WO2021049559A1

WO2021049559A1 - 錠剤分割装置

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Publication number: WO2021049559A1
Application number: PCT/JP2020/034233
Authority: WO
Inventors: 義人大村
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2019-09-12
Filing date: 2020-09-10
Publication date: 2021-03-18

Abstract

錠剤を精度よく分割できて屑の発生が少なく更に錠剤の裁断片から錠剤の屑を分離除去しうる錠剤分割装置を簡素な手段で実現する。錠剤カセット２３から排出されて錠剤導入機構３０により裁断位置４１に導かれた錠剤４を上下に裁断する裁断機構４０は、裁断位置４１に進退する可動刃４３と、それと対向する固定刃４２と、裁断位置４１の下へ進退する下部進退部材４４とに加えて、裁断位置４１の上へ進退する上部進退部材をも具備する。また、裁断位置４１から落下した錠剤裁断片５を排出位置６５へ導く裁断片排出機構６０は、錠剤裁断片５を受け入れる縦穴６３が複数形成された円板６２の回転にて錠剤裁断片５を横移動させるようにし、更に、錠剤屑６は通すが錠剤裁断片５は通さない間隙Ｇが裁断片排出機構６０の縦穴６３と錠剤屑回収部材７０の凹み７１，７２との間に確保されるようにする。

Description

錠剤分割装置

　この発明は、錠剤を裁断して幾つかの錠剤裁断片（錠剤の裁断片）に分割する錠剤分割装置に関する。

　錠剤分割装置には、ある程度以上自動化されたものがある（例えば特許文献１～６参照）。例えば特許文献１，６に記載の錠剤分割装置では、一粒の錠剤を裁断して二つの半錠などに分割するための裁断機構に加え、多数の錠剤をランダム収容して逐次排出する錠剤フィーダも具備して、錠剤フィーダと裁断機構とを連動させることで、所要の錠剤裁断片を適時に供給する。これらの錠剤分割装置は、薬剤分包機に搭載して使用されることもある。また特許文献２～５に記載の錠剤分割装置は、薬剤分包機から独立して使用される。

　錠剤フィーダと裁断機構との組み合わせ方を見ると、特に、錠剤フィーダが、電動モータ等の駆動部材を含むフィーダベース（ベース部）と、受動部材からなる着脱式の錠剤カセットとからなる。ベース部の上に錠剤カセットを載置した状態で錠剤排出を行うものである場合の組み合わせ方を見ると、独立タイプでは（例えば特許文献２～５参照）、フィーダベースと裁断機構とが錠剤分割装置の本体部に組み込まれる。そして、その本体部に錠剤カセットを装着すると、錠剤カセットから一つずつ落下排出された錠剤がフィーダベースを落下通過してから裁断機構まで落下する
　これに対し、薬剤分包機搭載タイプには（例えば特許文献１，６参照）、通常の錠剤フィーダに裁断機構を追加する謂わば付加タイプと（例えば特許文献１参照）、通常の錠剤フィーダを新たな錠剤フィーダ及び裁断機構にて置き換える謂わば置換タイプとがある（例えば特許文献６参照）。何れのタイプでも、即ち付加タイプであろうと置換タイプであろうと、やはり錠剤カセットから一つずつ送り出された錠剤が裁断位置へ落下して裁断機構によって裁断され、それから錠剤裁断片が落下排出されるようになっている。

　そのうち前者の付加タイプでは（例えば特許文献１参照）、錠剤カセットも、フィーダベースも、薬剤分包機に通常態様で搭載された錠剤フィーダのものが流用される。また、裁断機構は、別ユニット化されて、錠剤フィーダ格納庫の直下や錠剤フィーダ格納庫内の他の錠剤フィーダを取り出した後の空き空間に格納する態様で薬剤分包機に搭載される。そして、裁断機構とそれに対応する上流の一つの錠剤フィーダとが錠剤案内用の管路で繋がれることにより、錠剤カセットから裁断機構へ分割対象の錠剤が一つずつ供給されるようになっている。

　薬剤分包機搭載タイプのうち後者の置換タイプでは（例えば特許文献６参照）、フィーダベースは、薬剤分包機に通常態様で搭載された錠剤フィーダのものが流用可能である。この場合、隣り合った二つのフィーダベースが転用される。また、錠剤カセットが小形化されて、下のフィーダベースと上の錠剤カセットとの間に裁断機構が配置される。そのため、錠剤カセットの収容量は少なくなるが、薬剤分包機に搭載するときの配置の自由度が高く、搭載先の薬剤分包機に係る改造等の負担も小さくて済む。その結果、薬剤分包機の新設時に導入するのは勿論、既設の薬剤分包機を改造して導入するのも容易なものとなっている。

　分割前の錠剤を一錠ずつ裁断位置へ導く錠剤導入経路については、上下に延びた中空路を自重で落下させるものや（例えば特許文献１，２，５参照）、落下速度を遅くするために中空路を傾斜させたもの（例えば特許文献４参照）、回転体にて位置や速度を規制しながら上下や前後へ弧状に移送するもの（例えば特許文献３，６参照）、などがある。

　裁断手段については、片刃を用いるものや（例えば特許文献１参照）、回転刃を用いるものもあるが（例えば特許文献３参照）、対向刃を用いるものが多い（例えば特許文献２，４，５，６参照）。

　回転刃で裁断する場合は錠剤を移送しながら裁断する（例えば特許文献３参照）。片刃や対向刃を用いる場合は（例えば特許文献１，２，４～６参照）、錠剤導入経路に進行させた錠剤保持部材の上に錠剤を留め置いてから錠剤へ刃先を進退させて裁断するようになっている。後者の進退刃方式では、進退駆動がカム機構などで簡便に具現化できるうえ（例えば特許文献１，４参照）、錠剤を二つの半錠に分割することばかりか三つ以上の裁断片に分割することも一回の動作で行うことができる（例えば特許文献４参照）。

　しかも、そのような進退刃方式であって更に錠剤を上下の半錠に分割する方式のものでは（例えば特許文献１，２，４，６参照）、刃先を進行させたまま錠剤保持部材を退行させることで下側の半錠を先に落下させることができ、それから刃先を退行させることで上側の半錠を後から落下させることができる。

　そのため、半錠の落下タイミングを上下の半錠それぞれについて任意に制御するのが可能であり而も容易である。

　また、半錠等の裁断片を落下させて排出する謂わば裁断片排出経路については、水平に真っ直ぐ延びた溝の中を通過させてから落下させるものもあるが（例えば特許文献１参照）、水平移動をさせることなく縦の中空路を自重で落下させるものが多い（例えば特許文献２～６参照）。

　さらに、余分な半錠や欠片については、それらを吸引して排出する清掃機構を設けたものもある（例えば特許文献１参照）。

特開平１１－２２６０８９号公報特開２０１１－８３３５７号公報特開２０１１－９７９６９号公報特開２０１２－２９８００号公報特開２０１３－３９２３６号公報特開２０１８－１０８３１２号公報（ＷＯ２０１８－１２８１９０）

　しかしながら、このような吸引排出式の清掃機構を付設するのは（例えば特許文献１参照）、コストアップが避けられないため、その採用は限られがちである。

　これに対し、裁断片排出経路に水平部分を持たせるのは（例えば特許文献１参照）、コストアップは小さく抑えられるが、錠剤屑（錠剤から出た屑など）の通過経路が半錠の裁断片排出経路に完全に重なっているため、錠剤屑も、半錠に引きずられて、ある程度の時間遅れはあっても最終的には、半錠と一緒に排出されてしまう。

　そのため、錠剤屑を除去する清掃作業が必要な状況下では、清掃作業をこまめに行うことになるので、清掃作業の負担が重い。

　裁断片排出経路に水平部分の無い錠剤分割装置では（例えば特許文献２～６参照）、清掃作業の頻度が増すので、清掃作業の負担が更に重くなる。

　そこで、簡素な手段にて錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を実現することが第１の技術課題となる。

　また、そもそも錠剤屑の発生を抑えることが望ましく、そのために、コストアップが許容される範囲内で、裁断機構に回転刃を採用したり（例えば特許文献３参照）、裁断機構に対向刃を採用したり（例えば特許文献２，４～６参照）、更に対向刃では、両刃とも進退させたり（例えば特許文献２，４，５参照）、固定刃と可動刃とを組み合わせたり（例えば特許文献６参照）、種々の態様のものが開発されている。

　さらに、錠剤屑の発生を抑えるために、錠剤導入経路を傾斜させたり（例えば特許文献４参照）、錠剤を弧状に移送するものもある（例えば特許文献３，６参照）。

　そして、それらのうち、固定刃と可動刃との対向刃を裁断機構に採用するとともに、錠剤導入経路を鉛直にするか精々傾斜させるにとどめたものは、コストパフォーマンスの良さから、使用が増えている。

　しかしながら、そのような裁断機構や錠剤導入経路の採用にてコストアップを抑制しつつも錠剤屑の発生量ばかりか錠剤の分割精度まで向上させることが求められている。

　そこで、簡素な手段にて錠剤を精度よく分割できて錠剤屑の発生が少ない錠剤分割装置実現することが第２の技術課題となる。

　本発明の目的は、簡素な構成で錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を提供することにある。

　本発明の他の目的は、錠剤屑の発生量ばかりか錠剤の分割精度まで向上させることができる錠剤分割装置を提供することにある。

　以下の説明では、理解を容易にするために図面に付した符号を付記する。本発明の錠剤分割装置は、落下して来た錠剤を受け入れて裁断位置へ導く錠剤導入構造と、裁断位置の錠剤を裁断する裁断機構と、裁断機構の駆動を行う裁断駆動機構と、裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構６０と、裁断機構と裁断片排出機構とを収める箱体２１とを備えた錠剤分割装置を改良の対象とする。本発明においては、錠剤裁断片５を受け入れる縦穴６３が裁断片排出機構６０に貫通形成されている。そして裁断片排出機構６０が縦穴６３を錠剤裁断片の受入位置から排出位置へ移動させるようになっている。また上面に１以上の凹み（７１，７２）が形成された錠剤屑回収部材７０が設けられている。錠剤屑回収部材７０は、裁断片排出機構の下にして箱体２１に装着すると裁断片排出機構６０と錠剤屑回収部材７０の凹みの周囲にある接触面との間に錠剤屑は通すが錠剤裁断片５は通さない間隙Ｇが確保されるように裁断片排出機構６０と錠剤屑回収部材７０が構成されている。

　本発明の基本の錠剤分割装置にあっては、裁断片排出経路が、縦孔を移動させる裁断片排出機構６０と浅い凹み（７１，７２）を上面に形成した錠剤屑回収部材７０とを組み合わせた簡素な手段で、具現化されている。そして、錠剤の裁断にて作成された錠剤裁断片５は、裁断位置から落下して裁断片排出機構６０の縦穴６３に入り、錠剤屑回収部材７０の上面（接触面７４）に当接して落下を止められ、裁断片排出機構６０の縦穴６３の中にとどまる。それから、その縦穴６３が錠剤裁断片５の受入位置６４から排出位置６５へ移動させられると、その縦穴に随伴して錠剤裁断片も受入位置から排出位置へ移動する。その際、錠剤裁断片は、錠剤屑回収部材７０の上面（接触面７４）を移動して排出位置６５に到達し、最終的には錠剤屑回収部材７０の上面（接触面７４）から外れて落下排出される。

　また、錠剤の落下や裁断などで発生した錠剤屑も、裁断位置から落下して裁断片排出機構６０の縦穴６３に入り、更に錠剤屑回収部材７０の上面に落ちるが、錠剤屑は、小さいので、落ちた弾みで一部のものは錠剤屑回収部材の凹み（７１，７２）と裁断片排出機構の縦穴６３との間の間隙Ｇを通り抜けて、錠剤屑回収部材７０の凹み（７１，７２）の中に入り込む。

　そして、裁断片排出機構の縦穴とともに錠剤裁断片が受入位置から排出位置へ移動すると、錠剤屑回収部材７０の上面に残った錠剤屑６については錠剤裁断片５に引き摺られる錠剤屑もあれば置き去りにされる錠剤屑もある。引き摺られた錠剤屑６の多くが、不規則に移動して散るので、やはり間隙Ｇを通り抜けて錠剤屑回収部材７０の凹みの中に入り込む。そのため、錠剤裁断片５が錠剤屑回収部材７０の上面（接触面７４）から外れるときには、多くの錠剤屑６が置き去りにされて、凹みの中に収まり続ける。したがって、この発明によれば、簡素な手段にて錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を実現することができる。

　より具体的な錠剤分割装置は、落下して来た錠剤を受け入れて、裁断位置４１へ錠剤を案内する錠剤導入構造３０と、裁断位置４１において錠剤を裁断する裁断機構４０と、裁断機構４０の駆動を行う裁断駆動機構５０と、裁断位置４１から落下した錠剤裁断片５を排出位置（６５，６７）へ導く裁断片排出機構６０を収めた箱体２１とを備えて、錠剤導入構造３０から落下して来た錠剤を分割する。箱体２１の上端部には、前記錠剤を受け入れる錠剤受入部３１が設けられている。箱体２１の下端部には排出位置（６５）から錠剤裁断片５を送り出す錠剤裁断片排出口６７が開口している。裁断片排出機構６０は、錠剤裁断片５を排出位置６５の上に搬送する搬送体６２と、搬送体６２を駆動する搬送体駆動機構（１１，６１）を備えている。搬送体６２には錠剤裁断片を受け入れる１以上の縦穴６３が搬送体６２を貫通するように形成されている。搬送体駆動機構（１１，６１）は、縦穴６３を錠剤裁断片の受入位置６４から排出位置（６５）の上に移動させるように搬送体６２を移動させるように構成されている。搬送体６２と箱体２１の下端部との間には、縦孔６３に受け入れられた錠剤裁断片が接触しながら移動する接触面７４を含む上面と、前記上面に向かって開口し且つ前記接触面の周囲に設けられて前記縦孔から出た錠剤屑６を収容する１以上の凹み（７１，７２）と、錠剤裁断片を下方に落下させる落下通路７３を備えた錠剤屑回収部材７０が設けられている。錠剤屑回収部材７０の上面と搬送体６２との間には、搬送体６２の移動を許容し且つ錠剤屑６は通すが錠剤裁断片５は通さない間隙Ｇが形成されている。

　そして錠剤屑回収部材７０は、箱体２１から引き出して取り出せるようになっているのが好ましい。このようにすると錠剤屑回収部材の凹みに溜まった錠剤屑を処分する作業が容易かつ迅速に行えることとなる。

　錠剤導入構造３０は、錠剤受入部から錠剤裁断機構４０の裁断位置４１に錠剤を落下させる錠剤落下案内路３１を備えているのが好ましい。また搬送体駆動機構（１１，６１）は、回転軸６１を中心にして搬送体６２を回転させて、縦穴６３を錠剤裁断片５の受入位置（６４）から排出位置（６５）の上に回転移動させた後、受入位置に戻すように構成されているのが好ましい。このようにすると繰り返し、錠剤を分割して、しかも錠剤屑を回収できる。

　接触面７４は、回転軸６１の周囲に円弧状に形成されており、１以上の凹みは、接触面の内側に位置する１以上の第１の凹み７１と接触面７４の外側に位置する１以上の第２の凹み７２とを含んでいるのが好ましい。このようにすると、錠剤屑の大部分を凹み内に回収することができる。

　錠剤屑回収部材の下には、該錠剤屑回収部材を箱体２１から引出可能に支持し、且つ落下通路６７を備えた支持部材６６が配置されているのが好ましい。このよう支持部材６６を設けると、落下通路６７を確実に形成することができる。

　さらに裁断機構は、裁断位置に進退することで裁断位置にある錠剤を上下に裁断する可動刃と、箱体に固定されて可動刃と協働して錠剤を裁断する固定刃と、裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、裁断位置の上へ進退することでそこの錠剤を押さえる上部進退部材とを具備しているのが好ましい。このようにすると上部進退部材と可動刃と下部進退部材とで上下３点支持の如き錠剤保持が行われることから、可動刃が錠剤に当接したときは勿論のこと切り込むとき更には錠剤が上下に分かれるときまで錠剤の姿勢が安定するので、錠剤の裁断面に発現する乱れが小さく抑えられる。

　また可動刃と対向する固定刃が箱体の外板部分に装着されており、外板部分が透明になっていることが好ましい。このようにすれば。可動刃に固定刃を対向させて可動刃だけの構成よりも裁断精度を高めるとともに、箱体の外板部分を透明にしたことにより、裁断機構を含む内部機構の動作状態等を外部から目視することができる。また透明な外板部分に固定刃を装着したことにより、裁断機構のうち相対的に簡素な部分が目視側に位置するため、内側に隠される部分が少ないので、裁断機構の多くの部分を目視で確認することができる。

（ａ）は本発明の実施の形態の錠剤分割装置の正面図、（ｂ）は錠剤屑回収部材を引き出した錠剤分割装置の斜視図である。（ａ）は裁断機構の正面図、（ｂ）は裁断機構の要部の右側面図、（ｃ）は裁断機構の要部のの正面図、（ｄ）及び（ｅ）は裁断機構の変形例の要部に係る正面図である。（ａ）は裁断片排出機構と錠剤屑回収部材を組み合わせた状態の斜視図であり、（ｂ）は図３（ａ）の主要部の分解斜視図であり、（ｃ）は裁断片排出機構と錠剤屑回収部材の構造を示す図であり、（ｄ）乃至（ｆ）は裁断片の排出動作と錠剤屑の回収状況を説明するために用いる展開斜視図である。具体的に構成した図１の実施の形態の錠剤分割装置の主要部の分解斜視図である。（ａ）は具体的に構成した図１の錠剤分割装置の縦断面図であり、（ｂ）は図５（ａ）のＢ部の拡大図である。（ａ）は図５のVI－VI線断面図であり、（ｂ）は図６（ａ）のＢ部の拡大図である。（ａ）～（ｉ）は、裁断機構の動作状態を説明するために用いる図である。

　以下図面を参照して本発明の錠剤分割装置の実施の形態について、説明する。

　図１～図６に示した実施の形態の図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，カム機構等の伝動部材の詳細，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。

　図１（ａ）は、本発明の実施の形態の錠剤分割装置２０と装着先のベース部１０を上下に離して示した正面図であり、図１（ｂ）は、錠剤分割装置２０の斜視図である。また、図２（ａ）は、裁断機構４０の正面図であり、図２（ｂ）は、裁断機構４０の要部（４１～４５）の右側面図であり、図２（ｃ）は、裁断機構の主要部（進退部材４３～４５）の正面図であり、図２（ｄ）と（ｅ）は、裁断機構の主要部（進退部材４３～４５）の変形例に係る正面図である。さらに、図３（ａ）は、裁断片排出機構６０と錠剤屑回収部材７０の斜視図であり、図３（ｂ）は、その展開図であり、図３（ｃ）は、裁断片排出機構６０の搬送体である円板６２の下面と錠剤屑回収部材７０の上面の接触面７４との間隙Ｇを示す縦断面図である。

　この錠剤分割装置２０（図１参照）は、薬剤分包機搭載タイプのうち置換タイプのものであり、薬剤分包機において隣り合っている二つの錠剤フィーダのベース部１０，１０に搭載されるようになっている（例えば特許文献６参照）。本例の構成では、特許文献６に記載の錠剤分割装置と同様に、後述する回転軸６１は、一方のベース部１０のスプライン軸１１に連結されている。したがって錠剤カセット２３内のロータ２４は、スプライン１１によって駆動される回転軸６１によって回転駆動される。

　なお錠剤分割装置２０の回転軸６１をベース部１０のスプライン軸１１には連結せずに、ベース部１０を介して図示しない電源や制御装置とケーブル接続して、回転軸６１の動作に必要な電力や制御信号を受けるようにしてもよい。

　先ず全体構成について説明すると、錠剤分割装置２０は、錠剤フィーダのカセット二個分の箱体２１と、それに装備された錠剤カセット２３と、錠剤導入機構３０と、裁断機構４０と、駆動機構５０と、裁断片排出機構６０と錠剤屑回収部材７０とを備えている。これらのうち駆動機構５０のモータからなる駆動部材５１とそれに付設された図示しない駆動回路は［図１（ａ）参照］、箱体２１の左半分に収められている。駆動機構５０により駆動される被駆動機構５２（カム機構５３）［図２（ｂ），図４，図６（ａ）参照］と、その他の駆動を受ける従動機構は（図１、図４参照）、箱体２１の右半分に収められている。

　箱体２１の右半部には、錠剤カセット２３、錠剤導入機構３０、従動機構２３、裁断機構４０、駆動機構５０、裁断片排出機構６０及び錠剤屑回収部材７０がその順で上下に並べて設けられている（図１参照）。カム機構５２は裁断機構４０の後方に配置されており［図２（ｂ）参照］、駆動部材５１が回転駆動を行うと、カム機構５２と裁断機構４０が所定の連動動作を行う。そして裁断片排出機構６０の円板６２の回転中心から回転軸６１が上方に伸びており、スプライン１１によって回転軸６１が駆動されると、［図３（ａ）参照］、回転軸６１の上端部が錠剤カセット２３のロータ２４の回転中心に連結されているので（図示せず）、錠剤カセット２３と裁断片排出機構６０とが連動して所定の動作を行う。

　各部を詳述すると（図１参照）、錠剤カセット２３は、薬剤分包機の錠剤フィーダ格納庫に多数搭載される通常の錠剤カセットに準じた構造のものでよく、内部の錠剤収容空間にロータ２４が回転可能に収められている。錠剤落下口２６の上方には仕切部材２５が装着されていて、ロータ２４の回転に伴って多数の収容錠剤から錠剤４を一つずつ錠剤落下口２６へ送り込んで落下させるようになっている。ロータ２４は箱体２１の上部に収まるよう小形化されており、特に背が低くなっているので、収容可能な錠剤の個数は少なくなっている。最上位置の蓋２３ａは、揺動式の薄板状体を例示したが［図１（ｂ）参照］、蓋２３ａは、浅いキャップ状のものでもよく、着脱式のものであってもよい。

　また、図示は割愛したが、ロータ２４の周縁部に形成された錠剤区分用の区画室は、錠剤の裁断タイミングや錠剤裁断片の排出タイミングと同期を取りやすいよう、二つ形成されている。やはり図示は割愛したが、錠剤落下口２６が一つだけなのに対し、仕切部材２５は、区画室の詰まり防止等のため、区画室と同数個が配設されている。

　錠剤導入構造３０は、上端が上述の錠剤落下口２６の下端の所かその直下に位置し、下端が裁断機構４０の上端の所かその直上に位置した錠剤落下案内路３１を主体としたものである。錠剤落下案内路３１は、重力による錠剤４の落下を利用することで、上述した上方の錠剤落下口２６から落下して来た錠剤を受け入れて後述する下方の裁断位置４１へ導く。

　裁断機構４０は（図１，図２参照）、裁断位置４１の錠剤４を上下に裁断するためのものであり、固定刃４２と可動刃４３と下部進退部材４４と上部進退部材４５とを具備している。可動刃４３と下部進退部材４４と上部進退部材４５とは、駆動機構５０のモータによって駆動されるカム５３（図４）を含むカム機構５２によって駆動されて、それぞれ前進や後退を行うようになっている［図２（ｂ）、図７参照］。

　可動刃４３は［図２（ｂ）及び（ｃ）参照］、横長の刃先を前方に向けて裁断位置４１の後方に配置されている。可動刃４３は、カム機構５２によって駆動されると刃先を前方の裁断位置４１の中段に進退させることで、裁断位置４１の錠剤４を上下に裁断する。可動刃４３を駆動するためのカム機構５２の主要構造は、特許文献６のＷＯ２０１８／１２８１９０に詳しく説明されているので、説明は省略する。

　固定刃４２は［図２（ａ）～（ｃ）参照］、箱体２１の外板部分２２に固定して取り付けられている。固定刃４２は、横長の刃先を後方に向けて裁断位置４１の直前に位置しており、上述の可動刃４３に対して刃先同士を対向させている。

　下部進退部材４４は［図２（ａ）～（ｃ）、図５及び図６参照］、横長の受板部を前方に向けて裁断位置４１の後方に配置されている。下部進退部材４４は、前進駆動されると受板部を前方の裁断位置４１の直下に進出させることで、錠剤４を支承して裁断位置４１に保持し、後退駆動されると受板部を裁断位置４１の直下から退かせることで、錠剤４やその錠剤裁断片５を落下させて排出するようになっている。下部進退部材４４は、特許文献６のＷＯ２０１８／１２８１９０において、開閉板（６５）としてその動作が説明されている。

　上部進退部材４５は［図２（ａ）～（ｃ）参照］、少し短めだがやはり横長の押板部を前方に向けて裁断位置４１の後方に配置されている。上部進退部材４５は、前進駆動されると押板部４５ａを前方の裁断位置４１の直上に進出させることで、錠剤４の浮き上がりを抑制して裁断位置４１に錠剤４を安定維持する。上部進退部材４５は、後退駆動されると押板部４５ａを裁断位置４１の直上から後方に退かせることで、次の錠剤４が裁断位置４１へ落下するのを可能にする。上部進退部材４５とカム機構５２との間にバネ等の弾性部材が介装されていることから、前進時に錠剤４の上端部に当接した場合は当接位置にとどまるので、裁断位置４１で錠剤４の姿勢が多少乱れていたとしても、錠剤４を傷めることなく安定させるようになっている。

　固定刃４２は箱体２１のうち裁断機構４０の前方に位置する外板部分２２に装着されている。そのため、保守作業時など必要なときには、外板部分２２を箱体２１から外すと、それと一緒に固定刃４２は箱体２１から取り外されるようになっている。また、箱体２１は、少なくとも外板部分２２のうち裁断位置４１に対向する部分が、例えば硬質アクリル等の透明な部材からなり、錠剤裁断状況が外から目視できるようになっている。

　なお、上部進退部材４５の前端に位置する押板部４５ａは、作りやすく而も丈夫であるが［図２（ｃ）参照］、錠剤４を優しく押さえても転がらないよう複数の線状部材を弧状に配設したものでもよい［図２（ｄ）参照］。

　また、可動刃４３は、その左右に立つ側壁４３ａを形成しておく等のことで［図２（ｅ）参照］、錠剤４を切断してできた上下の錠剤裁断片５のうち上のものが左右に位置ずれするのを容易かつ的確に防止することができる。

　駆動機構５０は、電動モータや減速ギヤなどからなる駆動部材５１と［図１（ａ）参照］、駆動部材５１に駆動されると所定の順序で裁断機構４０の可動刃４３と下部進退部材４４と上部進退部材４５とを進退させるカム機構５２とを具備しており［図２（ｂ）、図６（ａ）参照］、カム機構５２のうち少なくとも可動刃４３を駆動する機構は、裁断機構４０の駆動を行うために、裁断機構４０の横であって後方に当たる所に設けられている。進退駆動をカム機構などで具現化することは既に行われているので（例えば特許文献１，４及び６参照）、詳細な図示は割愛して一ブロックで示した。カム機構５２と回転軸６１は、同期して動作するようになっている。

　裁断片排出機構６０は［図１，図３（ａ）～（ｃ）参照］、ロータ２４の回転駆動に関連して上述した回転軸６１及び搬送体としての円板６２と、錠剤屑回収部材７０とそれらを下から保持する支持部材６６とを具備している。支持部材６６の底板の中央には回転軸６１の下端部を軸回転可能に支持する穴６８が形成されている［特に図３（ｂ）参照］。支持部材６６の底板のうち後方部分には、錠剤裁断片５を通過させる錠剤裁断片排出口６７が形成されている。裁断片排出機構６０の搬送体としての円板６２には、周方向に９０度の間隔をあけて四つの縦穴６３が貫通形成されている。回転軸６１の軸回転に従って円板６２が９０゜回転する度に四つの縦穴６３が順送りで位置を替えるようになっている。

　そして、図３（ｄ）～（ｆ）に示すように、正面に来た縦穴６３は錠剤裁断片の受入位置６４に位置し、正面から１８０度回転して後方へ移動した縦穴６３は錠剤裁断片排出位置６５に位置するようになっている。その錠剤裁断片の排出位置６５の下方には支持部材６に設けられた錠剤裁断片排出口６７［図３（ｂ）及び（ｆ）参照］が位置している。

　４つの縦穴６３は、何れも、錠剤裁断片５を通過させるのに十分なだけ大きいものであり、裁断機構４０から錠剤裁断片の受入位置６４に落下して来た錠剤裁断片５が、そこに来ていた縦穴６３に入り込む形状を有している。

　錠剤裁断片の排出位置６５以外の位置にある縦穴６３は、次に詳述する錠剤屑回収部材７０の接触面７４［図３（ｃ）参照］が下に接近していて錠剤裁断片５の更なる落下が止められている。そのためこれらの縦孔６３内の錠剤裁断片５は穴の中に留まっている。円板６２が回転軸６１の駆動によって回転すると、それに伴って排出位置６５以外の位置にある縦穴６３内の錠剤裁断片５は、円弧状の軌跡を描く横移動を行う。そして受入位置６４から１８０度回転すると、縦穴６３中の錠剤裁断片５は錠剤裁断片の排出位置６５へと送られる。

　錠剤屑回収部材７０は［図１，図３（ａ），（ｂ）参照］、裁断片排出機構６０の円板６２と支持部材６６との間に差し込める板状体からなる。錠剤屑回収部材７０は使用時には箱体２１の前面開口２６［図１（ｂ）］から押し込んで裁断片排出機構６０に挿着することができ［図１（ａ），図３（ａ）参照］、清掃時などには箱体２１から引き出して取り出すことができるようになっている。錠剤屑回収部材７０には［図１（ｂ），図３（ｂ）参照］、回転軸６１が貫通する中心領域とその後方を除く上面に浅い凹み７１が形成されており、また上面の四隅の２つの隅部にも浅い２つの凹み７２が形成されている。言い方を変えると、円板６２と箱体２１の下端部との間には、錠剤屑回収部材（７０）が配置されている。錠剤屑回収部材（７０）は、縦孔６３に受け入れられた錠剤裁断片が接触しながら移動する接触面７４を含む上面と、上面に向かって開口し且つ接触面７４の周囲に設けられて縦孔６３から出た錠剤屑６を収容する１以上の凹み（７１，７２）と、錠剤裁断片を下方に落下させる落下通路７３を備えている。また言い方を変えると、接触面７４は回転軸６１の周囲に円弧状に形成されており、１以上の凹みは、接触面の内側に位置する１以上の第１の凹み７１と接触面７４の外側に位置する１以上の第２の凹み７２とを含んでいる。

　さらに錠剤屑回収部材７０には、中央領域から後端の中央に至る切欠７３が形成されている。錠剤屑回収部材７０を箱体２１の前面開口２６に差し込むと［図３（ａ），（ｂ）参照］、切欠７３の幅が回転軸６１の直径より広いので、錠剤屑回収部材７０は回転軸６１と干渉することなく箱体２１内に収まる。また錠剤屑回収部材７０の凹み７１，７２及び切欠７３も裁断片排出機構６０の円板６２と支持部材６６との間に収まる。また錠剤屑回収部材７０を箱体２１内に納めた状態では、錠剤裁断片の排出位置６５に来た縦穴６３と錠剤屑回収部材７０の切欠７３の一部（落下通路）と支持部材６６の錠剤裁断片の排出口６７とが縦一列に並ぶ。この状態では［図３（ａ），（ｂ）参照］、錠剤裁断片の排出位置６５にある縦穴６３を除いた他の３つの縦穴６３は、錠剤屑回収部材７０の上面の接触面７４の上方に位置しており、これら３つの縦穴６３と凹み７１，７２とは上下方向に対向していない。具体的には［図３（ｃ）参照］、円板６２の下面と錠剤屑回収部材７０の上面（特に接触面７４）との間に、小さな間隙Ｇが確保されている。この隙間Ｇを確保することで簡便かつ確実に、錠剤屑は通すが錠剤裁断片は通さない間隙Ｇが凹み７１，７２と縦穴６３との間に確保されるようになっている。

　この実施例１の錠剤分割装置２０について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図７は、裁断機構４０の動作状態を示し、（ａ）～（ｉ）が何れも裁断機構４０の要部（４１～４５）の右側面図である。

　また、図３（ｄ）～（ｆ）は、裁断片排出機構６０と錠剤屑回収部材７０とに係る展開斜視図であり、錠剤裁断片５の排出動作と錠剤屑６の回収状況を示している。本例の錠剤分割装置２０を薬剤分包機に搭載して使用するときは［図１（ａ）参照］、錠剤分割装置２０が薬剤分包機搭載タイプのうちの置換タイプになっているので、錠剤フィーダ格納庫の中で隣り合っている二個のベース部１０，１０を一個の錠剤分割装置２０用に確保しておき、そこに錠剤分割装置２０を載置するとともに［図１（ａ）参照］、ベース部１０を利用して駆動機構５０に給電線や信号線を接続する。またベース部１０のスプライン１１からは回転軸６１に回転力が伝達され、回転軸６１の回転によって、円板６２とロータ２４が回転する。

　その際、候補となる隣接ベース部が薬剤分包機の庫内にしかない場合は、庫内から錠剤分割装置２０の載置先となる隣接ベース部を選出する（例えば特許文献６参照）。これに対し、候補となる隣接ベース部が薬剤分包機の庫部の前面など目視し易いところにも在る場合は（例えば特開２０１６－７３５１８号公報，特開２０１８－１９６７０９号公報，特開２０１９－１１８６５７号公報を参照）、そこを優先して錠剤分割装置２０の載置先を選出する。前面から隣接ベース部が選出できない場合は、次善の策として、開閉などで比較的容易に錠剤フィーダを露出させることができるところから錠剤分割装置２０の載置先を選出する。

　錠剤分割装置２０が薬剤分包機の前面に搭載されれば、外板部分２２等を透かして錠剤裁断状況などの動作状態を何時でも目視で確認することができる。

　錠剤分割装置２０は、薬剤分包機の庫内であれ庫部前面であれ、薬剤分包機に搭載されると、薬剤分包機の制御装置の指示に従って動作する状態になる。さらに、蓋２３ａを開け閉めして錠剤カセット２３に分割対象の錠剤４を適宜個数投入すると、錠剤分割の準備が調う。

　そして、制御装置から錠剤分割装置２０に対して錠剤裁断片５の排出指示か排出準備指示が出されると、錠剤分割装置２０では、当初は裁断位置４１が空いておりその底も開いているので［図７（ａ）参照］、先ず下部進退部材４４が前進して裁断位置４１の底が閉じられて［図７（ｂ）参照］、裁断位置４１に錠剤４を受け入れる態勢が調う。

　また、錠剤カセット２３では、ロータ２４が回転して、仕切部材２５で仕切られた一つの錠剤４が錠剤落下口２６から落下し、更に錠剤４が錠剤落下案内路３１を落下して裁断位置４１に達すると下部進退部材４４によってそこに止め置かれる［図１（ａ），図２（ａ），図７（ｃ）参照］。

　それから、可動刃４３と上部進退部材４５とが前進して上部進退部材４５が錠剤４の上端部を押さえると同時か僅かに遅れて可動刃４３が錠剤４に当接し［図７（ｄ）参照］、錠剤４が固定刃４２と可動刃４３とによって横から強く挟まれるとともに上部進退部材４５と下部進退部材４４とによって軽く上下を抑えられる［図７（ｅ）参照］。

　更に可動刃４３が前進すると可動刃４３の刃先が錠剤裁断片５に食い込み［図７（ｆ）参照］、それから更に可動刃４３が前進する一方で下部進退部材４４が後退すると［図７（ｇ）参照］、錠剤４が裁断されて上下の錠剤裁断片５，５に分かれ、上の錠剤裁断片５は可動刃４３の上に留まるが、下の錠剤裁断片５は先に落下する。

　また、その落下タイミングに合わせて、回転軸６１によってロータ２４と共に回転していた円板６２の縦穴６３の一つが錠剤裁断片の受入位置６４に移動して来るので［図３（ｄ）参照］、先に落下した錠剤裁断片５は錠剤裁断片の受入位置６４に来た縦穴６３に入る。

　そして、その錠剤裁断片５は、縦穴６３の中を通って最下部が錠剤屑回収部材７０の上面の接触面７４に達したところで止まる［図３（ｅ）参照。なお、同図において錠剤裁断片の受入位置６４の縦穴６３と錠剤屑回収部材７０の上面の前寄り部分とに記載された錠剤裁断片５は、その実体が一個のものであるが、部材の展開に伴って重複図示されている］。

　錠剤裁断片５の裁断等にて生じた錠剤屑６も、多くが同様にして錠剤屑回収部材７０の上面に落下する。しかし、錠剤屑６は小さくて錠剤裁断片５の周りに散らばりやすいので、一部の錠剤屑６は、直ちに、錠剤屑回収部材７０の上面から間隙Ｇを通って［図３（ｃ）参照］、凹み７１，７２に入り込む。

　それから、錠剤裁断片５は円板６２の回転に伴って引きずられるようにして錠剤屑回収部材７０の上面の接触面７４を擦りながら弧状に移動する。そうすると、錠剤屑回収部材７０の上面に残った錠剤屑６は、錠剤裁断片５によって少し引きずられるものもあるが、多くが円板６２の回転移動によって散らされるので、錠剤屑回収部材７０の上面から間隙Ｇを通って［図３（ｃ）参照］、凹み７１，７２に入り込むものが現れる。一度や少数回の円板６２の回転移動による散らしでは凹み７１，７２に入らないで錠剤屑回収部材７０の上面に残った錠剤屑６も、後続の錠剤裁断片５との接触によりによって散らされるか、円板６２の回転移動に伴う振動によって、いずれは大半が凹み７１，７２に入り込む。

　そのようにして円板６２の回転により錠剤裁断片５が錠剤裁断片の受入位置６４から排出位置６５側に移動した後、裁断機構４０の可動刃４３と上部進退部材４５も後退すると［図７（ｈ）参照］、裁断位置４１に残っていた上の錠剤裁断片５が裁断位置４１から落下して［図７（ｉ）参照］、裁断機構４０が初期状態に復帰する［図７（ａ）参照］。この後の動作は、上述した下の錠剤裁断片５の落下のときと同様なので簡潔に述べるが、上の錠剤裁断片５の落下タイミングに合わせて、隣の縦穴６３が錠剤裁断片の受入位置６４に横移動し、そこへ、後から落下した錠剤裁断片５が入る。そして、その錠剤裁断片５も、縦穴６３にとどまりつつ錠剤屑回収部材７０の上面に達し、その錠剤裁断片５と共に落下した錠剤屑６も錠剤屑回収部材７０の上面に達する。しかし、錠剤屑６は、前述と同様に、散らばって、一部が凹み７１，７２の中に収まる。

　制御装置からの指示が排出指示の場合は錠剤分割装置２０が引き続き作動するが、制御装置からの指示が排出準備指示の場合は、この状態で錠剤分割装置２０が一旦動作を停止し、排出指示を待って動作を再開する。

　そして、継続であれ再開であれ以後も、上述したのと同様の動作が繰り返されて、次の錠剤４に対する錠剤落下と錠剤裁断と錠剤裁断片５の落下および横移動とが行われる。

　もっとも、以後の状態では、最初に縦穴６３に入った錠剤裁断片５が、錠剤裁断片の受入位置６４から錠剤裁断片の排出位置６５への途中にとどまっており、次に縦穴６３に入った錠剤裁断片５が錠剤裁断片の受入位置６４にとどまっているので、次の錠剤４を裁断してできた下の錠剤裁断片５が横移動されるときに、錠剤裁断片の受入位置６４に在った錠剤裁断片５は錠剤裁断片の受入位置６４から錠剤裁断片の排出位置６５への途中位置へ移動させられ、錠剤裁断片の受入位置６４から錠剤裁断片の排出位置６５への途中にとどまっていた錠剤裁断片５は、錠剤裁断片の排出位置６５へ移動させられる［図３（ｆ）参照］。なお図３（ｆ）において、錠剤裁断片の排出位置６５と切欠７３と錠剤裁断片排出口６７との三箇所に記載された錠剤裁断片５の実体は一個であり、途中位置の縦穴６３と凹み７１の左側部分とに記載された錠剤裁断片５も実体は一個である。何れの錠剤裁断片５も部材の展開に伴う重複図示である。

　そして、途中位置から錠剤裁断片の排出位置６５へ移動した錠剤裁断片５は、移動の最後に切欠７３に到達するので、そこから落下して錠剤裁断片排出口６７を通過し、錠剤分割装置２０から排出され、搭載先の薬剤分包機の分包に供される。

　こうして、錠剤分割装置２０は、排出指示を受ける度に円板６２とロータ２４とを９０゜回転させて一個の錠剤裁断片５を排出する。ロータ２４は１８０゜回転するたびに、１つの錠剤４を裁断位置４１へ送り込んで、錠剤裁断装置２０は錠剤４を上下の錠剤裁断片５，５に分割する。裁断後に円板６２が９０度回転すると縦孔６３に落ちた下側の錠剤裁断片５は、接触面７４上を９０度移動し、上側の錠剤裁断片は次の縦孔６３内に落ちる。更に円板６２が９０度回転すると（結果としてロータ２４が１８０度回転すると）次の錠剤の裁断位置への送り込み、裁断動作が行われる。この動作の結果、指示された時期に一つずつ錠剤裁断片５を供給することができる。しかも、先の錠剤裁断片５の供給時には錠剤屑回収部材７０の上面に残っていた錠剤屑６まで、殆どの錠剤屑６が、後続の錠剤裁断片５の供給時には凹み７１，７２に収められる。

　また、そのような動作中に或いは動作停止時に、箱体２１の透明な外板部分２２から内部を覗いて裁断機構４０の状態を目視する。異常の有無を調べて、異常があれば外板部分２２と共に裁断機構４０を箱体２１から取り出して、修理や交換など適切な処置を施す。

　このように本実施の形態では、外板部分２２を透明にして、目視で簡便に錠剤裁断状況を確認することが可能なので、錠剤分割装置２０は、裁断機構４０の不具合をいち早く発見することができて、錠剤裁断を良好な状態に維持するのが無理なく行えるものとなっている。

　更に、錠剤分割装置２０が動作を停止している適宜な時期に、錠剤屑回収部材７０を箱体２１から引き出すと［図１（ｂ）参照］、凹み７１における錠剤屑６の溜まり具合が目視で確認できるので［図３（ｆ）参照］、汚れているときには凹み７１等を綺麗に清掃してから、錠剤屑回収部材７０を箱体２１の中に戻す［図１（ａ），図３（ａ）参照］。

　このような錠剤屑回収部材７０によって錠剤屑６が能率よく捕集されるので、錠剤分割装置２０は、その最下段の錠剤裁断片検出用センサやそれより下の錠剤収集機構などに付着する粉塵まで少なくなるという効果をも奏するものとなっている。

　［その他］
　上記の実施例では薬剤分包機搭載タイプのうち置換タイプの錠剤分割装置を示したが、本発明の錠剤分割装置は、薬剤分包機搭載タイプのうち付加タイプで具現化してもよく、独立タイプのものとして具現化してもよい（例えば特許文献１～６参照）。

　上記の実施例では錠剤カセット２３が錠剤分割装置２０の箱体２１に固定状態で組み込まれていたが、錠剤カセット２３は錠剤分割装置２０と別体にして錠剤分割装置２０の箱体２１に着脱されるようにしてもよい（例えば特許文献６参照）。

　上記実施例では、駆動部材５１に係る給電ケーブルを錠剤フィーダのベース部１０の給電部に対して直接的に接続したが、間接的に接続してもよい。間接的な接続を行う場合には、例えば、薬剤分包機の内部で電源等とベース部１０との間に予め敷設されているケーブルに未使用の電線が有ればそれを流用したり、ケーブルの追加や交換にて電線を増やしたりして薬剤分包機の電源等と錠剤分割装置２０を搭載予定のベース部１０との間で使用可能電線の接続を予め確立しておく。更に各使用可能電線の端子をベース部１０の上端部に配しておくとともに、駆動部材５１に係る電線の端子を箱体２１の下端部に配しておく等のことにより、錠剤分割装置２０の隣接ベース部１０，１０への搭載に随伴して駆動部材５１までも動作可能になる。

　本発明の錠剤分割装置は、上述したように錠剤フィーダのベース部に載置する態様で錠剤分包機等の自動調剤機に組み込んで使用することができる（例えば特許文献６参照）。しかし本発明の錠剤分割装置は、その他、単体の錠剤フィーダから下方へ延びた錠剤落下経路や，複数の錠剤フィーダの錠剤落下経路が下方で合流した後の錠剤収集経路に，錠剤導入機構を連結して使用することもできる（例えば特許文献１参照）。さらには、スタンドアローンで使用することもできる（例えば特許文献２～５参照）。

　本発明によれば、簡素な手段にて錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を実現することができる。

　４　錠剤
　５　錠剤裁断片
　６　錠剤屑
　１０　ベース部（錠剤フィーダ）
　１１　スプライン軸
　２０　錠剤分割装置
　２１　箱体
　２２　外板部分
　２３　錠剤カセット（錠剤フィーダ）
　２３ａ　蓋
　２４　ロータ
　２５　仕切部材
　２６　錠剤落下口
　３０　錠剤導入機構
　３１　錠剤落下案内路
　４０　裁断機構
　４１　裁断位置
　４２　固定刃
　４３　可動刃
　４３ａ　側壁
　４４　下部進退部材
　４５　上部進退部材
　５０　裁断駆動機構
　５１　駆動部材
　５２　カム機構
　６０　裁断片排出機構
　６１　回転軸
　６２　円板
　６３　縦穴
　６４　錠剤裁断片の受入位置
　６５　錠剤裁断片の排出位置
　６６　支持部材
　６７　錠剤裁断片排出口
　７０　錠剤屑回収部材
　７１　凹み
　７２　凹み
　７３　切欠
　７４　接触面
　Ｇ　間隙

Claims

　落下して来た錠剤を受け入れて、裁断位置へ前記錠剤を案内する錠剤導入構造と、
　前記裁断位置において前記錠剤を裁断する裁断機構と、
　前記裁断機構の駆動を行う裁断駆動機構と、
　前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構を収めた箱体とを備え、
　錠剤導入構造から落下して来た前記錠剤を分割する錠剤分割装置において、
　前記箱体の上端部には、前記錠剤を受け入れる錠剤受入部が設けられており、
　前記箱体の下端部には前記排出位置から前記錠剤裁断片を送り出す錠剤裁断片排出口が開口しており、
　前記裁断片排出機構は、前記錠剤裁断片を前記排出位置の上に搬送する搬送体と、前記搬送体を駆動する搬送体駆動機構を備えており、
　前記搬送体には前記錠剤裁断片を受け入れる１以上の縦穴が前記搬送体を貫通するように形成され、且つ前記搬送体駆動機構は、前記縦穴を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置の上に移動させるように前記搬送体を移動させるように構成されており、
　前記搬送体と前記箱体の前記下端部との間には、前記縦孔に受け入れられた前記錠剤裁断片が接触しながら移動する接触面を含む上面と、前記上面に向かって開口し且つ前記接触面の周囲に設けられて前記縦孔から出た錠剤屑を収容する１以上の凹みと、前記錠剤裁断片を下方に落下させる落下通路を備えた錠剤屑回収部材が設けられており、
　前記錠剤屑回収部材の前記上面と前記搬送体との間には、前記搬送体の移動を許容し且つ前記錠剤屑は通すが前記錠剤裁断片は通さない間隙が形成されており、
　前記裁断機構が、前記裁断位置に進退することで前記裁断位置にある前記錠剤を上下に裁断する可動刃と、前記箱体に固定されて前記可動刃と協働して前記錠剤を裁断する固定刃と、前記裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、前記裁断位置の上へ進退することでそこの錠剤を押さえる上部進退部材とを具備していることを特徴とする錠剤分割装置。
　落下して来た錠剤を受け入れて、裁断位置へ前記錠剤を案内する錠剤導入構造と、
　前記裁断位置において前記錠剤を裁断する裁断機構と、
　前記裁断機構の駆動を行う裁断駆動機構と、
　前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構を収めた箱体とを備え、前記錠剤導入構造から落下して来た前記錠剤を分割する錠剤分割装置において、
　前記箱体の上端部には、前記錠剤を受け入れる錠剤受入部が設けられており、
　前記箱体の下端部には前記排出位置から前記錠剤裁断片を送り出す錠剤裁断片排出口が開口しており、
　前記裁断片排出機構は、前記錠剤裁断片を前記排出位置の上に搬送する搬送体と、前記搬送体を駆動する搬送体駆動機構を備えており、
　前記搬送体には前記錠剤裁断片を受け入れる１以上の縦穴が前記搬送体を貫通するように形成され、且つ前記搬送体駆動機構は、前記縦穴を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置の上に移動させるように前記搬送体を移動させるように構成されており、
　前記搬送体と前記箱体の前記下端部との間には、前記縦孔に受け入れられた前記錠剤裁断片が接触しながら移動する接触面を含む上面と、前記上面に向かって開口し且つ前記接触面の周囲に設けられて前記縦孔から出た錠剤屑を収容する１以上の凹みと、前記錠剤裁断片を下方に落下させる落下通路を備えた錠剤屑回収部材が設けられており、
　前記錠剤屑回収部材の前記上面と前記搬送体との間には、前記搬送体の移動を許容し且つ前記錠剤屑は通すが前記錠剤裁断片は通さない間隙が形成されていることを特徴とする錠剤分割装置。
　前記錠剤屑回収部材が前記箱体から引き出して取り出せるようになっていることを特徴とする請求項１または２に記載の錠剤分割装置。
　前記錠剤導入構造は、前記錠剤受入部から前記錠剤裁断機構の前記裁断位置に前記錠剤を落下させる錠剤落下案内路を備えており、
　前記搬送体駆動機構は、回転軸を中心にして、前記縦穴を形成した搬送体を回転させて、前記縦孔を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置の上に回転移動させた後、前記受入位置に戻す請求項１に記載の錠剤分割装置。
　前記接触面は、前記回転軸の周囲に円弧状に形成されており、
　前記１以上の凹みは、前記接触面の内側に位置する１以上の第１の凹みと前記接触面の外側に位置する１以上の第２の凹みとを含んでいる請求項１に記載の錠剤分割装置。
　前記錠剤屑回収部材の下には、該錠剤屑回収部材を前記箱体から引出可能に支持し、且つ前記落下通路を備えた支持部材が配置されている請求項１に記載の錠剤分割装置。
　落下して来た錠剤を受け入れて、裁断位置へ前記錠剤を案内する錠剤導入構造と、
　前記裁断位置において前記錠剤を裁断する裁断機構と、
　前記裁断機構の駆動を行う裁断駆動機構と、
　前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構を収めた箱体とを備え、落下して来た前記錠剤を分割する錠剤分割装置において、
　前記裁断機構は、前記裁断位置に進退することで前記裁断位置にある前記錠剤を上下に裁断する可動刃と、前記裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、前記裁断位置の上へ進退することで前記裁断位置の錠剤を押さえる上部進退部材とを具備していることを特徴とする錠剤分割装置。
　前記箱体に固定されて前記可動刃と協働して前記錠剤を裁断する固定刃をさらに備えている請求項７に記載の錠剤分割装置。
　前記可動刃と対向する固定刃が前記箱体の外板部分に装着されており、前記外板部分が透明になっていることを特徴とする請求項３に記載された錠剤分割装置。
　落下して来た錠剤を受け入れて裁断位置へ導く錠剤導入構造と、前記裁断位置の錠剤を裁断する裁断機構と、前記裁断機構の駆動を行う裁断駆動機構と、前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構と、前記裁断機構と前記裁断片排出機構とを収める箱体とを備えた錠剤分割装置において、
　前記錠剤裁断片を受け入れる縦穴が前記裁断片排出機構に貫通形成されており、
　前記裁断片排出機構が前記縦穴を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置へ移動させるようになっており、
　上面に１以上の凹みが形成された錠剤屑回収部材が設けられており、
　前記錠剤屑回収部材を前記裁断片排出機構の下にして前記箱体に装着すると前記裁断片排出機構の前記縦穴と前記錠剤屑回収部材の前記凹みの周囲にある接触面との間に錠剤屑は通すが前記錠剤裁断片は通さない間隙が確保されるように前記裁断片排出機構と前記錠剤屑回収部材が構成されていることを特徴とする錠剤分割装置。