WO2012014533A1

WO2012014533A1 - 錠剤分割装置

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Publication number: WO2012014533A1
Application number: PCT/JP2011/059214
Authority: WO
Inventors: 義人大村; 俊治大ヶ谷
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2010-07-29
Filing date: 2011-04-13
Publication date: 2012-02-02
Also published as: CN103096864B; EP2599471A4; EP2599471A1; US20130125722A1; AU2011284029B2; CN103096864A; DK2599471T3; CA2806813C; EP2599471B1; AU2011284029A1; US8925434B2; CA2806813A1

Abstract

　簡素な進退刃でも錠剤裁断片の重量のバラツキが小さい錠剤分割装置を実現する。分割対象の錠剤１０を保持機構３０にて裁断位置に保持する。裁断位置に向けて進退する一対の対向刃４１，４２の対向間隙を縮小させて錠剤１０を裁断する際、裁断機構４０の一対の対向刃４１，４２が錠剤１０を挟むまでは保持機構３０による錠剤保持を継続させる。一対の対向刃４１，４２が錠剤１０を挟んでからは保持機構３０による錠剤保持を解除して錠剤１０を一対の対向刃４１，４２だけで挟持する。保持機構３０による錠剤保持が解除されてから対向刃４１，４２を錠剤１０に切り込ませることにより、対向刃４１，４２の切り込み先に発生する割れ１１の曲がりや増大を抑制する。

Description

錠剤分割装置

　この発明は、錠剤を裁断して幾つかの錠剤裁断片に分割する錠剤分割装置に関する。

　錠剤を２片に分割する従来の錠剤分割装置としては、一錠ずつ保持した錠剤にカッターを押し下げて錠剤を裁断するものがある。また特開平１１－２２６０８８号公報には、一枚の揺動するカッター刃で錠剤を分割し、分割した錠剤裁断片を個々に排出する錠剤供給装置が示されている。さらに特開平１１－２２６０８９号公報には、保持した錠剤をカッターの刃で上下に裁断して下側の錠剤裁断片は先に排出するが、上側の錠剤裁断片はカッター上に一旦留め置き、次のカッター動作により、遅れて上側の錠剤裁断片を排出する錠剤供給装置が開示されている。これら錠剤供給装置では、裁断機構に具備されている一枚のカッター刃を、保持機構にて裁断位置に保持されている分割対象の錠剤に、切り込ませるようになっている。

特開平１１－２２６０８８号公報

　従来の錠剤分割装置では、左右に分割するにしろ、上下に分割するにしろ、ほぼ真っ直ぐな刃を錠剤に向けて例えば斧の如く刃先から垂直に押し込むようにして錠剤を裁断していた。この裁断手法は簡便である一方、目的の錠剤裁断片だけでなく目的外の不所望な破片が出ることがある。このような不所望な破片が出ると、裁断された錠剤裁断片の重量にのバラツキが大きくなる問題が生じる。

　裁断片の重量のバラツキが例え調剤の規定上は許容範囲内であったとしても目視で分かる程になると、服用者などが不安を抱くことがあるので、裁断片の重量のバラツキが大きなことは好ましくない。また、規定上の許容範囲を超える不所望な分割の発生頻度が例え装置の仕様上の許容範囲に収まっている場合でも、不所望な分割のため使用されないで捨てられる薬剤が増える可能性がある。

　本発明の目的は、錠剤が分割されて得られる複数の錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなる錠剤分割装置を提供することにある。

　本発明は、分割対象の錠剤を裁断位置に保持する保持機構と、裁断位置に保持された錠剤を裁断する裁断機構と、裁断機構および保持機構の動作手順を規定する裁断動作規定手段とを備えた錠剤分割装置を備えている。そして錠剤が分割されて得られる二つの錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなるように、裁断機構の構造及び裁断動作規定手段における裁断機構および保持機構の動作手順が定められている。裁断機構の構造を適宜なものとし、しかも裁断動作規定手段における裁断機構および保持機構の動作手順を適宜なものとすることにより、錠剤が分割されて得られる複数の錠剤裁断片の重量のバラツキは大幅に小さくなる。

　裁断機構の構成としては、種々の構成を採用できる。また裁断機構と保持機構に応じて、最大動作規定手段が規定する動作手順は異なる。例えば、裁断機構として、それぞれ移動待機位置と移動完了位置との間を変位する一対の対向刃を備え、一対の対向刃を共に移動待機位置から移動完了位置に変位させて裁断位置にある錠剤を裁断するように構成されたものを用いることができる。この場合に裁断動作規定手段が規定する動作手順は次の通りであることが好ましい。まず一対の対向刃が共に移動待機位置から移動完了位置に変位するときに、一対の対向刃が錠剤を挟むまでは保持機構による錠剤保持を継続させる。そして一対の対向刃が錠剤を挟んでからは保持機構による錠剤の保持を解除させて錠剤を一対の対向刃だけで挟持させる。保持機構による錠剤の保持が解除されてから一対の対向刃を前記に切り込ませる。

　このようにすると分割対象の錠剤が、保持機構にて裁断位置に保持されてから、対向間隙を縮小させる一対の対向刃によって裁断される。その際、一対の対向刃が錠剤を挟んだら、一対の対向刃が錠剤に切り込む前に保持機構による錠剤保持が解除されて、錠剤が一対の対向刃だけで挟持された状態で対向刃が錠剤に切り込む。このように錠剤裁断時に一対の対向刃が錠剤に切り込むときには、錠剤が保持機構から離れているようにしたことにより、一対の対向刃の切り込みで錠剤に変形や変位が生じたとしても、それによって保持機構から錠剤に反力が作用するということは起こらない。この反力が一対の対向刃を基準にして錠剤の非対称位置に作用すると、錠剤の内部において一対の対向刃の切り込み先に発生する割れが曲がったり大きくなったりしやすくなる。そしてこの反力の発生位置や大きさは、錠剤の表面の微細な欠けや，錠剤の表層または内部の割れ，錠剤と保持機構との接触部位に付着した破片などの有無および存在箇所によって種々変動する。これに対し、錠剤が保持機構から離れて一対の対向刃だけで挟持された状態で一対の対向刃が錠剤に切り込むと、反力が生じないため、割れが安定して、錠剤裁断片の重量のバラツキ小さくなる。

　裁断動作規定手段は、保持機構による錠剤の保持を解除させる際、その解除完了までは一対の対向刃の変位を一時停止させるように動作手順を規定しているのが好ましい。これにより、保持機構による錠剤保持の解除動作に係るタイミングの制約が緩和・解消されるので、機構設計の容易化や，調整工数の短縮，部材費の低減などが推進される。

　また裁断動作規定手段は、保持機構による錠剤の保持を解除させる際、一対の対向刃にて挟まれた錠剤から保持機構を離れさせる動作と、錠剤を挟んだ一対の対向刃を保持機構から離れる方向に移動させて錠剤を保持機構から離す動作とのうち、何れか一方または双方の動作を行わせるように動作手順を規定することができる。このようにすると保持機構による錠剤の保持の解除を簡単に行うことができる。

　保持機構に錠剤を案内する錠剤通過経路の構造は任意である。例えば、錠剤通過経路を鉛直にして、特に裁断位置の上流部分を鉛直な筒状部材で構成して錠剤を真下へ真っ直ぐ落下させてもよい。また斜め上向きの傾斜面を有した落下錠剤案内部材を用いてもよい。錠剤通過経路の途中に裁断位置や保持機構が配置される。斜め上向きの傾斜面を備えた落下錠剤案内部材を用いると、落下錠剤に衝撃をあまり与えないうえ、裁断位置で錠剤を姿勢良く止めるので、錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなる。しかしながら、錠剤分割装置に対する改善要求は、分割精度の向上すなわち錠剤裁断片の重量のバラツキを小さくすることにとどまるものでなく、多様な形状の各種錠剤に対応できることが求められている。このような要求に応えるために、錠剤分割装置は、さらに落下錠剤案内部材と、溝深規定部材と、経路厚み調整機構と、制御装置とを備えているのが好ましい。落下錠剤案内部材としては、上端開口部、下端開口部及び上端開口部と下端開口部との間に位置する側面開口部を有し且つ途中に裁断位置を備えて、重力で落下する錠剤を案内する溝状の錠剤通過経路を備えているものを用いる。溝深規定部材は、錠剤通過経路のうち裁断位置より上流の部分を含む錠剤通過経路の側面開口部の一部または全部を覆う。また経路厚み調整機構は、錠剤通過経路の側面開口部と対向する溝底と溝深規定部材の溝底対向面との相対距離を変更する。そして制御装置は、錠剤の厚さ情報を取得して経路厚み調整機構を作動させることにより相対距離を錠剤の厚さに適合させる。このようにすれば、錠剤形状情報のうち最小寸法である厚さ情報を制御装置に与えることにより、後は制御装置と厚み調整機構と溝深規定部材との協動により自動で、錠剤通過経路の溝底と溝深規定部材の溝底対向面との相対距離が錠剤の厚さに適合させられる。そのため、厚さの異なる各種錠剤に対して適合させる改造や調整の負担を軽減させることができる。この場合、錠剤通過経路として、斜め上向きの傾斜面に形成された溝状の錠剤通過経路を用いると、溝底によって落下速度が抑制されて錠剤に及ぶ衝撃が緩和される。また溝底によって姿勢が規制されることから錠剤が裁断位置で姿勢良く止まるので、錠剤裁断片の重量のバラツキを小さくすることに貢献する。

　なお保持機構は、錠剤通過経路内に配置されて錠剤通過経路を部分的に塞ぐことにより、錠剤通過経路を下ってきた分割対象の錠剤を裁断位置に一時保持する受止部材を備えており、制御装置は受止部材の作動と裁断機構の作動とを関連して制御するのが好ましい。そして錠剤通過経路内には、裁断位置より上流に設けられていて錠剤通過経路の溝幅を調整する溝幅調整機構をさらに具備しているのが好ましい。この場合、制御装置は、錠剤の幅情報を取得して溝幅調整機構を作動させることにより溝幅を錠剤の幅に適合させる。このように、錠剤形状情報のうち中間寸法である幅情報を制御装置に与えれば、後は制御装置と幅調整機構との協動により自動で、錠剤通過経路の溝幅が錠剤の幅に適合させられる。そのため、厚さばかりか幅についても寸法の異なる各種錠剤に対して適合させる改造や調整の負担が軽減される。

　裁断機構は、一対の対向刃が移動待機位置から移動完了位置に変位する過程で錠剤を錠剤通過経路の側面開口部と対向する溝底から浮かせ、その後に裁断を完遂するように構成されているのが好ましい。溝底等によって落下中や裁断位置における錠剤の姿勢が安定化されるようにしたうえで、錠剤裁断時に一対の対向刃が錠剤に切り込む前に錠剤が溝底から離れるようにすれば、錠剤が溝底での姿勢規制から解放されて一対の対向刃での姿勢規制に委ねられる。それによって錠剤の姿勢が一対の対向刃の切り込みに適合してから、一対の対向刃が錠剤に切り込むと、切込時に錠剤に作用する力の対称性が高まり、また溝底からの反力の影響を受けることがないので、錠剤の割れ方が安定して、錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなる。

　なお一対の対向刃の一方は、溝底を貫通して変位し、一対の対向刃の他方は溝深規定部材を貫通して変位するように配置することができる。溝底に接している錠剤を一対の対向刃が挟持するときや、一対の対向刃が挟持している錠剤を溝底から浮かせるとき、さらには溝底から浮かせた錠剤を挟持している一対の対向刃がその錠剤に切り込むときには、いきなり強い力を作用させたり強く切り込んだりするのは好ましくない。そこで裁断機構を、一対の対向刃の一方または双方が、外力にて移動待機位置側に押されると可動範囲内で後退するようになっており且つその後退時には当初から又は後退途中から錠剤の重さより強い力で前進側に付勢されるように構成するのが好ましい。すなわち当初は付勢力に応じた優しい力で挟むとともに錠剤表面に浅い切れ目を入れ、それから可動範囲に基づいて例えば可動限界で切り込み力を増大する。このようにすると、錠剤の割れ方が安定して、錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなる。

　傾斜面の溝底等によって落下中や裁断位置停止時の錠剤姿勢が安定化されるようにしたうえで、錠剤通過経路のうち裁断位置より上流側の部分を傾斜面と直交する鉛直面に対しても傾斜させたことにより、該当部分の錠剤通過経路が、傾斜面上で傾斜の最も急な経路であって無制約の球体の自然に転げ落ちる経路よりも、傾斜の緩いものとなる。そして、落下錠剤が、溝底だけでなく溝側壁面も加えた二面によって、姿勢を規制されるとともに落下速度を抑制されるので、錠剤裁断片の量目の変動がより小さくなる。

　錠剤通過経路のうち裁断位置より上流側の部分は、蛇行しているのが好ましい。例えば錠剤通過経路のうち裁断位置より上流側の部分がクランク状に曲がっていてもよく、また繰り返し曲がるように蛇行していてもよい。このようにすると、蛇行する経路の、折り返し部で錠剤は速度を下げる。そのため、落下錠剤が、錠剤通過経路中の折り返し部を通る度に、減速して速度超過が是正されるとともに、錠剤通過経路を囲む壁面への錠剤の当たりが一時的に強まって溝側壁面と溝底との間に形成される隅部による姿勢規制が強化される。その結果、錠剤裁断片の重量のバラツキがより一層小さくなる。

　また錠剤通過経路を裁断位置で又はその下流側で分岐して、そこから下流側の部分が二つの分岐経路になっている構成とすることができる。この場合、受止部材は、二つの経路開閉部材を含んで構成する。そして二つの経路開閉部材が、それぞれ二つの分岐経路の分岐箇所近傍に設けられていて対応する分岐経路を開閉する。しかも二つの経路開閉部材は、裁断位置の両側に分かれて配置する。このようにすると二つの経路開閉部材を適宜に開閉することにより、裁断位置の両側に分離した二つの錠剤裁断片をそれぞれ適宜な時期にそれぞれの利用箇所へ落下排出することができる。そのため、精度良く分割されるようになった錠剤裁断片を例えば左右に振り分けて別の所へ供給するといった有効利用もできることとなる。

　また制御装置は、錠剤の裁断後に裁断機構の一対の対向刃を移動完了位置から移動待機位置に退かせる時期と、二つの経路開閉部材それぞれに該当分岐箇所を開通させる時期の前後を入れ替えることにより、錠剤が分割されて得られた錠剤裁断片を二つの分岐経路のうち同じ経路に落下させることと錠剤裁断片を分岐経路のうち異なる経路に落下させることとを選択しうるように構成することができる。このように制御装置を構成すると、錠剤裁断片を同じ所へ供給することも別の所へ振り分けることもそれらを切り替えることも自由自在に行うことができる。しかも、それが、機械部品や駆動部材を追加することなく、制御手段の改良だけで、具現化される。

　また裁断機構としては、それぞれ移動待機位置と移動完了位置との間を変位する一対の対向刃を備え、一対の対向刃を平行に保ちながら相反する方向へ相対的にずらすことにより、一対の対向刃を移動待機位置から移動完了位置に変位させて裁断位置にある錠剤を裁断するように構成されたものを用いることができる。この裁断機構では、一対の対向刃が錠剤を挟んで両側から切り込むため、片側だけの切り込みに比べて、それぞれの刃の切込深さが半減するうえ、錠剤の変形も表裏対称に近づくので、破片の発生頻度も量も少なくなる。しかも、一対の対向刃が平行方向へ相対的にずれながら錠剤に切り込むことから、刃先が錠剤に対し垂直でなく斜めに押し込まれるため、例えばナイフを引きながら切る場合と同様に、切れ味が良くなるので、破片の発生頻度も量も更に少なくなる。したがって、この裁断機構を用いれば、刃の部分が簡素で能率が良いうえ破片の出難い錠剤分割装置を実現することができる。

　なおこの裁断機構は、四節平行リンクを具備し、一対の対向刃が四節平行リンクの対向二辺に装備された構造とすることができる。その結果、裁断機構の複雑化が回避抑制される。またこの裁断機構を用いる場合において、保持機構として、分割対象の錠剤を裁断位置に一時保持する受止部材を備えたものを用いる。さらに受止部材を移動させて一対の対向刃に対する錠剤の裁断位置を調整する錠剤位置調整手段と、錠剤の薬剤情報を取得する情報取得手段とをさらに備える。そして制御装置は、情報取得手段が取得した薬剤情報に基づいて錠剤位置調整手段を作動させ、さらに受止部材の作動と裁断機構の作動とを関連して制御する。このようにすると裁断対象の錠剤の受け止め位置が薬剤情報に基づいて自動調整される。その結果、種々の錠剤に対して形状が異なっていても切断・裁断が自動的に適切な部位で行われることとなる。

　裁断機構として、円板状の回転刃を回転させながら錠剤に切り込むものを採用することもできる。回転刃を用いれば、破片が出難いうえ、その代わりに出る粉塵すら安定な僅少量になると、期待される。裁断性に優れた回転刃を裁断機構に組み込んだ錠剤分割装置を提供するためには、裁断機構に、保持した錠剤を裁断位置に送り込む錠剤移送機構を設ける。そして錠剤移送機構は、回転軸を中心にして回転する回転体と回転体を駆動する駆動部材とを備えた構造を有する。回転体には回転軸を中心とする外周部に錠剤を受け入れる複数の錠剤受け入れ部が周方向に等間隔をあけて配置される。また回転体の外周部には周方向に連続して延びて複数の錠剤受け入れ部と連通し且つ回転刃が一部入り込んで錠剤受け入れ部に保持された錠剤を分割することを許容する環状の溝を形成する。そして錠剤受け入れ部が錠剤供給位置に来たときに、錠剤が錠剤受け入れ部に投入され、錠剤受け入れ部が錠剤排出位置に来たときに分割された錠剤が錠剤受け入れ部から排出されるように移動移送機構を構成する。

　このような錠剤分割装置にあっては、錠剤移送機構が回転体と駆動部材とで構成され、回転体に設けた錠剤受け入れ部によって錠剤の保持と送り込みが可能になっており、回転体の外周の溝によって回転刃の切り込みが可能になっている。したがって錠剤移送機構が簡素なものとなっている。しかも、錠剤受け入れ部や溝は、基本的に変形しないので、設計通りに形成されてさえいれば調整が要らないし、錠剤を挟みつけて擦るということもない。したがって、回転刃を組み込んだ裁断機構の錠剤移送機構が簡素かつ調整不要なものになるので、裁断性に優れた錠剤分割装置を安価に提供することができる。

従来装置と対比させて本発明の錠剤分割装置の作用効果を説明するための模式図であり、（ａ）が一枚刃の従来装置の要部の正面図、（ｂ）がその切り込み部分の拡大断面図、（ｃ）が対向刃の従来装置の要部の正面図、（ｄ）がその切り込み部分の拡大断面図、（ｅ）が対向刃を持った本発明の錠剤分割装置の要部の正面図、（ｆ）がその切り込み部分の拡大断面図である。本発明の第１の実施例について、縦刃タイプの錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が全体側面図、（ｂ）が側面パネルを外した本体部の斜視図である。（ａ）が本体部の内部機構の斜視図、（ｂ）が保持機構と裁断機構の展開斜視図である。（ａ）～（ｃ）、何れも、左半分が保持機構の要部の正面図であり、右半分が保持機構の要部の縦断面と対向刃との側面図である。（ａ）～（ｃ）、何れも、左半分が保持機構の要部の正面図であり、右半分が保持機構の要部の縦断面と対向刃との側面図である。（ａ）～（ｃ）、何れも、左半分が保持機構の要部の正面図であり、右半分が保持機構の要部の縦断面と対向刃との側面図である。本発明の第２の実施例について、横刃タイプの錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が全体斜視図、（ｂ）が展開斜視図、（ｃ）～（ｉ）が何れも保持機構の要部の縦断面と対向刃との側面図である。本発明の第３の実施例について、縦刃タイプの錠剤分割装置の異なる構造を示し、（ａ）が保持機構の要部の正面図であり、（ｂ）が保持機構の要部の縦断面と対向刃との側面図である。本発明の第４の実施例について、分割数の異なる錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が三分割用の刃先の形、（ｂ）が四分割用の刃先の形である。本発明の第５の実施例について、錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が外観斜視図、（ｂ）が右側面図、（ｃ）が保持機構と裁断機構の右側面図、（ｄ）が保持機構の表面図（Ａ矢視図）である。（ａ），（ｂ）が何れも保持機構と裁断機構のＢ－Ｂ線断面図、（ｃ）が保持機構の表面図、（ｄ），（ｅ）が何れも錠剤落下経路と落下錠剤の模式図である。（ａ）～（ｆ）が何れも裁断機構の要部の右側面図である。（ａ）～（ｄ）が何れも保持機構の要部の表面図である。本発明の第６の実施例について、錠剤分割装置の要部構造を示し、（ａ）～（ｄ）が何れも保持機構の要部の表面図である。本発明の第７の実施例について、錠剤分割装置の構造を示し、要部機構の展開斜視図である。（ａ）～（ｃ）いずれも錠剤通過経路周辺の簡略正面図である。（ａ）～（ｅ）いずれも錠剤通過経路周辺の簡略正面図である。（ａ）～（ｄ）いずれも裁断機構の平面図である。本発明の第８の実施例について、錠剤分割装置の要部構造を示し、（ａ）～（ｂ）いずれも裁断機構と受止機構の斜視図である。本発明の第９の実施例について、錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が平面図、（ｂ）が正面図、（ｃ）が右側面図、（ｄ）が錠剤カセットを外したところの右側面図である。（ａ）が一部断面で示した要部機構の背面図、（ｂ）が錠剤案内部材のＡＡ矢視断面図である。（ａ）～（ｄ）いずれも一部断面で示した錠剤通過経路周辺の背面図である。本発明の第１０の実施例について、錠剤分割装置の構造を示し、要部機構の簡略立面図である。本発明の第１１の実施例について、錠剤分割装置の要部構造を示す斜視図である。本発明の第１２の実施例について、錠剤分割装置の構造を示し、（ａ）が正面図、（ｂ）が右側面図、（ｃ）が裁断機構の斜視図である。本発明の第１３の実施例について、錠剤分割装置の要部構造を示し、（ａ）が展開図、（ｂ）が斜視図である。

　以下本発明の錠剤分割装置の複数の実施例について、図面を参照して説明する。なお、実施例の図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を省略してある。

［第１の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の大の実施例について、その具体的な構成を説明する。なお第１の実施例の理解の前提として、図１を用いて、従来の構造により錠剤を裁断する場合の問題ついて説明する。刃４１を錠剤に切り込むときに、錠剤１０が保持機構３０に接触していると、刃が一枚の場合も（図１（ａ），（ｂ）参照）、刃が一対の対向枚の場合も（図１（ｃ），（ｄ）参照）、錠剤１０の変形や変位に起因して保持機構３０から錠剤１０に反力Ｆが作用する。この反力Ｆが刃４１，４２を基準にして錠剤１０の非対称位置に作用すると、錠剤１０の内部において刃４１，４２の切り込み先に発生する割れ１１が曲がったり大きくなったりする。反力Ｆの発生位置や大きさは、錠剤１０の表面の微細な欠けや，錠剤１０の表層または内部の割れ，錠剤１０と保持機構３０との接触部位に付着した破片などの有無および存在箇所によって種々変動するものである。

　以下にする本発明の第１の実施例によれば、錠剤１０が保持機構から離れて一対の対向刃４１，４２だけで挟持された状態で一対の対向刃４１，４２が錠剤１０に切り込む（図１（ｅ），（ｆ）参照）。第１の実施例によれば、裁断状態の変動要因であるとともに変動量の増幅要因でもあると考えられる反力Ｆが生じないため、割れ１１が安定して、錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなる。

　図２（ａ）が錠剤通過経路内の錠剤を経路に沿って縦に裂くように一対の対向刃４１，４２を配置した縦刃タイプの錠剤分割装置２０の全体側面図、図２（ｂ）が側面パネルを外した本体部２４の概略斜視図である。また、図３（ａ）が錠剤分割装置２０の本体部２４の内部機構の斜視図、図３（ｂ）が保持機構３０と裁断機構４０の展開斜視図である。さらに、図４（ａ）～（ｃ）は、何れも、左半分が保持機構３０の要部の正面図であり、右半分が保持機構の要部３０の縦断面と対向刃４１，４２との側面図である。

　この錠剤分割装置２０は（図２（ａ）参照）、錠剤カセット２１と、操作部２２と、コントローラ２３と、本体部２４と、受器２５と、中継部２６と、錠剤フィーダベース部２７とを備えている。本体部２４は、保持機構３０および裁断機構４０に加えて、錠剤フィーダベース部２７と中継部２６と受器２５とを装備している。操作部２２は、図示しない処理錠数設定器や処理開始釦などを外装するとともにコントローラ２３や図示しない電源部などを内蔵している。錠剤カセット２１は、錠剤フィーダベース部２７に装着されて錠剤１０を一錠ずつ排出する着脱自在な構造を有している。本体部２４と操作部２２は一体化しても良いが、この例では、製造や保守の容易化等のため、操作部２２が本体部２４に後方から連結されている。また、受器２５や中継部２６の支持部は、本体部２４から分離可能なユニットにしても良いが、この例では本体部２４と一体になっている。

　本体部２４には（図２，図３参照）、最上部に錠剤フィーダベース部２７が固定的に配置されている。また本体部２４内には、錠剤フィーダベース部２７の下方で前面寄りの位置に保持機構３０が配置されている。保持機構３０の下方には、中継部２６が固定配置されている。更に中継部２６の下方には受器２５が出し入れ可能に配置されている。裁断機構４０は保持機構３０が配置される空間と直交するように即ち保持機構を一部が貫くようにして本体部２４に実装されている。

　錠剤フィーダベース部２７は（図３（ａ）参照）、錠剤１０を逐次供給することを自動で行うためのものである。錠剤フィーダベース部２７は、コントローラ２３の制御に従って駆動モータ２７ａが動作して、ベース板２７ｂに装着された錠剤カセット２１から錠剤１０を排出させる。そして錠剤フィーダベース部２７は、錠剤１０を導入口２７ｃ及びガイド２７ｄ経由で保持機構３０の錠剤通過経路３２へ送り込む。

　保持機構３０は分割対象の錠剤１０を裁断位置３３に保持する。裁断機構４０は、保持機構３０によって保持された錠剤１０を裁断して二個の錠剤裁断片１２に分割する（図３参照）。

　中継部２６は（図３（ａ）参照）、保持機構３０の錠剤通過経路３２から落下した錠剤裁断片１２が飛散したり破損したりするの防止しながら、錠剤裁断片１２を受器２５へ送り込むために、収集用ガイド２６ａや緩衝用バッファ２６ｂを具備している。

　受器２５は（図２参照）、錠剤１０を分割してできた錠剤裁断片１２を受け入れて貯めておく角箱状や角皿状の容器であり、本実施例では、引出式になっている。

　保持機構３０は（図３，図４参照）、この例では、分割対象の錠剤１０を裁断位置３３に保持するとともに、裁断機構４０と協動して保持機構３０による錠剤１０の保持を解除することも行う。そこで保持機構３０は、錠剤フィーダベース部２７と中継部２６との間に配置された板状の落下錠剤案内部材３１と、それぞれ上端部を支点にして下端部を揺動しうる可動部材からなる一対の受止部材３４とを具えている。落下錠剤案内部材３１は、上端を後にし下端を前にして傾斜している。落下錠剤案内部材３１の傾斜角度は、例えば水平から角度４５゜～６０゜程度であり、落下錠剤案内部材３１の斜め上向きの前面には、上方のガイド２７ｄから下方のガイド２６ａへ連なる錠剤通過経路３２が彫り込み形成されている。錠剤１０が落下錠剤案内部材３１から離れることなく錠剤通過経路３２の中を適度な速度で滑り落ちるよう、落下錠剤案内部材３１の傾斜が設定されている。

　錠剤通過経路３２は、裁断位置３３の所が広くなっており、そこの中央に縦のスリット３５（図４参照）が貫通形成されている。スリット３５の両側に一対の受止部材３４が配設されている。一対の受止部材３４は、落下錠剤案内部材３１の裏面の図示しない駆動部材がコントローラ２３の制御に従って作動すると、錠剤通過経路３２の中で下端部が所定の角度範囲を回動する。一対の受止部材３４が回動して、それぞれの下端部同士を近づけるとＶ字状の受止構造が裁断位置３３の直ぐ下方に構成されて、錠剤通過経路３２を閉じる（図４（ａ），（ｂ）参照）。一対の受止部材３４の下端部同士を離すと裁断位置３３の下方の錠剤通過経路３２が開かれる（図４（ｃ）参照）。

　裁断機構４０は（図３，図４参照）、裁断位置３３に向けて進退する手前の外刃と奥の内刃とからなる一対の対向刃４１，４２を具備している。すなわち裁断機構４０は、それぞれ移動待機位置（図４（ａ）に示された一対の対向刃４１，４２の位置）と移動完了位置（図４（ｂ）に示された一対の対向刃４１，４２の位置）との間を変位する一対の対向刃４１，４２を備え、一対の対向刃４１，４２を共に移動待機位置から移動完了位置に変位させて裁断位置にある錠剤１０を裁断するように構成されている。この例では、対向刃４１，４２が、縦向きになっている。一対の対向刃４１，４２は、鉛直に配置されているのではなく、落下錠剤案内部材３１と同じ角度で傾斜している。すなわち一方の対向刃４１が斜め上方に位置し、他方の対向刃４２が斜め下方に位置している。一方の対向刃４１は、落下錠剤案内部材３１を一部が貫通して往復動する第１の進退部材４３によって支持されている。コントローラ２３の制御に従って第１の駆動部材４４が作動すると、一方の対向刃４１は、移動待機位置と移動完了位置との間を移動する。他方の対向刃４２は、落下錠剤案内部材３１の後方で往復動する第２の進退部材４５によって支持されている。コントローラ２３の制御に従って第２の駆動部材４６が作動すると、他方の対向刃４２はスリット３５を通過しながら移動待機位置と移動完了位置との間を移動する。

　コントローラ２３は、例えばプログラマブルなマイクロプロセッサシステムやシーケンサからなる制御装置を構成する。コントローラ２３は、保持機構３０と裁断機構４０の動作手順を規定する裁断動作規定手段も構成する。本実施例では、コントローラ２３によって構成される裁断動作規定手段は、次のように動作手順を規定する。まず錠剤裁断時に一対の対向刃４１，４２の対向間隙を縮小させる際には、一対の対向刃４１，４２が裁断位置３３にある錠剤１０を挟むまでは保持機構３０による錠剤の保持を継続させる。次に一対の対向刃４１，４２が錠剤１０を挟んだ後からは、一対の対向刃４１，４２の対向間隙の縮小動作を一時停止させる。その後、保持機構３０による錠剤保持を解除させて錠剤１０を一対の対向刃４１，４２だけで挟持させる。そして保持機構３０による錠剤保持が完全に解除されてから、一対の対向刃４１，４２の対向間隙の縮小動作を再開させて一対の対向刃４１，４２を錠剤１０に切り込ませる。なお、他の制御内容については以下の動作制御で例示する。

　この第１の実施例の錠剤分割装置２０について、その使用態様及び動作を、図面を参照して説明する。図５（ａ）～（ｃ）及び図６（ａ）～（ｃ）は、何れも、左半分が保持機構３０の要部の正面図であり、右半分が保持機構の要部３０の縦断面と一対の対向刃４１，４２との側面図であり、錠剤裁断動作を時系列で示している。

　初期状態では（図５（ａ）参照）、裁断位置３３の直ぐ下方の受止部材３４が閉じており、保持機構３０や裁断機構４０には錠剤１０が存在せず、裁断位置３３は空いている。また、一方の対向刃４１が裁断位置３３から外側または前上方へ退く（移動待機位置に位置する）とともに、他方の対向刃４２が裁断位置３３から内奥側または後下方へ退いて（移動待機位置に位置して）、一対の対向刃４１，４２の対向間隙が最大拡大状態になっている。

　この状態で、操作部２２を操作して錠剤分割装置２０に裁断処理を開始させると、錠剤フィーダベース部２７の駆動モータ２７ａが作動する。駆動モータ２７ａの駆動により、錠剤カセット２１から一個の錠剤１０が落下排出される。

　そして、その錠剤１０は、錠剤フィーダベース部２７の導入口２７ｃやガイド２７ｄを通って保持機構３０の錠剤通過経路３２に落下投入される。錠剤１０は、錠剤通過経路３２に案内されて裁断位置３３に到達すると、そこで受止部材３４に当接して停止する。その結果、錠剤１０は、二個の受止部材３４の中央に位置決めされて保持される（図５（ｂ）参照）。この時点では、錠剤１０は保持機構３０のうち落下錠剤案内部材３１の錠剤通過経路３２の内底面と二個の受止部材３４の接触部位とで保持されており、一対の対向刃４１，４２には触れることなく、対向刃４１，４２の対向間隙内に位置している。

　次に（図５（ｃ）参照）、他方の対向刃４２が一方の対向刃４１に向かって少しだけ進み、それに押されて錠剤１０が錠剤通過経路３２の内底面から浮き上がって離れたら、他方の対向刃４２が止まる。

　そして（図６（ａ）参照）、一方の対向刃４１が他方の対向刃４２に向かって進み、一対の対向刃４１，４２の対向間隙が縮小して錠剤１０が対向刃４１，４２に挟まれたら、一方の対向刃４１が止まる。

　それから（図６（ｂ）参照）、一対の受止部材３４が相反する方向に回動して開き、錠剤１０から離れる。このとき錠剤１０が一対の対向刃４１，４２によって挟持されているので、錠剤１０は不所望に落下することはない。

　その状態から、さらに（図６（ｃ）参照）、一対の対向刃４１，４２が共に進んで対向間隙がほぼゼロになるところまで移動する（移動完了位置まで一対の対向刃４１，４２が移動する）。これによって錠剤１０が縦に裁断されて左右の錠剤裁断片１２に分かれる。そのとき、錠剤１０は、一対の対向刃４１，４２だけで挟持された状態から切り込まれるため、切り込みによって多少変形したり変位したりしても保持機構３０から不所望な反力Ｆが作用することがないので、錠剤１０は安定して期待通りに割れる。そして、錠剤１０が分割されてできた二個の錠剤裁断片１２が錠剤通過経路３２や中継部２６を通過して受器２５に落下する間に、一対の受止部材３４がその先端を近づけるように回動して、錠剤通過経路３２を閉じるとともに一対の対向刃４１，４２が共に移動待機位置へと退いて初期状態に戻る（図５（ａ）参照）。

［第２の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第２の実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図７は、（ａ）が錠剤通過経路を遮断するように錠剤に一対の対向刃を移動させる横刃タイプの錠剤分割装置２０´の全体斜視図、（ｂ）がその展開斜視図、（ｃ）が保持機構３０の要部の縦断面と対向刃４１´，４２´との側面図である。

　この錠剤分割装置２０´が上述した第１の実施例の錠剤分割装置２０と相違するのは（図７（ａ）～（ｃ）参照）次の点である。まず保持機構３０´や裁断機構４０´の傾斜が無い。保持機構３０´が鉛直になる一方、一方の対向刃４１´も他方の対向刃４２´も水平になる。図示しない第１及び第２の進退部材や第１及び第２の駆動部材を含む裁断機構４０´全体が水平になる。さらに受器２５が省かれている。また標準的な錠剤フィーダベース部２７に代えて又はそれらと並べて錠剤分包機の錠剤収納庫に配設しうるようにフィーダベース部２７´が構成されている。また、保持機構３０´及び錠剤分割装置２０´の高さを低くするために、受止部材３４´は鉛直な錠剤通過経路３２´に対し水平に往復動して横から先端部を進退させるとともに上下移動もしうる単一部材になっている。

　この第２の実施例の錠剤分割装置２０´について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。同７（ｃ）～（ｉ）は、何れも、保持機構３０´の要部の縦断面と一つの対向刃４１´，４２´との側面図であり、錠剤裁断動作を時系列で示している。

　この場合、初期状態では（図７（ｃ）参照）、裁断位置３３´の直ぐ下方で受止部材３４´が錠剤通過経路３２´に進入しているが、保持機構３０´や裁断機構４０´には錠剤１０が無くて、裁断位置３３´は空いている。また、一方の対向刃４１´が裁断位置３３´から外側・前方へ退くとともに他方の対向刃４２´が裁断位置３３´から内奥側・後方（移動待機位置）へ退いて、一対の対向刃４１，４２の対向間隙が拡大状態になっている。この状態で、錠剤分割装置２０´に裁断処理を開始させると、錠剤カセット２１（図１）から一個の錠剤１０が落下排出される。

　そして、その錠剤１０は、保持機構３０´の錠剤通過経路３２´に落下投入され、錠剤通過経路３２´に案内されて裁断位置３３´に到達する。その後、錠剤１０は受止部材３４´に当接して停止し、受止部材３４´の上に乗った状態で位置決めされて保持される（図７（ｄ）参照）。

　この時点では、錠剤１０が、保持機構３０´のうち落下錠剤案内部材３１´の錠剤通過経路３２´の内壁面と受止部材３４´の上面とで保持されており、一対の対向刃４１´，４２´には触れることなく、一対の対向刃４１´，４２´の対向間隙に入り込んでいる。

　次に（図７（ｅ）参照）、一対の対向刃４１´，４２´が共に裁断位置３３´に向かって進み、それに伴って対向刃４１´，４２´の対向間隙が縮小する。さらに一対の対向刃４１´，４２´の刃先が錠剤通過経路３２´に進入して錠剤１０に突き当たると、そこで一対の対向刃４１´，４２´の進行がとまり、錠剤１０が一対の対向刃４１´，４２´に挟まれる。それから（図７（ｆ）参照）、受止部材３４´が下降して錠剤１０から離れるが、錠剤１０が一対の対向刃４１´，４２´によって挟持されているので不所望に落下することはない。また、この状態では、錠剤１０が、一対の対向刃４１´，４２´によって錠剤通過経路３２´の中央に寄せ置かれて、錠剤通過経路３２´の内壁面からも通過用遊びの分だけ離れるので、錠剤１０は、一対の対向刃４１´，４２´だけで挟持される。

　その状態から、さらに（図７（ｇ）参照）、一対の対向刃４１´，４２´が共に進んで対向間隙がほぼゼロになるところまで縮小し、これによって錠剤１０が横に裁断されて上下の錠剤裁断片１２に分かれる。そのとき、錠剤１０は、一対の対向刃４１´，４２´だけで挟持された状態から切り込まれるため、切り込みによって多少変形したり変位したりしても保持機構３０´から不所望な反力Ｆが作用することがなく、錠剤１０は安定して期待通りに割れる。そして、錠剤１０が分割されてできた二個の錠剤裁断片１２のうち上側の半錠は対向刃４１´，４２´の上にとどまり、下側の半錠は受止部材３４の上にとどまる。

　そこで、錠剤裁断片１２を一つずつ逐次落下させる場合は、先ず（図７（ｈ）参照）、受止部材３４´が退いて錠剤通過経路３２´から出ると、下側の半錠だけが落下する。次いで（図７（ｉ）参照）、一対の対向刃４１´，４２´が共に退いて錠剤通過経路３２´から出ると、上側の半錠が落下する。錠剤裁断片１２を二つ纏めて落下させる場合は、それらの動作が一緒に行われる。そして、錠剤裁断片１２が総て落下し終えると、受止部材３４´が錠剤通過経路３２´に進入するとともに上昇して初期状態に戻る（図７（ｃ）参照）。

　こうして、この場合も、一対の対向刃４１´，４２´だけで錠剤１０を挟持した状態で、一対の対向刃４１´，４２´が錠剤１０に切り込むので、錠剤１０は安定して期待通りに割れる。

［第３の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第３の実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図８は、（ａ）が保持機構３０"の要部の正面図であり、（ｂ）が保持機構３０"の要部の縦断面と一対の対向刃４１"，４２"との側面図であり、縦刃タイプの錠剤分割装置に係る他の構造例を示している。

　この錠剤分割装置が上述した第１の実施例の錠剤分割装置２０と相違するのは、受止部材３４"が可動部材でなく固定部材になった点と、錠剤保持解除が一対の対向刃４１"，４２"の平行移動で実現されるようになって受止部材３４"の作動には依存しなくなった点である。

　具体的には、裁断位置３３"に錠剤１０を止めておける段差が錠剤通過経路３２"の内底に形成され、その段差が固定化されている。詳述すると、錠剤通過経路３２のうち裁断位置３３"やその上流部分は受止部材３４"より深く形成されている。錠剤通過経路３２"のうち裁断位置３３"より下流の部分は、受止部材３４"上に形成されて、受止部材３４"の上面を経路底面としており、受止部材３４"の厚み分だけ底上げされて浅くなっている。

　この場合、受止部材３４"によって裁断位置３３"に止められている錠剤１０を一対の対向刃４１"，４２"で挟持した後、一対の対向刃４１"，４２"を一方の対向刃４１"側へ大きく移動させる。具体的には一対の対向刃４１"，４２"を受止部材３４"の厚みより長い距離に及んで移動させる。そうすると、錠剤１０は受止部材３４"から外れて一対の対向刃４１"，４２"だけで挟持されることとなる。それから、一対の対向刃４１"，４２"の対向間隙が小さくなって一対の対向刃４１"，４２"が錠剤１０に切り込むと、錠剤１０が複数の錠剤裁断片１２に分割される。これらの錠剤裁断片１２が受止部材３４"の上面を滑って又は受止部材３４"の上方を通過して落下する。

　こうして、この場合は、保持機構３０"による錠剤保持の解除が、錠剤１０を挟んだ一対の対向刃４１"，４２"を移動させて錠剤１０を保持機構３０"から離す動作によって実行される。

［第４の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第４の実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図９は、（ａ）が三分割用の刃先の形であり、（ｂ）が四分割用の刃先の形であり、分割数が二分割より多い錠剤分割装置の構造例を示している。

　本発明の錠剤分割装置は、上述した各実施例のように錠剤１０を二つの錠剤裁断片１２（半錠）に二分割するものに限定される訳でなく、例えば分割数に対応した個数の刃先を放射状に配置した進退刃（図９参照）を図示しない裁断機構に装着することにより、一度の裁断動作で錠剤１０を多数の錠剤裁断片１２に分割することができる。なお、一対の対向刃４１"（４２"）と受止部材とのうち何れか一方または双方を上下移動させて位置調整することで、比較的容易に、径の異なる大小の錠剤１０を適切に分割することもできる。

［その他］
　なお、図示は割愛したが、第１の実施例における保持機構３０による錠剤保持解除を保持機構３０の動作だけで行う他の変形例も述べる。例えば、受止部材３４が開いて錠剤１０から離れるとともに、落下錠剤案内部材３１のうち裁断位置３３を含む部分も可動式にして錠剤１０から離れるようにする。このようにすれば、一対の対向刃４１，４２にて挟持された錠剤１０から保持機構３０を離れさせる動作を保持機構３０に行わせることだけで、保持機構３０による錠剤保持を解除させることができる。

　また、第１の実施例における錠剤分割装置２０では、錠剤裁断時に、先ず他方の対向刃４２を進め、次いで一方の対向刃４１を進め、さらに受止部材３４を離し、それから一対の対向刃４１，４２を切り込むようにしていた。しかし裁断動作手順はこれに限定される訳でない。例えば、先ず一方の対向刃４１を進め、次いで他方の対向刃４２を進め、さらに受止部材３４を離し、それから一対の対向刃４１，４２を切り込むようにしても良い。あるいは、先ず一方の対向刃４１を進め、次いで受止部材３４を離し、さらに他方の対向刃４２を進め、それから一対の対向刃４１，４２を切り込むようにしても良い。受止部材３４が開いて錠剤１０から離れる速度が十分に高速ならば、一対の対向刃４１，４２で錠剤１０を挟持してから切り込みに移行するときの一方の対向刃４１の一時停止は省くことができる。

　操作部２２は必須でなく、例えば、錠剤１０が裁断位置３３に到達したらそれに応じて一連の裁断動作が開始されるようにしても良い。動作状態表示の有無も任意である。コントローラ２３も必須でなく、裁断動作規定手段をコントローラ２３でなく保持機構や裁断機構に組み込んで具現化しても良い。例えば、保持機構や裁断機構がカムやリンク等の機械仕掛けで順序動作するようにしても良い。

　また、錠剤裁断片１２の排出に不都合がなければ、受器２５や中継部２６も必須でない。錠剤１０の自動逐次供給が不要であれば、錠剤フィーダベース部２７や錠剤カセット２１も必須でない。

　さらに、一対の対向刃４１，４２の第１及び第２の駆動部材４４，４６や、一対の受止部材３４の駆動部材についても、それらを電動式や流体駆動式などで明示的に設けることは必須でない。また駆動部材を保持機構や裁断機構の伝動部などに組み込んでも良い。例えば、手動ハンドルの押し込み操作や回転操作によって第１及び第２の進退部材４３，４５や一対の受止部材３４が駆動されるようにしても良い。

　また、錠剤分割装置２０の保持機構３０では、錠剤通過経路３２の上面が解放された状態のものを図示したが、錠剤通過経路３２に錠剤飛散防止カバーを付けても良い。

　また、保持機構３０や裁断機構４０には、各種の錠剤１０について適切な裁断結果が得られるよう、錠剤１０の形状や材質などの相違に応じて一対の受止部材３４や一対の対向刃４１，４２などの動作状態を可変させる調整機構が付設されていても良い。

　さらに、そのような調整がコントローラ２３のパラメータ設定や操作部２２の選択操作などで容易に遂行されるようにしても良い。

　本発明の錠剤分割装置は、上述した第１の実施例のようにスタンドアローンで使用されたり、第２の実施例のように錠剤フィーダのベース部を機能拡張しつつ代替する態様で錠剤分包機等の自動調剤機に組み込まれる他、単体の錠剤フィーダから下方へ延びた錠剤通過経路や，複数の錠剤フィーダの錠剤通過経路が下方で合流した後の錠剤収集経路にも、組み込むことができる。

［第５の実施例］
　図１０～図１３に示した第５の実施例は、円板状の錠剤の分割に好適なものである。また、図１４に示した第６の実施例は、その変形例であって、細長い錠剤の分割に好適なものである。なお、これら図においても、図１乃至図９と同様に、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，電動モータ等の駆動源，ギヤ等の伝動部材，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を省略し、実施例の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。

　図１０は、（ａ）が錠剤分割装置１２０の外観斜視図、（ｂ）がその右側面図、（ｃ）が保持機構１３０と裁断機構１４０の右側面図、（ｄ）が保持機構１３０の表面図（Ａ矢視図）である。また、図１１は、（ａ），（ｂ）が何れも保持機構１３０と裁断機構１４０のＢ－Ｂ線断面図、（ｃ）が保持機構１３０の表面図、（ｄ），（ｅ）が何れも錠剤落下経路１３２を滑落する落下錠剤１０の模式図である。更に、図１２（ａ）～（ｆ）は何れも裁断機構１４０の要部の右側面図であり、図１３（ａ）～（ｄ）は何れも保持機構１３０の要部の表面図である。

　第５の実施例の錠剤分割装置１２０は（図１０（ａ），（ｂ）参照）、錠剤カセット１２１と、操作部１２２と、コントローラ１２３（制御装置）と、本体部１２４と、受器１２５と、中継部１２６と、錠剤フィーダベース部１２７と、傾斜フレーム１２８と、保持機構１３０と、裁断機構１４０と図示しない電源部とを具えているが、そのうちコントローラ１２３と中継部１２６と傾斜フレーム１２８と保持機構１３０と裁断機構１４０と電源部は本体部１２４に内蔵されている。操作部１２２と錠剤フィーダベース部１２７は本体部１２４に固定的に装着されて操作面やカセット装着面を筐体外面に露出している。錠剤カセット１２１は錠剤フィーダベース部１２７に着脱自在に装着されている。受器１２５は本体部１２４の底部の前面開口から引き出し自在に挿着されるようになっている。

　本体部１２４には（図１（ｂ）参照）、最上部に錠剤フィーダベース部１２７が固定的に配置されている。本体部１２４の中央部には、傾斜フレーム１２８が後傾姿勢すなわち上端部を後ろ上方にし下端部を前下にした状態で配置されている。傾斜フレームの下方には中継部１２６が固定配置されている。中継部１２６の下方には受器１２５が出し入れできるようになっている。

　本体部１２４の中央部には、保持機構１３０と裁断機構１４０が傾斜フレーム１２８に取り付けられている（図１（ｂ），（ｃ）参照）。保持機構１３０は傾斜フレーム１２８と同じ後傾姿勢をとり、裁断機構１４０は保持機構１３０と垂直な前傾姿勢をとっている。

　錠剤フィーダベース部１２７とそれに装着された錠剤カセット１２１は（図１０（ａ），（ｂ）参照）、錠剤１０の逐次供給を自動で行うためのものである。コントローラ１２３の制御に従って錠剤フィーダベース部１２７の駆動モータが動作すると、ベース板に装着された錠剤カセット１２１から錠剤１０が一錠ずつ排出される。錠剤１０は、ダクト等のガイド経由で保持機構１３０の後述する錠剤落下経路１３２へ送り込まれる。また、本例の錠剤フィーダベース部１２７は、錠剤カセット１２１の誤装着を防止するとともに、錠剤１０の形状情報などを自動で取得するために、錠剤カセット１２１に装着されているデータキャリア等のデータ担体からカセット識別情報と錠剤情報を読み出してコントローラ１２３に引き渡すように構成されている。すなわち錠剤フィーダベース部１２７は、錠剤情報を取得する手段を構成している。

　保持機構１３０は（図１０（ｂ）～（ｄ），図１１参照）、錠剤カセット１２１から錠剤フィーダベース部１２７及びガイド経由で落下して錠剤落下経路１３２のうち上流部分経路１３２ａに入って来た分割対象の錠剤１０を受止部材１３４にて裁断位置１３３に一時保持する。裁断機構１４０は（図１０（ｂ）～（ｄ），図３参照）、その錠剤１０を裁断位置１３３のスリット１３５のところで裁断して二個の錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃに分割する。中継部１２６は（図１０（ｂ）参照）、収集用ガイドや緩衝用バッファを具備している。そして中継部１２６は、保持機構１３０の錠剤落下経路１３２のうち左側分岐経路１３２ｂから落下した錠剤裁断片１０ｂを左側受器１２５ｂへ送り込み、保持機構１３０の錠剤落下経路１３２のうち右側分岐経路１３２ｃから落下した錠剤裁断片１０ｃを右側受器１２５ｃへ送り込むように構成されている。

　受器１２５は（図１０（ａ），（ｂ）参照）、錠剤１０を分割してできた錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを受け入れて貯めておく角箱状や角皿状の容器である。受器１２５は、錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを総て一纏めに収容する場合は幅広の容器が単体で使用される。しかし本実施例では、錠剤１０を左右に分割したうち左側の錠剤裁断片１０ｂを収容する左側受器１２５ｂと、右側の錠剤裁断片１０ｃを収容する右側受器１２５ｃとが、左右に並んだ状態で本体部１２４に挿着されている。この受器１２５やそれに錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを導く中継部１２６などは、本体部１２４から分離可能なユニットにしても良い。しかし本実施例では装置運搬の容易化等のため、中継部１２６は本体部１２４と一体的になっている。操作部１２２やコントローラ１２３も別体化しても良いが、やはり本例では装置運搬の容易化等のため本体部１２４と一体化されている。

　保持機構１３０は（図１０，図１１参照）、板状の落下錠剤案内部材１３１と一対の受止部材１３４とを具えている。落下錠剤案内部材１３１は、上述したように分割対象の錠剤１０を裁断機構１４０による裁断に備えて錠剤落下経路１３２の途中の裁断位置１３３に止めておくことに加え、裁断機構１４０と協動して保持機構１３０による錠剤保持を解除することを行うために、錠剤フィーダベース部１２７と中継部１２６との間に配置されている。一対の受止部材１３４は、それぞれ上端部を支点にして下端部を回動しうる可動部材から構成されている。また、本実施例は、落下して来た錠剤１０の姿勢・向きを整えるために、幅調整機構１３６と溝深規定部材１３７及び厚み調整機構１３８とを具備している。さらに本実施例は、裁断中の錠剤１０の直ぐ上流に次の錠剤１０を留め置くために待機部材１３９を具備している。これらの部材や機構１３４，１３６，１３７，１３８は、錠剤落下経路１３２に沿って配され、落下錠剤案内部材１３１に装着されている（図１０（ｂ）～（ｄ），図１１（ａ）～（ｃ）参照）。

　落下錠剤案内部材１３１は（図１０（ｂ），（ｃ）参照）、左右の側板やそれと平行な鉛直面に対しては直交する状態を維持しながら、前面板やそれと平行な鉛直面を後方へ傾けたような状態であって、上端を後にし下端を前にして鉛直から角度θほど傾斜している。

　落下錠剤案内部材１３１の両面（表裏面・前後面・上下面）のうち斜め上向きの傾斜面である表面には（図１０（ｄ）参照）、落下する錠剤１０を案内する錠剤落下経路１３２が形成されている。錠剤１０が落下錠剤案内部材１３１から離れることなく錠剤落下経路１３２の中を適度な速度で滑り落ちるよう、落下錠剤案内部材１３１の傾斜角度θが例えば１５゜～４５゜程度に設定されている（図１０（ｃ）参照）。

　錠剤落下経路１３２は（図１０（ｄ）参照）、落下錠剤案内部材１３１の斜め上向き傾斜面に彫り込みやプレス等で溝状に形成されており、落下錠剤案内部材１３１の上端から下端まで連なっている。錠剤落下経路１３２の途中に設定された裁断位置１３３には、裁断機構１４０の刃先を通すためのスリット１３５が、落下錠剤案内部材１３１を貫通して穿孔形成されている。錠剤落下経路１３２のうち裁断位置１３３より上流側の部分である上流部分経路１３２ａは、一本道である。本実施例では、上流部分経路１３２ａはクランク状に蛇行している。そのため、錠剤１０が上流部分経路１３２ａの折り曲がり部分の上半分を滑落するときには、錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと右側内壁面１３２ｅとで錠剤１０の姿勢が規制される（図１１（ｄ）参照）。錠剤１０が上流部分経路１３２ａの折り曲がり部分の下半分を滑落するときには、錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと左側内壁面１３２ｆとで錠剤１０の姿勢が規制される（図１１（ｅ）参照）。

　また、錠剤落下経路１３２は、裁断位置１３３のところで、より具体的には裁断位置１３３の中央に設けられたスリット１３５の下端から左右に分かれる形で、二本に分岐している。錠剤落下経路１３２は、下流側の部分が、左側分岐経路１３２ｂと右側分岐経路１３２ｃとに分かれて、縦に並走している。左側分岐経路１３２ｂと右側分岐経路１３２ｃとに対応して、一対の受止部材１３４を構成する左側経路開閉部材１３４ｂと右側経路開閉部材１３４ｃが配置されている。開閉部材１３４ｂ，１３４ｃもコントローラ１２３の制御に従って回動する。左側経路開閉部材１３４ｂは上流部分経路１３２ａから左側分岐経路１３２ｂへの分岐口を開閉し、右側経路開閉部材１３４ｃは上流部分経路１３２ａから右側分岐経路１３２ｃへの分岐口を開閉する。

　本実施例の錠剤分割装置２０は円板状の錠剤１０を左右均等に二分割するためのであるものなので、スリット１３５が裁断位置１３３の中央で縦に形成される。そして左側経路開閉部材１３４ｂと右側経路開閉部材１３４ｃとがスリット１３５を中心にして左右対称に配置されている。左側経路開閉部材１３４ｂと右側経路開閉部材１３４ｃ（一対の受止部材１３４）は、錠剤１０を裁断位置１３３に一時保持するときには、下端部同士を近づけてＶ字状になって裁断位置１３３及びスリット１３５の直ぐ下方で錠剤落下経路１３２を閉じる。錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを左側分岐経路１３２ｂに導いて落下させるときには、左側経路開閉部材１３４ｂを回動させて上流部分経路１３２ａと左側分岐経路１３２ｂとを連通させる。錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを右側分岐経路１３２ｃに導いて落下させるときには、右側経路開閉部材１３４ｃを回動させて上流部分経路１３２ａと右側経路開閉部材１３４ｃとを連通させる。

　溝深規定部材１３７は（図１０（ｃ），（ｄ）参照）、例えば透明な硬質樹脂製の薄板から形成されている。本実施例では、錠剤落下経路１３２のほぼ全域を覆っている。しかし溝深規定部材１３７は、錠剤落下経路１３２のうち上流部分経路１３２ａを上方から覆っていて、その覆っている範囲内で上流部分経路１３２ａの溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の下面すなわち溝底対向面１３７ａとが平行になっていれば足りる。この例では溝深規定部材１３７が左側分岐経路１３２ｂや右側分岐経路１３２ｃまで溝底１３２ｄと平行な状態で上方から覆っている。しかし覆う範囲内では錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃの円滑な落下のために、平行でなく例えば下に向かうに従って溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の溝底対向面１３７ａとの間の間隔が広がるようになっていても良い。錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃが分岐経路１３２ｂ，１３２ｃから横へ飛び出すおそれが無ければ溝深規定部材１３７は、分岐経路１３２ｂ，１３２ｃの上方を覆っていなくても良い。

　この溝深規定部材１３７は（図１１（ａ），（ｂ）参照）、例えば落下錠剤案内部材１３１の下面に装着された厚み調整機構１３８によって駆動されて落下錠剤案内部材１３１の斜め上向き傾斜面に対して離接する方向へ往復動しうるようになっている。そして、コントローラ１２３の制御に従って厚み調整機構１３８が溝深規定部材１３７と落下錠剤案内部材１３１との離隔距離を変更することにより、錠剤落下経路１３２特に上流部分経路１３２ａの溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の溝底対向面１３７ａとの相対距離Ｃが変更されるようになっている。

　また（図１１（ｃ）参照）、錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａには幅調整機構１３６が配置されている。この幅調整機構１３６は、一対の受止部材１３４と同様に上端部を支点にして下端部を揺動しうる可動部材から構成されている。幅調整機構１３６が、コントローラ１２３の制御に従って揺動することにより、上流部分経路１３２ａの溝幅Ｄを可変調整する。すなわち幅調整機構１３６が、錠剤落下経路１３２の左側内壁面１３２ｆに近づくように回動すると、錠剤落下経路１３２の幅が狭くなる。

　裁断機構１４０は（図１０～図１２参照）、一対の対向刃１４１，１４２を具備している。一対の対向刃１４１，１４２は、移動待機位置と移動完了位置との間を移動する。一対の対向刃１４１，１４２は、裁断位置１３３にある錠剤１０を左右へ均等に裁断する。この例では、一対の対向刃１４１，１４２が、保持機構１３０を前から見ると縦向きになっているが、一対の対向刃１４１，１４２は鉛直ではなく、落下錠剤案内部材１３１と同じ角度θで後傾している。一方の対向刃１４１が斜め上方に位置し、他方の対向刃１４２が斜め下方に位置している。一方の対向刃１４１は、高剛性のロッド・スリーブ嵌合タイプの門形支持機構に取着されていて往復動する第１の進退部材１４３によって裁断位置１３３のスリット１３５の斜め上方に支持されている。第１の進退部材１４３は、コントローラ１２３の制御に従って斜め下方のスリット１３５に向けて一方の対向刃１４１を移動させる。他方の対向刃１４２は、落下錠剤案内部材１３１の裏面で往復動する第２の進退部材１４５によって支持されている。第２の進退部材１４５は、コントローラ１２３の制御に従ってスリット１３５を通過しながら裁断位置１３３の錠剤１０に向けて斜め上方へ他方の対向刃１４２を移動させる。

　この裁断機構１４０は、コントローラ１２３の制御に従って一対の対向刃１４１，１４２を作動させることにより、対向刃１４１，１４２の対向間隙を拡縮させて錠剤１０を挟んで裁断する。その際、裁断完遂前に錠剤１０を錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄから浮かせ、その後に裁断を完遂するようになっている。また（図１２参照）、一方の対向刃１４１を保持する第１の進退部材１４３には第１の付勢部材１４４が付設されている。他方の対向刃１４２を保持する第２の進退部材１４５には第２の付勢部材１４６が付設されている。第１及び第２の付勢部材１４４，１４６には、例えば圧縮コイルスプリングが採用されている。一対の対向刃１４１，１４２が、外力にて後退側（移動待機位置側）に押されると、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６の伸縮可能範囲等の可動範囲内で一対の対向刃１４１，１４２は後退するようになっている。一対の対向刃１４１，１４２の後退時における前進側への付勢力が、錠剤１０の裁断前に錠剤を挟持して浮上させるために、少なくとも後退途中からは、錠剤１０の重さより強くなるよう、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６のバネ特性や弾撥力が決定されている。しかし可動範囲の限界では一対の対向刃１４１，１４２が強力に前進するように第１及び第２の付勢部材１４４，１４６のバネ特性や弾撥力が決定されている。

　コントローラ１２３は、詳細な図示は割愛したが、例えばプログラマブルなマイクロプロセッサシステムやシーケンサからなる制御装置である。コントローラ１２３は、錠剤１０の逐次供給と裁断とを的確に行うよう、錠剤フィーダベース部１２７と保持機構１３０と裁断機構１４０とを協動させるために、それぞれの電動モータ等の動作制御を行う。

　特に、錠剤裁断時に一対の対向刃１４１，１４２の対向間隙を縮小させる際には、裁断完遂前に錠剤１０を錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄから浮かせ、その後に裁断を完遂するようになっている。その動作については後の動作説明で具体例を幾つか挙げて詳述する。

　特開平２－９５３７５号公報に示されるように、錠剤の形状に関するデータ（長さ情報，幅情報，厚さ情報）として長さａと幅ｂと厚さｃとを受け付けて（ａ≧ｂ≧ｃ）、錠剤の形状を分類するようになった錠剤識別装置が開発されている。この装置では、円形や、楕円形，直線部分の有無，正多角形といった観点から形状分類が行われるようになっている。そこでコントローラ１２３は、長さａと幅ｂと厚さｃといった錠剤の形状に関するデータ（長さ情報，幅情報，厚さ情報）を取得するようになっている（ａ≧ｂ≧ｃ）。これらのデータの取得手段は、幅ｂと厚さｃが得られれば、操作部１２２から直接入力するものでも、オプションの通信回線等を介して図示しない上位装置からダウンロードするものでも、錠剤カセット１２１から得た識別情報に基づいて検索や変換を行って求めるものでも良い。そして、錠剤１０の形状データを取得したコントローラ１２３は、錠剤１０の落下姿勢・通過姿勢を整えるために、取得データに基づいて錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａの溝断面形状を幅調整機構１３６により変化させるようになっている。

　具体的には、厚さｃをデータ取得すると、コントローラ１２３は、厚さｃに基づいて厚み調整機構１３８を作動させて、錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａの溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の溝底対向面１３７ａとの相対距離Ｃを錠剤１０の厚さより僅かに広げて錠剤１０の厚さに適合させるようになっている（図１１（ａ），（ｂ）参照）。これに対し、錠剤の幅ｂをデータ取得すると、コントローラ１２３は、幅ｂのデータに基づいて幅調整機構１３６を回動させて、錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａの該当箇所の溝幅Ｄを錠剤１０の幅（円板では直径）より僅かに広げて錠剤１０の幅に適合させるようになっている（図１１（ｃ）参照）。

　さらに、コントローラ１２３は、操作部１２２を操作しての直接的な動作モード設定や，通信等による遠隔操作の動作モード設定などに応じて、錠剤裁断後の錠剤裁断片の排出態様を切り替える機能も有している。具体的には、コントローラ１２３は、保持機構１３０にて裁断位置１３３に保持されている錠剤１０に裁断機構１４０の一対の対向刃１４１，１４２を切り込ませて錠剤１０を裁断する（図１３（ａ）参照）。その後に、コントローラ１２３は、一対の対向刃１４１，１４２を裁断位置１３３から退かせる時期と左側経路開閉部材１３４ｂ及び右側経路開閉部材１３４ｃそれぞれに該当分岐箇所を開通させる時期の先後を入れ替える。この時期の入れ替えにより、錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを別の分岐経路１３２ｂ，１３２ｃに分けて落下させることと（図１３（ｂ）参照）、錠剤１０の錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを左側分岐経路１３２ｂ及び右側分岐経路１３２ｃのうち何れか一方の同じ経路に落下させることとを（図１３（ｃ），（ｄ）参照）を選択できるものとなる。

　このような実施例１の錠剤分割装置２０について、その使用態様及び動作を、図面を参照して説明する。

　錠剤裁断に先立って、裁断分割対象の錠剤１０を多数収容した錠剤カセット１２１を錠剤フィーダベース部１２７に装着するとともに、受器１２５を本体部１２４に挿着する（図１０（ａ），（ｂ）参照）。錠剤カセット１２１の装着に伴って、その識別情報等のデータが錠剤フィーダベース部１２７を介してコントローラ１２３に送られる。このデータに基づいて、カセット種別の適否がコントローラ１２３で判定されると。また錠剤１０の形状情報の有無が調べられ、形状情報があれば自動で錠剤１０の幅ｂや厚さｃがコントローラ１２３に取得される。自動取得ができなかったときは、通信回線や操作部１２２からのデータ入力を待つ。

　コントローラ１２３が錠剤１０の厚さｃを取得できなかったときには、溝深規定部材１３７は、錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の溝底対向面１３７ａとの相対距離Ｃを安全側に立って広めにされる（図１１（ａ）参照）。厚さｃのデータがコントローラ１２３に取得されると、溝深規定部材１３７の位置がこのデータに基づいて自動調整されて相対距離Ｃが厚さｃに適合させられる（図１１（ｂ）参照）。同様に、コントローラ１２３が錠剤１０の幅ｂのデータを取得できなかったときには、幅調整機構１３６が錠剤落下経路１３２の溝側壁面（１３２ｆ）に寄り添う位置に配置され、錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａの該当箇所の溝幅が安全側の広めにされる（図１０（ｄ）参照）。幅ｂのデータがコントローラ１２３に取得されると、幅調整機構１３６の揺動位置が自動調整されて該当箇所の溝幅Ｄが幅ｂに適合させられる（図１１（ｃ）参照）。

　その後は、操作部１２２を操作すれば錠剤分割装置２０に裁断処理を開始させることができる。しかし初期状態では錠剤裁断片排出モードが錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを別の分岐経路１３２ｂ，１３２ｃに分けて落下させる分別排出モードになっている（図１３（ｂ）参照）。そこで錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを何れも右側分岐経路１３２ｃだけに落下させる右側排出モードに錠剤裁断片排出モードを切り替えたいときや（図１３（ｃ），（ｄ）参照）、錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃを何れも左側分岐経路１３２ｂだけに落下させる左側排出モードに錠剤裁断片排出モードを切り替えたいときには（図１３（ｃ），（ｄ）参照）、操作部１２２を操作して所望のモードを選択して錠剤裁断片排出モードを切り替えておく。

　初期状態で、保持機構１３０は（図１０（ｄ）参照）、裁断位置１３３の直ぐ下方の受止部材１３４の左側経路開閉部材１３４ｂも右側経路開閉部材１３４ｃも閉じている。そして保持機構１３０や裁断機構１４０には錠剤１０が無く、裁断位置１３３は空いている。

　さらに初期状態では、裁断機構１４０が（図１２（ａ）参照）、一方の対向刃１４１を裁断位置１３３から外側・前上方へ退けるとともに、他方の対向刃１４２を裁断位置１３３から内奥側・後下方へ退けている。したがって一対の対向刃１４１，１４２の対向間隙が拡大状態になっている。

　この状態で、操作部１２２を操作して錠剤分割装置２０に裁断処理を開始させると、錠剤フィーダベース部１２７の駆動モータが作動し、錠剤カセット１２１から一個の錠剤１０が落下排出される。

　そして、その錠剤１０は、錠剤フィーダベース部１２７の導入口やガイドを介して保持機構１３０の錠剤落下経路１３２に落下投入され、先ず錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａに案内されて裁断位置１３３に向かう。

　錠剤１０の厚さｃに適合して定めた、錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと溝深規定部材１３７の溝底対向面１３７ａとの相対距離Ｃによって、落下する錠剤１０の厚み方向の変位が規制されている（図１１（ｂ）参照）。また錠剤の幅ｂに適合した錠剤落下経路１３２の幅調整機構１３６設置箇所の溝幅Ｄによって、落下する錠剤１０の幅方向の変位が規制される（図１１（ｃ）参照）。しかも、それに加えて、錠剤落下経路１３２の上流部分経路１３２ａの蛇行に伴う経路の傾斜方向の変化によって、最上流域では錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと右側内壁面１３２ｅとで姿勢が規制され（図１１（ｄ）参照）、中流域では錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと左側内壁面１３２ｆとで姿勢が規制される（図１１（ｅ）参照）。

　そのため、錠剤１０が適宜開く待機部材１３９（図１０（ｄ））のところを通過して裁断位置１３３に到達したときには、何時でもどれでも錠剤１０は同じ姿勢をとることとなる。

　裁断位置１３３に到達した錠剤１０は、そこで一対の受止部材１３４に当接して停止する。すなわち錠剤１０は、二個の受止部材１３４の間すなわち左側経路開閉部材１３４ｂと右側経路開閉部材１３４ｃとの中央に位置決めされてスリット１３５と対向するように保持される（図１３（ａ）参照）。この時点では、錠剤１０は保持機構１３０のうち落下錠剤案内部材１３１の錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄと二個の受止部材１３４の接触部位とで保持されており、一対の対向刃１４１，１４２には触れることなく、一対の対向刃１４１，１４２の対向間隙に入り込んでいる（図１２（ｂ），図１３（ａ）参照）。

　その状態から錠剤１０が裁断機構１４０によって裁断される。なお裁断モードが複数あって操作部１２２の操作で予め選択できるので、それらのうち三つのモードを詳述する。

　先ず第１裁断モードが選択されている場合、他方の対向刃１４２が一方の対向刃１４１に向かって少しだけ進む。他方お対向は１４２に押されて錠剤１０が少し浮き上がって錠剤落下経路１３２の溝底から離れたら、他方の対向刃１４２が止まる。次に一方の対向刃１４１が他方の対向刃１４２に向かって進み、一対の対向刃１４１，１４２の対向間隙が縮小して錠剤１０を一対の対向刃１４１，１４２で挟むと、一方の対向刃１４１が止まる（図１２（ｃ）参照）。それから、受止部材１３４が回動して開き、錠剤１０から離れる。このとき錠剤１０は一対の対向刃１４１，１４２によって挟持されているので不所望に落下することはない。

　その状態から、裁断機構１４０の駆動が再開される。一方の対向刃１４１を前進させる第１の付勢部材１４４の付勢力及び他方の対向刃１４２を前進させる第２の付勢部材１４６の付勢力が、一対の対向刃１４１，１４２を錠剤１０に切り込むのに不足している間は、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６のバネが付勢力を増しながら圧縮される。そのため一対の対向刃１４１，１４２は錠剤１０を挟持し続ける（図１２（ｄ）参照）。そして、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６の付勢力（一対の対向刃１４１，１４２の推進力）が十分に増大すると、一対の対向刃１４１，１４２が錠剤１０の表裏両面に食い込み始める（図１２（ｅ）参照）。すると、その後は、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６の弾撥力を伴った延びによって一対の対向刃１４１，１４２が錠剤１０の内部まで速やかに切り進むので（図１２（ｆ）参照）、錠剤１０が綺麗に裁断されて錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃに二分割される。

　これに対し、第２裁断モードが選択されている場合は、離隔していた一対の対向刃１４１，１４２がほぼ同時に前進して対向間隙を縮める。この動きに伴って、他方の対向刃１４２が錠剤１０の裏面を押して錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄから少し浮き上がらせたころに一方の対向刃１４１が錠剤１０の表面に達し、錠剤１０が一対の対向刃１４１，１４２に挟持される。後は上述した第１裁断モードと同じなので繰り返しとなる詳細な説明は割愛する。この第２裁断モードでは裁断機構１４０の駆動の一時停止が無いので、裁断動作が迅速に行われる。また、第１の付勢部材１４４のバネ感度よりも第２の付勢部材１４６のバネ感度を小さくして、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６の弾撥力の発生状態を不均等にしておくことで、錠剤裁断片の重量のバラツキが更に小さくなることもある。

　また、第３裁断モードが選択されている場合は、離隔していた一対の対向刃１４１，１４２のうち一方の対向刃１４１が先に前進して刃先が錠剤１０の表面に達したらそこで一方の対向刃１４１の前進駆動が止まる。これにより、錠剤１０が第１の付勢部材１４４の付勢力で錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄに軽く押しつけられて、錠剤１０の姿勢が矯正される。次に、他方の対向刃１４２が前進駆動されるので、一対の対向刃１４１，１４２の対向間隙が縮まり、他方の対向刃１４２が錠剤１０の裏面に達したところで錠剤１０が一対の対向刃１４１，１４２に挟持される。更に他方の対向刃１４２の前進駆動が継続されて、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６のバネが圧縮される。その結果、第１及び第２の付勢部材１４４，１４６のバネの付勢力のバランスで他方の対向刃１４２が前進し、一方の対向刃１４１が後退して錠剤１０が錠剤落下経路１３２の溝底１３２ｄから浮き上がる。後は上述した第１，２裁断モードと概ね同様なので繰り返しとなる詳細な説明は割愛する。この第３裁断モードでは一方の対向刃１４１と他方の対向刃１４２の交互駆動により裁断動作が迅速かつ的確に行われる。

　そして、錠剤１０が分割されて一対の対向刃１４１，１４２の左側に錠剤裁断片１０ｂができるとともに、一対の対向刃１４１，１４２の右側に錠剤裁断片１０ｃができると（図１３（ａ）参照）、それらの錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃ，１０ｃが設定中の錠剤裁断片排出モードでの開閉部材１３４ｂ，１３４ｃが開いて落下排出される。

　具体的には、錠剤裁断片排出モードが分別排出モードなら、一対の対向刃１４１，１４２の後退前に開閉部材１３４ｂ，１３４ｃが開いて（図１３（ｂ）参照）、左半分の錠剤裁断片１０ｂは左側分岐経路１３２ｂから落下排出されて左側受器１２５ｂに収容され、右半分の錠剤裁断片１０ｃは右側分岐経路１３２ｃから落下排出されて右側受器１２５ｃに収容される。

　これに対し、錠剤裁断片排出モードが右側排出モードになっているときには、左側経路開閉部材１３４ｂと一対の対向刃１４１，１４２とを止めた状態で右側経路開閉部材１３４ｃが開いて先ず右半分の錠剤裁断片１０ｃが右側分岐経路１３２ｃから落下排出される（図１３（ｃ）参照）。それから左側経路開閉部材１３４ｂを止めたままで一対の対向刃１４１，１４２が後退して残りの左半分の錠剤裁断片１０ｂが右側分岐経路１３２ｃから落下排出されるので（図１３（ｄ）参照）、錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃが何れも右側受器１２５ｃに収容される。

　さらに、図示は省略したが、錠剤裁断片排出モードが左側排出モードになっているときには、右側経路開閉部材１３４ｃを閉じ且つ一対の対向刃１４１，１４２を止めた状態で左側経路開閉部材１３４ｂを開いて、先ず左半分の錠剤裁断片１０ｂを左側分岐経路１３２ｂから落下排出する。それから右側経路開閉部材１３４ｃを閉じたままで一対の対向刃１４１，１４２を後退させて、残りの右半分の錠剤裁断片１０ｃを左側分岐経路１３２ｂから落下排出する。錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃは何れも左側受器１２５ｂに収容される。

　こうして、左右の錠剤裁断片１０ｂ，１０ｃが、錠剤裁断片排出モードに応じて左右の分岐経路１３２ｂ，１３２ｃに振り分けられ、中継部１２６を通過してから、振り分け先の受器１２５ａ，１２５ｂに収容される。

　そして、その間に、受止部材１３４が回動して閉じた状態となり、一対の対向刃１４１，１４２が共に退いて、保持機構１３０や裁断機構１４０の状態が初期状態に戻る。更に錠剤１０を裁断する必要があれば上述の動作が繰り返される。

［第６の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第６の実施例について、その具体的な構成を、図面を参照して説明する。図１４（ａ）～（ｄ）は、何れも、第６の実施例で用いる保持機構１３０´の要部の正面図である。この錠剤分割装置が上述した第５の実施例の錠剤分割装置１２０と相違するのは（図１４（ａ）参照）、錠剤落下経路１３２´の上流部分経路１３２´ａのＬ字状クランクの曲がり角度が大きくなっている点と、左側分岐経路１３２´ｂの分岐口と左側経路開閉部材１３４´ｂが上流側に移設された点と、スリット１３５´が上流部分経路１３２ａに対して直交するようスリット１３５´の向きが変更された点と、図示は割愛したが一対の対向刃１４１´，１４２´の向きもスリット１３５´と同じく変更されている点である。これらの相違点により、本実施例の錠剤分割装置は、細長い円柱状や角材状の錠剤１０を長手方向に二分割するのに好適なものとなっている。

　本実施例では、錠剤１１０´が、その長手方向を経路方向に合わせて上流部分経路１３２ａを滑落する。錠剤１１０´が裁断位置１３３´に到達すると、受止部材１３４´によって止められてから一対の対向刃１４１´，１４２´によって左上の錠剤裁断片１１０´ｂと右下の錠剤裁断片１１０´ｃとに裁断される（図１４（ｂ）参照）。

　そして（図１４（ｃ）参照）、錠剤裁断片排出モードが分別排出モードなら、一対の対向刃１４１´，１４２´の後退前に開閉部材１３４´ｂ，１３４´ｃが開かれる。左上の錠剤裁断片１１０´ｂは左側分岐経路１３２´ｂから落下排出されて左側受器１２５´ｂに収容され、また右下の錠剤裁断片１１０´ｃは右側分岐経路１３２´ｃから落下排出されて右側受器１２５´ｃに収容される。

　これに対し（図１４（ｄ）参照）、錠剤裁断片排出モードが右側排出モードになっているときには、左側経路開閉部材１３４´ｂを閉じた状態にし、一対の対向刃１４１´，１４２´を止めた状態で右側経路開閉部材１３４´ｃが開いて先ず右下の錠剤裁断片１１０´ｃが右側分岐経路１３２´ｃから落下排出される。その後、左側経路開閉部材１３４´ｂを止めたままで一対の対向刃１４１´，１４２´が後退して残りの左上の錠剤裁断片１１０´ｂが右側分岐経路１３２´ｃから落下排出される。その結果、錠剤裁断片１１０´ｂ，１１０´ｃは何れも右側受器１２５ｃに収容される。

　なお、図１４には、左側排出モードはサポートされていないが、左側排出モードも同様に実施可能である。

　上記実施例５及び６では、裁断機構１４０´が、対向させた一対の刃先を進退させて錠剤１０、１１０´を裁断するようになっていたが、裁断に回転刃を用いるようにしても良い。

　また、上記実施例５，６では、錠剤裁断片排出モードが最初に選択されたモードに設定されたままになっているときの動作を説明したが、錠剤裁断片排出モードは適宜切り替えても良く、例えば錠剤１０、１１０´を一錠裁断する度に排出モードの切替や再設定を行うようにしても良い。

　さらに、上記実施例５，６では、錠剤１０、１１９´が均等に二分割されていたが、不均等に分割しても良く、不均等分割では分別排出モードが特に便利である。

　なお、操作部１２２は必須でなく、例えば、錠剤１０，１１０´が裁断位置１３３，１３３´に到達したらそれに応じて一連の裁断動作が開始されるようにしても良い。動作状態表示の有無も任意である。待機部材１３９の装備も任意である。錠剤裁断片の排出に不都合がなければ、受器１２５や中継部１２６も必須でなく、錠剤の自動逐次供給が不要であれば、錠剤フィーダベース部１２７や錠剤カセット１２１も必須でない。また、対向刃１４１，１４２（１４１´，１４２´）の駆動部材や受止部材１３４，１３４´の駆動部材についても、それらを電動式や流体駆動式などで明示的に設けることは必須でなく、保持機構や裁断機構の伝動部などに組み込んでも良く、例えば、手動ハンドルの押し込み操作や回転操作によって駆動されるようにしても良い。

［第７の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第７の実施例１について、その具体的な構成を、図面を参照して説明する。図１５は、錠剤分割装置２２０の要部機構の展開斜視図であり、筐体や支持部材などの図示は割愛している。また、図１６（ａ）～（ｃ）は、いずれも、錠剤通過経路をなす落下錠剤案内部材２３１とそれに臨んで設けられた一対の対向刃２４１～２４２及び保持機構２３０の簡略正面図である。

　この錠剤分割装置２２０は（図１参照）、錠剤カセット２２１を着脱自在な錠剤フィーダベース部２２７と、そこの錠剤導入部２２７ｃと共に錠剤通過経路２３２の一部を囲っている落下錠剤案内部材２３１と、錠剤１０を上下に裁断する裁断機構２４０と、裁断機構２４０の下方で裁断対象の錠剤１０を裁断機構２４０のところに留め置く保持機構２３０と、保持機構２３０を上下方向に移動させる昇降機構２４４とを具えている。なお、錠剤カセット２２１は、適宜取り替えられるものであり、錠剤フィーダベース部２２７に装着されて錠剤１０を一錠ずつ排出できれば足り、その底面にはカセット識別情報が例えばバーコード印刷で付されている（特開２００５－１９２７０２号公報参照）。

　錠剤フィーダベース部２２７については、特開平１１－２２６０８８号公報、特開平１１－２２６０８９号公報及び特開２００５－１９２７０２号公報等に詳しく説明されている。錠剤フィーダベース部２２７には、錠剤カセット２２１の排出駆動を担うギアやモータと、例えばバーコードリーダからなり錠剤カセット２２１のカセット識別情報を読み取る識別情報読取部２２と、錠剤落下経路の先頭部分を囲う錠剤導入部２２７ｃとが装備されている。また、錠剤導入部２２７ｃには、錠剤カセット２２１から排出された錠剤１０の投入される貫通穴が形成されており、錠剤カセット２２１から落下して錠剤導入部２２７ｃを通過する錠剤１０を検出する錠剤検出部材２２８が付設されている。

　裁断機構２４０は（図１参照）、錠剤落下経路の途中に配設された四節平行リンクを主体にしたものであり、その四節平行リンクの長辺側の対向二辺に二枚の対向刃２４１，２４２を一枚ずつ分けて装備している。対向刃２４１，２４２は、何れも、真っ直ぐな刃からなり、刃先を向け合う対向状態で、而も平行状態で、対向刃となっている。裁断機構２４０の四節平行リンクの短辺側の一方には従動ギヤ２３５が設けられており、これと噛合する駆動ギヤ２３６が電動モータ２３７の回転軸に固定されている。電動モータ２３７は、往復回転運動が可能なサーボモータまたはステッピングモータである。電動モータ２３７が一方の方向に回転すると、四節平行リンクが長方形状に広がって錠剤落下経路２３２を開ける。電動モータ２３７が他方の方向に回転すると、四節平行リンクが単板状に閉じて錠剤落下経路２３２を塞ぐ。この動作に随伴して一対の対向刃２４１，２４２が移動待機位置と移動完了位置との間を移動することになる。一対の対向刃２４１，２４２は、非裁断時には互いに離れて移動待機位置に置かれ、裁断時には互いに近づいて接触して移動完了位置に置かれる。

　保持機構２３０も（図１参照）、裁断機構２４０と同様に錠剤落下経路２３２の途中に配設された四節平行リンクを主体にしたものであるが、一対の対向刃２４１，２４２は装備していない。保持機構２３０の四節平行リンクの短辺側の一方には従動ギヤ２４３が設けられており、これと噛合する駆動ギヤ２４４が電動モータ２４５に固定されている。電動モータ２４５は、往復回転運動が可能なサーボモータまたはステッピングモータである。電動モータ２４５一方の方向に回転すると、四節平行リンクが長方形状に広がって錠剤落下経路２３２を開ける。電動モータ２４５が他方の方向に回転すると、四節平行リンクが単板状に閉じて錠剤落下経路２３２を塞ぐ。保持機構２３０は、非裁断時には閉じて錠剤１０を受け止め、錠剤１０やその錠剤裁断片である半錠１０ａ等を落下排出させるときには開くようになっている。

　落下錠剤案内部材２３１は（図１５では下端部だけ図示、全体は図１６を参照）、錠剤落下経路２３２の幅や径を広げたり、縮めたりできる構造になっている。例えば、落下錠剤案内部材２３１は、全体かまたは少なくとも裁断機構２４０の近傍部分を、左右に分かれて配置された二つの分割案内部材から構成することができる。この二つの分割案内部材の相互距離を変えることにより、錠剤落下経路２３２の幅や径を拡縮する。二つの分割案内部材の相互距離を変えるための距離変更機構は任意である。この距離変更機構と上述の昇降機構２４４とを、制御装置の制御に従って協動するようにしたことにより、形状の異なる各種の錠剤について一対の対向刃２４１，２４２に対する錠剤の留置位置または裁断位置を適切に調整する錠剤位置調整手段が具現化されている。具体的には、裁断対象の錠剤の薬剤情報に基づいて落下錠剤案内部材２３１の錠剤落下経路２３２の幅を調整するとともに保持機構２３０が上下動することで錠剤の留置位置（裁断位置）が自動調整されるようになっている。

　例えば、小さくて丸い錠剤２１０については（図１６（ａ）参照）、落下錠剤案内部材２３１が錠剤落下経路２３２の幅を狭めるとともに保持機構２３０を上昇させる。大きくて丸い錠剤２１１については（図１６（ｂ）参照）、落下錠剤案内部材２３１が錠剤落下経路２３２の幅を広げるとともに保持機構２３０を下降させる。長丸状の錠剤２１２については（図１６（ｃ）参照）、落下錠剤案内部材２３１が錠剤落下経路２３２の幅を狭めるとともに保持機構２３０を下降させる。何れの錠剤にしろ、保持機構２３０に錠剤留め置かれたときには、落下錠剤案内部材２３１の囲う錠剤落下経路２３２の中で姿勢が安定するとともに、所期の裁断部位が一対の対向刃２４１，２４２の間に位置する。

　この第７の実施例の錠剤分割装置２２０について、その使用態様及び動作を、図面を参照して説明する。図１７（ａ）～（ｅ）は、いずれも、錠剤落下経路２３２を囲う落下錠剤案内部材２３１とそれに臨んで設けられた一対の対向刃２４１，２４２と保持機構２３０と錠剤検出部材２２８，２２９の関係を簡略的に示す図であり、図１８（ａ）～（ｄ）は、いずれも、裁断機構２４０の平面図である。

　錠剤分割装置２２０に電源を投入した直後の装置始動時や，錠剤分割装置２２０の錠剤フィーダベース部２２７に錠剤カセット２２１を装着した時には、錠剤カセット２２１の底面のカセット識別情報がフィーダベース部２２７の識別情報読取部２２７Ａにて読み取られる。読み取ったカセット識別情報から制御装置のデータベース検索等によって薬剤情報が取得される。各種薬剤を収容した多数の錠剤カセット２２１のうち錠剤分割装置２２０に装着される可能性のあるものについては、そのカセット識別情報と収容薬剤の薬剤情報が予めデータベースに設定されており、データベースにアクセスすることで、裁断対象の錠剤１０を適切に裁断するのに必要な情報，特に形状情報が得られる。

　薬剤情報に基づいて落下錠剤案内部材２３１の錠剤落下経路２３２の拡縮と保持機構２３０の上下動が行われて、裁断する錠剤に合わせた自動調整が行われる。このとき裁断機構２４０の一対の対向刃２４１，２４２が開状態をとり、また保持機構２３０は常態の閉状態をとることにより、錠剤裁断の準備が調う（図１７（ａ）参照）。この状態で、錠剤カセット２２１から錠剤１０が排出されると、錠剤の落下が錠剤検出部材２２８によって検出される。更に所定時間が経過すると、錠剤１０が更に落下してから保持機構２３０により受け止められて錠剤１０は裁断位置に保持される。このとき錠剤１０は、一対の対向刃２４１，２４２の間に留め置かれる（図１７（ｂ）参照）。裁断位置は、錠剤１０を均等に二分割するのであれば、錠剤１０の中央が一対の対向刃２４１，２４２の間に来ることとなる。

　それから、裁断機構２４０の一対の対向刃２４１，２４２が刃先を接近させ、刃先が当接し合うことにより、錠剤１０が上下に二分割される（図１７（ｃ）参照）。その状態から、先ず、保持機構２３０が開いて、下側の錠剤裁断片である半錠１０ｂが落下する（図１７（ｄ）参照）。次に、一対の対向刃２４１，２４２も開いて、上側の錠剤裁断片である半錠１０ａも落下する。こうして、裁断対象の錠剤１０が一錠ずつ裁断機構２４０に送り込まれて一対の対向刃２４１，２４２によって裁断され、錠剤裁断片が個々に落下排出される。なお、裁断機構２４０も保持機構２３０も開いていれば、錠剤１０が単に通過して落下するので、錠剤１０を裁断しないでそのまま排出することもできる。

　また、裁断機構２４０にて錠剤１０を裁断するときには、四節平行リンクが長方形状になっていて一対の対向刃２４１，２４２が開いていると（図１８（ａ）参照）、その間に錠剤１０が入って、裁断の準備が調う（図１８（ｂ）参照）。その後、四節平行リンクが菱形に変形して一対の対向刃２４１，２４２の対向間隙が狭まり（図１８（ｃ）参照）、一対の対向刃２４１，２４２の刃先が触れ合うときには錠剤１０が完全に切断される（図１８（ｄ）参照）。その際、一対の対向刃２４１，２４２は平行方向へ相対的にずれるので、錠剤１０の表裏から逆向きに引き切り様の切り込みがなされるので、錠剤１０は綺麗に裁断される。

［第８の実施例］
　図１９（ａ），（ｂ）に第８の実施例の要部の構成を図示する。この実施例では、第７の実施例とは、駆動ギヤ２４４´の駆動を駆動ギヤ２３６´と一緒に電動モータ２３７´が行う点で相違する。これにより、もう１台の電動モータ２４５（図１５）が不要になって、その分だけ機構部が簡素化されている。そして、本実施例では、裁断機構２４０´が開くのと並行して保持機構２３０´が閉じる一方（図１９（ａ）参照）、裁断機構２４０´が閉じるのと並行して保持機構２３０´が開くようになっている（図１９（ｂ）参照）。

　この場合、裁断対象の錠剤を受け入れるときには裁断機構２４０´が開くとともに保持機構２３０´が閉じ（図１９（ａ）参照）、保持機構２３０´にて錠剤が裁断位置に留め置かれる。そして錠剤を裁断するときには裁断機構２４０´が閉じるとともに保持機構２３０´が開く（図１９（ｂ）参照）。裁断機構２４０´の閉動作によって錠剤は上下に分割される。そうすると、下側の半錠は落下するが、上側の半錠は裁断機構２４０´の上にとどまる。そして、もう一回、裁断機構２４０´が開閉するとともに保持機構２３０´が閉開すると、上側の半錠も落下する。

　こうして、この場合も、錠剤が上下に分割されて、錠剤裁断片が個々に排出される。

［第９の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第９の実施例について、その具体的な構成を、図面を参照して説明する。図２０（ａ）～（ｃ）は、錠剤カセット３２１を装着した錠剤分割装置３２０の全体外観を示し、（ａ）が平面図、（ｂ）が正面図、（ｃ）が右側面図である。また、図２０（ｄ）は、錠剤分割装置３２０から錠剤カセット３２１を外した状態の右側面図である。さらに、図２１は、（ａ）が一部断面で示した要部機構の背面図、（ｂ）が落下錠剤案内部材３３１のＡ－Ａ線矢視断面図である。また、図２２（ａ）～（ｄ）は、いずれも一部断面で示した錠剤落下経路周辺の背面図である。

　この錠剤分割装置３２０は（図２０参照）、独立した卓上型の専用機として使いやすいよう、前面上部の傾斜面に表示部３５３や操作部３５２を装備した小さな筐体３５１にコンパクト実装されている。錠剤フィーダベース部３２７は筐体３５１の上面に装備され、その斜め下方には裁断機構３４０と共に落下錠剤案内部材３３１が内蔵され、その下には引出可能な半錠受箱３５５が差し込まれている。制御装置３５４や電源なども筐体３５１に内蔵されている。

　なお、これらのうち上述の第７の実施例及び第８の実施例で言及しなかったことは、必ずしも相違点でなく、ここまで説明を遅らせたにすぎない。

　この錠剤分割装置３２０が上述した第７の実施例の錠剤分割装置２２０と相違する主な点は、保持機構２３０及び電動モータ２４５に代えて受止部材３５６及び電動モータ３５７が導入された点と、落下錠剤案内部材３３１が拡縮しなくなった点と、落下錠剤案内部材３３１が鉛直でなく傾斜している点と、落下錠剤案内部材３３１の傾斜に伴って同じ傾斜角だけ裁断機構３４０と受止部材３５６も傾斜している点である。

　落下錠剤案内部材３３１は、錠剤導入部３２７ｃの直下部分を除いて、錠剤落下経路をなす大部分が全体的に鉛直から角度θほど傾斜するとともに（図２１（ａ）参照）、各部の断面においても鉛直から角度φほど傾斜している（図２１（ｂ）参照）。傾斜角θは、錠剤１０が落下錠剤案内部材３３１の下側内面を転がり落ちるか滑り落ちるように比較的大きく、例えば４５゜に設される。傾斜角φは錠剤１０が軽く寄り掛かる程度で良いので傾斜角θより小さく、例えば１５゜に設定される。このように傾斜させた落下錠剤案内部材３３１は、拡縮しない簡素な部材になっていても、落下する錠剤を下側の二辺で接触支持するので、形やサイズの異なる各種錠剤について落下案内時の姿勢を安定させることができるものとなっている。

　受止部材３５６は、開閉変形などしない簡素な単板になったうえ（図２１（ａ）参照）、電動モータ３５７の駆動によって落下錠剤案内部材３３１の囲う錠剤落下経路を上り下りするだけになっている。そして、長丸状の錠剤３１２を裁断機構３４０の所に留め置くときには落下錠剤案内部材３３１の下端近傍に位置し（図２１（ａ）参照）、大きくて丸い錠剤３１１については裁断機構３４０に少し近づき（図２１（ｂ）参照）、小さくて丸い錠剤１０については裁断機構３４０に最接近するようになっている（図２１（ｃ）参照）。

　このような錠剤留置位置の調整動作は上述したのと同様であるが、裁断してできた半錠１０ａ，１０ｂや裁断せずに通過させる錠剤１０を半錠受箱３５５に落下させるときには、上述したのと異なり、受止部材３５６が大きく下がるようになっている（図２１（ｄ）参照）。すなわち、受止部材３５６が下がって、受止部材３５６と落下錠剤案内部材３３１との離隔距離が広がり、落下錠剤案内部材３３１の下端の先が十分に解放されると、錠剤や錠剤裁断片がそこを通過して落下するようになっている。

　この場合、落下錠剤案内部材３３１が固定部材になり、受止部材３５６の動作が単一になって、それらの駆動を担う機構やモータが削減や簡素化されているが、この場合も、滞りなく、錠剤が上下に分割されて、錠剤裁断片が個々に排出される。

［第１０の実施例］
　図２３に第１０の実施例の要部機構の簡略立面図を示す。第１０の実施例の錠剤分割装置が上述した第９の実施例のものと相違するのは、裁断機構３４０´が落下錠剤案内部材３３１´と受止部材３５６´との間に介挿設置されていて、落下錠剤案内部材３３１´の傾斜方向と受止部材３５６´の傾斜方向との真ん中の方向を向いている点である。図示した具体例の場合、裁断機構３４０´が鉛直になっており、落下錠剤案内部材３３１´が鉛直から反時計回りに４５゜ほど傾き、受止部材３５６´が鉛直から時計回りに４５゜ほど傾いている。

　この場合、裁断機構３４０´を基準にした落下錠剤案内部材３３１´の線対称位置Ｂに受止部材３５６´が来ていれば、径の大小に拘わらず円形や球形の丸い錠剤は二等分される。それ以外の形状たとえば長丸状の錠剤が裁断対象のときには、その薬剤情報の示す形状に応じて適宜な位置Ｃに受止部材３５６´が移動し、さらに錠剤や錠剤裁断片を落下させるときには、裁断機構３４０´や落下錠剤案内部材３３１´の下端から十分に離れて錠剤通過に適う位置Ｄまで受止部材３５６´が大きく移動する。そのため、この場合も、滞りなく、錠剤が上下に分割されて、錠剤裁断片が個々に排出される。

　上記第７及び第８の実施例では、識別情報読取部２２７Ａで読み取ったカセット識別情報から薬剤情報を検索して錠剤の形状を把握するようになっていたが、操作部３５２を操作して錠剤形状情報や処理錠数を入力し、それを表示部３５３で目視確認するようにしても良い。あるいは、落下錠剤案内部材２３１などに例えばライン型ＣＣＤからなる測長器を設け、その測長結果に応じて保持機構２３０や受止部材３５６を移動させるようにしても良く、そうすることにより、薬剤情報のデータベースが不要になるので、初期設定やデータ更新の作業が軽減される。

［第１１の実施例］
　裁断装置としては、円板状の回転刃を回転させながら錠剤に切り込むものを採用することもできる。図２４は、回転刃を用いて錠剤分割装置４２０の要部の斜視図である。この錠剤分割装置４２０は、落下錠剤案内部材４３１と錠剤逐次供給部４１９と裁断機構４４０と図示しない制御装置や支持部材とを具えている。錠剤逐次供給部４１９は、分割対象の錠剤１０を一つずつ落下排出できれば公知のもので足る。例えば、特開平１１－２２６０８８号公報及び特開平１１－２２６０８９号公報に示された公知の錠剤逐次供給部を用いることができる。錠剤逐次供給部４１９は、例えば着脱式で取り替え可能な錠剤カセット４２１と、錠剤カセット４２１を着脱自在な錠剤フィーダベース部４２７とからなる。錠剤フィーダベース部４２７には、装着された錠剤カセット４２１の排出駆動を担うギアやモータが装備されている。また、錠剤フィーダベース部４２７の錠剤導入部４２７ｃには、錠剤カセット４２１から排出された錠剤１０の投入される貫通穴が形成されており、そこを通って落下する錠剤１０を検出する錠剤検出部材４２８が付設されている。

　落下錠剤案内部材４３１は、裁断前の錠剤１０の錠剤落下経路４３２のうち、錠剤逐次供給部４１９から一つずつ供給された落下錠剤１０を裁断機構４４０へ送り込む部分を構成している。落下錠剤案内部材４３１は、錠剤逐次供給部４１９と裁断機構４４０との高低差を解消するだけであれば図示したような縦置きの筒体で足りる。しかし横方向の位置ずれ等にも対処すべくダクトやシュート等を斜めに設置したものを採用しても良く、適当に曲がっていても良く、通過タイミング調整用の開閉シャッタ等が付設されていても良い。

　裁断機構４４０は、例えば市販の軸付き丸形ダイヤモンドカッターからなる薄い円板状の回転刃４４１と、この回転刃４４１を回転軸にて支持して軸回転させる回転駆動用の電動モータ４４７と、回転刃４４１のところに錠剤１０を送り込む錠剤移送機構４６１～４６４とを具えている。この例では回転軸が水平になる姿勢で電動モータ４４７や回転刃４４１が設置されているので、回転刃４４１は錠剤１０を縦に切るようになっている。

　錠剤移送機構４６１～４６４は、落下錠剤案内部材４３１の直下から回転刃４４１に至る錠剤落下経路４３２に配設されたドラム状の回転体４６１と、この回転体４６１を回転軸にて支持して軸回転させる回転駆動用の電動モータ４６４とを具えている。この電動モータ４６４と回転体４６１も、回転刃４４１の向きに合わせて、回転軸が水平になる姿勢で設置されている。

　回転体４６１は、例えば短い一本の円柱体から彫り込み加工にて作られている。回転体４６１には、回転刃４４１を緩く挿入可能な環状の溝４６２が外周部に形成されている。また、回転対４６１の外周部には、溝４６２と重なる部位に複数の有底孔４６３が形成されいる。溝４６２と複数の有底孔４６３とは、連通している。有底孔４６３は、一個だけでも複数個でも良いが、いずれも、開口部の形状がほぼ長方形になっていて、一対の長辺が溝４６２と直交し且つ溝４６２の両脇に等分に延びている。有底孔４６３は、長方形の開口部からそのまま彫り込まれている。有底孔４６３の深さは、錠剤１０の直径に近く、有底孔４６３の短辺が錠剤１０の厚みより少し大きく、前述の長辺が錠剤１０の直径より少し大きく形成されている。したがって有底孔４６３が、落下錠剤案内部材４３１の真下に来たときには、有底孔４６３は落下錠剤案内部材４３１から落下した錠剤１０を受け入れることができる。さらに、回転刃４４１の所に有底孔４６３が来たときに、有底孔４６３の底まで回転刃４４１が届くよう、溝４６２の深さの方が有底孔４６３より少し深くなっている。

　また、回転体４６１の軸心部には回転軸嵌入用の嵌合穴が形成されている。嵌合孔には、電動モータ４６４の回転軸が回転伝動可能に嵌入されている。電動モータ４６４が駆動されて、回転体４６１が回転すると、有底孔３３は、有底孔３３が落下錠剤案内部材４３１の直ぐ下で開口部を上向きにする錠剤受入位置と、回転刃４４１のうち溝４６２に収まっている部分が存在している所である錠剤裁断位置と、開口部を下向き又は斜め下向きにする錠剤排出位置とを巡回する。

　図示しない制御装置は、錠剤逐次供給部４１９を作動させて錠剤１０を排出させるとともに、錠剤の落下を錠剤検出部材４２８で検出して確認する。そして制御装置は、錠剤１０を一つずつ間を空けて落下錠剤案内部材４３１に投入させ、落下した錠剤１０が有底孔４６３に入るまでに要する時間の経過を待ってから、電動モータ４４７を作動させて回転刃４４１を回転させるとともに電動モータ４６４を作動させて回転体４６１を回転させる。

　この実施例の錠剤分割装置４２０について、その使用態様及び動作を説明する。図示は割愛したが、錠剤分割装置４２０の典型的な使用態様は、従来と同様に錠剤分包機の錠剤収納庫や錠剤収集機構などに組み込んで稼動させるものである。その場合、制御装置は、錠剤分包機の制御装置から分割指令を受ける下位装置で具体化しても良く、錠剤分包機の制御装置にインストールされた一部のプログラム等で具体化しても良い。そして、錠剤分割装置４２０が錠剤１０を回転刃４４１で裁断して二個の半錠１０ａ，１０ｂ（複数の錠剤裁断片）に分割するときには、制御装置の制御に従って、錠剤分割装置４２０が以下のように動作する。

　一個の錠剤１０が錠剤カセット４２１から排出されて、その錠剤１０が錠剤導入部４２７ｃに投入される。錠剤検出部材４２８が錠剤１０の落下を確認した後、さらに落下した錠剤１０が落下錠剤案内部材４３１によって回転体４６１へと案内される。錠剤検出部材４２８が錠剤１０の落下を確認してから錠剤が回転体４６１に案内されるまでに、回転体４６１の何れかの有底孔４６３が落下錠剤案内部材４３１の直ぐ下に来て上向きになっている。その結果、、落下してきた錠剤１０は上向きの有底孔４６３に入り込む。その際、錠剤１０は落下錠剤案内部材４３１によって縦向きにされ、その縦向き姿勢のまま有底孔４６３に収まる。有底孔４６３における錠剤１０の遊び代が僅かなので、錠剤１０は有底孔４６３の中で安定保持される。

　それから、回転体４６１が回転して有底孔４６３と共に錠剤１０が回転刃４４１の所へ送り込まれる。有底孔４６３が溝４６２の両脇に等分配置されているので、溝４６２に入り込んで回転している回転刃４４１によって錠剤１０が二等分され、二個の半錠１０ａ，１０ｂが得られる。さらに回転体４６１が回転し、有底孔４６３が下向きになると半錠１０ａ，１０ｂが有底孔４６３から出て落下する。一錠だけ分割して終える場合は、次の分割に備えて空の有底孔４６３が落下錠剤案内部材４３１の直下に来たところで回転体４６１の回転が止まる。複数・多数の錠剤１０を分割する場合は、空の有底孔４６３が落下錠剤案内部材４３１の直下に来る度に一つずつ錠剤１０を落下投入することで、能率良く処理することができる。

［第１２の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第１２の実施例について、その具体的な構成を、図面を参照して説明する。図２５は、（ａ）が錠剤分割装置５２０の正面図、（ｂ）がその右側面図、（ｃ）が裁断機構４４０の斜視図である。

　この錠剤分割装置５２０が上述した実施例１の錠剤分割装置４２０と相違するのは、錠剤分包機から独立して専用機になっている点と、裁断機構４４０が改造されて裁断機構５４０が構成されている点である。

　この錠剤分割装置５２０は（図２５（ａ），（ｂ）参照）、独立した卓上型の専用機として使いやすいよう、前面上部の傾斜面に表示部５５２や操作部５５３を装備した小さな筐体５５１にコンパクト実装されている。錠剤カセット４２１を着脱しうる錠剤フィーダベース部５２７は筐体５５１の上面に装備され、その下方か斜め下方には落下錠剤案内部材と裁断機構５４０が内蔵され、その下には引出可能な半錠受箱５５５が差し込まれている。制御装置５５４や電源なども筐体５５１に内蔵されている。

　裁断機構５４０が図２４に示した裁断機構４４０と相違するのは、回転体５６１の外周部の有底孔５６３それぞれに二個の可動蓋５６６，５６６が設けられている点である。可動蓋５６６は、揺動して有底孔５６３の開口を開閉するものである。回転刃５４１と干渉しないよう、溝５６２のところは空けて溝５６２の両脇に二個の可動蓋５６６，５６６が配置されている。可動蓋５６６は、回転体４６１の回転に随伴して揺動する。例えば、有底孔５６３に錠剤１０を受け入れる錠剤受入位置では適宜な図示しない一時係合部材との干渉にて有底孔５６３を開く開側へ揺動する。また可動蓋５６６は、回転刃４４１の所すなわち錠剤裁断位置では、自重にて有底孔５６３を閉じる閉側へ揺動する。さらに可動蓋５６６は、有底孔５６３から半錠１０ａ，１０ｂを放出する錠剤排出位置では、自重にて開側へ揺動するようになっている。

　この場合、回転刃５４１にて錠剤１０を裁断するときに、裁断対象の錠剤１０を収容している有底孔５６３の開口の大部分が可動蓋５６６によって塞がれるため、錠剤１０が暴れたり粉塵が飛び散るといった不所望な事態の発現頻度や程度が抑制される。

［第１３の実施例］
　本発明の錠剤分割装置の第１３の実施例について、その具体的な構成を、図面を参照しながら説明する。図２６は、（ａ）が裁断機構６４０の展開図、（ｂ）がその斜視図である。

　この錠剤分割装置が上述した図２４及び図２５の実施例と相違するのは、縦切りの裁断機構が横切りの裁断機構６４０になった点である。

　裁断機構６４０では、図２４の一体物の回転体４６１に代えて二個の分割回転体６７１，６７５の組み合わせ物が採用されている。また縦切りから横切りへの変更に対応して分割回転体６７１，６７５も回転刃６４１も回転軸が鉛直になる姿勢で設置されている。

　分割回転体６７１は、例えば車輪状のリング部を主体にしたものである。リング部には、そ複数の貫通孔６７２が形成されている。貫通孔６７２は、一個だけでも複数個でも良い。貫通孔６７２は、いずれも、リング部を上下に貫通している。貫通孔６７２の開口や横断面はほぼ長方形になっていて、その深さは錠剤１０の直径の半分に近く、短辺が錠剤１０の厚みより少し大きく、長辺が錠剤１０の直径より少し大きい。適宜なロッド６７３やハブ６７４を介して図示しない電動モータの回転軸に取り付けられるようになっている。

　分割回転体６７５は、分割回転体６７１と同様、例えば車輪状のリング部を主体にしたものであり、それに貫通孔６７６が形成されている。貫通孔６７６は、貫通孔６７２と同じ配置で同数だけ設けられる。貫通孔６７６は、いずれも、上下に貫通しており、開口や横断面がほぼ長方形になっていて、深さが錠剤１０の直径の半分に近く、短辺が錠剤１０の厚みより少し大きく、長辺が錠剤１０の直径より少し大きい。分割回転体６７５もロッド６７７やハブ６７８を介して図示しない電動モータの回転軸に取り付けられるようになっている。

　分割回転体６７５が分割回転体６７１の直ぐ下方に設置されて、両者の間隙によって、回転刃６４１の入り込める環状の溝６６２が形成されている。

　また、貫通孔６７２と貫通孔６７６とが一対一で上下に連なっていて、それぞれの貫通孔６７２，６７６によって、落下錠剤案内部材４３１から落下した錠剤１０を受け入れ可能な孔Ｈが構成されている。これらの孔Ｈは、いずれも、溝６６２と連通している。

　さらに、錠剤移送機構として上述の分割回転体６７１，６７５に加えて半円状の固定板６７９が配置されている。、この固定板６７９が分割回転体６７５の直下に設けられたことにより、落下錠剤案内部材６３１の下方の錠剤受入位置から回転刃６４１のある錠剤裁断位置に至るまでの錠剤移送経路部分では貫通孔６７６の底面が塞がれ、錠剤移送経路において回転刃６４１を過ぎたところで貫通孔６７６の底面が解放されるようになっている。

　この場合、錠剤カセット６２１から排出された錠剤１０が落下錠剤案内部材６３１によって分割回転体６７１のところへ案内されると、分割回転体６７１，６７５に形成された何れかの孔Ｈが落下錠剤案内部材６３１の直ぐ下に来ていて、その孔Ｈに錠剤１０が縦向き姿勢で収容される。この位置では孔Ｈの底が固定板６７９で塞がれており、孔Ｈにおける錠剤１０の遊び代も僅かなので、この場合も、錠剤１０は孔Ｈの中で安定保持される。

　それから、分割回転体６７１，６７５が回転して孔Ｈと共に錠剤１０が回転刃６４１の所へ送り込まれる。溝６６２に入り込んで回転している回転刃６４１によって錠剤１０が上下に二等分されて二個の半錠１０ａ，１０ｂになる。さらに分割回転体６７１，６７５が回転して孔Ｈが固定板６７９から外れると、孔Ｈの底面が解放されて、半錠１０ａ，１０ｂが落下する。こうして、この場合も、錠剤１０が簡素で調整不要な錠剤移送機構によって回転刃６４１のところに送り込まれ、回転刃６４１によって半錠１０ａ，１０ｂに分割される。

Claims

　分割対象の錠剤を裁断位置に保持する保持機構と、
　前記裁断位置に保持された前記錠剤を裁断する裁断機構と、
　上端開口部、下端開口部及び前記上端開口部と前記下端開口部との間に位置する側面開口部を有し且つ途中に前記裁断位置を備えて、重力で落下する前記錠剤を案内する溝状の錠剤落下経路を備えた落下錠剤案内部材と、
　前記錠剤落下経路のうち前記裁断位置より上流の部分を含む前記錠剤落下経路の前記側面開口部の一部または全部を覆う溝深規定部材と、
　前記錠剤落下経路の前記側面開口部と対向する溝底と前記溝深規定部材の溝底対向面との相対距離を変更する経路厚み調整機構と、
　前記裁断機構および前記保持機構の動作手順を規定する裁断動作規定手段を含む制御装置とを備え、
　前記裁断機構は、それぞれ移動待機位置と移動完了位置との間を変位する一対の対向刃を備え、前記一対の対向刃を共に前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位させて前記裁断位置にある前記錠剤を裁断するように構成され、
　前記裁断動作規定手段が、前記一対の対向刃が共に前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位するときに、前記一対の対向刃が前記錠剤を挟むまでは前記保持機構による錠剤保持を継続させ、前記一対の対向刃が前記錠剤を挟んでからは前記保持機構による前記錠剤の保持を解除させて前記錠剤を前記一対の対向刃だけで挟持して、前記一対の対向刃を前記錠剤に切り込ませるように前記動作手順を規定しており、
　前記制御装置が、前記錠剤の厚さ情報を取得して前記経路厚み調整機構を作動させることにより前記相対距離を前記錠剤の厚さに適合させることを特徴とする錠剤分割装置。
　分割対象の錠剤を裁断位置に保持する保持機構と、
　前記裁断位置に保持された前記錠剤を裁断する裁断機構と、
　前記裁断機構および前記保持機構の動作手順を規定する裁断動作規定手段とを備えた錠剤分割装置であって、
　前記錠剤が分割されて得られる複数の錠剤裁断片の重量のバラツキが小さくなるように、前記裁断機構の構造及び前記裁断動作規定手段における前記裁断機構および前記保持機構の動作手順が定められていることを特徴とする錠剤分割装置。
　前記裁断機構は、それぞれ移動待機位置と移動完了位置との間を変位する一対の対向刃を備え、前記一対の対向刃を共に前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位させて前記裁断位置にある前記錠剤を裁断するように構成され、
　前記裁断動作規定手段が、前記一対の対向刃が共に前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位するときに、前記一対の対向刃が前記錠剤を挟むまでは前記保持機構による錠剤保持を継続させ、前記一対の対向刃が前記錠剤を挟んでからは前記保持機構による前記錠剤の保持を解除させて前記錠剤を前記一対の対向刃だけで挟持させ、前記保持機構による前記錠剤の保持が解除されてから前記一対の対向刃を前記錠剤に切り込ませるように前記動作手順を規定している請求項２に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断動作規定手段は、前記保持機構による前記錠剤の保持を解除させる際、その解除完了までは前記一対の対向刃の変位を一時停止させるように前記動作手順を規定していることを特徴とする請求項１または２に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断動作規定手段は、前記保持機構による前記錠剤の保持を解除させる際、前記一対の対向刃にて挟まれた前記錠剤から前記保持機構を離れさせる動作と、前記錠剤を挟んだ前記一対の対向刃を前記保持機構から離れる方向に移動させて前記錠剤を前記保持機構から離す動作とのうち、何れか一方または双方の動作を行わせるように前記動作手順を規定していることを特徴とする請求項３または請求項４に記載の錠剤分割装置。
　上端開口部、下端開口部及び前記上端開口部と前記下端開口部との間に位置する側面開口部を有し且つ途中に前記裁断位置を備えて、重力で落下する前記錠剤を案内する溝状の錠剤落下経路を備えた落下錠剤案内部材と、
　前記錠剤落下経路のうち前記裁断位置より上流の部分を含む前記錠剤落下経路の前記側面開口部の一部または全部を覆う溝深規定部材と、
　前記錠剤落下経路の前記側面開口部と対向する溝底と前記溝深規定部材の溝底対向面との相対距離を変更する経路厚み調整機構と、
　前記錠剤の厚さ情報を取得して前記経路厚み調整機構を作動させることにより前記相対距離を前記錠剤の厚さに適合させる制御装置とをさらに備えている請求項１に記載の錠剤分割装置。
　前記保持機構は、前記錠剤落下経路内に配置されて前記錠剤落下経路を部分的に塞ぐことにより、前記錠剤落下経路を下ってきた前記分割対象の錠剤を前記裁断位置に一時保持する受止部材を備えており、
　前記制御装置は前記受止部材の作動と前記裁断機構の作動とを関連して制御する請求項１または６に記載の錠剤分割装置。
　前記錠剤落下経路内には、前記裁断位置より上流に設けられていて前記錠剤落下経路の溝幅を調整する溝幅調整機構をさらに具備し、
　前記制御装置が、前記錠剤の幅情報を取得して前記溝幅調整機構を作動させることにより前記溝幅を前記錠剤の幅に適合させることを特徴とする請求項１または６に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断機構は、前記一対の対向刃が前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位する過程で前記錠剤を前記錠剤落下経路の前記側面開口部と対向する前記溝底から浮かせ、その後に裁断を完遂するように構成されていることを特徴とする請求項１または６に記載の錠剤分割装置。
　前記一対の対向刃の一方は、前記溝底を貫通して変位し、前記一対の対向刃の他方は前記溝深規定部材を貫通して変位するように配置されている請求項９に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断機構は、前記一対の対向刃の一方または双方が、外力にて前記移動待機位置側に押されると可動範囲内で後退するようになっており且つその後退時には当初から又は後退途中から前記錠剤の重さより強い力で前進側に付勢されるように構成されていることを特徴とする請求項１０に記載の錠剤分割装置。
　前記錠剤落下経路のうち前記裁断位置より上流側の部分が、蛇行していることを特徴とする請求項１１に記載の錠剤分割装置。
　前記錠剤落下経路が前記裁断位置で又はその下流側で分岐していて、そこから下流側の部分が二つの分岐経路になっており、
　前記受止部材が二つの経路開閉部材を含んでおり、
　前記二つの経路開閉部材がそれぞれ前記二つの分岐経路の分岐箇所近傍に設けられていて対応する前記分岐経路を開閉するものであって、しかも前記裁断位置の両側に分かれて配置されていることを特徴とする請求項６に記載の錠剤分割装置。
　前記制御装置は、前記錠剤の裁断後に前記裁断機構の前記一対の対向刃を前記移動完了位置から前記移動待機位置に退かせる時期と、前記二つの経路開閉部材それぞれに該当分岐箇所を開通させる時期の前後を入れ替えることにより、前記錠剤が分割されて得られた前記錠剤裁断片を前記分岐経路のうち同じ経路に落下させることと前記裁断片を前記分岐経路のうち異なる経路に落下させることとを選択しうるように構成されている特徴とする請求項８に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断機構は、それぞれ移動待機位置と移動完了位置との間を変位する一対の対向刃を備え且つ前記一対の対向刃は、それぞれ真っ直ぐな刃であり、
　前記裁断機構は、前記一対の対向刃を平行に保ちながら相反する方向へ相対的にずらすことにより、前記一対の対向刃を前記移動待機位置から前記移動完了位置に変位させて前記裁断位置にある前記錠剤を裁断するように構成されていることを特徴とする請求項２に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断機構が四節平行リンクを具備したものであり、前記一対の対向刃が前記四節平行リンクの対向二辺に装備されていることを特徴とする請求項１５に記載の錠剤分割装置。
　前記保持機構は、前記分割対象の錠剤を前記裁断位置に一時保持する受止部材を備えており、
　前記受止部材を移動させて前記一対の対向刃に対する前記錠剤の前記裁断位置を調整する錠剤位置調整手段と、
　前記錠剤の薬剤情報を取得する情報取得手段とをさらに備え、
　前記制御装置は、前記情報取得手段が取得した薬剤情報に基づいて前記錠剤位置調整手段を作動させ、さらに前記受止部材の作動と前記裁断機構の作動とを関連して制御する請求項１５または１６に記載の錠剤分割装置。
　前記裁断機構は、回転刃を備えており、
　前記保持機構は、保持した前記錠剤を前記裁断位置に送り込む錠剤移送機構を具備しており、
　前記錠剤移送機構は、回転軸を中心にして回転する回転体と前記回転体を駆動する駆動部材とを備えており、前記回転体には前記回転軸を中心とする外周部に前記錠剤を受け入れる複数の錠剤受け入れ部が周方向に等間隔をあけて配置されており、前記回転体の前記外周部には前記周方向に連続して延びて前記複数の錠剤受け入れ部と連通し且つ前記回転刃が一部入り込んで前記錠剤受け入れ部に保持された前記錠剤を分割することを許容する環状の溝が形成されており、
　前記錠剤受け入れ部が錠剤供給位置に来たときに前記錠剤が前記錠剤受け入れ部に投入され、前記錠剤受け入れ部が錠剤排出位置に来たときに分割された前記錠剤が前記錠剤受け入れ部から排出されるように前記錠剤移動移送機構が構成されている請求項１または２に記載の錠剤分割装置。