JP2016076463A - 非水電解質、ナトリウムイオン二次電池、充放電方法および充放電システム - Google Patents

非水電解質、ナトリウムイオン二次電池、充放電方法および充放電システム Download PDF

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昂真 沼田
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耕司 新田
将一郎 酒井
Shoichiro Sakai
将一郎 酒井
篤史 福永
Atsushi Fukunaga
篤史 福永
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瑛子 今▲崎▼
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Abstract

【課題】低温での充電または放電に適した非水電解質およびナトリウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質であって、前記非水電解質は、ナトリウムイオンと第一アニオンとの第一塩と、有機カチオンと第二アニオンとの第二塩とを含み、前記有機カチオンは、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン:Py13+および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン:EMI+を含む、非水電解質である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質およびナトリウムイオン二次電池に関し、低温域、特に−20℃以上10℃以下での充電または放電にも適したナトリウムイオン二次電池に関する。
近年、太陽光、風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が注目を集めている。また、多くの電気エネルギーを蓄えることができる高エネルギー密度の電池として、非水電解質二次電池の需要が拡大している。非水電解質二次電池の中では、リチウムイオン二次電池が、軽量かつ高い起電力を有する点で有望である。しかし、リチウムイオン二次電池は、有機溶媒を電解質成分として用いるため、耐熱性が低いという欠点がある。また、非水電解質二次電池の市場の拡大に伴い、リチウム資源の価格も上昇しつつある。そこで、耐熱性が高く、かつ低コストでの生産が期待できる、イオン液体を電解質に用いたナトリウムイオン二次電池の開発が進められている。
電池に使用されるイオン液体としては、例えば、90℃以下の融点を有するイオン液体として、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)とカリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(KFSA)との混合物が開発されている(特許文献1)。また、有機カチオンを含むイオン液体の中には、常温で液状を呈するものが知られている。
特開2011−192474号公報
イオン液体は、耐熱性が高い一方で、低温では粘度が高いことが知られている。そのため、イオン液体を電解質に用いた二次電池は、室温以上の温度で使用することが想定されている。一般的に、高温域になるとイオン液体の粘度が低くなって、活物質の利用率が高くなるためである。
しかし、近年、二次電池の用途は多様化しており、広い温度域において使用でき、かつ、安全性の高い二次電池の開発が求められている。
本発明の第一の局面は、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質であって、前記非水電解質は、ナトリウムイオンと第一アニオンとの第一塩と、有機カチオンと第二アニオンとの第二塩とを含み、前記有機カチオンは、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン:Py13+および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン:EMI+を含む、非水電解質に関する。
本発明の第二の局面は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、前記非水電解質と、を含む、ナトリウムイオン二次電池に関する。
本発明の第三の局面は、前記ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する工程と、前記検知された温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する工程と、を有する、ナトリウムイオン二次電池の充放電方法に関する。
本発明の第四の局面は、前記ナトリウムイオン二次電池と、前記ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する温度測定部と、前記ナトリウムイオン二次電池の充電電流Iinを制御する充電制御装置と、前記ナトリウムイオン二次電池の放電電流Ioutを制御する放電制御装置と、を具備し、前記温度測定部により検知された前記ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する、ナトリウムイオン二次電池の充放電システムに関する。
本発明の非水電解質を用いたナトリウムイオン二次電池は、低温域、特に−20℃以上10℃以下での充放電においても、高い利用率を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る充放電システムの概要を示す構成図である。
[発明の実施形態の説明]
最初に発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の第一の局面は、(1)ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質であって、前記非水電解質は、ナトリウムイオンと第一アニオンとの第一塩と、有機カチオンと第二アニオンとの第二塩とを含み、前記有機カチオンは、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン:Py13+および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン:EMI+を含む、非水電解質に関する。これを用いたナトリウムイオン二次電池は、例えば、−20℃以上10℃以下の低温域で充放電した場合でも、高い活物質の利用率(以下、単に利用率と称する場合がある)を得ることが可能となる。
(2)有機カチオンにおけるPy13+とEMI+との合計の濃度は、90モル%以上であることが好ましく、(3)Py13+とEMI+との合計に占めるPy13+の割合は、25〜75モル%であることが好ましい。低温域(例えば−20℃以上10℃以下)での利用率が、さらに向上するためである。
(4)本発明の第二の局面は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、前記非水電解質と、を含む、ナトリウムイオン二次電池に関する。
(5)本発明の第三の局面は、前記ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する工程と、前記検知された温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する工程と、を有する、ナトリウムイオン二次電池の充放電方法に関する。(6)ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上であれば、低温域、例えば10℃以下であっても、充電または放電を開始してもよい。
(7)本発明の第四の局面は、前記ナトリウムイオン二次電池と、前記ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する温度測定部と、前記ナトリウムイオン二次電池の充電電流Iinを制御する充電制御装置と、前記ナトリウムイオン二次電池の放電電流Ioutを制御する放電制御装置と、を具備し、前記温度測定部により検知された前記ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する、ナトリウムイオン二次電池の充放電システムに関する。
この充放電方法および充放電システムによれば、低温域において充放電を開始することができるため、例えば、寒冷地で電源として使用する場合の利便性が向上する。低温域とは、例えば、−20℃〜T℃の温度域であり、T℃は、10℃、5℃、0℃、−5℃などである。−20℃以下の寒冷地での充放電開始時期を早める観点からは、−20℃以上で充放電を開始することが好ましい。一方、利用率を高める観点からは、例えば、−10℃以上、−5℃以上または0℃以上で充放電を開始しても良い。なお、イオン液体を非水電解質の主成分として含む二次電池を寒冷地で用いる場合、電池温度が60℃程度になるまで電池を加温し、その後、充放電を開始するのが一般的である。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態を具体的に以下に説明する。なお、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[非水電解質]
非水電解質は、ナトリウムイオンと第一アニオンとの第一塩と、有機カチオンと第二アニオンとの第二塩とを含む。有機カチオンは、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation、以下、Py13+と称す)および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(1-ethyl-3-methylimidazolium cation、以下、EMI+と称す)を含む。
第一塩を構成するナトリウムイオンの濃度は、非水電解質に含まれるカチオン、多くの場合はナトリウムイオンと有機カチオンとの合計に対して、20〜50モル%であることが好ましく、25〜45モル%であることがより好ましい。ナトリウムイオン濃度がこの範囲であれば、低温域(例えば−20℃〜10℃)で電池を稼働させる場合に、特に高い利用率を達成することができる。
第一アニオンとしては、特に限定されない。例えば、フッ素含有アミドアニオン、フッ素含有酸のアニオン[ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)などのフッ素含有リン酸のアニオン;テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)などのフッ素含有ホウ酸のアニオンなど]、塩素含有酸のアニオン[過塩素酸イオン(ClO4 -)など]、オキサレート基を有する酸素酸のアニオン[ビス(オキサラト)ボレートイオン(B(C242 -)などのオキサラトボレートイオン;トリス(オキサラト)ホスフェートイオン(P(C243 -)などのオキサラトホスフェートイオンなど]、フルオロアルカンスルホン酸のアニオン[トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)など]などが挙げられる。第一アニオンは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。なかでも、フッ素含有アミドアニオンが好ましい。イオン伝導性の高い非水電解質を得ることができるためである。
フッ素含有アミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)アミド骨格を有し、スルホニル基にフッ素原子を有する構造のアニオン(フッ素含有ビス(スルホニル)アミドアニオン)が好ましく例示できる。フッ素含有ビス(スルホニル)アミドアニオンのうち、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA-:bis(fluorosulfonyl)amide anion));ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA-:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンなどのビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン(PFSA-:bis(perfluoroalkylsulfonyl)amide anion)などが好ましく例示できる。
第二塩を構成する有機カチオンは、Py13+およびEMI+を含んでいる。非水電解質が、この両方の有機カチオンを含む場合に、低温域(例えば−20℃以上10℃以下)での利用率が向上する。有機カチオンを有する溶融塩は比較的粘度が低く、例えば10℃を超える温域で使用可能である。しかし、10℃以下(例えば−20℃以上10℃以下)の低温域では電解液として適さないと考えられている。
ところが、非水電解質がPy13+とEMI+の両者を含む場合には、他の有機カチオンの組み合わせと比較して、低温での非水電解質の粘度が低くなる。このような低い粘度は、非水電解質の融点の低下と関連していると考えられる。例えば、非水電解質がPy13+とEMI+の両者を含む場合、Py13+またはEMI+を単独で含む場合よりも、20℃程度も非水電解質の融点が低下する。そのため、−20℃以上10℃以下という非常に低い温域においても、高い利用率を示すことができる。
非水電解質に含まれる有機カチオン全体におけるPy13+とEMI+との合計の濃度は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。低温域(例えば−20℃以上10℃以下)での利用率が、さらに向上するためである。なお、有機カチオンは、Py13+およびEMI+以外の有機カチオンを、10モル%以下、好ましくは5モル%以下の割合で含んでいてもよい。
Py13+とEMI+との合計に占めるPy13+の割合は、25〜75モル%であることが好ましい。その下限は、30モル%であることがより好ましい。同じく上限は、70モル%であることがより好ましく、50モル%であることがさらに好ましい。低温域(例えば−20℃以上10℃以下)における非水電解質の粘度の上昇が、さらに抑制されるためである。なお、これら上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
非水電解質に含まれ得るPy13+およびEMI+以外の有機カチオンとしては、窒素含有カチオン;イオウ含有カチオン;リン含有カチオンなどが例示できる。窒素含有カチオンとしては、脂肪族アミン、脂環族アミンや芳香族アミンに由来するカチオン(例えば、第4級アンモニウムカチオンなど)の他、Py13+およびEMI+以外の窒素含有へテロ環を有する有機カチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などが例示できる。
第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA+:tetraethylammoniumcation)、トリエチルメチルアンモニウムカチオン(TEMA+:triethylmethylammoniumcation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(テトラC1-10アルキルアンモニウムカチオンなど)、N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムカチオン(DEME+)などが例示できる。
イオウ含有カチオンとしては、第3級スルホニウムカチオン、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキルスルホニウムカチオンなど)などが例示できる。
リン含有カチオンとしては、第4級ホスホニウムカチオン、例えば、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラC1-10アルキルホスホニウムカチオン);トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどのアルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキル(C1-5アルコキシC1-5アルキル)ホスホニウムカチオンなど)などが挙げられる。なお、アルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオンにおいて、リン原子に結合したアルキル基およびアルコキシアルキル基の合計個数は、4個であり、アルコキシアルキル基の個数は、好ましくは1または2個である。
なお、第4級アンモニウムカチオンの窒素原子、第3級スルホニウムカチオンのイオウ原子、または第4級ホスホニウムカチオンのリン原子に結合したアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましく、1、2または3であるのが特に好ましい。
有機カチオンの窒素含有ヘテロ環骨格としては、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾール、ピリジン、ピペリジンなど、環の構成原子として1または2個の窒素原子を有する5〜8員ヘテロ環;モルホリンなど、環の構成原子として1または2個の窒素原子と他のヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子など)とを有する5〜8員ヘテロ環が例示できる。
なお、環の構成原子である窒素原子は、アルキル基などの有機基を置換基として有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの炭素数が1〜10個のアルキル基が例示できる。アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましく、1、2または3であるのが特に好ましい。ピロリジン骨格を有する有機カチオンは、ピロリジン環を構成する1つの窒素原子に、2つの上記アルキル基を有することが好ましい。ピリジン骨格を有する有機カチオンは、ピリジン環を構成する1つの窒素原子に、1つの上記アルキル基を有することが好ましい。また、イミダゾール骨格を有する有機カチオンは、イミダゾール環を構成する2つの窒素原子に、それぞれ、1つの上記アルキル基を有することが好ましい。
ピロリジン骨格を有するPy13+以外の有機カチオンの具体例としては、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジエチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン(MBPY+:1-methyl-1-butylpyrrolidiniumcation)、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。これらのうちでは、特に電気化学的安定性が高いことから、MBPY+などの、メチル基と、炭素数2〜4のアルキル基とを有するピロリジニウムカチオンが好ましい。
ピリジン骨格を有する有機カチオンの具体例としては、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−プロピルピリジニウムカチオンなどの1−アルキルピリジニウムカチオンが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基を有するピリジニウムカチオンが好ましい。
イミダゾール骨格を有するEMI+以外の有機カチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI+:1-buthyl-3-methylimidazoliumcation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらのうち、BMI+などのメチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するイミダゾリウムカチオンが好ましい。
第二アニオンとしては、第一アニオンと同じアニオンが例示できる。第一アニオンと第二アニオンとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第二アニオンは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
第一塩および第二塩の組み合わせの具体例としては、
(i)第一塩:ナトリウムイオンとFSA-との塩(Na・FSA)、第二塩:EMI+とFSA-との塩(EMI・FSA)、および、Py13+とFSA-との塩(Py13・FSA)、
(ii)第一塩:ナトリウムイオンとTFSA-との塩(Na・TFSA)、第二塩:EMI+とTFSA-との塩(EMI・TFSA)、および、Py13+とTFSA-との塩(Py13・TFSA)、などを挙げることができる。
さらに、非水電解質は、第一塩および第二塩以外に、リチウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムなどのナトリウムイオン以外の金属カチオンとアニオンとの塩を含んでいてもよい。ナトリウムイオン以外の金属カチオンは、ナトリウムイオン、有機カチオンおよび当該金属カチオンの合計に対して、5モル%以下、好ましくは3モル%以下の割合で含むことができる。
非水電解質は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒は、非水電解質の10質量%以下、好ましくは8質量%以下の割合で含むことができる。有機溶媒としては、カーボネート化合物が好ましい。カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)やジメチルカーボネート(DMC)などの鎖状カーボネート、フルオロエチレンカーボネートのようなフッ素含有カーボネート化合物が挙げられる。カーボネート化合物もしくはフッ素含有カーボネート化合物を含有することにより、低温域での粘度をより低く調整することが容易となる。有意な粘度低下の効果を得る観点から、有機溶媒の割合の下限は、3質量%であることが好ましい。
第一塩と第二塩との合計の含有量は、非水電解質の80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。低温域(例えば−20℃以上10℃以下)での利用率がより高くなりやすいためである。
[正極]
正極は、正極集電体および正極集電体に保持された正極活物質層を含む。正極活物質層は、正極活物質を必須成分として含み、任意成分として導電性炭素材料、結着剤等を含んでもよい。
正極活物質としては、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料であればよく、例えば、アルカリ金属イオンと層間化合物を形成するO3型またはP2型層状構造を有する化合物や、ポリアニオン型の化合物が挙げられる。なかでも、ナトリウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。ナトリウム含有金属酸化物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。ナトリウム含有金属酸化物の粒子の平均粒径(体積粒度分布の累積体積50%における粒径D50、以下同じ。)は、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
ナトリウム含有金属酸化物としては、例えば、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)を用いることができる。亜クロム酸ナトリウムは、CrまたはNaの一部が他元素で置換されていてもよく、例えば、一般式:Na1-x1 xCr1-y2 y2(0≦x≦2/3、0≦y≦0.7、M1およびM2は、それぞれ独立にCrおよびNa以外の金属元素である)で表される化合物であることが好ましい。上記一般式において、xは、0≦x≦0.5を満たすことがより好ましく、M1およびM2は、例えばNi、Co、Mn、FeおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、M1はNaサイト、M2はCrサイトを占める元素である。このような化合物は、低コストで製造可能であるとともに、充放電に伴う構造変化の可逆性に優れている。これにより、充放電サイクル特性の更に優れたナトリウムイオン二次電池を得ることが可能となる。
亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)以外のナトリウム含有金属酸化物としては、Na2/3Fe1/3Mn2/32、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4、NaMn1.5Ni0.54、NaMn0.5Ni0.52などを用いることができる。
正極に含ませる導電性炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。導電性炭素材料のうちでは、少量使用で十分な導電経路を形成しやすいことから、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等を挙げることができる。導電性炭素材料の量は、正極活物質100質量部あたり、2〜15質量部が好ましく、3〜8質量部がより好ましい。
結着剤は、正極活物質同士を結合させるとともに、正極活物質を正極集電体に固定する役割を果たす。結着剤としては、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を用いることができる。結着剤の量は、正極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。
正極集電体としては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。正極集電体を構成する金属としては、正極電位で安定であることから、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましいが、特に限定されない。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウム以外の金属成分(例えばFe、Si、Ni、Mnなど)は0.5質量%以下であることが好ましい。正極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。
[負極]
負極は、負極集電体および負極集電体に保持された負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極活物質を必須成分として含み、任意成分として導電性炭素材料、結着剤等を含んでもよい。
負極活物質層には、負極活物質としてナトリウムと合金化する金属や、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料を使用することができる。例えば、ナトリウムと合金化する金属としては、亜鉛、亜鉛合金、錫、錫合金、ケイ素、ケイ素合金などを挙げることができる。
これらの材料を用いる場合、負極活物質層は、例えば、金属のシートを負極集電体に貼り付けたり、圧着したりすることにより得ることができる。また、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相法により、金属をガス化させて負極集電体に付着させてもよく、あるいは、めっき法などの電気化学的方法により、金属の微粒子を負極集電体に付着させてもよい。気相法やめっき法によれば、薄く均一な負極活物質層を形成することができる。
電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料としては、熱的安定性や電気化学的安定性の観点から、ナトリウム含有チタン化合物、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)等が好ましく用いられる。ナトリウム含有チタン化合物としては、チタン酸ナトリウムが好ましく、より具体的には、Na2Ti37およびNa4Ti512よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、チタン酸ナトリウムのTiまたはNaの一部を他元素で置換してもよい。例えば、Na2-x3 xTi3-y4 y7(0≦x≦3/2、0≦y≦8/3、M3およびM4は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)や、Na4-x5 xTi5-y6 y12(0≦x≦11/3、0≦y≦14/3、M5およびM6は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)などを用いることもできる。ナトリウム含有チタン化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。ナトリウム含有チタン化合物は、難黒鉛化性炭素と組み合わせて用いてもよい。なお、M3およびM5はNaサイト、M4およびM6はTiサイトを占める元素である。
難黒鉛化性炭素とは、不活性雰囲気中で加熱しても黒鉛構造が発達しない炭素材料であり、微小な黒鉛の結晶がランダムな方向に配置され、結晶層と結晶層との間にナノオーダーの空隙を有する材料をいう。代表的なアルカリ金属であるナトリウムイオンの直径は、0.95オングストロームであることから、空隙の大きさは、これより十分に大きいことが好ましい。難黒鉛化性炭素の平均粒径は、例えば3〜20μmであればよく、5〜15μmであることが、負極における負極活物質の充填性を高め、かつ電解質(溶融塩)との副反応を抑制する観点から望ましい。また、難黒鉛化性炭素の比表面積は、ナトリウムイオンの受け入れ性を確保するとともに、電解質との副反応を抑制する観点から、例えば1〜10m2/gであればよく、3〜8m2/gであることが好ましい。難黒鉛化性炭素は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
負極に用いる結着剤および導電性炭素材料としては、正極の構成要素として例示した材料を用いることができる。結着剤の量は、負極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。導電性炭素材料の量は、負極活物質100質量部あたり、5〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。
負極集電体としては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。前記金属としては、ナトリウムと合金化しない金属を使用することができる。なかでも負極電位で安定であることから、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などが好ましい。これらのうち、軽量性に優れる点では、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム合金は、例えば、正極集電体として例示したものと同様のアルミニウム合金を用いてもよい。負極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。
[セパレータ]
正極と負極との間には、セパレータを配置することができる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択すればよいが、非水電解質との副反応を抑制する観点からは、ポリオレフィン、ガラス繊維、フッ素樹脂、アルミナ、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などを用いることが好ましい。なお、ポリオレフィン製のセパレータを用いる場合は、耐熱層を設けることが好ましい。耐熱層は、例えば、無機粒子やアラミド(芳香族ポリアミド)などの耐熱性樹脂を含んでいてもよい。
セパレータの厚さは、10μm〜500μm、更には20〜50μmであることが好ましい。この範囲の厚さであれば、内部短絡を有効に防止でき、かつ電極群に占めるセパレータの容積占有率を低く抑えることができるため、高い容量密度を得ることができる。
[ナトリウムイオン二次電池]
本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の構造について、図1を参照しながら説明する。ただし、本発明に係るナトリウムイオン二次電池の構造は、以下の構造に限定されるものではない。
ナトリウムイオン二次電池100は、セパレータ1、正極2および負極3を含む積層型の電極群、非水電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体11と、上部開口を塞ぐ蓋部12とで構成されている。電極群は、正極と負極とを、これらの間にセパレータを介在させて捲回することにより形成されていてもよい。
ナトリウムイオン二次電池100を組み立てる際には、まず、電極群が構成され、電池ケース10の容器本体11に挿入される。その後、容器本体11に非水電解質を注液し、電極群を構成するセパレータ1、正極2および負極3の空隙に非水電解質を含浸させる。あるいは、非水電解質に電極群を含浸させ、その後、非水電解質を含んだ状態の電極群を容器本体11に収容してもよい。
蓋部12の一方側寄りには、蓋部12を貫通する外部正極端子(図示せず)が設けられ、蓋部12の他方側寄りの位置には、蓋部12を貫通する外部負極端子15が設けられている。各端子は、ケースと絶縁することが好ましい。蓋部12の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに、内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2cを形成してもよい。複数の正極2の正極リード片2cを束ねるとともに、電池ケース10の蓋部12に設けられた外部正極端子に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3cを形成してもよい。複数の負極3の負極リード片3cを束ねるとともに、電池ケース10の蓋部12に設けられた外部負極端子15に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2cの束と負極リード片3cの束は、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子および外部負極端子15は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット13が嵌められ、ナット13を回転することにより蓋部12に対してナット13が固定される。各端子の電池ケース内部に収容される部分には、鍔部14が設けられており、ナット13の回転により、鍔部14が、蓋部12の内面に、ワッシャ17を介して固定される。
[充放電システムおよび充放電方法]
本実施形態におけるナトリウムイオン二次電池は、低温域、特に−20℃以上10℃以下における利用率に優れている。そのため、ナトリウムイオン二次電池の充電および/または放電は、この温域から開始することができる。
ナトリウムイオン二次電池の充放電は、具体的には、例えば、図2に示されるような充放電システムにより行うことができる。充放電システムは、ナトリウムイオン二次電池100と、ナトリウムイオン二次電池100の温度を検知する温度測定部(温度センサ)101と、ナトリウムイオン二次電池100の充電電流Iinを制御する充電制御装置(充電回路)102およびナトリウムイオン二次電池100の放電電流Ioutを制御する放電制御装置(放電回路)103を備える制御部107と、を具備する。ナトリウムイオン二次電池100は、外部負荷108の電源として使用される。
本システムにおいては、電源装置104から電力が供給される際、温度測定部101により検知されたナトリウムイオン二次電池100の温度が、−20℃以上(利用率の観点から、好ましくは−10℃以上、より好ましくは0℃以上であり、利便性の観点から、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下)であれば、充電制御装置102または放電制御装置103により、充電または放電を開始するよう制御されている。このような低温域で充放電した場合であっても、高い利用率を達成することができる。
充放電システムには、必要に応じて、ヒータ105および/または冷却装置(図示せず)を備えていてもよい。ヒータ105および/または冷却装置は、ナトリウムイオン二次電池100に供給する熱量を制御する温度制御装置106を備えていることが好ましい。本システムによれば、ナトリウムイオン二次電池100の温度が−20℃より低い場合には、ヒータ105を稼働させて、ナトリウムイオン二次電池100が−20℃以上の温度になるまで加温した後、充電または放電を開始することができる。
ナトリウムイオン二次電池の充放電は、例えば、以下の方法により行われる。すなわち、ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する工程(S1)と、検知された温度が−20℃以上(好ましくは−10℃以上、より好ましくは0℃以上であり、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下)である場合に、充電または放電を開始する工程(S2)と、を有する。
本実施形態の充放電方法において、検知されたナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃より低い場合に、ヒータ等によりナトリウムイオン二次電池を加温する工程(S3)を有することが好ましい。寒冷地での利便性がより向上するためである。加温されたナトリウムイオン二次電池は、再び工程S1に供される。ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上であれば、工程S2へと進み、−20℃より低ければ、再び工程S3に供される。ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上になるまで、この工程S3およびS1を繰り返してもよい。
本システムおよび本充放電方法において、充電(または放電)の開始時におけるナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上(特には10℃以下)であればよく、充電中(または放電中)に、−20℃未満(あるいは10℃以上)になることを妨げない。充電中(または放電中)の温度は、25〜40℃であることが好ましく、温度制御装置等により、ナトリウムイオン二次電池の温度を制御することが好ましい。
本システムおよび本充放電方法は、−20℃未満の(あるいは10℃を超える)温域で充電または放電を開始することを排除するものではない。例えば、−20℃以上10℃以下の低温域で充電を開始し、10℃を超える温域で放電を開始してもよい。
[実施例]
次に、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
≪実施例1≫
以下のようにして作製した作用極を用いて、コイン型のハーフセルを作製し、評価を行った。なお、対向極としては、金属ナトリウム(直径14mmのコイン型)を用いた。
(作用極の作製)
平均粒径10μmのNaCrO2(正極活物質)85質量部、アセチレンブラック(導電性炭素材料)10質量部およびポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量部を、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、正極ペーストを調製した。得られた正極ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥させ、圧延し、所定の寸法に裁断して、厚さ65μmの正極活物質層を有する作用極を作製した。作用極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
(セパレータ)
厚さ50μm、空隙率90%の耐熱層を有するポリオレフィン製のコイン型(直径16mm)のセパレータを準備した。
(非水電解質)
第一塩としてNa・FSA、第二塩としてPy13・FSAおよびEMI・FSAを混合し、非水電解質aを調製した。それぞれのカチオンの割合(モル比)を、Na+:EMI+:Py13+=40:30:30とした。
(コイン型電池Aの作製)
作製された作用極、対向極(金属ナトリウム)およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、浅底の円筒型のSUS/Alクラッド製容器に作用極を載置し、その上にセパレータを介して対向極を載置し、所定量の非水電解質Aを容器内に注液した。その後、周縁に絶縁ガスケットを具備する浅底の円筒型のSUS製封口板を用いて、容器の開口を封口した。こうして、容器底面と封口板との間で、作用極、セパレータおよび対向極からなる電極群に圧力を印加して、部材間の接触を確保し、設計容量1.5mAhのコイン型電池Aを作製した。
ナトリウムイオン二次電池Aを、恒温室内で−10℃になるまで冷却した。各ナトリウムイオン二次電池Aの温度が安定した状態で、以下の(1)および(2)の条件を1サイクルとして充放電を行った。各ナトリウムイオン二次電池の放電容量を測定した。後述する比較電池Wの温度40℃、放電電流0.1Cにおける放電容量は、設計容量に対して100%の利用率であった。そこで、比較電池Wにおける、温度40℃、放電電流0.1Cの時の放電容量を100%として、利用率を相対値で示した。結果を1に示す。
(1)充電電流0.05Cで、充電終止電圧3.3Vまで充電
(2)放電電流0.1Cで、放電終止電圧1.5Vまで放電
なお、放電電流0.1Cで放電するとは、設計容量の電池を定電流放電して10時間で放電が終了となる電流値で放電する、ということである。
《実施例2》
非水電解質に含まれるカチオンの割合(モル比)を、Na+:EMI+:Py13+=20:40:40としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質bおよび電池Bを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《実施例3》
非水電解質に含まれるカチオンの割合(モル比)を、Na+:EMI+:Py13+=40:45:15としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質cおよび電池Cを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《実施例4》
非水電解質に含まれるカチオンの割合(モル比)を、Na+:EMI+:Py13+=40:15:45としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質dおよび電池Dを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《実施例5》
非水電解質に含まれるカチオンの割合(モル比)を、Na+:EMI+:Py13+=40:10:50としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質eおよび電池Eを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《比較例1》
第2塩としてEMI・FSAのみを混合し、Na+:EMI+=40:60としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質wおよび比較電池Wを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《比較例2》
第2塩としてPy13・FSAのみを混合し、Na+:Py13+=40:60としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質xおよび比較電池Xを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《比較例3》
第2塩としてPy13・FSAに変えてBMI・FSAを使用したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質yおよび比較電池Yを作製し、評価した。結果を表1に示す。
《比較例4》
第2塩としてEMI・FSAに変えてDEME・FSAを使用したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質zおよび比較電池Zを作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2016076463
Py13+とEMI+とを含む電池A〜Eでは、Py13+またはEMI+のいずれか一方のみを含む電池W〜Zと比較して、活物質の利用率が高い結果となった。なかでも、Py13+とEMI+とを同じ割合で含むか、EMI+の割合が大きい電池A〜Cの利用率が特に高かった。電池Bでは、ナトリウムイオンの割合が低いにも関わらず、高い利用率を示した。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池は、低温での充放電においても、高い利用率が得られることから、様々な用途の電源として有用である。
1:セパレータ、2:正極、2c:正極リード片、3:負極、3c:負極リード片、10:電池ケース、11:容器本体、12:蓋部、13:ナット、14:鍔部、15:外部負極端子、16:安全弁、17:ワッシャ、100:リチウムイオン二次電池、101:温度測定部、102:充電制御装置、103:放電制御装置、104:電源、105:ヒータ、106:温度制御装置、107:制御部、108:外部負荷

Claims (7)

  1. ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質であって、
    前記非水電解質は、ナトリウムイオンと第一アニオンとの第一塩と、有機カチオンと第二アニオンとの第二塩とを含み、
    前記有機カチオンは、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン:Py13+および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン:EMI+を含む、非水電解質。
  2. 前記有機カチオンにおけるPy13+とEMI+との合計の濃度が、90モル%以上である、請求項1に記載の非水電解質。
  3. Py13+とEMI+との合計に占めるPy13+の割合が、25〜75モル%である、請求項1または2に記載の非水電解質。
  4. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、請求項1〜3のいずれか一項に記載された非水電解質と、を含む、ナトリウムイオン二次電池。
  5. 請求項4に記載のナトリウムイオン二次電池の温度を検知する工程と、
    前記検知された温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する工程と、を有する、ナトリウムイオン二次電池の充放電方法。
  6. 前記充電または放電を開始する工程が、前記検知された温度が−20℃以上10℃以下である場合に充電または放電を開始する、請求項5に記載のナトリウムイオン二次電池の充放電方法。
  7. 請求項4に記載のナトリウムイオン二次電池と、
    前記ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する温度測定部と、
    前記ナトリウムイオン二次電池の充電電流Iinを制御する充電制御装置と、
    前記ナトリウムイオン二次電池の放電電流Ioutを制御する放電制御装置と、を具備し、
    前記温度測定部により検知された前記ナトリウムイオン二次電池の温度が−20℃以上である場合に、充電または放電を開始する、ナトリウムイオン二次電池の充放電システム。
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