WO2010082376A1 - 桃加工食品および桃加工食品の製造方法 - Google Patents

桃加工食品および桃加工食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間で中果皮の崩れを防止しつつ内果皮まで柔らかくすることができると共に、果実全体の硬さも調節することができ、更に、外果皮を容易に剥くことができる桃加工食品の製造方法およびそれを用いた桃加工食品を提供する。 【解決手段】硬核期以前の桃の果実を冷凍する(冷凍工程;ステップ110)。これにより、内果皮の細胞が破壊される。次いで、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、果実の表面のみを解凍して外果皮を剥く(外果皮剥離工程;ステップ120)。続いて、果実を加熱し、果実全体の硬さを調節する(加熱工程;ステップ150)。

Description

桃加工食品および桃加工食品の製造方法
 本発明は、桃を用いた加工食品およびその製造方法に関する。
 生食用の桃では、高品質な果実をできるだけ多く収穫するために、摘果により適正結果数の調整が行われる。この摘果により摘み取られた果実は、そのまま廃棄される場合もあるが、甘露煮あるいはシロップ煮等の加工食品に加工される場合もある。硬核期以前の桃の果実の場合、内果皮の核が硬化して種子となる前の段階であり、内果皮がそれほど硬くないので、核を含む内果皮全体を食用とすることが可能である。例えば、シロップ煮であれば、摘み取った果実に糖液を数日に分けて少量ずつ加えながら内果皮が柔らかくなるまで煮込むことにより、果実全体を食することができるように加工される。
 しかし、このように時間をかけて煮込むと、製造に時間を要し、効率的ではないという問題があった。また、内果皮が柔らかくなるまで煮込むと、中果皮が柔らかくなりすぎてしまい、果肉の煮崩れが生じやすいという問題や、果実全体で煮込みの硬さを調節することができないという問題もあった。更に、煮込み時間が足りないと、内果皮が十分に柔らかくならず、食感が悪く、味の滲み込みも悪いという問題もあった。このように、内果皮が硬く調味料が浸透しにくい要因は、内果皮に多く含まれるリグニンおよびヘミセルソースによるものである。特に、内果皮においては、リグニン等は細胞内腔の外側を構成する細胞二次壁や細胞壁同士の層間に存在しており、細胞同士の接着物質および骨格構造の補強物質として機能し、硬核期以降の核(種子)の外殻形成・硬質化の役割を担っている。硬核期前は、内果皮の細胞組織にリグニン等が徐々に蓄積される段階で、内果皮の明らかな硬質化には至ってないが、リグニンを多く含有する内果皮の細胞組織の方が中果皮よりも強固で硬い傾向となり、食感としての硬さや歯ごたえの違いとなる。また、内果皮に含まれるリグニン等は内果皮の細胞を取り囲むように存在するので、結果として内果皮の全体を中果皮の細胞組織から隔離することになり、調味料の浸透が阻害されてしまう。そこで、短時間で中果皮の崩れを防止しつつ内果皮まで柔らかくすることができ、果実全体の硬さも調節することができる製造方法の開発が望まれていた。
 また、桃の果実を加工する場合には、外果皮を剥くのが一般的である。外果皮を剥く方法としては、例えば、果実を加温した水酸化ナトリウム水溶液に浸漬したのち、水晒しを行いながら皮を洗い流す方法がある。しかし、この方法では、水酸化ナトリウム水溶液の温度が低いと皮が剥けにくく、温度が高いと果肉が崩れてしまうという問題があった。他の外果皮を剥く方法としては、例えば、果肉を急速凍結させたのち、25℃から60℃のお湯で表面を溶かしてブラッシング、ハイドロブラッシング、または手剥きにより皮を剥く方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、硬核期以前の桃の場合、外果皮と中果皮の中間にあるペクチン質の構造が、成熟した桃果実の場合と異なり外果皮細胞と中果皮細胞の明確な構造組織が未構成のため、皮が剥けにくいという問題があった。
特開昭57-118782号公報
 本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、短時間で中果皮の崩れを防止しつつ内果皮まで柔らかくすることができると共に、果実全体の硬さも調節することができ、更に、中果皮と内果皮と胚の食感および歯ごたえの均質化を図り、果肉の崩れを抑制しつつ、外果皮を容易に剥くことができる桃加工食品の製造方法、およびそれを用いた桃加工食品を提供することにある。
 本発明の桃加工食品の製造方法は、硬核期以前の桃の果実を冷凍する冷凍工程と、冷凍工程ののち、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、果実の表面のみを解凍して外果皮を剥く外果皮剥離工程と、外果皮剥離工程ののち、果実を加熱する加熱工程とを含むものである。
 本発明の桃加工食品は、本発明の桃加工食品の製造方法により製造されるものである。
 本発明では、冷凍工程において、硬核期以前の桃の果実を冷凍する。これにより、細胞内の水分は凍って結晶化する。その際、内果皮は中果皮に比べて細胞組織が硬く強固なので、氷結晶の肥大により細胞が破壊される。これに対して、中果皮は内果皮に比べて細胞組織が柔らかく弾力性があるので、細胞の破壊が抑制される。よって、内果皮と中果皮の食感および歯ごたえが均質化される素地ができる。また、外果皮剥離工程において、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、果実の表面のみを解凍して外果皮を剥く。これにより、果実の表面のみがアルカリ性水溶液に反応し、中果皮の崩れが抑制される。更に、加熱工程において、果実を加熱する。その際、内果皮は冷凍による細胞破壊が進んでいるので、加熱により細胞破壊がより促進され、一方、中果皮は冷凍による細胞破壊が抑制されているので、加熱による細胞破壊も抑制される。
 本発明によれば、硬核期以前の桃の果実を冷凍するようにしたので、氷結晶の肥大により、中果皮よりも細胞組織が硬い内果皮において、より細胞の破壊を進めることができる。よって、中果皮の崩れを防止しつつ内果皮まで柔らかくすることができ、内果皮と中果皮の食感および歯ごたえを均質化する素地を作ることができる。また、製造時間を大幅に短縮することができ、製造効率を向上させることができる。更に、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、果実の表面のみを解凍して外果皮を剥くようにしたので、果肉の崩れを抑制しつつ、容易に外果皮を剥くことができる。加えて、加熱するようにすれば、果実全体の硬さを調整しつつ中果皮と内果皮と胚の食感および歯ごたえを均質化することができる。また、内果皮の内側に存在する胚は硬くはないが、加熱により柔らかくなり、胚の体積は果実全体からすれば小さく果実全体の食感および歯ごたえに対する影響はほとんどない。
 さらに、調味料に浸漬して味付けをするようにすれば、細胞破壊により内果皮の浸透率が中果皮の浸透率に近づいているので、内果皮および中果皮に調味料を同様に浸透させることができる。よって、味付け濃度の均質化を図ることができる。
硬核期以前の桃の果実の構造を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る桃加工食品の製造方法における工程を表す流れ図である。
 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
 本発明の一実施の形態に係る桃加工食品の製造方法は、硬核期以前の桃の果実を加工した食品を製造するためのものであり、本発明の一実施の形態に係る桃加工食品は、その桃加工食品の製造方法により得られたものである。
 図1は本発明の一実施の形態に係る桃加工食品の製造方法および桃加工食品において用いる硬核期以前における桃の果実の構造を表すものである。硬核期以前における桃の果実は、一番外側に薄い果皮となる外果皮1があり、その中に肥大して果肉となる中果皮2があり、その内部に硬く木質化して核(種子)となる内果皮3あり、内果皮3の内部に胚4がある。
 桃の果実の成長は、幼果期(第一肥大期)、硬核期(第二肥大期)、成熟期(第三肥大期)に分かれており、幼果期に細胞分裂が進み、幼果期から硬核期に近づくに従い、内果皮3のリグニン含有率が高くなる。リグニンは木質構造の細胞壁の主成分であり、内果皮3は中果皮2から徐々に隔離される。硬核期では、中果皮2の肥大が遅く、核の成熟期間となり、内果皮3の核が硬化して種子となる。成熟期では中果皮2の容積成長、重量成長が盛んになり、糖度も高まって収穫期となる。
 硬核期以前の桃の果実の加工食品としては、例えば、甘露煮、ジャム、ハチミツ煮、シロップ煮、醤油煮、佃煮、アルコール漬け、シロップ漬け、酢漬け、醤油漬け、粕漬け、味噌漬け、糠漬け、塩漬け、からし漬け、乾燥果実がある。本発明は、これら例示した加工食品に限らず、いずれの加工食品についても適用することができる。
 図2は本発明の一実施の形態に係る桃加工食品の製造方法の工程を表すものである。この桃加工食品の製造方法では、まず、硬核期以前の生の桃の果実をそのまま冷凍する(冷凍工程;ステップ110)。これにより、果実細胞内の水分が凍って結晶化する。その際、内果皮3は中果皮2に比べて細胞組織が硬く強固なので、氷結晶の肥大により内果皮3の細胞が破壊される。これに対して、中果皮2は内果皮3に比べて細胞組織が柔らかく弾力性があるので、細胞の破壊が抑制される。
 冷凍は、急速冷凍でも徐冷凍でもよいが、徐冷凍の方が好ましい。氷結晶を肥大させ、内果皮3の細胞を破壊させることができるからである。なお、徐冷凍というのは、0℃から-5℃の温度域を30分よりも長い時間をかけて通過させる冷凍方法であり、急速冷凍というのは、0℃から-5℃の温度域を30分以内で通過させる冷凍方法である。
 次いで、果実の外果皮1を剥く(外果皮剥離工程;ステップ120)。具体的には、例えば、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し(アルカリ性水溶液浸漬工程;ステップ121)、果実の表面のみを解凍しながら、外果皮1と中果皮2との中間のペクチンをアルカリに反応させることにより溶かす(外果皮解凍工程;ステップ122)。冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬することにより、果実の表面のみをすばやく解凍し、アルカリに反応させることができるからである。これにより、中果皮2の細胞破壊は抑制され、果肉の崩れが防止される。そののち、水に晒して外果皮1を洗い流す(水洗工程;ステップ123)。
 アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度は、例えば、0.5質量%以上10質量%以下の範囲内とすることが好ましい。濃度が低いと外果皮1を容易に剥くことが難しいが、必要以上に濃度を高くしなくてもこの範囲内であれば十分に剥くことができるからである。果実をアルカリ性水溶液に浸漬させる時間は、例えば、30秒から300秒の範囲内とすることが好ましく、45秒から270秒の範囲内とすればより好ましい。時間が短いと外果皮1を十分に剥くことができず、時間が長いと中果皮2まで解凍してアルカリで溶けてしまうからである。また、果実を浸漬するアルカリ性水溶液の温度は、80℃以上とすることが好ましく、85℃以上、更には90℃以上とすればより好ましい。中果皮2を溶かさずに短時間でより容易に外果皮1を剥くことができるからである。
 続いて、例えば、水洗した果実を常温の水または水溶液に浸漬して果実全体を解凍する(全解凍工程;ステップ130)。すなわち、解凍工程を2段階に分け、外果皮1を外果皮解凍工程で解凍し、残り全体を全解凍工程で解凍する。その際、アスコルビン酸水溶液等の酸化防止液を用いることが好ましい。全解凍工程と共に、中果皮2の酸化を防止することができるからである。そののち、例えば、果実の頭を切り落とし、柄5を取る(柄取り工程;ステップ140)。次いで、例えば、柄5を取った果実を常温もしくは冷却したアスコルビン酸水溶液等の酸化防止液に再び浸漬して、切り落とした部分の酸化を防止することが好ましい。
 続いて、果実を例えば水または水溶液中において加熱し、果実全体の硬さを調整する(加熱工程;ステップ150)。その際、内果皮3は冷凍による細胞破壊が進んでいるので、加熱により細胞破壊がより促進される。また、中果皮2は冷凍による細胞破壊が抑制されているので、加熱による細胞破壊も抑制される。加熱温度は、例えば、90℃以上沸点未満、例えば98℃以下に調整することが好ましい。温度が低いと時間がかかり、沸騰すると中果皮2が崩れやすくなるからである。加熱時間は、目的とする硬さに応じて異なるが、例えば20分から150分程度でよい。また、加熱は、アスコルビン酸水溶液等の酸化防止液中において行うことが好ましい。中果皮2の酸化を防止することができるからである。また、必要に応じ、果実表面の色彩を留めたい場合には、銅鍋を用いるか、または、銅片を果実と共に水または水溶液中に浸漬させ加熱することが好ましい。銅イオンの作用により葉緑素を銅固定した銅葉緑素とすることができ、色鮮やかな黄緑色に仕上げることができるからである。
 次いで、必要に応じて、果実を例えば調味料に浸漬して味付けをする(味付け工程;ステップ160)。具体的には、例えば、瓶、缶、樹脂袋、あるいはプラスチック容器等の包装容器に果実を調味料と共に入れて密封する。その際、内果皮3の浸透率は細胞破壊により中果皮2の浸透率に近づいているので、内果皮3および中果皮2には同様に調味料が浸透する。続いて、例えば、果実の中心温度が80℃程度になるまで加熱して殺菌する(殺菌工程;ステップ170)。そののち、冷却して、調味料の成分が果実全体に馴染むまで保管して熟成させる(熟成工程;ステップ180)。これにより、桃加工食品が得られる。
 なお、味付け工程と加熱工程と殺菌工程とを同時に行うようにしてもよい。例えば、柄5を取った果実および調味料を包装容器に入れて密封し、加熱して果実全体の硬さを調節すると共に、殺菌するようにしてもよい。
 このように、本実施の形態によれば、硬核期以前の桃の果実を冷凍するようにしたので、中果皮2よりも細胞組織が硬い内果皮3において、氷結晶の肥大による細胞破壊を進めることができる。よって、中果皮2の崩れを防止しつつ内果皮3まで柔らかくすることができ、内果皮3と中果皮2の食感および歯ごたえを均質化する素地を作ることができる。また、製造時間を大幅に短縮することができ、製造効率を向上させることができる。更に、冷凍されている果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、果実の表面のみを解凍して外果皮を剥くようにしたので、果肉の崩れを抑制しつつ、容易に外果皮1を剥くことができる。加えて、加熱するようにすれば、中果皮2と内果皮3と胚4の食感および歯ごたえを均質化しながら、加熱調理後の果実全体の硬さを調整することができる。
 さらに、内果皮3に対する調味料の浸透率は、内果皮3の細胞破壊により中果皮2に対する浸透率に近づいているので、調味料に浸漬して味付けをするようにすれば、内果皮3および中果皮2に浸透する調味料の濃度を同程度とすることができる。よって、果実全体に対する味付け濃度の均質化を図ることができる。
(実施例1-1)
 硬核期以前の生の桃の果実を徐冷凍により-23℃以下に冷凍した(冷凍工程;ステップ110)。次いで、冷凍した桃の果実を冷凍した状態のまま70℃以上沸点未満に加熱した0.5質量%から10質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液に30秒から300秒間浸漬し、表面のみ解凍して外果皮1をアルカリに反応させたのち、直ちに桃の果実を水に晒して外果皮1を洗い流した(外果皮剥離工程;ステップ120)。続いて、桃の果実を酸化防止液に浸漬し、果実全体を解凍すると共に、酸化防止を行った(全解凍工程;ステップ130)。そののち、桃の果実の頭を切り落として柄5を取り除いた(柄取り工程;ステップ140)。次いで、ステンレス鍋で90℃以上沸点未満に加熱した酸化防止液中に桃の果実を入れ、必要に応じて時間を調節して20分から150分加熱した(加熱工程;ステップ150)。続いて、包装容器に桃の果実を糖液よりなる調味料と共に入れて密閉し(味付け工程;ステップ160)、桃の果実の中心温度が80℃程度になるまで加熱して殺菌した(殺菌工程;ステップ170)。そののち、冷却して熟成させた(熟成工程;ステップ180)。これにより、桃加工食品を得た。
(実施例1-2)
 味付け工程と加熱工程と殺菌工程とを同時に行ったことを除き、他は実施例1-1と同様にして桃加工食品を製造した。具体的には、実施例1-1と同様に、冷凍工程、外果皮剥離工程、全解凍工程、柄取り工程を行ったのち、果実を包装容器に糖液よりなる調味料と共に入れて密閉し(味付け工程)、次いで、90℃以上沸点未満の雰囲気中において20分から150分加熱し(加熱工程・殺菌工程)、冷却して熟成させた(熟成工程)。
(比較例1-1)
 硬核期以前の生の桃の果実を70℃以上沸点未満に加熱した0.5質量%から10質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液に30秒から300秒間浸漬したのち、直ちに桃の果実を水に晒して外果皮1を洗い流した。次いで、桃の果実の頭を切り落として柄5を取り除いたのち、糖液を毎日少量ずつ加え沸騰させないようにして4日間煮込むことにより桃加工食品を製造した。
(比較例1-2)
 冷凍工程を行わず、加熱工程における加熱時間を20分としたことを除き、他は実施例1-1と同様にして桃加工食品を製造した。
(実施例1-1,1-2と比較例1-1,1-2との比較)
 実施例1-1,1-2で製造した桃加工食品では、内果皮3が柔らかくなっており、内果皮3と中果皮2とで均質化した食感および歯ごたえが得られた。また、中果皮2の崩れは見られなかった。これに対して、比較例1-1では、4日間煮込んだことで内果皮3はある程度柔らかくなっていたものの、内果皮3と中果皮2とで食感および歯ごたえが異なり、中果皮2の崩れも一部見られた。比較例1-2では、冷凍工程(ステップ110)における内果皮3の細胞破壊を行わなかったため、実施例1-1,1-2に比べて、内果皮3が硬く、味の滲み込みも悪く、中果皮2も硬めだった。すなわち、本実施例によれば、短時間で中果皮2の崩れを防止しつつ内果皮3まで柔らかくすることができ、内果皮3と中果皮2の食感および歯ごたえを均質化することができることがわかった。
(実施例2-1)
 実施例1-1と同様に、冷凍工程および外果皮剥離工程を行ったのち、果実の一部を取り出し、中果皮2と内果皮3とに切り分けて、糖度を測定した。次いで、残りの果実について、実施例1-1と同様に加熱工程を行った。続いて、50質量%の糖液に常温にて5時間浸漬したのち、中果皮2および内果皮3について糖度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例2-1)
 実施例2-1と同様に、冷凍工程および外果皮剥離工程を行ったのち、果実の一部を取り出し、中果皮2および内果皮3について糖度を測定した。次いで、加熱工程を行わずに、50質量%の糖液に常温にて5時間浸漬し、中果皮2および内果皮3について糖度を測定した。その結果も表1に併せて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(実施例2-1と比較例2-1との比較)
 表1に示したように、実施例2-1も比較例2-1も共に、糖液に5時間浸漬させたのちの糖度は、内果皮3と中果皮2とで異なり、中果皮2に比べて内果皮3の糖度は低かった。これは、リグニン硬化作用により、中果皮2よりも内果皮3に対する浸透率が低いためであると考えられる。但し、実施例2-1によれば、糖液に5時間浸漬させたのちの糖度は、中果皮2が23.2度、内果皮3であっても19.7度と十分に高い糖度が得られたのに対して、比較例2-1では、中果皮2が14.5度、内果皮3が9.3度と低かった。すなわち、冷凍工程および加熱工程により、内果皮3の細胞破壊を進めることができ、食感および歯ごたえを均質化することができると共に、味付け濃度の均質化を図ることができることがわかった。
(実施例3-1)
 硬核期以前の生の桃の果実を急速冷凍により-35℃以下に冷凍したことを除き、他は実施例1-1と同様にして、桃加工食品を製造した。実施例3-1で製造した桃加工食品も、実施例1-1と同様に、内果皮3が柔らかくなっており、内果皮3と中果皮2とで均質化した食感および歯ごたえが得られ、中果皮2の崩れも見られなかった。但し、実施例3-1の方が、実施例1-1に比べて、内果皮3の硬さがわずかに感じられた。すなわち、冷凍工程では徐冷凍をした方が好ましいことがわかった。
(実施例4-1)
 加熱工程において、ステンレス鍋に代えて銅鍋を用いたことを除き、他は実施例1-1と同様にして桃加工食品を製造した。実施例4-1で製造した桃加工食品についても、実施例1-1と同様の食感および歯ごたえが得られた。また、実施例1-1では果実が薄茶褐色に退色していたのに対して、実施例4-1では鮮やかな黄緑色のままであった。すなわち、銅鍋を用いて加熱すれば、葉緑素を銅イオンで銅固定した銅葉緑素とすることができ、色を鮮やかに仕上げることができることが分かった。
(実施例5-1~5-4)
 外果皮剥離工程において、桃の果実を浸漬する2質量%水酸化ナトリウム水溶液の温度を98℃、90℃、80℃、70℃と変化させ、浸漬する時間を30秒から300秒の範囲で変化させたことを除き、他は実施例1-1と同様にして、桃加工食品を製造した。
(比較例5-1~5-3)
 外果皮剥離工程において、桃の果実を浸漬する2質量%水酸化ナトリウム水溶液の温度を60℃、50℃、40℃と変化させ、浸漬する時間を1分から10分の範囲で変化させたことを除き、他は実施例1-1と同様にして、桃加工食品を製造した。
(実施例5-1~5-4と比較例5-1~5-3との比較)
 実施例5-1~5-4によれば、いずれも、外果皮1が剥け残りなく問題なく剥け、中果皮2の崩れもなかった。これに対して、比較例5-1~5-3では、浸漬時間が短いと剥け残りがあり、浸漬時間を長くすると中果皮2の崩れが見られ、中果皮2を溶かさずに外果皮1を剥け残りなく剥くことができなかった。すなわち、70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬させるようにすれば、果実の表面のみを解凍し、中果皮2の崩れを抑制しつつ、容易に外果皮1を剥くことができることがわかった。また、実施例5-1~5-4を比較すると、温度を高くした方が、より短時間で容易に外果皮1を剥くことができた。すなわち、果実を浸漬するアルカリ性水溶液の温度領域を、70℃以上とすることが好ましく、80℃以上、更には85℃以上、更には90℃以上とすればより好ましいことがわかった。
 以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、製造工程を具体的に説明したが、全ての製造工程を含んでいなくてもよく、また、他の製造工程を含んでいてもよい。
 また、上記実施の形態では、外果皮剥離工程において外果皮1を剥いたのちに果実全体を解凍する全解凍工程を行う場合について説明したが、例えば、外果皮剥離工程において外果皮1を水に晒して洗い流す際に、果実の一部または全部を解凍するようにしてもよい。
 更に、上記実施の形態では、果実全体を解凍し、柄5を取ったのちに、加熱工程を行う場合について説明したが、外果皮剥離工程後の一部が冷凍されている桃を水または水溶液中において加熱し、全解凍工程と加熱工程とを連続または一部並行して行うようにしてもよい。
 硬核期以前の桃を加工した加工食品に用いることができる。
 1…外果皮、2…中果皮、3…内果皮、4…胚、5…柄

Claims (4)

  1.  硬核期以前の桃の果実を冷凍する冷凍工程と、
     前記冷凍工程ののち、冷凍されている前記果実を70℃以上沸点未満に加熱したアルカリ性水溶液に浸漬し、前記果実の表面のみを解凍して外果皮を剥く外果皮剥離工程と、
     前記外果皮剥離工程ののち、前記果実を加熱する加熱工程と
     を含むことを特徴とする桃加工食品の製造方法。
  2.  前記果実を調味料に浸漬して味付けをする味付け工程を含む
     ことを特徴とする請求項1記載の桃加工食品の製造方法。
  3.  前記外果皮剥離工程では、前記果実をアルカリ性水溶液に30秒から300秒間浸漬する
     ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の桃加工食品の製造方法。
  4.  請求項1から請求項3のいずれか1に記載の桃加工食品の製造方法により製造されることを特徴とする桃加工食品。
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