JP2004162017A - 水溶性ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子中にポリ(エチレンイミン)ブロック単位とポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とを有し、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体。
特に、一般式(1) X−(A−B)n 又は X−(B−A)n
(式中、Xは1価以上の重合開始化合物残基、Aはポリ(エチレンイミン)ブロック単位、Bはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位、nはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表される、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アニオン性化合物とイオンコンプレックスを形成し得るカチオン性ブロックと、非イオン性ブロックとからなる分子鎖を有し、遺伝子キャリアーや、塗料あるいはインキの顔料分散剤など、幅広い用途に有用な水溶性ブロック共重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリ(エチレンイミン)が製紙、化粧品、水の純化などに使用されてきた。しかしながら、ここ数年来、カチオン性重合体であるポリ(エチレンイミン)が、アニオン性生体高分子、たとえばDNAなどとの静電気的なイオン相互作用により、イオンコンプレックスを形成することから、遺伝子キャリアーとして注目を集めている。
【0003】
ポリ(エチレンイミン)は本来カチオン性水溶性重合体であるが、DNAなどのアニオン性生体高分子とイオンコンプレックスを形成すると水に対して不溶となってしまうため、その用途は非常に限られたものとなる。
そのため二重親水性ブッロク共重合体が提案されている。かかる二重親水性ブッロク共重合体は、両ブロック共に水溶性であるが、両ブロックそれぞれが異なった機能を有する。その結果、イオンコンプレックスをコアとし、非イオン性ブロックをコロナとするナノミセルが形成され、水中に均一に分散する。このようにして得られるナノミセルは、広い用途に応用可能で、特にDNAキャリアとして有用である。
【0004】
例えば、ポリ(エチレンイミン)と、分子鎖片末端にエポキシ基を有するポリ(エチレングリコール)をカップリングさせて得られる水溶性ブロック共重合体が挙げられる(たとえば、非特許文献1参照。)。かかる水溶性ブロック共重合体はポリ(エチレングリコール)ブロックが非イオン性であるため、有機溶媒との親和性に乏しいという問題点があった。
【0005】
また、ポリ(エチルオキサゾリン)の一部を加水分解して得られる、分子中にエチレンイミンを有するエチレンイミンとエチルオキサゾリンとのランダム共重合体も知られている(たとえば、特許文献1参照)。かかる共重合体については、ポリエチルオキサゾリンを単に加水分解してその程度を調整しているため、ランダム共重合体となっても決してブロック共重合体にはならない。このランダム共重合体は、アニオン性化合物とイオン結合体を形成するという特性を有していても、ブロック共重合体のような明確なコアとコロナ区分を有するイオンコンプレックスナノミセルを形成する特性を示すものではない。
【0006】
さらに、線状のポリ(エチレンイミン)に2−エチル−2−オキサゾリンを反応させて得られるグラフト共重合体も提案されている(特許文献2参照)。この共重合体は、幹ポリマーがポリ(エチレンイミン)であるため、分子中の多数の窒素原子にポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)が結合したグラフト共重合体であって、所謂ブロック共重合体ではない。
【0007】
【非特許文献1】
ミロス・セドラック(Milos Sedlak),外2名,「マクロモレキュラー・ケミストリー・アンド・フィジクス(Macromolecular Chemistry and Physics)」,1999年,第199巻,p.247−254
【特許文献1】
特開2002−194116号公報
【特許文献2】
特開平08−120035号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、線状のカチオン性ブロックと、水溶性であり、かつ有機溶媒への溶解性を有する線状の非イオン性ブロックとからなる線状の分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子中にポリ(エチレンイミン)ブロック単位とポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とを有し、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体を提供するものである。
また、本発明は、
一般式(1)
X−(A−B)n 又は X−(B−A)n
一般式(2)
[X−(A−B)n]m−Y 又は [X−(B−A)n]m−Y
(上式中、Xは1価以上の重合開始化合物残基、Aはポリ(エチレンイミン)ブロック単位、Bはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位、Yは1価以上の末端化合物残基、nはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数、mはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表される、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体を提供するものである。
更に、本発明は、分子中にポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位とポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とを有する水溶性ブロック共重合体を、水と、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下に、該水溶性ブロック共重合体のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解することを特徴とする水溶性ブロック共重合体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性ブロック共重合体は、水系溶媒中でカチオン性を示す線状のポリ(エチレンイミン)ブロック単位(以下、単にエチレンイミンブロックという)と線状のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位(以下、単にプロピオニルエチレンイミンブロックという)とを有し、質量平均分子量が2500〜800000のものである。
本発明の水溶性ブロック共重合体を構成するエチレンイミンブロックAとプロピオニルエチレンイミンブロックBとは、A−B、A−B−A、B−A−B、A−B−A−B−・・・で結合しているものであり、特にA−BおよびB−Aで結合しているのが好ましい。
【0011】
本発明の水溶性ブロック共重合体の代表的なものを以下に示す。
一般式(1)
X−(A−B)n 又は X−(B−A)n
一般式(2)
[X−(A−B)n]m−Y 又は [X−(B−A)n]m−Y
(上式中、Xは1価以上の重合開始化合物残基、Aはエチレンイミンブロック、Bはプロピオニルエチレンイミンブロック、Yは1価以上の末端化合物残基、nはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数、mはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表される、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体が挙げられる。
【0012】
上記式中の1価以上の重合開始剤としては、カチオン開環リビング重合の開始剤であり、低分子化合物と高分子化合物である。かかる重合開始剤としては、好ましくは1〜12価のもので、その価数に応じてエチレンイミンブロックAまたはプロピオニルエチレンイミンブロックBと結合している。そのため、該重合開始剤の価数が1および2の場合には、直鎖状の水溶性ブロック共重合体となり、それ以上の価数であれば星型の水溶性ブロック共重合体、特にベンゼン骨格の6価では典型的な星型のものとなる。なお、重合開始剤の価数が大きく、しかも後述の末端化合物が結合している場合、水溶性ブロック共重合体がゲル化しないように1価の末端化合物を選択するのが好ましい。
【0013】
かかる低分子化合物類の重合開始剤としては、分子中に塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、トルエンスルホニルオキシ基、あるいはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基などの官能基を有する化合物を用いることができる。具体的には、たとえば、塩化メチルベンゼン、臭化メチルベンゼン、ヨウ化メチルベンゼン、トルエンスルホン酸メチルベンゼン、トリフルオロメチルスルホン酸メチルベンゼン、臭化メタン、ヨウ化メタン、トルエンスルホン酸メタンまたはトルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメチルスルホン酸無水物、5−(4−ブロモメチルフェニル)-10,15,20-トリ(フェニル)ポルフィリン、ブロモメチルピレンなどの1価のもの、ジブロモメチルベンゼン、ジヨウ化メチルベンゼン、ジブロモメチルビフェニレン、ジブロモメチルアゾベンゼンなどの2価のもの、トリブロモメチルベンゼン、などの3価のもの、テトラブロモメチルベンゼン、テトラ(4−クロロメチルフェニル)ポルフィリン、テトラブロモエトキシフタロシアニンなどの4価のもの、ヘキサブロモメチルベンゼン、テトラ(3,5−ジトシリルエチルオキシフェニル)ポルフィリンなどの5価以上のものが挙げられる。
多くのアルコール類化合物をトシレート化、またはブロモ化することで、それらを簡便に重合開始剤として用いることができる。
これらの中でも、臭化アルキル、ヨウ化アルキル、トルエンスルホン酸アルキル、トリフルオロメチルスルホン酸アルキルは重合開始効率が高く、特に臭化アルキル、トルエンスルホン酸アルキルを使用するのが好ましい。
また、上記カチオン開環リビング重合開始能を有する官能基を有し、かつ光による発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能を有するポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する色素類は、得られる水溶性ブロック共重合体に特殊な機能を付与することができる。
【0014】
高分子化合物の重合開始剤としては、たとえば、ポリ(エチレングリコール)の末端炭素原子に臭素原子あるいはヨウ素原子が結合したもの、末端酸素原子にトルエンスルホニル基が結合したものなどを使用することができる。その場合、ポリ(エチレングリコール)の分子量は800〜10000であればよく、1500〜5000であれば特に好適である。
【0015】
上記式中の1価以上の末端化合物としては、実質的にエチレンイミンブロックAまたはプロピオニルエチレンイミンブロックBの末端を停止するものであり、好ましくは1〜12価のもので、その価数に応じてエチレンイミンブロックAまたはプロピオニルエチレンイミンブロックBの末端で結合している。そのため、該化合物の価数が1および2の場合には、直鎖状の水溶性ブロック共重合体となり、それ以上の価数であれば星型やその複数の結合体である水溶性ブロック共重合体となる。なお、末端化合物の価数が大きい場合、水溶性ブロック共重合体がゲル化しないように1価の末端化合物を選択さするのが好ましい。
【0016】
かかる末端化合物の具体的なものとしては、5−(4−アミノフェニル)-10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、テトラ(4−アミノフェニル)ポルフィリン、アミノピレン、アミノメチルピレン、5−(4−ヒドロキシフェニル)-10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テトラ(3,5−ジヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テトラアミノフタロシアニンなどが挙げられ、これらの化合物は、置換基を有していてもよい。中でも、発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能を有するポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する色素類は、得られる水溶性ブロック共重合体に特殊な機能を付与することができる。
【0017】
尚、本発明の水溶性ブロック共重合体は、重合開始剤残基を有しているが、必ずしも上記末端化合物の残基を有していなくともよく、その場合重合開始剤から解離した基や水素が結合している。
【0018】
本発明の水溶性ブロック共重合体は、質量平均分子量が2500〜800000、好ましくは5000〜100000であり、エチレンイミンブロックAとプロピオニルエチレンイミンブロックBとのモル比が好ましくは0.1〜0.95、より好ましくは0.3〜0.7である。かかる質量平均分子量が上記範囲であれば、良好な水溶性を示し、且つアニオン化合物と安定なイオン会合ミセル形成の特性を有することから好ましい。
かかる水溶性ブロック共重合体を構成するエチレンイミンブロックAおよびプロピオニルエチレンイミンブロックBの重合度は20以上であるのが好ましい。各ブロックの重合度が20未満であるときは、ブロック共重合体としての特徴が発現しにくい。一分子鎖中に含まれるブロック数は、用途によって適宜選択することができ特に限定されないが、イオンコンプレックス会合によってナノミセルを形成しやすいジブロック体またはトリブロック体とするのが好ましい。
また、水溶性ブロック共重合体の一分子鎖当たりの重合度は50〜5000であるのが好ましい。即ち、水溶性ブロック共重合体が星型である場合にはブロック鎖が複数本あり、一分子鎖当たりの重合度を上記範囲とするのが好ましい。
【0019】
次に、本発明の水溶性ブロック共重合体の製造方法について述べる。以下に詳述する製造方法は、エチレンイミンブロックとプロピオニルエチレンイミンブロックとからなる線状の分子鎖を有する新規な水溶性ブロック共重合体をもたらす画期的なものである。
【0020】
即ち、分子中に線状のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位または線状のポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位とプロピオニルエチレンイミンブロック(線状のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位)とを有する水溶性ブロック共重合体(以下、「ブロック前駆体」と称す)を、水と、該プロピオニルエチレンイミンブロックを溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下に、該ブロック前駆体のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位(以下、「ホルミルエチレンイミンブロック」と称す)またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位(以下、「アセチルエチレンイミンブロック」と称す)を優先的に加水分解することにより水溶性ブロック共重合体を製造することができる。
【0021】
本発明では、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロック、および、プロピオニルエチレンイミンブロックが、どちらも水溶性であるが、前者に比べて後者の方が有機溶媒に対して高い溶解性を有することに着目してなされたものである。ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有するブロック前駆体の水溶液に、プロピオニルエチレンイミンブロックを溶解するが水と非相溶の有機溶媒を加えて撹拌すると、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックは水相に溶解し、プロピオニルエチレンイミンブロックは有機溶媒相に溶解してエマルジョンを形成する。
【0022】
この系に、酸またはアルカリを加えて加熱することによって、水相に溶解したホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックが優先的に加水分解される結果、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる線状の分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体が得られる。該水溶性ブロック共重合体は、アニオン性化合物とイオンコンプレックスを形成した後も水溶性を保持し、かつ有機溶媒にも相溶性を示す。
【0023】
本発明の、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体は、その前駆重合体である、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有するブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって得られる。
【0024】
前記ブロック前駆体は、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンをカチオン開環リビング重合した後、得られたリビングポリマーに、さらに2−エチル−2−オキサゾリンを重合させることによって得られる。同様にして、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンの重合と、2−エチル−2−オキサゾリンの重合を交互に繰り返すことによって、多ブロックのブロック前駆体が得られる。勿論、2−エチル−2−オキサゾリンの重合を先に行い、次いで2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンの重合を行うこともできる。このようなブロック前駆体の製法については、例えばアドバンセス・イン・ケミストリー・シリーズ 142,320(1975)などで知られている。
【0025】
カチオン開環リビング重合反応に使用する溶媒としては、非プロトン性不活性溶媒や非プロトン性極性溶媒など、公知慣用の溶媒を使用することができる。
ブロック前駆体の各ブロックの重合度は20以上であるのが好ましい。各ブロックの重合度が20未満であるときは、最終的に得られる水溶性ブロック共重合体としての特徴が発現しにくい。一分子鎖中に含まれるブロック数は、用途によって適宜選択することができ特に限定されないが、イオンコンプレックス会合によってナノミセルを形成しやすいジブロック体またはトリブロック体とするのが好ましい。
また、ブロック前駆体の一分子鎖当たりの重合度は50〜5000であるのが好ましい。
【0026】
ブロック前駆体の一分子中のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックの重合度と、プロピオニルエチレンイミンブロックの重合度との比は、一分子鎖当たりのブロック数とは無関係に、2:8〜8:2の範囲にあるのが好ましい。
【0027】
カチオン開環リビング重合の重合開始剤としては、前記したものが使用に供される。かかる重合開始剤として上記官能基を有し、かつ特殊な機能を有するものを使用すれば、連鎖末端の窒素原子に該開始剤の残基が結合したブロック前駆体が得られ、そのホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって、分子鎖末端の窒素原子に、特殊な機能を有する基が結合した水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0028】
三官能性以上の多官能性重合開始剤である場合は、該開始剤を核(1)とする星型のブロック前駆体が得られ、そのホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって、分子鎖末端の窒素原子が、特殊な機能を有する核(1)に結合した星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0029】
カチオン開環リビング重合によって得られるブロック前駆体はリビングポリマーであり、分子鎖末端の炭素原子に活性点を有しているので、求核性の高い官能基、たとえば、アミノ基やフェノール性ヒドロキシ基などと容易に反応する。したがって、該求核性の高い官能基を3個以上有する化合物(前記末端化合物)を、リビングポリマーであるブロック前駆体と反応させれば、該化合物を核とする星型のブロック前駆体が得られる(上記求核性の高い官能基を3個以上有する化合物である核を、以下単に「核(2)」と略記する。)。すなわち、この場合は、分子鎖末端の炭素原子が核(2)に結合した星型のブロック前駆体が得られる。
【0030】
ブロック前駆体の活性末端に、該活性点と反応する上記官能基を有し、かつ前記の特殊な機能を有する化合物(末端化合物)を反応させれば、分子鎖末端の炭素原子に該化合物の残基が結合したブロック前駆体が得られ、そのホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって、分子鎖末端の炭素原子に特殊な機能を有する基が結合した水溶性ブロック共重合体が得られる。星型のブロック前駆体の活性末端に末端化合物を反応させた場合は、自由鎖末端の炭素原子に特殊機能を有する基が結合した星型のブロック前駆体が得られ、上記と同様にして加水分解することによって自由鎖末端に特殊な機能を有する基が結合した星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0031】
末端化合物としては、前記したものであり、特に光による発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能を有するポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する色素類が特殊な機能を水溶性ブロック共重合体に付与することができる。また、該化合物が、三官能性以上の多官能性化合物である場合は、該化合物を核(2)とする星型のブロック前駆体が得られ、そのホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって、分子鎖末端の炭素原子が特殊な機能を有する核(2)に結合した星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0032】
カチオン開環リビング重合開始剤として一官能性の化合物を使用して得られたブロック前駆体のリビングポリマーに、さらに一官能性の化合物(末端化合物)を反応させ、得られたブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解すれば、分子鎖の両末端に特殊な機能を有する基が結合した水溶性ブロック共重合体が得られる。また、上記ブロック前駆体のリビングポリマーと、核(2)として三官能性以上の化合物(末端化合物)を反応させ、核(2)を有するブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解すれば、特殊機能を有する核(2)に結合した分子鎖の自由鎖末端の窒素原子に特殊機能を有する該化合物が結合した星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0033】
光による発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能など、特殊な機能を有するポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する、重合開始剤および末端化合物を使用し、またはこれらを組み合わせて得られるブロック前駆体の、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することによって、上記機能を有する基が結合した水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0034】
次に、ブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解して、水溶性ブロック共重合体を製造する方法について説明する。
【0035】
ブロック前駆体から水溶性ブロック共重合体を得るためには、ブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックの優先的な加水分解反応を、エマルジョン状態で行わなければならない。該エマルジョンは、基本的にはブロック前駆体、水、および、プロピオニルエチレンイミンブロックを溶解するが水と非相溶の有機溶媒からなる。該混合物を撹拌すると、ブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックが水相に溶解し、一方、プロピオニルエチレンイミンブロックが有機溶媒相に溶解してエマルジョンを形成する。この場合、ブロック前駆体は乳化剤として作用する。該エマルジョンは、O/W型あるいはW/O型いずれであってもよい。
【0036】
上記水と非相溶の有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、メトキシベンゼン、トルエンなど、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
加水分解反応時、水相には、公知の加水分解触媒として酸またはアルカリを添加する。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸など通常の無機酸類を、またアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど通常の無機アルカリ類を使用することができる。
【0037】
O/W型エマルジョンを反応場とする場合を例に挙げると、水相の酸またはアルカリの濃度は、加水分解されるホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを構成する単量体単位のモル数の少なくとも1倍相当量であればよく、50倍以内とするのが好ましい。50倍を超えると、プロピオニルエチレンイミンブロックが加水分解を受けやすくなる。最も好ましい範囲は1〜5倍である。
【0038】
加水分解反応温度は100℃以下が好ましく、使用する酸またはアルカリの濃度に合わせて設定するとよい。酸またはアルカリの濃度が高い場合は、温度を低く、たとえば室温程度に設定し、酸またはアルカリの濃度が低い場合は、反応温度を高めに設定するとよい。
【0039】
酸を用いたO/W型エマルジョンの加水分解反応系では、反応の進行に伴って反応系内でのO/W型エマルジョンが水中ミセルに変換するので、そのミセルの形成を目安として、反応の終点を判断することができる。たとえば、反応の初期においては、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックは水相に溶解してO/W型エマルジョンを形成するが、ホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックが塩酸存在下に加水分解されて生成するエチレンイミンブロックの塩酸塩は、酸性の水相ではポリマー結晶となる。該ポリマー結晶は酸性の水相に不溶であるためエマルジョンが破壊され、その結果、該ポリマー結晶がコアとなり、そのまわりを水溶性のプロピオニルエチレンイミンブロックが覆ったコア−コロナ型のミセルが形成される。水相は不透明なミセル分散液となり、有機溶媒は油滴ではなく、油相として水相から分離する。この現象は視覚によって明確に観測でき、反応の終点の目安とすることができる。
【0040】
一般的に、加水分解反応は2〜48時間が好適であるが、酸の濃度、反応温度などの条件によって異なる。
上記加水分解反応によって、ブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックが優先的に加水分解されてエチレンイミンブロックとなり、水溶性ブロック共重合体が得られるが、この際、加水分解で使用される酸の量が過剰となると、プロピオニルエチレンイミンブロックも加水分解を受けるホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックとの近傍部分でいくらか加水分解を受け、前記エチレンイミンブロックに組み込まれることもあり得る。
【0041】
しかし、この加水分解反応は、プロピオニルエチレンイミンブロック中のランダムな位置で起こるのではなく、水と非相溶の有機溶媒中に溶解しているプロピオニルエチレンイミンブロックが、撹拌や分子鎖の熱運動によって水相に引き出された部分で起こる。すなわち、エチレンイミンブロックに隣接した部分のプロピオニルエチレンイミンブロックが加水分解された結果、プロピオニルエチレンイミンブロックが加水分解を受けなかった場合と比較して、単に、得られる水溶性ブロック共重合体のエチレンイミンブロックの分子鎖長が幾分長くなり、プロピオニルエチレンイミンブロックの分子鎖長が幾分短くなるにすぎない。
【0042】
本発明において、O/W型エマルジョンを形成させるための好ましい配合例は、ブロック前駆体1gに対し、水5〜40ml、水と非相溶の有機溶媒は0.5〜6mlである。
【0043】
本発明の水溶性ブロック共重合体の製造方法によれば、ブロック前駆体を、水と、プロピオニルエチレンイミンブロックを溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下で加水分解することによって、該ブロック前駆体のホルミルエチレンイミンブロックまたはアセチルエチレンイミンブロックを優先的に加水分解することができ、カチオン性ブロックである線状のエチレンイミンブロックと、線状のプロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0044】
前記ブロック前駆体を、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンと、2−エチル−2−オキサゾリンとのカチオン開環リビング重合によって合成する場合に、三官能性以上の多官能性の開始剤を使用すれば星型のブロック前駆体が得られ、これを加水分解して星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0045】
カチオン開環リビング重合開始剤が、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格など、特殊な機能を有する骨格をもっている場合は、最終的に得られる線状または星型の水溶性ブロック共重合体に、光による発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能などの特殊な機能を付与することができる。
【0046】
カチオン開環リビング重合によって合成したブロック前駆体は、リビングポリマーであり、分子鎖末端の炭素原子上に活性点を有する。この活性点と反応する基を3個以上有する末端化合物を該リビングポリマーと反応させることによっても、星型のブロック前駆体、およびこれを加水分解した星型の水溶性ブロック共重合体が得られる。
【0047】
前記分子鎖末端の活性点と反応させる末端化合物として、上記特殊な機能を有する骨格をもつ化合物を使用すれば、最終的に得られる線状および星型の水溶性ブロック共重合体に特殊な機能を付与することができる。
【0048】
本発明の水溶性ブロック共重合体は、線状のカチオン性ブロックを有しており、生体高分子などとの水中ナノミセル形成に用いることができる。くわしくいえば、本発明での水溶性ブロック共重合体はアニオン性のDNA、タンパク質、ウイルス、ばい菌などとイオン結合し、それらを取り込んだキャリアーとして用いることができる。このようなキャリアーは医療またはナノ医療分野での、臨床用診断剤、治療剤、生体組織接着剤、保護剤として有用である。特に、本発明での水溶性ブロック共重合体はDNAとのナノミセル形成に極めて有用であり、そのミセルは遺伝子治療用のベクター調製の重要な素材として用いることができる。ポルフィリンまたはフタロシアニンなどを含む水溶性ブロック共重合体は光線力学ガン治療のレーザー光線による色素型制ガン剤として用いることができる。また、光機能性を有するナノミセルをナノリアクター(nanoreactor)、またはナノ粒子型触媒として用いることもできる。
【0049】
また、本発明の水溶性ブロック共重合体は、アニオン性の染料、顔料との水中ナノ分散体作製に有用であり、前記、医療またはナノ医療分野における用途、あるいは、ナノリアクター(nanoreactor)やナノ粒子型触媒などの用途以外に、各種水性塗料や水性インキ、中でも水性ジェットインキなどにも好適に使用することができる。特にアニオン性基を有する染料としては、コンゴーレッド、アシッドレッド、アシッドバイオレット、インジゴカルミン、フタロシアニンスルホン酸ナトリウム、フタロシアニンカルボン酸ナトリウム、クロロフィリンナトリウム、フェニルポルフィリンスルホン酸ナトリウム、フェニルポルフィリンカルボン酸ナトリウム、フェニルポルフィリンカルリン酸ナトリウム、ピロガロールレッド、ピロガロールバイオレット、ヘスペリジンなどが挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例および参考例によって本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0051】
<分子量測定法>
東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフィー「HLC−8000」(RI検出器、TSKge12000x1+3000Hxl+5000Hxl+guardcolumnHx1−H、溶媒ジメチルホルムアミド、流速1.0ml/分、温度40℃)を使用して測定した。
【0052】
<粒径および粒径分布の測定法>
日機装株式会社製UPA粒度分析計「Microtrac 9203」(レーザー光波長780nm、反射角180o、温度25℃)を使用して、動的光散乱(DLS)法による粒径および粒径分布を測定した。
【0053】
(合成例1)
<ブロック前駆体(1−1)の合成>
容積50mlの反応容器内部を窒素ガスで置換した後、カチオン開環リビング重合開始剤である臭化ベンジル0.171g(1mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド5mlを加え、室温で攪拌した。この溶液に、2−メチル−2−オキサゾリン8.51g(0.1mol)を加えた後、100℃で24時間攪拌しながら2−メチル−2−オキサゾリンをカチオン開環リビング重合させた。重合率は98%であった。
【0054】
反応液温度を60℃に下げた後、2−エチル−2−オキサゾリン4.95g(0.05mol)を加えた後、100℃に加熱し24時間攪拌した。反応混合液の温度を室温に下げ、メタノール10mlを加えた後、反応混合液を減圧濃縮した。この濃縮液をジエチルエーテル100ml中に注いで、重合体を沈殿させた。
得られた重合体のメタノール溶液を、ジエチルエーテル中に注いで再沈殿させ、吸引濾過後、濾過物を真空乾燥し、ブロック前駆体(1−1)12.95gを得た。収率は95%であった。
【0055】
得られたブロック前駆体(1−1)の分子量を測定した結果、数平均分子量(以下、「Mn」と略記する。)は12000であり、分子量分布は1.15であった。
1H−NMR(dTMS = 0, CDCl3)測定からアセチルエチレンイミンブロックにおける側鎖メチル基のシグナル(CH3 1.97ppm)と、プロピオニルエチレンイミンブロックにおける側鎖エチル由来のシグナル(CH3 1.13ppm, CH2 2.41ppm)および両ブッロクの主鎖エチレンシグナル(CH2CH2 3.46ppm)を確認した。従って、両単位の1H−NMR測定による積分比から、アセチルエチレンイミンブロックとプロピオニルエチレンイミンブロックとのモル組成比は70:30であることがわかった。このことから、その平均モノマーの質量を89.3と見積もることができる。
【0056】
(合成例2)
<星型のブロック前駆体(1−2)の合成>
反応容器に、六官能性のカチオン開環リビング重合開始剤であり、星型のブロック前駆体の核(1)となるヘキサブロモメチルベンゼン0.021g(0.033mmol)を加え、窒素置換した。窒素気流中、2−メチル−2−オキサゾリン1.53g(18mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド5mlを順次加えた。撹拌しながら60℃に加熱して10分間保持し、次いで100℃に昇温し、20時間撹拌した。1H−NMRの測定結果から、2−メチル−2−オキサゾリンがほぼ定量的に重合し、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)が得られたことが確認できた。この重合体の分子量を測定した結果、その質量平均分子量は21400で、その分子量分布は1.65であった。
【0057】
上記反応液に、さらに2−エチル−2−オキサゾリン0.59g(6mmol)を加え、100℃で24時間撹拌した。反応混合液の温度を室温に下げ、メタノール10mlを加えた後、反応混合液を減圧濃縮した。この濃縮液をジエチルエーテル100ml中に注いで、重合体を沈殿させた。
得られた重合体のメタノール溶液を、ジエチルエーテル中に注いで再沈殿させ、吸引濾過後、濾過物を真空乾燥し、水溶性の星型のブロック前駆体(1−2)2.1gを得た。収率は97%であった。
分子量測定および1H−NMR測定した結果、その質量平均分子量が24400、その分子量分布が1.72であった。
1H−NMR(dTMS = 0, CDCl3)測定からアセチルエチレンイミンブロックにおける側鎖メチル基のシグナル(CH3 1.99ppm)と、プロピオニルエチレンイミンブロックにおける側鎖エチル由来のシグナル(CH3 1.13ppm, CH2 2.41ppm)および両ブッロクの主鎖エチレンシグナル(CH2CH2 3.46ppm)を確認した。従って、両単位の1H−NMR測定による積分比から、アセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は80:20であることがわかった。
【0058】
(合成例3)
<星型のブロック前駆体(1−3)の合成>
六官能性カチオン開環リビング重合開始剤であり、星型のブロック前駆体の核(1)となるヘキサブロモメチルベンゼン0.033g(0.052mmol)、2−メチル-2-オキサゾリン1.53g(18mmol)、2−エチル-2-オキサゾリン0.99g(10mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド5mlを使用した以外は、合成例1と同様の方法であるが、2−エチル−2−オキサゾリンを先に重合させ、その後2−メチル−2−オキサゾリンを重合させることで、水溶性の星型のブロック前駆体(1−3)2.4gを得た。収率は94%であった。
その質量平均分子量は29700、分子量分布は1.81であった。1H NMRでは、合成例2同様なシグナルが観測され、分子鎖中のアセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は68:32であった。
【0059】
(合成例4)
<星型のブロック前駆体(1−4)の合成>
内部をアルゴンガスで置換した反応容器に、四官能性のカチオン開環リビング重合開始剤であり、星型のブロック前駆体の核(1)となるテトラ(4−クロロメチルフェニル)ポルフィリン0.022g(0.027mmol)、ヨウ化ナトリウム0.12g、およびN,N−ジメチルアセトアミド6mlを加え、室温で3時間攪拌した。この溶液に、2-エチル-2-オキサゾリン0.99g(10mmol)を加え、100℃に昇温し24時間撹拌した。
【0060】
反応液温度を60℃に下げた後、2−メチル−2−オキサゾリン1.53g(18mmol)を加え、100℃に昇温して24時間攪拌した。得られた重合体を、合成例1と同様の方法で単離し、水溶性の星型のブロック前駆体(1−4)2.4gを得た。収率は95%であった。
【0061】
分子量測定および1H−NMR測定した結果、その質量平均分子量が25800、その分子量分布が1.72であった。
1H−NMR(dTMS = 0, CDCl3)測定からアセチルエチレンイミンブロックにおける側鎖メチル基のシグナル(CH3 1.97ppm)と、プロピオニルエチレンイミンブロックにおける側鎖エチル由来のシグナル(CH3 1.14ppm, CH2 2.41ppm)および両ブッロクの主鎖エチレンシグナル(CH2CH2 3.45ppm)を確認した。また、星型ポリマー中心に位置するポルフィリン骨格のピロール環のプロトンは8.82ppmに現れた。1H−NMR測定による積分比から、アセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は71:29であることがわかった。
この星型のブロック前駆体(1−4)は、核にポルフィリン構造を有するため、該ブロック前駆体水溶液の吸収スペクトルにおいて、ポルフィリンに固有のソレー(Soret)帯に由来する420nm(free base)の強い吸収が観測された。
【0062】
(合成例5)
<星型のブロック前駆体(1−5)の合成>
窒素ガスで置換した反応容器に、トルエンスルホン酸メチル0.044g(0.236mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド5ml、2−エチル−2−オキサゾリン2.34g(0.0236mol)を加えた後、100℃で16時間攪拌した。
反応液温度を60℃に下げた後、2−メチル−2−オキサゾリン2.01g(0.0236mol)を加えた、100℃に加熱し、24時間攪拌した。
【0063】
反応液温度を室温に下げた後、四官能性の核(2)としてテトラ(4−アミノフェニル)ポルフィリン0.038g(0.056mmol)を加え、80℃で24時間攪拌した。
合成例1と同様の方法によって生成物を単離し、水溶性の星型のブロック前駆体(1−5)4.27gを得た。収率は96%であった。
【0064】
分子量測定および1H−NMR測定した結果、その質量平均分子量が58700、その分子量分布が1.25であった。
1H−NMR(dTMS = 0, CDCl3)測定からアセチルエチレンイミンブロックにおける側鎖メチル基のシグナル(CH3 1.97ppm)と、プロピオニルエチレンイミンブロックにおける側鎖エチル由来のシグナル(CH3 1.14ppm, CH2 2.41ppm)および両ブッロクの主鎖エチレンシグナル(CH2CH2 3.45ppm)を確認した。また、星型ポリマー中心に位置するポルフィリン骨格のピロール環のプロトンは8.79ppmに現れた。1H−NMR測定による積分比から、分子鎖中のアセチルエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は51:49であった。
この星型のブロック前駆体(1−5)は、核にポルフィリン構造を有するため、該ブロック前駆体水溶液の吸収スペクトルにおいて、ポルフィリンに固有のソレー(Soret)帯に由来する418nm(free base)の強い吸収が観測された。
【0065】
(実施例1)
<水溶性ブロック共重合体(2−1a)の合成>
合成例1で得たブロック前駆体(1−1)0.5gを、15mlのクロロホルム中に溶解させた後、それに5mol/lの塩酸水溶液0.85mlを加えた。この混合液を撹拌してW/O型エマルジョンを得た。該エマルジョンを50℃に加熱し、48時間攪拌した。反応液にアセトン50mlを加えて重合体を沈殿させた後、吸引濾過し、アセトンで洗浄した。得られた重合体を乾燥し、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体(2−1)0.42gを得た。
1H−NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水分解前のアセチルエチレンイミンブロックの側鎖メチルに由来した1.98ppm のピークは完全に消えた。ところが、プロピオニルエチレンイミンブロックの側鎖のエチル基に由来したピークは1.18ppm(CH3)と2.25ppm(CH2)は消えなかった。また、ポリマーの主鎖(CH2CH2)由来のピークは3.52ppmを中心に現れた。これらのピークの積分値から、分子鎖中の(エチレンイミン)単位と、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比はほぼ70:30であった。このことから、アセチルエチレンイミンブロックに於いて加水分解が進行したと判断された。
【0066】
(実施例2)
<水溶性ブロック共重合体(2−1b)の合成>
合成例1で得た水溶性ブロック共重合体(1−1)0.5gを、5mol/lの塩酸20ml(過剰量で添加)に溶解し、これにクロロホルム3mlを加えて30分間撹拌してエマルジョンを得た。該エマルジョンを50℃に加熱し、10時間攪拌した。反応液にアセトン50mlを加えて重合体を沈殿させた後、吸引濾過し、アセトンで洗浄した。得られた重合体を乾燥し、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体(2−1)0.45gを得た。
1H−NMR測定の結果、分子鎖中のエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は80:20であった。
(実施例3)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−2)の合成>
実施例2におけるブロック前駆体(1−1)の代わりに、合成例2で得た星型のブロック前駆体(1−2)を使用したこと以外は、すべて実施例2と同様にして、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する星型の水溶性ブロック共重合体(2−2)0.43gを得た。分子鎖中のエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は85:15であった。
【0067】
(実施例4)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−3)の合成>
実施例2におけるブロック前駆体(1−1)の代わりに、合成例3で得た星型のブロック前駆体(1−3)を使用したこと以外は、すべて実施例2と同様にして、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する星型の水溶性ブロック共重合体(2−3)0.47gを得た。分子鎖中のエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は72:28であった。
【0068】
(実施例5)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)の合成>
実施例2におけるブロック前駆体(1−1)の代わりに、合成例4で得た星型のブロック前駆体(1−4)を使用したこと以外は、すべて実施例2と同様にして、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)0.45gを得た。
【0069】
分子鎖中のエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は79:21であった。
この星型の水溶性ブロック共重合体は、核にポルフィリン構造を有するため、該ブロック共重合体水溶液の吸収スペクトルにおいて、ポルフィリンに固有のソレー(Soret)帯に由来する420nm(free base)の強い吸収が観測された。
【0070】
(実施例6)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−5)の合成>
実施例2におけるブロック前駆体(1−1)の代わりに、合成例5で得た星型のブロック前駆体(1−5)を使用したこと以外は、すべて実施例2と同様にして、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する星型の水溶性ブロック共重合体(2−5)0.42gを得た。
【0071】
分子鎖中のエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックのモル組成比は62:38であった。
この星型の水溶性ブロック共重合体は、核にポルフィリン構造を有するため、該ブロック共重合体水溶液の吸収スペクトルにおいて、ポルフィリンに固有のソレー(Soret)帯に由来する442nm(プロトン化)の強い吸収が観測された。
【0072】
(応用例1)
<水溶性ブロック共重合体(2−1a)を用いた染料コンゴレッドの水中分散体の調製>
実施例1で得た水溶性ブロック共重合体ポリマー(2−1a)10mgを3mLの蒸留水に溶解した。攪拌しながら、その溶液にコンゴレッド(東京化成社製、アニオン性の赤染料)の水溶液(3.5mg/mL)2.0mLを滴下した。それを一晩放置させた後、得られた分散体の粒径分布測定を行った結果、平均粒径150nmの単分散を示した。この分散液を円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料はないと考えられる。
【0073】
(応用例2)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)とDNAとのイオン会合によるナノ粒子の形成>
実施例5で得た星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)0.015gを1mlの蒸留水に溶解し、この溶液を、サケの精子から抽出したDNAを含む濃度2.2mg/mlの水溶液4ml中に滴下し、1時間攪拌した。該分散液について、動的光散乱法によって、星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)とDNAとの会合粒子の形成を確認したところ、平均中心粒径が175nmで、単分散状態のナノ粒子が観測された。さらに、この分散液に、0.2gの食塩を加え、塩濃度を0.69mol/lに調製し、再び会合粒子の粒径を確認したところ、平均中心粒径は175nmのままであった。DNAを含むナノ粒子は、これほどの高濃度の食塩中でも全く凝集することなく、これを半年間放置した後にも粒径変化は起こらず、きわめて高い安定性を保持した。この安定性の高さは、星型の水溶性ブロック共重合体(2−4)のプロピオニルエチレンイミンブッロクがイオン会合コアを取り囲む水溶性コロナ層を形成したことを強く示唆する。この中性のコロナ層が塩の静電気的な遮蔽効果を弱める働きをしたと推測できる。
【0074】
上記実施例に示した本発明における加水分解反応の特徴は、アセチルエチレンイミンブロックが優先的に加水分解されることと、加水分解を受けるのが側基であるアシル基であり、分子鎖の主鎖構造は全く変化しないことである。したがって、加水分解反応前後で水溶性ブロック共重合体の重合度は変わらない。
実施例1〜6で得られた水溶性ブロック共重合体(2−1a)〜(2−5)の1H−NMR測定の結果、前駆重合体であるブロック前駆体(1−1)〜(1−5)で1.97ppmに現れたアセチルエチレンイミンブロックのメチル基に由来するピークが完全に消失していた。一方、プロピオニルエチレンイミンブロックのメチル基に由来する1.13ppmのピークは残存し、そのピークの積分強度は加水分解前よりはいくぶん減少するが、その減少の度合いは加水分解反応時間を変えることによって制御できることから、アセチルエチレンイミンブロックが優先的に加水分解されていることが明らかである。
【0075】
尚、加水分解反応後の水溶性ブロック共重合体(2−1b)〜(2−5)におけるエチレンイミンブロックのモル分率は、いずれもその前駆重合体であるブロック前駆体(1−1)〜(1−5)におけるアセチルエチレンイミンブロックのモル分率よりも増大している。これは、塩酸過剰系において、加水分解反応がアセチルエチレンイミンブロックだけではなく、プロピオニルエチレンイミンブロックにおいても起こり、その部分がエチレンイミンブロックに変化したことを意味している。
【0076】
しかし、本発明におけるブロック前駆体の加水分解反応は、エマルジョン中で行うため、有機溶媒相に溶解したプロピオニルエチレンイミンブロックの大部分は加水分解を受けず、撹拌や熱運動によって該ブロックが水相にわずかに引き出された部分のみが加水分解されたと解するのが妥当である。すなわち、プロピオニルエチレンイミンブロックの加水分解は、該ブロックのランダムな位置で起こるのではなく、エチレンイミンブロックに連続した部分で起こっており、したがって、水溶性ブロック共重合体のブロック配列には、実質的な乱れはないと結論できる。
【0077】
上記応用例2からも明らかなように、本発明の水溶性ブロック共重合体の製造方法によって得られる、エチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する水溶性ブロック共重合体は、エチレンイミンブロックがカチオン性ブロックであり、アニオン性の生体高分子であるDNAとイオンコンプレックスを形成し、ナノ粒子となって水相に分散している。
【0078】
【発明の効果】
本発明は、新規な、カチオン性ブロックであるエチレンイミンブロックと、プロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する線状または星型の水溶性ブロック共重合体を提供することができる。
また、本発明の水溶性ブロック共重合体の製造方法によれば、ブロック前駆体を、水と、プロピオニルエチレンイミンブロックを溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下で加水分解することによって、カチオン性ブロックであるエチレンイミンブロックとプロピオニルエチレンイミンブロックとからなる分子鎖を有する線状または星型の水溶性ブロック共重合体をもたらすことができる。
Claims (12)
- 分子中にポリ(エチレンイミン)ブロック単位とポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とを有し、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体。
- 一般式(1)
X−(A−B)n 又は X−(B−A)n
(式中、Xは1価以上の重合開始化合物残基、Aはポリ(エチレンイミン)ブロック単位、Bはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位、nはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表される、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体。 - 一般式(2)
[X−(A−B)n]m−Y 又は [X−(B−A)n]m−Y
(式中、Xは1価以上の重合開始化合物残基、Aはポリ(エチレンイミン)ブロック単位、Bはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位、Yは1価以上の末端化合物残基、nはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数、mはXの価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表される、質量平均分子量が2500〜800000である水溶性ブロック共重合体。 - 前記ポリ(エチレンイミン)ブロック単位と前記ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とのモル比が、0.1〜0.95
である請求項1乃至3のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体。 - 前記Xが、1〜12価の重合開始化合物残基である請求項1乃至4のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体。
- 前記Yが、1〜12価の末端化合物残基である請求項3乃至5のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体。
- 前記Xが、ベンゼン骨格、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する重合開始化合物の残基である請求項1乃至3のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体。
- 前記Yが、ベンゼン骨格、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格のいずれかの骨格を有する末端化合物の残基である請求項3乃至7のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体。
- 分子中にポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位とポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とを有する水溶性ブロック共重合体を、水と、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下に、該水溶性ブロック共重合体のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解することを特徴とする水溶性ブロック共重合体の製造方法。
- 一般式(3)
X−(Z−B)n,
X−(B−Z)n,
[X−(Z−B)n]m−Y 又は
[X−(B−Z)n]m−Y
(式中、Zはポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位、X、B、n、mは請求項3と同じである。)で表される水溶性ブロック共重合体を、水と、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を溶解するが水と非相溶の有機溶媒との混合溶媒中に分散させてエマルジョンを形成させ、酸またはアルカリ存在下に、該水溶性ブロック共重合体のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解することを特徴とする水溶性ブロック共重合体の製造方法。 - 前記ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位と前記ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック単位とのモル比が、0.1〜0.9である請求項9又は10記載の水溶性ブロック共重合体の製造方法。
- 前記酸またはアルカリが、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック単位またはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック単位を構成する単量体単位のモル数の1〜50倍のモル数である請求項9乃至11のいずれかに記載の水溶性ブロック共重合体の製造方法。
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