WO2013024903A1 - 錠剤分割装置 - Google Patents

Abstract

錠剤の厚さが不明でも錠剤に対する落下経路の溝深さ調整を自動で行う。　上端から下端まで溝状の錠剤落下経路（３２）が形成されている落下錠剤案内部材（３１）と、錠剤落下経路（３２）を下ってきた錠剤（１０）を錠剤落下経路の途中の裁断位置（３３）に経路開閉にて一時保持する受止部材（３４）と、裁断位置（３３）で錠剤を裁断する裁断機構（４０）と、錠剤落下経路（３２）の上流部分経路（３２ａ）を覆う溝深規定部材（３７）と、錠剤落下経路（３２）の溝底と溝深規定部材（３７）の溝底対向面との相対距離（Ｇ）を拡縮する厚み調整機構（３８）と、上流部分経路（３２ａ）の錠剤通過を検出する錠剤通過検出手段（３９）と、その検出結果を監視しながら厚み調整機構（３８）を作動させて相対距離（Ｇ）を錠剤の厚さに適合させる制御装置（２３）とを備える。裁断時に速度変更や保持解除を行う所定時期を錠剤の厚さに適合させる調整も、対向刃（４１）の駆動電流を検出することにより、自動で行う。

Description

錠剤分割装置

　この発明は、錠剤を裁断して幾つかの裁断片に分割する錠剤分割装置に関する。

　錠剤分割装置としては、錠剤を一つずつ二分割するカッターを備えた装置がある。このような装置として、例えば、錠剤落下経路と、当該経路の中の錠剤を通過方向の先後に分割する裁断機構とを備えた錠剤供給装置がある（特許文献１参照）。この装置は、分割により得られた裁断片を一つずつ包装装置等に向けて排出する装置である。また、受け取った錠剤を上下に裁断するカッターを備えた錠剤供給装置がある（特許文献２参照）。この装置は、裁断により得られた下側の裁断片を先に排出し、その後、カッターの上側に留め置かれていた上側の裁断片を排出する装置である。

　これらの装置は、裁断機構の一枚のカッター刃を、裁断位置に保持された分割対象の錠剤に切り込ませるものである。なお、これらの装置は、例えば、錠剤分包機の錠剤収納庫の中や下などに組み込まれている。そして、これらの錠剤分割装置は、当該装置の内部に、縦穴状に刳り貫かれた鉛直に延在する錠剤落下経路を備えている。錠剤落下経路内では、錠剤は自然落下に近い状態で真っ直ぐ鉛直下方に落下する。

　また、２枚の刃で錠剤を複数に分割する裁断機構を備えた錠剤分割装置がある（特許文献３参照）。２枚の刃は、真っ直ぐであり、同一平面に位置する状態で対向設置されている。錠剤の裁断は、対向二枚刃の刃先の間隙を拡縮させることで行われる。さらに、裁断機構の刃が回転刃であるものがある（特許文献４参照）。

　このような錠剤分割装置は、分割対象の錠剤を保持機構にて裁断位置に保持した状態で、裁断機構の刃を錠剤に切り込ませて、錠剤を裁断する装置である。この装置では、保持機構の調整が適切であれば、次々に送られてくる各錠剤を適切な裁断位置に保持することができる。各錠剤の保持位置が適切であれば、裁断機構の刃先の、各錠剤との当接位置が安定し、当接位置の変動は目視確認不能なほど小さくなる。

特開平１１−２２６０８８号公報 特開平１１−２２６０８９号公報 特開２０１１−０８３３５７号公報 特開２０１１−０９７９６９号公報 特願２０１０−１７０９６８号

　ところで、分割対象の錠剤を裁断位置に保持する保持機構と、近接離間移動可能な対向刃を具備した裁断機構と、裁断機構および保持機構の動作手順を規定する裁断動作規定手段とを備えた近年の錠剤分割装置として、次のような装置がある（特許文献５参照）。
　その装置の裁断機構は、対向刃を近接離間させて錠剤を裁断するものであり、裁断動作規定手段は、対向刃を近接移動させて錠剤を裁断する際、対向刃が錠剤を挟むまでは保持機構による錠剤保持を継続させ、対向刃が錠剤を挟んでからは保持機構による錠剤保持を解除させて錠剤を対向刃だけで挟持させ、保持機構による錠剤保持が解除されてから対向刃を錠剤に切り込ませるというものである。

　この錠剤分割装置では、対向刃を錠剤に切り込ませるとき、保持機構は錠剤から離れているので、対向刃の切り込みで錠剤に変形や変位が生じても、錠剤が保持機構から反力を受けることがない（特許文献５効果欄を参照）。保持機構からの反力は、裁断状態の変動要因であるとともに変動量の増幅要因である。従って、上記反力を受けない状態で錠剤を裁断できるこの装置では、割れが安定し、裁断片の量目の変動が更に小さくなる。

　本出願に係る発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、より正確な量目の裁断片を安定的に供給することを課題とするものである。

　このような課題を解決するために発明者らによって研究開発された錠剤分割装置として、上端から下端まで溝状の錠剤落下経路が形成された落下錠剤案内部材と、錠剤落下経路を下ってきた分割対象の錠剤を錠剤落下経路の途中の裁断位置に経路開閉にて一時保持する受止部材と、裁断位置で錠剤を裁断する裁断機構とを備えており、多様な形状の錠剤に対応させる調整作業等の負担を軽減すことを目的とした錠剤分割装置がある（特願２０１１−０４２９５５参照）。
　この装置は、錠剤落下経路のうち裁断位置より上流の部分を覆う溝深規定部材と、錠剤落下経路の溝底と溝深規定部材の溝底対向面との相対距離を拡縮する厚み調整機構と、錠剤の厚さ情報を取得して厚み調整機構を作動させることにより、相対距離を錠剤の厚さに適合させる制御装置とを具備している。

　この錠剤分割装置では、錠剤形状情報のうち最小寸法である厚さ情報を取得できれば、制御装置と厚み調整機構と溝深規定部材との協動により、自動で、錠剤落下経路の溝底と溝深規定部材の溝底対向面との相対距離を錠剤の厚さに適合させることができる。つまり、この装置によれば、裁断対象の錠剤の種類に応じて自動的に上記相対距離を錠剤の厚さに適合させることができる（特願２０１１−０４２９５５参照）。
　上記相対距離を錠剤の厚さに適合させることができれば、裁断時の錠剤保持状態が安定し、裁断片の量目の変動を小さくすることができる。また、自動的に適合できれば、調整負担が軽減される。
　なお、制御装置が錠剤の厚さ情報を取得する手段としては、着脱式錠剤カセット付属のデータ担体からの読出や、操作部からの直接入力、上位装置からの通信回線経由ダウンロードなどがある（特願２０１１−０４２９５５参照）。

　ところが、上記錠剤厚情報取得手段は、既に情報化された錠剤の厚さ情報を外部から取得するものである。つまり、各種錠剤の採寸データが用意されており、要求に応じてこれらのデータが提供可能になっていることが前提となる。
　従って、サポート手段が存在しなければ、機能せず、使えない。例えば、ダウンロード方式は通信設備のない所では使えず、データ担体からの読出は錠剤カセット等に付属品が無いと使えず、操作入力方式は面倒なうえ誤入力のおそれもある。ダウンロード方式やデータ担体読出方式でもデータ登録作業ではデータ誤入力のおそれがなくなる訳でない。このように、上記の錠剤分割装置は、厚さの異なる各種錠剤に対して適合させる調整の負担を単独で軽減できる実施形態まで明らかになった訳ではない。
　さらに、データ準備の済んでいない薬剤（たとえば新薬や急遽使用することになった薬剤）に対して迅速且つ適切に対応できない。
　このような点について、さらに研究開発を進めて、次のような発明をするに至った。

　本出願に係る発明は、上記課題解決のために創案されたものであり、錠剤の案内路を備えた落下錠剤案内部材と、前記案内路を上方から下方に移動する錠剤を前記案内路の途中で受け止める受止部材と、当該受止部材に受け止められた錠剤を裁断する裁断機構と、前記受止部材よりも錠剤移動方向上流側に配置された溝深規定部材とを備えており、前記案内路を取り囲む案内路内側面のうち、前記受止部材よりも錠剤移動方向上流側の少なくとも一部が平面部で構成されており、前記溝深規定部材は、前記平面部に対向する対向面を備えるものであり、当該溝深規定部材の対向面と前記案内路の平面部との対向区間の対向距離を近接離間させる厚み調整機構と、前記対向区間の入口を錠剤が通過したことを検知する通過検知手段と、前記厚み調整機構の動作を制御する制御装置とをさらに備えており、前記対向距離は、少なくとも前記錠剤の前記対向区間の通過が阻止される幅狭状態と、錠剤の前記対向区間の通過が許容される幅広状態とに調整可能であり、前記制御装置は、前記対向区間の上流側に錠剤が存在する状態で前記厚み調整機構を作動させて前記対向距離を前記幅狭状態から広げていく厚み測定動作と、前記錠剤が前記対向区間の入口を通過したとの検知情報に基づいて前記厚み調整機構を停止させて前記対向距離を固定する厚み適合動作とを実行させるものである錠剤分割装置である。

　本発明では、対向区間の上流側に錠剤が存在する状態で厚み調整機構を作動させて対向距離を幅狭状態から広げる厚み測定動作を実行する。この動作では、対向距離が錠剤の厚さを超えると錠剤が上述した対向区間を通過し、当該通過が錠剤通過検知手段によって検出される。通過検知手段で検知された通過情報は制御装置に入力され、通過情報に基づく制御装置の制御により厚み調整機構の厚み測定動作が停止される。これにより、対向距離が錠剤厚さに適合した距離に固定される。このように、本発明によれば、錠剤の厚さが、幅狭状態での対向距離と幅広状態での離間距離との間であれば、その厚さが予め判明しているか否かに拘わらず、落下経路の対向区間の案内路幅を錠剤の厚さに適合させる調整を自動で行うことができる。従って、本発明によれば、分割対象錠剤の厚さが不明でも錠剤が通る対向区間の案内路幅を自動で調整することができる。錠剤を安定した状態で移動させることができれば、受止部材における受け取り状態が安定し、安定した裁断を行うことができるので、裁断片の量目が安定する。

　前記受止部材は、前記案内路の途中で錠剤を受け止めて保持する保持状態と、保持が解除される解除状態とに動作可能なものであり、前記裁断機構は、前記制御装置の制御に従う電動の対向刃を備えており、当該対向刃の駆動電流値を検出する駆動電流検出手段をさらに備えており、前記対向刃は、少なくとも、当該対向刃の刃先の間への錠剤の投入が許容される退避位置と、投入された錠剤を刃先で挟持する挟持位置と、挟持した錠剤が裁断される裁断完了位置とに近接離間移動可能であり、前記制御装置は、前記錠剤が前記対向刃の間に投入されて前記受止部材に保持された状態で前記対向刃を前記裁断完了位置に向けて近接移動させる近接移動動作と、当該動作の途中で前記対向刃が前記挟持位置に達したことを前記駆動電流値の増大に基づいて検知する挟持検知動作とを実行するものであり、且つ、前記挟持位置から前記裁断完了位置に向けて移動して錠剤を裁断する対向刃の移動速度を前記挟持位置に達する前の移動速度に対して変化させる速度変更動作と、前記受止部材の状態を前記保持状態から前記解除状態にして前記受止部材を前記錠剤から離す解除動作のうちの少なくともいずれか一方の動作を実行させるものである。

　このような構成をさらに備える錠剤分割装置では、駆動電流値に基づいて、対向刃が挟持位置であることが自動的に検知される。そして、対向刃が錠剤を挟持したときから裁断するまでの間に、対向刃の移動速度の変更および／または受止部材による錠剤の保持の解除が行われるので、割れが安定して裁断片の量目の変動が小さくなる。また、速度変更や保持解除を行う時期が厚さの異なる各種錠剤に応じて自動的に適合されるので、調整の負担が軽減される。

　また、上記課題を解決するために、裁断機構についても研究開発を進めた。例えば、上述した錠剤分割装置（特許文献５参照）は、分割対象の錠剤を裁断位置に保持する保持機構と、前記裁断位置に向けて進退する対向刃を具備するものであり、前記保持機構で保持した錠剤を前記対向刃で挟ませた後、保持機構による錠剤保持を解除させて錠剤を対向刃だけで挟持させ、保持機構による保持が解除された錠剤に対向刃を切り込ませて錠剤を裁断する装置である。

　この錠剤分割装置では、錠剤裁断時に対向刃が錠剤に切り込むとき、保持機構を錠剤から離した状態にすることにより、対向刃の切り込みで錠剤に変形や変位が生じたとしても、それによって保持機構からの反力が錠剤に作用しないようになっている。
　このように、裁断状態の変動要因であるとともに変動量の増幅要因でもあると考えられる保持機構からの反力が生じないように改良したため、割れが安定して、裁断片の量目の変動が更に小さくて済むものとなっている。

　また、先に説明した錠剤分割装置（特願２０１１−０４２９５５号参照）は、落下錠剤の案内部材と、当該案内部材の錠剤落下経路を下ってきた分割対象の錠剤を前記錠剤落下経路の途中の裁断位置に経路開閉にて一時保持する受止部材と、前記裁断位置で前記錠剤を裁断する裁断機構とを備えた錠剤分割装置である。

　この錠剤分割装置では、刃を備えた裁断機構を、受止部材に保持された分割対象の錠剤に向けて進退させることで錠剤を裁断するようになっている。
　また、この錠剤分割装置では、落下錠剤案内部材が本体部の筐体内で支持フレームに対しネジ止め等にて固定されており、裁断機構の刃が刃進退部材に対してネジ止め等で直に或いはネジ締結力利用の挟持等にて間接的に固定されている。

　ところで、裁断機構の刃は消耗品であるため、ときどき交換しなければならないが、錠剤分割装置が性能向上等によって普及してくると、刃の交換作業の負担も増大する。
　そして、それに対する直截的な作業負担軽減策として、刃進退部材に対する刃の装着態様をスライダのような摺動にて係合する方式などで着脱式にすることが考えられる。

　しかしながら、裁断機構の刃は、落下錠剤案内部材より小さいうえ、落下錠剤案内部材の中央かその近傍の裁断位置を臨むところに配設されることから、必然的に筐体内の内奥部に位置することから、その周辺には交換作業の邪魔になる他の部材が設けられているので、刃を指先等で持って筐体から出し入れするのも刃進退部材に着脱させるのも容易ではない。このため、刃進退部材に対する刃の装着態様を着脱式に改良したとしても、それだけでは、周辺部材の取り外しや再取付の作業まで無くなる訳ではないので、交換作業が未だ容易とはいえない。また、刃を手で直に持つのも、怪我をしないよう細心の注意を払うことを作業者に強いるため、精神的な負担まで加わるので、望ましくない。
　従って、裁断機構の刃を容易かつ気軽に着脱しうる錠剤分割装置を実現することができれば、裁断品質を高い精度で安定させることが容易になり、裁断片の量目を安定させることができる。

　このような課題をも解決する本出願に係る発明は、錠剤の案内路を備えた落下錠剤案内部材と、案内路を上方から下方に移動する錠剤を案内路の途中で受止める受止部材と、受止部材に受け止められた錠剤を裁断する刃が装着された刃進退部材を備えた裁断機構と、これらの落下錠剤案内部材、前記受止部材及び前記裁断機構が収容された筐体とを備えており、さらに、前記裁断機構の対向刃は、前記受止部材に受け止められた錠剤を裁断するための刃が装着位置に装着される一対の刃進退部材を備えており、筐体は、前記落下錠剤案内部材と前記刃とを通過させうる開口と、前記落下錠剤案内部材を筐体内の支持位置に着脱可能に支持する支持部材とを備えており、当該支持部材及び前記落下錠剤案内部材は、当該落下錠剤案内部材が前記支持位置に支持された状態で、当該落下錠剤案内部材と前記支持部材とが摺動可能に接触する、落下錠剤案内部材固定用の摺動部をそれぞれ備えており、前記落下錠剤案内部材は、前記支持部材の摺動部に沿って摺動させることによって、前記支持位置と、前記開口から取り出された状態とに着脱可能なものであり、前記刃と前記刃進退部材は、前記刃が前記装着位置に装着された状態で、前記刃と前記刃進退部材とが摺動可能に接触する、刃取付用の摺動部をそれぞれ備えており、前記刃は、前記刃進退部材の摺動部に沿って摺動させることによって、前記装着位置と前記開口から取り出された状態とに着脱可能である錠剤分割装置である。

　このような装置において、裁断用の刃を装置内から取外す場合は、先ず、開口に蓋がされていれば蓋を開ける。次に、開口を介して筐体から落下錠剤案内部材を引き抜く。落下錠剤案内部材は支持部材に対して摺動により取り外し可能であるので、開口を介して筐体から落下錠剤案内部材を引き抜くことは容易である。そして、落下錠剤案内部材が引き抜かれると、その部分が空間になり、開口を介して筐体内の刃の視認が可能になる。そして、この状態は、例えばラジオペンチ等の細身の挟持工具による刃の引き抜きが可能な状態である。刃も刃進退部材に対して摺動可能に装着されているので、開口を介して筐体から容易に取り外すことが可能である。なお、取り外しの際、刃を手で直に持つ必要はない。

　また、続いて刃を取り付ける場合は、落下錠剤案内部材を取り外した状態で、例えば挟持工具を用いて刃を開口から筐体内にいれて刃進退部材に装着することが可能である。その後、落下錠剤案内部材を開口から筐体内に入れて支持部材に支持させる。刃及び落下錠剤案内部材はいずれも摺動によって装着又は取付けが可能であり、筐体内への取付けが容易である。この場合も、刃を手で直に持つ必要がない。このように、本発明によれば、裁断用の刃を容易に着脱可能である。

　前記落下錠剤案内部材固定用である支持部材の摺動部は、前記落下錠剤案内部材の摺動方向を所定方向に案内する係合構造を備えており、前記刃取付用である刃進退部材の摺動部は、前記刃の摺動方向を所定方向に案内する係合構造を備えており、前記落下錠剤案内部材の摺動方向と前記刃の摺動方向とが平行である。

　落下錠剤案内部材と刃の摺動方向が平行であると、落下錠剤案内部材と刃とを同時に抜き差しすることが可能である。同時に抜き差しできる構造は、刃の交換業性に優れる。

　前記落下錠剤案内部材が筐体外に取り出された状態の前記支持部材の摺動部には、当該摺動部に摺動自在に係合可能な摺動部を備えた刃交換治具の係合が可能であり、当該刃交換治具は、前記落下錠剤案内部材の摺動部と同様の構造の摺動部を備えた板状の治具本体部と、当該治具本体部に設置された刃保持部とを備えており、当該刃保持部は、前記支持部材に係合させた前記治具本体部を摺動によって前記刃進退部材に近接させたとき、当該刃進退部材に装着された状態の刃を捕捉可能なものであり、前記刃保持部によって前記刃を捕捉した状態の前記治具本体部を、前記刃進退部材から離間する向きに摺動させると、前記刃が前記刃保持部に捕捉された状態で前記刃進退部材から取り外されるようになっている。

　本発明に係る錠剤分割装置では、裁断用の刃を着脱する際、筐体の支持部材に係合可能な刃交換治具を用いることが可能である。刃交換治具を用いて刃を取外す場合は、まず、落下錠剤案内部材を引き抜く。次に、筐体内の支持部材に刃交換治具を例えば差し込むようにして係合させ、続けて引き抜く。これらの動作のうち、係合動作のとき、刃進退部材に装着されていた刃が刃交換治具に捕捉される。そして、その後の引き抜き動作により、刃交換治具及びこれに捕捉された刃が引き抜かれる。つまり、刃進退部材から刃が取り外される。この場合、抜き取り作業中はもとより、取り外しの後も、刃を手で直に持つ必要がない。このように、本発明によれば、裁断用の刃をより容易かつより気軽に着脱することができる。

　前記落下錠剤案内部材が筐体外に取り出された状態の前記支持部材の摺動部には、当該摺動部に摺動自在に係合可能な摺動部を備えた刃交換治具の係合が可能であり、当該刃交換治具は、前記落下錠剤案内部材の摺動部と同様の構造の摺動部を備えた板状の治具本体部と、当該治具本体部に設置された刃保持部とを備えており、当該刃保持部は、装着用の刃を着脱可能な状態で保持するものであり、前記刃保持部に前記刃を保持させた状態の前記治具本体部を摺動によって前記刃進退部材に近接させると、前記刃保持部に保持された刃が前記刃進退部材に係合して装着され、更に前記治具本体部を前記進退部材から離間させることによって前記刃進退部材に装着された刃から前記刃保持部を取り外して筐体外に取り出し可能である。

　本発明に係る錠剤分割装置では、裁断用の刃を着脱する際、筐体の支持部材に係合可能な刃交換治具を用いることが可能である。刃交換治具を用いて刃を刃進退部材に取り付ける場合は、まず、落下錠剤案内部材を引き抜く。次に、取り付けようとしている刃を予め保持させた刃交換治具を差し込んでから引き抜く。この動作中、差込動作において、刃交換治具に保持されていた刃が刃進退部材に装着される。そして、その後の引き抜き動作では、刃交換治具だけが引き抜かれる。つまり、刃進退部材への刃の装着が完了する。この場合、差し込み作業中はもとより、取り付けの前も、刃を手で直に持つ必要がない。このように、本発明によれば、裁断用の刃をより容易かつより気軽に着脱することができる。

　また、上記課題を解決するために、錠剤裁断粉塵分離機構についても研究開発を進めた。例えば、錠剤分割装置では、従来、吸引排出機構にて不要な半錠や裁断等で生じた小片を除去したり錠剤通過経路や装置内を清掃するようになっていた（特許文献１，２参照）。また、裁断機構に対向刃や回転刃を採用して錠剤裁断時の粉塵の発生量を減らしたものがある（特許文献３，４，５参照）。さらに、上述した錠剤分割装置（特願２０１１−０４２９５５号参照）では、収集用ガイドや緩衝用バッファを具備した中継部を錠剤の保持機構や裁断機構と裁断片の受器との間に設けて裁断片を移動させる際にも粉塵の発生を抑制している。ただし、粉塵が全く無くなる訳ではないので、上述したような吸引排出機構にて粉塵を吸い取ったり，中継部に設けた篩いで粉塵を篩い落としたりして、裁断片から粉塵を分離させるための錠剤裁断粉塵分離機構が欠かせない。

　ところで、このような従来の錠剤裁断粉塵分離機構のうち、例えば吸引排出機構は、分離性能に優れている。ところが、部材費も運転費用も高くつくうえ排気処理設備等の完備した環境でないと使いづらい。
　また、篩いは、そのような制約が無いうえ簡素かつ安価であるという観点からは使い易い。ところが、一般的な使い方ではなかなか満足できる物ができなかった。例えば、傾斜ガイドに篩いを採用してその上を自重で滑落させた場合、傾斜が緩すぎると裁断片が落下せず、他方、傾斜が急すぎると粉塵が篩い分けできず、傾斜の妥協点が見いだし難い。また、緩衝用バッファに篩いを採用し、これを上下反転させる方法も考えられる。ところが、この方法では、反転速度を上げると裁断片及び粉塵があらぬ所へ飛んでしまうため、高速化が難しく、能率が上がらない。
　そこで、篩い式でも能率の良い錠剤裁断粉塵分離機構を実現できれば、より確実に粉塵が分離された裁断片を得ることができ、より量目が安定した裁断片を、効率よく供給することができることになる。

　このような課題をも解決する本出願に係る発明は、さらに、前記錠剤を裁断することにより得られた裁断片が通過する錠剤落下経路を複数備えた錠剤落下経路切替部材と、裁断に起因して生じた粉塵を通過させる粉塵分離孔が多数形成された仕切板と、前記粉塵を落下させうる粉塵落下経路を備えた支持体とをさらに備えており、前記粉塵落下経路は、その上端面が前記仕切板に覆われており、前記錠剤落下経路切替部材は、前記複数の錠剤落下経路のうちのいずれか一つを前記仕切板の上方に位置させる複数の回転位置に回転可能に支持されており、当該錠剤落下経路切替部材の回転軸は、前記仕切板又は当該仕切板の延長体に対して垂直であり、前記仕切板の上方に位置する一つの前記錠剤落下経路は、その下端面を前記仕切板に覆われた状態であり、他の錠剤落下経路は、その下端面が解放状態になる解放位置に位置する状態である錠剤分割装置である。

　錠剤裁断粉塵分離機構に達した裁断片は、支持板の上方に位置する錠剤落下経路に進入し、仕切板の上に達する。その後、錠剤落下経路切替部材が回転されると、仕切板上方に位置していた錠剤落下経路は、下端面が解放状態になる解放位置に移動し、仕切板の上にあった裁断片は、解放された錠剤落下経路の下端面から下方に放出される。

　このように、本発明では、仕切板上の裁断片は、錠剤落下経路切替部材の回転に伴って仕切板上を転がりあるいは仕切板と擦れ合いながら仕切板上を移動する。この過程で、裁断片の周囲の粉塵を裁断片から分離させることができ、仕切板の粉塵分離孔から落下させることができる。従って、仕切板の傾斜状態に拘わらず確実に粉塵が裁断片から篩い分けられる。
　しかも、錠剤落下経路切替部材と仕切板との相対移動が擦過運動の様なものであり、それによって錠剤落下経路の下端面が引戸風に開けられてから裁断片が落下するので、全部材が上下反転したり下端面が扉風に開けられるのと異なり、錠剤落下経路の入れ替え速度を上げても、裁断片の落下状態が安定するとともに落下先が適度に絞られる。このように、本発明によれば、篩い式であっても能率良く粉塵を分離することができる。

　前記錠剤落下経路切替部材の回転軸及び前記仕切板は傾斜しており、前記仕切板の上方に位置する前記錠剤落下経路は、他の錠剤落下経路よりも低い位置になっている。

　仕切板上の錠剤落下経路の位置が他の錠剤落下経路の位置よりも低い位置であると、仕切板上の位置から解放位置に回転される錠剤落下経路は、仕切板に沿って上方に移動することになる。つまり、傾斜に逆らって傾斜面を遡上する。錠剤落下経路がこのような動きをすると、錠剤落下経路内の仕切板上に位置する裁断片に付着していた粉塵が効率良く篩い落とされる。したがって、本発明によれば、篩い式であっても一層能率良く粉塵を分離することができる。

　前記粉塵落下経路の下方に配置された第１粉塵受器と、前記仕切板の上方の位置から前記解放位置に移動した前記錠剤落下経路から落下する前記裁断片の落下先に配置された裁断片受器と、当該裁断片受器の下方に配置された第２粉塵受器と、をさらに備えており、前記第１粉塵受器は、前記粉塵落下経路を通って落下した前記粉塵を収容するものであり、前記裁断片受器は、前記粉塵を通過させる底部材を備えており、前記第２粉塵受器は、前記底部材を通って落下した前記粉塵を収容するものである。

　仕切板によって篩い落とされた粉塵は、仕切板の粉塵分離孔を通って下側に落下し、第１粉塵受器へと落下する。このように、裁断片受器とは別の所に第１粉塵受器を配置すると、錠剤裁断粉塵分離機構で分離した裁断片と粉塵とを容易かつ的確に収集することができる。しかも、裁断片受器の底に篩い機能を持たせた上で、裁断片受器とは別体の第２粉塵受器を裁断片受器の下に配置すると、錠剤裁断粉塵分離機構を通過した後の裁断片から出た粉塵をも容易かつ的確に収集することができる。

　このように、本願に係る発明によれば、より正確な量目の裁断片を安定的に供給することができる。

本出願の発明に係る錠剤分割装置の第１実施例を示す外観斜視図である。 図１（ａ）の錠剤分割装置を示す右側面図である。 図１（ａ）の錠剤分割装置の保持機構及び裁断機構を示す右側面図である。 図１（ｃ）の保持機構を示す、内部を透視した正面図である。 図１の錠剤分割装置の落下錠剤案内部材を示す正面図である。 図２（ａ）の落下錠剤案内部材に受止部材を装着した状態を示す正面図である。 図１（ｃ）の保持機構の溝深規定部材を示す正面図である。 図１（ｃ）の保持機構の固定覆板を示す正面図である。 図１（ｃ）の保持機構を示す斜視図図である。 落下錠剤案内部材及び溝深規定部材の動作を説明するための、両部材の縦断右側面図である。 落下錠剤案内部材及び溝深規定部材の動作を説明するための、両部材の縦断右側面図である。 落下錠剤案内部材及び溝深規定部材の動作を説明するための、両部材の縦断右側面図である。 落下錠剤案内部材及び溝深規定部材の動作を説明するための、両部材の縦断右側面図である。 落下錠剤案内部材及び溝深規定部材の動作を説明するための、両部材の縦断右側面図である。 図４（ｂ）から図４（ｉ）の説明図を用いて動作説明する裁断機構の対向刃の構造を模式的に示す斜視図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図であると共に、二番目以降の錠剤の裁断を説明する際、図４（ｉ）に続く説明図として用いられる右側面図である。 最初の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図であると共に、二番目以降の錠剤の裁断を説明する際、図４（ｆ）に続く説明図として用いられる右側面図である。 二番目以降の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 二番目以降の錠剤の裁断を説明するための、裁断機構を示す右側面図である。 裁断機構の駆動系と制御系のブロック図である。 裁断調整前の位置指令の波形例を示すタイムチャートである。 駆動電流検出信号の波形例を示すタイムチャートである。 裁断調整後の位置指令の波形例を示すタイムチャートである。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す正面図である。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す縦断右側面図である。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す正面図である。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す正面図である。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す正面図である。 保持機構の動作を説明するため図であり、保持機構の要部を示す正面図である。 本出願の発明に係る錠剤分割装置の第２実施例を示す外観斜視図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置を示す右側面図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置の蓋を開けた状態を示す外観斜視図である。 図７（ｃ）の錠剤分割装置の刃をリムーバ（刃交換治具）を用いて取り外した状態を示す外観斜視図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置の落下錠剤案内部材及び受止部材を示す外観斜視図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置の保持機構を示す外観斜視図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置の本体部から取り外された状態（本体部に取り付けようとしている状態）の保持機構を示す外観斜視図である。 図７（ａ）の錠剤分割装置の本体部に取り付けられた保持機構及び裁断機構を示す外観斜視図である。 図８（ｄ）の裁断機構の前刃を示す正面図である。 図８（ｄ）の裁断機構の前刃を示す右側面図である。 図８（ｄ）の裁断機構の前刃を示す平面図である。 図８（ｄ）の裁断機構の前刃を示す外観斜視図である。 図７（ｄ）のリムーバ（刃交換治具）の刃保持部周辺を示す外観斜視図である。 図１０（ａ）のリムーバの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 図１０（ａ）のリムーバの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 図１０（ａ）のリムーバの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 図７（ｃ）の錠剤分割装置の刃の交換（取り付け）に用いられるセッター（刃交換治具）の刃保持部周辺を示す外観斜視図である。 図１１（ａ）のセッターの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 図１１（ａ）のセッターの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 図１１（ａ）のセッターの刃保持部周辺の外観及び前刃の刃先部の断面を示す正面図である。 本出願の発明に係る錠剤分割装置の第３実施例を示す外観斜視図である。 図１２（ａ）の錠剤分割装置を示す右側面図である。 図１２（ａ）の錠剤分割装置の錠剤裁断粉塵分離機構を示す平面図である。 図１２（ｃ）の錠剤裁断粉塵分離機構を示す右側面図である。 図１２（ｃ）の錠剤裁断粉塵分離機構を示す分解斜視図及び一部拡大図である。 錠剤裁断粉塵分離機構の動作状態を時系列で示して説明するための、錠剤裁断粉塵分離機構及び受器を示す右側面図である。 錠剤裁断粉塵分離機構の動作状態を時系列で示して説明するための、錠剤裁断粉塵分離機構及び受器を示す右側面図である。 錠剤裁断粉塵分離機構の動作状態を時系列で示して説明するための、錠剤裁断粉塵分離機構及び受器を示す右側面図である。 錠剤裁断粉塵分離機構の動作状態を時系列で示して説明するための、錠剤裁断粉塵分離機構及び受器を示す右側面図である。 粉塵の取出状況を説明するための、錠剤分割装置を示す右側面図である。 粉塵の取出状況を説明するための、受器を示す外観斜視図である。

　本発明に係る錠剤分割装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の各実施例によって説明する。
　なお、各図では、便宜的に、発明の説明に必要な構成や関連する構成を明確に図示することとし、例えば、ボルト等の締結具，ヒンジ等の連結具，ギヤ等の伝動部材，モータドライバ等の電気回路の詳細，コントローラ等の電子回路の詳細などを省略した。これにより、発明の特徴をより簡明に説明できるようになっている。

　図１（ａ）~（ｄ）に示されるように、本実施例の錠剤分割装置２０は、錠剤カセット２１と操作部２２と制御装置２３と本体部２４と受器２５と中継部２６と錠剤フィーダベース部２７と支持フレーム２８と保持機構３０と裁断機構４０と図示しない電源部とを備えている。
　これらのうち、制御装置２３と中継部２６と支持フレーム２８と保持機構３０と裁断機構４０と電源部は、本体部（筐体）２４に内蔵されている。操作部２２と錠剤フィーダベース部２７は、本体部２４に固定的に装着されており、図示していない操作面及びカセット装着面が筐体外面に露出されている。また、錠剤カセット２１は、錠剤フィーダベース部２７に着脱自在に装着されており、受器２５は、本体部２４の底部の前面開口から引き出し自在に挿着されている。

　本体部２４は、最上部に固定的に配置された錠剤フィーダベース部２７と、中央部にほぼ鉛直の状態で配置された支持フレーム２８と、支持フレーム下部よりも手前側に固定配置された中継部２６と、更にその下方に出し入れ可能に配置された受器２５とを備えている。
　本体部２４の中央部に配置された保持機構３０及び裁断機構４０は、支持フレーム２８に取り付けられており（図１（ｂ），（ｃ）参照）、そのうち保持機構３０は、支持フレーム２８と同じ鉛直の姿勢をとり、裁断機構４０は保持機構３０と垂直な水平の姿勢をとっている。

　錠剤フィーダベース部２７とこれに装着された錠剤カセット２１は、錠剤１０の逐次供給を自動で行うためのものである。制御装置２３の制御に従って錠剤フィーダベース部２７の駆動モータが動作すると、ベース板に装着された錠剤カセット２１から錠剤１０が一錠ずつ排出される。排出された錠剤１０は、導入口やダクトといったガイド経由で、保持機構３０の後述する錠剤落下経路（以下、案内路と称する）３２の上端に送られ、この上端側から、まず後述の上流部案内路（上流部分経路）３２ａへと送り込まれる（図３参照）。

　保持機構３０は、錠剤落下経路である案内路３２と、受止部材３４と、スリット３５を備えている（図２，図３参照）。そして、案内路３２は、上流部案内路（上流部分経路）３２ａと、下流部案内路（下流部分経路）とを備えている。そして、下流部案内路は、後述の左側分岐経路３２ｂ及び右側分岐経路３２ｃに分岐している。錠剤カセット２１から錠剤フィーダベース部２７及びガイド経由で落下した分割対象の錠剤１０は、上流部分経路３２ａに入り、その後、受止部材３４に受け止められて保持される。このとき、受止部材３４は、案内路３２の途中の位置である裁断位置３３に錠剤１０を一時的に保持する（錠剤保持状態、図４、図６参照）。なお、裁断位置３３とは、錠剤保持状態の受止部材３４によって受け止められて保持された状態の錠剤の位置のことである（図６（ｃ）に示された錠剤の位置参照）。
　裁断機構４０は、裁断位置の錠剤１０を裁断して左右２個の裁断片（錠剤裁断片）１０ｂ，１０ｃに分割するものである（図６参照）。なお、ここでは、装置正面から装置に向かって左側の裁断片を左側裁断片１０ｂとし、向かって右側の裁断片を右側裁断片１０ｃとする。
　中継部２６は、保持機構３０の下側に配置されており、収集用ガイドや緩衝用バッファを具備している。そして、中継部２６は、保持機構３０の案内路３２のうち左側分岐経路３２ｂから落下した裁断片１０ｂを左側受器２５ｂへ送り込み、保持機構３０の案内路３２のうち右側分岐経路３２ｃから落下した裁断片１０ｃを右側受器２５ｃへ送り込む（図６（ｆ）参照）。

　受器２５は、錠剤１０を分割して出来た裁断片１０ｂ，１０ｃを受け入れて貯めておく角箱状や角皿状の容器である。そして、左側の裁断片１０ｂが収容される左側受器２５ｂと、右側の裁断片１０ｃが収容される右側受器２５ｃとが、左右に並んだ状態で本体部２４に挿着されている。
　なお、両裁断片１０ｂ，１０ｃを総て一纏めに収容してもよい。この場合、単体の幅広容器を使用する。また、本実施例では、受器２５、これに裁断片１０ｂ，１０ｃを導く中継部２６、操作部２２及び制御装置２３は、装置運搬の容易化等のために装置に一体的に設置されている。これらの構成は、装置に分離可能に設置されていてもよいし、装置とは別体でもよい。

　保持機構３０は、錠剤フィーダベース部２７と中継部２６との間に配置された板状の落下錠剤案内部材（以下、案内部材と称する）３１と、それぞれ上端部を支点にして下端部を揺動しうる可動部材からなる一対の受止部材３４とを備えている（図１~図３参照）。従って、上述したように、錠剤１０を案内路３２の途中の裁断位置３３に止めておくことができ、また裁断機構４０と協動して保持機構３０による錠剤保持を解除することができる。また、保持機構３０は、案内路３２の上流部分経路３２ａを落下する錠剤１０の姿勢・向きを整えるために、案内板（溝深規定部材）３７と厚み調整機構３８とを具備している。

　さらに、保持機構３０は、案内部材３１の下半分の表面・前面を覆う固定覆板３６を具備している（図２（ｅ）参照）。固定覆板３６は、案内路３２の左側分岐経路３２ｂ及び右側分岐経路３２ｃから裁断片１０ｂ，１０ｃが零れるのを防ぐためのものであり、左側分岐経路３２ｂ及び右側分岐経路３２ｃを覆っている。これらの部材や機構３４，３６，３７，３８は、案内路３２に沿って配され、案内部材３１に装着されている（図１~図３参照）。
　案内部材３１には、錠剤通過検出センサ３９が設置されている。錠剤通過検出センサ３９は、錠剤カセット２１から落下して案内路３２に投入された錠剤１０が案内路３２の上流部分経路３２ａの所定位置を通過したことを検出するものである。なお、錠剤通過検出センサ３９としては、非接触で検出できる光学式のものが使い易い。本実施例では、案内路３２の上流部分経路３２ａの両脇に対向配置された発光素子３９ｂと受光素子３９ｃを設置している。

　案内部材３１は、鉛直な厚めの板体からなり本体部２４の前面板や後背面とほぼ平行な状態で本体部２４の内部に固定されている。
　案内部材３１の両面（前面及び後面）のうち前向きの表面には、落下する錠剤１０を案内する案内路３２が形成されている（図１（ｄ），図２参照）。
　案内路３２は、案内部材３１の表面に彫り込みやプレス等によって形成された溝（溝状部）であり、案内部材３１の上端から下端まで連なっている（図２（ａ）参照）。具体的に説明すると、案内路３２は、錠剤落下方向に延在する３つの内側面（案内路内側面）に囲まれており、錠剤落下方向に延在する開口部（溝開口）を備えている。３つの内側面とは、開口部に対向した溝底面とその両側に配置された左右の側面（両側面）である。案内路３２の溝底面（平面部）３２ｇは、平面形状であり、錠剤の落下方向（鉛直方向）に延在している。そして、案内路３２の途中の位置には、後述のスリット３５が形成されている。

　案内路３２のうち裁断位置３３より上流側の部分である上流部分経路３２ａは、一本道である。他方、案内路３２の下流側部分は、裁断位置のところ（より具体的には裁断位置３３に隣接して形成されたスリット３５のところ）で左右に配置された二本の経路に分岐している。分岐した二本の経路のうちの一方である左側分岐経路３２ｂと他方の右側分岐経路３２ｃは、縦に並走している。
　受止部材３４は、その二分岐に対応しており、案内路３２から各分岐通路に連なる経路の開閉に用いられる左右一対のアーム（左側経路開閉部材，右側経路開閉部材）３４ｂ，３４ｃで構成されている。両アーム３４ｂ，３４ｃは、後述のスリット３５を中心として、左右対称に配置されている。各開閉部材３４ｂ，３４ｃは、いずれも、制御装置２３の制御に従って揺動する。具体的には、左アーム３４ｂは上流部分経路３２ａから左側分岐経路３２ｂへの分岐口を開閉する開閉動作を行い、右アーム３４ｃは上流部分経路３２ａから右側分岐経路３２ｃへの分岐口を開閉する開閉動作を行う。

　本実施例の錠剤分割装置２０は、案内部材３１を前後に貫通するスリット３５を備えている。スリット３５は、裁断機構４０の刃の刃先を通すためのものであり、案内路３２の方向に延在する状態で当該経路の中央に配置されている。従って、裁断位置３３に保持された錠剤を裁断機構４０によって裁断（本実施例では縦割りで二分割）することができる。なお、本実施例のスリットは穿孔により形成されている。また、スリット３５は、裁断位置３３の中央に縦に形成されているということもできる。従って、本実施例の錠剤分割装置２０は、円板状の錠剤１０を左右均等に二分割する装置として好適である。両開閉部材３４ｂ，３４ｃは一対の受止部材３４である。この一対の受止部材３４では、錠剤１０を裁断位置３３に一時保持するときは、両開閉部材３４ｂ，３４ｃの下端部同士を近づけてＶ字状になって裁断位置３３及びスリット３５の直ぐ下方で案内路３２を閉じる（錠剤保持状態）。また、裁断片１０ｂ，１０ｃを左側分岐経路３２ｂに導いて落下させるときは、一対の受止部材３４は、その左アーム３４ｂの揺動（開動作）により上流部分経路３２ａと左側分岐経路３２ｂとを連通させる（錠剤保持解除状態）。そして、裁断片１０ｂ，１０ｃを右側分岐経路３２ｃに導いて落下させるときは、右アーム３４ｃの揺動（開動作）により上流部分経路３２ａと右アーム３４ｃとを連通させる。さらに、裁断片１０ｂ，１０ｃを左側分岐経路３２ｂ，右側分岐経路３２ｃへ同時落下させるときは、左アーム３４ｂと右アーム３４ｃを同時に開側へと揺動（開動作）させる。このように、受止部材３４は、裁断位置３３に錠剤１０を保持する保持状態と、保持が解除される解除状態とに動作可能である。

　案内板（溝深規定部材）３７は、例えば、透明な又は不透明な硬質樹脂製の薄板からなり、案内路３２の上流部分経路３２ａに溝開口から入り込んで、案内路３２のうち上流部分経路３２ａを前方から塞ぐかのように覆っている（図２（ｃ），（ｅ），図３参照）。その覆装範囲内で、上流部分経路３２ａの溝底３２ｇと案内板３７の裏面・後面とが対向している。裏面・後面は、上端側に形成されたテーパ部３７ａと、下端側に形成されたベース対向面３７ｂと、テーパ部３７ａとベース対向面３７ｂとの間に形成された突出対向面３７ｃとを備えている。テーパ部３７ａは、上端から突出対向面３７ｃに向けて上り勾配になっており、案内板３７の上端側から覆装範囲への錠剤１０の投入が容易である。また、ベース対向面３７ｂ及び突出対向面３７ｃは、溝底３２ｇに対して平行な溝底対向面である。そして、その平行状態を維持する状態で案内板３７が厚み調整機構付勢バネ３７ｘ，３７ｙによって前後移動可能に支持されている。制御装置２３の制御に従う厚み調整機構３８が案内板３７を前後方向に移動させると、案内路３２の溝底３２ｇと案内板３７の溝底対向面（対向面）との相対距離Ｇが拡縮される。なお、ここでは、間隔が最も狭くなっている突出対向面３７ｃと溝底（平面部）３２ｇとの対向区間Ｗの隙間距離が対向距離Ｇである（図３（ｅ）参照）。また、案内板３７は、案内路３２の上流部分経路３２ａに配置された状態で、案内部材３１のスリット３５の前側に位置するスリット部３７ｄを備えている。これにより、次に説明する前刃４１を用いた錠剤１０の裁断が可能である。

　裁断機構４０は、裁断位置３３に向けて進退する手前の前刃４１と後方の奥刃４２とからなる対向刃４１，４２を具備している。つまり、前刃４１と奥刃４２は、相互に近づく近接移動及び相互に離れる離間移動が可能になっている。そして、対向刃４１，４２の対向間隙を拡縮させることで、裁断位置３３の錠剤１０は左右に均等に裁断される。前刃４１は、高剛性のロッド・スリーブ嵌合タイプの門形支持機構に取着されている。さらに、前刃４１は、往復動する前刃進退部材４３によって裁断位置３３のスリット３５の前方に支持されており、制御装置２３の制御に従って後方のスリット３５に向けて進退移動するものである。奥刃４２は、案内部材３１の裏面で往復動する奥刃進退部材４４によって支持されており、制御装置２３の制御に従ってスリット３５を通過しながら裁断位置３３の錠剤１０に向けて前方へ進退移動するものである（図４参照）。

　裁断機構４０は、上述したように、制御装置２３の制御に従って対向刃４１，４２を作動させることにより、対向刃４１，４２の対向間隙を拡縮させて錠剤１０を挟んで裁断するものである（図４参照）。このとき、裁断完遂前に錠剤１０を案内路３２の溝底からも案内板３７の溝底対向面からも浮かせた状態で挟持し、その後に裁断を完遂するようになっている。しかも、それに加え、対向刃４１，４２に錠剤１０を挟持させてから裁断させるまでの所定時期（後述の時期ｔ２）には、それまで閉じていた受止部材３４が制御装置２３の制御に従って開き、受止部材３４による錠剤１０の一時保持が解除される。つまり、裁断完遂前に対向刃４１，４２だけで錠剤１０を挟持するようになっている。

　制御装置２３は、例えば、プログラマブルなマイクロプロセッサシステムやシーケンサからなる電子的な制御手段である。そして、制御装置２３は、錠剤１０の逐次供給と裁断とを的確に行うよう、錠剤フィーダベース部２７と保持機構３０と裁断機構４０とを協動させるために、それぞれの電動モータ等の動作制御を行うようになっている。それらのモータのうち、前刃進退部材４３さらには前刃４１の駆動にはサーボモータ４５が用いられている（図５（ａ）参照）。そして、サーボモータ４５に駆動電流を供給するサーボコントローラ４６に対して制御装置２３が位置指令Ｐｓを送出すると、サーボコントローラ４６のフィードバック制御にて、サーボモータ４５の回転角度、前刃進退部材４３及び前刃４１の進退位置が、位置指令Ｐｓに追随するようになっている。なお、制御装置２３の詳細図示は割愛した。

　そのフィードバック制御は、一般的な二重のフィードバックで良い。具体的には、カレントトランスやトランスデューサ等からなる駆動電流検出部材４７にてサーボコントローラ４６からサーボモータ４５への駆動電流を検出し、その駆動電流検出信号Ｉｆをマイナーループでサーボコントローラ４６にフィードバックする。またこれとともに、エンコーダやレゾルバ等からなる位置検出部材４８にてサーボモータ４５の回転角度を検出し、その位置検出信号Ｐｆをメジャーループでサーボコントローラ４６にフィードバックするものである。なお、ここでは、サーボモータ４５の駆動電流ひいては対向刃４１の駆動電流を検出した駆動電流検出信号Ｉｆが制御装置２３にも送出されるようになっている。

　この駆動電流検出信号Ｉｆは、対向刃４１，４２に錠剤１０を挟持させてから裁断させるまでの所定時期ｔ２を決定して錠剤１０の厚さに適合させるために制御装置２３に入力される。さらに、制御装置２３には、錠剤通過検出センサ３９による錠剤１０の通過検知結果が入力される。検知結果情報は、例えば、案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底と案内板３７の溝底対向面との相対距離Ｇを錠剤１０の厚さに適合させるために用いられる。そして、制御装置２３は、電源投入の直後や、錠剤カセット２１が付け替えられたとき、さらには操作部２２を介して初期化が指示されたときに、錠剤通過検出センサ３９による錠剤通過検知結果に基づく相対距離Ｇの自動調整と、駆動電流検出部材４７による駆動電流検出信号Ｉｆに基づく所定時期ｔ２の自動調整とを、その順に行うようになっている。

　先ず、相対距離Ｇの自動調整を詳述する（図３参照）。制御装置２３は、案内板３７がどの位置であろうと（図３（ａ）参照）、厚み調整機構３８を作動させて案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底へ向けて移動させる。これにより、相対距離Ｇはどの錠剤も通過しえないほど狭い閉鎖距離になる（図３（ｂ）参照）。その状態で、錠剤カセット２１から錠剤フィーダベース部２７のガイドを介して最初の錠剤１０が投入されるのを待つ。そして、錠剤１０が投入され、上流部分経路３２ａの溝底３２ｇと案内板３７とが対向する位置（対向区間Ｗ）の上流側に錠剤が存在する状態になると（図３（ｃ）参照）、錠剤通過検出センサ３９から入力される検出結果情報を随時確認しつつ、厚み調整機構３８を作動させて、案内板３７を溝底から離れる方向へ比較的ゆっくり移動させる（厚み測定動作）。これにより、相対距離Ｇは、最も距離（閉鎖距離）が短い幅狭状態）から、より広い全開距離になる幅広状態に向けて広げられる（図３（ｄ）参照）。

　そして、相対距離Ｇが錠剤１０の厚さより僅かに広くなると、錠剤１０が案内路３２の上流部分経路３２ａを落下する。このとき、その錠剤１０が錠剤通過検出センサ３９の所を通過し（図３（ｅ）参照）、錠剤１０の通過が錠剤通過検出センサ３９によって検知され、通過検知情報が制御装置２３に入力される。上述したように、制御装置２３は、錠剤通過検出センサ３９の検出結果を監視しながら厚み調整機構３８を作動させており、錠剤１０の通過検知に応じて直ちに厚み調整機構３８の作動を停止させる（厚み適合動作）。これにより、案内板３７が停止位置に留め置かれ、相対距離Ｇの自動調整が終了する。ここで決まった相対距離Ｇの状態の案内路３２が二番目以降の錠剤１０の落下通路（案内路）として用いられる。このように、制御装置２３は、相対距離Ｇを錠剤１０の厚さより僅かに広い状態に固定することによって相対距離Ｇを錠剤１０の厚さに適合させるものである。

　次に、所定時期ｔ２の自動調整を詳述する（図４，図５参照）。ここでは、所定時期ｔ２の自動調整を前刃４１の駆動電流に基づいて行う。つまり、所定時期ｔ２の自動調整が前後方向における前刃４１の進退位置Ｐ２の自動決定と等価なものとなっている。対向刃４１，４２は、厚さの不明な最初の錠剤１０については、どの錠剤１０が落下して来ても円滑に対向刃４１，４２の対向間隙に収まり裁断位置３３に到達できるように、制御装置２３の制御によって、対向刃４１，４２の対向間隙が最大に広げられた状態になっている。つまり、前刃４１は進退位置Ｐ０（退避位置）まで後退している（図４（ｂ）参照）。そして、最初の錠剤１０が投入されて上述した相対距離Ｇの自動調整が済むと、制御装置２３は、その相対距離Ｇから進退位置Ｐ１を決定する。具体的には、対向刃４１，４２の対向間隙が相対距離Ｇより僅かに広くて錠剤１０を円滑に納められる距離になるよう、前刃４１の進退位置Ｐ１を決定する。

　そして、最初の錠剤１０が対向刃４１，４２の間に到着すると（図４（ｃ）参照）、制御装置２３は、そのときから（図５（ｂ）時期ｔ０参照）、対向刃４１，４２の対向間隙を狭める向きに前刃４１を高速で進行させるとともに奥刃４２を低速で進行させる（近接移動動作）。その際、前刃４１の高速進行は前刃４１が進退位置Ｐ１に到達するまで継続される（図５（ｂ）時期ｔ０~ｔ１の位置指令Ｐｓ参照）。他方、案内路３２の溝底から僅かしか後退していなかった奥刃４２は、錠剤１０を溝底から浮かすところで一時的に進行を停止する（図４（ｄ）参照）。奥刃４２は、この位置で前刃４１が進退位置Ｐ１に到達するのを待つ。
　制御装置２３は、このような動作制御を行い得るものである。つまり、まず、対向刃のうちの一方の刃を所定の到達位置に先に到達させ（挟持位置確定動作）、その状態で、他方の刃を一方の刃に向けて近接移動させ、両刃で錠剤を挟持するという動作制御をも行い得るものである。この場合、各刃によって、近接移動動作の内容が異なっている。一方の刃の挟持位置確定動作も近接移動動作の一部に含まれる。

　前刃４１が進退位置Ｐ１に到達すると（図４（ｅ），図５（ｂ）時期ｔ１参照）、制御装置２３は、対向刃４１，４２の対向間隙を裁断完遂距離に狭めるまで、両方の対向刃４１，４２を低速で進行させる（図５（ｂ）時期ｔ１~ｔ３の位置指令Ｐｓ参照）。そして、前刃４１が進退位置Ｐ２まで進み、対向刃４１，４２が錠剤１０を挟持すると（図４（ｆ）参照）、対向刃４１，４２の進行に錠剤１０が抵抗する状態になり、サーボコントローラ４６からサーボモータ４５へ供給される駆動電流が急増し、それに対応して駆動電流検出信号Ｉｆも急増し、駆動電流検出信号Ｉｆが閾値Ｉｔを超える（図５（ｃ）時期ｔ２参照）。制御装置２３には、この駆動電流検出信号Ｉｆが随時入力されている。つまり制御装置２３は、この信号Ｉｆを常に監視している。従って、制御装置２３は、対向刃４１，４２が錠剤１０を挟持したときの時期ｔ２（所定時期）及び進退位置Ｐ２（挟持位置）を駆動電流の検出に基づいて迅速且つ確実に把握することができる。

　制御装置２３は、駆動電流検出信号Ｉｆの急増（又は増大）にて把握した上述の錠剤挟持時期ｔ２を、対向刃４１，４２に錠剤１０を挟持させてから裁断させるまでの所定時期ｔ２とする。そして、所定時期ｔ２に、最初の錠剤１０についても二番目以降の錠剤１０についても、受止部材３４に一時保持を解除させる。また、二番目以降の錠剤１０については、この所定時期ｔ２に、対向刃４１，４２のうち前刃４１の進出速度（移動速度）を変更させる。すなわち、所定時期ｔ２の自動調整が済んでから処理される二番目以降の錠剤１０については、所定時期ｔ２に前刃４１の進出速度を高速進行から低速進行へ変更させるだけでよいことになる（図５（ｄ）時期ｔ１~ｔ２の位置指令Ｐｓ参照）、つまり、その速度変更を時期ｔ１に行うのは最初の錠剤１０についてだけで良い（図５（ｂ）参照）。

　この所定時期ｔ２から時期ｔ３までは、錠剤１０が最初であれ二番目以降であれ、制御装置２３は、対向刃４１，４２を低速で進行させる（図５（ｂ），（ｄ）時期ｔ２~ｔ３の位置指令Ｐｓ参照）。そして前刃４１が進退位置Ｐ３に到達したら（図４（ｇ）参照）、錠剤１０の裁断が完了するので、対向刃４１，４２を速やかに戻すため高速で逆向き進行させる（図５（ｂ），（ｄ）時期ｔ３~ｔ４の位置指令Ｐｓ参照）。なお、この段階では既に、案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底と案内板３７の溝底対向面との相対距離Ｇを錠剤１０の厚さに適合させており、しかも二番目以降の錠剤１０については対向刃４１，４２の対向間隙が調整済みの相対距離Ｇより少し広ければ良いことも判っている。従って、これらの情報にに対応した進退位置Ｐ１に前刃４１を止めておくようになっている（図４（ｈ），（ｉ）参照）。このように、対向刃４１，４２は、刃先の間に錠剤の投入が可能な進退位置Ｐ０（退避位置）と、投入された錠剤１０を刃先で挟持される進退位置Ｐ２（挟持位置）と、挟持した錠剤が裁断される進退位置Ｐ３（裁断完了位置）とに近接離間移動可能である。

　本実施例の錠剤分割装置２０について、その使用態様及び動作を図面を引用して説明する。

　錠剤裁断に先立って、まず、錠剤１０を多数収容した錠剤カセット２１を錠剤フィーダベース部２７に装着するとともに受器２５を本体部２４に挿着する（図１（ａ），（ｂ）参照）。そして、電源投入等にて錠剤分割装置２０を動作させる。すると、錠剤分割装置２０は、先ず初期状態になり、相対距離Ｇの自動調整と所定時期ｔ２の自動調整とを行う準備態勢になる。具体的には、例えば、案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底と案内板３７の溝底対向面との相対距離Ｇが狭い閉鎖距離になるとともに（図３（ｂ）参照）、対向刃４１，４２の対向間隙が最大に広がって前刃４１が進退位置Ｐ０まで後退する（図４（ｂ）参照）。また、初期状態では、保持機構３０は、裁断位置３３の直ぐ下方の受止部材３４の左アーム３４ｂおよび右アーム３４ｃが閉状態であり、裁断位置３３は錠剤１０が無い状態であり、裁断位置３３は空いた状態である。

　この状態で、操作部２２を操作して錠剤分割装置２０に裁断処理を開始させると、錠剤フィーダベース部２７の駆動モータが作動し、それで駆動された錠剤カセット２１から一個の錠剤１０が一錠ずつ、逐次、落下排出される。そして、この最初の錠剤１０は、錠剤フィーダベース部２７のガイドを介して保持機構３０の案内路３２に向けて落下投入される。この時点では、案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底と案内板３７の溝底対向面との相対距離Ｇは閉鎖距離の狭い状態である。従って、錠剤１０は、案内路３２の上端のところ（上流側の位置）で一時的に留め置かれる（図３（ｃ）参照）。

　その後、案内板３７が移動して相対距離Ｇが広がる（図３（ｄ）参照）。そして、相対距離Ｇが錠剤１０の厚さよりほんの少しだけ広くなると（図３（ｅ）参照）、案内板３７が移動をやめて相対距離Ｇが固定される。また、このとき、錠剤１０は案内路３２の上流部分経路３２ａを通過して落下する（図６（ａ），（ｂ）参照）。なお、錠剤１０が落下するときには、既に相対距離Ｇの自動調整が済んでいるので、相対距離Ｇは錠剤１０の厚さに適合した状態になっている。従って、錠剤１０は、厚さ方向を前後方向に向けた姿勢を維持したまま円滑かつ迅速に落下して、裁断位置３３に到達する（図６（ｃ）参照）。

　裁断位置３３に到達した錠剤１０は、そこで受止部材３４に当接して停止し、二個の受止部材３４の間すなわち左アーム３４ｂと右アーム３４ｃとの中央に位置決めされてスリット３５の上に保持される（図６（ｃ）参照）。このとき、錠剤１０は保持機構３０のうち案内部材３１の案内路３２の溝底と二個の受止部材３４の接触部位とで保持された状態であり、対向刃４１，４２の対向間隙に入り込んではいるが、対向刃４１，４２とは接触していない状態である（図４（ｃ）参照）。

　この状態から錠剤１０は裁断機構４０によって裁断される。なお、最初の錠剤１０については、さらに、所定時期ｔ２を錠剤１０の厚さに適合させる自動調整も行われる。詳述すると、最初の錠剤１０が対向刃４１，４２の間に到着したら（図４（ｃ）参照）、前刃４１が高速で進行するとともに（図５（ｂ）時期ｔ０~ｔ１の位置指令Ｐｓ参照）奥刃４２が低速で進行し、対向刃４１，４２の対向間隙が狭まる。ここで、奥刃４２は錠剤１０を溝底から浮かせたところで一時的に進行を停止する（図４（ｄ）参照）。一方、前刃４１は、進退位置Ｐ１まで高速進行したら（図４（ｅ）参照）、そこで速度を変更して進退位置Ｐ３まで低速進行する（図５（ｂ）時期ｔ１~ｔ２~ｔ３の位置指令Ｐｓ参照）。前刃４１が進退位置Ｐ１に到達した後は、奥刃４２も低速進行を再開する。

　そして、前刃４１が進退位置Ｐ２まで進んだ頃には、対向刃４１，４２の対向間隙が十分に狭まって、錠剤１０が対向刃４１，４２に挟持される（図４（ｆ）参照）。すると、それに応じて駆動電流検出信号Ｉｆが急増し、駆動電流検出信号Ｉｆが閾値Ｉｔを超えるので（図５（ｃ）時期ｔ２参照）、対向刃４１，４２が錠剤１０を挟持する時期ｔ２（所定時期）及び進退位置Ｐ２（挟持位置）が制御装置２３によって把握される。
　こうして、対向刃４１，４２に錠剤１０を挟持させてから裁断させるまで間の時期であって対向刃４１，４２のうちの前刃４１の進出速度の変更と受止部材３４による錠剤１０の一時保持の解除との双方を行う時期である所定時期ｔ２が、駆動電流検出部材４７による駆動電流検出信号Ｉｆに基づいて、錠剤１０の厚さに適合するよう自動調整される。

　そして、前刃４１が進退位置Ｐ３に到達すると（図４（ｇ）参照）、錠剤１０が裁断されて二個の裁断片１０ｂ，１０ｃに分かれる（図６（ｄ）参照）。その後、対向刃４１，４２が高速で逆向きに進行して（図５（ｂ）時期ｔ３~ｔ４の位置指令Ｐｓ参照）、対向刃４１，４２の対向間隙が広がる。なお、前刃４１は進退位置Ｐ１まで後退したらそこで止まる（図４（ｈ）参照）。また、錠剤１０が裁断片１０ｂ，１０ｃに分割されると、受止部材３４が揺動して案内路３２の閉鎖を解き（図６（ｅ）参照）、裁断位置３３が案内路３２の下流部分経路の左側分岐経路３２ｂ及び右側分岐経路３２ｃと連通する。そして、左半分の裁断片１０ｂは左側分岐経路３２ｂから落下排出されて左側受器２５ｂに収容され、右半分の裁断片１０ｃは右側分岐経路３２ｃから落下排出されて右側受器２５ｃに収容される（図６（ｆ）参照）。

　こうして、最初の錠剤１０の裁断が完了するとともに相対距離Ｇの自動調整と所定時期ｔ２の自動調整までも完了する。そして、二番目以降の錠剤１０については、必要な調整が済んでいるので、安定した状態で而も迅速に、裁断が遂行される。
　なお、繰り返しになる詳細説明は割愛するが、二番目以降の錠剤１０が錠剤カセット２１から排出されて保持機構３０の案内路３２に落下投入されるとき、案内路３２の上流部分経路３２ａの溝底と案内板３７の溝底対向面との相対距離Ｇは錠剤１０の厚さより少しだけ広い状態で固定されている（図３（ｅ）参照）。また、前刃４１は進退位置Ｐ１にとどまった状態であり、対向刃４１，４２の対向間隙は相対距離Ｇより少しだけ広くなった状態である（図４（ｈ）参照）。

　従って、錠剤１０は、直ちに案内路３２の上流部分経路３２ａを落下する（図６（ａ），（ｂ）参照）。このとき、上流部分経路３２ａに係る相対距離Ｇは錠剤１０の厚さに適合した状態であるので、錠剤１０は、厚さ方向を前後方向に向けた姿勢を維持したまま円滑かつ迅速に落下する。そして、錠剤１０は、裁断位置３３まで落下すると閉状態の受止部材３４に止められてそこに着座する（図６（ｃ）参照）。このとき、対向刃４１，４２の対向間隙も錠剤１０の厚さに適合した状態になっているので、対向刃４１，４２に邪魔されることなく、対向刃４１，４２の対向間隙に入り込んでスリット３５の上に位置し（図４（ｉ）参照）、案内路３２の溝底と二個の受止部材３４の接触部位とで保持される（図６（ｃ）参照）。

　この状態から錠剤１０は裁断機構４０によって裁断される。なお、二番目以降の錠剤１０については、所定時期ｔ２を錠剤１０の厚さに適合させる自動調整が済んでいるので、前刃４１の進行が進退位置Ｐ１から進退位置Ｐ２までは高速で行われる。そのため対向刃４１，４２による錠剤１０の挟持が短時間で速やかに行われる（図４（ｆ）参照）。その際、奥刃４２で錠剤１０を溝底から浮かせてから対向刃４１，４２で錠剤１０を挟持することも行われる。そして、対向刃４１，４２が錠剤１０を挟持したら、受止部材３４による錠剤１０の一時保持が解除され、前刃４１の進出速度が高速から低速に切り替わり、保持機構３０から離れて不所望な外力から逃れた錠剤１０に対向刃４１，４２が切り込み（図４（ｇ）参照）、錠剤１０が裁断されて二個の裁断片１０ｂ，１０ｃに分かれる（図６（ｄ）参照）。

　また、受止部材３４の揺動（開動作）によって案内路３２の閉鎖状態は既に解かれている（図６（ｅ）参照）。つまり、裁断位置３３は、案内路３２の下流部分経路の左側分岐経路３２ｂ及び右側分岐経路３２ｃと連通している。従って、左半分の裁断片１０ｂは左側分岐経路３２ｂから落下排出されて左側受器２５ｂに収容され、右半分の裁断片１０ｃは右側分岐経路３２ｃから落下排出されて右側受器２５ｃに収容される（図６（ｆ）参照）。
　こうして、二番目以降の錠剤１０については、最初の錠剤１０を利用して済ませて自動調整の効果を享受することができて、安定な状態で而も迅速に、裁断が遂行される。

［その他］
　上記第１実施例の錠剤分割装置の錠剤厚情報取得手段は、錠剤の厚さ情報を装置内計測にて取得するだけであり、錠剤の厚さ情報を外部から取得するようになっていないが、外部からの取得を排除する訳でない。例えば、装置内計測での取得に加え、外部からの取得も試行して、外部から取得できたときには、その値そのままか少し小さめの値を案内路の溝底と案内板の溝底対向面との相対距離の初期値に用いるようにしても良い。
　上記実施例では、所定時期ｔ２の自動調整を前刃４１の駆動電流に基づいて行っているが、所定時期ｔ２の自動調整は、奥刃４２の駆動電流に基づいて行うようにしても良く、対向刃４１，４２両方の駆動電流たとえば合計電流に基づいて行うようにしても良い。

　上記実施例で設けられていた操作部２２は必須でなく、例えば、錠剤１０が案内路の上端に投入されたらそれに応じて一連の動作が開始されるようにしても良い。裁断片１０ｂ，１０ｃの排出に不都合がなければ、受器２５や中継部２６も必須でなく、錠剤１０の自動逐次供給が不要であれば、錠剤フィーダベース部２７や錠剤カセット２１も必須でない。受止部材３４の駆動部材についても、それを電動式や流体駆動式などで明示的に設けることは必須でなく、保持機構や裁断機構の伝動部などに組み込んでも良く、例えば、手動ハンドルの押し込み操作や回転操作によって駆動されるようにしても良い。

　上記実施例では、相対距離Ｇの自動調整時には前刃４１を動かさないで進退位置Ｐ０に止めておくようになっていた（図５（ｂ）の時期ｔ０以前を参照）。しかし、相対距離Ｇの自動調整時に、対向刃４１，４２の対向間隙が相対距離Ｇより少し広い状態を維持するよう、前刃４１を相対距離Ｇの変化に合わせて移動させて、相対距離Ｇの調整完了と同時に前刃４１の進退位置Ｐ１の決定ばかりか前刃４１の進退位置Ｐ１への位置決め動作まで完了するようにしても良い。そうした方が、最初の錠剤１０に掛る調整時間が短縮されるとともに、最初の錠剤１０が裁断位置３３に到着したときの着座姿勢がより安定する。

　次に、本出願の別の発明に係る錠剤分割装置の実施例について、具体的な形態を説明する。

　図７（ａ），（ｂ）に示されるように、本実施例の錠剤分割装置２０Ａは、第１実施例と同様の基本構成であり、錠剤カセット２１と操作部２２と制御装置２３Ａと本体部２４と受器２５と中継部２６と錠剤フィーダベース部２７と支持部材２８Ａと保持機構３０Ａと裁断機構４０Ａと図示しない電源部とを備えている。そのうち制御装置２３Ａと中継部２６と支持部材２８Ａと保持機構３０Ａと裁断機構４０Ａと電源部は筐体（本体部）２４の内部に収められている。また、操作部２２と錠剤フィーダベース部２７は本体部２４に固定的に装着されて操作面やカセット装着面を筐体外面に露出している。
　そして、保持機構３０Ａは、錠剤フィーダベース部２７と中継部２６との間に配置された案内部材（落下錠剤案内部材）３１Ａと、一対の受止部材３４と、案内板３７Ａと、固定覆板３６とを備えている。案内部材３１Ａは、その表面に形成された錠剤落下経路（案内路）３２Ａやスリット３５などを備えている。また、受止部材３４は、案内路３２Ａを開閉するものであり、案内路３２Ａに収められた状態で案内部材３１Ａに装着されている（図７（ｂ）~（ｄ），図８参照）。案内板３７Ａは、案内路３２Ａの上流部分に入り込んで覆っている。固定覆板３６は、厚み調整機構（不図示）と、案内部材３１Ａの下半分の表面・前面を覆っている。なお、図８（ｂ）~（ｄ）では、固定覆板３６を透明な部材として透視状態の案内路３２Ａと共に示している。
　裁断機構４０Ａは、前刃４１と奥刃４２とからなる対向刃４１，４２を具備している。
　前刃４１は、前刃進退部材４３によって裁断位置３３のスリット３５の前方に支持されており、奥刃４２は、奥刃進退部材４４に支持されている。前刃４１は、制御装置２３Ａの制御に従って後方のスリット３５に向けて進退移動するものである。奥刃４２は、制御装置２３Ａの制御に従ってスリット３５を通過しながら裁断位置３３の錠剤１０に向けて前方へ進退するようになっている。両刃は、いずれも制御装置２３Ａの制御に従ってスリット３５に向けて進退する。
　なお、本実施例の錠剤分割装置２０Ａでは、第１実施例の装置２０と異なり、案内路３２Ａのうち裁断位置３３より下流側部分が裁断位置３３の直下で幅が広がっている（図８（ａ）参照）。そして、この幅広に広がった裁断位置３３の直下の幅広経路に、第１実施利と同様の受止部材３４が設置されている。
　なお、これらの基本構成のように、第１実施例と共通の構成には同様の符号を付しその説明を省略することがある。

　ところで、本実施例の錠剤分割装置では、対向刃４１，４２の交換時に使用される刃交換治具を使用可能である。刃交換治具とは、例えばリムーバ６０（図７（ｄ），図１０参照）やセッター７０（図１１参照）と称されるものである。リムーバ６０やセッター７０は本体部２４とは別体であり、本装置専用の場合と他の錠剤分割装置と共用可能な場合とがある。

　本体部２４は、最上部の蓋５１と、蓋の上に固定的に配置された錠剤フィーダベース部２７と、筐体内の前後方向中央部に鉛直な姿勢で固定配置された支持部材２８Ａと、筐体内で支持部材２８Ａの下部の手前に固定配置された中継部２６と、更にその下方に筐体に対して出し入れ可能に設置された受器２５とを備えている。
　また、本体部２４の筐体内の中央部には、保持機構３０Ａと裁断機構４０Ａが支持部材２８Ａに取り付けられており（図７（ｂ），（ｃ）参照）、そのうち保持機構３０Ａは、支持部材２８Ａと同じ鉛直の姿勢であり、裁断機構４０Ａは保持機構３０Ａと垂直な水平の姿勢である。なお、保持機構３０Ａと裁断機構４０Ａを支持部材２８Ａとは別の支持部材で支持しても良い。

　さらに、本体部２４の筐体の上端の天板部は、開閉しうる蓋５１になっている。ロック５２を解除してヒンジ５３を中心に蓋５１を後方へ回転させると、蓋５１が開状態になり、開口５４が露呈される（図７（ｃ），（ｄ）参照）。錠剤分割を行うとき蓋５１は閉じられている（図７（ａ），（ｂ）参照）。そして、例えば対向刃４１，４２を交換する蓋５１を開状態にする。開口５４は、本体部２４の上端面の大部分を占めており、後述する保持機構３０Ａの案内部材３１Ａと裁断機構４０Ａの対向刃４１，４２とを個々に通過させることが可能な大きさ（すなわち形状及び開口面積）である。また、開口５４は、案内部材３１Ａと対向刃４１，４２とを纏めて一緒に開口５４から本体部２４の筐体へ出し入れできるほど広いものである。

　支持部材２８Ａは（図７（ｂ）~（ｄ）参照）、二本の柱状部材からなる。両柱状部材は、いずれも鉛直な姿勢で立設されて本体部２４の筐体の内底から上部に至っており、凸部２９を内向き・対向面側にして左右に平行に並んでいる。蓋５１を開けると（図７（ｃ），（ｄ）参照）、開口５４の直下に支持部材２８Ａの上端が露呈される。凸部（摺動部）２９には、後述する保持機構３０Ａの案内部材３１Ａの凹部３１Ｕ、リムーバ６０の治具本体部６１の凹部６２さらにはセッター７０の治具本体部７１の凹部７２を摺動にて係合したり分離したりする着脱が可能である。つまり、凸部２９は、摺動部（案内部材固定用摺動部）であると共に係合部（固定用摺動係合部）でもある。そして、凸部は支持部材２８Ａの上端から下端まで又は下端近くまで形成されている。このような凸部２９を備える支持部材２８Ａは、その係合端部が開口５４の直ぐ内側に配置されている。

　また、本実施例の案内部材３１Ａは、鉛直な厚めの板体からなり、上述したように左右両端面に設けられた凹部３１Ｕを備えている。この凹部３１Ｕの下端を支持部材２８Ａの凸部２９の上端に合わせて開口５４から本体部２４に差し込むと（図８（ｃ）参照）、案内部材３１Ａが支持部材２８Ａに摺動にて係合され、本体部２４の前面板や後背面とほぼ平行な鉛直状態で本体部２４の内部の所定の支持位置（案内部材支持位置）に立設状態で固定される（図７（ｂ），（ｃ）参照）。このように、案内部材３１Ａは、本体部２４の筐体内に設置された支持部材２８Ａに対して摺動にて係合させたり分離させたりすることが可能なものである。従って、案内部材３１Ａを開口５４から本体部２４の筐体内に差し込むことによって、容易に案内部材３１Ａを支持部材２８Ａに摺動可能状態で係合させて取り付けることができる。

　次に、裁断機構４０Ａについて、第１実施例では説明していない構成を詳細に説明する。
　図９に示されるように、裁断機構４０Ａの前刃４１は、錠剤１０に切り込むための刃先部４１ａと、この刃先部４１ａを前刃進退部材４３に装着させるための刃元部４１ｂとからなるものである。後者の刃元部４１ｂには、上下に延び、下端部にはテーパ部４１ｃが形成された凸部４１ｄが左右両側端に設けられている。この凸部４１ｄの下端を前刃進退部材４３の凹部の上端に合わせ、前刃４１をそのままの姿勢で真っ直ぐ下降させると、前刃４１と前刃進退部材４３とが摺動にて係合されるようになっている。つまり、前刃４１の凸部４１ｄの下端部及び前刃進退部材４３の凹部は、摺動部（取付用摺動部）であると共に係合部（取付用摺動係合部）である。また、前刃進退部材４３が固定された状態では、前刃進退部材４３に係合された前刃４１をそのままの姿勢で真っ直ぐ上昇させると、前刃４１と前刃進退部材４３とが摺動にて分離可能である。

　さらに、前刃４１の刃元部４１ｂには、前刃進退部材４３に装着した状態で露出する部分に、上下に延びた凹部４１ｅが形成されている。この凹部４１ｅは、後で詳述するリムーバ６０（刃交換治具）の刃保持部６４の凸部６６や，セッター７０（刃交換治具）の刃保持部７４の凸部７６に合わせることが可能になっており、リムーバ６０やセッター７０に摺動にて結合させたり分離させたりすることができる。つまり、凹部４１ｅは、摺動部（一時保持用摺動部）であると共に係合部（一時保持用摺動係合部）である。
　なお、繰り返しの詳細説明は割愛するが、奥刃４２も、前刃４１と同様の構造であり、奥刃進退部材４４に摺動にて結合させたり分離させたりすることができ、刃交換治具であるリムーバ６０やセッター７０にも摺動にて結合させたり分離させたりすることができる。

　また、奥刃進退部材４４に対する奥刃４２の摺動方向と、前刃進退部材４３に対する摺動方向と、支持部材２８Ａに対する案内部材３１Ａの摺動方向は相互に平行であり、これら三つの摺動方向の先に開口５４が位置している。従って、前刃４１だけ、奥刃４２だけ、あるいは両対向刃４１，４２を一緒に、さらには案内部材３１Ａに代わるリムーバ６０やセッター７０と対向刃４１，４２とを一緒に、開口５４から本体部２４の筐体内に差し込んで、刃４１，４２を前刃進退部材４３，４４に対し摺動にて係合させて装着することができる。そして、その逆すなわち開口５４から筐体外に取り出す分離も、同様に多様な形態で行うことができる。

　リムーバ６０は、本体部２４の筐体内で前刃進退部材４３や奥刃進退部材４４に装着されている対向刃４１，４２を本体部２４から取り出すための刃交換治具である（図１０及び図７（ｄ）参照）。このリムーバ６０は、案内部材３１Ａと等しい横幅の板状部材である治具本体部６１と、これに取り付けられた刃保持部６４とを備えている。刃保持部６４は、刃を保持しうる部位である。図１０に示される刃保持部６４は、治具本体部６１の表面側に装着されたものであり、前側の前刃４１を取り出すための刃保持部６４である。治具本体部６１は、また、奥刃４２を取り出すための刃保持部（不図示）を治具本体部６１の裏面側に備えている。
　治具本体部６１の左右両端面には、上述した案内部材３１Ａの凹部３１Ｕと同様の凹部６２が形成されている。従って、治具本体部６１は、案内部材３１Ａを筐体外に取り外した状態では、これに代えて支持部材２８Ａに対して摺動にて係合させたり分離させたりすることができる。

　また、治具本体部６１には、切込６３が形成されている。切込６３は、案内部材３１Ａが抜き取られた状態で、本体部２４に開口５４から治具本体部６１を差し込んで支持部材２８Ａに係合させたとき、治具本体部６１と前刃４１の刃先部４１ａや奥刃４２の刃先部との当接が防止するためのものであり、このような当接を防止できる位置に形成されている。さらに、治具本体部６１の表面側の刃保持部６４は、門形風の固装部材６５と、その中に取り付けられた針金状の細い弾性部材６７とを備えている。固装部材６５は、治具本体部６１を支持部材２８Ａに係合させたとき、前刃進退部材４３に装着された前刃４１の刃元部４１ｂが嵌り込む位置に配置されている。なお、裏面側の刃保持部６４も同様に、固装部材及び弾性部材を備えている。

　固装部材６５には、凸部６６が形成されている。凸部６６は、治具本体部６１を支持部材２８Ａに係合させたとき、前刃４１の刃元部４１ｂの凹部４１ｅと摺動にて係合するものである。
　また、弾性部材６７は、その上端部が固装部材６５に固定されており、下端部は可動端部６８になっている。可動端部６８は、鋭角に曲げ戻されて切込６３の前を斜めに横切っている。従って、支持部材２８Ａにリムーバ６０を係合させると、前刃進退部材４３に装着された状態の前刃４１を刃保持部６４によって捕捉することができ、更に支持部材２８Ａから前刃４１を捕捉したリムーバ６０を外すと、前刃４１が前刃進退部材４３から取り外される。

　詳述すると、例えば前刃４１を取り外す場合は、まず、案内部材３１Ａを抜き取る。その後、案内部材３１Ａが抜き取られた支持部材２８Ａにリムーバ６０を差し込む。すると、リムーバ６０と前刃４１とが相対移動して刃先部４１ａが切込６３に向かう（図１０（ｂ）参照）。そして、刃先部４１ａが可動端部６８に当接すると、弾性部材６７が一時的に変形して可動端部６８が逃げた状態になる（図１０（ｃ）参照）。ここで、さらに刃先部４１ａを切込６３の奥深く入り込ませ、刃先部４１ａが可動端部６８を通り過ぎると弾性部材６７が元の形に戻る。これにより、可動端部６８が刃先部４１ａに掛かって刃先部４１ａの抜けが止められる（図１０（ｄ）参照）。この後、支持部材２８Ａからリムーバ６０を抜き取ると、前刃４１が刃保持部６４に捕捉されているため、前刃４１が前刃進退部材４３から摺動にて分離する。つまり、リムーバ６０と一緒に前刃４１が抜き取られる（図７（ｄ）参照）、奥刃４２についても同様である。

　セッター７０は、本体部２４の筐体内の前刃進退部材４３や奥刃進退部材４４に新たな対向刃４１，４２を装着するための刃交換治具である。図１１に示されるように、セッター７０は、案内部材３１Ａと等しい横幅の板状部材である治具本体部７１と、それに取り付けられた刃保持部７４とを備えている。刃保持部７４は刃を保持しうる部位である。図１１に示される刃保持部７４は、治具本体部７１の表面側に装着されたものであり、前側の前刃４１を送り込むためのものである。治具本体部７１は、また、奥刃４２を送り込むための刃保持部（不図示）を治具本体部７１の裏面側にも備えている。治具本体部７１は、その左右両端面に、上述した案内部材３１Ａの凹部３１Ｕと同様の凹部７２を備えている。従って、治具本体部７１は、案内部材３１Ａに代えて支持部材２８Ａに対して摺動にて係合させたり分離させたりすることが可能なものである。

　また、治具本体部７１には、切込７３が形成されている。切込７３は、取り付け予定の前刃４１を予め保持させたときに刃先部４１ａを収めておくことができる部位である。そして、切込７３は、前刃４１が前刃進退部材４３に装着された後、刃保持部７４を支持部材２８Ａから分離させるとき、刃先部４１ａが切込７３から円滑に抜けるようになっており、そのような位置に形成されている。さらに、治具本体部７１の表面側の刃保持部７４は、門形風の固装部材７５と、その中に取り付けられた針金状の細い弾性部材７７を備えている。固装部材７５は、前刃４１を保持させたときに刃元部４１ｂが嵌り込む所に配置されている。なお、裏面側の刃保持部７４も同様に固装部材及び弾性部材を備えている。
　また、これらの部材のうち治具本体部７１及び固装部材７５は、リムーバ６０の治具本体部６１及び固装部材６５と同じものでも良く、弾性部材７７も素材は弾性部材６７と同じで良い。ただし、弾性部材７７の折り曲げ形状は、弾性部材６７とは構成が異なる。

　固装部材７５にも凸部６６同様の凸部７６が形成されている。凸部７６は、前刃４１を保持させるとき、前刃４１の刃元部４１ｂの凹部４１ｅと摺動にて係合するものであり、また前刃４１を前刃進退部材４３に引き渡すとき、前刃４１の刃元部４１ｂの凹部４１ｅから摺動にて分離するものである。
　また、弾性部材７７は、上端部が固装部材７５に固定され、下端部が可動端部７８になっている。可動端部７８は、鈍角に曲げられていて切込７３の前を斜めに横切っている。つまり、切込７３に対する可動端部７８の傾斜は、例えば右下がりであり、上述した可動端部６８の右上がりとは逆である。このような構成の弾性部材７７は、例えば可動端部６８に比べて掛止力が弱い。従って、前刃４１を刃保持部７４に保持させて治具本体部７１を支持部材２８Ａに係合させると共に前刃４１を前刃進退部材４３に係合させて装着した後、治具本体部７１を支持部材２８Ａから外すと、前刃４１が前刃進退部材４３に装着された状態が維持され、前刃４１が刃保持部７４から外れるようにすることができる。

　詳述すると、弾性部材７７の下端部は、上述した可動端部７８と、可動端部７８よりもさらに先端側である最先端７９とを備えている。そして、最先端７９は。可動端部７８とは逆向きに曲げられており、左下がりで切込７３の前を横切っている。従って、例えば前刃４１を装着するときに、装着予定の前刃４１を予め刃保持部７４に保持させる場合は、刃先部４１ａを切込７３に近づけて（図１１（ｄ）参照）、それから差し込む（図１１（ｃ）参照）。すると、容易に装着予定の前刃４１を保持させることができる（図１１（ｂ）参照）。そして、保持部７４に前刃４１を保持させたセッター７０を（図１１（ｂ）参照）、案内部材３１Ａが抜き取られた状態の支持部材２８Ａに差し込むと、前刃４１の刃元部４１ｂの凸部４１ｄが前刃進退部材４３に摺動にて係合し、前刃４１が前刃進退部材４３に装着される。なお、前刃４１は、前刃進退部材４３に摺動にて係合されており、当該摺動部位における摩擦力によってしっかりと装着された状態である。

　その後、セッター７０を引き抜き始めると、前刃進退部材４３側に上記摩擦力で引き留められた前刃４１に対してセッター７０が引き抜き方向に相対移動する。なお、このとき、可動端部７８は前刃進退部材４３に装着された刃先部４１ａに押され、弾性部材７７が一時的に変形して可動端部７８が逃げた状態になる（図１１（ｃ）参照）。そして、刃先部４１ａが切込７３から抜け出た状態になると、可動端部７８及び最先端７９が刃先部４１ａを通り過ぎた状態になり、弾性部材７７が元の形に戻る（図１１（ｄ）参照）。そして、セッター７０を支持部材２８Ａから抜き取ると、前刃４１が本体部２４の中に残っており、前刃進退部材４３に装着された状態になっている。奥刃４２についても同様である。

　また、制御装置２３Ａは、第１実施例と同様、錠剤フィーダベース部２７、保持機構３０Ａ及び裁断機構４０Ａで用いられる電動モータ等の動作制御や、案内板３７Ａの位置を錠剤１０の厚さに適合させる制御に用いられるものである。

　次に、本実施例の錠剤分割装置について、その使用態様及び動作を図面を用いて説明する。
　なお、錠剤の裁断動作については、基本的には、第１実施例の錠剤分割装置２０と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。

　本実施例の錠剤分割装置２０Ａを用いて、次々と錠剤１０を裁断分割すると、やがて対向刃４１，４２の刃先が消耗し、対向刃４１，４２の交換時期が来る。
　対向刃４１，４２の交換は、先ず保持機構３０Ａを取り外し（図７（ｃ），図８（ｃ），参照）、次にそこへリムーバ６０を抜き差しして古い対向刃４１，４２を裁断機構４０Ａから取り外す（図１０（ｂ）~（ｄ），図７（ｄ）参照）。その後、セッター７０を抜き差しして新しい対向刃４１，４２を裁断機構４０Ａに装着する（図１１（ｂ）~（ｄ）参照）。そして、最後に保持機構３０Ａを戻す（図７（ａ），（ｂ）参照）。このような簡単な作用によって、迅速且つ確実に刃を交換することができる。

　詳述すると、刃交換する作業者は、まず、操作部２２の操作等を行って、錠剤カセット２１から本体部２４への錠剤投入動作や裁断機構４０Ａによる錠剤裁断といった自動動作状態を停止させる。その後、手作業で、錠剤カセット２１を錠剤フィーダベース部２７から取り外し、さらにロック５２を解除し、蓋５１を開けて、本体部２４の開口５４を露呈させる（図７（ｃ）参照）。さらに、その開口５４から案内部材３１Ａの上端を手で引っ張って、保持機構３０Ａを抜き取る（図８（ｃ）参照）。これにより、対向刃４１，４２を交換する準備が整う。

　その後、作業者は、空のリムーバ６０を手に取り、案内部材３１Ａを抜いた後の支持部材２８Ａに対しリムーバ６０の治具本体部６１を差し込む。すると、対向刃４１，４２がリムーバ６０の刃保持部６４に捕捉される（図１０（ｂ）~（ｄ）参照）。その後、作業者がリムーバ６０を開口５４から抜き取ると、リムーバ６０と一緒に対向刃４１，４２が本体部２４から取り出される（図７（ｄ）参照）。取り外された古い対向刃４１，４２は、リムーバ６０に装着した安全な状態のまま回収先に引き渡すことができ、再生処理や廃棄処分など適宜な次工程に委ねることができる。

　また、作業者が、新しい対向刃４１，４２を予め刃保持部７４に保持させたセッター７０を手に取り、治具本体部６１を抜いた後の支持部材２８Ａに対してセッター７０の治具本体部７１を差し込む。すると、刃保持部７４に保持された状態の対向刃４１，４２がそのまま前刃進退部材４３と奥刃進退部材４４に装着される（図１１（ｂ）参照）。その後、作業者がセッター７０を開口５４から抜き取ると、対向刃４１，４２は、刃保持部７４から外れ（図１１（ｃ）~（ｄ）参照）、前刃進退部材４３と奥刃進退部材４４に装着されたまま本体部２４の中に残る。そして、セッター７０だけを本体部２４から取り出すことができる。

　新しい対向刃４１，４２の取付けが完了すると、その後、作業者は、保持機構３０Ａを支持部材２８Ａに取り付け（図８（ｃ）参照）、保持機構３０Ａを本体部２４の中の所定位置に戻し（図８（ｄ），図７（ｃ）参照）、蓋５１を閉めてロック５２を掛け、さらに錠剤フィーダベース部２７に錠剤カセット２１を戻す（図７（ａ）参照）。これで刃交換作業が総て完了し、錠剤裁断の再開が可能な状態になる。

［その他］
　なお、第２実施例では、刃交換時に対向刃４１，４２を移動させるようになっていなかったが、刃交換時には操作部２２の操作等にて対向刃４１，４２の対向間隙を狭めておくようにしても良く、そのようにした方が、刃交換治具６０，７０を薄くできるうえ、裁断機構４０Ａを稠密に実装できるので、本体部２４を小形化することができる。
　また、第２実施例では、裁断機構４０Ａが、対向させた一対の刃先を進退させて錠剤１０を裁断するようになっていたが、裁断可能なら片刃でも良い。
　さらに、第２実施例では、錠剤１０が均等分割されていたが不均等な分割でも良い。

　また、第２実施例で設けられていた操作部２２は必須でなく、例えば、錠剤１０が案内路の上端に投入されたらそれに応じて一連の動作が開始されるようにしても良い。裁断片１１，１１の排出に不都合がなければ、受器２５や中継部２６も必須でなく、錠剤１０の自動逐次供給が不要であれば、錠剤フィーダベース部２７や錠剤カセット２１も必須でない。受止部材３４の駆動部材についても、それを電動式や流体駆動式などで明示的に設けることは必須でなく、保持機構や裁断機構の伝動部などに組み込んでも良く、例えば手動ハンドルの押し込み操作や回転操作によって駆動されるようにしても良い。

　また、実施例２で説明した刃の交換に関する構成及び技術は、対向刃だけでなく、片刃や回転刃を含む刃を備えた裁断機構を有する錠剤分割装置全般に広く適用可能である。

　次に、本出願の別の発明に係る錠剤分割装置２０Ｂが備えている分離機構（錠剤裁断粉塵分離機構）の実施例について、図面を引用して、具体的な形態を説明する。
　なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，電動モータ等の駆動源，タイミングベルト等の伝動部材，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。

　図１２に示されるように、本実施例の錠剤分割装置２０Ｂは、第１実施例と同様の基本構成であり、錠剤カセット２１と操作部２２と制御装置２３Ｂと本体部２４と錠剤フィーダベース部２７と支持部材２８Ｂと保持機構３０Ｂと裁断機構４０Ｂと図示しない電源部とを備えている。これらのうち制御装置２３Ｂと支持部材２８Ｂと保持機構３０Ｂと裁断機構４０Ｂと中継部８０と電源部は本体部２４の筐体の内部に収められている。
　そして、錠剤フィーダベース部２７及び錠剤カセット２１は、第１実施例同様、制御装置２３Ｂの制御に従って錠剤カセット２１から錠剤を一錠ずつ排出し、排出された錠剤を保持機構３０Ｂにその上端から送り込む。保持機構３０Ｂは、上端側から落下して来た錠剤を裁断位置に一時保持する受止部材を備えている。また、裁断機構４０Ｂは、片刃か対向刃か回転刃かといった刃物にて裁断位置の錠剤を裁断して二個の裁断片１１，１１に分割する。
　保持機構３０Ｂと裁断機構４０Ｂと中継器８０は、本体部２４の筐体内の中央部に位置するように、支持部材２８Ｂ又は他の支持部材に取り付けられている。
　従って、このような基本構成のように、第１実施例と共通の構成には同一の符号を付し、その説明を省略することがある。

　本実施例の錠剤分割装置２０Ｂは、第１実施例の装置２０と異なり、中継器と兼用の分離機構（中継部）８０と、第１粉塵受器９１と、第２粉塵受器９２と、裁断片受器９３とを備えている。つまり、後述するように、分離機構８０は中継部に組み込まれている。

　第１粉塵受器９１は、本体部２４の底部の後背面開口から自在に引き出せる状態で本体部２４に挿着されている。第２粉塵受器９２及び裁断片受器９３は、裁断片受器９３が第２粉麈受器９２の上に載置される配置であり、裁断片受器９３の下側部分が第２粉塵受器９２の上面開口から第２粉塵受器９２の中に入る状態で二段重ねになっている。また、第２粉塵受器９２及び裁断片受器９３は、本体部２４の底部の前面開口から自在に引き出せる状態で本体部２４に挿着されている。

　本体部２４は、筐体内であって支持部材下部の手前に固定配置された中継部を兼ねる分離機構８０と、さらにその下方前側に配置された裁断片受器９３及び第２粉塵受器９２と、分離機構８０の下方後側に配置された第１粉塵受器９１とを備えている。

　錠剤フィーダベース部２７及び錠剤カセット２１は、第１実施例同様、制御装置２３Ｂの制御に従って錠剤カセット２１から錠剤を一錠ずつ排出し、排出された錠剤を保持機構３０Ｂにその上端から送り込む。保持機構３０Ｂは、上端側から落下して来た錠剤を裁断位置に一時保持する受止部材を備えている。また、裁断機構４０Ｂは、片刃か対向刃か回転刃かといった刃物にて裁断位置の錠剤を裁断して二個の裁断片１１，１１に分割するようになっている。

　分離機構８０は、まず、保持機構３０Ｂの下端から落下した裁断片１１を受け入れて裁断片受器９３へ送り込む中継部として機能する。また分離機構８０は、さらに、裁断片１１を移送する際、錠剤の裁断等により生じた粉塵（錠剤裁断粉塵）１２を裁断片１１から分離して第１粉麈受器９１に送るものでもある。そのため、分離機構８０は、切替部材（錠剤落下経路切替部材）８１と仕切板８２と傾斜支持台（傾斜支持体）８３とシュート８４と回転駆動機構８５とを具備している（図１２（ｂ）~（ｅ）参照）。

　切替部材８１は、全体的には厚板の回転板に近い多角形の板状体であり、中央に形成された回転軸嵌合穴８１ｂと、これを挟むように両側に分かれて配置された二つの錠剤落下経路（以下、錠剤通路と称する）８１ａとを備えている。切替部材８１は、これを板状体とみなして横向きにして水平な姿勢をとらせると、錠剤通路８１ａ及び回転軸嵌合穴８１ｂは、いずれも、鉛直に上から下まで貫通する穴とみなせる貫通縦穴状であり、上下の端面が解放され、側周面には内壁面が存在する。
　また、複数の錠剤通路８１ａは、いずれも、裁断片１１が通過可能な大きさであり、開口する上端面及び下端面は、仕切板８２の上面より狭くなっており、仕切板８２によって下端面を覆うことができる。さらに、二つの錠剤通路８１ａは、切替部材８１が１８０°軸回転する度に交互に入れ替わる所に形成されている。
　つまり、切替部材は、複数の錠剤通路のうちのいずれか一つを仕切板の上方に位置させる複数の回転位置（回転位相）に回転可能である。

　仕切板８２は、平板に多数の粉塵分離孔８２ａが穿孔等の方法によって形成されたものである。粉塵分離孔８２ａは、いずれも、平板の仕切板８２を横にした状態で、上下に貫通する細い縦孔である。従って、裁断片１１より小さな粉塵１２は粉塵分離孔８２ａを通過できる。他方、粉塵１２より大きな裁断片１１は粉塵分離孔８２ａ通過できない。
　シュート８４は、例えば滑り台や軒樋のような案内部材であり、斜めに設置されている。従って、裁断片１１はシュート８４を滑落して下方の裁断片受器９３に導かれる。
　回転駆動機構８５は、制御装置２３Ｂの制御に従って回転軸を駆動するモータや減速ギヤ等で構成されている。そして、回転軸の先端部は、切替部材８１の錠剤通路８１ａに嵌め込まれており、切替部材８１は軸回転可能になっている。

　傾斜支持台８３は、上述した切替部材８１と仕切板８２とシュート８４とを保持する部材であり、下側部分を前に寄せると共に上側部分を後方に、角度にして数度~数十度傾けられた傾斜姿勢の状態で本体部２４内に固定されている。
　また、傾斜支持台８３は、後寄りの部位に形成された粉塵落下経路（以下、粉塵通路と称する）８３ａと、前寄りの部位に形成された回転軸挿通穴８３ｂとを備えている。粉塵通路８３ａは、錠剤通路８１ａとほぼ同じかそれより広い断面を持っている。また、回転軸挿通穴８３ｂは、回転軸を挿通させて軸回転可能に支持する軸受兼用の穴である。なお、回転軸は、回転駆動機構８５から出て切替部材８１に至る位置に延在する状態で配置されている。なお、粉塵通路８３ａ及び回転軸挿通穴８３ｂは、傾斜支持台８３を傾ける前の状態で鉛直な貫通縦穴状であるので、傾斜支持台８３と同じ角度だけ後傾している。しかも、回転軸挿通穴８３ｂを貫く回転軸が仕切板８２の前方延長板に対して垂直になっている。

　このような傾斜支持台８３に対し、仕切板８２は、粉塵通路８３ａの上端面を覆う状態で取り付けられている。従って、粉塵通路８３ａは、仕切板８２の上から粉塵分離孔８２ａを通過して下りてきた粉塵１２を通過させてさらに落下させるものである。また、切替部材８１は、回転軸挿通穴８３ｂを挿通した回転軸の上端部に連結されている。従って、切替部材８１のうち後側に回った部分は、仕切板８２の上に来る。そして、切替部材８１、錠剤通路８１ａ、仕切板８２及び粉塵分離孔８２ａの全ては、傾斜支持台８３と同じ角度だけ下側部分が前に寄せられると共に上側部分が後方に寄せられ、傾斜姿勢で後傾している。

　さらに、傾斜支持台８３の前端にはシュート８４の上端が連結されている。シュート８４は、比較的急な傾斜の前下がり姿勢である。他方、傾斜支持台８３は、前方については、回転軸挿通穴８３ｂの少し前までしか伸びておらず、傾斜支持台８３の前端は、回転軸挿通穴８３ｂの少し前のところに位置している。従って、切替部材８１に形成された二つの錠剤通路８１ａは、いずれも、切替部材８１の軸回転に伴って前側の位置（解放位置）に回ってくると、傾斜支持台８３の傾斜状態に基づき高度を上げることになる。そして、高度を上げるとともに、仕切板８２からも傾斜支持台８３からも外れた状態になり、シュート８４の上方で下端面が解放された状態になる。
　他方、二つの錠剤通路８１ａは、いずれも、切替部材８１の軸回転に伴って後へ回ってくると、傾斜支持台８３の傾斜状態に基づき高度を下げることになる。そして、仕切板８２の上にきて下端面を仕切板８２に覆われる状態になる。

　第１粉塵受器９１及び第２粉塵受器９２は、いずれも、底がしっかりした皿状体や上面解放の箱状体からなる容器である。このうち、第１粉塵受器９１は、本体部２４に挿着されると、傾斜支持台８３の粉塵通路８３ａの下方に位置されるものである。粉塵通路８３ａを通って落下して来た粉塵１２は、解放上面から受け入れられ、第１粉塵受器９１の中に収容される。
　他方、第２粉塵受器９２は、裁断片受器９３を挿抜自在に収容しうる外箱としても用いられる。そして、この第２粉塵受器９２に裁断片受器９３を収容したとき、裁断片受器９３の底の下面が第２粉塵受器９２の内底面より少し高いところに位置するようになっている。つまり、両底の間に粉塵１２を収容するための間隙が確保されている。

　裁断片受器９３は、底９３ａに網を張った皿状体や上面解放の箱状体からなる容器である。
　底網９３ａは、裁断片１１は通過させないがそれより小さな粉塵１２は通過させる細かさの目を持った網体である。そして、第２粉塵受器９２に裁断片受器９３を重ねたものを一緒に本体部２４に挿着すると、裁断片受器９３は、シュート８４の下方に位置する。従って、シュート８４を滑り落ちた裁断片１１は、裁断片受器９３の解放上面から受器９３内に受け入れられて収容される。また、裁断片１１と一緒に裁断片受器９３に入ってきたもののうち、裁断片受器９３の中にとどまれずに底網９３ａを通過してさらに落下した粉塵１２は、第２粉塵受器９２に収容される。

　制御装置２３Ｂは、第１実施例と基本的には同様のものであり、錠剤の逐次供給と裁断に加えて裁断片と粉塵との分離をも的確に行うよう、錠剤フィーダベース部２７と保持機構３０Ｂと裁断機構４０Ｂと分離機構８０とを協動させるために、それぞれの電動モータ等の動作制御を行うものである。

　分離機構８０を備えた本実施例の錠剤分割装置２０Ｂについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。

　錠剤裁断に先立ち、分割対象の錠剤１０を多数収容した錠剤カセット２１を錠剤フィーダベース部２７に装着し、第１粉塵受器９１を後方から本体部２４に挿着し、さらに裁断片受器９３を重ねた第２粉塵受器９２を前方から本体部２４に挿着する（図１２（ａ），（ｂ）参照）。そして、電源投入等にて錠剤分割装置２０Ｂを動作させてから、操作部２２を操作して錠剤分割装置２０Ｂに裁断処理を開始させる。すると、錠剤フィーダベース部２７の駆動モータが作動し、それで駆動された錠剤カセット２１から一個の錠剤が落下排出される。排出された錠剤は、本体部２４の中に落下投入されて、保持機構３０Ｂにより裁断位置で一時的に留め置かれ、そこで裁断機構４０Ｂにて裁断されて、二つの裁断片１１，１１に分割される。

　これらの裁断片１１は、その後、裁断位置から解き放たれて分離機構８０に向かって落下し（図１３（ａ）参照）、複数の錠剤通路８１ａのうち仕切板８２の上に位置する錠剤通路８１ａの中に入り込む（図１３（ｂ）参照）。錠剤通路８１ａの中に入った裁断片１１は、仕切板８２に衝突してその上に止められる。また、小さな粉塵１２は、裁断片１１と一緒に落下して来たものであれ、衝突時に裁断片１１から分かれて飛び散ったものであれ、多くは粉塵分離孔８２ａを通過して落下し第１粉塵受器９１に収容される（図１３（ｂ）矢付き点線参照）。

　その後、切替部材８１が軸回転すると、それに伴い、仕切板８２の上に位置する後側の錠剤通路８１ａが弧を描きながら前進する（図１３（ｃ）参照）。すると、裁断片１１が仕切板８２の傾斜面に沿って押し上げられ、その際、裁断片１１が仕切板８２の上面に擦られて裁断片１１に付着していた粉塵１２が仕切板８２の上へ振り落とされる。また、粉塵分離孔８２ａ同士の間等で仕切板８２の上にとどまっていた粉塵１２が、切替部材８１の下端部の内周壁によって押されたり磨り潰すかのように動かされて粉塵分離孔８２ａの上に来ると、そこの粉塵分離孔８２ａを通過して落下し、第１粉塵受器９１に収容される（図１３（ｃ）矢付き点線参照）。

　裁断片１１が収容された状態で前進した錠剤通路８１ａが傾斜支持台８３の前端より前側に位置する状態になると（図１３（ｄ）参照）、その錠剤通路８１ａによって運ばれた裁断片１１は、仕切板８２や傾斜支持台８３から外れて解放された錠剤通路８１ａの下端面から落下し、シュート８４により裁断片受器９３の中へ案内される。裁断片受器９３に受け入れられた裁断片１１は、底網９３ａの目より大きいので、底網９３ａの上にとどまって、裁断片１１に収容される。他方、裁断片１１がシュート８４の上を滑落したときや裁断片受器９３に飛び込んだときに裁断片１１から分かれて出来た粉塵１２は、底網９３ａを通過して落下し、裁断片受器９３の下の第２粉塵受器９２に収容される（図１３（ｃ）矢付き点線参照）。

　このようにして、裁断位置から落下して分離機構８０にきた裁断片１１は、裁断片受器９３に収容される。その際、分離機構８０のところでは粉塵１２が裁断片１１から分離されて第１粉塵受器９１に収容され、裁断片受器９３のところでは粉塵１２が裁断片１１から分離されて第２粉塵受器９２に収容されるので、ほとんどの粉塵１２は、裁断片１１とは分離された状態で収容される。
　しかも、粉塵１２を収容した錠剤通路８１ａが前進するのと同時に、空の錠剤通路８１ａが後進して両者が入れ替わる構造であり、迅速に次の裁断片１１を分離機構８０に受け入れることが可能な状態になるので（図１３（ｄ）参照）、錠剤の裁断を短い周期で繰り返し能率良く行うことができる。

　そして、所要個数の裁断片１１を作成し終えたら、本体部２４から後方に第１粉塵受器９１を引き出し、本体部２４から前方に第２粉塵受器９２を引き出し、さらに第２粉塵受器９２から上方に裁断片受器９３を抜き取る（図１４（ａ）参照）。すると、裁断片受器９３の中にはほぼ裁断片１１だけが残っており、ほとんどの粉塵１２は裁断片１１から分離されて第１粉塵受器９１と第２粉塵受器９２とに収容される。

［その他］
　なお、本実施例では、錠剤や裁断片１１を検出する錠剤有無検出センサについて言及しなかったが、錠剤や裁断片１１の通過するところに錠剤有無検出センサを配置して、錠剤や裁断片１１が正常に落下しているか否かを検知するようにしても良い。錠剤有無検出センサは、非接触のフォトセンサが使いやすい。例えば、図１４（ａ）に示される錠剤フィーダベース部２７の錠剤通過点Ｘ１や、保持機構３０Ｂの錠剤通過点Ｘ２、裁断機構４０Ｂの錠剤裁断位置近傍Ｘ３、分離機構８０の錠剤受入箇所Ｘ４、分離機構８０の錠剤放出箇所Ｘ５などのうち適宜な所に設けることが考えられる。

　また、本実施例では、切替部材８１が回転軸嵌合穴８１ｂを中心にして軸回転することについては説明したが、具体的な回転状態までは説明していない。そこで、ここで説明を補足すると、切替部材８１の軸回転は、一定速度で常時回転し続けるというものでも一応は良い。また、裁断片１１が落下して来ないうちは回転せず、落下してきたことを検知すると回転させるようにしても良い。裁断片１１の落下の検知は、例えば、裁断片１１が分離機構８０の錠剤受入箇所Ｘ４を正常に通過したことによって行うことができる。当該通過は、例えば上述の錠剤有無検出センサ等の出力によって確認することができる。また、回転開始時期についても、様々な設定が可能である。例えば、通過検知から所定の遅延時間が経過するのを待って回転を開始させるようにしても良い。

　上記遅延時間の好適値としては、保持機構３０Ｂから落下して来て錠剤通路８１ａの中に入り込んだ裁断片１１が仕切板８２の上で落ち着いて整定状態になるまでの時間が挙げられる。このような条件で定めた遅延時間値を用いると、粉塵１２が効率良く分離される。まず、裁断片１１が仕切板８２の上を転がったり擦ったりしながら移動する過程で粉塵１２が粉塵分離孔８２ａから落下して分離されるという基本的な作用効果がより的確に得られると考えられる。また、裁断片１１が仕切板８２の上を移動する際、傾斜に逆らって傾斜面を遡上し、裁断片１１に付着していた粉塵１２が効率良くふるい落とされ、仕切板８２の上に移るというさらなる作用効果がより的確に得られると考えられる。

　また、本実施例では、切替部材８１に形成された錠剤通路８１ａの数は２つであるが、錠剤通路８１ａの数は、２つに限られず、３つ以上でも良い。例えば、切替部材８１に錠剤通路８１ａが４つ形成されたものでも良い。この場合、例えば、まず最初に、仕切板８２の上に位置された一番目と二番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、その後、切替部材８１を１８０°ずつ間欠的に軸回転させるようにすることが考えられる。この構成では、切替部材８１が間欠回転される度に、一番目と二番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１が放出されるとともに三番目と四番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１が受け入れられる動作と、三番目と四番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１が放出されるととともに一番目と二番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１が受け入れられる動作が交互に繰り返される。

　また、例えば、切替部材８１に錠剤通路８１ａが５つ形成されたものでも良い。この場合、例えば、まず最初に、仕切板８２の上に位置する一番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、その後、切替部材８１を１４４°ずつ間欠的に軸回転させる動作が考えられる。この構成では、切替部材８１が簡潔的に回転される度に、一番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１を放出するとともに三番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、三番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１を放出するとともに五番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、五番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１を放出するとともに二番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、二番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１を放出するとともに四番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れ、四番目の錠剤通路８１ａから裁断片１１を放出するとともに一番目の錠剤通路８１ａに裁断片１１を受け入れる、という動作が順に繰り返される。

　また、本実施例では、錠剤が二つの裁断片に均等分割される様子を図示したが、三つ以上の裁断片に分割することや不均等な分割を排除するものではない。
　さらに、錠剤分割装置２０Ｂについて、本実施例で錠剤分割装置２０Ｂに設けられていた操作部２２は必須でなく、例えば、錠剤が投入されたらそれに応じて一連の動作が開始されるようにしても良い。錠剤の自動逐次供給が不要であれば、錠剤フィーダベース部２７や錠剤カセット２１も必須でない。

　本発明の錠剤分割装置は、上述した各実施例のようにスタンドアローンで使用される他、錠剤フィーダのベース部を機能拡張しつつ代替する態様で錠剤分包機等の自動調剤機に組み込んでも良く（例えば特許文献５実施例２参照）、単体の錠剤フィーダから下方へ延びた錠剤落下経路や，複数の錠剤フィーダの錠剤落下経路が下方で合流した後の錠剤収集経路にも、組み込むことができる（例えば特許文献１，２参照）。

１０…錠剤、１０ｂ，１０ｃ，１１…裁断片（錠剤裁断片）、１２…粉塵（錠剤裁断粉塵）、２０，２０Ａ，２０Ｂ…錠剤分割装置、２１…錠剤カセット、２２…操作部、２３，２３Ａ，２３Ｂ…制御装置、２４…本体部（筐体）、２５…受器、２５ｂ…左側受器、２５ｃ…右側受器、２６…中継部、２７…錠剤フィーダベース部、２８…支持フレーム（支持部材）、２８Ａ，２８Ｂ…支持部材、２９…凸部（摺動係合部）、３０，３０Ａ，３０Ｂ…保持機構、３１，３１Ａ…案内部材（落下錠剤案内部材）、３１Ｕ…凹部（摺動係合部）、３２，３２Ａ…錠剤落下経路（案内路）、３２ａ…上流部分経路、３２ｂ…左側分岐経路、３２ｃ…右側分岐経路、３３…裁断位置（保持位置）、３４…受止部材、３４ｂ…左アーム（左側経路開閉部材）、３４ｃ…右アーム（右側経路開閉部材）、３５…スリット、３６…固定覆板、３７，３７Ａ…案内板（溝深規定部材）、３７ａ…テーパ部、３７ｂ…ベース対向面、３７ｃ…突出対向面、３７ｄ…スリット部、３８…厚み調整機構、３７ｘ，３７ｙ…厚み調整機構付勢バネ、３９…錠剤通過検出センサ、４０，４０Ａ，４０Ｂ…裁断機構、４１…前刃（対向刃）、４１ａ…刃先部、４１ｂ…刃元部、４１ｃ…テーパ部、４１ｄ…凸部（摺動係合部）、４１ｅ…凹部（摺動係合部）、４２…奥刃（対向刃）、４３…前刃進退部材、４４…奥刃進退部材、４５…サーボモータ、４６…サーボコントローラ、４７…駆動電流検出部材、４８…位置検出部材、５１…蓋、５２…ロック、５３…ヒンジ、５４…開口、６０…リムーバ（刃交換治具）、６１…治具本体部、６２…凹部（摺動係合部）、６３…切込、６４…刃保持部、６５…固装部材、６６…凸部（摺動係合部）、６７…弾性部材、６８…可動端部（強掛止部）、７０…セッター（刃交換治具）、７１…治具本体部、７２…凹部（摺動係合部）、７３…切込、７４…刃保持部、７５…固装部材、７６…凸部（摺動係合部）、７７…弾性部材、７８…可動端部（弱掛止部）、７９…最先端、８０…分離機構（錠剤裁断粉塵分離機構又は当該機構が組み込まれた中継部）、８１…切替部材（錠剤落下経路切替部材）、８１ａ…錠剤通路（錠剤落下経路）、８１ｂ…回転軸嵌合穴、８２…仕切板、８２ａ…粉塵分離孔、８３…傾斜支持台（支持体）、８３ａ…粉塵通路（粉塵落下経路）、８３ｂ…回転軸挿通穴、８４…シュート、８５…回転駆動機構、９１…第１粉塵受器（錠剤裁断粉塵分離機構の拡張部）、９２…第２粉塵受器（錠剤裁断粉塵分離機構の拡張部）、９３…裁断片受器、９３ａ…底網（錠剤裁断粉塵分離機構の拡張部）

Claims (9)

1. 　錠剤の案内路を備えた落下錠剤案内部材と、前記案内路を上方から下方に移動する錠剤を前記案内路の途中で受け止める受止部材と、当該受止部材に受け止められた錠剤を裁断する裁断機構と、前記受止部材よりも錠剤移動方向上流側に配置された溝深規定部材とを備えており、
   　前記案内路を取り囲む案内路内側面のうち、前記受止部材よりも錠剤移動方向上流側の少なくとも一部が平面部で構成されており、前記溝深規定部材は、前記平面部に対向する対向面を備えるものであり、
   　当該溝深規定部材の対向面と前記案内路の平面部との対向区間の対向距離を近接離間させる厚み調整機構と、前記対向区間の入口を錠剤が通過したことを検知する通過検知手段と、前記厚み調整機構の動作を制御する制御装置とをさらに備えており、
   　前記対向距離は、少なくとも前記錠剤の前記対向区間の通過が阻止される幅狭状態と、錠剤の前記対向区間の通過が許容される幅広状態とに調整可能であり、
   　前記制御装置は、前記対向区間の上流側に錠剤が存在する状態で前記厚み調整機構を作動させて前記対向距離を前記幅狭状態から広げていく厚み測定動作と、前記錠剤が前記対向区間の入口を通過したとの検知情報に基づいて前記厚み調整機構を停止させて前記対向距離を固定する厚み適合動作とを実行させるものである錠剤分割装置。
2. 　前記受止部材は、前記案内路の途中で錠剤を受け止めて保持する保持状態と、保持が解除される解除状態とに動作可能なものであり、
   　前記裁断機構は、前記制御装置の制御に従う電動の対向刃を備えており、
   　当該対向刃の駆動電流値を検出する駆動電流検出手段をさらに備えており、
   　前記対向刃は、少なくとも、当該対向刃の刃先の間への錠剤の投入が許容される退避位置と、投入された錠剤を刃先で挟持する挟持位置と、挟持した錠剤が裁断される裁断完了位置とに近接離間移動可能であり、
   　前記制御装置は、前記錠剤が前記対向刃の間に投入されて前記受止部材に保持された状態で前記対向刃を前記裁断完了位置に向けて近接移動させる近接移動動作と、当該動作の途中で前記対向刃が前記挟持位置に達したことを前記駆動電流値の増大に基づいて検知する挟持検知動作とを実行するものであり、且つ、前記挟持検知動作に基づいて前記挟持位置から前記裁断完了位置に向けて移動して錠剤を裁断する対向刃の移動速度を前記挟持位置に達する前の移動速度に対して変化させる速度変更動作と、前記受止部材の状態を前記保持状態から前記解除状態にして前記受止部材を前記錠剤から離す解除動作のうちの少なくともいずれか一方の動作を実行させるものである、請求項１に記載の錠剤分割装置。
3. 　前記裁断機構は、前記受止部材に受け止められた錠剤を裁断するための刃が装着位置に装着される一対の刃進退部材を備えており、
   　前記落下錠剤案内部材、前記受止部材及び前記裁断機構が収容された筐体をさらに備えており、
   　当該筐体は、前記落下錠剤案内部材と前記刃とを通過させうる開口と、前記落下錠剤案内部材を筐体内の支持位置に着脱可能に支持する支持部材とを備えており、
   　当該支持部材及び前記落下錠剤案内部材は、当該落下錠剤案内部材が前記支持位置に支持された状態で、当該落下錠剤案内部材と前記支持部材とが摺動可能に接触する、落下錠剤案内部材固定用の摺動部をそれぞれ備えており、
   　前記落下錠剤案内部材は、前記支持部材の摺動部に沿って摺動させることによって、前記支持位置と、前記開口から取り出された状態とに着脱可能なものであり、
   　前記刃と前記刃進退部材は、前記刃が前記装着位置に装着された状態で、前記刃と前記刃進退部材とが摺動可能に接触する、刃取付用の摺動部をそれぞれ備えており、
   　前記刃は、前記刃進退部材の摺動部に沿って摺動させることによって、前記装着位置と前記開口から取り出された状態とに着脱可能である、請求項１又は請求項２に記載の錠剤分割装置。
4. 　前記落下錠剤案内部材固定用である支持部材の摺動部は、前記落下錠剤案内部材の摺動方向を所定方向に案内する係合構造を備えており、
   　前記刃取付用である刃進退部材の摺動部は、前記刃の摺動方向を所定方向に案内する係合構造を備えており、
   　前記落下錠剤案内部材の摺動方向と前記刃の摺動方向とが平行である、請求項３記載の錠剤分割装置。
5. 　前記落下錠剤案内部材が筐体外に取り出された状態の前記支持部材の摺動部には、当該摺動部に摺動自在に係合可能な摺動部を備えた刃交換治具の係合が可能であり、
   　当該刃交換治具は、前記落下錠剤案内部材の摺動部と同様の構造の摺動部を備えた板状の治具本体部と、当該治具本体部に設置された刃保持部とを備えており、
   　当該刃保持部は、前記支持部材に係合させた前記治具本体部を摺動によって前記刃進退部材に近接させたとき、当該刃進退部材に装着された状態の刃を捕捉可能なものであり、
   　前記刃保持部によって前記刃を捕捉した状態の前記治具本体部を、前記刃進退部材から離間する向きに摺動させると、前記刃が前記刃保持部に捕捉された状態で前記刃進退部材から取り外される、請求項４記載の錠剤分割装置。
6. 　前記落下錠剤案内部材が筐体外に取り出された状態の前記支持部材の摺動部には、当該摺動部に摺動自在に係合可能な摺動部を備えた刃交換治具の係合が可能であり、
   　当該刃交換治具は、前記落下錠剤案内部材の摺動部と同様の構造の摺動部を備えた板状の治具本体部と、当該治具本体部に設置された刃保持部とを備えており、
   　当該刃保持部は、装着用の刃を着脱可能な状態で保持するものであり、
   　前記刃保持部に前記刃を保持させた状態の前記治具本体部を摺動によって前記刃進退部材に近接させると、前記刃保持部に保持された刃が前記刃進退部材に係合して装着され、更に前記治具本体部を前記進退部材から離間させることによって前記刃進退部材に装着された刃から前記刃保持部を取り外して筐体外に取り出し可能である、請求項４記載の錠剤分割装置。
7. 　前記錠剤を裁断することにより得られた裁断片が通過する錠剤落下経路を複数備えた錠剤落下経路切替部材と、裁断に起因して生じた粉塵を通過させる粉塵分離孔が多数形成された仕切板と、前記粉塵を落下させうる粉塵落下経路を備えた支持体とをさらに備えており、
   　前記粉塵落下経路は、その上端面が前記仕切板に覆われており、
   　前記錠剤落下経路切替部材は、前記複数の錠剤落下経路のうちのいずれか一つを前記仕切板の上方に位置させる複数の回転位置に回転可能に支持されており、
   　当該錠剤落下経路切替部材の回転軸は、前記仕切板又は当該仕切板の延長体に対して垂直であり、
   　前記仕切板の上方に位置する一つの前記錠剤落下経路は、その下端面を前記仕切板に覆われた状態であり、他の錠剤落下経路は、その下端面が解放状態になる解放位置に位置する状態である、請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の錠剤分割装置。
8. 　前記錠剤落下経路切替部材の回転軸及び前記仕切板は傾斜しており、
   　前記仕切板の上方に位置する前記錠剤落下経路は、他の錠剤落下経路よりも低い位置になる、請求項７記載の錠剤分割装置。
9. 　前記粉塵落下経路の下方に配置された第１粉塵受器と、
   　前記仕切板の上方の位置から前記解放位置に移動した前記錠剤落下経路から落下する前記裁断片の落下先に配置された裁断片受器と、
   　当該裁断片受器の下方に配置された第２粉塵受器と、をさらに備えており、
   　前記第１粉塵受器は、前記粉塵落下経路を通って落下した前記粉塵を収容するものであり、
   　前記裁断片受器は、前記粉塵を通過させる底部材を備えており、
   　前記第２粉塵受器は、前記底部材を通って落下した前記粉塵を収容するものである、請求項７又は請求項８に記載の錠剤分割装置。

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