JP6332585B2 - トランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法 - Google Patents

トランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はトランスジェニックカイコ、および該カイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法に関する。
物理的強度が高く手術用縫合糸としても用いられるシルクは、人体に対する安全性が立証されている数少ない生物素材の1つである。近年の研究によりシルクを様々な形状(フィルム・スポンジ・ナノ繊維等)に加工することが可能となり、医療用材料として幅広い用途展開がなされつつある(非特許文献1〜3)。さらに、光学材料や電子材料としてもユニークな特性を持つことが報告されている(非特許文献4)。
シルクはそれ自身有用な特性を多く備えるが、その特性を改変することで、より有用な素材として産業上活用されると期待される。シルクの特性を改変する方法として、これまで「化学的方法」と「遺伝子工学的方法」の2つが用いられてきた。
「化学的方法」はシルクタンパク質の側鎖官能基に対する化学反応によりその特性を改変する方法である(非特許文献5)。化学的方法はシルクタンパク質の特性を大きく改変することが可能だが、反応部位・反応量の制御が困難、反応に伴う副生成物や残留試薬による毒性の懸念、といった問題がある。
一方「遺伝子工学的方法」は、カイコの遺伝子組換え技術を用いてシルクタンパク質の特性を改変させる方法である(非特許文献6)。遺伝子工学的方法は、化学的方法の重大な問題点である毒性等を回避できることからも極めて有効な手法であり、さらなる技術開発が望まれている。なかでも、タンパク質への非天然アミノ酸導入法は、非天然アミノ酸を構成要素として使用でき、天然にはない特性を有するタンパク質を創出できることから注目される。
タンパク質への非天然アミノ酸導入法には、二つの方法が知られている。一つは「部位特異的非天然アミノ酸導入法」である。この方法では、非天然アミノ酸の投与、及びターゲットタンパク質遺伝子配列の改変を必要とし、改変した配列のコドンに対応するアンチコドンを有するtRNA、及びそのtRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化するためのaaRS(アミノアシル−tRNA合成酵素)を用いる。しかしながら、この部位特異的非天然アミノ酸導入法では、ターゲットタンパク質遺伝子と目的のaaRS遺伝子の両方を改変させなければならず工程が煩雑である。また、ターゲットタンパク質遺伝子の配列が既知のものでなくてはならないという制限がある。
一方、二つ目の方法として「残基特異的非天然アミノ酸導入法」が知られている。この方法では、非天然アミノ酸の投与に加え、アミノ酸結合部位に変異を導入した変異型aaRSの強制発現によって非天然アミノ酸の取り込み効率を向上させる。この残基特異的非天然アミノ酸導入法は、ターゲットタンパク質遺伝子の配列を改変させなくとも実施可能なため、部位特異的非天然アミノ酸導入法に比べ利用が簡便であり、ターゲットタンパク質遺伝子の配列が未知であっても利用可能という利点等があるため、利用価値の高い技術である。
これまでに残基特異的非天然アミノ酸導入法を実施した例として、大腸菌(非特許文献7)およびカイコ培養細胞(非特許文献8)において報告がある。
Rockwood, D.N. ,et.al.,Nat. Protoc., (2011)Vol.6,pp.1612−1631. Yagi,T.,et.al.,J.Artif.Organs,(2011)Vol.14,pp.89−99. Kawakami, M. ,et.al. ,Biomed. Mater. Eng. ,(2011)Vol.21,pp.53−61. Omenetto, F.G. and Kaplan, D.L.,Science ,(2010)Vol.329,pp.528−531. Murphy, A.R. and Kaplan, D.L. ,J. Mater. Chem. ,(2009)Vol.19,pp.6443−6450. 小島 桂, 玉田 靖,BIO INDUSTRY,(2007)Vol.24,pp.11−18. Kirshenbaum,K. ,et.al. ,ChemBioChem,(2002)Vol.3,pp.235−237. Teramoto, H. ,et.al. ,ChemBioChem,(2012),Vol.13,pp.61−65. Teramoto, H. and Kojima, K. J. , Insect Biotechnol. Sericol. ,(2010)Vol.79,pp.53−65
しかし、過去に発表されているタンパク質への非天然アミノ酸導入の目的は、タンパク質の構造や機能を精密に解明することが主であり、産業利用を目的として繊維等の材料として機能するシルクタンパク質の有用性を飛躍的に増大させる手法については未だ検討の余地があった。また、カイコをはじめとした多細胞生物において残基特異的非天然アミノ酸導入法を用いることに成功した例は報告されていない。
また、上記のように、従来カイコ培養細胞において残基特異的非天然アミノ酸導入法が用いられていたが、カイコ培養細胞を用いた場合、非天然アミノ酸含有タンパク質の生産量が、非天然アミノ酸を含有しないタンパク質の生産量と比較し、大幅に減少するという問題があった。
また、変異型aaRSによる認識がインビトロ実験で確認された非天然アミノ酸(例えばp−Br−Phe)であっても、カイコ培養細胞でのタンパク質への取り込みが起こらないという問題があった(非特許文献9)。
また、一般的にカイコ培養細胞を培養する際には、培地に血清を添加する必要があるため、カイコ培養細胞を用いた系において、非天然アミノ酸をはじめとしたタンパク質材料成分の配合等を厳密に制御することは非常に困難であった。
これらの問題点のために、特に、天然アミノ酸と大きく構造が異なる非天然アミノ酸等のある種の非天然アミノ酸(例えばp‐N‐Phe)を含有するタンパク質をカイコ培養細胞において製造することは非常に困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、非天然アミノ酸含有タンパク質を容易に製造できるトランスジェニックカイコ、及び該トランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法を提供する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質をコードするDNAを絹糸腺特異的に発現するトランスジェニックカイコを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有するトランスジェニックカイコ、及び該トランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法を提供するものである。
(1)トランスジェニックカイコに非天然アミノ酸を投与する工程を有し、
前記トランスジェニックカイコは、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号450位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、及び
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号407位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、並びに、該DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを有し、
前記非天然アミノ酸は、下記一般式(1)で表されるアミノ酸であることを特徴とする非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法
[式中、Rはジド基はエチニル基を表す。]
(2)前記DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターは、前記DNAを後部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターである(1)に記載の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法。
(3)前記DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターは、フィブロインL鎖由来のプロモーターである(1)又は(2)に記載の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法。
本発明のトランスジェニックカイコにより、非天然アミノ酸含有タンパク質を容易に製造できる。
また、本発明のトランスジェニックカイコを用いた本発明の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法により、非天然アミノ酸を含有しない本来のタンパク質の特性が改変された非天然アミノ酸含有タンパク質を製造できる。
カイコPheRSのαサブユニット遺伝子を後部絹糸腺で発現するトランスジェニックカイコを作出するためのpiggyBacベクターマップである。BmFRS1に付けたアスタリスク(*)は変異体遺伝子であることを示す。 白H01系統におけるBmFRS1(A450G)断片のRT−PCR増幅の結果である。 p−Cl−Phe投与時のカイコ幼虫の体重増加曲線である。 p−Cl−Pheを投与したカイコ幼虫の5齢期総摂食量(1頭あたり)及び平均繭層重である。 p−Cl−Phe投与アッセイで得られた繭層由来FibL消化断片のMALDI−TOF−MSスペクトルである。 p−Br−Phe投与時のカイコ幼虫の体重増加曲線である。 p−Br−Pheを投与したカイコ幼虫の5齢期総摂食量(1頭あたり)及び平均繭層重である。 p−Br−Phe投与アッセイで得られた繭層由来FibL消化断片のMALDI−TOF−MSスペクトルである。 p−N−Phe投与時のカイコ幼虫の体重増加曲線である。 p−N−Pheを投与したカイコ幼虫の5齢期総摂食量(1頭あたり)及び平均繭層重である。 p−N−Phe投与アッセイで得られた繭層由来FibL消化断片のMALDI−TOF−MSスペクトルである。 p−N−Phe含有シルクタンパク質とビオチン試薬とのクリック反応の模式図である。 p−N−Pheへのクリック反応後のFibLおよびFibHに対するビオチン抗体によるウエスタンブロッティングの結果である。 p−Eth−Phe投与時のカイコ幼虫の体重増加曲線である。 p−Eth−Pheを投与したカイコ幼虫の5齢期総摂食量(1頭あたり)及び平均繭層重である。 p−Eth−Phe投与アッセイで得られた繭層由来FibL消化断片のMALDI−TOF−MSスペクトルである。 p−Eth−Pheへのクリック反応後のFibLに対するビオチン抗体によるウエスタンブロッティングの結果である。
《トランスジェニックカイコ》
本発明のトランスジェニックカイコは、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号450位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、及び
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号407位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、並びに、該DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを有することを特徴とするトランスジェニックカイコである。
tRNAのアミノアシル化は、それぞれのアミノ酸に対応するアミノアシル−tRNA合成酵素(aaRS)によって触媒される。aaRSはタンパク質を構成する20種のアミノ酸間で厳密な基質特異性を有している。例えば、フェニルアラニンに対応するaaRSは、フェニルアラニル−tRNA合成酵素(PheRS)と呼ばれる。前記(a)〜(d)のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAは、カイコPheRSのαサブユニットに変異を有するDNAであって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質をコードするDNAである。このフェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質は、該活性を有していればよいのであって、前記(a)〜(d)のいずれかの配列に加えて、タンパク質タグ等の任意の配列(例えば、ヒスチジンタグ、HAタグ、GFP等)をさらに有していてもよい。
前記(a)〜(d)のいずれかの配列を有するタンパク質をコードするDNAを絹糸腺で発現させることで、絹糸腺で作られるタンパク質に対し本来のコドンとは通常は対応しないアミノ酸(非天然アミノ酸)を導入することが可能である。
前記絹糸腺で作られる非天然アミノ酸含有タンパク質は特に制限されることはなく、カイコが絹糸腺において生産するシルクタンパク質が好ましい。また、絹糸腺において任意のタンパク質をコードする外来性のDNAを強制発現させ、任意のタンパク質を絹糸腺に生産させてもよい。
絹糸腺で作られるタンパク質は繭糸としてカイコ体外に分泌されるため、特別の回収方法を用いずとも回収が容易であり、また多量のタンパク質を容易に得ることができる。
また、前記DNAをトランスジェニックカイコ全体に発現させることによって生じる毒性を回避するという観点から、本発明においては、絹糸腺において前記DNAを発現させるプロモーターが用いられる。絹糸腺は、前部絹糸腺、中部絹糸腺及び後部絹糸腺に大別される。ここで前記(a)〜(d)の配列のDNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターとしては、前記DNAを絹糸腺特異的に発現させることができるプロモーターであれば特に制限されず、上記三つの部位のいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせからなる部位で発現させることができるプロモーターであってもよい。
中部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターとして、例えば、セリシン1タンパク質またはセリシン2タンパク質をコードするDNAのプロモーターが挙げられる。中部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを用いることにより、中部絹糸腺で生産されるタンパク質に非天然アミノ酸を導入することができる。カイコの中部絹糸腺で生産されるタンパク質としてはセリシンが挙げられる。
また、後部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターとしてはフィブロインL鎖(FibL)タンパク質をコードするDNAのプロモーターが挙げられる。後部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを用いることにより、後部絹糸腺で生産されるタンパク質に非天然アミノ酸を導入することができる。カイコの後部絹糸腺で生産されるタンパク質はフィブロインであり、フィブロインがカイコの繭糸タンパク質の大部分を占めているため、後部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを用いることで、シルクタンパク質の性質の制御がより容易となる。
前記プロモーターを用いる際には、同時に、前記DNAの発現、その後のタンパク質への翻訳等を制御するための他の配列を用いてもよく、そのような配列としては例えば3’UTR(非翻訳領域)、5’UTR配列等が挙げられる。該配列は前記(a)〜(d)の配列のDNAを絹糸腺特異的に発現させることができるものであれば、特に制限されない。
本発明のトランスジェニックカイコの作出に用いるホストのカイコとしては、後述する本発明の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法において、非天然アミノ酸を含むタンパク質を製造できるカイコであれば特に制限されず、例えば、遺伝子組換え作成用として広く用いられるw1−pnd等の系統を用いても構わないが、飼料として投与された非天然アミノ酸のカイコ個体への取り込み量を増加させるという観点から、人工飼料摂食性に優れたカイコを用いることが好ましい。例えば、日01号、日603号、日604号、中604号、中605号等の品種が好ましく、非天然アミノ酸を含む合成飼料の1個体あたりの摂食量が多い白/CS(系統名:MCS601)がより好ましい。
また、本発明のトランスジェニックカイコの作出に用いるカイコとしては、前述のとおり特に制限されず、非休眠卵を産下する性質のカイコまたは休眠卵を産下する性質のカイコの、どちらも用いることが可能である。休眠卵を産下する性質のカイコを用いる場合には、「低温暗催青法」を用いて非休眠卵を産下させることができる。すなわち、胚子を胸肢発生期以後、特に剛毛発生期以後を15℃程度に保護する。この低温期間は、日数にして10日以上必要である。胚の反転から頭部着色の頃までを暗黒に保つ。その後孵化した幼虫を飼育して得たカイコ蛾は非休眠卵を産下する。(蚕種総論 著者:高見丈夫 発行:全国蚕種協会 (昭和44年5月31日))。
低温暗催青法以外の方法として、幼虫期の光条件をコントロールすることで非休眠卵を産下させる方法(特開2003−88274参照)を採択してもよい。
低温暗催青法等の方法を用いても非休眠卵が得られないカイコを使用する場合は、カイコ卵を浸酸処理することで、卵を休眠打破してもよい。前記浸酸処理の具体的な方法として、採卵から3〜4時間後のカイコ卵を室温で30分間程度塩酸に浸漬させ、水洗により塩酸を洗い流した後、卵を風乾させることが挙げられる。前記塩酸は、例えば比重1.11のものを用いることができる(Ai−Chun Zhao et.al., Insect Science (2012) Vol.19, pp.172−182.参照)。
トランスジェニックカイコの作出方法としては、例えばカイコ卵へDNAを導入する方法が挙げられる。カイコ卵へのDNAの導入は、例えば、カイコの発生初期卵へ、トランスポゾンをベクターとして注射する方法(Tamura,T. ,et.al.,Nature Biotechnology,(2000)Vol.18, pp.81−84.参照)に従って行うことができる。
例えば、トランスポゾンの逆位末端反復配列(Handler,A.M.,et.al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,(1998)Vol.95, pp.7520−7525.参照。)の間に上記DNAを挿入したベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクター(ヘルパーベクター)をカイコ卵に導入する方法が挙げられる。ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG (Tamura, T., et.al., Nature Biotechnology,(2000)Vol.18, pp.81−84.参照。)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明におけるトランスポゾンとしては、piggyBacが好ましいが、これに限定されるものではなく、マリーナ(mariner)、ミノス(minos)等を用いることもできる(Shimizu,K.,Insect Mol.Biol.,(2000)Vol.9,pp.277−281.参照。)。
また、本発明のトランスジェニックカイコの作出にはバキュロウイルスベクターを使用することもできる(Yamao,M.,et.al., Genes Dev.(1999)Vol.13,pp.511−516.参照。)。
上述したトランスポゾンをベクターとして注射する方法、バキュロウイルスベクターを使用する方法、及びその他のカイコ卵へのDNAの導入方法は前記(a)〜(d)のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAに対して用いてもよく、また、本発明のトランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造において、製造される任意のタンパク質をコードするDNAに対して用いてもよい。
カイコ卵へのDNAの導入は、当業者においては一般的な方法により実施することができる。例えば、以下のように、特開2012−187123号公報に記載の方法で実施することができる。
カイコ卵へDNA注入用の管を使用して直接卵内へDNAを導入することが可能であるが、好ましい態様としては、前もって物理的または化学的に卵殻に穴を空け、該穴からDNAを導入する。
本発明において、物理的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば針、微小レーザー等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。中でも、針を用いた方法によって卵殻に穴を空ける方法が好ましい。用いられる針としては、カイコの卵殻に穴を空けることができるものであれば、その材質、強度等は、特に制限されない。一方、化学的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば薬品(次亜塩素酸等)等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。
本発明において、DNA導入方法としては、上記のカイコ卵に物理的または化学的に穴を空け、DNA注入用の管を該穴から卵内に挿入し、DNAを注入する工程を、針とDNA注入用の管が一体型となったマニュピュレーターを使用して行うことが好ましい。マニュピュレーターを構成要素の1つとする装置を使用できる。
このような装置しては、解剖顕微鏡、照明装置、可動式のステージ、顕微鏡に金具で固定した粗動マニュピュレーター、このマニュピュレーターに付けたマイクロマニュピュレーター、DNAを注射するための空気圧を調整するインジェクターから構成されるものが挙げられる。なお、使用される装置としては、特許第1654050号公報に記載の装置または該装置を改良した装置が挙げられる。
カイコ卵にDNAが導入されたか否かは、例えば、注射したDNAを卵から再度抽出して測定する方法(Nagaraju,J., et.al., Appl.Entomol.Zool.,(1996)Vol.31,pp.589−598.参照。)や、注射した遺伝子としてのDNAの卵内での発現を見る方法(Tamura,T.,et.al.,(1990)Jpn. J. Genet.,Vol.65,pp.401−410.参照。)等によって確認することができる。カイコ卵に導入されたDNAが、カイコの染色体に組込まれ、遺伝子組換えカイコが得られたか否かは、たとえばDNAを注射した卵から育った成虫を交配し(相互に、あるいは非組換えカイコと)受精卵を得、その産卵後6〜10日にマーカー遺伝子(たとえば、EGFPや、DsRed,CFP,YFPなど)の発現を蛍光顕微鏡で観察することによって可能である。
カイコ卵に導入したDNAがカイコにおいて発現しているかどうかは、インジェクションした卵(G0世代)から成長した個体が産んだ卵(G1世代)については、マーカー遺伝子の発現を蛍光顕微鏡で観察して確認する。なお、カイコからトータルRNAを抽出し、抽出したRNAをテンプレートに、RT−PCRにより導入遺伝子の確認をしてもよい。
また、カイコに導入したDNAがカイコ個体のどの部位で発現しているのかを確認する方法は、例えば、幼虫から組織を摘出し、各組織別に発現を確認する方法や、CFP、GFP、EGFP、YFP、DsRED等の既知のレポーター遺伝子等を用い、蛍光顕微鏡を用いてカイコ個体を観察する方法等によって確認することができる。
《非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法》
本発明の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法は、本発明のトランスジェニックカイコに非天然アミノ酸を投与する工程を有する。ここで非天然アミノ酸とは、タンパク質を構成しないアミノ酸を意味する。タンパク質を構成するアミノ酸とは、20種の標準天然アミノ酸、セレノシステイン、及びピロリジンを意味する。すなわち、本発明において、非天然アミノ酸とは、タンパク質を構成するこれらアミノ酸の類縁体(修飾アミノ酸)、又はタンパク質を構成するこれらアミノ酸以外の任意のアミノ酸を意味する。
本発明のトランスジェニックカイコはフェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を有する。そのため、用いられる非天然アミノ酸はフェニルアラニン類縁体であることが好ましい。フェニルアラニン類縁体としては、フィニルアラニンの側鎖の少なくとも一つ以上の水素原子が置換基によって置換されていることが好ましく、フィニルアラニン側鎖のベンゼン環の水素原子が置換されていることがより好ましく、前記ベンゼン環のパラ位が置換されていることが特に好ましい。前記置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;エチニル基;シアノ基;アジド基等の置換が挙げられる。
即ち、フェニルアラニン類縁体としては、下記一般式(1)で表されるアミノ酸が好ましい。
[式中、Rはハロゲン原子、アジド基、又はエチニル基を表す。]
中でも、前記Rはアジド基又はエチニル基が好ましい。
本発明のトランスジェニックカイコを用いた非天然アミノ酸含有タンパク質の製造にあたって、タンパク質に含有される非天然アミノ酸の種類及び含有量を確認する方法としては、種々の方法を選択できるが、質量分析法による分析を行うのが好ましく、MALDI−TOF−MS法により質量スペクトルを測定する方法が特に好ましい。
本発明によれば、製造される非天然アミノ酸含有タンパク質に、本来のタンパク質の性質や機能を向上又は改変させることができる。更には、本来のタンパク質にない新たな性質や機能を付与することができる。例えば、非天然アミノ酸の導入手法をシルクタンパク質に適用することで、シルクタンパク質に非天然アミノ酸を含有させ、本来のシルクにはない性質や機能を付与することができる。
本発明の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法を用いることで、従来の改変手法における問題点を解決できる。例えば、化学反応にともなう毒性の懸念が小さい、「後加工」であるため機能性分子が失活しないなどの利点があり、特異的な化学反応が可能な官能基の導入により、従来の「化学的方法」によらない精密かつクリーンなタンパク質の化学改変を行うことが可能である。例えば、アジド基又はエチニル基を有する非天然アミノ酸をシルクタンパク質にとりこませることで、エチニル基又はアジド基との反応を介して、任意のタンパク質、ペプチド、薬剤、色素、糖鎖、架橋分子、キレート分子等の分子をシルクに結合させることが可能である。このような改変により、シルクの物性そのものを変化させることが可能である。従って、カイコが絹糸腺において生産するタンパク質の有用性を飛躍的に増大させる。また、シアノ基やフッ素など特徴的な赤外吸収や核磁気共鳴を示す原子(団)を残基特異的に導入することで、これまで不可能であった局所的なシルクの構造情報が得られる。
前記シルク材料の形態は特に制限されず、例えば、パウダー状、繊維状、スポンジ状、フィルム状などの形態が挙げられる。
本発明で用いる非天然アミノ酸は、天然アミノ酸と同時に用いることができ、用いる非天然アミノ酸は1種類のみでもよく、2種類以上の非天然アミノ酸を同時に用いることもできる。
本発明におけるカイコの飼育方法は、当業者において一般的なカイコの飼育方法に従い、非天然アミノ酸を含有する飼料を与え、行うことができる。例えば、「文部省(1978) 蚕種製造.pp193、実教出版社、東京」に記載の方法に従って飼育を行うことができる。
また、光によって化学反応が引き起こされる官能基を有する非天然アミノ酸をカイコに給餌する場合、非天然アミノ酸に光が照射されない条件下で、カイコを飼育することが好ましい。好ましい飼育方法として、光を一切照射しない連続暗期環境下でカイコを飼育する方法が挙げられる。または、カイコには光が照射されていてもよいが、前記の光によって化学反応が引き起こされる官能基を有する非天然アミノ酸には光が照射されない条件下で、カイコを飼育する方法が挙げられ、例えば、給餌する餌の周囲の空間を物理的に光源から遮蔽し、該非天然アミノ酸をカイコに与え、さらに、カイコが絹糸腺から該非天然アミノ酸を含有するタンパク質を生産する際に、該タンパク質に光が照射されない環境でカイコを飼育する等の方法が挙げられる。
本発明のトランスジェニックカイコに非天然アミノ酸を投与(給餌)する際に、餌に配合する天然アミノ酸(非天然アミノ酸と取り込みにおいて拮抗することが推定される天然アミノ酸)の割合を減らしてもよい。例えば前記天然アミノ酸の量を通常組成の餌に含まれる天然アミノ酸の量に対し4/5〜1/10に減らした餌であることが好ましく、2/3〜1/10に減らした餌であることがより好ましく、2/3〜1/8に減らした餌であることがさらに好ましく、1/2〜1/5に減らした餌であることが特に好ましい。
本発明のトランスジェニックカイコを用いたタンパク質製造方法は、残基特異的非天然アミノ酸導入法である。したがって、本発明によれば該カイコに投与する非天然アミノ酸の種類を変えるだけで、同一の系統のトランスジェニックカイコから任意の種類の非天然アミノ酸を含有するタンパク質を製造することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成飼料の調製]
カイコの飼育に用いた通常組成の合成飼料(タンパク質を一切含まない飼料)を既報(渡辺喜二郎,堀江保宏,日蚕雑,(1980)vol.49,pp.177−185;Hirayama, C., et.al.,J. Insect Physiol.,(1996)vol.42,pp.983−988.)を参考に調製した。通常組成の合成飼料の組成を表1に、合成飼料中のアミノ酸組成を表2に示す。
表2中の*で表されたL−MethionineおよびL−Phenylalanineの含量は、実験内容に応じて変更してもよい。
[組換えホスト系統の選定]
本実施例で用いるホストに求められる条件として、以下の3つの条件
(1)合成飼料(後述)の摂食性に優れるカイコである
(2)限性系統である
(3)組換えマーカーの観察に適した白眼・白卵系統である
を設定した。
特に上記の条件(1)を満たすカイコでは、カイコに摂取させる非天然アミノ酸と天然アミノ酸との比率を厳密に制御することがより容易となることから、条件(1)は特に好ましい条件である。上記の条件(2)は、摂食量や繭重量が雌雄で異なると想定されるため、バラツキの少ない良質なデータを取るためには性別を揃えることが重要となる場合に好ましい条件である。上記の条件(3)は必ずしも必須でないが、組換え体のスクリーニングをより容易に行えることから好ましい条件である。
条件(1)を満たす系統を選定するため、上記表1および表2に示す組成で製造した合成飼料を数系統の5齢幼虫に投与(給餌)した。その結果、発明者らが所属する遺伝子組換えカイコ研究開発ユニットで開発・育成・継代されていた白/CS(系統名:MCS601)が最も合成飼料の摂食性に優れていた。白/CS系統は(2)および(3)の条件も満たすため、これをホスト系統として選定した。
[組み換えベクターの作製]
当業者の常識の範囲である既存の手法に準じ、配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA(BmFRS1(A450G))を有するpiggyBacベクター(5塩基の5’UTR配列を含む)(図1)を作製した。なお、上記ベクターにはフィブロインL鎖(FibL)由来のプロモーターおよび3’UTR配列をそれぞれ、上記変異型遺伝子配列BmFRS1(A450G)の5’および3’側に付加した。FibL由来のプロモーター配列を付加することにより、目的遺伝子を後部絹糸腺で特異的に発現させることが可能である。これにより、変異型遺伝子が幼虫の全身で発現することで生じると想定される幼虫の発育不全を回避することができた。
[トランスジェニックカイコの作出と組換え遺伝子の発現確認]
受精卵へのpiggyBacベクターのインジェクションおよびその後の組換え体のスクリーニング等は、当業者の常識の範囲である既存の方法に準じて行った。なお、白/CS(系統名:MCS601)は休眠卵を産下し、前述の低温暗催青法による非休眠化ができない系統であるため、前述の浸酸処理によって卵の休眠打破を行った。ゲノム中に挿入された変異型遺伝子のコピー数および挿入パターンをリアルタイムPCRおよびサザンブロッティング法を用いて解析し、変異型遺伝子(BmFRS1(A450G))をホモで有するトランスジェニックカイコの系統を確立した。このトランスジェニックカイコの系統を白H01と名付けた。
5齢4日目の白H01系統のカイコ幼虫(雄)から各部分(血球、前部絹糸腺、中部絹糸腺、後部絹糸腺、中腸、精巣、マルピーギ管、脂肪体)を摘出し、それぞれからトータルRNAを抽出した。抽出したRNA各1μgをテンプレートに、RT−PCRにより組換え遺伝子断片を増幅した。増幅したDNA断片を電気泳動した結果を図2に示す。図2中のRTは逆転写酵素(Reverse transcriptase)を表す。図2中の上段の結果が示すように、RTを使用しない場合、BmFRS1(A450G)は増幅されない。図2下段は、内在性のBmFRS1の増幅断片である。図2中段に示す結果から明らかなように、組換え遺伝子(BmFRS1(A450G))は後部絹糸腺特異的に発現していた。
[p‐Cl‐Phe含有シルクタンパク質の製造]
<カイコの飼育>
(実施例1)
実施例1で使用したカイコは、前記白/CS系統をホスト系統として作出した前記トランスジェニックカイコの系統である白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp‐Cl‐Phe(一般式(1)で表されるアミノ酸において、R=Cl)を含む合成飼料(通常量のPheを含む)を給餌した。飼育方法は、雄3頭を蓋のできるプラスチック容器に飼料とともに入れ、25℃に温度設定したインキュベーターに容器ごと入れて行った。飼料は一日一回新しいものに交換し、交換時の残量から3頭の平均摂食量を算出した。同時に、幼虫3頭分の体重を一日一回計測して平均体重を算出した(n=3)。
(比較例1)
比較例1で使用したカイコは、前記白/CS系統のカイコである。給餌方法および飼育方法は実施例1と同様である。
(比較例2)
比較例2で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。餌はp‐Cl-Pheを含まない通常組成の合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例1と同様である。
(比較例3)
比較例3で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。餌はp‐Cl-Pheを含まない通常組成の合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例1と同様である。
表3に、実施例1及び比較例1〜3に用いたカイコ系統、並びにカイコに給餌した餌中に含まれる非天然Phe種類および天然Phe量を示す。なお、表3中の非天然Phe種類における当量および天然Phe量は、前記通常組成の合成飼料中の天然Phe量に対するモル比を示す。
<p−Cl−Phe投与時のカイコ幼虫の体重の測定>
実施例1及び比較例1〜3のカイコ幼虫の成長曲線を図3に、総摂食量と繭層重のグラフを図4に示す。
図3および図4の結果から、非天然アミノ酸p‐Cl‐Pheを投与した実施例1のトランスジェニックカイコは、比較例1〜3のカイコと同様の良好な成長を示し、実施例1のトランスジェニックカイコからは十分な重量の繭が得られることが確認された。
<p−Cl−Phe含有シルクタンパク質の分析>
実施例1および比較例1〜3のカイコより繭を得た。各繭層を約50 mg/mLの濃度になるように8M LiBr水溶液に35℃で40分間加熱して溶解させた。この溶解液を8M 尿素水溶液に約4.5 mg/mLの濃度になるように希釈し、さらに還元剤を含むサンプルバッファーと混合して約3 mg/mLの濃度に調整した後、室温で30分以上静置して還元処理を行った。還元処理した試料液をSDS−PAGEで分離し、FibLのバンドを切り出して脱色・洗浄・乾燥処理した後、トリプシンにより37℃で一晩ゲル内消化した。生じたペプチド断片を抽出して乾燥固化した後、0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液に溶解した。この溶解液をHCCAで飽和させた0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液と混合し、MALDIターゲットプレート上に滴下して乾燥させたものを試料としてMALDI−TOF−MSスペクトルを測定した。FibLの消化によって生じたPheを2残基含むペプチド断片(SGNFAGFR)近傍のMALDI−TOF−MS測定データを図5に示す。実施例1の区においてのみPheからp−Cl−Pheへの置換に相当する質量増加(実測値:+33.97Da、理論値:35Cl − H = +33.96 Da)が観察された。1置換体(m/z 889.40)に加えて2置換体(m/z 923.37)に相当するピークが観察された。
以上の結果から明らかなように、アミノ酸番号450位が置換したカイコPheRSαサブユニットをコードするDNAが後部絹糸腺特異的に発現しているトランスジェニックカイコにp−Cl−Pheを含む餌を与えることで、p−Cl−Pheを含有するFibLタンパク質を得ることができた。
[p−Br−Phe含有シルクタンパク質の製造]
<カイコの飼育>
(実施例2)
実施例2で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−Br−Phe(一般式(1)で表されるアミノ酸において、R=Br)を含む合成飼料を給餌した。カイコの飼育は前記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例3)
実施例3で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−Br−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/2に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例2と同様である。
(実施例4)
実施例4で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−Br−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例2と同様である。
(比較例4)
比較例4で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、p−Br−Pheを含まないが、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例2と同様である。
(比較例5)
比較例5で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−Br−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例2と同様である。
(比較例6)
比較例6で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。餌はp-Br-Pheを含まないが、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例2と同様である。
表3に、実施例2〜4及び比較例4〜6に用いたカイコ系統、並びにカイコに給餌した餌中に含まれる非天然Phe種類および天然Phe量を示す。
<p−Br−Phe投与時のカイコ幼虫の体重の測定>
実施例2〜4及び比較例4〜6のカイコ幼虫の成長曲線を図6に、総摂食量と繭層重のグラフを図7に示す。
図6に示すように、非天然アミノ酸p‐Br‐Pheを投与した実施例2〜4のトランスジェニックカイコは、比較例4〜6のカイコと同様の良好な成長を示した。また、図7に示すように、実施例2〜4のトランスジェニックカイコから繭が得られることが確認された。
<p−Br−Phe含有シルクタンパク質の分析>
実施例2〜4および比較例4〜6のカイコより繭を得た。各繭層を約50 mg/mLの濃度になるように8M LiBr水溶液に35℃で40分間加熱して溶解させた。この溶解液を8M 尿素水溶液に約4.5 mg/mLの濃度になるように希釈し、さらに還元剤を含むサンプルバッファーと混合して約3 mg/mLの濃度に調整した後、室温で30分以上静置して還元処理を行った。還元処理した試料液をSDS−PAGEで分離し、FibLのバンドを切り出して脱色・洗浄・乾燥処理した後、トリプシンにより37℃で一晩ゲル内消化した。生じたペプチド断片を抽出して乾燥固化した後、0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液に溶解した。この溶解液をHCCAで飽和させた0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液と混合し、MALDIターゲットプレート上に滴下して乾燥させた。これを試料として用いたMALDI−TOF−MS測定データを図8に示す。白H01にp−Br−Pheを投与した実施例2〜4においてPheからp−Br−Pheへの置換にともなう質量増加(実測値:+77.93Da、理論値:79Br − H = +77.91 Da)が観察された。Phe含有ペプチド断片に対するp−Br−Phe含有ペプチド断片の相対的ピーク強度は、通常量のPheを含む飼料で飼育した場合の実施例2よりも、1/2および1/5量のPheを含む飼料で飼育した場合の実施例3および4の方が強かった。
実施例2〜4の結果から明らかなように、アミノ酸番号450位が置換したPheRSαサブユニットをコードする遺伝子が絹糸腺特異的に発現しているカイコにp−Br−Pheを含む餌を与えることで、p−Br−Pheを含有するFibLタンパク質を得ることができた。
[p−N−Phe含有シルクタンパク質の製造]
<カイコの飼育>
(実施例5)
実施例5で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−N−Phe(一般式(1)で表されるアミノ酸において、R=N)を含む合成飼料を給餌した。3日目までのカイコの飼育は前記実施例1と同様の方法で行い、3日目以降のカイコの飼育は、p−N−Pheの光反応を避けるため、遮光条件下にて行った。
(実施例6)
実施例6で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−N−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/2に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例5と同様である。
(実施例7)
実施例7で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−N−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例5と同様である。
(比較例7)
比較例7で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、p−N−Pheを含まないが、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例5と同様である。
(比較例8)
比較例8で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−N−Pheを含み、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例5と同様である。
(比較例9)
比較例9で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、p-N-Pheを含まないが、Pheの含量を通常量のPheに対して1/5に低減させた合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例5と同様である。
表3に、実施例5〜7及び比較例7〜9に用いたカイコ系統、並びにカイコに給餌した餌中に含まれる非天然Phe種類および天然Phe量を示す。
<p−N−Phe投与時のカイコ幼虫の体重の測定>
実施例5〜7及び比較例7〜9のカイコ幼虫の成長曲線を図9に、総摂食量と繭層重のグラフを図10に示す。
図9に示すように、非天然アミノ酸p‐N‐Pheを投与した実施例5および6のトランスジェニックカイコは、比較例7〜9のカイコと同様の良好な成長を示した。実施例7のカイコでは成長がやや不良であったが、図10に示すように、実施例5〜7のいずれのトランスジェニックカイコからも繭が得られることが確認された。
<p−N−Phe含有シルクタンパク質の分析>
実施例5〜7および比較例7〜9のカイコより繭を得た。各繭層を約50 mg/mLの濃度になるように8M LiBr水溶液に35℃で40分間加熱して溶解させた。この溶解液を8M 尿素水溶液に約4.5 mg/mLの濃度になるように希釈し、さらに還元剤を含むサンプルバッファーと混合して約3 mg/mLの濃度に調整した後、室温で30分以上静置して還元処理を行った。還元処理した試料液をSDS−PAGEで分離し、FibLのバンドを切り出して脱色・洗浄・乾燥処理した後、トリプシンにより37℃で一晩ゲル内消化した。生じたペプチド断片を抽出して乾燥固化した後、0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液に溶解した。この溶解液をHCCAで飽和させた0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液と混合し、MALDIターゲットプレート上に滴下して乾燥させた。これを試料として用いたMALDI−TOF−MS測定データを図11に示す。白H01にp−N−Phe(0.5当量)を投与した実施例5〜7においてPheからp−NH−Pheへの置換にともなう質量増加(実測値:+15.06Da、理論値:14H − H = +15.01 Da)が観察された。N基はSDS−PAGEサンプル調製時の還元処理でNH基へ還元されたと考えられる。Phe含有ペプチド断片に対するp−N−Phe含有ペプチド断片の相対的ピーク強度は、通常量のPheを含む飼料で飼育した場合の実施例5よりも、1/2および1/5量のPheを含む飼料で飼育した場合の実施例6および7の方が強かった。
実施例5〜7の結果から明らかなように、アミノ酸番号450位が置換したPheRSαサブユニットをコードする遺伝子が絹糸腺特異的に発現しているカイコにp−N−Pheを含む餌を与えることで、p−N−Pheを含有するFibLタンパク質を得ることができた。
[シルクタンパク質中に導入したp−N−Pheへのクリック反応]
実施例5〜7および比較例7〜9のカイコから得られた各繭層を8M LiBrに溶かし、エチニル基を有するビオチン試薬(Biotin−PEG4−Alkyne)とのクリック反応を行った。反応スキームを図12に示す。クリック反応後にSDS−PAGE分離したFibLおよびFibHをPVDFメンブレンに転写し、HRP修飾ストレプトアビジンを用いたウエスタンブロッティングを行った結果を図13に示す。FibLについては白H01にp−N−Pheを投与した実施例5〜7において、FibHについては実施例6および7においてのみシグナルが見られた。また、いずれもPheの含量が減少するにしたがってより強いシグナルが観察された。
図13に示した結果から、実施例5〜7のカイコにより得られるシルクタンパク質には、クリック反応によってビオチンが付加されたことが確認された。
p−N−Pheを導入したシルクの質量分析結果(図11)からその導入量は比較的少ないと考えられたにもかかわらず、結合させたビオチンのシグナル(図13)は非常に強かった。このことは、シルク分子中でのクリック反応が高効率に進行することを示唆している。Pheは疎水性アミノ酸であるためPhe残基はシルク分子内部に位置している可能性が高く、これをp−N−Phe残基に置換しても当該p−N−Phe残基をビオチンと反応させるのが困難であると想定されていたが、本発明のトランスジェニックカイコを用いて製造したp−N−Phe含有シルクは、シルク分子中でのp−N−Phe残基に対するクリック反応が高効率に進行しており、利用価値の極めて高いp−N−Phe含有シルクを得られることが確認された。
[p−Eth−Phe含有シルクタンパク質の製造]
<カイコの飼育>
(実施例8)
実施例8で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。5齢起蚕から2日目まで通常組成の合成飼料を給餌した後、3日目以降、通常量のPheに対して0.5当量のp−Eth−Phe(一般式(1)で表されるアミノ酸において、R=C≡CH)を含む合成飼料を給餌した。カイコの飼育は前記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例10)
比較例10で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。給餌方法および飼育方法は実施例8と同様である。
(比較例11)
比較例11で使用したカイコは、トランスジェニックカイコである白H01である。餌はp-Eth-Pheを含まない通常組成の合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例8と同様である。
(比較例12)
比較例12で使用したカイコは、白/CS系統のカイコである。餌はp-Eth-Pheを含まない通常組成の合成飼料を給餌した。飼育方法は実施例8と同様である。
表3に、実施例8及び比較例10〜12に用いたカイコ系統、並びにカイコに給餌した餌中に含まれる非天然Phe種類および天然Phe量を示す。
<p−Eth−Phe投与時のカイコ幼虫の体重の測定>
実施例8及び比較例10〜12のカイコ幼虫の成長曲線を図14に、総摂食量と繭層重のグラフを図15に示す。
図14及び図15に示したように、実施例8のカイコでは虫体重と平均繭重量が減少する傾向は見られたものの、実施例8のカイコにおいて十分な重量の繭が得られることが確認された。
<p−Eth−Phe含有シルクタンパク質の分析>
実施例8および比較例10〜12のカイコより繭を得た。各繭層を約50 mg/mLの濃度になるように8M LiBr水溶液に35℃で40分間加熱して溶解させた。この溶解液を8M 尿素水溶液に約4.5 mg/mLの濃度になるように希釈し、さらに還元剤を含むサンプルバッファーと混合して約3 mg/mLの濃度に調整した後、室温で30分以上静置して還元処理を行った。還元処理した試料液をSDS−PAGEで分離し、FibLのバンドを切り出して脱色・洗浄・乾燥処理した後、トリプシンにより37℃で一晩ゲル内消化した。生じたペプチド断片を抽出して乾燥固化した後、0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液に溶解した。この溶解液をHCCAで飽和させた0.1%TFA水溶液とアセトニトリルの2:1混合液と混合し、MALDIターゲットプレート上に滴下して乾燥させた。白H01にp−Eth−Phe(0.5当量)を投与した実施例8においてPheからp−Eth−Pheへの置換にともなう質量増加(実測値:+24.01Da、理論値:1212H − H = +24.00 Da)が観察された。
実施例8の結果から明らかなように、アミノ酸番号450位が置換したPheRSαサブユニットをコードする遺伝子が絹糸腺特異的に発現しているカイコにp−Eth−Pheを含む餌を与えることで、p−Eth−Pheを含有するFibLタンパク質を得ることができた。
[シルクタンパク質中に導入したp−Eth−Pheへのクリック反応]
実施例8および比較例10〜12のカイコから得られた各繭層を8M LiBrに溶かし、アジド基を有するビオチン試薬(Biotin−PEG4−Azide)とのクリック反応を行った。反応スキームは図12においてアジド基とエチニル基を入れ替えたものに相当する。クリック反応後にSDS−PAGE分離したFibLをPVDFメンブレンに転写し、HRP修飾ストレプトアビジンを用いたウエスタンブロッティングを行った結果を図17に示す。白H01にp−Eth−Pheを投与した実施例8においてのみシグナルが見られた。
図17に示した結果から、実施例8のカイコにより得られるシルクタンパク質は、クリック反応によってビオチンが修飾されたことが確認された。
図16および図17の結果から明らかなように、アミノ酸番号450位が置換したPheRSαサブユニットをコードする遺伝子が絹糸腺特異的に発現しているカイコにp−Eth−Pheを含む餌を与えることで、p−Eth−Pheを含有するFibLタンパク質を得ることができた。
p−Eth−Pheを導入したシルクの質量分析結果(図16)からその導入量は比較的少ないと考えられたにもかかわらず、結合させたビオチンのシグナル(図17)を明瞭に観察できた。このことは、シルク分子中でのクリック反応が高効率に進行することを示唆している。Pheは疎水性アミノ酸であるためPhe残基はシルク分子内部に位置している可能性が高く、これをp−Eth−Phe残基に置換しても当該p−Eth−Phe残基をビオチンと反応させるのが困難であると想定されていたが、本発明のトランスジェニックカイコを用いて製造したp−Eth−Phe含有シルクは、p−Eth−Phe残基に対するクリック反応が高効率に進行しており、利用価値の極めて高いp−Eth−Phe含有シルクを得られることが確認された。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明のトランスジェニックカイコを用いて製造された非天然アミノ酸含有タンパク質、例えば非天然アミノ酸含有シルクタンパク質は、テキスタイル・医療分野・機能性材料等の分野に広く適用可能であり、それぞれの用途により適した改変シルクを提供できる可能性を有している。また、本発明によって新たなシルクの用途を開拓できる可能性がある。

Claims (3)

  1. トランスジェニックカイコに非天然アミノ酸を投与する工程を有し、
    前記トランスジェニックカイコは、
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列、
    (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号450位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、及び
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号407位以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、フェニルアラニン特異的tRNAに所望の非天然アミノ酸を結合させる活性を有するタンパク質のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、並びに、該DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターを有し、
    前記非天然アミノ酸は、下記一般式(1)で表されるアミノ酸であることを特徴とする非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法
    [式中、Rはアジド基又はエチニル基を表す。]
  2. 前記DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターは、前記DNAを後部絹糸腺特異的に発現させるプロモーターである請求項1に記載の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法
  3. 前記DNAを絹糸腺特異的に発現させるプロモーターは、フィブロインL鎖由来のプロモーターである請求項1又は2に記載の非天然アミノ酸含有タンパク質の製造方法
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