WO2011155358A1 - 5量体crpの製造方法、5量体crpを製造する遺伝子組換えカイコとその製造方法、単量体イヌcrpをコードするdna及びそのdnaを含む発現ベクター - Google Patents

5量体crpの製造方法、5量体crpを製造する遺伝子組換えカイコとその製造方法、単量体イヌcrpをコードするdna及びそのdnaを含む発現ベクター Download PDF

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Abstract

 単量体CRPをコードするDNAをカイコに導入して遺伝子組換えカイコを作成し、次いで、作成した遺伝子組換えカイコが製造する5量体CRPを回収、精製することで、5量体CRPを高効率で製造する。

Description

5量体CRPの製造方法、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコとその製造方法、単量体イヌCRPをコードするDNA及びそのDNAを含む発現ベクター
 本発明は、カイコを用いた5量体CRP(C-Reactive Protein;C反応性タンパク質)の製造方法に関する。本発明は更に、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコ及びその製造方法に関する。本発明は、また、単量体イヌCRPをコードするDNA及びそのDNAを含む発現ベクターに関する。
 CRPは、5つの単量体CRPが非共有結合的に結合して形成される5量体CRPの状態で活性を有するタンパク質である。生体内において、ほとんどのCRPは5量体CRPとして存在する。なお、以下本明細書において、特に指定しない場合には、CRPは5量体CRPを意味するものとする。
 臨床検査分野において、CRPは、急性炎症又は急性の組織崩壊で増加する急性期タンパク質の一種であり、代表的な炎症マーカーとして知られている。CRPの定量は、炎症・組織障害を起こす種々の疾患の活動性・重症度・経過をみる際に不可欠である。従って、病院、臨床検査センター等において、CRPはルーチンで測定されている。この際に用いられるCRP測定キットには標準CRP溶液が含まれる場合が多く、多量のCRPが日々消費されている。そのため、高純度かつ安価なCRPの製造が求められている。
 高純度なCRPを製造するために遺伝子工学的な手法の利用が検討されている。遺伝子工学的なCRPの製造方法としては、大腸菌を宿主としたもの(特許文献1)が唯一商業的に実現されている。
米国特許第5702921号明細書
 遺伝子工学的な手法を用いて高純度でありかつ現状より安価なCRPを製造するためには、宿主のCRP産生効率を向上させるとともに、宿主が産生するCRPの回収に要するコストを低減する必要がある。これらを実現するために、従来の宿主よりもCRPの製造に適した宿主を探索しなければならない。
 すなわち、特許文献1に記載された大腸菌を宿主としたCRPの製造方法では、kil遺伝子の作用により本来ならばペリプラズム領域に蓄積するCRPを菌体外に分泌させている。CRPを培地に分泌させることでCRPの精製を容易にし、CRP回収のコスト低減を図っている。しかしながら、kil遺伝子を過剰発現させた菌株は一般的に高密度培養に適さない(Yoon,S.H. et al.,Recent Pat. Biotechnol.,4,23-29,2010)。そのため、高純度のCRPを得るための濃縮・精製作業が煩雑となり、CRP産生効率のさらなる向上を実現することが困難である。
 この実状に鑑み、本発明の課題は、5量体CRPを高効率で製造可能な新たな5量体CRPの製造方法、5量体CRPの製造に適した遺伝子組換えカイコとその製造方法、単量体イヌCRPをコードするDNA及びそのDNAを含む発現ベクターを提供することにある。
 本発明者らは、前記した課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、驚くべきことに、分泌を促進するようなkil遺伝子などを共発現することなくかつ非共有結合により形成される5量体構造と活性を維持した状態で、遺伝子組換えカイコが5量体CRPを発現し分泌させて高効率で製造し、また、製造された5量体CRPを遺伝子組換えカイコから容易に回収可能なことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
 従って、本発明は、以下の[1]から[25]に挙げる、5量体CRPの製造方法、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコとその製造方法、単量体イヌCRPをコードするDNA及びそのDNAを含む発現ベクターに関する。
 [1].5量体CRPの製造方法であって、単量体CRPをコードするDNAが導入された遺伝子組換えカイコを作成する作成工程と、作成された遺伝子組換えカイコが製造する5量体CRPを回収する回収工程とを有する5量体CRPの製造方法。
 [2].前記作成工程が、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAとが導入された遺伝子組換えカイコを作成する工程である[1]に記載の製造方法。
 [3].前記作成工程が、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAが導入されたカイコとを交配させて遺伝子組換えカイコを作成する工程である[1]に記載の製造方法。
 [4].前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである[2]又は[3]に記載の製造方法。
 [5].前記回収工程が、作成された遺伝子組換えカイコがその絹糸腺に製造する5量体CRPを回収する工程である[2]から[4]のいずれかに記載の製造方法。
 [6].前記CRPがイヌCRPである[1]から[5]のいずれかに記載の製造方法。
 [7].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである[1]から[6]のいずれかに記載の製造方法。
 [8].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである[1]から[7]のいずれかに記載の製造方法。
 [9].遺伝子組換えカイコであって、単量体CRPをコードするDNAが導入され、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコ。
 [10].遺伝子組換えカイコであって、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAとが導入され、5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコ。
 [11].前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである[10]に記載の遺伝子組換えカイコ。
 [12].前記CRPがイヌCRPである[9]から[11]のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
 [13].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである[9]から[12]のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
 [14].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである[9]から[13]のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
 [15].5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコの製造方法であって、単量体CRPをコードするDNAをカイコに導入する導入工程を含む、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコの製造方法。
 [16].5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコの製造方法であって、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAとをカイコに導入する導入工程を含む、5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコの製造方法。
 [17].前記導入工程が、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAが導入されたカイコとを交配させてDNAが導入されたカイコを作成する工程である、[16]に記載の製造方法。
 [18].前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである[16]又は[17]に記載の製造方法。
 [19].前記CRPがイヌCRPである[15]から[18]のいずれかに記載の製造方法。
 [20].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである[15]から[19]のいずれかに記載の製造方法。
 [21].前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである[15]から[20]のいずれかに記載の製造方法。
 [22].単量体イヌCRPをコードするDNAであって、配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する単量体イヌCRPをコードするDNA。
 [23].前記塩基配列が配列番号4に示される配列を含む塩基配列である[22]に記載の単量体イヌCRPをコードするDNA。
 [24].発現ベクターであって、[22]又は[23]に記載の単量体イヌCRPをコードするDNAの塩基配列を有する発現ベクター。
 [25].前記塩基配列がUASの下流に機能的に結合している[24]に記載の発現ベクター。
 なお、本発明において5量体CRPとは、5つの単量体CRPが非共有結合的に結合して形成される5量体であり、生体内で活性を有するものをいう。ここで、生体内で活性を有するとは、好ましくは、臨床検査分野で利用されるCRP測定キットに含まれるキャリブレーターとして、また、CRP測定キットに含まれる抗CRP抗体を作成する際に抗原として、血清由来のCRPと同様に機能し使用し得ることを指す。
 また、本発明において「プロモーターの下流に機能的に結合した」とは、プロモーターに転写因子が結合することによってプロモーターの下流に存在するDNAの発現が誘導されるように、プロモーターとDNAが結合していることをいう。ここで、DNAが他の遺伝子と結合し、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、プロモーターに転写因子が結合することによって、この融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、そのDNAはそのプロモーターの下流に機能的に結合しているものとする。
 本発明の5量体CRPの製造方法により、血清由来CRPと同等の活性を有する5量体CRPを高効率で製造可能である。とりわけ本発明の5量体CRPの製造方法では、遺伝子組換えカイコが5量体CRPを発現し分泌するため、5量体CRPの回収が容易である。本発明の5量体CRPの製造方法により製造されるCRPは、臨床検査分野で利用されるCRP測定キットに含まれるキャリブレーターとして非常に有用である。また、本発明により製造されるCRPは、CRP測定キットに含まれる抗CRP抗体を作成する際に抗原として利用することができる。
pBac-UAS-cfCRP-SV40の構造を示した図である。 本発明の製造方法により得られるカイコ産生イヌCRPの希釈系列と対照であるイヌ血清由来CRPの希釈系列とをイヌCRP測定ELISAキットで測定したときの希釈直線性を示した図である。横軸が原液の濃度を1とした場合の希釈液の濃度(n/16、0≦n≦16)を表している。縦軸がCRP濃度(ng/ml)を表している。黒丸がカイコ産生イヌCRPの希釈直線性を示し、白丸がイヌ血清由来CRPの希釈直線性を示している。 本発明の製造方法により得られるカイコ産生イヌCRPと対照であるヒト血清由来CRPとをSuperdex200ゲルろ過クロマトグラフィーにかけた結果を示した図である。横軸が溶出時間(分)を表している。縦軸が各溶出画分中に含まれるイヌCRP又はヒトCRPの量(全溶出画分中に含まれるCRP量に対する割合:重量%)を表している。黒丸及び実線がカイコ産生イヌCRPに対するゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示し、白菱形及び破線がヒト血清由来CRPに対するゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示している。
 本発明の5量体CRPの製造方法により製造されるCRPとしては、例えば、ヒト、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、ブタ、トリ、ネコなどに由来するCRPが挙げられる。その中でも、ヒト由来のCRP、又はイヌ又はネコ等の観賞用動物由来のCRPが好ましく、イヌ又はネコ由来のCRPがより好ましく、イヌ由来のCRPが特に好ましい。臨床検査分野においてヒトCRPの需要が高く、また近年のペット医療の発展からイヌCRPやネコCRP等の観賞物用動物由来のCRPの需要も高まりつつあるためである。特にイヌやネコ等の観賞用動物の血清由来のCRPは供給量が少なく、高まりつつある需要に見合っていないのが現状である。その中でも、ペットとしての普及度から、イヌ又はネコCRPは需要と供給の不均衡が極めて大きい。本発明の5量体CRPの製造方法によりヒトCRP、イヌCRP、ネコCRP又はその他の観賞用動物由来のCRPを高効率で製造することでこれらの需要に対応することが可能となる。とりわけ、イヌCRPは遺伝子工学的な製造方法が確立しておらず、本発明の5量体CRPの製造方法によりイヌCRPの高効率製造を可能にすることの意義が大きい。
 本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAは、前述した本発明の5量体CRPの製造方法により製造されるCRPの単量体をコードするDNAである。好ましくは、ヒトCRP又はイヌCRPの単量体をコードするDNAであり、より好ましくは単量体イヌCRPをコードするDNAである。
 ここで、単量体イヌCRPをコードするDNAとして、好ましくは配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられ、より好ましくは配列番号4に示される塩基配列を含むDNAが挙げられる。また、単量体ヒトCRPをコードするDNAとして、好ましくは配列番号7に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられ、より好ましくは配列番号9に示される塩基配列を含むDNAが挙げられる。
 なお、配列番号1又は7で示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAには、このアミノ酸配列に、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 また、配列番号4又は9に示される塩基配列には、それがコードするタンパク質が機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個の塩基の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有する塩基配列が含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 配列番号1に示される単量体イヌCRPのアミノ酸配列と配列番号7に示される単量体ヒトCRPのアミノ酸配列との配列相同性は60%である。また、配列番号4に示される単量体イヌCRPの塩基配列と配列番号9に示される単量体ヒトCRPの塩基配列との配列相同性は60%である。
 ここで、配列相同性は、EBIの提供するCLUSTALW2ツールを用いた、デフォルトの条件下でのペアワイズアラインメントから算出することができる。
 本明細書において、「機能的に同等」とは、変異を有しないアミノ酸配列からなるタンパク質/ポリペプチドと、変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質/ポリペプチドとが、同様の生物学的あるいは生化学的活性を有することを意味する。ここで、同様の生物学的あるいは生化学的活性とは、具体的には、臨床検査分野で利用されるCRP測定キットに含まれるキャリブレーターとして、また、CRP測定キットに含まれる抗CRP抗体を作成する際に抗原として、血清由来のCRPと同様に機能し使用し得ることを指す。
 本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAは、シグナルペプチドを有する単量体CRPをコードするDNAであることがより好ましい。シグナルペプチドを有することで、本発明の5量体CRPの製造方法により製造される5量体CRPの分泌が促進され、5量体CRPの回収が容易となるからである。
 シグナルペプチドとは、小胞体膜結合性のリボソーム上で合成された後に、分泌タンパク質が脂質二重層を通り抜ける際に必要となるアミノ酸残基である。分泌タンパク質は一般的に、最終的に活性を有する成熟型タンパク質のN末端側にシグナルペプチドが連結された状態で合成され、シグナルペプチドは分泌後に除去される。
 本発明で用いることができるシグナルペプチドをコードするDNAとしては、例えば、ヒト、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、トリ、ネコ、酵母、昆虫に由来するシグナルペプチドをコードするDNAを挙げることができる。その中でも、イヌCRPを製造する場合には、イヌCRPに由来するシグナルペプチド又は昆虫に由来するシグナルペプチドをコードするDNAが好ましい。また、ヒトCRPを製造する場合には、ヒトCRPに由来するシグナルペプチド又は昆虫に由来するシグナルペプチドをコードするDNAが好ましい。
 ここで、イヌCRPに由来するシグナルペプチドをコードするDNAとしては、好ましくは配列番号2に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられ、より好ましくは配列番号5に示される塩基配列を含むDNAが挙げられる。また、ヒトCRPに由来するシグナルペプチドをコードするDNAとしては、好ましくは配列番号8に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられ、より好ましくは配列番号10に示される塩基配列を含むDNAが挙げられる。
 本発明で用いることのできるシグナルペプチドを有する単量体CRPをコードするDNAは、前述した本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAの5´末端に、前述した本発明で用いることができるシグナルペプチドをコードするDNAが連結されたDNAである。
 ここで、シグナルペプチドを有する単量体CRPをコードするDNAとして、好ましくは配列番号3に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられ、より好ましくは配列番号6に示される塩基配列を含むDNAが挙げられる。
 なお、配列番号3で示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAには、このアミノ酸配列に、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 また、配列番号6に示される塩基配列には、それがコードするタンパク質が機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個の塩基の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有する塩基配列が含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程では、前述した本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAを含む導入DNAを被形質転換カイコに導入して、遺伝子組換えカイコを作成する。
 ここで、本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程、又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程における導入DNAは、前述した本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAを含めばよいが、好ましくは、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターにより直接的又は間接的に発現が制御される前述した単量体CRPをコードするDNAを含むものであり、より好ましくは、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、その転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述した単量体CRPをコードするDNAとを含むものである。なぜなら、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターを利用すれば、夾雑タンパク質が少ない限られた空間でタンパク質を高密度に発現させる器官である絹糸腺で5量体CRPが発現されるため、5量体の回収・精製が容易となり、5量体CRPを高効率に製造可能となるからである。更にこのプロモーターに機能的に結合した転写因子とその転写因子の標的プロモーターとの組み合わせの選択によっては、導入DNAからのタンパク質の生産効率を向上させることができる。
 なお、DNAの発現において、「プロモーターにより直接的又は間接的に発現が制御される」とは、目的とするDNAがプロモーターの下流に機能的に結合していること、又は、プロモーターの下流に転写因子をコードするDNAが機能的に結合しており、この転写因子によって目的とするDNAの発現が誘導されることをいう。
 なお、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターとは、カイコ細胞内で有効に働くプロモーターであればいずれでもよいが、カイコの絹糸腺において特異的にタンパク質の発現を誘導するように工夫されたプロモーターが好ましい。例えば、フィブロインL鎖タンパク質、フィブロインH鎖タンパク質、p25タンパク質、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質、セリシンII遺伝子から合成されるタンパク質のいずれかをコードするDNAのプロモーターが挙げられる。
 また、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子とその標的プロモーターとの組み合わせとしては、例えば、転写因子GAL4とUAS配列、転写因子TetRとTRE配列が挙げられる。その中でも、GAL4とUASが好ましい。なぜなら、GAL4とUASを用いたGAL4/UASシステム(Fischer,J.A.et al.,Nature,332,853-856,1988;Brand,A.H & Perrimon,N.,Development,118,401-415,1993)を利用することにより、目的とする遺伝子の発現部位や時期、量を正確に制御でき、多くの組織で容易に発現させることができるからである。また、発現させる遺伝子が致死性の遺伝子でも系統の作出が可能となる。
 本発明で用いられる導入DNAの好ましい一態様として、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に連結されたGAL4をコードするDNAと、UAS配列の下流に連結された前述のシグナルペプチドを有する単量体CRPをコードするDNAとを含むDNAが挙げられる。
 本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程、又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程における被形質転換カイコは、特に制限はされないが、5量体CRPの高効率生産のためには、フィブロインタンパク質などの絹糸を構成するタンパク質をコードするDNA領域(コード領域、プロモーター領域、非翻訳領域を含む)の変異によって、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコであることが好ましい。このようなカイコとしては、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている突然変異系統のカイコ、好ましくは該変異によって絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている裸蛹系統のカイコが挙げられるが、絹糸を構成するタンパク質の生産抑制の原因が、人為的か否か、また、自然界において生じた変異に依存するか否かに関わらず、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコであればよい。
 また、被形質転換カイコとしては、非休眠卵を産下する性質を有するカイコ、休眠卵を産下する性質を有するカイコ(例えば実用品種である、ぐんま200、春嶺、鐘月、錦秋、鐘和等)を使用することができる。ここで、休眠卵とは産卵後胚発生が一時的に停止する卵を言い、非休眠卵とは産卵後胚発生が停止せず、幼虫が孵化する卵を言う。
 本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程、又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程において導入DNAを被形質転換カイコに導入するDNA導入方法は、導入DNAが安定に被形質転換カイコの染色体に組み込まれる方法であれば特に限定されない。例えば、導入DNAを含む遺伝子組換えベクターを構築し、この遺伝子組換えベクターをカイコ卵にマイクロインジェクションする方法(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81-84,2000)、遺伝子銃を用いる方法等を用いることができる。その中でも、トランスポゾンの逆位末端反復配列の間に前記本発明においてカイコに導入されるDNAを含有する遺伝子組換えベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを含むヘルパーベクターを同時にカイコ卵にマイクロインジェクションする方法(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81-84,2000)が好ましい。
 上前記ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81-84,2000)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
 前記トランスポゾンとしては、piggyBacが好ましいが、これに限定されるものではなく、mariner、minos等を用いることもできる。
 なお、導入DNAを分割して被形質転換カイコに導入することも可能である。例えば、2分割したうちの一方のDNAが導入されたカイコが産卵した卵に、もう一方のDNAを前述の方法で人為的に導入する方法、又は2分割されたDNAのうち両方を前述の方法で一つの卵に導入する方法が挙げられる。
 本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程、又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程では、導入DNAを分割してそれぞれ異なる被形質転換カイコに導入し、次いで、それぞれ異なるDNAが導入された成体遺伝子組換えカイコを交配させることで導入DNAが全て導入された遺伝子組換えカイコを作成することもできる。
 好ましくは、前述した導入DNAのうち、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAを、前述のDNA導入方法で被形質転換カイコに導入する。次いで、前述した導入DNAのうち、前記転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述した本発明に共通して用いられる単量体CRPをコードするDNAを、前述のDNA導入方法で別の被形質転換カイコに導入する。次いで、これら2種類の成体カイコ同士を交配させ、次世代のカイコとして前述の導入DNAを全て有する遺伝子組換えカイコを得る。
 この方法では、一の被形質転換カイコに転写因子を導入し、この転写因子により発現する組織、時期、量などを決めることができる。そのため、発現させたい遺伝子を導入した系統と交配させることにより、多くの系統を作ることなく、各組織や時期、量などを変えることができる利点がある。また、目的遺伝子を発現させることで遺伝子組換えカイコが不妊になる場合でも系統作出が可能である。更には、転写因子の選択によっては、導入DNAからの生産物の量を増加させることができる。
 本発明の交配を伴う遺伝子組換えカイコ作成の好ましい一態様としては、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に連結されたGAL4をコードするDNAが導入されたカイコと、UAS配列の下流に連結された前述のシグナルペプチドを有する単量体CRPをコードするDNAとを含むDNAが導入されたカイコとを交配させ、遺伝子組換えカイコを作成する。
 本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程で作成される遺伝子組換えカイコは、単量体CRPをコードするDNAを含んでいる前述した導入DNAが染色体に安定に組み込まれており、5量体CRPを製造するカイコであり、好ましくは、5量体CRPを発現し分泌するカイコである。ここで、5量体CRPを遺伝子組換えカイコが分泌することで、カイコからの5量体CRPの回収が容易となる。
 より好ましい態様では、本発明の5量体CRPの製造方法で用いられる遺伝子組換えカイコは、絹糸腺に5量体CRPを製造し、特に好ましい態様では、絹糸腺に5量体CRPを発現し分泌させて製造する。夾雑タンパク質が少ない限定された空間でタンパク質を高密度に発現させる器官である絹糸腺で5量体CRPが製造され、絹糸腺に5量体CRPが分泌されることで、5量体CRPの回収・精製が容易となり、5量体CRPを高効率で製造可能となるからである。
 本発明の5量体CRPの製造方法の回収工程では、前述した遺伝子組換えカイコが製造した5量体CRP、好ましくは前述した遺伝子組換えカイコが発現し分泌させて製造した5量体CRPを回収し、精製することで5量体CRPを製造する工程である
 本発明の5量体CRPの製造方法の回収工程において、前述した遺伝子組換えカイコが製造した5量体CRPを回収する方法としては、5量体CRPを含有する分泌物から5量体CRPを抽出する方法が挙げられる。ここで分泌物としては、絹糸腺において分泌される液状絹又は絹糸、若しくは脂肪体の分泌物が挙げられる。とりわけ、中部絹糸腺又は後部絹糸腺から分泌される液状絹又は絹糸が、その分泌量が特に多いため好ましく、回収が容易なことから、液状絹がより好ましい。
 絹糸腺からの液状絹の回収方法としては、例えば、吐糸期になったカイコを解剖し、絹糸腺を摘出した後、緩衝液中でピンセットやメスで絹糸腺に傷を入れ、又は絹糸腺を緩衝液中に入れ緩衝液をボルテックスミキサーにより攪拌して、緩衝液中に放出された液状絹を回収する方法が挙げられる。その他にも、遺伝子組換えカイコが吐糸した繭から回収する方法、界面活性剤を用いる方法又は水溶液で溶かす等の当業者であれば公知の方法を絹糸の回収方法として挙げることができる。
 一方、脂肪体からの分泌物の回収方法としては、幼虫体内から脂肪体を摘出し、緩衝液中でピンセットやメスで脂肪体に傷を入れ、緩衝液中に放出された分泌物を回収する方法や、分泌物を脂肪体から体液に分泌させ、その体液を分取する等の当業者であれば公知の方法を挙げることができる。
 本発明における5量体CRPを含有する分泌物の回収方法の好ましい一態様としては、吐糸期になったカイコを解剖し、絹糸腺を摘出した後、緩衝液中で液状絹を抽出して回収する方法が挙げられる。この方法によれば、液状絹を回収後の5量体CRPの精製が容易となる。
 本発明の5量体CRPの製造方法の回収工程において、分泌物に含まれる5量体CRPの精製は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、又はこれらの組み合わせを利用することにより行うことができる。その中でも、アフィニティークロマトグラフィーが、5量体CRPを容易に精製可能であるため好ましい。アフィニティークロマトグラフィーとしては、Phosphoryl Cholineカラムを用いたものが、5量体CRPを変性させず構造を維持したまま精製可能なので好ましい。
 本発明の5量体CRPの製造方法により製造された5量体CRPの反応性は、例えば、当業者においては公知のELISA法を用いて評価することができる。ELISA法においては、公知の抗CRP抗体を利用することができる。
 後段の実施例で詳述するが、本発明の5量体CRPの製造方法により製造された5量体CRPは、ELISA法における反応性評価において、血清由来のCRPと同様に濃度依存的な反応性を示す。従って、本発明の5量体CRPの製造方法により製造された5量体CRPによって、CRP測定キット等に用いられる血清由来CRPを代替可能である。
 本発明で提供される遺伝子組換えカイコは、単量体CRPをコードするDNAを含んでいる前述した導入DNAが染色体に安定に組み込まれており、5量体CRPを製造するカイコであり、好ましくは、5量体CRPを発現し分泌するカイコである。ここで、5量体CRPを遺伝子組換えカイコが分泌することで、カイコからの5量体CRPの回収が容易となる。
 より好ましい態様では、本発明で提供される遺伝子組換えカイコは、絹糸腺に5量体CRPを製造し、特に好ましい態様では、絹糸腺に5量体CRPを発現し分泌させて製造する。夾雑タンパク質が少ない限定された空間でタンパク質を高密度に発現させる器官である絹糸腺で5量体CRPが製造され、絹糸腺に5量体CRPが分泌されることで、5量体CRPの回収・精製が容易となり、5量体CRPを高効率で製造可能となるからである。
 本発明で提供される遺伝子組換えカイコ、又は本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程で作成される遺伝子組換えカイコは、元来カイコが有さない5量体CRPを発現させているが、通常のカイコと同様な方法で、継代維持可能である。更には子孫のカイコは5量体CRPを製造することができる。
 例えば、卵を通常の条件で催青し、孵化した蟻蚕を人工飼料等へ掃立てし、通常のカイコと同様な条件で飼育することで5令カイコまで飼育できる。
 本発明で提供される遺伝子組換えカイコ、又は本発明の5量体CRPの製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、通常のカイコと同様に蛹化する。蛹の段階で雌雄を区別し、発蛾したのち雌雄を交尾させ、翌日採卵する。カイコ卵は通常のカイコ卵と同様に保存することが可能である。本発明で提供される遺伝子組換えカイコ、又は本発明の5量体CRPの製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコはこうした飼育を繰り返すことで継代することが可能である。
 継代して得られた遺伝子組換えカイコは人工飼料による清浄飼育が可能であり、数万匹規模での大量飼育を容易に行うことができる。しかも、自然界に豊富にある桑の葉を用いてカイコの大量飼育を行えば、5量体CRPを安価かつ大量に得ることができる。
 すなわち、大量飼育した本発明で提供される遺伝子組換えカイコ、又は本発明の5量体CRPの製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコを用いて5量体CRPを高効率で製造可能である。
 本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法は、前述した導入工程を経ることにより、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコを製造する方法であり、好ましくは5量体CRPを発現し分泌する遺伝子組換えカイコを製造する方法である。
 より好ましい態様では、本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法は、5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコを製造する方法である。特に好ましい態様では、本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法は、5量体CRPを絹糸腺に発現し分泌する遺伝子組換えカイコを製造する方法である。
 本発明で提供される単量体イヌCRPをコードするDNAは、配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであり、好ましくは、配列番号4に示される塩基配列を有するDNAである。
 さらに好ましい態様では、本発明で提供される単量体イヌCRPをコードするDNAは、シグナルペプチドを有する単量体イヌCRPをコードするDNAである。シグナルペプチドを有する単量体イヌCRPをコードするDNAとしては、配列番号3に示される配列を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、好ましくは、配列番号6に示される塩基配列を有するDNAが挙げられる。
 なお、配列番号1又は3で示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAには、このアミノ酸配列に、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 また、配列番号4又は6に示される塩基配列には、それがコードするタンパク質が機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個の塩基の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異が導入され、かつ、この配列と一定の相同性を有する塩基配列が含まれる。ここで、一定の相同性としては、例えば、60%以上の相同性が挙げられ、好ましくは70%以上の相同性、より好ましくは80%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
 本発明で提供される単量体イヌCRPをコードするDNAを、5量体CRPの製造が可能な宿主に導入することで、後段の実施例で詳述するように活性を有する5量体イヌCRPの遺伝子工学的な製造が可能となる。
 本発明で提供される発現ベクターは、前述した単量体イヌCRPをコードするDNAを含む発現ベクターであり、好ましくは、前述した単量体イヌCRPをコードするDNAがUASの下流に機能的に結合している発現ベクターである。ここで、部位特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合したGAL4をコードするDNAを有する宿主に、UASの下流に単量体イヌCRPをコードするDNAが機能的に結合される発現ベクターを導入することで、CRPの発現部位や時期、量を正確に制御できるようになる。
 本発明で提供される発現ベクターの基礎となるベクターについては特に限定されないが、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBac系ベクター、pBP322、pBluescript、pCR-Script等が挙げられる。
 本発明で提供される発現ベクターは、本発明の5量体CRPの製造方法の作成工程又は本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法の導入工程において、単量体イヌCRPをコードするDNAを被形質転換カイコに導入する際に利用される他、カイコ以外の宿主へのDNA導入に利用することができる。
 なお、発現ベクターの宿主への導入は、当業者においては公知の方法、例えばエレクトロポレーション法などにより実施することができる。
 本発明で提供される発現ベクターを5量体CRPの製造が可能な宿主に導入することで、後段の実施例で詳述するように活性を有する5量体イヌCRPの遺伝子工学的な製造が可能となる。
 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
 以下に詳細に記載するように、UAS配列の下流に連結されたシグナルペプチドを有する単量体イヌCRPをコードするDNAが導入されたカイコと、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に連結されたGAL4をコードするDNAが導入されたカイコとを交配させて遺伝子組換えカイコを作成し、該遺伝子組換えカイコがその絹糸腺に産生するイヌCRPを回収して、その物性を調べた。
(1)プラスミドベクターpBac-UAS-cfCRP-SV40の構築
 UAS配列及びその下流に連結されたシグナルペプチドを有する単量体イヌCRPをコードするDNA(cfCRP)を含むプラスミドベクターを構築した。すなわち、イヌCRP遺伝子中のMature Regionに相当する塩基配列を決定し、その塩基配列を含んだ図1に示すプラスミドベクターを構築した。なお、イヌCRP遺伝子の塩基配列として、イヌCRPと予測される配列(NCBI Reference Sequence:XM_545746)を参照した。
 具体的には、イヌCRP遺伝子と予測される塩基配列を翻訳して得られるアミノ酸配列と、アミノ酸配列が同定されているヒト、マウス、ウサギ、ブタ、ウシの各種動物CRPのmature formのアミノ酸配列との間で相同性検索を行い、相同性の高い領域をMature Regionとした。なお、このMature RegionとはCRPの単量体となると推定される部分であり、配列番号4の塩基配列を有し、その分子量はアミノ酸配列から22.9kDaであると推定された。また、各種動物CRPのシグナルペプチドのアミノ酸配列を用いて同様に相同性検索を行い、相同性の高い領域を、配列番号5の塩基配列を有するシグナルペプチドとした。
 次いで、Mature Regionに相当する配列番号4の塩基配列の5’末端に、配列番号5の塩基配列を有するシグナルペプチドに相当する塩基配列を付加した配列番号6の塩基配列を有する塩基配列(cfCRP)を設計した。設計した塩基配列を全合成した後、合成DNAをpUC57プラスミドに挿入してpUC57-cfCRPプラスミドを構築した。なお、cfCRPのORFの両端には制限酵素サイト(SpeI)を設けた。
 次いで、pUC57-cfCRPプラスミドをSpeI処理し、cfCRPフラグメントを得た。最後に、cfCRPフラグメントを、pBac-UAS-SV40のBlnIサイトに挿入して、遺伝子組換えカイコを作成するためのプラスミドベクターpBac-UAS-cfCRP-SV40(図1)を構築した。
(2)イヌCRP産生遺伝子組換えカイコの作成
 前記(1)で構築したプラスミドベクターpBac-UAS-cfCRP-SV40が導入されたカイコと、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーター(Ser1)及びその下流に連結されたGAL4をコードするDNA(GAL4)が導入されたカイコとを作成し、それらを交配させてイヌCRPを産生する遺伝子組換えカイコを作成した。
 具体的には、(1)で構築したpBac-UAS-cfCRP-SV40と、転移酵素遺伝子をコードするヘルパープラスミドpA3PIG(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,p81-84,2000)とを433粒の発生初期のカイコ卵にマイクロインジェクションにより導入した。ここで、遺伝子導入は、特開2003-88273号公報記載のポリヌクレオチド導入方法に従って行った。
 次いで、遺伝子が導入されたカイコ卵から孵化した第1世代のカイコを交配させ、得られた第2世代の幼虫の体表におけるKMOマーカー遺伝子の発現を調べた。
 交配させた62蛾区中1蛾区からKMOマーカー遺伝子を発現する幼虫8個体を同定した。これらの個体を継代飼育することによりイヌCRP遺伝子を持ったカイコを系統化した。
 次いで、イヌCRP系統のカイコと、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーター(Ser1)及びその下流に連結されたGAL4をコードするDNA(GAL4)が導入された、既に系統化されているSer1GAL4系統のカイコ(田村俊樹ら,日蚕講要,74,p51,2004)とを交配した。交配により得られた次世代のカイコの中から、イヌCRP系統が有するKMOマーカー遺伝子とSer1GAL4系統が有するDsRedマーカー遺伝子との双方を発現する個体を選抜した。
(3)イヌCRPの抽出
 前記(2)で選抜した遺伝子組換えカイコの吐糸期の幼虫から、イヌCRPを抽出し、反応性を確認した。
 具体的には作成したイヌCRP産生遺伝子組換えカイコの絹糸腺から緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.4)、150mM NaCl、10mM CaCl)中にイヌCRPを抽出し、4℃、24000rpm、15minにて遠心し、遠心上清を回収した。
 得られた遠心上清中にイヌCRPが存在することをイヌCRP測定ELISAキット(ICL社製)にて確認した。また、遠心上清を段階的に希釈し、希釈液中のイヌCRP量を測定して希釈直線性を確認した(図2)。
 対照として、イヌ血清を段階的に希釈し、イヌCRP測定ELISAキット(ICL社製)を用いて希釈液中のイヌCRP量を測定して希釈直線性を確認した(図2)。
 この結果より、イヌCRP産生遺伝子組換えカイコから得られた組換えイヌCRPがイヌ血清由来のCRPと同等の反応性を有することが確認された。
(4)イヌCRPの精製
 前記(3)でイヌCRP産生遺伝子組換えカイコから抽出したイヌCRP溶液からイヌCRPを分離精製した。
 具体的には、抽出したイヌCRP溶液を0.45μmのフィルターでろ過して精製サンプルとした。この精製サンプルをImmobilized p-Aminophenyl Phosphoryl Cholineカラム(PIERCE社製;1ml)に通液した。なお、このカラムはあらかじめ50mM Tris-HCl(pH7.4)、150mM NaCl、10mM CaClで平衡化されている。
 次いで、20mlの50mM Tris-HCl(pH7.4)、2M NaCl、10mM CaClでカラムを洗浄後、50mM Tris-HCl(pH7.4)、150mM NaCl、10mM Phosphoryl Cholineを通液してカラムよりイヌCRPを溶出させた。
 得られたイヌCRP画分について、イヌCRP測定ELISAキット(ICL社製)により吸光度の上昇を確認した(表1)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(5)イヌCRPの分子量分析
 前記(4)で精製されたイヌCRPの分子量を測定した。
 具体的には、イヌCRP精製溶液をゲルろ過クロマトグラフィー用サンプルとし、このサンプルをSuperdex200ゲルろ過クロマトグラフィーカラムに通液した(図3)。なお、このカラムはあらかじめ50mM Tris-HCl(pH8.0)、0.5M NaClで平衡化されている。また、各溶出画分中のCRP量はイヌCRP測定ELISAキット(ICL社製)により測定した。
 分子量マーカーであるThyroglobulin(M.W.670kDa)、r-globulin(M.W.158kDa)、Ovalbumin(M.W.44kDa)、Myoglobin(M.W.17kDa)、Vitamin B12(M.W.1.35kDa)を同条件化で通液し、溶出時間をイヌCRPのものと比較することによってイヌCRPの分子量を測定した。
 対照として、ヒト血清由来ヒトCRPを同条件下で通液し、溶出時間をイヌCRPのものと比較した(図3)。なお、各溶出画分中のCRP量はLA CRP-S(D)(ニットーボーメディカル社製)により測定した。
 ここで、イヌCRPの単量体の分子量がその22.9kDaと推定されるのに対し、ヒトCRPはその単量体の分子量は23.0kDaであり、血清中に5量体で存在する。
 結果として、分子量マーカーとの比較より、イヌCRPの分子量は約100kDaであることを確認した。また遺伝子組換カイコ産生イヌCRPとヒト血清由来ヒトCRPが同一の溶出時間を示すことを確認した。この分子量分析結果から、カイコより精製したイヌCRPは5量体を形成していることが確認された。なお、単量体のイヌCRPはこの精製画分には含まれず、生体内に存在するものと同様の5量体イヌCRPが獲得できた。
 本発明の5量体CRPの製造方法により、血清由来CRPと同等の活性を有する5量体CRPを高効率で製造することができる。本発明の5量体CRPの製造方法により製造されるCRPは、臨床検査分野で使用されているCRP測定キットに含まれるキャリブレーターとして利用することができる。また、本発明により製造されるCRPは、CRP測定キットに含まれる抗CRP抗体を作成する際に抗原として利用することができる。
 配列番号1-イヌCRPのアミノ酸配列
 配列番号2-イヌCRPに由来するシグナルペプチドのアミノ酸配列
 配列番号3-人工配列の説明:イヌCRPのアミノ酸配列(配列番号1)とイヌCRPに由来するシグナルペプチドのアミノ酸配列(配列番号2)を連結したアミノ酸配列
 配列番号4-イヌCRPの塩基配列
 配列番号5-イヌCRPに由来するシグナルペプチドの塩基配列
 配列番号6-人工配列の説明:イヌCRPの塩基配列(配列番号4)とイヌCRPに由来するシグナルペプチドの塩基配列(配列番号5)を連結した塩基配列
 配列番号7-ヒトCRPのアミノ酸配列
 配列番号8-ヒトCRPに由来するシグナルペプチドのアミノ酸配列
 配列番号9-ヒトCRPの塩基配列
 配列番号10-ヒトCRPに由来するシグナルペプチドの塩基配列

Claims (25)

  1.  5量体CRPの製造方法であって、
     単量体CRPをコードするDNAが導入された遺伝子組換えカイコを作成する作成工程と、
     作成された遺伝子組換えカイコが製造する5量体CRPを回収する回収工程と
    を有する5量体CRPの製造方法。
  2.  前記作成工程が、
     絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
     該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAと
    が導入された遺伝子組換えカイコを作成する工程である請求項1に記載の製造方法。
  3.  前記作成工程が、
     絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されカイコと、
     該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAが導入されたカイコと
    を交配させて遺伝子組換えカイコを作成する工程である請求項1に記載の製造方法。
  4.  前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである請求項2又は3に記載の製造方法。
  5.  前記回収工程が、
     作成された遺伝子組換えカイコがその絹糸腺に製造する5量体CRPを回収する工程である請求項2から4のいずれかに記載の製造方法。
  6.  前記CRPがイヌCRPである請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
  8.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
  9.  遺伝子組換えカイコであって、
     単量体CRPをコードするDNAが導入され、
    5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコ。
  10.  遺伝子組換えカイコであって、
     絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと
     該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAと
    が導入され、
    5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコ。
  11.  前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである請求項10に記載の遺伝子組換えカイコ。
  12.  前記CRPがイヌCRPである請求項9から11のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
  13.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである請求項9から12のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
  14.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである請求項9から13のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
  15.  5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコの製造方法であって、
     単量体CRPをコードするDNAをカイコに導入する導入工程を含む、5量体CRPを製造する遺伝子組換えカイコの製造方法。
  16.  5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコの製造方法であって、
     絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
     該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAと
    をカイコに導入する導入工程を含む、5量体CRPを絹糸腺に製造する遺伝子組換えカイコの製造方法。
  17.  前記導入工程が、
     絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、
     該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した単量体CRPをコードするDNAが導入されたカイコと
    を交配させてDNAが導入されたカイコを作成する工程である、請求項16に記載の製造方法。
  18.  前記転写因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである請求項16又は17に記載の製造方法。
  19.  前記CRPがイヌCRPである請求項15から18のいずれかに記載の製造方法。
  20.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードするDNAである請求項15から19のいずれかに記載の製造方法。
  21.  前記単量体CRPをコードするDNAが配列番号4に示される塩基配列を含むDNAである請求項15から20のいずれかに記載の製造方法。
  22.  単量体イヌCRPをコードするDNAであって、配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する単量体イヌCRPをコードするDNA。
  23.  前記塩基配列が配列番号4に示される配列を含む塩基配列である請求項22に記載の単量体イヌCRPをコードするDNA。
  24.  発現ベクターであって、請求項22又は23に記載の単量体イヌCRPをコードするDNAの塩基配列を有する発現ベクター。
  25.  前記塩基配列がUASの下流に機能的に結合している請求項24に記載の発現ベクター。
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