリウム二次電池であって、前記負極活物質が非晶質炭素であり、前記電解質がナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である溶融塩電解質であるナトリウム二次電池に関する。

Description

ナトリウム二次電池
 本発明は、ナトリウム二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、自動車用電源、電力網における電力貯蔵用の蓄電デバイスなどとして有用なナトリウム二次電池に関する。
 ナトリウム二次電池は、電気自動車の電源、電力需要の平準化、太陽光エネルギー、風力エネルギーなどの自然エネルギーを利用した発電における出力安定化などへの利用が期待されている。前記ナトリウム二次電池として、例えば、金属ナトリウムまたはナトリウム合金を含む負極と、有機溶媒に溶解させた非水電解液とが用いられたナトリウム二次電池(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。
特開2010-102917号公報
 しかしながら、前記非水電解液が用いられたナトリウム二次電池は、前記非水電解液に有機溶媒が含まれているため、ナトリウム二次電池の使用温度によっては、当該有機溶媒の揮発などにより、充電容量および放電容量の低下をまねくおそれがある。また、前記ナトリウム二次電池は、負極が金属ナトリウムまたはナトリウム合金を含むため、充放電の繰り返しに伴って金属ナトリウムが析出し、当該金属ナトリウムのデンドライトが成長することから、十分な充放電サイクル特性を得ることができないおそれがある。
 一方、負極活物質として充放電性能に優れると考えられる黒鉛などのインサーション材料、例えば、充放電時にインターカレーション現象、即ち当該原子配列構造中へのイオンの挿入または前記構造からの脱離を伴う材料を用いることが考えられるが、前記ナトリウム二次電池において、負極活物質として充放電性能に優れると考えられる前記インサーション材料を用いても、優れたサイクル寿命特性は得られないことがある。
 したがって、高い充電容量および放電容量を有し、かつ優れた充放電サイクル特性を有するナトリウム二次電池の開発が望まれている。
 本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、高い充電容量および放電容量を有し、かつ優れた充放電サイクル特性を有するナトリウム二次電池を提供することを課題とする。
 本発明のナトリウム電池は、
(1)ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた正極と、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質を含む負極材料を負極集電体に担持させた負極と、少なくとも前記正極および負極の間に介在する電解質と、前記電解質を保持するとともに前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備えたナトリウム二次電池であって、前記負極活物質が非晶質炭素粒子であり、前記電解質がナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である溶融塩電解質であるナトリウム二次電池である。
 本発明によれば、高い充電容量および放電容量を有し、かつ優れた充放電サイクル特性を有するナトリウム二次電池を提供することができる。
試験例1において、実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれの充放電曲線を示すグラフある。 試験例1において、実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれについて、サイクル数と充電容量との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、実験例1および実験例4で得られたハーフセルそれぞれについて、サイクル数と容量維持率との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、実験例1で得られたハーフセルの充放電曲線を示すグラフである。 試験例3において、実験例5および6で得られたハーフセルそれぞれの充放電曲線を示すグラフである。 試験例4において、実験例7で得られたハーフセルの充放電曲線を示すグラフである。 試験例4において、実験例7で得られたハーフセルの充放電曲線を示すグラフである。 試験例4において、サイクル数と、充電容量、放電容量およびクーロン効率それぞれとの関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例5において、実施例1で得られたナトリウム二次電池の充放電曲線を示すグラフである。 試験例5において、サイクル数と、充電容量および放電容量それぞれとの関係を調べた結果を示すグラフである。
[本願発明の実施形態の説明]
 最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
 本発明の実施形態には、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた正極と、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質を含む負極材料を負極集電体に担持させた負極と、少なくとも前記正極および負極の間に介在する電解質と、前記電解質を保持するとともに前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備えたナトリウム二次電池であって、前記負極活物質が非晶質炭素であり、前記電解質がナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である溶融塩電解質であるナトリウム二次電池が含まれる。
 前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、前記負極活物質として非晶質炭素が用いられているので、充放電に際して、金属ナトリウムの析出およびデンドライトの成長を伴わずに、非晶質炭素内にナトリウムカチオンが可逆的に含有される。即ち、ナトリウムカチオンが負極における非晶質炭素の原子配列構造内に挿入または非晶質炭素の原子配列構造内から脱離される。また、前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、溶融塩電解質がカチオンとして有機カチオンを含んでいるので、非晶質炭素内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からナトリウムカチオンが脱離する際の抵抗を低減させることができ、非晶質炭素の原子配列構造内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からのナトリウムカチオンの脱離を円滑に行なうことができる。したがって、前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、高い充電容量および放電容量を示し、しかも優れた充放電サイクル特性を発現することができる。
 前記非晶質炭素は、難黒鉛化炭素であることが好ましい。前記難黒鉛化炭素が用いられた負極では、当該負極活物質内により多くのナトリウムカチオンを挿入させることができ、しかもナトリウムカチオンの挿入または脱離に伴う体積変化を低減させることができる。したがって、前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、より高い充電容量および放電容量を示し、しかも、長寿命である。
 前記難黒鉛化炭素の形状は、粒子であり、当該粒子の平均粒子径(d50)は、5~15μmであることが好ましく、7~12μmであることがより好ましい。
 前記粒子の平均粒子径(d50)が5μm以上である場合、難黒鉛化炭素負極の不可逆容量の増加を抑制することができ、前記粒子の平均粒子径(d50)が15μm以下である場合、難黒鉛化炭素負極の利用率およびレート特性の低下を抑制することができる。
 前記溶融塩電解質における水の含有量は、0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましい。難黒鉛化炭素負極の不可逆容量の増加を抑制し、ナトリウム二次電池の優れた性能を維持する観点から、電池を構成する材料の管理および製造工程の管理により、溶融塩電解質における水の含有量を好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下に設定することが望まれる。
 前記溶融塩電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオン以外の金属カチオンの含有率は、5モル%以下であることが好ましい。前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池では、負極活物質内へのナトリウムカチオンの挿入または負極活物質内からのナトリウムカチオンの脱離をより効率よく行なうことができる。したがって、前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、より高い充電容量および放電容量ならびにより高い充放電サイクル特性を示す。
 前記アニオンは、後述する式(I)で表わされるスルホニルアミドアニオンであることが好ましく、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、優れた充放電サイクル特性を示す。
 前記有機カチオンは、後述する式(IV)で表わされるカチオン、後述する式(V)で表わされるイミダゾリウムカチオン、後述する式(VII)で表わされるピリジニウムカチオン、後述する式(X)で表わされるピロリジニウムカチオンおよび後述する式(XII)で表わされるピペリジニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、低い温度条件下で充放電反応を行なうことができる。
 前記有機カチオンは、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムカチオンおよび1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。前記構成が採用された本発明のナトリウム二次電池は、低い温度条件下でより安定した充放電反応を行なうことができる。
 前記溶融塩電解質は、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物およびナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウムとの混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であり、かつ当該混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量は、0.1~0.55モルであることが好ましく、0.2~0.5モルであることがより好ましい。
 前記混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量が0.1モル以上である場合、ナトリウム二次電池の充放電反応を行なう際のレート特性を向上させることができる。また、前記混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量が0.55モル以下である場合、溶融塩電解質の粘性の上昇を抑制してナトリウム二次電池内における当該溶融塩電解質の浸透性の低下を抑制することができるとともにナトリウム二次電池の製造時におけるナトリウム二次電池内への電解液の注液の操作の作業効率を向上させることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
 つぎに、本発明の一実施形態である二次電池の具体例を説明する。なお、本発明は、かかる例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
 本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池は、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた正極と、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質を含む負極材料を負極集電体に担持させた負極と、少なくとも前記正極および負極の間に介在する電解質と、前記電解質を保持するとともに前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備えたナトリウム二次電池であって、前記負極活物質が非晶質炭素であり、前記電解質がナトリウムカチオンと有機カチオンとを含む溶融塩電解質であることに1つの大きな特徴を有する。本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池は、前記構成を有することから、充放電に際して、金属ナトリウムの析出およびデンドライトの成長を伴わずに、ナトリウムカチオンが負極における非晶質炭素の原子配列構造内に挿入または非晶質炭素の原子配列構造内から脱離される。また、電解質に有機カチオンが含まれているため、非晶質炭素表面に対して親水化処理などが施されていなくても、電解質に対する負極活物質の濡れ性を確保することができ、非晶質炭素の原子配列構造内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からのナトリウムカチオンの脱離の際の抵抗を低減させていると考えられる。これにより、非晶質炭素の原子配列構造内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からのナトリウムカチオンの脱離が円滑に行なわれる。したがって、本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池は、高い充電容量および放電容量を示し、しかも優れた充放電サイクル特性を発現することができる。
 なお、本明細書において、「ナトリウムカチオンを可逆的に含有する」とは、正極活物質および負極活物質が充電時及び放電時において、ナトリウムカチオンを活物質内に挿入および活物質外に脱離する機能を有していることをいう。
 本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池は、例えば、正極と負極と前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備える電極ユニットを、開口部を有する電池容器本体内に収容し、ナトリウムカチオンを含む溶融塩電解質を前記電極ユニットが収容された電池容器本体内に充填した後、当該電池容器本体を密封することなどによって製造することができる。前記溶融塩電解質は、少なくとも正極および負極の間に介在していればよい。
 前記電極ユニットは、例えば、正極における正極活物質の担持面と負極における負極活物質の担持面とがセパレーターを介して対向するように、正極、負極およびセパレーターを配置させたものである。正負両極とセパレーターとは、互いに押し付けあうように接触している。
 前記正極は、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた電極である。前記正極材料は、正極活物質、必要により、導電助剤およびバインダーを含有する。
 前記正極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、高い集電性を有し、ナトリウム二次電池の充電容量および放電容量を向上させることができることから、アルミニウムが好ましい。
 また、前記正極集電体の形状としては、例えば、箔、多孔質体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極集電体の形状が多孔質体である場合、当該多孔質体の多孔度は、ナトリウム二次電池の充電容量および放電容量を十分に確保する観点から、好ましくは90%以上、より好ましくは97%以上である。また、前記多孔度の上限値は、集電体の機械的強度を十分に確保することができる範囲で適宜設定することができる。なお、本明細書において、集電体の多孔度は、下記算出式(1)
[多孔質体の多孔度]
=(1-多孔質体の真の体積/多孔質体の見かけ体積)×100  (1)
にしたがって求められた値である。
 前記正極集電体の厚さは、正極集電体の形状、ナトリウム二次電池の用途などによって異なるので一概には決定することができないため、正極集電体の形状、ナトリウム二次電池の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
 前記正極活物質としては、例えば、ナトリウムカチオンを可逆的に含有することができる硫化物、酸化物、ハロゲン化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記ナトリウムカチオンを可逆的に含有することができる硫化物、酸化物およびハロゲン化物としては、例えば、TiS2などの硫化物;NaMn1.5Ni0.54、NaFeO2、NaMnO2、NaNiO2、NaCrO2、NaCoO2、Na0.44MnO2などのナトリウム遷移金属酸化物;Na6Fe2Si1230、Na2Fe5Si1230、Na2Fe2Si618、Na2MnFeSi618、Na2FeSiO6などのナトリウム遷移金属ケイ酸塩;NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4、NaFePO4、Na3Fe2(PO43などのナトリウム遷移金属リン酸塩;Na2FePO4F、NaVPO4Fなどのナトリウム遷移金属フルオロリン酸塩;Na3FeF6、NaMnF3、Na2MnF6などのナトリウム遷移金属フッ化物;NaFeBO4、Na3Fe2(BO43などのナトリウム遷移金属ホウ酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのナトリウムカチオンを可逆的に含有することができる硫化物、酸化物およびハロゲン化物のなかでは、充放電サイクル特性およびエネルギー密度を向上させる観点から、NaCrO2(亜クロム酸ナトリウム)が好ましい。
 前記導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中における導電助剤の含有率は、通常、好ましくは15質量%以下である。
 前記バインダーとしては、例えば、ガラス、液晶、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリイミド、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中におけるバインダーの含有率は、通常、好ましくは10質量%以下である。
 前記正極集電体への正極材料の担持は、例えば、正極材料を正極集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、正極材料の塗膜を有する正極集電体を厚さ方向に加圧する方法などが挙げられる。
 前記負極は、ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質として、非晶質炭素を含む負極材料を負極集電体に担持させた電極である。前記負極材料は、非晶質炭素、必要により、導電助剤およびバインダーを含有する。
 一般的に、非晶質炭素とは、例えば、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)などの総称である。前記非晶質炭素のなかでは、難黒鉛化炭素および易黒鉛化炭素が好ましい。なお、難黒鉛化炭素とは、高温熱処理によっても黒鉛化しない炭素をいい、易黒鉛化炭素とは、高温熱処理によって黒鉛化する炭素をいう。易黒鉛化炭素は、熱処理温度が2000℃以下の比較的低い温度で処理された易黒鉛化炭素が好ましい。非晶質炭素のなかでは、充放電サイクル特性を向上させる観点から、難黒鉛化炭素が好ましい。前記難黒鉛化炭素としては、例えば、木粉などの植物原料の焼成物;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂の焼成物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、本発明においては、前記難黒鉛化炭素として、例えば、(株)クレハ製、商品名:カーボトロンPなどの市販の難黒鉛化炭素を用いることもできる。これらの難黒鉛化炭素は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記難黒鉛化炭素の形状が粒子である場合、前記難黒鉛化炭素の粒子の平均粒子径(d50)は、負極の不可逆容量の増加を抑制する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは70μm以上であり、難黒鉛化炭素負極の利用率およびレート特性の低下を抑制する観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、本明細書において、「平均粒子径(d50)」とは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置〔日機装(株)製、商品名:マイクロトラック粒度分布測定装置〕を用い、湿式法にしたがって求めた粒度分布において、小粒径側から積算した累計体積が50%であるときの粒子径を意味する。
 本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池においては、当該ナトリウム二次電池における水の含有量を極力低い値に維持することが重要である。ナトリウム二次電池における水の含有量を推し量る指標として溶融塩電解質における水の含有量を用いることにより、ナトリウム二次電池における水の含有量を管理することができる。ナトリウム二次電池は、前記溶融塩電解質における水の含有量が低いほど、良好な電池性能を示す。しかし、ナトリウム二次電池を構成する材料または製造工程を原因として水がナトリウム二次電池内に混入することを避けることができない場合がある。本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池においては、溶融塩電解質における水の含有量を好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下に設定することにより、難黒鉛化炭素負極の不可逆容量の増加を抑制し、ナトリウム二次電池の優れた性能を維持することができる。
 前記負極材料に用いられるバインダーは、前記負極材料を負極集電体に固着させ、かつ充放電サイクル特性を向上させる観点から、ハロゲン原子を有しないバインダーであることが好ましい。前記バインダーとしては、例えば、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロースなどの多糖化合物、スチレンブタジエンゴムなどの合成ゴムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記負極材料中におけるバインダーの含有率は、通常、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3~8質量%である。
 前記負極材料に用いられる導電助剤は、前記正極材料に用いられる導電助剤と同様である。前記負極材料中における導電助剤の含有率は、通常、好ましくは10質量%以下である。
 前記負極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 前記負極集電体の形状、負極集電体の厚さ、負極集電体の形状が多孔質体である場合の当該多孔質体の多孔度および多孔質体における孔の平均孔径は、前記正極集電体の種類、正極集電体の形状、正極集電体の厚さ、正極集電体の形状が多孔質体である場合の当該多孔質体の多孔度および多孔質体における孔の平均孔径と同様である。
 前記負極集電体への負極材料の担持は、例えば、負極材料を負極集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、負極材料の塗膜を有する負極集電体を厚さ方向に加圧する方法などが挙げられる。
 前記セパレーターを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ガラス;アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス;セルロース;ポリフェニルサルファイド;アラミド;ポリアミドイミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 前記セパレーターの形状としては、例えば、多孔質体、繊維体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのセパレーターの形状のなかでは、ナトリウム二次電池の充電容量および放電容量を向上させる観点から、多孔質体および繊維体が好ましく、多孔質体がより好ましい。
 前記セパレーターの厚さは、通常、ナトリウム二次電池における内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは20μm以上であり、ナトリウム二次電池の小型化を図るとともにレート特性を向上させる観点から、好ましくは400μm以下、より好ましくは100μm以下である。
 前記電池容器本体を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 前記電池容器本体の形状は、ナトリウム二次電池の用途などによって異なるので一概には決定することができないため、ナトリウム二次電池の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
 前記溶融塩電解質は、ナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である。ただし、前記ナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩は、塩化ナトリウムが除かれる。前記溶融塩電解質は、カチオンとして有機カチオンを含んでいるので、非晶質炭素内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からナトリウムカチオンが脱離する際の抵抗を低減させることができ、非晶質炭素の原子配列構造内へのナトリウムカチオンの挿入または非晶質炭素の原子配列構造内からのナトリウムカチオンの脱離を円滑に行なうことができる。
 前記アニオンとしては、例えば、ハロゲンアニオン;ハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオン;ハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンなどのハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアニオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記ハロゲンアニオンとしては、例えば、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオンまたはヨウ素アニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲンアニオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記ハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオンとしては、例えば、式(I):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基を示す)
で表わされるスルホニルアミドアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子のなかでは、十分な電気化学的安定性を確保する観点から、フッ素原子が好ましい。ハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などの炭素数1~10のパーフルオロアルキル基;パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘプチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基などの炭素数1~10のパークロロアルキル基;パーブロモメチル基、パーブロモエチル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘプチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基などの炭素数1~10のパーブロモアルキル基;パーヨードメチル基、パーヨードエチル基、パーヨードプロピル基、パーヨードブチル基、パーヨードペンチル基、パーヨードヘプチル基、パーヨードヘキシル基、パーヨードオクチル基などの炭素数1~10のパーヨードアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基のなかでは、溶融塩電解質の工業的生産が容易であることから、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基がより好ましく、パーフルオロメチル基がさらに好ましい。溶融塩電解質を構成するアニオンが式(I)で表わされるスルホニルアミドアニオンであるナトリウム二次電池は、優れた充放電サイクル特性を示す。
 式(I)で表わされるスルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホニルアミドアニオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのスルホニルアミドアニオンのなかでは、優れた充放電サイクル特性を確保する観点から、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
 前記ハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンとしては、例えば、式(II):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
(式中、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基を示す)
で表わされるスルホン酸アニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 式(II)において、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基である。式(II)におけるハロゲン原子は、式(I)におけるハロゲン原子と同様である。また、式(II)におけるハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基は、式(I)におけるハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 式(II)で表わされるスルホン酸アニオンとしては、例えば、トリフルオロメチルスルホン酸アニオン、フルオロスルホン酸アニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホン酸アニオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記アニオンのなかでは、前記溶融塩電解質の融点を低融点にする観点から、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオンが好ましい。前記アミドアニオンのなかでは、優れた充放電サイクル特性を確保する観点から、式(I)で表わされるスルホニルアミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましく、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンがさらに好ましい。
 前記有機カチオンとしては、三級オニウムカチオン、四級オニウムカチオンなどの有機オニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機カチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記三級オニウムカチオンとしては、例えば、式(III):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
(式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基、Aは硫黄原子を示す)
で表わされるカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 式(III)において、R4~R6は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ジメチルヘキシル基、トリメチルヘキシル基、エチルヘキシル基、オクチル基などの直鎖または分岐鎖を有するアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの炭素数1~10の脂環式アルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1~10のアルキル基のなかでは、十分な電気化学的安定性を確保する観点から、ジメチルへキシル基が好ましい。また、式(III)において、Aは、前記したように、硫黄原子である。
 式(III)で表わされるカチオンとしては、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 前記四級オニウムカチオンとしては、例えば、式(IV):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(式中、R7~R10はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルキルオキシアルキル基、Bは窒素原子またはリン原子を示す)
で表わされるカチオン、式(V):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VI):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(式中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされるイミダゾリニウムカチオン、式(VII):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
(式中、R15は炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされるピリジニウムカチオン、式(VIII):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
〔式中、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基、Yは直接結合、酸素原子、メチレン基または式(IX):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
(式中、R18は炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされる基を示す〕
で表わされるカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 式(IV)において、R7~R10は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルキルオキシアルキル基である。式(IV)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。炭素数1~10のアルキルオキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、2-メトキシエチル基、エトキシメチル基、2-エトキシエチル基、2-(n-プロポキシ)エチル基、2-(n-イソプロポキシ)エチル基、2-(n-ブトキシ)エチル基、2-イソブトキシエチル基、2-(tert-ブトキシ)エチル基、1-エチル-2-メトキシエチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
これらの炭素数1~10のアルキル基および炭素数1~10のアルキルオキシアルキル基のなかでは、十分な電気化学的安定性を確保する観点から、トリメチルヘキシル基が好ましい。また、式(IV)において、Bは、前記したように、窒素原子またはリン原子である。
 式(IV)で表わされるカチオンとしては、例えば、N,N-ジメチル-N-エチル-N-プロピルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-エトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-ブチルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-N-オクチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N-テトラブチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N-テトラペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N-テトラヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N,N-テトラヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N-テトラオクチルアンモニウムカチオンなどのアンモニウムカチオン;トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリプロピル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(2-メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオンなどのホスホニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 式(V)において、R11およびR12は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(V)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 式(V)で表わされるイミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイミダゾリウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 式(VI)において、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(VI)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 式(VI)で表わされるイミダゾリニウムカチオンとしては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウムカチオン、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウムカチオン、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリニウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリニウムカチオン、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリニウムカチオン、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウムカチオン、1-エチル-3-プロピルイミダゾリニウムカチオン、1-ブチル-3-エチルイミダゾリニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 式(VII)において、R15は、炭素数1~10のアルキル基である。式(VII)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 式(VII)で表わされるピリジニウムカチオンとしては、例えば、N-メチルピリジニウムカチオン、N-エチルピリジニウムカチオン、N-プロピルピリジニウムカチオン、N-ブチルピリジニウムカチオン、N-ペンチルピリジニウムカチオン、N-ヘキシルピリジニウムカチオン、N-ヘプチルピリジニウムカチオン、N-オクチルピリジニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのピリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 式(VIII)において、R16およびR17は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(VIII)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。また、式(VIII)において、Yは、直接結合、酸素原子、メチレン基または式(IX)で表わされる基である。式(IX)において、R18は、炭素数1~10のアルキル基である。式(IX)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 式(VIII)において、Yが直接結合であるカチオンは、式(X):
(式中、R19およびR20はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)
で表わされるピロリジニウムカチオンである。
 式(X)において、R19およびR20は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(X)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。式(X)で表わされるピロリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N-ジメチルピロリジニウムカチオン、N-エチル-N-メチルピロリジニウムカチオン、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムカチオン、N-ブチル-N-メチルピロリジニウムカチオン、N-エチル-N-ブチルピロリジニウムカチオン、N-メチル-N-ペンチルピロリジニウムカチオン、N-ヘキシル-N-メチルピロリジニウムカチオン、N-メチル-N-オクチルピロリジニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのピロリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(VIII)において、Yが酸素原子であるカチオンは、式(XI):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(式中、R21およびR22はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)
で表わされるモルホリニウムカチオンである。
 式(XI)において、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(XI)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。式(XI)で表わされるモルホリニウムカチオンとしては、例えば、N,N-ジメチルモルホリニウムカチオン、N-メチル-N-エチルモルホリニウムカチオン、N-メチル-N-プロピルモルホリニウムカチオン、N-メチル-N-ブチルモルホリニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモルホリニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 式(VIII)において、Yがメチレン基であるカチオンは、式(XII):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
(式中、R23およびR24はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)
で表わされるピペリジニウムカチオンである。
 式(XII)において、R23およびR24は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。式(XII)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。式(XII)で表わされるピペリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N-ジメチルピペリジニウムカチオン、N-メチル-N-エチルピペリジニウムカチオン、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムカチオン、N-ブチル-N-メチルピペリジニウムカチオン、N-メチル-N-ペンチルピペリジニウムカチオン、N-ヘキシル-N-メチルピペリジニウムカチオン、N-メチル-N-オクチルピペリジニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのピペリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 式(VIII)におけるYが式(IX)で表わされる基である場合、式(IX)において、R18は、炭素数1~10のアルキル基である。式(IX)における炭素数1~10のアルキル基は、式(III)における炭素数1~10のアルキル基と同様である。
 これらの有機カチオンのなかでは、十分なイオン伝導性および電気化学的安定性を確保するとともに、低い温度条件下で充放電反応を行なう観点から、式(IV)で表わされるカチオン、式(V)で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VII)で表わされるピリジニウムカチオン、式(X)で表わされるピロリジニウムカチオン、式(XII)で表わされるピペリジニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、式(X)で表わされるピロリジニウムカチオンがより好ましく、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムカチオンおよび式(V)で表わされる1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。
 前記溶融塩電解質がナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である場合、全カチオン中におけるナトリウムカチオンの量が十分なイオン伝導性を確保する観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上であり、溶融塩電解質の融点を下げる観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
 前記溶融塩電解質は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ナトリウムカチオン以外の金属カチオンをさらに含んでいてもよい。前記ナトリウムカチオン以外の金属カチオンとしては、例えば、ナトリウムカチオン以外のアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルミニウムカチオン、銀カチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記ナトリウムカチオン以外のアルカリ金属カチオンとしては、例えば、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 前記溶融塩電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオン以外の金属カチオンの含有率は、ナトリウム二次電池の充電容量および放電容量ならびに充放電サイクル特性を向上させる観点から、5モル%以下、好ましくは4.5モル%以下、より好ましくは4モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下、よりさらに好ましくは1モル%以下、特に好ましくは0モル%である。
 前記溶融塩電解質のなかでは、電気化学的安定性および低粘度を確保する観点から、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物およびナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)との混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。かかる混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量は、ナトリウム二次電池の充放電反応を行なう際のレート特性を向上させる観点から、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.2以上であり、溶融塩電解質の粘性の上昇を抑制してナトリウム二次電池内における当該溶融塩電解質の浸透性の低下を抑制するとともにナトリウム二次電池の製造時におけるナトリウム二次電池内への電解液の注液の操作の作業効率を向上させる観点から、好ましくは0.5モル以下、より好ましくは0.45モル以下である。
 前記電極ユニットが収容された電池容器本体内に充填される溶融塩電解質の量は、ナトリウム二次電池の用途、電池容器本体の大きさなどによって異なるので一概には決定することができないため、ナトリウム二次電池の用途、電池容器本体の大きさなどに応じて適宜決定することが好ましい。
 前記電池容器本体は、当該電池容器本体の開口部にガスケットおよび蓋体をかしめ固定することによって密封することができる。
 前記蓋体を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
 前記蓋体の形状は、電池容器本体およびガスケットの形状などによって異なるので一概には決定することができないため、電池容器本体およびガスケットの形状などに応じて適宜決定することが好ましい。前記蓋体の形状は、通常、レーザー溶接による封止が可能である形状であってもよく、ガスケットとともに電池容器本体の開口部にかしめ固定することができる形状であってもよい。
 前記ガスケットを構成する材料は、ナトリウム二次電池の使用温度での耐熱性、溶融塩電解質に対する耐食性および電気絶縁性を有する材料である。ガスケットを構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂;ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリエーテルケトン樹脂;フッ素ゴム、ガラス、セラミックス、ポリフェニルサルファイド、耐熱ポリ塩化ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ガスケットの厚さは、内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、リーク電流を抑制する観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。ガスケットの体積抵抗率は、リーク電流を抑制することができる範囲で適宜設定することができる。
 前記ガスケットの形状は、蓋体とともに電池容器本体の開口部にかしめ固定することができる形状であればよく、電池容器本体および蓋体の形状などによって異なるので一概には決定することができないため、電池容器本体および蓋体の形状などに応じて適宜決定することが好ましい。
 以上説明したように、本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池は、負極活物質として非晶質炭素が用いられているとともに、電解質として、ナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である溶融塩電解質が用いられているので、高い充電容量および放電容量を有し、しかも優れた充放電サイクル特性を有する。したがって、本発明の一実施形態であるナトリウム二次電池によれば、例えば、自動車用電源、電力網における電力貯蔵用の蓄電デバイスなどとして用いられることが期待されるものである。
 なお、本明細書に開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
 つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
(実験例1)
 融塩電解質を用いたときの難黒鉛化炭素の活物質としての性能を調べる目的で、金属ナトリウムを対極とし、かつ難黒鉛化炭素を正極活物質として用い、ハーフセルを組み立てた。
(1)正極の作製
 活物質としての難黒鉛化炭素の粒子〔(株)クレハ製、商品名:カーボトロンP、平均粒子径(d50):9μm〕と、バインダーとしてのポリアミドイミド〔ニッポン高度紙工業(株)製、商品名:SOXR-O〕とを、難黒鉛化炭素/ポリアミドイミド(質量比)が92/8となるように混合し、得られた混合物52gを溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン48gに懸濁することにより、ペースト状の電極材料を得た。つぎに、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)1cm2あたりの前記電極材料の塗布量が3.6mg、当該電極材料の塗膜の厚さが45μmとなるようにドクターブレードを用いてアルミニウム箔の片面に、前記で得られた電極材料を塗布することにより、電極材料の塗膜を形成させた。つぎに、電極材料の塗膜を有するアルミニウム箔を減圧(10Pa)下に150℃にて24時間乾燥させた後、乾燥後の電極材料の塗膜を有するアルミニウム箔をローラープレス機(プレスギャップ:40μm)で加圧することにより、正極板(厚さ:40μm)を得た。得られた正極板を直径12mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の正極を得た。
(2)対極の作製
 金属ナトリウム箔(厚さ:700μm)を直径14mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の対極を得た。
(3)セパレーターの作製
 厚さ200μmのガラス不織布を直径16mmの円板状に打ち抜くことにより、セパレーター(直径:16mm、厚さ:200μm)を得た。
(4)電解質の作製
 N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「P13FSA」という)と、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「NaFSA」という)とを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:0モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.1モル〕を得た。
(5)ハーフセルの組み立て
 前記(3)で得られたセパレーターに前記(4)で得られた電解質を含浸させた。その後、電解質を含浸させたセパレーターを介して前記(1)で得られた正極における電極材料の塗膜と前記(2)で得られた対極とが対向配置されるように、正極、対極およびセパレーターを圧接させて電極ユニットを得た。つぎに、得られた電極ユニットをコインセルケース(セルサイズ:CR2032)内に収容した。その後、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)製のガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口することにより、ハーフセルを得た。
(実験例2)
 実験例1において、電解質として、P13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:0モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.1モル〕を用いる代わりに、P13FSAとNaFSAとKFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA/KFSA(モル比):9/0.8/0.2、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:8モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:2モル%〕を用いたことを除き、実験例1と同様の操作を行なうことにより、ハーフセルを得た。
(実験例3)
 実験例1において、電解質として、P13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:0モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.1モル〕を用いる代わりに、P13FSAとカリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「KFSA」という)との混合溶融塩電解質〔P13FSA/KFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:10モル%〕を用いたことを除き、実験例1と同様の操作を行なうことにより、ハーフセルを得た。
(試験例1)
 実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれを90℃に加熱し、電流値:25mA/gにて実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれの充放電を繰り返して行なった。実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれについて、1サイクル目の充放電を行なったときの電圧、充電容量および放電容量を求めた。また、実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれについて、充放電のサイクル毎に、電圧範囲:0~1.2Vにおける放電容量を調べた。試験例1において、実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれの充放電曲線を図1に示す。図1中、(1a)は実験例1で得られたハーフセルの充電容量と電圧との関係、(1b)は実験例1で得られたハーフセルの放電容量と電圧との関係、(2a)は実験例2で得られたハーフセルの充電容量と電圧との関係、(2b)は実験例2で得られたハーフセルの放電容量と電圧との関係、(3a)は実験例3で得られたハーフセルの充電容量と電圧との関係、(3b)は実験例3で得られたハーフセルの放電容量と電圧との関係を示す。なお、本実験では、放電は、難黒鉛化炭素の原子配列構造内にナトリウムカチオンが挿入される反応であり、充電は難黒鉛化炭素の原子配列構造内からナトリウムカチオンが脱離する反応である。
 また、試験例1において、実験例1~3で得られたハーフセルそれぞれについて、サイクル数と充電容量との関係を調べた結果を図2に示す。図2中、白三角は実験例1で得られたハーフセルのサイクル数と充電容量との関係、黒三角は実験例2で得られたハーフセルのサイクル数と充電容量との関係、黒矩形は実験例3で得られたハーフセルのサイクル数と充電容量との関係を示す。
 図1に示された結果から、電解質としてP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質が用いられたハーフセル(実験例1)は、電解質としてP13FSAとKFSAとの混合溶融塩電解質が用いられたハーフセル(実験例3)と比べて、充電容量および放電容量が大きいことがわかる。また、図2に示された結果から、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%を超えるハーフセル(実験例3)では、充放電開始から4~5サイクル目で容量が1サイクルの充放電を行なったときの充電容量(以下、「初期容量」ともいう)の30%未満に低下するのに対し、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%以下であるハーフセル(実験例1および2)では、充放電を繰り返しても、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%を超えるハーフセル(実験例3)と比べて容量の変化が少ないことがわかる。
 これらの結果から、ナトリウムカチオンを含む電解質を用いるナトリウム二次電池において、ナトリウムカチオンを含む電解質として、ナトリウムカチオンを含み、かつ全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%以下である溶融塩電解質を用いることにより、充放電サイクル特性を向上させることができることがわかる。
(実験例4)
 実験例1において、電極材料のバインダーとして、ポリアミドイミドを用いる代わりにポリフッ化ビニリデン〔(株)クレハ製、商品名:KFポリマー〕を用いたことを除き、実験例1と同様の操作を行なうことにより、ハーフセルを得た。
(試験例2)
 実験例1および実験例4で得られたハーフセルそれぞれを90℃に加熱し、電流値:25mA/gにて実験例1および実験例4で得られたハーフセルそれぞれの充放電を繰り返して行なった。実験例1および実験例4で得られたハーフセルそれぞれについて、充放電のサイクル毎に、電圧範囲:0~1.2Vにおける充電容量を調べ、[〔(各サイクルの充電容量)/(初期容量)〕×100]にしたがって容量維持率を求めた。また、実験例1で得られたハーフセルについて、1サイクル目、3サイクル目、5サイクル目および10サイクル目の充放電を行なったときの電圧と電気容量とを求めた。試験例2において、実験例1および実験例4で得られたハーフセルそれぞれについて、サイクル数と容量維持率との関係を調べた結果を図3に示す。図3中、黒矩形は実験例1で得られたハーフセルのサイクル数と容量維持率との関係、白四角は実験例4で得られたハーフセルのサイクル数と容量維持率との関係を示す。
 また、試験例2において、実験例1で得られたハーフセルの充放電曲線を図4に示す。図4中、(1a)は1サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(1b)は1サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(2a)は3サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(2b)は3サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(3a)は5サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(3b)は5サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(4a)は10サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(4b)は10サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係を示す。
 図3に示された結果から、電極材料のバインダーとしてポリフッ化ビニリデンが用いられたハーフセル(実験例4)では、充放電開始から13サイクルでの容量維持率が60%未満であり、充放電のサイクル数が増えるほど容量維持率が著しく低下していることがわかる。ポリフッ化ビニリデンに含まれるフッ素原子は、金属ナトリウムとの反応性が高い原子である。そのため、電極材料のバインダーとしてポリフッ化ビニリデンが用いられたハーフセル(実験例4)では、充放電に際して、バインダーが劣化して集電体から活物質が剥離することから、充放電のサイクル数が増えるほど容量維持率が著しく低下すると考えられる。これに対して、図3および4に示された結果から、電極材料のバインダーとしてポリアミドイミドが用いられたハーフセル(実験例1)では、充放電のサイクル数が増えてもサイクル特性があまりかわらず、85%以上の容量維持率を確保していることがわかる。したがって、これらの結果から、ナトリウムカチオンを含む電解質を用いるナトリウム二次電池において、ナトリウムカチオンを含む電解質として、ナトリウムカチオンを含み、かつ全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%以下である溶融塩電解質を用い、かつ電極材料に用いられるバインダーとして、フッ素原子などのハロゲン原子を含まないバインダーを用いることにより、充放電サイクル特性を向上させることができることがわかる。
(実験例5)
 実験例1において、ハーフセルを組み立てる前に、実験例1(1)で得られた正極を大気中で24時間放置したこと以外は、実験例と同様の操作を行なうことにより、ハーフセルを得た。
(実験例6)
 実験例1において、ハーフセルを組み立てる前に、実験例1(1)で得られた正極を大気中で24時間放置した後、減圧(10Pa)下に90℃にて4時間乾燥させて当該正極の電極材料から水分を除去したこと以外は、実験例と同様の操作を行なうことにより、ハーフセルを得た。
(試験例3)
 実験例5および6で得られたハーフセルそれぞれを90℃に加熱し、電流値:25mA/gにて実験例5および6で得られたハーフセルそれぞれの充放電を繰り返して行なった。実験例5および6で得られたハーフセルそれぞれについて、1サイクル目の充放電を行なったときの電圧と電気容量とを求めた。試験例3において、実験例5および6で得られたハーフセルそれぞれの充放電曲線を図5に示す。図5中、(1a)は実験例5で得られたハーフセルの充電容量と電圧との関係、(1b)は実験例5で得られたハーフセルの放電容量と電圧との関係、(2a)は実験例6で得られたハーフセルの充電容量と電圧との関係、(2b)は実験例6で得られたハーフセルの放電容量と電圧との関係を示す。
 図5に示された結果から、大気中に放置後、乾燥させて当該正極の電極材料から水分を除去した正極が用いられたハーフセル(実験例6)では、充電容量が250以上であるのに対して、大気中に放置後、乾燥させていない正極が用いられたハーフセル(実験例5)では、充電容量が50未満であることがわかる。これらの結果から、ナトリウム二次電池を組み立てる前に、電極材料から水分を除去することにより、容量を向上させることができることがわかる。
(実験例7)
(1)正極の作製
 活物質としての難黒鉛化炭素の粒子〔(株)クレハ製、商品名:カーボトロンP、平均粒子径(d50):9μm〕と、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース〔和光純薬工業(株)製〕とを、難黒鉛化炭素/カルボキシメチルセルロース(質量比)が93/7となるように混合し、得られた混合物33gを溶媒としての純水67gに懸濁することにより、ペースト状の電極材料を得た。つぎに、得られた電極材料を、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)1cm2あたりの前記電極材料の塗布量が3.6mg、当該電極材料の塗膜の厚さが45μmとなるようにドクターブレードを用いてアルミニウム箔の片面に塗布し、電極材料の塗膜を形成させた。つぎに、電極材料の塗膜を有するアルミニウム箔を減圧下に150℃にて24時間乾燥させた。つぎに、乾燥後の電極材料の塗膜を有するアルミニウム箔をローラープレス機(プレスギャップ:40μm)で加圧することにより、正極板(厚さ:40μm)を得た。得られた正極板を直径12mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の正極を得た。得られた正極を減圧(20Pa)下に90℃にて4時間乾燥させた。
(2)対極の作製
 金属ナトリウム箔(厚さ:700μm)を直径14mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の対極を得た。
(3)セパレーターの作製
 厚さ200μmのガラス不織布を直径16mmの円板状に打ち抜くことにより、セパレーター(直径:16mm、厚さ:200μm)を得た。
(4)電解質の作製
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:0モル%〕を得た。
(5)ハーフセルの組み立て
 前記(3)で得られたセパレーターに前記(4)で得られた電解質を含浸させた。その後、電解質を含浸させたセパレーターを介して前記(1)で得られた正極における電極材料の塗膜と前記(2)で得られた対極とが対向配置されるように、正極、対極およびセパレーターを圧接させて電極ユニットを得た。つぎに、得られた電極ユニットをコインセルケース(セルサイズ:CR2032)内に収容した。その後、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)製のガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口することにより、ハーフセルを得た。
(試験例4)
 実験例7で得られたハーフセルを90℃に加熱し、電流値:25mA/gにて実験例7で得られたハーフセルの充放電を繰り返して行なった。実験例7で得られたハーフセルについて、1サイクル目、3サイクル目、5サイクル目および10サイクル目の充放電を行なったときの電圧と電気容量とを求めた。また、実験例7で得られたハーフセルについて、充放電のサイクル毎に、電圧範囲:0~1.2Vにおける充電容量および放電容量ならびにクーロン効率を求めた。試験例4において、実験例7で得られたハーフセルの充放電曲線を図6および7に示す。図6中、(1a)は1サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(1b)は1サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(2a)は3サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(2b)は3サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(3a)は5サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(3b)は5サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係、(4a)は10サイクル目の充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(4b)は10サイクル目の充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係を示す。また、図7中、(1a)は10~25サイクル目それぞれの充放電を行なったときの充電容量と電圧との関係、(1b)は10~25サイクル目それぞれの充放電を行なったときの放電容量と電圧との関係を示す。
 さらに、試験例4において、サイクル数と、充電容量、放電容量およびクーロン効率それぞれとの関係を調べた結果を図8に示す。図8中、黒矩形はサイクル数と充電容量との関係、白四角はサイクル数と放電容量との関係、黒三角はサイクル数とクーロン効率との関係を示す。
 図6および7に示された結果から、充放電開始から10サイクル以降の充放電曲線がほぼ重なっており、放電容量および充電容量が約210mAh/gに保たれていることがわかる。また、図8に示された結果から、充放電開始から10サイクル以降のクーロン効率は、約93.3%に保たれていることがわかる。これらの結果から、電極材料のバインダーとしてカルボキシメチルセルロースが用いられたハーフセル(実験例7)は、高い電気容量を有し、しかもサイクル特性に優れることがわかる。
(実施例1)
(1)正極の作製
 活物質としての亜クロム酸ナトリウムと、導電助剤としてのアセチレンブラック〔電気化学工業(株)製、商品名:デンカブラック〕と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン〔(株)クレハ製、商品名:KFポリマー〕とを、亜クロム酸ナトリウム/アセチレンブラック/ポリフッ化ビニリデン(質量比)が85/10/5となるように混合し、得られた混合物57gを溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン43gに懸濁することにより、ペースト状の正極材料を得た。つぎに、得られた正極材料を、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)1cm2あたりの前記正極材料の塗布量が15.3mg、当該正極材料の塗膜の厚さが80μmとなるようにドクターブレードを用いてアルミニウム箔の片面に塗布し、正極材料の塗膜を形成させた。つぎに、正極材料の塗膜を有するアルミニウム箔を減圧下に150℃にて24時間乾燥させた。つぎに、乾燥後の正極材料の塗膜を有するアルミニウム箔をローラープレス機(プレスギャップ:65μm)で加圧することにより、正極板(厚さ:65μm)を得た。
(2)負極の作製
 活物質としての難黒鉛化炭素の粒子〔(株)クレハ製、商品名:カーボトロンP、平均粒子径(d50):9μm〕と、バインダーとしてのポリアミドイミドとを、難黒鉛化炭素/ポリアミドイミド(質量比)が92/8となるように混合し、得られた混合物57gを溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン43gに懸濁することにより、ペースト状の負極材料を得た。つぎに、得られた負極材料を、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)1cm2あたりの前記負極材料の塗布量が3.3mg、当該負極材料の塗膜の厚さが100μmとなるようにドクターブレードを用いてアルミニウム箔の片面に塗布し、負極材料の塗膜を形成させた。つぎに、負極材料の塗膜を有するアルミニウム箔を減圧下に150℃にて24時間乾燥させた。つぎに、乾燥後の負極材料の塗膜を有するアルミニウム箔をローラープレス機(プレスギャップ:80μm)で加圧することにより、負極板(厚さ:80μm)を得た。得られた負極板を直径12mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の負極を得た。得られた負極を減圧(20Pa)下に90℃にて4時間乾燥させた。
(3)セパレーターの作製
 厚さ200μmのガラス不織布を直径16mmの円板状に打ち抜くことにより、セパレーター(直径:16mm、厚さ:200μm)を得た。
(4)電解質の作製
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、電解質の全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率:0モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.1モル〕を得た。
(5)ナトリウム二次電池の組み立て
 前記(3)で得られたセパレーターに前記(4)で得られた電解質を含浸させた。その後、電解質を含浸させたセパレーターを介して前記(1)で得られた正極における正極材料の塗膜と前記(2)で得られた負極における負極材料の塗膜とが対向配置されるように、正極、負極およびセパレーターを圧接させて電極ユニットを得た。つぎに、得られた電極ユニットをコインセルケース(セルサイズ:2032)内に収容した。その後、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)製のガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口することにより、ナトリウム二次電池を得た。
(試験例5)
 実施例1で得られたナトリウム二次電池を90℃に加熱し、電流値:25mA/gにて実施例1で得られたナトリウム二次電池の充放電を繰り返して行なった。実施例1で得られたナトリウム二次電池について、1サイクル目の充放電を行なったときの電圧と電気容量とを求めた。また、実施例1で得られたナトリウム二次電池について、充放電のサイクル毎に、電圧範囲:1.5~3.5Vにおける充電容量および放電容量を求めた。試験例5において、実施例1で得られたナトリウム二次電池の充放電曲線を図9に示す。図9中、(1a)は実施例1で得られたナトリウム二次電池の充電容量と電圧との関係、(1b)は実施例1で得られたナトリウム二次電池の放電容量と電圧との関係を示す。
 また、試験例5において、サイクル数と、充電容量および放電容量それぞれとの関係を調べた結果を図10に示す。図10中、(1)はサイクル数と充電容量との関係、(2)はサイクル数と放電容量との関係を示す。
 図9および10に示された結果から、1サイクルの充放電を行なったときの充電容量および放電容量は、それぞれ1.6mAhおよび1.3mAhであり、充放電開始から10サイクル以降では、充電容量および放電容量は、約1.2mAhに保たれていることがわかる。
 以上の結果から、ナトリウムカチオンを含む電解質を用いるナトリウム二次電池において、電解質として、ナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物であり、全カチオン中におけるカリウムカチオンの含有率が5モル%以下である溶融塩電解質を用いるとともに、負極材料に用いられるバインダーとしてフッ素原子などのハロゲン原子を含まないバインダーを用いることにより、高い充電容量および放電容量を確保することができ、充放電サイクル特性を向上させることができることがわかる。
(実施例2)
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):9/1、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:10モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.1モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例3)
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):8/2、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:20モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.2モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例4)
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):7/3、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:30モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.3モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例5)
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):6/4、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:40モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.4モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例6)
 P13FSAと、NaFSAとを、P13FSA/NaFSA(モル比)が9/1となるように混合し、電解質としてのP13FSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):5/5、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:50モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.5モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(試験例6)
 実施例2~6で得られたナトリウム二次電池を60℃または90℃に加熱し、充電レート:0.2Cレートの電流値、放電レート:0.2レートの電流値および電圧範囲1.5~3.5Vでの充放電試験を行なった。その結果、60℃で充放電試験を行なったときの初期サイクルにおける電池放電容量および90℃で充放電試験を行なったときの初期サイクルにおける電池放電容量は、電解質として実施例2~6で得られた混合溶融塩電解質のいずれの電解質を用いても、ほぼ一定の値を示した。
 つぎに、実施例2~6で得られたナトリウム二次電池を60℃に加熱し、充電レートとして0.2Cレートの電流値、放電レートとして1Cレート、2Cレートまたは4Cレートの電流値および電圧範囲1.5~3.5Vでの充放電試験を行ない、各放電レートでの放電容量比率(%)を求めた。なお、各放電レートでの放電容量比率(%)は、0.2Cでの放電容量を100%として算出した。その結果を表1に示す。
 また、実施例2~6で得られたナトリウム二次電池を90℃に加熱し、充電レートとして0.2Cレートの電流値、放電レートとして1Cレート、2Cレート、4Cレートまたは6Cレートの電流値および電圧範囲1.5~3.5Vでの充放電試験を行ない、各放電レートでの放電容量比率(%)を求めた。なお、各放電レートでの放電容量比率(%)は、0.2Cでの放電容量を100%として算出した。その結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
 表1および2に示された結果から、実施例2~6で得られたナトリウム二次電池を60℃に加熱した場合も90℃に加熱した場合も、電解質のナトリウム濃度が多くなるほど、放電容量比率が大きくなっており、放電レート特性が向上することがわかる。なお、実施例2~6で得られたナトリウム二次電池は、通常のサイクル寿命試験においても比較的安定な性能を示した。
 また、これらの結果から、NaFSAとP13FSAとの混合溶融塩電解質において、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量が0.1~0.55モルである場合、溶融塩電解質として、優れた性能を示すことがわかる。
 なお、ナトリウム濃度が60モル%を超えるようにNaFSAとP13FSAとを混合した混合溶融塩電解質(P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量が0.6モル)を用いて前記と同様の実験を行なったところ、電解質におけるナトリウム濃度が増えるほど溶融塩電解質の粘性が上昇し、電解液の浸透性やこの電池を製造する際の電解液の注液作業での作業性が低下する傾向があった。また、ナトリウム濃度が56mol%を超えると、電解質は、室温(25℃)で固体になった。
 これらの結果から、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量が0.1~0.55モル、好ましくは0.35~0.45モルである溶融塩電解質は、充放電性能および粘性の両方を満足するものであることが示唆される。
(実験例8~10)
 実験例1において、負極活物質である難黒鉛化炭素の粒子を、平均粒子径(d50)が4μm(実験例8)、9μm(実験例9)または20μm(実験例10)である難黒鉛化炭素の粒子に変更したことを除き、実験例1と同様の操作を行ない、ハーフセルを得た。
(試験例7)
 実験例8~10で得られたハーフセルそれぞれを90℃に加熱し、電流値:50mA/gにて電圧範囲:0~1.2Vにおける充電および放電を繰り返し行ない、放電容量と初回不可逆容量を求めた。その結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 表3に示された結果から、難黒鉛化炭素の平均粒子径(d50)が比較的小さい4μmである場合、初回不可逆容量が大きくなり、難黒鉛化炭素の平均粒子径(d50)が、比較的大きい20μmである場合、放電容量が低下することがわかる。これに対し、難黒鉛化炭素の平均粒子径(d50)が9μmである場合、放電容量が大きく。かつ初回不可逆容量が比較的小さい優れた性能を有することがわかる。これらの結果から、負極活物質として5~15μm、好ましくは7~12μmの平均粒子径(d50)を有する難黒鉛化炭素が用いられたナトリウム二次電池は、大きな放電容量を有し、かつ比較的小さい初回不可逆容量を有し、優れた性能を有することが示唆される。
(実験例11および12)
 実施例1において、電解質を、混合溶融塩電解質〔P13FSA/NaFSA(モル比):6/4、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:40モル%、P13FSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.4モル、水の含有量:0.015質量%(実験例11)または0.005質量%(実験例12)〕に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(試験例8)
 実験例11および12で得られたナトリウム二次電池を90℃に加熱し、充電レートおよび放電レートとして0.2Cレートの電流値および電圧範囲1.5~3.5Vでの充放電試験を行ない、初回不可逆容量を求めた。その結果、電解液における水の含有量が0.015質量%であるナトリウム二次電池の負極の初回不可逆容量は70mAh/gであった。これに対して、電解液における水の含有量が0.005質量%であるナトリウム二次電池の負極の初回不可逆容量は50mAh/gであった。これらの結果から、ナトリウム二次電池における水の含有量を極力制限することにより、初回不可逆容量を効果的に低減させることができることがわかる。したがって、溶融塩電解質における水の含有量は、なるべく少ないことが望まれ、0.01質量%以下、好ましくは0.005質量%以下とすることが望ましいことがわかる。
(実験例13)
 EMIFSAと、NaFSAとを、EMIFSA/NaFSA(モル比)が7/3となるように混合し、電解質としてのEMIFSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔EMIFSA/NaFSA(モル比):7/3、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:30モル%、EMIFSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.3モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例14)
 EMIFSAと、NaFSAとを、EMIFSA/NaFSA(モル比)が6/4となるように混合し、電解質としてのEMIFSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔EMIFSA/NaFSA(モル比):6/4、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:40モル%、EMIFSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.4モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(実施例15)
 EMIFSAと、NaFSAとを、EMIFSA/NaFSA(モル比)が5/5となるように混合し、電解質としてのEMIFSAとNaFSAとの混合溶融塩電解質〔EMIFSA/NaFSA(モル比):5/5、電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオンの含有率:50モル%、EMIFSAとNaFSAとの混合物1モルあたりのNaFSAの量:0.5モル〕を得た。実施例1において、電解質を前記で得られた混合溶融塩電解質に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、ナトリウム二次電池を得た。
(試験例9)
 実施例13~15で得られたナトリウム二次電池、および実施例5で得られたナトリウム二次電池を10℃の低温度条件で、充電レート:0.05Cレートの電流値、放電レート:0.1Cレート、0.2Cレート、0.5Cレートの3種類の電流値で、電圧範囲1.5~3.5Vでの充放電試験を行なった。その結果を表4に示す。なお、表中、10℃で充放電試験の各放電レートでの放電容量比率は、60℃で0.2Cでの充電と0.1Cでの放電で得られた放電容量比率を100%としたときの値である
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
 表4に示された結果から、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウムとの混合物およびナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物は、いずれも、10℃という低温領域においても優れた放電性能を有していることがわかる。この理由は、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物またはナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウムとの混合物が、電気化学的な安定性と電解質が低粘度であることに起因すると考えられる。したがって、これらの結果から、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物およびナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウムとの混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が用いられた電解質は、ナトリウム二次電池の電解質として特に有用であることが示唆される。

Claims (13)

  1.  ナトリウムカチオンを可逆的に含有する正極活物質を含む正極材料を正極集電体に担持させた正極と、
     ナトリウムカチオンを可逆的に含有する負極活物質を含む負極材料を負極集電体に担持させた負極と、
     少なくとも前記正極および負極の間に介在する電解質と、
     前記電解質を保持するとともに前記正極および負極を互いに隔離するセパレーターとを備えたナトリウム二次電池であって、
     前記負極活物質が非晶質炭素であり、前記電解質がナトリウムカチオンとアニオンとからなる塩と、有機カチオンとアニオンとからなる塩との混合物である溶融塩電解質であるナトリウム二次電池。
  2.  前記非晶質炭素が、難黒鉛化炭素である請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3.  前記難黒鉛化炭素の形状が粒子であり、当該粒子の平均粒子径(d50)が、5~15μmである請求項2に記載のナトリウム二次電池。
  4.  前記粒子の平均粒子径(d50)が、7~12μmである請求項3に記載のナトリウム二次電池。
  5.  前記溶融塩電解質における水の含有量が、0.01質量%以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  6.  前記溶融塩電解質における水の含有量が、0.005質量%以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  7.  前記溶融塩電解質の全カチオン中におけるナトリウムカチオン以外の金属カチオンの含有率が、5モル%以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  8.  前記アニオンが、式(I):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001

    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1~10のアルキル基を示す)
    で表わされるスルホニルアミドアニオンである請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  9.  前記スルホニルアミドアニオンが、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項8に記載のナトリウム二次電池。
  10.  前記有機カチオンが、式(IV):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (式中、R7~R10はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルキルオキシアルキル基、Bは窒素原子またはリン原子を示す)
    で表わされるカチオン、式(V):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003

    (式中、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VII):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004

    (式中、R15は炭素数1~10のアルキル基を示す)で表わされるピリジニウムカチオン、式(X):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005

    (式中、R19およびR20はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)
    で表わされるピロリジニウムカチオンおよび式(XII):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006

    (式中、R23およびR24はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す)
    で表わされるピペリジニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  11.  前記有機カチオンが、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムカチオンおよび1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  12.  前記溶融塩電解質がナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物およびナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドと1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)との混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であり、当該混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量が0.1~0.55モルである請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  13.  前記混合物1モルあたりのナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドの量が0.2~0.5モルである請求項12に記載のナトリウム二次電池。
     
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