明 細 書
リードフレーム、その製造方法及びそのリードフレームを搭載した半導体 装置
技術分野
[0001] 本発明は、半導体装置に用いられるリードフレームにおいて、インナーリード先端 部に剛性補強部を設けたリードフレーム、該リードフレームの製造方法及び該リード フレームを搭載した半導体装置に関する。
背景技術
[0002] 半導体装置 10は、例えば、図 35に示すように、ダイパッド 11上に半導体素子 20を 搭載し、銀めつき等の表面処理がなされたインナーリード 12先端部と半導体素子 20 の端子 21とをワイヤ 30にて結線し、封止用樹脂 40で封止を行い、この後、アウターリ ード 13をガルウィング状に成形したものである。アウターリード 13は、外部回路と電 気的に接続するためのものである。
[0003] リードフレーム 100は、図 36に示すように、フレーム枠と、このフレーム枠から中心 部に向かって延設されたダイパッドサポートバー 116と、このダイパッドサポートバー 1 16により前記フレーム枠の中心部に固定されたダイパッド 111と、先端側がフレーム 枠からフレーム枠の中心部に向けて(フレーム中心側)延設された複数のインナーリ ード 170を備えている。ダイパッド 111が中心部に位置し、ダイパッド 111は四本のダ ィパッドサポートバー 116により支持されている。ダイパッド 111の上下左右の四方向 に、多数のインナーリード 170が設けられ、その先は外部回路と接続するためのァゥ ターリード 113に接続されている。インナーリード 170の先端部に近い箇所に、インナ 一リード 170を固定するためのテープ 120が貼りつけられている。インナーリードのテ ープ 120が貼りつけられた先の部分と、ダイパッドに搭載される半導体素子の端子と 力 Sワイヤボンディングされ、互いに接続される。図 36のリードフレームは、構成単位で 示している。実際は、この構成単位が複数連結されて使用される。また、インナーリー ド 170は、当初は先端連結部で互いに接続された状態にある力 先端連結部(図示 していない)が切断分離されて、図 36に示すようなリードフレームになる。
[0004] 図 37に、インナーリードの一部分 130を拡大して示した。インナーリード 170の最先 端部 160は、銀メツキ力 S施され、半導体素子の端子とワイヤで接続される部分、即ち 、ワイヤボンディングが施される部分である。インナーリードの先端部のフレーム枠側 、即ち、図 37において中間部 140のフレーム枠側にテープ 120が貼りつけられてい る。これは、インナーリード 170の最先端部 160が、ワイヤボンディングを行う際やワイ ャボンディング終了後に後工程にリードフレームを移送する際に、振動しやすいので 、これを防止するためインナーリードを固定するものである。ワイヤボンディングを行う 際には、中間部 140からテープ 120を跨ぐようにしてワイヤボンディングクランパー 14 5を載置するため、テープはインナーリード最先端部 160から相当距離 (インナーリー ド最先端縁から 2〜3mmの場合が一般的)を置!/、た位置に配設される。
[0005] リードフレーム 100は、ニッケル一鉄合金等の電気伝導率が高く,且つ機械的強度 が大きい金属材から構成されている。半導体素子の信号処理の高速化、高機能化 に対応するため、半導体素子に数多くの端子を設けるようになってきている。これに 対処するため、インナーリード、アウターリードの本数を増加し、インナーリード間のピ ツチ間隔を狭める手段がとられるようになってきている。インナーリードのピッチを狭め るため、インナーリードの幅を細くし、更には、インナーリード素材の板厚を薄くするこ とも fiわれている。
[0006] 半導体装置の多端子化は、必然的にインナーリード及びアウターリードの数を増加 させ、これに伴いインナーリード間の間隔(ピッチ)が狭くなり、インナーリードの幅が 細くなつてきている。インナーリード間の間隔が狭くなり、インナーリードの幅が細くな ることにより、インナーリード先端部の機械的強度が低下するという問題が惹起してい る。この問題に対して、従来、インナーリードの先端部のフレーム枠側にテープを貼り つけてインナーリードを固定し、機械的強度を補強することが行われてきた力 この方 法では対処できなくなつてきて!/、る。
[0007] また、半導体素子の高密度化に伴い、発熱量が相対的に高まり、パッケージの低 熱抵抗化や低インピーダンス化が必要となり、リードフレームの材質がニッケル一鉄 合金等から銅に移行する傾向となっている。一方、銅製のリードフレームは、ワイヤボ ンデイング工程における熱のため、その表面が酸化を受けて封止樹脂との密着性が
低下する傾向がある。これを避けるため、ワイヤボンディング温度を低めに設定し、同 時に、超音波振動を与えてワイヤボンディング面におけるインナーリードとワイヤとの 接続を強化するようにしている。このように、リードフレームのワイヤボンディングにお ける、超音波振動による接続の依存性が高まっている。
[0008] 図 38はリードフレームの一部 110を示したもので、インナーリードの先端部が部分 的に示されている。インナーリード 170の最先端部 160は銀メツキなどが施され、良好 なワイヤボンディング性を維持している。そして、インナーリードの先端部のフレーム 枠側にインナーリードを固定するための例えば、ポリイミドのテープ 120が貼りつけら れている。ワイヤボンディングの際、ワイヤ(細線)を超音波でインナーリードの先端部 に接続するが、この際に振動が生じ、インナーリードにもこの振動が伝わる。この振動 はインナーリードの配列方向に応じてその度合いが異なったものとなる。この振動の 度合いに対応してワイヤボンディングを安定して行うため、ワイヤボンディング条件、 例えば、超音波出力をインナーリード毎に設定調整する必要がある力 これはワイヤ ボンディング工程を煩雑なものとして!/、る。
[0009] 更に、インナーリードの最先端部をテープで固定すると、インナーリードの最先端に ワイヤボンディングを施すことができないので、インナーリードのテープで固定した位 置の更にフレーム枠側の位置でワイヤボンディングを施すことになり、必然的にワイヤ の長さが長くなり、ワイヤスイープが起こりやすぐかつ、コスト高になるという問題があ
[0010] インナーリードの本数が増加すると、ワイヤボンディングに要するワイヤの本数が多 くなるため、ワイヤスイープによるワイヤーと隣接するリードとの短絡の問題が生じや すくなる。半導体装置は、樹脂封止を行う際、樹脂はリードフレームの一角力、ら注入 され、次第に全体に拡がっていく。この際に、樹脂の流れにワイヤが押し流されるワイ ャスイープの問題が起きやすくなる。インナーリード間の間隔が狭ぐしかも、ワイヤの 本数が多い場合には、樹脂に押し流されたワイヤが隣接するリードの接触による短絡 の原因となる。
[0011] インナーリードを固定するためにテープを使用する場合、このテープはリードフレー ムの形状に合わせて打ち抜きにより製造している。この結果、テープ材料が打ち抜か
れた後の残りの材料からは、新たなテープとして必要な寸法がとれないために、打ち 抜いた残りはスクラップとなる。これは、リードフレームのコスト高の原因となっている。 いずれにしても、リードフレームの剛性が低いこと力 ワイヤボンディングの安定化、 均一化等に大きく影響している。
[0012] インナーリードの先端部をテープで固定する方法に代わって、樹脂で固定する方 法がある。例えば、特開平 4 170058 (特許文献 1)には、リードフレームの上面以 外を絶縁体中に埋め込むことが記載され、特開平 2— 69966 (特許文献 2)には、先 端部のリードフレームの間隔に紫外線硬化樹脂を埋め込むことが記載され、特開平 5 —315533 (特許文献 3)には、スクリーン印刷によりリードフレーム間にリードフレー ムと同じ厚さの絶縁性樹脂を配置することが記載され、特開平 5— 267553 (特許文 献 4)には、リードフレームの先端部のリード間にヤング率を規定した樹脂を埋めるこ とが記載され、特開平 8— 139266 (特許文献 5)には、インナーリードのワイヤボンデ イング面の裏面を樹脂に埋め込むことが記載され、特開平 10— 116957 (特許文献 6)には、薄肉化されたインナーリードの先端に樹脂を充填することが記載され、また 、特開平 7— 99281号公報 (特許文献 7)には紫外線硬化樹脂をリード間に充填する ことが記載されている。インナーリード間又はインナーリードとダイパッドサポートバー との間隙に樹脂を塗布するものではないが、インナーリード先端部の裏面及び半導 体チップ搭載領域に接着剤を塗布して、リードと半導体チップとの接着性を高めるこ とが、特開平 10— 70230 (特許文献 8)に記載されている。
[0013] 特許文献 1:特開平 4 170058号公報
特許文献 2:特開平 2— 69966号公報
特許文献 3:特開平 5— 315533号公報
特許文献 4 :特開平 5— 267553号公報
特許文献 5:特開平 8— 139266号公報
特許文献 6:特開平 10— 116957号公報
特許文献 7:特開平 7— 99281号公報
特許文献 8:特開平 10— 70230号公報
[0014] 樹脂をインナーリード間の間隙やインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の
間隙に配置する方法としては、スクリーン印刷により塗布する方法 (特許文献 3)、圧 入ないし埋め込みによる方法(特許文献 1、 2、 4、 5、 6)、ジェット噴射による方法(特 許文献 7)等が知られている。圧入ないし埋め込みによる方法は、樹脂の圧入ないし 埋め込みのための大力 Sかりな装置を必要とし、樹脂配置位置の位置決めが困難、圧 入乃至埋め込む樹脂量の管理が困難という問題があるほか、埋め込む樹脂の面の 平滑性が均一でなぐワイヤボンディングを行う際、リードフレームの加熱が不十分に なる等の問題がある。スクリーン印刷により樹脂を塗布する方法は、スクリーンの目詰 まりや洗滌等の管理に手間が掛かり、スクリーンの目から樹脂液がにじみ出て不必要 な部分まで樹脂が塗布される等の問題がある。ジェット噴射による方法は、 1回ジエツ トを噴射するに要する時間自体は短いが、多数のインナーリード間の間隙に樹脂を ジェット噴射するには、相当の時間を要し生産性が却って低いという問題がある。特 許文献 8に記載されている樹脂をデイスペンシングにより塗布する方法は、樹脂液の 粘度及びインナーリード間の間隔等の影響を受けるという問題がある。
[0015] 樹脂をインナーリード間の間隙に配置する方法としては、デイスペンシングによる方 法がシンプルで使いやすい方法である力 先に述べた特許文献 8の方法は、インナ 一リードの裏面及び半導体チップ搭載領域周辺に接着剤をデイスペンシングにより 塗布し、半導体チップとリードフレームとの接着性を高めるものであり、本願発明の目 的、課題等とは異なるものである。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0016] 本発明は、このような状況の下でなされたもので、半導体装置の端子の増加に基づ くインナーリードのピン数の増カロ、幅の細化、インナーリード間の狭ピッチ化に対応し て、インナーリードの機械的強度を保持するため、ワイヤボンディング時にインナーリ ードが振動しないように、また、ワイヤボンディング後リードフレームを後工程に移送 する際に振動して短絡の原因にならないように、インナーリード先端部の剛性を高め 、また、ワイヤスイープによるワイヤと隣接するリードとの接触による短絡を防止し、ヮ ィャボンディング時のボンディング条件を一々設定調整する必要のない、剛性の高 いインナーリードを備えたリードフレームを提供しょうとするものであり、また、上記問
題点のない又は少ないリードフレームの製造方法を提供しょうとするものである。更に は、このリードフレームを搭載する半導体装置を提供しょうとするものである。
課題を解決するための手段
[0017] 本発明の要旨は、インナーリードの数が多いリードフレームにおいて、インナーリー ドの先端部に剛性補強部を設け、インナーリードの剛性を高めることにある。この剛性 補強部は、樹脂でインナーリードを固定するものである。本発明は、この剛性を高め たリードフレーム、該リードフレームを製造する方法及び該リードフレームを搭載した 半導体装置を提供する。
[0018] 本発明の要旨を、以下に箇条書きで示す。
[1]フレーム枠と、このフレーム枠から中心部に向かって延設されたダイパッドサポー トバーと、このダイパッドサポートバーにより前記フレーム枠の中心部に固定されたダ ィパッドと、先端側がフレーム枠からフレーム枠の中心部に向けて(フレーム中心側) 延設された複数のインナーリードを備え、少なくとも前記インナーリードの先端部に剛 性補強部が設けられているリードフレームにおいて、前記剛性補強部は、樹脂で固 定されたものであり、隣接する前記インナーリード間の間隔が 170 m以下の部位に あって、かつそのフレーム中心側の先端縁がインナーリードの最先端縁から 1. 2mm 以下の位置に配置され、前記インナーリードのワイヤボンディング面の裏面側に塗布 された樹脂液を、少なくとも隣接するインナーリード間の間隙に固着させたものである ことを特徴とするリードフレーム。
[2]前記剛性補強部のフレーム中心側の先端縁が、インナーリードの最先端縁より 0 . 1mm以上 1. 2mm以下の位置にあることを特徴とする [1]に記載のリードフレーム
[3]剛性補強部位におけるインナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサボ ートバーとの間の間隔が同じであることを特徴とする [1]又は [2]に記載のリードフレ ーム。
[4]剛性補強部において、前記ダイパッドサポートバーにスリット状の開口部を設け たことを特徴とする [1]又は [2]に記載のリードフレーム。
[5]剛性補強部位におけるインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のィ
ンナーリード間の間隔に対する比が L 14を超えて、かつ、インナーリードとダイパッ ドサポートバーとの間に位置する剛性補強部のフレーム中心側の先端縁の位置が、 インナーリード間に位置する剛性補強部のフレーム枠側の先端縁の位置よりも 0. 5 mm以上フレーム枠側の位置にあることを特徴とする [1]又は [2]に記載のリードフレ ーム。
[6]剛性補強部位におけるインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のィ ンナーリード間の間隔に対する比が 1. 14を超えて、インナーリードとダイパッドサポ ートバーとの間の間隔が 170 mを超え、かつ、インナーリード間にのみ剛性補強部 が設けられたことを特徴とする [1]又は [2]に記載のリードフレーム。
[7]前記剛性補強部において固定される樹脂が、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤と からなる一液型熱硬化性樹脂であることを特徴とする [1]から [6]のいずれかに記載 のリードフレーム。
[8] [1 ]から [7]のいずれかに記載のインナーリード先端部が固定されたリードフレー ムを搭載した半導体装置。
[9]フレーム枠と、このフレーム枠から中心部に向かって延設されたダイパッドサポー トバーと、このダイパッドサポートバーにより前記フレーム枠の中心部に固定されたダ ィパッドと、先端側がフレーム枠からフレーム枠の中心部に向けて(フレーム中心側) 延設された複数のインナーリードを備え、少なくとも前記インナーリードの先端部に剛 性補強部が設けられているリードフレームにおいて、隣接する前記インナーリード間 の間隔が 170 m以下の部位に、少なくとも塗布時の粘度が 9. 4Pa ' s以上 54Pa ' s 以下である樹脂液を、又は、隣接する前記インナーリード間の間隔が 160 πι以下 の部位に、少なくとも塗布時の粘度が 4Pa ' s以上 54Pa ' s以下である樹脂液を、スク リュー式デイスペンシング法によりワイヤボンディング面の裏面に塗布し、表面張力を 利用して塗布した樹脂液を前記インナーリード間の間隙又は前記インナーリード間の 間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に流動せしめ、その 後加熱により樹脂を固着させてインナーリードの先端部に剛性補強部を形成し、前 記剛性補強部のフレーム中心側先端縁の位置がインナーリードの最先端縁から 1. 2 mm以下の位置になるように、前記インナーリードの先端連結部を切断分離すること
を特徴とするリードフレームの製造方法。
[10]前記インナーリードの先端連結部を切断分離する位置を、前記インナーリード の最先端縁から 0. 1mm以上 1. 2mm以下の位置にすることを特徴とする [9]に記 載のリードフレームの製造方法。
[11 ]剛性補強部位におけるインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔及 びインナーリード間の間隔を同じにしたことを特徴とする [9]又は [10]に記載のリー ドフレームの製造方法。
[12]剛性補強部において、前記ダイパッドサポートバーにスリット状の開口部を設 けることを特徴とする [9]又は [10]に記載のリードフレームの製造方法。
[13]剛性補強部位におけるインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の インナーリード間の間隔に対する比が 1 · 14を超えて、かつ、インナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間に位置する剛性補強部のフレーム中心側の先端縁の位置が 、インナーリード間に位置する剛性補強部のフレーム枠側の先端縁の位置よりも 0. 5 mm以上フレーム枠側の位置であることを特徴とする [9]又は [10]に記載のリードフ レームの製造方法。
[14]剛性補強部位におけるインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 mを越えるものとし、樹脂液をインナーリード間の間隙にのみ塗布することを特 徴とする [9]又は [10]に記載のリードフレームの製造方法。
[15]前記前記剛性補強部において固定される樹脂として、エポキシ樹脂及び潜在 性硬化剤とからなる一液型熱硬化性樹脂を使用することを特徴とする [9]から [14] のいずれかに記載のリードフレームの製造方法。
[本発明における言葉の定義]
ここで、本件発明における言葉の意味を明らかにしておく。まず、インナーリード間 の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔というのは、剛性補 強部におけるインナーリード間の間隙に配置された樹脂の中間点におけるインナーリ ード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔を意味する。 インナーリード間の間隔及びインナ一リードとダイパッドサポートバーとの間の間隔は 、インナーリードの先端部からアウターリード方向に行くに従い、大きくなる。従って、
どこの場所における間隔かを明らかにしておく必要がある。この観点から、間隔の基 準を上記のように定めた。また、間隔はワイヤボンディングを施す面における間隔を 意味する。リードフレームは、エッチング、金型を用いるプレス等でパターンを形成し ている。特に、エッチングでパターンを形成した場合には、インナーリードの断面形状 は台形状となる。このような場合、リードフレームの表と裏とでは、間隔が異なってくる ので、ワイヤボンディングを施す面における間隔としたものである。同様に、インナー リードの幅もワイヤボンディングを施す面における幅を意味する。
[0020] 剛性補強部は、樹脂で固定されたものであり、インナーリードのワイヤボンディング 面の裏面側に塗布された樹脂液を、隣接するインナーリード間の間隙に固着させた ものである。剛性補強部は、少なくとも、各インナーリード間の間隙には設けられてい る。更に、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙にも設けることができ る。インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 mを超える場合に は、実質的に樹脂をインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に塗布によ り固着させることはできないので、剛性補強部が設けられない。また、剛性補強部位 というのは、リードフレームでインナーリード及びダイパッドサポートバーを含む剛性 補強部が設けられている部位をいう。インナーリードとダイパッドサポートバーとの間 の間隙に関しては、剛性補強部が設けられていない場合(図 2 (B)、図 5)、インナー リ一ド間の間隙に設けられた剛性補強部と同様の位置に設けられて!/、る場合(図 2 ( A)、図 4)、インナーリード間の間隙に設けられた剛性補強部の位置よりもフレーム枠 側に設けられた場合(図 2 (C)、図 3)とがあるが、いずれの場合も、インナーリード及 びダイパッドサポートバーを含む、少なくともインナーリード間の間隙に、剛性補強部 が設けられて!/、るリードフレームの部位を!/、う。
[0021] 次に、フレーム中心側における位置というのは、ダイパッドが配置されるリードフレー ムの中心方向のことであり、フレーム枠側というのは、フレーム枠方向のことであり、ダ ィパッドが配置される中心側とは反対の外側を意味する。剛性補強部のフレーム中 心側又はフレーム枠側の先端縁というのは、 剛性補強部における樹脂のフレーム中 心側又はフレーム枠側の先端縁である。寸法を問題にする場合は、インナーリード間 の間隙、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置された剛性補
強部における樹脂にメニスカスのあるときには、このメニスカスの底の位置を寸法測 定の基準とする(図 9、 16、 27、 29等)。
[0022] [発明に至った経緯]
以下に、本発明が完成されるに至った経緯を説明する。本発明の基本は、フレーム 枠と、このフレーム枠から中心部に向かって延設されたダイパッドサポートバーと、こ のダイパッドサポートバーにより前記フレーム枠の中心部に固定されたダイパッドと、 先端側がフレーム枠からフレーム枠の中心部に向けて延設された複数のインナーリ ードを備え、前記インナーリードの先端部に剛性補強部が設けられているリードフレ ームにおいて、前記剛性補強部は、樹脂で固定されたものであり、隣接する前記イン ナーリード間の間隔が 170 m以下の部位にあって、かつそのフレーム中心側の先 端縁力インナーリードの最先端縁から 1. 2mm以下の位置に配置され、前記インナ 一リードのワイヤボンディング面の裏面側に塗布された樹脂液を、前記隣接するイン ナーリード間の間隙に固着させたものであることを特徴とするリードフレームである。 先に述べたように、従来から、インナーリードの先端部に樹脂を配置してインナーリー ドの固定化を図ることは特許文献には記載されているものの、現実の生産現場にお いては、インナーリードの先端部を樹脂で固定化する技術は、実施されていないのが 実情である。本発明は、インナーリードの先端部を樹脂で固定化する技術を、現実の 生産現場において実用化する道を拓くものである。従来のリードフレームは、インナ 一リード間の間隔やインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔がメーカー により異なり、これが一因となって該技術の実用化を妨げてきたということができる。
[0023] リードフレームに樹脂を配置する方法は、先にも述べたように、スクリーン印刷による 方法、圧入ないし埋め込みによる方法、ジェット噴射による方法、デイスペンシングに よる方法等が知られている力 この中で、デイスペンシングによる方法力 簡便で生産 性が高いという特徴を有する。このディスペンシング方法によりインナーリードの先端 部に樹脂を配置しょうとするとき、先に述べたように、インナーリード間の間隔やイン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔がメーカーにより異なるため、樹脂 を確実に配置することができないという問題があった。即ち、あるインナーリード間の 間隙には樹脂は配置される力 S、他のインナーリード間の間隙やインナーリードとダイ
ノ /ドサポートバーとの間の間隙では樹脂が滞留せずに、インナーリード全面に均一 に樹脂を配置することが出来なかったのである。このような現象に基づき、 本発明者 等は、デイスペンシングによりインナーリードの先端部に樹脂を塗布し、固着させるこ とにより、インナーリード先端部に剛性補強部を設けるリードフレームを鋭意研究し、 デイスペンシングによる樹脂の塗布にお!/、ては、樹脂液 (樹脂自身が液状のもの及 び溶液状のものを含む)の粘度のみならず、インナーリード間の間隔の大きさが重要 な要因であると考え、これらの因果関係を研究し本発明を完成させたものである。
[0024] 後で詳述するように、デイスペンシング方法により、インナーリードの先端部に樹脂 液を塗布すると、図 1に示したように、インナーリード表面上に塗布した樹脂液は、表 面張力によりインナーリード間の間隙に展延される。インナーリード間の間隙に展延 された樹脂液を、例えば、熱硬化させることにより、インナーリードの先端部を樹脂固 定したリードフレームを得ることができる。ところ力 インナーリードの間隔を変えて樹 脂液を塗布した場合、インナーリード間の間隔が大きくなると、インナーリード間の間 隙に塗布された樹脂液は、両隣のインナーリード上に分離し、インナーリード間の間 隙に樹脂を配置することができなくなる。図 31に示したように、間隔が 160 111以下 のインナーリードに、塗布時の粘度が 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布することにより、イン ナーリード先端部に樹脂を配置することができる。また、間隔が 170 ^ 111以下のイン ナーリードに、塗布時の粘度が 9. 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布することにより、インナ 一リード先端部に樹脂を配置することができる。
[0025] 通常のリードフレームでは、インナーリード間の間隔とダイパッドサポートバーの間 の間隔は異なり、後者が前者よりも大きくなつている。このことを念頭に置き、インナー リードとダイパッドサポートバーとの間の間隔がインナーリードの間隔と異なるリードフ レームを用意し、樹脂液の塗布を行ったところ、表 1、表 2に示したように、リード間の 間隔の比(インナーリードとダイパッドサポートバーの間の間隔のインナーリード間の 間隔に対する比)が 1. 14以下では、いわゆる一筆書きの要領でリードフレームの周 囲を樹脂液で塗布する場合、樹脂をインナーリード間全体に均一に配置することが できる力 リード間の間隔比が 1 · 14を超えると、樹脂をインナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隙には配置することができないのである。また、樹脂液の粘度
が少なくとも 4Pa ' s以上では、樹脂液の粘度に関係なぐリード間の間隔の比が 1. 1 4以下で、樹脂液をインナーリード間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポート バーとの間の間隙に配置することができるのである。即ち、リード間の間隔 (インナー リ一ド間の間隔、インナーリードとダイパッドサポートバー間の間隔を含む)が 170〃 m以下で、樹脂液の粘度 9. 4Pa ' s以上、又は、リード間隔 160 m以下で、樹脂液 粘度 4Pa ' s以上、かつ、リード間の間隔の比が 1. 14以下で、樹脂液をインナーリー ド間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置すること ができ、しかも、この場合は、一筆書きの要領で、一気にインナーリード間の間隙とィ ンナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙を含め、樹脂液を塗布することが できるのである。
[0026] インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間の間隔に 対する比が 1. 14を超える場合は、リード間の間隙に一筆書きの要領で塗布された 樹脂液は、隣のインナーリードとダイパッドサポートバーの上に分離、移動して、少な くともインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には、事実上樹脂液を配 置することができなくなる。インナーリード間の間隔は、一般的には同じであるが、場 合によっては、異なること力 Sある。インナーリード間の間隔比が 1. 14以上異なる場合 には、間隔の大きいインナーリード間の間隙には、いわゆる一筆書きの要領による樹 脂液の塗布では、樹脂を配置することはできなレ、。
[0027] 以上総括すると、樹脂液をデイスペンシング法により塗布し、その後熱固定すること によって、インナーリードの先端部に樹脂を固着させ剛性補強部を設ける際、塗布時 の樹脂液の粘度が少なくとも 4Pa ' s以上であれば、樹脂液の粘度の係わらず、リード 間の間隔が 160 111以下で、また、塗布時の樹脂液の粘度が少なくとも 9. 4Pa ' s以 上であれば、樹脂液の粘度の係わらず、リード間の間隔が 170 111以下でインナーリ ードの先端部に、いわゆる一筆書きの要領で樹脂液を塗布し、樹脂を配置し固定す ることにより剛性補強部を設けることができる。そして、インナーリードとダイパッドサボ ートバーの間の間隔のインナーリード間の間隔に対する比が 1. 14以下では、インナ 一リード間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に、一筆 書きの要領で生産性高ぐ樹脂を塗布することができ、インナーリード先端部の全面
を樹脂で固定することができる。インナーリードとダイパッドサポートバーの間の間隔 のインナーリード間の間隔に対する比が 1. 14を超えると、いわゆる一筆書きの要領 の樹脂液塗布では、インナーリード間の間隙に樹脂を配置することはできても、イン ナーリードとダイパッドサポートバーの間の間隙には樹脂を配置することができないの である。これらの事実は、本発明者等が初めて見出したもので、これらの新たに見出 した事実に基づき本発明を完成させたのである。本発明は、半導体の基本部品であ るリードフレームに新たな技術の扉を拓くものであり、半導体業界に与える効果は大 きいものがある。
[本発明のリードフレームの説明]
次に、本発明の基本的な構成を説明する。本発明の基本は、フレーム枠と、このフ レーム枠から中心部に向かって延設されたダイパッドサポートバーと、このダイパッド サポートバーにより前記フレーム枠の中心部に固定されたダイパッドと、先端側がフ レーム枠からフレーム枠の中心部に向けて(フレーム中心側)延設された複数のイン ナーリードを備え、インナーリードの先端部に剛性補強部が設けられているリードフレ ームにおいて、剛性補強部は、樹脂で固定されたものであり、隣接する前記インナー リード間の間隔が 170 m以下の部位にあって、かつその剛性補強部における樹脂 のフレーム中心側の先端縁力 Sインナーリードの最先端縁から 1. 2mm以下の位置に 配置され、前記インナーリードのワイヤボンディング面の裏面側に塗布された樹脂液 を、隣接するインナーリード間の間隙に固着させることにある。また、剛性補強部にお ける樹脂のフレーム中心側の先端縁をインナーリードの最先端縁から 0. 1mm以上 1 . 2mm以下の位置にすることもできる。先に述べたとおり、塗布時の樹脂液の粘度が 少なくとも 9. 4Pa ' s以上であれば、樹脂液の粘度の係わらず、インナーリード間の間 隙又はインナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隔が 170 111以下で、また、塗布時の樹脂液の粘度が少なくとも 4Pa ' s以上であ れば、樹脂液の粘度の係わらず、インナーリード間の間隙又はインナーリード間の間 隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 160 m以下で、イン ナーリードの先端部に樹脂を配置し固定することにより剛性補強部を設けることがで きる。樹脂の配置は、後で説明するように、図 2 (A)に示したように、インナーリード間
の間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙全てに樹脂が配置 されたもの、図 2 (B)に示しように、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間 隙には樹脂が配置されていないもの、図 2 (C)に示すように、インナーリード間の間隙 及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置された樹脂の位置 力 Sインナーリード間の間隙に配置された樹脂の位置とずれているものがある。これら いずれの場合においても、インナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隔というのは、インナーリード間の間隙に配置された樹脂の中 間点におけるワイヤボンディング面でのインナーリード間の間隔及びインナーリードと ダイパッドサポートバーとの間の間隔で、図 2において Tで示したワイヤボンディング 面の位置における、インナーリード間の間隔、インナーリード間の間隔及びインナーリ 一ドとダイパッドサポートバーとの間の間隔を意味する。
[0029] インナーリード間の間隙、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配 置した樹月旨 (ま、およそ 50〜 200〃 mの長さ、好ましく (ま 200〜900〃 mの長さを有 する。ここで、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁 の位置力 Sインナーリードの最先端から 1. 2mm以下の位置であるというのは、該樹脂 のフレーム中心側(ダイパッドの方向)の先端縁の位置がインナーリードの最先端縁 力も 1. 2mm以下の位置にあることを意味する。実際には、樹脂はインナーリードの フレーム中心側の先端縁から Omm〜; 1. 2mmの位置から樹脂の長さ分であるおよそ 50〜1200 111の長さに亘つて配置されている。
[0030] リード間(インナーリード間、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間を含む) に樹脂液を塗布し、その後加熱して樹脂を硬化させた後には、樹脂の長さは、おお むね、塗布時の長さの約 1. 6倍程度に長くなる。通常、塗布時には樹脂液を 300 m程度の長さに塗布する。そして、これが熱硬化後には 500 m程度の長さになる。 熱硬化後の樹脂の長さが 500 m程度あればフレームの剛性は高くなり、実用上問 題ないものになる。即ち、インナーリードの機械的強度を保持し、ワイヤボンディング 時にインナーリードの振動が少なぐまた、ワイヤボンディング後リードフレームを後ェ 程に移送する際に振動して短絡することのないリードフレームとなる。
[0031] インナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔
は、インナーリードの先端部からアウターリード方向に行くに従い、大きくなる。また、 リードフレームは図 38に示したように、インナーリード間の間隙は各インナーリード間 でほぼ同じ大きさであるが、ダイパッドサポートバーとインナーリードとの間の間隙の 大きさは、インナーリード間の間隙の大きさよりも大きくなつている。同時に、ダイパッド サポートバーの幅もインナーリードの幅よりも大きくなつている。これは、半導体装置 組み立て工程において、ダイパッドや隣接するインナーリード等が振れて互いに短絡 するのを防止するためである。従って、一般的には、リードフレームに樹脂を塗布した 場合、樹脂はインナーリード間の間隙には滞留する力 インナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隙には留まりにくいという現象が認められる。これに対して、ィ ンナーリード間の間隔及びインナ一リードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 1 70 111以下で、粘度 9. 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、又は、インナーリード 間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が Ι δΟ ^ ιη以下 で、粘度 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、インナーリード間の間隔とインナーリ ードとダイパッドサポートバーとの間の間隔を同じになるようにしておけば、樹脂をイン ナーリード間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に容 易に樹脂を配置することができる(図 4を参照)。樹脂のフレーム中心側の先端縁の 位置が、図 4においては、インナーリードの最先端から離間した位置にある力 この位 置を、図 32に示したように、インナーリードの最先端の位置にすることができることは いうまでもない。
インナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔 が 170 111以下で、粘度 9. 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、又は、インナーリ ード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 160 ,1 m 以下で、粘度 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、インナーリード間の間隔に対す るインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14を超える場合に は、樹脂液をリードフレームにいわゆる一筆書きの要領で塗布すると、インナーリード 間の間隙には樹脂は滞留するが、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙には樹脂液が滞留しに《なる。従って、このような場合には、インナーリードとダ ィパッドサポートバーとの間に配置する樹脂の位置を、インナーリード間の間隙に配
置した樹脂のフレーム枠側の先端縁の位置よりもフレーム枠側にずらすことにより、 樹脂液を安定してインナーリードとダイパッドサポートバーとの間に配置することがで きる(図 3を参照のこと)。そして、このフレーム枠側にずらす位置は、具体的には、 0. 5mm以上とることが好ましい。図 3において、インナーリード間の間隙に配置された 樹脂 252のフレーム枠側の先端縁の位置から、 Gの距離を離れた位置、即ち、少なく とも 0. 5mm離れた位置にインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配 置された樹脂のフレーム中心側の先端縁の位置がくるようにする。即ち、インナーリ ードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置する樹脂のフレーム中心側の位置 を、インナーリード間の間隙に配置する樹脂のフレーム枠側の位置よりフレーム枠側 にずらすのである。樹脂のフレーム中心側の先端縁が、図 3においては、インナーリ ードの最先端から離間した位置にあるが、樹脂のフレーム中心側の先端縁の位置を 、図 34に示したように、インナーリードの最先端の位置にすることができることはいうま でもない。フレーム枠側というのは、先にも述べたように、ダイパッドが配置される方向 と反対側の方向、即ち、アウターリードの方向を意味する。
[0033] インナーリードの幅を狭くし、同時にインナーリード間の間隔を狭くすると、それに対 応して、一般的には、ダイパッドサポートバーの幅も狭くすることになる。しかしながら 、ダイパッドサポートバーの幅を狭くすると、ダイパッドサポートバーのダイパッドをサ ポートする力が弱まるという問題がある。このダイパッドをサポートする力を確保するた めには、インナーリードの幅を狭くしても、ダイパッドサポートバーの幅は広くすること が考えられる。ダイパッドサポートバーの幅は、一般的には、インナーリードの幅の 2 〜5倍程度のものとされているので、インナーリードの幅を狭くすればするほど、ダイ ノ /ドサポートバーの幅は、インナーリードの幅に比して相対的に広くする必要がある 。しかしながら、ダイパッドサポートバーの幅を広くすると、塗布した樹脂がインナーリ ードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に移動せずにダイパッドサポートバー上に 留まるという問題がある。
[0034] ダイパッドサポートバーの幅を広くした場合、ダイパッドサポートバーの剛性補強部 に相当する部位にスリット状の開口部を設ける。スリット状の開口部は、少なくとも 1個 設けること力 Sできる。ダイパッドサポートバーの幅やインナーリード間の間隔等に応じ
て、複数個のスリット状開口部を設けることができることはいうまでのない。この際、スリ ット状の開口部の幅は、インナーリード間の間隔と同じ寸法にするのがよい。また、ィ ンナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔は、インナーリード間の間隔に対 して、;!〜 1. 14の割合の寸法にするのがよい。このように、ダイパッドサポートバーの 幅が広い場合、ダイパッドサポートバーにスリット状の開口部を設けることにより、塗布 した樹脂は、インナーリードとダイパッドサポートバー間の間隙及びスリット状の開口 部に移動することが可能となり、いわゆる一筆書きの要領で樹脂を塗布し、リードフレ ームに剛性補強部を形成することが可能となる。
[0035] 尚、スリット状開口部の幅の寸法については、 [本発明における言葉の定義]の項で 述べたと同様に、ダイパッドサポートバーの剛性補強部に配置された樹脂の中間点 におけるワイヤボンディング面での幅を意味する。
[0036] 次に、インナーリード間の間隔に対するインナーリードとダイパッドサポートバーとの 間の間隔の比が 1. 14を越えて、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間 隔が 170 mを超えるような場合は、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙には樹脂を配置せずに、インナーリード間の間隙にのみ樹脂を配置してもよい( 図 5を参照)。尚、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 m以 下の場合やインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間 の間隔に対する比が 1. 14以下の場合においても、インナーリードとダイパッドサポー トバーとの間の間隙には樹脂を配置せずに、インナーリード間の間隙にのみ樹脂を 配置することができることはいうまでもない。インナーリード間の樹脂のフレーム中心 側の先端縁の位置が、図 5においては、インナーリードの最先端から離間した位置に ある力 これを、図 33に示したように、インナーリードの最先端の位置にすることがで きることはいうまでもない。
[0037] 本発明に使用する樹脂は、熱硬化性樹脂、 UV硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を 使用すること力できる力 熱硬化性樹脂を使用するのが好ましい。硬化性樹脂の具 体的なものとしては、アクリル系熱硬化性樹脂、ポリイミド系熱硬化性樹脂、ポリアミド イミド系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等があるが、エポキシ系熱硬化性 樹脂が好適に使用することができる。そして、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤とから
なる一液型熱硬化性樹脂を好適に使用することができる。これは、温度が高くなると 硬化剤が顕在化し、エポキシ樹脂と反応し硬化するタイプのものである。このタイプの エポキシ樹脂は、常温では樹脂の硬化は顕著には進行せず長期保存が可能である 上に、使用直前になって、エポキシ樹脂と硬化剤を混合する手間も不要で、取り扱い が容易であるという特徴がある。潜在性硬化剤というのは、使用時までは硬化剤とし ての活性が抑制されており、使用時に、外的な刺激、熱、紫外線、放射線等を与えた ときに、その硬化剤としての活性が発揮するタイプのものである。
[0038] エポキシ系樹脂の硬化剤は、ノポラック樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ァミン 系硬化剤、アミンァダクト系硬化剤等の硬化剤が使用される。潜在性硬化剤は、これ ら硬化剤のコアの表面力 合成樹脂等からなるシェルによって被覆された構造の硬 化剤である。シェルとなる合成樹脂としては、アルコール類とイソシァネート類との反 応生成物であるウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フエノール系樹脂が好適に使用 できる。シェルは、固体状の硬化剤を粉砕して粒子状とし、この粒子の表面上に反応 により生成したシェル成分を析出させる、粒子表面を反応の場としてそこにシェルを 形成させる等の方法で得ることができる。潜在性硬化剤の表面には薄い膜状のもの が形成されており、潜在性硬化剤は、一種のマイクロカプセルで保護された形となつ ている。
[0039] 本発明のインナーリードの先端部を樹脂で固定したリードフレームは、半導体装置 に使用することができる。本発明のリードフレームは、半導体装置の多端子化に対応 するもので、高機能、高性能の半導体装置を、低コストで生産性高ぐ実現するもの である。
[0040] [本発明のリードフレームの製造方法の説明]
次に、リードフレームの製造方法について説明する。インナーリードの先端部を先 端連結部で連結したまま、インナーリードの先端部を樹脂で固定し、その後メツキ加 ェを施し、メツキ加工を終えて力 インナーリードの先端連結部を切断分離してリード フレームを製造する方法を主体に説明する。ただし、先にメツキ加工した後で樹脂固 定することにより、本発明のリードフレームが製造できることは言うまでもない。
[0041] 本発明のリードフレームの製造方法の要旨は、フレーム枠と、このフレーム枠から中
心部に向力、つて延設されたダイパッドサポートバーと、このダイパッドサポートバーに よりフレーム枠の中心部に固定されたダイパッドと、先端側がフレーム枠からフレーム 枠の中心部に向けて延設された複数のインナーリードを備え、インナーリードの先端 部に剛性補強部が設けられているリードフレームにおいて、少なくとも塗布時の粘度 が 9· 4Pa ' s以上 54Pa ' s以下である樹脂液を隣接するインナーリード間の間隔が 17 C^ m以下の部位に、また、少なくとも塗布時の粘度が 4Pa ' s以上 54Pa ' s以下であ る樹脂液を、隣接するインナーリード間の間隔が 160 m以下の部位に、スクリュー 式デイスペンシング法によりワイヤボンディング面の裏面に塗布し、表面張力を利用 して塗布した樹脂液をインナーリード間の間隙又はインナーリード間の間隙及びイン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に流動せしめ、その後加熱により樹 脂を固着させてインナーリードの先端部に剛性補強部を形成し、剛性補強部のフレ ーム中心側先端縁の位置力 Sインナーリードの最先端縁から 1. 2mm以下の位置にな るように、インナーリードの先端連結部を切断分離することにある。
本発明に使用する樹脂は、溶剤に溶解することなく樹脂単独で使用してもよいし、 樹脂を溶剤に溶解し溶液の状態で使用してもよぐいずれにしても、樹脂は液状の状 態で塗布するのがよい。この際、塗布する樹脂の粘度が重要である。実際には、塗布 する際の樹脂液の粘度が重要である。樹脂液の粘度は周囲の雰囲気の温度に大き く影響を受ける。樹脂を効率よく塗布するには、塗布時の樹脂液の粘度を 4Pa ' s〜5 4Pa ' sとする。これは、粘度 4Pa ' s未満では、リード間隔 170 m以上のリードフレー ムには樹脂を配置することができないし、また、 54Pa ' sを越える粘度の場合、リード 間隔 185 in以上のリードフレームには樹脂を配置することができず(図 31参照)樹 脂液の塗布が困難になるからである。塗布時の樹脂液の粘度は 4Pa · s〜54Pa · sで あり、好ましくは 12〜30Pa ' sである。粘度が低いと塗布した樹脂がインナーリード間 の間隙、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に滞留しに《なり、樹 脂液の粘度が高いと樹脂液の塗布が困難になるほか、リードフレームの各間隙に樹 脂を均一に塗布することが困難になるからである。塗布時の樹脂液の粘度を規定す るには、樹脂の塗布環境に相当時間保持する、ディスペンサーを保温する、ディスぺ ンサーを温度調節が可能なものにする等の処置をとるのが好ましい。また、分子量の
大きい樹脂の粘度は高ぐ分子量の小さい樹脂の粘度は低い。更には、分子量の小 さい樹脂を使用する場合には、最終的に固化させたとき、架橋密度が高くなり、硬化 後の樹脂物性が好ましくないこともあり、比較的分子量の大きい樹脂を用いることが 好ましい。分子量の大きい樹脂はその粘度が高いので、塗布時の温度を調節して、 適当な粘度で塗布する配慮が必要となる。
[0043] 配置された樹脂のフレーム中心側 (ダイパッド方向)の最先端縁が、インナーリード の最先端から、 1. 2mm以下の範囲の位置になるようにインナーリードの先端連結部 を切断分離するのであるが、この距離が長くなるとインナーリードの先端部を樹脂固 定する効果が小さくなる。また、樹脂が配置された部分を含んでインナーリードの先 端連結部を切断分離することを問題にする場合には、打痕、ノ リ等の発生によるリー ドフレームの品質への悪影響を防止する意味で、インナーリード間の間隙に配置され た樹脂のフレーム中心側の先端の位置から 0. 1mm〜; 1. 2mmフレーム中心側の位 置でインナーリードの先端連結部を切断分離するのが好ましい。
[0044] リード間の間隔 170 m以下で、粘度 9. 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、又 は、リード間の間隔 Ι δθ πι以下で、粘度 4Pa ' s以上の樹脂液を塗布する場合、イン ナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が等しい とき、インナーリード間の間隔に対するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間 の間隔の比が 1. 14以下のときは、いわゆる一筆書きの要領で、樹脂液をリードフレ ーム先端部に塗布することができる。一方、インナーリード間の間隔に対するインナ 一リードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14を超える場合には、樹脂 液をいわゆる一筆書きの要領でリードフレームに塗布した場合、インナーリード間の 間隙には樹脂は滞留する力 S、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙 には樹脂液が滞留しに《なる。このような場合には、インナーリードとダイパッドサボ ートバーとの間の間隙に樹脂液を塗布する位置をインナーリード間の間隙に樹脂液 を塗布する位置からずらすのである。即ち、インナーリードとダイパッドサポートバーと の間に配置する樹脂のフレーム中心側(ダイパッド方向)の先端の位置カ、インナー リード間の間隙に配置した樹脂のフレーム枠側の先端縁、即ち、ダイパッドとは反対 方向の先端縁よりもフレーム枠側にずらすことにより、樹脂液を安定してインナーリー
ドとダイパッドサポートバーとの間に塗布し、酉己置すること力 Sできる。そして、このフレ ーム枠側にずらす位置は、具体的には、 0. 5mm以上フレーム枠側にとるのが好まし い。ここで、フレーム枠側というのは、さきにも述べたように、ダイパッドが配置される方 向と反対側の方向、即ち、アウターリードの方向を意味する。インナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間の間隙に配置する樹脂の位置を、インナーリード間の間隙に 配置した樹脂のフレーム枠側の先端縁の位置から 0. 5mm以上フレーム枠側にする ことにより、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に塗布した樹脂を、 インナーリー間の間隔に配置することができる。更に、特に、インナーリードとダイパッ ドサポートバーとの間の間隔が 170 mを超える場合には、インナーリード間の間隙 にのみ樹脂を配置し、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂 を酉己置しないこともできる。
[0045] 一方、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 mを超えるよう な場合、ダイパッドサポートバーの幅が広い場合には、インナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隙に樹脂を塗布することが困難となる。ダイパッドサポートバー は通常 4箇所存在するので、いわゆる一筆書きの要領で樹脂を塗布すると、ダイパッ ドサポートバーのところで、樹脂の塗布を中断することとなり、樹脂塗布の生産性を大 きく低下させる要因となる。樹脂塗布の生産性の観点からは、ダイパッドサポートバー のところで樹脂の塗布を中断することなぐいわゆる一筆書きの要領で樹脂を塗布す るとが要望される。ダイパッドサポートバーの幅が広い場合には、ダイパッドサポート バーの剛性補強部に相当する部位にスリット状の開口部を設けることにより、いわゆ る一筆書きの要領で樹脂を塗布することが可能になり、樹脂塗布の生産性を高く維 持すること力 Sでさる。
[0046] メツキを施す際に、インナーリード間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポート バーとの間の間隙に樹脂が配置されているときは、配置された樹脂上にメツキマスク を置くことにより、メツキ液がメツキマスク内側端からリード板厚側壁部への侵入を防止 すること力 Sできる。一方、インナーリード間の間隙にのみ樹脂を配置し、インナーリー ドとダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂を配置しない場合には、樹脂がリ ードフレームの全周を連結してレ、な!/、ので、樹脂が連結して!/、な!/、部分 (インナーリ
ードとダイパッドサポートバーとの間の間隙)からメツキ液が流出して、不必要な部分 までメツキを行うことになる。これに対処するため、図 23 (b)に示したように、インナー リードとダイパッドサポートバーとの間でメツキ液が流出する部分に相当するメツキマ スク 488にメツキ液流出防止のダム部 502を設けて、メツキを施すのが好ましい。
[0047] リードフレームはワイヤボンディングを施す部分に銀、パラジウム等のワイヤボンディ ング性の良好な金属をメツキする。インナーリードの先端連結部を前もって切断分離 することなくメツキを施す場合、メツキを施した後に樹脂を塗布しインナーリードを固定 してもよいし、樹脂を塗布しインナーリードを固定した後メツキを施してもよい。樹脂を 先に塗布した後にメツキを施す場合には、メツキマスクを、インナーリード間の間隙に 配置した樹脂上に装着することが好ましい。メツキを施した後は、インナーリード間の 間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端の位置から 0〜; 1. 2mmのフレーム 中心側の位置で、インナーリードの先端連結部を切断分離する。樹脂を含んで切断 分離するのを控えたい場合には、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレ ーム中心側の先端縁の位置から 0. 1mm〜; 1. 2mmフレーム中心側の位置で、イン ナーリードの先端連結部を切断分離するのがよい。
発明の効果
[0048] 本発明は、リードフレームのインナーリード先端部において、インナーリード間の間 隙又はインナーリード間の間隙及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙に樹脂を配置することにより、インナーリードが固定されることを特徴とするリード フレームである。従来のテープによる固定では、ワイヤボンディングが行われる場所 力、ら離れた場所にテープが配置されているので、インナーリードの先端部は、特に、 ワイヤボンディング時には激しく振動することになる。この振動の程度は、インナーリ ードの配列方向によっても異なる。これに対して、本発明のインナーリードは、その先 端の部分が樹脂 (接着剤)により固定されているので、ワイヤボンディングを施す際に 、インナーリードの振動は無いか少なくとも小さぐ機械的強度が確保されたものとな つている。これに伴い、ワイヤボンディングを施す際に、ボンディング条件をインナーリ ード毎に設定調整する必要は無くなり、ワイヤボンディング作業自身も安定したものと なる。更に、ワイヤボンディング後にリードフレームを移送する際にも、インナーリード
の先端部は振動しない少なくとも振動が小さくなるので、リードフレームの取り扱いが 容易になる。
[0049] インナーリードの先端部を樹脂で固定するため、本発明においては、テープを貼る 必要が無くなり、テープ材料を無駄にすることもなくなる。従来のテープによる固定で は、コストの高い、例えば、ポリイミド樹脂のテープを使用するので、この点でも本発 明はコストの面でも効果の大きいものとなっている。ワイヤボンディングにおいて、イン ナーリードが振動もなく安定しているので、ワイヤボンディングを均一に安定に行うこ とができて、リードの先端にワイヤボンディングを施すのでワイヤの長さも従来のワイ ャボンディングにおけるものよりも短くすることができる。
[0050] インナーリード先端部を樹脂で固定するに際して、樹脂液をディスペンサーで塗布 するので、しかも、塗布すべき場所にディスペンサーを移動させていくだけで樹脂を 塗布することができるので、樹脂液の塗布は簡単で、しかも、樹脂液は表面張力によ りインナーリード間の間隙、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に自 然に流動していき、塗布量の調節を厳密に行うことなぐ生産性高ぐ樹脂液を塗布 すること力 Sできると!/、う効果を奏する。
[0051] 更に、インナーリードの先端部を固定することにより、以下の効果を奏する。現状行 われているテープによるリード固定では、顧客別にリード固定の仕様が異なるため、 テープ幅の異なった在庫を持つこと、テープの打ち抜き貼り付けの金型をもつことが 顧客別に求められる。これに対して、本発明の樹脂による固定では、顧客別の対応 は、塗布条件のプログラムの変更のみで対応でき、極めて汎用的である。これは更に 、在庫管理、金型のメンテナンス等の大幅なコスト低減をもたらす。また、現行のテー プによる固定では、テープを打ち抜くので不要部分が発生する。一方、本発明の樹 脂による固定では、不要部分はほとんど発生せず、コスト低減の効果をもたらす。更 に、現行のテープによる固定では、テープの打ち抜き後の材料は利用することができ ず、焼却廃棄処分している。この点、本発明の樹脂による固定では、廃棄処分物は 極めて少量で、環境への影響が小さい。
発明を実施するための最良の形態
[0052] 以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
[樹脂の塗布方法]
まず、樹脂液の塗布は、樹脂の硬化前の液状の状態又は樹脂を溶剤に溶解した 溶液の状態、即ち、液体の状態で樹脂液をスクリュー式デイスペンシングにより塗布 する。デイスペンシングに使用するデイスペンサ 400は、樹脂液を収納する樹脂容器 440、樹脂を供給するためのスクリュー 410、容器の先端部に連結されたノズル 430 、樹脂供給シリンジ 420等から構成されている(図 6を参照のこと)。スクリュー 410に より樹脂液がインナーリード上に供給され、ノズル 430をインナーリードの隣接方向へ 順次移動させて樹脂液を塗布する。この際、樹脂液は、ワイヤボンディングを行う面 は避けて、ワイヤボンディングを行う面の裏面に塗布する。これは、ワイヤボンディン グ面に樹脂液を塗布すると、ワイヤボンディング作業におけるワイヤとインナーリード との接着を妨げるおそれがあり、また、ワイヤボンディング点における電気抵抗が大き くなるおそれがあり、これらを避けるためである。樹脂液は、その粘度が重要であるの で、樹脂液を塗布環境に相当時間保持するか、保温、温度調節可能な容器に入れ て、樹脂液の粘度が一定に保持されるようにするのが好ましい。また、樹脂液は、塗 布時粘度 4Pa · s〜54Pa · sのものを使用する。
[0053] 本発明にお!/、ては、樹脂液の塗布をスクリュー式デイスペンシングで行う。特許文 献 8にデイスペンサにより樹脂液を塗布することが記載されている。特許文献 8におい ては、空気圧により樹脂液を押し出し、リードフレームに樹脂液を塗布している。樹脂 液を空気圧で押し出すと、図 7に示したように、樹脂液の押し出しの開始時に液滴が 大きくなり、供給終了時には、液滴が必要以上に樹脂液が拡がるという問題がある。 樹脂液の粘度が高いと、樹脂液の押し出しの開始時の液滴が更に大きくなり、また、 樹脂液供給終了時の広がりも大きくなる。即ち、開始点、終端点及び開始点と終端 点が交わる連結点の各点で塗布幅に変化が生じる。このように、樹脂の塗布幅に変 化が生じると、リードフレームのリード先端を樹脂塗布し、固定後インナーリードの先 端連結部を切断する場合、この塗布幅が大きくなつた箇所で、図 9に示した様に、ィ ンナーリード切断ライン A— Aに樹脂 474がかぶつてしまい、切断時に樹脂ダコン付 着などの不具合を起こすという問題を惹起することがある。
[0054] これに対して、スクリュー式デイスペンシングにおいては、スクリュー(ねじ)が回転し
てスクリュー部にある樹脂をノズルを通して供給する。また、スクリューの回転を逆に するとノズルからはみ出した樹脂を吸い込むサックバックをかけることができるという特 徴を有する。図 8に示したように、スクリュー式ディスペンサーにて樹脂液を塗布した 場合、供給終了時点でサックバックを施すと、樹脂液は拡がることなぐ所定の位置 に塗布すること力 Sできる。また、樹脂液供給開始時の液滴は、空気圧式の場合とは異 なり、大きく膨らむことはなぐその結果リードフレーム上に塗布した樹脂液は、全面 に亘つて、均一な状態で塗布することができる。即ち、樹脂供給終端点で、ノズルの 先端にでた樹脂を吸!/、込むサックバック(吸!/、込む)を施すことにより、均一な塗布幅 を得ることができ、従って、リードフレームのリード先端を樹脂塗布し、固定後インナー リードの先端連結部を切断する場合、塗布幅が均一であることにより、図 9に示した様 に、インナーリード切断ライン A— Aに樹脂 474が重複して切断時に樹脂ダコン付着 などの不具合を起こすという問題を惹起することはない。空気式ディスペンサーにお いてもサックバックは一応可能である力 塗布する樹脂の粘度が lOPa ' s以上になる と、事実上ノズルから供給された樹脂液は戻すことはできない。この点、スクリュー式 ディスペンサーでは樹脂液の粘度の如何に係わらず、余分に供給した樹脂液をサッ クバックにより戻すことができる。
[0055] 先に述べたように、一般的に、ダイパッドサポートバーとインナーリードとの間の間隔 の大きさは、インナーリード間の間隔の大きさよりも大きくなつている。これは、半導体 装置組み立て工程において、ダイパッドや隣接するインナーリード等が振動して互い に短絡するのを防止するためである。一方、本発明は、インナーリードの先端部を樹 脂で固定したリードフレームである。従って、リードフレーム自身が固定されているの で、半導体装置組み立て工程において、ダイパッドや隣接するインナーリード等が振 動することはなくなるか少なくとも小さくなるので、ダイパッドサポートバーとインナーリ ードとの間の間隔とインナーリード間の間隔を同じにすることができる。ダイパッドサボ ートバーとインナーリードとの間の間隔とインナーリード間の間隔を同じにすることによ り、一筆書きの要領で樹脂を塗布することができ、樹脂液の塗布時間を短縮すること ができ、生産性の向上に役立つ。
[0056] 図 18に示したように、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔とインナ
一リード間の間隔との比が 1 · 14を超える場合には、樹脂液をインナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間の間隙に塗布する位置とインナーリードリ一ド間の間隙に塗 布する位置をずらせるのである。この場合は、インナーリード全体に樹脂液を塗布す るに際しては、ダイパッドサポートバー毎に 4回に分けて塗布することになる。空気圧 方式のデイスペンシングでは、塗布の開始時と終了時に樹脂液の液滴が大きくなる ので、樹脂液の液滴が大きくなる箇所が少なくとも 4箇所になり、樹脂液の均一塗布 の観点から、問題が更に大きくなる。この点、スクリュー式デイスペンシングでは、塗布 の開始時と終了時の樹脂液の液滴は大きくなることはないので、インナーリードとダイ パッドサポートバーとの間の間隔とインナーリードリード間の間隔との比が 1. 14を超 える場合において 4回に分けて樹脂液を塗布する場合においても、インナーリード全 面に亘つて均一に塗布することができる。
[0057] 次に、インナーリード間の間隔、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間 隔、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側の先端縁力 インナー リードとダイパッドサポートバーの間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先 端縁までの距離の測定方法、樹脂液の粘度の測定方法、インナーリードの剛性の測 定方法、ワイヤボンディング性の測定方法、リード間樹脂の接着強度の測定方法、リ ードフレーム反り強度の測定方法について説明する。
[0058] [間隔等の測定方法]
間隔等の測定は金属顕微鏡(ニコン社製モデル: MM— 60)を用いて行った。ここ では、インナーリード間の間隔 La、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙 Ld、インナーリードの最先端縁力 インナーリード間の間隙に配置された樹脂の フレーム中心側の先端縁までの距離 Ls、インナーリード間の間隙に配置された樹脂 のフレーム枠側の先端縁からインナーリードとダイパッドサポートバーの間の間隙に 配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁までの距離 Lbを測定する方法について 説明する。尚、測定する面は、先に述べたようにワイヤボンディングを施す面である。
[0059] 可動テーブル付き金属顕微鏡のテーブル上に、リードフレームを固定し、倍率 20 倍でレンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、図 10に示すように、インナーリードの 辺 H— H' (又は K Κ' )に合わせ、クロスラインの他の一辺を、配置された樹脂のフ
レーム中心側のメニスカス Rに合わせインナーリード間 F— F 'の長さ(FF ' )を計測す る。同様にして、配置された樹脂のフレーム枠側のメニスカス R'に合わせ J—J'の長 さ ΟΓ )を計測する。そして、 FF 'と の平均値 (La = (FF ' +JJ' ) /2)をもってイン ナーリード間の間隔 Laとする。尚、 目盛りの移動した移動量を、顕微鏡附属のデジタ ルカウンター(ニコン社製モデル: SC— 213)で読み取り、その移動量から長さを求 める。ダイパッドサポートバーのスリット状開口部の幅も、同様にして測定される。
[0060] 同様にして、可動テーブル付き金属顕微鏡のテーブル上に、リードフレームを固定 し、倍率 20倍でレンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、図 10に示すように、ダイパ ッドサポートバーに隣接するインナーリードの辺 Ι Γに合わせ、クロスラインの他の一 辺を、配置された樹脂のフレーム中心側のメニスカス Rに合わせインナーリードからダ ィパッドサポートバーまでの Y—Y'の長さ (ΥΥ' )を計測する。同様にして、配置され た樹脂のフレーム枠側のメニスカス R'に合わせインナーリードからダイパッドサポート バーまでの Z— Z 'の長さ(ΖΖ ' )を計測する。そして、 YY'と ZZ'の平均値(Ld= (YY ,+ ZZ ' ) /2)をもってインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔 Ldとする 。尚、同様に、 目盛りの移動した移動量を、顕微鏡附属のデジタルカウンター(ニコン 社製モデル: SC— 213)で読み取り、その移動量から長さを求める。
[0061] 可動テーブル付き金属顕微鏡のテーブル上に、リードフレームを固定し、倍率 20 倍でレンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、図 10に示すように、インナーリードの 辺 H— H 'に重ね合わせ、クロスラインの他の一辺を H点からインナーリード間の間隙 に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁のメニスカスの最低位置 Rまで移動さ せたときの移動量を HRとし、更に、同様にして、レンズ内の目盛り(クロスライン)の一 辺を K K '、即ち、インナーリードの他の一辺に合わせ、 K点から R点に移動させた ときの移動量を KRとし、 HRと KRの移動量の平均値(Ls = (HR+ KR) /2)を、イン ナーリードの最先端縁からインナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心 側の先端縁までの距離 Lsとする。
[0062] 可動テーブル付き金属顕微鏡のテーブル上に、リードフレームを固定し、倍率 20 倍でレンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、図 1 1に示すように、ダイパッドサポー トバーに隣接するインナーリードの辺 N— N 'に重ね合わせ、クロスラインの他の一辺
をインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置された樹脂のフレーム 中心側のメニスカス Sからインナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側 のメニスカス Xに移動させ、その移動距離からインナーリード間の間隙に配置された 樹脂のフレーム枠側の先端縁からインナーリードとダイパッドサポートバーの間の間 隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁までの距離 Lbを求める。
[0063] 図 10において、同様にして、レンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、インナーリ 一ドの辺 H— H' (又は K Κ' )に重ね合わせ、クロスラインの他の一辺をインナーリ ード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁のメニスカスの最低位置 Rから同樹脂のフレーム枠の先端縁のメニスカスの最低位置 R'まで移動させたとき の移動量を RR'とし、この RR'がインナーリード間に配置された樹脂の長さとなる。ま た、図 11において、同様にして、レンズ内の目盛り(クロスライン)の一辺を、インナー リードの一辺 Ν— Ν,に重ね合わせ、クロスラインの他の一辺をインナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁のメニス カスの最低位置 Sから同樹脂のフレーム枠の先端縁のメニスカスの最低位置 S 'まで 移動させたときの移動量を SS 'とし、この SS 'がインナーリードとダイパッドサポートバ 一との間に配置された樹脂の長さとなる。
[0064] [粘度の測定方法]
次に、樹脂液の粘度の測定方法について説明する。測定機器として Β型粘度計 (Β ROOKFIELD社製モデル: HBDV—II + )を使用し測定した。尚、スピンドルは No . 14を使用した。測定温度は、必要に応じ定め、樹脂液の温度がその温度に平衡に 達するまで放置した後、測定のために樹脂液を収容する容器 (ユーティリティカップ) のジャケットに所定温度の温水、熱媒等を循環させ、ユーティリティカップが測定温 度になるように調節した。粘度測定の手順は以下の通りである。まず、樹脂液を測定 温度の雰囲気に 3時間以上放置し樹脂液の温度を測定温度にした。一方、ユーティ リティカップのジャケットに温水又は熱楳を循環し、測定温度になるよう維持した。測 定する樹脂液 2. 5mLを採りユーティリティカップに投入した。樹脂液の気泡が無い ことを確認して、 B型粘度計に所定のスピンドル No. 14をつけて、 20rpmの回転速 度でスピンドルを樹脂液中で回転し、回転開始 3分後の値を樹脂液の粘度の値とし
た。
[0065] [インナーリードの剛性の測定方法]
インナーリードの剛性の測定は、図 24に示したように、半導体の組み立て評価に用 いるワイヤ強度やバンプ強度を測定するシェア一テスターを用いて、インナーリード 5 14の先端に測定子 510を当てインナーリード 514を 30 μ m移動したときの応力(g) を測定することにより行った。インナーリード間の間隙に配置された樹脂 512のインナ 一リード先端縁力 の距離、即ち、樹脂固定距離 Lに対する応力を測定した。
[0066] [ワイヤボンディング性の測定方法]
まず、図 26でワイヤボンディング性に影響するリードフレームの剛性と超音波振動 の関係を説明する。従来のテープで固定したインナーリードは、テープ固定部からィ ンナーリード先端までの距離が長いため、超音波の振動方向と垂直方向のリード P点 では、超音波振動に対するボンディング面の剛性が小さぐ超音波エネルギーのロス が大きい。また、超音波振動と平行なリード V点では、超音波振動に対するボンディ ング面の剛性が大きぐ超音波エネルギーのロスが小さい。従って、各リードのボンデ イング面で個別に最適なボンディング条件を必要とした。一方、樹脂でリード先端を 固定したインナーリードは、インナーリードの先端部が樹脂で固定し各インナーリード が連結しているので、すべてのボンディング面で均質で、かつ剛性が大きく超音波ェ ネルギ一のロスが小さい。従って、均一の条件でボンディングが可能になる。
[0067] ワイヤボンディング性の評価は、以下のように行った。即ち、温度 170°C、荷重 80g 、超音波時間 10msのワイヤボンディング条件で、インナーリード先端部に実際のワイ ャボンディングを行い、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側 の先端の位置からワイヤボンディングを施す位置までの距離 (樹脂からワイヤボンデ イング位置までの距離)を M (図 27 (b)を参照のこと)として、 M及びインナーリード間 の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の超音波出力とワイヤボンディング接続 率の関係を求める方法で行った。即ち、ワイヤボンディングの作業を、各樹脂固定か らワイヤボンディング位置までの距離 (M)にっき 20回行い、各超音波出力について ワイヤボンディングが満足に行われた割合(ワイヤボンディング接続率)を求めた。
[0068] まず、ワイヤボンディングは、超音波振動の影響の大き!/、位置 Pで行った(図 27)。
ワイヤボンディングの位置 Bpは、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレー ム中心側の先端より Mの距離で行った。 Mの値として、 0、 0.3mm及び 0.6mmを選 定した。次いで、超音波振動ロスの大きい位置 P、中間くらいの U点、及び超音波振 動ロスが最も小さい V点の各位置にワイヤボンディングを施し(図 29を参照)、同様に して、ワイヤボンディング性を評価した。
[0069] [リード間樹脂の接着強度の測定方法]
シェアテスター(DAGE社製: SERIES— 4000)及びロードセル(DAGE社製: BS - 250 MAX. 250g)を使用し、図 39に示したように、リードフレームをガラス板で 挟み固定し、シェアテスターを用いて、リードに直角方向に力を加え、リードフレーム が破断するときの力を測定する。この破断時の力(g)がリード間樹脂の接着強度であ
[0070] [リードフレーム反り強度の測定方法]
デジタルフォースゲージ (イマダ社製: MODEL— DPSS 5T)を使用して、リード フレーム反り強度を測定する。測定は、図 40に示したように、テーブルのエッジにリー ドフレームの中心を合わせテープで固定したのち、ハイトゲージに固定したデジタル フォースゲージを下降させてフレームを 5mmたわませた位置で、たわませるのに要し た荷重を測定する。測定は、 3回行いそれらの最大値をもって、リードフレーム反り強 度とする。
[0071] [ワイヤスイープに対する効果]
従来のテープによるインナーリード先端部の固定は、特に、ワイヤの本数が多い場 合には、樹脂封止の際に、ワイヤが隣接するリードに接触し短絡するという問題があ る。テープによる固定の場合は、ワイヤボンディング時クランパーに近い場所、即ち、 リード先端から離れた位置でワイヤボンディングを行うことになり、ワイヤが必然的に 長くなり、樹脂封止の際に、図 41に示したように、ワイヤが隣接するリードに接触し短 絡しやすい。一方、樹脂による固定の場合は、リード先端部の剛性が高いので、リー ド先端に近い位置でワイヤボンディングを行うことができ、従ってワイヤは短くなり、樹 脂封止の際に、図 41に示したように、ワイヤが隣接するリードに接触し短絡するという 問題は生じないか、少なくとも、大幅に軽減する。
実施例 1
[0072] 以下、本発明を実施例に基づいて、説明する。
[使用したインナーリード、樹脂の説明]
銅合金、板厚 0. 125mm及び 0. 150mm、インナーリード先端部のリード間隔が 7 5 m力、ら 300 mであるインナーリードの先端連結部を先に切断分離したリードフレ ームを用意した。これらのリードフレームに、いわゆる一筆書きの要領で、リードフレー ムの周囲を、塗布周長 40mm、塗布幅 300 m、樹脂の塗布量は塗布幅が 300 mとなるように選定して、樹脂液を塗布した。樹脂の塗布は、先に述べた要領でスクリ ユー式ディスペンサーで行った。樹脂液の塗布は、室温(23°C)で行った。塗布した 樹脂液は、酸素濃度 5%以下のコンペァ炉で 205°C80秒間加熱して硬化させ、リー ド間に固着せしめた。使用した樹脂は、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤とからなる 一液型熱硬化性樹脂であり、具体的には、以下のようにして得たものである。即ち、 エポキシ樹脂(エポキシ当量 185g/当量、全塩素含有量 1400PPm) l当量と 2—メ チルーイミダゾール 0. 7当量とを反応させて硬化剤を得た。この硬化剤を粉砕し、平 均粒径 2. 4 111の粒子とした。この粒子状硬化剤 100重量部、水 1. 5重量部、トリレ ンジイソシァネート 7重量部をエポキシ樹脂 200重量部に加えて反応させることにより 潜在性硬化剤を得た。この潜在性硬化剤 100重量部にエポキシ樹脂 220重量部を 添加し、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤からなる一液型熱硬化性樹脂である。
[0073] [リード間の間隔が等しい場合の樹脂塗布]
最初に、間隔の等しいリードフレームのインナーリード上に樹脂液を室温(23°C)で 塗布した場合の例について説明する。図 1に示したように、インナーリード 221上又は インナーリード 221間の間隙に樹脂液 250を塗布(図 1A)すると、その樹脂液はイン ナーリード 221間の間隙に展延され、インナーリード 221上の樹脂液の量は次第に 減少(図 1B)し、最終的には、樹脂液はインナーリード 221間の間隙に収まる(図 1C )。インナーリード間の間隙に収まった樹脂液を 252で示している。そして、樹脂液を 塗布したインナーリードの表面には、薄い樹脂膜が残るのみとなる。樹脂液の表面張 力により、樹脂液はインナーリード間の間隙に収まるものと考えられる。従って、イン ナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔が等しいと
きには、インナーリードの先端部おいて、樹脂液は、インナーリード間の間隙及びイン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に等しく樹脂液が配置された状態 になる。この状態で、リードフレームの樹脂を硬化させると、インナーリードの先端部を 樹脂で固定したリードフレームを得ることができる(図 4、図 32に示した)。樹脂液は、 インナーリード間の間隔と樹脂液の粘度との関係で、インナーリード間の間隙に保持 されることもあれば、保持されないこともある。特定のインナーリード間の間隔と樹脂液 粘度の範囲で、樹脂はインナーリード間の間隙に保持される。尚、樹脂液の粘度は 温度の影響を受けるので、塗布する樹脂液は室内に少なくとも 3時間保管したものを 使用した。
インナーリードの間隙に樹脂液を塗布する際の、樹脂液の粘度とインナーリード間 隔との関係を図 31に示した。図 31は、塗布速度 10mm/秒で樹脂液の塗布幅が 3 00 μ mになるように樹脂液を塗布したときに、樹脂液がインナーリード間の間隙に保 持されるか否か、更に、塗布後加熱して樹脂を硬化させ後においても、樹脂が間隙 に保持されて!/、るか否かを調べた結果をまとめたものである。塗布した樹脂液がリー ド間に保持されるか否かは、リード間の間隔の大きさに依存する。一般的には、リード 間の間隔が大きくなるに従い、塗布した樹脂液は隣接するリード上に移動し、リード 間の間隙には保持されなくなる。また、樹脂の塗布時にはリード間の間隔に保持され ていても、加熱硬化時に樹脂液の粘度が一旦低下するので、その際に、リード間の 間隔に保持された樹脂液が、部分的にリード上に移動し、リード間の間隔に完全に 保持されなくなる現象が認められた。図 31で「〇」はリード間の間隙から樹脂液が隣 のリード上に移動することなくリード間の間隙に樹脂を配置することができ、樹脂の硬 化後もインナーリード間の間隙に配置されたことを示し、「△」は塗布した時点では保 持されていたが、樹脂硬化時に隣のリード上に移動した部分があり、完全には配置さ れな力、つたことを示し、「X」は塗布開始の時点では樹脂液は塗布される力 塗布後 に樹脂液が隣のインナーリード上に移動し、樹脂はリード間の間隙に配置されなかつ たことを示す。樹脂にリードフレームにおける保持性を確認するため、樹脂液塗布後 のリードフレームの重量と樹脂硬化後のリードフレームの重量を精密天秤で測定し、 その重量差を調べた。その結果、全ての事例において、重量減はいずれも 0. 3%程
度 (水分等の揮発分に相当)で、塗布した樹脂は、熱硬化後もリードフレームに保持 されていることを確言忍した。
[0075] 図 31力、ら、リードフレームの板厚 125 m、 150 mいずれの場合も、樹脂液の粘 度が少なくとも 4Pa ' s以上で、リード間隔が 160 πι以下の場合は、樹脂粘度に係わ らず、いわゆる一筆書きの要領で塗布した樹脂液はリード間の間隙に保持され、樹 脂硬化後もリード間の間隙に保持されること、また、樹脂液の粘度が少なくとも 9· 4Ρ a ' s以上で、リード間隔が 17(^ 111以下の場合に、樹脂粘度に係わらず、また、リード フレームの板厚にも係わらず、いわゆる一筆書きの要領で塗布した樹脂液はリード間 の間隙に保持され、樹脂硬化後もリード間の間隙に保持されることが分力、つた。ここ でリード間の間隔というのは、先にも述べたとおり、リード間の間隙に配置された樹脂 の中間点において測定したものである。
実施例 2
[0076] [リード間の間隔が異なる場合の樹脂液塗布]
一般のリードフレームは、ダイパッドサポートバーがインナーリードよりも広幅となつ ているので、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔は、インナーリード 間の間隔よりも広くなつている。このように間隔が異なるリードフレームに樹脂液を塗 布した場合の樹脂の塗布状況を図 12に基づいて説明する。樹脂の塗布は、実施例 1に準拠して、樹脂液の粘度は 4Pa ' s及び 54Pa ' sの二者について、銅合金、板厚 0 . 125mm,インナーリード先端部のインナーリード間隔が 75 mから 170 mで、ィ ンナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 75 H mから 300 μ mであるイン ナーリードの先端連結部を先に切断分離したリードフレームについて、リードフレーム の周囲を、塗布周長 40mm、塗布幅 300 ^ 111、樹脂の塗布量は塗布した樹脂液の 幅が 300 inになる量を選定し、樹脂液をいわゆる一筆書きの要領で塗布した。樹 脂液 250は間隔が等しいインナーリード間では、樹脂液はインナーリード間の間隙に 保持されるが、間隔の大きいインナーリード 222、 224とダイパッドサポートバー 231 との間では、樹脂液はインナーリード間の間隙とダイパッドサポートバー 231上に移 動する。その結果、樹脂液の配置状態は、インナーリード間の間隙には樹脂液が保 持されるが、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には、樹脂液は保
持されないようになる。
[0077] インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間の間隔に 対する比と樹脂の保持の関係を調べその結果をまとめて、表 1及び表 2に示した。表 1は、塗布時の樹脂粘度が 4Pa ' sの場合、表 2は、塗布時の樹脂粘度が 54Pa ' sの 場合を示している。インナーリード間の間隔に対するインナーリードとダイパッドサボ ートバーとの間の間隔の比及びインナーリード間の間隔を変えて、樹脂がリード間の 間隙に保持されるかを調べたものである。表 1及び表 2から、樹脂液の粘度、インナ 一リード間の間隔に係わらず、インナーリード間の間隔に対するインナ一リードとダイ パッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14以下で、樹脂は硬化後もリード間の間 隙に保持されることがわかった。即ち、インナーリード間の間隔に対するインナーリー ドとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14以下では、樹脂液の粘度、イン ナーリード間の間隔、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔にかかわ らず、インナーリード間の間隙又はインナーリード間の間隙及びインナーリードとダイ パッドサポートバーとの間の間隙に、いわゆる一筆書きの要領で樹脂液を塗布し、樹 脂を配置することが可能で、この比が 1. 14を超えると、いわゆる一筆書きの要領で 樹脂液を塗布することはできず、樹脂はインナーリード間の間隙には樹脂を配置する ことができるが、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂を保 持すること力 Sできなくなる。尚、表 1、表 2における符号「〇」、「八」、「X」の意味は、 実施例 1、図 31の場合と同様である。
[0078] [表 1]
インナーリー インナーリ- -ドとダイパッ ドサポートバ一間の間隔のィンナーリ ド間間隔 ード間間隔に対する比
m) 1.06 1.07 1.10 1.13 1.14 1.15 1.16 1.24 1.25 1.30
7 5 〇 〇 〇 〇 Δ Δ
1 0 0 〇 Δ
1 2 0 〇 Δ Δ Δ
1 3 0 〇 〇 Δ △ Δ
1 6 0 〇 〇 〇 Δ Δ X
樹脂液粘度 4 P a · s
[0079] [表 2]
樹脂液粘度 5 4 P a · s
[0080] リード間隔(インナーリード間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーと の間の間隔を含む)が 170 a m以下であっても、インナーリード間の間隔に対するィ ンナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1 · 14を越えると、いわゆ る一筆書きの要領で樹脂液を塗布して、インナーリードとダイパッドサポートバーとの 間の間隙には樹脂を保持させることができなレ、。この場合には、図 5、図 33に示すよ うに、インナーリード間の間隙にのみ樹脂を塗布し、酉己置し保持させること力 Sできる。 また、インナーリード間の間隔に対するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間
の間隔の比が 1. 14以下では、いわゆる一筆書きの要領で樹脂液を塗布して、イン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙にも樹脂を保持させることができる ので、図 4、図 32に示すように、インナーリード間の間隙及びインナーリードとダイパッ ドサポートバーとの間の間隙に樹脂を配置することができる。勿論、インナーリード間 の間隔に対するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14以 下の場合でも、図 5、図 33に示すように、インナーリードとダイパッドサポートバーとの 間の間隙には樹脂を保持させないこともできる。樹脂のリードフレームにおける保持 性を確認するため、樹脂液塗布後のリードフレームの重量と樹脂硬化後のリードフレ ームの重量を精密天秤で測定し、その重量差を調べた。その結果、全ての事例にお いては、重量減はいずれも 0. 3%程度で、塗布した樹脂は、熱硬化後もリードフレー ムに保持されて!/、ることを確認した。
実施例 3
[0081] [リード間の間隔比が 1. 14を越える場合の樹脂塗布]
実施例 2で示したように、リード間隔が 170 111以下で、インナーリード間の間隔に 対するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔の比が 1. 14を超える場 合は、樹脂液を一筆書きの要領でインナーリードに塗布した場合、インナーリードとダ ィパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂が配置されず、インナーリード間の間隙 にのみ樹脂が配置され保持されたものとなる。し力、しながら、この場合、インナーリー ド間の間隔及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 ^ m (樹 脂粘度 9. 4Pa ' s以上)以下、又は、 (^!^樹脂粘度 ? ;?以上 こぉぃて、樹脂 液をインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に樹脂を塗布する位置とィ ンナーリード間の間隙に塗布する位置とを変えることにより、インナーリード間の間隙 及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に樹脂を配し保持させるこ とができる。この実施例について以下説明する。
[0082] 実施例 1に準拠して樹脂液を塗布した場合の、樹脂液の挙動を図 13に示した。図 13(ま、ダイノ ッドサポートノ ー 231 ίこ隣接するインナーリード 221、 222、 224、 225 の周辺の樹脂の挙動を示している。図 13 (A)においては、インナーリード 221と 222 の間、インナーリード 224と 225の間に塗布する樹脂 255とダイパッドサポートバー 2
31とインナーリード 222又はインナーリード 224の間隙に塗布する樹脂 256の位置を ずらした。即ち、ダイパッドサポートバーとインナーリードとの間の間隙に配置すべき 樹脂の位置をフレーム枠側の位置にした。具体的には、ダイパッドサポートバーとィ ンナーリードとの間の間隙に配置すべき樹脂の位置を、インナーリード間の間隙に配 置した樹脂のフレーム枠側の先端から 0. 8mmフレーム枠側の位置に配置した。こ の結果、インナーリード 222又はインナーリード 224とダイパッドサポートバー 231の 間の間隙、ダイパッドサポートバー上に、樹脂 256は移動することなぐインナーリー ドとダイパッドサポートバーの間の間隙に保持される。一方、インナーリード 221と 22 2との間の間隙又はインナーリード 224と 225との間隙には、樹脂はインナーリード間 の間隙に保持される。この際、樹脂 256がインナーリード間の間隙に移動することは ない。その結果、図 3、図 34に示したような状態で、樹脂はインナーリード間の間隙、 インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置され、インナーリードの 先端が固定されたリードフレームを得ることができる。実際上は、ダイパッドサポートバ 一とインナーリードとの間の間隙に配置すべき樹脂の位置を、インナーリード間の間 隙に配置した樹脂のフレーム枠側の先端から 0. 5mm以上フレーム枠側の位置に配 置すればよい。
実施例 4
[0083] [インナーリードの剛性の評価]
銅合金、板厚 0. 125mm,リード間隔が 100 mで、インナーリードの最先端縁か らリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端縁までの距離 (樹脂固 定距離: Uを変えたリードフレームを実施例 1に準拠して作製した。これらのリードフ レームについて、インナーリードの剛性を測定した。
[0084] インナーリードの剛性の測定は、図 24で先に説明したように、半導体の組み立て評 価に用いるワイヤ強度やバンプ強度を測定するシェア一テスターを用いて、インナー リード先端に測定子 510を当て 30 a m移動したときの応力(g)を測定することにより 行った。図 24において、 Lは、樹脂固定距離 (mm)、 Wはインナーリードの幅 m) 、 tはインナーリードの厚さ(mm)を表している。比較として、従来のテープを使用する リードフレームを測定に加えた。尚、この測定方法では、測定子 510をインナーリード
間の間隙に差し込むため、インナーリード先端縁から樹脂の固定部までの距離は、 0 . 3mm以上で可能であった。剛性の測定は、それぞれの樹脂固定距離で 20回行い 、測定値の最高値、最長値及び平均値を表 3に示し、同時に図 25に示した。
[表 3]
*従来のテープで固定したリードフレームであることを示す 測定結果力も明らかなように、インナーリード先端を樹脂で固定すると、インナーリ ードの剛性が高まることが認められる。即ち、測定結果を図示した図 25から明らかな ように、インナーリードの剛性は、樹脂固定距離が 1. 2mm以下の範囲で、樹脂固定 距離に反比例して高くなる。従来のテープ品と比較しても、樹脂固定した本発明のィ ンナーリードの剛性は、最大 7倍剛性が高まった。即ち、インナーリード樹脂固定した 本発明品で樹脂固定距離が 0. 3mmの場合の剛性は 5. 97gであるに対して、従来 のテープ固定品は 0. 85gであった。また、インナーリードの剛性が樹脂固定距離に 反比例して高くなることから、樹脂固定距離 0. 3mm以下で、インナーリードの剛性が 高くなることは容易に確認できる。しかも、樹脂固定距離が 1. 2mmを越えると、イン ナーリードの剛性は大きくは変化せず、比例関係が成立しなくなる。このことは、イン ナーリードの樹脂固定距離を、 1. 2mm以下の範囲にとることがよいことを示している 。即ち、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端の位置 がインナーリードの最先端縁より 1. 2mm以下の範囲でフレーム枠側の位置にあるこ と力 S好ましいことを示している。尚、表 3において、 Lの値が 2. 2のものは、従来のテ ープで固定したリードフレームである。
実施例 5
[0087] [インナーリードのワイヤボンディング性の評価]
先に述べたように、ワイヤボンディング性は、ワイヤボンディングを施す位置からリー ド間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端までの距離(図 27では Mで 示している)とワイヤボンディングを施すリードが超音波の振動方向となす角度の影響 を受ける。この観点から、実施例 1に準拠して、銅合金、板厚 0. 125mm,インナーリ ード間の間隔が 100 111、インナーリードの本数 208本、樹脂固定距離が 0. 8mmで あるリードフレームを作製し、 Mが 0、 0. 3mm、 0. 6mmの位置で、実際にワイヤボン デイングを行!/ \ワイヤボンディング性を評価した。
[0088] ワイヤボンディング性の評価は、以下のように行った。即ち、温度 170°C、荷重 80g 、超音波時間 10msのワイヤボンディング条件で、インナーリード先端部に実際のワイ ャボンディングを行った。インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心 側の先端の位置からワイヤボンディングを施す位置までの距離 Mにお!/、て、 M及び インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の超音波出力とワイヤ ボンディング接続率の関係を求める方法で行った。即ち、ワイヤボンディングの作業 を、各樹脂固定からワイヤボンディング位置までの距離につき 20回行い、各超音波 出力についてワイヤボンディングが満足に行われた割合(ワイヤボンディング接続率) を求めた。
[0089] まず、ワイヤボンディングは、超音波振動の影響の大き!/、位置 Pで行った(図 27)。
その評価結果を表 4及び図 28に示した。ワイヤボンディングの位置 Bpは、インナーリ ード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端より Mの距離で行った。 M のィ直として、 0、 0. 3及び 0. 6mmを選定した。図 28は、樹脂のフレーム中心側の先 端からワイヤボンディング位置までの距離 Mに応じて、ボンディング接続率が超音波 出力によって変化することを示している。例えば、超音波出力を 120AMPにした時、 M = 0mmのとき 100%の接続率、 Μ = 0· 3mmでは 65%、 Μ = 0· 6mmでは 45% 、 Μ = 2· 2mm (従来のテープ品)では 10%と Μが大きくなるにしたがって、ワイヤボ ンデイング接続率が低下することがわかる。即ち、インナーリード間の間隙を樹脂固 定した本発明のリードフレームは、従来のテープで固定したリードフレームに比較し
て、ワイヤボンディング接続率が高いのである。
[0090] [表 4]
[0091] 接続率を向上させるためには、超音波の主力を高めればよいことが示されているが 、超音波の出力を大きくすると、超音波振幅が増大し、ワイヤボンディングネック部に 亀裂が生じたり、ワイヤボンディングに使用するキヤビラリ一の摩耗が早まったりする 不具合が生じる。従って、ワイヤボンディングにおいては、超音波出力は可能な範囲 で小出力に止め、大出力の超音波でワイヤボンディングを行うのは、好ましくない。こ の観点からも、本発明のインナーリ一ド間の間隙 (こ樹脂を配置して固定したリ一ドフ レームは、従来のテープで固定したリードフレームに比較して、優れていることがわか
[0092] 次に、図 29に示した、超音波の振動ロスの大きい位置 P、中間くらいの U点、及び 超音波振動ロスが最も小さレ、V点の各位置にワイヤボンディングを施した。この場合 の、ワイヤボンディング接続率を表 5及び図 30に示した。この結果から明らかなように 、樹脂固定品は P点力、ら V点までにおいて、超音波の出力 90AMPから 110AMPの 20AMPの範囲の中で 100%の接続率を得た。一方、従来のテープ品は、 P点から V点までの範囲で 100%の接続率を得るためには、超音波の出力を 100AMPから 1 40AMPの 40AMPのレンジと高くする必要があり、本発明の樹脂固定のリードフレ ームの 2倍のレンジを要した。即ち、樹脂固定の本発明のリードフレームは、ボンディ ング条件のバラツキ幅を小さくでき、かつテープ品と比較して低出力の超音波ェネル ギ一で安定したワイヤボンディングができる使い勝手の良いリードフレームを提供で
きるのである。
[0093] [表 5]
[0094] [リード間樹脂の接着強度及びフレームの反り強度]
リード間隔 100 a m、板厚 125 μ m及び 150 μ mの 7個のリードフレームにおいて、 リード間の間隙に配置された樹脂の長さが 500 ΐηのものにつき接着強度を測定し た。表 6に、リードフレームの板厚 125 111及び 150 11品について測定した、 7個の 接着強度測定値及びそれらの平均値を示している。板厚 125 mにおいては、樹脂 の接着強度は 59· 8gであり、板厚 150 111においては樹脂の接着強度は 95. 8gで あった。リードフレームの破断は、測定したリードフレーム全部が樹脂とインナーリード の界面で起こった。
[0095] [表 6]
榭脂接着強度 (g ) リ-ト 'フレ -ム板厚 1 2 3 4 5 6 7 平均
( < m)
1 2 5 69.9 52.5 63.9 59.8 50.3 63.2 58.8 59.8
1 5 0 93.7 89.2 100.5 95.9 88.2 99.9 103.2 95.8
[0096] [フレームの反り強度]
次に、インナーリードのピン数が 100ピンから 256ピンまで 7種類のリードフレームに 関して、リードフレーム長手方向の中心部を軸に最外端部が 5mmたわむ時の外力を 測定した。この時のたわむ力は、リードフレームの板厚、幅、パターン形状などに影響 される力 測定した 7種類のリードフレームにおいては、板厚 125 m品では最大値 は 51グラム、板厚 150 m品では 88グラムであった。測定結果を表 7に示した。一般 に、リードフレームが 5mm以上たわむとワイヤボンディングしたワイヤが変形、ショート 、破断等の不具合を起こすので、半導体組み立て工程ではそのような外力(5mm以 上のリードフレームの変形)が生じなレ、なレ、ようにプロセスが組み立てられてレ、る。先 に測定したリード間に配置された樹脂の長さが 500 mでは接着強度は板厚 125 mで 59· 8g、 150〃 mで 95· 8gであり、樹月旨の長さ力 500〃 mで (まリードフレームカ 5mmたわんでもリード先端は破壊しな 、ことが確認された。従って、リード間に配置さ れた樹脂の長さが 500 mあれば、接着強度、フレームの 5mmの変形に十分耐える こと力 Sでき、リードフレームの剛性としては十分であることが分かる。
[0097] [表 7]
U—ドフレ—ム反り強度 (g ) リードフレーム 1 2 3 4 5 6 7 ピン数 (本) 208 240 256 216 208 216 100 フレーム板厚(w na) 125 125 125 125 125 150 150 フレーム巾 (mm) 61 50 45 45 45 36 36 最大荷重 (g ) 40 24 51 48 33 88 79 実施例 7
[0098] [リードフレームの製造例 1]
インナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 1 70 111以下で、かつそれらの間隔が等しいか又はほぼ等しいパターン (少なくとも、 インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間の間隔に対 する比が 1. 14以下のリードフレーム)を持ったリードフレームへの実施例を説明する 。本実施例で樹脂固定したリ一ドフレームの全体概略図を図 14に示した。
[0099] 本実施例に使用したリードフレームは、 208ピンのリードフレームで、銅合金、板厚 0. 125mm,インナーリード先端部のリード幅 100 m、インナーリード間の間隔 100 a m、及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔 100 μ mのリードフ レームであった。樹脂固定したリードフレームの製造の手順を図 15に従って説明す る。図 15 (a)は、エッチング法や金型を用いたプレス法などを用いて、パターン形成 した後のインナーリードの先端部の一部を示した図である。インナーリードの先端は、 先端連結部 480で連結されて!/、る。
[0100] このリードフレームのインナーリードの先端部に、樹脂液を塗布した(塗布時温度は 23°C)。使用した樹脂は、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤からなる一液型熱硬化性 樹脂で、具体的には、イミダゾール化合物を潜在性硬化剤とするエポキシ樹脂で、粘 度は 25Pa ' s (25°C)であった。樹脂液の塗布は、先に述べた方法に基づき、塗布開 始部及び塗布終端部に塗布量を均一にできるスクリュー方式のディスペンサーを用 いて行った。ディスペンサーのノズル内径 0. 15mmのものを使用し、塗布スピードは
25mm/秒であり、塗布終端ではスクリューに 0· 02秒の逆回転を力、け、ノズノレよりは み出した塗布液を吸い取るサックバックを施した。樹脂液の塗布量は、樹脂液の幅が
300 mとなる量とした。この際、リードフレームの全面をいわゆる一筆書きの要領で 樹脂液を塗布した。ダイパッドを囲い込むように全てのインナーリード間の間隙、イン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に樹脂を塗布した。樹脂の塗布時 には、ワイヤボンディングを施す面となるメツキ面を下側に向けて樹脂がメツキ面に付 着しないようにするとともに、図 16に示したインナーリードの先端連部 480を切断をす る際、切断ライン A— Aが樹脂 482とインナーリードを一緒に切断しないように、 Ls ( 樹脂の位置から切断するまでの寸法)を 0. 1mm以上取って塗布した。図 15 (b)は、 ほぼ等間隔の各インナーリード間の間隙の先端部及びインナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隙の先端部を樹脂 482を塗布した状態を示している。
樹脂液塗布後、酸素濃度 5%以下のコンペァ炉で 205°Cで 80秒間、硬化処理を行 つた。この条件で硬化処理を行うことにより、熱酸化による銅合金の変色も防止でき、 リードフレームの品質と商品価値を損ねることなぐ各インナーリード間の間隙の先端 部を樹脂で固定することができた。次に、インナーリードのワイヤボンディングを施す 面にメツキを施した。リードフレームをエッチング法により作製した場合は、メツキ工程 に入る前に、特に、リードフレームの脱脂を行う必要はないが、プレス法により作製し た場合は、メツキ工程に入る前に、リードフレームの脱脂を行う必要がある。メッキエ 程では、図 17に示したように、メツキマスク 488の内側端 490が固定用の樹脂 482上 にくるように、メツキマスク 488の内側端 490を図 17 (b)で示した Dラインに設定した。 マスク内側端が D又は Bのラインにセットすることで、樹脂 482がー種のダムとしての 役割を果たすので、メツキ液が各インナーリード間及びインナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の側壁間からフレーム枠側に向かって流出することを防止すること ができ、これにより、品質の安定したメツキをすること力 Sできた。一方、図 17 (b)の Cラ インにマスク内側端をセットすると、マスク端からフレーム枠側に向かってインナーリ 一ド板厚側壁部にメツキ液が侵入し、側壁部にメツキ液が付着しメツキヒゲゃバリ付着 が生じ、安定したメツキをすることができなかった。メツキした後のリードフレームの状 態を図 15 (c)に示した。即ち、図 15 (c)は、インナーリードの先端部を樹脂固定した
後、ワイヤボンディング部及びダイパッド側のリードフレーム部分に銀メツキなどを選 択的にメツキ 484を施した状態を示す。
[0102] メツキ後、図 15のインナーリードの先端連結部 480を、図 16に示した切断ライン A
Aで、金型を使って切断分離して所定のリードフレーム(図 14)を得た。図 15 (d)は 、インナーリードの先端連結部をパンチ 486で切断分離する部分を示し、図 15 (e)は 切断分離後のリードフレームの完成した形状を示す。図 15 (e)の全体を示したものが 、図 14である。インナーリードの先端連結部を切断分離する位置は、リード間に配置 された樹脂の上でもよい。この場合は、インナーリード間の間隙に配置された樹脂の フレーム中心側の先端縁はインナーリード最先端に一致する。また、樹脂が配置され た部分を含んでインナーリードの先端連結部を切断分離することを問題にする場合 には、打痕、ノ リ等の発生によるリードフレームの品質への悪影響を防止する意味で 、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の先端の位置から 0. lmm〜; 1. 2mmフレーム中心側の位置でインナーリードの先端連結部を切断分離 すること力 Sできる。この場合は、インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム 中心側の先端縁は、インナーリード最先端から 0. lmm〜; 1. 2mm離間するようにす るのがよい。
実施例 8
[0103] [リードフレームの製造例 2]
本実施例では、インナーリード間の間隔とインナーリードダイサポートバーとの間の 間隔が 170 111以下で、かつ、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔 のインナーリード間の間隔に対する比が 1. 14を越える場合のリードフレームの例を 説明する。リードフレームとして、 208ピンのリードフレームで銅合金、板厚 0. 125m m、インナーリード先端部のリード幅 100 m、インナーリード間の間隔 100 m及び インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 140 mのリードフレーム(両 者の比は 1. 4)を用いた。図 18に、本実施例のリードフレームの全体概略を示した。 これは、実施例 7とは樹脂固定部の形状が異なる。
[0104] リードフレームの製造の手順を図 19に従って説明する。図 19 (a)は、エッチング法 や金型を用いたプレス法などを用いて、パターン形成した後のインナーリードの先端
部の一部を示した図である。インナーリードの先端は、先端連結部 480で連結されて いる。このリードフレームのインナーリードの先端部に、樹脂液を塗布(塗布温度は 2
5°C)した。使用した樹脂は、実施例 7と同様に、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤か らなる一液型熱硬化性樹脂で、粘度は 30Pa ' s (25°C)であった。樹脂液の塗布は、 先に述べた方法に基づき、塗布開始部及び塗布終端部に塗布量を均一にできるス クリュー方式のディスペンサーを用いて行った。ディスペンサーのノズル内径 0· 15m mのものを使用し、塗布スピードは 25mm/秒であり、塗布終端ではスクリューに 0.
02秒の逆回転をかけ、ノズルよりはみ出した塗布液を吸い取るサックバックを施した。 樹脂液の塗布量は、樹脂液幅が 300 mとなる量とした。
インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間の間隔に 対する比が 1. 14を越える場合に、いわゆる一筆書でリードフレームを一周して塗布 すると、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が他のインナーリード間 の間隔より広いので、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に塗布し た樹脂の一部が、隣接するインナーリード間の間隙の方に移動し、事実上、インナー リードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂を配置できないことは既に述べ た。そこで、まず、各インナーリード間の間隙の先端部を、既に述べた方法に従い、ス クリュー式ディスペンサーを使用して、樹脂液を塗布した。その後、各インナーリード 間の間隙に塗布した位置と重ならないように、インナーリード間の間隙に塗布した樹 脂のフレーム枠側から 0. 8mmフレーム枠側の位置に、インナーリードとダイパッドサ ポートバーとの間の間隙に樹脂液を塗布した。このように、インナーリード間の間隙に 樹脂液を塗布する位置とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に塗 布する樹脂液の位置を変えることにより、お互いの干渉を避けて塗布し、樹脂固定を すること力 Sできる。この実施例では、インナーリード間の間隙に塗布した樹脂のフレー ム枠側から 0. 8mmフレーム枠側の位置に、インナーリードとダイパッドサポートバー との間の間隙に樹脂液を塗布したが、 実際上は、ダイパッドサポートバーとインナー リードとの間の間隙に配置すべき樹脂の位置を、インナーリード間の間隙に配置した 樹脂のフレーム枠側の先端から 0. 5mm以上フレーム枠側の位置に配置するように 塗布すればよい。
[0106] 樹脂の塗布時には、ワイヤボンディングを施す面となるメツキ面を下側に向けて樹 脂がメツキ面に付着しないようにするとともに、図 16に示したインナーリードの先端連 部 480を切断をする際、切断ライン A— Aが樹脂部 482とインナーリードを一緒に切 断しないように、 Ls (樹脂の位置から切断するまでの寸法)を 0. 1mm以上取って塗 布した。図 19 (b)は、各インナーリード間の間隙に塗布した樹脂の位置とインナーリ ードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に塗布した樹脂の位置が異なることを示し ている。樹脂液塗布後、酸素濃度 5%以下のコンペァ炉で 205°Cで 80秒間、硬化処 理を行った。この条件で硬化処理を行うことにより、熱酸化による銅合金の変色も防 止でき、リードフレームの品質と商品価値を損ねることなぐ各インナーリード間の間 隙の先端部を樹脂で固定することができた。
[0107] 次に、インナーリードのワイヤボンディングを施す面にメツキを施した。図 19 (c)に、 インナーリードの先端を樹脂固定した後、ワイヤボンディングを施す部分に銀メツキメ ツキ 484を施した状態を示す。メツキ工程では、図 20に示したように、メツキマスク 488 の内側端 490が固定用の樹脂 482上にくるように、メツキマスク 488の内側端 490を 図 20 (a)で示した Dラインに設定した。マスク内側端が D又は Bのラインにセットするこ とで、樹脂 482がー種のダムとしての役割を果たすので、メツキ液が各インナーリード 間及びインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の側壁間からフレーム枠側に 向かって流出することを防止することができ、これにより、品質の安定したメツキをする こと力 Sできた。尚、図 20 (b)で Eのラインにマスク内側端をセットすると、マスク端からフ レーム枠側に向かってインナーリード板厚側壁部にメツキ液が侵入し、側壁部にメッ キ液が付着しメツキヒゲゃノ リ付着が生じ、安定したメツキをすることができなかった。 メツキした後のリードフレームの状態を図 19 (c)に示した。即ち、図 19 (c)は、インナ 一リードの先端部を樹脂固定した後、ワイヤボンディング部及びダイパッド側のリード フレーム部分に銀メツキなどを選択的にメツキ 484を施した状態を示す。
[0108] メツキ後、図 19のインナーリードの先端連結部 480を、図 16に示した切断ライン A
Aで、金型を使って切断分離して所定のリードフレーム(図 18)を得た。図 19 (d)は 、インナーリードの先端連結部をパンチ 486で切断分離する部分を示し、図 19 (e)は 切断分離後のリードフレームの完成した形状を示す。図 19 (e)の全体を示したものが
、図 18である。
実施例 9
[0109] [リードフレームの製造例 3]
本実施例では、インナーリード間の間隔が 170 m以下で、インナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間の間隔のインナーリード間の間隔に対する比が 1. 14を越え て、かつ、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 170 mを越える 場合のリードフレームの例を説明する。リードフレームとして、 208ピンのリードフレー ムで銅合金、板厚 0. 125mm,インナーリード先端部のリード幅 100 m、インナーリ 一ド間の間隔 100 m及びインナ一リードとダイパッドサポートバーとの間の間隔が 2 50〃mのリードフレーム(両者の比は 2· 5)を用いた。図 21に、本実施例のリードフレ ームの全体概略を示した。図 21で示したリードフレームは、実施例 7及び実施例 8の リードフレームとは大きく異なっている。即ち、インナーリードとダイパッドサポートバー との間の間隔のみに樹脂を配置し、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙には樹脂を配置していないリードフレームである。これは、インナーリードとダイ パッドサポートバーとの間の間隔が 250 mと広いため、インナーリードとダイパッド サポートバーとの間の間隙には樹脂を塗布することができないからである。
[0110] リードフレームの製造の手順を図 22に従って説明する。図 22 (a)は、エッチング法 や金型を用いたプレス法などを用いて、パターン形成した後のインナーリードの先端 部の一部を示した図である。インナーリードの先端は、先端連結部 480で連結されて いる。このリードフレームのインナーリードの先端部に、樹脂液を塗布(塗布時の温度 は 23°C)した。使用した樹脂は、実施例 7と同様に、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤 からなる一液型熱硬化性樹脂で、粘度は 20Pa ' s (25°C)であった。樹脂液の塗布は 、先に述べた方法に基づき、塗布開始部及び塗布終端部に塗布量を均一にできる スクリュー方式のディスペンサーを用いて行った。ディスペンサーのノズル内径 0· 15 mmのものを使用し、塗布スピードは 25mm/秒であり、塗布終端ではスクリューに 0 . 02秒の逆回転をかけ、ノズルよりはみ出した塗布液を吸い取るサックバックを施した 。樹脂液の塗布量は、塗布樹脂液の幅が SOO ^ mとなる量とした。
[0111] この実施例では、インナーリード間の間隙にのみ樹脂液を塗布し、インナーリードと
ダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂液を塗布しない。そこで、まず、各イン ナーリード間の間隙の先端部に、既に述べた方法に従い、スクリュー式デイスペンサ 一を使用して樹脂液を、図 22 (b)に示したように、インナーリードとダイパッドサポート バーとの間の間隙を除き、ダイパッドを囲い込むようにインナーリード間の間隙に樹 脂を塗布した。
[0112] 樹脂の塗布時には、ワイヤボンディングを施す面となるメツキ面を下側に向けて樹 脂がメツキ面に付着しないようにするとともに、図 16に示したインナーリードの先端連 部 480を切断をする際、切断ライン A— Aが樹脂部 482とインナーリードを一緒に切 断しないように、 Ls (樹脂の位置から切断するまでの寸法)を 0. 1mm以上取って塗 布した。図 22 (b)は、各インナーリード間の間隙にのみ樹脂を塗布した状態を示して いる。樹脂液塗布後、酸素濃度 5%以下のコンペァ炉で 205°Cで 80秒間、硬化処理 を行った。この条件で硬化処理を行うことにより、熱酸化による銅合金の変色も防止 でき、リードフレームの品質と商品価値を損ねることなぐ各インナーリード間の間隙 の先端部を樹脂で固定することができた。
[0113] 次に、インナーリードのワイヤボンディングを施す面にメツキを施した。図 22 (c)に、 インナーリードの先端を樹脂固定した後、ワイヤボンディングを施す部分に銀メツキ 4 84を施した状態を示した。メツキ工程では、図 23に示したように、メツキマスク 488の 内側端 490が固定用の樹脂 482上にくるように、メツキマスク 488の内側端 490を図 23 (b)で示した Dラインに設定した。マスク内側端が D又は Bのラインにセットすること で、樹脂 482がー種のダムとしての役割を果たすので、各インナーリード間において は、メツキ液がフレーム枠側に向かって流出することを防止することができる力 イン ナーリードとダイパッドサポートバーとの間においては、側壁間からメツキ液が侵入し てくる。実施例 7及び 8においては、インナーリード間の間隙及びインナーリードとダイ ノ /ドサポートバーとの間の間隙に樹脂が配置されているので、配置された樹脂上に メツキマスクを置くことにより、メツキ液がメツキマスク内側端からリード板厚側壁部への 侵入を防止することができた。本実施例においては、配置された樹脂がリードフレー ムの全周を連結して!/、な!/、ので、樹脂が連結してレ、な!/、部分 (インナーリードとダイパ ッドサポートバーとの間の間隙)からメツキ液が流出してしまう。これに対処するため、
図 23 (a)に示したように、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間でメツキ液が 流出する部分に相当するメツキマスク 488にメツキ液流出防止のダムバー 502を設け て、メツキを施した。この結果、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間からフレ ーム枠側に向かってメツキ液が流出することを防止し、品質の安定したメツキを施すこ とができた。
[0114] メツキ後、図 22のインナーリードの先端連結部 480を、図 16に示した切断ライン A —Aで、金型を使って切断分離して所定のリードフレームを得た。図 22 (d)は、イン ナーリードの先端連結部をパンチ 486で切断分離する部分を示し、図 22 (e)は切断 分離後のリードフレームの完成した形状を示す。図 22 (e)の全体を示したものが図 2 1でめる。
実施例 10
[0115] [リードフレームの製造例 4]
リード間隔が 170又は 160 ^ 111以下で、インナーリードとダイパッドサポートバーとの 間の間隔とインナーリード間隔に対する比が 1 · 14よりも大きい場合、インナーリード とダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂を配置しないか、インナーリードとダ ィパッドサポートバーとの間の間隙に配する樹脂の位置をインナーリード間に配置す る樹脂の位置よりフレーム枠側にとることになる。インナーリードとダイパッドサポート バーとの間の間隙に配する樹脂の位置をインナーリード間に配置する樹脂の位置よ りフレーム枠側にとる場合、この樹脂を配置する位置を変えたリードフレームを実施 例 8と同様にして作製した。樹脂を配置する位置を変えたときに、塗布した樹脂が隣 接するインナーリードやダイパッドサポートバー上に移動し、事実上インナーリードと ダイパッドサポートバー間には樹脂が塗布されない現象が起こる。この観点から、イン ナーリード間に配置する樹脂の位置とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間 の間に塗布 ·配置する樹脂の位置を変えた場合、インナーリードとダイパッドサポート バー間に塗布した樹脂がインナーリードやダイパッドサポートバー上に移動するか、 インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間に塗布されるか否かについて調べ た。その結果を表 8に示した。表 8から、インナーリード間に塗布する樹脂のフレーム 枠側の位置とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間に塗布する樹脂のフ
レーム中心側の位置の差(図 3の G)が 0. 3mm以下では、樹脂が完全にインナーリ ード、ダイパッドサポートバー上に移動し、インナーリードとダイパッドサポートバーと の間の間隙には樹脂は塗布 ·配置されないことがわかる。塗布'配置する樹脂の位置 の差が 0. 4mmでは、樹脂が部分的にインナーリード、ダイパッドサポートバー上に 移動し、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙には樹脂は完全には 塗布 '配置されないことがわかる。一方、塗布 ·配置する樹脂の位置の差が 0. 5mm 以上では、樹脂はインナーリード、ダイパッドサポートバー上に移動せずに、インナー リードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に樹脂が塗布 ·Ε置されることがわかる。
[表 8] 長さ (mmノ 樹脂の配置状況
0 . 2 隣接するインナ一 'リ -ド間の間隙に完全に移動
0 . 3 隣接するインナ一 -リ- -ド間の間隙に完全に移動
0 . 4 隣接するィンナ一 •リ -ド間の間隙に部分的に移動
0 . 5 隣接するインナー -リ- -ド間の間隙には移動せず
0 . 7 隣接するィンナー -リ- -ド間の間隙には移動せず
1 . 0 隣接するィンナ— 'リ -ド間の間隙には移動せず
1 . 5 隣接するインナ— -リ- -ド間の間隙には移動せず 図面の簡単な説明
園 1]インナーリード上に樹脂液を塗布した場合の樹脂液の挙動の一例を示す図で ある
園 2]樹脂を配置する態様を示す図である
園 3]インナーリードの先端の樹脂の配置の一例を示す図である
園 4]インナーリードの先端の樹脂の配置の他の例を示す図である
園 5]インナーリードの先端の樹脂の配置の他の例を示す図である
[図 6]スクリュー式ディスペンサーの一例を示す図である
園 7]空気式ディスペンサーで樹脂液を塗布する場合の樹脂液の挙動を説明するた
めの図である
[図 8]スクリュー式ディスペンサーで樹脂液を塗布する場合の樹脂液の挙動を説明す るための図である
園 9]塗布した液滴が大きい場合の問題を説明するための図である
[図 10]インナーリード間の間隔等の測定方法を説明するための図である
[図 11]インナーリード間の樹脂とインナーリードとダイパッドサポートバー間の樹脂間 の間隔等の測定方法を説明するための図である
[図 12]インナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔が 異なる場合の樹脂液の挙動の一例を示す図である
[図 13]インナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔が 異なる場合の樹脂液の挙動の他の例を示す図である
[図 14]インナーリード間の間隔とインナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔が 同じかほぼ同じ場合の樹脂で固定したリードフレームの一例を示す図である
[図 15]リードフレームの製造工程の一例を説明するための図である
[図 16]リードフレームの切断位置を説明するための図である
[図 17]リードフレームのメツキ工程の一例を説明するための図である
[図 18]インナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔のインナーリード間の間隔に 対する比が 1. 14を越える場合の樹脂で固定したリードフレームの一例を示す図であ る
[図 19]リードフレームの他の製造工程の他の例を説明するための図である
[図 20]リードフレームの他のメツキ工程の他の例を説明するための図である
[図 21]インナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔のインナーリード間の間隔に 対する比が 1. 14を越えて、かつ、インナーリードとダイパッドサポートバーとの間隔 が 170 mを越える場合の樹脂で固定したリードフレームの一例を示す図である
[図 22]リードフレームの他の製造工程の他の例を説明するための図である 園 23]インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に樹脂を配置しない場合 におけるメツキ工程を説明するための図である
園 24]インナーリードの剛性を測定する方法を説明するための図である
[図 25]インナーリードの剛性測定結果を示す図である
[図 26]ワイヤボンディングの問題を説明するための図である
[図 27]ワイヤボンディングの評価方法を説明するための図である 園 28]ワイヤボンディングの評価結果を示す図である
[図 29]ワイヤボンディングの他の評価方法を説明するための図である 園 30]ワイヤボンディングの評価結果を示す図である
[図 31]リード間の樹脂配置状態を示す図である
園 32]インナーリードの先端の樹脂の配置の他の例を示す図である 園 33]インナーリードの先端の樹脂の配置の他の例を示す図である
[図 34]インナーリードの先端の樹脂の配置の他の例を示す図である
[図 35]半導体装置の構成例を示す図である
[図 36]リードフレーム構成を示す図である
[図 37]インナーリードの一例を示す図である
[図 38]リードフレームの一部を示す図である
[図 39]リード間樹脂の接着強度の測定法を説明するための図である [図 40]フレームの反り強度の測定法を説明するための図である
[図 41]ワイヤスイープの効果を説明するための図である
符号の説明
10 半導体装置
11 ダイパッド
12 インナーリード
13 アウターリード
20 半導体素子
21 半導体素子の端子
30 ワイヤ
40 封止用樹脂
100 リードフレーム
110 リードフレームの一部
111 ダイパッド
113 アウターリード
116 ダイパッドサポートバー
120 テープ
130 インナーリードの一部分
140 インナーリードの中間部
145
160 -ーリードの最先端部
170 インナーリード
210 リードフレームの一部
211 ダイパッド
221、 222 224、 225 インナーリード
231 ダイパッドサポートバー
241、 242 インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙
250 樹脂 (液)
252 インナーリード間の間隙に配置された樹脂
254 インナーリードとダイパッドサボートバーとの間の間隙に配置さ れた樹脂
255 -リード間に塗布された樹脂液
256 インナーリ一ドとダイパッドサポートバーとの間に塗布された樹脂 液
257 :'サポートバー上の樹脂
400 スクリュー式ディスペンサー
410 スクリュー
420 樹脂供^
430 ノズル
440 樹脂容器
450 供給樹脂
472 インナーリードの先端連結部
474 塗布幅が大きくなつた樹脂
476 塗布幅が小さい樹脂
480 インナーリードの先端連結部
482 インナーリード間の間隙に配置された樹脂
483 インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置さ れた樹脂
484 メツキ
486 パンチ
488 メツキマスク
490 メツキマスクの内側端
500 リードフレーム
502 メツキマスクダム部
510 測定子
512 樹脂
514 インナーリード
A— A インナーリード先端連結部の切断ライン
B メツキマスクをインナーリード間の間隙に配置した樹脂よりフレー ム中心側に設定する場合の位置
C メツキマスクをインナーリード間の間隙に配置した樹脂よりフレ ーム枠側に設定する場合の位置
D メツキマスクを樹脂上に設定する場合の位置
E メツキマスクをインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙に配置した樹脂よりフレーム枠側に設定する場合の位置
G インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側の先 端縁の位置力もインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置された
樹脂のフレーム中心側の先端縁までの距離
F、 F, インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム中心側の メニスカス点における隣接するインナーリードにおける樹脂の位置
H、 K インナーリードの最先端
H— H,、K K, インナーリードの一辺
I、 Γ インナーリードの一辺
J、J' インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側のメニ スカス点における隣接するインナーリードにおける樹脂の位置
L 樹脂固定距離
Lm メツキ寸法
La リード間の間隔寸法
Lb インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側の先 端縁からインナーリードとダイパッドサポートバーの間の間隙に配置された樹脂のフ レーム中心側の先端縁までの距離
Lc インナーリード先端連結部の切断寸法
Ld インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隔
Lo メツキ端から樹脂を覆う寸法
Ls インナーリードの最先端縁力 樹脂までの寸法又は先端連結部 の切断分離位置から樹脂までの寸法
M 樹脂先端縁からワイヤボンディング位置までの距離
N、 N' インナーリードの一辺
P 超音波振動方向と垂直な方向のワイヤボンディング位置
R、 R, インナーリード間の間隙に配置された樹脂のメニスカス最低の 位置
S、 S, インナーリードとダイパッドサポートバーとの間の間隙に配置さ れた樹脂のメニスカス最低の位置
T リード間樹脂の中心
t リードフレームの厚さ
U 超音波振動方向と 45度の方向のワイヤボンディング位置
V 超音波振動方向と平行な方向のワイヤボンディング位置
W インナーリードの幅
Wr 固定樹脂の幅
Wt リードフレームの幅
X インナーリード間の間隙に配置された樹脂のフレーム枠側のメ ニスカス
Y、 Y, R点に対応するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間の 間隙に配置された樹脂のダイパッドサポートバーにおける樹脂の位置
Z、 Z, R'点に対応するインナーリードとダイパッドサポートバーとの間 の間隙に配置された樹脂のダイパッドサポートバーにおける樹脂の位置