WO2010018849A1 - シリコンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2008年8月15日に出願された特願2008-209218号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この方法においては、出発原料として所定純度の金属シリコン材料(金属シリコンからなる母材)を用意(図3BのステップS11参照)し、まず、減圧精製を実施して、この金属シリコン材料を真空精錬することによって、上記金属シリコン材料に含有されている不純物であるPを揮発除去する(図3BのステップS12参照)。次に、酸化精製を実施して、上記減圧精製した金属シリコンに含まれているB又はCを除去し(図3BのステップS14参照)する。次に、再度減圧精製を実施して、上記酸化精製した金属シリコンに含まれているOを除去し(図3BのステップS15参照)する。次に、凝固精製(溶湯部を一方向に凝固させて残った溶湯部を鋳造除去)を実施して、上記Oを除去した金属シリコンに含有さているFe,Al,Ca等の金属不純物を除去する(図3BのステップS16参照)。
このため、出発原料の不純物濃度によっては、上記従来のシリコン精製方法では、このような条件を満たす高純度なシリコンが得られない場合がある。
この方法においては、出発原料として所定純度の金属シリコン材料(金属シリコンからなる母材)を用意し(図3BのステップS11参照)し、まず、減圧精製を実施して、この金属シリコン材料を真空精錬することによって、上記金属シリコン材料に含有されている不純物であるリンを揮発除去する(図3BのステップS12参照)。次に、凝固精製(溶湯部を一方向に凝固させて残った溶湯部を鋳造除去)を実施して、上記減圧精製した金属シリコンに含有さているFe,Al,Ca等の金属不純物を除去する(図3BのステップS13参照)。次に、酸化精製を実施して、上記凝固精製した金属シリコンに含まれているB又はCを除去し(図3BのステップS14参照)する。次に、再度減圧精製を実施して、上記酸化精製された金属シリコンに含まれているOを除去する(図3BのステップS15参照)。最後に、再度凝固精製を実施して、金属不純物を除去する(図3BのステップS16参照)。
また、図3Aは、本発明のシリコン精製手順を説明するフローチャートである。図3Bは、従来のシリコン精製手順を説明するフローチャートである。
なお、図1A及び図1Bは本発明の酸化精製を説明する図(図3AのステップS1,S2に相当する図)である。
図1C,図1D,及び図2A~図2Cは、本発明の凝固精製を説明する図(図3AのステップS3に相当する図)であり、図2Dは本発明の減圧精製を説明する図(図3AのステップS4に相当する図)である。
水冷坩堝(水冷銅ハース)10の底部及び4つの側部には、水路10aが配置されている。水路10aは、水冷銅ハース10に設けられている水冷却機構を構成している。この水冷銅ハース10は、電子ビーム溶解炉内の高真空雰囲気12中に配置されている。ここで、高真空雰囲気12は、10-2Pa以下であることが望ましい。
このシリコン材料20aは、例えば、鉄(Fe),アルミニウム(Al)の含有量がそれぞれ、100ppm<Fe<500ppm,100ppm<Al<500ppmであることが望ましい。
即ち、鉄の含有量が100ppmよりも多くかつ500ppm未満であることが望ましく、アルミニウムの含有量が100ppmよりも多くかつ500ppm未満であることが望ましい。
このような不純物濃度の条件を満たす出発原料としては、酸リーチングした粉状の金属シリコン材料が用いられ、市販されている金属シリコン材料は容易にかつ安価に入手可能である。
なお、水冷銅ハース10は、水冷坩堝の幅寸法と長さ寸法のうち小さい寸法が深さDの4倍以上であることが望ましい。水冷坩堝の幅寸法と長さ寸法のうち小さい寸法が深さDの4倍より小さい場合、深さに対して水冷坩堝の面積が小さく、溶解量が少なく生産性が向上しない。
なお、このとき、例えば、溶湯深さd1が20mm~50mmであるプールの場合、電子ビーム照射密度を1500kW/m2~3000kW/m2の範囲内に設定して、全面に照射し、金属シリコン材料を溶解させることが望ましい。
電子ビーム照射密度が1500kW/m2以下であると、十分にシリコン材料を溶解させることができない。逆に、逆に電子ビーム照射密度が3000kW/m2以上である場合、冷却パイプ10aによる水冷却能力を超えるという不都合が生じる。
このとき、Fe,Al,Ca,Ti等の不純物は、主に凝固していない溶湯部(未凝固部)20f中に濃縮される。凝固部20eと溶湯部20fとの間の界面20gを境界にして、溶湯部(不純物濃縮部)20fの不純物濃度よりも凝固部(不純物精製部)20eの不純物濃度が遥かに低い。
この効果を得ながら、凝固速度を2mm/min以下となるよう制御することにより、組成的過冷が起こりにくくなり、精製効果を高めることができる。
そして、凝固している部分が前記母材全体のうち所定割合を占めるまで凝固が進行した時点で、水冷銅ハース10を傾倒し(傾かせ)、不純物濃縮部(溶湯部)20fを鋳造・除去する(以上、図3AのステップS3)。
望ましくは、不純物濃縮部(溶湯部)20fの割合が全体(凝固部20e及び溶湯部20f)の4割以下になったら、水冷銅ハース10を傾倒し、不純物濃縮部(溶湯部)を鋳造・除去する。さらに、望ましくは、不純物濃縮部(溶湯部)20fの割合が全体の2割になった時点で、水冷銅ハース10を傾倒し、不純物濃縮部(溶湯部)20fを鋳造・除去する。
なお、このとき、一旦、全体を凝固して、除去したい不純物が濃縮された部分を再溶解して、鋳造・除去することも可能である。
これにより、B,C等の不純物濃度、Fe,Al,Ca,P等の不純物濃度、及びP,Oの不純物濃度が低い、太陽電池の製造等に適した高純度のシリコンを得ることができる。
(実験例1)
まず、出発原料として、酸リーチングされた粉状の金属シリコン材料を用意し、この酸リーチングされた粉状の金属シリコン材料を、プラズマ加熱溶解炉の黒鉛坩堝内に装填する(図1A参照)。ここで、金属シリコン材料に含まれる不純物の濃度は、P=25ppm、Fe<500ppm、Al<500ppm、Ca<10ppmである(即ち、Pの濃度は25ppmであり、Feの濃度は500ppm未満であり、Alの濃度は500ppm未満であり、Caの濃度は10ppm未満である)。
まず、出発原料として、酸リーチングされていない金属シリコン材料を用意し、この酸リーチングされていない金属シリコン材料を、プラズマ加熱溶解炉の黒鉛坩堝内に装填する。ここで、金属シリコン材料に含まれる不純物の濃度は、P=25ppm、Fe=1950ppm、Al=1800ppm、Ca=200ppmである(即ち、Pの濃度は25ppmであり、Feの濃度は1950ppmであり、Alの濃度は1800ppmであり、Caの濃度は200ppmである)。
まず、出発原料として、酸リーチングされた金属シリコン材料を用意し、この酸リーチングされた金属シリコン材料を、プラズマ加熱溶解炉の黒鉛坩堝内に装填する。ここで、金属シリコン材料に含まれる不純物の濃度は、P=25ppm、Fe=890ppm、Al=960ppm、Ca=150ppmである(即ち、Pの濃度は25ppmであり、Feの濃度は890ppmであり、Alの濃度は960ppmであり、Caの濃度は150ppmである)。
なお、上記実験例1は、この実験例3よりも、Fe,Al,Caの不純物濃度を、さらに1桁以上低減できている。
まず、出発原料として、酸リーチングされた金属シリコンを用意し、この酸リーチングされた金属シリコン材料を、プラズマ加熱溶解炉の黒鉛坩堝内に装填する。ここで、金属シリコン材料に含まれる不純物の濃度は、P=25ppm、Fe<100ppm、Al<100ppm、Ca<10ppmである(即ち、Pの濃度は25ppmであり、Feの濃度は100ppm未満であり、Alの濃度は100ppm未満であり、Caの濃度は10ppm未満である)。
酸リーチングされた粉状の金属シリコン材料を水冷銅ハースに入れ、圧力10-2Pa以下の高真空雰囲気中で電子ビームを照射したが、上記粉状の金属シリコン材料は半分以上飛散し、溶解することができなかった。
Claims (7)
- シリコンの精製方法であって、
金属シリコンからなる出発原料である母材を黒鉛坩堝中に装填し、酸性の不活性ガス雰囲気中に配置された前記母材を全て加熱溶解し、溶解された前記母材を前記黒鉛坩堝中に保持することによって前記母材を酸化精製し、
前記酸化精製された前記母材を水冷坩堝中に装填し、高真空雰囲気中に配置された前記母材を全て溶解した後に徐々に凝固させて未凝固部を除去し、
前記高真空雰囲気中に配置され、かつ、前記未凝固部が除去された母材を全て溶解して前記水冷坩堝中に保持する
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1に記載のシリコンの精製方法であって、
前記出発原料にはリン(P),鉄(Fe),アルミニウム(Al),及びカルシウム(Ca)が含まれており、
リンの濃度は25ppm以下であり、
鉄の濃度は890ppm以下であり、
アルミニウムの濃度は960ppm以下であり、
カルシウムの濃度は150ppm以下である
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のシリコンの精製方法であって、
前記出発原料にはリン(P),鉄(Fe),アルミニウム(Al),及びカルシウム(Ca)が含まれており、
リンの濃度は25ppm以下であり、
鉄の濃度は350ppm以下であり、
アルミニウムの濃度は260ppm以下であり、
カルシウムの濃度は7ppm以下である
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコンの精製方法であって、
前記出発原料は、粉状の金属シリコンである
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコンの精製方法であって、
前記母材の酸化精製においては、
水蒸気を添加したArガス雰囲気中に前記母材を配置し、プラズマアークを用いて前記母材を加熱し溶解することにより溶湯部を得て、前記溶湯部を所定時間加熱し続け、少なくともホウ素(B)及び炭素(C)を除去する
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコンの精製方法であって、
前記未凝固部の除去において、
前記塊状の母材を高真空雰囲気中に配置し、この母材の全域に亘って前記電子ビームを照射して、前記母材を全て溶解し、
前記電子ビームの出力を徐々に弱めて、溶解した前記母材の溶湯底部から溶湯表部に向けて徐々に凝固させ、凝固している部分が前記母材全体のうち所定割合を占めるまで凝固を進め、
未凝固の溶湯部を除去することによって、少なくとも鉄(Fe),アルミニウム(Al),カルシウム(Ca),チタン(Ti)を除去する
ことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコンの精製方法であって、
前記未凝固部が除去された母材を全て溶解する際には、
前記未凝固部の除去に引き続き、前記水冷坩堝中の母材の全域に亘って前記電子ビームを照射して溶解することにより溶湯部を得て、
前記電子ビームを所定時間照射し続ける真空精錬法を用いて、少なくともリン(P)を揮発させて除去する
ことを特徴とするシリコンの精製方法。
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