図1乃至図7は本発明の一実施形態を示すもので、図1は自動販売機の概略構成図、図2は図1に示した自動販売機の側面断面図、図3は図1に示した自動販売機の正面要部拡大図、図4は図1に示した自動販売機の機能ブロック図、図5は制御情報のデータ構成の一例を示す図、図6及び図7は制御部の動作を説明するシーケンス図である。
まず、図1乃至図3を参照して自動販売機の構造について説明する。
自動販売機本体1は箱形を成し、前面を開口した断熱室1aをその内側に備えている。断熱室1aは断熱性の仕切り板(図示省略)によって自動販売機本体1の幅方向に並ぶ複数の商品収納庫SRに区分されている。
各商品収納庫SR内には、サーペンタイン式ラックから成る商品収納ラック2がそれぞれ配置されている。各商品収納ラック2は前面側上部に商品投入口2aを有し、蛇行状の収納通路2bに缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品Cを横向きで積み重ねた状態で収納している。また、各商品収納ラック2の下部には、収納商品Cを1個宛シュート板3上に落下搬出するための商品搬出機構2cが設けられている。さらに、各商品収納庫SR毎に配置された商品収納ラック2それぞれには、商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知センサ(図示省略)が設けられている。この商品収納ラック2には、サーペンタイン式ラックに限らず、サーペンタイン式ラックと同様に収納商品を1個宛搬出可能な他形式のラックを使用することが可能である。
また、各商品収納庫SR内には、その底部から背部にかけてシュート板3とダクト板4が設けられている。シュート板3及びダクト板4下側及び背面側の空間には、冷凍機構成機器のうちの蒸発器5と電熱ヒータ6と冷却・加温空気循環用送風機7等が配置され、ダクト板4の背面側空間はダクトDとして構成されている。さらに、各商品収納庫SR内には、商品収納庫SRの温度を検知する温度センサ(図示省略)がそれぞれ設けられている。
断熱室1aの底板1bの下側には機械室MRが設けられており、この機械室MR内には、冷凍機構成機器のうちの凝縮器8、圧縮機9及び膨張手段(図示省略)と排熱用送風機10等が配置されている。
また、断熱室1aの前側には、その前面開口を開閉自在に覆う断熱性の内扉11が設けられている。断熱室1aの上下左右の前端部(下側の前端部は底板1bの前端部)と各仕切り板の前端部には、内扉11を閉じた状態で商品収納庫SRを気密状態とするためのパッキン(符号無し)が設けられており、各商品収納庫SRは内扉11を閉じた状態で独立した断熱空間となる。さらに、内扉11の下部には、各商品収納庫SRのシュート板3に対応した窓穴11aが複数個形成されており、各窓穴11aには、シュート板3を滑り落ちる商品Cによって押し開けられるフラップドア11bが設けられている。
つまり、この自動販売機では、各商品収納庫SRが独立の断熱空間を構成し、しかも、各商品収納庫SRに蒸発器5と電熱ヒータ6が独立して設けられていることから、後述の温度調整用設定器170(図4参照)によって商品収納庫SR毎に冷却と加温と非冷却・加温の三つのモードの何れか一つを任意に選択して実施することができる。
外扉12は自動販売機本体1の前面開口に開閉自在に設けられており、この外扉12の表面上部にはアクリル板等からなる透明板12aが設けられている。また、透明板12aの後方には、複数の商品サンプルSを展示する展示室13が設けられており、展示室13には、各商品サンプルSを載置するための複数の商品サンプル載置棚13aが上下方向に並列して配置されている。また、各商品サンプルSの下方には、図3に示すように、商品選択部としての商品選択ボタン14と、商品情報表示部15とが、それぞれ商品サンプルSに対応するように設けられている。商品情報表示部15は発光ダイオード(LED)や液晶表示部材(LCD)からなり、商品Cの価格、「HOT」や「COLD」等の冷温状態、販売本数、残数、販売総額、販売期間等の売上データ等を商品情報として表示可能に構成されている。また、商品情報表示部15には、上述の商品情報以外の情報、例えば人の表情を表現するキャラクター表示や顔文字のような表示も行うことが可能である。
また、外扉12の前面には、返金指示部としての返却レバー16、硬貨投入口17、紙幣投入口18、投入された貨幣の金額を表示するための金額表示部19、硬貨返却口20、商品取出口21が図1に示すレイアウトで設けられている。また、商品取出口21には、手動により開放可能なフラップドア22が設けられ、その内側にはフラップドア11bから排出された商品Cを受容する商品受け板23が設けられている。
次に、図4を参照して図1乃至図3に示した自動販売機の制御系構成について説明する。
第1の制御部100はCPU、RAM、ROM、タイマ回路等を備えたコンピュータから構成されている。第1の制御部100には、記憶部110、搬出駆動部120、硬貨処理装置130、紙幣処理装置140、圧縮機駆動部150、ヒータ駆動部160、温度調整用設定器170、各商品選択ボタン14、返却レバー16、金額表示部19、モデム180、通信部190、第2の制御部200が接続されており、第1の制御部100は制御信号を上記各装置に送信することにより、各装置をそれぞれ制御するようになっている。また、第1の制御部100には、各商品収納庫SR毎に配置された商品収納ラック2内の商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知部(図示省略)と、各商品収納庫SRの温度を検知する温度検知部(図示省略)とが通信可能に接続されている。第1の制御部100は、商品選択ボタン14を用いて商品が選択されると、該商品の販売処理を行う。なお、この販売処理における第1の制御部100の動作内容は周知の自動販売機と同様であるため、詳細な説明を省略する。
記憶部110はEEPROM等の書き換え可能な記憶素子であり、第1の制御部100の制御により情報が記憶される。記憶部110には、後述の制御情報が事前に記憶されている。
搬出駆動部120は、各商品収納ラック2に設けられた商品搬出機構2cの動作、詳しくは商品搬出機構2cに用いられているソレノイド等のアクチュエータの動作を制御するためのもので、第1の制御部100からの制御信号に基づいて所定の商品搬出機構2cを動作させて所期の商品搬出を行う。
硬貨処理装置130と紙幣処理装置140は外扉12内に配置されていて、硬貨処理装置130は硬貨投入口16を通じて投入された硬貨の真偽識別、計数、収納及び排出を行い、投入硬貨の金額に関するデータを第1の制御部100に送出する。また、紙幣処理装置140は、紙幣投入口17を通じて投入された紙幣の真偽識別、計数、収納及び排出を行い、投入紙幣の金額に関するデータを第1の制御部100に送出する。
圧縮機駆動部150は、冷凍機を構成する圧縮機9の動作、詳しくは圧縮機9を駆動するためのモータの運転を制御するためのもので、第1の制御部100からの制御信号に基づいて所期の圧縮機駆動を行う。
ヒータ駆動部160は、各電熱ヒータ6への通電を制御するためのもので、第1の制御部100からの制御信号に基づいて所定の電熱ヒータ6への通電を行う。
温度調整用設定器170は、先に述べた冷却と加温と非冷却・加温の三つのモードの何れか一つを各商品収納庫SR毎に選択するためのもので、モード選択用の押しボタンスイッチ等を備え、選択されたモードに関するデータを第1の制御部100に送出する。
モデム180は公衆電話回線181等を利用して外部サーバ等との間でデータ通信を行うためのものであり、通信部190は、リモコン(図示省略)等の携帯型情報端末との間で、赤外線等を利用したデータ通信を行うためのものである。
第2の制御部200はCPU、RAM、ROM、タイマ回路等を備えたコンピュータから構成されている。第2の制御部200は第1の制御部100と別個に設けられており、第2の制御部200には、各商品情報表示部15及び記憶部210が通信可能に接続されている。また、第2の制御部200は、第1の制御部100から送信された商品情報を、該商品に対応する商品情報表示部15に表示させるようになっている。
記憶部210はEEPROM等の書き換え可能な記憶素子であり、第2の制御部200の制御により情報が記憶される。記憶部210には、第1の制御部100から送信された制御情報が記憶される。
ここで、制御情報のデータ構成について図5を参照して説明する。制御情報は、各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を第2の制御部200に実行させるための情報であり、「商品選択ボタンNo.」と、「商品選択ボタン有無」と、「商品情報表示部No.」と、「商品選択ボタン配列順」とから構成されている。「商品選択ボタンNo.」は、第1の制御部100によって制御可能な商品選択ボタン14の数を表したものであり、本実施形態では、1~48の番号が割り当てられている。「商品選択ボタン有無」は、「商品選択ボタンNo.」に対応する商品選択ボタン14の有無をビットのオン・オフで表したものであり、本実施形態では、図4に示すように、商品サンプル載置棚13aの上段及び下段にそれぞれ10個の商品選択ボタン14が配置され(商品選択ボタンNo.1~10及び33~42に対応)、商品サンプル載置棚13aの中段に8個の商品選択ボタン14が配置されている(商品選択ボタンNo.17~20及び23~26に対応)。「商品情報表示部No.」は、商品サンプル載置棚13aに設けられた商品選択ボタン14に対応する商品情報表示部15の番号を、所定の順序で配列したものであり、本実施形態では、商品サンプル載置棚13aの上段左端に設けられた商品情報表示部15を起点として昇順(1~28)に割り当てられている。「商品選択ボタン配列順」は、「商品選択ボタンNo.」の配列順を表す情報であり、本実施形態では、「商品サンプル載置棚13aの上段左端から昇順」に番号が付与されている。
なお、「商品情報表示部No.」については種々の割り当て方法を用いることができ、例えば商品情報表示部15の番号を、商品サンプル載置棚13aの下段右端に設けられた商品情報表示部15を起点として昇順に割り当ててもよい。また、商品情報表示部15の番号を、商品サンプル載置棚13aの上段・中段・下段の何れか一つを起点として順に割り当てることも可能である。さらに、商品情報表示部15が第2の制御部200に接続された順に番号を割り当てるようにしてもよい。
次に、本実施形態における各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を行う際の第1及び第2の制御部100,200の動作について、図6のシーケンス図を参照して説明する。
まず、電源が投入されると、第1の制御部100は、第2の制御部200に対して機器情報の送信を要求する(ステップS1)。第2の制御部200は、第1の制御部100からの要求に応じて、ROM又は記憶部210に記憶された機器情報を第1の制御部100に送信する(ステップS2)。なお、機器情報には、例えば商品情報表示部15に表示可能な文字数、画像の種類、商品情報の種類等が含まれている。
次に、第1の制御部100は、機器情報を受信すると、記憶部110に記憶された制御情報を第2の制御部200に送信する(ステップS3)。一方、第2の制御部200は、制御情報を受信すると、該制御情報に基づき各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を行う(ステップS4)。
この対応付け処理を具体的に説明すると、第2の制御部200は、制御対象となる各商品情報表示部15を、制御情報の「商品選択ボタン有無」に基づき特定するとともに、各商品情報表示部15の番号を「商品情報表示部No.」及び「商品選択ボタン配列順」に基づき割り当てる。また、第2の制御部200は、受信した制御情報を記憶部210に記憶する。なお、各商品情報表示部15の番号が、第2の制御部200によって事前に割り当てられている場合には、第2の制御部200は、事前に割り当てられた番号と「商品情報表示部No.」とをリンクさせることにより、対応付け処理を行うようにしてもよい。
そして、第1の制御部100は、商品情報と、所定の指示情報としての指示コマンドとを第2の制御部200に送信する(ステップS5)。この指示コマンドには、「点灯」、「点滅」、「価格のみ点滅」等のように商品情報の表示態様を表す情報が含まれている。一方、第2の制御部200は、商品情報及び指示コマンドを受信すると、該商品情報を、該指示コマンドに基づく表示態様で該商品に対応する商品情報表示部15に表示させる(ステップS6)。例えば、「HOT ¥120」という商品情報を、「商品情報表示部No.=1」の商品情報表示部15に「点灯」させるという信号を第1の制御部100から受信すると、該商品情報(「HOT ¥120」)を該表示態様(「点灯」)で、商品サンプル載置棚13aの上段左端に設けられた商品情報表示部15に表示させる。
このように、第2の制御部200が、制御情報を第1の制御部100から受信すると、該制御情報に基づき各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理が行われることから、各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を自動的に行うことが可能になる。
なお、商品情報表示部15の機能・性能によっては、指示コマンドで指示された表示態様で商品情報を表示できない場合がある。この場合、指示コマンドの内容を変更することにより、商品情報を異なる表示態様で表示させる必要がある。以下に、指示コマンドの内容を変更する場合の動作について図7のシーケンス図を参照して説明する。
第1の制御部100が、図6のステップS5と同様に、商品情報及び指示コマンドを第2の制御部200に送信したときに(ステップS11)、第2の制御部200は、例えば商品情報表示部15が指示コマンドで指示された表示態様で商品情報を表示することが不能な場合には、該不能の内容を表す所定の信号としてのエラー情報を第1の制御部100に送信する(ステップS12)。
一方、第1の制御部100は、エラー情報を受信すると、指示コマンドの内容を変更して(ステップS13)、変更した指示コマンドと、商品情報とを第2の制御部200に送信する(ステップS14)。指示コマンドの内容の変更について説明すると、例えば、第1の制御部100は、「価格のみ点滅」という表示態様に対応不能という内容のエラー情報を受信した場合に、「価格のみ点滅」という表示態様を「点灯」という表示態様に変更する等して指示コマンドの内容を変更する。また、第2の制御部200は、変更された指示コマンドと、商品情報とを受信すると、該商品情報を、該指示コマンドに基づく表示態様で該商品に対応する商品情報表示部15に表示させる(ステップS15)。
このように、商品情報表示部15の機能・性能に応じて商品情報の表示態様を変更することができ、自動販売機の信頼性を向上させるとともに安定した運用を実現することができる。
以上のように本実施形態に係る自動販売機によれば、各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を自動的に行うことができるので、各商品選択ボタン14及び各商品情報表示部15がそれぞれ異なる制御部100,200によって制御される場合でも、各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を容易に行うことができる。従って、上記対応付け処理を行うための機器が不要になることから、自動販売機の製造コストを低減させることができる。
また、制御情報には、各商品選択ボタン14それぞれに対応する各商品情報表示部15を所定の順序で配列した情報が含まれるので、第2の制御部200の対応付け処理を容易且つ確実に実行することができる。
さらに、第2の制御部200は、少なくとも商品Cの価格を、該商品Cに対応する商品情報表示部15に表示させるので、商品情報としての商品価格を利用者に知らせることができ、利便性を向上させることができる。
さらにまた、第2の制御部200は、少なくとも商品Cの冷温状態を、該商品Cに対応する商品情報表示部15に表示させるので、商品情報としての商品Cの冷温状態を利用者に知らせることができ、利便性を向上させることができる。
また、第1の制御部100は、各商品選択ボタン14それぞれに対応する商品Cの商品情報を第2の制御部200に送信し、第2の制御部200は、第1の制御部100から送信された商品情報を受信すると、該商品Cの商品情報を、該商品Cに対応する商品情報表示部15に表示させるので、例えば商品Cの残数等のように第1の制御部100による販売処理に応じて適宜変更された商品情報を、利用者に知らせることができ、利便性をより向上させることができる。
さらに、第2の制御部200は、第1の制御部100から送信された指示コマンドを受信すると、商品情報を、該商品Cに対応する商品情報表示部15に該指示コマンドに基づく表示態様で表示させ、第1の制御部100は、所定のタイミングでエラー情報を第2の制御部200から受信すると、該指示コマンドの内容を変更して第2の制御部200に送信することから、商品情報表示部15の機能・性能に応じて商品情報の表示態様を変更することができ、自動販売機の信頼性を向上させるとともに安定した運用を実現することができる。
なお、上記実施形態は本発明の具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、第2の制御部200が、記憶部210に事前に記憶された制御情報を第1の制御部100に送信し、第1の制御部100が、該制御情報を受信すると、該制御情報に基づき各商品選択ボタン14と各商品情報表示部15との対応付け処理を行うように構成してもよい。ここで、制御情報には、各商品情報表示部15それぞれに対応する各商品選択ボタン14を所定の順序で配列した情報が含まれる。具体的には、図5の「商品選択ボタンNo.」、「商品選択ボタン有無」、「商品情報表示部No.」、「商品選択ボタン配列順」という構成が、「商品情報表示部No.」、「商品情報表示部有無」、「商品選択ボタンNo.」、「商品情報表示部配列順」という構成となる。
この場合、上記実施形態と同様に、第1の制御部100の対応付け処理を容易且つ確実に実行することができる。
また、上記実施形態では、第1の制御部100は、商品情報及び指示コマンド送信後にエラー情報を第2の制御部200から受信すると、指示コマンドの内容を変更して第2の制御部200に送信していたが、電源投入後に第2の制御部200から受信した機器情報に基づき指示コマンドの内容を変更してもよい。