明 細 書
金属ナノ粒子分散体とその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、ポリアルキレンィミン鎖と親水性セグメントと疎水性セグメントとを含有す る高分子化合物が溶媒中で形成する分散体に金属ナノ粒子が含有されてなる金属 ナノ粒子分散体、及び該金属ナノ粒子分散体の製造方法に関する。
背景技術
[0002] 金属ナノ粒子とは、 1〜数百ナノメートルの粒径を有する金属粒子の総称である。
金属ナノ粒子は、その比表面積が著しく大きいことから、多分野から着目され、触媒、 電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用 が期待されている。しかしながら、金属がナノサイズまで小さくなると表面エネルギー が増大し、粒子表面での融点降下が生じ、その結果、金属ナノ粒子同士の融着が起 こりやすくなり、そのため、保存安定性が悪くなる。金属ナノ粒子を安定化させるため には、該融着を防止するために、保護剤で金属ナノ粒子を保護する必要がある。
[0003] 金属ナノ粒子の製造方法の例としては溶液法や気相法等が挙げられ、いずれの場 合にも前述のように保護剤の使用が不可欠であり、様々な保護剤が提案されてきた。 保護剤としては、一般的に低分子量の界面活性剤よりも、例えば、ゼラチン、アルブミ ン等のたんぱく質や、ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン等の水溶性高分子 の方が、金属ナノ粒子の保護力が高いことが知られている(例えば、特許文献 1参照 。;)。しかしながら、水溶性高分子である保護剤は、金属ナノ粒子を保護する保護剤 同士での凝集が起こりやすい。このために、水溶性高分子を保護剤として用いた金 属ナノ粒子もまた結果として凝集してしまうことが多ぐ保存安定性についての根本的 な解決策とはならなカゝつた。前記特許文献 1においても、保護剤で保護した後、溶媒 を除去して、保護剤で保護された金属粉体として、使用する際に所望の溶剤に再分 散させるという煩雑な手段を用いることで、保存安定性の問題の解決を図っている。 また一般に保護剤は、保護すべき金属表面に物理的又は化学的に吸着又は結合す ることで、金属ナノ粒子を形成するものである。し力しながら、保護剤としての前記水
溶性高分子は金属表面との結合力に乏しいため、金属ナノ粒子を安定に保護できな いという欠点もあった。
[0004] 金属ナノ粒子を安定に保護する試みとしては、例えば、ポリジェチルアミノエチルメ タクリレートーポリグリセロールモノメタタリレート ポリエチレングリコール(PDEA—P GMA— PEG)のトリブロックコポリマーを使用した高分子会合体を使用する方法が 開示されている(例えば、非特許文献 1参照。 ) o複数の該トリブロックコポリマーによ る高分子会合体は、 PDEA鎖がコア部を、 PEG鎖が水中への分散安定性を担うシェ ル層を形成し、その中間に PGMA鎖力もなる中間層を有する。また該会合体は、 PD EA鎖中のアミノ基によりコア部に金属を取り込んで安定化し、該コア部周囲の中間 層を形成する複数の PGMA鎖の相互架橋により会合体形状を保持するものである。 しかし、該会合体では、そのコアを形成する PDEA鎖が親水性のポリマー鎖であった ために、水中での会合力に乏しぐ会合体形状を不安定にする要因を有していた。ま た、コア部に金属を取り込むために、実質的に会合体形状を保持している中間層の 架橋密度を上げることができず、該会合体の保存安定性の向上には限界があった。
[0005] 安定したコアを有する分散体の例として、ポリスチレン粒子ゃポリメタクリル酸メチル 粒子表面にポリアリルアミンゃポリ(アミノエチルメタタリレートハイド口クロライド)等の アミノ基含有ポリマーをグラフトした高分子を用いた報告がある (例えば、非特許文献 2、及び 3参照。 )0しかし、該高分子によって形成される分散体は、主に溶媒中での 分散安定性に寄与する外殻であるシェル層に金属を取り込む。このことから、金属の 還元 '取り込みによって該シェル層のモルフォロジ一が変化することに起因して分散 安定性が不足するため、更なる改良が求められている。
[0006] 特許文献 1 :特開平 8— 027307号公報
非特許文献 1 : S. Liu, J. V. M. Weaver, M. Save, S. P. Armes, Langmuir, 2 002, 18, 8350.
非特許文献 2 H. Youk, Polymer, 2003, 44, 5053.
非特許文献 3 : G. Sharma, M. Ballauff, Macromolecular Rapid Communic ations, 2004, 25, 547.
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明が解決しょうとする課題は、高い保存安定性と、優れた分散安定性とを有す る金属ナノ粒子分散体とその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高 、分散性を有する セグメント、金属ナノ粒子を固定ィ匕したり、還元したりすることが可能なセグメント、及 び会合体の会合力を長く保持することに寄与するセグメント、の 3つのセグメントを有 する高分子化合物を用いる事によって、
溶媒中で安定な分散体が得られるため、該分散体中で金属ナノ粒子が安定して存 在でき、その結果求められる上記性能を有する金属ナノ粒子分散体が得られることを 見出し、本発明を完成させるに至った。
[0009] すなわち本発明の第一の態様は、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水性セグメント( b)と、疎水性セグメント (c)と、を有する高分子化合物 (X)の分散体と、金属ナノ粒子 (Y)と、を含有することを特徴とする金属ナノ粒子分散体である。
金属ナノ粒子 (Y)は、本発明が提供するポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水性セグ メント (b)と、疎水性セグメント (c)と、を有する高分子化合物 (X)が溶媒中で形成す る分散体中に、含有されることができる。
[0010] さらに本発明の第二の態様は、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水性セグメント (b) と、疎水性セグメント (c)とを有する高分子化合物 (X)を溶媒中で分散体とした後、金 属の塩又は金属のイオン溶液をカ卩え、金属イオンを還元し金属をナノ粒子 (Y)として 安定ィ匕することを特徴とする金属ナノ粒子分散体の製造方法である。
発明の効果
[0011] 本発明の金属ナノ粒子分散体は、ポリアルキレンィミン鎖の強い還元能力、配位結 合力、及び静電的な相互作用によって、金属イオンを還元するとともに、金属をナノ 粒子として複数の高分子化合物力もなる分散体中に固定ィ匕することが可能である。さ らに、ポリアルキレンィミンのこのような機能に伴って、該ポリアルキレンィミン鎖の収 縮等に伴う分散体のモルフォロジ一に変化が生じても、分散体を形成する高分子化 合物 (X)中の親水性セグメント (a)と疎水性セグメント (b)とが、使用される溶媒との高
、親和力と、前記セグメント間の相互作用によって生じる強 、会合力によって優れた 自己組織化能力とを発現するため、分散体としての分散安定性を損なうことがなぐ 溶媒中で長期に渡り安定な分散状態を保持できる。
[0012] また本発明の金属ナノ粒子分散体は、 1個の金属ナノ粒子を 1個の分散体中に保 持することも可能であるが、複数個の金属ナノ粒子を固定ィ匕することも可能であり、そ の量は容易に調整可能である。従って本発明の金属ナノ粒子分散体は、比表面積 が大きい、表面エネルギーが高い、及びプラズモン吸収を有する等の金属ナノ粒子 としての特徴と、自己組織化高分子分散体が有する分散安定性、及び保存安定性 等の性質とを、求められる要求に応じて効率よく発現できる。さらに本発明の金属ナ ノ粒子分散体は、導電性ペースト等として求められる、種々の化学的、電気的、及び 磁気的性能を兼備することができ、従って多岐にわたる分野、例えば触媒、電子材 料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用が可能で ある。
図面の簡単な説明
[0013] [図 1]実施例 7によって得られた銀ナノ粒子分散体の TEM写真である。
[図 2]実施例 10によって得られた銀ナノ粒子分散体の TEM写真である。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 本発明の金属ナノ粒子分散体は、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水性セグメント( b)と、疎水性セグメント (c)とを含有する高分子化合物 (X)が溶媒中で形成する分散 体中に、金属ナノ粒子 (Y)を含有するものである。
[0015] 本発明において使用する高分子化合物 (X)の一部を構成するポリアルキレンィミン 鎖 (a)は、該鎖中のアルキレンィミン単位が金属又は金属イオンと配位結合可能であ り、金属をナノ粒子として固定できる高分子鎖である。その構造は二級ァミンのアルキ レンイミン単位を主な繰り返し単位として含む。ポリアルキレンイミン鎖 (a)は直鎖状、 及び分岐状のいずれであっても良ぐ目的とする金属ナノ粒子分散体の粒径等によ つて、適宜選択すればよい。
[0016] 後述する金属ナノ粒子分散体の製造方法によって本発明の該分散体を得る場合、 その分散体の粒径は、用いる高分子化合物 (X)の分子量やポリアルキレンイミン鎖(
a)の分岐度だけではなぐその他の影響も受ける。例えば、該高分子化合物 (X)を 構成する各成分、即ち、ポリアルキレンイミン鎖 (a)、後述する親水性セグメント (b)、 及び後述する疎水性セグメント (c)の構造や組成比によっても影響を受ける。例えば 、同じ分子量のポリアルキレンイミン鎖 (a)である場合には、分岐度が小さいと得られ る分散体の粒径が大きぐ分岐度の向上に伴って粒径力 、さくなる傾向がある。なお 、金属ナノ粒子の含有率を上げるためには、分岐状のポリアルキレンイミン鎖であるこ とが好ましい。分散体を親水性溶媒中で製造及び保存する場合には、該溶媒中で 結晶性を示す直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を用いると、得られる金属ナノ粒子分散 体に特に優れた分散安定性と保存安定性を発現させることができる。
[0017] 一般に、市販されている分岐状ポリアルキレンイミンは、 3級ァミンによって分岐状と なっており、そのまま本発明で使用する高分子化合物 (X)の原料として用いる事がで きる。安定した分散性を保持できる望まし 、粒径の金属ナノ粒子分散体が得られる 点からは、分岐度を (3級ァミン) Z (全てのァミン)のモル比で示した場合、 1〜49Z 100の範囲であることが好ましぐ工業的な製造面、入手のし易さ等も鑑みるとより好 ましい範囲は 15〜40Z100である。
[0018] ポリアルキレンイミン鎖 (a)の重合度は特に限定されるものではな 、。しかしながら 低すぎると、高分子化合物 (X)の分散体中に含有する金属ナノ粒子の量やその安 定的な保持が不十分になり、高すぎると高分子化合物 (X)が巨大な会合体となるた め、保存安定性に支障をきたす場合がある。従って、得られる金属ナノ粒子分散体 中での金属ナノ粒子の固定ィ匕能力や、分散体の粒径の巨大化を防ぐ能力等がより 優れた金属ナノ粒子分散体を得るためには、前記ポリアルキレンイミン鎖 (a)の重合 度は、通常 1〜: LO, 000の範囲であり、 3〜3, 000の範囲であることが好ましぐ 5〜 1, 000の範囲であることがより好ましい。
[0019] 分岐状ポリアルキレンイミン鎖に比べ、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖は、同じ重合 度で比較した時、分子鎖の拡がりを示す排除体積が大きい。このため、直鎖状ポリア ルキレンィミン鎖の方が小さい重合度で十分な大きさの分散体を形成することが可能 である。逆に分岐状ポリアルキレンイミン鎖は同程度の排除体積を考えた時に、高い 重合度となる。よって直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を用いる場合の、その重合度は 5
〜300の範囲であることが特に好ましぐ分岐状ポリアルキレンイミンを用いる場合は 15〜1, 000の範囲であることが特に好ましい。
[0020] 前記ポリアルキレンイミン鎖 (a)は、一般的に巿販又は合成可能なものを、特に限 定されることなく使用することができる。工業的な入手の容易さ等から、ポリエチレンィ ミン鎖やポリプロピレンイミン鎖であることが好ましぐ特にポリエチレンイミン鎖である ことが好ましい。
[0021] 本発明にお 、て使用される高分子化合物 (X)の一部を構成する親水性セグメント( b)は、該高分子化合物 (X)を水等の親水性溶媒中に分散し分散体を形成した場合 には、溶媒との高い親和性を有し、分散安定性を保持する役割を有するセグメントで ある。また疎水性溶媒中に分散した場合は、該親水性セグメント (b)の分子内(高分 子化合物 1分子中に複数の親水性セグメントを有する場合の、該高分子化合物 1分 子内の親水性セグメント同士の会合力)又は分子間 (異なる高分子化合物間)の相互 の強い会合力により、分散体のコア(内心部)を形成する役割を有する。親水性セグ メン Hb)の重合度としては特に限定されるものではない。しかしながら、親水性溶媒 中に分散させる場合は、重合度が低すぎると分散安定性が悪化し、高すぎると分散 体同士が凝集してしまう可能性が考えられる。また疎水性溶媒中に分散させる場合 は、重合度が低すぎると分散体の会合力が乏しくなり、高すぎると溶媒との親和性を 保持できなくなる可能性がある。これらの観点から、親水性セグメント (b)の重合度は 、通常 1〜: LO, 000であり、 3〜3, 000であることが好ましぐ製造方法の容易さ等の 点から 5〜1, 000であることがより好ましい。さらにポリオキシアルキレン鎖である場合 の重合度としては、 5〜500であることが特に好まし 、。
[0022] 親水性セグメント (b)は一般的に市販される又は合成可能な親水性のポリマー鎖か らなるものを特に限定されることなく使用することができる。特に親水性溶媒中では、 安定性に優れた分散体が得られる点から、ノ-オン性のポリマー力もなるものである ことが好ましい。
[0023] 親水性セグメント(b)としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖やポリオキシプロピレ ン鎖等のポリオキシアルキレン鎖、ポリビュルアルコールや部分けん化ポリビュルァ ルコール等のポリビュルアルコール類からなるポリマー鎖、ポリヒドロキシェチルアタリ
レート、ポリヒドロキシェチルメタタリレート、ジメチルアミノエチルアタリレート、及びジメ チルアミノエチルメタタリレート等の水溶性のポリ(メタ)アクリル酸エステル類力もなる ポリマー鎖、ポリアセチルエチレンィミン、ポリアセチルプロピレンィミン、ポリプロピオ ニルエチレンィミン、及びポリプロピオ-ルプロピレンィミン等の親水性置換基を有す るポリアシルアルキレンイミン鎖、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、及 びポリビュルピロリドン等のポリアクリルアミド類力 なるポリマー鎖等を挙げることがで き、これらの中でも、安定性に特に優れた分散体が得られ、また、工業的入手が容易 である点から、ポリオキシアルキレン鎖であることが好まし!/、。
[0024] 本発明にお 、て使用する高分子化合物 (X)の一部を構成する疎水性セグメント (c )は、該高分子化合物 (X)を水等の親水性溶媒中に分散した場合には、分子内又は 分子間相互の強い会合力により、分散体のコアを形成し、安定な分散体を形成する 役割を有する。また疎水性溶媒中に分散した場合は、溶媒との高い親和性を有し、 分散体を形成した際の分散安定性を保持する役割を有するセグメントである。
[0025] 疎水性セグメント(c)は一般的に市販されている又は合成可能な疎水性の化合物 の残基力もなるものであれば特に限定されることなく使用することができる。例えば、 ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリクロロメチルスチレン、及びポリブロモメチルス チレン等のポリスチレン類、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル 酸 2—ェチルへキシル、及びポリメタクリル酸 2—ェチルへキシル等の非水溶性のポ リ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリベンゾィルエチレンィミン、ポリベンゾィルプロピレ ンィミン、ポリ(メタ)アタリロイルエチレンィミン、ポリ(メタ)アタリロイルプロピレンィミン 、ポリ〔N— {3—(パーフルォロォクチル)プロピオ-ル}エチレンィミン〕、及びポリ〔N {3—(パーフルォロォクチル)プロピオ-ル}プロピレンィミン〕等の疎水性置換基 を有するポリアシルアルキレンィミン類のポリマーの残基や、エポキシ榭脂、ポリウレタ ン、ポリカーボネート等の樹脂の残基等が挙げられる。単独の化合物の残基でも、 2 種以上の異なる化合物を予め反応させて得られる化合物の残基であっても良い。
[0026] 前記エポキシ榭脂としては、市販されている又は合成可能なものであれば特に限 定されることなく使用することができる。例えば、ビスフエノール A型エポキシ榭脂、ビ スフエノール F型エポキシ榭脂、ビフエ-ル型エポキシ榭脂、ナフタレン型エポキシ榭
脂、ナフタレン型 4官能エポキシ榭脂、テトラメチルビフエ-ル型エポキシ榭脂、フエノ 一ルノボラック型エポキシ榭脂、クレゾ一ルノボラック型エポキシ榭脂、ビスフエノール Aノボラック型エポキシ榭脂、トリフエ-ルメタン型エポキシ榭脂、テトラフエ-ルェタン 型エポキシ榭脂、ジシクロペンタジェン一フエノール付加反応型エポキシ榭脂、フエ ノールァラルキル型エポキシ榭脂、ナフトールノボラック型エポキシ榭脂、ナフトール ァラルキル型エポキシ榭脂、ナフトール フエノール共縮ノボラック型エポキシ榭脂、 ナフトールークレゾール共縮ノボラック型エポキシ榭脂、芳香族炭化水素ホルムアル デヒド榭脂変性フエノール榭脂型エポキシ榭脂、ビフエ二ルノボラック型エポキシ榭脂 、特開 2003— 201333号記載のキサンテン型エポキシ榭脂等が挙げられる。単独 で用いてもよぐ 2種以上を混合してもよい。これらの中でも、得られる金属ナノ粒子 分散体を導電ペーストとして用いた際に、基板との密着性に優れる等の観点から、ビ スフエノール A型エポキシ榭脂の残基であることが好ま U、。親水性溶媒中での会合 力が強ぐ分散安定性'保存安定性に優れる分散体が得られる点から、ナフタレン型 4官能エポキシ榭脂等の 3官能以上のエポキシ榭脂の残基であることが好ま U、。ま た、これらのエポキシ榭脂は、そのまま高分子化合物 (X)の原料としても良ぐ更には 目的とする高分子化合物 (X)の構造等に応じて、種々の変性を加えたものであって も良い。
前記ポリウレタンとしては、市販される、又は合成可能なものを特に限定されることな く使用することができる。一般にポリウレタンはポリオールとポリイソシァネートとを付カロ 反応させて得られるポリマーである。前記ポリオールとしては、例えば、プロピレンダリ コール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリゴール、ポリテトラメチレンエーテ ルグリコール、ポリエステルポリオール、ポリ力プロラタトンポリオール、ポリカーボネー トジオール、ビスフエノール A、ビスフエノール F、 4, 4'—ジヒドロキシビフエニル、 3, 3' , 5, 5,ーテトラメチルビフエ二ルー 4, 4'ージオール、フエノールノボラック、クレゾ 一ルノボラック、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、 n—へキサン ジオール、シクロへキサンジオール、メチルペンタンジオール、ポリブタジエンジポリ オール、トリメチロールプロパン、ジヒドロキシベンゼン、 2官能以上のグリシジル基を 有する化合物、及び上記エポキシ榭脂から変性した化合物等が挙げられ、単独でも
2種以上を混合して用いても良 、。
[0028] また、ポリイソシァネートとしては、例えば、ジフエ二ノレメタンジイソシァネート、トリレ ンジイソシァネート、キシリレンジイソシァネート、ビス(イソシァネートメチル)シクロへ キサン、へキサメチレンジイソシァネート、 1, 5—ナフチレンジイソシァネート、テトラメ チルキシレンジイソシァネート、イソホロンジイソシァネート、水添キシリレンジイソシァ ネート、ジシクロへキシノレメタンジイソシァネート、へキサメチンジイソシァネート、ダイ マー酸ジイソシァネート、ノルボルネンジイソシァネート、及びトリメチルへキサメチレ ンジイソシァネート等が挙げられ、単独でも、 2種以上を混合して用いても良い。
[0029] これらの中でも、得られる金属ナノ粒子分散体を導電ペーストとして用いた際に、無 機材料系又はハイブリッド系材料等力 なる種々の基盤との密着性に優れる等の観 点から、ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、及びビスフエノール A型ェポ キシ榭脂変性ポリオール等が好ましぐポリイソシァネートとしては、へキサメチレンジ イソシァネート、及びビス (イソシァネートメチル)シクロへキサン等がポリウレタンの製 造に使用されることが好まし 、。これら好ま 、原料を組み合わせて得られるポリウレ タンを用いる事が最も好ましい。また、これらのポリウレタンは、そのまま高分子化合 物 (X)の原料としても良ぐ更には目的とする高分子化合物 (X)の構造等に応じて、 種々の変性をカ卩えたものであっても良い。
[0030] 前記ポリカーボネート類としては、市販されている又は合成可能なものを特に限定 されることなく使用することができる。一般にポリカーボネートはビスフエノール Aとホス ゲン、又はジフエ-ルカーボネート等との縮合反応力も製造されるポリマーである。前 記ポリカーボネート類にぉ 、てポリカーボネートが代表例として挙げられる。ポリカー ボネート類の原料であるビスフエノール Aの代わりに、前記ポリウレタン類の原料であ るポリオールで例示した種々の原料を用いて製造できる種々のカーボネート系ポリマ 一も、ポリカーボネート類の例として挙げることができる。
[0031] これらの中でも、得られる金属ナノ粒子分散体を導電ペーストとして用いた際に、ポ リカーボネート基板をはじめとする種々の基盤との密着性に優れる等の観点から、ポ リカーボネートが好ましい。また、これらのポリカーボネート類は、そのまま高分子化合 物 (X)の原料としても良ぐ更には目的とする高分子化合物 (X)の構造等に応じて、
種々の変性をカ卩えたものであっても良い。
[0032] 以上に挙げた疎水性セグメント(c)のなかでも、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ェ ステル、エポキシ榭脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、疎水性の置換基を有するポリ ァシルアルキレンィミン力 選ばれる一種以上の化合物の残基は、原料として用いる それぞれの化合物の工業的入手容易性や取り扱いの容易さだけでなぐ高分子化 合物 (X)としたときの疎水性会合力の高さ等も含めて総合的に判断して、好ましい疎 水性セグメントである。特に高分子化合物 (X)の工業的製法に優れ、且つ、コスト面 、入手の容易さ等の観点から、ポリスチレン、ポリ (メタ)アクリル酸メチル、エポキシ榭 脂類、ポリウレタン類、及び Zまたはポリカーボネート類の残基であることがより好まし ぐエポキシ榭脂類の残基であることが最も好ましい。
[0033] また、疎水性セグメント (c)の重合度は特に限定されるものではな 、。しかしながら、 親水性溶媒中に分散させる場合は、重合度が低すぎると分散安定性が悪化し、高す ぎると分散体同士が凝集してしまう可能性が考えられる。また疎水性溶媒中に分散さ せる場合は、低すぎると分散体の分散性が乏しくなり、高すぎると溶媒との親和性が 保持できなくなる可能性がある。これらの観点から、疎水性セグメント (c)の重合度と しては通常 1〜10, 000である。また、ポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル 類、疎水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン類等の場合には 3〜3, 000で あることが好ましぐ 10〜: L, 000であることがより好ましい。また、エポキシ榭脂類、ポ リウレタン類、ポリカーボネート類等の樹脂の残基力もなる場合は、その重合度として は通常 1〜50であり、 1〜30であることが好ましぐ特に 1〜20であることが好ましい。
[0034] 本発明で用いる高分子化合物 (X)は、前述のポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水性 セグメント (b)と、疎水性セグメント(c)とが結合したィ匕合物である。その構造は任意で 選択してよいが、好ましくは、親水性セグメント (b)と疎水性セグメント(c)がポリアルキ レンイミン鎖 (a)に結合して 、る構造を有する。高分子化合物 (X)は、金属を金属ナ ノ粒子として分散体中に固定化し、溶媒中で分散安定性と保存安定性の高い分散 体を形成できる能力を有して!/ヽる。
[0035] 本発明で用いる高分子化合物 (X)の製造方法としては、特に限定されるものでは ない。しかしながら、設計どおりの高分子化合物 (X)を容易に合成可能である点から
、下記の方法によるものが好ましい。
[0036] ポリアルキレンイミン鎖は前述したとおり、市販された又は合成したものを好適に用 いることがでさる。
[0037] まず、分岐状ポリアルキレンイミン鎖を用いる場合について説明する。
本発明で使用できる分岐状ポリアルキレンィミン鎖の合成は種々な方法で行ってよ ぐ特に限定されるものではない。一般的方法としては、エチレンイミンを酸触媒を用 いて開環重合を行う方法が挙げられる。分岐状ポリエチレンィミンの末端は 1級ァミン となって!/、るため、親水性セグメント (b)及び疎水性セグメント(c)の前駆体が 1級アミ ンと反応する官能基を有したものであれば、逐次、或いは同時に反応させることによ つて、本発明で用いる事ができる高分子化合物を合成することができる。 1級ァミンと 反応する官能基としては、特に限定されるものではない。例えば、アルデヒド基、カル ボキシル基、イソシァネート基、トシル基、エポキシ基、グリシジル基、イソチオシァネ ート基、ハロゲン、酸クロライド、及びスルホン酸クロライド等が挙げられる。なかでも力 ルポキシル基、イソシァネート基、トシル基、エポキシ基、及びグリシジル基は、反応 性や取扱い易さ等の面で製法上有利であり、好ましい官能基である。
[0038] また 1級ァミンと直接反応する官能基でなくとも、種々の処理を行うことによって 1級 ァミンと反応可能な官能基にできるものを有して ヽれば好ましく使用できる。例えば、 前駆体がヒドロキシル基を有するものであれば、これをグリシジル化する等の手法を 用いて、その後ポリエチレンィミン鎖と反応させても良い。更には、分岐状ポリアルキ レンアミン鎖の 1級ァミンを、親水性セグメント (b)及び/または疎水性セグメント(c)の 前駆体が有する官能基と反応可能な他の官能基に変換する処理を施した後、これら を反応させて高分子化合物 (X)を合成することも可能である。
[0039] 更にまた、予め、分岐状ポリアルキレンィミン鎖とノ-オン性の親水性ポリマーとを反 応させて得られる化合物を水性媒体中に溶解又は分散し、ここに、ラジカル開始剤と 、疎水性セグメントを誘導するラジカル重合性モノマーとをカ卩え、ラジカル重合を行な うことによって、本発明で用いる高分子化合物 (X)の水分散体を得ることもできる。こ の手法は、過酸ィ匕物等のラジカル開始剤とアミノ基との相互作用等によりアミノ基に 発生したラジカル開始点より、或いは
ラジカル開始剤力 発生したラジカルがァミノ基への連鎖移動等によって、ァミノ基に 発生したラジカル開始点より、前記ラジカル重合性モノマーが重合することによって、 分岐状ポリアルキレンィミン鎖とノ-オン性の親水性ポリマーとを反応させて得られる 化合物に疎水性セグメントを導入するものである。ここで用いる事ができるラジカル重 合性モノマーとしては、例えば、スチレン、 2—メチルスチレン、 3—メチルスチレン等 のスチレン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、及び (メタ)アクリル 酸ブチル等の (メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。工業的入手容易性と、取り 扱い容易性の観点から、スチレン、(メタ)アクリル酸メチルを用いる事が好ましい。
[0040] 次に直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を用いる場合について説明する。
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖は、一般的にはポリアシルイ匕アルキレンイミン鎖をリビ ング重合によって合成したのち、加水分解する方法で得られるものである。本発明で 用いる高分子化合物 (X)が親水性セグメントと疎水性セグメントとを有するものである ことを考え、望ま 、合成順序を随時選択する方法を用いることが好ま 、。
[0041] 合成の順序は、用いる重合方法、使用する開始剤等重合条件によって異なる。直 鎖状の高分子化合物の一般的な合成例としては、リビング重合によって、まず疎水 性のポリマー鎖力もなるセグメントを合成し、続 、てポリアシルイ匕アルキレンイミン鎖を 、さらに親水性のポリマー鎖力もなるセグメントを、疎水性のポリマー鎖のセグメントに 結合する合成を行い高分子化合物を得た後、加水分解を行うことにより、ポリアルキ レンイミン鎖を有する高分子化合物 (X)を得る方法が挙げられる。
[0042] また別の方法としては、親水性のポリマー鎖力もなるセグメントを合成し、続 、てポリ ァシルイ匕アルキレンイミン鎖を、さらに疎水性のポリマー鎖力もなるセグメントを、親水 性のポリマー鎖のセグメントに結合する合成をして直鎖状の高分子化合物を得た後、 加水分解を行うことによりポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合物 (X)を得る方 法であっても良い。
[0043] 更に別の方法としては、以下の方法が挙げられる。リビングラジカル重合、 ATRP ( 原子移動ラジカル重合)、あるいはリビングカチオン重合等を用いることによって、リビ ング末端にハロゲン、及び Zまたはトシル基等の電子吸引性末端を有する、疎水性 のポリマー鎖力もなるセグメントとポリアシルイ匕アルキレンィミン鎖とを有する化合物を
合成する。次にこの得られた化合物に官能性基を有する親水性のポリマー鎖を縮合 させて、高分子化合物を合成し、この後加水分解を行うことによりポリアルキレンィミン 鎖を有する高分子化合物を得る方法等が挙げられる。
[0044] 更にタイプの異なる方法例として、例えば末端にハロゲン及び Zまたはトシル基等 の電子吸引性基を有する親水性ポリマーを開始剤に用い、リビングカチオン重合等 によって親水性ポリマーに結合するポリアシルイ匕アルキレンイミン鎖を合成し、リピン グ末端にハロゲン及び Z又はトシル基等の電子吸引性末端を有する、親水性のポリ マー鎖力もなるセグメントとポリアシルイ匕アルキレンィミン鎖とを有する化合物を得て、 その後、この化合物に末端に官能性基を有する疎水性の化合物を縮合させて、高分 子化合物を合成し、加水分解によりポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合物を 得る方法等が挙げられる。
[0045] リビング重合反応を用いて櫛型または星型の高分子化合物 (X)を合成する例を挙 げる。
複数個のハロゲン及び Zまたはトシル基等の電子吸引性基を有する疎水性の化合 物をリビング重合の開始剤とし、これにリビングカチオン重合を用いてグラフト重合さ せることにより、前記疎水性の化合物に複数のポリアシル化アルキレンイミン鎖を導 入する。続いて得られたィ匕合物のリビング末端に、同様にリビングカチオン重合を用 Vヽて親水性のポリマー鎖力もなるセグメントを導入することによって、櫛型又は星型の 高分子化合物を得た後、加水分解によりポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合 物 (X)を得ることができる。
[0046] リビング開始剤として用いる化合物は親水性のポリマー鎖であってもよい。その場 合は、前記親水性のポリマー鎖に結合するポリアシルイ匕アルキレンイミン鎖を合成後 、さらに続けて疎水性のポリマー鎖力 なるセグメントを導入することによって、高分子 化合物 (X)を得ることが出来る。
[0047] 上述した種々のリビング重合反応で使用できる開始剤は特に限定されるものではな い。例えば、一般例として ATRPの場合は、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、 1 (クロロェチル)ベンゼン、 1—(ブロモェチル)ベンゼン等、及び助触媒として塩 ィ匕銅、臭化銅等のような遷移金属ハライドと、ビビリジン、 4, 4,ージ(5 ノエル) 2
, 2,一ビピリジン、メチノレ 2—ブロモプロピオネート、ェチノレ 2—ブロモイソブチレート 等によって形成される錯体の使用などを挙げることができる。リビングカチオン重合の 場合は、臭化メチル、臭化工チル、メチルトシレート等が例として挙げられる。
[0048] 上述した縮合反応で使用される官能性基の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシ ル基、及びアミノ基等が挙げられ、塩基性ィ匕合物の存在下で反応を行うことができる 。用いる事ができる塩基性ィ匕合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化力リウ ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、ナトリウム t—ブトキシド、及びカリウム t ブトキシド等の有機塩基等が挙げられる。
[0049] 上述したようなリビング重合反応、あるいは縮合反応を行う際には、反応溶媒を用 いることもでき、一般的には非プロトン性溶媒を好ましく使用することができる。なかで も特に N, N ジメチルァセトアミド(DMA)、 N, N ジメチルホルムアミド(DMF)等 を用いる事が好ましい。
[0050] 高分子化合物 (X)の代表的な合成例 (I)〜 (VI)を記す。ただし本発明はこれらの 例のみに限定されるわけではない。
(I)分岐状ポリアルキレンィミンとしては市販品を用い、親水性ポリマーとしてはポリ エチレングリコールモノメチルエーテルのトシル体を用いる。該親水性ポリマーは、例 えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとトシルク口ライドを極性溶媒中、ピ リジンの存在下で反応させることによって得ることができる。疎水性ポリマーとしては、 末端にエポキシ基を有するエポキシ榭脂を用いる。この組み合わせの反応を行う場 合には、はじめにポリエチレンイミンを極性溶媒に溶解し、次に、炭酸カリウム等のァ ルカリ存在下で、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルのトシル体をカ卩え 1 oo°c で反応させ、ポリエチレングリコール部とポリエチレンィミン部とを含む構造を有する 化合物を合成する。この後、アセトンとメタノールとの混合溶媒中、エポキシ榭脂を加 えて、 60°Cで反応させることにより、ポリエチレングリコール ポリエチレンイミンーェ ポキシ榭脂の構造を有する高分子化合物を得ることができる。
[0051] (Π)分岐状ポリアルキレンィミンとしては市販品を用い、親水性ポリマーとしては、上 記(I)と同様にして得られるポリエチレングリコールモノメチルエーテルのトシル体を 用いる。疎水性ポリマーとしては、原子移動ラジカル重合 (ATRP)によって合成した
片末端を臭素化したポリスチレンを用いる。該ポリスチレンは、例えば、トルエン溶媒 中で、スチレンモノマーを、ビピリジンと、臭化銅、及び 1 ブロモェチルベンゼンの 存在下で、リビングラジカル重合することによって合成することが出来る。上記親水性 ポリマーと疎水性ポリマーの組み合わせの合成を行う場合には、まず片末端臭素化 ポリスチレンを極性溶媒に溶解し、水酸ィ匕ナトリウム等のアルカリで処理して、片末端 をヒドロキシルイ匕したポリスチレンとする。さらに極性溶媒中、トシルク口ライドをピリジ ンの存在下で反応させることによって、片末端トシルイ匕ポリスチレンとする。これを上 記 (I)と同様にして得たポリエチレングリコール部とポリエチレンィミン部とを含む構造 を有する化合物とともに、極性溶媒中、炭酸カリウム等のアルカリ存在下、 100°Cで 反応させることにより、ポリエチレングリコール ポリエチレンィミン一ポリスチレンの構 造を有する高分子化合物を得ることができる。
[0052] (III)スルホ-ル化したポリエチレングリコールモノメチルエーテルを重合開始剤とし て用いて、これに、 2—メチルォキサゾリンをジメチルァセトアミド中でリビングカチオン 重合させる。反応終了後、続けて 2—フエ-ルォキサゾリンをカチオンリビング重合さ せ、ポリエチレングリコールーポリアセチルエチレンイミンーポリべンゾィルエチレンィ ミンの構造を有する高分子化合物を得る。
[0053] さらにポリアセチルエチレンィミンセグメントを酸加水分解することにより、ポリエチレ ングリコール ポリエチレンィミン—ポリベンゾィルエチレンィミンの構造を有する高分 子化合物を得ることができる。
[0054] (IV)まず始めに、ベンジルブロマイド、臭化銅、及びビビリジンの共存下、トルエン 中で、スチレンモノマーを、原子移動ラジカル重合 (ATRP)を行い、片末端臭素化し たポリスチレンを合成する。これを重合開始剤として、これに 2—メチルォキサゾリンを ジメチルァセトアミド中でカチオンリビング重合させ、臭素末端のポリアセチルェチレ ンィミン部とポリスチレン部とを有する構造を有する化合物を得る。
[0055] 一方で、酢酸ビュルをジメチルァセトアミド中に入れ、ナトリウムメトキシドを用いて部 分的にァセチル基を加水分解する。その後、存在する ONa部分に対し当モル以 上の、臭素末端ポリアセチルエチレンィミン部とポリスチレン部とを有する構造を有す る化合物を含む反応溶液を導入し、ポリ酢酸ビニル—ポリアセチルエチレンィミン—
ポリスチレンの構造を有する高分子化合物を得る。さらに酸加水分解することにより、 ポリビュルアルコール ポリエチレンイミンーポリスチレンの構造を有する高分子化合 物を得ることが出来る。
[0056] (V)スルホ-ルイ匕したエポキシ榭脂を重合開始剤として用いて、これに 2—メチル ォキサゾリンをジメチルァセトアミド中でリビングカチオン重合させる。続いて 2—ェチ ルォキサゾリンをリビングカチオン重合させることによって、ポリプロピオニルエチレン イミンーポリアセチルエチレンイミンーエポキシ榭脂の構造を有する高分子化合物を 得る。さらにポリアセチルエチレンィミンセグメントをアルカリ加水分解することにより、 ポリプロピオニルエチレンィミン—ポリエチレンィミン—エポキシ榭脂の構造を有する 高分子化合物を得ることができる。
[0057] (VI)スルホ-ルイ匕したエポキシ榭脂を重合開始剤として用い、これに 2—メチルォ キサゾリンをジメチルァセトアミド中でリビングカチオン重合させる。さらにポリエチレン グリコールモノメチルエーテルを、上述で合成したコポリマーのトシル末端に反応させ 、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル ポリアセチルエチレンイミンーエポキシ 榭脂の構造を有する高分子化合物を得る。さらにポリアセチルエチレンイミンセグメン トを酸加水分解することにより、ポリエチレングリコール ポリエチレンイミンーェポキ シ榭脂の構造を有する高分子化合物を得ることができる。
[0058] 尚、エポキシ榭脂のスルホ -ル化や、エポキシ榭脂を用いるリビング重合や、ポリア セチルエチレンィミンセグメントの加水分解などの諸反応条件などは、例えば、特開 2
005— 307185号公報等に記載の方法に従えばよい。
[0059] 本発明で用いる高分子化合物 (X)中の、ポリアルキレンイミン鎖 (a)、親水性セグメ ント (b)、及び疎水性セグメント (c)の各部分の鎖を構成するポリマーの重合度の比( a): (b): (c)は、特に限定されるものではない。得られる金属ナノ粒子分散体の会合 力、分散安定性及び保存安定性に優れる点から、ポリアルキレンィミン鎖の重合度を 5000とした時、通常重合度の比は、 5, 000 : 5〜5, 000, 000 : 1〜5, 000, 000 " a): (b): (c) )の範囲である。特にポリアルキレンイミン鎖 (a)として直鎖状ポリアルキ レンイミン鎖を用 \ヽた場合【こ ίま、 5000 : 80〜: L, 000, 000 : 10〜3, 000, 000の it 率であることが好ましい。分岐状ポリアルキレンイミン鎖を用いた場合には、 5000 : 2
5〜400, 000 : 5〜1, 000, 000であること力 子まし!/、。
さらに直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を用いる場合には、直鎖状ポリアルキレンィミン 鎖の重合度を 5000とした時、親水性セグメント (b)として好ましい例であるポリオキシ アルキレン鎖を用いると、その比率の範囲は 80〜500, 000であることがより好ましく 、さらに、疎水性セグメント (c)にポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、あ るいは疎水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン類等を用いる場合は、その 比率の範囲は 50〜3, 000, 000であることがより好ましぐまたは、疎水性セグメント (c)にエポキシ榭脂類、ポリウレタン、あるいはポリカーボネート等の樹脂の残基等か らなる化合物を用いる場合は、その比率の範囲は 10〜50, 000であることがより好ま しい。
一方、分岐状ポリアルキレンィミン鎖の重合度を 5000とした時、親水性セグメント (b )に好ましい例であるポリオキシアルキレン鎖を用いる場合は、その比率の範囲は 25 -200, 000であることがより好ましぐさらに、疎水性セグメント(c)にポリスチレン類 、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは疎水性置換基を有するポリアシルアルキ レンイミン類等を用いる場合は、その比率の範囲は 15〜: L, 000, 000であることがよ り好ましぐまたは疎水性セグメント (c)にエポキシ榭脂類、ポリウレタン、ポリカーボネ ート等の樹脂の残基等力もなる化合物を用いると、その比率の範囲は 5〜20, 000 力 り好ましい。
なお高分子化合物 (X)の分子量は特に制限されるものではなぐ必要に応じて選 択できる。分子量は、上記各セグメントの重合度、及びポリアルキレンイミン鎖 (a)、親 水性セグメント (b)、疎水性セグメント (c)の比((a): (b): (c) )から導かくことができ、 各セグメントを構成する単量体の分子量によって、得られる高分子化合物 (X)の分子 量は変化する。敢えて表記するならば、一般的に用いられる高分子化合物 (X)の重 量平均分子量(Mw)は、 100〜2, 000, 000である。好まし <は 1, 000〜500, 00 0であり、 3, 000〜300, 000力より好まし!/ヽ。
本発明に使用する高分子化合物 (X)は、金属ナノ粒子を安定に存在させることが 出来るポリアルキレンイミン鎖 (a)とは別に、該化合物 (X)が溶媒中で会合体を形成 する際に、コア部又はシェル部を形成する親水性セグメント (b)及び疎水性セグメント
(c)を有する。上記したように、親水性セグメント (b)は、疎水性溶媒中では強い会合 力を示し、親水性溶媒中では溶媒と高い親和性を示すことができる。また、疎水性セ グメント (C)は、親水性溶媒中では強い会合力を示し、疎水性溶媒中では溶媒と高い 親和性を示すことができる。さらに、疎水性セグメント(C)中に芳香環を有する場合に は、該芳香環の有する π電子が金属ナノ粒子 (Υ)と相互作用し、さらに該金属ナノ 粒子 (Υ)を安定ィ匕することに寄与することが期待できる。
[0061] 本発明にお 、ては、このような金属を含有できる部分、コア形成部分及びシェル形 成部分を、構造中に個別に有する化合物 (X)を使用する。このような構造を有するこ とにより、金属ナノ粒子分散体を形成する際に、各種溶媒中でのコア部を形成するセ グメント相互の会合力の低下や、シェル部を形成するセグメントの収縮等が生じず、 その結果、分散体の安定性が金属ナノ粒子を含有させることにより阻害されることが ない。従って本発明の金属ナノ粒子分散体は、強い会合力により会合したコア部と、 溶媒への優れた分散安定性を示すシェル部とを有し、各種溶媒中で優れた保存安 定性を有するものである。
[0062] 本発明の金属ナノ粒子分散体に含まれ得る金属ナノ粒子 (Υ)を形成する金属種と しては、その金属又はイオンが、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と配位結合できるものであ れば、特に制限されない。例えば遷移金属系の金属化合物等も金属種として使用で きる。なかでも金属種はイオン性の遷移金属であることが好ましぐ銅、銀、金、 -ッケ ル、ノラジウム、白金、コバルト等の遷移金属であることがより好ましい。また本発明の 金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子 (Y)は一種類で構成されても、二種類 以上で構成されてもよい。例示した遷移金属の中でも、特に銀、金、パラジウム、及 び白金は、その金属イオンがポリエチレンィミンに配位した後、室温または加熱状態 におくことで自発的に還元されるため、特に好ましい。さらにその中でも還元反応の 容易さ、及び取扱い易さ等の面から、銀、金、及び白金が本発明で最も好ましく使用 される遷移金属である。
[0063] 本発明の金属ナノ粒子分散体中の金属ナノ粒子 (Y)の含有量としては、特に限定 されるものではない。し力しながら、含有量が少なすぎると分散体中の金属ナノ粒子 の特性が現れにくぐまた多すぎると分散体中の金属ナノ粒子の相対重量が増し、そ
の相対重量と分散体の分散保持力との兼ね合いによって、金属ナノ粒子分散体が 沈降することが予想される。これらの観点、ならびに、高分子化合物 (X)中のアルキ レンイミン単位による、還元能力や配位能力等の観点から、該金属ナノ粒子 (Y)の含 有率は、ポリアルキレンイミン鎖 (a)に含まれる全窒素原子 (原子の数換算)を 100m olとしたとき、金属ナノ粒子 (Y)の金属原子は通常 1〜20, OOOmolの範囲であり、 1 〜10, OOOmolの範囲であることが好ましい。特に、後述の製造方法において、還元 剤を併用する場合には、金属ナノ粒子 (Y)の金属原子含有率は、 50〜7, OOOmol 、還元剤を併用しない場合には、 5〜70molであることが好ましい。
[0064] 本発明の金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子 (Y)の粒子径は、特に限定 されるものではなぐ必要に応じて選択できる。しかしながら、金属ナノ粒子分散体が より高い分散安定性を有するためには、本発明の金属ナノ粒子分散体を構成する金 属ナノ粒子 (Y)の粒子径は、平均粒子径が l〜50nmの微粒子であることが好ましく 、 2〜40nmであることがより好ましぐ 5〜30nmの範囲であることがさらに好ましい。
[0065] 一般に数十 nmのサイズ領域にある金属ナノ粒子は、その金属種に応じて、表面プ ラズモン励起に起因する特徴的な光学吸収を有する。従って、本発明で得られる分 散体は、そのプラズモン吸収を測定することによって、該分散体中に、金属がナノメ 一トルオーダーの微粒子として存在していることが確認することが出来る。更には、該 分散体をキャストして得られる膜の TEM (透過電子顕微鏡)写真等にて、その平均粒 径ゃ分布幅等を観測することも可能である。
[0066] 本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法は、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と、親水 性セグメント (b)と、疎水性セグメント (c)とを有する化合物 (X)を分散した媒体中に、 金属の塩又は金属のイオン溶液をカ卩え、該金属イオンを還元し、金属ナノ粒子として 安定化させることを特徴とする。このようにして製造した金属ナノ粒子分散体は、分散 安定性、及び保存特性に優れる。さらにこの金属ナノ粒子分散体は、金属ナノ粒子 が有する発色、触媒、及び電気的機能等によって、様々な金属含有機能性分散体と して働き得る能力を有して 、る。
[0067] 本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法で用いる、ポリアルキレンイミン鎖 (a)と、 親水性セグメント (b)と、疎水性セグメント (c)とを有する高分子化合物 (X)は、前記し
た原料より、前述の手法によって調整できる。該化合物は、各種媒体中で、例えば、 水、親水性溶剤、あるいは疎水性溶剤中で、その媒体に応じた分散体を形成できる 。媒体として用いる事ができるものは、特に限定されるものではなぐ形成される分散 体は oZw系(水中油滴型系)であっても、 wZo系(油中水滴型系)のいずれでもよ い。本発明では、得られる金属ナノ粒子分散体の使用目的等に応じて、親水性溶媒 、疎水性溶媒、またはその混合溶媒、或いは後述するようなその他の溶媒を併用す る混合溶媒、を種々選択して用いる事ができる。混合溶媒を用いる場合は、混合比を 、 oZw系の時は親水性溶媒を多ぐ wZo系の時は疎水性溶媒を多くして用いるこ とが好ましい。混合比は用いる高分子化合物の種類によって異なるので、一概に限 定することはできない。し力しながら、一般的な目安としての例を挙げると、 oZw系 の時は疎水性溶媒の 5倍容量以上の親水性溶媒を用 、、 wZo系の時は親水性溶 媒の 5倍容量以上の疎水性溶媒を用いることが好まし 、。
[0068] 親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テ トラヒドロフラン、アセトン、ジメチルァセトアミド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコ ール、プロピレングリコール、エチレングリコーノレモノメチノレエーテル、プロピレングリ コーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、プロピレングリコー ルジメチルエーテル、ジメチルスルフォンォキシド、ジォキシラン、 N—メチルピロリド ン等を挙げることができ、これらは単独でも、あるいは 2種以上を混合して用いても良 い。
[0069] 疎水性溶媒としては、例えば、へキサン、シクロへキサン、酢酸ェチル、ブタノール 、塩化メチレン、クロ口ホルム、クロ口ベンゼン、ニトロベンゼン、メトキシベンゼン、トル ェン、キシレン等が挙げられ、これらは単独でも、あるいは 2種以上を混合して用いて も良い。
[0070] 親水性溶媒、或 、は疎水性溶媒と混合して用いることができるその他の溶媒として は、例えば、酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリ コーノレモノメチノレエーテノレアセテート、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレァセ テート等が挙げられ、得られる金属ナノ粒子分散体の使用用途等に応じて、適宜選 択して用いればよい。
[0071] 高分子化合物を媒体中に分散させて、分散体を調整する方法としては、特に限定 されず必要に応じて選択できる。通常、室温で静置、又は攪拌するなどによって、容 易に調整することが出来る。必要に応じて超音波処理や過熱処理等を行ってもよい 。また高分子化合物の結晶性等により、媒体とのなじみが低い場合には、例えば、高 分子化合物を少量の良溶媒で溶解又は膨潤させた後、目的とする媒体中へ分散さ せる方法などでもよい。このとき、超音波処理又は過熱処理を行うとより効果的である
[0072] 親水性溶媒と疎水性溶媒を混合して用いる場合は、その混合方法や混合順序等 特に制限を加える必要はなぐ必要に応じて種々の方法で行ってよい。用いる高分 子化合物の種類や組成等によって各種溶媒との親和性や分散性に違いが生じるこ とがあるので、目的に応じて、溶媒の混合比、混合順序、混合方法、及び混合条件 等を適宜選択することが好まし 、。
[0073] 本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法で用いることができる金属は上述した通 りである。実際に原料として用いる場合は、金属塩やイオン溶液の状態で使用するこ とが好ましい。ここで使用される金属イオンとしては、水溶性金属化合物によるもので あることが好ましぐ前記水溶性金属化合物としては、金属カチオンと酸基ァ-オンと による塩類、ある 、は金属が酸基のァ-オン中に含まれるものなどを用いることがで きる。遷移金属等の金属種を有する金属イオンを好ましく使用できる。なお、本発明 の説明において、金属イオンとは、その中に金属を含むイオンを意味する。
[0074] 本発明においては、遷移金属系イオンは、例えば、それが遷移金属カチオン (Mn+ )であっても、あるいはハロゲン類との結合力もなるァ-オン(ML n_)であっても、特 に問題の無い限り、錯体状態でポリアルキレンイミン鎖 (a)に好適に配位させることが できる。(上記 Mは金属原子を表し、 Lはハロゲンを表す。)なお、本明細書において 遷移金属とは、第 4〜 12族で第 4〜6周期にある遷移金属元素を指す。
[0075] 上記遷移金属カチオンの例としては、下記の遷移金属のカチオン(Mn+)、例えば 、 Cr, Co, Ni, Cu, Pd, Ag, Pt, Au等の一価、二価、三価または四価のカチオンな どが挙げられる。これら金属カチオンの使用可能な対ァ-オンとしては、例えば、 C1, NO , SO、またはカルボン酸類の有機ァ-オンが挙げられる。ただし、 Ag, Au, Pt
など、ポリエチレンィミン骨格により還元されやすいものは、 pHを酸性条件にする等 によって、還元反応を抑制することで、ポリアルキレンイミン鎖 (a)部の錯体を調製す ることが好ましい。
[0076] さらに、下記の金属が含まれたァ-オン(ML n")、例えば、 AgNO、 AuCl , PtCl χ 3 4
, CuF等の、金属がハロゲンに配位されたァ-オンも好適にポリアルキレンイミン鎖
4 6
(a)に錯体状態で配位させることができる。
[0077] これら金属イオンの中でも、上記したように、特に銀、金、パラジウム、または白金の 金属イオンは、ポリエチレンィミンに配位された後、室温または加熱状態で自発的に 還元され、非イオン性の金属ナノ粒子に変換されるため好ま 、。
[0078] また分散体に含有させる金属種を 2種類以上とすることも可能である。この場合は、 多種類の金属の塩またはイオンを同時に、または別々に、加えることによって、各分 散体がそれぞれ別々の金属を取り込み、あるいは、一つの分散体が 2種以上の互い に異なる金属を取り込み、分散体内で取り込まれた多種の金属イオンが還元反応を おこして、多種の金属粒子 (ナノ粒子)が生成される。この結果、多種金属を含有する 分散体を得ることが出来る。
[0079] 自発的に還元しない金属あるいは自発的な還元が不十分である金属を使用する場 合には、または、分散体中に多くの金属を取り込ませたい場合等には、更に還元剤 等を用いて金属イオンを還元させる工程を経ることにより、金属ナノ粒子分散体を形 成させることちでさる。
[0080] 前記還元剤としては、種々の還元剤を用いる事ができ、特に限定されるものではな い。得られる金属ナノ粒子分散体の使用用途や、含有させる金属種等により、好まし い還元剤を選択することが好ましい。用いる事ができる還元剤としては、例えば、水 素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニゥム等のホウ素化合物、メタノー ノレ、エタノーノレ、プロパノーノレ、イソプロピノレアノレコーノレ、エチレングリコーノレ、プロピ レングリコール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、ァセトアルデヒド、プロピオンァ ルデヒド等のアルデヒド類、ァスコルビン酸、クェン酸、クェン酸ナトリウム等の酸類、 プロピルァミン、ブチルァミン、ジェチルァミン、ジプロピルァミン、ジメチルェチルアミ ン、トリエチルァミン、エチレンジァミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノエタノール
、ジメチルァミノエタノール、トリエタノールァミン等のアミン類、及びヒドラジン、炭酸ヒ ドラジン等のヒドラジン類等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手のし易さ、取 扱い面等力 より好ましいものとしては、水素化ホウ素ナトリウム、ァスコルビン酸、ク ェン酸ナトリウム、メチルアミノエタノール、及びジメチルァミノエタノール等である。
[0081] 本発明の製造方法において、高分子化合物と金属の塩又はイオン溶液との使用割 合としては、特に限定されるものではないが、該高分子化合物のポリアルキレンィミン 鎖に含まれる全窒素原子 (数換算)を lOOmolとしたとき、金属原子として通常 1〜20 , OOOmolの範囲であり、 1〜10, OOOmolの範囲であることが好ましい。還元剤を併 用する場合には、特に 50〜7, OOOmol,還元剤を併用しない場合には、特に、 5〜 70molであることが好まし!/、。
[0082] 本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法においては、高分子化合物が分散して いる媒体と、金属の塩又はイオン溶液とを混合する方法としては、特に限定されない 。該高分子化合物が分散している媒体に、金属の塩又はイオン溶液を加える方法で あってもよぐあるいはその逆の方法でもよぐ或いは別の容器から同じ容器に同時に 投入しながら混合する方法でもよい。攪拌等の混合方法についても、特に限定され ない。
[0083] また、還元剤を併用する場合においても、その添加方法は限定されるものではなく 、例えば、還元剤をそのまま、又は水溶液やその他の溶媒に溶解及び Zまたは分散 させて、混合させることができる。また還元剤をカ卩える順序についても限定されること はなぐ例えば、予め高分子化合物の分散液に還元剤を添加しておいてもよぐある Vヽは金属の塩又はイオン溶液を混合するときに同時に還元剤を加えてもよく、さらに は、高分子化合物の分散液と金属の塩又はイオン溶液とを混合した後、数日或いは 数週間経過した後、還元剤を混合する方法であってもよ ヽ。
[0084] 本発明の製造方法で使用する金属の塩またはそのイオン溶液を、高分子化合物が 分散した媒体中にカ卩える時は、 OZW系または WZO系にかかわらず、そのまま、ま たは水溶液に調整して、加えることができる。前述したように、銀、金、パラジウム、及 び白金等の金属イオンは、共重合体中のアルキレンィミン単位に配位された後、室 温または加熱状態で自発的に還元される。このため、そのまま室温または加温して、
静置または攪拌することにより、金属ナノ粒子分散体を得ることが出来る。その他の 金属を用いる場合などに、必要に応じて還元剤を用いる場合においても、室温また は加温して、静置または攪拌することにより、目的の金属ナノ粒子分散体を得ること ができる。このとき、還元剤はそのままで使用すること、又は水溶液に調整して使用す ることが好ましい。加温する場合の温度としては、高分子化合物の種類や使用する金 属、媒体、及び還元剤の種類等の条件によって異なるが、一般的には 100°C以下、 好ましくは 80°C以下である。
[0085] 本発明の金属ナノ粒子分散体は、あらゆる媒体中で長期間安定に分散しているこ とが可能である。このため、その用途としては限定されるものではなぐ例えば、触媒、 電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等の、非常に 幅広い分野で使用可能である。含有させうる金属種やその割合も、容易に調整可能 である点から、目的に応じた効果を効率的に発現可能である。更に、長期にわたり安 定に分散している点力もも、長期使用 ·長期保存に対応でき、有用性が高い。また本 発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法は、複雑な工程や緻密な条件設定等をほと んど必要としな 、ため、工業的製法として優位性が高 、ものである。
実施例
[0086] 以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。尚、特に断わりがない限り「%」は「質量%」を表わす。
[0087] 尚、分子構造 ·物質名については以下のように省略形で示す。
[0088] PEI : ポリエチレンィミン
PEG : ポリエチレングリコーノレ
PEGM : ポリエチレングリコールモノメチルエーテル
PAEI : ポリアセチルエチレンィミン
PBEI : ポリベンゾィルエチレンィミン
PPEI : ポリプロピオニルエチレンィミン
PVAC : ポリビニノレアセテート
PVAL : ポリビュルアルコール
EP : エポキシ榭脂
BisAEP : ビスフエノール A型エポキシ榭脂
PSt : ポリスチレン
PMMA : ポリメタクリル酸メチル
MOZ : 2—メチルォキサゾリン
EOZ : 2—ェチルォキサゾリン
POZ : 2—フエニルォキサゾリン
DMA : N, N—ジメチルァセトアミド
[0089] 以下の実施例中、用いた機器類
'H-NMR:曰本電子株式会社製、 AL300、 300Hz
粒子径測定:大塚電子株式会社製、 FPAR- 1000
TEM写真:日本電子株式会社製、 JEM— 200CX (図 1)、 日本電子株式会社製、 JEM— 2200FS (図 2)
TGA測定: SIIナノテクノロジー株式会社製、 TG/DTA6300
プラズモン吸収スペクトル:日立製作所株式会社製、 UV- 3500
透析: Spectrum社製、 Spectra/Por RC透析チューブ、 MWCO3500 [0090] 高分子化合物の合成
合成例 1 PEG—直鎖 PEI— PBEI構造を有する高分子化合物 (X— 1)の合成 1 - 1 [ポリエチレングリコールのトシル化反応]
PEGM〔数平均分子量(Mn) 2000] 10g (5. lmmol)、クロ口ホルム 15g、及びピリ ジン 4g (51mmol)を混合した溶液に、トシルク口ライド 4. 9g (25. 5mmol)をクロロホ ルム 15gに溶解した溶液を加えた後、 40°Cで 4時間反応させた。反応終了後、クロ口 ホルムを 30g加えて希釈し、 2. 5molZLの塩酸 300gで 2回、 10%炭酸水素ナトリウ ム水溶液 300gで 2回、さらに水 300gで 2回、洗浄した。得られたクロ口ホルム溶液を 硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過した後、エバポレータで濃縮した。これをへキサ ン中に攪拌しながら加えて沈殿させ、真空乾燥した。収率は 81%であった。 XH-N MRスペクトルより各ピークの帰属を行い(2. 4ppm:トシル基中のメチル基、 3. 3pp m: PEGM末端のメチル基、 3. 6ppm: PEGの EG鎖、 7. 3〜7. 8ppm:トシル基中 のベンゼン環)、ポリエチレングリコールの片末端トシルイ匕を確認した。
[0091] 1 - 2 [リビングカチオン重合]
上記 1—1で得られた片末端トシルイ匕ポリエチレングリコール (以下、 PEG—Tsと略 記する。)を 1. 5g (0. 71mmol)、 MOZ3ml (34mmol)、及び DMA30mlを窒素雰 囲気下で混合し、密栓後、 100°Cで 22時間反応させた。続いて POZ4. 7g (34mm ol)を加え、密栓後、 100°Cで 111時間攪拌した。
[0092] 得られた反応溶液を冷却後、酢酸ェチル 150gとへキサン 150gの混合溶媒中に添 加し、沈殿させた。デカンテ―シヨン後、メタノール 15gに溶解させ、これを酢酸ェチ ル 150gとへキサン 150gの混合溶媒中に添カ卩し、再沈させ、ろ過後、 80°Cで真空乾 燥した。収率は 89%であった。
[0093] H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(2. lppm: PAEIのァセチル基
、 3. 4ppm: PAEIと PBEIの CH CH、 3. 6ppm: PEG、 7. 0〜7. 7ppm: PBEIの
2 2
ベンゾィル基)、これより、得られた生成物は PEG— PAEI— PBEI構造を有する高 分子化合物(1)であることを確認した。
[0094] 1 - 3 [酸加水分解反応]
上記 1—2で得られた高分子化合物(1) 1. 7g〔ァセチルエチレンィミンユニット(以 下、 AEIと略記): 5. 7mmol〕を、 5molZLの塩酸 3. 5g (HCl: 17. Immol)に分散 させ、 90°Cで 10時間反応させた。冷却後、反応溶液をアセトン 200g中に加え、生じ た沈殿をろ過し、水 10gに溶解した。再度アセトン 200g中に加えて再沈させ、ろ過し た。 60°Cで真空乾燥し、 PEG 直鎖 PEI (HCl)—PBEI構造を有する高分子化合 物を得た。収率は 90%であった。 H—NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い 、 2. lppmのァセチル基由来のピークが消失していること等で、生成物の構造を確 した 0
[0095] 1 -4 [アンモニア処理]
上記 1 3で得られた PEG 直鎖 PEI (HC1) PBEI構造を有する高分子化合物 1. 6gを水 5gに分散後、これを透析チューブに入れ、 0. 5%アンモニア水で透析後 、さらに引き続き水中で透析を行った。透析チューブより取り出した分散液にエタノー ルをカ卩えてエバポレータで溶媒を留去し、 80°Cで 15時間真空乾燥することによって 、 PEG 直鎖 PEI— PBEI構造を有する高分子化合物 (X— 1)を得た。
上記得られた高分子化合物(X—l) lOmg (エチレンィミンユニット: 0. O39mmol) を水 5g中に加温し分散させたところ、平均粒径が約 lOOnmの分散体が得られること を確認した。
[0096] 合成例 2 PEG— PEI— BisAEP構造を有する高分子化合物 (X— 2)の合成
2- 1 [EPのトシル化反応]
ビスフエノール A型エポキシ榭脂 EPICLON AM - 040— P (大日本インキ化学 工業株式会社製) 2g (エポキシ基: 7. 9mmol)、クロ口ホルム lOg、ピリジン 6. 2g (79 mmol)を混合した溶液に、トシルク口ライド 7. 5g (39. 5mmol)をクロ口ホルム 15gに 溶解した溶液を加えた後、 40°Cで 4時間反応させた。反応終了後、クロ口ホルムを 20 g加えて希釈し、 2. 5molZLの塩酸 lOOgで 2回、 10%炭酸水素ナトリウム水溶液 1 00gで 2回、さらに水 lOOgで 2回、洗浄した。得られたクロ口ホルム溶液を硫酸ナトリ ゥムを用いて乾燥し、ろ過した後、エバポレータで濃縮した。これをへキサン中に加え て沈殿させ、真空乾燥した。収率は 91%であった。 ^—NMRスペクトルより各ピー クの帰属(1. 6ppm:EPOP中の BisA骨格のメチル基、 2. 4ppm:トシル基中のメチ ル基、 6. 6〜7. 3ppm:EPOP中の BisA骨格のフエ-レンの水素、 7. 3〜7. 8ppm :トシル基中のベンゼン環)を行 、、エポキシ榭脂のトシル化を確認した。
[0097] 2- 2 [MOZのリビングカチオン重合]
上記 2—1で得られたトシル化 BisA型 EP (以下、 BisAEP—Tsと記す)を0. 30g (ト シル基: 0. 71mmol)、 MOZ3ml (34mmol)、及び DMA30mlを窒素雰囲気下で 混合し、密栓後、 100°Cで 86時間攪拌した。
[0098] 2- 3 [PEGの縮合反応]
2— 2で得られた上記反応溶液に PEGM (Mn2000) 2. 78g (l. 42mmol)と炭酸 カリウム 0. 49g (3. 55mmol)を加えた後、 100°C、 48時間反応させた。該反応溶液 を酢酸ェチル Zへキサン = lZl (wtZwt)混合溶液中に再沈、洗浄し、ろ過後、 80 °Cで真空乾燥した。
[0099] NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(1. 6ppm: BisAEPのメチル基 、 2. lppm: PAEIのァセチル基、 3. 4ppm: PAEIの CH CH、 3. 6ppm: PEG、 7
2 2
. 0〜7. 7ppm: BisAEPのフエ-ル基)、これより、 PEG— PAEI— BisAEP構造を
有する高分子化合物であることを確認した。
[0100] 2-4 [酸加水分解反応]
上記 2— 3で得られた PEG— PAEI Bis AEP構造を有する高分子化合物 2. Og ( AEI : 15. 2mmol)を、 5molZLの塩酸 4. 57g (HCl: 22. 8mmol)に分散させ、 90 °Cで 10時間反応させた。冷却後、反応溶液をアセトン 100g中に加えた。生じた沈殿 をろ過し、水 10gに溶解した。再度アセトン 100g中に加えて再沈させ、ろ過した。 80 °Cで真空乾燥することによって、 PEG 直鎖 PEI (HCl)— Bis AEP構造を有する高 分子化合物を得た。収率は 92%であった。 ¾— NMRスペクトルにより各ピークの帰 属を行い、 2. lppmのァセチル基由来のピークが消失していることより生成物の構造 を確認した。
[0101] 2- 5 [アンモニア処理]
上記 2— 4で得られた PEG 直鎖 PEI (HC1) BisAEP構造を有する高分子化合 物を水 5gに溶かし、 0. 5%アンモニア水で透析した。引き続き水中で透析を行い、 5 回水を取替えた。この後、得られた分散液にエタノールを加えてエバポレータで溶媒 を留去し、 80°Cで 15時間真空乾燥することにより、 PEG 直鎖 PEI— BisAEP構造 を有する高分子化合物 (X— 2)を得た。
[0102] 合成例 3 PPEI 直鎖 PEI— BisAEP構造を有する高分子化合物 (X— 3)の合成 3- 1 [EPのトシル化反応]
合成例 2—1と同様にして、 BisAEP— Tsを得た。
[0103] 3- 2 [MOZと EOZのリビングカチオン重合]
上記で得られた BisAEP— Tsを 0. 30g (トシル基: 0. 71mmol)、 MOZ3ml (34m mol)、及び DMA30mlを、窒素雰囲気下で混合し、密栓後、 100°Cで 86時間反応 させた。冷却後、これに EOZ4. 7g (34mmol)をカ卩え、密栓後、 100°Cで 91時間攪 拌した。得られた反応溶液を、酢酸ェチル 150gとへキサン 150gの混合溶媒中に添 加し、沈殿させた。デカンテーシヨン後、得られた沈殿物 10gのメタノールに溶解させ 、再度酢酸ェチル 150gとへキサン 150gの混合溶媒中に添カ卩し、再沈させた。これ をろ過後、 80°Cで真空乾燥した。収率は 94%であった。
[0104] H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(1. lppm: PPEIのメチル基、 2
. lppm: PAEIのァセチル基、 2. 4ppm: PPEIの CH、 3. 4ppm: PPEIと PAEIの
2
CH CH、 7. 0〜7. 7ppm: BisAEPのフエ-ル基)、これより、 PPEI— PAEI— Bis
2 2
AEP構造を有する高分子化合物であることを確認した。
[0105] 3- 3 [酸加水分解反応]
上記 3— 2で得られた PPEI— PAEI BisAEP構造を有する高分子化合物 2. Og ( AEI : 15. 3mmol)を、 5molZLの塩酸 4. 59g (HCl: 22. 9mmol)に分散させ、 90 °Cで 10時間攪拌した。
[0106] 冷却後、反応溶液をアセトン 100g中に加え、生じた沈殿をろ過し、さらに水 10gに 溶解した。この溶液に、再度アセトン 100g中に加えて再沈させ、ろ過後、 80°Cで真 空乾燥することにより、 PPEI 直鎖 PEI (HCl)— BisAEP構造を有する高分子化合 物を得た。収率は 85%であった。尚、 H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を 行い、 2. lppmのァセチル基由来のピークが消失していることより生成物の構造を確 した 0
[0107] 3-4 [アンモニア処理]
上記 3 - 3で得られた PPEI -直鎖 PEI (HC1) - BisAEP構造を有する高分子化合 物を全て水 5gに溶力した溶液を、 0. 5%アンモニア水で透析した、引き続き水中で 透析を行い、 5回水を取替えた。この後、得られた分散液にエタノールをカ卩えてエバ ポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥することにより、 PPEI 直 鎖 PEI— BisAEP構造を有する高分子化合物 (X— 3)を得た。
[0108] 合成例 4 PVAL 直鎖 PEI— PBEI構造を有する高分子化合物 (X— 4)の合成 4- 1 [PBEI— PAEI— Ts構造を有する高分子化合物の合成]
メチルトシレート 0. 127g (0. 68mmol)、 POZ4. 7ml(34mmol)、及び DMA30 mlを、窒素雰囲気下で混合した。密栓後、 100°Cで 22時間反応させた。冷却後、 M OZ3. 0ml (34mmol)を加えた。密栓後、 100°Cで 111時間反応した。得られた反 応溶液は冷却後、酢酸ェチル 150gとへキサン 150gの混合溶媒中に添加し、沈殿さ せた。デカンテーシヨン後、 10gのメタノールに溶解させた。再度酢酸ェチル 150gと へキサン 150gの混合溶媒中に添加し、再沈させ、ろ過後、 80°Cで真空乾燥した。収 率は 81%であった。
[0109] H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(2. lppm: PAEIのァセチル基 、 3. 4ppm: PBEIと PAEIの CH CH、 7. 0〜7. 7ppm: PBEIのベンゾィル基)、こ
2 2
れより、 PBEI - PAEI—Ts構造を有する高分子化合物であることを確認した。
[0110] 4- 2 分けん化 PVAcと PAEI— PBEI— Ts構造を有する高分子化合物との縮 合反応]
PVAc (Mwl2800) 15. 8g (ァセチル基: 184mmol)を DM A3 Omlに溶解した溶 液に、酢酸ナトリウム 1. 97g (9. 19mmol)を 20分で滴下した後、続けて 0. 5時間反 応させた。これに、上記 4 1で合成した PBEI— PAEI— Ts構造を有する高分子化 合物 5. 4g (Ts : 0. 45mmol)を DMAlOmlに溶解した溶液を 20分かけて滴下した 後、 50°Cで 12時間反応させた。
[0111] 得られた反応溶液を冷却後、酢酸ェチル lOOgとへキサン 200gの混合溶媒中に添 加し、沈殿させた。デカンテーシヨン後、 15gのメタノールに溶解させ、再度酢酸ェチ ル lOOgとへキサン 200gの混合溶媒中に添カ卩し、再沈させ、ろ過後、 80°Cで真空乾 燥した。収率は 94%であった。
[0112] H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(1. 9ppm: PVACのァセチルォ キシ基、 2. 2ppm: PAEIのァセチル基、 3. 4ppm: PAEIと PBEIの CH CH、 4. 8
2 2 ppm: PVAC主鎖の CH、 7. 0〜7. 7ppm: PBEIのベンゾィル基)、これより、得られ た生成物が PVAC— PAEI PBEI構造を有する高分子化合物であることを確認し た。
[0113] 4- 3 [酸加水分解反応]
上記 4 2で得られた PVAC— PAEI PBEI構造を有する高分子化合物 19gを 5 molZLの塩酸 80g中に分散させた後、 90°Cで 6時間反応させた。
[0114] 冷却後、反応溶液をアセトン lOOg中に加え、生じた沈殿をろ過し、水 10gに溶解し た。再度アセトン lOOg中にカ卩えて再沈させ、ろ過後、 80°Cで真空乾燥することによ つて、 PVAL 直鎖 PEI (HCl)—PBEI構造を有する高分子化合物を得た。収率は
82%であった。
[0115] H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い、 2. 2ppmァセチル基由来のピ ークの消失、 4. 8ppmPVAC主鎖 CH由来のピークの消失、 3. 8ppmPVAL主鎖 C
H由来のピーク強度の増大等により、 PVAL 直鎖 PEI (HCl)— PBEI構造を有す る高分子化合物であることを確認した。
[0116] 4-4 [アンモニア処理]
上記 4 3で得られた PVAL 直鎖 PEI (HC1)— PBEI構造を有する高分子化合 物 8. 6gを水 5gに溶かし透析チューブに入れ、 0. 5%アンモニア水で透析後、引き 続き水中で透析を行い、 5回水を取替えた。この後、透析チューブより取り出した分 散液にエタノールをカ卩えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空 乾燥することにより、 PVAL 直鎖 PEI— PBEI構造を有する高分子化合物 (X— 4) を得た。
[0117] 合成例 5 PEG 分岐 PEI— BisAEP構造を有する高分子化合物 (X— 5)の合成 5- 1 [トシル化ポリエチレングリコールの合成]
クロ口ホルム 150mlに PEGM〔数平均分子量(Mn) 5000〕(アルドリッチ社製) 150 g〔30mmol〕とピリジン 24g (300mmol)とを混合した溶液と、トシルク口ライド 29g ( 150mmol)とクロ口ホルム 30mlとを均一に混合した溶液をそれぞれ調製した。
[0118] PEGMとピリジンの混合溶液を 20°Cで攪拌しながら、ここにトシルク口ライドのトル ェン溶液を滴下した。滴下終了後、 40°Cで 2時間反応させた。反応終了後、クロロホ ルム 150ml加えて希釈し、 5%HC1水溶液 250ml (340mmol)で洗浄後、飽和食塩 水と水で洗浄した。得られたクロ口ホルム溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後、 エバポレータで溶媒を留去し、さらに乾燥した。収率は 100%であった。 'H-NMR スペクトルにより各ピークの帰属を行い(2. 4ppm:トシル基中のメチル基、 3. 3ppm: PEGM末端のメチル基、 3. 6ppm: PEGの EG鎖、 7. 3〜7. 8ppm:トシル基中のベ ンゼン環)、トシルイ匕ポリエチレングリコールであることを確認した。
[0119] 5- 2 [PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物の合成]
上記 5—1で得られたトシル化ポリエチレングリコール 23. 2g (4. 5mmol)と、分岐 状ポリエチレンィミン(曰本触媒株式会社製、ェポミン SP200) 15. 0g (l. 5mmol) を DMA180mlに溶解後、炭酸カリウム 0. 12gをカ卩え、窒素雰囲気下、 100°Cで 6時 間反応させた。反応終了後、固形残渣を除去し、酢酸ェチル 150mlとへキサン 450 mlの混合溶媒をカ卩え、沈殿物を得た。該沈殿物をクロ口ホルム 100mlに溶解し、再
度酢酸ェチル 150mlとへキサン 450mlの混合溶媒を加えて再沈させた。これをろ過 し、減圧下で乾燥した。 H— NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(2. 3〜2 . 7ppm:分岐 PEIのエチレン、 3. 3ppm: PEG末端のメチル基、 3. 6ppm: PEGの E G鎖)、 PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物であることを確認した。収率は 9 9%であった。
[0120] 5- 3 [エポキシ榭脂の変性]
EPICLON AM— 040— P 37. 4g (20mmol)、 4 フエ-ルフエノール 2. 72g ( 16mmol)を DM A 100mlに溶解後、 65%酢酸ェチルトリフエ-ルホスホ-ゥムェタノ ール溶液 0. 52mlを加え、窒素雰囲気下、 120°Cで 6時間反応させた。放冷後、多 量の水中に滴下し、得られた沈殿物をさらに多量の水で洗浄した。得られた沈殿物 をろ過後に減圧乾燥し、変性ビスフエノール A型エポキシ榭脂を得た。得られた生成 物の収率は 100%であった。
[0121] NMR測定を行いエポキシ基の積分比を考察した結果、ビスフエノール A型ェ ポキシ榭脂 1分子にエポキシ環は 0. 95個残っており、得られた変性エポキシ榭脂は 、ビスフエノール A骨格を有する単官能性のエポキシ榭脂であることを確認した。
[0122] 5-4 [高分子化合物 (X— 5)の合成]
上記 5— 2で得られた PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物 20g (0. 8mmol )をメタノール 150mlに溶解した溶液に、上記 5— 3で得られたビスフエノール A型の 単官能性エポキシ榭脂 4. 9g (2. 4mmol)をアセトン 50mlに溶解した溶液を、窒素 雰囲気下で滴下後、 50°Cで 2時間攪拌することで反応を行った。反応終了後、減圧 下で溶媒を留去し、さらに減圧乾燥することにより、 PEG 分岐状 PEI— BisAEP構 造を有する高分子化合物 (X— 5)を得た。収率は 100%であった。
[0123] 上記 5— 4で得られた高分子化合物 (X— 5) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散 させた。その溶液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 110 nmの分散体であり、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0124] 合成例 6 PEG 分岐 PEI ナフタレン EP構造を有する高分子化合物 (X— 6)の 合成
6- 1 [トシル化ポリエチレングリコールの合成]
クロ口ホルム 100mlに PEGM〔Mn2000〕(アルドリッチ社製) 100g〔50mmol〕とピ リジン 40g (500mmol)とを混合した溶液と、トシルク口ライド 48g (250mmol)とクロ口 ホルム 150mlとを均一に混合した溶液をそれぞれ調製した。
[0125] PEGMとピリジンの混合溶液を 20°Cで攪拌しながら、ここにトシルク口ライドのトル ェン溶液を滴下した。滴下終了後、 40°Cで 2時間反応させた。反応終了後、クロロホ ルム 200ml加えて希釈し、 5%HC1水溶液 420ml (570mmol)で洗浄後、飽和食塩 水と水で洗浄した。得られたクロ口ホルム溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後、 エバポレータで溶媒を留去し、さらに乾燥した。収率は 100%であった。 'H-NMR スペクトルにより各ピークの帰属を行い(2. 4ppm:トシル基中のメチル基、 3. 3ppm: PEGM末端のメチル基、 3. 6ppm: PEGの EG鎖、 7. 3〜7. 8ppm:トシル基中のベ ンゼン環)、トシルイ匕ポリエチレングリコールであることを確認した。
[0126] 6- 2 [PEG—分岐 PEI構造を有する高分子化合物の合成]
上記 6— 1で得られたトシル化ポリエチレングリコール 14. 9g (6. 9mmol)と、分岐 状ポリエチレンィミン〔アルドリッチ社製、重量平均分子量(Mw) 25000〕 57. 5g (2. 3mmol)とを DMA300mlに溶解後、炭酸カリウム 0. 24gを加え、窒素雰囲気下、 1 00°Cで 6時間反応させた。反応終了後、固形残渣を除去し、酢酸ェチル 250mlとへ キサン 750mlの混合溶媒を加え、沈殿物を得た。該沈殿物をクロ口ホルム 150mlに 溶解し、再度酢酸ェチル 250mlとへキサン 750mlの混合溶媒をカ卩えて再沈させた。 これをろ過し、減圧下で乾燥した。 ¾— NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い (2. 3〜2. 7ppm:分岐 PEIのエチレン、 3. 3ppm: PEG末端のメチル基、 3. 6ppm : PEGの EG鎖)、 PEG—分岐 PEI構造を有する高分子化合物であることを確認した 。収率は 99%であった。
[0127] 6— 3 [エポキシ榭脂の変性]
ナフタレン型 4官能エポキシ榭脂 EPICLON HP— 4700 (大日本インキ化学工業 株式会社製) 44. 5g (80mmol)、 4—フエ-ルフエノール 29. 9g (176mmol)を DM A200mlに溶解後、 65%酢酸ェチルトリフエ-ルホスホ -ゥムエタノール溶液 1. 36 mlを加え、窒素雰囲気下、 120°Cで 6時間反応させた。放冷後、水 150ml中に滴下 し、得られた沈殿物をメタノールで 2回洗浄した後、 60°Cで減圧乾燥し、変性ナフタ
レン型エポキシ榭脂を得た。収率は 100%であった。
[0128] NMR測定を行いエポキシ基の積分比を考察した結果、ナフタレン型 4官能ェ ポキシ榭脂 1分子中にエポキシ環は 0. 99個残っており、単官能性のナフタレン型ェ ポキシ榭脂であることを確認した。
[0129] 6-4 [高分子化合物 (X— 6)の合成]
上記 6— 2で得られた PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物 4. 65g (0. 5m mol)をメタノール 40mlに溶解した溶液に、上記 6— 3で得られたナフタレン骨格の 単官能性エポキシ榭脂 1. 16g (l. lmmol)をアセトン 15mlに溶解した溶液を、窒素 雰囲気下で滴下後、 50°Cで 2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、減圧下で 溶媒を留去し、さらに減圧乾燥することにより、 PEG 分岐 PEI ナフタレン EP構造 を有する高分子化合物 (X— 6)を得た。収率は 100%であった。
[0130] 上記 6— 4で得られた高分子化合物 (X— 6) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散 させた。その分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 1 lOnmの分散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0131] 合成例 7 PEG 分岐 PEI— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 7)の合成
合成例 5— 2で得られた PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物 1. 22g (0. 0 49mmol)を水 44gに溶解した溶液に、 2mol/Lの塩酸 1. 9gとスチレンモノマー 1. 92g (18. 4mmol)とを加え、窒素雰囲気下、 80°Cで攪拌しながら、さらに 70%t— ブチルハイド口パーオキサイド (TBHP) O. 45g (5. Ommol)を加え、 2時間反応させ た。冷却後、透析により精製し、 PEG 分岐 PEI— PSt構造を有する高分子化合物 ( X— 7)の水分散体を得た。収率は 100%であった。
[0132] 上記合成例 7で得られた高分子化合物 (X— 7)の水分散体を用いて、粒径分布状 態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 121nmの分散体であり、水中で良好 にミセルを形成して 、ることを確認した。
[0133] 合成例 8 PEG 分岐 PEI ポリプロピレングリコール骨格ウレタン構造を有する高 分子化合物 (X— 8)の合成
8- 1 [PEG 分岐 PEI構造を有する高分子化合物 (X— 8)の合成]
合成例 5—1において、 PEGM〔Mn2000〕(アルドリッチ社製)を 60g〔30mmol〕と
したこと以外は、合成例 5—1と同様にしてトシルイ匕ポリエチレングリコールを得た。こ の後、このトシル化ポリエチレングリコール 9. 7g (4. 5mmol)を用いたこと以外は、 合成例 5— 2と同様にして PEG—分岐 PEI構造を有する高分子化合物を得た。
[0134] 8- 2 [ポリプロピレングリコール(PG)骨格ウレタンの合成]
ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル EPICLON 705 (大日本インキイ匕 学工業株式会社製) 20. lg (50mmol)に、ジブチルァミン 13. Og (lOlmmol)を窒 素雰囲気下、 70°C、 0. 5時間で滴下した後、 90°Cで 7時間反応させ、両末端ジブチ ルァミノ PG反応溶液を得た。次に、ジイソシァネート 19. 4g (100mmol)、ォクチル 酸スズ 0. 04g (0. lmmol)、及びクロ口ホルム 80gの混合溶液中に、上記合成した 両末端ジブチルァミノ PG反応溶液を、 40°C、 0. 5時間で滴下した後、 50°Cで 5時間 付加反応させた。さらにシクロへキサンメタノール 5. 7g (50mmol)を 40°C、 20分で 滴下した後、 50°Cで 5時間付加反応させ、ポリプロピレングリコール骨格ウレタンの溶 液を得た。
[0135] 8- 3 [高分子化合物 (X— 8)の合成]
上記 8— 1で得られた PEG—分岐 PEI構造を有する高分子化合物 16. Og (lmmol )をクロ口ホルム 30mlに溶解した溶液に、上記 8— 2で得られたポリプロピレングリコ ール骨格ウレタンの溶液 2. 76g (2mmol)をクロ口ホルム 10mlに溶解した溶液を、 窒素雰囲気下、 10分で滴下後、 40°Cで 2時間攪拌しながら反応させた。反応終了 後、水とアセトンが 1対 1 (体積比)の混合溶剤 340gを加え、減圧下でクロ口ホルムと アセトンを留去し、 PEG -分岐 PEI -ポリプロピレングリコール骨格ウレタン構造を有 する高分子化合物 (X— 8)の水分散体を得た。収率は 100%であった。
[0136] 上記で得られた高分子化合物 (X— 8)の水分散体 10mlを用いて、粒径分布状態 を光散乱法により測定したところ、平均粒径 107nmの分散体であり、水中で良好にミ セルを形成して 、ることを確認した。
[0137] 合成例 9 PEG—分岐 PEI—ポリカーボネート骨格ウレタン構造を有する高分子化 合物 (X— 9)の合成
9- 1 [ポリカーボネート骨格ウレタンの合成]
ジイソシァネート 19. 4g (100mmol)、ォクチル酸スズ 0. 04g (0. lmmol)、及び
クロ口ホルム 100gの混合溶液に、ポリカーボネートジオール 49. 0g (50mmol)を窒 素雰囲気下、 40°C、 0. 5時間で滴下した後、 50°Cで 5時間付加反応させ、両末端ィ ソシァネートウレタンの反応溶液を得た。次に、合成した両末端イソシァネートウレタ ン反応溶液にシクロへキサンメタノール 5. 7g (50mmol)を 40°C、 20分で滴下した 後、 50°Cで 5時間付加反応させ、片末端イソシァネートポリカーボネート骨格ウレタン 反応溶液を得た。
[0138] 9- 2 [高分子化合物 (X— 9)の合成]
合成例 8— 1で得られた PEG—分岐 PEI構造を有する高分子化合物 16. Og ( lm mol)をクロ口ホルム 30mlに溶解した溶液に、上記合成 9— 1より得られた片末端イソ シァネートポリカーボネート骨格ウレタン反応溶液 7. Og (2mmol)をクロ口ホルム 10 mlに溶解した溶液を、窒素雰囲気下、 10分で滴下後、 40°Cで 2時間攪拌しながら 反応させた。反応終了後、水とアセトンが 1対 1 (体積比)の混合溶剤 340gを加え、減 圧下でクロ口ホルムとアセトンを留去し、 PEG—分岐 PEI—ポリカーボネート骨格ウレ タン構造を有する高分子化合物 (X— 9)の水分散体を得た。収率は 100%であった
[0139] 上記 9— 2で得られた高分子化合物 (X— 9)の水分散体 10mlを用いて、粒径分布 状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 112nmの分散体であり、水中で良 好にミセルを形成して 、ることを確認した。
[0140] 合成例 10 PEG—直鎖 PEI (HCl)—テトラキスフエノールェタン型 EP構造を有す る高分子化合物 (X— 10)の合成
10- 1 [側鎖にヒドロキシル基を有する変性エポキシ榭脂の合成]
テトラキスフエノールェタン型エポキシ榭脂 jER1031S [テトラキス(グリシジルォキ シァリル)ェタン] 9. 8g (50m当量、エポキシ当量 196)、 4—フエ-ルフエノール 11. 9g (70mmol)、 65%酢酸ェチルトリフエ-ルホスホ -ゥムエタノール溶液 0. 21ml (0 . lmol%)及び DMA40mlを、窒素雰囲気下、 160°Cで 4時間反応させた。放冷後 、水 100ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで 2回洗浄した後、 70°Cで減圧 乾燥して、ビフエ-レン型の側鎖にヒドロキシル基を有する変性エポキシ榭脂を得た 。得られた生成物の収量は 17. 6g、収率は 96%であった。 H—NMRスペクトルに
より各ピークの帰属を行い生成物の構造を確認した。(δ (ppm) : 7. 53-7. 25 (m) , 7. 13〜6. 60 (m) , 4. 50〜3. 75 (m) )
[0141] 10- 2 [変性エポキシ榭脂のスルホ-ルイ匕反応合成]
上記 10— 1で合成した側鎖にヒドロキシル基を有するビフエ-レン型の変性ェポキ シ榭脂 9. 15g (25m当量)、ピリジン 20g (250mmol)及びクロ口ホルム 30mlの溶液 に、 p—トルエンスルホン酸クロライド 14. 3g (75mmol)を含むクロ口ホルム(30ml) 溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しながら 30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度 40°Cでさらに 4時間攪拌した。反応終了後、クロ口ホルム 60mlを加えて反応液を希 釈した。引き続き、 5%塩酸 100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、そして飽和食 塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得 られた固形物をメタノールで数回洗浄した後、濾過、 70°Cで減圧乾燥して、変性ェ ポキシ榭脂を得た。収量は 13g、収率は 98%であった。 ^—NMRスペクトルにより 各ピークの帰属を行い、 ( δ (ppm) : 7. 94〜7. 74 (m) , 7. 55〜6. 30 (m) , 4. 40 〜3. 80 (m) , 2. 40〜2. 34 (m) )、これらより、得られた変性エポキシ榭脂は、側鎖 に p—トルエンスルホ-ルォキシ基を有するスルホ-ル変性エポキシ榭脂であること を確認した。
[0142] 10— 3 [スルホニル変性エポキシ榭脂のリビングラジカル重合反応]
上記 10— 2で得られた変性エポキシ榭脂 1. 56g (3m当量)、 MOZ5. lg (60mm ol)及び DMA40mlを、窒素雰囲気下、 100°Cで 24時間攪拌した。反応混合物のま まの1 H—NMR分析より重合反応を確認した後、引き続き、上記反応混合物中に、 P EGM (Mn= 750) 6. 75g (9mmol)、及び炭酸カリウム 4. lg (30mmol)を加え、窒 素雰囲気下、 100°Cで 24時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸 ェチル 100mlとへキサン 100mlの混合溶液を加え、室温で強力攪拌した後、固形 物を濾過、酢酸ェチルで 2回洗浄した。引き続き、固形物にクロ口ホルム 150mlをカロ えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過して除いた後、減圧濃縮して淡黄色固体を得 た。収率は 90%であった。 H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い、得ら れた上記固体は、テトラキスフエノールェタン型エポキシ榭脂残基を中心部( δ : 6. 4 5〜7. 90ppm)とし、 PAEIと PEGを側鎖 [PAEIのエチレン水素( δ : 3. 36ppm)、
PEGのエチレン水素( δ : 3. 62ppm)、プロピオ-ル水素( δ : 2. 50ppm、 0. 97pp m)、ァセチル水素( δ : 2. OOppm) ]とし、また、反応物と生成物の定量的な計算か ら数平均重合度 20の PAEIと数平均重合度 20の PEGを有する、星型の高分子化合 物であることを確認した。
[0143] 10-4 [高分子化合物 (X— 10)の合成]
得られた星型の高分子化合物 3. 8gを、 5molZLの塩酸 15. 2g中、 90°Cで 6時間 攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈殿を含む 反応混合溶液をアセトン約 150mlに加え、室温で約 30分間攪拌した。この後、生成 物の固形物を濾過し、アセトンで 2回洗浄し、さらに減圧乾燥して白色固体 3. 3gを 得た。その収率は 99%だった。 ^—NMRによる分析から、加水分解反応により PA EIを側鎖ァセチル水素( δ : 2. OOppm) ]がなぐ得られた固体は、 PEG—直鎖 PEI (HC1)ーテトラキスフエノールェタン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 10)であ ることを確認した。
[0144] 得られた高分子化合物 (X— 10) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 47. Inmの分 散体であり、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0145] 合成例 11 PEG—直鎖 PEI—テトラキスフエノールェタン型 EP構造を有する高分 子化合物 (X— 11)の合成
合成例 10で得られた PEG—直鎖 PEI (HC1)—テトラキスフエノールェタン型 EP構 造を有する高分子化合物 (X— 10) 2. 0gを水 5gに分散させて透析チューブに入れ 、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行い、 5〜6回 水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液にエタノールを加えてエバポレータ で溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥し、 PEG—直鎖 PEI—テトラキスフ エノールェタン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 11)を得た。
[0146] 得られた高分子化合物 (X— 11) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 49. 3nmの分 散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0147] 合成例 12 PEG—直鎖 PEI (HCl)—ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物
(X— 12)の合成
12- 1 [ヒドロキシル基を有するエポキシ榭脂の合成]
EPICLON HP— 4700 15. 8g (100m当量;)、 4—フエ-ルフエノール 23. 8g ( 140mmol)、 65%酢酸ェチルトリフエ-ルホスホ -ゥムエタノール溶液 0. 42ml (0. lmol%)及び DMA80mlを、窒素雰囲気下、 120°Cで 6時間反応させた。放冷後、 水 200ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで 2回洗浄した後、 70°Cで減圧 乾燥して、ビフ ニル基と、二級炭素に結合するヒドロキシル基とを有する変性ェポキ シ榭脂を得た。得られた生成物の収量は 31. 8g、収率は 97%であった。
[0148] 得られた変性エポキシ榭脂の1 H— NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、 (
δ (ppm) : 7. 73〜6. 80 (m) , 4. 89 (s) , 4. 50〜3. 85 (m) )、生成物の構造を確 した 0
[0149] 12- 2 [変性エポキシ榭脂のスルホニル化反応]
上記 12—1で得られた変性エポキシ榭脂 16. 40g (50. Om当量)、ピリジン 40. Og (500mmol)及びクロ口ホルム 60mlの溶液に、 p—トルエンスルホン酸クロライド 28. 6g (150mmol)を含むクロ口ホルム(60ml)溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しなが ら 30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度 40°Cでさらに 4時間攪拌した。反応終了 後、クロ口ホルム 120mlをカ卩えて反応液を希釈した。引き続き、 5%塩酸 200ml、飽 和炭酸水素ナトリウム水溶液、そして飽和食塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マ グネシゥムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールで数回洗浄 した後、濾過、 70°Cで減圧乾燥して、スルホニル化した変性エポキシ化合物を得た。 収量は 23. 6g、収率は 98%であった。
[0150] H—NMRより生成物の構造を確認した。( δ (ppm) : 7. 94〜6. 55 (m) , 5. 25 〜3. 95 (m) , 4. 60〜3. 85 (m) , 2. 40〜2. 00 (m) )
[0151] 12- 3 [スルホ-ル変性エポキシ榭脂のリビングラジカル重合反応]
上記 12— 2で得られたスルホ-ル化した変性エポキシ榭脂 3. 86g (8. Om当量)、 MOZ13. 6g (160mmol)及び DMA60mlを、窒素雰囲気下、 100°Cで 18時間攪 拌した。引き続き、 PEGM (Mn= 750) 6. 0g (8mmol)、炭酸カリウム 2. 8g (20mm ol)及び DMA30mlを加え、窒素雰囲気下、 100°Cで 24時間攪拌した。反応終了後
、得られた反応混合物に酢酸ェチル 100mlとへキサン 100mlの混合溶液をカロえ、 強力攪拌した後、固形物を濾過し、酢酸ェチルで 2回洗浄した。引き続き、固形物に クロ口ホルム 150mlをカ卩えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過して除いた後、減圧濃 縮して淡黄色固体 10. 5gを得た。 ^—NMRによる分析から、得られた上記固体は 、ジナフタレン構造の変性エポキシを主骨格とし、数平均重合度 20の PAEIと PEG Mからなるポリマーを鎖 [エチレングリコール水素( δ : 3. 57ppm)、エチレン水素( δ : 3. 20〜3. 55ppm)、メ卜キシ水素( δ : 3. 25ppm)、ァセチル水素( δ : 1. 86〜1 . 98ppm) ]とする星型の高分子化合物であることを確認した。
[0152] 12-4 [高分子化合物 (X— 12)の合成]
上記 12— 3で得られた高分子化合物 10. 5gを、
5g中、 90°C で 6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈 殿を含む反応混合溶液をアセトン 150mlに加え、室温で 30分間攪拌した。この後、 生成物の固形物を濾過、アセトンで 2回洗浄、及び減圧乾燥して白色固体 9. 6gを 得た。 ^—NMRによる分析から、加水分解反応により PAEIの側鎖ァセチル水素( δ : 1. 86〜: L 98ppm) ]がなぐ得られた固体力 PEG—直鎖 PEI (HCl)—ナフタ レン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 12)であることを確認した。
[0153] 得られた高分子化合物 (X— 12) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散させたところ 、水中で安定な分散体が得られた。
[0154] 合成例 13 PEG—直鎖 PEI—ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 1 3)の合成
合成例 12で得られた高分子化合物 (X— 12) 2. Ogを水 5gに分散させて透析チュ ーブに入れ、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行 い、 5〜6回水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液を取り出しエタノールを 加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥することにより、 PEG—直鎖 PEI—ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 13)を得た。得 られた高分子化合物 (X— 13) 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散させたところ、安 定な分散体が得られた。
[0155] 合成例 14 PEG—直鎖 PEI (HCl)—ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物
(X— 14)の合成
14 - 1 [スルホニル変性エポキシィ匕合物のリビングラジカル重合反応]
合成例 12— 2で得られたスルホニル化した変性エポキシ榭脂 1. 93g (4. Om当量) 、 MOZ17. 0g (200mmol)及び DMA60mlを、窒素雰囲気下、 100°Cで 18時間 攪拌した。引き続き、 PEGM (Mn= 2, 000) 8. 0g (4mmol)、及び炭酸カリウム 1. 4g ( 10mmol)を加え、窒素雰囲気下、 100°Cで 24時間攪拌した。反応終了後、得ら れた反応混合物に酢酸ェチル 100mlとへキサン 100mlの混合溶液を加え、攪拌し た後、固形物を濾過し、さらに酢酸ェチルで 2回洗浄した。引き続き、固形物にクロ口 ホルム 150mlを加えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過して除いた後、減圧濃縮し て淡黄色固体 12. lgを得た。 iH—NMRによる分析から、得られた固体は、ナフタレ ン型 4官能エポキシ榭脂を主骨格とし、数平均重合度 50の PAEIと PEGM力 なる ポリマーを鎖 [エチレングリコール水素( δ : 3. 57ppm)、エチレン水素( δ : 3. 20〜 3. 55ppm)、メ卜キシ水素(δ : 3. 25ppm)、ァセチル水素( δ : 1. 85〜: L 98ppm) ]とする星型の高分子化合物であることを確認した。
[0156] 14 - 2 [高分子化合物 (X— 14)の合成]
14 1で得られた星型の高分子化合物 12. lgを、 5molZLの塩酸 32. 5g中、 90 °Cで 6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色 沈殿を含む反応混合溶液をアセトン 150mlに加え、室温で 30分間攪拌した後、生 成物の固形物を濾過し、さらにアセトンで 2回洗浄し、その後減圧乾燥して白色固体 11. 2gを得た。 NMRによる分析から、加水分解反応により PAEIの側鎖ァセチ ル水素(δ : 1. 85〜: L 98ppm) ]がなぐ得られた上記固体は、 PEG 直鎖 ΡΕΙ (Η C1) ナフタレン骨格 ΕΡ構造を有する高分子化合物 (X— 14)であることを確認した
[0157] 得られた高分子化合物 (X— 14) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させたところ
、水中で安定な分散体が得られた。
[0158] 合成例 15 PEG 直鎖 PEI ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 1
5)の合成
合成例 14で得られた高分子化合物 (X— 14) 2. Ogを水 5gに分散させて透析チュ
ーブに入れ、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行 い、 5〜6回水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液にエタノールを加えて エバポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥し、 PEG 直鎖 PEI ナフタレン型 EP構造を有する高分子化合物 (X— 15)を得た。
[0159] 得られた高分子化合物 (X— 15) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させたところ 、水中で安定な分散体が得られた。
[0160] 合成例 16 PEG 直鎖 PEI (HCl)— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 16)の 合成
16 - 1 [リビングラジカル重合]
2, 2—ビビリジノレ 65mg (0. 42mmol)、臭ィ匕銅 60mg (0. 42mmol)、スチレン 2. 0ml (17mmol)、トルエン 2ml、及び 1— (ブロモェチル)ベンゼン 47 1 (0. 35mmo 1)をそれぞれ窒素雰囲気下で混合し、密栓後、 110°Cのオイルバス中で 24時間反 応させた。
[0161] 得られた反応溶液に、クロ口ホルム 50gをカ卩えて希釈し、アルミナカラムで処理した 後、エバポレータで濃縮し、エタノール lOOg中へ滴下した。生じた沈殿物をろ過後、 2回エタノールで洗浄し、真空乾燥した。収率は 83%であった。 ¾— ぺクト ルにより各ピークの帰属を行い(1. 4ppm: PSt主鎖の CH、 1. 8ppm: PSt主鎖の C
2
H、 4. 4ppm: PSt末端臭素の隣接 CH、 6. 3〜7. 3ppm: PStのフエ-ル基)、生成 物の構造を確認し、片末端臭素化ポリスチレンを得た。
[0162] 16 - 2 [リビングカチオン重合]
上記 16— 1で得られた片末端臭素化ポリスチレンを 1. 3g (0. 24mmol)、MOZl ml (12mmol)を DMAlOml中に窒素雰囲気下でカ卩え、密栓後、 100°Cのオイルバ ス中で 24時間反応させた。得られた反応溶液を、へキサン 200g中に添加し、沈殿さ せた。デカンテ―シヨン後、 10gのメタノールに溶解させた。これを再度へキサン 200 g中に添カ卩し、再沈させた。これをろ過し、 80°Cで真空乾燥した。収率は 70%であつ た。丄!!— NMR ^ベクトルにより各ピークの帰属を行い(1. 5ppm: PSt主鎖の CH、
2
I. 8ppm: PSt主鎖の CH、 2. lppm: PAEIのァセチル基、 3. 5ppm: PAEI主鎖の CH CH , 6. 3〜7. 3ppm: PStのフエ-ル基)、これより、得られた生成物は PAEI
PSt構造を有する高分子化合物であることを確認した。
[0163] 16 - 3 [トシル化反応]
上記 16— 2で得られた PAEI— PSt構造を有する高分子化合物の反応溶液 5. 8g に水酸ィ匕カリウム 0. 067g (l. 20mmol)を加え、 1時間攪拌し、片末端臭素をヒドロ キシル基とした。これを酢酸ェチル 100mlとへキサン 100mlの混合溶液に加え、攪 拌した後、固形物を濾過、酢酸ェチルで 2回洗浄した。さらに該固形物を水 10gに分 散させ、透析により精製した。これにアセトン 20gを加え、エバポレータで溶媒を留去 後、乾燥した。得られた生成物 1. 61g (0. 168mmol)、ピリジン 0. 13g (l. 68mmo 1)及びクロ口ホルム 30mlの溶液に、 p—トルエンスルホン酸クロライド 0. 10g (0. 50 mmol)を含むクロ口ホルム(30ml)溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しながら 30分 間滴下した。滴下終了後、浴槽温度 40°Cでさらに 4時間攪拌した。反応終了後、クロ 口ホルム 60mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、 5%塩酸 100ml、飽和炭酸水 素ナトリウム水溶液、そして飽和食塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウム で乾燥し、濾過及び減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールで数回洗浄した後、 濾過、 70°Cで減圧乾燥して、片末端トシルイ匕 PAEI— PSt構造を有する高分子化合 物を得た。
[0164] 16 -4 [縮合反応]
上記 16— 3で得られた片末端トシル化 PAEI— PSt構造を有する高分子化合物 1. 63g (0. 168mmol)、 PEGM (Mn2000) 0. 32g (0. 168mmol)、炭酸カリウム 0. 057g (0. 41mmol)、及び DMA2mlを窒素雰囲気下で混合し、 100°Cで 24時間攪 拌処理した。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸ェチル 100mlとへキサン 100 mlの混合溶液を加え、攪拌した後、固形物を濾過し、酢酸ェチルで 2回洗浄した。
Iき続き、固形物にクロ口ホルム 150mlをカ卩えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過し て除いた後、減圧濃縮して淡黄色固体を得た。収率は 50%であった。 'H-NMR^ ベクトルにより各ピークの帰属を行い、生成物の構造を確認し(1. 5ppm: PSt主鎖の CH、 1. 8ppm: PSt主鎖の CH、 2. lppm: PAEIのァセチル基、 3. 5ppm: PAEI
2
主鎖の CH CH、 3. 7ppm: PEGの CH CH、 6. 3〜7. 3ppm: PStのフエニル基)
2 2 2 2
、 PEG PAEI PSt構造を有する高分子化合物を得た。
[0165] 16 - 5 [酸加水分解反応]
上記 16— 4で得られた PEG - PAEI - PSt構造を有する高分子化合物 0. 4g (AE 1 : 1. 8mmol)を、 5mol/Lの塩酸 2. 2g (HCl: 10. 5mmol)に分散させ、 90°Cで 1 0時間攪拌した。冷却後反応溶液をエバポレータで濃縮し、濃縮液をアセトン 200g 中に加え、生じた沈殿をろ過し、水 10gに溶解した。再度アセトン 200g中で再沈させ 、ろ過後、 60°Cで真空乾燥し、目的の PSt— PEI (HCl)— PEG構造を有する高分 子化合物 (X— 16)を得た。収率は 90%であった。 ^—NMRスペクトルにより各ピ ークの帰属を行い、 2. lppmのァセチル基由来のピークが消失していること等、生成 物の構造を確認した。
[0166] 得られた高分子化合物 (X— 16) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 119nmの分 散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0167] 合成例 17 PEG—直鎖 PEI— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 17)の合成 合成例 16で得られた高分子化合物 (X— 16) 2. Ogを水 5gに分散させて透析チュ ーブに入れ、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行 い、 5〜6回水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液にエタノールを加えて エバポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥することにより、 PEG 一直鎖 PEI— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 17)を得た。
[0168] 得られた高分子化合物 (X— 17) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 114nmの分 散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0169] 合成例 18 PEG—直鎖 PEI (HCl)— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 18)の 合成
18 - 1 [リビングラジカル重合]
合成例 16— 1の [リビングラジカル重合]において、 1—(ブロモェチル)ベンゼンの 代わりに 2—(ョ一ドエチル)ベンゼン 40 1(0. 35mmol)を用いる以外は合成例 1 6—1と同様にして重合を行なった。収率は 86%であった。 H— NMR ^ベクトルによ り各ピークの帰属を行い(1. 4ppm: PSt主鎖の CH、 1. 8ppm: PSt主鎖の CH、 3
. 9ppm: PSt末端ヨウ素の隣接 CH、 6. 3〜7. 3ppm: PStのフエ-ル基)、これより、 得られた生成物は片末端ヨウ素化ポリスチレンであることを確認した。
[0170] 18 - 2 [リビングカチオン重合]
合成例 16— 2の [リビングカチオン重合]において、片末端臭素化ポリスチレンの代 わりに合成例 18— 1で得られた片末端ヨウ素化ポリスチレンを使用したこと以外は合 成例 16— 2と同様にして重合を行なった。 H— NMR ^ベクトルにより合成例 16— 2 の結果と同様のピークが認められた。
[0171] 18 - 3 [縮合反応]
合成例 16— 3の [縮合反応]において、リビングカチオン重合後の反応溶液 5. 8g を合成例 18— 2で得られた反応溶液に加えたこと以外は、合成例 18— 3と同様にし て縮合反応を行った。収率は 58%であった。 H— NMRスペクトル力も合成例 16— 3の [縮合反応]の結果と同様のピークが認められた。
[0172] 18 -4 [酸加水分解反応]
上記 18— 3で得られた PEG— PAEI Pst構造を有する高分子化合物 0. 4gを用 いたこと以外は、合成例 16— 3の [酸加水分解反応]と同様に反応を行い、 PEG— 直鎖 PEI (HC1)—PSt構造を有する高分子化合物 (X— 18)を得た。収率は 87%で めつに。
[0173] 得られた高分子化合物 (X— 18) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 溶液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 121nmの分散 体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0174] 合成例 19 PEG 直鎖 PEI— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 19)の合成 合成例 18で得られた高分子化合物 (X— 18) 2. Ogを水 5gに分散させて透析チュ ーブに入れ、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行 い、 5回水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液にエタノールをカ卩えてエバ ポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥することで、 PEG 直鎖 P EI— PSt構造を有する高分子化合物 (X— 19)を得た。
[0175] 得られた高分子化合物 (X— 19) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 107nmの分
散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0176] 合成例 20 PEG—直鎖 PEI (HCl)— PMMA構造を有する高分子化合物 (X— 2
0)の合成
20- 1 [リビングラジカル重合]
合成例 16— 1において、スチレン 2. 0ml(17mmol)の代わりに、メタクリル酸メチ ル(以下 MMAと記す) 1. 9ml (17mmol)を用いた以外は、合成例 16— 1と同様に 重合を行な ヽ、片末端臭素化ポリメタクリル酸メチルを得た。
[0177] 20- 2 [リビングカチオン重合]
合成例 16— 2において、片末端臭素化ポリスチレンを 1. 3g (0. 24mmol)の代わ りに、合成例 20— 1で得られた片末端臭素化ポリメタクリル酸メチル 1. 2g (0. 24mm
01)を用いた以外は、合成例 16— 2と同様にして、 PAEI— PMMA構造を有する高 分子化合物を得た。
[0178] 20- 3 [トシル化反応]
合成例 16— 3において、 PAEI— PSt構造を有する高分子化合物の反応溶液 5. 8 gの代りに、合成例 20— 2で得られた PAEI— PMMA構造を有する高分子化合物 5 . 8gを用いる以外は、合成例 16— 3と同様にして、片末端トシルイ匕 PAEI— PMMA 構造を有する高分子化合物を得た。
[0179] 20-4 [縮合反応]
合成例 16— 4において、片末端トシル化 PAEI - PSt構造を有する高分子化合物 の代わりに、合成例 20— 3で得られた片末端トシルイ匕 PAEI— PMMA構造を有する 高分子化合物を用いた以外は、合成例 16— 4と同様にして、 PEG- PAEI -PMM A構造を有する高分子化合物を得た。収率は 52%であった。 — NMR ^ベクトル により合成例 16と同様に各ピークの帰属を行い、生成物の構造を確認した(1. 2pp m: PMMAのメチル基、 CH、(1. 5ppm、 2. Oppm): PMMA主鎖の CH、 2. Ipp
2 2 m: PAEIのァセチル基、 3. 5ppm: PAEI主鎖の CH CH、 3. 6ppm: PMMAのメ
2 2
チルエステル基、 3. 7ppm: PEGの CH CH ) 0
2 2
[0180] 20- 5 [酸加水分解反応]
合成例 16— 5において、 PEG— PAEI— PSt構造を有する高分子化合物 0. 4g (A
EI : 1. 8mmol)の代わりに、合成例 20— 4で得られた PEG— PAEI— PMMA構造 を有する高分子化合物 0. 4g (AEI : l. 8mmol)を用いた以外は、合成例 16— 5と同 様に反応を行った。収率は 80%であった。 H—NMR ^ベクトルにより各ピークの帰 属を行い、(1. 2ppm: PMMAのメチル基、 CH、 (1. 5ppm、 2. Oppm): PMMA
2
主鎖の CH、 3. 5ppm: PAEI主鎖の CH CH、 3. 6ppm: PMMAのメチルエステ
2 2 2
ル基、 3. 7ppm: PEGの CH CH )、これより、 PEG—直鎖 PEI (HCl)—PMMA構
2 2
造を有する高分子化合物 (X— 20)であることを確認した。
[0181] 得られた高分子化合物 (X— 20) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 129nmの分 散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0182] 合成例 21 PEG—直鎖 PEI— PMMA構造を有する高分子化合物 (X— 21)の合 成
合成例 20で得られた高分子化合物 (X— 20) 2. 0gを水 5gに分散させて透析チュ ーブに入れ、 0. 5%アンモニア水でー晚透析処理を行い、引き続き水中で透析を行 い、 5〜6回水を取替えた。この後、透析チューブ中の分散液を取り出しエタノールを 加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに 80°Cで 15時間真空乾燥することにより、 PEG—直鎖 PEI— PMMA構造を有する高分子化合物 (X— 21)を得た。
[0183] 得られた高分子化合物 (X— 21) 30mgに水 10mlを加えて攪拌し分散させた。その 分散液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 116nmの分 散体が形成され、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0184] 実施例 1
合成例 1で得た高分子化合物 (X— 1) 9. Omg〔エチレンィミン (以下 EIと略記する) ユニット: 0. 039mmol〕を水 5g中に加え、加温し分散させた。この時の分散体の平 均粒径は lOOnmであった。該分散液に、テトラクロ口金 (III)酸ナトリウム二水和物 0. 8mg (0. 0019mmol)を加えた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であった力 時間と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 3日後には綺麗なワインレッドの溶液とな つた。可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが 認められ、金ナノ粒子の生成を確認した。
[0185] 実施例 2
実施例 1にお 、て、テトラクロ口金 (III)酸ナトリウム二水和物の変わりに硝酸銀を用 いて、その混合する量を、 1. 6mg、 3. 2mg、及び 6. 6mg、 (0. O097mmol、 0. 01 9mmol、 0. 039mmol)と変化させた以外は、全て実施例 1と同様に行った。可視吸 収スペクトル測定により銀ナノ粒子の特徴的な 540nmのピークが認められ、その強 度は硝酸銀の混合する増加量に伴って強くなることを確認した。
[0186] 実施例 3
合成例 1で得た高分子化合物(X— 1) 9. Omg (EIユニット: 0. O39mmol)をメタノ ール 0. 25g中に加え、加温し溶解させた。このメタノール溶液を水 5g中に滴下した。 得られた分散液にテトラクロ口金(ΠΙ)酸ナトリウム二水和物 0. 8mg (0. O019mmo 1)を加え、軽く振り混ぜ溶解させた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であった 力 時間と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 3日後には綺麗なワインレッドの溶液と なった。可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラズモン吸収スペクトルのピーク が認められ、金ナノ粒子の生成を確認した。
[0187] 実施例 4
実施例 3において、テトラクロ口金 (ΠΙ)酸ナトリウム二水和物の混合する量を、 1. 5 mg、 3. lmg、 4. 6mg、 (0. O039mmol、 0. 0077mmol、 0. 0116mmol)と変ィ匕 させたこと以外は、全て実施例 3と同様に行った。可視吸収スペクトル測定によるブラ ズモン吸収スペクトルの 540nmのピーク強度は、テトラクロ口金 (III)酸ナトリウム二水 和物の混合する量に伴って、強くなることを確認した。
[0188] 実施例 5
実施例 3において、テトラクロ口金 (ΠΙ)酸ナトリウム二水和物の代わりに、硝酸銀を 用 ヽ、その混合する量を、 1. 6mg、 3. 2mg、 6. 6mg、 (0. O097mmol、 0. 019m mol、 0. O39mmol)と変化させたこと以外は、全て実施例 3と同様に行った。可視吸 収スペクトル測定によるプラズモン吸収スペクトルにお 、て、銀ナノ粒子の特徴的な 4 20nmのピーク強度が硝酸銀の混合する増加量に伴って強くなることが認められた。
[0189] 実施例 6
合成例 1の酸加水分解後に得た PEG—直鎖 PEI (HC1)—PBEI構造を有する高
分子化合物 10mg (EIユニット: 0. 039mmol)を水 5g中に加え、加温し分散させた。 該分散液にテトラクロ口金(ΠΙ)酸ナトリウム二水和物 0. 7mg (0. 0017mmol)を加え 、軽く振り混ぜ溶解させた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であつたが、時間 と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 7日後には綺麗なワインレッドの溶液となった。 得られた水分散液は安定であり、可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラズモ ン吸収スペクトルピークが生じており、金ナノ粒子の生成を確認した。
[0190] 実施例 7
合成例 2で得た高分子化合物(X— 2) 3. Omg (EIユニット: 0. O33mmol)をメタノ ール 0. 25g中に加え、加温し溶解させた。このメタノール溶液を水 5g中に滴下した。 該分散液にテトラクロ口金(ΠΙ)酸ナトリウム二水和物 0. 7mg (0. 0017mmol)を加え 、軽く振り混ぜ溶解させた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であつたが、時間 と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 3日後には綺麗なワインレッドの溶液となった。 得られた水分散液は安定であり、可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラズモ ン吸収スペクトルのピークが生じており、金ナノ粒子の生成を確認した。また TEM観 察を行い、図 1の TEM写真により、 20nm以下の金ナノ粒子であることを確認した。
[0191] 実施例 8
合成例 3で得た高分子化合物(X— 3) 7. 5mg (EIユニット: 0. O51mmol)をメタノ ール 0. 25g中に加え、加温し溶解させた。このメタノール溶液を水 5g中に滴下した。 得られた分散液にテトラクロ口金 (ΠΙ)酸ナトリウム二水和物 1. Omg (0. 0026mmol) を加え、軽く振り混ぜ溶解させた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であつたが 、時間と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 3日後には綺麗なワインレッドの溶液とな つた。得られた水分散液は安定であり、可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、金ナノ粒子の生成を確認した。
[0192] 実施例 9
合成例 4で得た高分子化合物(X— 4) 5. lmg (EIユニット: 0. 018mmol)をメタノ ール 0. 25g中に加え、加温し溶解させた。このメタノール溶液を水 5g中に滴下した。 該分散液にテトラクロ口金(ΠΙ)酸ナトリウム二水和物 0. 4mg (0. O0089mmol)を加 え、軽く振り混ぜ溶解させた後、静置した。混合した直後は薄い黄色であつたが、時
間と共に変化し、翌日には赤味を帯び、 3日後には綺麗なワインレッドの溶液となつ た。得られた水分散液は安定であり、可視吸収スペクトル測定により 540nmにプラズ モン吸収スペクトルピークが認められ、金ナノ粒子の生成を確認した。
[0193] 実施例 10
合成例 5で得た高分子化合物(X— 5) 20mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39 gに溶力した溶液 1Aと、硝酸銀 0. 16g (0. 97mmol)を水 1. 30gに溶力した溶液 1 Bと、クェン酸ナトリウム 0. 12g (0. 48mmol)を水 0. 25gに溶かした溶液 1Cとを、そ れぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 1Aに溶液 1Bを加え、続いて溶液 1Cを 加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。 7日間攪拌後、透析により精製し、 水分散液を得た。
[0194] 得られた水分散液 1部をサンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定に より 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確 認した。また、図 2の TEM写真より、 20nm以下のサイズを有する銀ナノ粒子であるこ とを確認した。得られた銀ナノ粒子分散体の水分散液の溶媒を留去後、 TGA測定に より銀含有量を測定した結果、 83%であった。また得られた銀ナノ粒子分散体の水 分散液は 2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなぐ保存安定性に優れている ことを確認した。
[0195] 実施例 11
実施例 10において、溶液 1Aに溶液 1Cをカロえ、続いて溶液 1Bを加えたこと以外は 、実施例 10と同様にして、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0196] 実施例 12
実施例 10において溶液 1Aに溶液 1Cを加え、 7日間攪拌後、溶液 1Bを加え、さら に 7日間攪拌したこと以外は、実施例 10と同様にして、水分散液を得た。得られた水 分散液は安定であり、分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スぺタト ル測定により 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の 生成を確認した。
[0197] 実施例 13
実施 ί列 10にお!/、て溶液 IBを確酸銀 0. 008g (0. 048mmol)を水 1. 30gに溶力 した溶液とし、溶液 1Cを水 0. 25gとした溶液をそれぞれ調製したこと以外は、実施 例 10と同様にして、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を 1部 サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラズモン 吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0198] 実施例 14
合成例 6で得た高分子化合物(X— 6) 20mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39 gに溶力した溶液 2A、硝酸銀 0. 16g (0. 97mmol)を水 1. 30gに溶力した溶液 2B 、タエン酸ナトリウム 0. 12g (0. 48mmol)を水 0. 25gに溶かした溶液 2Cをそれぞれ 調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 2Aに溶液 2Bをカ卩え、続いて溶液 2Cをカ卩えた 。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。 7日間攪拌後、水分散液を得た。得られ た水分散液は安定であり、分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収ス ベクトル測定により 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ 粒子の生成を確認した。
[0199] 実施例 15
合成例 7で得た高分子化合物 (X— 7)の水分散液 5. Og (EIユニット: 0. 41mmol) に、硝酸銀 0. 02g (0. 12mmol)を水 5. Ogに溶力した硝酸銀水溶液を加え、 25°C で攪拌した。分散液は次第に薄い茶色へと変化した。 7日後、透析により精製し、水 分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を 1部サンプリングし、 10倍 希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピーク が認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0200] 実施例 16
実施例 10の溶液 1 Aの代わりに、合成例 8で得られた高分子化合物 (X—8)の水分 散液 0. 12g (EIユニット: 0. 15mmol)に水 2. 29gをカ卩えた溶液を用いたこと以外は 実施例 10と同様にして、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液 を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラズ モン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0201] 実施例 17
実施例 10の溶液 1 Aの代わりに、合成例 9で得られた高分子化合物 (X— 9)の水分 散液 0. 12g (EIユニット: 0. 15mmol)に水 2. 28gをカ卩えた溶液を用いたこと以外は 実施例 10と同様にして、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液 を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラズ モン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0202] 実施例 18
合成例 10で得た高分子化合物(X— 10) 10. 9mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液 3A、硝酸銀 0. 16g (0. 97mmol)を水 1. 30gに溶かした溶 液 3B、クェン酸ナトリウム 0. 12g (0. 48mmol)を水 0. 25gに溶かした溶液 3Cをそ れぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 3Aに溶液 3Bを加え、続いて溶液 3Cを 加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。 7日間攪拌後、透析により精製し、 水分散液を得た。
[0203] 得られた分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定によ り 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認 した。得られた水分散液は 2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなぐ保存安定 性に優れて 、ることを確認した。
[0204] 実施例 19
実施例 18において、溶液 3Aの代わりに、合成例 11で得た高分子化合物 (X— 11 ) 14. 5mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 18の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0205] 実施例 20
実施例 18において、溶液 3Aの代わりに、合成例 12で得た高分子化合物 (X— 12 ) 10. 8mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 18の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ
ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0206] 実施例 21
実施例 18において、溶液 3Aの代わりに、合成例 13で得た高分子化合物 (X— 13 ) 14. 4mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 18の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0207] 実施例 22
実施例 18において、溶液 3Aの代わりに、合成例 14で得た高分子化合物 (X— 14 ) 10. 3mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 18の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0208] 実施例 23
実施例 18において、溶液 3Aの代わりに、合成例 15で得た高分子化合物 (X— 15 ) 13. 5mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 18の通りに行い、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0209] 実施例 24
合成例 11で得た高分子化合物(X—11) 14. 5mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶力した溶液 4Aと、確酸銀 7. 7mg (0. 045mmol)を水 1. 55gに溶力し た溶液 4Bをそれぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 4Aに溶液 4Bを加えた。 分散液は次第に茶色へと変化した。 7日間攪拌後、透析により精製し、水分散液を得 た。
[0210] 得られた分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定によ り 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認 した。得られた水分散液は 2ヶ月後も凝集や沈殿等は認められることはなぐ保存安
定性に優れて 、ることを確認した。
[0211] 実施例 25
実施例 24において、溶液 4Aの代わりに、合成例 15で得られた高分子化合物 (X - 15) 13. 5mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこ と以外は実施例 24の通りに行った。得られた水分散液は安定であり、分散液を 1部 サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラズモン 吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0212] 実施例 26
合成例 16で得た高分子化合物(X— 16) 18. lmg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液 5Aと、硝酸銀 0. 16g (0. 97mmol)を水 1. 30gに溶かした 溶液 5Bと、クェン酸ナトリウム 0. 12g (0. 48mmol)を水 0. 25gに溶かした溶液 5Cと 、をそれぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 5Aに溶液 5Bを加え、続いて溶液 5Cを加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。 7日間攪拌後、透析により精 製し、水分散液を得た。
[0213] 得られた分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定によ り 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認 した。得られた水分散液は 2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなぐ保存安定 性に優れて 、ることを確認した。
[0214] 実施例 27
実施例 26において、溶液 5Aの代わりに、合成例 17で得た高分子化合物 (X— 17 ) 27. 9mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 26の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0215] 実施例 28
実施例 26において、溶液 5Aの代わりに、合成例 18で得た高分子化合物 (X— 18 ) 18. lmg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 26の通りに行い、水分散液を得た。得られた水分散液は安定であり、分散
液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0216] 実施例 29
実施例 26において、溶液 5Aの代わりに、合成例 19で得た高分子化合物 (X— 19 ) 27. 9mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 26の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0217] 実施例 30
実施例 26において、溶液 5Aの代わりに、合成例 20で得た高分子化合物 (X— 20 ) 17. 8mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 26の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0218] 実施例 31
実施例 26において、溶液 5Aの代わりに、合成例 21で得た高分子化合物 (X— 21 ) 27. 3mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 26の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0219] 実施例 32
合成例 17で得た高分子化合物(X— 17) 27. 9mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶力した溶液 6Aと、確酸銀 7. 7mg (0. 045mmol)を水 1. 55gに溶力し た溶液 6Bをそれぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 6Aに溶液 6Bを加えた。 分散液は次第に茶色へと変化した。 7日間攪拌後、透析により精製し、水分散液を得 た。
[0220] 得られた分散液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定によ り 400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認
した。得られた水分散液は 2ヶ月後も凝集や沈殿等は認められることはなぐ保存安 定性に優れて 、ることを確認した。
[0221] 実施例 33
実施例 32において、溶液 6Aの代わりに、合成例 21で得た高分子化合物 (X— 21 ) 27. 3mg (EIユニット: 0. 15mmol)を水 2. 39gに溶かした溶液を使用したこと以外 は実施例 32の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散 液を 1部サンプリングし、 10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により 400nmにプラ ズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
[0222] 実施例 34
実施例 10において溶液 1Bをテトラクロ口白金 (Π)ナトリウム '水和物 0. 018g (0. 0 48mmol)を水 1. 30gに溶力した溶液とし、溶液 1Cを水 0. 25gとした溶液をそれぞ れ調製したこと以外は、実施例 10と同様にして、高分子分散体の水分散液を得た。 溶液の色はテトラクロ口白金 (Π)ナトリウムの橙色からしだいに、茶色へと変化した。 得られた水分散液は安定であった。
[0223] 比較例 1
分岐 PEI (日本触媒株式会社製、ェポミン SP200) 5g (0. 5mmol)をメタノール 1 50mlに溶解した溶液に、合成例 5より得られたビスフエノール A型の単官能性のェポ キシ榭脂 3. Og (l. 5mmol)をアセトン 60mlに溶解した溶液を、窒素雰囲気下で滴 下後、 50°Cで 2時間攪拌することで反応を行った。反応終了後、減圧乾燥することに より、 BisAEP—分岐 PEI構造を有する高分子化合物(収率 100%)を得た。
[0224] 上記で得られた高分子化合物 30mgを水 10mlに加えて攪拌し分散した。その分散 液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径 110nmの測定結 果が得られ、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
[0225] 上記得た BisAEP—分岐 PEI構造を有する高分子化合物 6. 6mg (EIユニット: 0.
097mmol)を水 2. 39gに溶力した溶液 7A、確酸銀 0. 16g (0. 97mmol)を水 1. 3 Ogに溶かした溶液 7B、クェン酸ナトリウム 0. 12g (0. 48mmol)を水 0. 25gに溶力 した溶液 7Cをそれぞれ調製した。 25°Cで攪拌しながら、溶液 7Aに溶液 7Bを加え、 続いて溶液 7Cを加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。この後、沈殿が生
じ、 2日後には完全に分散成分が消失してしまった。これは金属ナノ粒子が
BisAEP—分岐 PEI構造を有する高分子化合物によって安定な分散体とならなかつ たことを示す。
[0226] 応用例 1
実施例 11で得た銀ナノ粒子分散体の分散液を遠心分離により濃縮し、濃厚層 2g にイソプロピルアルコール (IPA) 5gを加え、混合した。(該 IPA分散液中の銀ナノ粒 子分散体の含有量は 14%であった。)分散状態に変化はなぐ安定な IPA分散液を 得た。該 IPA分散液をガラス基板上にキャスト後、窒素下、 200°Cで 30分熱処理した 。体積固有抵抗率 (三菱化学株式会社製、 Loresta— GP MCP— T610)を測定し たところ 8. 7 Χ 10"4 Ω 'cmであった。
産業上の利用可能性
[0227] 本発明の金属ナノ粒子分散体は、媒体中で長期間安定に分散でき、触媒、電子材 料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等の、非常に幅広い 分野で使用可能である。本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法は、複雑な工程 や緻密な条件設定等をほとんど必要としないため、工業的製法として優位性が高い