WO2010007885A1

WO2010007885A1 - 車両用シートリクライニング装置

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Publication number: WO2010007885A1
Application number: PCT/JP2009/062000
Authority: WO
Inventors: 康敬小島; 英雄二本松
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2008-07-16
Filing date: 2009-06-30
Publication date: 2010-01-21
Also published as: US20110109142A1; JP4853501B2; US8033607B2; ATE556622T1; EP2305070B1; CN102088890A; EP2305070A4; EP2305070A1; CN102088890B; JP2010022471A

Abstract

　ロック機構とメモリ機構とを有する車両用シートリクライニング装置が開示される。シートリクライニング装置は、シートクッションフレーム及びシートバックフレームの間に配置され、ロック解除操作レバーの操作に伴う制御軸を備える。ロック機構は、前記シートバックフレームに固定されるとともにベース体に対して回動自在に支持される回動体とを有する。前記メモリ機構は、係合部を有するプレート部と、前記制御軸と同一の回動軸線の周りで回動自在な保持ブラケットと、メモリポールと、保持ブラケットを所定の初期位置に復帰させる規制部と、前記メモリ操作レバーの操作に伴って回動するレバー部材と、前記保持ブラケットが初期位置へ復帰するのに伴い前記メモリポールと前記プレート部との係合を解除可能な係合保持部とを備える。

Description

車両用シートリクライニング装置

　本発明は、シートクッションに対しシートバックが前倒しされる直前の該シートバックの角度位置に復帰可能なメモリ機構を備えた車両用シートリクライニング装置に関するものである。

　車両用シートリクライニング装置として、例えば特許文献１に記載されたものが知られている。前記シートリクライニング装置は、メモリ操作レバーに連結された第１のケーブルと、ロック機構と、該ロック機構と同軸のレバー部材と、該レバー部材に連結された第２のケーブルと、シートバックフレームに取り付けられたメモリギヤと、前記ロック機構と同軸のセクタギヤとを備えている。メモリ操作レバーの操作によって第１のケーブルが引かれると、レバー部材が回動するとともに第２のケーブルが引かれ、それによりメモリギヤがセクタギヤに噛合する。セクタギヤは、シートクッションフレームに固着された板ばねの摩擦力によってシートクッションフレームに対して脱着可能に保持されている。該板ばねによりセクタギヤの初期位置からの一側方向（シートバックフレームの後倒し方向に相当）への回動が規制されている。

　メモリギヤ及びセクタギヤの噛合後、ロック機構のロック状態が解除されると、これらメモリギヤ及びセクタギヤが一体で回動する。このロック機構のロック状態の解除に先立ってメモリギヤ及びセクタギヤが噛合するように、初期状態の係合ピンと連動レバーとの間には所定の遅延クリアランスが設けられている。

　セクタギヤが回動すると、該セクタギヤと係合していたピンが外れ、該ピンを一体に有する保持リンクがメモリギヤ及びセクタギヤの噛合並びにロック機構のアンロック状態を継続する。

　一方、シートバックフレームを後倒しして元に戻すと、メモリギヤとともにセクタギヤが初期位置に戻ってこれらメモリギヤ及びセクタギヤの噛合が外れ、シートバックが前倒しされる直前の角度位置に復帰される。

特開２００６－２７１５８１号公報

　ところで、特許文献１では、メモリギヤをシートバックフレームに取り付ける構造となっているため、メモリ機構の構成部材をシートクッションフレーム側とシートバックフレーム側とに分ける必要がある。また、メモリギヤをシートバックフレームに取り付けたため、メモリギヤをセクタギヤに噛合する動きと、その後のロック機構の解除の動きとを連動させるためにワイヤを用いなければならず、その結果、シートバック側部（シートバック）に要する配置スペースが増大するとともに、組付けが煩わしい。

　本発明の目的は、汎用のロック機構を使用しつつ、組付性を向上することができる車両用シートリクライニング装置を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明の態様に従い、ロック機構とメモリ機構とを有する車両用シートリクライニング装置が提供される。ロック機構は、シートクッションフレーム及びシートバックフレームの間に配置され、ロック解除操作レバーの操作に伴う制御軸の回動によって前記シートクッションフレームに対する前記シートバックフレームの傾動を規制するロック状態と前記傾動を許容するアンロック状態とに選択的に切り替えられる。ロック機構は、前記シートクッションフレームに固定されるベース体と、前記シートバックフレームに固定されるとともに前記ベース体に対して回動自在に支持される回動体とを有する。ロック機構は、前記制御軸及び回動体が同一の回動軸線の周りで回動する。メモリ機構は、メモリ操作レバーの操作に伴い、前記ロック機構のロック状態における前記シートクッションフレームに対する前記シートバックフレームの角度位置を記憶する。メモリ機構は、前記ロック機構をアンロック状態に切り替えて所定の傾斜位置への前記シートバックフレームの傾動を可能とする。

　前記メモリ機構は、プレート部、保持ブラケット、メモリポール、規制部、レバー部材、及び係合保持部を有する。プレート部は、前記回動体に設けられている。プレート部は係合部を有する。保持ブラケットは、前記シートバックフレームと前記回動体との連結面よりもシート幅方向において前記シートクッションフレーム側に配置される。保持ブラケットは、前記制御軸と同一の回動軸線の周りで回動自在である。メモリポールは、前記保持ブラケットに回動自在に連結されている。メモリポールは、前記プレート部の前記係合部に係合可能であるとともに同係合部に係合することを阻止する阻止力が付与される。規制部は、前記保持ブラケットが前記シートバックフレームの前記所定傾斜位置への傾動方向とは逆方向へ回動するのを規制して該保持ブラケットを所定の初期位置に復帰させる。レバー部材は、前記メモリポールに付与される前記阻止力に抗し又は該阻止力を解消して前記メモリポールを前記プレート部に係合させる。レバー部材は、前記制御軸を連動させて前記ロック機構をアンロック状態に切り替えかつ該アンロック状態を維持するよう、前記メモリ操作レバーの操作に伴って回動する。係合保持部は、前記シートバックフレームを前記所定傾斜位置に至るまで傾動させるために前記保持ブラケットを回動させる場合は前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持するとともに、前記保持ブラケットが前記初期位置へ復帰するのに伴い前記メモリポールと前記プレート部との係合を解除可能とする。

　これによれば、前記メモリ機構を構成する前記プレート部は、前記シートバックフレームと一体回動する前記ロック機構の前記回動体に設けられている。また、前記プレート部に係合可能な前記メモリポールは、前記シートバックフレーム及び前記回動体の連結面よりもシート幅方向で前記シートクッションフレーム側に配置され前記制御軸と同軸で回動自在な前記ポール保持ブラケットに連結されている。そして、前記レバー部材の回動で前記メモリポール及び前記プレート部を係合するようにした。従って、基本的に、前記メモリ機構を前記ロック機構（制御軸）の周辺に配置する態様で前記連結面よりも前記シートクッションフレーム側に集約することができ、その組付性を向上することができる。つまり、前記メモリ機構は、前記ロック機構の周辺に全て集約されてユニット化されることで、その組付性を向上することができる。また、前記ロック機構（制御軸）は、前記メモリ機構（レバー部材）と連係されるものの、汎用品を使用することができる。

　好ましくは、前記保持ブラケットは、前記ベース体又は前記回動体に形成された段差部に支持されている。
　これによれば、前記ロック機構のシート幅方向の厚みを利用して前記ポール保持ブラケットを配置することができ、前記メモリ機構のシート幅方向への大型化を抑制することができる。

　好ましくは、前記レバー部材は、前記メモリ操作レバーの操作に伴って回動するとき前記メモリポールに当接し、それによりメモリポールに付与される阻止力に抗し又は該阻止力を解消して前記メモリポールを前記プレート部に係合させる。前記メモリポールは、第１面と第２面と段部とを有する。第１面は、前記制御軸の回動軸線からの径方向距離が小さい。第２面は、前記制御軸の回動軸線からの径方向距離が前記第１面よりも大きい。段部は、前記第１面及び前記第２面の間に配置されている。前記レバー部材は、前記第１面、前記第２面及び前記段部に当接可能な当接部を有する。当接部が前記レバー部材の回動に伴い前記段部を介して前記第１面から前記第２面に、或いは前記第２面から前記第１面に移動することで、前記メモリポールが前記プレート部に対して係合する状態と係合しない状態とに切り替わる。

　これによれば、前記レバー部材の回動に伴い該レバー部材の当接部を前記段部に位置させる極めて簡易な構造で、前記プレート部との係合・非係合状態を切り替えることができる。

　好ましくは、前記レバー部材は、第１延在部と第２延在部とを有する。第１延在部は、前記制御軸の回動軸線を中心として周方向に沿って延在する。第２延在部は、第１延在部に連続して前記制御軸に向かって延びている。前記メモリ機構は、前記シートクッションフレームに回動可能に連結されたアーム部材を備える。アーム部材は、前記第１及び第２延在部に挿入されるガイド部を有する。前記アーム部材は、前記ガイド部が前記第１延在部に位置する場合には前記レバー部材の回動を許容するとともに、前記ガイド部が前記第２延在部に進入した場合には前記レバー部材の回動を規制する。

　これによれば、前記ガイド部が前記第１延在部から前記第２延在部に進入すると、前記アーム部材により前記レバー部材の回動が前記制御軸ともども規制される。これにより、前記ロック機構のアンロック状態を維持することができる。

　好ましくは、前記規制部は、前記アーム部材と一体回動するように連結され、かつ前記保持ブラケットの前記初期位置への復帰に伴い該保持ブラケットと係合可能なカム部材を備える。前記メモリポールが前記プレート部に係合した後、前記ガイド部を前記第２延在部に移動させつつ前記アーム部材が回動することで、前記保持ブラケットに対する前記カム部材の係合が外れる。

　これによれば、前記メモリポールが前記プレート部に係合した後、前記ロック機構によるアンロック状態への切り替えが完了する。また、前記メモリポールが前記プレート部に噛合した後、前記カム部材と前記ポール保持ブラケットとの係合が外れて該ポール保持ブラケットの回動が許容される。従って、前記メモリ機構の誤作動を抑制することができる。

　好ましくは、前記係合保持部は、前記シートクッションフレームに設けられている。前記所定傾斜位置への前記保持ブラケットの回動の当初は、前記レバー部材の当接部が前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持し、その後、前記係合保持部が前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持する。

　これによれば、前記係合保持部を前記レバー部材と別に設けたことで、これら係合保持部及びレバー部材を前記シートクッションフレームの内側及び外側にそれぞれ配置することができ、省スペース化及びユニット化を容易に行うことができる。

　好ましくは、前記レバー部材は、前記ロック解除操作レバーの操作に伴う前記制御軸の回動時に前記レバー部材が前記制御軸と連動するのを禁止する連動禁止部を備える。
　これによれば、前記連動禁止手段により、前記レバー部材は、前記ロック解除操作レバーの操作に伴う前記制御軸の回動と連動しないため、前記レバー部材の作動に係る前記メモリ操作レバーを、前記ロック解除操作レバーに対しシートの異なる側に配置することができる。

　好ましくは、前記制御軸は、一端部に第１ヒンジ部位を有しかつ他端部に第２ヒンジ部位を有する。前記第１ヒンジ部位は、前記ロック解除操作レバーに連結されている。前記第２ヒンジ部位は、前記レバー部材の嵌合孔に嵌合する。前記連動禁止部は、前記ロック解除操作レバーの操作に伴う前記制御軸の回動方向に設定された前記嵌合孔の遊び部である。

　これによれば、前記連動禁止手段として、前記嵌合孔の遊び部を採用することで、前記制御軸に遊び部を設ける機構が必要なく、例えば軸ずれ等の前記ロック機構の性能劣化を回避することができる。

　好ましくは、前記第２延在部は、前記アーム部材の回動に伴い前記ガイド部に押圧される押圧部を有する。押圧部は、前記レバー部材に連動する前記制御軸が前記ロック機構をアンロック状態に切り替えるように回動するよう、前記ガイド部に押圧される。

　これによれば、前記アーム部材の回動に伴い前記ガイド部に前記第２延在部の前記押圧部が押圧され、前記レバー部材に連動する前記制御軸が前記ロック機構をアンロック状態に切り替える方向に更に回動することで、前記メモリ操作レバーの操作量を徒に増やすことなく、前記ロック機構をより確実にアンロック状態に切り替えることができる。

本発明の一実施形態に係る車両用シートリクライニング装置の分解斜視図、図１のシートリクライニング装置の部分分解斜視図。図１のシートリクライニング装置に設けられたロック機構の断面図。図１のシートリクライニング装置に設けられたメモリ機構を示す側面図。図４のメモリ機構の動作を説明するための図。図４のメモリ機構の動作を説明するための図。図４のメモリ機構の動作を説明するための図。図４のメモリ機構の動作を説明するための図。図４のメモリ機構の動作を説明するための図。図１の車両用シートリクライニング装置が搭載された車両用シートの側面図。（ａ）、（ｂ）及び（ｃ）は、それぞれ図４のメモリ機構に設けられたレバー部材の側面図。

　以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
　図１０は、本発明の一実施形態に係る車両用シートリクライニング装置を備える車両シート１を示す側面図である。図１０に示すように、車両フロア２には、シート１を車両前後方向にスライド可能に支持する一対のシートスライド機構３が設置されている。一対のシートスライド機構３は、車両幅方向に間隔をおいて平行に配置されている。一対のシートスライド機構３は、前記シート１の座面を形成するシートクッション４を支持する。該シートクッション４の後端部には、図１に示す周知の一対のロック機構２０を介して前記シート１の背もたれ部を形成するシートバック５が車両前後方向に傾動可能に連結されている。

　シートクッション４に対するシートバック５の傾動角度は、シートバック５を小さい角度範囲で多段階に調整可能な着座利用範囲Ａと、該着座利用範囲Ａより車両前方側であってシートバック５を段階無しで最も前方まで前倒し可能な前倒れ作動範囲Ｂとを有する。シートクッション４に対するシートバック５の回動軸線Ｏ１周りには、前倒れ作動範囲Ｂでのシートバック５の前倒しを助勢する付勢部材（渦巻きばね等）６が設けられている。回動軸線Ｏ１は車両シート１の幅方向に沿って延びている。

　また、各シートスライド機構３には、その作動（スライド作動）を選択的に禁止及び許容する周知のスライドロック機構が設けられている。このスライドロック機構は、いわゆるウォークイン機構であって、シートバック５の前倒しに連動して車両シート１を車両前方へ移動させるようにシートスライド機構３の作動を許容する。

　図１及び図２は、本実施形態に係る車両用シートリクライニング装置を示す分解斜視図である。図１及び図２に示すように、このシートリクライニング装置は、シートクッション４の骨格をなす一対のシートクッションフレーム１１を備える。各シートクッションフレーム１１には、シートバック５の骨格をなすシートバックフレーム１２が、前記ロック機構２０を介して回動軸線Ｏ１を中心に回動自在に連結されている。図１において、回動軸線Ｏ１の左上方向が車両の外側方向に対応し、右下方向が車両の内側方向に対応している。シートクッションフレーム１１及びシートバックフレーム１２は金属板で構成されている。以降、シートクッションフレーム１１及びシートバックフレーム１２の間にそれぞれ配置される一対のロック機構２０について、車両の外側寄りに配置されたロック機構２０を第１ロック機構２０Ａ、車両の内側寄りに配置されたロック機構２０を第２ロック機構２０Ｂとも表す。各ロック機構２０は、シートクッションフレーム１１に対するシートバックフレーム１２の回動（傾動）を規制するロック状態と、許容するアンロック状態とに選択的に切り替えられる。

　次に、第１ロック機構２０Ａの構成を説明する。第２ロック機構２０Ｂは第１ロック機構２０Ａと左右対称な構成であるので、その説明を省略する。図３に示すように、第１ロック機構２０Ａは、前記シートクッションフレーム１１の内側面に溶接にて固着されるベース体としての円環状のロアプレート２１と、前記シートバックフレーム１２の外側面に溶接にて固着される回動体としての円環状のアッパプレート２２とを備える。アッパプレート２２は、前記ロアプレート２１に対し回動軸線Ｏ１を中心に回動自在に支持されている。アッパプレート２２の内側面、すなわちシートバックフレーム１２と対向する面には、段差部２２ｃが形成され、それによって環状の取付面２２ａが形成されている。また、アッパプレート２２の内周面には、内歯車２２ｂが形成されている。

　ロアプレート２１及びアッパプレート２２の間に形成される内部空間には、回動軸線Ｏ１を中心とする径方向に移動可能に装着された複数のポール２３と、該ポール２３を径方向に移動させる一つのカム２４とが収容されている。複数のポール２３は、前記内歯車２２ｂに噛合可能となるように配置されている。カム２４はポール２３に係合し、回動軸線Ｏ１を中心としてアッパプレート２２に対して回動するのに伴いポール２３を径方向に移動させる。つまり、カム２４が回動軸線Ｏ１周りを第１の方向にアッパプレート２２に対して回動するのに伴いポール２３は径方向外側に向かって移動し、それによりポール２３が前記内歯車２２ｂに噛合することで、第１ロック機構２０Ａがロック状態に切り替わる。あるいは、カム２４が回動軸線Ｏ１周りを第２の方向にアッパプレート２２に対して回動するのに伴いポール２３は径方向内側に向かって移動し、それによりポール２３と前記内歯車２２ｂとの噛合が解除されることで、第１ロック機構２０Ａがアンロック状態に切り替わる。また、第１ロック機構２０Ａは、ポール２３を径方向外側に向かって移動させるように、即ち第１ロック機構２０Ａがロック状態に切り替わるようにカム２４を付勢するスプリング２５を備えている。該スプリング２５は、例えば渦巻きばねである。第１ロック機構２０Ａは、ポール２３がスプリング２５に付勢されることで通常はロック状態に保持される。

　図１に示すように、回動軸線Ｏ１に沿ってシート幅方向に延在する制御軸２６は、パイプ状の本体部２６ａと、第１ヒンジ部位２６ｂと、第２ヒンジ部位２６ｃとを有する。第１ヒンジ部位２６ｂは、本体部２６ａの車両内側（図１において右下側）を指向する端部に溶接にて固着され、かつ前記シートクッションフレーム１１、前記シートバックフレーム１２及び第２ロック機構２０Ｂをそれぞれ貫通する。第２ヒンジ部位２６ｃは、前記本体部２６ａの車両外側（図１において左上側）を指向する端部に溶接にて固着され、かつ前記シートクッションフレーム１１、前記シートバックフレーム１２及び第１ロック機構２０Ａを貫通する。そして、各ヒンジ部位２６ｂ，２６ｃは、対応するロック機構２０のカム２４と、例えば嵌合する態様で一体回動するように連結される。

　前記第１ヒンジ部位２６ｂにおいて、シートクッションフレーム１１から車両内側に向かって突出する先端は、金属板からなるロック解除操作レバー２７の基端部に形成された嵌合孔に嵌合し溶接にて固着されている。従って、ロック解除操作レバー２７の操作に伴い、第１ヒンジ部位２６ｂ（制御軸２６）が回動軸線Ｏ１を中心に回動すると、第２ロック機構２０Ｂのカム２４が該第１ヒンジ部位２６ｂと一体に回動し、それにより第２ロック機構２０Ｂがアンロック状態に切り替わる。これと同時に、本体部２６ａを介して第１ヒンジ部位２６ｂと一体化された第２ヒンジ部位２６ｃが回動軸線Ｏ１を中心に回動すると、第１ロック機構２０Ａのカム２４が該ヒンジ部位２６ｃと一体に回動し、それにより第１ロック機構２０Ａがアンロック状態に切り替わる。ロック解除操作レバー２７の操作が解放されると、前記スプリング２５の付勢力によって両ロック機構２０のカム２４が制御軸２６及びロック解除操作レバー２７とともに復帰回動し、それにより両ロック機構２０がロック状態に切り替わる（復帰する）。

　前記第２ヒンジ部位２６ｃのシートクッションフレーム１１から車両外側に向かって突出する先端は、金属板からなるレバー部材３１の基端部に形成された嵌合孔４６に遊嵌されている。このレバー部材３１は、図示しないメモリ操作レバーとワイヤを介して連結されており、該メモリ操作レバーの操作に伴い回動軸線Ｏ１を中心に回動する。従って、メモリ操作レバーの操作に伴い前記レバー部材３１を介して第２ヒンジ部位２６ｃ（制御軸２６）が回動軸線Ｏ１を中心に回動すると、第１ロック機構２０Ａのカム２４が該第２ヒンジ部位２６ｃと一体に回動することで第１ロック機構２０Ａがアンロック状態に切り替わる。同時に、本体部２６ａを介して一体化された第１ヒンジ部位２６ｂが回動軸線Ｏ１を中心に回動すると、第２ロック機構２０Ｂのカム２４が該第１ヒンジ部位２６ｂと一体に回動することで第２ロック機構２０Ｂがアンロック状態に切り替わる。

　次に、前記レバー部材３１を有するメモリ機構３０について、図２及び図４を参照して説明する。前記シートクッションフレーム１１には、図４における右下側の部位において支持ピン３２が支持されている。図２に示すように、支持ピン３２は、回動軸線Ｏ１に平行な回動軸線Ｏ２に沿って延びている。支持ピン３２のシートクッションフレーム１１側の先端部には、第１嵌合部３２ａ及び第１嵌合部３２ａよりも小径の第２嵌合部３２ｂが順次形成されている各嵌合部３２ａ，３２ｂは円柱状をなし、互いに平行な一対の偏平面を有する。第１嵌合部３２ａには、シートクッションフレーム１１の外側、即ちレバー部材３１側に配置された金属板からなるＬ字状のアーム部材３３の基端部が嵌合する。第２嵌合部３２ｂには、シートクッションフレーム１１の内側、即ちロック機構２０側に配置された金属板からなる規制部としての滴状のカム部材３４の基端部が嵌合する。従って、アーム部材３３及びカム部材３４は、支持ピン３２によりシートクッションフレーム１１を挟んで一体的に回動可能に連結されている。

　また、前記シートクッションフレーム１１には、回動軸線Ｏ１を中心とする周方向に沿って円弧状に延在する係合保持部としての保持部材３５が溶接にて固着されている。保持部材３５における、図４の時計回転方向を指向する端部は、前記カム部材３４の先端部に隣接している。保持部材３５は、金属板で形成され、その断面はＬ字状をなす。保持部材３５の径方向外寄りの部位は、回動軸線Ｏ１を中心とする円弧状のガイド部を有し、該ガイド部は車両内側に向かって突出しており、そのガイド部の内周面はガイド面３５ａを形成する。保持部材３５の、前記カム部材３４に隣接した部位には切り欠き３５ｂが形成されている。保持部材３５の切り欠き３５ｂは、前記カム部材３４の先端部が進入するのを許容している。

　さらに、前記シートクッションフレーム１１には、図４における回動軸線Ｏ２（カム部材３４）の左側の箇所において、回動軸線Ｏ１中心とする周方向に円弧状に延在する長孔状のガイド孔１１ａが形成されている。該ガイド孔１１ａには、前記レバー部材３１から延びるガイドピン３６（当接部）が貫通する。従って、レバー部材３１が回動軸線Ｏ１を中心に回動すると、これに連動してガイドピン３６がガイド孔１１ａに沿って移動する。

　前記アーム部材３３の先端部には、回動軸線Ｏ１と平行に前記レバー部材３１に向かって突出する略円柱状のガイド部３７が固着されている。一方、前記レバー部材３１には、ガイド部３７が挿入されるＬ字状の長穴３８が形成されている。この長穴３８は、回動軸線Ｏ１（制御軸２６）を中心とする周方向に沿って延在する第１延在部としての第１長穴３８ａと、該第１長穴３８ａに連続して回動軸線Ｏ１に向かって延びる第２延在部としての第２長穴３８ｂとを有する。従って、ガイド部３７が第１長穴３８ａにあるとき、ガイド部３７は第１長穴３８ａに沿って相対移動（空走）可能であるのでレバー部材３１の回動軸線Ｏ１を中心とする回動が許容される。ガイド部３７が第１長穴３８ａから第２長穴３８ｂに進入すると、レバー部材３１の回動が規制される。あるいは、ガイド部３７が第１長穴３８ａにあるとき、該第１長穴３８ａの内周面にガイド部３７が挟まれることで、前記アーム部材３３の回動軸線Ｏ２を中心とする回動が規制される。ガイド部３７が第２長穴３８ｂにあるとき、前記アーム部材３３の回動軸線Ｏ２を中心とする回動が許容される。

　本実施形態では、レバー部材３１が図４において時計回転方向に回動することでガイド部３７が第１長穴３８ａに沿って相対移動する間に、該レバー部材３１に連動する制御軸２６の回動により前記内歯車２２ｂとポール２３の外歯との係合が外れ、それにより、前記ロック機構２０の解除が辛うじて完了するように設定されている。これは、レバー部材３１の回動に係るメモリ操作レバーの操作量（ストローク）を最小限に抑えて操作負荷を軽減するためである。このとき、アーム部材３３は、前記カム部材３４とともに回動軸線Ｏ２を中心とする回動が規制されている。

　また、ガイド部３７が第１長穴３８ａから第２長穴３８ｂに進入した直後の状態において、ガイド部３７と回動軸線Ｏ２との間の距離は、第２長穴３８ｂの終端側の端部と回動軸線Ｏ２との間の距離よりも短く設定されている。従って、前記ロック機構２０の解除の完了後（アンロック状態への切り替え完了後）、ガイド部３７が第２長穴３８ｂの終端部に移動する。すると、レバー部材３１が図４において時計回転方向、即ち前記ロック機構２０をアンロック状態に切り替える方向に更に回動するようにガイド部３７がレバー部材３１を押圧する。つまり、第２長穴３８ｂは、レバー部材３１に連動する制御軸２６がロック機構２０をアンロック状態に切り替わるように回動するよう、ガイド部３７に押圧される押圧部３８ｃを有する。ガイド部３７が第２長穴３８ｂを相対移動する間、レバー部材３１が回動軸線Ｏ１を中心に若干揺動するものの、ロック機構２０がアンロック状態からロック状態に切り替わるような、レバー部材３１の回動は規制されている。レバー部材３１と支持ピン３２とはコイルスプリング３９を介して連結されている。該コイルスプリング３９は、ガイド部３７が第１長穴３８ａの終端側、即ち第２長穴３８ｂに向かって相対移動する方向、即ち前記ロック機構２０をロック状態に切り替える方向に付勢されている。

　前記アッパプレート２２には、金属板からなるリング状のプレート部としてのプレート部材４０が固着されている。プレート部材４０は、前記取付面２２ａに接合されている。このプレート部材４０の外周部には、係合部としての鋸波状の噛合部４０ａが形成されている。

　また、金属板からなる円環状の保持ブラケット４１が前記ロック機構２０を内周側に包囲する態様で、前記制御軸２６（回動軸線Ｏ１）と同軸でかつ回動自在に設けられている。すなわち、保持ブラケット４１は、前記段差部２２ｃに支持されており、シートバックフレーム１２とアッパプレート２２との連結面Ｃ（図３参照）よりもシート幅方向においてシートクッションフレーム１１側に配置されている。この保持ブラケット４１は、その大部分が前記保持部材３５（ガイド面３５ａ）の内径よりも小さい外径を有する。保持ブラケット４１の周壁には、図２の右下側において径方向内側に凹んだ係止凹部４１ａが形成されている。保持ブラケット４１には、前記切り欠き３５ｂを通過する前記カム部材３４の先端部が嵌入可能になっている。前述の態様でカム部材３４の回動が規制されるときに該カム部材３４の先端部が前記係止凹部４１ａに嵌入することで保持ブラケット４１の回動が規制される。このときの保持ブラケット４１の角度位置を初期位置という。

　保持ブラケット４１の周壁は、係止凹部４１ａから図４の反時計回転方向に向かう側で径方向外側に向かって膨んでおり、その係止凹部４１ａに隣接する膨らんだ部位の端部部位は係止片４１ｂを形成する。一方、前記シートクッションフレーム１１には、係止片４１ｂの図４における時計回転方向への回動を規制するために突設された規制片１１ｂが形成されている。従って、保持ブラケット４１は、係止片４１ｂが規制片１１ｂと係合することで図４における時計回転方向への回動が規制される。このときの保持ブラケット４１の角度位置は、前記初期位置と一致する。つまり、初期位置における保持ブラケット４１の図４おける時計回転方向の回動規制は、カム部材３４及び規制片１１ｂの協働で行われている。

　前記保持ブラケット４１には、金属板からなるメモリポール４２の基端部が、前記係止凹部４１ａの近傍に設けられた支持ピン４３の回動軸線Ｏ３を中心に回動自在に連結されている。回動軸線Ｏ３は、回動軸線Ｏ１に平行である。このメモリポール４２は、鋸波状の噛合部４２ａを有している。該噛合部４２ａは、メモリポール４２が回動軸線Ｏ３を中心として図４の時計回転方向に回動することにより前記プレート部材４０の噛合部４０ａと噛合可能である。メモリポール４２は、適宜の付勢部材（たとえば、ばね）により、プレート部材４０に噛合する方向と逆方向（図４において反時計回転方向）の付勢力（阻止力）が付与されている。

　メモリポール４２の先端部には、シートクッションフレーム１１に向かって延びたフランジが形成され、該フランジの外側面が前記保持ブラケット４１の回動角度位置に応じて前記ガイドピン３６又は保持部材３５（ガイド面３５ａ）に当接することで、保持ブラケット４１が図４の反時計回転方向へ回動することが規制されている（図４～図９参照）。また、メモリポール４２のフランジは、回動軸線Ｏ１（制御軸２６）からの径方向距離が小さい第１面としての第１円弧部４２ｂと、回動軸線Ｏ１からの径方向距離が第１円弧部４２ｂよりも大きい第２面としての第２円弧部４２ｃとを備えている。これら第１及び第２円弧部４２ｂ，４２ｃは、段部４２ｄを介して連続している。第１及び第２円弧部４２ｂ，４２ｃのそれぞれは、回動軸線Ｏ１（制御軸２６）を中心とする円弧形状をなす。レバー部材３１の図４における時計回転方向の回動に伴いガイドピン３６が段部４２ｄを介して第１円弧部４２ｂから第２円弧部４２ｃに移動することで、メモリポール４２は段部４２ｄの高さ分だけ回動軸線Ｏ１側に移動すべく回動軸線Ｏ３を中心に図４における時計回転方向に回動する。ガイドピン３６が第２円弧部４２ｃに配置された場合、メモリポール４２の噛合部４２ａとプレート部材４０の噛合部４０ａとが噛合する。つまり、レバー部材３１のガイドピン３６が、レバー部材３１の回動に伴い段部４２ｄを介して第１円弧部４２ｂから第２円弧部４２ｃに、或いは第２円弧部４２ｃから第１円弧部４２ｂに移動することで、メモリポール４２がプレート部材４０に対して係合する状態と係合しない状態とに切り替わる。

　また、図８及び図９に示すように、メモリポール４２が前記プレート部材４０に噛合した状態は、メモリポール４２のフランジが保持部材３５に進入することで維持される。従って、例えばプレート部材４０が図４の反時計回転方向、即ちシートバックフレーム１２が前傾する方向に回動すると、プレート部材４０に噛合するメモリポール４２が保持ブラケット４１と一体で回動する。このとき、前記カム部材３４は、前述の態様でアーム部材３３と一体で図４の時計回転方向に回動することで、保持ブラケット４１（係止凹部４１ａ）との係合が外れる。プレート部材４０が図４の時計回転方向、即ちシートバックフレーム１２が後傾する方向に回動すると、プレート部材４０に噛合するメモリポール４２が保持ブラケット４１と一体で回動する。このとき、保持ブラケット４１は、係止凹部４１ａにカム部材３４の先端部が嵌入するとともに、係止片４１ｂが規制片１１ｂに当接されることで更なる回動が規制され、それにより、保持ブラケット４１は、前記初期位置に復帰する。

　次に、メモリ機構３０の動作について説明する。メモリ操作レバーに対する操作力が解放されており、かつ、図４に示すように、レバー部材３１の第１長穴３８ａに配置されたガイド部３７によりアーム部材３３及びカム部材３４の回動軸線Ｏ２を中心とする回動が規制されている。このとき、カム部材３４の先端部が前記係止凹部４１ａに嵌入し、保持ブラケット４１の回動軸線Ｏ１を中心とする回動が規制される。

　この状態で、メモリ操作レバーの操作に伴い、レバー部材３１が図４の時計回転方向に回動すると、ロック機構２０をアンロック状態に切り替えるべく、嵌合孔４６に遊嵌されたヒンジ部位２６ｃ（制御軸２６）が回動する。このとき、ガイド部３７は、第１長穴３８ａ内を相対的に移動するため、アーム部材３３及びカム部材３４の回動軸線Ｏ２を中心とする回動が規制され続ける。カム部材３４の回動軸線Ｏ２を中心とする回動が規制されるので、保持ブラケット４１の回動軸線Ｏ１を中心とする回動も規制され続ける。一方、レバー部材３１に設けられたガイドピン３６は、メモリポール４２の第１円弧部４２ｂから段差４２ｄを通って第２円弧部４２ｃに移動することで、メモリポール４２を回動軸線Ｏ３を中心として図４の時計回転方向に回動させるように押圧して、該メモリポール４２を前記プレート部材４０に噛合させる。これにより、メモリポール４２に連結された保持ブラケット４１は、プレート部材４０（シートバックフレーム１２）と一体回動するように連結される。そして、図５に示すように、ガイド部３７が第１長穴３８ａの第２長穴３８ｂ側の端部に達すると、ロック機構２０のアンロック状態への切り替えが辛うじて完了する。このとき、ガイド部３７は第２長穴３８ｂ内には進入していないので、アーム部材３３の回動軸線Ｏ２を中心とした回動及び保持ブラケット４１の回動軸線Ｏ１を中心とした回動は依然として規制され続けている。

　引き続き、レバー部材３１が図５の時計回転方向に回動して、図６に示すように、ガイド部３７が第２長穴３８ｂ内に進入すると、アーム部材３３及びカム部材３４の回動の規制が解除される。従って、レバー部材３１が図６の時計回転方向に更に回動すると、図７に示すように、アーム部材３３及びカム部材３４が回動軸線Ｏ２を中心として時計回転方向に回動し始め、この結果、保持ブラケット４１の回動が許可される。同時に、前記保持部材３５がメモリポール４２のフランジに当接し、それにより前記保持部材３５は、メモリポール４２とプレート部材４０との噛合状態を維持する。

　そして、この状態で、シートバック５（シートバックフレーム１２）を車両の最前方にまで傾動（前倒し）させるべく、アッパプレート２２に接合されたプレート部材４０を図７の反時計回転方向に回動させると、図８に示すように、該プレート部材４０に噛合されたメモリポール４２とともに保持ブラケット４１が一体回動する。このとき、保持部材３５によりメモリポール４２とプレート部材４０との噛合状態が維持される。また、カム部材３４は、保持ブラケット４１（係止凹部４１ａ）との係合を外しつつ図８の時計回転方向に回動するとともに、カム部材３４と一体回動するアーム部材３３は、ガイド部３７を第２長穴３８ｂの終端寄り、即ち嵌合孔４６寄りに移動させる。このとき、レバー部材３１は、第２長穴３８ｂ（押圧部３８ｃ）がガイド部３７に押圧されて図８の時計回転方向、即ちロック機構２０をアンロック状態に切り替える方向に更に回動することは既述のとおりである。従って、シートバック５（シートバックフレーム１２）の最前方への傾動に伴って、ロック機構２０をより確実にアンロック状態に切り替えるためのレバー部材３１の余剰の操作量が確保されている。保持ブラケット４１（係止凹部４１ａ）との係合の外れたカム部材３４は、保持ブラケット４１の周壁によって図８の反時計回転方向への回動が規制される。

　一方、シートバック５（シートバックフレーム１２）の角度位置を、シートバック５（シートバックフレーム１２）が最前方に傾動される直前の角度位置に復帰させるべく、アッパプレート２２に接合されたプレート部材４０を図８の時計回転方向に回動させると、図９に示すように、前述の態様で一体回動する保持ブラケット４１（係止凹部４１ａ）にカム部材３４の先端部が嵌入し始める。そして、前述の説明とは逆の順序で図４に示す状態に復帰する。ガイド部３７が第１長穴３８ａ内に進入すると、前記コイルスプリング３９に付勢されている前記レバー部材３１は、ガイド部３７が相対的に第１長穴３８ａの終端部側に移動するように戻り回動する。

　次に、前記ロック解除操作レバー２７の操作に基づくロック機構２０の解除と、メモリ操作レバーの操作（レバー部材３１の回動）に基づくロック機構２０の解除との関係について説明する。

　図１１（ａ）～図１１（ｃ）に示すように、ヒンジ部位２６ｃはその断面が互いに平行な一対の直線部を有する円形状をなし、そのヒンジ部位２６ｃに遊嵌されるレバー部材３１の嵌合孔４６は、周方向に拡張された連動禁止部としての一対の遊び部４６ａを有しており、全体として蝶形に形成されている。即ち、嵌合孔４６の断面形状は、ヒンジ部位２６ｃの断面形状と異なる。これにより、嵌合孔４６内においてヒンジ部位２６ｃ（制御軸２６）は所定範囲でレバー部材３１に対する相対回動が許容されている。コイルスプリング３９に付勢されて初期状態（図４に示す状態に相当）にあるレバー部材３１の嵌合孔４６は、図１１（ａ）に示すように、ロック解除操作レバー２７の操作に伴うヒンジ部位２６ｃ（制御軸２６）の回動方向（図１１（ａ）の時計回転方向）において、前記遊び部４６ａの分だけ、ヒンジ部位２６ｃの相対回動を許容している。従って、図１１（ｂ）に示すように、ロック解除操作レバー２７の操作（制御軸２６の回動）に連動してレバー部材３１が回動することはない。

　一方、前記嵌合孔４６を形成する内壁は、メモリ操作レバーの操作に伴うレバー部材３１の回動方向（図１１（ａ）の時計回転方向）でヒンジ部位２６ｃに当接している。従って、図１１（ｃ）に示すように、メモリ操作レバーの操作に伴うレバー部材３１の回動に連動して嵌合孔４６の内壁に押圧されるヒンジ部位２６ｃ（制御軸２６）が直ちに回動し始め、ロック機構２０のアンロック状態への切り替えが開始される。

　本実施形態は、以下の利点を有する。
　（１）プレート部材４０は、シートバックフレーム１２と一体回動するロック機構２０のアッパプレート２２に固定されている。また、プレート部材４０に噛合可能なメモリポール４２は、制御軸２６と同軸で回動自在な保持ブラケット４１に連結されている。また、保持ブラケット４１を所定の初期位置に復帰させるカム部材３４（及び規制片１１ｂ）は、シートクッションフレーム１１に設けられている。さらに、メモリポール４２とプレート部材４０との噛合を保持する保持部材３５は、シートクッションフレーム１１に設けられている。さらにまた、メモリポール４２とプレート部材４０との噛合及びロック機構２０のアンロック状態への切り替え等に係るレバー部材３１の回動は、制御軸２６と同軸である。そして、レバー部材３１をガイドピン３６を介してメモリポール４２に当接させて該メモリポール４２をプレート部材４０に噛合させる。従って、基本的に、メモリ機構３０をロック機構２０（制御軸２６）の周辺に配置する態様で前記連結面Ｃよりもシート幅方向においてシートクッションフレーム１１側に集約することができる。即ち、メモリ機構３０は、ロック機構２０の周辺に全て集約されてユニット化される。従って、シートリクライニング装置のシートに対する組付性を向上させることができる。また、ロック機構２０（制御軸２６）は、メモリ機構３０（レバー部材３１）と連係されるものの、汎用品を使用することができる。

　（２）レバー部材３１の回動に伴い該レバー部材３１の当接部（ガイドピン３６）を、第１円弧部４２ｂから第２円弧部４２ｃに移動させる極めて簡易な構造で、メモリポール４２をプレート部材４０に噛合することができる。

　（３）ガイド部３７が第１長穴３８ａから第２長穴３８ｂに進入すると、アーム部材３３によりレバー部材３１及び制御軸２６の回動が共に規制される。これにより、ロック機構２０のアンロック状態は維持される。

　（４）メモリポール４２がプレート部材４０に噛合した後、ロック機構２０はアンロック状態への切り替えを完了する。また、メモリポール４２がプレート部材４０に噛合した後、カム部材３４と保持ブラケット４１（係止凹部４１ａ）との係合が外れて該保持ブラケット４１の回動が許容される。従って、メモリ機構３０の誤作動を抑制することができる。

　（５）例えば特開２００２－２０９６６１号公報に記載のリクライニング装置は、ロック機構のロック状態及びアンロック状態の切り替えに係るロック解除操作レバー（第１操作レバー）と、メモリ作動の切り替えに係るメモリ操作レバー（第２操作レバー）とを備えている。該メモリ操作レバーの操作時には、メモリ操作レバーはロック解除操作レバーとともに作動するので、メモリ操作レバーを、ロック解除操作レバーに対しシートの同じ側に配置する必要があり、操作性が悪くなる。また、メモリ操作レバーの配置の自由度が低減されるとともに、メモリ操作レバー及びロック解除操作レバーを配置するために要するスペースも増加する。これに対し、本実施形態では、嵌合孔４６の遊び部４６ａにより、レバー部材３１は、ロック解除操作レバー２７の操作に伴う制御軸２６の回動と連動しないため、レバー部材３１の作動に係るメモリ操作レバーを、シートに対してロック解除操作レバー２７と異なる側に配置することができ、ひいては操作性を向上することができる。また、各操作レバー等の配置の自由度を向上することができる。

　（６）例えば特開平１１－７００２７号公報に記載のリクライニング装置は、ロック機構のロック状態及びアンロック状態の切り替えに係る通常のロック解除操作レバーと、メモリ作動の切り替えに係るメモリ操作レバーとを備えている。そして、シートの左右両側に配設されたロック機構を繋ぐロッドに遊びを設けることで、シートの互いに反対側に配置されたロック解除操作レバーとメモリ操作レバーとの作動角を変化させている。この場合、両側に配設されたロック機構を繋ぐロッドに遊びを設ける機構が必要となり、軸が不安定になってロック機構自体の性能が劣化する可能性がある。また、この遊びを設ける機構の配置スペースが必要になるとともに、部品点数も増加してしまう。これに対し、本実施形態では、嵌合孔４６の遊び部４６ａを採用することで、制御軸に遊び部を設ける機構が必要なく、例えば軸ずれ等のロック機構の性能劣化を回避することができる。

　（７）本実施形態では、アーム部材３３の回動に伴いガイド部３７が第２長穴３８ｂの押圧部３８ｃを押圧し、レバー部材３１に連動する制御軸２６がロック機構２０をアンロック状態に切り替える方向に更に回動することで、メモリ操作レバーの操作量を必要以上に増やすことなく、ロック機構２０をより確実にアンロック状態に切り替えることができる。特に、ガイド部３７が第２長穴３８ｂの終端部に向かって移動するとき、付勢部材６がシートバック５の前倒しを助勢することで、レバー部材３１を回動しやすくしてメモリ操作レバーの操作に要する操作力を軽減することができる。

　（８）例えば特開２００６－３０４８３２号公報に記載のリクライニング装置では、ロック機構に強度が必要とされることはもちろんのこと、メモリ機構にも同様の強度が必要とされる。これは、通常のリクライニング作動時（メモリ解除時）にロック機構及びメモリ機構が一体化して作動し、一方、ウォークイン作動時（メモリ作動時）にロック機構のみ作動し、元に戻すときに作動しなかったメモリ機構と一体化する位置を記憶位置とする構造を採用しているためである。これに対し、本実施形態では、通常のリクライニング作動時（メモリ解除時）にロック機構２０のみ作動し、一方、ウォークイン作動時（メモリ作動時）にロック機構２０及びメモリ機構３０が一体化して作動し、これらロック機構２０及びメモリ機構３０が一体化する位置を記憶位置とする構造を採用している。従って、メモリ機構３０は、基本的にロック機構２０と係合し得る強度を満たせばよい。

　（９）保持ブラケット４１は、アッパブラケット２２の段差部２２ｃに軸支されている。従って、ロック機構２０のシート幅方向の厚みを利用して保持ブラケット４１を配置することができ、メモリ機構３０のシート幅方向への大型化を抑制することができる。

　（１０）保持部材３５をレバー部材３１と別に設けたことで、これら保持部材３５及びレバー部材３１をシートクッションフレーム１１の両側にそれぞれ配置することができ、省スペース化及びユニット化を容易に行うことができる。

　上記実施形態は以下のように変更してもよい。
　保持ブラケット４１の回動規制に係る係止片４１ｂ及び規制片１１ｂは割愛してもよい。

　保持部材３５をシートクッションフレーム１１に一体形成してもよい。
　プレート部材４０とメモリポール４２との噛合状態を維持するための保持部材３５（ガイド面３５ａ）を、配置スペースの制約や動作への影響がなければ、レバー部材３１に設けてもよい。

　制御軸２６のヒンジ部位２６ｂをロック解除操作レバー２７の基端部に形成した嵌合孔に遊嵌してもよい。この場合、メモリ操作レバーの操作（レバー部材３１の回動）に伴うヒンジ部位２６ｂ（制御軸２６）の回動方向（図４において時計回転方向）で、ロック解除操作レバー２７の嵌合孔に形成された遊び部分がヒンジ部位２６ｂの相対回動を許容することで、メモリ操作レバーの操作（制御軸２６の回動）に連動したロック解除操作レバー２７の回動を回避することができる。

　第１及び第２面として、第１及び第２円弧部４２ｂ，４２ｃに代えて、適宜の曲面や平面を採用してもよい。
　第１及び第２延在部として、第１及び第２長穴３８ａ，３８ｂに代えて、ガイド部３７を案内する壁部を採用してもよい。

　メモリポール４２は、プレート部材４０に噛合する方向に付勢されていてもよい。この場合、例えばメモリ操作レバーに設けられたピン等のストッパ機能による阻止力の付与でメモリポール４２及びプレート部材４０の噛合を禁止するとともに、メモリ操作レバーの作動でストッパ機能を解除（阻止力を解消）することでメモリポール４２及びプレート部材４０を噛合させる。あるいは、メモリポール４２にガイド孔を設け、レバー部材３１にガイド孔にガイドされるピンを設けることで、メモリポール４２に付勢力を付与することなく、レバー部材３１の回動でメモリポール４２の噛合・非噛合状態を変更してもよい。

　プレート部材４０を割愛してその係合部（噛合部４０ａ）をアッパプレート２２に一体形成してもよい。
　プレート部材４０及びメモリポール４２は、例えば噛合部に代えて設けた摩擦材による摩擦係合によって係合状態にしてもよい。

　前記実施形態においては、シートバックフレーム１２（シートバック）の前傾しによって最終傾斜位置となる場合について説明した。これに対し、シートバックフレーム１２（シートバック）の後傾しによって最終傾斜位置となるようにしてもよい。

　ロック解除操作レバー２７自体は、ヒンジ部位２６ｂに固着されることなく遊びを持ってこれに嵌合され、他の部品で挟み込んでロック解除操作レバー２７を固定してもよい。
　レバー部材３１の回動中心は、制御軸２６と同軸でなくてもよい。

　保持ブラケット４１は、ロアプレート２１に設けた段差部に支持してもよい。
　レバー部材３１は、メモリ操作レバーと一体形成されていてもよい。
　前記実施形態では、メモリ機能に係るレバー部材３１の嵌合孔４６に遊び部４６ａを設け、ロック解除操作レバー２７による通常のリクライニング操作（ロック機構２０の解除）に連動して、メモリ操作レバーが作動しないように構成した。これに対し、ロック解除操作レバー２７に連係されるウォークイン機能や車両シートの収納機能等に係る操作レバーを備える場合には、同様にしてロック解除操作レバー２７による通常のリクライニング操作に連動して当該操作レバーが作動しないように構成してもよい。また、当該操作レバーによる所定の操作に連動してロック解除操作レバー２７が作動しないように構成してもよい。いずれの場合であっても、各機能（メモリ機能、ウォークイン機能、収納機能）の設置されたシート又は割愛されたシートの互換性を向上することができる。

　１…車両シート、１１…シートクッションフレーム、１１ｂ…係止片（規制部）、１２…シートバックフレーム、２０…ロック機構、２１…ロアプレート（ベース体）、２２…アッパプレート（回動体）、２２ｃ…段差凹凸部、２６…制御軸、２６ｂ，２６ｃ…ヒンジ部位、２７…ロック解除操作レバー、３０…メモリ機構、３１…レバー部材、３３…アーム部材、３４…カム部材（規制部）、３５…保持部材（係合保持部）、３６…ガイドピン（当接部）、３７…ガイド部、３８…長穴、３８ａ…第１長穴（第１延在部）、３８ｂ…第２長穴（第２延在部）、３８ｃ…押圧部、４０…プレート部材（プレート部）、４０ａ…噛合部（係合部）、４１…保持ブラケット、４２…メモリポール、４２ｂ…第１円弧部（第１面）、４２ｃ…第２円弧部（第２面）、４２ｄ…段部、４６…嵌合孔、４６ａ…遊び部（連動禁止部）。

Claims

　シートクッションフレーム及びシートバックフレームの間に配置され、ロック解除操作レバーの操作に伴う制御軸の回動によって前記シートクッションフレームに対する前記シートバックフレームの傾動を規制するロック状態と前記傾動を許容するアンロック状態とに選択的に切り替えられるロック機構であって、前記シートクッションフレームに固定されるベース体と、前記シートバックフレームに固定されるとともに前記ベース体に対して回動自在に支持される回動体とを有し、前記制御軸及び回動体が同一の回動軸線の周りで回動する前記ロック機構と、
　メモリ操作レバーの操作に伴い、前記ロック機構のロック状態における前記シートクッションフレームに対する前記シートバックフレームの角度位置を記憶するとともに、前記ロック機構をアンロック状態に切り替えて所定の傾斜位置への前記シートバックフレームの傾動を可能とするメモリ機構と
を有する車両用シートリクライニング装置において、
　前記メモリ機構は、
　前記回動体に設けられた、係合部を有するプレート部と、
　前記シートバックフレームと前記回動体との連結面よりもシート幅方向において前記シートクッションフレーム側に配置され、前記制御軸と同一の回動軸線の周りで回動自在な保持ブラケットと、
　前記保持ブラケットに回動自在に連結され、前記プレート部の前記係合部に係合可能であるとともに同係合部に係合することを阻止する阻止力が付与されたメモリポールと、
　前記保持ブラケットが前記シートバックフレームの前記所定傾斜位置への傾動方向とは逆方向へ回動するのを規制して該保持ブラケットを所定の初期位置に復帰させる規制部と、
　前記メモリポールに付与される前記阻止力に抗し又は該阻止力を解消して前記メモリポールを前記プレート部に係合させるとともに、前記制御軸を連動させて前記ロック機構をアンロック状態に切り替えかつ該アンロック状態を維持するよう、前記メモリ操作レバーの操作に伴って回動するレバー部材と、
　前記シートバックフレームを前記所定傾斜位置に至るまで傾動させるために前記保持ブラケットを回動させる場合は前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持するとともに、前記保持ブラケットが前記初期位置へ復帰するのに伴い前記メモリポールと前記プレート部との係合を解除可能な係合保持部と
を備えることを特徴とするシートリクライニング装置。
　前記保持ブラケットは、前記ベース体又は前記回動体に形成された段差部に支持されている、請求項１に記載のシートリクライニング装置。
　前記レバー部材は、前記メモリ操作レバーの操作に伴って回動するとき前記メモリポールに当接し、それによりメモリポールに付与される阻止力に抗し又は該阻止力を解消して前記メモリポールを前記プレート部に係合させ、
　前記メモリポールは、前記制御軸の回動軸線からの径方向距離が小さい第１面と、前記制御軸の回動軸線からの径方向距離が前記第１面よりも大きい第２面と、前記第１面及び前記第２面の間に配置された段部と、を有し、
　前記レバー部材は、前記第１面、前記第２面及び前記段部に当接可能な当接部を有し、該当接部が前記レバー部材の回動に伴い前記段部を介して前記第１面から前記第２面に、或いは前記第２面から前記第１面に移動することで、前記メモリポールが前記プレート部に対して係合する状態と係合しない状態とに切り替わる、請求項１又は２に記載のシートリクライニング装置。
　前記レバー部材は、前記制御軸の回動軸線を中心として周方向に沿って延在する第１延在部と、該第１延在部に連続して前記制御軸に向かって延びる第２延在部とを有し、
　前記メモリ機構は、前記シートクッションフレームに回動可能に連結されたアーム部材を備え、該アーム部材は、前記第１及び第２延在部に挿入されるガイド部を有し、前記アーム部材は、前記ガイド部が前記第１延在部に位置する場合には前記レバー部材の回動を許容するとともに、前記ガイド部が前記第２延在部に進入した場合には前記レバー部材の回動を規制する、請求項１～３のいずれか一項に記載のシートリクライニング装置。
　前記規制部は、前記アーム部材と一体回動するように連結され、かつ前記保持ブラケットの前記初期位置への復帰に伴い該保持ブラケットと係合可能なカム部材を備え、
　前記メモリポールが前記プレート部に係合した後、前記ガイド部を前記第２延在部に移動させつつ前記アーム部材が回動することで、前記保持ブラケットに対する前記カム部材の係合が外れる、請求項４に記載のシートリクライニング装置。
　前記係合保持部は、前記シートクッションフレームに設けられており、
　前記所定傾斜位置への前記保持ブラケットの回動の当初は、前記レバー部材の当接部が前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持し、その後、前記係合保持部が前記メモリポールと前記プレート部との係合を保持する、請求項１～５のいずれか一項に記載のシートリクライニング装置。
　前記レバー部材は、前記ロック解除操作レバーの操作に伴う前記制御軸の回動時に前記レバー部材が前記制御軸と連動するのを禁止する連動禁止部を備える、請求項１～６のいずれか一項に記載のシートリクライニング装置。
　前記制御軸は、一端部に第１ヒンジ部位を有しかつ他端部に第２ヒンジ部位を有し、
　前記第１ヒンジ部位は、前記ロック解除操作レバーに連結され、
　前記第２ヒンジ部位は、前記レバー部材の嵌合孔に嵌合し、
　前記連動禁止部は、前記ロック解除操作レバーの操作に伴う前記制御軸の回動方向に設定された前記嵌合孔の遊び部である、請求項７に記載のシートリクライニング装置。
　前記第２延在部は、前記アーム部材の回動に伴い前記ガイド部に押圧される押圧部を有し、該押圧部は、前記レバー部材に連動する前記制御軸が前記ロック機構をアンロック状態に切り替えるように回動するよう、前記ガイド部に押圧される、請求項４又は５に記載のシートリクライニング装置。