JP2015041433A - ナトリウム溶融塩電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の溶融塩電池に比べて体積エネルギ密度が高く、且つ正極活物質の利用効率が高いナトリウム溶融塩電池を提供する。
【解決手段】ナトリウム溶融塩電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータとを備え、正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である。
【選択図】図1
【解決手段】ナトリウム溶融塩電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータとを備え、正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、正極活物質がナトリウム含有遷移金属酸化物を含み、且つ、溶融塩電解質がナトリウムイオン伝導性を有するナトリウム溶融塩電池に関する。
近年、太陽光や風などをエネルギ源とする再生可能エネルギを電気エネルギに変換する技術が注目を集めている。その様な技術の発展と共に、大きな電気エネルギを蓄えることが可能な体積エネルギ密度の高い電池が必要とされ、主に非水電解質二次電池の需要が拡大している。非水電解質二次電池の中でも、リチウムイオン二次電池が、軽量であって且つ高起電力を発現する点で有望である。しかし、リチウムイオン二次電池は、可燃性の有機電解液を含むことから、安全性の確保に要するコストが高く、且つ、高温域での継続的使用が困難である。又、リチウム資源の価格も上昇しつつある。
そこで、難燃性の溶融塩を電解質として用いる溶融塩電池の開発が進められている。溶融塩は、熱安定性に優れているため、安全性の確保が比較的容易であり、且つ、高温域での継続的使用に適している。又、溶融塩電池では、リチウム以外の安価なアルカリ金属(特にナトリウム)から成るイオンをカチオンとする溶融塩を、電解質として使用することが可能である。このため、溶融塩電池の製造コストは、安価である。
この様な溶融塩電池には、薄膜状の正極及び負極がセパレータを介して交互に積層された構造(例えば、特許文献1参照)や、セパレータを介して重ねられた帯状の正極及び負極が巻回された構造が、多く用いられている。
しかし、従来の溶融塩電池では、その構造上、体積エネルギ密度を向上させることに限界があった。その理由は、次の通りである。体積エネルギ密度を高めるためには、例えば、電極の厚さを大きくすることにより電極に含まれる活物質量を増やすことが考えられる。一方、電極の厚さが増すと、電極中の活物質全体に溶融塩電解質を浸透させることが困難になり、その結果、活物質の利用効率が低下する。
そこで本発明の目的は、従来の溶融塩電池に比べて体積エネルギ密度が高く、且つ正極活物質の利用効率が高いナトリウム溶融塩電池を提供することである。
本発明の一局面は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータとを備え、正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である、ナトリウム溶融塩電池に関する。
本発明の上記局面によれば、従来の溶融塩電池に比べて体積エネルギ密度が高くなり、且つ正極活物質の利用効率が高くなる。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータとを備え、正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である。尚、ナトリウム溶融塩電池では、ナトリウムイオンが、充放電反応に関与する電荷のキャリアとなる。又、体積エネルギ密度は、電池容量を、ナトリウム溶融塩電池の外法寸法に基づいて算出される体積で除して得られる物理量である。ここで、電池容量は、ナトリウム溶融塩電池内に含まれる正極活物質量から算出される正極の理論容量であると定義される。正極活物質に含まれるナトリウム含有遷移金属酸化物が、例えば亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)である場合、亜クロム酸ナトリウムの1gあたりの理論容量は、100mAhとされる。ここでは、ナトリウム含有遷移金属酸化物中の50%のナトリウムが充放電に関与すると仮定する。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータとを備え、正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である。尚、ナトリウム溶融塩電池では、ナトリウムイオンが、充放電反応に関与する電荷のキャリアとなる。又、体積エネルギ密度は、電池容量を、ナトリウム溶融塩電池の外法寸法に基づいて算出される体積で除して得られる物理量である。ここで、電池容量は、ナトリウム溶融塩電池内に含まれる正極活物質量から算出される正極の理論容量であると定義される。正極活物質に含まれるナトリウム含有遷移金属酸化物が、例えば亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)である場合、亜クロム酸ナトリウムの1gあたりの理論容量は、100mAhとされる。ここでは、ナトリウム含有遷移金属酸化物中の50%のナトリウムが充放電に関与すると仮定する。
上記ナトリウム溶融塩電池において、スラリーでは、溶融塩電解質が正極活物質全体に浸透する。従って、このスラリーが正極として用いられることにより、正極の形状や寸法に拘らず、正極活物質の利用効率が高まることになる。又、上記ナトリウム溶融塩電池によれば、正極を薄膜状や帯状に形成する必要がなく、従って、体積エネルギ密度を、従来の溶融塩電池に比べて高い150Wh/L以上の値にまで向上させることが出来る。
好ましい具体的な構成において、スラリーには、結着剤が含まれていない。結着剤は、一般的に、正極集電体に正極活物質を付着させると共に正極活物質どうしを結合させるために用いられる樹脂材料である。本構成においては、結着剤に代えて溶融塩電解質を正極活物質と混ぜることにより得られるスラリーが、正極として用いられる。この場合、積層構造や巻回構造を持った従来の溶融塩電池で必要であった薄膜状又は帯状の正極集電体が不要になると共に、結着剤が不要になる。その結果、体積エネルギ密度が更に向上することになる。
好ましい他の具体的な構成において、スラリーは、導電剤を更に含み、スラリーには、溶融塩電解質が、正極活物質及び導電剤の合計100質量部に対して10質量部以上100質量部以下の割合で含まれている。これにより、スラリーにおいて、正極活物質又は導電剤である固形成分の沈降が抑制され、スラリー状態が長時間維持されることになる。尚、スラリーの粘度は、好ましくは50000cP(=50Pa・s)以上である。
より具体的には、スラリーにおいて、導電剤は、正極活物質100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の割合で含まれている。これにより、十分な導電性を持った正極が得られると共に、体積エネルギ密度が高く維持される。導電剤として、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが用いられる。特にカーボンブラックは、少量の使用で十分な導電経路を形成するので好ましい。カーボンブラックとして、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。
上記ナトリウム溶融塩電池において、負極は、ナトリウムと合金を形成しない金属から構成された負極集電体を含んでいることが好ましい。ナトリウムと合金を形成しない金属として、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。又、負極は、セパレータを介してスラリーと対向する様に負極集電体に保持された負極活物質を更に含み、負極活物質は、ナトリウムと合金を形成する金属、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、及びチタン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。ナトリウムと合金を形成する金属として、例えば、亜鉛、錫などが挙げられる。
より具体的な構成において、負極集電体は、有底筒状の負極缶であり、セパレータは、負極缶と同軸の筒状に形成されると共に負極缶の内側に配置されている。そして、セパレータの内側にスラリーが充填されている。セパレータには、スラリーに含まれる溶融塩電解質の一部が含浸している。本構成によれば、積層構造や巻回構造を持った従来の溶融塩電池に比べてセパレータの体積が著しく小さくなり、その結果、体積エネルギ密度が向上することになる。一方、溶融塩電池の構造が積層構造である場合、正極及び負極の積層数の増加に伴ってセパレータの枚数も増え、その結果、セパレータの体積が増えることになる。又、溶融塩電池の構造が巻回構造である場合、正極及び負極の巻回数の増加に伴ってセパレータの巻回数も増え、その結果、セパレータの体積が増えることになる。この様なセパレータの体積の増加は、体積エネルギ密度の向上を妨げる。
上記ナトリウム溶融塩電池において、セパレータの全細孔容積(Vp)が、充電時に正極から負極に移動するナトリウムの体積の最大量(VNa)より大きいことが好ましい。ここで、移動したナトリウムの全てが金属として析出すると仮定した場合、単位電池容量あたりのナトリウムの析出量(体積)は3.0×10-4(cm3/Wh)となり、ナトリウムの移動量(VNa)は、ナトリウム溶融塩電池の電池容量(正極の理論容量)に基づいて算出される。これにより、析出したナトリウムが正極に到達することがセパレータによって防止され、その結果、正極と負極との間の電気的な短絡が防止される。尚、好ましくは、Vp≧1.25×VNaであり、より好ましくは、Vp≧1.5×VNaである。
[発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施形態の詳細について説明する。
図1は、本実施形態のナトリウム溶融塩電池を概念的に示した縦断面図である。図1に示す様に、ナトリウム溶融塩電池は、正極1、負極2、セパレータ3、底シート4、鍔シート6、ガスケット7、及び蓋体8を備えている。正極1は、スラリー11と、正極集電体12とを含んでいる。又、負極2は、負極活物質21と、負極集電体として機能する有底筒状の負極缶22とを含んでいる。
次に、本発明の実施形態の詳細について説明する。
図1は、本実施形態のナトリウム溶融塩電池を概念的に示した縦断面図である。図1に示す様に、ナトリウム溶融塩電池は、正極1、負極2、セパレータ3、底シート4、鍔シート6、ガスケット7、及び蓋体8を備えている。正極1は、スラリー11と、正極集電体12とを含んでいる。又、負極2は、負極活物質21と、負極集電体として機能する有底筒状の負極缶22とを含んでいる。
スラリー11は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、導電剤と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質とを含んでいる。一方、スラリー11には、結着剤が含まれていない。スラリー11において、正極活物質又は導電剤である固形成分の沈降を抑制し、スラリー状態を長時間維持させるためには、溶融塩電解質が、正極活物質及び導電剤の合計100質量部に対して10質量部以上100質量部以下の割合で含まれていることが好ましい。ここで、スラリー状態とは、正極活物質又は導電剤である固形成分(微粒子)が、沈降せずに溶融塩電解質中に分散した状態である。溶融塩電解質の割合を100質量部以下とすることにより、固形成分の沈降が生じ難くなる。尚、スラリー11の粘度は、好ましくは50000cP(=50Pa・s)以上である。又、正極のスラリー状態を維持するために、スラリー11には、ゲル化剤等が含まれていてもよい。但し、スラリー11は、その100質量%が、正極活物質と、導電剤と、溶融塩電解質とで構成されていることが好ましい。
ナトリウム含有遷移金属酸化物は、例えば、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)及び鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3Fe1/3Mn2/3O2など)から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。又、亜クロム酸ナトリウムのCr又はNaの一部を他元素で置換してもよく、鉄マンガン酸ナトリウムのFe、Mn、又はNaの一部を他元素で置換してもよい。例えば、Na1-xM1 xCr1-yM2 yO2(0≦x≦2/3、0≦y≦2/3、M1及びM2は、それぞれ独立に、Cr又はNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe及びAlから成る群から選択される少なくとも1種である。尚、M1はNaサイトを占める元素であり、M2はCrサイトを占める元素である。)や、Na2/3-xM3 xFe1/3-yMn2/3-zM4 y+zO2(0≦x≦1/3、0≦y≦1/3、0≦z≦1/3、M3及びM4は、それぞれ独立に、Fe、Mn、又はNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Al及びCrから成る群から選択される少なくとも1種である。尚、M3はNaサイトを占める元素であり、M4はFe又はMnサイトを占める元素である。)などが、ナトリウム含有遷移金属酸化物として用いられてもよい。又、ナトリウム含有遷移金属酸化物として、NaMnF3、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4、NaMn1.5Ni0.5O4、NaMn0.5Ni0.5O2、TiS2、FeF3などが用いられてもよい。正極活物質には、これらのナトリウム含有遷移金属酸化物が単独で含まれていてもよいし、複数種の組合せで含まれていてもよい。
導電剤として、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが用いられる。導電剤は、正極活物質100質量部に対して10質量部以上100質量部以下の割合でスラリー11に含まれており、10質量部以上40質量部以下の割合で含まれていることがより好ましい。これにより、十分な導電性を持った正極が得られると共に、体積エネルギ密度が高く維持される。特に、カーボンブラックは、少量の使用で十分な導電経路を形成するので好ましい。カーボンブラックとして、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。
溶融塩電解質は、融点以上の温度でイオン液体となる塩(溶融塩)を含む。又、溶融塩電解質は、カチオンとして充放電反応に関与するナトリウムイオン(電荷のキャリア)を含む。この様な溶融塩電解質は、例えば、N(SO2X1)(SO2X2)・Na(但し、X1およびX2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基である。)で表される塩を含む。溶融塩電解質の耐熱性を維持する観点から、溶融塩電解質の90質量%以上、好ましくは99質量%以上の部分が、溶融塩で占められていることが好ましい。
X1及びX2で表されるフルオロアルキル基においては、アルキル基の一部の水素原子がフッ素原子で置き換わっていてもよく、全ての水素原子がフッ素原子で置き換わったパーフルオロアルキル基であってもよい。イオン液体の粘度を低減する観点から、好ましくは、X1及びX2のうち少なくとも一方がパーフルオロアルキル基であり、特に好ましくは、X1及びX2の双方がパーフルオロアルキル基である。炭素数を1〜8とすることにより、電解質の融点の上昇が抑制され、低粘度のイオン液体を得ることが可能になる。特に低粘度のイオン液体を得るという観点から、好ましくは、パーフルオロアルキル基の炭素数は1〜3であり、特に好ましい炭素数は1又は2である。具体的には、X1及びX2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などである。
N(SO2X1)(SO2X2)で表されるビス(スルホニル)アミドアニオンの具体例として、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA-)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA-)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニルトリフルオロメチルスルホニルアミドアニオン(N(FSO2)(CF3SO2))などが挙げられる。
従って、N(SO2X1)(SO2X2)・Naで表される溶融塩の具体例として、ナトリウムイオンとFSA-との塩であるナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(NaFSA)や、ナトリウムイオンとTFSA-との塩であるナトリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(NaTFSA)などが挙げられる。
ナトリウム溶融塩電池に用いられる溶融塩としては、融点の低いものが好ましい。溶融塩の融点を低下させるという観点から、溶融塩電解質は、2種以上の溶融塩の混合物であることが好ましい。従って、溶融塩電解質には、ナトリウムイオン以外のカチオンを含んだ溶融塩が含まれていることが好ましい。この様な溶融塩として、例えば、N(SO2X1)(SO2X2)・M(但し、Mは、ナトリウム以外のアルカリ金属から成るカチオン、又は有機カチオンである。)で表される化合物が挙げられる。
Mで表される、アルカリ金属から成るカチオンとして、例えば、カリウムイオン、リチウムイオン、ルビジウムイオン、及びセシウムイオンなどが挙げられる。
又、Mで表される有機カチオンとして、例えば、窒素含有カチオン、イオウ含有カチオン、リン含有カチオンなどが挙げられる。これらの中でも窒素含有カチオンが好ましく、窒素含有カチオンとして、例えば、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンに由来するカチオン(第4級アンモニウムカチオンなど);窒素含有へテロ環を有する有機カチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などが挙げられる。特に、有機カチオンは、融点の低い溶融塩を形成し且つ高温でも安定であるという点で好ましい。
窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾール、ピリジン、ピペリジンなど、環の構成原子として1又は2個の窒素原子を有する5〜8員ヘテロ環;モルホリンなど、環の構成原子として1又は2個の窒素原子と他のヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子など)とを有する5〜8員ヘテロ環などが挙げられる。
環の構成原子である窒素原子は、アルキル基などの有機基を置換基として有していてもよい。アルキル基として、例えば、炭素数が1〜10個である、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。尚、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1、2又は3である。
窒素含有ヘテロ環骨格の中では、特に、ピロリジン、ピリジン、又はイミダゾリンを有するものが好ましい。ピロリジン骨格を有する有機カチオンは、ピロリジン環を構成する1つの窒素原子に対して2つの上記アルキル基を有していることが好ましい。ピリジン骨格を有する有機カチオンは、ピリジン環を構成する1つの窒素原子に対して1つの上記アルキル基を有していることが好ましい。イミダゾリン骨格を有する有機カチオンは、イミダゾリン環を構成する2つの窒素原子の各々に対して1つの上記アルキル基を有していることが好ましい。
ピロリジン骨格を有する有機カチオンの具体例として、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジエチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(Py13+:1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPY+:1-butyl-1-methylpyrrolidinium cation)、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。特に、Py13+、MBPY+など、メチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するピロリジニウムカチオンは、電気化学的安定性が高いという点で好ましい。
ピリジン骨格を有する有機カチオンの具体例として、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−プロピルピリジニウムカチオンなどの1−アルキルピリジニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキル基を有するピリジニウムカチオンが好ましい。
イミダゾリン骨格を有する有機カチオンの具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI+: 1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI+:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、EMI+、BMI+など、メチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するイミダゾリウムカチオンが好ましい。
第4級アンモニウムカチオンとして、例えば、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン(TEA+:ethyltrimethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA+:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(テトラC1-10アルキルアンモニウムカチオンなど)などが挙げられる。尚、第4級アンモニウムカチオンの窒素原子に結合したアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1、2又は3である。
イオウ含有カチオンとして、例えば、第3級スルホニウムカチオンが挙げられる。第3級スルホニウムカチオンは、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキルスルホニウムカチオンなど)などを含む。尚、第3級スルホニウムカチオンのイオウ原子に結合したアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1、2又は3である。
リン含有カチオンとして、例えば、第4級ホスホニウムカチオンが挙げられる。第4級ホスホニウムカチオンは、例えば、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラC1-10アルキルホスホニウムカチオン);トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどのアルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキル(C1-5アルコキシC1-5アルキル)ホスホニウムカチオンなど)などを含む。尚、アルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオンにおいて、リン原子に結合したアルキル基及びアルコキシアルキル基の合計個数は4個であり、好ましくは、アルコキシアルキル基の個数は1又は2個である。又、第4級ホスホニウムカチオンのリン原子に結合したアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1、2又は3である。
N(SO2X1)(SO2X2)・Mで表される、有機カチオンを含んだ溶融塩の具体例として、Py13+とFSA-との塩であるメチルプロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(Py13FSA)や、Py13+とTFSA-との塩であるメチルプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(Py13TFSA)などが挙げられる。
スラリー11は、負極缶22の内側に充填されており、スラリー11と負極2との間にはセパレータ3又は底シート4が介在している。具体的には、セパレータ3は、負極缶22と同軸の筒状に形成されており、負極缶22の内側に、負極缶22の内側面24に沿って配置されている。又、底シート4は、負極缶22の内底面25のうちセパレータ3の内側の領域を全体的に覆っている。そして、セパレータ3の内側にスラリー11が充填されている。
ここで、セパレータ3は、多孔質状のシートであり、スラリー11中の正極活物質と負極2とを互いに離間させる機能を有する一方で、正極活物質と負極2との間でナトリウムイオンを移動させる経路を有している。セパレータ3を構成する材料には、例えば、ポリオレフィン、ガラス繊維、ポリフェニレンサルファイド、アラミドなどが用いられる。セパレータ3の厚さは、350μm以上2000μm以下であることが好ましい。底シート4は、スラリー11が負極22の内底面25に接触することを阻止するものである。この様に、スラリー11中の正極活物質と負極2とは、これらの間にセパレータ3又は底シート4が介在することにより、互いに物理的に離間している。その一方で、セパレータ3には、スラリー11に含まれる溶融塩電解質の一部が含浸している。尚、底シート4は、ナトリウムイオンを通過させないシートであることが、充放電反応を安定させる点で好ましい。
負極缶22は、ナトリウムと合金を形成しない金属から構成されている。ナトリウムと合金を形成しない金属として、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。負極活物質21は、セパレータ3を介してスラリー11と対向する様に、負極缶22の内側面24に保持されている。
負極活物質21は、ナトリウムと合金を形成する金属、難黒鉛化性炭素、及びチタン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも1種を含んでいる。ナトリウムと合金を形成する金属として、例えば、亜鉛、錫などが挙げられる。
難黒鉛化性炭素は、不活性雰囲気中で加熱されたとしても黒鉛構造が発達しない炭素材料であり、難黒鉛化性炭素では、微小な黒鉛の結晶がランダムな方向に配置され、且つ結晶層と結晶層との間にナノオーダーの空隙が存在している。代表的なアルカリ金属であるナトリウムは、そのイオンの直径が0.95オングストロームであることから、難黒鉛化性炭素に存在する空隙の大きさは、これより十分に大きいことが好ましい。難黒鉛化性炭素の平均粒径(体積粒度分布の累積体積50%における粒径D50)は、負極2における負極活物質21の充填性を高めると共に電解質(溶融塩)との副反応を抑制するという観点から、例えば3〜20μmであればよく、5〜15μmであることが好ましい。又、難黒鉛化性炭素の比表面積は、ナトリウムイオンの受け入れ性を確保すると共に電解質との副反応を抑制するという観点から、例えば1〜10m2/gであればよく、3〜8m2/gであることが好ましい。難黒鉛化性炭素は、1種が単独で用いられてもよいし、複数種が組み合わされて用いられてもよい。
チタン酸ナトリウムは、Na2Ti3O7及びNa4Ti5O12よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。又、チタン酸ナトリウムのTi又はNaの一部が、他元素に置換されていてもよい。例えば、Na2-xM5 xTi3-yM6 yO7(0≦x≦3/2、0≦y≦8/3、M5及びM6は、それぞれ独立に、Ti又はNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、Al、及びCrよりなる群から選択される少なくとも1種である。尚、M5はNaサイトを占める元素であり、M6はTiサイトを占める元素である。)や、Na4-xM7 xTi5-yM8 yO12(0≦x≦11/3、0≦y≦14/3、M7及びM8は、それぞれ独立に、Ti又はNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、Al、及びCrよりなる群から選択される少なくとも1種である。尚、M7はNaサイトを占める元素であり、M8はTiサイトを占める元素である。)等を、チタン酸ナトリウムとして用いることが出来る。チタン酸ナトリウムは、1種が単独で用いられてもよいし、複数種が組み合わされて用いられてもよい。
負極活物質21は、三次元網目状で中空の骨格を有する金属製の網目状集電体(負極集電体22とは別の集電体)の細孔内に充填されることにより、その網目状集電体に保持されていてもよい。この場合、負極缶22とセパレータ3との間にシート状の網目状集電体が介在し、この網目状集電体に負極活物質21が保持されることになる。網目状集電体は、嵩高い三次元構造を有する一方で極めて軽量である。又、網目状集電体は、例えば次の様に形成される。即ち、連続した空隙を有する樹脂製の多孔体に対して、網目状集電体を構成する金属を用いてメッキ処理を施し、これにより、三次元網目状の骨格を形成する。その後、加熱処理等により樹脂を分解又は溶解させ、これにより、骨格の内部を中空にする。尚、負極活物質21を保持する網目状集電体は、ナトリウムと合金を形成しない金属から構成されていることが好ましい。
正極集電体12は、柱状を呈しており、その一部がスラリー11の液面から突出する様に、スラリー11に浸けられている。正極集電体12には、例えば、アルミニウム製の棒状体が用いられる。鍔シート6は、その中央に形成された貫通孔61を有し、この貫通孔61に正極集電体12を貫通させた状態でスラリー11の液面に配置されている。
ガスケット7は、その中央に設けられた開口部71を有し、この開口部71に正極集電体12が嵌挿されると共に、正極集電体12の端部13を開口部71から露出させている。ガスケット7は、正極集電体12と共に、負極缶22の開口23を封止している。尚、ナトリウム溶融塩電池の密閉性を向上させるべく、ガスケット7と正極集電体12との接触面間や、ガスケット7と負極缶22の内側面24との接触面間には、耐熱性の高い樹脂製の封止剤が介在していてもよい。
正極端子8は、正極集電体12の端部13に電気的に接続されることにより外部端子として機能すると共に、負極缶22の開口23を塞ぐ蓋としても機能している。具体的には、正極端子8は、外側に向けて突出した凸部81と、この凸部81と表裏一体に形成された凹部82とを有している。そして、凹部82に正極集電体12の端部13が嵌合されることにより、正極集電体12と正極端子8とが互いに電気的に接続されている。
本実施形態のナトリウム溶融塩電池において、スラリー11では、溶融塩電解質が正極活物質全体に浸透している。従って、このスラリー11が正極として用いられることにより、正極の形状や寸法に拘らず、正極活物質の利用効率が高まることになる。又、本実施形態のナトリウム溶融塩電池によれば、正極を薄膜状や帯状に形成する必要がなく、従って、体積エネルギ密度を、従来の溶融塩電池に比べて高い150Wh/L以上の値、更には210Wh/L以上の値にまで向上させることが出来る。尚、ナトリウム溶融塩電池の出力特性を確保する観点から、体積エネルギ密度の上限は、例えば360Wh/Lである。
又、本実施形態のナトリウム溶融塩電池において、スラリー11には、結着剤が含まれていない。結着剤は、一般的に、正極集電体に正極活物質を付着させると共に正極活物質どうしを結合させるために用いられる樹脂材料である。本構成においては、結着剤に代えて溶融塩電解質を正極活物質と混ぜることにより得られるスラリー11が、正極として用いられる。この場合、積層構造や巻回構造を持った従来の溶融塩電池で必要であった薄膜状又は帯状の正極集電体が不要になると共に、結着剤が不要になる。その結果、体積エネルギ密度が更に向上することになる。
更に、本実施形態のナトリウム溶融塩電池において、セパレータ3は、負極缶22と同軸の筒状に形成されて負極缶22の内側に配置されている。そして、セパレータ3の内側にスラリー11が充填されている。従って、本実施形態のナトリウム溶融塩電池によれば、積層構造や巻回構造を持った従来の溶融塩電池に比べてセパレータ3の体積が著しく小さくなり、その結果、体積エネルギ密度が向上することになる。
[変形例]
図2は、上述したナトリウム溶融塩電池の変形例を示した縦断面図である。図2に示す様に、ナトリウム溶融塩電池は、負極活物質21のない構成を有していてもよい。尚、変形例のナトリウム溶融塩電池の構成は、負極活物質21を持たない点を除いて、図1に示される上記実施形態の構成と同じである。
図2は、上述したナトリウム溶融塩電池の変形例を示した縦断面図である。図2に示す様に、ナトリウム溶融塩電池は、負極活物質21のない構成を有していてもよい。尚、変形例のナトリウム溶融塩電池の構成は、負極活物質21を持たない点を除いて、図1に示される上記実施形態の構成と同じである。
本変形例のナトリウム溶融塩電池において、セパレータ3の厚さは、セパレータ3の全細孔容積(Vp)が、充電時にスラリー11から負極缶22の内側面24に移動するナトリウムの体積の最大量(VNa)より大きくなる厚さであることが好ましい。ここで、移動したナトリウムの全てが金属として析出すると仮定した場合、単位電池容量あたりのナトリウムの析出量(体積)は3.0×10-4(cm3/Wh)となり、ナトリウムの移動量(VNa)は、ナトリウム溶融塩電池の電池容量(正極の理論容量)に基づいて算出される。これにより、析出したナトリウムが正極1に到達することがセパレータ3によって防止され、その結果、正極1と負極2との間の電気的な短絡が防止される。尚、好ましくは、Vp≧1.25×VNaであり、より好ましくは、Vp≧1.5×VNaである。
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、ナトリウム溶融塩電池の形状には、上記実施形態の形状に限らず、スラリー11を保持することが可能な様々な形状が採用されてもよい。例えば、三次元網目状で中空の骨格を有する金属製の網目状集電体(正極集電体12とは別の集電体)の細孔内に、スラリー11を充填することにより、網目状集電体にスラリー11を保持させてもよい。スラリー11を保持する網目状集電体は、例えば、アルミニウム、ニッケル、又はこれらの合金等から構成される。
本発明に係るナトリウム溶融塩電池は、例えば、家庭用又は工業用の大型電力貯蔵装置として有用である。
1 正極
11 スラリー
12 正極集電体
13 端部
2 負極
21 負極活物質
22 負極缶
23 開口
24 内側面
25 内底面
3 セパレータ
4 底シート
6 鍔シート
61 貫通孔
7 ガスケット
71 開口部
8 正極端子
81 凸部
82 凹部
11 スラリー
12 正極集電体
13 端部
2 負極
21 負極活物質
22 負極缶
23 開口
24 内側面
25 内底面
3 セパレータ
4 底シート
6 鍔シート
61 貫通孔
7 ガスケット
71 開口部
8 正極端子
81 凸部
82 凹部
従って、N(SO2X1)(SO2X2)・Naで表される溶融塩の具体例として、ナトリウムイオンとFSA-との塩であるナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)や、ナトリウムイオンとTFSA-との塩であるナトリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NaTFSA)などが挙げられる。
窒素含有ヘテロ環骨格の中では、特に、ピロリジン、ピリジン、又はイミダゾールの骨格が好ましい。ピロリジン骨格を有する有機カチオンは、ピロリジン環を構成する1つの窒素原子に対して2つの上記アルキル基を有していることが好ましい。ピリジン骨格を有する有機カチオンは、ピリジン環を構成する1つの窒素原子に対して1つの上記アルキル基を有していることが好ましい。イミダゾール骨格を有する有機カチオンは、イミダゾール環を構成する2つの窒素原子の各々に対して1つの上記アルキル基を有していることが好ましい。
イミダゾール骨格を有する有機カチオンの具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI+: 1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI+:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、EMI+、BMI+など、メチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するイミダゾリウムカチオンが好ましい。
第4級アンモニウムカチオンとして、例えば、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA+:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA+:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(テトラC1-10アルキルアンモニウムカチオンなど)などが挙げられる。尚、第4級アンモニウムカチオンの窒素原子に結合したアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1、2又は3である。
N(SO2X1)(SO2X2)・Mで表される、有機カチオンを含んだ溶融塩の具体例として、Py13+とFSA-との塩であるメチルプロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(Py13FSA)や、Py13+とTFSA-との塩であるメチルプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(Py13TFSA)などが挙げられる。
Claims (8)
- 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在したセパレータとを備え、
前記正極は、ナトリウム含有遷移金属酸化物を含む正極活物質と、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質と、を含んだスラリーを含み、
体積エネルギ密度が、150Wh/L以上である、ナトリウム溶融塩電池。 - 前記スラリーには、結着剤が含まれていない、請求項1に記載のナトリウム溶融塩電池。
- 前記スラリーは、導電剤を更に含み、
前記スラリーには、前記溶融塩電解質が、前記正極活物質及び前記導電剤の合計100質量部に対して10質量部以上100質量部以下の割合で含まれている、請求項1又は請求項2に記載のナトリウム溶融塩電池。 - 前記スラリーには、前記導電剤が、前記正極活物質100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の割合で含まれている、請求項3に記載のナトリウム溶融塩電池。
- 前記負極は、ナトリウムと合金を形成しない金属から構成された負極集電体を含む、請求項1〜4の何れか1つに記載のナトリウム溶融塩電池。
- 前記負極集電体は、有底筒状の負極缶であり、前記セパレータは、前記負極缶と同軸の筒状に形成されると共に前記負極缶の内側に配置されており、前記セパレータの内側に前記スラリーが充填されている、請求項5に記載のナトリウム溶融塩電池。
- 前記負極は、前記セパレータを介して前記スラリーと対向する様に前記負極集電体に保持された負極活物質を更に含み、前記負極活物質は、ナトリウムと合金を形成する金属、難黒鉛化性炭素、及びチタン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5又は請求項6に記載のナトリウム溶融塩電池。
- 前記セパレータの全細孔容積が、充電時に前記正極から前記負極に移動するナトリウムの体積の最大量より大きい、請求項1〜7の何れか1つに記載のナトリウム溶融塩電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013170688A JP2015041433A (ja) | 2013-08-20 | 2013-08-20 | ナトリウム溶融塩電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018073573A (ja) * | 2016-10-27 | 2018-05-10 | 株式会社豊田中央研究所 | 二次電池 |
JP2019204584A (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池 |
-
2013
- 2013-08-20 JP JP2013170688A patent/JP2015041433A/ja active Pending
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US10897043B2 (en) | 2016-10-27 | 2021-01-19 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Secondary battery |
JP2019204584A (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池 |
JP7294774B2 (ja) | 2018-05-21 | 2023-06-20 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池 |
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