WO2013176235A1

WO2013176235A1 - 田植機

Info

Publication number: WO2013176235A1
Application number: PCT/JP2013/064417
Authority: WO
Inventors: 忠司近藤; 加藤　祐一
Original assignee: ヤンマー株式会社
Priority date: 2012-05-25
Filing date: 2013-05-23
Publication date: 2013-11-28
Also published as: KR20150013869A; KR101745398B1; CN104320966B; CN104320966A

Abstract

【課題】植付ミッションケースの配置と植付伝動ケースの配置を植付部の左右の重量バランスを考慮して配置した田植機を提供する。【解決手段】植付部４０の植付フレーム４９を構成する植付支持ケース３４を左右方向に配置し、この植付支持ケース３４の左右中央位置に植付ミッションケース４７を配置し、前記植付支持ケース３４から後方に五つの植付伝動ケース４６を配置し、これら五つの植付伝動ケース４６に九つの植付回転ケース４４を配置し、これら九つの植付回転ケース４４のそれぞれに植付爪部４５を設けて９条植え用とした田植機において、前記九つの植付回転ケース４４のうち、進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケース４６にのみ植付回転ケース４４をひとつ配置した。

Description

田植機

　本発明は、走行部の後方に植付部を昇降可能に連結した田植機に関し、特に、植付部に植付条間を狭めた多数条の植付爪部を備える田植機に関する。

　従来、圃場への肥料の施肥量を抑えて、肥料を抑えたことにより苗の生育が落ちる分、苗を多く植えられるようにするために、植付条間を狭めて、一定の収穫量が得られるようにする密植式の田植機は公知となっている（例えば、特許文献１参照）。

　この密植式の田植機には、植付部において左右方向に支持フレームが横架され、植付条数に合わせて、支持フレームから後方に植付伝動ケースが配置され、植付伝動ケースの左右両側に植付回転ケースが配置され、植付回転ケースに一対の植付爪ケースが配置されている。前記植付爪ケースは、植付爪とプッシュロッドを有し、植付爪ケース、植付爪、プッシュロッドにより植付爪部が構成されている。

特開２０００－８３４１９号公報

　しかしながら、各植付条ごとに植付伝動ケースと植付回転ケースと植付爪部を備える田植機の構成であると、奇数条植えの田植機の場合、植付伝動ケースが左右略中央に配置されることになり、左右略中央に配置される植付伝動ケースが植付伝動ケースにＰＴＯ入力軸からの動力を変速して伝達する植付ミッションケースに干渉し、この植付伝動ケースの植付ミッションケースへの干渉を回避する必要があるとともに、前記植付ミッションケースが植付部の左右略中央に配置され、左右対称形状に構成されていないために、植付部の左右の重量バランスが悪くなるという問題があった。

　そこで、本発明は、植付ミッションケースの配置と植付伝動ケースの配置を植付部の重量バランスを考慮した配置とし、９条植えと８条植え等、奇数条植えと偶数条植えを同じ部材で構成できる植付部を備えた田植機を提供することを課題とする。

　本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
　すなわち、請求項１においては、植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、前記植付支持ケースから後方に植付伝動ケースを複数配置し、前記植付伝動ケースに植付条数が奇数となるように植付回転ケースを配置し、前記植付条数が奇数となるように配置した植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて奇数条植え用とした田植機において、前記植付条数が奇数となるように配置した植付回転ケースのうち、進行方向に対し左右いずれか一方の外側から二つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置したものである。

　請求項２においては、植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、前記植付支持ケースから後方に五つの植付伝動ケースを配置し、これら五つの植付伝動ケースに九つの植付回転ケースを配置し、これら九つの植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて９条植え用とした田植機において、前記九つの植付回転ケースのうち、進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置したものである。

　請求項３においては、植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、前記植付支持ケースから後方に四つの植付伝動ケースを配置し、これら四つの植付伝動ケースに七つの植付回転ケースを配置し、これら七つの植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて７条植え用とした田植機において、前記七つの植付回転ケースのうち、進行方向に対し左から二つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置したものである。

　請求項４においては、走行部の後部に昇降リンク機構を介して植付部を装着し、この植付部の植付フレームに、植付ミッションケースと、９条植え分の植付爪部が配置された五つの植付伝動ケースと、９条植え分の苗マットが載置される苗載台とを配置して９条植え用とした田植機において、前記植付フレームは、左右方向に配置され、左右中央位置に植付ミッションケースが取り付けられるとともに、五つの植付伝動ケースが左右方向に並べて後方に突出して取り付けられる植付支持ケースと、この植付支持ケースの上部に取り付けられる植付枠体と、前記植付ミッションケースの上部に取り付けられる植付部側ヒッチブラケットと、前記植付枠体を連結する連結プレートとを備えており、前記連結プレートと植付部側ヒッチブラケットとの間に調節取付部を構成したものである。

　請求項５においては、前記調節取付部は、連結プレートに左右方向に所定の間隔をあけて形成されている複数の取付孔と、植付部側ヒッチブラケットに形成されている取付孔と、固定部材とを備えているものである。

　本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
　すなわち、田植機において、植付ミッションケースと植付伝動ケースとが干渉することなく取り付け可能な植付部を構成できる。また、植付部の左右の重量バランスがくずれることなく、安定した植付部を備えた田植機を構成できる。

田植機の側面図。植付部の斜視図。植付部の平面図。植付ミッションケースの斜視図。連結プレートの正面図。植付回転ケースと植付爪部の斜視図。植付回転ケースと植付爪部の正面図。植付回転ケースと植付爪部の背面図。植付回転ケースと植付爪部の右側面図。植付回転ケースと植付爪部の左側面図。植付回転ケースと植付爪部の平面図。植付回転ケースと植付爪部の底面図。植付回転ケースと植付爪部の断面図。植付回転ケースと植付爪部の部分断面図。植付回転ケースの側面図。植付爪部の断面図。植付爪ケースのケース本体の斜視図。７条植え用の田植機の植付部を示す平面図。９条植え用の田植機の植付フレームの取付状態を示す図。８条植え用の田植機の植付フレームの取付状態を示す図。９条植え用の線引きマーカの斜視図。８条植え用の線引きマーカの斜視図。

　以下、本発明を実施するための形態について説明する。図１を用いて、田植機１の全体構成について説明する。なお、田植機１の前進方向（進行方向）である図中の矢印Ｆで示す方向を前方とし、矢印Ｕで示す方向を上方とし、矢印Ｌで示す方向を左方とし、以下で述べる各部材の位置や方向等の基準とする。

　田植機１は、走行部１０と植付部４０とを有し、走行部１０により走行しながら、植付部４０により苗を圃場に植え付けることができるように構成されている。植付部４０は、走行部１０の後方に配置されており、この走行部１０の後部に昇降リンク機構３０を介して昇降可能に連結されている。

　走行部１０においては、フロントアクスルケース１６が車体フレーム１１の前部に支持されており、前車輪１２が前記フロントアクスルケース１６の左右両側に取り付けられている。リヤアクスルケース１７が車体フレーム１１の後部に支持されており、後車輪１３が前記リヤアクスルケース１７の左右両側に取り付けられている。エンジン１４が車体フレーム１１の前部に設けられて、ボンネット１５により被覆されている。そして、ミッションケース１８が車体フレーム１１の前部に支持されて、エンジン１４の後方に配置されている。

　走行部１０においては、車体フレーム１１の前後中途部上に運転操作部２０が設けられている。運転操作部２０の前部には、ダッシュボード２１が配置され、ダッシュボード２１の左右中央部には、操向ハンドル２４が配置され、操向ハンドル２４の後方には、運転席２２が配置され、運転席２２の下方には、一部を乗降用ステップとする車体カバー２３が配置されている。前記運転操作部２０には、主変速レバー２５、変速ペダル２６、ブレーキペダルを含む複数の操作具が配置されており、これらの操作具によって、走行部１０、植付部４０に対して適宜操作を行うことができるように構成されている。

　前記昇降リンク機構３０は、上リンク３１と下リンク３２と図示しない昇降シリンダとを備え、前記上リンク３１と下リンク３２の前端が回動フレームに連結され、回動フレームと車体フレーム１１の間に昇降シリンダが介装されており、昇降シリンダを伸縮駆動することにより植付部４０が昇降可能に構成されている。前記昇降リンク機構３０の上リンク３１と下リンク３２の後端には、植付部４０側のヒッチ３３が連結されている。ヒッチ３３の下側後部には、植付フレーム４９の左右中央の前面から前方に突出した揺動支持軸２９（図４）が軸受を介して取り付けられている。前記揺動支持軸２９が植付部４０の左右傾倒中心となり、植付部４０が左右傾倒可能に構成されている。

　次に、図１から図４により植付部４０について説明する。植付部４０は、９条植え分の苗マット載置部を左右平行に並べて配置される苗載台４１と、エンジン１４からの動力を変速して苗載台４１の横送り駆動軸３７と縦送り駆動軸３８と植付駆動軸３９に動力を伝達する植付ミッションケース４７と、植付駆動軸３９から植付回転ケース４４・４４・・・に動力を伝達する五つの植付伝動ケース４６・４６・・・と、これらを支持する植付フレーム４９と、前記五つ植付伝動ケース４６・４６・・・から９条植え分の植付爪部４５・４５・・・へ動力を伝達する九つの植付回転ケース４４・４４・・・と、各植付回転ケース４４・４４・・・に配置される二つの植付爪部４５・４５とを備えている。このようにして９条植えの田植機１としている。

　前記植付部４０の左右方向の距離中心は、揺動支持軸２９に位置し、植付部４０の左右方向の距離中心位置の左側に植付ミッションケース４７の重心が位置するように、植付ミッションケース４７が配置されている。前記植付回転ケース４４・４４・・・と植付爪部４５・４５・・・は、９条植え分必要となるので、植付回転ケース４４・４４・・・を植付伝動ケース４６・４６・・・の左右両側に設ける四つのユニットと、植付回転ケース４４を植付伝動ケース４６の片側にのみ設けるひとつのユニットとからなる。この植付伝動ケース４６の片側にのみ設ける植付回転ケース４４は、植付ミッションケース４７の重心が位置する側と左右反対側に配置する。すなわち、進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケース４６の右側に植付回転ケース４４を配置する。言い換えれば、進行方向に対し右から二つ目の植付伝動ケース４６の右側に植付回転ケース４４を配置する。このように配置することにより、植付部４０の左右の重量バランスが均衡する。なお、進行方向に対し左から三つ目の植付伝動ケース４６にひとつの植付回転ケース４４、左から四つ目の植付伝動ケース４６に二つの植付回転ケース４４を配置しないのは、植付部４０の左右の重量バランスが崩れるからである。

　前記植付フレーム４９は、支持ケース３４と植付枠体５５を備えている。前記支持ケース３４は、四角筒状の部材であり、左右水平方向に配置されている。前記支持ケース３４の左右略中央位置には、植付ミッションケース４７が取り付けられており、この植付ミッションケース４７の前面から前方に突出するように植付入力軸３６が設けられている。この植付入力軸３６は、伝動軸、ジョイント、ケース等を介して走行部１０のミッションケース１８から後方に突出したＰＴＯ軸と連結されている。このように構成することにより、エンジン１４からの動力がミッションケース１８、ＰＴＯ軸等を介して植付部４０の植付ミッションケース４７に伝達される。

　前記植付ミッションケース４７の左側面から後下方にギヤケース部４７ａが延設されている。前記植付ミッションケース４７の重心は、左（ギヤケース部４７ａ）側に偏心した位置にある。前記植付ミッションケース４７のギヤケース部４７ａの上部右側からは、苗載台４１の横送り駆動軸３７が突出され、植付ミッションケース４７のギヤケース部４７ａの上部左側からは、苗載台４１の縦送り駆動軸３８が突出されている。前記植付ミッションケース４７のギヤケース部４７ａの後下部の左右両側面からは、植付駆動軸３９が突出されている。前記植付伝動ケース４６の前部には、左右方向に貫通孔が設けられ、この貫通孔から入力軸が左右方向または左右一方に突出されている。この入力軸は、前記植付駆動軸３９と、または連動軸と、連結ボスやキー等を介して連動連結される構成としている。

　前記支持ケース３４の後面からは、複数の植付伝動ケース４６・４６・・・がそれぞれ左右方向に適宜間隔をあけて後方へ平行に延設されている。９条植えの田植機の場合には、図３に示すように、五つの植付伝動ケース４６・４６・・・が配置され、前記植付ミッションケース４７の左側に二つ、右側に三つの植付伝動ケース４６・４６・・・が配置されている。進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケース４６の後部右側には、植付回転ケース４４がひとつ配置されており、他の四つの植付伝動ケース４６・４６・・・の後部には、左右両側に植付回転ケース４４・４４・・・が配置されている。

　また、７条植えの田植機の場合には、図１８に示すように、植付支持ケース３４の左右中央に植付ミッションケース４７を配置し、その重心位置が左側（ギヤケース部４７ａ側）になるようにし、植付支持ケース３４から後方へ四つの植付伝動ケース４６・４６・・・を平行に突出配置し、四つの植付伝動ケース４６・４６・・・の後部側面に七つの植付回転ケース４４・４４・・・を配置し、七つの植付回転ケース４４・４４・・・の長手方向両端部にそれぞれ植付爪部４５・４５・・・を設け、前記進行方向に対し左から二つ目の植付伝動ケース４６にのみ、すなわち、植付ミッションケース４７の重心が位置する側の植付伝動ケース４６にのみ、その植付伝動ケース４６の右側の後部側面に植付回転ケース４４をひとつ備え、他の三つの植付伝動ケース４６・４６・４６の後部の両側面に植付回転ケース４４・４４を備える構成とする。このように構成することにより、植付部４０の左右の重量バランスが均衡する。

　前記各植付伝動ケース４６・４６・・・の前上部には、苗台レール支持軸５０が左右方向に回動自在に支持されている。前記苗台レール支持軸５０からは、適宜間隔をあけて複数の支持プレート５４・５４・・・が後上方に突設されており、前記複数の支持プレート５４・５４・・・の上先端には、苗台レール５１が左右水平方向に支持されている。前記苗台レール支持軸５０から前上方には、苗取り量調節レバー５２が突設されている。この苗取り量調節レバー５２を上下に回動することにより、苗台レール５１が上下に移動し、苗載台４１と植付爪部４５との距離を変更することができる。よって、植付爪部４５による苗載台４１からの苗取り量を変更することが可能となる。

　前記支持ケース３４の上面には、植付枠体５５の下部が取り付けられている。この植付枠体５５は、左右両側に配置される側部フレーム５５ａ・５５ａと、左右の側部フレーム５５ａ・５５ａの上部間に架設される上フレーム５５ｂと、左右の側部フレーム５５ａ・５５ａの上下中途部間に架設される中フレーム５５ｃと、上フレーム５５ｂと中フレーム５５ｃを連結する補強ステー５５ｄ・５５ｄとを備え、前記植付枠体５５と支持ケース３４とを合わせて枠状にし、植付フレーム４９が構成されている。

　前記植付枠体５５の上フレーム５５ｂの上部には、適宜間隔をあけて複数の上レール５３・５３・・・が設けられており、前記複数の上レール５３・５３・・・により苗載台４１の裏面（前面）上部を左右摺動自在に支持している。前記苗載台４１の下部は、苗台レール５１に左右方向に往復動可能に取り付けられる。前記苗載台４１は、苗載台４１の横送り駆動軸３７に連設される横送り機構の作動により左右往復横送り可能に構成されている。

　前記植付ミッションケース４７と植付枠体５５とは、連結プレート５６により連結されている。前記植付ミッションケース４７の前上部には、調節取付部５７が設けられており、この調節取付部５７には、連結プレート５６の下部が取り付けられている。前記連結プレート５６の上部は、中フレーム５５ｃの左右中央下部に溶接等により固定されている。

　前記連結プレート５６は、図４、図５に示すように、正面視略Ｖ字状に形成され、下部に左右方向に複数の取付孔５６ａ・５６ａ・・・が開口されている。前記複数の取付孔５６ａ・５６ａ・・・は、９条植え用の植付枠体５５として使用する取付孔５６ａ・５６ａと、８条植え用の植付枠体５５として使用する取付孔５６ａ・５６ａとからなり、前記植付ミッションケース４７の調節取付部５７に取り付け可能とし、植付枠体５５を９条植えと８条植えとに兼用できるようにし、コストの低減を図る。前記連結プレート５６の上部は、９条植え用の植付枠体５５（または８条植え用の植付枠体５５）の中フレーム５５ｃの左右中央下部に固定されている。前記連結プレート５６の下部には、四つの取付孔５６ａ・５６ａ・・・が左右方向に所定間隔をあけて開口されている。なお、兼用する構成は、９条植えと８条植えの他に、８条植えと７条植え等、ひとつ増加、または、ひとつ減少した植付条数で兼用する構成がある。

　前記植付ミッションケース４７の上部には、植付部側ヒッチブラケット５８が固定されている。この植付部側ヒッチブラケット５８は、植付支持ケース３４にも固定されている。前記植付部側ヒッチブラケット５８の上部には、固定部５８ａが形成されており、この固定部５８ａには、取付孔が左右に二つ開口されている。この取付孔に対して前記連結プレート５６の取付孔５６ａ・５６ａを一致させて、固定部材であるボルト５９・５９により固定する構成としている。このように調節取付部５７が構成されている。９条植えの田植機の植付フレーム４９とする場合は、図１９に示すように、連結プレート５６の左から１番目と３番目の取付孔５６ａ・５６ａを植付ミッションケース４７の植付部側ヒッチブラケット５８の取付孔と一致させてボルト５９・５９にて固定する構成としている。８条植え田植機の植付フレーム４９とする場合、図２０に示すように、連結プレート５６の左から２番目と４番目の取付孔５６ａ・５６ａを植付ミッションケース４７の植付部側ヒッチブラケット５８の取付孔と一致させてボルト５９・５９にて固定する構成としている。

　以上のように、走行部１０の後部に昇降リンク機構３０を介して植付部４０を装着し、植付部４０の植付フレーム４９に、植付ミッションケース４７と、９条植え分の植付爪部４５・４５・・・を取り付ける五つの植付伝動ケース４６・４６・・・とを配置し、９条植え分の苗マットを載置する苗載台４１を備えた９条植えの田植機１において、前記植付フレーム４９は、左右略中央に植付ミッションケース４７を取り付けるとともに左右方向に横設して五つの植付伝動ケース４６・４６・・・を左右方向に並べて後方に突出して取り付ける植付支持ケース３４と、枠状に構成され植付支持ケース３４の上部に立設される植付枠体５５と、前記植付ミッションケース４７の前上部に取り付ける植付部側ヒッチブラケット５８と、前記植付枠体５５の左右中央を連結する連結プレート５６とを備え、前記連結プレート５６の下部と植付部側ヒッチブラケット５８の上部との間に調節取付部５７を構成したので、９条植え分の苗載台４１を支持する植付フレーム４９を８条植え分の苗載台４１を支持する植付フレーム４９として、バランスをくずすことなく植付部側ヒッチブラケット５８に取り付けることが可能となり、部品の種類を増やす必要がなく製造コストを低減できる。前記調節取付部５７は、連結プレート５６の下部に左右方向に所定間隔をあけて形成される複数の取付孔５６ａ・５６ａ・・・と、植付部側ヒッチブラケット５８に形成する取付孔と、固定部材となるボルト５９とにて構成されているので、簡単な構成で調節取付部５７を構成することができ、取り付けも簡単に行える。

　前記苗載台４１は、表面に前後方向のリブを左右方向に苗マットの幅に合わせて形成して、複数条分（９条分）の苗マット載置部を備えている。前記苗マット載置部には、苗マットが載置される。前記苗マット載置部の各条には、それぞれ苗縦送りベルトが設けられている。前記苗縦送りベルトは、苗載台４１が左右往復横送りのストローク端に到達するごとに、図示せぬ縦送り機構により苗載台４１上の苗マットを下方へ向かって縦送りし、苗台レール５１に形成した切欠部において植付爪部４５により１株の苗が苗載台４１上の苗マットから切り取られて圃場に植え付けられる。前記植付伝動ケース４６の下面には、フロート取付部が形成されており、前記フロート取付部には、支持軸等を介して複数のフロート４２・４２・・・が上下動自在に支持されている。

　前記支持ケース３４から後方に複数突設される植付伝動ケース４６において、進行方向に対し左から四つ目以外の植付伝動ケース４６・４６・・・の後部左右両側には、植付回転ケース４４・４４・・・が回動自在に支持され、進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケース４６の右側には、植付回転ケース４４が回動自在に支持されている。前記植付回転ケース４４は、植付条数と同数、すなわち、９条植え用とした田植機では、９個備えられている。それぞれの植付回転ケース４４・４４・・・には、回動支点（植付回転ケース駆動軸６０）を挟んで長手方向両端部にそれぞれ植付爪部４５・４５が支持されている。このように、前記進行方向左から四つ目の植付伝動ケース４６にのみ、後部の右側側面に植付回転ケース４４を備え、他の植付伝動ケース４６の後部左右両側面に植付回転ケース４４・４４を備える構成としたので、９条植えとして植付条間を狭くしても、植付ミッションケース４７と植付伝動ケース４６とを互いに干渉することなく取り付けることができる。また、植付部４０の左右の重量バランスがくずれることがなく、安定した植付部４０とすることができる。

　前記９条植え用とした田植機の構成は、７条植え用とした田植機にも適用できる。７条植え用とした田植機の場合、図１８に示すように、進行方向に対し左から二つ目以外の植付伝動ケース４６・４６・４６の後部の左右両側には、植付回転ケース４４・４４・・・が回動自在に支持され、左から二つ目の植付伝動ケース４６の右側にのみ植付回転ケース４４が回動自在に支持される。よって、前記９条植え用とした田植機と同様に植付ミッションケース４７と植付伝動ケース４６との干渉を避けることができる。また、植付部４０の左右の重量バランスが均衡する。

　前記植付伝動ケース４６内には、ベベルギヤ、伝動軸が収納されており、前記植付伝動ケース４６内の植付駆動軸３９上のベベルギヤから、ベベルギヤ、伝動軸、ユニットクラッチ等を介して植付伝動ケース４６の後部で左右方向に横架した植付回転ケース駆動軸６０に動力が伝達される構成としている。前記植付伝動ケース４６の後部側面から側方に突出した植付回転ケース駆動軸６０（図１３）には、植付回転ケース４４が支持されている。

　図６から図１５に示すように、前記植付回転ケース４４は、側面視略長円形に形成され、左右二つ割のケースにより構成されている。前記植付回転ケース４４の中心位置には、前記植付回転ケース駆動軸６０の一端が挿入され、前記植付回転ケース４４内における植付回転ケース駆動軸６０の一端上に太陽歯車６１が嵌装されている。前記太陽歯車６１は、植付回転ケース駆動軸６０に外嵌したフランジ６２に爪体を介して回転不能に連結されている。前記フランジ６２は、前記植付伝動ケース４６に固定されている。前記植付回転ケース駆動軸６０と植付回転ケース４４は、ピン６３により相対回転不能に連結されている。

　前記植付回転ケース４４の長手方向両端部には、植付回転ケース駆動軸６０から等しい位置に植付爪軸６４・６４が軸支されている。前記植付爪軸６４・６４は、植付回転ケース駆動軸６０と平行に配置されて、植付回転ケース４４に対して回転不能に固定されている。前記植付爪軸６４・６４上には、筒軸６５・６５が回転自在に支持されており、前記筒軸６５・６５上には、遊星歯車６６・６６が相対回転不能に固定されている。

　前記植付回転ケース駆動軸６０と植付爪軸６４・６４との中間位置には、中間軸６７・６７が植付回転ケース４４に回転自在に軸支されている。前記中間軸６７・６７は、植付回転ケース駆動軸６０と植付爪軸６４・６４と平行に配置されている。前記中間軸６７・６７上には、太陽歯車６１と遊星歯車６６との両方に歯合する中間歯車６８・６８が嵌装固定されている。前記太陽歯車６１、遊星歯車６６、中間歯車６８は、非円形偏心歯車であり、不等速歯車列が構成されている。前記筒軸６５・６５の一端は、植付回転ケース４４から外側に突出している。前記筒軸６５・６５の外側部分には、円板状の縁部６５ａ・６５ａが形成されている。前記縁部６５ａ・６５ａには、植付爪部４５・４５が取り付けられている。

　前記植付爪部４５は、図１６、図１７に示すように、植付爪ケース８０と、植付爪ケース８０（ケース本体７０）に取り付けられ苗載台４１上の苗マットから１株の苗を切り取る爪体７１と、切り取った苗を圃場面で押し出すプッシュロッド７２と、プッシュロッド７２を突出方向に付勢するバネ７３と、植付爪ケース８０（ケース本体７０）内で植付爪軸６４上に固設されるカム７５（図１３）と、植付爪ケース８０（ケース本体７０）に支持されてカム７５と当接することで揺動するプッシュアーム７６と、プッシュアーム７６とプッシュロッド７２を連結する連結体７７を備えている。

　前記植付爪ケース８０は、ケース本体７０と、バネ７３を収納するバネケース７４とを備え、前記植付爪ケース８０と爪体７１とプッシュロッド７２は、左右対称形状に構成されている。前記植付爪ケース８０は、植付回転ケース４４に対して左右どちらの側面にも取り付けることができる構成としている。前記植付爪部４５は、植付伝動ケース４６の後部左右に取り付けられる左右の植付回転ケース４４・４４の左側または右側に取り付けることができる構成としている。当然のことながら、植付回転ケース４４の左右一側における両端部には、同一の植付爪ケース８０（植付爪部４５）が取り付けられる。

　前記ケース本体７０は、図１７に示すように、上部に爪体７１が固定される取付平面７０ａが形成され、この取付平面７０ａに直交して取付孔７０ｂ・７０ｂが前後に穿設されており、ネジ等により爪体７１を取り付ける構成としている。前記取付平面７０ａの下方には、プッシュロッド挿入孔７０ｃが前後方向に貫通して開口されている。前記プッシュロッド挿入孔７０ｃの後面には、バネケース７４がネジにより固定されている。前記プッシュロッド挿入孔７０ｃの下方には、植付爪軸６４が挿入される軸孔７０ｄが左右方向に貫通して開口されている。前記軸孔７０ｄの周囲には、筒軸６５の縁部６５ａに締結されるボルトを挿入する取付孔７０ｆ・７０ｆが左右方向に貫通して開口されている。

　前記ケース本体７０の軸孔７０ｄの開口部は、蓋体８１で閉じることができる構成としている。前記軸孔７０ｄの周囲には、取付孔７０ｆ・７０ｆと位相をずらせて、苗取り量を調節する調節ネジが挿入されるネジ孔７０ｅと、プッシュアーム７６の回動支点となる軸孔７０ｇが穿設されている。前記ケース本体７０は、左右どちらの方向からでも、植付爪軸６４を挿入でき、縁部６５ａに固定でき、植付爪軸６４が挿入されない側の軸孔７０ｄの開口部に蓋体８１を取り付けて塞ぐことができる。なお、前記爪体７１及びプッシュロッド７２は、ケース本体７０の左右中央に配置されている。

　前記爪体７１は、先端が二つに割れたフォーク状に構成され、基部がネジ等でケース本体７０の上面の取付平面７０ａに固定されている。前記プッシュロッド７２は、ケース本体７０のプッシュロッド挿入孔７０ｃに前後摺動自在に支持され、先端に苗の保持部が形成されて爪体７１の下方の位置に配置されている。前記プッシュロッド７２の基端部は、ケース本体７０内に挿入され、連結体７７を介してプッシュアーム７６の先端と連結されている。前記プッシュアーム７６の先端は、バネ７３の前端に係合されている。

　前記バネ７３は、ケース本体７０の後面に固定されるバネケース７４内に収納されており、プッシュロッド７２が突出する方向に付勢している。前記バネ７３の一端は、プッシュアーム７６の先端と連結されており、他端はバネケース７４に当接されている。前記プッシュアーム７６は、中途部がケース本体７０に軸を介して回転自在に支持され、一端が連結体７７と連結されているとともにバネ７３の前端と係合されている。前記プッシュアーム７６の他端は、植付爪軸６４上に固設したカム７５に当接されている。

　このように、左右対称形状の植付爪ケース８０で植付爪部４５を構成することによって、植付爪部４５を植付回転ケース４４に対して左右どちらの側面にも取り付けることが可能となり、前記植付爪ケース８０を各条全て同一の部材とすることができるので、部品の種類を減らすことができ、設計、製造、組立コストを低減できる。また、植付爪ケース８０を左右対称形状で、左右側面の出っ張りを抑える形状とすることで、植付条間を幅狭の構造とすることができ、植付条間を可能な限り狭くすることができる。さらに、植付爪部４５の設計の自由度が向上する。

　このような構成において、エンジン１４からの動力が、前記植付ミッションケース４７、植付伝動ケース４６・４６・・・等を介して各植付回転ケース駆動軸６０に伝えられると、植付回転ケース４４が回転する。この植付回転ケース４４の回転により、中間歯車６８が植付回転ケース駆動軸６０の軸心を中心に公転移動するとともに、中間歯車６８が太陽歯車６１と歯合しているために植付回転ケース４４と同方向に不等速で自転する。この中間歯車６８の回転により、中間歯車６８と歯合している遊星歯車６６が不等速で逆転する。遊星歯車６６に筒軸６５を介して連結固定された植付爪部４５が植付回転ケース４４の回転方向と逆方向に不等速で自転する。

　そして、植付回転ケース４４が１回転すると、植付爪部４５が逆方向に不等速で１回転し、植付爪部４５の爪体７１先端が側面視で略縦長楕円の回転軌跡を描くように回動する。この回転軌跡の最上部位置から下降するときに、植付爪部４５により苗載台４１上の苗マットから苗を切り取り、１株保持した状態で下降し、最下端位置においてカム７５に当接したプッシュアーム７６が回動してプッシュロッド７２を押し、切り取った苗を押し出して田面に植え付ける。

　以上のように、植付フレーム４９上に苗台レール５１を介して苗載台４１を左右摺動可能に載置し、植付フレーム４９から複数の植付伝動ケース４６を平行に後方へ突出し、植付伝動ケース４６の後部左右両側面に回転可能に植付回転ケース４４の長手方向中途部を支持し、植付回転ケース４４の長手方向両側端部に植付爪部４５を揺動可能に配置する田植機１において、前記植付爪部４５は、苗を切り取る爪体７１と、圃場面近傍で切り取った苗を押し出すプッシュロッド７２と、植付回転ケース４４から突出される植付爪軸６４と、植付爪軸６４に固設されるカム７５と、カム７５に当接して揺動されるプッシュアーム７６と、前記プッシュロッド７２を突出方向に付勢するバネ７３と、これらを取り付ける植付爪ケース８０とを備え、植付爪ケース８０は、左右対称形状に構成したので、植付爪部４５は、外観上左右対称形状に構成されることになり、植付伝動ケース４６の左右にそれぞれ植付回転ケース４４を介して取り付けられる植付爪部４５は、植付回転ケース４４の両端部の左右一側、または植付回転ケース４４の両端部の左右両側に、同一部材を用いて構成でき、部材の種類を減らすことができ、コストの低減を図ることができる。そして、植付爪ケース８０は、各条（９条）全て同一の部品でまかなうことができ、製造、組立等が容易となり、コストの低減を図ることができる。

　また、前記ケース本体７０に設けた軸孔７０ｄは、左右方向に貫通して開口されているので、植付爪軸６４を右方向または左方向から挿入できて、プッシュロッド７２を駆動できる。また、前記ケース本体７０に設けた取付孔７０ｆは、左右方向に貫通されているので、取付孔７０ｆに右方向または左方向からボルトを挿入して締結することによって、筒軸６５を介して植付回転ケース４４に植付爪部４５を取り付けることができる。

　前記植付フレーム４９の植付枠体５５の左右の側部フレーム５５ａ・５５ａの下部外側には、図示しない取付ブラケットが設けられ、この取付ブラケットに支持軸等を介して線引きマーカ４８・４８が左右両側方に回動可能に支持されている。前記線引きマーカ４８は、図２１に示すように、取付ブラケットに支持される回動アーム４８ａと、回動アーム４８ａに一端が固定されるロッド４８ｂと、ロッド４８ｂの他端に固定される線引体４８ｃとを備えている。前記回動アーム４８ａの基部は、昇降ギヤから突出したピンと係合され、昇降ギヤは、モータの出力軸に固設したピニオンと歯合されている。よって、植付部４０を上昇させたときには、モータが駆動されて回動アーム４８ａを線引体４８ｃ側が持ち上げられる方向に回動されることになり、苗の植付作業開始時には、運転操作部２０に設けたマーカ操作手段を操作することで、線引体４８ｃ側が持ち上げられる方向とは逆方向にモータが駆動されて、線引体４８ｃが圃場面に接地し、走行とともに圃場面に線が引かれることになる。

　図２２に示すように、前記線引きマーカ４８のロッド４８ｂの長さを１条間分短くし、前記上フレーム５５ｂと中フレーム５５ｃと植付支持ケース３４の左右両側を１条間分短くするができる。よって、図２１に示す９条植え（または７条植え）から図２２に示す８条植え（または６条植え）に変更でき、植付フレーム４９、線引きマーカ４８の部品を９条植え（または７条植え）と８条植え（または６条植え）とでできるだけ共用できるようにし、変更部品を少なくしてコストの低減を図っている。

　本発明は、走行部の後方に植付爪部を有する植付部を昇降可能に連結した田植機に適用できる。

１　　田植機
１０　走行部
３０　昇降リンク機構
３４　植付支持ケース
４０　植付部
４１　苗載台
４４　植付回転ケース
４５　植付爪部
４６　植付伝動ケース
４７　植付ミッションケース
４９　植付フレーム
５５　植付枠体
５６　連結プレート
５６ａ　取付孔
５７　調節取付部
５８　植付部側ヒッチブラケット
８０　植付爪ケース
８１　蓋体

Claims

　植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、
　この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、
　前記植付支持ケースから後方に植付伝動ケースを複数配置し、
　前記植付伝動ケースに植付条数が奇数となるように植付回転ケースを配置し、
　前記植付条数が奇数となるように配置した植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて奇数条植え用とした田植機において、
　前記植付条数が奇数となるように配置した植付回転ケースのうち、
　進行方向に対し左右いずれか一方の外側から二つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置した
　田植機。
　植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、
　この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、
　前記植付支持ケースから後方に五つの植付伝動ケースを配置し、
　これら五つの植付伝動ケースに九つの植付回転ケースを配置し、
　これら九つの植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて９条植え用とした田植機において、
　前記九つの植付回転ケースのうち、
　進行方向に対し左から四つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置した
　田植機。
　植付部の植付フレームを構成する植付支持ケースを左右方向に配置し、
　この植付支持ケースの左右中央位置に植付ミッションケースを配置し、
　前記植付支持ケースから後方に四つの植付伝動ケースを配置し、
　これら四つの植付伝動ケースに七つの植付回転ケースを配置し、
　これら七つの植付回転ケースのそれぞれに植付爪部を設けて７条植え用とした田植機において、
　前記七つの植付回転ケースのうち、
　進行方向に対し左から二つ目の植付伝動ケースにのみ植付回転ケースをひとつ配置した
　田植機。
　走行部の後部に昇降リンク機構を介して植付部を装着し、
　この植付部の植付フレームに、植付ミッションケースと、９条植え分の植付爪部が配置された五つの植付伝動ケースと、９条植え分の苗マットが載置される苗載台とを配置して９条植え用とした田植機において、
　前記植付フレームは、
　左右方向に配置され、左右中央位置に植付ミッションケースが取り付けられるとともに、五つの植付伝動ケースが左右方向に並べて後方に突出して取り付けられる植付支持ケースと、
　この植付支持ケースの上部に取り付けられる植付枠体と、
　前記植付ミッションケースの上部に取り付けられる植付部側ヒッチブラケットと、
　前記植付枠体を連結する連結プレートとを備えており、
　前記連結プレートと植付部側ヒッチブラケットとの間に調節取付部を構成した
　田植機。
　前記調節取付部は、
　連結プレートに左右方向に所定の間隔をあけて形成されている複数の取付孔と、
　植付部側ヒッチブラケットに形成されている取付孔と、
　固定部材とを備えている
　請求項４記載の田植機。