JP2005095063A - カイコ絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質の製造方法 - Google Patents

カイコ絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質の製造方法 Download PDF

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Toshiki Tamura
俊樹 田村
Morikazu Imamura
守一 今村
Toshio Kanda
俊男 神田
Kunioki Zen
国興 全
Minoru Yamakawa
稔 山川
Jun Ishibashi
純 石橋
Junichi Machida
順一 町田
Nobuo Kuwabara
伸夫 桑原
Original Assignee
National Institute Of Agrobiological Sciences
独立行政法人農業生物資源研究所
Gunma Prefecture
群馬県
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Abstract

【課題】トランスジェニックカイコを利用した組み換えタンパク質の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】GAL4の標的配列であるUASをプロモーターとする2種類のタイワンカブトムシのデフェンシン遺伝子、フィブロインL鎖由来とデフェンシン由来のシグナル配列を持つトランスジェニックカイコを作出した。得られたUAS-デフェンシン遺伝子を持つトランスジェニックカイコを、同様の方法で作出されたフィブロインL鎖遺伝子のプロモーターを持つGAL4遺伝子を導入した系統と交配し、その後代を調べた。その結果、フィブロインL鎖のプロモーターとGAL4遺伝子、並びにタイワンカブトムシ由来のデフェンシン遺伝子を持つトランスジェニックカイコが吐糸する繭中に、タイワンカブトムシのデフェンシンが存在することが確認された。
【選択図】なし

Description

本発明は、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を吐糸するトランスジェニックカイコとその利用に関する。
組み換えタンパク質を生産する方法として、大腸菌や酵母、哺乳動物の培養細胞、植物や動物の個体を使う方法等が知られている。これらの方法はいずれも短所と長所があり、生産しようとするタンパク質の性質や使用目的に応じて、使い分けられている。
昆虫を使った組み換えタンパク質の生産系については、これまでに鱗翅目昆虫の核多核体病ウイルスによる方法とトランスジェニックカイコを用いる方法(非特許文献1〜7)が開発されている。前者はベクターとしてDNA型のウイルスを用いている。そのため、比較的容易に組み換えウイルスを作出し、これをカイコなどの幼虫個体に感染させることができる。感染後、ウイルスは昆虫の個体内で増殖し、これに伴ってウイルス中に導入した遺伝子から組み換えタンパク質が合成される。この場合、ウイルス感染後の幼虫は数日後には死滅し、死ぬ直前のカイコ体液を採取してタンパク質を精製する。そのため、生産できるタンパク質量は多くの場合、体液1ml当たり1mg以下で、精製に多くの労力を要するという問題点がある。
トランスジェニックカイコを用いる方法は、カイコの絹糸腺という特殊な器官を利用する。カイコでは最終齢である5齢期の約1週間の間に数百mgの大量のタンパク質を合成することができる。しかも、絹糸腺で合成されたタンパク質は、繭糸として排出されるため、精製が容易である。
トランスジェニックカイコを用いたこれまでの研究では、絹糸腺内の特定のシグナル領域が認識され、絹糸腺内腔に分泌した例はない。絹糸腺で合成された組み換えタンパク質は大部分が細胞内に止まるため、フィブロインとの融合タンパク質にすることにより、強制的に分泌させている(非特許文献8)。しかし、この方法ではタンパク質の生産量が限られること、および、融合化により、タンパク質が本来の機能を失うなどの問題点があった。
なお、本発明に関連する先行技術文献情報を以下に記す。
田村俊樹(1999)トランスポソンを利用した形質転換カイコの作出方法.第7回昆虫機能研究会講演要旨、p10-22. Horn, C., B. Jaunich and E. A. Wimmer,(2000)Highly sensitive, fluorescent transformation marker for Drosophila transgenesis. Dev Genes Evol 210: 623-629. Horn, C., and E. A. Wimmer,(2000)A versatile vector set for animal transgenesis. Dev Genes Evol 210: 630-637. Thomas, J. L., M. Da Rocha, A. Besse, B. Mauchamp and G. Chavancy, 2002 3xP3-EGFP marker facilitates screening for transgenic silkworm Bombyx mori L. from the embryonic stage onwards. Insect Biochem Mol Biol 32: 247-253. Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P. (2000) A piggyBac element-derived vector efficiently promotes germ-line transformation in the silkworm Bombyx mori L. Nature Biotechnology 18, 81-84. Berghammer, A. J., M. Klingler and E. A. Wimmer,(1999) A universal marker for transgenic insects. Nature 402: 370-371. 富田正浩、佐藤勉、安達敬泰、宗綱洋人、田村俊樹、神田俊男、吉里勝利(2001)ヒトコラーゲン遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコの作出.第24回日本分子生物学会年会講演要旨. Tomita M, M. H., Sato T, Adachi T, Hino R, Hayashi M, Shimizu K, Nakamura N, Tamura T, Yoshizato K.,(2003)Transgenic silkworms produce recombinant human type III procollagen in cocoons. Nat Biotechnol 21, 52-56 田村俊樹(2000)トランスジェニックカイコ:現状と展望.日蚕雑69、1-12. 田村俊樹(2000)カイコ発生における有用遺伝子導入.第21回基礎育種シンポジウム報告:動植物分子育種における発生工学的手法の展開。p23-29. Tamura, T., Quan, G.X., Kanda, T., and Kuwabara, N. (2001) Transgenic silkworm research in Japan: Recent progress and future. Proceeding of Joint International Symposium of Insect COE Research Program and Insect Factory Research Project. p77-82. Tomita M, M. H., Sato T, Adachi T, Hino R, Hayashi M, Shimizu K, Nakamura N, Tamura T, Yoshizato K.,(2003)Transgenic silkworms produce recombinant human type III procollagen in cocoons. Nat Biotechnol 21, 52-56. カイコに殺菌遺伝子の組み込み 2002.8.19 インターネット<URL:http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/2840/171-180/020828_No.174.html>
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、トランスジェニックカイコを用いて組み換えタンパク質を大量に製造する方法を提供することにある。より詳細には、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を吐糸するトランスジェニックカイコを利用した、抗菌性タンパク質などの組み換えタンパク質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。本発明者らは、酵母由来の転写制御因子GAL4の標的配列であるUASをプロモーターとする2種類のタイワンカブトムシのデフェンシン遺伝子、フィブロインL鎖由来とデフェンシン由来のシグナル配列を持つものを構築した。そして、この遺伝子をトランスポゾンpiggyBacの逆位末端反復配列を持つプラスミドに挿入した。このプラスミドDNAを、ゲノム中へ遺伝子を転移させる機能をもち、転移酵素を強制的に発現させることのできるヘルパープラスミドと一緒にカイコの発生初期の卵に注射することによって、トランスジェニックカイコを作出した。このようにして得られたUAS-デフェンシン遺伝子を持つトランスジェニックカイコを、同様の方法で作出されたフィブロインL鎖遺伝子のプロモーターを持つGAL4遺伝子を導入した系統と交配し、その後代を調べた。その結果、両方の遺伝子を持つトランスジェニックカイコでは、繭糸にタイワンカブトムシのデフェンシンが存在することが分かった。この場合、L鎖のシグナルを持つデフェンシン遺伝子を導入した個体からはデフェンシンは検出されず、デフェンシンのシグナル配列を持つ遺伝子を導入した個体からのみ、デフェンシンが検出された。また、検出されたデフェンシンはシグナルペプチドに相当する部位が切断されていた。
以上のことから、トランスジェニックカイコに導入されたタイワンカブトムシ由来のデフェンシン遺伝子は、絹糸腺特異的に生産されるばかりではなく、絹糸腺細胞においてデフェンシン遺伝子のシグナル配列が認識されることで、絹糸腺内腔に分泌され、そして吐糸されることが明らかになった。従来の方法では、トランスジェニックカイコにおける組み換えタンパク質は、絹糸タンパク質遺伝子の融合型として作られている。本発明により、タイワンカブトムシのデフェンシンのシグナル配列が認識され、この部位が切り出されることが示された。このことから、このシグナル配列を利用することにより、目的タンパク質をそのまま絹糸腺や繭糸に分泌させる新たな手法が開発されたといえる。また、この手法を用いて抗菌性のタンパク質を絹糸中に分泌することができることが同時に明らかにされた。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔24〕を提供するものである。
〔1〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質の製造方法。
(a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
(b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
(c)選択されたトランスジェニックカイコが吐糸した絹糸から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を回収する工程
〔2〕 〔1〕に記載の工程に、さらに、回収されたタンパク質と医薬上許容される担体とを混合する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
〔3〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸の製造方法。
(a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
(b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
(c)選択されたトランスジェニックカイコから吐糸された絹糸であって、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を回収する工程
〔4〕 以下の(a)および(b)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を吐糸するトランスジェニックカイコの製造方法。
(a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
(b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
〔5〕 工程(a)に記載のカイコ卵が、以下の(i)および(ii)に記載のDNAを有するカイコ卵である、〔1〕〜〔4〕に記載の方法。
(i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA
(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNA
〔6〕 工程(a)が、以下の(i)および(ii)に記載のトランスジェニックカイコを交配させる工程からなる、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ
(ii)工程(i)に記載の転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ
〔7〕 絹糸を構成するタンパク質がフィブロインである、〔5〕または〔6〕に記載の方法。
〔8〕 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、該シグナル領域と任意タンパク質との融合タンパク質である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、抗菌性タンパク質である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕 抗菌性タンパク質が、デフェンシンである、〔10〕に記載の方法。
〔12〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を吐糸するトランスジェニックカイコ。
〔13〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを発現するトランスジェニックカイコ。
〔14〕 以下の(i)および(ii)に記載のDNAを有する、〔12〕または〔13〕に記載のトランスジェニックカイコ。
(i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA
(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNA
〔15〕 絹糸を構成するタンパク質がフィブロインである、〔14〕に記載のトランスジェニックカイコ。
〔16〕 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、〔14〕または〔15〕に記載のトランスジェニックカイコ。
〔17〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、該シグナル領域と任意ペプチドとの融合タンパク質である、〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載のトランスジェニックカイコ。
〔18〕 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、抗菌性タンパク質である、〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載のトランスジェニックカイコ。
〔19〕 抗菌性タンパク質が、デフェンシンである、〔18〕に記載のトランスジェニックカイコ。
〔20〕 転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ。
〔21〕 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、〔20〕に記載のトランスジェニックカイコ。
〔22〕 〔12〕〜〔19〕のいずれかに記載のトランスジェニックカイコの繭。
〔23〕 〔22〕に記載の繭から製造される絹糸であって、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸。
〔24〕 〔23〕に記載の絹糸を含有する絹織物。
本発明では、タイワンカブトムシのデフェンシン遺伝子を用いることにより、この遺伝子のシグナルペプチドの配列がカイコの絹糸腺においても分泌シグナルとして有効であることが分かった。本発明の方法を利用することにより、組み換えタンパク質をそのまま絹糸腺や繭糸に分泌でき、また、組み換えタンパク質を高効率に生産できる。
また、本発明で得られたトランスジェニックカイコの繭中に抗菌性ペプチドであるデフェンシンが大量に含まれていた。従って、この繭から抗菌性の絹糸を作ることが可能である。抗菌性の絹糸の作出については産業界からも強い要請があり、本発明のトランスジェニックカイコを利用することで抗菌性絹糸を製造できる。
本発明は、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質の製造方法を提供する。本発明のタンパク質の製造方法においては、まず、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する。次いで、製造されたカイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する。
本発明において、トランスジェニックカイコを選択するには、例えば、選択マーカーを用いて行うことができる。本発明における選択マーカーとしては、当業者において一般的に使用されるマーカー、例えば、CFP、GFP、YFP、DsRed等の蛍光タンパク質を使用することができる。これらのマーカーを用いることにより、実体蛍光顕微鏡で観察するだけでトランスジェニックカイコを検出することができる。また、蛍光色が異なるので、複数のマーカーを同時に使用することもできる。
本発明のタンパク質の製造方法においては、次いで、選択されたトランスジェニックカイコが吐糸した繭から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を回収する。回収方法としては、当業者に周知の方法、例えば、繭を60%LiSCNで溶かし、20mMTris、5M ureaで透析することによって回収する方法(Inoue, S., Tsuda, H., Tanaka, H., Magoshi, Y and Mizuno (2001) Sericologia 4, 157-163. )を使用することができる。また、当業者に周知の方法で、繭から絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を製造することもできる。
本発明において、「絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質」としては、特に制限はないが、好ましくは抗菌性タンパク質、より好ましくはデフェンシン、さらに好ましくはタイワンカブトムシ由来のデフェンシンが挙げられる。本発明のデフェンシンとしては、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質が例示できるが、これに限定されるものではなく、該タンパク質と機能的に同等なタンパク質も含まれる。
該タンパク質と機能的に同等なタンパク質には、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質が含まれる。配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするDNAを調製するために、当業者によく知られた他の方法としては、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション技術(Southern EM: J Mol Biol 98: 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki RK, et al: Science 230: 1350, 1985、Saiki RK, et al: Science 239: 487, 1988)を利用する方法が挙げられる。
本発明においてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、6M 尿素、0.4% SDS、0.5×SSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を指す。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M 尿素、0.4% SDS、0.1×SSCの条件下では、より相同性の高いDNAを単離できると期待される。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは98%以上の配列の同一性を指す。また、変異体における、変異するアミノ酸数は、通常、30アミノ酸以内であり、好ましくは15アミノ酸以内であり、より好ましくは5アミノ酸以内、さらに好ましくは3アミノ酸以内であり、よりさらに好ましくは2アミノ酸以内である。アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873, 1993)を用いて判定することができる。
また、本発明においては、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域と任意タンパク質(任意のペプチド、任意のポリペプチドも含まれる)との融合タンパク質もまた「絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質」に含まれる。任意タンパク質としては、絹糸中で不可逆的な変性が生じないタンパク質であることが好ましい。
従来の方法では、トランスジェニックカイコにおける組み換えタンパク質は、絹糸タンパク質との融合タンパク質として作られていた。本発明の「絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域」を利用することで、任意のタンパク質をそのまま絹糸腺や繭糸に分泌できる。
「絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域」としては、例えばデフェンシンのN-末端領域が挙げられる。絹糸腺内腔への移行時に除去されるデフェンシンのN-末端領域の分子量は約4000Daであり、分子量から推定されるアミノ酸領域はデフェンシンのN-末端から36アミノ酸以内の領域である。よって、本発明における「絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域」としては、デフェンシンのN-末端から36アミノ酸以内の領域であって、少なくともRQKR配列を含むアミノ酸領域を指す。本発明においては、デフェンシンのN-末端から36アミノ酸の配列を配列番号:4に、その塩基配列を配列番号:3に示す。また、RQKR配列を配列番号:6に、その塩基配列を配列番号:5に示す。
絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵としては、例えば、以下の(a)および(b)などが挙げられる。
(a)(i)絹糸腺細胞において活性化されるプロモーター(好ましくは絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーター)の下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA、および(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するカイコ卵
(b)絹糸腺細胞において活性化されるプロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するカイコ卵
ここで、「機能的に結合した」とは、プロモーターに転写制御因子が結合することにより、プロモーターの下流に存在するDNAの発現が誘導されるように、該プロモーターと該DNAとが結合していることをいう。従って、該DNAが他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、該プロモーターに転写制御因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。
本発明における絹糸を構成するタンパク質としては、例えばフィブロインL鎖、H鎖、セリシン、p25(fibrohexamarin)が挙げられるが、好ましくはフィブロインL鎖またはH鎖であり、より好ましくはフィブロインL鎖である。
また、上記転写制御因子と標的配列の組み合わせとしては、GAL4とUAS、TetRとTREなどが挙げられる。GAL4とUAS、またはTetRとTREを用いることにより、目的とする遺伝子の発現部位や時期、量を正確に制御でき、多くの組織で容易に発現させることができる。また、発現させる遺伝子が致死性の遺伝子でも系統の作出が可能である。
また、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する方法としては、種々の方法を選択できる。例えば、上記(i)および(ii)のDNAを別々のカイコ卵に導入する。両方のDNAを有するカイコ卵は、それぞれのDNAが導入されたカイコ卵から生じたトランスジェニックカイコ同士を交配させることで得ることができる。この場合、転写制御因子により、発現する組織、時期、量などを決めることができるため、発現させたい遺伝子を導入した系統と交配することにより、多くの系統を作ることなく、各組織や時期、量などを変えることができる利点がある。また、目的遺伝子を発現させた場合、不妊になる場合でも実験が可能である。さらに、単独のプロモーターを使った場合より、導入遺伝子からの生産物の量が増えるという利点もある。
また、上記(i)および(ii)のDNAを有するカイコ卵は、片方のDNAが導入されたトランスジェニックカイコが産卵した卵に、もう片方のDNAを人為的に導入することで得ることもできる。
また、上記(i)のDNAと上記(ii)のDNAを、同じ卵に導入することによっても、両方のDNAを有するカイコ卵を得ることが出来る(Imamura, M., Nakai, J., Inoue, S., Quan, G.-X., Kanda, T. and Tamura, T.(2003)Targeted gene expression using the GAL4/UAS system in the silkworm Bombyx mori. Fourth International Workshop on Transgenesis and Genomics of Invertegrate Organisms, Asilomar, P53.)。
さらに本発明においては、絹糸腺細胞において活性化されるプロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを卵に導入することによっても、目的のカイコ卵を得ることが出来る。
カイコ卵へのDNAの導入は、例えば、カイコの発生初期卵へ、トランスポゾンをベクターとして注射する方法(Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)に従って行うことができる。
例えば、トランスポゾンの逆位末端反復配列(Handler AM, McCombs SD, Fraser MJ, Saul SH.(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95(13):7520-5)の間に上記DNAを挿入したベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクター(ヘルパーベクター)をカイコ卵に導入する。ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG (Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明におけるトランスポゾンとしては、piggyBacが好ましいが、これに限定されるものではなく、マリーナ(mariner)、ミノス(minos)等を用いることもできる(Shimizu, K., Kamba, M., Sonobe, H., Kanda, T., Klinakis, A. G., Savakis, C. and Tamura, T. (2000) Insect Mol. Biol., 9, 277-281;Wang W, Swevers L, Iatrou K.(2000) Insect Mol Biol 9(2):145-55)。
また、本発明では、バキュロウイルスベクターを使用することによりトランスジェニックカイコを作出することも可能である(Yamao, M., N. Katayama, H. Nakazawa, M. Yamakawa, Y. Hayashi et al., 1999, Genes Dev 13: 511-516)。
また、本発明におけるカイコとしては、特に制限はないが、タンパク質の大量生産のためには、絹糸を構成するペプチドをコードする遺伝子領域(コード領域、プロモーター領域、非翻訳領域を含む)の変異によって、絹糸を構成するペプチドの生産が抑制されているカイコを用いることが好ましい。このようなカイコとしては、絹糸を構成するペプチドをコードする遺伝子領域の変異によって絹糸を構成するペプチドの生産が抑制されている突然変異系統のカイコ、好ましくは該変異によって絹糸を構成するペプチドの生産が抑制されている裸蛹系統のカイコ、より好ましくはNd-sDが挙げられるが、絹糸を構成するペプチドの生産抑制の原因が、人為的か否か、また、変異に依存するか否かに関わらず、絹糸を構成するペプチドの生産が抑制されているカイコであればよい。
また、本発明におけるカイコとしては、非休眠卵を産下する性質を有するカイコだけでなく、休眠卵を産下する性質を有するカイコ(例えば実用品種であるぐんま、200、春嶺、鐘月、錦秋、鐘和等)も使用することができる。ここで、休眠卵とは産卵後胚発生が一時的に停止する卵を言い、非休眠卵とは産卵後胚発生が停止せず、幼虫が孵化する卵を言う。
休眠卵を産下する性質を有するカイコを用いる場合は、非休眠卵を産下させ、該非休眠卵にDNAを導入する。非休眠卵を産下させる方法としては、例えばぐんまにおいては、休眠卵を15℃〜21℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、好ましくは休眠卵を16℃〜20℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、より好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、最も好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法を挙げることができる。また、200においては、休眠卵を15℃〜21℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、好ましくは休眠卵を16℃〜20℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、より好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、または休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法、最も好ましくは休眠卵を25℃で培養することで該休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法が挙げられる。
卵の培養は、例えば、18℃〜25℃のインキュベーター、または定温の部屋に入れることによって行うことができ、幼虫の飼育は20℃〜29℃の飼育室で人工飼料を用いて行うことができる。
本発明において、日長条件とは卵の培養、または幼虫の飼育中における一日毎の明暗サイクルを意味する。このような条件としては明条件と暗条件があり、特に全明条件とは暗の無い24時間明の条件を意味する。日長条件は、品種に応じて変化させることができる。
本発明の上記休眠卵の培養は、当業者においては、一般的なカイコ卵の培養法に従って行うことができる。例えば、「文部省(1978)蚕種製造.pp193、実教出版社、東京」に記載の方法に従って培養を行う。また、本発明におけるカイコ幼虫の飼育は、当業者においては、周知の方法によって行うことができる。例えば、「文部省(1978)蚕種製造.pp193、実教出版社、東京」に記載の方法に従って飼育を行う。
本発明において、産卵された卵が非休眠卵であるか否かは、卵の色で判定することができる。一般に、休眠卵は濃い茶褐色に着色し、非休眠卵は黄白色であることが知られている。よって、本発明においては、濃い茶褐色ではないこと、より好ましくは黄白色であることをもって産卵された卵が非休眠卵であると判定する。
以下、カイコ卵へのDNAの導入方法の具体例を記すが、本発明におけるカイコ卵へのDNAの導入方法は、この方法に限定されるものでない。例えば、カイコ卵へDNA注入用の管を使用して直接卵内へDNAを導入することが可能であるが、好ましい態様としては、前もって物理的または化学的に卵殻に穴を空け、該穴からDNAを導入する。この際、DNA注入用の管を挿入角度が該卵の腹側の側面に対してほぼ垂直となるように該穴から卵内に挿入することができる。
本発明において、物理的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば針、微小レーザー等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。好適には針を用いた方法によって卵殻に穴を空けることができる。該針は、カイコの卵殻に穴を空けることができるものであれば、その針の材質、強度等は、特に制限されない。なお、本発明における針とは、通常、先端が尖った棒状の針を指すが、この形状に限定されず、卵殻に穴を空けることができるものであれば、全体の形状は特に制限されない。例えば、先端の尖ったピラミッド型の物質、または先端の尖った三角錐の形状の物質もまた、本発明の「針」に含まれる。本発明においては、タングステン針を好適に使用することができる。本発明の針の太さ(直径)は、後述のキャピラリーが通過可能な穴を空けることができる程度の太さであればよく、通常2〜20μm、好ましくは5〜10μmである。一方、化学的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば薬品(次亜塩素酸等)等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。
本発明において、穴を空ける位置としては、該穴からDNA注入用の管を挿入した場合に卵の腹側の側面に対する挿入角度を、ほぼ垂直にできる位置ならば特に制限はないが、好ましくは腹側の側面またはその反対側であり、より好ましくは腹側の側面であり、よりさらに好ましくは卵の腹側側面のやや降誕よりの中央部である。
本発明において、「ほぼ垂直」とは、70°〜120°を意味し、好ましくは80°〜90°を意味する。本発明において、「将来的に生殖細胞になる位置」としては、通常、卵の腹側の卵表に近い位置(通常、卵表から0.01mm〜0.05mmの位置)であり、好ましくは、卵の腹側中央の卵表に近い位置でやや後極よりの位置である。
本発明のDNA注入用の管は、その管の材質、強度、内径等は特に制限されないが、DNA注入用の管を挿入する前に、物理的または化学的に卵殻に穴を空ける場合は、空けられた穴を通過できる太さ(外径)であることが好ましい。本発明のDNA注入用の管としては、例えば、ガラスキャピラリー等を挙げることができる。
本発明のDNAの導入方法において、好ましい態様としては、上記のカイコ卵に物理的または化学的に穴を空け、DNA注入用の管を挿入角度が該卵の腹側の側面に対してほぼ垂直となるように該穴から卵内に挿入し、DNAを注入する工程を、針とDNA注入用の管が一体型となったマニュピュレーターを使用して行う。通常、該マニュピュレーターを構成要素の1つとする装置を使用して本発明は好適に実施される。
このような装置としては、解剖顕微鏡、照明装置、可動式のステージ、顕微鏡に金具で固定した粗動マニュピュレーター、このマニュピュレーターに付けたマイクロマニュピュレーター、DNAを注射するための空気圧を調整するインジェクターから構成されている。インジェクターに用いる圧力は窒素ボンベから供給され、圧力のスイッチはフットスイッチによっていれることができる。注射はガラススライド等の基板上に固定した卵に対して行い、卵の位置は移動式のステージによって決める。また、マイクロマニュピュレーターのガラスキャピラリーは4本のチューブで繋がれた操作部によって操作する。実際の手順は、卵に対するタングステン針の位置を粗動マニュピュレーターで決め、ステージのレバーで水平方向に卵を動かし穴を空ける。続いて、マイクロマニュピュレーターの操作部のレバーを操作して、穴の位置にガラスキャピラリーの先端を誘導し、再びステージのレバーによりキャピラリーを卵に挿入する。この場合、卵の腹側の側面に対し垂直にガラスキャピラリーが挿入される必要がある。フットスイッチを入れDNAを注射し、レバーを操作して卵からキャピラリーを抜く。空けた穴を瞬間接着剤等でふさぎ、一定の温度および、一定の湿度のインキュベーターで保護する。本発明に使用される装置としては、好適には、特許第1654050号に記載の装置または該装置を改良した装置が挙げられる。
また、本発明の態様においては、DNAの導入に用いるカイコ卵が基板に固定されていることが好ましい。本発明の基板として、例えば、スライドグラス、プラスチック板等を用いることができるが、これらに特に制限されない。本発明の上記態様においては、カイコ卵内の将来的に生殖細胞になる位置に正確にDNAを注射するために、卵の方向を揃えて固定することが望ましい。また、上記態様においては、基板へ固定するカイコ卵の数には、特に制限はない。また、複数個のカイコ卵を用いる場合、カイコ卵を基板へ固定する方向性としては、好ましくは背腹の向きが一定となるような方向である。本発明の上記カイコ卵の基板への固定は、例えば、水性の糊をあらかじめ塗布した市販の台紙(バラ種台紙)の上に産卵させ、台紙に水を加えて卵をはがし、次いで濡れた状態の卵を基板に整列させ、風乾することによって行う。卵をスライドグラス上に卵の方向を揃えて固定することが好ましい。また、卵の基盤への固定は両面テープや接着剤等を用いることによっても可能である。
カイコ卵にDNAが導入されたか否かは、例えば、注射したDNAを卵から再度抽出して測定する方法(Nagaraju, J., Kanda, T., Yukuhiro, K., Chavancy, G., Tamura, T. and Couble, P.(1996)Attempt of transgenesis of the silkworm(Bombyx mori L) by egg-injection of foreign DNA. Appl. Entomol. Zool., 31, 589-598)や、注射した遺伝子としてのDNAの卵内での発現を見る方法(Tamura, T., Kanda, T., Takiya, S., Okano, K. and Maekawa, H. (1990). Transient expression of chimeric CAT genes injected into early embryos of the domesticated silkworm, Bombyx mori. Jpn. J. Genet., 65, 401-410)等によって確認することができる。
また、本発明は、医薬組成物の製造方法を提供する。該方法においては、回収されたタンパク質と医薬上許容される担体とを混合する。該担体としては、例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜使用することができる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。
また、本発明は、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を吐糸するトランスジェニックカイコを提供する。本発明のトランスジェニックカイコの状態に特に制限はなく、例えば卵の状態であってもよい。本発明のトランスジェニックカイコを使用することで、目的のタンパク質を大量に生産することができる。
本発明のトランスジェニックカイコとしては、好ましくは、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを発現するトランスジェニックカイコであり、より好ましくは、(i)絹糸腺細胞において活性化されるプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA、および(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ、または絹糸腺細胞において活性化されるプロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコである。
また、本発明は、上記(ii)のDNAを有するトランスジェニックカイコも提供するものである。このようなカイコは、上記(i)および(ii)のDNAを有するトランスジェニックカイコやその卵の製造に利用できる。
さらに、本発明は、本発明のトランスジェニックカイコの繭を提供する。このような繭は、目的のタンパク質を大量に含有する繭として有用である。また、本発明は、該繭から製造される絹糸であって、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を提供する。また、公知の手法により、本発明の絹糸を含有する絹織物、例えば抗菌性絹糸を含有する絹織物を作製することができる。本発明はこのような絹織物も提供するものである。
また、本発明は、本発明の方法に用いるためのDNAを提供する。このようなDNAとしては、(a)デフェンシンのシグナル領域をコードするDNA、(b)デフェンシンのシグナル領域と任意タンパク質との融合タンパク質をコードするDNAなどが挙げられる。また、本発明は、トランスポゾンの逆位末端反復配列の間に、(a)または(b)のDNAを挿入したベクターを提供する。さらに、該ベクターとトランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクター(ヘルパーベクター)を含むキットを提供する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
カイコはトランスジェニックカイコ作出用の非休眠卵系統w1-pndを用いた。カイコの飼育は密閉したタッパウエア内で行い、組み換えカイコ専用の飼育室内で人工飼料(農産工)を用いて行った。タイワンカブトムシのデフェンシン遺伝子はIshibashiら(Ishibashi J, Saido-Sakanaka H, Yang J, Sagisaka A, Yamakawa M.(1999)Purification, cDNA cloning and modification of a defensin from the coconut rhinoceros beetle, Oryctes rhinoceros.Eur J Biochem. 266:616-23.)によりクローニングされたものを用いた。デフェンシン遺伝子はクローン化されたプラスミドから、PCRによって増幅し、酵母の転写制御因子GAL4の標的配列であるUASの下流に繋ぎ、これをpiggyBac由来のプラスミドベクターに組み込むことによって、図1に示した構造のベクターを作出した。トランスジェニックカイコの作出はTamuraら(Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P. (2000) A piggyBac element-derived vector efficiently promotes germ-line transformation in the silkworm Bombyx mori L. Nature Biotechnology 18, 81-84.)の方法によって行った。得られたトランスジェニックカイコはImamuraら(Imamura, M., Nakai, J., Inoue, S., Quan, G.-X., Kanda, T and Tamura, T.(2003)Targeted gene expression using the GAL4/UAS system in the silkworm Bombyx mori. Fourth International Workshop on Transgenesis and Genomics of Invertegrate Organisms, Asilomar, P53.)の方法で作出されたフィブロインL鎖プロモーターを上流に持つ系統と交配した。このF1における両方の遺伝子をもつ個体は3XP3CFPと3XP3DsRedの両方の遺伝子の発現により同定した。即ち、卵後期及び幼虫初期に単眼をCFP及びDsRed検出用のフィルターを装備した蛍光顕微鏡により観察し、蛍光が観察されたものを遺伝子導入個体とした。
サザン解析のためのDNAは幼虫後部絹糸腺より、SDSフェノールを用いて抽出した。遺伝子の検出はGAL4遺伝子とデフェンシン遺伝子のDNA断片をプローブとし、制限酵素で切断後、ナイロン膜に移し、AlkPhos Direct Labeling and Detection System(Amersham Pharmacia Biotech)により検出した。遺伝子の発現状態についてはRT-PCR及びノーザン解析を行った。RT-PCRは幼虫絹糸腺から抽出したRNAをテンプレートとして行った。ノーザンはRNAを電気泳動後、ナイロン膜に移し、サザンと同じ方法で検出した。絹糸腺内腔及び絹糸からのタンパク質の抽出はInoueら(Inoue, S., Tsuda, H., Tanaka, H., Magoshi, Y., Mizuno, S. (2001) Degummed silk fibers of Bombyx mori consist of an H-chin, L-chain and P25 (fibrohexamerin) in a 6:6:1 molar ratio. Sericologia 4, 157-163.)の方法によって行った。この場合の抗体は精製したデフェンシンより作成したウサギのポリクローナル抗体を用いた。
〔実施例1〕
用いたベクターの構造を図1に示した。この場合、デフェンシン遺伝子の分泌シグナルにはフィブロインL鎖由来のもの(pBacUAS-L.defencin)とデフェンシン由来のもの(pBacUAS-Defencin)の2種類を用いた。これらのベクタープラスミドと遺伝子を導入するための転移酵素を発現するヘルパープラスミドを一緒に非休眠卵系統w1-pndの産卵直後の卵に注射した。DNAを注射した卵から孵化した幼虫を人工飼料で飼育後、実験区内の蛾を互いに交配して次世代の卵を採種した。この卵を25℃でインキュベートし、6日後の胚の単眼の蛍光を、DsRedフィルターを装着した実体蛍光顕微鏡で観察した結果、表1および表2に示したような割合で眼で蛍光を発する個体が検出された。これらの個体を含む蛾区を孵化させ、孵化直後の幼虫の単眼でDsRedを発現している個体を選抜し、飼育した。
得られた成虫をImamuraらによって作出されたフィブロインL鎖遺伝子の上流をプロモーターとするGAL4遺伝子を組み込んだ系統と交配した。GAL4遺伝子はマーカーである3XP3CFP遺伝子と一緒にベクター組み込み、トランスジェニックカイコが作られている。そのため、個体にGAL4遺伝子やデフェンシン遺伝子が組み込まれているかどうかは、眼でCFPやDsRedが発現しているかどうかによって見分けることができる(図2)。このようにして得られたUASデフェンシン遺伝子とL鎖GAL4遺伝子の両方を組み込んだ個体からDNAを抽出し、サザン解析を行った。その結果、図3に示したように選抜されたトランスジェニックカイコには両方の遺伝子が存在することが明らかになった。
〔実施例2〕
次に、導入したデフェンシン遺伝子が目的とするカイコ幼虫の後部絹糸腺において転写されているかどうかを調べるため、最終齢の幼虫の中部及び後部絹糸腺からRNAを抽出し、RT-PCRを行った(図4)。デフェンシンの転写産物は両方の遺伝子を持つ個体の後部絹糸腺から抽出したサンプルからのみ検出された。転写量と転写産物についてさらに詳しく調べるため、ノーザン解析を行った結果、図5に示したように両方の遺伝子をもつトランスジェニックカイコの後部絹糸腺から抽出したRNAからのみ強いシグナルが得られた。遺伝子を持たない対照のカイコやL鎖GAL4遺伝子またはUASデフェンシン遺伝子のどちらかしか持たないカイコではどの組織のRNAサンプルからもシグナルは得られなかった。
〔実施例3〕
デフェンシンが実際に絹糸に分泌されているかどうかを調べるため、GAL4とUASデフェンシンの両方の遺伝子を持つ個体が作った繭から、タンパク質を抽出し、デフェンシンのポリクローナル抗体を用いたウェスタン解析を行った。その結果、図6に示したように、デフェンシンのシグナル配列を持つ遺伝子を導入した個体の繭からのみ大量のデフェンシンが検出された(図6)。検出されたデフェンシンの分子量はいずれも、導入した遺伝子から推定されるデフェンシンより約4000Da小さく、シグナル部分が切断されていると推定された。このことはタイワンカブトムシのデフェンシン遺伝子から最初に合成されるタンパク質のシグナル配列がカイコの後部絹糸腺細胞で認識され、細胞外である絹糸腺の内腔に分泌される過程においてシグナル領域が切断されることを示している。
ベクタープラスミドの構造を示す図である。 スクリーニングマーカーによる遺伝子導入蚕の検出を示す写真である。 サザンブロッティングによる遺伝子導入の検出を示す写真である。M:マーカー、1:L鎖-GAL4XUAS-L.デフェンシン〜2、2:UAS-L.デフェンシン〜3XL鎖-GAL4、3:UAS-L.デフェンシン〜4XL鎖-GAL4、4:L鎖-GAL4XUAS-デフェンシン〜1、5:UAS-デフェンシン〜1XL鎖-GAL4、6:w1-pnd、7:L鎖-GAL4、8:UAS-L.デフェンシン〜3、9:UAS-デフェンシン〜1 後部絹糸腺における導入遺伝子の発現を示す写真である。M:マーカー、1:L鎖-GAL4XUAS-L.デフェンシン〜2、2:UAS-L.デフェンシン〜3XL鎖-GAL4、3:UAS-L.デフェンシン〜4XL鎖-GAL4、4:L鎖-GAL4XUAS-デフェンシン〜1、5:UAS-デフェンシン〜1XL鎖-GAL4、6:w1-pnd、7:L鎖-GAL4、8:UAS-L.デフェンシン〜3、9:UAS-デフェンシン〜1、P:プラスミド 後部絹糸腺に対するノーザンブロッティングを示す写真である。1:UAS-L.デフェンシン〜3XL鎖-GAL4、2:L鎖-GAL4XUAS-デフェンシン〜1、3:w1-pnd、4:L鎖-GAL4、5:UAS-L.デフェンシン〜3、6:UAS-デフェンシン〜1 繭可溶性タンパク質からのデフェンシンの検出を示す写真である。M:マーカー、1,2:合成デフェンシン(1:10ng、2:1ng)、3:w1-pnd、4:L鎖-GAL4XUAS-L.デフェンシン〜2、5:UAS-L.デフェンシン〜3XL鎖-GAL4、6:UAS-L.デフェンシン〜4XL鎖-GAL4、7:L鎖-GAL4XUAS-デフェンシン〜1、8:UAS-デフェンシン〜1XL鎖-GAL4

Claims (24)

  1. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質の製造方法。
    (a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
    (b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
    (c)選択されたトランスジェニックカイコが吐糸した絹糸から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を回収する工程
  2. 請求項1に記載の工程に、さらに、回収されたタンパク質と医薬上許容される担体とを混合する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
  3. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸の製造方法。
    (a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
    (b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
    (c)選択されたトランスジェニックカイコから吐糸された絹糸であって、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を回収する工程
  4. 以下の(a)および(b)の工程を含む、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を吐糸するトランスジェニックカイコの製造方法。
    (a)絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを有するカイコ卵を製造する工程
    (b)該カイコ卵から生じたカイコの中から、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選択する工程
  5. 工程(a)に記載のカイコ卵が、以下の(i)および(ii)に記載のDNAを有するカイコ卵である、請求項1〜4に記載の方法。
    (i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA
    (ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNA
  6. 工程(a)が、以下の(i)および(ii)に記載のトランスジェニックカイコを交配させる工程からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ
    (ii)工程(i)に記載の転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ
  7. 絹糸を構成するタンパク質がフィブロインである、請求項5または6に記載の方法。
  8. 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、該シグナル領域と任意タンパク質との融合タンパク質である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、抗菌性タンパク質である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  11. 抗菌性タンパク質が、デフェンシンである、請求項10に記載の方法。
  12. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸を吐糸するトランスジェニックカイコ。
  13. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAを発現するトランスジェニックカイコ。
  14. 以下の(i)および(ii)に記載のDNAを有する、請求項12または13に記載のトランスジェニックカイコ。
    (i)絹糸を構成するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に、転写制御因子をコードするDNAが機能的に結合したDNA
    (ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNA
  15. 絹糸を構成するタンパク質がフィブロインである、請求項14に記載のトランスジェニックカイコ。
  16. 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、請求項14または15に記載のトランスジェニックカイコ。
  17. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、該シグナル領域と任意ペプチドとの融合タンパク質である、請求項13〜16のいずれかに記載のトランスジェニックカイコ。
  18. 絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質が、抗菌性タンパク質である、請求項13〜16のいずれかに記載のトランスジェニックカイコ。
  19. 抗菌性タンパク質が、デフェンシンである、請求項18に記載のトランスジェニックカイコ。
  20. 転写制御因子の標的プロモーターの下流に、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質であって、絹糸腺内腔への移行時に除去されるシグナル領域を有するタンパク質をコードするDNAが機能的に結合したDNAを有するトランスジェニックカイコ。
  21. 転写制御因子がGAL4であり、標的プロモーターがUASである、請求項20に記載のトランスジェニックカイコ。
  22. 請求項12〜19のいずれかに記載のトランスジェニックカイコの繭。
  23. 請求項22に記載の繭から製造される絹糸であって、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への移行活性を有するタンパク質からシグナル領域が除去されたタンパク質を含む絹糸。
  24. 請求項23に記載の絹糸を含有する絹織物。
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