JP5030610B2 - 抗ウイルスタンパク質遺伝子ノックダウンによる有用タンパク質高発現カイコおよびその利用 - Google Patents

抗ウイルスタンパク質遺伝子ノックダウンによる有用タンパク質高発現カイコおよびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現を抑制したカイコおよび該カイコを用いた有用タンパク質生産方法に関する。
多様な目的のために、様々な生物種に対し形質転換生物を作製し、生物の有用性を向上させる試みがなされている。例えば、既に、イネやダイズなどの植物、マウス、ウシ、ブタなどの哺乳動物、およびメダカなどの魚類などでは、これら生物個体に外来遺伝子を導入し、新しい形質や機能をもつ形質転換動植物を作製する技術が確立している。一方、昆虫は地球上の生物種の80%を占めるにもかかわらず、昆虫に対する形質転換体作製技術の開発は、動植物ほどは進んでいない。最近まで、ショウジョウバエ以外の昆虫では形質転換生物を作る方法は確立されていなかった。
カイコは、古くから絹の生産に用いられており、代表的な産業昆虫である。そのためカイコについては、人工飼料による大量飼育技術や、生理、生化学的研究、遺伝学的研究が進んでいる(特許文献1、2)。またカイコは絹糸腺という器官によって、すぐれたタンパク質合成能力を有するため、有用タンパク質生産のための実験または産業用生物としての期待も大きい。形質転換カイコの作製技術の開発が確立されれば、産業昆虫としてのカイコの有用性が一層増すものと考えられる。
遺伝子組換えによる有用タンパク質生産では、カイコはバキュロウイルスベクター発現系の宿主として既に利用されている。バキュロウイルスベクターは、バキュロウイルス科に属する核多角体病ウイルス(Nucleopolyhedrovirus, NPV)が持つ多角体タンパク質(ポリヘドリン)遺伝子のプロモーターを利用した、有用タンパク質の高発現系ベクターである。バキュロウイルスベクター発現系は、NPVが昆虫細胞に感染すると、ウイルス増殖後期にポリヘドリンが大量に合成され、最終的には細胞の全タンパク質の50%近くにまで達することから、ポリヘドリンプロモーターの下流に有用タンパク質の遺伝子を挿入することにより、該有用タンパク質の大量生産が可能なように設計されている。既に、カイコや昆虫細胞を宿主として、バキュロウイルスベクター発現系によっていくつかのタンパク質が生産されている。しかし上記期待に反し、現実には、期待されるタンパク質高発現が実際に観察されるケースは数少ない。むしろ殆どの場合、期待されるタンパク質発現量よりもかなり低いレベルの発現量しか得られない。その理由については、1)発現するタンパク質が、ウイルスの増殖を抑制する、2)発現するタンパク質が、宿主細胞に何らかの影響を及ぼしている、3)発現させるタンパク質そのものが、発現されにくい性質を持っている、などが考えられる。このように、バキュロウイルスベクター発現系によるタンパク質発現量が高くない原因は、発現させるタンパク質個々の性質に起因していると考えられるため、その発現量を増加させるためには、所望タンパク質に個別に対応した工夫が必要であると考えられている。
ところで、昆虫は、微生物感染に対し防御機構を持つことが知られている。山川らは、カイコ核多角体病ウイルスに対する抗ウイルスタンパク質として、同ウイルスを不活化する機能を有する複数のタンパク質の存在を明らかにした。山川によって、カイコ消化液からのリパーゼ、プロテアーゼの存在が単離されている(非特許文献1、2)。また、山川らによって、カイコの体液中に約9kDaの抗ウイルスペプチド(Anti-viral protein, AVP)が存在することが発見された(非特許文献3)。
特開2005-168460 特開2005-333913 J Virol. 2003 Oct, 77(19):10725-9 Virology. 2004 Mar 30; 321(1):154-62 勾坂晶、山川稔(2005)「カイコ体液中に存在する抗ウイルス活性を示すタンパク質の単離」蚕糸・昆虫学術講演会 平成17年度日本蚕糸学会第75大会 講演要旨集 p.68 2005年4月3日発行
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、バキュロウイルスベクター‐カイコ発現系による有用タンパク質を大量生産する方法である。
上記課題を解決すべく、本発明者等は鋭意努力した。上記のとおり、バキュロウイルスベクター発現系の発現量の改善は、発現させるタンパク質側の要因に着目した工夫がされてきた。しかし本発明者等は、従来とは逆に、宿主である昆虫側に着目し、昆虫の抗ウイルス活性によるウイルス増殖の抑制が、発現タンパク質の高発現の低下を招いているのではないかとの仮説をたてた。すなわち、バキュロウイルスベクター発現系の宿主として昆虫培養細胞を用いてタンパク質を発現させる場合、その宿主細胞は既にクローン化されているため、昆虫の生体防御機能を維持しているとは考えにくい。しかし、カイコ個体を有用タンパク質発現のための宿主とした場合、カイコの様々な組織がウイルス増殖を抑制するための抗ウイルスタンパク質を産生し、その結果、バキュロウイルスベクターによる有用タンパク質の生産量が低下する可能性がある。
上記仮説を確かめるべく、本発明者等は、カイコに日和見感染するバキュロウイルスの一つであるAutographa californica NPV(AcNPV)を、カイコの細胞までの遺伝子の運び屋とし、さらにpiggyBacを染色体までの遺伝子の運び屋として利用し、RNA干渉(RNA interference: RNAi)によってAVP遺伝子ノックダウンカイコを作製した。次に、このAVP遺伝子ノックダウンカイコを用い、カイコで有用タンパク質高発現用ベクターとして通常用いられるバキュロウイルス(カイコBombyx mori NPV(BmNPV)またはハイブリッドNPV(HyNPV))をベクターとして有用タンパク質を発現させた。その結果、AVP遺伝子ノックダウンカイコでのタンパク質発現量は、驚くべきことに、対照のカイコと比較して3倍以上も上昇し、上記仮説の正しいことが証明された。すなわち本発明はAVP遺伝子ノックダウンカイコを用いた有用タンパク質生産方法に関し、より具体的には以下の発明を提供するものである。
(1)Anti-Viral Protein (AVP) の発現または抗ウイルス活性が抑制された、カイコ形質転換体、
(2)Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを発現可能に保持することを特徴とする、上記(1)に記載のAnti-Viral Protein の発現が抑制されたカイコ形質転換体、
(3)前記RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAが、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、上記(2)に記載のカイコ形質転換体、
(4)前記ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAが、Anti-Viral Protein遺伝子をコードするmRNAのいずれかの領域をコードするセンスコードDNAと、該センスDNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させたDNAである、上記(3)のカイコ形質転換体、
(5)前記RNAi効果を有するRNA分子が、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAがコードするmRNAの、配列番号:1における第28位から第614位に相当する塩基配列のいずれかの部位を切断する、上記(2)から(4)のいずれかに記載のカイコ形質転換体、
(6)前記センスコードDNAが、以下の(a)または(b)に記載の塩基配列を含む、上記(4)または(5)に記載のカイコ形質転換体
(a)配列番号:1に記載の塩基配列の第28位から第614位に記載の塩基配列
(b)配列番号:1に記載の塩基配列の第28位から第614位において、1若しくは複数の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加した塩基配列、
(7)前記ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAが、以下(a)に記載の塩基配列に以下(b)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、上記(3)から(6)のいずれかに記載のカイコ形質転換体
(a)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から736番目までの塩基配列
(b)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖、
(8)トランスジェニックカイコである、上記(1)から(7)のいずれかに記載のカイコ形質転換体、
(9)以下の(a)および(b)の工程を含む、タンパク質の製造方法
(a) Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたカイコに、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程
(b) 前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程、
(10)以下の(a)から(d)の工程を含む、タンパク質の製造方法
(a) Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを、カイコの卵に導入する工程
(b) 前記DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニックカイコを選抜する工程
(c) 前記トランスジェニックカイコに、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程
(d) 前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程、
(11)前記RNAi効果を有するRNA分子が、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAがコードするmRNAの、配列番号:1における第28位から第614位に相当する塩基配列のいずれかの部位を切断する、上記(10)に記載の製造方法、
(12)前記RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAが、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、上記(10)または(11)に記載の製造方法、
(13)前記ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAが、抗ウイルス活性を有するペプチド遺伝子をコードするmRNAのいずれかの領域をコードするセンスコードDNAと、該センスDNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させたDNAである、上記(12)に記載の製造方法、
(14)前記センスコードDNAが、以下の(a)または(b)に記載の塩基配列を含む、上記(13)に記載の製造方法
(a)配列番号:1に記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列
(b)配列番号:1に記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列において、1若しくは複数の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加した塩基配列、
(15)前記ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAが、以下(a)に記載の塩基配列に以下(b)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、上記(13)に記載の製造方法
(a)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から736番目までの塩基配列
(b)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖、
(16)下記(a)から(c)が挿入されたベクター、
(a)プロモーター
(b)Anti-Viral Protein遺伝子をコードするmRNAのいずれかの領域をコードするセンスコードDNAと、該センスコードDNAに相補的なDNAとが、リンカーを挟んで対向するように連結され、さらに前記(a)記載のプロモーターに機能的に結合されたDNA
(c)前記(a)記載のプロモーター及び(b)記載のDNAを挟むように配置された、トランスポゾンの2つの逆位末端反復配列、
(17)前記センスコードDNAが以下の(a)または(b)に記載の塩基配列を含む、上記(16)に記載のベクター
(a)配列番号:1に記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列
(b)配列番号:1に記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列において、1若しくは複数の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加した塩基配列、
(18)上記(16)または(17)に記載のベクターと、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクターとを含む、外来タンパク質生産量増強用キット。
本発明によって、有用タンパク質生産のための新規カイコおよび該カイコによる有用タンパク質生産方法が提供された。本発明のカイコは、カイコ抗ウイルスペプチドの発現または抗ウイルス活性が抑制されているため、バキュロウイルスを感染させた場合に、カイコの感染防御機構の作用を受けにくい。したがって、有用タンパク質遺伝子を保持したバキュロウイルスベクターを用いて有用タンパク質を生産する際に、本発明のカイコを宿主とすれば、著しい生産増加が可能になる。また、バキュロウイルス‐カイコ発現系によるタンパク質生産量を改善する場合、従来は所望タンパク質それぞれに応じた改善を試みる必要があったが、本発明のカイコを用いたタンパク質生産では、カイコにタンパク質生産量を向上させる改善がなされているため、所望タンパク質の種類を問わず、高生産量を期待できる。本発明は、バキュロウイルス‐カイコ発現系における医薬品、食品、化粧品、繊維、化学品などの生産性を飛躍的に改善することが可能である。
本発明は、「Anti-Viral Protein (AVP) の発現または抗ウイルス活性が抑制された、カイコ形質転換体」(以下、「本発明のカイコ形質転換体」と称す)を提供する。Anti-Viral Proteinは、カイコ体液中から単離された、抗ウイルス活性を有する約9kDaのペプチドである。AVP成熟ペプチドのC末端側にはvon Willebrand Factorと相同性を示す領域が存在する。また、AVPのC末端側にシステイン残基が数多く存在するが、該システイン残基の位置は、多くの動物種にみられるTrypsin inhibitor like cystein rich domeinの特徴に非常によく類似している。
本発明のカイコ形質転換体の第一の態様は、本来ならばカイコ体内で発現するはずのAnti-Viral Proteinの発現が強制的に抑制されたカイコ形質転換体である。Anti-Viral Protein の抗ウイルス活性が機能しないことから、野生型カイコよりもウイルスベクターを効率的に感染させることができる。カイコAnti-Viral ProteinをコードするDNAの塩基配列を配列番号:1に、カイコAnti-Viral Proteinのアミノ酸配列を配列番号:2に示す。配列番号:2において、メチオニン(-18番目)からプロリン(-1番目)まではシグナルペプチドであり、アスパラギン(1番目)からリジン(89番目)までが成熟ペプチドである。
上記の本発明のカイコ形質転換体は、具体的には、AVPの発現がノックアウトまたはノックダウンされたカイコである。AVPの発現がノックダウンされたカイコ形質転換体の好ましい例として、「Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを発現可能に保持するカイコ形質転換体」を挙げることができる。本発明における「Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを発現可能に保持するカイコ形質転換体」には、上記DNAを恒常的に発現するカイコ形質転換体のみならず、特定の条件下で上記DNAを発現するカイコ形質転換体も含まれる。上記形質転換体は、Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを発現可能に保持するため、、AVP遺伝子のノックダウン効果の持続が期待できる。
本発明のカイコ形質転換体は、トランスジェニックカイコとして製造することができる。トランスジェニックカイコの製造は、例えば、日本国公開特許公報:特開2005-168460、特開2005-333913に記載の方法に基づいて実施することができる。
具体的に説明すると、本発明のトランスジェニックカイコは、例えば、AVP遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを作製し、該DNAをカイコの卵に導入し、該DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、トランスジェニックカイコを選択することで製造できる。
カイコ卵へのDNAの導入は、例えば、カイコの発生初期卵へ、トランスポゾンpiggyBacをベクターとして注射する方法(Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)に従って行うことができる。
例えば、トランスポゾンの逆位末端反復配列(Handler AM, McCombs SD, Fraser MJ, Saul SH.(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95(13):7520-5)の間に、AVP遺伝子を標的としたRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAが任意のプロモーターの下流に機能的に結合したDNAを挿入したベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクター(ヘルパーベクター)をカイコ卵に導入する。
本発明において、上記「機能的に結合した」とは、プロモーターに転写因子が結合することにより、プロモーターの下流に存在するDNAの発現が誘導されるように、該プロモーターと該DNAとが結合していることをいう。従って、該プロモーターと該DNAとの間には、該DNAの転写が起こりうる限り、任意のDNA配列を有してもよい。
また、本発明のプロモーターとして使用可能なプロモーターとして、例えば、SK18プロモーター、ヒートショックタンパク質遺伝子のプロモーター、細胞質アクチンやtRNA遺伝子のプロモーター等どの組織でも発現が期待されるプロモーターや転写制御系を利用したGAL4/UAS系などのヘテロなプロモーター系、脂肪体や中腸で特異的に発現する遺伝子のプロモーターなどを挙げることができるが、これらに限定されず、本発明のトランスジェニックカイコを作製可能な任意のプロモーターを使用できる。
また、ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG (Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明におけるトランスポゾンとしては、piggyBacが挙げられるが、これに限定されるものではなく、マリーナ(mariner)、ミノス (minos)等を用いることもできる(Shimizu, K., Kamba, M., Sonobe, H., Kanda, T., Klinakis, A. G., Savakis, C. and Tamura, T. (2000) Insect Mol. Biol., 9, 277-281;Wang W, Swevers L, Iatrou K.(2000) Insect Mol Biol 9(2):145-55)。
また、本発明では、バキュロウイルスベクターを使用することによりトランスジェニックカイコを作出することも可能である(Yamao, M., N. Katayama, H. Nakazawa, M. Yamakawa, Y. Hayashi et al., 1999, Genes Dev 13: 511-516)。
以下、カイコ卵へのDNAの導入方法の具体例を記すが、本発明におけるカイコ卵へのDNAの導入方法は、この方法に限定されるものでない。例えば、カイコ卵へDNA注入用の管を使用して直接卵内へDNAを導入することが可能であるが、好ましい態様としては、前もって物理的または化学的に卵殻に穴を空け、該穴からDNAを導入する。この際、DNA注入用の管を挿入角度が該卵の腹側の側面に対してほぼ垂直となるように該穴から卵内に挿入することができる。
本発明において、物理的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば針、微小レーザー等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。好適には針を用いた方法によって卵殻に穴を空けることができる。該針は、カイコの卵殻に穴を空けることができるものであれば、その針の材質、強度等は、特に制限されない。なお、本発明における針とは、通常、先端が尖った棒状の針を指すが、この形状に限定されず、卵殻に穴を空けることができるものであれば、全体の形状は特に制限されない。例えば、先端の尖ったピラミッド型の物質、または先端の尖った三角錐の形状の物質もまた、本発明の「針」に含まれる。本発明においては、タングステン針を好適に使用することができる。本発明の針の太さ(直径)は、後述のキャピラリーが通過可能な穴を空けることができる程度の太さであればよく、通常 2〜20μm、好ましくは5〜10μmである。一方、化学的に卵殻に穴を空ける方法としては、例えば薬品(次亜塩素酸等)等を用いて穴を空ける方法が挙げられる。
本発明において、穴を空ける位置としては、該穴からDNA注入用の管を挿入した場合に卵の腹側の側面に対する挿入角度を、ほぼ垂直にできる位置ならば特に制限はないが、好ましくは腹側の側面またはその反対側であり、より好ましくは腹側の側面であり、さらにより好ましくは卵の腹側側面のやや後端よりの中央部である。
本発明において、「ほぼ垂直」とは、70°〜120°を意味し、好ましくは80°〜90°を意味する。本発明において、「将来的に生殖細胞になる位置」としては、通常、卵の腹側の卵表に近い位置(通常、卵表から0.01mm〜0.05mmの位置)であり、好ましくは、卵の腹側中央の卵表に近い位置でやや後極よりの位置である。
本発明のDNA注入用の管は、その管の材質、強度、内径等は特に制限されないが、DNA注入用の管を挿入する前に、物理的または化学的に卵殻に穴を空ける場合は、空けられた穴を通過できる太さ(外径)であることが好ましい。本発明のDNA注入用の管としては、例えば、ガラスキャピラリー等を挙げることができる。
本発明のDNAの導入方法において、好ましい態様としては、上記のカイコ卵に物理的または化学的に穴を空け、DNA注入用の管を挿入角度が該卵の腹側の側面に対してほぼ垂直となるように該穴から卵内に挿入し、DNAを注入する工程を、針とDNA注入用の管が一体型となったマニュピュレーターを使用して行う。通常、該マニュピュレーターを構成要素の1つとする装置を使用して本発明は好適に実施される。
このような装置としては、解剖顕微鏡、照明装置、可動式のステージ、顕微鏡に金具で固定した粗動マニュピュレーター、このマニュピュレーターに付けたマイクロマニュピュレーター、DNAを注射するための空気圧を調整するインジェクターから構成されている。インジェクターに用いる圧力は窒素ボンベから供給され、圧力のスイッチはフットスイッチによっていれることができる。注射はガラススライド等の基板上に固定した卵に対して行い、卵の位置は移動式のステージによって決める。また、マイクロマニュピュレーターのガラスキャピラリーは4本のチューブで繋がれた操作部によって操作する。実際の手順は、卵に対するタングステン針の位置を粗動マニュピュレーターで決め、ステージのレバーで水平方向に卵を動かし穴を空ける。続いて、マイクロマニュピュレーターの操作部のレバーを操作して、穴の位置にガラスキャピラリーの先端を誘導し、再びステージのレバーによりキャピラリーを卵に挿入する。この場合、卵の腹側の側面に対し垂直にガラスキャピラリーが挿入される必要がある。フットスイッチを入れDNAを注射し、レバーを操作して卵からキャピラリーを抜く。空けた穴を瞬間接着剤等でふさぎ、一定の温度および、一定の湿度のインキュベーターで保護する。本発明に使用される装置としては、好適には、特許第1654050号に記載の装置または該装置を改良した装置が挙げられる。
また、本発明の態様においては、DNAの導入に用いるカイコ卵が基板に固定されていることが好ましい。本発明の基板として、例えば、スライドグラス、プラスチック板等を用いることができるが、これらに特に制限されない。本発明の上記態様においては、カイコ卵内の将来的に生殖細胞になる位置に正確にDNA を注射するために、卵の方向を揃えて固定することが望ましい。また、上記態様においては、基板へ固定するカイコ卵の数には、特に制限はない。また、複数個のカイコ卵を用いる場合、カイコ卵を基板へ固定する方向性としては、好ましくは背腹の向きが一定となるような方向である。本発明の上記カイコ卵の基板への固定は、例えば、水性の糊をあらかじめ塗布した市販の台紙(バラ種台紙)の上に産卵させ、台紙に水を加えて卵をはがし、次いで濡れた状態の卵を基板に整列させ、風乾することによって行う。卵をスライドグラス上に卵の方向を揃えて固定することが好ましい。また、卵の基盤への固定は両面テープや接着剤等を用いることによっても可能である。
カイコ卵にDNAが導入されたかどうかを調べる方法として、例えば、注射したDNAを卵から再度抽出して測定する方法(Nagaraju, J., Kanda, T., Yukuhiro, K., Chavancy, G., Tamura, T., & Couble, P. (1996). Attempt of transgenesis of the silkworm(Bombyx mori L) by egg-injection of foreign DNA. Appl. Entomol. Zool., 31, 589-598)や、注射した遺伝子としてのDNAの卵内での発現を見る方法(Tamura, T., Kanda, T., Takiya, S., Okano, K., & Maekawa, H. (1990). Transient expression of chimeric CAT genes injected into early embryos of the domesticated silkworm, Bombyx mori. Jpn. J. Genet., 65, 401-410)等を挙げることができる。
本発明のトランスジェニックカイコの製造方法においては、次いで、上記DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、トランスジェニックカイコを選択する。本発明において、トランスジェニックカイコを選択するには、例えば、選択マーカーを用いて行うことができる。本発明における選択マーカーとしては、当業者において一般的に使用されるマーカー、例えば、CFP、GFP(例えばA3GFP)、EGFP、YFP、DsRed等の蛍光タンパク質を使用することができる。これらのマーカーを用いることにより、実体蛍光顕微鏡で観察するだけでトランスジェニックカイコを検出することができる。また、蛍光色が異なるので、複数のマーカーを同時に使用することもできる。
本発明のAVP遺伝子がノックダウンされたカイコが保持する「Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」について、説明する。本発明の「RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」には、代謝産物等(例えば、RNA鎖に切断等の代謝を受けて生成される産物)がRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAも含まれる。
本発明のRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAは、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAであることが好ましい。ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAとしては、RNAi効果の標的遺伝子(Anti-Viral Protein遺伝子)をコードするmRNAのいずれかの領域のセンス(もしくはアンチセンス)RNAをコードするセンス(もしくはアンチセンス)コードDNAと、該DNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させたDNAが例示できる。
ここで、「対向する」とは、2つの配列が互いに逆方向となるように配置することを指す。本発明の上記DNAは、センスRNAをコードするDNAが、リンカーを挟んで、逆方向反復配列を形成した構造を有する、と換言することができる。具体的に説明すると、例えば、センスRNAをコードするDNA配列(二本鎖)が、
AGTC (センス鎖)
::::
TCAG (アンチセンス鎖)
である場合には、上記のセンスRNAをコードするDNA配列が、リンカーを挟んで、逆方向反復配列を形成した構造は、
AGTC-LLL-GACT
:::: ::::
TCAG-LLL-CTGA
と表わすことができる。(上記の「L」はリンカーの任意の塩基であり、「:」は水素結合を表す。)
本発明のDNAは、上記のように標的遺伝子mRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードするセンスコードDNAと、該DNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させた構造を有するが、この「相補的なDNA」は、即ち、上記の「標的遺伝子mRNAのいずれかの領域」に対するアンチセンスRNAをコードするDNAである、と表わすこともできる。従って本発明のDNAは換言すると、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に対するアンチセンスRNAをコードするアンチセンスコードDNAと、該DNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させた構造を有する、と表現することもできる。
本発明のDNAは、リンカーを間にして逆方向反復配列を有することから、本発明のDNAの転写産物(RNA分子)もまた、リンカーを間にする逆方向反復配列を含む構造をしている。このような構造を有するRNA分子は、通常、該反復配列間で水素結合を形成し、ヘアピン構造を形成する。
本発明のリンカーを構成するDNAは、それに隣接する反復配列が水素結合をし得る限り、その長さは特に制限されないが、イントロンを含まない場合は通常、数塩基から100塩基程度であり、数十塩基が好ましい。
リンカーを構成するDNAの塩基配列は、特に限定されず、任意の配列とすることができる。また、上記のように逆方向反復配列間で水素結合を形成し得るものであれば、特にリンカーは必要とせず、リンカーを有しない場合であっても、本発明のDNAに含まれる。
本発明のDNAにおけるセンスコードDNAあるいは該DNAと相補的なDNAの長さは、通常、1000塩基以内であり、好ましくは500塩基前後である。
また本発明において、RNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、不対合部分が含まれていてもよい。不対合部分はRNA形成に支障がない範囲で設けることができる。
本発明の上記DNAは、当業者においては、一般的な遺伝子工学技術により作製することができる。例えば、配列番号:1記載の塩基配列の28番目の塩基から716番目の塩基までを含むDNAと、配列番号:1記載の塩基配列の28番目の塩基から614番目の塩基までの相補鎖であるDNAをそれぞれPCRで増幅し、これらを逆位に連結する(つまり、配列番号:1記載の塩基配列の716番目の塩基の隣に、614番目の塩基の相補塩基が並ぶように連結される)ことで作製できる(図1)。このDNAにおいてセンスコードDNAは、配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目の配列であり、リンカーは配列番号:1記載の塩基配列の615番目から736番目の配列であり、アンチセンスコードDNAは、配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目の相補鎖である。実施例にあるように、配列番号:1記載の塩基配列の一部をオーバーハングとして含んでいてもよい。
本発明のカイコ形質転換体の第二の態様は、カイコAnti-virus proteinの抗ウイルス活性が抑制されたカイコ形質転換体である。本発明のカイコ形質転換体は、AVPの抗ウイルス活性が抑制されているために、ウイルスベクターに容易に感染可能である。このようなカイコ形質転換体として、例えば、変異AVPを発現するカイコ形質転換体を挙げることができる。
変異AVPを発現するカイコ形質転換体は、一例を示せば、AVP遺伝子に変異を導入し、上記と同様の方法で、該変異DNAをカイコの卵に導入する工程、該DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、トランスジェニックカイコを選択する工程を行うことにより、製造可能である。
AVP遺伝子への変異導入は、当業者に公知の方法の中から選択して行うことができる。例えば、Kunkel法、PCRを利用した部位特異的変異法、カセット変異法などにより、部位特異的に変異を導入することができる。または、ヒドロキシルアミンやギ酸などの試薬やランダムオリゴヌクレオチドを用いてランダム変異を導入することもできる。
変異が導入されるAVP遺伝子上の場所は、発現する変異AVPの抗ウイルス活性が抑制される限り、特に制限はない。AVPの抗ウイルス活性と直接関係がある領域でもよいし、その他の領域であっても、例えば、3次元構造を変化させることにより抗ウイルス活性を抑制する位置でもよい。アミノ酸配列の解析から、AVPにはVon Willebrand Factorと相同性を示す領域や、システイン残基の位置がTrypsin inhibitor like cystein rich domein と類似している領域があることがわかっている。
本発明のカイコ形質転換体は、上述のとおり、AVPの発現または抗ウイルス活性が強制的に抑制されている。そのため、有用タンパク質遺伝子を保持するウイルスベクターを本発明のカイコ形質転換体に感染させた場合には、カイコ体内における有用タンパク質発現量が野生型カイコと比較して顕著に増加する。すなわち、本発明のカイコ形質転換体を有用タンパク質発現系として用いることにより、従来のカイコを使用する場合よりも、極めて効率的にタンパク質を生産することが可能になる。バキュロウイルスベクター−カイコのタンパク質発現系は、糖鎖を持つタンパク質の発現も可能であり、またカイコの飼育は容易であることから、タンパク質生産量の増産を可能にする本発明のカイコ形質転換体は、医薬品産業、食品産業、繊維産業などの分野において極めて有用である。
本発明者らは、実施例に示すように、上記カイコ形質転換体を用いて外来タンパク質の増産に成功した。したがって本発明は、本発明のカイコ形質転換体を用いたタンパク質の製造方法も提供する。
本発明の製造方法は、(a)Anti-Virus Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたカイコに、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程、(b)前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程、を含む。また本発明の製造方法は、(a)Anti-Virus Proteinをコードする遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを、カイコの卵に導入する工程、(b)前記DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、Anti-Virus Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニックカイコを選抜する工程、(c)前記トランスジェニックカイコに、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程、(d)前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程、を含む方法でもよい。さらに本発明の製造方法は、(a)Anti-Virus Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたカイコの卵に、任意タンパク質をコードするDNAを導入する工程、(b)前記DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、該タンパク質を発現するトランスジェニックカイコを選抜する工程、(c)前記トランスジェニックカイコからタンパク質を回収する工程、を含む方法でもよい。
また本発明は、上述の方法に用いるベクターやそのキットを提供する。すなわち、トランスポゾンの逆位末端反復配列の間に、Anti-Virus Proteinをコードする遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAであって、該遺伝子をコードするmRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードするセンスコードDNAと、該DNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させ、これをプロモーターと機能的に結合させたDNAが挿入されたベクターを提供する。このようなベクターとしては、piggyBac由来のベクター(Tamura, T., et al., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)のトランスポソンの逆位末端反復配列の間にSK18等のプロモーターの下流にAVP遺伝子をコードするmRNAのいずれかの 領域のセンス(もしくはアンチセンス)RNAをコードするセンス(もしくはアンチセンス)コードDNAと、該DNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させたDNAが挿入されたベクターが挙げられる。該ベクターにおいて、センスコードDNAおよびヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAとしては既述の配列からなるDNAを使用できる。また、本発明は上記ベクターと、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクター(ヘルパーベクター)を含むキットも提供する。該ヘルパーベクターとしては、本実施例で使用したAcpigHspTrans や、pHA3PIG(Tamura, T., et al., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)が挙げられる。さらに本発明は、本発明のベクターおよびキットの用途も提供する。すなわち、本発明のベクター、またはキットを有効成分として含有する、カイコのタンパク質生産量増強用薬剤としての用途も提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[1]カイコの飼育
カイコの飼育は、全齢人工飼料無菌飼育を行った。供試蚕品種は、一般交雑種の錦秋×鐘和を用いた。蚕卵を催蚕させるために卵を25℃で、暗条件のもとに約10日間おいた。非休眠卵を産下させるための催青は、15℃、暗条件のもとで約30日間保管することで行った。孵化する2日前にクリーンベンチ内で、70%エタノールに5分間、4%ホルマリン液に15分間、70%エタノールに3分間、100%エタノールに1分間の順に浸漬することにより消毒を行った。消毒後、滅菌シャーレ内で蚕卵表面の水分とエタノールを乾燥させた後、再び暗条件のもと25℃で催青した。また、人工飼料は、全齢を通じて、KIT-2515M12(無菌養蚕システム研究所製)を用いた。乾燥飼料に2.4倍量の水を加え練合し、ポリプロピレンフィルムの間で平板状に延ばし、飼育容器の底面積(45mm×160mm×220mm)に成型した。そして、120℃で20分間、高圧蒸気滅菌した。
孵化した1齢幼虫は、クリーンベンチ内で、高圧蒸気滅菌した飼料をのせたプラスチック容器(45mm×160mm×220mm)に掃き立てた。容器は次亜塩素酸カルシウム溶液に漬けておき、さらにBenzalkonium chlorideにつけた布で容器を拭き消毒した。飼育温度は、1-3齢期では29℃、4-5齢期は25℃とし、飼料は4齢、5齢の起蚕時にクリーンベンチ内で交換した。プラスチック1容器あたりの飼育頭数は、1-3齢では約150-200頭、4齢では30頭、5齢では10-15頭とした。熟蚕は約1週間後に出てくるので、1頭ずつ筒に入れ蛹化するまで25℃で保管した。約5日後、営繭し蛹化したものを25℃で保管し羽化させた。羽化したカイコは25℃で2時間交配させた後割愛し、産卵台紙の上で雌蛾に産卵させた。非休眠の卵は再び25℃で催青を行い、休眠卵は産卵20時間後に15℃における比重が1.075の塩酸を46℃に暖め、これに5分間浸漬した(即時浸酸)。浸酸後、水洗しクリーンベンチ内で乾燥した後、25℃で暗条件のもと催青を続け、孵化直前に卵の消毒を行った。
卵を冷蔵浸酸する場合は、産卵後25℃で42〜50時間経過したら5℃に冷蔵し、40〜60日後に15℃に2時間、25℃に2時間置いてから15℃における比重が1.100の塩酸を用いて浸酸処理を行なった。
[2]トランスファーベクターの構築
pVLpigEGFP A3(Yamamoto et al., )をPstI、BglII(TOYOBO社製)を用いて制限酵素処理をした。次に、図1の通りAVP遺伝子のRNAiを行うためのヘアピン構造を作る配列をpVLpigEGFP A3に挿入した。
本研究では、このAVP遺伝子のmRNAの一部をコードする、RNAのヘアピン構造によってRNAiを引き起こし、同遺伝子の発現制御を行う。そのためには、RNAiを行うためにAVP遺伝子の配列の25番目の塩基から736番目の塩基までの712bpと、28番目の塩基から614番目の塩基までの587bpがそれぞれ逆方向でカイコアクチンA3プロモーターにより転写され、615番目の塩基配列から736番目までの約100bpがヘアピン構造を作り、AVP遺伝子のmRNAの一部が二本鎖となるRNAを転写するようにすることが必要である。なお図1は作製したAVP遺伝子ノックダウン用トランスファーベクター及び下記リコンビナントウイルスAcpigAVPに共通する構造を模式的に示した図である。
[3]トランスフェクション
35 mmシャーレにSf21細胞0.5 ml、10%の血清を含むGrace培地1.0 mlを加えて15分放置して細胞を底に吸着させた。血清入りGrace培地を捨て無血清のGrace培地を2.0 ml加え細胞を洗った後、無血清Grace培地を2.0 ml加えた。AVP遺伝子ノックダウン用トランスファーベクター、BaculogoldTMBculovirus、蒸留滅菌水、Lipofectin Reagentを混合し、Sf21細胞の無血清Grace培地に加え、27℃で24時間培養した。その後、血清入りGrace培地に交換して再び27℃で培養した。5日後培養液を回収し、ファルコンチューブに入れて100 Gで5分間遠心して細胞を沈殿させ、上清のウイルス液を回収した。次に、新しい35 mmシャーレのSf21細胞から培地を取り除き、ウイルス液を200 μl入れた後、27℃で1時間ウイルスを細胞に感染させた。1時間後、2 mlの血清入り培地を入れて27℃で培養し、4日後にウイルス液を回収した。さらにウイルス液を増やすため、フラスコ内で培養したSf21細胞に回収したウイルス液を200 μl接種し、27℃で培養した。培養した細胞をファルコンチューブにいれ、100 Gで5分間遠心し、上清を回収してリコンビナントウイルスAcpigAVPとした。
[4]カイコ卵へのインジェクション
AcpigHspTrans、AcpigAVPとグリセロールを2:2:1の割合で混合し、インジェクション溶液を調整した。市販タングステン針を金属製のヤスリで削り先を尖らせ、その先に調整したインジェクション溶液をつけ実体顕微鏡下で産卵直後の卵にインジェクションを行った(図2)。インジェクションした卵は湿らした脱脂綿と共に滅菌シャーレの中に入れ、暗条件のもと25℃で保管した。孵化2日前に卵をクリーンベンチ内で消毒し、全齢人工飼料無菌飼育を行った。
[5]F0カイコのスクリーニング
インジェクションしたカイコは四齢起蚕時にプラスチック容器に約50頭移した。この際人工飼料は入れていない。蛍光ユニットを備えた実体顕微鏡(OLYMPAS製)を用いてUV照射下でEGFPの緑色蛍光を示す個体のみを選抜した(励起波長 490 nmで観察)。また個体の蛍光強度によりAクラス、Bクラスとランク付けした。EGFPの蛍光を確認できたノックダウンF0カイコが羽化して成虫になると、同時進行で飼育していたウイルス非接種のコントロール(錦秋×鐘和)と交配させ、ヘテロとなるF1卵を産卵させた。
F1の卵が孵化すると、F0と同じように全齢人工飼料無菌飼育を行い、再び四齢起蚕時に実体顕微鏡を用いUV照射下でEGFPの緑色蛍光を示すものを選抜し、続けて飼育した。F1世代のカイコが蛹化したものを実験サンプルとして用いた。
その結果、リコンビナントウイルスAcpigAVPとトランスポゼースを発現するヘルパーウイルスAcpigHSPTransとグリセロールを混合したウイルス液をカイコの初期胚にインジェクションし、孵化率を算出したところ3843頭中1090頭(28.4%)であった。孵化したカイコの飼育を続け4齢起蚕時に蛍光実体顕微鏡下で490nmの励起波長を照射し、緑色蛍光を示す個体をスクリーニングした。蛍光の強いものからAクラス、Bクラスに分け、飼育を続けた。蛍光が非常に弱いCクラス、蛍光のない個体はそこで飼育をやめた。このEGFP遺伝子を発現していると思われる個体数を算出したところAクラスが676頭中28頭(2.6%)、Bクラスが676頭中34頭(3.1%)得られた。また、このF0世代と非インジェクションのコントロールカイコとの交配によるF1世代では孵化数は2627頭中(85.6%)であった。四齢起蚕時に行ったスクリーニングではAクラスは1743頭中83頭(47.6%)、Bクラスは1743頭中96頭(55.1%)の個体が得られた。このようにAVP遺伝子の二本鎖RNAを発現し、マーカーとしてEGFPも発現する配列がF1世代まで伝達されたものと期待される個体を得ることが出来た(表1)。
[6]カイコ蛹へのウイルス接種
AVPノックダウンカイコにおけるウイルスの増殖を確認するため、蛹化後1日目のカイコ蛹(コントロールカイコ、AVP遺伝子ノックダウンカイコそれぞれ各6頭)に50 μlずつルシフェラーゼを発現する組み換えバキュロウイルス(BmLuci)(Mori et al., )を接種した。ウイルスを接種して2日目、3日目、5日目のものの体重を量り15 mlのファルコンチューブに入れて-80℃にて凍結保存した。
[7]ルシフェラーゼ活性の測定
50 mlのファルコンチューブに蛹を入れ、体重の10倍量のPBSを加え、蛹をホモジナイザーでつぶしホモジネート液を作った。このホモジネート液から80 μlをとり20 μlの細胞溶解剤を加え15分放置した。各サンプル2.5 μlをルシフェリン50 μlに加えて混合後、ルミノメーター(ルミネッセンサーJNR、ATTO社製)にて測定した。ただし測定時間は1サンプルにつき5秒で行った。AVP遺伝子ノックダウンカイコ、コントロールカイコにおけるホモジネート液はLysis Bufferと蒸留滅菌水を用いて、ウイルス感染後2日目は500倍希釈、3日目は1000倍希釈、5日目は2.5×104倍希釈してある。
その結果、蛹化1日目のカイコにルシフェラーゼを発現する組換えバキュロウイルス(BmLuci)を感染させ、感染後2、3、5日目の個体を3頭ずつサンプリングし、各個体におけるルシフェラーゼの活性を測定してその平均値を求めた(図3)。基質にはルシフェリンを用いた。コントロールのカイコでは感染日数を重ねるにつれてルシフェラーゼの活性が上昇していたが、AVP遺伝子ノックダウンカイコでは感染経過に伴うこのルシフェラーゼ活性の上昇はさらに顕著であり、感染5日目においてはコントロールカイコの活性に比べ約3倍に上昇したことが確認された。
以上のことから、この抗ウイルスタンパク質はNPVの感染に対して何らかの抑制効果をもたらし、この抗ウイルスタンパク質遺伝子がRNAiによってノックダウンされるとその抑制が取り除かれてウイルス増殖が過度に進行する、あるいは何らかのウイルスタンパク質発現の抑制が除去され、結果的にVery lateに発現するポリヘドリンプロモーターの働きを高めたのではないかと考えられた。
この抗ウイルスタンパク質遺伝子ノックダウンカイコは、現在、有用タンパク質の生産に用いられているカイコバキュロウイルス−カイコ発現系での高発現宿主としても利用できるのではないかと考えられる。すなわち、この抗ウイルスタンパク質遺伝子ノックダウンカイコは本来発現効率の悪い膜タンパク質などの有用タンパク質を高発現させるための宿主として利用できる可能性を示している。
AVP遺伝子ノックダウン用トランスファーベクター及びリコンビナントウイルスAcpigAVPに共通する構造を模式的に説明する図である。 リコンビナントウイルスベクター:AcpigAVPと、ヘルパーウイルスベクター:AcpigHSPTransとを、カイコ卵に接種することを示す図である。 AVP遺伝子ノックダウンカイコおよびコントロールカイコ(AVP遺伝子がノックダウンされていない)にルシフェラーゼ遺伝子を保持するバキュロウイルスベクターを接種したときの、該カイコにおけるルシフェラーゼ活性を示す図である。AVP遺伝子ノックダウンカイコおよびコントロールカイコの双方においてルシフェラーゼ活性が観察されたが、接種からの時間経過にしたがい、AVP遺伝子ノックダウンカイコとコントロールカイコとのルシフェラーゼ活性の差が顕著になり、接種後5日目においては、AVP遺伝子ノックダウンカイコにおけるルシフェラーゼ活性はコントロールの約3倍にまで上昇した。

Claims (7)

  1. Anti-Viral Protein (AVP) の発現が抑制された、カイコ形質転換体であって、以下(a)に記載の塩基配列に以下(b)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAを保持する、前記カイコ形質転換体。
    (a)配列番号:1記載の塩基配列の25番目から736番目までの塩基配列
    (b)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖
  2. トランスジェニックカイコである、請求項1に記載のカイコ形質転換体。
  3. 以下の(a)および(b)の工程を含む、タンパク質の製造方法。
    (a) 請求項1に記載されたカイコ形質転換体に、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程
    (b) 前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程
  4. 以下の(a)から(d)の工程を含む、タンパク質の製造方法
    (a) Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAを、カイコの卵に導入する工程
    (b) 前記DNAが導入された卵から生じたカイコの中から、Anti-Viral Proteinをコードする遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニックカイコを選抜する工程
    (c) 前記トランスジェニックカイコに、プロモーターの下流に機能的に結合したタンパク質遺伝子を保持する組換えウイルスを感染させる工程
    (d) 前記組換えウイルスに感染したカイコ由来形質転換体からタンパク質を回収する工程
    であって、前記RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAが、以下(1)に記載の塩基配列に以下(2)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、前記方法。
    (1)配列番号:1記載の塩基配列の25番目から736番目までの塩基配列
    (2)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖
  5. 下記(a)から(c)が挿入されたベクター。
    (a)プロモーター
    (b)記(a)記載のプロモーターに機能的に結合された、以下(1)に記載の塩基配列に以下(2)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNA
    (1)配列番号:1記載の塩基配列の25番目から736番目までの塩基配列
    (2)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖
    (c)前記(a)記載のプロモーター及び(b)記載のDNAを挟むように配置された、トランスポゾンの2つの逆位末端反復配列
  6. 請求項に記載のベクターと、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを有するベクターとを含む、外来タンパク質生産量増強用キット。
  7. 以下(a)に記載の塩基配列に以下(b)に記載の塩基配列が逆位に連結された塩基配列からなる、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNA。
    (a)配列番号:1記載の塩基配列の25番目から736番目までの塩基配列
    (b)配列番号:1記載の塩基配列の28番目から614番目までの塩基配列の相補鎖
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