JP2003261678A - 星型ポリオキサゾリン、コロイド粒子およびそれらの製造方法 - Google Patents
星型ポリオキサゾリン、コロイド粒子およびそれらの製造方法Info
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Abstract
るコロイド粒子を形成する星型ポリオキサゾリンを提供
する。 【解決手段】一般式 X(P)n (ただし式中、Xは
芳香族環状炭化水素を表し、Pは互いに独立にポリオキ
サゾリン鎖を表し、nは芳香族環状炭化水素に置換する
ポリオキサゾリン鎖の数を表し3〜18の整数である)
で表される星型ポリオキサゾリン(11)は、溶液中で
の分子内配向(1)および分子間会合(2)を経て、分
子間会合体(12)の自己組織化(3)により、階層化
されたコロイド粒子(13)を与える。
Description
キサゾリンおよび該星型ポリオキサゾリンからなるコロ
イド粒子ならびにそれらの製造方法に関する。
定形、すなわち一定の階層を有する組織体へ自発的に集
合する。このことは、生体系における最も合理的な過程
であり、また生命の営みの根本でもある。このような生
体系の自己組織化過程を模倣することは、合成化学の究
極の課題の一つである。
ら見れば、確かに、自己組織化により形成される階層構
造は従来の合成化学的手段からは引き起こすことはでき
ない」と記載されているとおり、反応容器中で生成した
分子がそのまま該反応容器中で自発的に階層構造へと組
織化することは、未だかつて報告例がない。
る分子の自己組織化は、幾つかの過程により実現されて
いる。すなわちそれは、(1)分子の一次構造におい
て、水素結合部位、疎水性・親水性部位、π−π結合部
位などの特定構造部位を有する分子の合成、(2)得ら
れた分子の反応系からの分離精製、(3)得られた高純
度生成物のある一定の条件下における自発的な組織化へ
の誘導、などの多段階の過程から成り立っている。
る技術として、高分子ミセル、高分子ベシクル、高分子
ミクロン相分離、高分子ナノ粒子三次元パッキングなど
の技術が、ここ数年の間、飛躍的な進歩を遂げている。
しかしながら、高分子化合物からこれらの階層構造を形
成するためには、階層構造に必要となる一次構造におけ
る分子構築が不可欠である。すなわち、直鎖状の高分子
化合物の一次構造において、相互に相溶性のない、ある
いは骨格物性の異なる2つのブロックが結合された高分
子化合物を用いることが前提条件となる。そして、その
ブロック重合体を合成する工程、該ブロック重合体を反
応系から分離精製する工程、さらに階層組織化の工程を
経て、一定の形の超構造体へと組織化することができ
る。
造として、疎水性と親水性のような両親媒性、またはロ
ッドとコイルとのような構造ドメインを有するブロック
ポリマーを、高次構造へと成長させるためには、一定の
外部条件、すなわち、相反する2つのブロック(例え
ば、AブロックとBブロックとする)のそれぞれの異な
る性質が、同一の反応溶媒系で発現できる条件が必要で
ある。
中、Aブロックは溶解性を示すがBブロックは不溶性を
示す場合、疎水性のBブロック同士が会合することで、
両親媒性ブロックポリマーは自己組織化し、ミセル、ベ
シクル、チューブ、多重ラメラ等の一定のコロイド形状
体に成長する。しかし、通常のブロックポリマーの合成
反応条件では、いずれのブロックも、合成に用いられた
反応溶媒に溶解するものであるため、2つのブロックが
同一の反応溶液中で異なる性質を示すようなものは、合
成そのものが困難であった。すなわち、従来の自己組織
化という概念は、高分子化合物の一次構造上に、相反す
る構造単位が共有結合で連結されていることが前提条件
として要求されていた。このため、高分子化合物の自己
組織化を、該高分子化合物の反応溶液中で発現させるこ
とは、不可能であった。
ナノ粒子の合成において、重合反応の進行によるナノ粒
子の形成が提示されている。この分野において、超構造
体へ自己組織化する高分子化合物として、星型ポリマー
が知られている。星型ポリマーとは、コアとなる中心骨
格の周囲に、ポリマー鎖からなる複数のアームが放射状
に延在した分子構造を有する高分子化合物である。
学的理論計算によって、星型ポリマーの分子中の密度分
布に由来する傾斜構造の特徴が記載されている。この文
献によれば、星型ポリマーでは、中心骨格から一定の範
囲の領域が高密度領域となり、高密度領域の外側は低密
度領域となって、分子内に傾斜構造が発現される。その
結果、高密度領域では星型ポリマーの濃度がどのように
変化するとしても分子鎖は依然として単一の孤立分子の
ような状態を維持しようとするが、低密度領域では分子
鎖はポリマーの濃度によって揺らぎ、星型ポリマーのア
ームは、線状ポリマーと同様に、分子間の絡み合いで強
く相互作用して超構造体へと組織化するものと指摘して
いる。
注目を浴びながらも、その広範囲にわたる潜在的な意義
には関心が示されなかった。ここ数年になって、星型ポ
リマーに関する物理化学的実験および理論的研究におい
て、星型ポリマーの高分子としての性質と、コロイド粒
子としての性質の二重性が明確に提唱されるに至り、星
型ポリマーからの階層構造の自己組織化への可能性が予
見された(非特許文献3参照)。
は、50〜100個以上の数多くのアームを有するもの
が前提となっている。合成的な見地から見て、これほど
多数のアームを導入するには、コアとなる中心骨格は、
高分子とする必要がある。言い換えれば、高分子である
コアに、高分子であるアームを多数結合した星型ポリマ
ーとする必要がある。従って、これは星型構造を有する
としても、その骨格構成から見れば、球状のポリマーと
線状のポリマーとのブロック共重合体に等しい。このよ
うな星型ポリマーは合成的な見地からみても実用的では
ない。さらに、このような星型ポリマーから超構造体を
得ることを考慮すると、まず中心骨格となる化合物を合
成して分離精製し、得られた中心骨格化合物にアーム部
分を導入して星型ポリマーを生成させ、分離精製後、星
型ポリマーを適切な溶媒中で自己組織化させるという多
段階の工程が必要になるものと考えられる。
にわずか数個のアームが結合された星型ポリマーが自己
組織化してコロイドの組織体を与える可能性について
は、理論的にも物理化学実験的にも全く例がなかった。
年、第7号、26頁
第43巻、531〜538頁
88年、第42巻、271〜276頁
する課題は、ナノからミクロンオーダーの結晶構造を有
するコロイド粒子を形成する星型ポリオキサゾリンを提
供することにある。また、該星型ポリオキサゾリンから
なるコロイド粒子および、それらの製造方法を提供する
ことにある。
解決するため鋭意研究した結果、環構造を有する低分子
化合物を重合開始剤とし、オキサゾリン化合物をリビン
グカチオン重合させて得られる星型ポリオキサゾリン
が、重合反応溶液中で自発的に階層構造へと組織化し、
ナノからミクロンオーダーの結晶構造を有するコロイド
粒子を形成することを見出し、本発明を完成させるに至
った。
表し、Pは互いに独立にポリオキサゾリン鎖を表し、n
は芳香族環状炭化水素に置換するポリオキサゾリン鎖の
数を表し3〜18の整数である。)で表されることを特
徴とする星型ポリオキサゾリンを提供する。
表し、Pは互いに独立にポリオキサゾリン鎖を表し、n
は芳香族環状炭化水素に置換するポリオキサゾリン鎖の
数を表し3〜18の整数である。)で表される星型ポリ
オキサゾリンからなり、前記ポリオキサゾリン鎖の少な
くとも一部が結晶性を有することを特徴とするコロイド
粒子を提供する。
表し、Aは互いに独立にハロゲン原子のいずれか又はス
ルホン酸アシル基から選択される一種又は複数種の置換
基を表し、nは芳香族環状炭化水素に置換するAで表さ
れる置換基の数を表し3〜18の整数である。)で表さ
れる重合開始剤の存在下で、オキサゾリン、アルキルオ
キサゾリン、アルケニルオキサゾリン、アリールオキサ
ゾリンから選択される一種又は複数種のオキサゾリン化
合物をリビングカチオン重合させることを特徴とする前
記星型ポリオキサゾリンの製造方法を提供する。
表し、Aは互いに独立にハロゲン原子のいずれか又はス
ルホン酸アシル基から選択される一種又は複数種の置換
基を表し、nは芳香族環状炭化水素に置換するAで表さ
れる置換基の数を表し3〜18の整数である。)で表さ
れる重合開始剤の存在下で、オキサゾリン、アルキルオ
キサゾリン、アルケニルオキサゾリン、アリールオキサ
ゾリンから選択される一種又は複数種のオキサゾリン化
合物をリビングカチオン重合させ、反応後の溶液を室温
で放置することを特徴とするコロイド粒子の製造方法を
提供する。
マー単位密度の傾斜構造を有効に発現させるためには、
星型ポリマーの中心骨格を最小限まで縮小し、この中心
骨格に最大限の本数のアームを結合させることが重要で
ある。例えばベンゼン環を中心骨格とした場合、合成的
な見地から、導入可能なアームの数は最大6個である。
しかし、中心骨格におけるアームの数は決して少なくな
い。なぜならば、ベンゼン環の周囲に最大6本のアーム
が結合することで、中心骨格の付近にモノマー単位が密
集するからである。従って、星型ポリマーにおけるモノ
マー単位の密度は中心骨格付近では高く、中心骨格から
離れたところでは大きく低下することになる。
型ポリオキサゾリン11のコアとなる中心骨格を最小限
まで小さくし、それに最大限度数のアームを結合させる
ことによって、アーム中の中心骨格から一定の範囲の領
域が配向して、高密度かつ剛直な内部配向部分4とな
り、この内部配向部分4の外側は、低密度かつコイル状
の柔軟な部分5となって、分子内に傾斜構造が発現され
る。このように、1分子のポリマー中に、モノマー単位
密度の傾斜構造を、極めて有効に発現させることができ
る(図1の符号1)。
し、極性の高いポリオキサゾリンを該中心骨格へ導入し
た星型ポリマーは、重合反応による反応溶液中での該星
型ポリマー濃度の増加に伴ってポリマー同士が絡み合
う、いわゆるオーバーラッピングによる高分子の分子間
会合によって、固い内部と軟らかい外表面を有する分子
間会合体12を与える(図1の符号2)。そして分子間
会合体12は、その軟らかい外表面同士がさらに会合し
あうことにより、反応溶液系中で、結晶層6と非結晶層
7とが混在した、より安定な階層構造を有するコロイド
粒子13に誘導される(図1の符号3)。
は、星型ポリオキサゾリンの高密度の構造部分と、その
周囲の低密度の構造部分に起因する。アームを構成する
分子の一次構造がホモポリマーであってもブロック共重
合体などの共重合体であっても同様に発現しうる。
発明の星型ポリオキサゾリンは式(1)
表し、Pは互いに独立にポリオキサゾリン鎖を表し、n
は芳香族環状炭化水素に置換するポリオキサゾリン鎖の
数を表し3〜18の整数である。)で表される。
6〜40の単環または縮合環構造を有する芳香環であ
る。芳香環としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタ
レン環、アズレン環、ビフェニレン環、アセナフチレン
環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、
アントラセン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセ
ン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリ
レン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニ
レン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、
コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプ
タセン環、ピラントレン環、オバレン環などが例示され
る。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレン環が好
ましい。
リオキサゾリン鎖としては、具体的には式(3)
サゾリン、アルケニルオキサゾリン、アリールオキサゾ
リンの線状ポリマーが挙げられる。Rとしては、水素原
子;メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキ
ル基;ビニル基、アリル基、α−メチルビニル基などの
低級アルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリー
ル基などから選択される一種以上のものが挙げられる。
このうち、Rが水素原子またはメチル基であるものが特
に好ましい。
ってもよく、また上記の置換基Rを有するオキサゾリン
化合物の中から選択される2種類以上をモノマー単位と
して有するランダム共重合体、ブロック共重合体などの
共重合体であってもよい。ポリオキサゾリン鎖の重合度
mは、好ましくは10〜1000であり、より好ましく
は50〜500、さらに好ましくは100〜300であ
る。重合度mが上記範囲内であれば、星型ポリオキサゾ
リンの密度分布が、分子の中心付近の高密度領域と、そ
の外側の低密度領域とに由来する最適な傾斜構造をとる
ようになり、星型ポリオキサゾリンが自己組織化しやす
くなる。
キサゾリン鎖の個数(アームの本数)nは、少なくとも
3以上であり、中心骨格の小型化の観点からは18以下
が好ましい。ポリオキサゾリン鎖の個数が2個以下(す
なわち、一般式X−P、または、P−X−Pで表される
構造)では、ポリマーが線状となり、星型とならないの
で不適である。反応時間の短縮とモノマー単位密度の傾
斜構造の最適化の観点から、3〜10であることが好ま
しく、特に4〜6が好ましい。
環状炭化水素に結合している少なくとも3本のポリオキ
サゾリン鎖が、該芳香族環状炭化水素を構成する炭素原
子のうち連続した5つ以内の位置番号の炭素原子に結合
していることが好ましい。「該芳香族環状炭化水素を構
成する炭素原子のうち連続した5つ以内の位置番号の炭
素原子」とは、例えばXがベンゼン環の場合、式(4)
素原子であり、本発明の星型ポリオキサゾリンは、例え
ばこのような位置番号1〜5の炭素原子のうちの任意の
3個の炭素原子のそれぞれにポリオキサゾリン鎖が結合
したものである。
えば式(5)
素原子である。本発明の星型ポリオキサゾリンは、例え
ばこのような位置番号1〜5の炭素原子のうちの任意の
3個の炭素原子のそれぞれにポリオキサゾリン鎖が結合
したものである。
液中で剛直な性質を示す分子内密度の高い部分と、柔軟
な性質を示す分子内密度の低い部分とを有しており、複
数の星型ポリオキサゾリン分子の高密度領域同士および
低密度領域同士がそれぞれ互いに誘導しあって会合する
ことにより、星型ポリオキサゾリンの分子が自己組織化
し、結晶層と非結晶層とを有する結晶性のコロイド粒子
を形成する。コロイド粒子の粒径は反応速度の増加に従
って大きくすることができるが、おおむね1〜10μm
の範囲である。
造方法およびコロイド粒子の製造方法について説明す
る。上記の星型ポリオキサゾリンを合成する方法は、例
えば、式(2)
Aは互いに独立にハロゲン原子のいずれか又はスルホン
酸アシル基から選択される一種又は複数種の置換基を表
し、nは芳香族環状炭化水素に置換するAで表される置
換基の数を表し3〜18の整数である。)で表される化
合物を重合開始剤として用い、オキサゾリン化合物のカ
チオンリビング重合によって合成することができる。ハ
ロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等が例示され
る。スルホン酸アシル基としては、p−トルエンスルホ
ニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスル
ホニル基等が例示される。
(6)
H)の2−オキサゾリンの他、2−メチル−2−オキサ
ゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル
−2−オキサゾリンのごとき2−アルキル−2−オキサ
ゾリン;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニ
ル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリ
ン、2−α−メチルビニル−2−オキサゾリンのごとき
2−アルケニル−2−オキサゾリン;2−フェニル−2
−オキサゾリン、2−p−トリル−2−オキサゾリンの
ごとき2−アリール−2−オキサゾリンなどが挙げられ
る。
リオキサゾリン鎖がホモポリマーである場合には、上記
式(2)で表される化合物を重合開始剤として用い、こ
れを適当な極性溶媒に溶解し、得られた溶液に対して前
記重合開始剤の好ましくは10〜1000倍モルのオキ
サゾリン化合物を加えた後、好ましくは40℃以上の温
度で撹拌しながらオキサゾリン化合物を重合させること
により、線状のポリオキサゾリン鎖をアームとして有す
る星型ポリオキサゾリンを合成、製造することができ
る。
ク共重合体である場合には、上記と同様にして、まず第
1のオキサゾリン化合物を反応モノマーとして重合さ
せ、第1のオキサゾリン化合物の消費後、続いて第1の
オキサゾリン化合物とは異なる第2のオキサゾリン化合
物を反応溶液に添加して、第1のオキサゾリン化合物を
重合させたときの温度と、好ましくは等しいかそれ以上
の温度で撹拌しながら重合反応を継続して行うことによ
り、異なるセグメントを有するブロック共重合体からな
る線状ポリオキサゾリン鎖をアームとして有する星型ポ
リオキサゾリンを合成、製造することができる。
ム共重合体である場合には、上記式(2)で表される化
合物を重合開始剤として用い、これを適当な極性溶媒に
溶解し、得られた溶液に対して前記重合開始剤の好まし
くは100〜200倍モルの異なる2種以上のオキサゾ
リン化合物の混合物を加えた後、好ましくは40℃以上
の温度で撹拌しながらオキサゾリン化合物を重合させる
ことにより、ランダム共重合体からなるポリオキサゾリ
ン鎖をアームとして有する星型ポリオキサゾリンを合
成、製造することができる。
の非プロトン性有機溶媒を用いることができ、例えば、
アセトニトリル、ベンゾニトリル、フェニルアセトニト
リルなどのニトリル系有機溶媒、N,N−ジメチルホル
ムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドンなどのアミド系有機溶媒などが例
示される。
て、それぞれ適切な温度条件を設定することが望まし
い。例えばアセトニトリルを用いた場合は反応温度を6
0〜80℃の範囲内とすることが望ましい。フェニルア
セトニトリルを用いた場合は反応温度を80〜140℃
の範囲内とすることが望ましい。反応温度の設定は、用
いるモノマーおよび反応溶媒の沸点以下に設定される。
合開始剤と、式(6)で表されるオキサゾリン化合物と
の重合反応により、式(7)
サゾリンを製造することができる。
サゾリンを、一般式(8)
(Yは水酸基)、アルコール(Yはアルキル基など)、
一級アミン(Yはアルキルアミノ基など)など]と反応
させることにより、式(9)
ることができる。
オキサゾリンは、いずれも式(1)で表される本発明の
星型ポリオキサゾリンに包含される。また、他の末端基
を有する星型ポリオキサゾリンも本発明の星型ポリオキ
サゾリンに包含される。なお、上記式(7)、(9)に
おいて、ポリオキサゾリン鎖の重合度mは、それぞれ異
なっていてもよく、また等しいものであってもよい。重
合度mが10〜1000である場合、星型ポリオキサゾ
リンのXと反対側の末端基の影響はさほど大きくなく、
いずれも同様な性質を有するものとなる。
る重合活性を有する星型ポリオキサゾリンを含む透明な
反応溶液を室温(具体的には15〜35℃)で一定時
間、たとえば2〜24時間放置することで、反応溶液中
に星型ポリオキサゾリンからなるコロイド粒子が懸濁状
態で分散したコロイド液を得ることができる。
ロイド粒子は、詳しくは後述の実施例で説明するが、反
応溶媒で濡れたまま測定した広角X線回折分析により、
結晶性を示すことが明らかにされている。またコロイド
粒子を単離して乾燥後、乾燥状態での広角X線回折分析
によって、濡れたままの状態とほとんど同様の回折パタ
ーンを示すことから、乾燥に対しても安定な結晶性を有
していることがわかっている。
コロイド液を、さらに長時間(例えば一日〜一週間程
度)放置することによって、コロイド粒子間の自発的な
会合により、パッキング結晶体が成長した固体のコロイ
ド塊を得ることができる。本明細書において「コロイド
塊」とは、上述のコロイド粒子が容器の形状に沿って三
次元的に充填して形成された塊状の集合体である。
て成長することから、容器形状に応じた種々の形状に成
形することができる。例えば、金属やガラス、プラスチ
ック等からなる金型に上記コロイド液を注ぎ、コロイド
粒子が自発的にパッキングすることにより、金型形状に
合ったコロイド塊を得ることができる。また、コロイド
液を基板材料の表面にキャストまたはスピンコーティン
グすることにより、コロイド粒子が膜状に集合してなる
コロイド膜を得ることもできる。
ド塊およびコロイド膜は、極性有機溶媒には難溶であ
る。通常の線状ポリオキサゾリンからなる固体状物質は
極性有機溶媒に溶解しやすいことを考慮すると、本発明
の星型ポリオキサゾリンは、極性有機溶媒に対する特異
的な耐性を呈することがわかる。
のエステル類や、テトラヒドロフラン等のエーテル類な
どから選択される適当な溶媒を貧溶媒として添加するこ
とにより、コロイド粒子をコロイド液から単離して、微
粉末状の球状固体粒子として得ることもできる。上記固
体粒子の粒径は、重合反応の終了後、コロイド液中の粒
子成長の時間により決定され、貧溶媒を添加してコロイ
ド粒子の成長を停止することにより、ナノオーダーから
ミクロンオーダーまで種々の大きさに制御することがで
きる。例えば、コロイド液中のコロイド粒子の成長を反
応直後に停止させると、平均粒径10nm以下の粒子が
得られる。また、1μm程度のコロイド粒子であれば、
コロイド液を室温で6〜18時間程度放置してコロイド
粒子を成長させた後、貧溶媒を添加してコロイド粒子の
成長を停止させることにより得ることができる。さら
に、数μm程度のコロイド粒子であれば、コロイド液を
室温で2〜4日程度放置してコロイド粒子を成長させた
後、貧溶媒を添加してコロイド粒子の成長を停止させる
ことにより得ることができる。
御は、成長時間を種々に振り分けた同一反応系のモデル
実験を行い、得られた結果の粒径を測定して、反応条件
や反応時間と粒径との関数を予め検討しておくことによ
り適宜行うことができる。コロイド液から単離されたコ
ロイド粒子は、水溶性ではあるが、例えば相対湿度80
%以上の空気中に放置しても粒子の形状は変形せず、吸
湿性を示さない。通常のポリオキサゾリン粉末が湿潤空
気中で吸湿し、粘状流体になることとは異なる。このこ
とからも、本発明のコロイド粒子は結晶性が高いことが
示唆される。
記球状粒子を熱分析した結果から、本発明の球状粒子
は、180〜200℃の範囲で融点を示すことが明らか
となった。通常のポリオキサゾリン類は60〜80℃の
範囲でガラス転移温度を有するが、本発明の星型ポリオ
キサゾリンはその温度範囲内での熱変化が小さい。星型
ポリオキサゾリンを一旦融点以上に加熱した後、冷却し
て固化したものは、100℃以下でガラス転移を示した
ことから、溶融によりポリマーの結晶構造が分解され、
無規則な構造状態になることが示唆された。
反応系において、同一の反応溶液で星型ポリオキサゾリ
ンを生成し、さらに星型ポリオキサゾリンがナノからミ
クロンオーダーの結晶構造を有するコロイド粒子へ自己
組織化するものである。すなわち、原料のインプットか
ら組織化された形状体のアウトプットまでの過程を、一
つの反応容器中でワンバッチにて行うことができる。
晶性のコロイド粒子は、極性溶媒に対して優れた耐性を
示し、しかも平均粒径を容易に制御することができるも
のであるから、化学、物理学、生物化学、化学エンジニ
アリングなどの幅広い分野での素材として有用である。
特に、ポリオキサゾリンが広範な物質と高い相溶性を有
することから、本発明の星型ポリオキサゾリンからなる
結晶性のコロイド粒子は、色素類、金属類の物質分散と
ハイブリッド調製などに有用であり、それらを水性塗
料、粉体顔料、記録材料としての応用展開に期待が持た
れる。
明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定される
ものではない。
体クロマトグラフィー「HLC−8000」(GPC、
検出器:RI、カラム:TSKgel2000×1+3
000H×1+5000H×1+guardcolum
nH×1、移動相:N,N−ジメチルホルムアミド、流
速1.0ml/分、温度40℃)を用い、ポリエチレン
オキシド換算にて算出した。
応終了後の反応溶液一滴をホール型ガラススライド(ホ
ール:1mm×10mm)に落とし、そのホールをガラ
スカバーでふたをした。スライドをオリンパス光学工業
株式会社製ビデオ付き光学顕微鏡「BX−60」にて観
察し、反応溶液中で形成したコロイド粒子の画像イメー
ジを記録した。
コロイド膜の観測]懸濁状態の反応溶液をフラスコから
取り出し、そのままガラススライド上にキャストし、得
られたコロイド膜の状態を前記ビデオ付き光学顕微鏡に
て観察した。
の反応溶液中に貧溶媒として酢酸エチルを加え、コロイ
ド粒子そのものを沈降させ、単離したコロイド粒子を窒
素雰囲気中乾燥した。得られた粉末粒子をガラススライ
ドに載せ、前記ビデオ付き光学顕微鏡にて観察した。
散]少量の単離乾燥されたコロイド粒子をDMF中に分
散させ、その分散液一滴をガラススライドに落とし、ガ
ラスカバーをした後、DMFに濡れた状態のまま、前記
ビデオ付き光学顕微鏡にて観察した。
粒子の分析]単離乾燥したコロイド粒子を測定試料用ホ
ルダーにのせ、それを株式会社リガク製広角X線回折装
置「Rint−Ultima」にセットし、X線Cu/
Kα40kV/30mA、スキャンスピード1.0°/
分、走査範囲10〜40°の条件で測定を行った。
ロイド粒子の分析]単離乾燥したコロイド粒子を測定パ
ッチに正確に秤量し、それをPerkinElmer製
熱分析装置「DSC−7」にセットし、昇温速度を10
℃/分として、50℃から250℃の温度範囲にて測定
を行った。
アームの星型ポリメチルオキサゾリン(R:メチル、n
=6)の合成および反応容器中でのコロイド粒子の自発
的形成 (1−1)重合反応 磁気攪拌子がセットされたスリ口試験管中に、重合開始
剤としてヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン0.02
1g(0.033mmol)を入れ、試験管の口に三方
コックをつけた後、真空状態にしてから窒素置換を行っ
た。窒素気流下で三方コックの導入口からシリンジを用
いて2−メチル−2−オキサゾリン2.0ml(24m
mol)、N,N−ジメチルアセトアミド4.0mlを
順次加えた。試験管をオイルバス上で60℃まで加熱
し、30分間保ったところ、混合液は透明になった。透
明混合液をさらに100℃まで加熱し、その温度で20
時間攪拌した。攪拌後のモノマーの転化率は98%であ
り、反応溶液の透明度もやや低下していた。試験管を室
温にて6時間放置したところ、反応溶液は自発的に懸濁
状態の白い不透明流体となっていた。
リンジで抜き出し、それに一滴の水を加えると、全体的
に完全に透明な液体になった。それをDMFで希釈後、
分子量を測定したところ、ポリマーの質量平均分子量は
22700であり、分子量分布は1.6であった。
に載せ、それを一滴のN,N−ジメチルアセトアミドで
薄めてからガラスカバーをし、光学顕微鏡で観察した。
流体状態の反応溶液中には、光学顕微鏡の分解能が限ら
れた条件でも、多くの球状のミセルがブラウン運動して
いることが観測された。粒径1μm以上の球状コロイド
粒子に焦点を合わせ、その形態を観測したところ、コロ
イド粒子の構造には屈折率の異なるドメインが観察さ
れ、図2に示すように、コロイド粒子は内外の層状構造
を有することが確認された。さらに、明暗のコントラス
トの繰り返しであるその層状構造は、図3に示すよう
に、粒径の増大に伴って層数が増大するタマネギ状の多
層構造であることが確認された。光学顕微鏡の分解能の
限界であり、精度は劣るが、図3の明暗の多層構造が均
等な厚みで形成されたとすれば、一層の厚みは平均0.
67μmであると推定される。
体から一滴を取り出し、約60°の傾斜角で傾斜させて
立てたガラススライド上にキャストすることにより、該
ガラススライド上にキャスト膜を形成した。得られたキ
ャスト膜の表面を光学顕微鏡で観察したところ、図4の
光学顕微鏡写真に示すように、キャスト膜は球状のコロ
イド粒子から形成されていることが明らかとなった。
の単離 上記の懸濁状態の白い不透明流体6mlに貧溶媒である
酢酸エチル20mlを添加して完全なコロイド分散液を
得た。この分散液を窒素雰囲気下、ガラスフィルタ−を
用いてろ過した後、酢酸エチルで繰り返し洗浄した。得
られた固形物を窒素雰囲気下、室温で乾燥させた後、真
空状態にて一晩乾燥させたところ、微粉末状のコロイド
粒子を単離することができた。この微粉末状のコロイド
粒子は、通常の線状ポリメチルオキサゾリンの溶液に酢
酸エチルを添加して沈殿させることで得られる無規則な
固体状の固形物とは全く異なる外観を呈するものであっ
た。また、星型ポリオキサゾリンから得られた上記微粉
末は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、メタノール、アセトニトリルのいずれの極性溶
剤にも不溶であった。この性質は上記極性溶媒に容易に
溶解されるという通常の線状ポリメチルオキサゾリンの
固体の性質とは全く異なるものであった。
ススライド上にのせ、これを光学顕微鏡で観察した。こ
の粉末は図5に示すように、基本的に球状粒子からな
り、その大きさは5μm前後であった。さらに、乾燥し
た微粉末をN,N−ジメチルホルムアミド中分散し、そ
の分散液を一滴ガラススライドに垂らしてガラスカバー
をした後、光学顕微鏡で観察したところ、粒子はブラウ
ン運動を繰り返し、また、図6に示すように、個々の粒
子は非常に明るく部分と、比較的暗い部分との明暗構造
が観察された。
ったところ、図7に示すように、2θの角度が、14.
8°、19.0°、23.4°、27.9°、30.5
°、34.1°のところに、強くてシャープな回折ピー
ク、もしくは弱くてブロードな回折ピークが現れた。こ
の結果は、高分子の結晶構造がコロイド粒子中に存在す
ることを強く示唆するものであった。
用いてコロイド粒子の熱分析を行った。結果を図8に示
すように、ガラス転移温度はほとんど現れず、184℃
をピークとする融点が示された。このことはコロイド粒
子の高い結晶度を強く示唆するものであった。
アームのポリメチルオキサゾリン-block-ポリエチルオ
キサゾリンの合成および反応容器中でのコロイド粒子の
自発形成。 (2−1)重合反応 磁気撹拌子がセットされたスリ口試験管に、重合開始剤
としてヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン0.021
g(0.033mol)を加え、試験管の口に三方コッ
クを装着した後、真空状態にしてから窒素を導入し、雰
囲気を窒素雰囲気に置換した。窒素気流下、三方コック
の導入口からシリンジにて、第一モノマーとしての2−
メチル−2−オキサゾリン1.5ml(18mmol)
と、反応溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド
5.0mlを順次添加した。その混合物をオイルバスに
て60℃まで加熱し、10分間保持したところ、透明な
混合物となった。この透明混合物をさらに100℃まで
加熱し、その温度で20時間攪拌し反応溶液を得た。
より、ほぼ定量的に転化したことが確認された。反応溶
液から極少量取り出したサンプルの分子量を測定したと
ころ、質量平均分子量は2140であり、分子量分布は
1.65であった。
ろ、全体が懸濁状態の白い不透明な流体となっていた。
続けてこの懸濁状態の白い不透明な反応溶液に、第二モ
ノマーとして、2−エチル−2−オキサゾリン1.0m
l(9.9mmol)を加え、良く攪拌してから、オイ
ルバスにて100℃まで加熱した。得られた反応溶液は
不透明の懸濁状液のままであった。引き続き、得られた
反応溶液を24時間攪拌しながら100℃を保持して加
熱したあと、室温に一晩放置したところ、重合液の粘性
は増大し、クリーム状となった。
ススライド上にのせ、それを光学顕微鏡で観察した。そ
の結果、図9に示すように、クリーム状の生成物は、反
応溶液中に多量のコロイド粒子を含む混合物であること
が明らかとなった。また、この状態で、2−エチル−2
−オキサゾリンは、1H−NMRにより、ほぼ定量的に
転化したことが確認された。クリーム状の生成物を水に
溶解させ、DMFで希釈した後、分子量を測定したとこ
ろ、質量平均分子量は29000であり、分子量分布は
1.69であった。すなわち、懸濁状態の不均一系の状
態であるにもかかわらず、2−エチル−2−オキサゾリ
ンの重合反応はスムーズに進行し、それがクリーム状の
生成物を与えたことがわかった。
合から成長して得られた懸濁状態で、その重合成長末端
は重合活性を維持したままであり、そこに第2モノマー
を添加するとリビング重合を継続して行うことができ、
懸濁状態を維持した形でのブロック共重合体の生成が可
能であることを示唆するものである。
し、これを窒素雰囲気下でろ過することにより、固体の
粉末が得られた。
をそれぞれ広角X線で分析した結果、図10に示すよう
に、クリーム状の生成物中のコロイド粒子においても、
単離乾燥後の固体粉末状のコロイド粒子においても、全
く同様な結晶構造に由来する回折パターンを示した。ま
た、これらの回折ピークは図7のものと一致した。すな
わち、反応系から形成したホモポリマーの星型ポリオキ
サゾリンは結晶構造を有し、その結晶構造は、ブロック
ポリマーに成長しても保たれたままであり、それを単離
乾燥しても結晶構造はなにも変わらないことが強く示唆
された。
粉末の熱分析により、このブロック共重合体の融点は、
図11に示すように、163℃と184℃の2つのピー
クとして現れた。これは、ブロック共重合体の結晶性に
依存する結果であると考えられる。
ブロック共重合体の組成比を推測したところ、メチルオ
キサゾリンは61mol%であり、エチルオキサゾリン
は39mol%であった。これは、共重合反応系におけ
るメチルオキサゾリン(65mol%)とエチルオキサ
ゾリン(35mol%)の仕込み比とほぼ一致した。
個アームのポリメチルオキサゾリン-block-ポリフェニ
ルオキサゾリンの合成および反応容器中でのコロイド粒
子の自発形成。 (3−1)重合反応 磁気撹拌子がセットされたスリ口試験管に、重合開始剤
としてテトラキス(ブロモメチル)ベンゼン0.015
g(0.033mol)を加え、試験管の口に三方コッ
クを装着した後、真空状態にしてから窒素を導入し、雰
囲気を窒素雰囲気に置換した。窒素気流下、三方コック
の導入口からシリンジにて2−メチル−2−オキサゾリ
ン2.0ml(24mmol)、2−フェニル−2−オ
キサゾリン2.4ml(18.2mmol)、N,N−
ジメチルアセトアミド4.0mlを順次添加した。その
混合物をオイルバスにて60℃まで加熱し、その温度で
攪拌しながら65時間保持した。攪拌後、メチルオキサ
ゾリンの転化率は51%であり、ポリマーの質量平均分
子量は16300であり、分子量分布は1.33であっ
た。
測定下限以下であった。反応溶液をさらに100℃まで
加熱し、その温度で26時間攪拌した。ふたたびモノマ
ーの転化率を測定したところ、メチルオキサゾリンは完
全に重合し、フェニルオキサゾリンの転化率は16%で
あった。このときのポリマーの質量平均分子量は206
00、分子量分布は1.65であった。
ろ、全体が懸濁状態の流体となっていた。この懸濁状態
の流体に酢酸エチルを加え、それをガラスフィルターに
てろ過し、固形分を酢酸エチルで繰り返し洗浄した。得
られた固形物を窒素雰囲気下、室温で乾燥させた後、真
空状態にて一晩乾燥させたところ、微粉末状のコロイド
粒子が得られた。この微粉末を重水素化クロロホルム中
溶解させ、1H−NMRにて共重合体の組成比を推測し
たところ、メチルオキサゾリンは86mol%であり、
フェニルオキサゾリンは14mol%であった。
N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、
アセトニトリルなどの極性有機溶媒では溶解せず、分散
状態となることが分かった。上記コロイド粒子をDMF
に分散してその分散液をガラススライド上にのせ、ガラ
スカバーをしてこれを光学顕微鏡で観察した。その結果
を図12に示す。コロイド粒子のブラウン運動が観察さ
れた。また、図12に示すように、個々のコロイド粒子
は、非常に明るいドメインと比較的暗いドメインとから
なる明確なドメイン構造が観察された。
有するポリマーである星型ポリオキサゾリンを生成し、
さらに該星型ポリオキサゾリンの自発的な高次構造への
組織化により、ナノからミクロンのオーダーの多層構造
を有するコロイド粒子を一個の反応容器内で製造するこ
とができる。このようにして得られた星型ポリオキサゾ
リンおよびコロイド粒子は、極性溶媒に対して優れた耐
性を示し、平均粒径を容易に制御することができるもの
であるから、化学、物理学、生物化学、化学エンジニア
リングなどの幅広い分野での素材として有用である。特
に、ポリオキサゾリンが広範な物質と高い相溶性を有す
ることから、本発明の星型ポリオキサゾリンからなる結
晶性のコロイド粒子は、色素類、金属類の物質分散とハ
イブリッド調製などに有用であり、それらを水性塗料、
粉体顔料、記録材料としての応用展開に期待が持たれ
る。
有するコロイド粒子に自己組織化する過程を表す模式図
である。
するコロイド粒子に関する光学顕微鏡写真(スケールバ
ー:10μm)。
するコロイド粒子に関する光学顕微鏡写真(スケールバ
ー:10μm)。
ストしたコロイド膜に関する光学顕微鏡写真(スケール
バー:10μm)。
以下の小麦粉状のコロイド粒子に関する光学顕微鏡写真
(スケールバー:10μm)。
散させた状態におけるコロイド粒子に関する光学顕微鏡
写真(スケールバー:10μm)。
回折スペクトル。
熱量分析のプロフィル(昇温温度は10℃/分)。
釈した後、ガラススライドにキャストした光学顕微鏡写
真(スケールバー:10μm)。
子(a)および単離乾燥後のコロイド粒子(b)の広角
X線回折スペクトル。
査熱量分析のプロフィル(昇温温度は10℃/分)。
中分散させた状態での光学顕微鏡写真(スケールバー:
50μm)。
(階層化) 4 配向した星型ポリオキサゾリン分子中の剛直な内部
配向部分 5 コイル状の柔軟な部分 6 結晶層 7 非結晶層 11 星型ポリオキサゾリン 12 星型ポリオキサゾリンの分子間会合体 13 星型ポリオキサゾリンからなるコロイド粒子
Claims (8)
- 【請求項1】 式(1) 【化1】 (ただし式中、Xは芳香族環状炭化水素を表し、Pは互
いに独立にポリオキサゾリン鎖を表し、nは芳香族環状
炭化水素に置換するポリオキサゾリン鎖の数を表し3〜
18の整数である。)で表されることを特徴とする星型
ポリオキサゾリン。 - 【請求項2】 前記ポリオキサゾリン鎖のうち少なくと
も3つは、前記芳香族環状炭化水素を構成する炭素原子
のうち連続した5つ以内の位置番号の炭素原子に結合し
ている請求項1に記載の星型ポリオキサゾリン。 - 【請求項3】 前記ポリオキサゾリン鎖が、オキサゾリ
ン、アルキルオキサゾリン、アルケニルオキサゾリン、
アリールオキサゾリンから選択される一種または複数種
のオキサゾリン化合物の重合体または共重合体である請
求項1または2に記載の星型ポリオキサゾリン。 - 【請求項4】 前記芳香族環状炭化水素が、ベンゼン、
ナフタレン、ピレンから選択される芳香族環状炭化水素
である請求項1〜3のいずれか一項に記載の星型ポリオ
キサゾリン。 - 【請求項5】 前記ポリオキサゾリン鎖の重合度が10
〜1000である請求項1〜4のいずれかに記載の星型
ポリオキサゾリン。 - 【請求項6】 式(1) 【化2】 (ただし式中、Xは芳香族環状炭化水素を表し、Pは互
いに独立にポリオキサゾリン鎖を表し、nは芳香族環状
炭化水素に置換するポリオキサゾリン鎖の数を表し3〜
18の整数である。)で表される星型ポリオキサゾリン
からなり、前記ポリオキサゾリン鎖の少なくとも一部が
結晶性を有することを特徴とするコロイド粒子。 - 【請求項7】 式(2) 【化3】 (ただし式中、Xは芳香族環状炭化水素を表し、Aは互
いに独立にハロゲン原子のいずれか又はスルホン酸アシ
ル基から選択される一種又は複数種の置換基を表し、n
は芳香族環状炭化水素に置換するAで表される置換基の
数を表し3〜18の整数である。)で表される重合開始
剤の存在下で、オキサゾリン、アルキルオキサゾリン、
アルケニルオキサゾリン、アリールオキサゾリンから選
択される一種又は複数種のオキサゾリン化合物をリビン
グカチオン重合させることを特徴とする請求項1〜5の
いずれかに記載の星型ポリオキサゾリンの製造方法。 - 【請求項8】 式(2) 【化4】 (ただし式中、Xは芳香族環状炭化水素を表し、Aは互
いに独立にハロゲン原子のいずれか又はスルホン酸アシ
ル基から選択される一種又は複数種の置換基を表し、n
は芳香族環状炭化水素に置換するAで表される置換基の
数を表し3〜18の整数である。)で示される重合開始
剤の存在下で、オキサゾリン、アルキルオキサゾリン、
アルケニルオキサゾリン、アリールオキサゾリンから選
択される一種又は複数種のオキサゾリン化合物をリビン
グカチオン重合させ、反応後の溶液を室温で放置するこ
とを特徴とする請求項6に記載のコロイド粒子の製造方
法。
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