JP5997772B2 - カイコフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異配列、及び突然変異を誘発する方法と応用 - Google Patents

カイコフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異配列、及び突然変異を誘発する方法と応用 Download PDF

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Description

本発明は、カイコ育種と遺伝子工学分野に属し、既存の異なるカイコ品種に基づいたカイコフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異体、及びその製造方法、突然変異配列と応用に関する。
カイコはその強い繭糸吐出・分泌能力で古から世界中に広く知られ、数千年に亘る飼育と馴化の過程で世界経済と文化交流に多大な貢献を果たしており、未だに中国やインド等において国家産業の重要な構成要素となっている。ところで、従来より人間によるカイコ品種の選択と飼育は、何れも繭層量、繭層率、解舒性、及び耐病性を高めることを育種で目指す目標としており、その一方、繭糸強度、伸展性、染色性、肌親和性等の重要な指標への配慮が少なかった。これが繭糸がクモ糸等の高強度繊維のように医学、軍事等の最先端分野に広く用いることが難しく、純粋な紡織用材料として限定されてきた主な理由になっている。したがって、高い繭糸強度、強い伸展性、染色しやすさ、高い肌親和性等の品質に優れた繭糸を如何にして快速に育成するのが特に課題となっている。
数千年に亘って品種の選択や飼育が行われたことで、現在、カイコ品種の資源が比較的に豊かになっているが、繭糸強度、伸展性、染色性、肌親和性等の特性からする場合、各品種の間でほとんど差がないのが問題となり、伝統的な育種方法で繭糸のかかる特性を改良するのが不可能に近いのが既知の事実でもある。一方、カイコゲノム計画が全面的に完了されたことを受け、分子マーカーを利用した育種、遺伝子改変技術を利用した育種等といった現代農業の新規手段が次々とカイコ品種の分子改良において主力手段として導入されつつある。カイコフィブロインは、主にフィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、P25タンパク質、及び最外層を覆うセリシンにより構成され、そのうち、繭糸の性能を決めるフィブロイン重鎖タンパク質は高度反複配列からなる大きさが約390kDaのタンパク質である。しかし、フィブロイン重鎖タンパク質については、高発現量、高度反複配列、及び高分子量が原因となって通常の遺伝子改変技術を用いて研究や改良するのが思うほどに容易ではなかった。
一方、体重が約6gのカイコは、約25gの桑葉を食べるだけで0.5gの純粋なタンパク質からなる繭糸を吐出することができる。これは人を驚かせるほどの奇妙な生物学現象であり、そこに更に計り知れない応用価値が潜んでいるに間違いない。また、カイコの絹糸腺は、更に高等生物でよく見られるタンパク質翻訳後の修飾加工能力を備えると同時に、量産コストが低く、並びに人畜に対する安全性等の面でも優勢があるので、次世代の生物反応器として基本要求を満たし、開発や応用に際して潜在力が極めて高いことが考えられる。こういったことで、該分野の研究がもはや伝統的な繭糸産業から非絹糸産業へ移行する際の基本内容になっている。また、基礎研究だけではなく、医薬、化粧品等の開発においても抽出或いは発現・精製されたタンパク質が何れも極めて重要な役割を果たしているが、余程高価な値段(例えば、最もよく使われている緑色蛍光タンパク質は1g当たりの値段が約5百万元である)が原因で、商品化されたタンパク質純品が多くの研究者から敬遠されている。タンパク質を大規模に発現または抽出するプロセスが不足しているため、タンパク質関連の研究や製品開発の進展も大きく制限されていることも実情である。一匹のカイコを飼育するコストが0.1元未満であるが、0.5gのフィブロインを吐出することができるので、遺伝子工学の手段でカイコに0.5gの純粋なタンパク質を吐出させることができれば、繭糸産業だけではなく、引いてはバイオ産業の発展に革命的な推進効果を奏すると想定できる。こう言った奇妙な生物学現象や応用への期待から多くの生物学者が引きつけられ、分子生物学が確立された時点から長期に渡ってカイコフィブロインの発現制御とカイコ生物反応器の開発に取り組むようになった。しかし、簡単であろうと期待されていたにも関わらず、上記目標の達成は実に容易ではなく、数十年かけて模索と研究がなされたものの、カイコフィブロイン遺伝子の発現制御機構については完全に解明できず、絹糸腺生物反応器の開発に苦労をかけてもほとんど進展がなかった。研究者らがカイコフィブロイン遺伝子のプロモーターを利用してカイコ絹糸腺の異なる部位において、例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、コラーゲン、ヒト塩基性繊維芽細胞増殖因子、猫インターフェロン、フィターゼ、ヒト血清アルブミン、マウスモノクローナル抗体、クモドラグラインシルク、及びヒト脳由来神経栄養因子等、研究や応用価値の高いタンパク質の発現に相次いで成功を遂げているが、現在、カイコ絹糸腺において遺伝子改変技術によって発現された外来活性タンパク質は、最も高くてカイコ繭総重量の8.0%に止まり、発現量があまりにも低く、繭層から少量のタンパク質を抽出するのにコストも掛かり過ぎ、研究者とメーカーが更に一歩進んでカイコ絹糸腺の生物反応器を開発する試みに躊躇を見せている。
カイコフィブロイン自体の改造だけではなく、実用可能で且つ効率の良いカイコ絹糸腺の生物反応器を開発するため、効果的にカイコフィブロイン遺伝子を部位特異的に改造する方法を捜し出し、或いはフィブロイン突然変異体の資源を迅速に育成するのが何れも重要且つ緊迫な課題になっている。ところで、研究者らがカイコ遺伝子のターゲッティングについて一連の模索を行ったが、カイコゲノムを方向指定的に改造する技術が未だに確立されていない。
ジンクフィンガーヌクレアーゼは、人工的に設計された制限酵素であり、DNA配列を特異的に認識するジンクフィンガータンパク質ドメインと、DNAを切断するヌクレアーゼドメインとにより構成される。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、複雑なゲノムの特定サイトで二本鎖を切断することができ、よって、非相同末端結合(Non−Homologous End Joining、NHEJ)、相同組換え(Homologous recombination、HR)等といった体内のDNA修復システムを刺激することができる。NHEJは、DNA二本鎖の断裂を修復する修復機構のうちの特別な1種であって、DNAで配列相同性がなくても快速且つ高効率で断裂状態のDNA末端を強行に一体に結合させることができるが、精度の低い修復機構であるため、修復箇所において一部塩基の欠失、挿入または突然変異を誘発しやすい。そこで、同一のDNAフラグメントに二組のジンクフィンガーヌクレアーゼの標的サイトを導入した場合、二つの識別サイトの間にあるフラグメントの欠失を誘発する可能性がある。なお、断裂末端と同様の粘着末端を有する外来DNAが存在する場合、NHEJによって特定断片の挿入を実現することもできる。HRは体内でよく見られるDNA断裂の修復機構であり、その原理が前世紀の80年代頃から既に遺伝子ノックアウト等に広く利用されている。したがって、様々な種類の異なるドナープラスミドを人工的に設計するとともに、ジンクフィンガーヌクレアーゼによる二本鎖の切断現象を利用することで標的遺伝子に対し部位特異的置換、修復、削除、挿入等の任意な操作を効率的に実施することができる。現在、このような技術が広く動植物遺伝子のノックアウトと部位特異的な改造に利用されている。
本発明は、フィブロイン重鎖遺伝子の突然変異誘発方法、及び該突然変異誘発方法によって得られる遺伝子配列を提供することをその目的とし、該方法によれば、突然変異のフィブロイン重鎖遺伝子を取得するために斬新なアイデアを提供することができる。
本発明の他の一つの目的は、カイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子の2種類の新規応用を提供するものであって、該応用によれば、セリシンと外来タンパク質を製造するために有効な解決手段を提供することができる。
上記の目的を達成すべく、本発明により提供される技術案は、以下のとおりである。
SEQ.ID NO:119とSEQ.ID NO:120に示されるジンクフィンガーヌクレアーゼ配列を、T7:5'−taatacgactcactataggg−3'またはSP6:5'−atttaggtgacactatag−3'プロモーターを含む原核細胞発現ベクターに挿入して組換えベクターを取得し、組換えベクターについてインビトロ転写反応を行うことでジンクフィンガーヌクレアーゼ配列をコードするmRNAを取得し、更にジンクフィンガーヌクレアーゼ配列をコードするmRNAを、ctgttgctcaaagttatgttgctgctgatgcgggagcaであるジンクフィンガーヌクレアーゼによって識別される標的サイトに作用させ、セリシン蚕になる突然変異遺伝子及び外因性タンパク質の含有量が高い表現型の突然変異遺伝子の少なくともいずれか一方を選別し、カイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子を取得する。
また、本発明に係るカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子は、SEQ.ID NO:11に示される配列を有するカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子である。
また、本発明に係るカイコ突然変異体のカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子は、SEQ.ID NO:11に示される配列を有するカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子である。
本発明は、新たに開発されたジンクフィンガーヌクレアーゼ技術を利用してフィブロイン重鎖遺伝子に対し効果的にノックアウトを行い、フィブロイン重鎖遺伝子N末端の非反複領域の一部欠損、一部塩基の突然変異または短い断片の挿入を含む一連の突然変異カイコ品種を始めて取得することに至った。本発明により提供されるこれらの突然変異体は、以下の特徴と長所がある。即ち、1)本発明により提供されるフィブロイン重鎖遺伝子突然変異体は、後部絹糸腺がひどく退化し、その繭層に中部絹糸腺で合成・分泌されるセリシンのみが含まれているので、これらの突然変異品種を用いてカイコの後部絹糸腺において外来タンパク質(例えば、クモ糸、生物活性タンパク質等)を遺伝子改変によって発現させた場合、カイコ絹糸腺における外来タンパク質の発現量と純度が大幅に高まり、カイコ絹糸腺の生物反応器の開発に斬新で且つ有用な遺伝工学材料を提供することができる。2)本発明により提供される突然変異品種の繭層にセリシンのみが含まれているが、現在、純セリシンが化粧品に広く用いられているため、本発明はセリシンの大規模製造に新たな手段を提供することにもなっている。
フィブロイン重鎖遺伝子の構造を示す図である。そのうち、ボックスはエクソンを表し、灰色の実線は制御領域またはイントロン配列を表し、数字は転写開始サイトに対する相対位置を示し、下線部分で示されるのはシグナルペプチド配列に対応するヌクレオチドまたはアミノ酸配列であり、矢印で示されるのはシグナルペプチド配列の切断サイトである。 フィブロイン重鎖遺伝子の一部配列の、40個のカイコ品種における一塩基多型(SNP)分布を示す。そのうち、上部のボックスと実線は、かかる解析領域のフィブロイン重鎖遺伝子における位置と構造を表し、その下にある41個の実線は、30個のカイコ品種と11個のクワコ品種のヌクレオチド配列を表し、実線中の菱形は、かかる品種が該当箇所において参考配列と比較して変異があることを表し、数字はSNPサイトが転写開始サイトに対する相対位置を示し、実線右側の番号は異なるカイコ品種の番号を表す。 突然変異体フィブロイン重鎖遺伝子の突然変異サイトのヌクレオチド配列を示す。そのうち、左側の番号は、かかる個体の番号を表し、「>Ref」は、野生型品種大造の配列を表し、ボックスで囲まれた配列は、ジンクフィンガーヌクレアーゼの識別サイトであり、太字で示される塩基は、突然変異が起きた塩基であり、「−」は、欠失を表し、下線で示される塩基は、挿入された塩基である。 野生型カイコと突然変異体カイコの絹糸腺の解剖図である。そのうち、左側が野生型品種大造の5齢6日目の絹糸腺であり、右側が突然変異体カイコの5齢6日目の絹糸腺である。 突然変異体カイコの繭の観察図である。そのうち、上側が野生型品種N4の繭であり、下側が突然変異体カイコの繭である。 野生型カイコと突然変異体カイコの蛹と繭の重量に対する生物学統計結果を示す。 それぞれ野生型カイコ、ヘテロ突然変異体カイコ、及びホモ突然変異体カイコを母体とする遺伝子改変カイコの絹糸腺の蛍光信号レベルを示す。そのうち、「+/+」、「+/−」と「−/−」は、それぞれ野生型カイコ、ヘテロ突然変異体カイコ、及びホモ突然変異体カイコを表す。 それぞれ野生型カイコ、ヘテロ突然変異体カイコ、及びホモ突然変異体カイコを母体とする遺伝子改変カイコの繭層タンパク質の解析結果を示す。そのうち、「遺伝子改変1」、「遺伝子改変2」と「非遺伝子改変」は、それぞれ二つの遺伝子改変品種と一つの非遺伝子改変品種を表し、「+/+」、「+/−」と「−/−」は、それぞれ野生型カイコ、ヘテロ突然変異体カイコ、及びホモ突然変異体カイコを表し、最下部の数字は、レーン番号を示し、矢印で示されるのは外来緑色蛍光タンパク質融合タンパク質の特異バンドである。
ここで敢えて説明するが、生物学において染色体はペアとなって存在し、即ち、同一の遺伝子は二つのコピーがあり、任意なる一つの突然変異体に対し、二つの遺伝子が全て正常の場合は野性型、一つが正常で且つ他の一つに突然変異がある場合はヘテロ突然変異体、両者に全て突然変異がある場合はホモ突然変異体となる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものでない。以下の実施例において、具体的な条件が示されていない実験方法は、何れも当分野の研究者が熟知する方法、或いは製造メーカーが推奨する条件である。なお、以下の記載事項と類似、または同じ効果を奏する方法及び材料を全て本発明に応用でき、本明細書に記載の実施方法と材料は、例示に過ぎないことにも留意されたい。
本発明は、カイコフィブロイン遺伝子を方向指定的に改造することを効果的に実現する方法を提供し、更にフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異の遺伝学資源を提供することをその目的としている。即ち、本発明は、フィブロイン重鎖遺伝子について方向指定的ノックアウトを施し、よって、一連のカイコフィブロイン重鎖遺伝子の欠失、突然変異または挿入の突然変異体を取得することを図るものである。
上述の技術課題を解決するため、本発明者は、カイコ絹糸腺における外来タンパク質の発現量、後のタンパク質精製プロセスに対する内因性フィブロインの影響等の、現在進行中のカイコ絹糸腺の生物反応器の開発過程で直面する基本問題を総合的に考慮した上、近年新たに開発された遺伝子ノックアウト技術であるジンクフィンガーヌクレアーゼ技術を利用してカイコフィブロイン遺伝子についてノックアウトを行い、更に得られた突然変異体に対しゲノムシーケンシングと機能検証を行うことで本発明を完成するに至った。
本発明に係るフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異体、及びその製造方法と応用は、以下のステップを経て順次に実現される。
(1)フィブロイン重鎖遺伝子配列をダウンロードし、その中のジンクフィンガーヌクレアーゼの標的サイトを解析する。
(2)ステップ(1)で解析されたサイトに対し、特定のジンクフィンガーヌクレアーゼ配列を設計する。
(3)人工的に合成するか、または既存のジンクフィンガータンパク質ライブラリーから増幅してステップ(2)で設計されたジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする核酸配列を取得する。
(4)ステップ(3)の核酸配列をT7またはSP6プロモーターを含む原核細胞発現ベクターに挿入し、組換えベクターを取得する。
(5)ステップ(4)で得られた組換えベクターを利用してインビトロ転写を行い、ステップ(2)で設計されたジンクフィンガーヌクレアーゼをコードするmRNAを取得する。
(6)休眠性カイコ品種のカイコ卵について人工孵化処理を施した後、15℃の定温、相対湿度が75%、完全遮光の環境において孵化するまで催青し、非休眠性カイコ品種のカイコ卵について25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において孵化するまで催青する。
(7)孵化後の幼虫を日ごとに掃き集め、25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において桑葉または人工エサで上蔟できるところまで飼育する。
(8)上蔟済みのカイコを25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境に移り、種繭の保護を行う。
(9)羽化後に一斉で発蛾したオスとメスのカイコガを25℃、弱光の条件下で4時間かけて交配させてから割愛し、メスの蛾を糊付けなされた蚕卵紙に撒いて暗い環境下で産卵させ、0.5時間ごとにカイコ卵を一回掃き集め、集めたカイコ卵を25℃の環境に移って保護する。
(10)カイコ卵を蚕卵紙一同で水道水で洗った後、蒸留水に糊が膨らむところまで(約2分間)浸し、その後、ピンセットでカイコ卵を75%のアルコールで消毒したガラススライドに移し、更にカイコ卵を腹面が右に向かうように一列に整列させた後、整列されたカイコ卵を35〜37%のホルムアルデヒド蒸気中で5分間かけて消毒する。
(11)収集開始時点からタイムカウントを行い、収集作業が終了した後の2時間〜4時間において、マイクロインジェクターを用いてステップ(5)で得られたmRNAをモル比が1:1の比率で混ぜ合わせてカイコ卵の腹面中央から消毒済みのカイコ卵に注入し、無毒の粘着剤で卵殻に注射で残された小さな穴を封じ込む。
(12)注射完了後のカイコ卵について、35〜37%のホルムアルデヒド蒸気中において5分間の消毒を行い、温度が25℃、相対湿度が85%以上の湿度条件下で孵化するまで催青し、孵化された幼虫を飼育し、現世代(G0)のカイコガ同士で交配または戻し交配させて休眠性G1世代のカイコ卵を取得する。
(13)ステップ(12)で得られたG1世代のカイコ卵について、即時に浸酸処理を施した後、25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において孵化するまで催青する。
(14)ステップ(13)で得られたG1世代の幼虫を、25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において桑葉を餌として上蔟できるところまで飼育し、その吐糸と営繭の状況について観察を行い、吐糸または営繭で異常を示す突然変異個体を選別する。
(15)ステップ(14)で得られた突然変異個体同士で交配または戻し交配することで採種し、更に採種後のカイコガのゲノムを抽出し、フィブロイン重鎖遺伝子の特異的プライマーでPCR増幅、並びシーケンシングを行い、よって、突然変異体について更に特定と確認を行う。
(16)ステップ(15)で特定された突然変異体を継体・保存する。
(17)カイコ絹糸腺で発現しようとするタンパク質のアミノ酸配列に基づき、インビトロ合成または増幅にてそのコーディング配列を取得し、更にコーディング配列を用いて遺伝子改変ベクターまたはフィブロイン重鎖遺伝子を標的とする相同組換え用ベクターを構築する。
(18)ステップ(16)で保存したカイコ卵を母体とし、ステップ(6)〜ステップ(13)に記載の方法を用いてステップ(17)の遺伝子改変ベクターまたは相同組換え用ベクターをステップ(16)で保存したカイコ胚に注入した後、孵化された幼虫を飼育し、現世代(G0)のカイコガ同士で交配または戻し交配させて休眠性G1世代のカイコ卵を取得し、更にG1世代のカイコ卵を即時に浸酸処理した後、胚発生の6日目で蛍光顕微鏡でスキャンして遺伝子改変個体を取得し、得られた遺伝子改変個体を通常のとおりに飼育、継体させて相応した遺伝子改変カイコを取得する。
(19)ステップ(18)で得られた遺伝子改変カイコの絹糸腺と繭層について観察と解析を行い、更にその中の標的タンパク質を抽出して精製する。
実施例1:カイコフィブロイン重鎖遺伝子の配列解析
NCBIデータベースからカイコフィブロイン重鎖遺伝子の配列(登録番号:AF226688)をダウンロードし、その配列構造を図1に示す。カイコフィブロイン重鎖遺伝子(+1〜+16788、そのうち、+1は転写開始サイトを表す)は、二つの長さがそれぞれ67bpと15750bpのエクソン、及び一つの長さが971bpのイントロンにより構成され、第1エクソンは、25bpの非翻訳領域(+1〜+25)と42bpのコード領域(+26〜+67)を含み、第2エクソンは、N末端の非反複領域(+1039〜+1449)、C末端の非反複領域(+16396〜+16788)、及び高度反複領域(+1450〜+16395、図1において灰色のボックスで示される)を含む。カイコフィブロイン重鎖遺伝子によってコーディングされるアミノ酸配列のN末端に、一つの長さが21アミノ酸残基のシグナルペプチド(図1で、下線の部分)を含んでいる。
各カイコ品種において全て機能し得るジンクフィンガーヌクレアーゼの標的サイトを選出するため、カイコフィブロイン重鎖遺伝子のN末端部分の配列(+1〜+1448)について一塩基多型解析(SNP解析)を行い、その結果を図2に示す。カイコフィブロイン重鎖遺伝子のN末端部分の配列(+289〜+1448)は、29個のカイコ品種と11個のクワコ品種で10個のSNPサイトが存在し、それぞれ+393、+465、+555、+556、+861、+862、+999、+1270、及び+1390である。
実施例2:カイコフィブロイン重鎖遺伝子に対する特異的ジンクフィンガーヌクレアーゼ配列の設計と合成
カイコフィブロイン重鎖遺伝子の配列特徴、及びその異なるカイコ品種におけるSNP分布に基づき、更にジンクフィンガータンパク質がDNA配列を識別する際の特性を考慮した上で、CTGTTGCTCAAAGTTATGTTGCTGCTGATGCGGGAGCAをジンクフィンガーヌクレアーゼによって識別される標的サイトとして選出した。該標的サイトは、SEQ ID NO:1で示される配列の+1325〜+1362サイトに位置し、これに基づきジンクフィンガーヌクレアーゼを設計して合成した。したがって、カイコフィブロイン重鎖遺伝子の1325〜1362サイトがジンクフィンガーヌクレアーゼによって識別される標的サイトである。
実施例3:ジンクフィンガーヌクレアーゼmRNAの製造
人工合成或いは既存のジンクフィンガータンパク質ライブラリーから増幅して得られたジンクフィンガーヌクレアーゼの核酸配列(SEQ ID NO:119、及びSEQ ID NO:120で示される)を、制限酵素EcoRIとXhoI(TAKARA社から購入)で消化した後、同じ酵素で消化した原核細胞発現ベクターpET28aとライゲーションし、大腸菌に導入して陽性クローンを選別し、組換えベクターを取得した。酵素で消化する際の具体的な反応系は、以下のとおりである
[表1]
組換えベクターをXhoI酵素で消化した後、MessageMax T7 mRNAインビトロ転写キット(Epicentre社から購入)を使ってインビトロ転写を行った。その反応系は、以下のとおりである。
[表2]
上記反応系を37℃、30分間恒温放置した後、1μlのDNA分解酵素を加え、更に15分間恒温放置した。上記反応系について、EpicentreA−plusテール付加キット(Epicentre社から購入)を用いてテール付加反応を行った。その反応系は、以下のとおりである。
[表3]
上記反応系を37℃、30分間恒温放置した後、MEGAClearキット(Ambion社から購入)で精製し、−80℃で保存して後の処理に備える。
実施例4:微量注射用カイコ胚の製造
多化性カイコ品種「N4」の処理方法:25℃の定温、相対湿度が75%の環境において孵化するまで催青し、桑葉で飼育して産んだカイコ卵を直接に微量注射に用いた。
休眠性カイコ品種「大造」の処理方法:正常に飼育して得られたカイコ卵に対し通常の人工孵化処理を施した後、15℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において孵化するまで催青した。孵化後のカイコを25℃の定温、相対湿度が75%、自然光のある環境において飼育し、産んだカイコ卵を注射に用いた。羽化後に一斉で発蛾したオスとメスのカイコガを25℃、弱光の条件下で4時間かけて交配させてから割愛し、メスの蛾を糊付けなされた蚕卵紙に撒いて産卵させた。
実施例5:ジンクフィンガーヌクレアーゼmRNAの微量注射
羽化後に一斉で発蛾したオスとメスのカイコガを25℃、弱光の条件下で4時間かけて交配させてから割愛し、メスの蛾を糊付けなされた蚕卵紙に撒いて産卵させた。産卵後、すぐに総濃度が400ng/uLの、カイコ重鎖遺伝子を標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼmRNAをマイクロインジェクター(FemtoJet 5247マイクロインジェクター、Eppendorf社から購入)で数個のカイコ卵に注入し、各カイコ卵への注射量は、約10nLである。注射後のカイコ卵に対し、無毒の接着剤で注射口を封じ込み、更に35%のホルムアルデヒド蒸気中において5分間かけて消毒した後、温度が25℃、相対湿度が85%の高湿度環境において孵化するまで催青し、孵化されたG0世代の幼虫を集めて人工エサで発蛾するまで飼育した。
実施例6:微量注射後の突然変異個体の選別
多化性品種「N4」と休眠性品種「大造」を原始材料とし、それぞれのカイコ卵195個と247個に微量注射を行い、孵化された93匹と124匹のG0世代の幼虫を集めて人工エサで発蛾するまで飼育した。それぞれ得られた81匹と106匹のG0世代のカイコガ同士で交配または戻し交配させ、38と51蛾輪のG1世代のカイコ卵を得た。38と51蛾輪を催青させ、更に単独でG1世代にまで飼育して上蔟したものを観察した。そのうち、29個と38個の蛾輪においてそれぞれ250匹と105匹の裸蛹または繭層の薄い「セリシン蚕」を得た。実験の具体的な統計結果を表4に示す。
[表4]
表1:微量注射と突然変異の選別結果
実施例7:遺伝可能な突然変異個体のシーケンシング解析
実施例6から117個の表現型が全て裸蛹または「セリシン蚕」である突然変異個体を選出してゲノムを抽出し、カイコフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異サイト付近の配列に基づきPCRプライマーとシーケンシングプライマーを設計した。そのうち、PCRプライマーは、Fib−H−F:5'−tgatgaggactattttgggag−3'、Fib−H−R:5'−tagtgctgaaatcgctcgt−3'であり、シーケンシングプライマーは、Fib−H−F:5'−tgatgaggactattttgggag−3'である。PCR反応系の組成は、下記のようなものである。
ゲノムDNA:1.0μl
EX Taq緩衝液:2.5μl
Mg2+:2.0μl
dNTP:2.0μl
Ex Taq:0.15μl
プライマーFib−H−F:0.5μl
プライマーFib−H−F:0.5μl
脱イオン水:総量が25μlになるまで補充
PCR産物を電気泳動で検出し、精製した後にシーケンシング反応を行った。シーケンシング結果から、選出した117個の突然変異個体がジンクフィンガーヌクレアーゼの標的サイトにおいて全て突然変異があることを確認でき、具体的な配列をSEQ ID NO:2〜118に示す。これらの突然変異は、変異、欠失、及び小さな断片の挿入を含み、一部の結果を図3に示す。
実施例8:遺伝可能な突然変異個体のフェノタイプ観察と解剖学観察
野生型カイコ品種の大造、及び117個の突然変異体カイコ品種について、各品種ごとに3匹取って通常の解剖手法でその絹糸腺を取り出して顕微鏡下で観察を行った。結果は、図4に示されたとおりで、突然変異個体の絹糸腺が明らかに野生型個体より小さく、更に突然変異個体の後部絹糸腺で発生奇形の現象が観察された。
野生型カイコ品種の大造、及び117個の突然変異体のカイコ品種について、各品種ごとに50個の繭を取って観察を行った。結果は、図5に示されたとおりで、突然変異体のカイコ繭層が野生型個体に比べて薄くなっているのが確認された。更に、各品種ごとに25匹の繭と蛹体を取ってその重量を測定し、生物学統計解析を行った。結果は、図6に示されたとおりで、突然変異個体の蛹体が野生型個体よりやや重くなっており、その繭層重量が野生型個体に比べてやや軽くなっているのが確認された。野生型カイコ品種と突然変異体カイコ品種の繭についてタンパク質の電気泳動解析を行い、その結果から、突然変異体カイコ品種の場合にフィブロイン重鎖タンパク質が含まれておらず、大量のセリシンだけで構成されているのが確認された。詳細は、図8のレーン10に示されたとおりである。以上のことは、上述のカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子が内因性タンパク質の製造に適用することのできることを実証したものでもある。
実施例9:突然変異体カイコの絹糸腺における外因性緑色蛍光タンパク質融合タンパク質の発現
緑色蛍光タンパク質遺伝子を含有するプラスミドを鋳型とし、緑色蛍光タンパク質のコーディング配列を増幅し、更にカイコフィブロイン重鎖遺伝子の非反複領域と融合させて遺伝子改変ベクター(構築に係わる方法と操作は、Aichun Zhao等、Transgenic Research、DOI10.1007/s11248〜009〜9295〜7を参照することができる)を構築した。保存されていた突然変異体カイコ品種(突然変異の配列は、SEQ.ID NO:11に示される)を用いて母体材料とし、正常な飼育条件で得られたカイコ卵に対し通常のとおりにして人工による孵化処理を施した後、15℃の定温、相対湿度が75%、完全遮光の環境において孵化するまで催青させた。その後、25℃の定温、相対湿度が75%の環境において飼育し、更に種繭の保護を行った。羽化後に一斉で発蛾したオスとメスのカイコを、温度が25℃、弱光の条件下で4時間交配させてから割愛し、更にメスの蛾を糊付けなされた蚕卵紙に撒き、暗い環境において産卵させた。0.5時間ごとにカイコ卵を一回掃き集め、集めたカイコ卵を25℃の環境において保護した。産卵後に3時間経てからEppendorf製マイクロインジェクターを用いて10〜15nLの、総濃度が400ng/uLの構築済みの遺伝子改変ベクターを150個のカイコ卵に注入し、更に無毒の接着剤で注射口を封じ込み、35%のホルムアルデヒド蒸気中において5分間かけて消毒を行った。その後、温度が25℃、相対湿度が85%の高湿度環境において孵化するまで催青し、孵化された69匹のG0世代の幼虫を集めて発蛾するまで桑葉で飼育し、更に同士で交配または戻し交配させることで併せて11蛾輪のG1世代のカイコ卵を得た。Olympus?電動式のマクロ撮影モード付き蛍光顕微鏡で41蛾輪のG1世代のカイコ卵について観察と選別を行い、1個の陽性蛾輪で併せて11匹の遺伝子改変カイコを得た。遺伝子改変カイコの絹糸腺と繭層について観察と解析を行った結果、図7と図8に示されたように、緑色蛍光タンパク質融合タンパク質の含有量が、ヘテロ突然変異体カイコとホモ突然変異体カイコを母体材料とする遺伝子改変カイコの絹糸腺と繭層において野生型カイコを母体材料とする遺伝子改変カイコに比べて顕著に高まっているのが確認できた。同様に、他の116個の突然変異体カイコ品種(突然変異の配列は、SEQ.ID NO:2〜10、SEQ.ID NO:12〜118に示される)を母体材料とする遺伝子改変カイコの絹糸腺と繭層においても、緑色蛍光タンパク質融合タンパク質の含有量が野生型カイコを母体材料とする遺伝子改変カイコに比べて顕著に高まっているのが確認できた。以上のことは、上述のカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子が外来タンパク質の製造に適用することのできることを実証したものでもある。
上述の実施例が本発明に係る技術案を説明するものであって、本発明を制限するものではない。以上において本発明の最適の実施例を参照しながら本発明を説明したが、当分野の普通の技術者であれば、特許請求の範囲で限定される本発明の趣旨と範疇から逸脱しない限り、本発明に対し形式上や細部において種種の変更を加えることのできることを理解すべきである。

Claims (3)

  1. SEQ.ID NO:119とSEQ.ID NO:120に示されるジンクフィンガーヌクレアーゼ配列を、T7:5'−taatacgactcactataggg−3'またはSP6:5'−atttaggtgacactatag−3'プロモーターを含む原核細胞発現ベクターに挿入して組換えベクターを取得し、組換えベクターについてインビトロ転写反応を行うことでジンクフィンガーヌクレアーゼ配列をコードするmRNAを取得し、更にジンクフィンガーヌクレアーゼ配列をコードするmRNAを、ctgttgctcaaagttatgttgctgctgatgcgggagcaであるジンクフィンガーヌクレアーゼによって識別される標的サイトに作用させ、セリシン蚕になる突然変異遺伝子及び外因性タンパク質の含有量が高い表現型の突然変異遺伝子の少なくともいずれか一方を選別し、カイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子を取得することを特徴とするカイコフィブロイン重鎖遺伝子の突然変異誘発方法。
  2. 前記カイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子は、SEQ.ID NO:11に示される配列を有することを特徴とする請求項1に記載のカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子の突然変異誘発方法
  3. カイコ突然変異体の前記カイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子はSEQ.ID NO:11に示される配列を有することを特徴とする請求項1に記載のカイコフィブロイン重鎖突然変異遺伝子の突然変異誘発方法
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